JP6826732B2 - 光音響計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光音響波を計測する光音響計測装置に関する。
光音響効果を利用して、計測対象物から生じた光音響波を計測する光音響装置が知られている。光音響装置を用いた光音響計測によれば、生体を計測対象物とすることで、生体内に含まれるグルコース、脂質、ヘモグロビン等の各種物質を検出して、その濃度を計測することができる。また、光音響計測によれば、上述したような生体内に含まれる各種物質の検出を非浸襲で行うことができる。近年の健康意識の高まりに伴い、光音響装置を各家庭に設置して、日常的に光音響計測を行うことで健康管理に役立てることが期待されている。
従来の光音響装置としては、光源として量子カスケードレーザー(QCL;Quantum Cascade Laser)を利用するとともに、QCLから発せられる中赤外の波長領域の光を被検体に照射するものが知られている。しかしながら、このような光源は大型且つ高価であるため、光音響装置の小型化と普及の妨げとなっていた。また、中赤外光は、空気中又は生体内の水により吸収を受けることで減衰しやすいため、中赤外光を照射して光音響計測を行っても皮膚表面の情報を検出することしかできなかった。これに対して、60kHz程度の音まで検出可能な高周波マイクロホンを用いて光音響波を検出することが試みられていたが、感度の向上には限界があった。
そこで、近赤外の波長領域の光を照射する光源を用いた光音響装置も提案されている(例えば、特許文献1,2)。近赤外光は中赤外光よりも水分による吸収が比較的に少ないため、皮膚の深くにまで光を届けることが可能になる。このため、近赤外光を照射して光音響計測を行うことで、生体のより深い所からの情報を検出することができる。
特開第2017−6541号公報 特開第2017−70385号公報
特許文献1,2では、光音響波を受信して電気信号に変換できる変換素子を備える探触子を用いることで、光音響波の検出を行っている。この探触子は、水やマッチングジェル等の音響マッチング媒体が満たされた容器(水槽)中で、音響マッチング媒体と接触している。さらに、この容器の底面はフィルムであって、このフィルムが被検体と接している。そして、被検体から発生した光音響波は、フィルム及び音響マッチング媒体を伝播して、変換素子に到達している。
特許文献1,2では、ロッド状の探触子の先端に平板状の変換素子が設けられている。そして、この探触子の側方に配置された光源から被検体に光を照射して、被検体から発生した光音響波を探触子で検出している。
このように、従来の技術では、近赤外光を発する光源と、光音響波を検出する感圧素子(感圧センサ)とを配置して光音響波の検出を行っているが、さらに光音響波の検出感度が向上した光音響計測装置が求められている。
本件は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、光音響波の検出感度が向上した光音響計測装置を提供することを目的する。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
本件は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1]光源から発せられる光を被検体に照射する照射部と、前記被検体と対向接触して、前記光を透過するとともに前記光の照射によって前記被検体から生じた光音響波を伝達する透過伝達部と、前記透過伝達部を伝達する前記光音響波を受けて振動し、且つ固体からなる振動部とを備え、前記照射部は、前記透過伝達部の前記被検体と対向する対向面とは反対側の非対向面側に設けられて、前記透過伝達部を透過して前記被検体に前記光を照射し、前記透過伝達部は、前記光が透過する透過部位を有し、前記振動部は、前記透過伝達部の前記非対向面側に接触して、前記光の透過を妨げないようにして前記透過部位を避けて周囲に設けられ、前記振動部は、前記透過伝達部の前記非対向面側に接触して、前記透過部位を避けた周囲に設けられるとともに、前記透過伝達部を伝達する前記光音響波によって生じる圧力変動を感知する感圧素子に前記光音響波を伝達する支持部材と、前記光を透過して、前記感圧素子を真空封止する封止部材とを有することを特徴とする光音響計測装置。
]前記透過伝達部は、ガラス又は樹脂からなる板状の基材と、前記基材の前記対向面に設けられて、前記被検体と前記基材との音響インピーダンスを整合させる、整合材とを有する、[1]に記載の光音響計測装置。
]前記照射部が、前記光の波長が異なる複数の光源を有し、前記照射部は、前記複数の光源からの前記光をそれぞれ異なるタイミングでパルス状に照射する、[1]又は2]に記載の光音響計測装置。
]前記光源が、レーザーダイオードである、[1]〜[]のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
]前記感圧素子は、圧電式、ピエゾ抵抗式、又は静電容量式である、[1]〜[]のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
]前記感圧素子によって前記光音響波を検出して、前記感圧素子が感知した圧力変動に応じた検出信号を出力する検出部を備える、[1]〜[]のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
本件によれば、光音響波の検出感度が向上した光音響計測装置を提供することができる。
第一実施形態に係る光音響計測装置の構成を模式的に示す断面図である。 第一実施形態に係る光音響計測装置の構成を模式的に示す平面図である。 第一実施形態に係る光音響計測システムの構成を示すブロック図である。 第一実施形態に係る光音響計測システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。 第二実施形態に係る光音響計測装置の構成を模式的に示す断面図である。 第二実施形態に係る光音響計測装置の構成を模式的に示す平面図である。 第二実施形態に係る光音響計測システムの構成を示すブロック図である。 第二実施形態に係る光音響計測システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。 実施例6に係る光音響計測システムにおける複数波長の信号比とグルコース濃度との関係を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態としての光音響計測装置について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
以下の説明では、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、本実施形態では、光音響計測装置について、被検体に対向して配置される対向面側と、対向面側とは反対側の非対向面側とを結ぶ方向を厚み方向とする。さらに、厚み方向と直交する平面上の任意の方向を平面方向とする。その他、厚み方向の対向面側から視ることを平面視とする。また、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の数値又は物性値を含むものとして用いることとする。例えば「1〜100」との数値範囲の表記は、その上限値「1」及び下限値「100」の双方を包含するものであり、「1以上100以下」を表す。他の数値範囲の表記も同様である。
[I.第一実施形態]
第一実施形態に係る光音響計測装置及び光音響計測システムについて、図1〜図4を参照して説明する。光音響計測装置は、計測対象物に光を照射して、計測対象物から生じた光音響波を検出するものである。また、光音響計測装置は、検出した光音響波の強度を計測する。さらに、光音響計測システムは、光音響計測装置によって検出した検出信号を解析するものである。本実施形態では、計測対象物となる被検体が人体の指先(指の腹)である場合を例示するが、計測対象物及び計測箇所はこれに限定されない。以降、光音響計測装置及び光音響計測システムを、それぞれ「計測装置」及び「計測システム」とも称することがある。
[I−1.構成]
図1,図2に示すように、本実施形態の計測装置100は、照射部20と、透過伝達部30と、振動部50とを備えている。また、図3に示すように、本実施形態の計測システム1は、計測装置100と、信号処理装置200と、表示装置300とを備えている。
以下、計測装置100及び計測システム1の各構成要素について説明する。
[I−1−1.計測装置の構成]
〔照射部〕
図1に示すように、照射部20は、光源21、レンズ22、及び反射ミラー23を有する。照射部20は、光源21から発せられる光を計測対象物である被検体の指400に照射する。照射部20による光の照射は、後述する制御部211によって制御される(図3参照)。照射部20は、後述する透過伝達部30の指400と対向する対向面30Aとは反対側の非対向面30B側に設けられて、透過伝達部30を透過して指400に光を照射する。
<光源>
照射部20は、所定の波長の光を発する光源21を有する。本実施形態では、照射部20が、第一光源21a及び第二光源21bの2つの光源21を有する場合を例示する。なお、本明細書では、第一光源21aと第二光源21bとを特に区別しない場合には、「光源21」として符合を付して説明する場合がある。照射部20は、少なくとも2つ以上の光源21を有する。そして、これら複数の光源21は、それぞれ異なる波長の光を発するものである。照射部は、複数の光源21からの光を、それぞれ異なるタイミングでパルス状に照射する。
光源21としては、計測対象物である被検体に照射光を発して、この照射光によって光音響波を発生させるものを適宜用いることができる。このような光源21としては、例えば、固体レーザー、ガスレーザー、半導体レーザー、化学レーザー等のレーザーや、発光ダイオード等を用いることができる。中でも、指向性や収束性に優れ、高出力が得られる点からレーザーが好ましく、さらに小型、軽量、且つ安価である点から半導体レーザー(レーザーダイオード)がより好ましく用いられる。また、光源21としては、1〜300nsecのパルス幅を有するパルス光を出力するパルス光源が好ましい。
光源21の発する照射光の波長は、計測の対象となる被検体内に含まれる各種物質に伝播して、この各種物質の光吸収特性に応じて吸収されうる波長が選択される。例えば、生体内のグルコースを計測の対象とする場合には、近赤外波長域に属する波長が選択される。この場合、通常600〜2000nm、好ましくは800〜1600nmの波長域である。本実施形態では、第一光源21aが、波長1550nmの第一の照射光を発するパルス・レーザーダイオードであり、第二光源21bが、波長905nmの第二の照射光を発するパルス・レーザーダイオードである場合を例示する。もちろん、計測対象物の光吸収特性に応じて、光源21の発する照射光の波長は、適宜変更することができる。また、ここでは、照射部20が2つの光源21を有する場合を例示したが、これに限定されず、照射光の波長が異なる3つ以上の光源21を有するようにしてもよい。
<レンズ,反射ミラー>
第一光源21aから照射された光は、第一レンズ22aに入射する。第一レンズ22aは、第一光源21aから入射する光を、平行に進行する光(換言すると、平行光)として、反射ミラー23へ出射する。同様に、第二光源21bから照射された光は、第二レンズ22bに入射する。第二レンズ22bは、第二光源21bから入射する光を、平行光として、反射ミラー23へ出射する。なお、本明細書では、第一レンズ22aと第二レンズ22bと後述する第三レンズ22cを特に区別しない場合には、「レンズ22」として符合を付して説明する場合がある。
反射ミラー23は、特定の波長の光を透過して、他の波長の光を反射する選択的反射ミラーである。本実施形態では、反射ミラー23は、第一光源21aからの照射光の波長の光を反射して、第二光源21bからの照射光の波長の光を透過するように構成されている。これにより、第一光源21aからの照射光は反射ミラー23で反射されて、第三レンズ22cに入射する。また、第二光源21bからの照射光は反射ミラー23を透過して、第三レンズ22cに入射する。
第三レンズ22cは、反射ミラー23から入射する平行光を、指400内の1点に収束させるように出射する。これにより、指400の一点に光エネルギーを集中させて、効率的に光音響波を発生させることができる。上述したようにして、第一光源21a及び第二光源21bから出射された光は、指400に照射される。そして、第一光源21a及び第二光源21bからの照射光により、指400から光音響波が生じる。このとき、第一光源21a及び第二光源21bからの照射光は、振動部50を通過するとともに、透過伝達部30を透過して、指400に入射する。なお、光源21から出力された照射光は、例えば光ファイバ、導光板、レンズ及びミラー等の図示しない導光手段を用いて導光されて、指400に照射されるようにしてもよい。この場合も、透過伝達部30の非対向面30B側から光を照射する。
〔透過伝達部〕
透過伝達部30は、基材31と、基材31の対向面30Aに積層して設けられる整合材32とを有する。透過伝達部30は、指400と対向接触して、光源21からの照射光を透過するとともに、照射光によって指400から生じた光音響波を振動部50に伝達する。透過伝達部30は、光源21からの照射光を透過する透過部位30Cを有している。ここで、指400における透過伝達部30と接触している箇所において、透過部位30Cを透過した光が照射されることで指400から光音響波が発せられる位置を発生源400Aと称する。また、透過伝達部30における指400と接触している箇所において、平面視で発生源400Aと一致する部位を接触部位30Dと称する。このとき、平面視で、透過部位30C、接触部位30D、及び発生源400Aの位置は略一致している。
<基材>
基材31は、指400の接触による荷重を支えて、光音響波を検出するための場を提供する板状の部材である。基材31は、光を透過するとともに、振動を伝達する部材であることが好ましい。このような観点から、基材31は、透明又は半透明であって、硬質であり、強度に優れる固体の材料からなることが好ましい。これにより、光源21からの照射光を透過するとともに、指400からの光音響波を伝達することができる。基材31を構成する材料は特に限定されないが、例えば、ガラス、樹脂が好ましく、ガラスがより好ましい。樹脂の中では熱可塑性樹脂が好ましく、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
<整合材>
整合材32は、指400と接触して、指400と基材31との音響インピーダンスを整合させる膜状の部材である。整合材32は、指400と基材31とそれぞれの中間の音響インピーダンスを有することが好ましい。これにより、指400から生じた光音響波が整合材32と基材31とを伝播する際に、部材の界面で生じる反射を抑制して、光音響波の損失を低減することができる。また、整合材32は、透明又は半透明の材料からなることが好ましい。これにより、光源21からの照射光を透過することができる。整合材32を構成する材料は特に限定されないが、弾性を有する材料が好ましく、例えば、シリコーンゴムが挙げられる。中でも、柔らかいシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムの硬度は、デュロメータ硬さタイプAで上限が、通常90以下、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは10以下である。硬度の下限は特に限定されないが、通常1以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上である。シリコーンゴムの硬度が上記範囲内にあると、光音響波の反射を抑えて伝達させやすくなる。
整合材32は、例えば、液状のシリコーンゴムを基材31に塗布して、硬化させることで形成することができる。整合材32は、少なくとも指400が接触する面積よりも大きい面積となるように設けることが好ましい。なお、本実施形態では、被検体が指400の場合の整合材32としてシリコーンゴムを例示したが、被検体と基材31との音響インピーダンスを整合させるものを、整合材32として適宜用いることができる。
〔振動部〕
振動部50は、透過伝達部30を伝播する光音響波を受けて振動する。また、振動部50は、固体の部材によって構成されている。さらに、振動部50は、感圧素子51を有すことで、光音響波を検出することができる。図1に示すように、振動部50は、透過伝達部30の非対向面30B側に接触して設けられている。また、図1,2に示すように、振動部50は、光源21からの照射光が透過伝達部30を透過することを妨げないようにして透過部位30Cを避けて、透過部位30Cの周囲に設けられている。本実施形態の振動部50は、感圧素子51によって構成されている。
<感圧素子>
感圧素子51は、圧力の変動を検出するためのセンシング素子である。感圧素子51は、透過伝達部30を伝播する光音響波によって生じる圧力変動を感知する。本実施形態では、感圧素子51が透過伝達部30の非対向面30B側に接触して、透過部位30Cを避けて、透過部位30Cの周囲に設けられている。これにより、感圧素子51は、光源21からの照射光が透過伝達部30を透過することを妨げないようになっている。
感圧素子51は、特に限定されないが、例えば、圧電式、ピエゾ抵抗式、又は静電容量式によって圧力を感知することができる素子が用いられる。圧電式は、圧電体に圧力が加わることで電荷又は電圧の変化が生じる圧電効果を利用して、圧力を感知する方式である。ピエゾ抵抗式は、ピエゾ抵抗体に圧力が加わることで電気抵抗の変化が生じるピエゾ抵抗効果を利用して、圧力を感知する方式である。静電容量式は、可動電極と固定電極との対向電極において、可動電極に圧力が加わることで電極間の静電容量が変化することを利用して、圧力を感知する方式である。本実施形態では、感圧素子51が、圧電式の超音波トランスデューサである場合を例示する。
感圧素子51は、光照射部20による光の照射によって被検体内に生じた光音響波を検出して、この光音響波による圧力変動に応じた変位を受けて電圧を生じることで検出信号を生成する。具体的には、指400に生じた光音響波が透過伝達部30を介して感圧素子51に伝わり、この光音響波によって感圧素子51に生じた変形に応じた強度の検出信号が出力される。感圧素子51から出力された検出信号は、図示しない信号線を介して、後述するプリアンプ部171に入力される(図3参照)。
圧電式の感圧素子51に用いられる圧電体としては、特に限定されないが、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、及びニオブ酸鉛のセラミック等の圧電セラミック;ニオブ酸リチウム、亜鉛酸ニオブ酸チタン酸鉛(PZNT)、マグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PMN−PT)等の単結晶;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ尿素(PU)等の有機材料、等が挙げられる。これらの中でも、感度に優れ、ガラスからなる基材31との音響インピーダンスマッチングに優れる観点から、圧電セラミックが好ましく、PZTがより好ましい。
図2に示すように、振動部50では、感圧素子51は、透過部位30Cの周りを取り囲む同心円状のリング形状を有する。これにより、透過部位30Cの周辺において、透過伝達部30から感圧素子51に伝わった光音響波は、まず感圧素子51の中央が上下方向に屈曲して、この屈曲が感圧素子51の外周方向に同心円状に伝わるように振動する。このように、感圧素子51は、面外屈曲の振動モードで振動する。なお、感圧素子51の振動モードは特に限定されず、拡がり振動、厚み縦振動、厚み滑り振動等の任意の振動モードであってよい。これらの中でも、面外屈曲、拡がり振動、厚み縦振動が好ましく、面外屈曲がより好ましい。これにより、透過部位30C及び接触部位30Dから広がる光音響波を、対照的な振動モードを用いて検出することで、高感度に計測を行うことができる。
上述した構成により、感圧素子51は、高いQ値を示す。感圧素子51のQ値は特に限定されないが、通常、30以上、好ましくは40以上、であり、通常200以下である。感圧素子51のQ値が上記範囲内にあると、光音響波を高感度で検出しやすくなりやすい。
なお、振動部50が、透過伝達部30の非対向面30B側に接触するとは、振動部50と透過伝達部30とが直接接触された態様のみならず、振動部50と透過伝達部30と間に、任意の接着層が介在した態様を包含する意味である。中でも、振動部50と透過伝達部30との間に空気が介在して空隙が生じることを防ぐため、振動部50と透過伝達部30との間に接着層を設けることが好ましい。この接着層としては特に限定されないが、例えば、上述した整合材32で挙げられた材料を用いることができ、中でも、シリコーンゴムが好適に用いられる。なお、接着層に用いられる材料は、振動部50と透過伝達部30との中間の音響インピーダンスを有することが好ましい。これにより、接着層と、振動部50又は透過伝達部30との界面で生じる、光音響波の反射による損失を軽減することができる。
[I−1−2.計測システムの構成]
〔計測装置〕
図3に示すように、計測装置100を機能的に表すと、照射部20と、透過伝達部30と、感圧センサ40とを備えて構成されている。計測装置100では、照射部20は、被検体に光を照射して、被検体から光音響波を発生させる。透過伝達部30は、被検体から発生した光音響波を感圧センサ40に伝達する。そして、感圧センサ40は、光音響波を検出して、検出信号を出力する。照射部20及び透過伝達部30の構成は、図1を参照して説明した通りである。
<感圧センサ,検出部>
感圧センサ40は、振動部50と、検出部170とを有している。振動部50の構成は、図1,2を参照して説明した通りである。検出部170は、感圧素子51と、プリアンプ部171と、AD変換部172とを有している。検出部170は、感圧素子51が感知した圧力変動に応じた強度の検出信号を出力する。
<プリアンプ部>
プリアンプ部171は、感圧素子51から、検出信号が入力される。プリアンプ部171は、入力された検出信号を増幅する増幅器である。プリアンプ部171は、感圧素子51から入力された検出信号を増幅し、増幅した検出信号をAD変換部172に出力する。
<AD変換部>
AD変換部172は、プリアンプ部171から、増幅された検出信号が入力される。AD変換部172は、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器である。AD変換部172は、プリアンプ部171から入力されたアナログの検出信号を、デジタル化された信号に変換する。AD変換部172は、デジタル化された信号を、後述する信号処理部210に出力する。
〔信号処理装置〕
信号処理装置200を機能的に表すと、信号処理部210を備えて構成されている。信号処理装置200は、計測装置100の制御を行うと共に、検出信号の解析処理を行う。
信号処理装置200は、中央処理装置(CPU;Central Processing Unit)、記憶装置、及び入力装置を備えるコンピュータとして構成されている(いずれも図示略)。なお、本実施形態において、コンピュータとは、ハードウェアとオペレーティングシステムとを含む概念であり、オペレーティングシステムの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、オペレーティングシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。
信号処理部210は、信号処理装置200が備えるCPUによる演算処理によりプログラムを実行することで実現される機能部位であり、各機能は個別のプログラムとして構成されている。信号処理部210は、制御部211、解析部212、及び出力部213として機能する。CPUは、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Device)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のデータやプログラムを格納するデータ記憶装置に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、信号処理部210の各機能部として機能する。なお、信号処理部210における処理機能の実現手段はプログラムに限定されず、信号処理装置200に搭載されるハードウェアにより実現されてもよい。例えば、信号処理部210を、ROM、RAM、CPU等を内蔵したワンチップマイコンとして構成してもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の電子回路として構成してもよい。
<制御部>
制御部211は、照射部20及び検出部170を制御して、これらの動作が同期をとるための信号を出力する処理部である。例えば、制御部211は、照射部20に照射光の出力タイミングを制御する出力タイミング信号を送信するとともに、検出部170による光音響波の検出タイミングを制御する検出タイミング信号を送信する。このように、制御部211が光照射部20と検出部170の動作タイミングを制御する信号を送信することで、照射光の出力と同期して光音響波を検出することができる。また、出力タイミング信号によって、照射部20による照射光の出力時間幅、出力強度を制御することができる。
<解析部>
解析部212は、検出信号を解析して、解析結果を出力する処理部である。計測システム1では、それぞれ異なる波長の光を発する複数の光源21が、出力タイミングをずらして照射光を発する。さらに、検出部170は、複数の光源21のそれぞれの波長に対応した光音響波を検出して、それぞれの波長に対応した複数の信号を含む検出信号を出力する。そして、解析部212は、この検出信号の信号強度(信号ピークの振幅又は面積)を解析することで、光音響波を生じた被検体内に含まれる各種物質の濃度を算出することができる。このような濃度の算出は、公知の手法を利用して行うことができる。解析部212は、解析結果を出力部213に出力する。
<出力部>
出力部213は、検出部170から出力される検出信号を受信して、受信した検出信号を基にして画像信号を生成し、この画像信号を表示装置300に出力することで、表示装置300に検出信号のグラフを表示させる処理部である。または、出力部213は、解析部212から出力される解析結果を受信して、表示装置300に解析結果を表示させることができる。
〔表示装置〕
表示装置300は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Light-Emitting Diode Display)、LEDディスプレイ等のディスプレイである。表示装置300は、信号処理部210で処理された情報を表示することができる。
[I−2.動作]
図4を参照して、本実施形態の計測装置100及び装置システム1の動作を説明する。
まず、計測装置100は、検出信号を取得する(ステップS101)。このとき、制御部211は第一光源21a及び第二光源21bに、交互にパルス状の照射光を発するように出力タイミング信号を送信する。そして、第一光源21a及び第二光源21bは、出力タイミング信号を受信して、パルス状の光を交互に発する。感圧素子51は、パルス状の光の照射によって被検体内に生じた光音響波を検出する。感圧素子51は、光音響波に応じた検出信号を生成して、プリアンプ部171に検出信号を出力する。プリアンプ部171は、入力された検出信号を増幅して、増幅した検出信号をAD変換部172に出力する。AD変換部172は、入力された検出信号をデジタル信号に変換して、変換した検出信号を信号処理部210に出力する。このようにして、第一光源21a及び第二光源21bから発せられる、それぞれ波長の異なるパルス状の照射光に応じた光音響に起因する信号を、交互に含む検出信号が得られる。
次に、出力部213は、検出部170から受信した検出信号を基にして画像信号を生成し、この画像信号を表示装置300に出力する。そして表示装置300は、計測結果を表示する(ステップS102)。
続いて、解析部212は、検出部170から受信した検出信号を解析する(ステップS103)。さらに、解析部212は、解析結果を表示装置300に出力する。そして表示装置300は、解析結果を表示する(ステップS104)。
[I−3.作用及び効果]
従来、光源と感圧センサとを備える光音響計測装置を用いた光音響計測が行われてきた。このとき、例えば、計測対象物から生じた光音響波が空気を介して伝播する場合には光音響波が大きく減衰するため、例えば、計測対象物と感圧センサとの間に、計測対象物と対向接触して、光源からの光を透過するとともに光音響波を伝達する透過伝達部材を介在させることがある。しかしながら、この場合であっても、計測対象物と透過伝達部材との接触部位に対する感圧センサの配置が最適化されているとはいえず、検出感度の向上が望まれていた。
(1)計測装置100は、照射部20と、透過伝達部30と、振動部50とを備える。さらに、振動部50は、感圧素子51を有し、透過伝達部30の非対向面側30Bに接触して、透過部位30Cを避けて周囲に設けられる。また、照射部20は、透過伝達部30の非対向面側30Bに設けられており、指400に光を照射する。このとき、照射光は、透過部位30Cを囲む振動部50の間を抜けて、透過部位30Cを透過して、指400に入射する。これにより、照射光を受けて指400の発生源400Aで生じた光音響波は、まず、指400と対向接触する部位である透過伝達部30の接触部位30Dに伝播する。さらに、この接触部位30Dの周囲に設けられている振動部50が、透過伝達部30を伝播する光音響波を受けて振動することで、光音響波を検出することができる。このように、透過部位30Cを透過した光を受けて指400から発生して、透過部位30Cを中心に拡がるようにして透過伝達部30を伝播する光音響波を、透過部位30Cを避けて周囲に設けられた振動部50によって検出することができる。このとき、例えば、透過部位30Cから離れた1点の位置で光音響波を検出する場合と比して、光音響波が周囲に散逸することによる検出ロスを軽減することができる。
また、固体からなる振動部50が透過伝達部30に接触して、光音響波を伝達することで、光音響波が空気を介さずに固体中を伝播することになる。また、指400とこれらの音響インピーダンスが比較的に近いため、光音響波が伝播する際の界面での反射による損失を低減することができる。すなわち、計測装置100は、指400からの光音響波を、透過伝達部30と振動部50とを介して直接的に検出することができる。中でも、透過伝達部30がガラスや樹脂等の固体からなり、固体からなる振動部50が光音響波を伝達する場合には、例えば、板状又はフィルム状の部材に接触した被検体からの光音響波が水やジェル状の部材を介して伝播する場合よりも、音響インピーダンスマッチングに優れるため、光音響波の損失をより低減することができる。
したがって、計測装置100によれば、光音響波の検出感度を向上させることができる。また、検出感度の向上によって、例えば、光源として、従来は大型且つ高価なQCLを使用していたのに対して、小型且つ安価なレーザーダイオードを用いることができる。これにより、計測装置100自体も小型且つ安価に提供することが可能になる。
(2)計測装置100では、感圧素子51は、透過伝達部30の非対向面30B側に接触して、透過部位30Cを取り囲む同心円状のリング形状を有する。これにより、接触部位30Dから同心円状に拡散する光音響波に対して、これと同様の形状を有する感圧素子51によって敏感に検出することができる。したがって、計測装置100によれば、光音響波の検出感度をより向上させることができる。
(3)計測装置100では、透過伝達部30は、基材31と、対向面30Aに設けられる整合材32とを有している。これにより、指400は整合材32と接触して、整合材32に伝播した光音響波が、さらに基材31へと伝播することになる。このとき。整合材32が、指400と基材31との音響インピーダンスを整合させることで、指400と基材31との間で生じる光音響波の界面での反射を抑制して、損失を低減することができる。したがって、計測装置100によれば、光音響波の検出感度をさらに向上させることができる。
特には、整合材32はシリコーンゴムであることが好ましい。これにより、上記効果に加えて、基材31表面に存在する凹凸形状を弾性変形可能なシリコーンゴムで埋めることができる。これにより、指400と基材31との間に空気が入り込み、互いに接触し難くなることを回避することができる。したがって、計測装置100によれば、光音響波の検出感度をよりいっそう向上させることができる。
(4)計測装置100では、照射部20が、照射光の波長が異なる複数の光源21a,21bを有しており、光源21a,21bからの光をそれぞれ異なるタイミングでパルス状に照射する。これにより、波長が異なる光を、タイミングをずらして指400に照射することができる。このとき、指400に含まれる各種物質の吸収波長帯の相違を利用して、照射光の波長に応じて強度が時間的に変化する光音響波を検出することができる。よって、これらの光音響波を検出することで得られる検出信号を利用することで、指400に含まれる各種物質の成分分析が可能となる。
[II.第二実施形態]
第二実施形態に係る計測装置及び計測システムについて、図5〜図8を参照して説明する。以降、第二実施形態の説明において、この第二実施形態を、単に本実施形態ともいう。
第一実施形態に係る計測装置100では振動部50を備えていたのに対して、第二実施形態では、第一実施形態の振動部50とは異なる振動部60を備えている点で相違している(図5,図7参照)。本実施形態に係る計測装置及び計測システムは、一部の構成が上述の第一実施形態に係る計測装置及び計測システムと同様に構成されており、第一実施形態に係る計測装置及び計測システムと同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
[II−1.構成]
図5,図6に示すように、本実施形態の計測装置101は、照射部20と、透過伝達部30と、振動部60とを備えている。また、図7に示すように、本実施形態の計測システム2は、計測装置101と、信号処理装置200と、表示装置300とを備えている。
以下、計測装置101及び計測システム2の各構成要素について説明する。
[II−1−1.計測装置の構成]
計測装置101の照射部20及び透過伝達部30は、計測装置100と同様に構成されている。
〔振動部〕
振動部60は、透過伝達部30を伝播する光音響波を受けて振動する。また、振動部60は、固体の部材によって構成されている。さらに、振動部60は、感圧素子61を有する。図5に示すように、振動部60は、透過伝達部30の非対向面30B側に接触して設けられている。また、図5,6に示すように、振動部60は、光源21からの照射光が透過伝達部30を透過することを妨げないようにして透過部位30Cを避けて、透過部位30Cの周囲に設けられている。本実施形態の振動部60は、感圧素子61と、支持部材62と、封止部材63とによって構成されている。
<支持部材>
支持部材62は、透過伝達部30の非対向面30B側に接触して設けられている。また、支持部材62は、透過部位30Cを避けて、透過部位30Cの周囲に設けられている。より具体的には、図6に示すように、支持部材62は、透過部位30Cの周りを取り囲む同心円状のリング形状を有する。支持部材62は、透過伝達部30から感圧素子61に光音響波を伝達する。支持部材62を構成する材料は特に限定されないが、例えば、シリコン(Si)が挙げられる。支持部材62は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を利用した微細加工によって形成することができる。
<封止部材>
封止部材63は、光を透過するとともに、感圧素子61を真空封止する部材である。封止部材63を構成する材料は特に限定されないが、例えば、上述した基材31で挙げられた材料を用いることができ、中でも、ガラスが好適に用いられる。本実施形態では、透過伝達部30の非対向面30B側に支持部材62が接触して設けられて、さらに支持部材62の外周部に対して封止部材63が非対向面側から覆うように設けられている。これにより、透過伝達部30と支持部材62と封止部材63とによって囲まれる内部空間64が形成される。この内部空間64は、真空状態となる閉鎖空間として封止されている。なお、本明細書において真空状態とは、内部空間64の気圧が大気圧よりも低い状態をいい、好ましくは10Pa以下、より好ましくは0.1Pa以下、さらに好ましくは1×10-3Pa以下である。
さらに、内部空間64を真空状態に保つために気体分子を吸着する真空封止用ゲッター65が、内部空間64内の支持部材62に接して設けられている。
<感圧素子>
感圧素子61は、感圧素子61Aと、カンチレバー61Bとが積層されることによって構成されており、圧力の変動を検出することができる。
感圧素子61Aは、感圧素子51と同様に、圧電式、ピエゾ抵抗式、又は静電容量式によって圧力の変動を検出するためのセンシング素子である。本実施形態では、感圧素子61Aが、圧電式のMEMS型振動子である場合を例示する。
カンチレバー61Bは、一方が支持体62上に支持される片持ち梁構造を有している。カンチレバー61Bは、例えば、支持部材62と同様に、MEMSを利用したシリコンの微細加工によって形成することができる。なお、本実施形態では、カンチレバー61Bが片持ち梁構造を有するものを例示するが、両持ち梁構造であってもよい。
感圧素子61は、光照射部20による光の照射によって被検体内に生じた光音響波を検出して、この光音響波による圧力変動に応じた変位を受けて電圧を生じることで検出信号を生成する。具体的には、指400に生じた光音響波が透過伝達部30を介して支持部材62に伝わる。さらに、光音響波が支持部材62からカンチレバー61Bに伝わることで、カンチレバー61Bに光音響波による圧力変動に応じた変形が生じる。このとき、カンチレバー61Bに積層された感圧素子61Aがカンチレバー61Bとともに変形することで、この変形に応じた強度の検出信号が感圧素子61Aから出力される。感圧素子61から出力された検出信号は、図示しない信号線を介して、後述するプリアンプ部171に入力される。
図6に示すように、振動部60では、支持部材62が透過部位30Cの周りを取り囲む同心円状のリング形状を有する。さらに、支持部材62の内周端から内周方向に向けて、感圧素子61が片持ち梁構造で設けられている。このようにして、感圧素子61及び支持部材62は、透過部位30Cを避けて設けられている。また、封止部材63は、照射光を透過するものである。すなわち、振動部60は、光源21からの照射光が透過伝達部30を透過することを妨げないようになっている。
上述した構成により、感圧素子61は、高いQ値を示す。感圧素子61のQ値は特に限定されないが、通常、100以上、好ましくは1000以上、より好ましくは10000以上である。感圧素子61のQ値が高いほど光音響波を高感度で検出しやすくなりやすい。
[II−1−2.計測システムの構成]
図7に示すように、計測システム2は、図3を参照して説明した計測システム1において、感圧センサ40にかえて、振動部50が振動部60に置き換わった感圧センサ41を有する以外は同様に構成されている。
[II−2.動作]
図8を参照して、本実施形態の計測システム2の動作を説明する。
まず、計測システム2は、検出信号を取得する(ステップS201)。次に、出力部213は、検出信号を基にして、計測結果を表示する(ステップS202)。続いて、検出信号を解析する(ステップS203)。さらに、解析部212は、解析結果を表示する(ステップS204)。これらの動作は、図4を参照して説明した計測システム1の動作(ステップS101〜S104)において、感圧素子51にかえて、感圧素子61が光音響波を検出して検出信号を出力する以外は同様に行うことができる。
[II−3.作用及び効果]
本実施形態の計測装置101は、上述したように構成されるため、第一実施形態で上述した作用及び効果のほか、下記のような作用及び効果を得ることができる。
計測装置101では、振動部60は、感圧素子61に光音響波を伝達する支持部材62と、封止部材63とを有している。封止部材63が感圧素子61を真空封止することで、感圧素子61が空気の粘性の影響を受けずに、光音響波に応じて鋭敏に振動することが可能になる。
また、計測装置101では、支持部材62は、透過伝達部30の非対向面30B側に接触して、透過部位30Cを避けて周囲に設けられている。これにより、計測装置100と同様に、指400から発生して透過部位30Cを中心に拡がるようにして透過伝達部30を伝播する光音響波を、透過部位30Cを避けて周囲に設けられた支持部材62によって受け止めることができる。さらに、支持部材62が感圧素子61に光音響波を伝達することで、感圧素子61は光音響波を感知することができる。このようにして、計測装置101によれば、光音響波が周囲に散逸することによる検出ロスを軽減することができる。
したがって、計測装置101によれば、光音響波の検出感度をより向上させることができる。
[III.その他]
上述した第一実施形態では、感圧素子51が同心円状のリング形状を有する場合を例示した。感圧素子51の形状はこれに限定されず、照射光の透過を妨げないようにして透過部位30Cを避けて周囲に設けられる配置及び形状であれば、適宜変更することができる。例えば、複数の感圧素子51を、透過部位30Cを取り囲むように環状に配置してもよい。この場合、複数の感圧素子51は、互いに間隔をあけて配置してもよいが、検出ロスを低減して検出感度を高める観点からは、環状に配置される感圧素子51どうしの間の間隔が狭くなるように配置することが好ましい。また、複数の感圧素子51は、透過部位30Cを中心として、透過部位30Cから互いに等距離にある位置に配置することが好ましい。
上述した第一実施形態では、基材31がガラスであって、感圧素子51がPZTである場合を例示した。基材31及び感圧素子51はこれらに限定されず、適宜変更することができる。中でも、基材31と感圧素子51との音響インピーダンスが近い組み合わせを選択することが好ましい。例えば、基材31としてシリコーンゴムを用いて、感圧素子としてPVDFを用いてもよい。
上述した第二実施形態では、透過伝達部30にシリコンからなる支持部材62が設けられる場合を例示した。振動部60の構成はこれに限定されず、指400からの光音響波を透過伝達部30及び支持部材62を通じて感圧素子61に伝達できるものであれば適宜変更してもよい。例えば、振動部60は、支持部材62の被検体と対向する側に、第二封止部材を設けてもよい。第二封止部材を構成する材料としては、封止部材63と同様に、例えばガラスが用いられる。この場合、振動部は、被検体と対向する側から順に、第二封止部材、支持部材62、封止部材63の順で積層される。さらに、第二封止部材と支持部材62と封止部材63とによって囲まれる内部空間は、真空状態となっている。そして、この振動部は、第二封止部材が透過伝達部30の非対向面30Bと接触するようにして設けられる。このとき、振動部と透過伝達部30とは、第二封止部材と透過伝達部30とが直接接触されていてもよく、第二封止部材と透過伝達部30との間に、シリコーンゴム等の任意の接着層が介在していてもよい。これにより、振動部は、指400からの光音響波を、透過伝達部30、第二封止部材、及び支持部材62を通じて感圧素子61まで伝達することで、検出を行うことができる。この場合も、光が第二封止部材を透過するため、振動部は光源21からの照射光が透過伝達部30を透過することを妨げないようになっている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比較例に示
す構成、処理内容、処理条件、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更す
ることができる。したがって、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1,2、比較例1,2〕
<実施例1>
照射光の波長が1550nmのレーザーダイオードを光源として用いた。また、厚み1mmのガラス板を透過伝達部として用いた。また、外形0.8cm、内径0.2cm、厚み0.8mmの同心円状のリング形状を有するPZTを感圧素子として用いた。このガラス板の非対向面側に、PZTを貼り付けて、同じく非対向面側に光源を設置することで、実施例1の計測装置とした。
計測対象物として天然ゴムを用いた。ガラス板の対向面側において、平面視で感圧素子と重なる位置に天然ゴムを接触させた。この状態で、非対向面側に配置した光源から天然ゴムに光を照射することで、光音響波の検出信号を計測した。このとき、リング形状の感圧素子の中心における空間部位を通過するようにして、ガラス板を介して天然ゴムに光を照射した。照射条件としては、150nsecのパルス幅の光を1回照射することで行った。計測結果を表1に示す。なお、本明細書の実施例において、計測結果は、検出信号の最大の振幅の大きさを示している。
<実施例2>
計測対象物を、人間の指に変更した以外は実施例1と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表1に示す。
<比較例1>
感圧素子として、実施例1で用いたPZTを平面視で半分に切断して、半円形状にしたものを感圧素子として用いた以外は実施例1と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。このとき、半円形状の感圧素子は、実施例1で配置した円形状の感圧素子における半円形状の部分が占める位置と同じ位置に配置した。計測結果を表1に示す。
<比較例2>
計測対象物を、人間の指に変更した以外は比較例1と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表1に示す。
Figure 0006826732
<検討>
表1から明らかなように、実施例1は比較例1よりも6.2倍の強度の検出信号が得られた。また、実施例2は比較例2よりも7.4倍の強度の検出信号が得られた。ここで、実施例1,2は、比較例1,2と比して、感圧素子の面積が2倍であるのに対して、検出信号の強度が4倍以上となっていた。この結果から、単に感圧素子の面積が増加した分を上回る強度で光音響波が検出できており、透過部位の周囲に振動部を設けることによって検出感度が上昇することが裏付けられた。
〔実施例3〜5〕
<実施例3>
計測対象物を、100mg/dLのグルコースを含むジメチルポリシロキサン(PDMS)(信越化学社製、製品名:KE−1308)の硬化物に変更した以外は実施例1と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表2に示す。
<実施例4,5>
計測対象物のPDMSの硬化物に含まれるグルコースの濃度を、表2に記載の値に変更した以外は実施例3と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表2に示す。
Figure 0006826732
<検討>
表2に示した実施例3〜5の結果から、PDMSに含まれるグルコースの濃度依存的に信号強度が増加する検出信号を得ることができることが明らかになった。
〔実施例6〕
<実施例6>
照射光の波長が1550nmのレーザーダイオードに加えて、照射光の波長が905nmのレーザーダイオードを光源として用いて、非対向面側に設置することで、実施例6の計測装置とした。
計測対象物として、各種濃度のグルコースを含むPDMSを用いた。ガラス板の対向面側において、平面視で感圧素子と重なる位置PDMS試料を配置した。この状態で、非対向面側に配置した光源からPDMSに光を照射することで、光音響波の検出信号を計測した。このとき、リング形状の感圧素子の中心における空間部位を通過するようにして、ガラス板を介してPDMSの硬化物に光を照射した。照射条件としては、始めに1550nmのレーザーダイオードで150nsecのパルス幅の光を1回照射して、光音響波の検出信号を計測した。その後に照射光の波長が905nmのレーザーダイオードを同条件で照射を行い、光音響波の検出信号を計測した。各波長の計測結果を図9に示す。さらに、図9では、905nmのレーザーダイオードで照射した際の検出信号の振幅に対する、1550nmのレーザーダイオードで照射した際の検出信の振幅の比を表す。図9中において、Ratioは1550nmの波長の光音響と905nmの波長の光音響の信号比を意味する。
<検討>
図9に示した実施例6の結果から、1550nmの照射光の場合と、905nmの照射光の場合との信号比が、グルコースの濃度(塩水濃度)依存的に増加傾向を示すことが明らかになった。
〔実施例7,8〕
<実施例7>
感圧素子を、外形1.8cm、内径0.5cm、厚み0.5mmの同心円状のリング形状を有するPMN−PTに変更したものを、実施例7の計測装置とした。この計測装置を用いた以外は、実施例2と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表3に示す。
<実施例8>
実施例7の計測装置において、さらにガラス板の対向面側に、シリコーンゴム(信越化学社製、製品名:KE−1308)を薄く塗布することで整合材を設けたものを、実施例8の計測装置とした。この計測装置を用いた以外は、実施例7と同様にして、光音響波の検出信号を計測した。計測結果を表3に示す。
Figure 0006826732
<検討>
表3に示した実施例7,8の結果から、指とガラス板との間に、シリコーンゴムの整合材を設けることで、光音響信号が増幅されて、検出感度が向上することが裏付けられた。
本件の計測装置及び計測システムは、光音響計測を利用して、非浸襲で被検体の体内に含まれる各種物質を検出することができる。また、光源としてレーザーダイオードを用いることで計測装置を小型且つ安価に提供することが可能である。さらに、本件の計測装置によれば、透過伝達部に指を触れるだけで生体内の物質のモニタリングが可能であり、例えば、血糖値の計測が可能となる。これにより、例えば、本件の計測装置を住宅の洗面台に内蔵して、透過伝達部の透過部位を露出するようにしておくことで、これに触れた被検体が日常生活の中で健康診断を行うことができ、日々の健康管理に活用することができる。
1,2 光音響計測システム
100,101音響計測装置
20 照射部
21a,21b 光源
30 透過伝達部
30A 対向面
30B 非対向面
30C 透過部位
31 基材
32 整合材
30D 接触部位
50,60 振動部
51,61,61A 感圧素子
61B カンチレバー
62 支持部材
63 封止部材
64 内部空間
170 検出部

Claims (6)

  1. 光源から発せられる光を被検体に照射する照射部と、
    前記被検体と対向接触して、前記光を透過するとともに前記光の照射によって前記被検体から生じた光音響波を伝達する透過伝達部と、
    前記透過伝達部を伝達する前記光音響波を受けて振動し、且つ固体からなる振動部とを備え、
    前記照射部は、前記透過伝達部の前記被検体と対向する対向面とは反対側の非対向面側に設けられて、前記透過伝達部を透過して前記被検体に前記光を照射し、
    前記透過伝達部は、前記光が透過する透過部位を有し、
    前記振動部は、前記透過伝達部の前記非対向面側に接触して、前記光の透過を妨げないようにして前記透過部位を避けて周囲に設けられ、
    前記振動部は、
    前記透過伝達部の前記非対向面側に接触して、前記透過部位を避けた周囲に設けられるとともに、前記透過伝達部を伝達する前記光音響波によって生じる圧力変動を感知する感圧素子に前記光音響波を伝達する支持部材と、
    前記光を透過して、前記感圧素子を真空封止する封止部材とを有する
    ことを特徴とする光音響計測装置
  2. 前記透過伝達部は、
    ガラス又は樹脂からなる板状の基材と、
    前記基材の前記対向面に設けられて、前記被検体と前記基材との音響インピーダンスを整合させる、整合材とを有する、
    請求項1に記載の光音響計測装置。
  3. 前記照射部が、前記光の波長が異なる複数の光源を有し、
    前記照射部は、前記複数の光源からの前記光をそれぞれ異なるタイミングでパルス状に照射する、
    請求項1又は2に記載の光音響計測装置。
  4. 前記光源が、レーザーダイオードである、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
  5. 前記感圧素子は、圧電式、ピエゾ抵抗式、又は静電容量式である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
  6. 前記感圧素子によって前記光音響波を検出して、前記感圧素子が感知した圧力変動に応じた検出信号を出力する検出部を備える、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の光音響計測装置。
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