JP6825527B2 - 車両運転支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自車両の前方領域を走行する他車両(前方車両)の走行軌跡に基づく目標走行ラインに沿って自車両を走行させる操舵制御を行う車両運転支援装置に関する。
従来から知られる車両運転支援装置の一つ(以下、「従来装置」と称呼される。)は、自車両の前方を走行する前方車両の中から選択した操舵追従目標車両の走行軌跡を生成する。従来装置は、生成した走行軌跡に基づく目標走行ラインに沿って自車両を走行させるように操舵制御(操舵追従制御)を行う。
操舵追従制御を行うとき、操舵追従目標車両が走行レーン(走行車線)を逸脱している状況にある場合、その走行軌跡が走行ラインの中央付近から大きくずれている可能性が高い。従って、この場合、従来装置は、生成した走行軌跡を用いて目標走行ラインを設定することは好ましくない。このため、従来装置は、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にあるか否かを次のように判定し、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にある場合、操舵追従制御を停止する。
従来装置は、操舵追従目標車両が現在の自車両の位置に対応する走行軌跡上の位置(以下、「自車両対応位置」と称呼される。)に存在していた時点の、操舵追従目標車両と白線との位置関係を、操舵追従目標車両の走行軌跡を用いて取得する。
即ち、従来装置は、まず、自車両対応位置に存在していたときの過去の操舵追従目標車両(以下、単に「過去の操舵追従目標車両」と称呼される。)と白線との位置関係として、自車両対応位置と白線との車線幅方向の第1距離DL1、過去の操舵追従目標車両の白線に対する第1ヨー角θ1を取得する。なお、第1ヨー角θ1は、自車両の操舵追従目標車両の走行軌跡に対するヨー角θ3から自車両の白線に対するヨー角θ4を減算することにより算出する。
次に、従来装置は、下記数式により、過去の操舵追従目標車両が白線に到達するまでの到達予想時間Tx1と、操舵追従目標車両が自車両対応位置から現在位置までに移動するのにかかる移動時間Tx2とを算出する。
到達予想時間Tx1=「第1距離DL1/推定横速度(操舵追従目標車両の車速v×sinθ1)」
移動時間Tx2=「車間距離/操舵追従目標車両の車速v」
更に、従来装置は、判定時間Tx=到達予想時間Tx1から移動時間Tx2を減ずることにより、判定時間Tx(=到達予想時間Tx1−移動時間Tx2)を算出する。判定時間Txが所定閾値より小さいとき、従来装置は、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にあると判定し、操舵追従制御を停止する(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2016−101783号公報
従来装置は、操舵追従目標車両が自車両対応位置から現在位置まで移動している間、操舵追従目標車両の白線に対するヨー角が、一定であって第1ヨー角θ1から変化しないことを前提として、操舵追従目標車両の走行レーン逸脱を判定している。
ところが、実際には、操舵追従目標車両が自車両対応位置から現在位置まで移動している間、操舵追従目標車両の白線に対するヨー角が、第1ヨー角θ1から変化していることがあり得る。この場合、到達予想時間Tx1の精度が低くなることにより、判定時間Txの精度が低下するので、操舵追従目標車両の走行レーン逸脱の判定精度が低下してしまう。
これに対して、本願発明者は、次のような車両運転支援装置を検討した。
即ち、この車両運転支援装置は、操舵追従目標車両が自車両対応位置から現在位置まで移動している間、操舵追従目標車両の白線に対するヨー角が、過去の操舵追従目標車両の第1ヨー角θ1の変化率で変化するとみなし、操舵追従目標車両の白線に対するヨー角を推定する。更に、この車両運転支援装置は、推定したヨー角を用いて操舵追従目標車両の横速度を推定する。
そして、車両運転支援装置は、推定した推定横速度が所定閾値以上である場合、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にあると判定する。推定横速度が所定閾値より小さい場合、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にないと判定する。
しかしながら、操舵追従目標車両が、現在の自車両位置から現在位置まで移動している間、操舵追従目標車両の白線に対するヨー角の変化率が第1ヨー角変化率から変化することがあり得る。この場合、当該ヨー角の変化率の変化分に対応する推定横速度の変化分だけ、推定横速度が、実際の推定横速度より大きくなったり、或いは、小さくなったりする誤差が生じてしまう。
従って、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定が、実際の走行レーン逸脱の開始時点より遅れてしまうことがあり得る。更に、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定が、過剰に行われてしまうことにより、当該判定に伴う操舵追従制御の停止が過剰に行われてしまうことがあり得る。
本発明は上述した課題に対処するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定が、実際の走行レーン逸脱の開始時点より遅れる可能性を低くすることができると共に、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定に伴う操舵追従制御の停止が過剰に行われる可能性を低くすることができる車両運転支援装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)を提供することにある。
本発明装置は、自車両(SV)が走行している走行レーンの区画線を認識する区画線認識部と(17b)、
前記自車両の前方を走行する前方車両の中から特定した操舵追従目標車両(TV)の走行軌跡を生成する走行軌跡生成部(10)と、
前記操舵追従目標車両の車速を取得する車速取得部(17)と、
前記操舵追従目標車両の前記走行レーンからの逸脱状況を判定する走行レーン逸脱状況判定部(10)と、
前記区画線及び前記走行軌跡の少なくとも一つに基づいて設定した目標走行ラインに沿って前記自車両を走行させるように、前記自車両の操舵角を変更する操舵追従制御を実行する走行制御部(10)と、
を備え、
前記走行レーン逸脱状況判定部は、
前記自車両と縦距離が同じであって横位置が前記走行軌跡上の位置にある自車両対応位置に存在していたときの過去の操舵追従目標車両(TVp)の前記区画線と前記過去の操舵追従目標車両との間の車線幅方向の第1距離(DL1)、前記過去の操舵追従目標車両の前記区画線に対する第1ヨー角(θ1)、及び、前記第1ヨー角の単位時間当たりの変化量である第1ヨー角変化率(θ1’)からなるパラメータを、前記認識した区画線、及び、前記走行軌跡に基づいて取得し(ステップ625)、
前記取得したパラメータ、前記車速、及び、前記過去の操舵追従目標車両が前記操舵追従目標車両の位置まで移動するのにかかる第1移動時間を、下記(第1数式)乃至下記(第3数式)に適用して、前記操舵追従目標車両と前記区画線との間の車線幅方向の第2距離、及び、前記操舵追従目標車両の推定横速度を算出し(ステップ630)、
前記算出した第2距離を前記算出した推定横速度で除することにより、前記操舵追従目標車両が白線に到達するまでの逸脱予測時間を算出する(ステップ630)ように構成される。
Figure 0006825527
(DL2:第2距離、DL1:第1距離、v:操舵追従目標車両の車速、θ1:第1ヨー角、θ1’:第1ヨー角変化率、Tx2:第1移動時間)

θ2=θ1+(θ1’×Tx2)・・・(第2数式)
(θ2:第2ヨー角、θ1:第1ヨー角、θ1’:第1ヨー角変化率、Tx2:第1移動時間)

v2=v×θ2・・・(第3数式)
(v2:推定横速度、v:操舵追従目標車両の車速、θ2:第2ヨー角)
判定に用いる第2距離、推定横速度及び逸脱予測時間(以下、「判定パラメータ」と称呼される。)は、操舵追従目標車両が、自車両対応位置から現在位置までに移動する間の操舵追従目標車両の白線に対するヨー角の変化率が、一定であって第1ヨー角変化率θ1’から変化しないとみなして、算出されている。しかしながら、実際の操舵追従目標車両の上記白線に対するヨー角の変化率は、第1ヨー角変化率から大きくなったり、小さくなったりして、変化していることがあり得る。
このとき、操舵追従目標車両が自車両対応位置から現在位置まで移動する間に、実際の操舵追従目標車両の白線に対するヨー角の変化率が、第1ヨー角変化率から変化している場合、判定パラメータは、第1ヨー角変化率の変化分だけ、実際の判定パラメータに対して誤差を有する。
従って、仮に判定パラメータに基づいて、操舵追従目標車両の走行レーン逸脱状況を判定した場合、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定が、実際の走行レーン逸脱の開始時点より遅れてしまうことがあり得る。更に、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱しているとの判定が、過剰に行われてしまうことにより、当該判定に伴う操舵追従制御の停止が過剰に行われてしまうことがあり得る。
そこで、前記走行レーン逸脱走行状況判定部は、
前記第2距離が第1閾値距離以下であるとの第1逸脱完了判定条件、前記推定横速度が第1閾値横速度以上であるとの第2逸脱完了判定条件、及び、前記逸脱予測時間が第1閾値時間以下であるとの第3逸脱完了判定条件の少なくとも何れかが成立するとき、前記操舵追従目標車両が逸脱完了状況にあると判定し(ステップ635での「Yes」との判定)、
前記操舵追従目標車両が前記逸脱完了状況にない場合において(ステップ636での「No」との判定)、前記第2距離が前記第1閾値距離より大きい値である第2閾値距離以下であるとの第1逸脱開始判定条件、前記推定横速度が前記第1閾値横速度より小さい値である第2閾値横速度以上であるとの第2逸脱開始判定条件、及び、前記逸脱予測時間が前記第1閾値時間より大きい値である第2閾値時間以下であるとの第3逸脱開始判定条件の少なくとも何れかが成立するとき、前記操舵追従目標車両が逸脱開始状況にあると判定し(ステップ640での「Yes」との判定)、
前記操舵追従目標車両が前記逸脱完了状況、及び、前記逸脱開始状況にない場合、前記操舵追従目標車両が走行レーン内状況にあると判定し(ステップ645での「No」との判定、ステップ640での「No」との判定)、
前記走行制御部は、
前記操舵追従目標車両が前記走行レーン内状況にある場合(ステップ645での「No」との判定、ステップ640での「No」との判定)、前記操舵角の大きさが第1操舵角ガード値を超えないように前記操舵角に制限を加える第1操舵角大きさ制限処理、及び、前記操舵角の単位時間当たりの変化量である操舵角速度の大きさが第1操舵角速度ガード値を超えないように前記操舵角に制限を加える第1操舵角速度大きさ制限処理、の少なくとも一方を含む第1制限処理を行って(ステップ645)、前記操舵追従制御を行う第1操舵追従制御を行い(ステップ655)、
前記操舵追従目標車両が前記逸脱開始状況にある場合(ステップ640での「Yes」との判定)、前記操舵角の大きさが前記第1操舵角ガード値よりも小さい第2操舵角ガード値を超えないように前記操舵角に制限を加える処理であって前記第1操舵角大きさ制限処理に代わる第2操舵角大きさ制限処理、及び、前記操舵角速度の大きさが前記第1操舵角速度ガード値よりも小さい第2操舵角速度ガード値を超えないように前記操舵角に制限を加える処理であって前記第1操舵角速度大きさ制限処理に代わる第2操舵角速度大きさ制限処理、の少なくとも一方を含む第2制限処理を行って(ステップ650)、前記操舵追従制御を行う第2操舵追従制御を行い(ステップ655)、
前記操舵追従目標車両が前記逸脱完了状況にある場合(ステップ635での「Yes」との判定)、前記操舵追従制御を停止する、ように構成される。
これにより、操舵追従目標車両が走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定が、実際の走行レーン逸脱の開始時点より遅れる可能性を低くすることができると共に、当該判定に伴う操舵追従制御の停止が過剰に行われる可能性を低くすることができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、上記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明の実施形態に係る車両運転支援装置の概略構成図である。 図2は車線維持制御を説明するための平面図である。 図3(A)は車線維持制御を説明するための平面図である。図3(B)は走行軌跡の3次関数の係数と曲率等との関係を説明するための数式である。図3(C)は走行軌跡の3次関数の係数と曲率等との関係を説明するための数式である。 図4は本発明の実施形態に係る車両運転支援装置の作動を説明するための道路及び車両の平面図である。 図5(A)は判定パラメータの閾値と、走行レーン逸脱状況と、判定結果に応じた操舵追従制御の内容との関係を示した表である。図5(B)は判定パラメータの閾値と、走行レーン逸脱状況と、判定結果に応じた操舵追従制御の内容との関係を示した表である。図5(C)は判定パラメータの閾値と、走行レーン逸脱状況と、判定結果に応じた操舵追従制御の内容との関係を示した表である。 図6は本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が備える運転支援ECUのCPUが実行するルーチンを表すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置(以下、「本実施装置」とも称呼される。)について図面を参照しながら説明する。本実施装置は、車両走行制御装置でもある。なお、実施形態の全図において、同一又は対応する部分には同一の符号を付す。
(構成)
本実施装置は、図1に示したように、車両(自動車)に適用される。本実施装置が適用される車両は、他車両と区別するために「自車両」と称呼される場合がある。本実施装置は、運転支援ECU10、エンジンECU30、ブレーキECU40、ステアリングECU60、メータECU70、警報ECU80、及び、ナビゲーションECU90を備えている。なお、以下において、運転支援ECU10は、単に、「DSECU」とも称呼される。
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)であり、図示しないCAN(Controller Area Network)を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。これらのECUは、幾つか又は全部が一つのECUに統合されてもよい。
DSECUは、以下に列挙するセンサ(スイッチを含む。)と接続されていて、それらのセンサの検出信号又は出力信号を受信するようになっている。なお、各センサは、DSECU以外のECUに接続されていてもよい。その場合、DSECUは、センサが接続されたECUからCANを介してそのセンサの検出信号又は出力信号を受信する。
アクセルペダル操作量センサ11は、自車両のアクセルペダル11aの操作量(アクセル開度)を検出し、アクセルペダル操作量APを表す信号を出力するようになっている。
ブレーキペダル操作量センサ12は、自車両のブレーキペダル12aの操作量を検出し、ブレーキペダル操作量BPを表す信号を出力するようになっている。
操舵角センサ14は、自車両のステアリングホイールSWの回転角である操舵操作角を検出し、操舵操作角θを表す信号を出力するようになっている。
操舵トルクセンサ15は、ステアリングホイールSWの操作により自車両のステアリングシャフトUSに加わる操舵トルクを検出し、操舵トルクTraを表す信号を出力するようになっている。
車速センサ16は、自車両の走行速度(車速)を検出し、車速SPDを表す信号を出力するようになっている。
周囲センサ17は、レーダセンサ17a、カメラセンサ17b及び物標認識部17cを備えている。周囲センサ17は、少なくとも自車両の前方の道路、及び、その道路に存在する立体物に関する情報を取得するようになっている。立体物は、例えば、歩行者、自転車及び自動車等の移動物、並びに、電柱、樹木及びガードレール等の固定物を表す。以下、これらの立体物は「物標」と称呼される場合がある。
周囲センサ17は、レーダセンサ17a及びカメラセンサ17bの少なくとも一つによって立体物から検出した情報に基づいて、物標の有無、認識した物標(n)の物標ID、縦距離Dfx(n)、横位置Dfy(n)、相対速度Vfx(n)、相対横速度Vfy(n)及び車速v等を含む物標(n)の情報(以下、「物標情報」と称呼される。)を演算して出力するようになっている。
なお、周囲センサ17は、予め規定されたx−y座標に基づいて、これらの値を取得する(図2を参照。)。x軸は、自車両SVの前後方向に沿って自車両SVの前端部の幅方向中心位置を通るように伸び、前方を正の値として有する座標軸である。y軸は、x軸と直交し、自車両SVの左方向を正の値として有する座標軸である。x軸の原点及びy軸の原点は、自車両SVの前端部の幅方向中心位置である。x−y座標のx座標位置は縦距離Dfx、Y座標位置は横位置Dfyと称呼される。
物標(n)の縦距離Dfx(n)は、自車両SVの前端部と物標(n)(例えば、自車両SVの前方領域を走行する他車両である前方車両)の後端部と間の自車両SVの中心軸方向(x軸方向)の符号付き距離である。
物標(n)の横位置Dfy(n)は、「物標(n)の中心位置(例えば、前方車両の後端部の車幅方向中心位置)」の、自車両の中心軸と直交する方向(y軸方向)の符号付き距離である。
物標(n)の相対速度Vfx(n)は、物標(n)の速度Vsと自車両の速度Vj(=SPD)との差(=Vs−Vj)である。物標(n)の速度Vsは自車両の中心軸方向(x軸方向)における物標(n)の速度である。
物標(n)の相対横速度Vfy(n)は、物標(n)の中心位置の、自車両の中心軸と直交する方向(y軸方向)における速度(符号付き速さ)である。
図1に示したレーダセンサ17aは、レーダ波送受信部と処理部とを備えている。レーダ波送受信部は、例えば、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を少なくとも自車両SVの前方領域を含む自車両SVの周辺領域に放射し、且つ、放射したミリ波が立体物の部分(即、反射点)によって反射されることにより生成される反射波を受信する。なお、レーダセンサ17aはミリ波帯以外の周波数帯の電波(レーダ波)を用いるレーダセンサであってもよい。
レーダセンサ17aの処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等を含む反射点情報に基づいて、物標の有無を判定する。
更に、レーダセンサ17aの処理部は、認識できた物標に属する反射点の反射点情報に基づいて、物標の縦距離Dfx、自車両SVに対する物標の方位θp、及び、自車両SVと物標との相対速度Vfx、並びに、物標の車速v等(以下、「レーダセンサ検出情報」と称呼される。)を演算する。
カメラセンサ17bは、ステレオカメラ及び画像処理部を備える。ステレオカメラは、自車両SVの前方の「左側領域及び右側領域」の風景を撮影して左右一対の画像データを取得する。
画像処理部は、その撮影した左右一対の画像データに基づいて、撮影領域に存在する物標の有無を判定する。物標が存在すると判定された場合、画像処理部は、その物標の方位θ、その物標の縦距離Dfx、及び、自車両SVとその物標との相対速度Vfx等(以下、「カメラセンサ検出情報」と称呼される。)を演算する。
物標認識部17cは、レーダセンサ17aの処理部及びカメラセンサ17bの画像処理部と通信可能な状態で接続され、「レーダセンサ検出情報」、及び、「カメラセンサ検出情報」を受信するようになっている。物標認識部17cは、「レーダセンサ検出情報」、及び、「カメラセンサ検出情報」の少なくとも一つを用いて認識した物標(n)の「物標ID、縦距離Dfx(n)、横位置Dfy(n)及び相対速度Vfx(n)等を含む物標情報」を決定(取得)する。物標認識部17cは、所定時間が経過する毎に、決定した物標情報をDSECUに送信する。
更に、カメラセンサ17bの画像処理部は、左右一対の画像データに基づいて、道路の左及び右の白線等の車線区画線(レーンマーカーであり、以下、単に「白線」とも称呼する。)を認識する。そして、画像処理部は、自車両SVが走行している車線である自車両SV走行レーンの形状(例えば、曲率半径)、及び、自車両SV走行レーンと自車両SVとの位置関係を所定時間が経過する毎に演算し、DSECUに送信するようになっている。自車両SV走行レーンと自車両SVとの位置関係は、例えば、自車両走行レーンの左白線及び右白線の中央位置(即ち、中央ライン)と自車両SVの車幅方向の中心位置との車線幅方向の距離、及び、中央ラインの方向と自車両SVのx軸方向とがなす角(即ち、ヨー角)等により表される。
なお、自車両走行レーンの形状、及び、自車両走行レーンと自車両との車線幅方向の位置関係等を表す情報はナビゲーションECU90から与えられてもよい。
図1に示した操作スイッチ18は、自車両SVの運転者により操作されるスイッチである。運転者は、操作スイッチ18を操作することにより、後述する操舵追従制御を含む車線維持制御を実行するか否かを選択することができる。更に、運転者は、操作スイッチ18を操作することにより、後述する車間距離制御(追従車間距離制御)を実行するか否かを選択することができる。
ヨーレートセンサ19は、自車両SVのヨーレートを検出し、実ヨーレートYRtを出力するようになっている。
エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31に接続されている。エンジンアクチュエータ31は内燃機関32の運転状態を変更するためのアクチュエータであり、少なくとも、スロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31を駆動することによって、内燃機関32が発生するトルクを変更することができ、それにより、自車両SVの駆動力を制御して自車両SVの加速度を変更することができる。
ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41に接続されている。ブレーキアクチュエータ41は、図示しないマスタシリンダと、左右前後輪に設けられる摩擦ブレーキ機構42との間の油圧回路に設けられている。ブレーキアクチュエータ41は、ブレーキECU40からの指示に応じて、摩擦ブレーキ機構42のブレーキキャリパ42bに内蔵されたホイールシリンダに供給する作動油の油圧を調整し、その油圧により図示しないブレーキパッドをブレーキディスク42aに押し付けて摩擦制動力を発生させる。従って、ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41を制御することによって、自車両SVの制動力を制御して自車両SVの加速度(この場合、減速度)を変更することができる。
ステアリングECU60は、周知の電動パワーステアリングシステムの制御装置であって、モータドライバ61に接続されている。モータドライバ61は、転舵用モータ62に接続されている。転舵用モータ62は、「ステアリングホイールSW、ステアリングシャフトUS、及び、図示しない操舵用ギア機構等を含むステアリング機構」に組み込まれている。転舵用モータ62は、モータドライバ61から供給される電力によってトルクを発生し、このトルクによって操舵アシストトルクを発生したり、左右の操舵輪を転舵したりすることができる。即ち、転舵用モータ62は、自車両SVの操舵角(「転舵角」又は「舵角」とも称呼される。)を変更することができる。
メータECU70は、図示しないデジタル表示式メータに接続されている。更に、メータECU70は、ハザードランプ71及びストップランプ72にも接続されていて、DSECUからの指示に応じてこれらの点灯状態を変更することができる。
警報ECU80は、ブザー81及び表示器82に接続されている。警報ECU80は、DSECUからの指示に応じてブザー81を鳴動させて運転者への注意喚起を行うことができ、且つ、表示器82に注意喚起用のマーク(例えば、ウォーニングランプ)を点灯させたりすることができる。
ナビゲーションECU90は、自車両SVの現在位置を検出するためのGPS信号を受信するGPS受信機91、地図情報等を記憶した地図データベース92及びタッチパネル式ディスプレイ93等と接続されている。ナビゲーションECU90は、GPS信号に基づいて現時点の自車両SVの位置(自車両SVが複数の車線を有する道路を走行している場合には、自車両SVがどの車線を走行しているかを特定する情報を含む。)を特定する。ナビゲーションECU90は、自車両SVの位置及び地図データベース92に記憶されている地図情報等に基づいて各種の演算処理を行い、その演算処理結果に基づいてディスプレイ93を用いながら経路案内を行う。
<作動の概要>
次に、本実施装置の作動の概要について説明する。本実施装置のDSECUは、車間距離制御及び車線維持制御を実行できるようになっている。以下、「車間距離制御及び車線維持制御」について説明する。
<車間距離制御(ACC:アダプティブ・クルーズ・コントロール))>
車間距離制御(即ち、追従車間距離制御)は、物標情報に基づいて、自車両SVの前方の領域であって自車両SVの直前を走行している前方車両と自車両SVとの車間距離(即ち、自車両SVに対するその前方車両の縦距離Dfx(n))を所定の目標車間距離に維持しながら、自車両SVを前方車両に追従させる制御である。追従車間距離制御自体は周知である(例えば、特開2014−148293号公報、特開2006−315491号公報、特許第4172434号明細書、及び、特許第4929777号明細書等を参照。)。従って、以下、簡単に説明する。
DSECUは、操作スイッチ18の操作によって車間距離制御が要求されている場合、車間距離制御を実行する。
先ず、DSECUは、車間距離制御が要求されている場合、周囲センサ17により取得した物標(n)の物標情報に基づいて追従する対象となる車両(以下、「車間距離目標車両」と称呼される。)を特定する。より具体的に述べると、DSECUは、以下のようにして、自車両SVの前方領域を走行する他車両(即ち、前方車両)の中から車間距離目標車両を決定(特定)する。
ステップ1A:DSECUは、自車両SVの運動状態量である「自車両SVの車速SPD及び自車両SVのヨーレートYrt」を車速センサ16及びヨーレートセンサ19からそれぞれ取得する。
ステップ2A:DSECUは、車速SPD及びヨーレートYrtに基づいて、自車両SVの走行進路をx−y座標において予測する。
ステップ3A:DSECUは、縦距離Dfx(n)が正の値を有する他車両(即ち、前方車両)の中から、予測した自車両SVの走行進路からの車線幅方向の距離の絶対値が所定の第1基準閾値以内である他車両を車間距離目標車両(a)として決定(選択・設定)する。第1基準閾値は、縦距離Dfx(n)が大きくなるほど小さくなるように設定されている。なお、決定された他車両が複数存在する場合、DSECUは、縦距離Dfx(n)が最小の他車両を車間距離目標車両(a)として特定する。
DSECUは、車間距離目標車両(a)を特定すると、目標加速度Gtgtを下記(1)式及び(2)式の何れかに従って算出する。(1)式及び(2)式において、Vfx(a)は車間距離目標車両(a)の相対速度であり、k1及びk2は所定の正のゲイン(係数)であり、ΔD1は「車間距離目標車両(a)の縦距離Dfx(a)」から「目標車間距離Dtgt」を減じることにより得られる車間偏差(ΔD1=Dfx(a)−Dtgt)である。なお、目標車間距離Dtgtは、運転者により操作スイッチ18を用いて設定される目標車間時間Ttgtに自車両SVの車速SPDを乗じることにより算出される(即ち、Dtgt=Ttgt・SPD)。
DSECUは、値(k1・ΔD1+k2・Vfx(a))が正又は「0」の場合に下記(1)式を使用して目標加速度Gtgtを決定する。ka1は、加速用の正のゲイン(係数)であり、「1」以下の値に設定されている。
DSECUは、値(k1・ΔD1+k2・Vfx(a))が負の場合に下記(2)式を使用して目標加速度Gtgtを決定する。kd1は、減速用の正のゲイン(係数)であり、本例においては「1」に設定されている。

Gtgt(加速用)=ka1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(1)
Gtgt(減速用)=kd1・(k1・ΔD1+k2・Vfx(a)) …(2)
なお、前方車両が存在していないことに起因して車間距離目標車両が特定できない場合、DSECUは、自車両SVの車速SPDが「操作スイッチ18を用いて設定される目標車速」に一致するように、目標車速と車速SPDとに基づいて目標加速度Gtgtを決定する。
DSECUは、自車両SVの加速度が目標加速度Gtgtに一致するように、エンジンECU30を用いてエンジンアクチュエータ31を制御するとともに、必要に応じてブレーキECU40を用いてブレーキアクチュエータ41を制御する。
<車線維持制御>
DSECUは、操作スイッチ18の操作によって車線維持制御が要求されている場合、車間距離制御の実行中に限り車線維持制御を実行する。車線維持制御は、主として、区画レーン維持制御と、操舵追従制御と、を含む。
区画レーン維持制御は、白線及び黄色線等の区画線に基づいて目標走行ライン(目標走行路)を決定し、自車両SVがその目標走行ラインに沿って走行するように自車両SVの操舵角を調整する制御である。区画レーン維持制御は、LTC(Lane Trace Control)」と称呼される場合がある。以下において、区画線は白線として説明される。
操舵追従制御は、前方車両の一つを操舵追従目標車両として特定し、自車両SVがその操舵追従目標車両の走行軌跡に応じた目標走行ラインに沿って走行するように自車両SVの操舵角を調整する制御である。操舵追従制御及び区画レーン維持制御は、「TJA(Traffic Jam Assist)」とも総称される場合があり、運転者の操舵操作を支援する制御であるから「操舵支援制御」と称呼される場合もある。以下、区画レーン維持制御、次いで、操舵追従制御の順に説明を加える。
<<区画レーン維持制御>>
DSECUは、左白線及び右白線の少なくとも一方が、自車両SVの前方方向に所定距離以上に渡ってカメラセンサ17bによって認識されている場合、左白線及び右白線の少なくとも一方に基づいて目標走行ラインLdを設定する。
より具体的に述べると、DSECUは、左白線及び右白線の何れもが自車両SVの前方方向に所定距離以上に渡って認識されている場合、左白線及び右白線の車線幅方向の中央位置を通るライン(即ち、中央ライン)を目標走行ラインLdとして設定する。
これに対し、DSECUは、左白線及び右白線のうちの一方の白線のみが自車両SVの前方方向に所定距離以上に渡って認識されている場合、認識されている一方の白線と、左白線及び右白線の両方が認識されていた時点において取得した車線幅と、に基づいて、認識されていない白線(他方の白線)の位置を推定する。そして、DSECUは、認識されている一方の白線及び推定された他方の白線の中央ラインを目標走行ラインLdとして設定する。
更に、DSECUは、自車両SVの横位置(即ち、自車両走行レーンに対する車線幅方向の自車両SVの位置)が設定された目標走行ラインLdの付近に維持されるように、転舵用モータ62を用いて操舵トルクをステアリング機構に付与することにより自車両SVの操舵角を変更し、以て、運転者の操舵操作を支援する(例えば、特開2008−195402号公報、特開2009−190464号公報、特開2010−6279号公報、及び、特許第4349210号明細書、等を参照。)。なお、具体的な操舵制御方法については後述する。
<<操舵追従制御>>
DSECUは、自車両SVの前方方向に所定距離以上に渡って認識される白線がない場合、自車両SVの前方領域を走行する他車両(前方車両)の中から操舵追従目標車両として適切な前方車両を選択する。そして、DSECUは、操舵追従目標車両の走行軌跡(以下、「先行車軌跡」とも称呼される。)を生成し、その先行車軌跡に基づいて定まる目標走行ラインに従って自車両SVが走行するように、操舵トルクをステアリング機構に付与して操舵角を変更する。本例において、DSECUは、先行車軌跡そのものを目標走行ラインLdとして設定する。但し、DSECUは、先行車軌跡から所定距離だけ車線幅方向に変位したラインを目標走行ラインLdとして設定してもよい。
以下、操舵追従制御について詳述する。
図2に示したように、DSECUは、先行車軌跡の作成対象となる物標(n)である前方車両を操舵追従目標車両TVとして設定する。なお、操舵追従目標車両TVの設定方法については、後で詳述する。DSECUは、所定測定時間が経過する毎に得られる「操舵追従目標車両TVの物標情報(位置)情報」に基づいて走行軌跡L1を作成する。
図3(A)に示したように、この走行軌跡L1は、自車両SVの現在位置における自車両SVの前端部の幅方向中心位置を原点とした前述のx−y座標において、下記(3)式の3次関数で表される曲線で精度良く近似されることが知られている。

y=(1/6)Cv’・x+(1/2)Cv・x+θv・x+dv …(3)

Cv’:曲率変化率(当該曲線上の任意の位置(x=x0、x0は任意の値)での単位距離(Δx)当たりの曲率変化量)。
Cv:操舵追従目標車両TVが自車両SVの現在位置(x=0)に存在していたとき(即ち、操舵追従目標車両TVが(x=0、y=dv)の位置に存在していたとき)の走行軌跡L1の曲率。
θv:操舵追従目標車両TVが自車両SVの現在位置(x=0)に存在していたときの走行軌跡L1の方向(走行軌跡L1の接線方向)と自車両SVの進行方向(x軸の+の方向)との角度偏差。この角度偏差θvは「ヨー角」とも称呼される。
dv:自車両SVの現在位置(x=0、y=0)と走行軌跡L1とのy軸方向における(実質的には、車線幅方向における)距離dv。この距離dvは「センター距離」とも称呼される。
上記(3)式は、以下に説明するように導出される。即ち、図3(B)に示したように、走行軌跡L1を3次関数f(x)=ax+bx+cx+dと置き、更に、図3(B)に示した関係式及び条件を用いると、図3(C)に示した「3次関数の係数(a、b、c及びd)と曲率等との関係」が導出できる。よって、図3(C)に示した関係から3次関数の係数(a、b、c及びd)を求めると、上記(3)式が導出される。
(3)式の右辺の第1項及び第2項の係数(即ち、関数f(x)の係数a及びb)は、以下に述べる値(これらの値は、「先行車軌跡基本情報」とも称呼される。)からなる時系列データをDSECUが備えるカルマンフィルタ(図示省略)に入力することによって、求めることができる。「t」は時間である。
・時間tにおける車間距離目標車両の縦距離Dfx=Dfx(VT)(t)
・時間tにおける車間距離目標車両の横位置Dfy=Dfy(VT)(t)
・時間tにおける自車両SVのヨーレートYRt(t)、及び、
・時間tにおける自車両SVの車速Vsx(=SPD(t))
尚、(3)式の右辺の第3項及び第4項の係数(即ち、関数f(x)の係数c及びd)は、それぞれヨー角θv及びセンター距離dvである。
DSECUは、作成した走行軌跡L1を目標走行ラインLdに設定する。この場合、(3)式の3次関数の係数から、図2に示した「車線維持制御に必要な目標走路情報」を取得することができる。この目標走路情報は、後述するように、走行軌跡L1の曲率Cv、走行軌跡L1に対するヨー角θv、及び、走行軌跡L1に対するセンター距離dv等である。
より具体的に述べると、DSECUは、走行軌跡L1の作成に必要な情報(作成必要情報)を取得する。走行軌跡L1の作成に必要な情報は、操舵追従目標車両TVのx−y座標における座標値、自車両SVの車速SPD及び自車両SVのヨーレートYRt等を含む。DSECUは、操舵追従目標車両TVのx−y座標における座標値を操舵追従目標車両TVについての物標情報に基づいて取得する。DSECUは、自車両SVの車速SPDを車速センサ16から取得し、自車両SVのヨーレートYRtをヨーレートセンサ19から取得する。
DSECUは、取得した上記の作成必要情報をカルマンフィルタに入力することにより、(3)式により表される走行軌跡L1を生成する。DSECUは、生成した走行軌跡L1を目標走行ラインLdに設定する。更に、DSECUは、(3)式の3次関数の係数と図3(C)に示した関係式とに基づいて、走行軌跡L1を目標走行ラインLdに設定した場合の操舵追従制御に必要な情報(以下、「目標走路情報」と称呼する場合がある。)を取得する。この目標走路情報は、走行軌跡L1の曲率Cv、走行軌跡L1に対するヨー角θv、及び、走行軌跡L1に対するセンター距離dv等である。
DSECUは、所定時間が経過するごとに、曲率Cv、ヨー角θv及びセンター距離dvを下記の(4)式に適用することにより目標操舵角θ*を演算する。(4)式において、Klta1,Klta2及びKlta3は予め定められた制御ゲインである。更に、DSECUは、実際の操舵角θが目標操舵角θ*に一致するようにステアリングECU60を用いて転舵用モータ62を制御する。以上によって、操舵追従制御による操舵制御が実行される。

θ*=Klta1・Cv+Klta2・θv+Klta3・dv …(4)
なお、DSECUは、所定時間が経過するごとに、曲率Cv、ヨー角θv及びセンター距離dvを下記の(5)式に適用することにより目標ヨーレートYRc*を演算してもよい。この場合、DSECUは、目標ヨーレートYRc*と実ヨーレートYRtとに基づいて、目標ヨーレートYRc*を得るための目標操舵トルクTr*を、ルックアップテーブルを用いて演算する。そして、DSECUは、実際の操舵トルクTraが目標操舵トルクTr*に一致するように、ステアリングECU60を用いて転舵用モータ62を制御する。以上によっても、操舵追従制御による操舵制御が実行される。以上から理解されるように、DSECUは目標走路情報が取得できれば、目標走行ラインLdそのものを計算しなくても、走行軌跡L1を目標走行ラインLdに設定した場合の操舵追従制御を実行することができる。

YRc*=K1×dv+K2×θv+K3×Cv …(5)
DSECUは上述した区画レーン維持制御を実行する場合にも上記(4)式又は(5)式を利用する。より具体的に述べると、DSECUは、左白線及び右白線の少なくとも一方に基づいて設定された目標走行ラインLd(即ち、自車両走行レーンの中央ライン)の曲率CLと、自車両SVの車幅方向の中央位置と目標走行ラインLdとの間のy軸方向(実質的には道路幅方向)の距離dLと、目標走行ラインLdの方向(接線方向)と自車両SVの進行方向とのずれ角θL(ヨー角θL)と、を演算する。
そして、DSECUは、(4)式(又は、(5)式)において、dvをdLに置換し、θvをθLに置換し、CvをCLに置換することにより、目標操舵角θ*を演算し、実際の操舵角θが目標操舵角θ*に一致するように転舵用モータ62を制御する。以上によって、区画レーン維持制御による操舵制御が実行される。
DSECUは、左白線及び右白線の少なくとも一方に基づいて目標走行ラインLdが設定することができず、且つ、先行車軌跡が生成できない場合(操舵追従目標車両が決定できない場合を含む。)、車線維持制御の実行をキャンセルする。即ち、この場合、DSECUは、車線維持制御を行わない。
(操舵角及び操舵角速度の上限ガード値)
ところで、DSECUは、車線維持制御において、操舵角の大きさが上限ガード値(以下、「操舵角ガード値」とも称呼される。)を超えないように、操舵角を制限している。更に、車線維持制御において、操舵角速度の大きさが上限ガード値(以下、「操舵角速度ガード値」とも称呼される。)を超えないように、操舵角速度を制限している。これにより、操舵角の変化に起因して自車両SVの挙動が急変する可能性が低下するので、自車両SVの走行安定性が確保される。
以上が車線維持制御の概要である。
次に、図4を参照しながら、本実施装置のDSECUが実行する「操舵追従目標車両の走行レーンからの逸脱状況に応じた操舵追従制御」について説明する。図4に示されるように、現在、DSECUは、操舵追従目標車両TVの走行軌跡L1に自車両SVが従うように操舵制御を実行している。
このとき、DSECUは、操舵追従目標車両TVと白線LWとの位置関係を表す判定パラメータを取得する。DSECUは、取得した判定パラメータを用いて、操舵追従目標車両TVが、逸脱完了状況、逸脱開始状況、又は、走行レーン内状況にあるか否かを判定する。
そして、DSECUは、判定結果に応じて、判定結果に応じた操舵追従制御、又は、操舵追従制御の停止を行う。
具体的に述べると、DSECUは、自車両SVの位置に対応する走行軌跡L1上の位置(自車両対応位置)に存在していた時点の、操舵追従目標車両TV(即ち、過去の操舵追従目標車両TVp)と白線LWとの位置関係を推定した下記第1パラメータを取得する。尚、「自車両対応位置」は、その縦距離が自車両SVの縦距離と同じであり、且つ、横位置が走行軌跡L1上にある位置である。自車両対応位置の横位置は、走行軌跡L1を表す上記(3)式の変数xに自車両SVの縦距離を代入することにより取得できる値である。
(第1パラメータ)
・第1距離DL1:過去の操舵追従目標車両TVpと白線LWとの間の車線幅方向の距離(即ち、自車両対応位置と白線LWとの間の車線幅方向の距離)
DSECUは、自車両SVと白線LWとの間の車線幅方向の距離DL4から自車両SVと自車両対応位置との間の車線幅方向の距離DL3を減算(DL1=DL4−DL3)することにより、第1距離DL1を取得することができる。
・第1ヨー角θ1 :過去の操舵追従目標車両TVpの白線LWに対するヨー角
DSECUは、自車両SVの操舵追従目標車両TVの走行軌跡L1に対するヨー角θ3と自車両SVの白線LWに対するヨー角θ4、との差分(第1ヨー角θ1=θ3−θ4)を演算することにより第1ヨー角θ1を取得することができる。
・第1ヨー角変化率θ1’:第1ヨー角θ1の変化率
DSECUは、第1ヨー角θ1の単位時間当たりの変化量(θ1’=θ1/dt)を演算することにより、第1ヨー角変化率θ1’を取得することができる。
更に、DSECUは、第1パラメータ(第1距離DL1、第1ヨー角θ1及び第1ヨー角変化率θ1’)、操舵追従目標車両TVの車速v、及び、操舵追従目標車両が自車両対応位置から現在位置まで移動するのにかかる第1移動時間Tx2(=「車間距離/操舵追従目標車両TVの車速v」)等を用いて、下記(第1数式)乃至(第3数式)により、操舵追従目標車両TVの白線LWに対するヨー角である第2ヨー角θ2、及び、操舵追従目標車両TVと白線LWとの位置関係を推定した下記の第2パラメータ(判定パラメータ)を取得する。
(判定パラメータ)
・第2距離DL2:操舵追従目標車両TVと白線LWとの間の車線幅方向の距離
・推定横速度v2 :推定した操舵追従目標車両TVの横速度
・逸脱予測時間Ta:逸脱予測時間Ta=第2距離DL2/推定横速度v2で演算される操舵追従目標車両TVが白線LWに到達するまでの予測時間
Figure 0006825527
(DL2:第2距離、DL1:第1距離、v:操舵追従目標車両の車速、θ1:第1ヨー角、θ1’:第1ヨー角変化率、Tx2:第1移動時間)

θ2=θ1+(θ1’×Tx2)・・・(第2数式)
(θ2:第2ヨー角、θ1:第1ヨー角、θ1’:第1ヨー角変化率、Tx2:第1移動時間)

v2=v×θ2・・・(第3数式)
(v2:推定横速度、v:操舵追従目標車両の車速、θ2:第2ヨー角)
DSECUは、取得した判定パラメータ(第2距離DL2、推定横速度v2、及び、逸脱予測時間Ta)を用いて、操舵追従目標車両TVの走行レーンからの逸脱状況を判定し、判定結果に応じて、判定結果に応じた操舵追従制御、又は、操舵追従制御の停止を行う。
ここで、判定パラメータは、操舵追従目標車両TVが、自車両対応位置から現在位置までに移動する間の操舵追従目標車両TVの白線LWに対するヨー角の変化率が、一定であって第1ヨー角変化率θ1’から変化しないとみなして、演算されている。しかしながら、実際の操舵追従目標車両TVの上記白線LWに対するヨー角の変化率は、第1ヨー角変化率θ1’から大きくなったり、小さくなったりして、変化していることがあり得る。
このとき、操舵追従目標車両TVが自車両対応位置から現在位置までに移動する間に、実際の操舵追従目標車両TVの白線LWに対するヨー角の変化率が、第1ヨー角変化率θ1’から変化している場合、判定パラメータは、第1ヨー角変化率θ1’から変化した分だけ、実際の判定パラメータに対して誤差を有する。
例えば、判定パラメータの一つである推定横速度v2が所定閾値速度以上であるとき、操舵追従目標車両TVが走行レーンを逸脱している状況にあると判定され、当該走行レーンを逸脱しているとの判定がなされた場合に、操舵追従制御の停止が行われると仮定する。
実際の操舵追従目標車両TVの、「実際の白線LWに対するヨー角の変化率」が第1ヨー角変化率θ1’から徐々に増加している場合、推定横速度v2は、第1ヨー角変化率θ1’から増加した分に対応する推定横速度v2の変化分、実際の推定横速度より小さくなる誤差を有する。これにより、操舵追従目標車両TVが走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定が遅れてしまう。その結果、操舵追従目標車両TVの走行レーン逸脱開始に伴う操舵追従制御の停止が、遅れてしまう。
一方、実際の操舵追従目標車両TVの、「実際の白線LWに対するヨー角の変化率」が、第1ヨー角変化率θ1’から減少している場合、推定横速度v2は、第1ヨー角変化率θ1’から減少した分に対応する推定横速度v2の変化分、実際の推定横速度より大きくなる誤差を有する。これにより、操舵追従目標車両TVが走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定が過剰になってしまう。その結果、当該判定に伴う操舵追従制御の停止が、過剰になってしまう。
前者に対して、操舵追従目標車両TVが走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定の判定条件(以下、「逸脱判定条件」と称呼される。)を緩く設定する(所定閾値速度を小さくする)ことにより対応しようとすると、実際のヨー角変化率が減少している場合、推定横速度v2は、実際の推定横速度より大きくなる誤差が生じるので、操舵追従目標車両TVが走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定が過剰になってしまう。その結果、判定遅れは解消できる一方、過剰な操舵追従制御の停止が行われてしまう。
後者に対して、逸脱判定条件を厳しく設定(所定閾値速度を大きくする)ことにより対応しようとすると、実際のヨー角変化率が徐々に増加している場合、推定横速度v2は、実際の推定横速度より小さくなる誤差が生じるので、操舵追従目標車両TVが走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定タイミングが、遅れてしまう。その結果、過剰な操舵追従制御の停止が行われる可能性を低くできる一方、操舵追従目標車両TVが走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定に遅れが生じてしまう。
そこで、本実施装置のDSECUは、図5(A)乃至図5(C)に示されたように、逸脱の程度に応じた判定条件を設定して(大きさの異なる2つの閾値を設定して)、判定した逸脱の程度に応じて、操舵追従目標車両TVが、逸脱開始状況、逸脱完了状況、又は、走行レーン内状況にあるか否かを判定する。そして、DSECUは、判定結果に応じて、判定結果に応じた操舵追従制御、又は、操舵追従制御の停止を行うことにより、これらの問題を解決している。
即ち、操舵追従目標車両TVが、逸脱の程度が小さい逸脱開始状況にあるとの判定の判定条件を緩くすることにより、操舵追従目標車両TVが走行レーンを逸脱している状況にあるとの判定が遅れる問題を解消することができる。更に、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあるとの判定に伴って、操舵追従制御の停止が行われないで、ガード値制限が行われて操舵追従制御が行われることにより、過剰に操舵追従制御の停止が行われる問題を解消することができる。
更に、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあるとき、走行軌跡L1の走行レーンに沿う精度が低下するのに対して、ガード値制限が行われることにより、走行軌跡L1の走行レーンに沿う精度の低下により自車両SVの操舵が急激に変化することに起因した走行安定性の低下が生じる可能性を低減することができる。
更に、操舵追従目標車両TVが、逸脱の程度が大きい逸脱完了状況にあるとの判定の判定条件を厳しく設定し、操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にあるとの判定に伴って操舵追従制御を停止することにより、過剰な操舵追従制御の停止が行われる問題を解消することができる。
具体的に述べると、DSECUは、まず判定パラメータを用いて、操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にあるか否かを判定する。
次の逸脱完了判定条件1乃至3の少なくとも何れかが成立する場合、DSECUは、操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にあると判定する。
逸脱完了判定条件1:第2距離DL2が第1閾値距離Dth1以下である。
逸脱完了判定条件2:推定横速度v2が第1閾値横速度vth1以上である。
逸脱完了判定条件3:逸脱予測時間Ta(=DL2/v2)が第1閾値時間Tth1以下である。
操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にあると判定された場合、DSECUは、操舵追従制御をキャンセルする。
操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にないと判定された場合、DSECUは、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあるか否かを判定する。
次の逸脱開始判定条件1乃至3の少なくとも何れかが成立する場合、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあると判定する。
逸脱開始判定条件1:第2距離DL2が第2閾値距離Dth2以下である。
逸脱開始判定条件2:推定横速度v2が第2閾値横速度vth2以上である。
逸脱開始判定条件3:逸脱予測時間Ta=DL2/v2が第2閾値時間Tth2以下である。
逸脱開始判定条件1乃至3は、逸脱完了判定条件1乃至3より判定条件が緩く設定されている(図5(A)乃至図5(C)を参照。)。即ち、第2閾値距離Dth2は、第1閾値距離Dth1より大きくなるように設定されている。第2閾値横速度vth2は、第1閾値横速度vth1より小さくなるように設定されている。第2閾値時間Tth2は、第1閾値時間Tth1より大きくなるように設定されている。従って、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあるとの判定が過剰に行われてしまう可能性がある。
これに対して、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあると判定された場合、DSECUは、操舵追従制御の停止を行う代わりに、ガード値制限を行って、操舵追従制御を行う。即ち、DSECUは、操舵角の上限ガード値(操舵角ガード値)及び操舵角速度の上限ガード値(操舵角速度ガード値)を引き下げる。
具体的に述べると、DSECUは、操舵角の上限ガード値及び操舵角速度の上限ガード値を、次のように設定する。即ち、DSECUは、操舵角ガード値を「後述の第1操舵角ガード値より小さい第2操舵角速度ガード値」に設定し、且つ、操舵角速度ガード値を「後述の第1操舵角速度ガード値よりも小さい第2操舵角速度ガード値」に設定する。なお、DSECUは、操舵角ガード値及び操舵角速度ガード値の何れか一方を、上記のように設定してもよい。そして、DSECUは、操舵追従制御を行う。
操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にない場合、DSECUは、操舵追従目標車両TVが走行レーン内状況にあると判定する。操舵追従目標車両TVが走行レーン内状況にあると判定された場合、DSECUは次のように、操舵角ガード値、及び、操舵角速度ガード値を設定する。即ち、DSECUは、操舵角ガード値を所定の第1操舵角ガード値に設定し、且つ、操舵角速度ガード値を所定の第1操舵角速度ガード値に設定する。なお、DSECUは、操舵角ガード値及び操舵角速度ガード値の何れか一方を、上記のように設定してもよい。そして、DSECUは、操舵追従制御を行う。
<具体的作動>
次に、DSECUのCPU(単に「CPU」と称呼する場合がある。)の具体的作動について説明する。CPUは、所定時間(Δt)が経過する毎に図6のフローチャートにより示した操舵追従制御ルーチンを実行するようになっている。なお、CPUは図示しないルーチンにより車間距離制御(ACC)を実行するようになっている。CPUは、車間距離制御が実行されている場合に限り図6に示したルーチンを実行する。
従って、車間距離制御が実行されている場合において、所定のタイミングになると、CPUは、図6のステップ600から処理を開始してステップ605に進み、操舵追従制御の実行条件が成立しているか否かを判定する。
操舵追従制御の実行条件は、例えば、以下に述べる条件B1乃至条件B3の総てが成立したとき成立する。
条件B1:操作スイッチ18の操作により、車線維持制御を実行することが選択されている。
条件B2:自車両SVの車速SPDが、所定の下限車速以上であり且つ所定の上限車速以下である。
条件B3:カメラセンサ17bが認識する「左白線及び右白線の少なくとも一方」に基づいた目標走行ラインLdが設定できない。
操舵追従制御の実行条件が成立していない場合、CPUはステップ605にて「No」と判定してステップ610に進み、操舵追従制御をキャンセル(中止)する。その後、CPUはステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対して、操舵追従制御の実行条件が成立している場合、CPUはステップ605にて「Yes」と判定してステップ615に進み、走行軌跡L1の生成対象となる操舵追従目標車両TVを特定する。具体的に述べると、CPUは、車速センサ16から自車両SVの車速を取得して、ヨーレートセンサ19から自車両SVのヨーレートを取得する。CPUは取得した車速及びヨーレートから自車両SVの走行進路を予測する。次いで、予測された「自車両SVの走行進路」にも最も近い前方車両に最も近い物標を「走行軌跡L1の生成対象となる操舵追従目標車両TV」として選択する。
CPUは、周囲センサ17からの物標情報に基づいて、各物標の物標情報を各物標に対応させて記憶させている。CPUは、その物標情報の中から特定した操舵追従目標車両TVに対する物標情報を選択し、その選択した物標情報に基づいて操舵追従目標車両TVについて走行軌跡L1を生成する。
その後、CPUはステップ620に進み、走行軌跡L1を生成できているか否かを判定する。具体的に述べると、操舵追従目標車両TVが特定できていない場合、又は、操舵追従目標車両TVは特定できているが、その操舵追従目標車両TVについての物標情報の時系列データが走行軌跡L1を生成するには十分でない場合、CPUは走行軌跡L1が生成できていないと判定する。そうでない場合、CPUは走行軌跡L1が生成できていると判定する。
走行軌跡L1が生成できている場合、CPUはステップ620にて「Yes」と判定してステップ625に進み、カメラセンサ17bから送られてきた認識できている白線の距離に基づいてカメラセンサ17bにより白線(左白線及び右白線)が第1所定距離以上第2所定距離未満の範囲で認識できているか否かを判定する。換言すると、CPUはカメラセンサ17bにより白線が近傍で認識できているか否かを判定する。尚、第1所定距離は、第2所定距離より小さい距離が設定される。
カメラセンサ17bにより白線が第1所定距離以上第2所定距離未満の範囲で認識できている場合、CPUはステップ625にて「Yes」と判定してステップ630に進み、上述した第1パラメータ(第1距離DL1、第1ヨー角θ1、第1ヨー角変化率θ1’)、並びに、操舵追従目標車両TVの車速v及び操舵追従目標車両TVが自車両対応位置から現在位置まで移動するのにかかる第1移動時間Tx2を取得する。
その後、CPUはステップ635に進み、第1パラメータ、並びに、車速v及び第1移動時間Tx2を用いて上述した判定パラメータ(第2距離DL2、推定横速度v2及び逸脱予測時間Ta)を算出した後、ステップ640に進み、操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にあるか否かを安定する。CPUは、既述した逸脱完了判定条件1乃至3の少なくとも何れかが成立する場合、CPUは、操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にあると判定する。
操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にない場合、CPUはステップ640にて「No」と判定してステップ645に進み、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあるか否かを判定する。CPUは、既述した逸脱開始判定条件1乃至3の少なくとも何れかが成立する場合、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあると判定する。
操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にない場合、CPUはステップ645にて「No」と判定してステップ650に進み、操舵角ガード値θg及び操舵角速度ガード値dθgを、通常の上限ガード値である第1操舵角ガード値及び第1操舵角速度ガード値にそれぞれ設定する。尚、ステップ650の処理を開始する時点で操舵角ガード値θg及び操舵角速度ガード値dθgが第1操舵角ガード値及び第1操舵角速度ガード値のそれぞれに既に設定されている場合、CPUは、操舵角ガード値θg及び操舵角速度ガード値dθgを第1操舵角ガード値及び第1操舵角速度ガード値のそれぞれに維持する。
その後、CPUはステップ655に進み、ステップ615にて操舵追従対象車両に基づいて生成した走行軌跡L1を目標走行ラインLdに設定し、且つ、その目標走行ラインLdに沿って自車両SVを走行させるように自車両SVの操舵角を制御する(操舵制御を行う。)。即ち、CPUは、操舵追従制御(第1操舵追従制御)を実行する。より具体的に述べると、CPUは、上記(4)式又は上記(5)式を用いて目標操舵角θ*を演算する。
そして、目標操舵角θ*の大きさが操舵角ガード値θg(θg>0)以上であれば、目標操舵角θ*として、その大きさが操舵角ガード値θgと等しい値を目標操舵角θ*として設定する。即ち、目標操舵角θ*が正の値であり且つ操舵角ガード値θgよりも大きければ、目標操舵角をθgに設定する。更に、目標操舵角θ*が負の値であり且つその大きさ|θ*|が操舵角ガード値θgよりも大きければ、目標操舵角を「−θg」に設定する。
更に、CPUは、今回演算された目標操舵角θ*(即ち、今回目標操舵角θ*n)から所定時間前に計算された(換言すると、前回本ルーチンを実行した際に演算された)目標操舵角θ*(即ち、前回目標操舵角θ*p)を減じることにより目標操舵角変化量(θ*n−θ*p)を演算する。更に、CPUは、目標操舵角変化量(θ*n−θ*p)を所定時間(Δt)で割ることにより単位時間当たりの目標操舵角変化量「(θ*n−θ*p)/Δt」を演算する。
そして、単位時間当たりの目標操舵角変化量の大きさ|(θ*n−θ*p)/Δt|が操舵角速度ガード値dθg(dθg>0)以上であれば、大きさ|(θ*n−θ*p)/Δt|が操舵角速度ガード値dθgと等しくなるようにθ*nを変更する。即ち、単位時間当たりの目標操舵角変化量「(θ*n−θ*p)/Δt」が正の値であり且つ操舵角速度ガード値dθgよりも大きければ、目標操舵角を「値θ*pに値dθg×Δtを加えた値(=θ*p+dθg×Δt)」に設定する。単位時間当たりの目標操舵角変化量「(θ*n−θ*p)/Δt」が負の値であり且つその大きさ|(θ*n−θ*p)/Δt|が操舵角速度ガード値dθgよりも大きければ、目標操舵角を「値θ*pから値dθg×Δtを減じた値(=θ*p−dθg×Δt)」に設定する。
CPUは、実際の操舵角θがこのように決定された目標操舵角θ*に一致するように、転舵用モータ62を制御する。この結果、操舵角θは、その大きさ|θ|が操舵角ガード値θg(現段階では、第1操舵角ガード値)を超えないように且つその単位時間あたりの変化量の大きさ|dθ/dt|が操舵角速度ガード値dθg(現段階では、第1操舵角速度ガード値)を超えないように、制御される。
これに対して、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にある場合、CPUはステップ645にて「Yes」と判定してステップ660に進み、CPUは、操舵角ガード値θg及び操舵角速度ガード値dθgを引き下げる。具体的に述べると、CPUは、操舵角ガード値θg及び操舵角速度ガード値dθgを第2操舵角ガード値及び第2操舵角速度ガード値にそれぞれ設定する。尚、第2操舵角ガード値は第1操舵角ガード値よりも小さく、第2操舵角速度ガード値は第1操舵角速度ガード値よりも小さい。更に、CPUがステップ660の処理を開始する時点で操舵角ガード値及び操舵角速度ガード値が第2操舵角ガード値及び第2操舵角速度ガード値のそれぞれに既に設定されている場合、CPUは、操舵角ガード値及び操舵角速度ガード値を第2操舵角ガード値及び第2操舵角速度ガード値のそれぞれに維持する。
その後、CPUはステップ655に進み、ステップ615にて生成した走行軌跡L1に基づいて目標走行ラインLdに設定し、且つ、その目標走行ラインLdに沿って自車両SVを走行させるように自車両SVの舵角を制御する。即ち、CPUは、操舵追従制御(第2操舵追従制御)を実行する。この結果、操舵角θは、その大きさ|θ|が操舵角ガード値θg(現段階では、第2操舵角ガード値)を超えないように且つその単位時間あたりの変化量の大きさ|dθ/dt|が操舵角速度ガード値dθg(現段階では、第2操舵角速度ガード値)を超えないように、制御される。その後、CPUはステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
尚、ステップ640の処理を実行する時点で、操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にある場合、CPUはステップ640にて「Yes」と判定してステップ610に進み、操舵追従制御をキャンセル(中止)する。その後、CPUはステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
更に、ステップ620の処理を実行する時点で、走行軌跡L1が生成できていない場合、CPUはステップ620にて「No」と判定してステップ610に進み、操舵追従制御をキャンセルする。その後、CPUはステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ625の処理を実行する時点で、カメラセンサ17bにより白線が第1所定距離以上第2所定距離未満の範囲で認識できていない場合、CPUはステップ625にて「No」と判定してステップ610に進み、操舵追従制御をキャンセルする。その後、CPUはステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
以上説明した本実施装置によれば、次のような効果を奏する。即ち、本実施装置によれば、逸脱開始状況であるとの判定の判定条件を緩くすることにより、操舵追従目標車両TVが走行レーンを逸脱している状況(逸脱開始状況)にあるとの判定が遅れる可能性を低くすることができる。更に、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあるとの判定に伴って、操舵追従制御の停止を行わないで、ガード値制限を行って、操舵追従制御を行うことにより、過剰に操舵追従制御の停止が行われる問題を解消することができる。一方で、操舵追従目標車両TVが逸脱開始状況にあるときのガード値制限を、遅れずに速やかに行うことができる。更に、逸脱完了状況の判定条件を厳しく設定し、操舵追従目標車両TVが逸脱完了状況にあるとの判定に伴って操舵追従制御を停止することにより、過剰な操舵追従制御の停止が行われる可能性を低くすることができる。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、本実施装置は、車線維持制御を追従車間距離制御の実行中にのみ実行するようになっているが、追従車間距離制御の実行中でなくても車線維持制御を実行するように構成されてもよい。
例えば、本実施装置は、操舵追従目標車両TV及び車間距離目標車両を含む他車両の位置情報及び速度情報等を車車間通信にて取得するようにしてもよい。具体的に述べると、例えば、他車両が当該他車両のナビゲーション装置により取得した当該他車両の位置情報を、当該他車両自身を特定する車両ID信号とともに自車両SVに送信し、自車両SVはその送信されてきた情報に基づいて操舵追従目標車両TV及び/又は車間距離目標車両の位置情報を取得してもよい。
更に、本実施装置において、走行軌跡L1の生成方法は、上述の例に限定されず公知の種々の方法を採用することができる。例えば、操舵追従目標車両TVの軌跡を近似する曲線を作成できる方法であれば、カルマンフィルタを用いなくてもよい。そして、本実施装置は、その近似曲線からCv、Cv’等を求めればよい。
10…運転支援ECU、16…車速センサ、17…周囲センサ、17a…レーダセンサ、17b…カメラセンサ、17c…物標認識部、18…操作スイッチ、19…ヨーレートセンサ、60…ステアリングECU、61…モータドライバ、62…転舵用モータ、80…警報ECU、81…ブザー、82…表示器、SV…自車両、TV…操舵追従目標車両、TVp…過去の操舵追従目標車両

Claims (1)

  1. 自車両が走行している走行レーンの区画線を認識する区画線認識部と、
    前記自車両の前方を走行する前方車両の中から特定した操舵追従目標車両の走行軌跡を生成する走行軌跡生成部と、
    前記操舵追従目標車両の車速を取得する車速取得部と、
    前記操舵追従目標車両の前記走行レーンからの逸脱状況を判定する走行レーン逸脱状況判定部と、
    前記走行軌跡に基づいて設定した目標走行ラインに沿って前記自車両を走行させるように、前記自車両の操舵角を変更する操舵追従制御を実行する走行制御部と、
    を備え、
    前記走行レーン逸脱状況判定部は、
    前記自車両と縦距離が同じであって横位置が前記走行軌跡上の位置にある自車両対応位置に存在していたときの過去の操舵追従目標車両の前記区画線と前記過去の操舵追従目標車両との間の車線幅方向の第1距離、前記過去の操舵追従目標車両の前記区画線に対する第1ヨー角、及び、前記第1ヨー角の単位時間当たりの変化量である第1ヨー角変化率からなるパラメータを、前記認識した区画線、及び、前記走行軌跡に基づいて取得し、
    前記取得したパラメータ、前記車速、及び、前記過去の操舵追従目標車両が前記操舵追従目標車両の位置まで移動するのにかかる第1移動時間を、下記(第1数式)乃至下記(第3数式)に適用して、前記操舵追従目標車両と前記区画線との間の車線幅方向の第2距離、及び、前記操舵追従目標車両の推定横速度を算出し、
    前記算出した第2距離を前記算出した推定横速度で除することにより、前記操舵追従目標車両が白線に到達するまでの逸脱予測時間を算出し、
    前記第2距離が第1閾値距離以下であるとの第1逸脱完了判定条件、前記推定横速度が第1閾値横速度以上であるとの第2逸脱完了判定条件、及び、前記逸脱予測時間が第1閾値時間以下であるとの第3逸脱完了判定条件の少なくとも何れかが成立するとき、前記操舵追従目標車両が逸脱完了状況にあると判定し、
    前記操舵追従目標車両が前記逸脱完了状況にない場合において、前記第2距離が前記第1閾値距離より大きい値である第2閾値距離以下であるとの第1逸脱開始判定条件、前記推定横速度が前記第1閾値横速度より小さい値である第2閾値横速度以上であるとの第2逸脱開始判定条件、及び、前記逸脱予測時間が前記第1閾値時間より大きい値である第2閾値時間以下であるとの第3逸脱開始判定条件の少なくとも何れかが成立するとき、前記操舵追従目標車両が逸脱開始状況にあると判定し、
    前記操舵追従目標車両が前記逸脱完了状況、及び、前記逸脱開始状況にない場合、前記操舵追従目標車両が走行レーン内状況にあると判定し、
    前記走行制御部は、
    前記操舵追従目標車両が前記走行レーン内状況にある場合、前記操舵角の大きさが第1操舵角ガード値を超えないように前記操舵角に制限を加える第1操舵角大きさ制限処理、及び、前記操舵角の単位時間当たりの変化量である操舵角速度の大きさが第1操舵角速度ガード値を超えないように前記操舵角に制限を加える第1操舵角速度大きさ制限処理、の少なくとも一方を含む第1制限処理を行って、前記操舵追従制御を行う第1操舵追従制御を行い、
    前記操舵追従目標車両が前記逸脱開始状況にある場合、前記操舵角の大きさが前記第1操舵角ガード値よりも小さい第2操舵角ガード値を超えないように前記操舵角に制限を加える処理であって前記第1操舵角大きさ制限処理に代わる第2操舵角大きさ制限処理、及び、前記操舵角速度の大きさが前記第1操舵角速度ガード値よりも小さい第2操舵角速度ガード値を超えないように前記操舵角に制限を加える処理であって前記第1操舵角速度大きさ制限処理に代わる第2操舵角速度大きさ制限処理、の少なくとも一方を含む第2制限処理を行って、前記操舵追従制御を行う第2操舵追従制御を行い、
    前記操舵追従目標車両が前記逸脱完了状況にある場合、前記操舵追従制御を停止する、ように構成された車両運転支援装置。
    Figure 0006825527
    (DL2:第2距離、DL1:第1距離、v:操舵追従目標車両の車速、θ1:第1ヨー角、θ1’:第1ヨー角変化率、Tx2:第1移動時間)

    θ2=θ1+(θ1’×Tx2)・・・(第2数式)
    (θ2:第2ヨー角、θ1:第1ヨー角、θ1’:第1ヨー角変化率、Tx2:第1移動時間)

    v2=v×θ2・・・(第3数式)
    (v2:推定横速度、v:操舵追従目標車両の車速、θ2:第2ヨー角)
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