(第1の実施形態)
以下、パチンコ遊技機に具体化した第1の実施形態を図1〜図14にしたがって説明する。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10は、枠体Wを備えている。枠体Wは、パチンコ遊技機10を遊技場などの遊技機設置設備(所謂、島設備)へ固定する設置枠として外枠WSと、各種の遊技用構成部材を搭載する搭載枠として中枠WN及び前枠WMと、を備えている。中枠WNは外枠WSの開口前面側に開放及び着脱自在に組み付けられているとともに、前枠WMは中枠WNの前面側に開閉及び着脱自在に組み付けられている。
前枠WMは、中枠WNに搭載される遊技盤YBを保護する保護ガラスGを備えている。図1において保護ガラスGは、一部を残して図示が省略されているが、実際には前枠WMの開口部WMaの全体を覆っている。また、前枠WMは、前面に装飾ランプLaを備えている。装飾ランプLaは、内蔵された発光体の点灯、点滅及び消灯による発光演出を行う際に用いられるとともに、エラー報知を行う際にも用いられる。また、前枠WMは、前面にスピーカSpを備えている。スピーカSpは、楽曲や効果音などの音を出力する音声演出を行う際に用いられるとともに、エラー音を出力するエラー報知を行う際にも用いられる。
また、前枠WMは、前面下部に遊技球の発射ハンドルHDを備えているとともに、前面下部に遊技球を貯留する球皿(貯留皿)として上皿Saと下皿Sbとを備えている。上皿Saは、主に発射ハンドルHDの操作によって遊技盤YBの遊技領域YBaに向けて打ち出される遊技球であって、機内に取り込まれる遊技球を貯留する貯留皿である。下皿Sbは、主にパチンコ遊技機10から払出される遊技球であって、上皿Saから溢れ出た遊技球を貯留する貯留皿である。なお、図示しないが、前枠WMの後側には、遊技球を下皿Sbへ排出する各種の排出通路が搭載されている。排出通路には、例えば、上皿Saから溢れ出た遊技球の排出通路、上皿Saに貯留されている遊技球の排出通路、遊技領域YBaへ向けて打ち出されたが当該遊技領域YBaへ到達せずに戻り球となった遊技球の排出通路がある。また、上皿Saの上面には、図1に示すように、遊技者が演出の一つである操作演出において操作可能な演出ボタンBTや、遊技者がパチンコ遊技機10から貸し球を貸し受ける際に操作する球貸操作部TSなどが設けられている。
中枠WNには、遊技盤YB、各種の制御基板、遊技球を払出すための各種部材(球タンク(図示しない)、図6に示す払出ユニットHS)などが搭載されている。また、図示しないが、中枠WNには、遊技球の案内通路が搭載されている。案内通路には、例えば、球タンクに貯留されている遊技球を払出ユニットHSへ案内する案内通路、払出ユニットHSから払出された遊技球(賞球又は貸し球)を上皿Saへ案内する案内通路、遊技に使用された有効球を機外(遊技機設置設備)に案内する案内通路がある。有効球については後に詳しく説明する。
図2に示すように、遊技盤YBの盤面には、正面視ほぼ円形状の遊技領域YBaが画成されている。そして、遊技領域YBaのほぼ中央には、画像表示部GHを有する演出表示装置11が設けられている。演出表示装置11の画像表示部GHは、例えば液晶ディスプレイ型の表示部である。演出表示装置11では、演出図柄(飾り図柄)を用いた図柄変動ゲームなど、画像を用いた各種演出が表示される。
また、遊技盤YBの遊技領域YBaには、遊技球が入球可能な複数の入賞口(入球口)が配設されている。入賞口には、第1始動口12と、第2始動口13と、大入賞口15と、普通入賞口16,17と、を含む。
第1始動口12は、図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第1始動口12は、演出表示装置11の下方に位置しており、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。第1始動口12には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には第1始動口12に入球した遊技球を検知する手段(図6に示す始動口スイッチ(センサ)S1)が配設されている。
第2始動口13は、図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第2始動口13は、第1始動口12の右方に位置している。第2始動口13は、所定条件(普通図柄の当選)が成立していないときには遊技球を入球させることができない、若しくは入球し難いように閉鎖されている。そして、第2始動口13は、所定条件(普通図柄の当選)の成立により、遊技球を入球させることができる、若しくは入球し易いように開放される。第2始動口13は、アクチュエータ(ソレノイドやモータなど)から動力を受けて開放する。この実施形態において第2始動口13を開放させるアクチュエータは、図6に示すアクチュエータAC1である。また、第2始動口13には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には第2始動口13に入球した遊技球を検知する手段(図6に示す始動口スイッチ(センサ)S2)が配設されている。
大入賞口15は、賞球の払出条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において大入賞口15は、演出表示装置11の右下方に位置している。大入賞口15は、所定条件(特別図柄の当選)が成立していないときには遊技球を入球させることができないように閉鎖されている。そして、大入賞口15は、所定条件(特別図柄の当選)の成立により、遊技球を入球させることができる、若しくは入球し易いように開放される。大入賞口15は、アクチュエータ(ソレノイドやモータなど)から動力を受けて開放する。この実施形態において大入賞口15を開放させるアクチュエータは、図6に示すアクチュエータAC2である。また、大入賞口15には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には大入賞口15に入球した遊技球を検知する手段(図6に示すカウントスイッチ(センサ)S3)が配設されている。
普通入賞口16,17は、賞球の払出条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において普通入賞口16,17は遊技領域YBaの左方の領域と右方の領域のそれぞれに位置している。また、普通入賞口16,17は、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。
左方の普通入賞口16は、主に第1始動口12を狙って発射された遊技球が入球可能な位置にあり、大入賞口15を狙って発射された遊技球は入球不能な位置にある。この実施形態において左方の領域には、複数の普通入賞口16が設けられている。そして、左方の各普通入賞口16には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には各普通入賞口16に入球した遊技球を検知する手段(図6に示す普通口スイッチ(センサ)S5)が配設されている。左方の普通入賞口16に連設された球通路は、各普通入賞口16に入球した遊技球を受け入れる複数の分岐通路と、各分岐通路を案内された遊技球を受け入れる集合通路によって構成されており、当該集合通路に単一の普通口スイッチS5が配設されている。
右方の普通入賞口17は、主に大入賞口15を狙って発射された遊技球が入球可能な位置にあり、第1始動口12を狙って発射された遊技球は入球不能な位置にある。つまり、右方の普通入賞口17は、大入賞口15を狙って発射された遊技球が入球可能な位置に配置されている。この実施形態において右方の領域には、単数の普通入賞口17が設けられている。そして、右方の普通入賞口17には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には普通入賞口17に入球した遊技球を検知する手段(図6に示す普通口スイッチ(センサ)S6)が配設されている。
この実施形態において上記した第1始動口12、第2始動口13、大入賞口15及び普通入賞口16,17は、何れの入賞口も遊技球の入球によって賞球の払出条件が成立する入賞口であり、第1始動口12、第2始動口13及び普通入賞口16,17は大入賞口15とは異なる複数の入賞口である。この実施形態では、第1始動口12の賞球数を[4球]に、第2始動口13の賞球数を[1球]に、大入賞口15の賞球数を[15球]に、普通入賞口16,17の各賞球数を[5球]に定めている。賞球数として定めた遊技球の個数は、1球の入球に対してパチンコ遊技機10から払出される遊技球の個数である。第1始動口12、第2始動口13、大入賞口15、及び普通入賞口16,17は、遊技球の入球によって賞球払出しの対象となる入球装置であり、パチンコ遊技機10には前述したような賞球払出しの対象なる入球装置が複数備えられている。
また、遊技領域YBaには、作動ゲート18が配設されている。この実施形態において作動ゲート18は、遊技領域YBaの右方の領域であって、第2始動口13や大入賞口15の上方に位置している。作動ゲート18には、常時、遊技球を入球させることができるように開放されたゲート口18aが開口されている。ゲート口18aには、入球し、通過する遊技球を検知する手段(図6に示すゲートスイッチ(センサ)S4)が配設されている。作動ゲート18のゲート口18aは、普通図柄を用いた図柄変動ゲーム(以下、「普図変動ゲーム」と示す)の始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入球口である。第2始動口13は、作動ゲート18へ遊技球が入球することによって行われる普通図柄の当り抽選に当選し、普図変動ゲームで導出された後、閉鎖態から開放状態へ動作する。なお、作動ゲート18は、遊技球の入球によって賞球払出しの対象となる入球装置ではなく、作動ゲート18を遊技球が入球しても賞球の払出条件は成立しない。
この実施形態において、遊技者は、発射ハンドルHDの発射強度の強弱を調整することで、左方の領域及び右方の領域に遊技球を打ち分け、第1始動口12、第2始動口13、大入賞口15、普通入賞口16,17又は作動ゲート18へ遊技球を入球させることが可能となる。具体的には、発射強度を強めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、右打ち)、遊技球は、右方の領域に流下案内され易く、第2始動口13、大入賞口15、右方の普通入賞口17、又は作動ゲート18へ入球する可能性がある。なお、右打ちは、遊技球を右方の領域へ到達させるために勢いよく発射させる必要があることから、発射強度を最大強度若しくは最大強度よりも若干弱い強度で調整して行う。
一方、発射強度を弱めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、左打ち)、遊技球は、左方の領域に流下案内され易く、第1始動口12、又は左方の普通入賞口16へ入球する可能性がある。また、左打ちは、右打ちのときほど遊技球を勢いよく発射させる必要がないので、発射させた遊技球が右方の領域へ到達しない程度の強度に調整して行う。なお、この実施形態では、右打ちを行った場合、第1始動口12や左方の普通入賞口16に遊技球が入球し得ないよう、遊技釘などの遊技部品によって遊技球の流路が形成されている。なお、遊技部品は、右打ちを行ったときには第1始動口12や左方の普通入賞口16への入球を規制するように配置されていてもよいし、左打ちを行ったときに比べて第1始動口12や左方の普通入賞口16へ入球し難い(入球する確率を極めて低くする)ように配置されていてもよい。
この実施形態において「左方の領域」とは、遊技盤YBを正面視したときに遊技領域YBaを左右に二等分する中心線Cよりも左側に位置する領域である。また、この実施形態において「右方の領域」とは、遊技盤YBを正面視したときに前記中心線Cよりも右側に位置する領域である。パチンコ遊技機10において発射ハンドルHDの操作によって発射された遊技球は、遊技盤YBを正面視したときの左側に位置する打出通路19で案内され、その打出通路19の最下流に位置する逆戻り防止弁20を通過して遊技領域YBaに到達される。このため、「左方の領域」とは打出通路19寄りの領域でもあり、その逆に「右方の領域」とは打出通路19から離れた領域でもある。そして、左方の領域を流下案内される遊技球は、遊技領域YBaに位置する演出表示装置11の左側をとおり、遊技領域YBaの最下方に位置するアウト口21へ向かう。また、右方の領域を流下案内される遊技球は、遊技領域YBaに位置する演出表示装置11の右側をとおり、前記アウト口21へ向かう。
ここで、前述した有効球について説明する。
この明細書において有効球は、パチンコ遊技機10での遊技に使用された遊技球のことであり、より詳しくは発射ハンドルHDの操作によって打ち出され、遊技盤YBの遊技領域YBaへ到達した遊技球である。パチンコ遊技機10では、発射ハンドルHDを連続して操作した場合、所定の間隔(1分間当り100球の打ち出し間隔)で遊技球を打ち出し、その打ち出した遊技球のうち、打出通路19で案内されて逆戻り防止弁20を通過した遊技球が有効球に相当する。その一方で、打ち出した遊技球のうち、逆戻り防止弁20を通過せずに打出通路19を戻った又は逆流した遊技球(所謂、戻り球)は打出通路19の途中に連通する排出通路を通じて下皿Sbへ排出され、遊技者に返却されることから、遊技に使用されなかった遊技球(無効球)であり、有効球とはならない。
なお、遊技領域YBaに到達した有効球としての遊技球は、遊技盤YBの何れかの入賞口へ入球する場合もあれば、何れの入賞口へも入球せずにアウト口21へ入球する場合もある。そして、何れかの入賞口へ入球した有効球は、入球した入賞口に連設されている球通路から中枠WNにある案内通路へ導かれるとともに当該案内通路を通じて機外へと案内され、機外へ排出される。また、アウト口21へ入球した遊技球は、アウト口21に連設されている球通路から中枠WNにある案内通路へ導かれるとともに当該案内通路を通じて機外へと案内され、機外へ排出される。
遊技盤YBの説明に戻り、遊技盤YBには、図6に示す、特図表示装置23、保留表示装置24、普図表示装置25が配設されている。これらの表示装置は、パチンコ遊技機10を正面視した場合に遊技者が視認可能な遊技盤YBの部位に位置している。例えば、これらの表示装置は、遊技盤YBの遊技領域に配設されている飾り部材や、遊技盤YBのコーナー飾り部材などに配設されている。
特図表示装置23は、特別図柄を用いた図柄変動ゲーム(以下、「特図変動ゲーム」と示す)を行い、当該特図変動ゲームにおいて大当り抽選の抽選結果に応じた特別図柄が導出される。特図表示装置23には、第1特別図柄の図柄変動ゲーム(以下、「第1特図変動ゲーム」と示す)を行う第1特図表示装置と、第2特別図柄の図柄変動ゲーム(以下、「第2特図変動ゲーム」と示す)を行う第2特図表示装置と、がある。第1始動口12に遊技球が入球し、検知された場合は、第1特図変動ゲームの始動条件が成立する。一方、第2始動口13に遊技球が入球し、検知された場合は、第2特図変動ゲームの始動条件が成立する。第1特別図柄と第2特別図柄では、始動条件の成立を契機に大当り抽選が行われるが、その大当り抽選に当選する確率は同一確率である。その一方で、第1特別図柄と第2特別図柄では、大当り抽選に当選した場合に決定される大当りの種類や同一種類の大当りの決定割合を異ならせている。これにより、第1特別図柄と第2特別図柄では、大当り抽選に当選した際の有利度(例えば、賞球の多少、入球率向上状態の付与期間など)を異ならせている。
また、始動条件が成立した場合には、大当り抽選の抽選結果を導出するために特図表示装置23で特図変動ゲームが行われるとともに、当該特図変動ゲームで導出される特別図柄に応じた結果を導出する図柄変動ゲームが演出表示装置11においても演出図柄を用いて行われる。
特図表示装置23は、発光体を備えた表示装置である。特図変動ゲームでは、表示装置を構成する発光体を任意に組み合わせたものが特別図柄として導出される。特別図柄には、大当り抽選に当選した場合に導出される大当り図柄と大当り抽選に当選しなかった場合に導出されるはずれ図柄とを含む。一方、演出図柄の図柄変動ゲームでは、複数列の演出図柄の組み合わせが導出される。演出図柄は、例えばアラビア数字を模した意匠で構成されている。そして、全列の演出図柄が同一の演出図柄となる組み合わせを大当り抽選に当選したことを特定可能な大当りの組み合わせとし、全列の演出図柄が同一の演出図柄とならない組み合わせを大当り抽選に当選しなかったことを特定可能なはずれの組み合わせとしている。
演出図柄の図柄変動ゲームで導出される結果は、特図変動ゲームで導出される結果に対応する。このため、特図変動ゲームでは大当り抽選の抽選結果を特別図柄で導出させる一方で、演出図柄の図柄変動ゲームにおいても大当り抽選の抽選結果を特定可能な情報が演出図柄で導出される。なお、第1特図変動ゲームと第2特図変動ゲームは同時に実行されず、演出表示装置11では実行されている特別図柄に対応する演出図柄の図柄変動ゲームが行われる。
保留表示装置24は、実行が保留されている特図変動ゲームの数(始動保留数)を表示する。保留表示装置24には、第1特別図柄の始動保留数を表示する第1保留表示装置と、第2特別図柄の始動保留数を表示する第2保留表示装置と、がある。普図表示装置25は普図変動ゲームを行い、当該普図変動ゲームにおいて普通図柄の当り抽選の抽選結果に応じた普通図柄が導出される。
また、図3に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技盤YBの後側に組み付けられる枠搭載部材50を備えている。枠搭載部材50は、前方が開放された扁平な四角箱状の部材であり、各種の遊技部品が組み付けられる。枠搭載部材50は、例えばねじなどの締結部品を用いて、遊技盤YBの裏面に固定されている。
また、図3に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技盤YBの後側に、液晶パネルユニット60、第1副基板ユニット70、第2副基板ユニット75、及び主基板ユニット80を備えている。液晶パネルユニット60、第1副基板ユニット70、第2副基板ユニット75、及び主基板ユニット80は、枠搭載部材50の後側に組み付けられている。
液晶パネルユニット60は、画像表示部GHを構成する液晶パネルと、液晶パネルの駆動基板(図示しない)と、液晶パネル及び駆動基板を収容しているパネルケース61と、を備えている。この実施形態において液晶パネルユニット60は、枠搭載部材50の後壁50aに組み付けられている。
第1副基板ユニット70は、第1副基板71と、第1副基板71を収容している第1副基板ケース72と、を備えている。また、第2副基板ユニット75は、第2副基板76と、第2副基板76を収容している第2副基板ケース77と、を備えている。第1副基板ユニット70及び第2副基板ユニット75は、何れも液晶パネルユニット60のパネルケース61に固定されており、遊技盤YBの左右方向に隣り合って配置されている。
この実施形態では、第1副基板ユニット70の第1副基板ケース72に収容している第1副基板71を、サブ統括基板32と音声・ランプ基板47としている。また、この実施形態では、第2副基板ユニット75の第2副基板ケース77に収容している第2副基板76を、演出表示基板46としている。
演出表示基板46は、演出表示装置11を制御する。音声・ランプ基板47は、装飾ランプLa及びスピーカSpを制御する。サブ統括基板32は、複数の副基板を統括して制御する。演出表示基板46、音声・ランプ基板47及びサブ統括基板32は、図6に示すように何れも副基板42である。なお、サブ統括基板32と音声・ランプ基板47は、独立した制御基板として構成されていてもよいし、1枚の制御基板として構成されていてもよい。
主基板ユニット80は、主基板30と、主基板30を収容している主基板ケース81と、を備えている。主基板ユニット80は、液晶パネルユニット60のパネルケース61に固定されており、第1副基板ユニット70及び第2副基板ユニット75の下方に配置されている。
以下、図4及び図5にしたがって主基板ユニット80の構成を具体的に説明する。
主基板30は、図示しない配線パターンをプリントしたプリント基板に各種の電子部品を実装して構成されている。図4には、主基板30に実装されている電子部品として、CPU30a、接続端子103、RWMクリアボタン104、表示手段としての表示器105などを例示している。なお、主基板30の構成などについては後に詳述する。
主基板30を収容している主基板ケース81は、ベース部材82と、カバー部材86と、を備えている。ベース部材82とカバー部材86とを組み付けることにより、その内部に、主基板30を収容する空間が形成される。
図4に示すように、ベース部材82は、左右方向に沿って延びている長方形の板状部材である。ベース部材82は、左右方向に沿って延びている長方形の嵌込凹部82aを備えている。嵌込凹部82aには、主基板30が嵌め込まれている。ベース部材82は、嵌込凹部82aの上縁部に沿って延びている上ガイド溝83Uと、嵌込凹部82aの下縁部に沿って延びている下ガイド溝83Lと、を備えている。
ベース部材82は、上ガイド溝83Uの内部に、複数の係合部83aと単数の凹部83bと、を備えている。上ガイド溝83Uの係合部83aと凹部83bは、上ガイド溝83Uが延びている方向に沿って所定の間隔を開けて並んでいる。また、ベース部材82は、下ガイド溝83Lの内部に、複数の係合部83aと単数の凹部83bと、を備えている。下ガイド溝83Lの係合部83aと凹部83bは、下ガイド溝83Lが延びている方向に沿って所定の間隔を開けて並んでいる。上ガイド溝83Uの係合部83aと下ガイド溝83Lの係合部83aは主基板30(嵌込凹部82a)を挟んで上下方向に対向しているとともに、上ガイド溝83Uの凹部83bと下ガイド溝83Lの凹部83bは主基板30(嵌込凹部82a)を挟んで上下方向に対向している。
図4に示すように、カバー部材86は、前方に向かって開口しており、且つ左右方向に沿って延びている長方形の箱状部材である。カバー部材86は、後方に向かって突出している膨出部86aを備えている。膨出部86aは、主基板30が備えている電子部品を収容する空間を確保するための部分である。また、カバー部材86は、膨出部86aの下方に、主基板30に近接した状態で広がる近接部86bを備えている。カバー部材86において、近接部86bは、膨出部86aの下壁86cと繋がっている。
カバー部材86は、上縁部に沿って延びている上ガイドリブ87Uと、下縁部に沿って延びている下ガイドリブ87Lと、を備えている。また、カバー部材86は、上ガイドリブ87Uに、複数(上ガイド溝83Uの係合部83aと同数)の係止片87aと単数の凸部87cと、を備えている。上ガイドリブ87Uの係止片87aと凸部87cは、上ガイドリブ87Uが延びる方向に沿って所定の間隔を開けて並んでいる。
また、カバー部材86は、下ガイドリブ87Lに、複数(下ガイド溝83Lの係合部83aと同数)の係止片87aと単数の凸部87cと、を備えている。下ガイドリブ87Lの係止片87aと凸部87cは、下ガイドリブ87Lが延びる方向に沿って所定の間隔を開けて並んでいる。なお、各係止片87aは、上ガイドリブ87U及び下ガイドリブ87Lの平面視においてL字型に切り欠いた切欠き部87bを形成することによって設けられている。上ガイドリブ87Uの係止片87aと下ガイドリブ87Lの係止片87aは主基板30(嵌込凹部82a)を挟んで上下方向に対向しているとともに、上ガイドリブ87Uの凸部87cと下ガイドリブ87Lの凸部87cは主基板30(嵌込凹部82a)を挟んで上下方向に対向している。
ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態において、上ガイドリブ87Uは、上ガイド溝83Uに挿入される。そして、上ガイド溝83Uにある複数の係合部83aは、それぞれ上ガイドリブ87Uにある切欠き部87bに挿入され、係止片87aと個別に係止される。また、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態において、下ガイドリブ87Lは、下ガイド溝83Lに挿入される。そして、下ガイド溝83Lにある複数の係合部83aは、それぞれ下ガイドリブ87Lにある切欠き部87bに挿入され、係止片87aと個別に係止される。これにより、ベース部材82とカバー部材86とは、係合部83aと係止片87aとの係合によって、前後方向に分離することが規制される。
また、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態では、上ガイド溝83Uにある凹部83bと、上ガイドリブ87Uにある凸部87cとが係合する。また、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態では、下ガイド溝83Lにある凹部83bと、下ガイドリブ87Lにある凸部87cとが係合する。これにより、ベース部材82とカバー部材86とは、左右方向へと相互にスライドしてしまうことが抑制される。したがって、この実施形態では、ベース部材82とカバー部材86とが左右方向へと相互にスライドすることによって、複数の係合部83aと複数の係止片87aとによる係止が解除されてしまうことを抑制できる。
また、この実施形態の主基板ケース81は、ベース部材82が備える第1カシメ部85とカバー部材86が備える第2カシメ部88とを含む不正開放防止手段を備えている。第1カシメ部85と第2カシメ部88とは、破壊することなく分離不能に固定されている。
ベース部材82は、ベース部材82の左右方向の一端部から外方へ突出する四角箱状の第1カシメ部85を備えている。第1カシメ部85は、前後方向に貫通している複数(この実施形態では2つ)の貫通孔85a,85bを備えている。一方、カバー部材86は、カバー部材86の左右方向の一端部から外方へ突出する四角箱状の第2カシメ部88を備えている。第2カシメ部88は、前後方向に貫通している複数(この実施形態では2つ)の貫通孔88a,88bを備えている。貫通孔88a,88bは、それぞれの開口部の周囲に沿って階段状に凹んでいる段部88dを備えている。
そして、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態において、第1カシメ部85にある貫通孔85aと、第2カシメ部88にある貫通孔88aとは、後方から見たときに整合一致している。また、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態において、第1カシメ部85にある貫通孔85bと、第2カシメ部88にある貫通孔88bとは、後方から見たときに整合一致している。
図4に示すように、主基板ケース81は、第1カシメ片90を備えている。第1カシメ片90は、ベース壁90aと、該ベース壁90aの左端部及び右端部から後方に向かって突出し、且つ上下方向に沿って延びている四角板状の側壁90b,90bと、を備えている。第1カシメ片90は、側壁90b,90bのそれぞれに、係止片90c,90cを備えている。係止片90c,90cは、基端部が側壁90b,90bのそれぞれに繋がっているとともに、先端部が側壁90b,90bの間に突出している板状部材である。係止片90c,90cの基端部は、係止片90c,90cの先端部よりも、側壁90b,90bの先端部側(後方)に配置されている。係止片90c,90cは、左右方向へはそれぞれ基端部を中心として比較的容易に撓むことが可能であるが、側壁90b,90bの突出方向(前後方向)へは撓み難く、所定の強度を備えている。
また、図4に示すように、主基板ケース81は、第2カシメ片91を備えている。第2カシメ片91は、上下方向に沿って延びる四角板状のベース部91aと、該ベース部91aの前面(第1カシメ片90側の面)から前方に向かって突出するとともに、上下方向に沿って延びているロック板91bと、を備えている。ロック板91bは、該ロック板91bを厚さ方向(左右方向)に貫通するロック孔91cを備えている。この実施形態において、ロック孔91cの形状は、四角形である。
貫通孔85bには、該貫通孔85bの開口部のうち前側(パネルケース61側)の開口部から、第1カシメ片90が挿入されている。そして、貫通孔85bの内部には上下方向に沿って図示しない支持部が延在されており、第1カシメ片90のベース壁90aは支持部に係止される。この状態において、貫通孔88bには、該貫通孔88bの開口部のうち後側の開口部から、第2カシメ片91が挿入されている。この状態において、第1カシメ片90の係止片90c,90cは、第2カシメ片91のロック孔91cに挿入され、係止片90c,90cとロック孔91cとが係止された状態となっている。係止片90c,90cとロック孔91cとが係止された状態では、第1カシメ片90のベース壁90aと支持部との当接によって第2カシメ片91を貫通孔88bから引き抜くことが規制されている。同様に、係止片90c,90cとロック孔91cとが係止された状態では、第2カシメ片91のベース部91aと段部88dとの当接によって第1カシメ片90を貫通孔85bから引き抜くことが規制されている。
第1カシメ片90や第2カシメ片91を無理に引き抜いた場合には、係止片90c,90cが破壊される。このため、第1カシメ片90や第2カシメ片91を引き抜いて主基板ケース81を開封した場合には、第1カシメ片90が破壊されてしまっているために、同じ第1カシメ片90を用いて第1カシメ部85と第2カシメ部88とを固定することができない。すなわち、この実施形態の主基板ケース81は、ベース部材82とカバー部材86とを分離して開封したときに、第1カシメ部85及び第2カシメ部88において開封の痕跡を残すことができる。なお、主基板ケース81は、貫通孔85a,85bや貫通孔88a,88bを覆っている蓋部材を備えていてもよい。また、主基板ケース81は、貫通孔85aに予め第1カシメ片90を挿入しておくことで、予備の第2カシメ片91を用い、再び、第1カシメ部85と第2カシメ部88とを固定できるようにしてもよい。
カバー部材86の説明に戻り、カバー部材86は、近接部86bに、表示器105が挿通される表示器挿通孔96を備えている。この実施形態の表示器105は、表示器105が備える情報表示部(表示面)105aを正面視したときに四角形である。このため、表示器挿通孔96は、情報表示部105aの外形に対応した四角形である。そして、表示器挿通孔96の周囲における近接部86bの厚さは、他の部分におけるカバー部材86の厚さと同一又は略同一である。このため、主基板30が主基板ケース81に収容された状態において、表示器105は、表示器挿通孔96において近接部86bの後面よりも後方へ突出している。つまり、表示器105が備える情報表示部(表示面)105aは、カバー部材86外に露出している。なお、表示器105の構成については後に詳述する。
また、カバー部材86は、接続端子103が挿通される端子孔97を備えている。端子孔97の形状は、接続端子103の外形に対応した四角形である。
また、カバー部材86は、近接部86bに、近接部86bから後方へと突出するボタン保護部99を備えている。ボタン保護部99の後面99aは、上方から見たときに、膨出部86aよりも後方に突出していない。ボタン保護部99は、RWMクリアボタン104が挿通されるボタン孔99bを備えている。そして、ボタン保護部99は、ボタン孔99bの周囲を囲っている凹部99cを備えている。主基板30が主基板ケース81に収容された状態において、RWMクリアボタン104は、上方から見たときに、ボタン保護部99の後面99aよりも後方へ突出していない。したがって、仮に主基板ユニット80の上方から遊技球が落下してきた場合であっても、該遊技球がRWMクリアボタン104に接触し難くなっている。
図5は、遊技盤YBに組み付けられた主基板ユニット80を後方から正面視した状態を示している。
この実施形態においてカバー部材86は、無色透明の樹脂成型品である。このため、主基板ケース81に収容している主基板30の実装面(カバー部材86と対向している側の面)は、主基板ケース81(カバー部材86)を透過して視認可能である。換言すれば、主基板30に実装したCPU30aなどの電子部品も、主基板ケース81(カバー部材86)を透過して視認可能である。
また、カバー部材86は、主基板30の管理番号を表示する番号表示部101を備えている。番号表示部101は、粘着面を備えるシール材に管理番号を印刷したものであり、カバー部材86の外に貼り付けられている。なお、主基板30の管理番号は、パチンコ遊技機10毎に異なる番号が付されており、どのパチンコ遊技機10にどの主基板30が搭載されているかを管理する番号である。
そして、主基板30に搭載されている表示器105は、主基板30を主基板ケース81に収容し、主基板ユニット80としてユニット化した場合でも、情報表示部105aが露出することで視認可能とされている。つまり、この実施形態において表示器105は、主基板30を主基板ケース81で覆った状態で表示状態が視認可能に搭載されている。また、図5に示すように、表示器105を搭載した位置は、主基板ケース81外に配置されている番号表示部101の位置とは左右方向に離間している。このため、表示器105の情報表示部105aは、主基板ケース81に収容している主基板30を後方から正面視したときに番号表示部101と左右方向及び前後方向の何れでも重ならない位置に配置されている。
なお、パチンコ遊技機10では、遊技盤YBの後側に組み付けられた主基板ユニット80のさらに後方に別の遊技部品は組み付けられていない。そして、主基板ケース81のカバー部材86は、少なくとも主基板30の実装面が対向する部位については他の遊技部品で覆われていない。このため、遊技盤YBを組み付けた中枠WNを開放させた場合、主基板ユニット80は露出した状態となり、図5に示すように視認可能である。したがって、中枠WNを開放させた状態においては主基板ケース81に収容している主基板30の実装面が視認可能であるとともに、番号表示部101及び表示器105の情報表示部105aがそれぞれ視認可能である。
そして、パチンコ遊技機10は、常には図1に示す施錠装置SSによって中枠WN及び前枠WMの開放が規制されているが、遊技場の管理者が管理するキー(鍵)を用いて施錠装置SSを操作することで中枠WN及び前枠WMが解錠されて開放させることができる。このため、表示器105の情報表示部105aに表示される情報は、中枠WNを開放させることによって視認可能である。つまり、この実施形態において主基板30に搭載した表示器105の情報は、施錠装置SSを操作することができない遊技者の目には触れない位置に配置されていることになる。
次に、図6にしたがって、パチンコ遊技機10の電気的構成を説明する。
パチンコ遊技機10は、主基板30、払出基板31、サブ統括基板32を含む各種制御基板を備えている。
主基板30は、制御動作を所定の手順で実行することができる主制御用のCPU30aを備えている。また、CPU30aは、パチンコ遊技機10における遊技の進行を制御する。CPU30aは、所定の処理を行う処理部(中央処理装置)である。この実施形態においてCPU30aは、メモリを内蔵しているとともに、該メモリには読み出し専用のROM領域と、読み書きが可能なRWM領域とが設けられている。これにより、主基板30は、図6に示すようにROM領域に相当する主制御用のROM30bと、RWM領域に相当する主制御用のRWM30cと、を備えている。なお、メモリは、CPU30aと別体であってもよい。また、主基板30は、乱数生成回路30d、及び表示器(ベースモニタ)105を備えている。なお、主基板30は、図示しないが、入出力回路、クロック生成回路などの電子部品も備えている。そして、主基板30を主基板ケース81に収容した状態において上記した電子部品は、主基板ケース81のカバー部材86を透過して視認可能である。
主基板30には、始動口スイッチS1,S2、カウントスイッチS3、ゲートスイッチS4、普通口スイッチS5,S6が接続されている。そして、CPU30aは、上記した各スイッチS1〜S6からの検知信号を受信可能である。また、CPU30aは、各種表示装置(特図表示装置23、保留表示装置24、普図表示装置25など)の表示内容を制御するとともに、アクチュエータAC1,AC2の動作を制御する。また、主基板30には、RWMクリアボタン104が接続されている。CPU30aは、RWMクリアボタン104の操作信号を受信可能である。
ROM30bには、遊技に関する処理を実行するためのメイン制御プログラム、特別図柄の変動パターン(メイン変動パターン)を特定する情報や、各種の判定値などが格納されている。メイン変動パターンは、特別図柄が変動を開始してから特別図柄が確定停止表示される迄の間の変動時間(演出時間)を特定可能である。メイン変動パターンは、大当り変動用の変動パターンと、はずれ変動用の変動パターンとに分類可能である。また、各種の判定値には、大当り抽選に用いる大当り判定値、普通図柄の当り抽選に用いる普通当り判定値などを含む。また、RWM30cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ、始動保留数など)が記憶される。つまり、CPU30aは、自身による演算結果を示すデータ(制御情報)をメモリのRWM領域に記憶させる。
CPU30aは、各種のソフトウェア乱数の値を所定の制御周期(割込み周期)毎に更新し、RWM30cに記憶させる乱数更新処理(ソフトウェア乱数生成処理)を実行する。ソフトウェア乱数には、特別図柄の大当り図柄を決定するときに用いる大当り図柄乱数、メイン変動パターンを振り分けるときに用いる変動パターン振分乱数などを含む。乱数生成回路30dは、図示しないクロック生成回路から供給される内部システムクロック(例えば10MHz)の1周期毎に値を1更新することにより、ハードウェア乱数を生成する。ハードウェア乱数は、特別図柄の大当り抽選に用いる大当り乱数や、普通図柄の当り抽選に用いる普通当り乱数となる。
払出基板31は、制御動作を所定の手順で実行することができる払出制御用のCPU31aと、CPU31aの制御プログラムなどの制御用情報を格納する払出制御用のROM31bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる払出制御用のRWM31cと、を備えている。払出基板31は、中継端子板37を介して主基板30に接続されている。主基板30と払出基板31は、双方向に情報(制御信号)が送信されるように電気的に接続されている。払出基板31は、主基板30から送信される賞球の払出しを指示する賞球信号をもとに払出ユニットHSを駆動させ、所定個数の賞球を払出す。
主基板30から払出基板31に送信される賞球信号(賞球指定コマンド)は、賞球払出しの対象となる入賞口へ入球したことにより、その入賞口に対応する賞球数を特定可能に構成されている。例えば、第1始動口12へ入球した場合の賞球信号は賞球数として[4球]を特定可能に構成されている。なお、例えば、主基板30において払出すべき賞球数を合算した賞球総数を管理している場合、賞球信号は1球の賞球の払出しを指示するような構成とし、必要な回数分(賞球総数が零になるまで)、1球の賞球の払出しを指示する賞球信号を払出基板31に送信するようにしてもよい。賞球信号は、2バイトのデータから構成されており、1バイト目のデータと2バイト目のデータの一方が賞球の払出しを指示していることを示すデータであり、他方が賞球数を示すデータである。
パチンコ遊技機10は、電源ユニット38を備えている。電源ユニット38は、遊技場の主電源から供給される電源電圧を所定の電源電圧(V1)に変換するとともに、その変換後の電源電圧(V1)を主基板30や払出基板31などの各基板へ供給すべき電源電圧(V2)にさらに変換する。電源ユニット38は、複数本の電源供給線を介して各基板(主基板30や払出基板31)と接続されており、各基板は電源供給線を通じて電力供給を受けることによって動作する。
払出基板31には、アウトスイッチS7が接続されている。アウトスイッチ(センサ)S7は、遊技に使用された有効球(アウト球)を検知するスイッチである。CPU31aは、アウトスイッチS7からの検知信号を受信可能である。この実施形態のパチンコ遊技機10においてアウトスイッチS7は、遊技盤YBの搭載枠である中枠WNに備えられている。
パチンコ遊技機10において遊技盤YBの遊技領域YBaに打ち出され、その後に遊技領域YBaを流下案内される遊技球(有効球)は、賞球払出しの対象となる各種の入賞口へ入賞する場合、何れの入賞口にも入賞せずにアウト口21へ入球する場合、作動ゲート18を通過した後にアウト口21へ入球する場合などがある。そして、何れかの入賞口へ入賞した遊技球、及びアウト口21へ入球した遊技球は、最終的には中枠WNに搭載された案内通路を通って機外へ排出される。
このため、この実施形態のパチンコ遊技機10においてアウトスイッチS7は、入賞口へ入賞した遊技球、及びアウト口21へ入球した遊技球が集合する案内通路に配置されている。つまり、案内通路に配置されているアウトスイッチS7は、遊技盤YBのアウト口21よりも下方の位置にあり、さらに詳しく言えば、案内通路のほぼ最下流(案内通路に開口する機外への球排出口の付近)に相当する中枠WNの最下部位に位置している。
この実施形態では、アウトスイッチS7が遊技に使用された遊技球を検知する有効球検知手段に相当する。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10は、単数(単一)の有効球検知手段を備えている。また、この実施形態では、始動口スイッチS1,S2、及び普通口スイッチS5,S6が、有効球のうち、大入賞口15とは異なる入賞口としての第1始動口12、第2始動口13、及び普通入賞口16,17へ入球した遊技球を検知する入球検知手段に相当する。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10は、複数の入球検知手段を備えている。
パチンコ遊技機10は、外部接続手段としての外部端子板40を備えている。外部端子板40は、払出基板31に接続されている。払出基板31と外部端子板40は、払出基板31から一方向で情報(信号)が送信されるように払出基板31と電気的に接続されている。外部端子板40は、遊技場に設置された各パチンコ遊技機の動作状態を管理するために遊技場の管理室などに設置される外部装置としてのホールコンピュータHCとパチンコ遊技機10とを接続する基板である。外部端子板40は、複数の入力端子と複数の出力端子とを備える。そして、外部端子板40の入力端子には、払出基板31から送信される複数種類の信号を別々に受信可能となるように別々の信号線が接続されている。また、外部端子板40の出力端子には、受信した各信号を別々に送信可能となるように別々の信号線が接続される。
ここで、外部端子板40を通じてホールコンピュータHCへ送信可能な情報(信号)について説明する。
この実施形態のパチンコ遊技機10では、外部端子板40を通じて情報信号と、扉開放信号と、セキュリティ信号と、賞球予定信号と、賞球情報信号と、アウト信号を送信可能である。
情報信号は、パチンコ遊技機10の遊技に関する情報を特定可能とした信号である。例えば、これらの情報としては、大当り遊技などの状態、始動口(第1始動口12、第2始動口13)へ遊技球が入球したこと、特図変動ゲーム及び普図変動ゲームが終了したこと、などである。扉開放信号は、パチンコ遊技機10の搭載枠(前枠WM、中枠WN)が開放されたことを特定可能とした信号である。
セキュリティ信号は、パチンコ遊技機10で発生したエラーを特定可能とした信号である。例えば、エラーとしては、RWMクリア、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、大入賞口不正入賞エラー、及び普通電動役物不正入賞エラーなどである。セキュリティ信号には、RWMクリアが行われた場合に送信される第1セキュリティ信号と、その他のエラーが発生した場合に送信される第2セキュリティ信号と、がある。これらのセキュリティ信号は、第1状態(例えばオン(Hi)状態)と第2状態(例えばオフ(Low)状態)とを取り得る2値の信号である。また、セキュリティ信号は、共通する信号である。つまり、あるエラーのときに送信されるセキュリティ信号は他のエラーのときにも送信され、共通化されている。そして、セキュリティ信号は、エラーの種類に拘わらず共通の時間(例えば560ms)、送信される信号である。
なお、パチンコ遊技機10では、上記のように例示したエラーの他にも、例えば満杯エラー、役物内球詰まりエラーなども発生し得る。しかし、セキュリティ信号は、パチンコ遊技機10で発生するエラーの中でも、重要度の高いエラー、具体的に言えば主に不正防止に関わるエラーが発生した場合を対象として送信される信号である。また、セキュリティ信号を送信する対象のエラーには優先順位が規定されており、例えば複数のエラーが発生した場合には優先順位の高いエラー(重要度の高いエラー)についてセキュリティ信号が送信される。前述の説明におけるパチンコ遊技機10で発生するエラーとは、検知センサなどの何らかの物理的な手段を搭載し、当該手段の検知結果からエラーとして判定し得る制御処理を備えていることによって発生を把握可能なエラーである。
また、RWMクリアは、例えば遊技場の開店時などに遊技場の管理者がRWM30cの記憶内容をクリアするために行う正規な処理でもある。一方で、RWMクリアは、主基板30のCPU30aに対して外部から強制的にリセット信号などを送信することによって行われる場合もあり、このような場合は非正規な処理、すなわち不正行為であると考えられる。このようなことから、RWMクリアについては正規な処理と非正規な処理とがあるが、この明細書においては説明の便宜上、エラーとして定義している。
賞球予定信号は、払出ユニットHSにより賞球の払出動作が行われたか否かに拘わらず、予め定めた一定数単位(例えば10球)の賞球としての遊技球を払出す予定がある旨を特定可能とした信号である。賞球予定信号は、賞球信号の受信を契機に計数した賞球予定球数(払出予定球数)が一定の球数(例えば10球)を超える毎に送信される。賞球情報信号は、予め定めた一定数単位(例えば10球)の賞球としての遊技球を払出した旨を特定可能とした信号である。賞球情報信号は、一定数単位の賞球としての遊技球の払出しが完了する毎に送信される。アウト信号は、アウトスイッチS7で有効球を検知する毎に計数した有効球の数が一定の球数(例えば10球)を超える毎に送信される。
賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号は、一定時間(例えば128ms)、送信される。また、賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号は、連続して送信される場合、一定間隔(例えば128ms)をあけて送信される。なお、上記信号が送信される一定時間と一定間隔は同じ時間である。また、連続して送信される場合とは、例えばアウト信号であれば、一定時間送信されている間にアウトスイッチS7で検知された有効球の一定の球数に達している場合である。そして、この場合、アウト信号は、一定時間の経過後、一定間隔をあけて送信される。なお、このような信号の送信は、賞球予定信号及び賞球情報信号でも同じである。
賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号は、第1状態(例えばオン(Hi)状態)と第2状態(例えばオフ(Low)状態)とを取り得る2値の信号であり、具体的に言えば送信時は第1状態となり、未送信時は第2状態となる。なお、賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号がオン状態を取り得る時間は任意に変更可能であり、連続して送信される場合の間隔(オフ状態を取り得る時間)は任意に変更可能である。
また、図6に示すように、主基板30と払出基板31は、制御信号を送受信する複数本の情報信号線によって電気的に接続されている。そして、パチンコ遊技機10は、情報信号線として、主基板30から払出基板31へ制御信号を一方向で送信する情報信号線L1と、払出基板31から主基板30へ制御信号を一方向で送信する情報信号線L2と、を有する。情報信号線L1は、主基板30を基準としたとき、主基板30から払出基板31に制御信号を送信する送信線である。情報信号線L2は、主基板30を基準としたとき、主基板30が払出基板31の送信した制御信号を受信する受信線である。また、パチンコ遊技機10は、情報信号線として、情報信号線L1,L2に加え、制御信号を送受信する単数又は複数の情報信号線L3を有する。
この実施形態のパチンコ遊技機10では、情報信号線L1と情報信号線L2とを用いて、主基板30と払出基板31との間で賞球の払出しに関する制御信号を送受信する。なお、情報信号線L1と情報信号線L2は、シリアル通信線である。また、この実施形態のパチンコ遊技機10では、情報信号線L3を用いて、主基板30と払出基板31との間で賞球の払出し以外に関する制御信号を送受信する。賞球の払出し以外に関する制御信号には、例えば払出基板31を介して外部端子板40へ送信される信号である。具体的に言えば、情報信号、扉開放信号、セキュリティ信号、賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号である。
また、パチンコ遊技機10は、バックアップ機能を搭載している。この実施形態において主基板30と払出基板31は、バックアップ機能を搭載している。バックアップ機能を搭載したパチンコ遊技機10は、電力供給が停止した場合でも遊技制御に関する情報を所定期間保持し、電力供給が開始されたときには前記情報に基づいて復帰可能である。
遊技制御に関する情報には、特図変動ゲームに関する情報、大当り遊技に関する情報、遊技状態に関する情報、賞球の払出しに関する情報を含む。特図変動ゲームに関する情報としては、例えば大当り抽選の抽選結果を特定可能な情報、特図変動ゲームの変動パターンを特定可能な情報、特図変動ゲームで導出される特別図柄を特定可能な情報などである。大当り遊技に関する情報としては、大当り遊技の進行状況を特定可能な情報などである。遊技状態に関する情報としては、確率変動状態であるかを特定可能な情報や入球率向上状態であるかを特定可能な情報などである。賞球の払出しに関する情報としては、未送信の賞球信号を特定可能な情報などである。また、所定期間は、バックアップ用電源(例えば電気二重層コンデンサ)が放電され、そのバックアップ用電源が電力供給不能になるまでの期間である。バックアップ用電源は、電源ユニット38に搭載されている。
そして、パチンコ遊技機10に電源を供給して起動させると(復電時を含む)、主制御用のCPU30a及び払出制御用のCPU31aは、RWMの初期化指示を受けていない場合、記憶内容が正常であるかを確認し、正常であるときには記憶されている遊技制御に関する情報(記憶内容)に基づいて復帰させる処理を行う。これにより、パチンコ遊技機10は、RWMの記憶内容(電源遮断時における遊技制御に関する情報)に基づいて復帰される。記憶内容が正常であるか、異常であるかの確認は、例えばバックアップフラグの状態確認とチェックサムの一致確認によって行われる。一方で、RWMの初期化指示を受けていない場合であっても、RWMの記憶内容が異常であるときにはRWMの初期化を行って初期値を設定し、RWMの初期化指示を受けたときと同様に制御を開始する。つまり、RWMの記憶内容が異常であるときには、前述した遊技制御に関する情報は初期化される。RWMの初期化指示は、パチンコ遊技機10の電源投入時にRWMクリアボタン104を操作することによって行うことができる。
また、図6に示すように、サブ統括基板32は、主基板30から一方向で情報(制御信号)が送信されるように主基板30と電気的に接続されている。サブ統括基板32は、何れも図示しないCPUと、ROMと、RWMと、を有する。サブ統括基板32のCPUは、ROMに格納されている制御プログラムにしたがって制御動作を所定の手順で実行するとともに、RWMには制御動作で生じたデータが一時的に格納される。
また、サブ統括基板32には、演出表示装置11の表示内容を制御する演出表示基板46と、装飾ランプLaの発光を制御するとともにスピーカSpの音声出力を制御する音声・ランプ基板47と、が接続されている。この実施形態のパチンコ遊技機10において、サブ統括基板32、演出表示基板46、及び音声・ランプ基板47は、主基板30から送信される制御信号をもとに主に遊技演出の制御を司る副基板42である。また、サブ統括基板32には演出ボタンBTが接続されており、演出ボタンBTからの操作信号を受信可能である。
以下、主基板30のCPU30aが、遊技を制御するために行う処理(通常処理)について説明する。
最初に、各種スイッチS1,S2,S3,S4,S5,S6からの遊技球の検知信号の受信に関する処理(受信処理(入力処理))について説明する。
主制御用のCPU30aは、第1始動口12への入球によって始動口スイッチS1からの検知信号を受信している場合、第1特別図柄の始動保留数(以下、「第1特図保留数」と示す)が上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。そして、CPU30aは、第1特図保留数が上限数未満である場合、第1特図保留数を1加算して書き換えるとともに、加算後の第1特図保留数を表示させるように第1特図保留数用の保留表示装置24を制御する。一方、CPU30aは、第1特図保留数が上限数に達している場合、第1特図保留数を加算しない。
また、CPU30aは、第2始動口13への入球によって始動口スイッチS2からの検知信号を受信している場合、第2特別図柄の始動保留数(以下、「第2特図保留数」と示す)が上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。そして、CPU30aは、第2特図保留数が上限数未満である場合、第2特図保留数を1加算して書き換えるとともに、加算後の第2特図保留数を表示させるように第2特図保留数用の保留表示装置24を制御する。一方、CPU30aは、第2特図保留数が上限数に達している場合、第2特図保留数を加算しない。
CPU30aは、図柄変動ゲームの始動条件を成立させる始動口(第1始動口12又は第2始動口13)へ遊技球が入球し、始動保留数(第1特図保留数又は第2特図保留数)が上限数未満であるという条件の成立を契機に始動保留数を計数する計数手段である。また、保留表示装置24は、始動保留数の計数結果を表示可能な手段である。例えば、パチンコ遊技機10は、保留表示装置24として、数字を直接的に表示する装置を搭載したり、複数の発光体を備え、その点灯個数によって始動保留数を表示する装置を搭載したりしている。また、CPU30aによって計数された始動保留数は、RWM30cに記憶される特図変動ゲームに関する情報であり、電力供給が停止した場合でも保持され、さらに電力供給が開始されたときには復帰可能な情報である。つまり、パチンコ遊技機10は、例えば始動保留数として「4」を特定可能な情報を保持している場合、電力供給が開始されたときには始動保留数を「4」として復帰可能であり、復帰時の保留表示装置24には復帰した始動保留数が表示される。一方、CPU30aによって計数された始動保留数は、RWMの初期化指示によって初期化される情報である。このため、初期化された場合の保留表示装置24は、初期値である「0(零)」を示すことになる。
また、CPU30aは、始動保留数(第1特図保留数又は第2特図保留数)を加算した場合、加算後の始動保留数を特定可能な情報(保留指定コマンドなど)を副基板42に送信する。副基板42は、加算後の始動保留数を特定可能な情報を報知する。例えば、演出表示装置11の画像表示部GHには、加算後の始動保留数を特定可能な情報として保留数を示す画像が表示される。
また、CPU30aは、始動保留数の上限数未満で遊技球が入球した場合、その入球を契機に各種乱数の値を取得するとともに、該取得した各種乱数の値を特定可能な乱数情報を、RWM30cに記憶させる。乱数情報は、乱数の値によって構成されていてもよいし、乱数の値を当該値を特定可能な他の情報に変換した情報によって構成されていてもよい。また、CPU30aは、乱数情報を記憶させる場合、その乱数の値の取得契機となった遊技球の入球順序(情報の記憶順序)と、先に入球した遊技球の入球順序(情報の記憶順序)とが特定可能なようにRWM30cに記憶させる。なお、CPU30aは、乱数の値を取得する場合、大当り乱数の値を乱数生成回路30dから取得し、大当り図柄乱数の値や変動パターン振分乱数の値をRWM30cから取得する。
また、CPU30aは、始動口スイッチS1,S2、カウントスイッチS3、及び普通口スイッチS5,S6からの検知信号を受信した場合の処理において、賞球を払出すための賞球処理を行う。賞球処理では、払出基板31に送信する賞球信号(賞球指定コマンド)を生成して、送信する。賞球信号を受信した払出基板31のCPU31aは、払出ユニットHSを作動させて、賞球信号で指示された個数の遊技球を賞球として払出す。
また、CPU30aは、ゲートスイッチS4からの検知信号を受信した場合の処理において、普図変動ゲームの保留を記憶する処理や普通図柄の当り抽選などに用いる各種乱数を取得する処理を行う。なお、CPU30aは、普図変動ゲームの始動条件を成立させる作動ゲート18へ遊技球が入球し、普通図柄の始動保留数が上限数(この実施形態では4)未満であるという条件の成立を契機に普通図柄の始動保留数を計数する計数手段である。普通図柄の始動保留数は、CPU30aが制御する図示しない普通図柄保留表示装置に表示される。また、普通図柄の始動保留数は、特別図柄の始動保留数とともにRWM30cに記憶され、同様に電力供給が停止した場合でも保持される情報であって、電力供給が開始されたときには復帰可能な情報である。また、普通図柄の始動保留数は、RWMの初期化指示によって初期化される情報である。
次に、大当り抽選の抽選結果を導出させる特図変動ゲームの実行に関する処理(特図変動処理)について説明する。なお、主制御用のCPU30aは、所定の制御周期(例えば4ms)毎に特図変動処理を実行する。
特図変動処理においてCPU30aは、特図変動ゲームの開始条件が成立したかを判定する。この判定においてCPU30aは、特図変動ゲームの実行中ではなく、且つ大当り遊技中ではない場合に開始条件が成立したと判定する一方で、特図変動ゲームの実行中、又は大当り遊技中である場合に開始条件が成立していないと判定する。そして、CPU30aは、開始条件が成立していない場合、特図変動処理を終了する。
CPU30aは、前述した開始条件が成立している場合、第2特図保留数を読み出し、その読み出した第2特図保留数が零よりも大きいかを判定する。そして、第2特図保留数が零よりも大きい場合、CPU30aは、第2特図変動ゲームを開始させるように所定の処理を行う。一方、CPU30aは、第2特図保留数が零の場合、第1特図保留数を読み出し、その読み出した第1特図保留数が零よりも大きいかを判定する。そして、第1特図保留数が零よりも大きい場合、CPU30aは、第1特図変動ゲームを開始させるように所定の処理を行う。この実施形態のパチンコ遊技機10は、第1特図変動ゲームと第2特図変動ゲームとを同時に実行させず、第2特図変動ゲームを優先的に実行させる仕様である。
なお、第1特図保留数と第2特図保留数の何れもが零の場合、CPU30aは、デモンストレーション演出(以下、「デモ演出」と示す)を実行させるための処理を行う。デモ演出は、パチンコ遊技機10が待機状態であることを例えば演出表示装置11などの装置を利用して報知し、客寄せ効果を得るための演出である。
第2特図変動ゲームを開始させる場合、CPU30aは、第2特図保留数を1減算して書き換えるとともに、減算後の第2特図保留数を表示させるように第2特図保留数用の保留表示装置24を制御する。また、CPU30aは、第2特図保留数を減算した場合、減算後の第2特図保留数を特定可能な情報(保留指定コマンドなど)を副基板42に送信する。
次に、CPU30aは、RWM30cに記憶されている乱数情報のうち、最先に記憶された乱数情報を取得する。
乱数情報を取得したCPU30aは、大当り乱数の値と大当り判定値とを比較し、大当り抽選を行う。大当り抽選においてCPU30aは、遊技状態を特定可能な情報をもとに大当り抽選時(すなわち、特図変動処理の実行時)が確率変動状態であるか、非確率変動状態であるかを判定し、その判定結果をもとに異なる当選確率で大当り抽選を行う。
大当り抽選においてCPU30aは、RWM30cから取得した大当り乱数の値が大当り判定値と一致するかを判定する。そして、大当り乱数の値と大当り判定値とが一致した場合には、大当り抽選に当選する。大当り抽選に当選した場合、CPU30aは、大当り処理を行う。具体的に言えば、CPU30aは、取得した乱数情報から特定される大当り図柄乱数の値に基づき、特別図柄の大当り図柄を決定する。この決定した大当り図柄が、特図変動ゲームにて導出される確定停止図柄となる。なお、特別図柄の大当り図柄は、大当りの種類に対応付けられている。このため、大当り図柄を決定することは大当りの種類を決定することになる。また、CPU30aは、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、大当りに当選した場合に選択可能な大当り変動用の変動パターンの中から変動パターンを決定する。
また、CPU30aは、大当り抽選に当選しなかった場合、はずれ処理を行う。はずれ処理においてCPU30aは、特別図柄のはずれ図柄を決定する。この決定したはずれ図柄が、特図変動ゲームにて導出される確定停止図柄となる。また、CPU30aは、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、はずれ変動用の変動パターンを決定する。はずれ変動用の変動パターンを決定する場合、CPU30aは、リーチありの変動パターン又はリーチなしの変動パターンの何れかを決定する。
なお、CPU30aは、第1特図変動ゲームを開始させる場合、前述した第2特別図柄の制御と同様の制御を第1特別図柄を対象にして行う。つまり、CPU30aは、第1特別図柄の始動保留数の減算、大当り抽選、大当り抽選の結果に基づく大当り処理又ははずれ処理を行う。
また、CPU30aは、特図変動ゲームの実行に関する処理として、前述した処理の結果をもとに、副基板42に遊技演出の制御を指示する制御情報(制御コマンド)を生成する処理を行う。当該処理で生成された各種の制御情報は、CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副基板42に送信される。
CPU30aは、特図変動ゲームを開始させる場合、制御情報として図柄変動ゲームを開始させることを特定可能な変動開始コマンド(変動開始情報)を生成する。変動開始コマンドには、前述した大当り処理又ははずれ処理において決定した変動パターンを特定可能な情報も含む。また、CPU30aは、特図変動ゲームを開始させる場合、制御情報として特別図柄を特定可能な特図コマンド(特図情報)を生成する。特別図柄の大当り図柄は大当りの種類と対応していることから、特図情報によって大当りの種類が特定可能である。このため、特図コマンドは、当否を特定可能な情報でもあり、また大当りの種類を特定可能な情報でもある。
また、CPU30aは、特図変動ゲームを開始させてからの経過時間が所定の変動時間(変動パターンに定められている時間)に達した場合、制御情報として特図変動ゲームを終了させることを特定可能な変動停止コマンド(変動終了情報)を生成する。なお、主制御用のCPU30aは、特図変動ゲームを開始させる場合、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動を開始させるように特図表示装置23の表示内容を制御するとともに、変動時間の計測を開始する。そして、CPU30aは、決定したメイン変動パターンに定められている変動時間の経過時に、決定している特別図柄を導出させるように特図表示装置23の表示内容を制御する。
特図変動ゲームの変動パターンには、特図変動ゲームの変動時間(特別図柄を導出するまでの時間)が規定されている。パチンコ遊技機10は、変動時間を異ならせた複数種類の特図変動ゲームの変動パターンを備えている。特図変動ゲームの変動パターンのうち、大当り変動用及びはずれ変動用のリーチありの変動パターンの変動時間は、はずれ変動用のリーチなしの変動パターンの変動時間に比して長い時間に規定されている。これは、演出図柄の図柄変動ゲームにおいてリーチ演出が行われない変動の時間を長くすることによって遊技の消化(始動保留球の消化)を妨げないようにしているからである。はずれ変動用の変動パターンの変動時間は、比較的短い時間に規定されており、例えば通常遊技時(低確かつ低ベース)において5000〜10000ms程度の時間である。また、例えば通常遊技時以外(高確時や高ベース時)では、通常遊技時よりもさらに短い時間が規定されており、例えば1000〜3000ms程度の時間である。また、変動開始時の始動保留数によって変動時間を短縮させる機能を搭載している場合は、例えば通常遊技時においても例えば1000ms程度の変動時間が規定されている短縮変動の変動パターンが決定される場合もある。
次に、大当り抽選に当選したことによって行われる大当り遊技の進行に関する処理について説明する。
この実施形態の大当り遊技は、大当り遊技の開始に伴うオープニングと、大入賞口15を開放させるラウンド遊技と、大当り遊技の終了に伴うエンディングと、から構成されている。つまり、大当り遊技は、オープニング→ラウンド遊技→エンディングというように段階的に進行する。そして、CPU30aは、大当り遊技の進行に関する処理として、副基板42に遊技演出の制御を指示する制御情報(制御コマンド)を生成する処理と、大入賞口15を開放及び閉鎖させる処理を行う。前記処理で生成された各種の制御情報は、CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副基板42に送信される。
次に、遊技状態に関する処理について説明する。
この処理においてCPU30aは、制御情報として遊技状態を特定可能な制御情報を生成する。前記処理で生成された各種の制御情報は、CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副基板42に送信される。
ここで、図7にしたがって、この実施形態のパチンコ遊技機10における遊技状態を説明する。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、確率変動機能を備えている。確率変動機能は、大当り遊技の終了後に大当り抽選の当選確率を低確率(通常確率)から高確率に変動させる確率変動状態を付与することができる機能である。確率変動状態は、大当り抽選の当選確率が低確率である非確率変動状態に比して、大当り抽選に当選し易く、遊技者にとって有利な遊技状態である。確率変動状態は、例えば、次回、大当り抽選に当選するまで付与される。
また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、入球率向上機能を備えている。入球率向上機能は、特定始動口としての第2始動口13への単位時間当たりの遊技球の入球率を向上させる入球率向上状態を付与することができる機能である。入球率向上状態は、所謂「電サポ状態」、「高ベース状態」である。なお、以下の説明では、入球率向上状態が付与されていない状態を「非入球率向上状態」と示す場合がある。非入球率向上状態は、所謂「非電サポ状態」、「低ベース状態」である。
入球率向上状態は、例えば次に示す4つの制御のうち任意に選択された1の制御を実行すること、又は複数の制御を組み合わせて実行すること、により実現できる。第1の制御は、普図変動ゲームの変動時間を、非入球率向上状態のときよりも短くする普通図柄の変動時間短縮制御である。第2の制御は、普通図柄の当り抽選に当選する確率(普通当り確率)を、非入球率向上状態のときよりも高確率に変動させる普通図柄の確率変動制御である。第3の制御は、普通図柄の当り抽選に当選したことに基づく第2始動口13の合計開放時間を、非入球率向上状態のときよりも長くする開放時間延長制御である。なお、開放時間延長制御としては、普通図柄の当り抽選に当選したことに基づく第2始動口13の開放回数を、非入球率向上状態のときよりも多くする制御、及び普通図柄の当り抽選に当選したことに基づく第2始動口13の1回の開放時間を非入球率向上状態のときよりも長くする制御のうち、少なくとも一方の制御を実行するとよい。第4の制御は、特別図柄変動ゲームの変動時間(例えば平均の変動時間)を、非入球率向上状態のときよりも短くなり易くする特別図柄の変動時間短縮制御である。特別図柄の変動時間短縮制御を実行する場合、入球率向上状態は、所謂「変動時間短縮状態(時短状態)」となる。
入球率向上状態は、例えば、次回、大当り抽選に当選するまで、又は入球率向上状態が付与されてから規定上限回数(例えば100回)の特図変動ゲームが実行されるまで、若しくは規定上限回数に達する前に大当り抽選に当選するまで付与される。なお、第1特別図柄と第2特別図柄を用いるパチンコ遊技機10の場合、規定上限回数は第1特図変動ゲームと第2特図変動ゲームとの合算回数である。
そして、パチンコ遊技機10の遊技状態は、確率変動状態の有無と入球率向上状態の有無との組み合わせによって規定することができる。
具体的に言えば、遊技状態には、確率変動状態が付与されておらず、さらに入球率向上状態が付与されていない第1遊技状態(図7の「低確+低ベース」)と、確率変動状態は付与されていないが、入球率向上状態が付与されている第2遊技状態(図7の「低確+高ベース」)と、がある。また、遊技状態には、確率変動状態は付与されているが、入球率向上状態が付与されていない第3遊技状態(図7の「高確+低ベース」)と、確率変動状態が付与されているとともに入球率向上状態も付与されている第4遊技状態(図7の「高確+高ベース」)と、がある。
パチンコ遊技機10において遊技状態が変化する契機には、第1の状態変化契機と、第1の状態変化契機とは異なる第2の状態変化契機と、がある。
第1の状態変化契機は、大当り抽選に当選することである。パチンコ遊技機10において大当り遊技中の遊技状態は、低確かつ低ベースである。このため、低確かつ低ベース以外の遊技状態中に大当り抽選に当選した場合は、その当選によって付与される大当り遊技の開始に伴って遊技状態が低確かつ低ベースに変化する。
また、大当り抽選に当選したときに決定される大当りの種類には大当り遊技の終了後の遊技状態を対応付けている。具体的に例示すると、大当りの種類として第1大当りと第2大当りとを備えている場合に、第1大当りに当選したときには大当り遊技の終了後が高確かつ高ベースとなり、第2大当りに当選したときには大当り遊技の終了後が低確かつ高ベースとなる。大当りの種類は、大当り抽選に当選したことによって決定されることから、前述した例示のように大当り遊技の終了後の遊技状態の変化契機は、大当り抽選に当選したことであると言える。
第2の状態変化契機は、確率変動状態及び入球率向上状態のうち少なくとも何れか一方が付与されている場合に確率変動状態及び入球率向上状態の終了条件が成立することである。具体的に例示すると、上記した第2大当りに当選したときの入球率向上状態の終了条件に規定上限回数(例えば100回)の特図変動ゲームが実行されるまでという条件を含む場合、規定上限回数に達するまでの間に大当り抽選に当選しなかったときには規定上限回数に達したことで「高ベース」から「低ベース」となる。
なお、パチンコ遊技機10には、例えば確率変動状態を、大当り遊技中に、遊技盤YBに予め定められている特定領域に遊技球を通過させることを付与条件としている仕様がある。この仕様における遊技状態の状態変化契機は、遊技球が特定領域を通過したか否かである。また、この実施形態では、パチンコ遊技機10が備える遊技状態として低確かつ低ベースと、低確かつ高ベースと、高確かつ低ベースと、高確かつ高ベースと、を挙げているが、パチンコ遊技機10が何れの遊技状態を取り得るかはパチンコ遊技機10の仕様によって異なる。例えば、パチンコ遊技機10は、低確かつ低ベースと、低確かつ高ベースと、高確かつ高ベースと、を取り得る仕様としてもよい。
そして、遊技状態に関する処理においてCPU30aは、遊技状態を特定可能な状態指定コマンド(遊技状態情報)を生成する。生成された遊技状態情報は、例えば電源投入時(復電時)や遊技状態の変遷時などに副基板42へ送信される。例えば、大当り遊技終了後の遊技状態を高確かつ高ベースとする場合、大当り遊技の終了に伴って高確かつ高ベースを特定可能な状態指定コマンドが副基板42へ送信される。また、CPU30aは、入球率向上状態の付与期間をゲーム回数で管理する場合、実行された特図変動ゲームの回数をカウントし、入球率向上状態の終了条件が成立したときに入球率向上状態の終了を特定可能な状態指定コマンドとして終了コマンド(遊技状態情報)を生成する。
また、図7には、各遊技状態においてパチンコ遊技機10で行われる遊技の分類を示している。
具体的に言えば、低確かつ低ベースでは、特図変動ゲームの始動条件が成立することによって特図変動ゲームが行われるとともに、普図変動ゲームの始動条件が成立することによって普図変動ゲームが行われる。また、低確かつ低ベースでは、特別図柄の大当り抽選に当選したことによって大当り遊技が行われる。また、その他の低確かつ高ベース、高確かつ低ベース、及び高確かつ高ベースでも、特図変動ゲームや普図変動ゲームが行われる。この明細書では、図7に示すように、遊技状態が低確かつ低ベースであって、大当り遊技が行われていないときの遊技を第1遊技(通常遊技)とする。一方で、この明細書では、図7に示すように、遊技状態が低確かつ低ベースであって、大当り遊技が行われているときの遊技、及び低確かつ低ベース以外の遊技状態での遊技を、通常遊技以外の第2遊技とする。
また、CPU30aは、前述した処理の他にも以下に説明する処理を行う。例えば、CPU30aは、普通図柄の当り抽選の抽選結果を導出させる普図変動ゲームの実行に関する処理(普図変動処理)を実行する。普図変動処理においてCPU30aは、普通当り乱数を用いた普通図柄の当り抽選、その抽選結果をもとに普図変動ゲームで導出する普通図柄の決定、及び普図変動ゲームの変動パターンの決定を行う。また、CPU30aは、上記した決定事項にしたがって普図表示装置25にて普図変動ゲームを実行させる処理、及び普通図柄の当り抽選に当選した場合には普図変動ゲームの終了後に第2始動口13を所定の開放パターンで開放させる処理を行う。
普図変動ゲームの変動パターンには、普図変動ゲームの変動時間(普通図柄を導出するまでの時間)が規定されている。パチンコ遊技機10は、変動時間を異ならせた複数種類の普図変動ゲームの変動パターンを備えていてもよい。複数種類の普図変動ゲームの変動パターンを備える場合、これらの変動パターンは、同一の遊技状態において決定可能な変動パターンを複数としてもよいし、遊技状態に応じて変動時間が異なる変動パターンを決定可能とし、変動パターンを複数備えるようにしてもよい。普図変動ゲームの変動パターンに規定する変動時間は、例えば、「低ベース」であれば6000ms、「高ベース」であれば1000msとし、高ベース時には普通図柄が導出されるまでの時間を短縮してもよい。
また、パチンコ遊技機10は、第2始動口13の開放パターンとして開放態様を異ならせた複数種類の開放パターンを備えていてもよい。複数種類の開放パターンを備える場合、これらの開放パターンは、同一の遊技状態において決定可能な開放パターンを複数としてもよいし、遊技状態に応じて開放態様が異なる開放パターンを決定可能とし、開放パターンを複数備えるようにしてもよい。開放態様は、開放時間と開放回数の組み合わせによって規定することができる。具体的に例示すれば、380msで1回開放させる開放パターンと、4500msで1回開放させる開放パターンとでは、開放時間が異なることによって開放態様が異なる。また、380msで1回開放させる開放パターンと、380msで3回開放させる開放パターンとでは、開放回数が異なることによって開放態様が異なる。そして、開放パターンとしては、例えば、「低ベース」であれば380msの1回開放とし、「高ベース」であれば4500msの1回開放とし、高ベース時には第2始動口13へ入球し易くしてもよい。
なお、上記した普図変動ゲームの変動パターンや、第2始動口13の開放パターンは、パチンコ遊技機10の仕様に応じて任意に設定可能である。そして、パチンコ遊技機10では、普図変動ゲームの変動パターンや第2始動口13の開放パターンを複数備える場合、決定可能な変動パターンの種類や開放パターンの種類は遊技状態毎に設定され、遊技状態が変化することによって決定可能な変動パターンの種類や第2始動口13の開放パターンの種類も変更される。
また、CPU30aは、デモ演出に関する処理では、保留されている特別図柄の図柄変動ゲームが存在せずにデモ演出の実行条件が成立した場合、制御情報として待機状態になることを特定可能なデモコマンド(待機状態情報)を生成する。このデモコマンドは、CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副基板42に送信される。なお、デモ演出は、遊技状態に関係なく行われる。つまり、デモ演出は、例えば遊技状態が低確かつ低ベースであるとき、遊技状態が高確かつ高ベースであるときの何れでも、デモ演出の実行条件(特図保留数が零)が成立することによって行われる。また、エラーに関する処理では、パチンコ遊技機10で生じた各種のエラーを検知することによって報知を行わせるなどの処理を行う。また、エラーに関する報知も、遊技状態に関係なく行われる。
次に、副基板42が実行する各種処理について説明する。副基板42は、主制御用のCPU30aから制御コマンドを受信すると、その制御コマンドに応じて各種処理を実行する。
最初に、演出図柄変動処理について説明する。
演出図柄変動処理において、副基板42の1つであるサブ統括基板32のCPUは、特図コマンドを受信すると、特図コマンドにより指定された特別図柄に基づき、演出図柄の図柄変動ゲームで導出させる演出図柄の組み合わせを決定する。サブ統括基板32のCPUは、特別図柄の大当り図柄が指定された場合には、演出図柄による大当りの組み合わせを決定する。また、サブ統括基板32のCPUは、特別図柄のはずれ図柄が指定された場合には、変動開始コマンドから特定されるメイン変動パターンに基づき、演出図柄の図柄変動ゲームで導出させる演出図柄の組み合わせを決定する。具体的に言えば、サブ統括基板32のCPUは、リーチありのはずれ変動用のメイン変動パターンが指定されたときには、リーチ形成図柄を含むはずれの組み合わせを決定する。また、サブ統括基板32のCPUは、リーチなしのはずれ変動用のメイン変動パターンが指定されたときには、リーチ形成図柄を含まないはずれの組み合わせを決定する。
この実施形態において演出図柄の図柄変動ゲームは、左列、中列、右列からなる3列の演出図柄による組み合わせを導出させる。そして、演出図柄の図柄変動ゲームでは、所定の複数列(この実施形態では左列と右列の2列)に同一の演出図柄が導出されることによってリーチが形成され、残りの列(この実施形態では中列の1列)を導出させるためのリーチ演出が行われる。このため、所定の複数列に導出された同一の演出図柄がリーチ形成図柄となり、リーチ形成図柄を含むはずれの組み合わせは所定の複数列が同一の演出図柄であって、残りの列が所定の複数列の演出図柄とは異なる演出図柄である組み合わせとなる。また、リーチ形成図柄を含まないはずれの組み合わせは所定の複数列が異なる図柄であって、残りの列については所定の複数列の演出図柄との一致性を問わない組み合わせとなる。因みに、この実施形態の大当りの組み合わせは、全列の演出図柄が同一の演出図柄となる組み合わせである。つまり、大当りの組み合わせにも、リーチ形成図柄を含んでいる。
また、サブ統括基板32のCPUは、変動開始コマンドを受信すると、当該コマンドから特定可能なメイン変動パターンの種類をもとに、演出表示装置11(画像表示部GH)の表示内容などを制御するためのサブ変動パターンを決定する。サブ変動パターンは、演出図柄の図柄変動ゲームの演出内容を特定可能である。サブ統括基板32のCPUは、決定した演出図柄及び決定したサブ変動パターンを特定可能な情報をそれぞれ演出表示基板46のCPU及び音声・ランプ基板47のCPUに送信する。
演出表示基板46のCPUは、サブ変動パターンで特定される演出内容で演出図柄の図柄変動ゲームが表示されるように演出表示装置11(画像表示部GH)の表示内容を制御する。また、音声・ランプ基板47のCPUは、演出図柄の図柄変動ゲームの開始に伴い、当該図柄変動ゲームに付随する発光演出や音声演出を行わせるように装飾ランプLaの発光態様やスピーカSpの音声出力態様を制御する。
そして、演出表示基板46のCPUは、メイン変動パターンから特定される変動時間の経過により、演出図柄の図柄変動ゲームを終了させ、演出図柄の組み合わせを導出させるように画像表示部GHの表示内容を制御する。なお、この実施形態では、変動停止コマンドの受信を契機として、演出図柄の図柄変動ゲームを終了させているが、演出表示基板46のCPUの制御によりメイン変動パターンから特定される変動時間を計時し、演出図柄の図柄変動ゲームを終了させるようにしてもよい。つまり、主基板30から変動停止コマンドを送信せずに、演出図柄の図柄変動ゲームの終了を制御してもよい。
なお、演出表示装置11の制御において演出表示基板46のCPUは、実行させる画像演出を選択し、その選択した画像演出に必要なデータをROMから読み出す。なお、演出表示基板46には、演出表示装置11に表示させるキャラクタ画像データ、具体的には人物、文字、図形又は記号(飾り図柄を含む)を予め格納したキャラクタROMを備え、キャラクタROMから必要なデータを読み出してもよい。そして、演出表示基板46のCPUは、読み出したデータをVDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に出力する。VDPは、入力されたデータに基づいて表示制御を実行し、画像表示部GHに画像を表示させる。
上記のように構成したこの実施形態のパチンコ遊技機10は、ベース値を計数し、その計数したベース値を報知するベース報知機能を搭載している。
ベース値は、有効球の総数に対する賞球の総数の割合を示す値である。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10は、ベース値として通常遊技時における有効球の総数に対する通常遊技時における賞球の総数を示すベース値を計数し、そのベース値を所定の報知態様で報知する機能を搭載している。通常遊技は、図7に示したように、この明細書においては低確かつ低ベースであって、大当り遊技が行われていないときの遊技である。また、ベース値は、通常遊技時における有効球の総数と通常遊技時における賞球の総数とを比較したときの割合、つまり比率である。そして、後に詳述するが、報知されるベース値は、大当り遊技中ではないことを前提として、(低確かつ低ベース時(低確時短無)の賞球の総数÷低確かつ低ベース時の有効球の総数)×100の計算式によって計数(計算)された数値である。なお、以下の説明において単に「ベース」又は「ベース値」と記載した場合は、特に断りがない限り、上記計算式で計数した通常遊技時のベース値を表すものとする。この実施形態では、CPU30aによってベース値を計数することが、ベース値計数手段に相当する。
最初に、図8にしたがって、ベース値を報知する手段としてのモニタについて説明する。
この実施形態のモニタは、図5に示した情報表示部105aを有する表示器105である。表示器105は、図4及び図5を用いて説明したように、主基板30に搭載されており、パチンコ遊技機10を組み付けた状態において中枠WNを開放させることによって情報表示部105aの表示内容を外部から視認可能である。
表示器105は、7つの発光ダイオード(LED)を全体として[8(数値)]の字に配置して7つのセグメント(部分)を構成した所謂、7セグメントLEDを含む表示要素を4つ備えている。表示要素は、第1表示要素D1、第2表示要素D2、第3表示要素D3、第4表示要素D4である。また、表示器105は、第1〜第4表示要素D1〜D4毎に、7つのセグメントを構成する7つのLEDに加え、ドットを表示するLEDを1つずつ備えている。これにより、表示器105の第1〜第4表示要素D1〜D4は、7つのセグメントによる数字などを表示可能な部分と、ドットを表示可能な部分と、を備えている。ドットを表示可能な部分は、7つのセグメントによる数字などを表示可能な部分に対し、図8に示すように情報表示部105aを正面視した場合の右下に位置している。そして、この実施形態の表示器105は、4つの表示要素(第1〜第4表示要素D1〜D4)を横並びに配置している。
この実施形態の表示器105には、第1〜第4表示要素D1〜D4が備える各8つのLEDを点灯及び消灯させる駆動回路が内蔵されている。なお、主基板30には、表示器105の駆動回路を別体として搭載してもよいし、この実施形態のように駆動回路とユニット化した表示器105として搭載してもよい。
図9(a),(b)は、表示器105によるベース値の報知例を示している。
この実施形態の表示器105は、第1〜第4表示要素D1〜D4のうち、2つの表示要素を一組とし、その一組の表示要素で所定の情報を報知するように構成されている。具体的に言えば、第1表示要素D1と第2表示要素D2とが組となり、この2つの表示要素の表示の組み合わせで1つの情報を構成し、第3表示要素D3と第4表示要素D4とが組となり、この2つの表示要素の表示の組み合わせで1つの情報を構成する。
第3,第4表示要素D3,D4は、ベース値を表示する。ベース値は、[00]〜[99]までの2桁の数字によって表され、100以上の場合は[99.]というように第4表示要素D4にドットを表示して表される。
一方で、第1,第2表示要素D1,D2は、第3,第4表示要素D3,D4に表示されたベース値を識別する識別子を表示する。この実施形態のパチンコ遊技機10は、ベース値を識別する識別子として[bL.]と[b6.]とを備えている。識別子[bL.]は、第1表示要素D1にアルファベットの[b]を表示するとともに第2表示要素D2にアルファベットの[L]とドットとを表示することによって構成される。また、識別子[b6.]は、第1表示要素D1にアルファベットの[b]を表示するとともに第2表示要素D2に数字の[6]とドットとを表示することによって構成される。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、表示器105の表示状態(表示内容)として第1表示状態と第2表示状態とを備えている。第1表示状態と第2表示状態は、何れの表示状態もベース値を表示するものであるが、表示されるベース値の種別が異なる。この実施形態において第1表示状態と第2表示状態は、それぞれ、第1,第2表示要素D1,D2の識別子と第3,第4表示要素D3,D4のベース値との組み合わせによって構成されている。
具体的に言えば、図9(a)に示す、[bL.36]は、後に詳述するが、所定の計数周期で計数されたベース値を表示しており、この実施形態では表示器105の表示状態が第1表示状態であるときの表示である。また、図9(b)に示す、[b6.36]は、後に詳述するが、所定期間で計数されたベース値の最終のベース値を表示しており、この実施形態では表示器105の表示状態が第2表示状態であるときの表示である。このように表示器105では、ベース値とともに当該ベース値の識別子を並べて表示することで、表示されているベース値の種別を識別可能である。
識別子[bL.]は第1表示状態に対応した表示であるとともに[b6.]は第2表示状態に対応した表示であるが、ベース値[XX(X:数字)]はそれぞれの表示状態において変動する表示である。図9(a)、(b)に示したベース値[36]は単なる例示であり、この値は前述したように変動値である。この実施形態では、第3,第4表示要素D3,D4によってベース値を構成するベース表示部を構成し、第1,第2表示要素によってベース表示部に表示されているベース値の識別子を表示する識別子表示部を構成している。
また、図10に示すように、この実施形態において表示器105の表示状態は、所定の周期毎(図中に示す時間T毎)に切り替わる。具体的に言えば、表示器105は、第1表示状態を時間Tの間、維持した後、時間Tの経過によって第2表示状態に切り替わり、その第2表示状態を時間Tの間、維持した後、時間Tの経過によって再び第1表示状態に切り替わり、以降は第2表示状態→第1表示状態→第2表示状態→・・を繰り返す。このように2つの表示状態を所定の周期毎に切り替えることで、1つの表示器105で、異なる情報を報知することが可能である。なお、時間Tは、例えば4〜6秒程度である。
なお、図10は、表示器105の表示状態として第1表示状態→第2表示状態→第1表示状態→・・というように切り替わる順を例示したが、第2表示状態→第1表示状態→第2表示状態→・・というように切り替わる順としてもよい。この実施形態の表示器105は、電源投入後に表示を開始するが、そのときに最初に表示される表示状態は第1表示状態又は第2表示状態の何れでもよい。
以下、図11及び図12にしたがって、この実施形態のパチンコ遊技機10に搭載されているベース報知機能の具体的な制御内容をその作用とともに説明する。
制御内容には、大別して、ベース値の計数に関する制御と、ベース値の表示に関する制御と、がある。これらの制御は、主基板30のCPU30aが行う。
CPU30aは、ベース値を計数するにあたって、次に説明する3つの数を計数し、その計数値をCPU30aのRWM領域(RWM30c)に格納する。
具体的に言えば、CPU30aは、第1の数として、パチンコ遊技機10から通常遊技時に払出された賞球の総数を計数する。以下、第1の数を「通常時賞球数」と示す。通常時賞球数は、RWM領域に設定されている所定の領域に格納され、通常時賞球数を格納する領域は通常遊技時に払出された賞球の総数のカウンタ(以下、「通常時賞球カウンタ」と示す)として機能する。また、CPU30aによって通常遊技時に払出された賞球の総数を計数することが、通常時賞球計数手段に相当する。
また、CPU30aは、第2の数として、通常遊技時における有効球の総数を計数する。以下、第2の数を「通常時有効球数」と示す。通常時有効球数は、RWM領域に設定されている所定の領域に格納され、通常時有効球数を格納する領域は通常遊技時における有効球の総数のカウンタ(以下、「通常時有効球カウンタ」と示す)として機能する。また、CPU30aによって通常遊技時における有効球の総数を計数することが、通常時有効球計数手段に相当する。
また、CPU30aは、第3の数として、全ての遊技状態における有効球の総数を計数する。以下、第3の数を「全状態時有効球数」と示す。全状態時有効球数は、RWM領域に設定されている所定の領域に格納され、全状態時有効球数を格納する領域は全ての遊技状態における有効球の総数のカウンタ(以下、「全状態時有効球カウンタ」と示す)として機能する。また、CPU30aによって全ての遊技状態時における有効球の総数を計数することが、全状態時有効球計数手段に相当する。
ここで、通常時賞球数、通常時有効球数、及び全状態時有効球数を計数する処理を具体的に説明する。
CPU30aのRWM領域(RWM30c)は、遊技状態を特定可能な情報(フラグ)を格納する領域(以下、「状態格納領域」と示す)と、大当り遊技中であるかを特定可能な情報(フラグ)を格納する領域(以下、「大当り格納領域」と示す)と、を備えている。状態格納領域には、現在の遊技状態に応じた情報が格納される。例えば、現在の遊技状態が「低確かつ低ベース」であれば当該遊技状態を特定可能な情報が格納されるとともに、現在の遊技状態が高確かつ高ベースであれば当該遊技状態を特定可能な情報が格納される。また、大当り格納領域には、大当り遊技中であれば大当り遊技中であることを特定可能な情報が格納されるとともに、大当り遊技中でなければ大当り遊技中でないことを特定可能な情報が格納される。
通常時賞球数は、状態格納領域の情報と大当り格納領域の情報とから通常遊技であること、つまり低確かつ低ベースであって、大当り遊技中ではないことを特定できる場合、CPU30aが計数する。このとき、CPU30aは、大入賞口15を除く賞球払出しの対象となる入賞口へ遊技球が入球する毎にその入球した入賞口に対応する賞球数を通常時賞球カウンタに累積加算する。具体的に言えば、CPU30aは、始動口スイッチS1の検知信号を受信した場合は第1始動口12の賞球数を累積加算するとともに、始動口スイッチS2の検知信号を受信した場合は第2始動口13の賞球数を累積加算する。また、CPU30aは、普通口スイッチS5の検知信号を受信した場合は普通入賞口16の賞球数を累積加算するとともに、普通口スイッチS6の検知信号を受信した場合は普通入賞口17の賞球数を累積加算する。
通常時有効球数は、状態格納領域の情報と大当り格納領域の情報とから通常遊技であること、つまり低確かつ低ベースであって、大当り遊技中ではないことを特定できる場合、CPU30aが計数する。このとき、CPU30aは、有効球が発生する毎に1を通常時有効球カウンタに累積加算する。具体的に言えば、CPU30aは、アウトスイッチS7の検知信号を受信する毎に1を累積加算する。
全状態時有効球数は、状態格納領域の情報と大当り格納領域の情報が如何なる内容の情報、つまり何れの遊技状態であっても、さらに大当り遊技中であるとき又は大当り遊技中ではないときであっても、CPU30aが計数する。このとき、CPU30aは、有効球が発生する毎に1を全状態時有効球カウンタに累積加算する。具体的に言えば、CPU30aは、アウトスイッチS7の検知信号を受信する毎に1を累積加算する。
そして、CPU30aは、全状態時有効球数が所定数に達した場合、その達した時点で計数されている通常時賞球数を、RWM領域に設定されている所定の領域に格納する。このときに通常時賞球数を格納する領域は全状態時有効球数が所定数に達したときに計数されている通常時賞球数を記憶するバッファ(以下、「通常時賞球バッファ」と示す)として機能する。そして、CPU30aによって全状態時有効球数が所定数に達したときに計数されている通常時賞球数を記憶することが、賞球記憶手段に相当する。
また、CPU30aは、全状態時有効球数が所定数に達した場合、その達した時点で計数されている通常時有効球数を、RWM領域に設定されている所定の領域に格納する。このときに通常時有効球数を格納する領域は全状態時有効球数が所定数に達したときに計数されている通常時有効球数を記憶するバッファ(以下、「通常時有効球バッファ」と示す)として機能する。そして、CPU30aによって全状態時有効球数が所定数に達したときに計数されている通常時有効球数を記憶することが、有効球記憶手段に相当する。
通常時賞球数と通常時有効球数は、所定の条件の成立時にCPU30aが零クリアする。具体的に言えば、CPU30aは、全状態時有効球数が所定数に達したことで通常時賞球カウンタの通常時賞球数を通常時賞球バッファに格納したことで、通常時賞球カウンタを零クリアする。また、CPU30aは、全状態時有効球数が所定数に達したことで通常時有効球カウンタの通常時有効球数を通常時有効球バッファに格納したことで、通常時有効球カウンタを零クリアする。なお、所定数は、ベース値を計数する基準となる数値(有効球の数)であり、例えば60000である。このため、CPU30aは、全状態時有効球カウンタの計数値を参照し、その計数値から全状態時有効球数が所定数に達したことを特定した場合に通常時賞球数と通常時有効球数をそれぞれのバッファに格納するとともにそれぞれのカウンタを零クリアする。つまり、全状態時有効球数は、全状態時有効球カウンタの計数値から全状態時有効球数が所定数に達したか否かを制御的に判断することができれば、例えば所定数として定めた60000を計数する毎に零クリアして零から再び計数してもよい。また、全状態時有効球数は、全状態時有効球カウンタの計数値から全状態時有効球数が所定数に達したか否かを制御的に判断することができれば、例えばCPU30aが60000の倍数に達したことを所定数に達したこととして判断することで、零クリアせずに継続して計数してもよい。
そして、CPU30aは、通常時賞球カウンタの通常時賞球数と通常時有効球カウンタの通常時有効球数を用いて表示器105が第1表示状態であるときに表示するベース値を計数する。つまり、CPU30aは、所定の計数周期毎に通常時賞球カウンタの計数値と通常時有効球カウンタの計数値を取得し、(低確かつ低ベース時(低確時短無)の賞球の総数÷低確かつ低ベース時の有効球の総数)×100の計算式によって計数(計算)する。この実施形態では、このときに計数されるベース値が第1ベース値に相当する。また、第1ベース値は、全状態時有効球数が所定数に達するまでに計数されるベース値である。以下の説明では、通常時賞球カウンタの通常時賞球数と通常時有効球カウンタの通常時有効球数を用いて計数するベース値を「第1ベース値」と示す。なお、第1ベース値は、低確かつ低ベースであって、大当り遊技中ではないときの通常遊技時のベース値である。
また、CPU30aは、通常時賞球バッファの通常時賞球数と通常時有効球バッファの通常時有効球数を用いて表示器105が第2表示状態であるときに表示するベース値を計数する。つまり、CPU30aは、所定数に達する毎に格納される通常時賞球バッファの値と通常時有効球バッファの値を取得し、(低確かつ低ベース時(低確時短無)の賞球の総数÷低確かつ低ベース時の有効球の総数)×100の計算式によって計数(計算)する。この実施形態では、このときに計数されるベース値が第2ベース値に相当する。また、第2ベース値は、全状態時有効球数が所定数に達したときのベース値である。以下の説明では、通常時賞球バッファの通常時賞球数と通常時有効球バッファの通常有効数を用いて計数するベース値を「第2ベース値」と示す。なお、第2ベース値は、低確かつ低ベースであって、大当り遊技中ではないときの通常遊技時のベース値である。
以下、前述したベース値の計数に関する制御で計数したベース値を表示器105に表示する制御について説明する。
表示器105の表示状態である第1表示状態と第2表示状態のそれぞれは、全状態時有効球数に応じた表示態様で制御される。
図11に示す、時点X1〜X2までの期間は、全状態時有効球数が0(零)から球数Y1(例えば300球)に達するまでの期間である。時点X1は、工場出荷時などのテストにおいてパチンコ遊技機10に初めて電源が投入された初回投入の時点である。全状態時有効球数の計数は、初回投入の時点で有効球の発生によって計数される。
時点X1〜X2の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には[−−(バー)]が点灯表示される。また、時点X1〜X2の期間において表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には[−−(バー)]が点灯表示される。
表示器105の表示状態は、時点X1〜X2の期間においても、図10を用いて説明したように所定の周期で切り替わる。また、識別子の点滅表示は、例えば点灯0.3秒、消灯0.3秒の周期0.6秒で行われる。また、時点X1〜X2の期間でベース表示部に表示される[−−]は、ベース値を報知していないことを意味する。なお、この実施形態においてCPU30aは、時点X1〜X2までの期間中、通常時賞球数及び通常時有効球数を計数するが、第1ベース値を計数しない。また、CPU30aは、時点X1〜X2までの期間中、全状態時有効球数が所定数に達していないことから、第2ベース値を計数しない。換言すれば、CPU30aは、所定数に達していないので第2ベース値を計数することができない。
図11に示す、時点X2〜X3までの期間は、全状態時有効球数が球数Y1を超えてから球数Y2(例えば6000球)に達するまでの期間である。
時点X2〜X3の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には計数された第1ベース値B1(図中は[34]を例示している)が点灯表示される。CPU30aは、パチンコ遊技機10の初回投入後、全状態時有効球数が球数Y1を超えることによって第1ベース値の計数を開始する。この実施形態において識別子[bL.]は、第1ベース値を識別する第1識別子に相当する。また、時点X2〜X3の期間において表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には[−−(バー)]が点灯表示される。つまり、時点X2〜X3の期間における第2表示状態は、時点X1〜X2の期間における第2表示状態と同一の表示である。
図11に示す、時点X3〜X4までの期間は、全状態時有効球数が球数Y2を超えてから球数Y3(例えば60000球)に達するまでの期間である。球数Y3は、第2ベース値を計数する契機となる所定数に一致する数である。
時点X3〜X4の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が点灯表示されているとともにベース表示部には計数された第1ベース値B1(図中は[34]を例示している)が点灯表示される。CPU30aは、全状態時有効球数が球数Y1を超えることによって第1ベース値の計数を開始していることから、時点X2〜X4の期間において表示器105が第1表示状態のときに表示される第1ベース値は計数結果によって変動し、同じ数値を表示する場合もあれば、異なる数値を表示する場合もある。また、時点X3〜X4の期間において表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には[−−(バー)]が点灯表示される。つまり、時点X3〜X4の期間における第2表示状態は、時点X1〜X3の期間における第2表示状態と同一の表示である。
以上の説明は、パチンコ遊技機10の初回投入〜全状態時有効球数が初めて所定数に達するまでの表示器105の表示に関する制御である。なお、CPU30aのRWM領域(RWM30c)は、ベース値の表示を制御する情報(フラグ)を格納する領域を備えている。この領域には、初回投入後、全状態時有効球数が球数Y1に達するまでの期間であることを特定可能な情報と、初回投入後、全状態時有効球数が最初に所定数に達するまでの期間であることを特定可能な情報と、が格納されるようになっている。また、前記領域には、全状態時有効球数が最初に所定数を超えた以降の期間であることを特定可能な情報が格納されるようになっている。これらの情報をもとにCPU30aは、表示器105の表示を制御する。
以下、パチンコ遊技機10の初回投入後、最初に所定数に達した以降の表示に関する制御を説明する。
図11に示す、時点X4〜X5までの期間は、全状態時有効球数が0(零)〜球数Y2(例えば6000球)に達するまでの2回目の期間である。
時点X4〜X5の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には計数された第1ベース値B2(図中は[36]を例示している)が点灯表示される。また、時点X4では、1回目の期間である時点X1〜X4において全状態時有効球数が所定数に達していることから、第2ベース値が計数可能な状態である。このため、時点X4以降、表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が点灯表示されるとともにベース表示部には計数された第2ベース値B1f(図中は[34]を例示している)が点灯表示される。第2ベース値B1fは、前回(この例示では1回目)の計数で所定数に達したときのベース値に相当する。第2ベース値(ベース値B1f)の表示は、今回(2回目)、所定数に達するまでの間、第2表示状態において継続して表示される。この実施形態において識別子[b6.]は、第2ベース値を識別する第2識別子に相当する。
図11に示す、時点X5〜X6までの期間は、全状態時有効球数が球数Y2を超えてから球数Y3(例えば60000球)に達するまでの2回目の期間である。
時点X5〜X6の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が点灯表示されているとともにベース表示部には計数された第1ベース値B2(図中は[36]を例示している)が点灯表示される。なお、第1ベース値B2は、計数結果によって変動し、同じ数値を表示する場合もあれば、異なる数値を表示する場合もある。
図12に示す、時点X6〜X7までの期間は、全状態時有効球数が0(零)〜球数Y2(例えば6000球)に達するまでの3回目の期間である。
時点X6〜X7の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には計数された第1ベース値B3(図中は[32]を例示している)が点灯表示される。また、時点X6では、2回目の期間である時点X4〜X6において全状態時有効球数が所定数に達していることから、第2ベース値が計数可能な状態である。このため、時点X6以降、表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が点灯表示されるとともにベース表示部には計数された第2ベース値B2f(図中は[36]を例示している)が点灯表示される。第2ベース値B2fは、前回(この例示では2回目)、所定数に達したときのベース値に相当する。第2ベース値(ベース値B2f)の表示は、今回(3回目)、所定数に達するまでの間、第2表示状態において継続して表示される。
図12に示す、時点X7〜X8までの期間は、全状態時有効球数が球数Y2を超えてから球数Y3(例えば60000球)に達するまでの3回目の期間である。
時点X7〜X8の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が点灯表示されているとともにベース表示部には計数された第1ベース値B3(図中は[32]を例示している)が点灯表示される。なお、第1ベース値B3は、計数結果によって変動し、同じ数値を表示する場合もあれば、異なる数値を表示する場合もある。
そして、図12に示す、時点X8からのn回目の期間は、前述した2回目の期間及び3回目の期間と同様に表示器105における表示の制御を繰り返す。つまり、全状態時有効球数が球数Y2に達するまでの間、表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には計数された第1ベース値Bn(図中のXXは計数された任意の数値)が点灯表示される。また、全状態時有効球数が球数Y2を超えてから球数Y3に達するまでの間、表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が点灯表示されているとともにベース表示部には計数された第1ベース値Bnが点灯表示される。
また、表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が点灯表示されるとともにベース表示部には計数された第2ベース値Bn−1f(図中のXXは計数された任意の数値)が点灯表示される。第2ベース値Bn−1fは、前回(この例示ではn−1回目)、所定数に達したときのベース値に相当する。第2ベース値(ベース値Bn−1f)の表示は、今回(n回目)、所定数に達するまでの間、第2表示状態において継続して表示される。
以上、説明したように、表示器105の表示に関する制御は、全状態時有効球数が所定数(例えば60000球)に達するまでを1回の制御単位としている。そして、パチンコ遊技機10の初回投入から最初に全状態時有効球数が所定数に達するまでの1回目の期間では、全状態時有効球数が所定数よりも小さい一定数(例えば300球)に達するまでの間、第1ベース値が表示されない(図中に示す[−−])。また、全状態時有効球数が所定数に達するまでの各期間において、第1ベース値を識別する第1識別子は、所定数よりも小さい特定数(例えば6000球)に達するまでは点滅表示され、特定数に達してからは点灯表示されることから、特定数に達するまでと達してからとで異なる表示態様で表示される。また、図11に示す1回目の期間では、第2ベース値が計数不能であり、パチンコ遊技機10は第2ベース値を保持していない状態である。一方、図11及び図12に示す2回目以降の期間では、第2ベース値が計数可能であり、パチンコ遊技機10は第2ベース値を保持している状態である。このため、第2ベース値を識別する第2識別子は、第2ベース値を保持していない場合には点滅表示され、第2ベース値を保持している場合には点灯表示されることから、第2ベース値を保持している場合と保持していない場合とで異なる表示態様で表示される。
なお、表示器105のベース表示部に表示されるベース値(第1ベース値と第2ベース値)は、前述した計算式によって計数され、その計数結果が表示されるが、表示器105のベース表示部に表示可能な値は2桁である。このため、表示器105のベース表示部には、計数されたベース値を四捨五入した値が表示される。この実施形態では、計数後の小数点第1位を四捨五入し、四捨五入後の値を表示する。また、四捨五入後の値が10未満の場合、ベース値の十の位(第3表示要素D3に表示される値)には[0]を表示する(例えば[09]と表示する)。また、この実施形態では、四捨五入後の値が100以上の場合、ベース表示部には、図12に示すようにベース値として[99.]を表示する。
次に、CPU30aのRWM領域(RWM30c)を初期化する初期化処理について説明する。
RWM領域の初期化は、パチンコ遊技機10の電源投入時に初期化手段であるRWMクリアボタン104を操作することによって行うことができる。CPU30aは、RWMクリアボタン104の操作によって初期化指示を受けると、RWM領域に記憶している情報、すなわちパチンコ遊技機10への電力供給が停止した場合でも保持されている情報を原則、初期化するが、ベース値に関する情報を格納している領域の初期化は行わない。つまり、CPU30aは、RWMクリアボタン104の操作によって初期化指示を受けても、ベース値の計数に必要な情報、及びベース値の表示に必要な情報を格納している領域の初期化を行わず、ベース値の計数に必要な情報をそのまま保持する。具体的に言えば、CPU30aは、通常時賞球カウンタ、通常時有効球カウンタ、全状態時有効球カウンタ、通常時賞球バッファ、及び通常時有効球バッファに相当するRWM領域の各領域を初期化しない。また、CPU30aは、ベース値の表示を制御する情報を格納するRWM領域の各領域を初期化しない。換言すれば、この実施形態のパチンコ遊技機10では、RWMクリアボタン104の操作によるベース値に関する情報の初期化は不能とされている。
これにより、電源供給が開始されたときの表示器105には、電力供給が停止した際に表示されていたベース値の表示が復帰する。つまり、表示器105の識別子表示部及びベース表示部の表示内容は、電力供給が開始されると、電力供給が停止したときの状態に復帰する。上記した表示器105の表示内容が復帰することは、ベース値の表示が復帰することを意味し、電力供給が開始されたときに表示器105の表示状態(第1表示状態と第2表示状態)を電力供給が停止したときと同じ表示状態に戻すことを意味するものではない。そして、表示器105の表示内容の復帰は、パチンコ遊技機10の電源投入が幾度となく繰り返される場合であっても、同様に復帰する。なお、電力供給が停止することには、例えば遊技場の営業時間の終了によって遊技場の管理者がパチンコ遊技機10への電力供給をOFFする場合や、遊技場の営業時間中に例えば停電などの発生によってパチンコ遊技機10への電力供給が強制的に遮断される場合などを含む。
なお、RWM領域は、CPU30aが初期化指示を受けていないときであっても、記憶内容が異常、つまり電源供給が停止したときと同じ状態で復帰できないときには初期化される。この場合の初期化では、RWM領域に異常が発生していることから、遊技制御に関する情報とともにベース値の計数に必要な情報及びベース値の表示に必要な情報も、初期化される。ベース値の計数に必要な情報及びベース値の表示に必要な情報が初期化された場合、これらの情報はパチンコ遊技機10の初回投入の状態に戻ることから、電源供給が開始されたときの表示器105は、図11に示す時点X1からと同じ表示を行うことになる。つまり、CPU30aは、ベース値の計数に必要な情報及びベース値の表示に必要な情報が初期化されることで、パチンコ遊技機10の初回投入と同様にベース値の計数に関する制御とベース値の表示に関する制御を行う。これにより、表示器105には、例えば図11に示す時点X1〜X2の期間であれば、第1表示状態及び第2表示状態の何れでも識別子が点滅表示されるとともにそれぞれのベース値として[−−]が点灯表示される。
また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、ベース値を報知する機能を搭載しているが、計数したベース値がどのような値を取り得ても、パチンコ遊技機10におけるその他の制御には何ら影響を与えていない。つまり、パチンコ遊技機10では、ベース値と直接的な関わりはなく、その他の制御が行われる。換言すれば、ベース値を報知する機能を搭載していないパチンコ遊技機で行われる各種の制御は、ベース値を報知する機能を搭載しているパチンコ遊技機10においてもベース値に関係なく同様に行われ、ベース値の計数及び表示に関する制御とその他の制御は独立して行われる。
例えば、特別図柄に関する制御(大当り遊技を含む)、普通図柄に関する制御(第2始動口13を開放する普通図柄の当り遊技を含む)、遊技状態(確率変動状態、入球率向上状態)に関する制御、賞球の払出しに関する制御、エラー報知に関する制御など、主基板30に関する制御はベース値に関係なく行われる。また、副基板42に関する制御はベース値に関係なく行われる。副基板42に関する制御は、例えば、演出図柄の図柄変動ゲームに関する制御(モード演出なども含む)、装飾ランプLaの発光演出に関する制御、スピーカSpの音声演出に関する制御、演出ボタンBTに関する制御、演出用の可動体を備えている場合には可動体による可動演出に関する制御など、がある。また、スピーカSpの音量を調整する機能や装飾ランプLaの光量を調整する機能など、遊技者のカスタマイズ機能をパチンコ遊技機10に搭載している場合、これらのカスタマイズ機能に関する制御もベース値に関係なく行われる。
また、このパチンコ遊技機10に搭載したベース値を報知する機能には、表示器105の表示態様を変更することが含まれている。具体的に言えば、識別子の点滅表示と点灯表示が切り替わることによる表示態様の変更や、第1表示状態と第2表示状態が切り替わることによる表示態様の変更である。このように表示器105の表示態様が変更される場合であっても、その変更に何ら影響を受けることなくパチンコ遊技機10の遊技は継続して行うことが可能であり、また副基板42の制御による演出(例えば演出ボタンBTの操作やカスタマイズ機能による操作など)も継続して行うことが可能である。また、図11及び図12を用いて説明したように、表示器105の表示態様は全状態時有効球数に応じて変更されるが、その変更タイミングにおいて表示器105の表示態様が変更されることは何ら報知されない。例えば、演出表示装置11を用いて表示器105の表示態様が変更されることは報知されない。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10において表示器105は主基板30に搭載されており、主基板30には表示器105以外の表示器(7セグメントLEDによる表示器など)は搭載されていない。
また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、前述したようにベース値を計数する機能を搭載しているとともに、その機能を用いてベース値が異常値を示した場合にエラーとして報知を行う機能をさらに搭載している。
図13は、時間経過によるベース値(図中の計数値α)の変遷を例示している。パチンコ遊技機10は、発射ハンドルHDを操作して遊技球を遊技盤YBの遊技領域YBaに発射させて遊技を行い、発射した遊技球が例えば第1始動口12や普通入賞口16などの入賞口へ入球することによって所定個数の賞球が払出される。遊技球は、例えば1分間で100球というように一定間隔で発射されるが、その発射された遊技球が遊技領域YBaを流下案内され、入賞口へ入球する可能性(確率)は一定ではない。つまり、遊技領域YBaを流下案内される遊技球は、遊技領域YBaに配設された遊技釘や風車などの遊技部品との衝突などによって流下方向や流下速度に変化が生じ得ることから、入賞口へ入球する可能性(確率)は定まらない。このため、ベース値(計数値α)は、図13に示すように、時間経過に対して高低の差が生じ得る変動値である。
しかし、ベース値は前述したように変動値であったとしても、発射ハンドルHDを操作して普通に遊技を行っていれば、極端に値が変動するものではない。ところが、遊技者が、例えば油球ゴト、糸付き球ゴトなどの遊技球を不正に入賞口へ入球させる行為に及んだ場合、図13に矢印Mで指し示す時間帯のようにベース値が極端に高まる可能性がある。なお、例示した油球ゴトや糸付き球ゴトは、遊技球を実際に打ち出して行う行為であるため、例えば磁石などの道具を使う場合やパチンコ遊技機10に強制的に振動を与える場合とは異なり、パチンコ遊技機10に搭載したセンサ類では検知し難い。例えば磁石を使えばその磁力はパチンコ遊技機10に搭載した磁気センサで検知することが可能であり、例えば振動を与えればその振動はパチンコ遊技機10に搭載した振動センサで検知することが可能である。
図14は、この実施形態のパチンコ遊技機10が実行するベース値に関するエラー判定の手順を示す。ベース値に関するエラー判定は、主基板30のCPU30aが、所定の周期毎に実行する。また、主基板30のCPU30aは、エラー判定の他にも所定の制御を行う制御手段である。
エラー判定においてCPU30aは、現在の遊技が通常遊技であるかを判定する(ステップst1)。この実施形態のエラー判定は、通常遊技時におけるベース値が異常値を示しているかを判定する。通常遊技は、図7を用いて説明したように、遊技状態が低確かつ低ベースであって、大当り遊技が行われていないときの遊技である。大当り遊技が行われているときの遊技、及び低確かつ低ベース以外の遊技状態での遊技(特に高ベース時の遊技)では、大入賞口15又は第2始動口13へ遊技球を容易に入球させることが可能であり、ベース値は必然的に高まることから、この実施形態ではエラー判定の対象としていない。
ステップst1においてCPU30aは、通常遊技でなければエラー判定の対象としない遊技であることからステップst2以降の処理を実行せずにエラー判定を終了する。一方、ステップst1においてCPU30aは、通常遊技であればエラー判定の対象とする遊技であることから次のステップst2へ移行する。ステップst2においてCPU30aは、現在、計数しているベース値(図中の計数値α)と予め定めた閾値βとを比較し、計数値αが閾値βを超えているかを判定する。計数値αは、表示器105が第1表示状態(例えば図9(a)に示す「bL.」の値)であるときに表示するベース値である。また、閾値βは、エラーと判断するためにROM30bに予め記憶された値であり、例えば[60]である。この実施形態においてエラー判定で用いる閾値βには1種類の値が定められており、固定値である。
なお、ステップst2の判定に用いる計数値αは、表示器105が第1表示状態であるときに表示されるベース値として計数され、RWM30cの記憶領域に記憶された値であってもよい。あるいは、計数値αは、図14のエラー判定の実行周期毎にCPU30aが通常時賞球カウンタの通常時賞球数と通常時有効球カウンタの通常時有効球数を用いて計数した値としてもよい。また、表示器105が第1表示状態になる周期(図10に示す時間T)と、エラー判定の実行周期は、同一周期としてもよいし、異なる周期(例えばエラー判定の方が短い)としてもよい。
エラー判定の説明に戻り、ステップst2においてCPU30aは、計数値αが閾値βを超えていない場合、つまり閾値β未満である場合、ベース値が異常値を示していないことからステップst3以降の処理を実行せずにエラー判定を終了する。一方、ステップst2においてCPU30aは、計数値αが閾値βを超えている場合、ベース値が異常値を示していることから次のステップst3へ移行する。ステップst3においてCPU30aは、エラー処理を実行し、当該エラー処理の実行後にエラー判定を終了する。
この実施形態においてエラー処理は、ベース値が閾値を超えたことをエラーとして報知する制御として以下に示す2つの制御によって構成される。
第1に、CPU30aは、パチンコ遊技機10が備える報知手段を用いてエラーの報知を実行させる制御を行う。具体的に言えば、CPU30aは、ベース値に関するエラーの発生によってエラーの報知を指示する報知指示信号としてのエラー指示コマンドをサブ統括基板32へ送信する。第2に、CPU30aは、パチンコ遊技機10が備える外部接続手段としての外部端子板40を通じてセキュリティ信号を送信する制御を行う。セキュリティ信号は、ベース値(計数値α)が閾値βを超える場合以外のエラー発生時にも送信される信号である。なお、セキュリティ信号が送信されるエラーとしては、例えばRWMクリア、大入賞口不正入賞エラー、普通電動役物不正入賞エラーなどが挙げられ、セキュリティ信号の送信対象となり得るエラーの種類はパチンコ遊技機の仕様によって変更可能である。
ステップst3のエラー処理で送信されたエラー指示コマンドを受信したサブ統括基板32のCPUは、報知手段にエラー報知を実行させる制御を行う。この実施形態のパチンコ遊技機10は、報知手段を、演出表示装置11(画像表示部GH)及びスピーカSpとしている。このため、エラー報知は、画像表示部GHによる画像表示とスピーカSpからの音声出力とによって行われる。画像表示によるエラー報知では、例えば「ベース値に異常が発生しています」などのメッセージを表示する。また、音声出力によるエラー報知では、例えば所定のエラー音を出力する。なお、エラー音は、他のエラーが発生したときにエラー報知を行う場合と同じエラー音(兼用の音)としてもよいし、ベース値にエラーが発生したときのみに出力されるエラー音(専用の音)としてもよい。
この実施形態においてサブ統括基板32によるエラーの報知は、所定時間(実施形態では「30秒」)、行わせる。サブ側の制御によるエラーの報知は、遊技者及び遊技場の管理者にエラーが発生している状況を認識させるために、比較的、長い時間に設定されている。例えば、図14のステップst3のエラー処理では、サブ側の制御によって所定の報知手段がエラーの報知を行うとともに、メイン側の制御によって外部端子板40を通じてセキュリティ信号を外部に送信するエラーの報知を行っているが、これらのエラーの報知に係る時間はサブ側の制御によるエラーの報知に係る時間の方が長い。具体的に言えば、この実施形態において、所定の報知手段はエラーの報知を「30秒」行うが、セキュリティ信号の送信によるエラーの報知は「560ms」である。つまり、セキュリティ信号の送信履歴(ホールコンピュータHCからすれば受信履歴)は、ホールコンピュータHCで管理されているが、報知手段による報知はこの実施形態であれば時間経過によって消滅することになる。このことから、サブ側の制御によるエラーの報知は、極端に短時間ではなく、かつ極端に長時間ではなく、適度に設定されていることが好ましい。
なお、サブ側の制御によるエラーの報知は時間経過によって終了する構成としてもよいし、パチンコ遊技機10にエラーを解除するスイッチを設け、当該スイッチの操作をエラーの報知を終了させる契機としてもよい。また、パチンコ遊技機10の電源を再投入することをエラーの報知を終了させる契機としてもよい。
以上により、この実施形態のパチンコ遊技機10は、主基板30のCPU30aがベース値を計数する。そして、パチンコ遊技機10は、エラーが発生することによってエラーを報知する。また、パチンコ遊技機10は、エラーが発生することによってセキュリティ信号を外部に送信する。このような制御を行うことにより、この実施形態のパチンコ遊技機10は、ベース値(計数値α)が閾値βを超えたことをエラーとして報知する機能を備える。
また、図14に示すエラー判定では、ステップst1の処理にて現在の遊技の種類を判定する。具体的に言えば、この実施形態のパチンコ遊技機10は、遊技の種類として、図7に示すように通常遊技(第1遊技)と通常遊技以外の遊技(第2遊技)とに分類でき、ステップst1の処理にて通常遊技であるかを判定している。そして、通常遊技である場合であって、かつベース値(計数値α)が閾値βを超えている場合にはステップst3にてベース値(計数値α)が閾値βを超えたことをエラーとして報知する制御を行い、通常遊技以外の遊技である場合には前述した制御を行わない。このような手順でエラー判定を行うことで、CPU30aは、ベース値が閾値を超えたことをエラーとして報知する制御を実行するかを、遊技の種類によって切り替えることになる。因みに、通常遊技以外の遊技ではベース値が閾値を超えたことをエラーとして報知する制御を実行しないことから、換言すれば通常遊技以外の遊技ではベース値が閾値を超えることを許容しているとも言える。つまり、エラー判定のステップst2で用いる閾値βは、通常遊技時においてベース値(計数値α)と比較する値として設定されている。
したがって、第1の実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1−1)通常遊技時のベース値を計数し、その計数したベース値を報知する機能を搭載した。パチンコ遊技機10は、大当り遊技中や入球率向上状態中などの有利遊技中は賞球を容易に獲得し得る傾向にあり、その結果、これらの遊技を考慮したベース値は比較的高めである。一方、通常遊技では、賞球を獲得するために主に第1始動口12や普通入賞口16,17へ遊技球を入球させて賞球の払出条件を成立させる必要がある。このため、通常遊技時のベース値を報知する機能を搭載することで、通常遊技時において遊技者がどの程度の割合で賞球を獲得しているかを直接的に知り得ることが可能である。したがって、上記機能を搭載することで、パチンコ遊技機10に関する有用な情報となり得る通常遊技時のベース値を報知することができ、その報知によって有用な情報を得ることができる。
(1−2)また、通常遊技時のベース値の計数及び報知(表示)は、パチンコ遊技機10にアウトスイッチS7を搭載したことで実現可能である。このため、通常遊技時のベース値をパチンコ遊技機10毎に、かつパチンコ遊技機10から直接得ることができるようになる。その結果、例えばパチンコ遊技機10から機外に排出される有効球を検出する手段を遊技機設置設備に設置し、その検知結果を例えばホールコンピュータHCに送信してベース値を得るなどの仕組みに比較して構成を簡素化することができる。また、パチンコ遊技機10自体で通常遊技時のベース値を得られることで、その得られた情報をもとに各パチンコ遊技機10で何らかの報知又は演出を行うことも可能であり、拡張性又は柔軟性に富んだ仕組みを構築することができる。
(1−3)通常遊技時のベース値を報知する手段(表示器105)を、主基板30に搭載した。主基板30は、不正対策の観点からパチンコ遊技機10の後側であっても、比較的視認性の高い状態で配置されている。このため、表示器105自体の視認性を向上させることもできる。また、主基板30のCPU30aによって表示器105を直接制御することができ、表示器105の報知の信頼性を維持又は向上させることができる。例えば副基板42などに搭載して制御する場合、ベース値を計数するために必要な情報、又はベース値を表示するために必要な情報を主基板30から副基板42に送信する必要がある。このため、送信過程において例えば情報の欠落や受信不能などの通信エラーが発生してしまうと、表示器105による報知の信頼性を損なわせる可能性がある。
(1−4)また、主基板30は、バックアップ機能を搭載している。このため、パチンコ遊技機10への電力供給が停止した場合でも、電力供給が再開された際にはベース値の計数結果を電力供給が停止したときの状態に復帰させることができる。特に、遊技場の営業時間中に不慮の停電などが生じた場合でも、ベース値の計数に関する情報を失うことなく、復旧後はベース値の計数結果を電力供給が停止したときの状態に復帰させることができる。その結果、ベース値を営業時間を通して、かつ日を跨いで継続的に計数することができ、情報の信頼性を向上させることができる。
(1−5)また、この実施形態のパチンコ遊技機10では、ベース値の計数に関する情報をRWMクリアボタン104の操作によるRWM領域の初期化の対象外としている。つまり、電源投入時にRWM領域の初期化の指示を受けても初期化しない。このため、ベース値の計数結果は、パチンコ遊技機10をRWM領域の初期化を行って起動させても、電力供給が停止したときの状態に復帰させることができる。その結果、ベース値を営業時間を通して、かつ日を跨いで継続的に計数することができ、情報の信頼性を向上させることができる。
(1−6)主基板30は、不正対策の観点から個々に管理番号を付し、その管理番号は例えば管理番号を印刷したシール(番号表示部101)などを主基板ケース81に貼り付けることで明示されている。そして、表示器105は、その情報表示部105aが番号表示部101と重ならないように主基板30に配置されている。このため、表示器105及び番号表示部101のそれぞれの視認性を損なわせることなく、ベース値を報知することができる。
(1−7)また、主基板30に搭載した表示器105は、主基板ケース81で覆われているので、外部から表示器105へ容易にアクセスできない構成とすることができる。また、主基板ケース81は、不正開放防止手段を備えており、この観点からも外部から表示器105へ容易にアクセスできない構成とすることができる。したがって、表示器105の交換や構造変更などを容易にできないようにすることができる。また、表示器105は、主基板ケース81で覆われることで、例えばパチンコ遊技機10が備える球タンクなどから落下した遊技球の衝突や、その衝突による故障などを抑制することができる。
(1−8)図11及び図12に示すように、全状態時有効球数に応じて識別子及びベース値を異なる表示態様で表示させることで、現在、表示器105に表示されている情報の意味合いを視覚的に又は直感的に捉えることができ、表示器105の視認性を向上させることができる。例えば、第1識別子を所定数(球数Y3)よりも小さい特定数(球数Y2)に達するまでと特定数に達してからとで異なる表示態様とすることで、現在、表示されているベース値を計数する際の有効球の総数を把握することができる。
(1−9)また、図11に示すように、1回目の期間において、全状態時有効球数が一定数(球数Y1)に達するまではベース値を計数せずに表示させないが、表示器105には[−−]を表示している。図11に示す時点X1〜X2は、主に工場出荷時のテストにおいてパチンコ遊技機10に電源を投入したことを想定したものである。このため、信頼性の低い状態でのベース値の計数や表示を行うことなく、その一方で第3,第4表示要素D3,D4には[−−]を表示させることで表示器105の初期不良などをテストすることも可能である。
(1−10)また、図11に示すように、第2識別子は、パチンコ遊技機10が第2ベース値を保持している場合と第2ベース値を保持していない場合、すなわち1回目の期間である場合と2回目以降の期間である場合とで異なる表示態様で表示させる。これにより、現在、表示器105に表示されている情報の意味合いを視覚的に又は直感的に捉えることができ、表示器105の視認性を向上させることができる。
(1−11)表示器105の表示状態として、第1ベース値と第1識別子を表示する第1表示状態と、第2ベース値と第2識別子を表示する第2表示状態と、を備える。これにより、意味合いの異なる情報を単一の表示器105によって報知することができ、複数の表示器を用いる場合に比して主基板30の構成を簡素化することができる。
(1−12)そして、表示器105の表示状態である第1表示状態と第2表示状態は、所定の周期後に切り替えられる。このため、例えば遊技場の管理者などが表示器105を確認する場合でも、複数の情報を視認するにあたって表示状態をわざわざ切り替える操作を行う必要がなく、容易である。また、表示状態を切り替える手段を備える必要がないので、主基板30や表示器105の構成を簡素化することができる。
(1−13)外部端子板40は、アウトスイッチS7によって検知された有効球が一定の球数に達する毎に情報を送信する端子を備えている。これにより、外部装置(ホールコンピュータHC)を前記端子に接続することで、有効球に関する情報を外部にも送信することができる。このため、有効数の総数に関する情報を外部でも得ることができる。
(1−14)また、アウトスイッチS7によって検知された有効球が一定の球数に達する毎に送信される情報は、一定時間送信されるとともに、一定時間の間にさらに一定の球数に達したときには一定時間の経過後、一定間隔をあけて送信される。このため、前記情報を一定の球数(有効球)毎の情報として、外部装置に確実に受信させることができる。
(1−15)ベース値(計数値α)が閾値βを超えた場合にはエラーの報知を行う。これにより、ベース値に異常が生じていることを遊技者や遊技場の管理者に知らせる仕組みを構築することができる。特に、実施形態で説明したようにベース値の監視によるエラー判定であれば、例えば磁気センサや電波センサ(誘導磁界検知センサ)などを用いたエラー(磁気エラー、誘導磁界検知エラー)の検知とは異なり、センサの検知範囲の影響を受けることなくエラーを検知することができる。つまり、不正行為の態様に影響されることなく、不正防止に関わるエラーを検知することができる。したがって、不正行為の態様に影響され難いパチンコ遊技機10を構成することができる。
(1−16)また、上記効果(1−15)で述べたように、不正行為の態様に影響され難い仕組みを構築することで、例えば従前から不正防止に関わるエラーとして検知していた磁気エラーや誘導磁界検知エラーを検知するための仕組みを簡素化することができる。具体的に言えば、磁気センサや電波センサを搭載する必要がなくなる、あるいは搭載したとしてもこれらのセンサの検知範囲の精度を、例えばセンサ個数の増加や高精度のセンサの採用などによって高める必要がなくなる。したがって、パチンコ遊技機10の開発及び製造に係るコストの低減などに寄与することができる。
(1−17)また、この実施形態のパチンコ遊技機10では、ベース値(計数値α)が閾値βを超えた場合に新たにセキュリティ信号を送信することに加え、賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号などと言った各種情報を外部に送信可能である。このため、外部(ホールコンピュータHC)に対して、不正防止に関わる情報、遊技に関わる情報など、遊技場の管理者によって遊技場全体を管理する上で有用な情報を送信することができる。したがって、パチンコ遊技機10として、遊技性を高めることによる価値に止まらず、遊技場の管理者に有用な情報を提供するという情報管理における価値も高めることができる。
(1−18)また、賞球予定信号、賞球情報信号、アウト信号は、ベース値(計数値α)に異常が生じた場合でも、送信される情報である。このため、これらの有用な情報が、ベース値に関わるエラーの発生によって外部に送信されなくなる、又は送信することが阻害されることがなく、外部(ホールコンピュータHC)へ情報を提供することができる。
(1−19)また、通常遊技時のベース値(計数値α)をエラーの対象として判定することで、ベース値に異常が発生している状態を正確に判定することができる。
(1−20)セキュリティ信号(この実施形態では第2セキュリティ信号)は、他のエラーと共通する信号であり、共通の時間、送信される。このため、エラーの種類毎に情報を送信する経路を構築する必要がなく、外部端子板40の構成を簡素化できる。また、エラーには優先順位を設定していることから、重要度の高いエラーについての情報を外部に確実に送信することができるとともに、エラーの種類毎に情報を送信する経路を構築する必要もなくなる。
(1−21)また、サブ側によるエラーの報知は、メイン側によるエラーの報知に比して報知の時間を長くしている。このため、遊技者や遊技場の管理者に対してエラーの発生を認識させ易くすることができる。そして、サブ側によるエラーの報知は、時間経過によって終了する構成を採用することで、何時までもエラーの報知が継続し、遊技者、特にエラーが発生した周辺のパチンコ遊技機10で遊技を行っている遊技者に不快感を抱かせないようにすることができる。
(第2の実施形態)
次に、パチンコ遊技機に具体化した第2の実施形態を図15〜図17にしたがって説明する。以下に説明する実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成及び同一制御内容についてはその重複する説明を省略又は簡略する。
図15(a)〜(d)は、第2の実施形態における表示器105の表示状態を示している。この実施形態では、図15(a)に示すように、表示器105の表示状態が第1表示状態であるときの表示内容は第1の実施形態と同じである。一方で、この実施形態では、図15(b),(c),(d)に示すように、表示器105の表示状態が第2表示状態であるときの表示内容が第1の実施形態と異なる。
表示器105の表示状態が第2表示状態であるときの表示内容であるベース値は、全状態時有効球数が球数Y3(例えば60000球)に達する毎にCPU30aが、計数する。具体的に言えば、CPU30aは、通常時賞球バッファの通常時賞球数と通常時有効球バッファの通常時有効球数を用いてベース値を計数する。そして、この実施形態では、前述のように計数されるベース値として、過去3回分のベース値を表示器105の表示状態が第2表示状態であるときに表示する。
このため、表示器105の表示状態が第2表示状態であるときの表示内容には、図15(b)に示す前回(1回前)のベース値と、図15(c)に示す前々回(2回前)のベース値と、図15(d)に示す前々々回(3回前)のベース値とがある。そして、第2表示状態では、上記した複数回分のベース値が、第1の実施形態と同様に、ベース値を識別する識別子とベース値を示す数字との組み合わせによって表示される。
この実施形態において前回のベース値は、図15(b)に例示するように[b1.32]というように、識別子[b1.]とベース値[XX(X:数字)]との組み合わせによって表示される。また、前々回のベース値は、図15(c)に例示するように[b2.38]というように、識別子[b2.]とベース値[XX(X:数字)]との組み合わせによって表示される。また、前々々回のベース値は、図15(d)に例示するように[b3.34]というように、識別子[b3.]とベース値[XX(X:数字)]との組み合わせによって表示される。なお、3回分のベース値を識別する識別子は[b1.]、[b2.]、[b3.]に限らず、任意に変更可能であるとともに、図15(a)〜(d)に示したベース値[36]、[32]、[38]、[34]は単なる例示であり、これらの値は変動値である。
また、図16に示すように、この実施形態において表示器105の表示内容は、所定の周期毎(図中に示す時間T毎)に切り替わる。具体的に言えば、表示器105は、第1表示状態を時間Tの間、維持した後、時間Tの経過によって第2表示状態に切り替わる。そして、第2表示状態に切り替わった表示器105は、最初に前回のベース値を表示する第2表示状態を時間Tの間、維持した後、時間Tの経過によって次に前々回のベース値を表示する第2表示状態に切り替り、その第2表示状態を時間Tの間、維持した後、時間Tの経過によって次に前々々回のベース値を表示する第2表示状態に切り替わる。その後、表示器105は、前々々回のベース値を表示する第2表示状態を時間Tの間、維持した後、時間Tの経過によって再び第1表示状態に切り替わり、以降は第2表示状態(前回→前々回→前々々回)→第1表示状態→第2表示状態(前回→前々回→前々々回)→・・を繰り返す。このように4つの表示状態を所定の周期毎に切り替えることで、1つの表示器105で異なる情報を報知することが可能である。時間Tは、例えば4〜6秒程度である。また、この実施形態では、4つの表示状態を表示させることから、第1表示状態の表示が終了してから次に第1表示状態が表示されるまでの間隔が時間t1(時間T×3)となる。
なお、図16は、表示器105の表示状態として第1表示状態→第2表示状態(前回→前々回→前々々回)→第1表示状態→・・というように切り替わる順を例示したが、第2表示状態(前回→前々回→前々々回)→第1表示状態→第2表示状態(前回→前々回→前々々回)→・・というように切り替わる順としてもよい。また、第2表示状態は、前回→前々回→前々々回というように切り替わる順を例示したが、前々々回→前々回→前回というように切り替わる順としてもよい。また、この実施形態の表示器105は、電源投入後に表示を開始するが、そのときに最初に表示される表示状態は第1表示状態又は第2表示状態(前回)の何れでもよい。
以下、図17にしたがって、この実施形態のパチンコ遊技機10に搭載されているベース報知機能の具体的な制御内容をその作用とともに説明する。
制御内容には、第1の実施形態と同様に、大別して、ベース値の計数に関する制御と、ベース値の表示に関する制御と、がある。これらの制御は、主基板30のCPU30aが行う。なお、第1の実施形態と第2の実施形態では、ベース値の計数に関する制御は同一である。つまり、第2の実施形態のベース値は、第1の実施形態と同じタイミングで、かつ同じ手法で計数を行う。但し、第2の実施形態は、後述するベース値の表示に関する制御において表示器105の表示状態が第2表示状態であるときに過去、複数回分のベース値を表示させることから、RWM30cには第2表示状態のときに表示されるベース値としてCPU30aが計数した複数回分(3回分)のベース値が記憶されている。なお、第2表示状態のときに表示されるベース値は、例えば第2の実施形態であれば少なくとも3回分のベース値を記憶しておくことで図15及び図16で説明した第2表示状態で表示を行うことができる。しかし、RWM30cに記憶される過去のベース値は、少なくとも3回分であればよく、4回分以上、又はRWM30cの記憶容量次第であるが計数した全ての過去分を記憶しておいてもよい。つまり、第2表示状態のときに3回分のベース値を表示可能であれば、RWM30cに記憶されているベース値の数は3回分よりも多い数であってもよい。
一方、第1の実施形態と第2の実施形態では、ベース値の表示に関する制御が異なる。具体的に言えば、第2の実施形態では、前述したように表示器105の表示状態が第2表示状態であるときに3回分のベース値を表示させることから、表示器105の表示状態を第1表示状態と第2表示状態とに切り替える制御が異なる。なお、表示器105が第1表示状態であるときに識別子[bL.]とベース値[XX(X:数値)]が表示される態様は、第1の実施形態と第2の実施形態とで同じである。また、表示器105が第2表示状態であるときに識別子[b1.]とベース値[XX(X:数値)]、識別子[b2.]とベース値[XX(X:数値)]、識別子[b3.]とベース値[XX(X:数値)]が表示される態様は、第1の実施形態の識別子[b6.]とベース値[XX(X:数値)]が表示される態様と同じである。なお、第1表示状態及び第2表示状態の何れの状態でも、未だ計数されていないベース値は[−−(バー)]で表示される。つまり、[−−]は、ベース値を報知していないことを意味する。
図17は、この実施形態において、ベース値の表示に関する制御を行うことで表示器105に表示される表示内容の変遷を示す。なお、図17(a)〜(e)には、識別子が点滅表示されている時点の図示を省略し、点灯表示されている時点を図示している。また、図17(a)〜(e)に図示したベース値の数値は単なる例示である。
図17(a)は、パチンコ遊技機10の初回投入後、全状態時有効球数が所定数(球数Y3)に達していないときの表示器105の表示内容の変遷である。このとき、第1表示状態の表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されたベース値[34]とが表示される。そして、第1表示状態から第2表示状態へ切り替わると表示器105には、前回のベース値→前々回のベース値→前々々回のベース値という順でそれぞれが識別子[b1.]、[b2.]、[b3.]とともに表示される。しかし、図17(a)に示すように、初回投入後、所定数(球数Y3)に達していないときは、第2表示状態のときに表示されるベース値は何れも計数されておらず、またRWM30cにも記憶されていない。このため、初回投入後、所定数(球数Y3)に達していないときの表示器105には、第2表示状態において前回のベース値は[b1.−−]と表示されるとともに前々回のベース値は[b2.−−]と表示され、さらに前々々回のベース値は[b3.−−]と表示される。そして、第2表示状態(前々々回の表示)から第1表示状態へ切り替わると表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されたベース値とが再び表示される。
図17(b)は、全状態時有効球数が所定数(球数Y3)に達した回数が1回であるときの表示器105の表示内容の変遷である。1回であるときとは、2回目の計数の段階である。このとき、第1表示状態の表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されているベース値として例えば[31]とが表示される。そして、第1表示状態から第2表示状態へ切り替わると表示器105には、前回のベース値→前々回のベース値→前々々回のベース値という順でそれぞれが識別子[b1.]、[b2.]、[b3.]とともに表示される。図17(b)に示すように、所定数に達した回数が1回であるときは、第2表示状態のときに表示されるベース値は前回のベース値のみが計数されてRWM30cに記憶されており、前々回及び前々々回のベース値は何れも計数されておらず、またRWM30cにも記憶されていない。このため、所定数(球数Y3)に達した回数が1回であるときの表示器105には、第2表示状態において前回のベース値は[b1.34]と表示されるとともに前々回のベース値は[b2.−−]と表示され、さらに前々々回のベース値は[b3.−−]と表示される。そして、第2表示状態(前々々回の表示)から第1表示状態へ切り替わると表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されているベース値とが再び表示される。
図17(c)は、全状態時有効球数が所定数(球数Y3)に達した回数が2回であるときの表示器105の表示内容の変遷である。2回であるときとは、3回目の計数の段階である。このとき、第1表示状態の表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されているベース値として例えば[30]とが表示される。そして、第1表示状態から第2表示状態へ切り替わると表示器105には、前回のベース値→前々回のベース値→前々々回のベース値という順でそれぞれが識別子[b1.]、[b2.]、[b3.]とともに表示される。図17(c)に示すように、所定数に達した回数が2回であるときは、第2表示状態のときに表示されるベース値は前回のベース値と前々回のベース値とが計数されてRWM30cに記憶されており、前々々回のベース値は計数されておらず、またRWM30cにも記憶されていない。このため、所定数(球数Y3)に達した回数が2回であるときの表示器105には、第2表示状態において前回のベース値は[b1.31]と表示されるとともに前々回のベース値は[b2.34]と表示され、さらに前々々回のベース値は[b3.−−]と表示される。そして、第2表示状態(前々々回の表示)から第1表示状態へ切り替わると表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されているベース値とが再び表示される。
図17(d)は、全状態時有効球数が所定数(球数Y3)に達した回数が3回であるときの表示器105の表示内容の変遷である。3回であるときとは、4回目の計数の段階である。このとき、第1表示状態の表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されているベース値として例えば[36]とが表示される。そして、第1表示状態から第2表示状態へ切り替わると表示器105には、前回のベース値→前々回のベース値→前々々回のベース値という順でそれぞれが識別子[b1.]、[b2.]、[b3.]とともに表示される。図17(d)に示すように、所定数に達した回数が3回であるときは、第2表示状態のときに表示されるベース値は前回、前々回及び前々々回の各ベース値が何れも計数されてRWM30cに記憶されている。このため、所定数(球数Y3)に達した回数が3回であるときの表示器105には、第2表示状態において前回のベース値は[b1.30]と表示されるとともに前々回のベース値は[b2.31]と表示され、さらに前々々回のベース値は[b3.34]と表示される。そして、第2表示状態(前々々回の表示)から第1表示状態へ切り替わると表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されているベース値とが再び表示される。
図17(e)は、全状態時有効球数が所定数(球数Y3)に達した回数が4回であるときの表示器105の表示内容の変遷である。4回であるときとは、5回目の計数の段階である。このとき、第1表示状態の表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されているベース値として例えば[40]とが表示される。そして、第1表示状態から第2表示状態へ切り替わると表示器105には、前回のベース値→前々回のベース値→前々々回のベース値という順でそれぞれが識別子[b1.]、[b2.]、[b3.]とともに表示される。図17(e)に示すように、所定数に達した回数が4回であるときは、第2表示状態のときに表示されるベース値は前回、前々回及び前々々回の各ベース値が何れも計数されてRWM30cに記憶されている。このため、所定数(球数Y3)に達した回数が4回であるときの表示器105には、第2表示状態において前回のベース値は[b1.36]と表示されるとともに前々回のベース値は[b2.30]と表示され、さらに前々々回のベース値は[b3.31]と表示される。そして、第2表示状態(前々々回の表示)から第1表示状態へ切り替わると表示器105には、識別子[bL.]と今回のベース値として計数されているベース値とが再び表示される。つまり、所定数に達した回数が4回になると、それまでに第2表示状態で表示されていたベース値のうち、最も古い又は最も過去のベース値が表示されなくなる。なお、所定数に達した回数が4回以上であるときの表示内容の変遷は、図17(e)で例示した表示器105の表示内容の変遷と同じである。
以上のようにこの実施形態において表示器105には、表示器105が第1表示状態のときに表示されるベース値であって、所定数(球数Y3)に達するまでに計数される第1ベース値と、表示器105が第2表示状態のときに表示されるベース値であって、所定数(球数Y3)に達したときの第2ベース値と、が表示可能である。そして、第2ベース値については、前回の計数で所定数(球数Y3)に達したときの第2ベース値(前回のベース値)と、前回の計数から順に過去に遡った少なくとも1回分(実施形態では2回分)の計数で所定数(球数Y3)に達したときの第2ベース値(前々回のベースと前々々回のベース値)と、が表示可能である。換言すれば、表示器105には、第2表示状態であるときに過去、複数回分のベース値が表示可能である。そして、第2表示状態であるときに表示器105に表示される過去、複数回分のベース値は、全状態時有効球数が所定数(球数Y3)に達する毎に計数され、RWM30cに記憶されたベース値である。また、第2ベース値を識別する第2識別子([b1.]、[b2.]、[b3.])は、過去、複数回分のベース値の時系列を特定可能に構成されている。
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1−1)〜(1−21)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(2−1)第2ベース値として過去、複数回分のベース値を表示可能とした。これにより、現在のベース値(第1ベース値)と前回のベース値(第2ベース値)に加え、過去複数回(2回)のベース値も表示器105にて確認することができる。したがって、ベース値の変遷をさらに過去に遡って確認でき、パチンコ遊技機10の状態をより正確に把握することが可能である。
(2−2)また、上記(2−1)の効果に加え、過去、複数回分を加えてベース値の変遷を確認できることで、例えば不正行為の早期発見など不正対策に繋げることができる。
(2−3)また、表示器105が第2表示状態であるときのベース値の表示は、未だ計数されていない段階においてその表示態様を[−−]として統一化されている。このため、どの段階までのベース値が計数されており、どの段階までのベース値が未だ計数されていないのかを容易に把握することができる。
(2−4)第2ベース値を識別する識別子は、過去、複数回分のベース値の時系列を特定可能なように別々の識別子としている。このため、第2表示状態において表示されるベース値がどの段階のベース値であるかを容易に把握することができる。
(2−5)表示器105では、第1表示状態のベース値と第2表示状態のベース値(前回のベース値、前々回のベース値、前々々回のベース値)とが予め定めた順番で表示される。つまり、複数のベース値が時間の経過によって規則的に表示される。このため、所望のベース値を確認するために何らかの操作を行う必要がなく、所望のベース値を確実に確認することができる。
なお、各実施形態は以下のように変更してもよい。
・各実施形態において、第1ベース値を識別する識別子、及び第2ベース値を識別する識別子の表示パターンを変更してもよい。なお、表示器105における数字や文字の表示パターンは、他の数字や文字との混同を避けるように構成するとよい。
・各実施形態において、表示器105の構成を変更してもよい。具体的には、表示器105を構成する表示要素D1〜D4の数(7セグメントLEDの数)を増減させてもよい。また、表示要素D1〜D4の配列を一列の横並びに代えて、例えば2つの表示要素を2段に配列したり、一列の縦並びに配列してもよい。
・各実施形態において、図11及び図12で説明した全状態時有効球数に応じた識別子の表示態様やベース値の表示態様を変更してもよい。
・ベース値の計数やベース値の表示に関する球数Y1,Y2,Y3は、任意に変更可能である。例えば、球数Y3を20000球としてもよい。
・上記別例において、例えば、1回目の期間における時点X1〜X2において、第1ベース値の表示態様を[−−]に代えて、その他の表示パターンに変更してもよいし、第3,第4表示要素D3,D4に何も表示しないようにしてもよい。この別例は、1回目の期間における時点X1〜X4において、第2ベース値も同様である。また、時点X1〜X2において第1ベース値を計数し、その計数結果を表示してもよい。
・上記別例において、1回目の期間における時点X1〜X2の第1表示状態時の識別子の表示態様と時点X2〜X3の第1表示状態時の識別子の表示態様を異ならせてもよい。例えば、時点X2〜X3のときは、識別子を点灯表示させてもよい。この場合、時点X2〜X3と時点X3〜X4における識別子の表示態様は同一となる。同様に、時点X4〜X5などの第1表示状態時の識別子、つまり全状態時有効球数が球数Y3に達するまでの識別子を点灯表示させてもよい。
・上記別例において、第1ベース値及び第2ベース値の各識別子を点滅表示させるときの周期は任意に変更してもよい。
・各実施形態において、例えばベース値として閾値を設定しておき、計数の結果、閾値を超えるベース値を表示する場合は異なる表示態様(例えば点滅表示)で表示させてもよい。例えば、閾値は、想定されるベース値よりも高いベース値に設定しておくことで、エラーや不正などの指標とすることができる。また、各実施形態では、ベース値が99のときはベース表示部に[99]を表示させ、ベース値が100以上のときにはベース表示部に[99.]というようにドットを付加した表示としている。通常、ベース値が100以上になることは想定し難いので、「.(ドット)」を付加した表示又は報知は想定し難い状況が発生していることを認識させる指標となり得る。つまり、この別例においては[99]を閾値として位置付けてもよい。また、「.(ドット)」を付加する数値は[99]に限らず、例えば[50]、[60]などの数値とし、これらの数値を超えた場合に「.(ドット)」を付加するようにしてもよい。
・各実施形態において、ベース値が[100]以上の場合の表示態様を変更してもよい。例えば、[FF]などの表記としてもよい。また、表示パターンを[99]として点滅表示させてもよい。
・第1の実施形態において、主基板30に、第1ベース値を表示する表示器と第2ベース値を表示する表示器を別々に搭載してもよい。この場合の各表示器は、第1の実施形態と同様に4つの表示要素D1〜D4で構成し、識別子とベース値を表示するようにしてもよい。また、表示器を別々にする場合において、各表示器を例えば2つの表示要素で構成し、それぞれのベース値を識別する識別子を主基板30の実装面にプリントしてもよい。
・各実施形態において、通常時賞球カウンタ、通常時有効球カウンタ、全状態時有効球カウンタ、通常時賞球バッファ、通常時有効球バッファ、計数した第1ベース値及び第2ベース値など、ベース値の計数に関する制御における計数結果や制御に必要な情報を格納するRWM領域を強制的に初期化する手段を設けてもよい。なお、この手段は、遊技場の管理者など特定の人のみが操作可能であって、遊技者は操作不能に設けるようにする。
・各実施形態において、図11の時点X2の段階で一旦、通常時賞球カウンタ(通常時賞球数)、通常時有効球カウンタ(通常時有効球数)、及び全状態時有効球カウンタ(全状態時有効球数)を零クリアしてもよい。そして、これらのカウンタを零クリアした後、時点X2からの1回目の計測を開始させてもよい。
・各実施形態において、CPU30aが計数したベース値を特定可能な情報を副基板42へ送信し、副基板42が制御する例えば演出表示装置11にベース値を表示させてもよい。このようにすれば、遊技者もベース値を認識することが可能である。また、この場合、ベース値を報知する手段は、遊技盤YBの盤面や演出表示装置11を取り付けるセンター枠に設けた7セグメントLEDとしてもよい。
・各実施形態において、アウトスイッチS7の配置を変更してもよい。例えば、アウトスイッチS7を遊技盤YBに設けてもよい。この場合、アウトスイッチS7は、遊技盤YBにあるアウト口21よりも下方であって、遊技盤YBの最下位部に配置してもよい。
・各実施形態において、アウトスイッチS7を複数配置してもよい。この場合、通常時有効球カウンタや全状態時有効球カウンタの計数は複数のアウトスイッチS7の検知結果の合算となる。
・各実施形態において、通常遊技以外の遊技におけるベース値を計数してもよい。この場合の計数したベース値を報知する手段を、主基板30に搭載してもよいし、副基板42の制御によって例えば演出表示装置11に表示させてもよい。
・各実施形態において、主基板30のCPU30aによって計数されたベース値を特定可能な情報を副基板42へ送信し、副基板42は特定したベース値に応じて例えば演出表示装置11で所定の演出を行わせてもよい。例えば、ベース値が想定される値に一致又はほぼ一致しているときには「調子よい」などのメッセージを表示させ、ベース値が想定される値と離れているときには「調子悪い」などのメッセージを表示させてもよい。また、ベース値が想定される値に一致又はほぼ一致しているときには「調整よい」などのメッセージを表示させ、ベース値が想定される値と離れているときには「調整悪い」などのメッセージを表示させてもよい。
・各実施形態において、主基板30のCPU30aによって計数されたベース値を特定可能な情報を外部装置に送信してもよい。外部装置は、例えばホールコンピュータHCや、遊技機設置設備に配置されているデータカウンタであり、データカウンタにてベース値を報知してもよい。
・パチンコ遊技機10では、例えば入球率向上状態の残り回数など、主基板30のCPU30aが計数した結果を、副基板42の制御によって例えば演出表示装置11に表示することが行われている。このように主基板30で計数し、副基板42で報知する情報については、RWM領域の初期化指示によって初期化される情報である。
・各実施形態において、主基板30における表示器105の配置は任意に変更してもよい。また、各実施形態では、表示器105の情報表示部105aが主基板ケース81外に露出しているが、表示器105全体が主基板ケース81内に配置されていてもよい。
・各実施形態において、主基板ケース81における番号表示部101の配置は任意に変更してもよい。つまり、表示器105の情報表示部105aと番号表示部101とが重ならなければよい。
・また、各実施形態において、表示器105の情報表示部105aは、主基板ケース81に番号表示部101以外の情報を表示する表示部(例えば、二次元コード、外部端子板40の端子を説明する表示部)を設ける場合においてこれらの表示部と重ならない位置に配置されていることが好ましい。
・第1の実施形態において、表示器105を、払出基板31に搭載してもよいし、主基板30と払出基板31との間の中継端子板37に搭載してもよい。
・各実施形態において、非入球率向上状態中は、普通図柄の当り抽選に当選しないようにしてもよい。つまり、非入球率向上状態中は、作動ゲート18へ遊技球を通過させても、当り抽選に当選せず、全てがはずれの扱いとなることから、第2始動口13も開放されず、第2特図変動ゲームの始動条件や第2始動口13への入球に基づく賞球の払出条件を成立させることができないようにしてもよい。なお、この場合であっても、普通図柄のはずれ図柄を導出するために普通図柄の変動パターンが決定され、普図変動ゲームが行われる。
・確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機10として、次回の当りに当選するまで確変状態を付与する仕様や、転落抽選に当選するまで確変状態を付与する仕様(転落機)、あるいは予め定めた回数分の図柄変動ゲームが終了するまで確率変動状態を付与する仕様(ST機)がある。また、確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機には、遊技球が特定領域を通過することを契機に確変状態を付与する仕様(V確変機)がある。各実施形態のパチンコ遊技機10は、これらの何れの仕様のパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、パチンコ遊技機10は、上記した転落機とV確変機を混合させた仕様のパチンコ遊技機であってもよい。
・各実施形態のパチンコ遊技機10を、遊技球が特定領域を通過することを契機に大当り遊技を付与する遊技機(所謂1種2種混合機)に具体化してもよい。この場合、ベース値を計数する通常遊技は、低ベースであって、大当り遊技中ではないときの遊技である。
・各実施形態は、パチンコ遊技機10として、「羽根もの」、「ヒコーキタイプ」とも言われる第2種に分類されるパチンコ遊技機に具体化してもよい。この種のパチンコ遊技機では、始動口への遊技球の入球を契機に入球装置(大入賞口)の開閉羽根(開閉部材)が開き、入球装置へ入球した遊技球が特別入賞口へ入球することによって大当り遊技が生起される。この場合、ベース値を計数する通常遊技は、大当り遊技中ではないときであり、始動口への入球によって入球装置の開閉羽根が開いているとき(小当り)はベース値を計数する対象としてもよい。
・主基板30に搭載される遊技の進行を制御する手段をワンチップマイクロコンピュータとしてもよい。
・各実施形態のパチンコ遊技機10を、特別図柄のみを用いるパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、各実施形態のパチンコ遊技機10を、複数の大入賞口を有するパチンコ遊技機、単一の始動口を有し、単一の特別図柄を用いるパチンコ遊技機、若しくは複数の始動口を有し、単一の特別図柄を用いるパチンコ遊技機に具体化してもよい。すなわち、パチンコ遊技機10の構成、特に遊技盤YBの具体的な構成は任意に変更してもよい。
・各実施形態のパチンコ遊技機10は、図柄変動ゲームに伴ってスピーカSpから出力される演出音を調整可能な音量調整機能を搭載していてもよい。このような音量調整機能を搭載するパチンコ遊技機10では、演出音の音量調整は可能とするが、エラーの報知に係るエラー音は音量調整不能とすることで、エラーの発生を遊技者や遊技場の管理者に確実に知らせることができる。また、エラーの報知に係るエラー音の音量は、演出音として調整可能な最大な音量としてもよいし、その音量よりも大きい音量としてもよいし、あるいはパチンコ遊技機10で出力可能な最大の音量としてもよい。
・各実施形態のパチンコ遊技機10においてセキュリティ信号の送信経路を変更してもよい。実施形態のように払出基板31を経由して外部端子板40へ至る経路としてもよいし、外部端子板40を主基板30に接続して主基板30から直接的に外部端子板40へ至る経路としてもよい。
・各実施形態においてセキュリティ信号はエラーの種類に関係なく同一の信号線によって送信されてもよい。つまり、実施形態で説明したように、RWMクリアのときと他のエラーのときのセキュリティ信号を分けることなく同じセキュリティ信号として送信するようにしてもよい。
・各実施形態において、ベース値に関するエラーを報知するセキュリティ信号を送信する信号線を専用に設けてもよい。
・各実施形態において、所定期間(例えば所定数(球数Y3)に達する間)に閾値を複数回超えることによってエラーと判定するようにしてもよい。また、閾値を超えた状態が所定時間継続することによってエラーと判定するようにしてもよい。
・また、上記別例において、閾値を超える毎にエラーの報知の強度を高めるようにしてもよい。例えば、ある回数までは装飾ランプLaで報知を行い、さらに回数が増加するとスピーカSpからエラー音を出力させ、さらに回数が増加すると演出表示装置11にエラーのメッセージを表示させるようにしてもよい。報知の強度は、遊技者や遊技場の管理者に対して目立ち易い手段を用いることによって高めることができる、あるいは複数の手段を用いて報知を行うことで高めることができる。
・各実施形態において、通常遊技時用の閾値βに加え、通常遊技以外の遊技時用の閾値を設定してもよい。そして、遊技の種類によって判定する閾値を変更し、遊技の種類に対応する閾値を超えることによってエラーと判定してもよい。
・各実施形態において、閾値βは、例えば管理者メニューから遊技場の管理者が任意に設定できるようにしてもよい。
・第2の実施形態において、RWM30cには、第2ベース値そのものを記憶せずに、全状態時有効球数が所定数(球数Y3)に達する毎に通常時賞球バッファの通常時賞球数と通常時有効球バッファの通常時有効球数を記憶してもよい。そして、CPU30aは、第2表示状態において第2ベース値を表示する際にRWM30cに記憶されている上記情報を用いて第2ベース値を計数してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)大入賞口と当該大入賞口とは異なる複数の入賞口とを備え、大入賞口へ遊技球が入球した場合には1球の入球に対して所定個数の賞球の払出しが行われるとともに、前記入賞口へ遊技球が入球した場合には1球の入球に対して入賞口毎に定められた個数の賞球の払出しが行われる遊技機において、遊技に使用された有効球を検知する有効球検知手段と、遊技に使用された有効球のうち、前記入賞口へ入球した遊技球を検知する入球検知手段と、遊技機から通常遊技時に払出された賞球の総数を計数する通常時賞球計数手段と、通常遊技時において遊技に使用された有効球の総数を計数する通常時有効球計数手段と、全ての遊技状態において遊技に使用された有効球の総数を計数する全状態時有効球計数手段と、全状態時有効球計数手段で計数されている遊技に使用された有効球の総数が所定数に達したときの通常時賞球計数手段で計数されている賞球の総数を記憶する賞球記憶手段と、全状態時有効球計数手段で計数されている遊技に使用された有効球の総数が所定数に達したときの通常時有効球計数手段で計数されている遊技に使用された有効球の総数を記憶する有効球記憶手段と、通常遊技時において遊技に使用された有効球の総数に対する通常遊技時における賞球の総数の割合を示すベース値を計数するベース値計数手段と、表示手段と、を備え、ベース値には、所定数に達するまでに計数される第1ベース値と、所定数に達したときの第2ベース値と、があり、表示手段は、ベース値を表示するベース表示部と、ベース表示部に表示されているベース値の識別子を表示する識別子表示部と、を有し、ベース表示部には、第1ベース値と、前回の計数で所定数に達したときの第2ベース値と、が表示され、識別子には、第1ベース値を識別する第1識別子と第2ベース値を識別する第2識別子と、がある遊技機。
(ロ)第1識別子は、所定数よりも小さい特定数に達するまでと特定数に達してからとで異なる表示態様で表示される。
(ハ)第2識別子は、遊技機が第2ベース値を保持している場合と第2ベース値を保持していない場合とで異なる表示態様で表示される。
(ニ)表示手段は、第1ベース値と第1識別子とを表示する第1表示状態と、第2ベース値と第2識別子とを表示する第2表示状態と、に所定の周期毎に切り替わる。
(ホ)有効球検知手段は、遊技盤の搭載枠の最下部位、又は遊技盤に設けられているとともに、遊技盤において大入賞口及び複数の入賞口の何れにも入賞せずに遊技領域から排出される遊技球が入球するアウト口よりも下方の遊技盤の最下部位に配置されている。
(へ)遊技機への電力供給が停止した場合でも保持されている情報の初期化を行う初期化手段を備え、通常時賞球計数手段及び通常時有効球計数手段の各計数内容、並びに賞球記憶手段及び有効球記憶手段の各記憶内容については、初期化手段による初期化が不能とされ、電力供給が開始されたときの表示手段には、電力供給が停止した際に表示されていたベース値の表示が復帰する。
(ト)所定条件の成立によって計数を行う計数手段を備え、遊技機への電力供給が停止した場合でも保持されている情報には、通常時賞球計数手段及び通常時有効球計数手段の各計数内容と、賞球記憶手段及び有効球記憶手段の各記憶内容と、計数手段の計数内容と、を含み、計数手段の計数内容は初期化手段による初期化が可能である一方で、通常時賞球計数手段及び通常時有効球計数手段の各計数内容、並びに賞球記憶手段及び有効球記憶手段の各記憶内容は初期化手段による初期化が不能である。
(チ)ベース表示部には、全状態時有効球計数手段で計数されている有効球の総数が所定数よりも小さい一定数に達するまでの間はベース値が表示されず、一定数に達するまでの間の数には零を含む。
(リ)外部装置を接続することができる外部接続手段を備え、外部接続手段からは、有効球検知手段によって検知された有効球が一定の球数に達する毎に情報が出力される。
(ヌ)有利度合いを定めた複数の設定情報のうち何れかの設定情報を設定する設定手段を備え、表示手段は、設定情報を表示する設定情報表示部として兼用されている。
(ル)遊技機は、設定手段によって設定情報が変更された場合でも、ベース値の計数に関する制御及びベース値の表示に関する制御として同一制御を行う。
(ヲ)有利度合いを定めた複数の設定情報のうち何れかの設定情報を設定する設定手段と、設定手段が設定情報を変更する契機を与える変更契機手段と、を備え、表示手段と変更契機手段は同一基板に実装されている。
(ワ)主基板と、主基板から一方向で情報が送信される副基板と、を備えた遊技機において、主基板には、少なくとも大当り抽選の処理を行うCPUと、CPUの動作プログラムを格納するROMと、CPUの処理に伴うデータを一時的に格納するRWMと、ハードウェア乱数を生成する乱数生成回路と、情報を表示可能な表示器と、が搭載されており、主基板は、不正開放防止手段を備えた主基板ケースに収容されており、CPU、ROM、RWM及び乱数生成回路は、主基板ケースを透過して視認可能に搭載されており、表示器は、主基板ケースで主基板を覆った状態で表示状態が視認可能に搭載されているとともに、通常遊技時のベースに関する情報を表示する情報表示部を有する遊技機。
(カ)表示器は、通常遊技時のベースに関する情報を表示する情報表示部を有し、情報表示部は、主基板を正面視したときに主基板ケース外に配置されている主基板の管理番号を表示する番号表示部と重ならない位置に配置されている。
(ヨ)制御手段は、ベース値計数手段によって計数されたベース値が閾値を超えたことをエラーとして報知する制御を実行可能であるとともに、有効球検知手段によって検知された有効球が一定の球数に達する毎に外部に情報を送信する制御を実行可能である。
(タ)制御手段は、ベース値計数手段によって計数されたベース値が閾値を超えたことをエラーとして報知する制御を実行可能であるとともに、エラーとして報知する場合には外部接続手段を通じてセキュリティ信号を送信する制御を実行可能である。
(レ)制御手段は、ベース値が閾値を超える場合以外のエラー発生時にもセキュリティ信号を送信する制御を実行可能であり、セキュリティ信号は、エラーの種類に拘わらず共通の時間、送信される。
(ソ)制御手段としての主制御手段と、主制御手段からの制御信号を受信して所定の制御を行う副制御手段と、を備え、主制御手段は、ベース値が閾値を超えることをエラーとして報知する制御を実行した場合には副制御手段にエラーの報知を指示する報知指示信号を送信し、報知指示信号を受信した副制御手段は、遊技機が備える所定の報知手段にエラー報知を実行させ、副制御手段の制御によるエラー報知の報知時間は、主制御手段の制御によるセキュリティ信号の送信時間に比して長い時間である。