JP6822868B2 - 燃焼器及びガスタービン - Google Patents
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Description
特許文献1には、広範囲な燃焼火炎を形成して安定性と低エミッションを実現するために、燃料供給ノズルの後流における空気との混合通路形状を異ならせることで、大外径の短い火炎と、細長い火炎を形成させる技術が記載されている。
特許文献2には、中心軸線に平行に配置された旋回軸を有するスワラーを周方向に複数備える燃焼器において、隣り合うスワラーによる旋回流の外縁が合流する際に生じるせん断を減少させて、NOxやCO排出の低減を図るために、各スワラーに対して、それぞれ隣り合うスワラーの旋回方向とは互いに反対方向となるような旋回流を与える技術が記載されている。
特許文献2に記載のメインバーナーは、周方向で隣接するメインバーナー同士で旋回方向が反対方向となるように配置されている。しかし、特許文献2に記載されたメインバーナーによって形成される火炎も、周方向で一様になってしまう。
このように周方向で一様な火炎が形成されると、メインバーナーに圧力変動が生じると、火炎が周方向で同じ変動を起こす。互いの火炎が同相で変動することで、燃焼器における発熱率の変動の振幅が大きくなり、燃焼振動が大きくなってしまう。
その一方で、特許文献1に記載の燃焼器のように、火炎の形状を変化させるために外形が異なるメインバーナーを複数用いる場合、メインバーナーの製造に係る工数が増加してしまうという課題がある。
この発明の第一態様によれば、燃焼器は、燃焼器軸線上に配置されたパイロットバーナーと、一次空気を旋回させて混合気を生成する第一バーナーと、前記第一バーナーとは逆方向に一次空気を旋回させて混合気を生成する第二バーナーと、をメインバーナーとして備え、前記メインバーナーは、前記パイロットバーナーの外周を囲むように配置されているとともに、前記燃焼器軸線を中心とした周方向に間隔をあけて複数配置され、前記周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで前記第一バーナーと前記第二バーナーとが配置されている。
このように一次空気を旋回させる方向が互いに逆方向となる第一バーナーと第二バーナーとを周方向の全周に渡って非周期的に配置することで、周方向で一様な火炎となることを抑制できる。そのため、外形が異なる複数種のメインバーナーを用いる必要が無くなる。
したがって、メインバーナーの製造に係る工数が増加することを抑制しつつ、燃焼振動の発生を抑制することができる。さらに、第一バーナーと第二バーナーとの周方向における配置パターンを、合成ベクトルの大きさが単位ベクトルの大きさ以上となる配置パターンとすることで、周方向における火炎のバランスを崩して一様な火炎となることを抑制できる。
つまり、第一バーナーと第二バーナーとを回転対称に配置しないため、周方向で一様な火炎となることを抑制できる。
このように各メインバーナーによる火炎の発熱率を指標とした重心位置を、複数のメインバーナーの配置の中心位置からオフセットさせることで、周方向における火炎のバランスを崩して一様な火炎となることを抑制できる。
このように構成することで、周方向において一様な火炎が形成されることを抑制できる。
このように構成することで、燃焼振動により運転状態が不安定になることを低減できる。
次に、この発明の第一実施形態における燃焼器及びガスタービンを図面に基づき説明する。
図1は、この発明の第一実施形態におけるガスタービンの概略構成を示す図である。
図1に示すように、ガスタービン1は、圧縮機2と、燃焼器3と、タービン4と、を備えている。
圧縮機2は、空気Aを圧縮して圧縮空気を生成する。燃焼器3は、燃料Fを圧縮機2で生成した圧縮空気中で燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを生成する。タービン4は、燃焼器3により生成された燃焼ガスにより駆動され、燃焼ガスのエネルギーを回転エネルギーに変換する。
圧縮機ロータ6とタービンロータ8は、直列に配置されて回転軸線Arを中心に回転する。タービンロータ8と圧縮機ロータ6とは一体に連結されており、これら圧縮機ロータ6とタービンロータ8とによってガスタービンロータ10が構成されている。このガスタービンロータ10には、例えば、発電機GENのロータが連結されている。
図2に示すように、燃焼器3は、燃焼筒(又は尾筒)13と、燃料噴出器14Aとを備えている。燃焼筒13は、その内部で燃料Fを燃焼させて、この燃料Fの燃焼の結果生成される燃焼ガスをタービン4に送る。燃料噴出器14Aは、燃焼筒13内に燃料F及び圧縮空気Aを噴出する。
パイロットバーナー15は、燃焼器軸線Ac上に配置され、燃料を拡散燃焼させる。このパイロットバーナー15は、パイロットノズル18と、パイロットバーナー筒19と、パイロットスワラ(図示せず)と、を備えている。
メインバーナー16は、メインノズル23と、メインバーナー筒24と、メインスワラ25と、を備えている。
メインノズル23は、燃焼器軸線Acと平行に延びるように形成されている。これらメインノズル23は、例えば、その外周面に燃料噴射用の噴射孔23aを有している。
メインスワラ25は、上流側から流れてきた圧縮空気(一次空気)Aを、メインノズル23を旋回中心にして旋回させる。メインスワラ25は、メインバーナー筒24の内周面からメインノズル23に向かって延びている。メインスワラ25は、複数設けられたメインバーナー16において、それぞれメインノズル23を中心とした周方向に間隔をあけて複数設けられている。
図4に示すように、メインバーナー16は、メインスワラ25による旋回方向が互いに逆方向となる第一バーナー16Aと、第二バーナー16Bと、を備えている。これら第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとは、旋回方向が互いに逆方向である点を除いて、同一の構成となっている。なお、図4において、パイロットバーナー15の図示を省略している。
つまり、この第一実施形態における燃料噴出器14Aにおけるメインバーナー16の配置パターンは、燃焼器軸線Acを中心として周方向に一周する間に、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置されている順序のパターンが同一のパターンのみで繰り返されていない。
図6に示すように、この第一実施形態における燃料噴出器14は、燃焼器軸線Acの位置を原点としての(0,0)座標とすると、単位ベクトルUAは、(0,0)座標から(0,1)座標に至る。また、単位ベクトルUBは、(−0.71,0.71)座標から(0,0)座標に至る。そして、これら単位ベクトルUA,UBの和(以下、合成ベクトルSVと称する)の大きさは、1.8程度となる。すなわち、単位ベクトルUA,UBの合成ベクトルSVの大きさは、1以上となっている。
これにより、外形が異なる複数種のメインバーナーを用いずに、周方向で一様ではない火炎を形成することができる。
その結果、メインバーナー16の製造に係る工数が増加することを抑制しつつ、燃焼振動の発生を抑制することができる。
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態は、上述した第一実施形態に対してメインバーナーの配置パターンを変化させたものである。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図7に示すように、この第二実施形態における燃料噴出器14Bは、上述した第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、複数のメインバーナー16として第一バーナー16Aと、第二バーナー16Bと、を備えている。これら第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとは、旋回方向が互いに逆方向である点を除いて、同一の構成となっている。
さらに、燃料噴出器14Bは、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが、燃焼器軸線Acを中心とした周方向で非対称な配置パターン(回転対称ではない配置パターン)で配置されている。
さらに、燃料噴出器14Bは、周方向における第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの境界に生じる径方向の流れの向きに応じた単位ベクトルUA,UBをそれぞれ合成した合成ベクトルSVの大きさが単位ベクトルUA(又はUB)の大きさ以上となる配置パターンで配置されている。
これにより、外形が異なる複数種のメインバーナーを用いずに、周方向で一様ではない火炎を形成することができる。
その結果、メインバーナー16の製造に係る工数が増加することを抑制しつつ、燃焼振動の発生を抑制することができる。
次に、この発明の第三実施形態を図面に基づき説明する。この第三実施形態は、第二実施形態と同様に、上述した第一実施形態に対してメインバーナーの配置パターンを変化させたものである。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図8に示すように、この第三実施形態における燃料噴出器14Cは、上述した第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、複数のメインバーナー16として第一バーナー16Aと、第二バーナー16Bと、を備えている。これら第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとは、旋回方向が互いに逆方向である点を除いて、同一の構成となっている。
ここで、第三実施形態においては、一見すると周期的な配置パターンであるように見える。しかし、ここで言う周期的な配置パターンとは、周方向で第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが隣り合う配置パターンにおいて、例えば、周方向で第一バーナー16A、第二バーナー16Bの順、又は、第二バーナー16B、第一バーナー16Aの順の何れかの配置パターンが周方向に一周する間に2回以上現れる配置パターンを意味する。
また、燃料噴出器14Bは、第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、その発熱率の重心位置gが、燃焼器軸線Acからオフセットしている。
さらに、図示は省略するが、燃料噴出器14Bは、周方向における第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの境界に生じる径方向の流れの向きに応じた単位ベクトルUA,UBをそれぞれ合成した合成ベクトルSVの大きさが単位ベクトルUA(又は、UB)の大きさ以上となる配置パターンで配置されている。なお、この第三実施形態における合成ベクトルSVの大きさは、単位ベクトルUA(又は、UB)に対して2倍の大きさとなっている。
これにより、外形が異なる複数種のメインバーナーを用いずに、周方向で一様ではない火炎を形成することができる。
その結果、メインバーナー16の製造に係る工数が増加することを抑制しつつ、燃焼振動の発生を抑制することができる。
次に、この発明の第四実施形態を図面に基づき説明する。この第四実施形態は、上述した第一実施形態に対してメインバーナーの配置パターンを変化させたものである。また、第四実施形態は、合成ベクトルの大きさが「1」未満になる点で第一実施形態と異なる。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図9に示すように、この第四実施形態における燃料噴出器14Dは、上述した第一実施形態の燃料噴出器14Aと同様に、複数のメインバーナー16として第一バーナー16Aと、第二バーナー16Bと、を備えている。これら第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとは、旋回方向が互いに逆方向である点を除いて、同一の構成となっている。
さらに、燃料噴出器14Dは、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが、燃焼器軸線Acを中心とした周方向で非対称な配置パターン(回転対称ではない配置パターン)で配置されている。
これにより、外形が異なる複数種のメインバーナーを用いずに、周方向で一様ではない火炎を形成することができる。
その結果、メインバーナー16の製造に係る工数が増加することを抑制しつつ、燃焼振動の発生を抑制することができる。
以下の表に示すケース1からケース22まで、第一バーナー16A及び第二バーナー16Bが配置される配置パターンについて、それぞれ発熱率の重心(発熱率重心)と、合成ベクトルの大きさとを求めるとともに、燃焼振動の大きさを求めた。以下の表において、各列における最も上に記載した「1」から「8」の数字は、上述した各実施形態の周方向におけるメインバーナー16の位置に対応している。また、最も左側の逆旋回本数とは、一つの燃料噴射器における第二バーナーの本数である。また、「発熱率重心」は、燃焼器軸線Acから発熱率重心までの距離を示したものある。なお、発熱率重心を計算する際には径方向外側に向かうスワールが強い場合は、発熱率を1.5とし、径方向内側に向かうスワールが強い場合は、発熱率を0.5としている。
ここで、上述した第一実施形態の燃料噴出器14Aにおけるメインバーナー16の配置は、ケース「6」である。さらに、第二実施形態の燃料噴出器14Bにおけるメインバーナー16の配置は、ケース「2」である。また、第三実施形態の燃料噴出器14Cにおけるメインバーナー16の配置は、ケース「13」である。さらに、第四実施形態の燃料噴出器14Dにおけるメインバーナー16の配置は、ケース「1」である。
なお、この表において、第一バーナー16Aが配置されている場合は「0」で、第二バーナー16Bが配置されている場合は「1」で示している。
上記の表におけるケース「0」、ケース「5」、ケース「20」、ケース「22」は、それぞれ周方向の全周に渡って周期的な配置パターンで第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとが配置されている。
比較例であるケース「0」、ケース「5」、ケース「20」、ケース「22」の発熱率重心の値は、何れも「0.0000」となった。
その一方で、比較例を除く全てのケースについては、発熱率重心の値が「0.0000」よりも大きくなっている。
図10は、左側の縦軸を発熱率重心と燃焼器中心との距離とし、右側の縦軸を合成ベクトルの大きさとし、横軸をケース番号としたグラフである。実線は、発熱率重心の値、破線は、合成ベクトルの大きさを示している。この図10において、横軸の左端部がケース「0」であり、右端部がケース「22」である。つまり、横軸においてケース番号は、右側に向かうほど大きくなっている。また、図10中、水平方向に延びる太い実線は、これら発熱率重心の値と合成ベクトルの大きさとの基準値の一例である。
これらケース「1」、「2」、「6」、「13」は、何れも、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置が非周期的であるとともに回転対称ではなく、さらにそれぞれの発熱率重心の値と合成ベクトルの大きさとが、ケース「0」の場合よりも大きくなり、特に、ケース「2」、「6」において、燃焼振動の低減が顕著となった。
つまり、第一バーナー16Aと第二バーナー16Bとの配置パターンの非周期性と、燃焼振動の低減との間に相関があることが確認された。
例えば、第一実施形態から第四実施形態の配置パターンに限られない。すなわち、ケース「1」、「2」、「6」、「13」の配置パターンに限られない。ケース「0」、ケース「5」、ケース「20」、ケース「22」を除く他のケース(配置パターン)であれば、ケース「1」、「2」、「6」、「13」以外の配置パターンであっても良い。
2 圧縮機
3 燃焼器
4 燃焼ガスをタービン
4 タービン
6 圧縮機ロータ
7 圧縮機ケーシング
8 タービンロータ
9 タービンケーシング
10 ガスタービンロータ
11 ガスタービンケーシング
13 燃焼筒
14A,14B,14C,14D 燃料噴出器
15 パイロットバーナー
16 メインバーナー
16A 第一バーナー
16B 第二バーナー
17 バーナー保持筒
18 パイロットノズル
18a 燃料噴射用の噴射孔
19 パイロットバーナー筒
21 本体部
22 コーン部
23 メインノズル
23a 燃料噴射用の噴射孔
24 メインバーナー筒
25 メインスワラ
A 圧縮空気(一次空気)
Ac 燃焼器軸線
Ar 回転軸線
Da 軸線方向
F 燃料
g 重心位置
G1 第一群
G2 第二群
G3 第三群
G4 第四群
GEN 発電機
SV 合成ベクトル
UA 単位ベクトル
UB 単位ベクトル
Claims (5)
- 燃焼器軸線上に配置されたパイロットバーナーと、
一次空気を旋回させて混合気を生成するメインバーナーとしての第一バーナーと、
前記第一バーナーとは逆方向に一次空気を旋回させて混合気を生成するメインバーナーとしての第二バーナーと、を備え、
前記メインバーナーは、前記パイロットバーナーの外周を囲むように配置されているとともに、前記燃焼器軸線を中心とした周方向に間隔をあけて複数配置され、
前記周方向の全周に渡って非周期的な配置パターンで複数の前記第一バーナーと複数の前記第二バーナーとが配置され、
前記第一バーナーと、前記第二バーナーとは、
周方向における前記第一バーナーと前記第二バーナーとの境界に生じる径方向の流れの向きに応じた単位ベクトルをそれぞれ合成した合成ベクトルの大きさが前記単位ベクトルの大きさ以上となる配置パターンで配置されている燃焼器。 - 前記第一バーナーと、前記第二バーナーとは、
周方向で非対称な配置パターンで配置されている請求項1に記載の燃焼器。 - 前記第一バーナーと、前記第二バーナーとは、
複数の前記メインバーナーの全体の発熱率の重心位置が、前記周方向の中心位置からオフセットする配置パターンで配置されている請求項1に記載の燃焼器。 - 周方向に間隔をあけて配置された複数の前記メインバーナーを、一または互いに周方向に隣接する複数のメインバーナーからなり、且つ、同数のメインバーナーからなる群に周方向に分割した場合に、
少なくとも一つの前記群における第一バーナー及び第二バーナーの配置関係が、他の前記群と異なる請求項1に記載の燃焼器。 - 請求項1から4の何れか一項に記載の燃焼器を備えるガスタービン。
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