JP6826732B2 - 光音響計測装置 - Google Patents
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Description
このように、従来の技術では、近赤外光を発する光源と、光音響波を検出する感圧素子(感圧センサ)とを配置して光音響波の検出を行っているが、さらに光音響波の検出感度が向上した光音響計測装置が求められている。
[1]光源から発せられる光を被検体に照射する照射部と、前記被検体と対向接触して、前記光を透過するとともに前記光の照射によって前記被検体から生じた光音響波を伝達する透過伝達部と、前記透過伝達部を伝達する前記光音響波を受けて振動し、且つ固体からなる振動部とを備え、前記照射部は、前記透過伝達部の前記被検体と対向する対向面とは反対側の非対向面側に設けられて、前記透過伝達部を透過して前記被検体に前記光を照射し、前記透過伝達部は、前記光が透過する透過部位を有し、前記振動部は、前記透過伝達部の前記非対向面側に接触して、前記光の透過を妨げないようにして前記透過部位を避けて周囲に設けられ、前記振動部は、前記透過伝達部の前記非対向面側に接触して、前記透過部位を避けた周囲に設けられるとともに、前記透過伝達部を伝達する前記光音響波によって生じる圧力変動を感知する感圧素子に前記光音響波を伝達する支持部材と、前記光を透過して、前記感圧素子を真空封止する封止部材とを有することを特徴とする光音響計測装置。
[3]前記照射部が、前記光の波長が異なる複数の光源を有し、前記照射部は、前記複数の光源からの前記光をそれぞれ異なるタイミングでパルス状に照射する、[1]又は[2]に記載の光音響計測装置。
[5]前記感圧素子は、圧電式、ピエゾ抵抗式、又は静電容量式である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
[6]前記感圧素子によって前記光音響波を検出して、前記感圧素子が感知した圧力変動に応じた検出信号を出力する検出部を備える、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
第一実施形態に係る光音響計測装置及び光音響計測システムについて、図1〜図4を参照して説明する。光音響計測装置は、計測対象物に光を照射して、計測対象物から生じた光音響波を検出するものである。また、光音響計測装置は、検出した光音響波の強度を計測する。さらに、光音響計測システムは、光音響計測装置によって検出した検出信号を解析するものである。本実施形態では、計測対象物となる被検体が人体の指先(指の腹)である場合を例示するが、計測対象物及び計測箇所はこれに限定されない。以降、光音響計測装置及び光音響計測システムを、それぞれ「計測装置」及び「計測システム」とも称することがある。
図1,図2に示すように、本実施形態の計測装置100は、照射部20と、透過伝達部30と、振動部50とを備えている。また、図3に示すように、本実施形態の計測システム1は、計測装置100と、信号処理装置200と、表示装置300とを備えている。
以下、計測装置100及び計測システム1の各構成要素について説明する。
〔照射部〕
図1に示すように、照射部20は、光源21、レンズ22、及び反射ミラー23を有する。照射部20は、光源21から発せられる光を計測対象物である被検体の指400に照射する。照射部20による光の照射は、後述する制御部211によって制御される(図3参照)。照射部20は、後述する透過伝達部30の指400と対向する対向面30Aとは反対側の非対向面30B側に設けられて、透過伝達部30を透過して指400に光を照射する。
照射部20は、所定の波長の光を発する光源21を有する。本実施形態では、照射部20が、第一光源21a及び第二光源21bの2つの光源21を有する場合を例示する。なお、本明細書では、第一光源21aと第二光源21bとを特に区別しない場合には、「光源21」として符合を付して説明する場合がある。照射部20は、少なくとも2つ以上の光源21を有する。そして、これら複数の光源21は、それぞれ異なる波長の光を発するものである。照射部は、複数の光源21からの光を、それぞれ異なるタイミングでパルス状に照射する。
第一光源21aから照射された光は、第一レンズ22aに入射する。第一レンズ22aは、第一光源21aから入射する光を、平行に進行する光(換言すると、平行光)として、反射ミラー23へ出射する。同様に、第二光源21bから照射された光は、第二レンズ22bに入射する。第二レンズ22bは、第二光源21bから入射する光を、平行光として、反射ミラー23へ出射する。なお、本明細書では、第一レンズ22aと第二レンズ22bと後述する第三レンズ22cを特に区別しない場合には、「レンズ22」として符合を付して説明する場合がある。
透過伝達部30は、基材31と、基材31の対向面30Aに積層して設けられる整合材32とを有する。透過伝達部30は、指400と対向接触して、光源21からの照射光を透過するとともに、照射光によって指400から生じた光音響波を振動部50に伝達する。透過伝達部30は、光源21からの照射光を透過する透過部位30Cを有している。ここで、指400における透過伝達部30と接触している箇所において、透過部位30Cを透過した光が照射されることで指400から光音響波が発せられる位置を発生源400Aと称する。また、透過伝達部30における指400と接触している箇所において、平面視で発生源400Aと一致する部位を接触部位30Dと称する。このとき、平面視で、透過部位30C、接触部位30D、及び発生源400Aの位置は略一致している。
基材31は、指400の接触による荷重を支えて、光音響波を検出するための場を提供する板状の部材である。基材31は、光を透過するとともに、振動を伝達する部材であることが好ましい。このような観点から、基材31は、透明又は半透明であって、硬質であり、強度に優れる固体の材料からなることが好ましい。これにより、光源21からの照射光を透過するとともに、指400からの光音響波を伝達することができる。基材31を構成する材料は特に限定されないが、例えば、ガラス、樹脂が好ましく、ガラスがより好ましい。樹脂の中では熱可塑性樹脂が好ましく、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
整合材32は、指400と接触して、指400と基材31との音響インピーダンスを整合させる膜状の部材である。整合材32は、指400と基材31とそれぞれの中間の音響インピーダンスを有することが好ましい。これにより、指400から生じた光音響波が整合材32と基材31とを伝播する際に、部材の界面で生じる反射を抑制して、光音響波の損失を低減することができる。また、整合材32は、透明又は半透明の材料からなることが好ましい。これにより、光源21からの照射光を透過することができる。整合材32を構成する材料は特に限定されないが、弾性を有する材料が好ましく、例えば、シリコーンゴムが挙げられる。中でも、柔らかいシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムの硬度は、デュロメータ硬さタイプAで上限が、通常90以下、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは10以下である。硬度の下限は特に限定されないが、通常1以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上である。シリコーンゴムの硬度が上記範囲内にあると、光音響波の反射を抑えて伝達させやすくなる。
振動部50は、透過伝達部30を伝播する光音響波を受けて振動する。また、振動部50は、固体の部材によって構成されている。さらに、振動部50は、感圧素子51を有すことで、光音響波を検出することができる。図1に示すように、振動部50は、透過伝達部30の非対向面30B側に接触して設けられている。また、図1,2に示すように、振動部50は、光源21からの照射光が透過伝達部30を透過することを妨げないようにして透過部位30Cを避けて、透過部位30Cの周囲に設けられている。本実施形態の振動部50は、感圧素子51によって構成されている。
感圧素子51は、圧力の変動を検出するためのセンシング素子である。感圧素子51は、透過伝達部30を伝播する光音響波によって生じる圧力変動を感知する。本実施形態では、感圧素子51が透過伝達部30の非対向面30B側に接触して、透過部位30Cを避けて、透過部位30Cの周囲に設けられている。これにより、感圧素子51は、光源21からの照射光が透過伝達部30を透過することを妨げないようになっている。
〔計測装置〕
図3に示すように、計測装置100を機能的に表すと、照射部20と、透過伝達部30と、感圧センサ40とを備えて構成されている。計測装置100では、照射部20は、被検体に光を照射して、被検体から光音響波を発生させる。透過伝達部30は、被検体から発生した光音響波を感圧センサ40に伝達する。そして、感圧センサ40は、光音響波を検出して、検出信号を出力する。照射部20及び透過伝達部30の構成は、図1を参照して説明した通りである。
感圧センサ40は、振動部50と、検出部170とを有している。振動部50の構成は、図1,2を参照して説明した通りである。検出部170は、感圧素子51と、プリアンプ部171と、AD変換部172とを有している。検出部170は、感圧素子51が感知した圧力変動に応じた強度の検出信号を出力する。
プリアンプ部171は、感圧素子51から、検出信号が入力される。プリアンプ部171は、入力された検出信号を増幅する増幅器である。プリアンプ部171は、感圧素子51から入力された検出信号を増幅し、増幅した検出信号をAD変換部172に出力する。
AD変換部172は、プリアンプ部171から、増幅された検出信号が入力される。AD変換部172は、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器である。AD変換部172は、プリアンプ部171から入力されたアナログの検出信号を、デジタル化された信号に変換する。AD変換部172は、デジタル化された信号を、後述する信号処理部210に出力する。
信号処理装置200を機能的に表すと、信号処理部210を備えて構成されている。信号処理装置200は、計測装置100の制御を行うと共に、検出信号の解析処理を行う。
制御部211は、照射部20及び検出部170を制御して、これらの動作が同期をとるための信号を出力する処理部である。例えば、制御部211は、照射部20に照射光の出力タイミングを制御する出力タイミング信号を送信するとともに、検出部170による光音響波の検出タイミングを制御する検出タイミング信号を送信する。このように、制御部211が光照射部20と検出部170の動作タイミングを制御する信号を送信することで、照射光の出力と同期して光音響波を検出することができる。また、出力タイミング信号によって、照射部20による照射光の出力時間幅、出力強度を制御することができる。
解析部212は、検出信号を解析して、解析結果を出力する処理部である。計測システム1では、それぞれ異なる波長の光を発する複数の光源21が、出力タイミングをずらして照射光を発する。さらに、検出部170は、複数の光源21のそれぞれの波長に対応した光音響波を検出して、それぞれの波長に対応した複数の信号を含む検出信号を出力する。そして、解析部212は、この検出信号の信号強度(信号ピークの振幅又は面積)を解析することで、光音響波を生じた被検体内に含まれる各種物質の濃度を算出することができる。このような濃度の算出は、公知の手法を利用して行うことができる。解析部212は、解析結果を出力部213に出力する。
出力部213は、検出部170から出力される検出信号を受信して、受信した検出信号を基にして画像信号を生成し、この画像信号を表示装置300に出力することで、表示装置300に検出信号のグラフを表示させる処理部である。または、出力部213は、解析部212から出力される解析結果を受信して、表示装置300に解析結果を表示させることができる。
表示装置300は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Light-Emitting Diode Display)、LEDディスプレイ等のディスプレイである。表示装置300は、信号処理部210で処理された情報を表示することができる。
図4を参照して、本実施形態の計測装置100及び装置システム1の動作を説明する。
従来、光源と感圧センサとを備える光音響計測装置を用いた光音響計測が行われてきた。このとき、例えば、計測対象物から生じた光音響波が空気を介して伝播する場合には光音響波が大きく減衰するため、例えば、計測対象物と感圧センサとの間に、計測対象物と対向接触して、光源からの光を透過するとともに光音響波を伝達する透過伝達部材を介在させることがある。しかしながら、この場合であっても、計測対象物と透過伝達部材との接触部位に対する感圧センサの配置が最適化されているとはいえず、検出感度の向上が望まれていた。
また、固体からなる振動部50が透過伝達部30に接触して、光音響波を伝達することで、光音響波が空気を介さずに固体中を伝播することになる。また、指400とこれらの音響インピーダンスが比較的に近いため、光音響波が伝播する際の界面での反射による損失を低減することができる。すなわち、計測装置100は、指400からの光音響波を、透過伝達部30と振動部50とを介して直接的に検出することができる。中でも、透過伝達部30がガラスや樹脂等の固体からなり、固体からなる振動部50が光音響波を伝達する場合には、例えば、板状又はフィルム状の部材に接触した被検体からの光音響波が水やジェル状の部材を介して伝播する場合よりも、音響インピーダンスマッチングに優れるため、光音響波の損失をより低減することができる。
したがって、計測装置100によれば、光音響波の検出感度を向上させることができる。また、検出感度の向上によって、例えば、光源として、従来は大型且つ高価なQCLを使用していたのに対して、小型且つ安価なレーザーダイオードを用いることができる。これにより、計測装置100自体も小型且つ安価に提供することが可能になる。
特には、整合材32はシリコーンゴムであることが好ましい。これにより、上記効果に加えて、基材31表面に存在する凹凸形状を弾性変形可能なシリコーンゴムで埋めることができる。これにより、指400と基材31との間に空気が入り込み、互いに接触し難くなることを回避することができる。したがって、計測装置100によれば、光音響波の検出感度をよりいっそう向上させることができる。
第二実施形態に係る計測装置及び計測システムについて、図5〜図8を参照して説明する。以降、第二実施形態の説明において、この第二実施形態を、単に本実施形態ともいう。
第一実施形態に係る計測装置100では振動部50を備えていたのに対して、第二実施形態では、第一実施形態の振動部50とは異なる振動部60を備えている点で相違している(図5,図7参照)。本実施形態に係る計測装置及び計測システムは、一部の構成が上述の第一実施形態に係る計測装置及び計測システムと同様に構成されており、第一実施形態に係る計測装置及び計測システムと同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
図5,図6に示すように、本実施形態の計測装置101は、照射部20と、透過伝達部30と、振動部60とを備えている。また、図7に示すように、本実施形態の計測システム2は、計測装置101と、信号処理装置200と、表示装置300とを備えている。
以下、計測装置101及び計測システム2の各構成要素について説明する。
計測装置101の照射部20及び透過伝達部30は、計測装置100と同様に構成されている。
振動部60は、透過伝達部30を伝播する光音響波を受けて振動する。また、振動部60は、固体の部材によって構成されている。さらに、振動部60は、感圧素子61を有する。図5に示すように、振動部60は、透過伝達部30の非対向面30B側に接触して設けられている。また、図5,6に示すように、振動部60は、光源21からの照射光が透過伝達部30を透過することを妨げないようにして透過部位30Cを避けて、透過部位30Cの周囲に設けられている。本実施形態の振動部60は、感圧素子61と、支持部材62と、封止部材63とによって構成されている。
支持部材62は、透過伝達部30の非対向面30B側に接触して設けられている。また、支持部材62は、透過部位30Cを避けて、透過部位30Cの周囲に設けられている。より具体的には、図6に示すように、支持部材62は、透過部位30Cの周りを取り囲む同心円状のリング形状を有する。支持部材62は、透過伝達部30から感圧素子61に光音響波を伝達する。支持部材62を構成する材料は特に限定されないが、例えば、シリコン(Si)が挙げられる。支持部材62は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を利用した微細加工によって形成することができる。
封止部材63は、光を透過するとともに、感圧素子61を真空封止する部材である。封止部材63を構成する材料は特に限定されないが、例えば、上述した基材31で挙げられた材料を用いることができ、中でも、ガラスが好適に用いられる。本実施形態では、透過伝達部30の非対向面30B側に支持部材62が接触して設けられて、さらに支持部材62の外周部に対して封止部材63が非対向面側から覆うように設けられている。これにより、透過伝達部30と支持部材62と封止部材63とによって囲まれる内部空間64が形成される。この内部空間64は、真空状態となる閉鎖空間として封止されている。なお、本明細書において真空状態とは、内部空間64の気圧が大気圧よりも低い状態をいい、好ましくは10Pa以下、より好ましくは0.1Pa以下、さらに好ましくは1×10-3Pa以下である。
さらに、内部空間64を真空状態に保つために気体分子を吸着する真空封止用ゲッター65が、内部空間64内の支持部材62に接して設けられている。
感圧素子61は、感圧素子61Aと、カンチレバー61Bとが積層されることによって構成されており、圧力の変動を検出することができる。
図7に示すように、計測システム2は、図3を参照して説明した計測システム1において、感圧センサ40にかえて、振動部50が振動部60に置き換わった感圧センサ41を有する以外は同様に構成されている。
図8を参照して、本実施形態の計測システム2の動作を説明する。
まず、計測システム2は、検出信号を取得する(ステップS201)。次に、出力部213は、検出信号を基にして、計測結果を表示する(ステップS202)。続いて、検出信号を解析する(ステップS203)。さらに、解析部212は、解析結果を表示する(ステップS204)。これらの動作は、図4を参照して説明した計測システム1の動作(ステップS101〜S104)において、感圧素子51にかえて、感圧素子61が光音響波を検出して検出信号を出力する以外は同様に行うことができる。
本実施形態の計測装置101は、上述したように構成されるため、第一実施形態で上述した作用及び効果のほか、下記のような作用及び効果を得ることができる。
また、計測装置101では、支持部材62は、透過伝達部30の非対向面30B側に接触して、透過部位30Cを避けて周囲に設けられている。これにより、計測装置100と同様に、指400から発生して透過部位30Cを中心に拡がるようにして透過伝達部30を伝播する光音響波を、透過部位30Cを避けて周囲に設けられた支持部材62によって受け止めることができる。さらに、支持部材62が感圧素子61に光音響波を伝達することで、感圧素子61は光音響波を感知することができる。このようにして、計測装置101によれば、光音響波が周囲に散逸することによる検出ロスを軽減することができる。
したがって、計測装置101によれば、光音響波の検出感度をより向上させることができる。
上述した第一実施形態では、感圧素子51が同心円状のリング形状を有する場合を例示した。感圧素子51の形状はこれに限定されず、照射光の透過を妨げないようにして透過部位30Cを避けて周囲に設けられる配置及び形状であれば、適宜変更することができる。例えば、複数の感圧素子51を、透過部位30Cを取り囲むように環状に配置してもよい。この場合、複数の感圧素子51は、互いに間隔をあけて配置してもよいが、検出ロスを低減して検出感度を高める観点からは、環状に配置される感圧素子51どうしの間の間隔が狭くなるように配置することが好ましい。また、複数の感圧素子51は、透過部位30Cを中心として、透過部位30Cから互いに等距離にある位置に配置することが好ましい。
す構成、処理内容、処理条件、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更す
ることができる。したがって、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
照射光の波長が1550nmのレーザーダイオードを光源として用いた。また、厚み1mmのガラス板を透過伝達部として用いた。また、外形0.8cm、内径0.2cm、厚み0.8mmの同心円状のリング形状を有するPZTを感圧素子として用いた。このガラス板の非対向面側に、PZTを貼り付けて、同じく非対向面側に光源を設置することで、実施例1の計測装置とした。
計測対象物として天然ゴムを用いた。ガラス板の対向面側において、平面視で感圧素子と重なる位置に天然ゴムを接触させた。この状態で、非対向面側に配置した光源から天然ゴムに光を照射することで、光音響波の検出信号を計測した。このとき、リング形状の感圧素子の中心における空間部位を通過するようにして、ガラス板を介して天然ゴムに光を照射した。照射条件としては、150nsecのパルス幅の光を1回照射することで行った。計測結果を表1に示す。なお、本明細書の実施例において、計測結果は、検出信号の最大の振幅の大きさを示している。
計測対象物を、人間の指に変更した以外は実施例1と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表1に示す。
感圧素子として、実施例1で用いたPZTを平面視で半分に切断して、半円形状にしたものを感圧素子として用いた以外は実施例1と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。このとき、半円形状の感圧素子は、実施例1で配置した円形状の感圧素子における半円形状の部分が占める位置と同じ位置に配置した。計測結果を表1に示す。
計測対象物を、人間の指に変更した以外は比較例1と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1は比較例1よりも6.2倍の強度の検出信号が得られた。また、実施例2は比較例2よりも7.4倍の強度の検出信号が得られた。ここで、実施例1,2は、比較例1,2と比して、感圧素子の面積が2倍であるのに対して、検出信号の強度が4倍以上となっていた。この結果から、単に感圧素子の面積が増加した分を上回る強度で光音響波が検出できており、透過部位の周囲に振動部を設けることによって検出感度が上昇することが裏付けられた。
<実施例3>
計測対象物を、100mg/dLのグルコースを含むジメチルポリシロキサン(PDMS)(信越化学社製、製品名:KE−1308)の硬化物に変更した以外は実施例1と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表2に示す。
計測対象物のPDMSの硬化物に含まれるグルコースの濃度を、表2に記載の値に変更した以外は実施例3と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表2に示す。
表2に示した実施例3〜5の結果から、PDMSに含まれるグルコースの濃度依存的に信号強度が増加する検出信号を得ることができることが明らかになった。
<実施例6>
照射光の波長が1550nmのレーザーダイオードに加えて、照射光の波長が905nmのレーザーダイオードを光源として用いて、非対向面側に設置することで、実施例6の計測装置とした。
計測対象物として、各種濃度のグルコースを含むPDMSを用いた。ガラス板の対向面側において、平面視で感圧素子と重なる位置PDMS試料を配置した。この状態で、非対向面側に配置した光源からPDMSに光を照射することで、光音響波の検出信号を計測した。このとき、リング形状の感圧素子の中心における空間部位を通過するようにして、ガラス板を介してPDMSの硬化物に光を照射した。照射条件としては、始めに1550nmのレーザーダイオードで150nsecのパルス幅の光を1回照射して、光音響波の検出信号を計測した。その後に照射光の波長が905nmのレーザーダイオードを同条件で照射を行い、光音響波の検出信号を計測した。各波長の計測結果を図9に示す。さらに、図9では、905nmのレーザーダイオードで照射した際の検出信号の振幅に対する、1550nmのレーザーダイオードで照射した際の検出信の振幅の比を表す。図9中において、Ratioは1550nmの波長の光音響と905nmの波長の光音響の信号比を意味する。
図9に示した実施例6の結果から、1550nmの照射光の場合と、905nmの照射光の場合との信号比が、グルコースの濃度(塩水濃度)依存的に増加傾向を示すことが明らかになった。
<実施例7>
感圧素子を、外形1.8cm、内径0.5cm、厚み0.5mmの同心円状のリング形状を有するPMN−PTに変更したものを、実施例7の計測装置とした。この計測装置を用いた以外は、実施例2と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表3に示す。
実施例7の計測装置において、さらにガラス板の対向面側に、シリコーンゴム(信越化学社製、製品名:KE−1308)を薄く塗布することで整合材を設けたものを、実施例8の計測装置とした。この計測装置を用いた以外は、実施例7と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表3に示す。
表3に示した実施例7,8の結果から、指とガラス板との間に、シリコーンゴムの整合材を設けることで、光音響信号が増幅されて、検出感度が向上することが裏付けられた。
100,101音響計測装置
20 照射部
21a,21b 光源
30 透過伝達部
30A 対向面
30B 非対向面
30C 透過部位
31 基材
32 整合材
30D 接触部位
50,60 振動部
51,61,61A 感圧素子
61B カンチレバー
62 支持部材
63 封止部材
64 内部空間
170 検出部
Claims (6)
- 光源から発せられる光を被検体に照射する照射部と、
前記被検体と対向接触して、前記光を透過するとともに前記光の照射によって前記被検体から生じた光音響波を伝達する透過伝達部と、
前記透過伝達部を伝達する前記光音響波を受けて振動し、且つ固体からなる振動部とを備え、
前記照射部は、前記透過伝達部の前記被検体と対向する対向面とは反対側の非対向面側に設けられて、前記透過伝達部を透過して前記被検体に前記光を照射し、
前記透過伝達部は、前記光が透過する透過部位を有し、
前記振動部は、前記透過伝達部の前記非対向面側に接触して、前記光の透過を妨げないようにして前記透過部位を避けて周囲に設けられ、
前記振動部は、
前記透過伝達部の前記非対向面側に接触して、前記透過部位を避けた周囲に設けられるとともに、前記透過伝達部を伝達する前記光音響波によって生じる圧力変動を感知する感圧素子に前記光音響波を伝達する支持部材と、
前記光を透過して、前記感圧素子を真空封止する封止部材とを有する
ことを特徴とする光音響計測装置。 - 前記透過伝達部は、
ガラス又は樹脂からなる板状の基材と、
前記基材の前記対向面に設けられて、前記被検体と前記基材との音響インピーダンスを整合させる、整合材とを有する、
請求項1に記載の光音響計測装置。 - 前記照射部が、前記光の波長が異なる複数の光源を有し、
前記照射部は、前記複数の光源からの前記光をそれぞれ異なるタイミングでパルス状に照射する、
請求項1又は2に記載の光音響計測装置。 - 前記光源が、レーザーダイオードである、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光音響計測装置。 - 前記感圧素子は、圧電式、ピエゾ抵抗式、又は静電容量式である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光音響計測装置。 - 前記感圧素子によって前記光音響波を検出して、前記感圧素子が感知した圧力変動に応じた検出信号を出力する検出部を備える、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
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