JP6832555B1 - 表面テクスチャリング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークの表面に多様な加工を施すことが容易となる表面テクスチャリング方法を提案すること。【解決手段】ワークWに表面テクスチャリングを施すのに際して、まず、工作機械のヘッド100と工具15との間に、ヘッド100の回転を回転中心線L0回りの回転動作および回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する工具ホルダ1を介在させる(ステップST1)。次に、工作機械を駆動してヘッド100を所定の回転方向Rに回転させるとともに、ヘッド100を交差方向Dに移動させながら、工具15をワークWに接触させる(ステップST2)。工具15は、軸付き砥石(3)であり、弾性を備えるネック部155を備える。ワークWは金型であり、軸付き砥石(3)は、金型のキャビティV内に設けられたリブGの側面に接触する。【選択図】図5

Description

本発明は、ワークの表面に、研磨、バリ取り、加飾、刻印形成などを施す表面テクスチャリング方法に関する。
マシニングセンタなどの工作機械の主軸のヘッドに連結されてヘッドと工具との間に介在する工具ホルダは特許文献1に記載されている。同文献の工具ホルダは、ヘッドの回転をヘッドの回転中心線回りの回転動作および回転中心線方向の直線往復動作に変換して工具に伝達する。特許文献1では、工具ホルダに装着される工具は、ダイアモンドラッパ−である。ダイアモンドラッパ−は、ワークに形成されている穴に挿入され、直線往復動作を行いながら穴の内周面を研磨する。これにより、穴の内周面の面粗度を向上させる。
特開2000−71114号公報
ヘッドの回転を直線往復動作に変換して工具に伝達する工具ホルダは、工具の直線往復動作によってワークの穴の内周面を研磨する用途に用いられている。
本発明の課題は、このような点に鑑みて、ヘッドの回転を直線往復動作に変換して工具に伝達する工具ホルダを用いてワークの表面に多様な加工を施す表面テクスチャリング方法を提案することにある。
上記課題を解決するために、本発明の表面テクスチャリング方法は、 工作機械のヘッドと工具との間に、前記ヘッドの回転を当該ヘッドの回転中心線方向の直線往復動作に変換して前記工具に伝達する工具ホルダを介在させ、前記工作機械を駆動して前記ヘッドを回転させるとともに前記ヘッドとワークとを前記回転中心線と交差する方向に相対移動させ、前記直線往復動作により前記工具を前記回転中心線方向からワークの表面に接触させ、前記工具として、砥石と、前記工具ホルダに保持されるシャンク部と、前記回転中心線方向に延びて前記砥石と前記シャンク部とを接続するネック部と、を備え、前記ネック部が前記回転中心線と交差する方向に撓む弾性を備える軸付き砥石を用い、前記ワークは、キャビティ内にリブを備える金型であり、前記リブの側面は、前記キャビティの開口側に向かって前記リブが先細りとなる方向に傾斜する勾配を備え、前記軸付き砥石は、前記リブの側面に前記キャビティの開口側から接触し、前記直線往復動作中に、前記ネック部が前記回転中心線と交差する方向に撓んだ状態となり、前記リブの側面に、前記リブの高さ方向に延びる研磨目を形成することを特徴とする。
本発明の表面テクスチャリング方法では、ワークは、金型であり、工具によって金型のキャビティ内のリブの側面を研磨する。ここで、金型のキャビティ内のリブの側面には、成形品を金型から取り外すための勾配が設けられている。従って、工具をキャビティの開口側から当該キャビディ内に挿入したときに、リブの側面に接触させることができる。また、工具ホルダに保持された工具は回転中心線方向に直線往復動作するので、リブの側面に接触させた工具をリブの高さ方向に往復移動させることができる。さらに、工作機械のヘッドの移動を制御することによって、工具をリブの側面の幅方向に移動させることができる。よって、リブの側面に、その曲面形状などに沿った表面テクスチャを施すことができる。
本発明において、前記工具として、砥石と、前記工具ホルダに保持されるシャンク部と、前記回転中心線方向に延びて前記砥石と前記シャンク部とを接続するネック部と、を備える軸付き砥石を用い、前記ネック部は、前記回転中心線と交差する方向に撓む弾性を備えるものとすることができる。ここで、軸付き砥石を回転中心線方向から金型のリブの側面に接触させて表面テクスチャリングを施す際に、軸付き砥石が剛性のネック部を備える場合には、砥石が金型のリブの側面でスタックする場合がある。砥石がスタックすると、砥石の破損、ネック部の破損、ネック部の折れ曲がり、などが発生する可能性がある。また、軸付き砥石が剛性のネック部を備える場合には、砥石が金型のキャビティの底に衝突したときに、砥石の破損、ネック部の破損、ネック部の折れ曲がり、などが発生する可能性がある。このような問題に対して、本発明では、工具として用いる軸付き砥石のネック部が弾性を備える。従って、軸付き砥石を回転中心線方向から金型のリブの側面に接触させたときに金型の側から軸付き砥石に負荷がかかる場合には、ネック部が回転中心線と交差する方向に撓んで、砥石が金型のリブの側面に沿って移動する。よって、砥石がリブの側面でスタックすることを防止或いは抑制できる。また、仮に、砥石がスタックした場合でも、ネック部が撓むことによって金型の側から軸付き砥石にかかる負荷を逃がすことができる。従って、例えば、砥石が金型のキャビティの底に衝突した場合でも、砥石の破損、ネック部の破損、ネック部の折れ曲がり、などの発生を抑制することができる。よって、磁石により、リブの基部まで、表面テクスチャリングを施すことができる。さらに、工具として用いる軸付き砥石のネック部が弾性を備えれば、金型のリブの成形の精度に準じた精度で、リブの側面を研磨できる。例えば、表面テクスチャリングの途中で軸付き砥石の砥石が金型のリブの側面に接触する位置関係の精度が低下した場合には、ネック部の撓み量が変化する。これにより、砥石がリブの側面の勾配に追随して適切な位置に移動するので、金型のリブの成形の精度に準じた精度で、リブの側面に表面テクスチャリングを施すことができる。
ここで、工具として、弾性を備えるネック部を有する軸付き砥石を用いた場合には、金型の側からかかる負荷によって砥石が逃げやすくなる。この結果、砥石による切削力が低下して、金型のリブの側面に所望の加工を施すことができなくなる可能性がある。これに対して、本発明では、前記直線往復動作中に、前記ネック部は前記回転中心線と交差する方向に撓んだ状態となるものとすることができる。このようにすれば、磁石がリブの側面を移動する際に、ネック部の弾性復帰力によって、砥石がリブの側面に押し付けられた状態となる。よって、砥石がリブの側面に接触しているときに、砥石に所望の研磨力を発揮させることができる。
本発明において、前記リブの側面に、前記リブの高さ方向に延びる研磨目を形成するものとすることができる。すなわち、表面テクスチャリングによって、リブの側面に、リブの基部側から先端側に向かってリブの高さ方向に延びる研磨痕を形成することもできる。このような研磨目がリブの側面に設けられていれば、成形品を金型から取り外す際の、離型性が向上する。
次に、本発明の別の形態の表面テクスチャリング方法は、工作機械のヘッドと工具との間に、前記ヘッドの回転を当該ヘッドの回転中心線方向の直線往復動作に変換して前記工具に伝達する工具ホルダを介在させ、前記工作機械を駆動して前記ヘッドを回転させるとともに前記ヘッドとワークとを前記回転中心線と交差する方向に相対移動させ、前記直線往復動作により前記工具を前記回転中心線方向からワークの表面に接触させ、前記工具と
して、無機長繊維の集合糸を有する線状砥材の砥材束と前記砥材束に含侵した樹脂とを有し、前記回転中心線と交差する方向に撓む弾性を備える棒状のスティック砥石を用い、当該スティック砥石の一方側の端部分を前記工具ホルダに保持させ、前記ワークは、キャビティ内にリブを備える金型であり、前記リブの側面は、前記キャビティの開口側に向かって前記リブが先細りとなる方向に傾斜する勾配を備え、前記スティック砥石は、前記リブの側面に前記キャビティの開口側から接触し、前記直線往復動作中に、前記回転中心線と交差する方向に撓んだ状態となり、前記リブの側面に、前記リブの高さ方向に延びる研磨目を形成することを特徴とする。
ここで、スティック砥石を回転中心線方向から金型のリブの側面に接触させて表面テクスチャリングを施す際に、スティック砥石が剛体である場合には、スティック砥石が金型のリブの側面でスタックする場合がある。スティック砥石がスタックすると、スティック砥石の破損や折れ曲がりなどが発生する可能性がある。また、スティック砥石が剛体の場合には、スティック砥石が金型のキャビティの底に衝突したときに、スティック砥石の破損や折れ曲がりなどが発生する可能性がある。このような問題に対して、本発明では、工具として用いるスティック砥石が弾性を備える。従って、スティック砥石を回転中心線方向から金型のリブの側面に接触させたときに金型の側から当該スティック砥石に負荷がかかる場合には、スティック砥石が回転中心線と交差する方向に撓んで、金型のリブの側面の勾配に沿う。よって、スティック砥石がリブの側面でスタックすることを防止或いは抑制できる。また、仮に、スティック砥石がスタックした場合でも、スティック砥石が撓むことによって金型の側からスティック砥石にかかる負荷を逃がすことができる。よって、例えば、スティック砥石15が金型のキャビティの底に衝突した場合でも、スティック砥石の破損や折れ曲がりなどの発生を抑制することができる。従って、スティック砥石により、リブの基部まで、表面テクスチャリングを施すことができる。さらに、工具として用いるスティック砥石が弾性を備えれば、金型のリブの成形の精度に準じた精度で、リブの側面を研磨できる。例えば、表面テクスチャリングの途中でスティック砥石が金型のリブの側面に接触する位置精度が低下した場合には、スティック砥石の撓み量が変化して、リブの側面の勾配に追随して変形する。よって、スティック砥石は、金型のリブの成形の精度に準じた精度で、リブの側面に表面テクスチャリングを施すことができる。
ここで、工具として弾性を備えるスティック砥石を用いた場合には、金型の側からかかる負荷によってスティック砥石が逃げやすくなるので、スティック砥石による切削力が低下して、金型のリブの側面に所望の加工を施すことができなくなる可能性がある。これに対して、本発明では、前記直線往復動作中に、前記スティック砥石は前記回転中心線と交差する方向に撓んだ状態となるものとすることができる。このようにすれば、スティック砥石がリブの側面を移動する際に、その弾性復帰力によって、リブの側面に押し付けられた状態となる。よって、スティック砥石がリブの側面に接触しているときに、スティック砥石に所望の研磨力を発揮させることができる。また、本発明において、前記リブの側面に、前記スティック砥石による研磨目を形成するものとすることができる。すなわち、表面テクスチャリングによって、金型のリブの側面に、キャビティの開口側に向かって延びる研磨痕を形成するものとすることができる。このような研磨目がリブの側面に設けられていれば、成形品を金型から取り外す際の、離型性が向上する。
本発明において、前記工具ホルダは、前記ヘッドの回転を前記直線往復動作および前記回転中心線回りの回転動作に変換し、前記直線往復動作および前記回転動作によって前記工具を前記回転中心線回りに回転させながら前記ワークの表面に接触させるものとすることができる。このようにすれば、工具は、回転中心線方向に往復直線移動しながらワークの表面に接触するだけではなく、ヘッドの回転中心線回りに回転しながらワークの表面に接触する。従って、工具が回転中心線方向に往復直線移動する場合と比較して、ワークの表面に、より態様な、表面テクスチャリングを施すことができる。また、工具が回転しながら往復直線移動するので、往復直線移動のみ場合と比較して、ワークの表面を効率よく加工することが可能となる。
本発明において、前記工具が1ストロークの直線往復動作を行う間に、前記工具と前記リブの側面とを接触した状態に維持することものとすることができる。すなわち、前記工具を前記リブの側面に連続的に接触させるものとすることができる。
また、本発明において、前記工具を前記リブの側面に断続的に接触させるものとすることができる。
本発明において、前記工具ホルダは、前記工具が前記ヘッドから離間する方向に移動しているときに、前記工具を前記ヘッドの側に移動可能に支持するものとすることができる。このようにすれば、工具が金型の側面でスタックしそうな状態に陥ったときに、工具をヘッドの側に退避させることができる。従って、工具の先端がワークとの衝突によって破
損することを防止或いは抑制できる。また、工具がワークの表面に衝突して、ワークの表面に必要以上の加工を施してしまうことを防止或いは抑制できる。
本発明において、前記工具ホルダは、前記工作機械のヘッドに同軸に連結される入力軸と、前記入力軸の外周側で当該入力軸を回転可能に支持する外輪部材と、前記入力軸と同軸に配置され、前記入力軸の軸線方向に移動可能な状態で前記外輪部材に支持されて当該外輪部材と一体に回転する出力部材と、前記外輪部材と前記入力軸とが相対回転すると、前記出力部材を前記軸線方向の直線往復動作させる回転直動変換機構と、を有し、前記外輪部材は、前記工作機械に固定されて当該外輪部材が回転することを阻止する固定部を備え、前記出力部材は、工具を保持するための工具保持部を備えるものとすることができる。かかる工具ホルダを用いれば、工作機械のヘッドの回転を当該ヘッドの回転中心線方向の直線往復動作に変換して工具に伝達することができる。
本発明において、前記回転直動変換機構は、第1磁石ユニットと、前記軸線方向で前記第1磁石ユニットに対向する第2磁石ユニットと、を備え、前記第1磁石ユニットは、前記入力軸に固定され、前記第2磁石ユニットは、前記出力部材に固定され、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとが相対回転すると、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとの間に前記軸線方向の引力が作用する第1状態と、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとの間に前記軸線方向の斥力が作用する第2状態とが交互に発生するものとすることができる。このようにすれば、相対回転する第1磁石ユニットと第2磁石ユニットとの間に発生する引力と斥力とによって、工具が接続される出力軸を往復直動させることができる。また、このようにすれば、入力軸および第1磁石ユニットと、出力軸および第2磁石ユニットとの間を機械的に接続する必要がないので、斥力が作用しているときに、出力軸を入力軸の側に移動させることができる。すなわち、工具ホルダは、工具がヘッドから離間する方向に移動しているときに、工具をヘッドの側に移動可能に支持する。
本発明において、前記工具ホルダは、前記工作機械のヘッドに同軸に連結される入力軸と、前記入力軸に回転可能に支持され、かつ、前記入力軸と共回りする外輪部材と、前記入力軸と同軸に配置され、前記入力軸の軸線方向に移動可能な状態で前記外輪部材に支持されて当該外輪部材と一体に回転する出力部材と、前記入力軸と前記外輪部材とが共回りしたときに、前記外輪部材の回転速度を前記入力軸の回転速度よりも低下させるブレーキ機構と、前記外輪部材の回転速度が前記入力軸の回転速度よりも低下して前記入力軸と前記出力部材とが相対回転すると、前記外輪部材と一体の回転動作を行っている前記出力部材に前記軸線方向の直線往復動作を付与する直線往復動作付与機構と、を有し、前記ブレーキ機構は、回転方向と逆方向に作用する流体圧を受ける受圧部を備え、前記受圧部は、前記外輪部材に取り付けられたフラップであり、前記出力部材は、工具を保持するための工具保持部を備えるものとすることができる。かる工具ホルダを用いれば、工作機械のヘッドの回転を当該ヘッドの回転中心線方向の直線往復動作および回転中心線回りの回転動作に変換して工具に伝達することができる。
ここで、かかる工具ホルダをヘッドの工具との間に介在させる際には、入力軸を工作機械のヘッドに連結して、出力部材の工具保持部に工具を保持させればよい。すなわち、工具ホルダは、工作機械のヘッドに接続された入力軸が回転して外輪部材が入力軸と共回りすると、受圧部に回転方向と逆方向の流体圧が作用して、外輪部材と入力軸との間に回転速度差が発生する。これにより、外輪部材と一体に回転する出力部材と入力軸とが相対回転する。従って、直線往復動作付与機構は、回転動作を行っている出力部材に軸線方向の直線往復動作を付与する。よって、回転する出力部材に軸線方向の直線往復動作を発生させるために、外輪部材を工作機械の側に固定する必要がない。従って、工作機械の側に工具ホルダを固定する固定構造を設けるなどの改造を行わずに、工具に回転動作および直線
往復動作を同時に行わせることができる。
本発明において、前記直線往復動作付与機構は、第1磁石ユニットと、前記軸線方向で前記第1磁石ユニットに対向する第2磁石ユニットと、を備え、前記第1磁石ユニットは、前記入力軸に固定され、前記第2磁石ユニットは、前記出力部材に固定され、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとが相対回転すると、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとの間に前記軸線方向の引力が作用する第1状態と、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとの間に前記軸線方向の斥力が作用する第2状態とが交互に発生するものとすることができる。このようにすれば、相対回転する第1磁石ユニットと第2磁石ユニットとの間に発生する引力と斥力とによって、工具が接続される出力軸を往復直動させることができる。また、このようにすれば、入力軸および第1磁石ユニットと、出力軸および第2磁石ユニットとの間を機械的に接続する必要がないので、斥力が作用しているときに、出力軸を入力軸の側に移動させることができる。すなわち、工具ホルダは、工具がヘッドから離間する方向に移動しているときに、工具をヘッドの側に移動可能に支持する。
次に、本発明の別の形態の表面テクスチャリング方法は、工作機械のヘッドと工具との間に、前記ヘッドの回転を当該ヘッドの回転中心線方向の直線往復動作および前記回転中心線回りの回転動作に変換して前記工具に伝達する工具ホルダを介在させ、前記工具として、線状砥材の束と、前記束を保持する砥材ホルダと、を有するブラシ状砥石を用い、前記線状砥材は、無機長繊維の集合糸と樹脂の複合材であり、前記回転中心線と交差する方向に撓む弾性を備え、前記工作機械を駆動して前記ヘッドを回転させるとともに前記ヘッドとワークとを前記回転中心線と交差する方向に相対移動させ、前記回転動作によって前記工具を前記回転中心線回りに回転させながら、前記直線往復動作により前記工具を前記回転中心線方向からワークの表面に断続的に接触させて、前記ワークにブラスト加工を施すことを特徴とする。
本発明の表面テクスチャリング方法によれば、工具としてワークの表面研磨に用いるブラシ状砥石を用いて、ワークの表面にブラスト加工を施すことができる。ここで、従来は、ワークの表面にブラスト加工を施す際に、加工を施す領域の外側をマスキングして、サンドブラストなどのショットブラストを行っていた。これに対して、ブラシ状砥石を用いてブラスト加工を行えば、ワークの表面の所望の領域のみにブラスト加工を施すことができるので、マスキングの作業が不要となる。また、工具としてブラシ状砥石を用いた場合には、切削工具や研磨工具を接続してワークに加工を施す工作機械をそのまま利用してワークの表面にブラスト加工を施すことができる。従って、ワークに対する複数の加工工程を、一か所で、連続して行うことができる。
ここで、工具として用いられるブラシ状砥石は、線状砥材が弾性を備える。従って、工具を回転中心線方向からワークに接触させたときに、線状砥材に過度な負荷がかかる場合には、線状砥材が撓む。よって、線状砥材がワークに断続的に接触する際に、線状砥材が破損することを抑制できる。この一方で、線状砥材が撓むと、線状砥材による切削力が低下して、ワークに所望のブラスト加工を施すことができなくなるという問題がある。このような問題に対して、本発明では、線状砥材が無機長繊維の集合糸と樹脂の複合材からなるので、線状砥材による切削力を確保できる。よって、ブラシ状砥石によってワークに所望のブラスト加工を施すことができる。
なお、ワークの表面が回転中心線と平行に延びる表面部分を備えている場合には、この表面部分の加工に、本発明の表面テクスチャリング方法を適用することはできない。また、ドリルなどの工具によってワークに回転中心線方向に窪む穴が設けられている場合には、回転中心線方向に延びる穴の内周面の加工に、本発明の表面テクスチャリング方法を適
用することはできない。言い替えれば、本発明の表面テクスチャリング方法に、回転中心線と平行に伸びるワークの表面部分に対する研磨等の加工は含まれない。回転中心線と平行に伸びるワークの表面部分に対する加工では、工具をヘッドの回転中心線方向から断続的にワークに接触させることが不可能だからである。ただし、ワークの表面部分が、回転中心線に対して僅かでも傾斜する傾斜面やテーパー面である場合には、本発明の表面テクスチャリング方法により加工を施すことができる。この場合には、工具をヘッドの回転中心線方向から断続的にワークに接触させることができるからである。また、本発明の表面テクスチャリング方法では工具を断続的にワークに接触させるので、工具が1ストロークの直線往復移動をする間に、工具は必ずワークの表面から離間する。言い換えれば、本発明の表面テクスチャリング方法に、工具が常にワークに接触した状態にある研磨加工は含まれない。例えば、光学素子の表面研磨のように、工具が常にワークに接触した状態で上下方向に振動して研磨を行う研磨方法は、本発明の表面テクスチャリング方法には含まれない。
本発明において、前記工具ホルダは、前記工具が前記ヘッドから離間する方向に移動しているときに、前記工具を前記ヘッドの側に移動可能に支持するものとすることができる。
このようにすれば、ブラシ状砥石に対してワークの側から過度な負荷がかかった場合に、ブラシ状砥石を回転軸線方向でヘッドの側に移動させることができる。従って、ブラシ状砥石の線状砥材がワークとの衝突によって破損することを防止或いは抑制できる。また、ブラシ状砥石がワークの表面に衝突したときに、ワークの表面に必要以上の加工を施してしまうことを防止或いは抑制できる。
本発明の表面テクスチャリング方法によれば、金型のキャビティ内のリブの側面に表面テクスチャリングを施すことができる。
本発明の表面テクスチャリング方法のフローチャートである。 工作機械と工具との間に工具ホルダを介在させた状態の説明図である。 表面テクスチャリング方法に使用可能な工具の説明図である。 ブラシ状砥石によりワークに表面テクスチャを施した場合の写真である。 軸付き砥石により金型のリブに表面テクスチャを施す場合の説明図である。 軸付き球形工具によりワークに表面テクスチャを施す場合の説明図である。 工具ホルダをワークホルダとしたバレル研磨方法のフローチャートである。 変形例の表面テクスチャリング方法のフローチャートである。 変形例のバレル研磨方法のフローチャートである。 図2のA−A断面図である。 図2のB−B断面図である。 第2外輪部材の斜視図である。 フラップが閉じた状態の工具ホルダの横断面図である。 フラップが開いた状態の工具ホルダの横断面図である。 直線往復動作付与機構の分解斜視図である。 磁石ユニットにおける磁極の配置を示す説明図である。 出力部材が第2方向に移動した状態の工具ホルダの断面図である。 実施例2の工具ホルダの断面図である。 実施例2の直線往復動作付与機構の斜視図である。 実施例2の第2外輪部材の斜視図である。 実施例3の工具ホルダの断面図である。 実施例3の直線往復動作付与機構の斜視図である。 実施例4の工具ホルダの斜視図である。 実施例4の工具ホルダの断面図である。
以下に、図面を参照して、本発明を適用した表面テクスチャリング方法を説明する。
図1は、本発明を適用した表面テクスチャリング方法のフローチャートである。図2は、工作機械のヘッドと工具との間に工具ホルダを介在させた状態の説明図である。図3は、工具ホルダに保持させる工具の説明図である。
ワークの表面を加工する表面テクスチャリング方法では、マシニングセンタなどの工作機械のヘッド100に工具15を接続し、工作機械を駆動してヘッド100を回転中心線L0回りに回転させるとともに、ヘッド100を回転中心線L0と交差する交差方向Dに移動させながら工具15をワークWに接触させる。
本例では、図1、図2に示すように、ワークWに表面テクスチャリングを施すのに際して、まず、工作機械のヘッド100と工具15との間に、ヘッド100の回転を回転中心線L0回りの回転動作および回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する工具ホルダ1を介在させる(ステップST1)。すなわち、図2に示すように、工具ホルダ1の入力軸2を工作機械のヘッド100に接続し、工具15を工具ホルダ1の出力部材4の工具保持部11に保持させる。
次に、工作機械を駆動してヘッド100を所定の回転方向Rに回転させるとともに、ヘッド100を交差方向Dに移動させる。これにより、回転中心線L0回りに回転する工具15を、直線往復動作によって、回転中心線L0方向から連続的、または断続的にワークWに接触させる(ステップST2)。交差方向Dは、ワークWの表面に沿った方向である。なお、ヘッド100とワークWとは交差方向Dに相対移動させればよく、ワークWの側を交差方向Dに移動させてもよい。
本例の表面テクスチャリング方法では、工具15をヘッド100の回転中心線L0方向からワークWに接触させる。従って、ワークWの表面が回転中心線L0と平行に延びる表面部分を備えている場合には、この表面部分の加工に、本例の表面テクスチャリング方法を適用することはできない。また、ドリルなどの工具によってワークWに回転中心線L0方向に窪む穴が設けられている場合には、回転中心線L0方向に延びる穴の内周面の加工に、本例の表面テクスチャリング方法を適用することはできない。言い替えれば、本例の表面テクスチャリング方法に、回転中心線L0と平行に伸びるワークの表面部分に対する研磨などの加工は含まれない。回転中心線と平行に伸びるワークWの壁面に対する加工では、工具15をヘッド100の回転中心線L0方向からワークWに接触させることが不可能だからである。ただし、ワークWの表面部分が、回転中心線L0に対して僅かでも傾斜している場合には、本例の表面テクスチャリング方法を適用できる。この場合には、工具15をヘッド100の回転中心線L0方向から断続的にワークWに接触させることができるからである。
ここで、本例の表面テクスチャリング方法には、工具15を連続的にワークWに接触させる第1方法と、工具15を断続的にワークWに接触させる第2方法と、が含まれる。
工具15を連続的にワークWに接触させる第1方法では、工具15が1ストロークの直線往復動作を行う間に、工具15とワークWの表面とは、接触した状態に維持される。より具体的には、工具ホルダ1に保持された工具15は、直線往復動作によって、回転中心
線L0方向でヘッド100に近い接近位置と、接近位置よりもヘッド100から離間する離間位置との間を直動する。従って、工具15は、1ストロークの直線往復動作において、接近位置から離間位置に移動した後に、離間位置から接近位置に戻る。ここで、第1方法では、工具15は、接近位置おいても、離間位置においても、ワークWに接触している。
一方、工具15を断続的にワークWに接触させる第2方法では、工具15が1ストロークの直線往復動作を行う間に、工具15がワークWの表面から離間する。すなわち、第2方法では、工具15は、離間位置においてワークWに接触するが、接近位置ではワークWから回転中心線L0方向に離間する。従って、第2方法には、工具15が常にワークWに接触した状態にあり、ワークWの表面上で工具15が振動してワークWを研磨する加工方法は含まれない。例えば、レンズやミラーなどの光学素子の表面研磨のように、工具が常にワークWに接触した状態で上下方向に振動して研磨を行う研磨方法は、第2方法には含まれない。すなわち、レンズやミラーなどの光学素子の表面に対する研磨は、第2方法には含まれないということもできる。また、加工速度や加工精度の向上、工具15の寿命の増大などの効果を得るために、工具15とワークWとを接触させた状態で工具15に回転中心線L0方向の振動を付与する加工方法も第2方法には含まれない。
第1方法によれば、工作機械のヘッド100と工具15との間に工具ホルダ1が介在する。また、工具ホルダ1は、ヘッド100の回転を回転中心線L0回りの回転動作および回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する。従って、工具15は、ヘッド100の回転中心線L0回りに回転しながら交差方向Dに移動してワークWの表面に接触するだけではなく、回転中心線L0と一致する工具ホルダ1の軸線方向Xに往復直線移動しながらワークWの表面に連続的に接触する。よって、工具15が回転する回転速度、工具15が直線往復動作するサイクルおよびストロークなどを設定することにより、ワークWの表面に態様な表面テクスチャリングを施すことができる。
第2方法によれば、工作機械のヘッド100と工具15との間に工具ホルダ1が介在する。また、工具ホルダ1は、ヘッド100の回転を回転中心線L0回りの回転動作および回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する。従って、工具15は、ヘッド100の回転中心線L0回りに回転しながら交差方向Dに移動してワークWの表面に接触するだけではなく、回転中心線L0と一致する工具ホルダ1の軸線方向Xに往復直線移動しながらワークWの表面に断続的に接触する。よって、工具15が回転する回転速度、工具15が直線往復動作するサイクルおよびストローク、工具15がワークWに向かって接近してワークWの表面に衝突する打撃力などを設定することにより、回転する工具15がワークWの表面に接した状態で加工を行う場合と比較して、ワークWの表面に態様な表面テクスチャリングを施すことができる。
ここで、工具ホルダ1には、図3に示す各種の工具15を装着可能である。例えば、工具15として、線状砥材151の束と、線状砥材151の束を保持する砥材ホルダ152と、を備えるブラシ状砥石15(1)を用いることができる。この場合、線状砥材151は、無機長繊維の集合糸と樹脂との複合材とすることができる。すなわち、線状砥材151は、無機長繊維の集合糸に樹脂を含浸、硬化させてなる。無機長繊維としては、アルミナ繊維の他、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、あるいはガラス繊維などを用いることができる。本例では、無機長繊維は、アルミナ繊維である。線状砥材151は、回転中心線L0と交差する方向に撓む弾性を備える
ブラシ状砥石15(1)を用いた場合には、第2方法を採用する。すなわち、工具15を断続的にワークWに接触させる。これにより、ワークWの表面に、表面テクスチャとして、ブラスト加工、プラトー加工、或いは、接着面アンカー加工を施すことが可能である
。図4は、工具ホルダ1にブラシ状砥石15(1)を用いてワークWに表面テクスチャを施した場合の写真である。上段はワークWの表面の全体写真であり、下段はワークWの表面の領域Aを拡大した部分拡大写真である。写真中の一点鎖線よりも左側が、ワークWに表面テクスチャを施す前の状態であり、一点鎖線よりも右側がワークWに表面テクスチャを施した後の状態である。図4に示すように、本例の表面テクスチャ方法によれば、通常はワークWの表面を研磨して滑らかに仕上げる用途で用いられるブラシ状砥石15(1)によってワークWの表面にブラスト加工を施すことができる。
ここで、ワークWの表面にブラスト加工を施す場合に、従来は、加工を施す領域の外側をマスキングして、サンドブラストなどのショットブラストを行う。これに対して、工作機械のヘッド100に工具ホルダ1を介して接続したブラシ状砥石15(1)を用いてブラスト加工を行えば、マスキング作業が不要であり、ワークWの表面の所望の領域のみにブラスト加工を施すことが可能となる。また、工作機械のヘッド100の移動を制御することによってブラシ状砥石15(1)をワークWの表面に沿って移動させることができるので、ワークWの表面の曲面形状などに沿ったブラスト加工を施すことが容易となる。
さらに、工具15としてブラシ状砥石15(1)を用いた場合には、切削工具や研磨工具を接続してワークWに加工を施す工作機械をそのまま利用してワークWの表面にブラスト加工を施すことができる。従って、ワークWに対する複数の加工工程を、一か所で、連続して行うことができる。
また、工具15がブラシ状砥石15(1)であれば、工具15を軸線方向Xに往復直線移動させながらワークWに断続的に接触させたときに、線状砥材151が撓む。従って、線状砥材151が、過度に、ワークWの表面を切削することを防止或いは抑制できる。また、線状砥材151が弾性を備えるので、工具15をワークWに接触させたときに線状砥材151に過度な負荷がかかる場合には、線状砥材151が撓む。従って、線状砥材151がワークWに断続的に衝突する際に、線状砥材151が破損することを抑制できる。さらに、無機長繊維の集合糸と樹脂との複合材である線状砥材151は、切削力が高い。従って、ブラシ状砥石15(1)が無機長繊維の集合糸を有する線状砥材151の束を備えていれば、線状砥材151が弾性を備える場合でも、ワークWに表面テクスチャを施しやすい。
次に、図3に示すように、工具15として、ロータリーバー15(2)を用いることができる。ロータリーバー15(2)を用いた場合には、第2方法を採用して、工具15を断続的にワークWの表面に接触させる。ロータリーバー15(2)は、例えば、超硬合金製、ハイス鋼製である。本例の表面テクスチャ方法によれば、ロータリーバー15(2)により、研削、切削のみならず、バリ取り、加飾、刻印形成などの表面テクスチャを施すことができる。また、工作機械のヘッド100の移動を制御することによってロータリーバー15(2)をワークWの表面に沿って移動させることができるので、ワークWの表面の曲面形状などに沿った加飾や刻印形成が可能である。
さらに、工具15として、軸付き砥石15(3)、または軸付き砥石15(4)を用いることができる。工具15として、軸付き砥石15(3)、または軸付き砥石15(4)を用いた場合には、第1方法を採用する。すなわち、軸付き砥石15(3)、または軸付き砥石15(4)を連続的にワークWの表面に接触させる。
軸付き砥石15(3)は、砥石153と、工具ホルダ1に保持されるシャンク部154と、シャンク部154の軸線方向に延びて砥石153とシャンク部154とを接続する棒状のネック部155とを備える。砥石153は、シャンク部154の軸線を中心とする回転体である。ネック部155の径寸法は、砥石153の径寸法よりも短い。砥石153は
、天然砥石、ダイヤモンド砥石、CBN砥石、セラミック砥石などである。軸付き砥石15(3)では、砥石153の形状が円柱形状である。ネック部155は、シャンク部154の軸線と交差する方向に撓む弾性を備える。軸付き砥石15(4)では、砥石153の形状が球形状である。ネック部155は、シャンク部154の軸線と交差する方向に撓む弾性を備える。
本例において、ワークWは、樹脂成型などに用いられる金型である。図5は、金型のリブの側面を軸付き砥石15(3)によって研磨する表面テクスチャ方法の説明図である。軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)を用いた表面テクスチャ方法では、図5に示すように、ワークW(金型)のキャビティV内に形成されたリブGの側面を、キャビティVの開口側から研磨できる。すなわち、キャビティV内のリブGの側面には、成形品を金型から取り出すために、キャビティVの開口側に向かってリブが先細りとなる方向に傾斜する勾配が設けられている。このような勾配は、抜き勾配と言われており、ヘッド100の回転中心線L0を含む仮想面に対して、0.5°から2°傾斜する。従って、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)をキャビティVの開口側からキャビティV内に挿入したときに、これらの砥石153をリブGの側面に接触させることができる。よって、ワークW(金型)のリブGの側面を研磨できる。
本例では、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)は、直線往復動作中に、ネック部155が軸線方向X(回転中心線L0方向)と交差する方向に撓んだ状態となる。また、本例では、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)の砥石153は、リブGの側面に研磨目Hを形成する。研磨目Hは、リブGの基部側から先端側に向かってリブGの高さ方向に延びる研磨痕である。
ここで、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)を回転中心線L0方向から金型のリブGの側面に接触させて表面テクスチャリングを施す際に、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)が剛性のネック部155を備える場合には、砥石153が金型のリブGの側面でスタックする場合がある。砥石153がスタックした場合には、砥石153の破損、ネック部155の破損、ネック部155の折れ曲がり、などが発生する可能性がある。また、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)が剛性のネック部155を備える場合には、砥石153が金型のキャビティVの底に衝突したときに、砥石153の破損、ネック部155の破損、ネック部155の折れ曲がり、などが発生する可能性がある。
このような問題に対して、本例では、工具15として用いる軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)のネック部155が弾性を備える。従って、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)を回転中心線L0方向から金型のリブGの側面に接触させたときに金型の側から軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)に負荷がかかる場合には、ネック部155が撓んで、砥石153が金型のリブGの側面に沿って移動する。よって、砥石153がリブGの側面でスタックすることを防止或いは抑制できる。また、仮に、砥石153がスタックした場合でも、ネック部155が撓むことによって金型の側から軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)にかかる負荷を逃がすことができる。よって、例えば、砥石153が金型のキャビティVの底に衝突した場合でも、砥石153の破損、ネック部155の破損、ネック部155の折れ曲がり、などの発生を抑制することができる。従って、砥石153により、リブGの基部まで、表面テクスチャリングを施すことができる。
また、工具15として用いる軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)のネック部155が弾性を備えるので、リブGの側面を、金型のリブGの成形の精度に準じた精度で研磨できる。例えば、表面テクスチャリングの途中で軸付き砥石15(3)または軸
付き砥石15(4)の砥石153とリブGの側面とが接触する位置関係の精度が低下した場合には、ネック部155の撓み量が変化する。これにより、砥石153がリブGの側面の勾配に追随して適切な位置に移動するので、リブGの成形の精度に準じた精度でリブGの側面を研磨できる。
ここで、工具15として弾性を備えるネック部155を有する軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)を用いた場合には、金型の側からかかる負荷によって砥石153が逃げやすくなるので、砥石153による切削力が低下して、リブGの側面に所望の加工を施すことができなくなる可能性がある。これに対して、本例では、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)は、直線往復動作中に、ネック部155が軸線方向X(回転中心線L0方向)と交差する方向に撓んだ状態となる。従って、ネック部155の弾性復帰力により、砥石153がリブGの側面に押し付けられる。よって、砥石153がリブGの側面に接触しているときに、所望の研磨力を発揮させることができる。
また、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)を用いた表面テクスチャ方法によれば、砥石153をキャビティV内のリブGの側面に軸線方向Xから接触させることができるので、リブGの側面に、軸線方向Xと交差する方向の切削痕や切削後のうねりがある場合に、これらの切削痕やうねりを除去できる。
さらに、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)を用いた表面テクスチャ方法では、リブGの側面に、リブGの高さ方向に延びる研磨目Hを形成する。このような研磨目Hがリブの側面に設けられていれば、成形品を金型から取り外す際の、離型性が向上する。
また、本例においても、工作機械のヘッド100の移動を制御することにより、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)をリブGの側面の幅方向(軸線方向Xと交差する方向)に移動させることができる。従って、表面テクスチャリングとして、リブGの側面の曲面形状などに沿って、リブGの側面の高さ方向に延びる研磨目Hを形成できる。また、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)をリブGの側面の幅方向に移動させときに、リブGの側面から砥石153に負荷がかかった場合でも、ネック部155が撓むので、砥石153が破損することを防止或いは抑制できる。
なお、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)を用いた場合に、第2方法を採用することもできる。すなわち、軸付き砥石15(3)、または軸付き砥石15(4)を金型のリブGの側面に断続的に接触させてもよい。ここで、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)がリブGの側面に断続的に接触すれば、砥石153とリブGの側面とを衝突せることができる。従って、衝突時に、砥石153の切削力や研削力を発揮させることができる。従って、リブGの側面に研磨目Hなどを設けることが容易となる。
また、軸付き砥石15(3)または軸付き砥石15(4)を用いた表面テクスチャ方法では、リブGの側面に研磨目Hを形成せず、リブGの側面を滑らかな面に研磨してもよい。
次に、図3に示すように、工具15として、軸付き球形工具15(5)を用いることができる。工具15として、軸付き球形工具15(5)を用いた場合には、第2方法を採用し、工具15をワークWに断続的に接触させる。図6は、軸付き球形工具によりワークに表面テクスチャを施す場合の説明図である。軸付き球形工具15(5)は、球形部分156と、球形部分156から突出する軸部分157と、を備える。軸部分157は、工具ホルダ1に保持される。球形部分156は、セラミック製、超硬合金製、銅製、ガラス製、または樹脂製である。
軸付き球形工具15(5)を用いた表面テクスチャ方法によれば、図6に示すように、ワークWの表面に、ディンプル加工、ピーニング加工などを施すことができる。すなわち、軸付き球形工具15(5)を用いた場合には、軸付き球形工具15(5)が回転する回転速度、軸付き球形工具15(5)が直線往復動作するサイクルおよびストローク、軸付き球形工具15(5)がワークWに向かって接近してワークWの表面に衝突する打撃力などを設定することにより、ワークWの表面に複数の窪みC(ディンプル)を連続して形成できる。
ここで、従来は、ワークWの表面にディンプル加工やピーニング加工を施す場合に、加工を施す領域の外側をマスキングして、ショットブラストを行う。これに対して、工作機械のヘッド100に工具ホルダ1を介して接続した軸付き球形工具15(5)を用いてディンプル加工やピーニング加工を行えば、マスキング作業が不要であり、ワークWの表面の所望の領域のみにディンプル加工やピーニング加工を施すことが可能となる。また、工作機械のヘッド100の移動を制御することによって軸付き球形工具15(5)をワークWの表面に沿って移動させることができるので、ワークWの表面の曲面形状などに沿ったディンプル加工やピーニング加工を施すことができる。
さらに、軸付き球形工具15(5)を用いた場合には、切削工具や研磨工具を接続してワークWに加工を施す工作機械をそのまま利用してワークWの表面にディンプル加工やピーニング加工を施すことができる。従って、ワークに対する複数の加工工程を、一か所で、連続して行うことができる。
また、軸付き球形工具15(5)を用いた場合には、ディンプル加工やピーニング加工によってワークWの表面に形成した凹部の内側面に、回転模様を施すことが可能である。
次に、図3に示すように、工具15として、軸付き電着砥石15(6)を用いることができる。工具15として、軸付き電着砥石15(6)を用いた場合には、第2方法を採用し、工具15をワークWに断続的に接触させる。軸付き電着砥石15(6)は、砥石153と、工具ホルダ1に保持されるシャンク部154と、シャンク部154の軸線方向に延びて砥石153とシャンク部154とを接続する棒状のネック部155とを備える。本例では、ネック部155は回転中心線L0と交差する方向に撓む弾性を備えていない。しかし、ネック部155は回転中心線L0と交差する方向に撓む弾性を備えていてもよい。
軸付き電着砥石15(6)は、シャンク部154の軸線を中心とする回転体である。ネック部155の径寸法は、例えば、砥石153の径寸法と以下とすることができる。軸付き電着砥石15(6)では、砥石153の形状が円柱形状である。本例の表面テクスチャ方法によれば、軸付き電着砥石15(6)により、研削、切削のみならず、バリ取り、加飾、刻印形成などの表面テクスチャを施すことができる。また、砥石153として電着砥石を用いれば、天然砥石、ダイヤモンド砥石、CBN砥石、あるいはセラミック砥石などを用いた場合と比較して、小さな砥石を備えることが容易である。従って、ワークWの表面に点描による加飾などを施すこともできる。さらに、工作機械のヘッド100の移動を制御することによって軸付き電着砥石15(6)をワークWの表面に沿って移動させることができるので、ワークWの表面の曲面形状などに沿った加飾を施すことができる。
また、工具15として、バフ工具15(7)を用いることができる。工具15として、バフ工具15(7)を用いた場合には、第2方法を採用し、工具15をワークWに断続的に接触させる。バフ工具15(7)は、フェルト製、布製、皮製などのバフ158と、バフ158と同軸の棒状のネック部159と、を備える。ネック部159は、その軸線と交差する方向に弾性変形可能である。バフ工具15(7)を用いた表面テクスチャ方法によ
れば、バフ工具15(7)により、ワークWの表面に、磨き研磨、鏡面研磨、バリ取りなどを施すことができる。
さらに、工具15として、弾性を備える棒状のスティック砥石15(8)を用いることができる。工具15として、スティック砥石15(8)を用いた場合には、第1方法を採用し、工具15をワークWに連続的に接触させる。
スティック砥石15(8)は、無機長繊維の集合糸を備える線状砥材151の砥材束と砥材束に含侵する樹脂とを備える。線状砥材151は、無機長繊維の集合糸に樹脂を含浸、硬化させてなるものである。スティック砥石15(8)は、複数の線状砥材151を並列に配置して束ねた砥材束に、樹脂を含浸、硬化させてなるものである。各線状砥材151は、軸線方向Xに延びている。ここで、スティック砥石15(8)は、円柱形状である。また、スティック砥石15(8)は、回転中心線L0と交差する方向に撓む弾性を備える。
スティック砥石15(8)が円柱形状を備える場合には、工具ホルダによってスティック砥石を回転中心線回りに回転させながら、直線往復移動させる。なお、スティック砥石15(8)として、四角柱形状のものを採用することもできる。スティック砥石15(8)が四角柱形状である場合には、工具ホルダ1によってスティック砥石15(8)を回転中心線L0回りに回転させずに、直線往復移動させる。スティック砥石15(8)を回転中心線L0回りに回転させずに、直線往復移動させる場合の表面テクスチャリング方法は、変形例の表面テクスチャリング方法として、後述する。
工具としてスティック砥石15(8)を用いた場合には、図5に示す軸付き砥石15(3)と同様に、ワークW(金型)のキャビティV内に形成されたリブGの側面に表面テクスチャリングを施すことができる。
また、本例では、スティック砥石15(8)は、直線往復動作中に、軸線方向X(回転中心線L0方向)と交差する方向に撓んだ状態となる。さらに、本例では、図5に示す場合と同様に、スティック砥石15(8)は、リブGの側面に研磨目Hを形成する。研磨目は、リブGの基部側から先端側に向かってリブGの高さ方向に延びる研磨痕である。
ここで、スティック砥石15(8)を回転中心線L0方向から金型のリブGの側面に接触させて表面テクスチャリングを施す際に、スティック砥石15(8)が剛体である場合には、砥石153が金型のリブGの側面でスタックする場合がある。砥石153がスタックした場合には、スティック砥石15(8)に破損や折れ曲がりなどが発生する可能性がある。
このような問題に対して、本例では、工具15として用いるスティック砥石15(8)が弾性を備える。従って、スティック砥石15(8)を回転中心線L0方向から金型のリブGの側面に接触させたときに金型の側から負荷がかかる場合には、スティック砥石15(8)が撓んで、金型のリブGの側面に沿う。よって、スティック砥石15(8)がリブGの側面でスタックすることを防止或いは抑制できる。また、仮に、スティック砥石15(8)がスタックした場合でも、撓むことによって金型の側からスティック砥石15(8)にかかる負荷を逃がすことができるので、スティック砥石15(8)の破損や折れ曲がりなどの発生を抑制することができる。よって、例えば、スティック砥石15(8)が金型のキャビティVの底に衝突した場合でも、スティック砥石15(8)の破損や折れ曲がりなどの発生を抑制することができる。従って、スティック砥石15(8)により、リブGの基部まで、表面テクスチャリングを施すことができる。
さらに、工具15として用いるスティック砥石15(8)が弾性を備えるので、金型のリブGの側面を、リブGの成形の精度に準じた精度で、研磨できる。例えば、表面テクスチャリングの途中でスティック砥石15(8)とリブGの側面とが接触する位置関係の精度が低下した場合には、スティック砥石15(8)の撓み量が変化する。これにより、スティック砥石15(8)は、リブGの側面の勾配に追随して変形するので、リブGの成形の精度に準じた精度でリブGの側面を研磨できる。
ここで、工具15として弾性を備えるスティック砥石15(8)を用いた場合には、金型の側からかかる負荷によって砥石153が逃げやすくなるので、切削力が低下して、リブGの側面に所望の加工を施すことができなくなる可能性がある。これに対して、本例では、スティック砥石15(8)は、直線往復動作中に、軸線方向X(回転中心線L0方向)と交差する方向に撓んだ状態となる。従って、スティック砥石15(8)は、自己の弾性復帰力により、リブGの側面に押し付けられる。よって、スティック砥石15(8)がリブGの側面に接触しているときに、所望の研磨力を発揮させることができる。
さらに、スティック砥石15(8)を用いた表面テクスチャ方法によれば、スティック砥石15(8)をキャビティV内のリブGの側面に軸線方向Xから接触させることができるので、リブGの側面に、軸線方向Xと交差する方向の切削痕や切削後のうねりがある場合に、これらの切削痕やうねりを除去できる。
また、本例においても、工作機械のヘッド100の移動を制御することにより、スティック砥石15(8)をリブGの側面の幅方向(軸線方向Xと交差する方向)に移動させることができる。従って、表面テクスチャリングとして、リブGの側面の曲面形状などに沿って、リブGの側面の高さ方向に延びる研磨目Hを形成できる。また、スティック砥石15(8)をリブGの側面の幅方向に移動させときにリブGの側面から負荷がかかった場合でも、スティック砥石15(8)が撓むので、当該スティック砥石15(8)が破損することを防止或いは抑制できる。
なお、スティック砥石15(8)を用いた場合に、第2方法を採用することもできる。すなわち、スティック砥石15(8)を金型のリブGの側面に断続的に接触させてもよい。ここで、スティック砥石15(8)がリブGの側面に断続的に接触すれば、スティック砥石15(8)とリブGの側面とを衝突せることができる。従って、衝突時に、スティック砥石15(8)の切削力や研削力を発揮させることができる。従って、リブGの側面に研磨目Hなどを設けることが容易となる。
また、スティック砥石15(8)を用いた表面テクスチャ方法では、リブGの側面に研磨目Hを形成せず、リブGの側面を滑らかな面に研磨してもよい。
ここで、工具ホルダ1は、工作機械のヘッド100にワークを接続し、工作機械を駆動してヘッド100を回転中心線回りに回転させるとともにヘッド100を回転中心線と交差する交差方向Dに移動させながらワークをバレル研磨材に埋没させるバレル研磨方法に用いることができる。
図7は、本発明を適用したバレル研磨方法のフローチャートである。バレル研磨を行う場合には、工具ホルダ1は、ワークBを保持するワークホルダとなる。ワークBは、例えば、図3に示すボーンスクリューである。
本例のバレル研磨方法では、図7に示すように、ワークBにバレル研磨を施すのに際して、工具ホルダ1をワークホルダとして用い、ヘッド100とワークBとの間に、ワークホルダ1を介在させる(ステップST21)。すなわち、ワークBを、ワークホルダ1を
介して、工作機械のヘッド100に接続する。次に、工作機械を駆動してヘッド100を所定の回転方向Rに回転させるとともに、ヘッド100を交差方向Dに移動させながら、ワークBをバレル研磨材に埋没させる(ステップST22)。
本例のバレル研磨方法によれば、工作機械のヘッド100とワークBとの間にワークホルダ(工具ホルダ1)が介在する。また、ワークホルダ1は、ヘッド100の回転を回転中心線L0回りの回転動作および回転中心線L0方向の直線往復動作に変換してワークBに伝達する。従って、ワークBは、ヘッド100の回転中心線L0回りに回転しながら当該回転中心線L0と交差する交差方向Dに移動してバレル研磨材に接触するだけではなく、回転中心線L0と一致する軸線方向Xに往復直線移動しながらバレル研磨材に接触する。よって、ワークBの表面の研磨が容易であり、ワークBの表面の研磨を高速に行うことができる。
(表面テクスチャリング方法の変形例およびバレル研磨方法の変形例)
図8は、変形例の表面テクスチャリング方法のフローチャートである。図9は、変形例のバレル研磨方法のフローチャートである。変形例の表面テクスチャリング方法では、工具ホルダ1として、ヘッド100の回転を回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達するものを用いる。変形例のバレル研磨方法では、ヘッド100の回転を回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する工具ホルダ1をワークホルダとして用いる。
すなわち、変形例の表面テクスチャリング方法では、図8に示すように、工作機械のヘッド100と工具15との間に、ヘッド100の回転を当該ヘッド100の回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する工具ホルダ1を介在させる(ステップST31)。次に、工作機械を駆動してヘッド100を所定の回転方向Rに回転させるとともに、ヘッド100を交差方向Dに移動させ、直線往復動作によって回転中心線L0方向から連続的、または断続的にワークWに接触させる(ステップST32)。
工具ホルダ1には、工具15として、工具15(1)〜(8)を接続する。変形例の表面テクスチャリング方法では、工具15は、へッド100の回転中心線L0方向からワークWの表面に接触する。また、工作機械のヘッド100の移動を制御することによって工具15をワークWの表面に沿って移動させることができるので、ワークWの表面の曲面形状などに沿った表面テクスチャを施すことができる。
また、本例では、ワークWの表面に工具15が接触する際に、工具15が回転していない。従って、工具15の先端の形状を利用して、ワークWの表面に、円形ではない、任意の形状のディンプルを形成することが可能となる。
変形例のバレル研磨方法では、図9に示すように、ヘッド100の回転を当該ヘッド100の回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する工具ホルダ1をワークホルダとして用いる。そして、ヘッド100とワークBとの間に、ワークホルダ1を介在させる(ステップST41)。すなわち、ワークBを、ワークホルダ1を介して、工作機械のヘッド100に接続する。次に、工作機械を駆動してヘッド100を所定の回転方向Rに回転させるとともに、ヘッド100を交差方向Dに移動させながら、ワークBをバレル研磨材に埋没させる(ステップST42)
本例のバレル研磨方法によれば、ワークBは、ヘッド100の回転中心線L0と一致する軸線方向Xに往復直線移動しながら、回転中心線L0と交差する交差方向Dに移動して、バレル研磨材に接触する。よって、ワークBの表面の研磨が容易である。
(工具ホルダの例)
以下に、本例の表面テクスチャリング方法に用いることが可能な工具ホルダの実施例を4つ説明する。実施例1〜3の工具ホルダは、ヘッド100の回転を回転中心線L0回りの回転動作および回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する。実施例4の工具ホルダは、ヘッド100の回転を回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する。
[実施例1]
(全体構成)
図2は、実施例1の工具ホルダ1の外観斜視図である。工具ホルダ1は、入力軸2と、入力軸2に回転可能に支持された外輪部材3と、出力部材4と、外輪部材3に取り付けられたフラップ5と、を備える。外輪部材3は入力軸2を外周側から囲む円筒部34を備える。外輪部材3は、入力軸2と共回りする。出力部材4は、入力軸2と同軸に配置されている。出力部材4は、入力軸2の軸線Lに沿った軸線方向Xに移動可能な状態で外輪部材3に支持されている。出力部材4は、外輪部材3に対して回転不能とされており、外輪部材3と一体に回転する。出力部材4は、工具15が着脱可能に装着される工具保持部11を備える。フラップ5は、外輪部材3の外周側で径方向に開閉する。図2に示す状態では、フラップ5が放射状に開いている。
工具ホルダ1は、入力軸2が、マシニングセンタなどの工作機械のヘッド100に連結されて使用される。出力部材4の工具保持部11には、工具15が保持される。図2に示す例では、工具保持部11に、工具15として、ブラシ状砥石が保持されている。工具ホルダ1を介して、工具15がヘッド100に接続された状態では、ヘッド100の回転中心線L0と、入力軸2の軸線Lとは一致する。ワークWに加工を施す際には、工作機械を駆動して、ヘッド100を、回転中心線L0回りに回転させるとともに、当該回転中心線L0と交差する交差方向に移動させながら、工具15をワークWに接触させる。
以下の説明では、入力軸2の軸線Lに沿った軸線方向Xの一方側を第1方向X1、軸線方向Xの他方側を第2方向X2とする。第1方向X1は、出力部材4に対して入力軸2が位置する側であり、第2方向X2は、その反対側である。入力軸2は、外輪部材3から第1方向X1へ突出する。出力部材4の先端部分は、外輪部材3の第2方向X2の先端から突出する。出力部材4の先端部分には、工具保持部11が設けられている。
図10および図11は、実施例1の工具ホルダ1の断面図である。図10は、図2のA−A線で切断した断面図である。図11は、図2のB−B線で切断した断面図である。図12は、第2外輪部材を第1方向X1から見た場合の斜視図である。図10、図11に示すように、入力軸2は、外輪部材3から第2方向X2へ突出する第1軸部21と、外輪部材3の内側に配置される第2軸部22と、を備える。本例において、第2軸部22は、第1軸部21より小径である。外輪部材3は、開閉式のフラップ5が取り付けられた第1外輪部材31と、第1外輪部材31の第2方向X2の端部に固定される第2外輪部材32と、第1外輪部材31の第1方向X1の端部に固定される円板状の端板部材33と、を備える。
図10、図11に示すように、第1外輪部材31は、フラップ5の内周側で軸線方向Xに延びる円筒部34と、円筒部34の第2方向X2の端部から外周側へ拡がる円板部35を備える。入力軸2の第2軸部22は、円筒部34の第1方向X1の端部、および、円筒部34の第2方向X2の端部の内側に配置される軸受部6によって、外輪部材3に回転可能に支持される。本例において、軸受部6はボールベアリングである。入力軸2の第1軸部21は、端板部材33の中央に設けられた円形の開口部36を貫通して、開口部36から第1方向X1へ突出する。
図12に示すように、第2外輪部材32を第1方向X1の側から見た場合の輪郭形状は、円形である。図11に示すように、第2外輪部材32は、第1外輪部材31の円板部35に第2方向X2から当接する胴部37と、胴部37と同軸で胴部37よりも外径寸法が小さい小径胴部38と、胴部37と小径胴部38を接続するテーパー部39と、を備える。図12に示すように、胴部37は、第1方向X1の端面に、円形の凹部40を備える。凹部40は、胴部37と同軸に設けられている。従って、第2外輪部材32の第1方向X1の端部分は筒状である。図10に示すように、凹部40には、第1磁石ユニット81が収容される。第1磁石ユニット81の詳細は、後述する。
図12に示すように、凹部40の底面の中心には、胴部37、テーパー部39および小径胴部38を軸線方向Xに貫通する軸孔41が設けられている。軸孔41にはリニアブッシュ7が挿入されている。リニアブッシュ7は、軸孔41の内周面の第2方向X2の端部分に固定されている。リニアブッシュ7は、小径胴部38の径方向内側に位置する。
また、凹部40の底面には、軸孔41を間に挟んだ両側に、一対の円形凹部42が設けられている。軸線方向Xから見た場合に軸孔41と各円形凹部42とは径方向で部分的に重なっている。従って、軸孔41におけるリニアブッシュ7よりも第1方向X1の側の孔部分と一対の円形凹部42とは径方向で連通している。一対の円形凹部42の底面には、それぞれ円盤形状のストッパ部材43が配置されている。ここで、図10に示すように、軸孔41におけるリニアブッシュ7よりも第1方向X1の側の孔部分、および一対の円形凹部42には、第2磁石ユニット82が収容される。すなわち、軸孔41におけるリニアブッシュ7よりも第1方向X1の側の孔部分、および一対の円形凹部42は、第2磁石ユニット82を収容する第2磁石ユニット収容部44を構成する。第2磁石ユニット収容部44は、第2磁石ユニット82を軸線方向Xに移動可能な状態で受け入れる。第2磁石ユニット82の詳細は、後述する。
さらに、凹部42の底面には、軸孔41から、径方向の両側に延びる一対の溝部45が設けられている。各溝部45は、一対の円形凹部42が対向する方向と直交する方向に延びる。
図10に示すように、胴部37の第1方向X1の端部分は、円板部35にねじ止めされる。出力部材4は、第2外輪部材32の軸孔41、およびリニアブッシュ7を貫通して延びる。リニアブッシュ7は、出力部材4の軸線方向Xへの移動を許容し、軸線L回りの回転を規制する。従って、出力部材4は、軸線方向Xに移動可能、かつ、軸線L回りに回転不能な状態で第2外輪部材32に支持される。よって、入力軸2が回転して、外輪部材3が入力軸2と同一回転方向に共回りする際には、出力部材4は、リニアブッシュ7と共に、外輪部材3と一体に回転する。
ここで、工具ホルダ1は、外輪部材3が回転するときに、入力軸2の回転速度に対して外輪部材3の回転速度を低下させるブレーキ機構50を備える。また、工具ホルダ1は、外輪部材3の回転速度が入力軸2の回転速度よりも低下して入力軸2と出力部材4とが相対回転すると、外輪部材3と一緒に回転動作を行っている出力部材4に軸線方向Xの直線往復動作を付与する直線往復動作付与機構8を備える。
(ブレーキ機構)
図13は、フラップ5が閉じた状態の工具ホルダ1の横断面図である。図14は、フラップ5が開いた状態の工具ホルダ1の横断面図である。図13および図14は、図10のC−C位置で切断した場合の断面図である。
図2、図13、図14に示すように、ブレーキ機構50は、外輪部材3に取り付けられたフラップ5と、フラップ5を内周側へ付勢するフラップ付勢部材51と、を備える。フラップ5は、外輪部材3が回転しているときに回転方向と逆方向に作用する流体圧を受ける受圧部である。フラップ5が受ける流体圧とは、工具ホルダ1の周りに存在する空気の圧力である。フラップ付勢部材51は、フラップ5と第1外輪部材31との間に掛け渡されたコイルばねである。なお、フラップ付勢部材51は、本例の構成に限定されるものではない。例えば、フラップ5の軸部52にねじりコイルばねなどを取り付けて、フラップ5を閉方向へ付勢してもよい。
フラップ5は、図13に示す閉姿勢5Aと、図2および図14に示す開姿勢5Bと、に変化する。フラップ5は、軸線方向Xから見た場合の形状が円弧形状である。フラップ5は、周方向の一端に配置される軸部52を備える。軸部52の中心には軸孔53が形成されている。軸孔53には、支軸54が挿入される。支軸54は、第1方向X1の端部が端板部材33にねじ止めされ、第2方向X2の端部が第2外輪部材32の円板部35に係止されている。従って、フラップ5は軸部52を中心として揺動可能である。
ブレーキ機構50は、フラップ5が図13に示す閉姿勢5Aから図14に示す開姿勢5Bに変化するフラップ開動作と、フラップ5が図14に示す開姿勢5Bから図13に示す閉姿勢5Aに変化するフラップ開動作を行う。フラップ開動作は、外輪部材3が停止状態から回転状態に切り替わる際に、フラップ5に作用する遠心力により行われる。すなわち、遠心力がフラップ付勢部材51の付勢力よりも大きくなったときに、フラップ5が外周側へ揺動してフラップ開動作が行われる。フラップ閉動作は、前記外輪部材が回転状態から停止状態に切り替わる際に行われる。すなわち、外輪部材3の回転速度が低下して、遠心力よりフラップ付勢部材51の付勢力が大きくなったときに行われる。
ブレーキ機構50は、フラップ5に作用する流体圧により、外輪部材3の回転速度の増大を抑制する。すなわち、外輪部材3は入力軸2が回転を始めると入力軸2と共回りするが、遠心力によってフラップ5が開くと、フラップ5が受ける流体圧によって外輪部材3の回転速度の増大が抑制される。これにより、外輪部材3の回転速度が入力軸2の回転速度よりも低下するので、外輪部材3と入力軸2とは相対回転する。この結果、外輪部材3と一体に回転する出力部材4と入力軸2も相対回転する。
(直線往復動作付与機構)
図15は、直線往復動作付与機構8の分解斜視図である。直線往復動作付与機構8は、外輪部材3の内側に設けられている。図10、図11、図15に示すように、直線往復動作付与機構8は、入力軸2と一体に回転する第1磁石ユニット81と、第1磁石ユニット81に対して第2方向X2から対向する第2磁石ユニット82と、を備える。また、直線往復動作付与機構8は、図10、図11に示すように、第2磁石ユニット82を介して出力部材4を軸線方向Xに付勢する出力部材用付勢部材83、を備える。
第1磁石ユニット81は、入力軸2に固定されている。すなわち、第1磁石ユニット81は、入力軸2の第2方向X2の端部にねじ止めされた円形のディスク84と、ディスク84にねじ止めされた4個の座金85と、座金85を介してディスク84に固定された4個の第1磁石86と、を備える。第1磁石ユニット81は、第2外輪部材32の胴部37に設けられた凹部40に収容される。
第2磁石ユニット82は、出力部材4に固定されている。従って、第2磁石ユニット82は、出力部材4と一体に軸線回りに回転し、且つ、出力部材4と一体に軸線方向Xへ移動する。第2磁石ユニット82は、出力部材4の第1方向X1の端部に固定された第1レバー87と、第1レバー87の両端のそれぞれに、第1有頭ねじ90によって固定された
2個の座金88と、座金88を介して第1レバー87に固定された2個の第2磁石89と、を備える。第1レバー87は入力軸2と直交する方向に延びる。第1有頭ねじ90は、第1レバー87を第2方向X2から第1方向X1に貫通する。第1レバー87は、その中央部分を貫通する第2有頭ねじ93によって、出力部材4に相対回転不能に連結されている。第2有頭ねじ93は、第1レバー87を第1方向X1から第2方向X2に貫通する。第2磁石ユニット82は、第2外輪部材32の第2磁石ユニット収容部44に収容される。第2磁石ユニット82は、第2磁石ユニット収容部44に収容された状態で、出力部材4と一体に軸線方向Xに移動可能である。
図16(a)は、第1磁石ユニット81における磁極の配置を示す説明図である。図16(a)は、第1磁石ユニット81を第2方向X2から見た場合である。図16(b)は、第2磁石ユニット82における磁極の配置を示す説明図である。図16(b)は、第2磁石ユニット82を第1方向X1から見た場合である。第1磁石86および第2磁石89は、軸線方向Xに分極着磁されている。第1磁石ユニット81において、4個の第1磁石86は軸線L回りの等角度間隔で配置されており、第2磁石89と対向する側(第2方向X2)の磁極は、異なる磁極(N極とS極)が周方向に交互に並ぶ配置になっている。一方、第2磁石ユニット82において、2個の第2磁石89は軸線L回りの等角度間隔で配置されており、第1磁石86と対向する側(第1方向X1)の磁極は同一磁極になっている。例えば、第2磁石ユニット82において第1磁石86と対向する磁極は、両方ともN極であるか、もしくは、両方ともS極である。
外輪部材3と入力軸2との間に回転速度差が発生して出力部材4と入力軸2とが相対回転すると、直線往復動作付与機構8の第1磁石ユニット81(4個の第1磁石86)と、第2磁石ユニット82(2個の第2磁石89)と、が軸線L回りに相対回転する。これにより、同一磁極が対向する状態と異なる磁極が対向する状態が交互に発生するので、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に軸線方向Xの引力が作用する第1状態と、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に軸線方向Xの斥力が作用する第2状態とが交互に発生する。従って、第2磁石ユニット82に接続された出力部材4は、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に発生する引力および斥力によって、軸線方向Xに往復直線移動する。
ここで、図10、図11に示すように、外輪部材3は、内部に、出力部材4および第2磁石ユニット82の第1方向X1への移動を規制する第1移動規制部9を備える。第1移動規制部9は、図15に示すように、第1レバー87と直交し、且つ、入力軸2と直交する方向に延びる第2レバー91と、第2レバー91の中央に取り付けられた円柱状の移動規制部材92と、を備える。図11、図12から分かるように、第2レバー91は、第2外輪部材32の凹部40の底面に設けられた軸孔41および一対の溝部45の内側に収容される。また、図11に示すように、第2レバー91は、その両端部分が溝部45の底面に固定される。これにより、第1移動規制部9は、外輪部材3に一体とされる。
移動規制部材92は、第2レバー91の中央から第2方向X2へ突出する。移動規制部材92は、第2磁石ユニット82の第1レバー87を出力部材4の第1方向X1の端部分に固定する第2有頭ねじ93に第1方向X1から対向する。
また、外輪部材3は、内部に、出力部材4および第2磁石ユニット82の第2方向X2への移動を規制する第2移動規制部10を備える。図10、図12に示すように、第2移動規制部10は、第2外輪部材32の一対の円形凹部42のそれぞれの底面に固定されたストッパ部材43の第1方向X1の端面である。第2移動規制部10は、第2磁石ユニット82において、第1レバー87の両端に、それぞれ座金88と第2磁石89とを固定する2本の第1有頭ねじ90に対向する。
出力部材用付勢部材83は、図10に示すように、出力部材4の外周側に配置されるコイルばねである。出力部材用付勢部材83は、リニアブッシュ7の第1方向X1の端部と第1レバー87との間に配置されている。出力部材用付勢部材83の第1方向X1の端部は第1レバー87に固定され、第2方向X2の端部はリニアブッシュ7に固定される。
出力部材用付勢部材83は、出力部材4を、第2磁石ユニット82が第1移動規制部9に当接する位置に支持する。出力部材用付勢部材83は、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間の斥力によって出力部材4が第2方向X2に移動したときに出力部材4を第1方向X1に付勢する付勢力を発揮する。本例では、出力部材用付勢部材83は、出力部材4および第2磁石ユニット82を第1移動規制部9に付勢している。従って、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に斥力が作用する第2状態となると、直線往復動作付与機構8は、出力部材用付勢部材83に抗して、第2磁石ユニット82および出力部材4を第2方向に移動させる。
ここで、工作機械のヘッド100の回転中心線L0が垂直方向を向いているときに、直線往復動作付与機構8によって出力部材4を第1方向X1(上方)に移動させる場合には、出力部材4を第2方向X2に移動させる場合と比較して、第2磁石ユニット82の自重、および出力部材4の自重を合計した重量分の力が必要となる。また、出力部材4に工具15が保持されている場合には、さらに、工具15の自重分の力が必要となる。従って、出力部材4を垂直方向に往復移動させるためには、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に作用する引力を、第2磁石ユニット82の自重、出力部材4の自重、および工具15の自重の合計分の重量を考慮した大きな値とする必要がある。
これに対して、本例では、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に作用する斥力によって第2磁石ユニット82および出力部材4が第2方向X2に移動すると、コイルばねである出力部材用付勢部材83が圧縮されるので、出力部材用付勢部材83が第2磁石ユニット82および出力部材4を第1方向X1に付勢する付勢力が増大する。従って、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に作用する引力によって第2磁石ユニット82および出力部材4を第1方向X1に移動させる際には、出力部材用付勢部材83の付勢力が、出力部材4の第1方向X1への移動をアシストする。よって、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に作用する引力を、第2磁石ユニット82の自重、出力部材4の自重、および工具15の自重の合計分の重量を考慮した場合よりも、小さく設定できる。
(動作)
図17は、出力部材4が第2方向X2に移動した状態の工具ホルダ1の断面図である。図2に示すように、工具ホルダ1は、入力軸2が工作機械のヘッド100に連結されて使用される。工具ホルダ1の出力部材4には工具15が保持される。
工作機械の駆動によって入力軸2がヘッド100と一体に回転すると、出力部材4は、軸線L回りの回転動作および軸線方向Xの直線往復動作を行う。従って、出力部材4に保持された工具15は、回転動作および直線往復動作を同時に行いながらワークWの表面に接触する。
具体的には、ヘッド100が回転すると、ヘッド100に接続された入力軸2が回転して外輪部材3が入力軸2と共回りする。ここで、フラップ5に働く遠心力がフラップ付勢部材51の付勢力よりも大きくなると、フラップ開動作が行われて、フラップ5が開姿勢となる。フラップ5が開姿勢となると、フラップ5を介して外輪部材3に回転方向と逆方向の流体圧が作用する。従って、外輪部材3と入力軸2との間には、回転速度差が発生す
る。これにより、外輪部材3と一体に回転する出力部材4と入力軸2とが相対回転するので、直線往復動作付与機構8は、回転動作を行っている出力部材4に、軸線方向Xの直線往復動作を付与する。すなわち、直線往復動作付与機構8は、入力軸2と出力部材4とが相対回転する際に第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に交互に発生する引力と斥力とを利用して、出力部材4に直線往復動作を付与する。
ここで、図10、図17に示すように、出力部材4の直線往復動作では、出力部材4は、第2外輪部材32の第1移動規制部9(移動規制部材92)に第2磁石ユニット82の第2有頭ねじ93が当接する第1位置4Aと、第2外輪部材32の第2移動規制部10(ストッパ部材43)に第2磁石ユニット82の第1有頭ねじ90に当接する第2位置4Bと、の間を移動する。ここで、第1位置4Aでは、第2位置4Bよりも出力部材4と入力軸2とが接近する。従って、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82とは接近するが、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間には隙間が確保される。よって、第1磁石86と第2磁石89との衝突が防止される。また、第2磁石89が第1磁石86に吸着されることが防止される。
その後、ワークWへの加工が終了すると、工作機械は、ヘッド100の回転駆動を停止させる。ここで、ヘッド100の回転速度の低下によって入力軸2の回転速度が低下すると、入力軸2の回転速度の低下に伴って、入力軸2と共回りする外輪部材3の回転速度が低下する。この結果、フラップ5に働く遠心力が小さくなり、フラップ付勢部材51がフラップ5を内周側へ付勢する付勢力の方が遠心力よりも大きくなる。従って、フラップ閉動作が行われ、フラップ5は、閉姿勢となる。
[実施例2]
図18は、実施例2の工具ホルダの断面図である。図19は、実施例2の工具ホルダの直線往復動作付与機構の斜視図である。図20は、実施例2の第2外輪部材を第1方向X1から見た場合の斜視図である。本例の工具ホルダ1Aの外観は図2に示す実施例1と同一である。なお、図18は、図1のA−A線で切断した断面図である。実施例2の説明では、実施例1と同一の構成は同一の符号を付して、その説明を省略する。また、実施例1とは異なる構成のみ図面を参照して説明する。
本例の工具ホルダ1Aは、入力軸2と、入力軸2に回転可能に支持された外輪部材3と、工具15を着脱可能に保持する出力部材4と、外輪部材3に取り付けられたフラップ5と、を備える。外輪部材3は入力軸2を外周側から囲む円筒部34を備え、入力軸2と共回りする。出力部材4は、入力軸2と同軸に配置されている。出力部材4は、入力軸2の軸線Lに沿った軸線方向Xに移動可能な状態で外輪部材3に支持されている。出力部材4は、外輪部材3に対して回転不能とされており、外輪部材3と一体に回転する。出力部材4は、工具15が着脱可能に装着される工具保持部11を備える。フラップ5は、外輪部材3の外周側で径方向に開閉する。
また、工具ホルダ1Aは、入力軸2と外輪部材3とが共回りしたときに、外輪部材3の回転速度を入力軸2の回転速度よりも低下させるブレーキ機構50を備える。さらに、工具ホルダ1Aは、外輪部材3の回転速度が入力軸2の回転速度よりも低下して入力軸2と出力部材4とが相対回転すると、外輪部材3と一緒に回転動作を行っている出力部材4に軸線方向Xの直線往復動作を付与する直線往復動作付与機構8Aを備える。
図18に示すように、直線往復動作付与機構8Aは、周方向に延在する環状のカム面181と、カム面181に対して軸線方向Xに当接するカムフォロア180と、カム面181とカムフォロア180の一方を他方に対して軸線方向Xに押し付ける付勢部材183を備える。本例では、カムフォロア180が入力軸2に設けられており、カム面181が出
力部材4に設けられている。付勢部材183は、出力部材4を第1方向X1に付勢する。
すなわち、入力軸2は、第1軸部21と、第2軸部22、および第2軸部22の端部に固定されたカムフォロア180を備える。図19に示すように、カムフォロア180は、第1円板部184と、第1円板部184の環状外周面に取り付けられた複数の軸付きのローラ182とを備える。第1円板部184を軸線方向Xから見た場合の形状は円形である。各軸付きのローラ182は、第1円板部184の環状外周面に開口するねじ孔にねじ止めされた軸部185と、軸部185に回転可能に取り付けられたローラ186を備える。軸部185は径方向に延びており、ローラ186は径方向を向く軸線L周りに回転可能である。本例では、図18、図19に示すように、4個の軸付きローラ182が周方向で等間隔に配置される。
出力部材4は、第1方向X1の端部に第2円板部187と、第2円板部187の外周縁から第1方向X1へ突出するカム部188と、を備える。第2円板部187を軸線方向Xから見た場合の形状は円形である。カム面181は、カム部188の第2方向X2の端面である。カム部188は、第2方向X2へ突出する同一形状の突出部189を複数位置に備えている。従って、カム面181は、周方向に並ぶ軸線方向Xの凹凸を備えている。突出部189の周方向の配置は、カムフォロア180における軸付きローラ182の周方向の配置と対応する。本例では、4個の軸付きローラ182が周方向に等間隔で配置され、カム部188は、周方向に等間隔で配置される2箇所の突出部189を備える。
付勢部材183は、出力部材4の外周側に配置されるコイルばねである。付勢部材183は、リニアブッシュ7の第1方向X1の端部と第2円板部187との間に配置されている。付勢部材183は、自由長よりも圧縮された状態で配置されている。従って、付勢部材183は、第2円板部187を介して、カム面181を第2方向X2へ付勢する。これにより、カム面181は、カムフォロア180に第2方向X2から押し付けられる。
ここで、図18に示すように、外輪部材3の第2外輪部材32は、第1外輪部材31の円板部35に第2方向X2から当接する胴部37と、胴部37と同軸で胴部37よりも外径寸法が小さい小径胴部38と、胴部37と小径胴部38を接続するテーパー部39と、を備える。図20に示すように、胴部37は、第1方向X1の端面に、円形の凹部40を備える。凹部40は、胴部37と同軸に設けられている。従って、第2外輪部材32の第1方向X1の端部分は筒状である。凹部40の底面の中心には、胴部37、テーパー部39および小径胴部38を軸線方向Xに貫通する軸孔41が設けられている。軸孔41にはリニアブッシュ7が挿入されている。リニアブッシュ7は、軸孔41の内周面の第2方向X2の端部分に固定されている。リニアブッシュ7は、小径胴部38の径方向内側に位置する。図18に示すように、凹部40には、入力軸2のカムフォロア180と、出力部材4の第2円板部187およびカム部188が収容される。第2円板部187およびカム部188は、凹部40内において、軸線方向Xに移動可能である。
出力部材4は、第2外輪部材32の軸孔41、およびリニアブッシュ7を貫通して延びる。リニアブッシュ7は、出力部材4の軸線方向Xへの移動を許容し、軸線L回りの回転を規制する。従って、出力部材4は、軸線方向Xに移動可能、かつ、軸線L回りに回転不能な状態で第2外輪部材32に支持される。よって、入力軸2が回転して、外輪部材3が入力軸2と同一回転方向に共回りする際には、出力部材4は、リニアブッシュ7と共に、外輪部材3と一体に回転する。
(直線往復動作付与機構の動作)
工具ホルダ1Aの回転時にブレーキ機構50が機能すると、外輪部材3と入力軸2との間に回転速度差が発生して出力部材4と入力軸2とが相対回転する。これにより、入力軸2に設けられたカムフォロア180と、出力部材4に設けられたカム面181とは、相対
回転する。従って、カムフォロア180は、カム面181に沿って周方向に移動する。ここで、出力部材4は、軸線方向Xに移動可能な状態で外輪部材3に支持されており、カム面181が付勢部材183によってカムフォロア180に付勢されている。従って、出力部材4は、外輪部材3と一体の回転動作を行うとともに、カム面181の凹凸に従って軸線方向Xに往復移動する。出力部材4の直線往復動作のストロークは、カム面181の軸線方向Xの凹凸の深さと一致する。ここで、図18に示す状態は、出力部材4が最も入力軸2から第2方向X2に離間している状態である。
[実施例3]
図21は、実施例3の工具ホルダの断面図である。本例の工具ホルダ1Bの外観は図2に示す実施例1と同一である。図21は、工具ホルダ1Bを図1のA−A線で切断した断面図である。実施例3の説明では、実施例1、2と同一の構成は同一の符号を付して説明を省略する。また、実施例3の説明では、実施例1、2とは異なる構成のみ図面を参照して説明する。
本例の工具ホルダ1Bは、入力軸2と、入力軸2に回転可能に支持された外輪部材3と、工具15を着脱可能に保持する出力部材4と、外輪部材3に取り付けられたフラップ5と、を備える。外輪部材3は入力軸2を外周側から囲む円筒部34を備え、入力軸2と共回りする。出力部材4は、入力軸2と同軸に配置されている。出力部材4は、入力軸2の軸線Lに沿った軸線方向Xに移動可能な状態で外輪部材3に支持されている。出力部材4は、外輪部材3に対して回転不能とされており、外輪部材3と一体に回転する。出力部材4は、工具15が着脱可能に装着される工具保持部11を備える。フラップ5は、外輪部材3の外周側で径方向に開閉する。
また、工具ホルダ1Bは、入力軸2と外輪部材3とが共回りしたときに、外輪部材3の回転速度を入力軸2の回転速度よりも低下させるブレーキ機構50を備える。さらに、工具ホルダ1Bは、外輪部材3の回転速度が入力軸2の回転速度よりも低下して入力軸2と出力部材4とが相対回転すると、外輪部材3と一緒に回転動作を行っている出力部材4に軸線方向Xの直線往復動作を付与する直線往復動作付与機構8Bを備える。
図22は、実施例3の直線往復動作付与機構8Bの斜視図である。図21、図22に示すように、実施例3の直線往復動作付与機構8Bは、入力軸2と一体に回転する入力歯車281、および、入力軸2と直交する軸回りに回転する出力歯車282を備えたギアユニット280と、出力歯車282に一端が連結され、他端が出力部材4に連結されたリンク部材290と、を備えている。
入力歯車281は、入力軸2の第2方向X2の端部に、入力軸2と一体に設けられている。入力歯車281は、入力軸2と同軸の傘歯車である。ギアユニット280は、入力歯車281と噛み合う2個の出力歯車282と、2個の出力歯車282を回転可能に支持する支軸283と、支軸283と外輪部材3とを連結する連結部材284を備える。
図22に示すように、支軸283は、入力歯車281の第2方向X2において軸線方向Xと直交する方向に延びる。2個の出力歯車282は、支軸283の両端に配置され、径方向で対称に配置される。連結部材284は、支軸283と直交し、且つ、軸線方向Xと直交する方向へ延びる第1腕部285と、第1腕部285の両端から第1方向X1へ延びて外輪部材3の円板部35に接続される2本の第2腕部286を備える。支軸283は、第1腕部285の長手方向の中央部分に保持されている。
一方、出力部材4は、出力部材4の第1方向X1の端部に設けられた円板部287と、円板部287から第1方向X1へ突出する一対の突出部288と、を備える。一対の突出
部288は、軸線Lを間に挟んだ両側に配置される。各突出部288には、それぞれ、径方向外側へ突出するピン289が形成されている。各リンク部材290は、出力歯車282から径方向外側へ突出するピン291に一端が連結され、他端は、突出部288に形成されたピン289に連結されている。出力歯車282に形成されたピン291は、出力歯車282の回転中心よりも外周縁に近い位置に形成されている。
ここで、外輪部材3の第2外輪部材32は、図20に示すように、実施例2と同様の構成を備える。すなわち、第1外輪部材31の円板部35に第2方向X2から当接する胴部37と、胴部37と同軸で胴部37よりも外径寸法が小さい小径胴部38と、胴部37と小径胴部38を接続するテーパー部39と、を備える。胴部37は、第1方向X1の端面に、円形の凹部40を備える。凹部40は、胴部37と同軸に設けられている。従って、第2外輪部材32の第1方向X1の端部分は筒状である。凹部40の底面の中心には、胴部37、テーパー部39および小径胴部38を軸線方向Xに貫通する軸孔41が設けられている。軸孔41にはリニアブッシュ7が挿入されている。リニアブッシュ7は、軸孔41の内周面の第2方向X2の端部分に固定されている。リニアブッシュ7は、小径胴部38の径方向内側に位置する。
図21に示すように、凹部40には直線往復動作付与機構8Bが収容される。すなわち、凹部40には、入力歯車281および出力歯車282を備えたギアユニット280、出力歯車282に一端が連結され、他端が出力部材4に連結されたリンク部材290とが収容される。また、凹部40には、出力部材4の円板部287および一対の突出部288が収容される。
(直線往復動作付与機構の動作)
工具ホルダ1Bの入力軸2が工作機械のヘッド100に連結されて入力軸2が回転すると、直線往復動作付与機構8Bは、ギアユニット280の入力歯車281が入力軸2と一体に回転する。一方、入力歯車281と噛み合う出力歯車282は、外輪部材3が入力軸2に共回りすると、外輪部材3の円板部35に固定された連結部材284および連結部材284に支持される支軸283と共に、軸線L回りの周方向へ移動する。ここで、ブレーキ機構50が機能することによって入力軸2と外輪部材3および出力部材4とが相対回転すると、2個の出力歯車282は、それぞれ、支軸283を中心として回転する。これにより、出力歯車282のピン291が支軸283を中心として回転するので、ピン291に連結された2本のリンク部材290が軸線方向Xへ往復移動する。従って、リンク部材290の第2方向X2の端部に円板部287が連結された出力部材4は、リニアブッシュ7にガイドされて軸線方向Xに往復直線移動する。出力部材4の直線往復動作のストロークは、出力歯車282の回転中心からピン291まで距離の2倍である。図21に示す状態は、出力部材4が最も入力軸2に接近している状態である。
[実施例4]
図23は、実施例4の工具ホルダの外観斜視図である。図24は、図23のD−D線で切断した断面図である。本例の工具ホルダ1Cは、実施例1の工具ホルダ1と対応する構成を備える。従って、対応する構成には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図23に示すように、本例の工具ホルダ1Cは、入力軸2と、入力軸2に回転可能に支持された外輪部材3と、を備える。外輪部材3は入力軸2を外周側から囲む円筒部34を備える。外輪部材3は、入力軸2と共回りする。出力部材4は、入力軸2と同軸に配置されている。出力部材4は、入力軸2の軸線Lに沿った軸線方向Xに移動可能な状態で外輪部材3に支持されている。出力部材4は、外輪部材3に対して回転不能とされており、外輪部材3と一体に回転する。出力部材4は、工具15が着脱可能に装着される工具保持部11を備える。
ここで、工具ホルダ1Cは、実施例1の工具ホルダ1と対応する構成を備えるが、フラップ5などのブレーキ機構50を備えていない。これに替えて、外輪部材3に取り付けられた固定部材301を備える。固定部材301は、棒状の部材であり、第1外輪部材31の円筒部34に設けられた固定孔302に一方の端部分が嵌った状態で外輪部材3に固定される。固定部材301は、外輪部材3から径方向外側に延びる。
工具ホルダ1Cは、入力軸2が、マシニングセンタなどの工作機械のヘッド100に連結されて使用される。また、工具ホルダ1Cは、外輪部材3から外周側に突出する固定部材301を、工作機械に予め設けた固定部(不図示)に固定して使用される。固定部材301が工作機械に固定されると、固定部材301によって外輪部材3がヘッド100の回転中心線L0回りに回転することが阻止される。出力部材4の工具保持部11には、工具15が保持される。図23に示す例では、工具保持部11に、工具15として、ブラシ状砥石が保持されている。工具ホルダ1Cを介して、工具15がヘッド100に接続された状態では、ヘッド100の回転中心線L0と、入力軸2の軸線Lとは一致する。ワークWに加工を施す際には、工作機械を駆動して、ヘッド100を、回転中心線L0回りに回転させるとともに、当該回転中心線L0と交差する交差方向に移動させながら、工具15をワークWに接触させる。
ここで、工具ホルダ1Cは、直線往復動作付与機構8を備える。しかし、本例では、工作機械に固定された固定部材301によって外輪部材3が入力軸2と共回りすることが阻止されている。従って、入力軸2が回転しても、外輪部材3および出力部材4は回転しない。よって、直線往復動作付与機構8は、入力軸2と外輪部材3とが相対回転したときに、出力部材4を軸線方向Xに直線往復動作させる回転直動変換機構8´となる。
回転直動変換機構8´は、入力軸2に固定された第1磁石ユニット81と、出力部材4に固定された第2磁石ユニット82と、を備える。本例では、入力軸2が回転したときに、出力部材4および外輪部材3が回転しないので、回転直動変換機構8´の第1磁石ユニット81(4個の第1磁石86)と、第2磁石ユニット82(2個の第2磁石89)とが軸線L回りに相対回転する。これにより、同一磁極が対向する状態と異なる磁極が対向する状態が交互に発生するので、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に軸線方向Xの引力が作用する第1状態と、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に軸線方向Xの斥力が作用する第2状態とが交互に発生する。従って、第2磁石ユニット82に接続された出力部材4は、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に発生する引力および斥力によって、軸線方向Xに往復直線移動する。よって、工具ホルダ1Cは、工作機械のヘッドと工具15との間に介在して、ヘッド100の回転をヘッド100の回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達する。
(各工具ホルダの作用効果)
実施例1〜3の工具ホルダ1、1A、1Bは、入力軸2と、入力軸2を回転可能に支持するとともに、入力軸2と共回りする外輪部材3と、入力軸2と同軸に配置され、入力軸2の軸線方向Xに移動可能な状態で外輪部材3に支持されて当該外輪部材3と一体に回転する出力部材4と、を備える。また、工具ホルダ1は、入力軸2と外輪部材3とが共回りしたときに、外輪部材3の回転速度を入力軸2の回転速度よりも低下させるブレーキ機構50と、外輪部材3の回転速度が入力軸2の回転速度よりも低下して入力軸2と出力部材4とが相対回転すると、外輪部材3と一緒に回転動作を行っている出力部材4に軸線方向Xの直線往復動作を付与する直線往復動作付与機構8,8A,8Bと、を備える。従って、工具ホルダ1によれば、出力部材4に保持した工具15に、回転動作と直線往復動作の2つの動作を同時に行わせることができる。
また、実施例1〜3の工具ホルダ1、1A、1Bは、軸線方向Xの直線往復動作を発生させるために外輪部材3を、工作機械などに固定する必要がない。従って、外輪部材3を固定するために工作機械を改造する必要がない。よって、工具ホルダ1は、工作機械への取付作業が容易である。従って、実施例1〜3の工具ホルダ1、1A、1Bを用いれば、ワークWに表面テクスチャを施すことが容易となる。
次に、実施例1の工具ホルダ1では、直線往復動作付与機構8は、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82とを接触させずに軸線方向Xの往復動作を発生させる。同様に、実施例4の工具ホルダ1Cでは、回転直動変換機構8´は、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82とを接触させずに軸線方向Xの往復動作を発生させる。すなわち、工具ホルダ1の直線往復動作付与機構8および工具ホルダ1Cの回転直動変換機構8´では、入力軸2および第1磁石ユニットと、出力部材4および第2磁石ユニットとの間を機械的に接続する必要がない。従って、工具ホルダ1、1Cでは、第1磁石ユニット81と第2磁石ユニット82との間に発生する斥力によって出力部材4が第1位置4Aよりも第2位置4Bの側(第2方向X2)に移動しているときに出力部材4が保持する工具15に第1方向X1に向かう荷重が加わった場合には、出力部材4が第1方向X1に移動する。すなわち、工具ホルダ1、1Cは、保持している工具15がヘッド100から離間する方向に移動しているときに、工具15をヘッド100の側に移動可能に支持する。
従って、工具ホルダ1、1Cを用いた場合には、例えば、出力部材4が第1位置4Aよりも第2方向X2に移動しているときに工具15がワークWの表面の凸部などを通過する場合には、制御プログラムによって工作機械のヘッド100を軸線方向Xに移動させることなく、工具15を凸部の形状に追随させて軸線方向Xに移動させることができる。また、工具ホルダ1、1Cを用いた場合には、表面テクスチャ方法において工具が第2位置に移動してワークWの表面に接触したときに、工具の先端がワークWとの衝突によって破損することを防止或いは抑制できる。さらに、工具がワークWの表面に衝突して、ワークWの表面に必要以上の加工を施してしまうことを防止或いは抑制できる。
(工具ホルダの変形例)
なお、工具ホルダ1A、1Bにおいても、ブレーキ機構50に替えて、外輪部材3の回転を阻止するための固定部材301を備えることができる。また、工具ホルダ1A、1Bを使用する際に、固定部材301を工作機械の固定部に固定すれば、直線往復動作付与機構8A,8Bは、出力部材を軸線方向の直線往復動作させる回転直動変換機構8´として機能する。すなわち、工具ホルダ1A、1Bにおいても、ブレーキ機構50に替えて、外輪部材3の回転を阻止するための固定部材301を備えれば、工具ホルダ1A、1Bは、ヘッドの回転を当該ヘッドの回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具に伝達する工具ホルダとなる。
また、実施例の表面テクスチャリング方法に用いる工具ホルダおよびバレル研磨方法に用いる工具ホルダ(ワークホルダ)は、工作機械のヘッド100と工具15との間に介在して、ヘッド100の回転を回転中心線L0回りの回転動作および当該回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達するものであればよい。また、変形例の表面テクスチャリング方法およびバレル研磨方法に用いる工具ホルダは、工作機械のヘッド100と工具15との間に介在して、ヘッド100の回転を回転中心線L0方向の直線往復動作に変換して工具15に伝達するものであればよい。従って、上記の表面テクスチャリング方法に用いる工具ホルダは、上記の実施例1〜4に限定されるものではない。
1,1A,1B,1C…工具ホルダ(ワークホルダ)、2…入力軸、3…外輪部材、4…出力部材、4A…第1位置、4B…第2位置、5…フラップ、5A…閉姿勢、5B…開姿勢
、6…軸受部、7…リニアブッシュ、8,8A,8B…直線往復動作付与機構、8´…回転直動変換機構、9…第1移動規制部、10…第2移動規制部、11…工具保持部、15…工具、15(1)…ブラシ状砥石、15(2)…ロータリーバー、15(3)、15(4)…軸付き砥石、15(5)…軸付き球形工具、15(6)…軸付き電着砥石、15(7)…バフ工具、15(8)…スティック砥石、20…ボーンスクリュー、21…第1軸部、22…第2軸部、31…第1外輪部材、32…第2外輪部材、33…端板部材、34…円筒部、35…円板部、36…開口部、37…胴部、38…小径胴部、39…テーパー部、40…凹部、41…軸孔、42…円形凹部、43…ストッパ部材、44…第2磁石ユニット収容部、45…溝部、50…ブレーキ機構、51…フラップ付勢部材、52…軸部、53…軸孔、54…支軸、55…フラップ、81…第1磁石ユニット、82…第2磁石ユニット、83…出力部材用付勢部材、84…ディスク、85…座金、86…第1磁石、86…第2磁石、87…第1レバー、88…座金、89…第2磁石、90…第1有頭ねじ、91…第2レバー、92…移動規制部材、93…第2有頭ねじ、100…ヘッド、151…線状砥材、152…砥材ホルダ、153…砥石、154…シャンク部、155…ネック部、155…ネック部、156…球形部分、157…軸部分、158…バフ、159…ネック部、180…カムフォロア、181…カム面、182…軸付きローラ、183…付勢部材、184…第1円板部、185…軸部、186…ローラ、187…第2円板部、188…カム部、189…突出部、280…ギアユニット、281…入力歯車、282…出力歯車、283…支軸、284…連結部材、285…第1腕部、286…第2腕部、287…円板部、288…突出部、289…ピン、290…リンク部材、291…ピン、301…固定部材、302…湖底孔、L0…工作機械のヘッドの回転中心線、L…工具ホルダの軸線、X…軸線方向、X1…第1方向、X2…第2方向

Claims (10)

  1. 工作機械のヘッドと工具との間に、前記ヘッドの回転を当該ヘッドの回転中心線方向の直線往復動作に変換して前記工具に伝達する工具ホルダを介在させ、
    前記工作機械を駆動して前記ヘッドを回転させるとともに前記ヘッドとワークとを前記回転中心線と交差する方向に相対移動させ、前記直線往復動作により前記工具を前記回転中心線方向からワークの表面に接触させ、
    前記工具として、砥石と、前記工具ホルダに保持されるシャンク部と、前記回転中心線方向に延びて前記砥石と前記シャンク部とを接続するネック部と、を備え、前記ネック部が前記回転中心線と交差する方向に撓む弾性を備える軸付き砥石を用い、
    前記ワークは、キャビティ内にリブを備える金型であり、
    前記リブの側面は、前記キャビティの開口側に向かって前記リブが先細りとなる方向に傾斜する勾配を備え、
    前記軸付き砥石は、前記リブの側面に前記キャビティの開口側から接触し、前記直線往復動作中に、前記ネック部が前記回転中心線と交差する方向に撓んだ状態となり、前記リブの側面に、前記リブの高さ方向に延びる研磨目を形成することを特徴とする表面テクスチャリング方法。
  2. 工作機械のヘッドと工具との間に、前記ヘッドの回転を当該ヘッドの回転中心線方向の直線往復動作に変換して前記工具に伝達する工具ホルダを介在させ、
    前記工作機械を駆動して前記ヘッドを回転させるとともに前記ヘッドとワークとを前記回転中心線と交差する方向に相対移動させ、前記直線往復動作により前記工具を前記回転中心線方向からワークの表面に接触させ、
    前記工具として、無機長繊維の集合糸を有する線状砥材の砥材束と前記砥材束に含侵した樹脂とを有し、前記回転中心線と交差する方向に撓む弾性を備える棒状のスティック砥石を用い、当該スティック砥石の一方側の端部分を前記工具ホルダに保持させ、
    前記ワークは、キャビティ内にリブを備える金型であり、
    前記リブの側面は、前記キャビティの開口側に向かって前記リブが先細りとなる方向に傾斜する勾配を備え、
    前記スティック砥石は、前記リブの側面に前記キャビティの開口側から接触し、前記直線往復動作中に、前記回転中心線と交差する方向に撓んだ状態となり、前記リブの側面に、前記リブの高さ方向に延びる研磨目を形成することを特徴とする表面テクスチャリング方法。
  3. 前記工具ホルダは、前記ヘッドの回転を前記直線往復動作および前記回転中心線回りの回転動作に変換し、
    前記直線往復動作および前記回転動作によって前記工具を前記回転中心線回りに回転させながら前記ワークの表面に接触させることを特徴とする請求項1または2に記載の表面テクスチャリング方法。
  4. 前記工具が1ストロークの直線往復動作を行う間に、前記工具と前記リブの側面とを接触した状態に維持することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の表面テクスチャリング方法。
  5. 前記工具を前記リブの側面に断続的に接触させることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の表面テクスチャリング方法。
  6. 前記工具ホルダは、前記工具が前記ヘッドから離間する方向に移動しているときに、前記工具を前記ヘッドの側に移動可能に支持することを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の表面テクスチャリング方法。
  7. 前記工具ホルダは、
    前記工作機械のヘッドに同軸に連結される入力軸と、
    前記入力軸の外周側で当該入力軸を回転可能に支持する外輪部材と、
    前記入力軸と同軸に配置され、前記入力軸の軸線方向に移動可能な状態で前記外輪部材に支持されて当該外輪部材と一体に回転する出力部材と、
    前記外輪部材と前記入力軸とが相対回転すると、前記出力部材を前記軸線方向の直線往復動作させる回転直動変換機構と、を有し、
    前記外輪部材は、前記工作機械に固定されて当該外輪部材が回転することを阻止する固定部を備え、
    前記出力部材は、工具を保持するための工具保持部を備えることを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の表面テクスチャリング方法。
  8. 前記回転直動変換機構は、第1磁石ユニットと、前記軸線方向で前記第1磁石ユニットに対向する第2磁石ユニットと、を備え、
    前記第1磁石ユニットは、前記入力軸に固定され、
    前記第2磁石ユニットは、前記出力部材に固定され、
    前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとが相対回転すると、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとの間に前記軸線方向の引力が作用する第1状態と、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとの間に前記軸線方向の斥力が作用する第2状態とが交互に発生することを特徴とする請求項7に記載の表面テクスチャリング方法。
  9. 前記工具ホルダは、
    前記工作機械のヘッドに同軸に連結される入力軸と、
    前記入力軸に回転可能に支持され、かつ、前記入力軸と共回りする外輪部材と、
    前記入力軸と同軸に配置され、前記入力軸の軸線方向に移動可能な状態で前記外輪部材に支持されて当該外輪部材と一体に回転する出力部材と、
    前記入力軸と前記外輪部材とが共回りしたときに、前記外輪部材の回転速度を前記入力軸の回転速度よりも低下させるブレーキ機構と、
    前記外輪部材の回転速度が前記入力軸の回転速度よりも低下して前記入力軸と前記出力部材とが相対回転すると、前記外輪部材と一体の回転動作を行っている前記出力部材に前記軸線方向の直線往復動作を付与する直線往復動作付与機構と、を有し、
    前記ブレーキ機構は、回転方向と逆方向に作用する流体圧を受ける受圧部を備え、
    前記受圧部は、前記外輪部材に取り付けられたフラップであり、
    前記出力部材は、工具を保持するための工具保持部を備えることを特徴とする請求項3に記載の表面テクスチャリング方法。
  10. 前記直線往復動作付与機構は、第1磁石ユニットと、前記軸線方向で前記第1磁石ユニットに対向する第2磁石ユニットと、を備え、
    前記第1磁石ユニットは、前記入力軸に固定され、
    前記第2磁石ユニットは、前記出力部材に固定され、
    前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとが相対回転すると、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとの間に前記軸線方向の引力が作用する第1状態と、前記第1磁石ユニットと前記第2磁石ユニットとの間に前記軸線方向の斥力が作用する第2状態とが交互に発生することを特徴とする請求項9に記載の表面テクスチャリング方法。
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