以下、鉄筋結束機について詳細に説明をする。図1に示すように、鉄筋結束機1は、結束機本体2と、結束機本体2の先端に取り付けられたガイド部6とからなる。結束機本体2は、ワイヤリールを収納する収納室3と、収納室3内に装着したワイヤリールのワイヤ5を引き出してガイド部6に送るワイヤ送り装置10と、ワイヤ送り装置10を操作するトリガ4が設けられている。ワイヤ送り装置10は、トリガ4を操作すると、電動モータ(図示せず)が駆動して、ワイヤリールのワイヤ5を送りローラが前方に送り出すようになっている。
ガイド部6には、緩やかに湾曲したガイドフレーム13が設けられている。図3に示すように、ガイドフレーム13のワイヤ送り経路には、前記ワイヤ送り装置によってワイヤリールから引き出されたワイヤ5をガイドして送り出す案内部品8と、前記ワイヤ送り装置によって所定量のワイヤ5を送り出して鉄筋7に巻き回した後に切断するためのワイヤ切断機構31と、ワイヤ切断機構31を経て送られたワイヤ5を湾曲させるカールガイド12とが順に配置固定されている。カールガイド12は、ガイドフレーム13の先端側に固定され、ガイドフレーム13と協働してワイヤ5をカールする方向に案内するガイド溝20が形成されている。
図3に示すように、ワイヤ切断機構31は、ワイヤ5の送り量が所定量に達すると、ワイヤ5を切断するように構成されている。ワイヤ切断機構31はガイドフレーム13に固定された固定刃32と、固定刃32に摺動してワイヤ5を切断する可動刃33と、可動刃33をリンク機構37を介して可動させる駆動レバー16とから構成された摺動式切断機構のスライドカッターである。
固定刃32には、ワイヤ5の送り方向に向かってワイヤ5が貫通するワイヤ貫通孔32aが貫通形成されている。ワイヤ貫通孔32aの一端は案内部品8の先端8bに向かって開口し、他端はカールガイド12に向かって開口している。ワイヤ貫通孔32aの一端側の開口は、ワイヤ入口32cであって、ワイヤ貫通孔32aの他端側の開口は、ワイヤ出口32dである。
ワイヤ切断機構31は、駆動レバー16によりリンク機構37を介して可動刃33を下方(ワイヤの曲線の外側から内側)に可動させることによって、可動刃33の一方の面33aが固定刃32のワイヤ貫通孔32aのワイヤ出口32d側の面32eに沿って下方に摺動し、可動刃33の一方の面33aの下端縁がワイヤ貫通孔32aに貫通させたワイヤ5を切断するようになっている。
鉄筋結束機のワイヤ切断機構は上記した摺動式切断機構のスライドカッター以外に回動式切断機構のロータリーカッターでも使用される。図4に示すように、ワイヤ切断機構51は、ワイヤ5の送り量が所定量に達すると、ワイヤ5を切断するように構成されている。ワイヤ切断機構51は、ガイドフレーム13に固定された円軸状の固定刃52と、固定刃52の周囲に回動可能に設けられた可動刃53と、可動刃53を回動させる駆動レバー16とから構成されたロータリーカッターである。
円軸状の固定刃52には、ワイヤ5の送り方向に向かってワイヤ貫通孔52aが貫通形成されている。ワイヤ貫通孔52aの一端は案内部品8の先端8bに向かって開口し、他端はカールガイド12に向かって開口している。ワイヤ貫通孔52aの一端側の開口は、ワイヤ入口52bであって、ワイヤ貫通孔52aの他端側の開口は、ワイヤ出口52cである。また、可動刃53には、ワイヤ5の送り方向に向かってワイヤ挿通孔53aが形成されている。ワイヤ挿通孔53aの一端は固定刃52のワイヤ貫通孔52aのワイヤ出口52cに向かって開口し、他端はカールガイド12に向かって開口している。可動刃53のワイヤ挿通孔53aの一端側の開口は、ワイヤ進入口53bであって、ワイヤ挿通孔53aの他端側の開口は、ワイヤ排出口53cである。
ワイヤ切断機構51は、駆動レバー16により可動刃53を反時計方向に回動させることによって、可動刃53のワイヤ進入口53b側の面が固定刃52のワイヤ出口52c側の面に沿って上方に摺動し、可動刃53のワイヤ進入口53bの下端縁がワイヤ貫通孔52aに貫通させたワイヤ5を切断するようになっている。
図3に示すように、案内部品8は、一端8aが収納室3側に開口し、他端(先端)8bがワイヤ切断機構31(又は51)側に開口している。案内部品8の他端8b開口は一端8a開口に対して絞られており、ワイヤ5が決められた位置から導出されるようになっている。なお、ガイドフレーム13の側面を案内部品8の側壁に兼用させた構成にしてもよい。また、案内部品8は、図1のようにワイヤ送り装置10の送りローラ側に配置された案内部品A(8A)とガイドフレーム13側に配置された案内部品B(8B)とからなる。案内管A(8A)は、一端がワイヤ送り装置10の送りローラに近接した位置にあり、他端が案内部品B(8B)の一端8aの開口部に嵌合挿入した配置であり、案内管A(8A)と案内部品B(8B)は一体的な構成となり、ワイヤ5をワイヤ送り装置10の送りローラ側からガイドフレーム13側へ送るためのワイヤ送り経路のガイドの一部となっている。なお、案内管A(8A)と案内部品B(8B)を一部品で形成された案内部品8の構成にしてもよい。カールガイド12は、円弧状に湾曲しており、結束機本体2のワイヤ送り装置10から送り出されたワイヤ5をカールさせて巻き癖を付け、図1に示す下部ガイド9との間で鉄筋7のまわりを周回させるようになっている。なお、ガイド部6には、カールガイド12の隣に、カールガイド12から送り出され、ループ状に周回して戻ってきたワイヤ5の始端部を拾い込み、再び次の周回送りのためにガイドするカール拾いこみガイドが形成されている。
結束機本体2には、鉄筋のまわりにループ状に巻き回されたワイヤ5を捩って鉄筋を結束するワイヤ捩り装置が設けられている。ワイヤ捩り装置は、図1のP部に設けられた1対のフックを開閉自在に枢着したスリーブを電動モータにより前進移動させてフックを閉じ動作させることにより、鉄筋のまわりにループ状に巻き回されたワイヤ5を把持した後、スリーブとともにフックを回転させてワイヤを捩って鉄筋を結束し、その後フックを開き動作させるとともにスリーブを後退移動させてワイヤから離脱させて初期位置に戻すようにしたものである。そして、上記スリーブがワイヤループを掴みに前進するときに上述のワイヤ切断機構31又は51の駆動レバー16を作動させてワイヤ5を切断(剪断)する。
このように、鉄筋結束機1は、結束機本体2に設けられた収納室3に、鉄筋結束用のワイヤ5を巻き付けたワイヤリールを装着し、トリガ4を引き操作することにより、上記ワイヤリールを回転させながらワイヤ5を結束機本体2の先端に設けられたガイド部6に送り、該ガイド部6のカールガイド12のガイド溝20でワイヤ5に巻き癖を付けてガイド部6の内側に配置された鉄筋7のまわりに送り出してその周囲に巻き回した後にワイヤ5の元側を切断するとともに、巻き回した部分を捩って上記鉄筋7を結束するものである。
なお、図3に示すように、案内部品8の切り欠かれた上部には、第1の巻き癖ガイド部材としての第1のガイドピン23が設けられている。第1のガイドピン23は、案内部品8の内側(案内通路側)に突出している。これにより、ワイヤ5の曲げの外側を構成する外側面は第1のガイドピン23によってガイドされる。
また、カールガイド12の先端内側には第3の巻き癖ガイド部材としての第3のガイドピン25が設けられている。第3のガイドピン25はカールガイド12のガイド面21よりもわずかに内側に突出するように取り付けられている。したがって、カールガイド12のガイド溝20に沿って送り出されたワイヤ5の曲げの外側面は第3のガイドピン25に接触して下方に送られる。なお、上記第1、第3のガイドピン23,25は超硬ピン(超硬合金ピンやセラミックピン)のように硬度が高い材料から構成するのが好ましい。
以上のように、案内部品8から送り出されたワイヤは、案内部品8の切り欠かれた上部側に配置された第1のガイドピン23に接触し、ワイヤ切断機構31又は51を通過した後、ワイヤ5はカールガイド12の内側面に沿って送り出され、第3のガイドピン25に当たって強く曲げの癖が付けられる。このように、ワイヤ5は硬度が高い第1、第3のガイドピン23,25に接触する。
上記鉄筋結束機1は、ワイヤ切断機構31,51がワイヤ5を切断するとき、固定刃32,52に対して可動刃33,53が摺動して切断するのであるが、ワイヤ5が固定刃32,52のみの片持ちで支持されているので、切断時に自由端側のワイヤ5が可動刃33,53の切断方向に折り曲がってしまい、切断ができない場合がある。さらに、ワイヤ5が折り曲がって可動刃33,53と固定刃32,52の間に挟み込まれ、可動刃33,53と固定刃32,52の破損等のワイヤ切断機構31,51の不具合の原因になる場合も有り得た。また、ワイヤ5が固定刃32,52のみの片持ちで支持されているので、切断時に自由端側のワイヤが可動刃33,53の切断方向に荷重を受け変形しながら切断され、切断に必要な荷重以上の力が必要となる。そのため、可動刃33,53の耐久性が悪化し、また、摩耗による可動刃33,53の切断性能が低下することもある。
従って、上記鉄筋結束機1に、ワイヤ切断部の一方が固定刃で支持されたワイヤの切断時に、ワイヤ切断部の他方を支持する支持部材を設け、ワイヤ切断機構によって切断する際、ワイヤの切断部の両側を固定刃と支持部材の両持ちで支持させ、切断不良の原因を取り除き、ワイヤ切断機構の不具合になることを防止し、ワイヤ切断機構の耐久性を向上させ、可動刃の切断性能を維持させることができ、確実でスムーズな切断を行うことができるようにした。
ガイド部6の第1の実施例を説明する。図5(a)に示すように、ワイヤ切断機構61は、ワイヤ5の送り量が所定量に達すると、ワイヤ5を切断するように構成されている。すなわち、ワイヤ切断機構61はガイドフレーム13に固定された固定刃62と、固定刃62に摺動してワイヤ5を切断する可動刃63と、可動刃63を可動させる駆動レバー16とから構成されたスライドカッターである。
固定刃62には、ワイヤ5の送り方向に向かってワイヤ貫通孔62aが貫通形成されている。ワイヤ貫通孔62aの一端は案内部品8の先端部8bに向かって開口し、他端はカールガイド12に向かって開口している。ワイヤ貫通孔62aの一端側の開口は、ワイヤ入口62bであって、ワイヤ貫通孔62aの他端側の開口は、ワイヤ出口62cである。
ワイヤ切断機構61は、図5(b)に示すように、駆動レバー16により可動刃63を下方(ワイヤの曲線の外側から内側)に可動させることによって、可動刃63の一方の面63aが固定刃62のワイヤ貫通孔62aのワイヤ出口62c側の面に沿って下方に摺動し、可動刃63の一方の面(切断面)63aの下端縁がワイヤ貫通孔62aを貫通したワイヤ5を切断するようになっている。
ガイドフレーム13には、固定刃62のワイヤ貫通孔62aから送り出されるワイヤ5を、ワイヤ5の送り方向において可動刃63の一方の面(切断面)63aよりも下流側(反対側)の位置で支持する支持ピン(支持部材)65が設けられている。固定刃62は、可動刃63のワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの一方を支持する。支持ピン65は、可動刃63のワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの他方を支持する。即ち、可動刃63のワイヤ切断時に、固定刃62と支持ピン65でワイヤ切断部5bの両側を支持することになる。
前記可動刃63は、下端部63cが、切断して切り離されたワイヤ5の切断部(以下、終端部という。)5bを切断方向(下方)に押し出す。支持ピン65は、可動刃63で押し出されたワイヤ5の終端部5b側の一側5cに当接して折り曲げる当接部としての機能も有する。可動刃63の下端部63cによって押し出されたワイヤ5の終端部5b側の一側5cが支持ピン65によって折り曲げられる。従って、鉄筋結束機1は、ワイヤ5を切断した後の終端部5b側の一側5cを可動刃63の下端部63cと支持ピン65によって挟み込むように保持することになる。ワイヤ5の終端部5b側の一側5cとは、支持ピン65が接触する位置のことである。
鉄筋結束機1は、上記構成により、ワイヤ5がガイド部6で巻き癖を付けられて鉄筋7の周囲に巻き回された後、ワイヤ切断機構61が作動し、可動刃63が下動して切断するが、可動刃63のワイヤ切断時に、固定刃62と支持ピン65でワイヤ切断部5bの両側を支持するので、切断時にワイヤ5の自由端側が可動刃63の切断方向に折り曲がることがなく、確実でスムーズな切断を行うことができる。図5(b)に示すように、切断後、可動刃63の下端部63cが切断したワイヤ5の終端部5bを切断方向(下方)に押し出し、ワイヤ5の終端部5b側の一側5cを支持ピン65により折り曲げる。
可動刃63は、切断後切断した位置で停止する。可動刃63の下端部63cと支持ピン65で、ワイヤ5の終端部5b側の一側5cを挟持する。これにより、ワイヤ5の終端部5b側の一側5cが可動刃63の下端部63cと支持ピン65で保持される。ワイヤ5の始端部5aは、ガイド部6に保持されたワイヤ5の終端部5bを含む部分に引っかかって押さえ込まれるので、自由に動くことができない。このように両端5a、5bが保持されている状態で、ワイヤ捩り装置により、ワイヤが捩られても、ワイヤ5の両端5a、5bを鉄筋の裏側にとどめておくことができる。可動刃63のワイヤ5を切断する動作と支持ピン65を利用してワイヤ5を折り曲げてワイヤ終端部5bを保持できる。
鉄筋結束後に可動刃63が切断前の元の位置に復帰するので、ワイヤの終端部5b側の一側5cの保持が解除され、結束機本体2から切断して捩ったワイヤ5の両端5a、5bを変形させることなくスムーズ且つ簡単に外すことができる。
上記第1の実施例は、上下摺動型のワイヤ切断機構61で説明したが、図6(a)に示すように、揺動型のワイヤ切断機構71に適用しても、同様の作用効果を達成できることは言うまでもない。ワイヤ切断機構71は、ワイヤ5の送り量が所定量に達すると、ワイヤ5を切断するように構成されている。すなわち、ワイヤ切断機構71はガイドフレーム13に固定された固定刃72と、固定刃72に摺動してワイヤ5を切断する可動刃73と、可動刃73を可動させる揺動レバー76とから構成されたスライドカッターである。
固定刃72は、案内部品8の先端に一体で形成され、ワイヤ5の送り方向に向かってワイヤ貫通孔72aが貫通形成されている。ワイヤ貫通孔72aの一端は案内部品8の先端部開口と連続し、他端はカールガイド12に向かって開口している。ワイヤ貫通孔72aの他端側の開口は、ワイヤ出口72cである。
ワイヤ切断機構71は、図6(b)に示すように、揺動レバー76により可動刃73を下方(ワイヤの曲線の外側から内側)に可動させることによって、可動刃73の一方の面73a(切断面)が固定刃72のワイヤ貫通孔72aのワイヤ出口72c側の面に沿って下方に摺動し、可動刃73の一方の面73a(切断面)の下端縁がワイヤ貫通孔72aを貫通したワイヤ5を切断するようになっている。
ガイドフレーム13には、固定刃72のワイヤ貫通孔72aから送り出されるワイヤ5を、ワイヤ5の送り方向において可動刃73の一方の面(切断面)73aよりも下流側(反対側)の位置で支持する支持ピン(支持部材)75が設けられている。固定刃72は、可動刃73のワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの一方を支持する。支持ピン(支持部材)75は、可動刃73のワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの他方を支持する。即ち、可動刃73のワイヤ切断時に、固定刃72と支持ピン75でワイヤ切断部5bの両側を支持することになる。
前記可動刃73は、下端部73cが、切断して切り離されたワイヤ5の切断端部(以下、終端部という。)5bを切断方向(下方)に押し出す。支持ピン75は、可動刃73で押し出されたワイヤ5の終端部5b側の一側5cに当接して折り曲げる当接部としての機能も有する。可動刃73の下端部73cによって押し出されたワイヤ5の終端部5b側の一側5cが支持ピン75によって折り曲げられる。従って、鉄筋結束機1は、ワイヤ5を切断した後の終端部5b側の一側5cを可動刃73の下端部73cと支持ピン75によって挟み込むように保持することになる。ワイヤ5の終端部5b側の一側5cとは、支持ピン75が接触する位置のことである。
鉄筋結束機1は、上記構成により、ワイヤ5がガイド部6で巻き癖を付けられて鉄筋7の周囲に巻き回された後、ワイヤ切断機構71が作動し、可動刃73が下動して切断するが、可動刃73のワイヤ切断時に、固定刃72と支持ピン75でワイヤ切断部5bの両側を支持するので、切断時にワイヤ5の自由端側が可動刃73の切断方向に折り曲がることがなく、確実でスムーズな切断を行うことができる。切断後、可動刃73の下端部73cが切断したワイヤ5の終端部5bを切断方向(下方)に押し出し、ワイヤ5の終端部5b側の一側5cを支持ピン75により折り曲げる。
可動刃73は、切断後切断した位置で停止する。可動刃73の下端部73cと支持ピン75で、ワイヤ5の終端部5b側の一側5cを挟持する。これにより、ワイヤ5の終端部5b側の一側5cが可動刃73の下端部73cと支持ピン75で保持される。ワイヤ5の始端部5aは、ガイド部6に保持されたワイヤ5の終端部5bを含む部分に引っかかって押さえ込まれるので、自由に動くことができない。このように両端5a、5bが保持されている状態で、ワイヤ捩り装置により、ワイヤが捩られても、ワイヤ5の両端5a、5bを鉄筋の裏側にとどめておくことができる。可動刃73のワイヤ5を切断する動作と支持ピン75を利用してワイヤ5を折り曲げてワイヤ終端部5bを保持できる。
鉄筋結束後に可動刃73が切断前の元の位置に復帰するので、ワイヤの終端部5b側の一側5cの保持が解除され、結束機本体2から切断して捩ったワイヤ5の両端5a、5bを変形させることなくスムーズ且つ簡単に外すことができる。
上記第1、2の実施例は、上下摺動型のワイヤ切断機構61、71で説明したが、第3の実施例として図7(a)に示すように、回動型のワイヤ切断機構101に適用しても、同様の作用効果を達成できることは言うまでもない。ワイヤ切断機構101は、ワイヤ5の送り量が所定量に達すると、ワイヤ5を切断するように構成されている。すなわち、ワイヤ切断機構101はガイドフレーム13に固定された円軸状の固定刃102と、固定刃102の周囲に回動可能に設けられた可動刃103と、可動刃103を回動させる駆動レバー16とから構成されたロータリーカッターである。
円軸状の固定刃102には、ワイヤ5の送り方向に向かってワイヤ貫通孔102aが貫通形成されている。ワイヤ貫通孔102aの一端は案内部品8の先端部8bに向かって開口し、他端はカールガイド12に向かって開口している。ワイヤ貫通孔102aの一端側の開口は、ワイヤ入口102bであって、ワイヤ貫通孔102aの他端側の開口は、ワイヤ出口102cである。また、可動刃103には、ワイヤ5の送り方向に向かってワイヤ挿通孔103aが形成されている。ワイヤ挿通孔103aの一端は固定刃102のワイヤ貫通孔102aのワイヤ出口102cに向かって開口し、他端はカールガイド12に向かって開口している。可動刃103のワイヤ挿通孔103aの一端側の開口は、ワイヤ進入口103bであって、ワイヤ挿通孔103aの他端側の開口は、ワイヤ排出口103cである。
ワイヤ切断機構101は、図7(b)に示すように、駆動レバー16により可動刃103を反時計方向に回動させることによって、可動刃103のワイヤ進入口103b側の面(切断面)103eが固定刃102のワイヤ出口102c側の面に沿って上方に摺動し、可動刃103のワイヤ進入口103bの下端縁がワイヤ貫通孔102aに貫通させたワイヤ5を切断するようになっている。
ガイドフレーム13には、固定刃102のワイヤ貫通孔102aから送り出されるワイヤ5を、ワイヤ5の送り方向において可動刃103の切断面103eよりも下流側(反対側)の位置で支持する支持ピン(支持部材)105が設けられている。固定刃102は、可動刃103のワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの一方を支持する。支持ピン(支持部材)105は、可動刃103のワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの他方を支持する。即ち、可動刃103のワイヤ切断時に、固定刃102と支持ピン105でワイヤ切断部5bの両側を支持することになる。
前記可動刃103は、ワイヤ5を切断すると共に、ワイヤ挿通孔103aのワイヤ排出口103cの下端縁103dが、切断して切り離されたワイヤ5の切断端部(以下、終端部という。)5b側の一側5cを切断方向(上方)に押し出す。支持ピン105は、可動刃103で押し出されたワイヤ5の終端部5b側の一側5dに当接して折り曲げる当接部としての機能も有する。可動刃103の下端縁103dによって押し出されたワイヤ5の終端部5b側の一側5dが支持ピン105によって折り曲げられる。従って、鉄筋結束機1は、ワイヤ5を切断した後の終端部5b側の一側5dを可動刃103のワイヤ挿通孔103aの下端縁103dと支持ピン105によって挟み込むように保持することになる。ワイヤ5の終端部5b側の一側5dとは、支持ピン105が接触する位置のことである。
鉄筋結束機1は、上記構成により、ワイヤ5がガイド部6で巻き癖を付けられて鉄筋7の周囲に巻き回された後、ワイヤ切断機構101が作動し、可動刃103が上方に回動して可動刃103のワイヤ進入口103bの下端縁がワイヤ5を切断する。この可動刃103のワイヤ切断時に、固定刃102と支持ピン105でワイヤ切断部5bの両側を支持するので、切断時にワイヤ5の自由端側が可動刃103の切断方向に折り曲がることがなく、確実でスムーズな切断を行うことができる。図7(b)に示すように、切断後、可動刃103のワイヤ排出口103cの下端縁103dが切断したワイヤ5の終端部5b側の一側5cを切断方向(上方)に押し上げ、可動刃103のワイヤ排出口103cの下端縁103dと支持ピン105でワイヤ5の終端部5bの一側5dを挟持する。可動刃103は、切断後切断した位置で停止する。これにより、ワイヤ5の終端部5b側の一側5dが可動刃103と支持ピン105で保持される。
ワイヤ5の始端部5aは、ガイド部6に保持されたワイヤ5の終端部5bを含む部分に引っかかって押さえ込まれるので、自由に動くことができない。このように両端5a、5bが保持されている状態で、ワイヤ捩り装置により、ワイヤが捩られても、ワイヤ5の両端部5a、5bを鉄筋の裏側にとどめておくことができる。ワイヤ5を切断するときの可動刃103の動作を利用してワイヤ5の終端部5bを可動刃103と支持ピン105で挟み込むため確実に保持できる。
鉄筋結束後に可動刃103が切断前の元の位置に復帰するので、ワイヤの終端部5bの一側5dの保持が解除され、結束機本体2から切断して捩ったワイヤ5の両端5a、5bを変形させることなくスムーズ且つ簡単に外すことができる。
鉄筋結束機1のガイド部6には、ワイヤ5をカールさせて巻き癖を付けて送り出す巻き癖付け機構が設けられている。案内部品8によってガイドされて導出されたワイヤ5は、巻き癖付け機構により巻き癖が付けられてカールさせられ、所定量送り出されて鉄筋7に巻き回された後、ワイヤ切断機構によって切断される。
また、上記第3の実施例において、ロータリーカッターのワイヤ切断機構の固定刃と可動刃を逆にした構成、すなわち図8(a)に示すようにガイドフレーム13に固定された円筒状の固定刃と固定刃の内側に収納された回動可能に設けられた可動刃と、可動刃を回動させる駆動レバー16とからの構成にしても同様の作用効果を達成できる。以下、第4の実施例で説明する。
図8に示すように、ワイヤ切断機構91は、ワイヤ5の送り量が所定量に達すると、ワイヤ5を切断するように構成されている。すなわち、ワイヤ切断機構91は、回動可能に設けられた円軸状の可動刃92と、ガイドフレーム13に固定され、前記円軸状の可動刃92を回動可能に収納する固定刃93と、前記可動刃92を回動させる駆動レバー16とから構成されたロータリーカッターである。
円軸状の可動刃92には、ワイヤ5の送り方向に向かってワイヤ貫通孔92aが貫通形成されている。ワイヤ貫通孔92aの一端は案内部品8の先端部8bに向かって開口し、他端はカールガイド12に向かって開口している。ワイヤ貫通孔92aの一端側の開口は、ワイヤ入口92bであって、ワイヤ貫通孔92aの他端側の開口は、ワイヤ出口92cである。また、固定刃93には、ワイヤ5の送り方向に向かってワイヤ挿通孔93aが形成されている。ワイヤ挿通孔93aの一端は案内部品8に向かって開口し、ワイヤ挿通孔93aの他端は可動刃92のワイヤ貫通孔92aのワイヤ入口92bに向かって開口している。ワイヤ挿通孔93aの一端側の開口は、ワイヤ進入口93bであって、ワイヤ挿通孔93aの他端側の開口は、ワイヤ排出口93cである。
ワイヤ切断機構91は、図8(b)に示すように、駆動レバー16により可動刃92を反時計方向に回動させることによって、可動刃92のワイヤ入口92b側の面(切断面)92fが固定刃93のワイヤ排出口93c側の面に沿って下方に摺動し、可動刃92のワイヤ入口92bの上端縁92dがワイヤ貫通孔92aに貫通させたワイヤ5を切断するようになっている。
ガイドフレーム13には、可動刃92のワイヤ貫通孔92aから送り出されるワイヤ5を、ワイヤ5の送り方向において可動刃92の切断面92fよりも下流側(反対側)の位置で支持する支持ピン(支持部材)96が設けられている。固定刃93は、可動刃92のワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの一方を支持する。支持ピン(支持部材)96は、可動刃92のワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの他方を支持する。即ち、可動刃92のワイヤ切断時に、固定刃93と支持ピン96でワイヤ切断部5bの両側を支持することになる。
前記可動刃92は、ワイヤ5を切断すると共に、ワイヤ貫通孔92aのワイヤ出口92cの下端縁92eが、切断して切り離されたワイヤ5の切断端部(以下、終端部という。)5b側の一側5cを反切断方向(上方)に押し出して折り曲げ、折曲部を形成する。従って、鉄筋結束機1は、ワイヤ5を切断した後の折り曲げた折曲部としての終端部5b側の一側5cを可動刃92のワイヤ貫通孔92aの下端縁92eが保持し、ワイヤ5の終端部5bを可動刃92の上端縁92d側が保持することになる。さらに、ワイヤ5の終端部近傍5dが支持ピン96によって保持されることになる。ワイヤ5の終端部5b側の一側5cとは、可動刃92のワイヤ貫通孔92aの下端縁92eが接触する位置のことである。
鉄筋結束機1は、上記構成により、ワイヤ5がガイド部6で巻き癖を付けられて鉄筋7の周囲に巻き回された後、ワイヤ切断機構91が作動し、可動刃92が回動して可動刃92のワイヤ貫通孔92aのワイヤ入口92bの上端縁92dがワイヤ5を切断する。この可動刃92のワイヤ切断時に、固定刃93と支持ピン96でワイヤ切断部5bの両側を支持するので、切断時にワイヤ5の自由端側が可動刃92の切断方向に折り曲がることがなく、確実でスムーズな切断を行うことができる。切断と略同時に可動刃92のワイヤ貫通孔92aのワイヤ出口92cの下端縁92eが切断したワイヤ5の終端部5b側の一側5cを切断方向(上方)に押し上げ、この一側5cを可動刃92のワイヤ貫通孔92aの下端縁92eが保持し、ワイヤ5の終端部5bを可動刃92の上端縁92d側が保持する。さらに、ワイヤ5の終端部近傍5dを支持ピン96が保持する。可動刃92は、切断後切断した位置で停止する。これにより、ワイヤ5の終端部5b側の一側5cが可動刃92のワイヤ出口92cの下端縁92eに保持され、ワイヤ5の終端部5bが可動刃92のワイヤ入口92bの上端縁92dに保持され、ワイヤ5の終端部近傍5dがガイドピン95に保持される。
ワイヤ5の始端部5aは、ガイド部6に保持されたワイヤ5の終端部5bを含む部分に引っかかって押さえ込まれるので、自由に動くことができない。このように両端5a、5bが保持されている状態で、ワイヤ捩り装置により、ワイヤ5が捩られても、ワイヤ5の両端部5a、5bを鉄筋の裏側にとどめておくことができる。ワイヤ5を切断するときの可動刃92の動作を利用してワイヤ5の終端部5bを可動刃92とガイドピン95で確実に保持できる。
鉄筋結束後に可動刃92が切断前の元の位置に復帰するので、ワイヤ5の終端部5b側の保持が解除され、結束機本体2から切断して捩ったワイヤ5の両端5a、5bを変形させることなくスムーズ且つ簡単に外すことができる。
上記した巻き癖付け機構は、案内部品8の端部のワイヤ出口8bまたはその近傍側からワイヤの送り経路上に順に配置された、ワイヤ5の曲げの外側となる外側面をガイドする第1の巻き癖ガイド部材としての第1のガイド部材23と、ワイヤの曲げの内側となる内側面をガイドする第2の巻き癖ガイド部材としての第2のガイド部材24と、ワイヤの曲げの側面をガイドする第4の巻き癖ガイド部材としての第4のガイド部材65(75,96,105)と、ワイヤの曲げの外側となる外側面をガイドする第3の巻き癖ガイド部材としての第3のガイド部材25とからなる。第4のガイド部材65,75,96は、図5,6,8に示すように、ワイヤの曲げの内側となる内側面をガイドする。第4のガイド部材105は、図7に示すように、ワイヤの曲げの外側となる外側面をガイドする。鉄筋結束機1は、ワイヤの送り時にワイヤの送り経路上に配置された、この巻き癖付け機構、即ち、第1のガイド部材23、第2のガイド部材24、第4のガイド部材65(75,96,105)及び第3のガイド部材25にワイヤ5を順番に接触させてワイヤ5をカールさせる。
前記ガイド部材23〜25、65(75,96,105)は、それぞれ断面円形の円柱状のガイドピンで形成されている。前記ガイドピンは、超硬ピン(超硬合金ピンやセラミックピン)のように硬度が高い材料で構成されていると、摩耗し難くなるので好ましい。また、第1のガイド部材や第2のガイド部材は、ピン形状ではなく案内部品8に一体的に形成されたガイド部位の形状でもよい。また、第3のガイド部材もピン形状ではなくカールガイド12に一体的に形成されたガイド部位の形状でもよい。さらに第4のガイド部材もピン形状ではなくガイドフレーム13に設けた凸部のガイド部位の形状でもよい。
具体的には、前記第1のガイドピン23は、案内部品8の先端8b上部の切り欠き部に設けられている。前記第2のガイドピン24は、案内部品8の先端8b下部側に設けられている。第3のガイドピン25は、カールガイド12の後端内側に配置されている。第4のガイドピン65(75,96,105)は、図5〜7に示すように、カールガイド12の先端内側に配置されている。
このように、案内部品8から送り出されるワイヤ5は、ワイヤ5の曲げの外側を構成する外側面が第1のガイドピン23に接触してガイドされ、ワイヤ5の曲げの内側を構成する内側面が第2のガイドピン24に接触してガイドされ、固定刃62(72,102)又は可動刃92のワイヤ貫通孔62a(72a,92a,102a)を挿通して、カールガイド12のガイド面21に沿って送り出されたワイヤ5の曲げの側面が第4のガイドピン65(75,96,105)に接触してガイドされ、ワイヤ5の曲げの外側面が第3のガイドピン25に接触してガイドされ、巻き癖が付けられて下方に送られる。このワイヤ5に巻き癖を付ける巻き癖付け機構の一つのガイドピン、即ち、第4のガイドピン65(75,96,105)が上記した支持ピン(支持部材)として機能させることができる。
上記実施の形態では、ワイヤ5の切断部5bの両側を固定刃62,72,93,102と支持部材65,75,96,105で支持する、いわゆる両持ち支持について説明した。即ち、ワイヤ切断機構61,71,91,101によるワイヤ切断時に、ワイヤ5に加えられる切断方向の力をワイヤ5の切断に確実に伝えるために、ワイヤ切断方向の反対側の位置でワイヤ5が変形しないように、鉄筋結束機1のガイド部6に支持部材65,75,96,105を設けている。このように、ワイヤ切断機構61,71,91,101側から送り出されるワイヤ5を、ワイヤ5の送り方向においてワイヤ切断機構61,71,91,101の切断部よりも下流側の位置で支持する支持部材65,75,96,105を鉄筋結束機1のガイド部6に設けておけば、支持部材65,75,96,105が、ワイヤ切断機構61,71,91,101のワイヤ切断時にワイヤ5を支持することになる。鉄筋結束機1は、ワイヤ切断機構61,71,91,101のワイヤ切断時に、支持部材65,75,96,105でワイヤ5を支持するので、切断時にワイヤ5が切断方向に折り曲がることがなく、確実でスムーズな切断を行うことができる。
また、固定刃62,72を、刃を有しない固定部材に代えて、若しくは、固定刃62,72に別途固定部材を設け、固定部材と支持部材65,75の両持ちでワイヤ5を支持しても良い。即ち、鉄筋結束機1のガイド部6に、ワイヤ5の送り方向においてワイヤ切断機構61,71の切断部よりも上流側の位置で支持する固定部材62,72を設けておく。固定部材62,72は、ワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの一方を支持し、支持部材65,75が、ワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの他方を支持する。鉄筋結束機1は、ワイヤ切断機構61,71のワイヤ切断時に、固定部材62,72と支持部材65,75でワイヤ切断部5bの両側を支持するので、切断時にワイヤ5が切断方向に折り曲がることがなく、確実でスムーズな切断を行うことができる。
さらにまた、固定刃62,72,93,102を可動刃とし、一対の可動刃による切断にしても良い。即ち、ワイヤ切断機構61,71,91,101は、第1の可動刃62,72,93,102と、前記第1の可動刃62,72,93,102に摺動又は揺動してワイヤ5を切断する第2の可動刃63,73,92,103とからなるカッターとする。前記第1の可動刃62,72,93,102又は第2の可動刃63,73,92,103は、ワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの一方を支持する。前記支持部材65,75,96,105は、ワイヤ切断時にワイヤ切断部5bの他方を支持する。このように、鉄筋結束機は、一対の可動刃のワイヤ切断時に、第1の可動刃62,72,93,102又は第2の可動刃63,73,92,103の一方と支持部材65,75,96,105でワイヤ切断部5bの両側を支持するので、切断時にワイヤ5が切断方向に折り曲がることがなく、確実でスムーズな切断を行うことができる。