実施形態1.
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる分析システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態の分析システムは、リハビリテーションを含む、能力または状態の段階的な変化を伴う個物の行為または現象に関するデータの分析を行うシステムである。リハビリテーション以外の該当行為または該当現象の例としては、例えば、スポーツ分野等における練習や、生物分野や自然科学分野等における生体や任意の個物(個体、液体、気体を問わず)の実験や観察等が挙げられる。以下、本実施形態で分析の対象にする、能力または状態の段階的な変化を伴う個物の行為または現象を、単に対象行為または対象現象という場合がある。
図1に示す分析システム100は、過去個物情報記憶手段111と、対象個物情報記憶手段112と、次段階予測手段101と、類似個物抽出手段102と、予測観察情報出力手段103とを備える。
過去個物情報記憶手段111は、対象個物の対象行為または対象現象と同じ基準で判断される段階を少なくとも有する行為または現象を経験した過去の複数個物の各々について、当該個物の行為または現象において所定単位ごとの観察情報を含む観察履歴情報と、当該個物の変化する能力または状態に関連する情報であって少なくとも時系列要素を含む情報である経過情報と、当該個物の基本属性を示す基本属性情報とを記憶する。
図2は、過去個物情報記憶手段111が記憶する情報の例を示す説明図である。なお、図2(a)に示す例は、過去個物情報記憶手段111が記憶する基本属性情報の例であり、図2(b)に示す例は、過去個物情報記憶手段111が記憶する観察履歴情報および経過情報の例である。なお、図2(b)には、観察履歴情報と経過情報とを1つのテーブルにまとめて記憶する例が示されている。
図2(a)に示すように、過去個物情報記憶手段111は、基本属性情報として、個物を識別する個物IDと当該個物の基本的な属性の各内容とを対応づけた情報を記憶してもよい。また、図2(b)に示すように、過去個物情報記憶手段111は、観察履歴情報および経過情報として、個物を識別する個物IDと、当該個物の対象行為または対象現象の各所定単位における観察情報と、当該個物における観察情報の識別番号(図中の”データno”)と、そのときの日付等の時間情報と、そのときの所定単位の数である単位数と、そのときの段階とを対応づけた情報を記憶してもよい。このように、少なくとも観察情報を取得したときの単位数と対応づけて、そのときの段階を記憶しておけば、当該個物が経た対象行為または対象現象における段階の経過の様子(各段階にどれだけの単位数を要したかや、ある段階からどの段階に移行したか等)を知ることができる。以下、本実施形態において経過情報といった場合には、観察情報を取得したときの単位数と、当該個物が経た対象行為または対象現象における段階の情報とを対応づけた情報を指す。なお、段階の情報は、当該個物の変化する能力または状態に関連する情報の一例である。経過情報における時系列要素は、例えば、個物の能力や状態の変化の経過を示す情報であってもよい。一例として、個物の変化する能力または状態に関連する情報(対応期間中の行為や事象の情報や、今いる段階の情報等)を、時間の情報や行われた行為の回(何回目か)等と対応づけたものであってもよい。上記の行為には、例えば、リハビリテーションであれば、診断行為、リハビリ行為、診察行為といった広く診療に関わる行為が含まれる。
ここで、個物の基本属性は、その個物が有する主要な属性であればよい。なお、基本属性を、対象個物が当然有する属性としてもよい。例えば、対象個物が人物であれば、基本属性の例として性別や年齢もしくは年代等が挙げられる。また、対象個物が物であれば、その物が属するグループやその物のサイズや色や組成等が挙げられる。また、対象個物が機械であれば、型式や製造年月日等が挙げられる。
また、対象行為または対象現象における所定単位は、対象行為または対象事象を分ける段階よりも細かく定められた、経過の基準とされる単位とする。例えば、所定単位は、個物の時間経過によって段階が進むような行為や事象の場合、1日や1時間といった期間に関する単位であってもよいし、個物に行うまたは個物が行う何らかの行為によって段階が進むような場合には1回といった行為数に関する単位であってもよい。なお、複数の行為の組み合わせを1つの行為として数えるような場合には、0.5回といった単位も考えられる。他にも、1グラムや、1cmといった個物に対して施した物理量に関する単位が挙げられる。なお、時間に関する単位と他の単位(行為数や他の物理量に対する単位)とを組み合わせたものを、所定単位としてもよい。そのような単位であれば、例えば、何回目の行為の数日後といった指定を行うことも可能である。
また、観察情報は、個物から観察される情報であって、対象行為または対象現象において変化する能力または状態に関する情報であれば特に問わない。観察情報は、例えば、個物における変化部位を含む領域を撮影した情報であってもよい。なお、観察情報は、画像や映像に限らず、観察によって得られる数値等の可観測情報であってもよい。
なお、対象行為が人物の身体運動のリハビリテーションである場合、観察情報は、客観的な回復度合いを表す情報が好ましい。そのような観察情報の一例として、患者の身体運動を示す動作シーケンス情報が挙げられる。ここで、動作シーケンス情報は、連続する身体の運動を示す情報のことである。動作シーケンス情報は、例えば、身体運動の動画像であってもよいし、動画像を静止画像データに変換した後に関節位置情報等に変換した人物スケルトンの情報を連続して並べた情報等であってもよい。
対象個物情報記憶手段112は、対象個物のこれまでの経過情報と、基本属性情報とを記憶する。対象個物情報記憶手段112が記憶する経過情報や基本属性情報は、過去個物情報記憶手段111が記憶する経過情報や基本属性情報と同じ形式でよい。なお、その場合に、対象個物情報記憶手段112は、図2(b)に示すような、対象個物の対象行為または対象現象のこれまでの各所定単位における観察情報を含む観察履歴情報を記憶してもよい。
次段階予測手段101は、過去の複数個物の経過情報および基本属性情報と、対象個物の経過情報および基本属性情報とに基づいて、対象個物が次の段階に進むまでにかかる単位数を予測する。
類似個物抽出手段102は、次段階予測手段101による予測結果と、過去個物情報記憶手段111に記憶されている過去の複数個物の経過情報および基本属性情報と、対象個物情報記憶手段112に記憶されている対象個物の経過情報および基本属性情報とに基づいて、対象個物と最も類似する過去の個物を抽出する。
例えば、類似個物抽出手段102は、基本属性と予測結果が示す対象個物が今いる段階から次の段階までにかかる単位数の点で対象個物と最も類似する過去の個物を抽出してもよい。また、例えば、類似個物抽出手段102は、抽出する際に、さらに対象個物の今いる段階(現段階)に至るまでの、対象個物と過去個物との間の変化スピード(段階遷移スピード)や段階の経過順序等の類否を加味してもよい。また、例えば、類似個物抽出手段102は、抽出する際に、さらに対象個物の現段階に至ったときの、対象個物と過去個物との間の観察情報の類否も加味してもよい。
予測観察情報出力手段103は、抽出された過去の個物の観察状態履歴情報を利用して、対象個物が次の段階に進むまでの間に含まれる任意の所定単位経過時において、対象個物から観察されると予測される観察情報である予測観察情報を出力する。なお、予測観察情報出力手段103は、例えば、指定された単位経過時における予測観察情報を生成する場合において、当該予測観察情報として、抽出された過去の個物の観察履歴情報に含まれる、対象個物の現段階と同じ段階中に観察された観察情報であって指定された単位経過時に相当する時に観察された観察情報(以下、対応観察情報という)をそのまま出力してもよい。また、予測観察情報出力手段103は、例えば、対応観察情報から、対象患者の最新の観察情報を得たときに相当するときからの変化の度合いを抽出し、抽出した変化の度合いを対象患者の最新の観察情報に反映した情報を生成して出力してもよい。
また、図3は、次段階予測手段101のより詳細な構成例を示すブロック図である。図3に示すように、次段階予測手段101は、属性データ生成手段201と、予測モデル学習手段202と、予測手段203とを含んでいてもよい。
属性データ生成手段201は、少なくとも経過情報および基本属性情報を含む、入力された任意の患者に関する所定形式の情報から、当該患者の属性データであって、所定の複数の要素からなるベクトルによって表される属性データを生成する。
予測モデル学習手段202は、過去の複数患者の経過情報および基本属性情報を基に、任意患者の経過情報および基本属性情報から、任意患者が次の段階に進むまでにかかるリハビリ回数または期間単位数を出力する予測モデルを学習する。また、予測モデル学習手段202は、属性データ生成手段201によって生成される、過去の複数患者の各々の属性データと、当該患者が各段階で要したリハビリ回数または期間単位数の情報との対応情報を学習データにして、予測モデルを学習してもよい。
また、予測モデル学習手段202は、予測モデルとして、段階ごとに他の段階への遷移条件を定めた段階遷移モデルであって、患者の基本属性と当該患者の前段階までの遷移スピードとに応じた段階遷移モデルを学習してもよい。
予測手段203は、予測モデル学習手段202が学習した予測モデルを用いて、対象患者が次の段階に進むまでにかかるリハビリ回数または期間単位数を予測する。また、予測手段203は、属性データ生成手段201によって生成される、対象患者の属性データを予測モデルに入力して得られる、対象患者が次の段階に進むまでにかかるリハビリ回数または期間単位数を予測結果としてもよい。
本実施形態において、過去個物情報記憶手段111および対象個物情報記憶手段112は、例えば、記憶装置によって実現される。また、次段階予測手段101、類似個物抽出手段102および予測観察情報出力手段103は、例えば、プログラムに従って動作するプロセッサや該プロセッサを備える情報処理装置によって実現される。
次に、本実施形態の動作を説明する。図4は、本実施形態の分析システムの動作の一例を示すフローチャートである。なお、図4に示す例は、ステップS101が開始される前に、過去個物情報記憶手段111には対象行為または対象事象を経験した過去の複数個物の基本属性情報と観察履歴情報と経過情報とが少なくとも記憶されており、対象個物情報記憶手段112には既に対象個物の基本属性情報と経過情報とが少なくとも記憶されているものとする。なお、ステップS101は、例えば、ユーザからの予測指示等によって開始される。
図4に示す例では、まず、次段階予測手段101が、過去の複数個物の経過情報および基本属性情報と、対象個物の経過情報および基本属性情報とに基づいて、対象個物が次の段階に進むまでにかかる所定単位の数を予測する(ステップS101)。
次に、類似個物抽出手段102が、ステップS101での予測結果と、過去の複数個物の経過情報および基本属性情報と、対象個物の経過情報および基本属性情報とに基づいて、対象個物と最も類似する過去の個物を抽出する(ステップS102)。
次に、予測観察情報出力手段103が、ステップS102で抽出された過去の個物の観察状態履歴情報を利用して、予測観察情報を出力する(ステップS103)。
以上のように、本実施形態によれば、対象個物の対象行為または対象現象における、次の段階に進むまでの間に含まれる任意の所定単位経過時の観察情報について、精度の高い情報を提供することができる。したがって、対象行為または対象事象に関わる人物がそのような情報を確認することで、より短い期間での効果を実感できるのでモチベーションの維持または向上ができる。
それは、本実施形態の分析システムが、基本属性だけでなく、基準が比較的明確な段階という区切り情報と、そのような段階を経る個物ごとの変化スピードに関する情報(時系列要素を含む情報)を好適に利用して抽出される類似個物の観察情報を利用して予測観察情報を出力するからである。
また、類似個物の観察情報を利用すれば、高精度で、具体的かつ一体的な変化を示す情報を簡単に得ることができる。
なお、上記の実施形態における対象行為がリハビリテーションである場合、過去個物情報記憶手段111は、過去の複数個物(複数患者)の各々について、さらに当該患者に対して行われた診療に関する情報である臨床情報を記憶してもよい。また、対象個物情報記憶手段112は、対象個物(対象患者)について、さらに当該対象患者に対して行われた診療に関する情報である臨床情報を記憶してもよい。そのような場合において、次段階予測手段101は、さらに過去の複数患者の臨床情報と対象患者の臨床情報とに基づいて、対象患者が次の段階に進むまでにかかるリハビリ回数または期間単位数を予測してもよい。
実施形態2.
次に、本実施形態の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態は、上記の分析システムをリハビリテーション支援システムに適用したものである。
また、本実施形態のリハビリテーション支援システムは、対象患者の、次のリハビリ実施日の動作シーケンス情報を予測して、表示する機能を有する。具体的には、リハビリテーション支援システムが備える分析装置は、(1)対象患者の回復状態が、対象患者の現在の回復水準に初めて至った日から、次の回復水準までさらに回復するために必要なリハビリ実施日数を予測する機能を有する。さらに、分析装置は、(2)上記の予測結果と、対象患者がリハビリ治療を必要とする原因となった傷病発症後から現在の回復水準に初めて至った日までに患者に実施された診療行為や医薬品処方および診断された傷病名等の、診療に関する情報(以下、臨床履歴情報という)等の特徴を表す属性データと、過去に同様のリハビリを実施して完了した患者(以下、過去患者という)がそれぞれ、対象患者の現在の回復水準に初めて至った日から次の回復水準までさらに回復するために必要としたリハビリ実施日数と、各過去患者がリハビリ治療を必要とする原因となった傷病発症後から対象患者の現在の回復水準に初めて至った日までの当該過去患者の臨床履歴情報等の特徴を表す属性データとを用いて、過去患者群の中から、対象患者のリハビリ実施日数と属性データの両方とが最も似ている過去患者を抽出する機能を有する。さらに、分析装置は、(3)抽出した過去患者が、対象患者の現在の回復水準に初めて至った日から対象患者の次のリハビリ実施日に相当するときに実施したリハビリでの動作シーケンス情報を抽出する機能を有する。
なお、上記の(2)に関して、臨床履歴情報は、対象患者の現在の回復水準より1つ前段階の回復水準に初めて至った日から現在の回復水準に初めて至った日までの臨床履歴情報であってもよい。また、過去患者のリハビリ実施日数としては、さらに、対象患者の現在の回復水準に至るより前の段階の各回復水準に初めて至るまで(この場合、その前段階の回復水準に初めて至った日からとする)に必要としたリハビリ実施日数を用いてもよい。同様に、対象患者の、現在の回復水準に至るより前の段階の各回復水準に初めて至るまでに必要としたリハビリ実施日数を用いてもよい。以下、対象患者の現在の回復水準を第pの回復水準といい、次の回復水準を第p+1の回復水準という場合がある。
図5は、本実施形態のリハビリテーション支援システムが備える分析装置のハードウェア構成の一例を示す構成図である。図5に示す分析装置1は、CPU(Central Processing Unit)1001、メモリ1002、出力装置1003、入力装置1004およびネットワークインタフェース1005を含む。
メモリ1002は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)等である。出力装置1003は、例えば、ディスプレイ装置やプリンタ等のように、情報を出力する装置である。入力装置1004は、例えば、キーボードやマウス等のように、ユーザ操作の入力を受け付ける装置である。ネットワークインタフェース1005は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、公衆回線網、無線通信網またはこれらの組合せ等によって構成されるネットワークに接続するインタフェースである。
また、図6は、本実施形態のリハビリテーション支援システムが備える分析装置の機能面での構成例を示すブロック図である。図6に示すように、分析装置1は、リハビリ回数予測部11と、類似患者抽出部15と、動作情報抽出部16と、予測結果出力部17とを含む。
この場合、分析装置1の上記機能ブロックの各々は、メモリ1002に格納されるコンピュータ・プログラムを読み込んで実行するとともに他の各部を制御するCPU1001によって構成される。なお、分析装置1およびその各機能ブロックのハードウェア構成は、上記の構成に限定されない。
次に、分析装置1に入力される情報について説明する。
分析装置1には、対象患者に関して、少なくとも現在の回復水準より1つ前の段階である第p−1の回復水準に初めて至った日から現在の回復水準である第pの回復水準に初めて至った日までの臨床履歴情報が入力される。なお、臨床履歴情報は、リハビリ治療を必要とする原因となった傷病発症後から第pの回復水準に初めて至った日までの臨床履歴情報であってもよい。その場合、回復水準期間ごとに臨床履歴情報が分けられていることが好ましい。本実施形態では、各回復水準期間を、後段の回復水準の添え字i(i=1〜段階数に相当する整数)を使って第iの回復水準期間という場合がある。例えば、リハビリ治療を必要とする原因となった傷病発症後から第1の回復水準に初めて至った日までの期間の場合、「第1の回復水準期間」という。また、例えば、第p−1の回復水準に初めて至った日から第pの回復水準に初めて至った日までの期間の場合、「第pの回復水準期間」という。
また、分析装置1には、対象患者に関して、年代性別等を表す患者基本情報が入力される。また、分析装置1には、対象患者に関して、第pの回復水準に初めて至った日から現在までに経過した日数(以下、第p水準における経過日数という)とが入力される。
また、分析装置1には、過去患者の各々に関して、少なくとも第pの回復水準期間の臨床履歴情報と、患者基本情報と、少なくとも第p+1の回復水準期間の各リハビリ実施日における当該患者の身体運動の様子を表す動作シーケンス情報群と、第p+1の回復水準期間中のリハビリ実施日数とが入力されてもよい。
上記の対象患者の臨床履歴情報には、例えば、対象患者の少なくとも第pの回復水準期間中に対象患者に対して診断された傷病名の履歴である傷病名履歴情報と、同期間中に対象患者に対して実施された診療行為の履歴である診療行為履歴と、同期間中に対象患者に対して処方または投与された医薬品の履歴である医薬品履歴情報とが含まれていてもよい。以下、対象患者の臨床履歴情報を、対象患者臨床履歴情報という場合がある。
過去患者の臨床履歴情報には、過去患者の少なくとも第pの回復水準期間中に当該過去患者に対して診断された傷病名の履歴である傷病名履歴情報と、同期間中に当該過去患者に対して実施された診療行為の履歴である診療行為履歴と、同期間中に当該過去患者に対して処方または投与された医薬品の履歴である医薬品履歴情報とが含まれていてもよい。以下、各過去象患者の臨床履歴情報を過去患者臨床履歴情報という場合がある。
ここで、診療行為には、診断のための検査、傷病を治すための治療、手術、リハビリ行為等、広く診療に関わる行為を含む。なお、傷病名履歴情報は、対応期間中に診断された傷病名を、事例列順に並べた情報であってもよい。また、診療行為履歴は、対応期間中に行われた診療行為を、時系列順に並べた情報であってもよい。また、医薬品履歴情報は、対応期間中に処方または投与された医薬品を時系列順に並べた情報であってもよい。
ここで、診療行為履歴には、患者が経た各回復水準期間におけるリハビリ実施日数を特定可能な情報が含まれているものとする。なお、診療行為にはリハビリ行為が含まれていることから、リハビリ行為を行った日時とそのときの患者の回復水準の情報とを対応づけて記憶しておけば、上記のリハビリ実施日数を特定可能である。また、対象患者の診療行為履歴から第p水準における経過日数を特定可能な場合には、第p水準における経過日数を別途入力しなくてもよい。
なお、対象患者が、いずれの回復水準にも到達していない場合、すなわちリハビリ治療を必要とする原因となった傷病発症後の段階にいる場合には、上記の「第pの回復水準期間」を、「リハビリ治療を必要とする原因となった傷病発症後から回復状態に影響する情報が別途定めた所定の条件を満たした日までの期間」と読み替えてもよい。
また、患者基本情報は、患者の基本的な属性の情報である。患者の基本的な属性は、例えば、性別、年齢、身長、体重等である。以下、対象患者の基本情報を対象患者基本情報といい、過去患者の基本情報を対象患者基本情報という場合がある。
動作シーケンス情報群は、例えば、過去患者ごと、および少なくとも第p+1の回復水準期間中のリハビリ実施日ごとに、リハビリでの患者の動作シーケンス情報をまとめた情報であってもよい。なお、各動作シーケンス情報には、リハビリ実施日の情報が付与されているものとする。以下、過去患者の動作シーケンス情報群を、過去患者動作シーケンス履歴情報という場合がある。
また、過去患者の第p+1の回復水準期間中のリハビリ実施日数は、過去患者の第pの回復水準に初めて至った日から、次の第p+1の回復水準までさらに回復するために必要であったリハビリ実施日数である。なお、過去患者の診療行為履歴から当該リハビリ実施日数を特定可能な場合には、当該リハビリ実施日数を別途入力しなくてもよい。
ここで、回復水準の例としては、中枢神経麻痺の運動パターンによる評価法によるステージが挙げられる。本例場合、ステージ1(完全麻痺)からステージ6(分離運動可能)までの6段階で回復状態を評価して得られたステージの情報を用いることができる。
また、上記の臨床履歴情報は、第1の実施形態の経過情報および臨床情報に相当する。また、上記の基本情報は、第1の実施形態の基本属性情報に相当する。また、上記の動作シーケンス履歴情報は、第1の実施形態の観察状態履歴情報に相当する。
また、本実施形態のリハビリ回数予測部11は、第1の実施形態の次段階予測手段101に相当する。また、本実施形態の属性データ生成部12は、第1の実施形態の属性データ生成手段201に相当する。本実施形態の予測モデル学習部13は、第1の実施形態の予測モデル学習手段202に相当する。本実施形態の予測部14は、第1の実施形態の予測手段203に相当する。本実施形態の類似患者抽出部15は、第1の実施形態の類似個物抽出手段102に相当する。本実施形態の動作情報抽出部16および予測結果出力部17は、第1の実施形態の予測観察情報出力手段103に相当する。
なお、分析装置1の各機能ブロックは、上述した入力情報として、メモリ1002にあらかじめ記憶された情報を取得してもよい。また、例えば、各機能ブロックは、上述した入力情報として、入力装置1004または可搬型記憶媒体(図示せず)から入力される情報を取得してもよい。また、例えば、各機能ブロックは、上述した入力情報を、ネットワークインタフェース1005を介して接続される他の装置から取得してもよい。また、各機能ブロックは、取得した入力情報を、メモリ1002に格納し、格納した入力情報を用いて動作するよう構成される。
次に、分析装置1の各機能ブロックについて説明する。
本例のリハビリ回数予測部11は、属性データ生成部12と、予測モデル学習部13と、予測部14とを含み、これらが協働して、対象患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数を算出する。
属性データ生成部12は、対象患者臨床履歴情報および対象患者基本情報から対象患者のリハビリ治療における特徴を表した属性データと、過去患者臨床履歴情報および対象患者基本情報から各過去患者のリハビリ治療における特徴を表した属性データとを作成する。
予測モデル学習部13は、各過去患者の属性データと、各過去患者の第p+1の回復水準期間リハビリ実施日数を入力として、患者の属性データから、当該患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数を算出する予測モデルを学習する。
予測部14は、学習済みの予測モデルに、対象患者の属性データを入力することにより、対象患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数を予測する。
類似患者抽出部15は、予測された対象患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数と、対象患者の属性データとを用いて、リハビリ実施日数と属性データの両方とが最も似ている患者を、過去患者群の中から抽出する。
動作情報抽出部16は、抽出された過去患者が、第pの回復水準に初めて至った日から、対象患者の次のリハビリ実施日に相当するときに実施したリハビリでの動作シーケンス情報を抽出する。
予測結果出力部17は、動作情報抽出部16によって抽出した動作シーケンス情報を、対象患者の次のリハビリ実施日における動作シーケンスの予測結果として表示する。
なお、各機能ブロックのより具体的な例は後述する。また、図示省略しているが、リハビリテーション支援システムは、分析装置1に入力する情報を記憶するデータベース等を備えていてもよい。
次に、本実施形態の分析装置1の動作を説明する。図7は、本実施形態の分析装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図7に示す例では、まず、分析装置1の各機能ブロック(例えば、リハビリ回数予測部11と、類似患者抽出部15と、動作情報抽出部16と、予測結果出力部17)が、必要となる入力情報を取得する(ステップS11)。既に説明したように、入力情報には、対象患者基本情報と、対象患者臨床履歴情報と、過去患者基本情報群と、過去患者臨床履歴情報群と、過去患者動作シーケンス履歴情報と、対象患者の第p水準における経過日数と、過去患者の第p+1の回復水準期間中のリハビリ実施日数とが含まれる。ステップS11で取得された入力情報は、メモリ1002に格納される。
次に、リハビリ回数予測部11の属性データ生成部12は、対象患者のリハビリ治療における特徴を表した属性データと、各過去患者のリハビリ治療における特徴を表した属性データを作成する(ステップS12)。
次に、予測モデル学習部13は、各過去患者の属性データと、各過去患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされたリハビリ実施日数とを入力として、予測モデルを学習する(ステップS13)。なお、ステップS12までの処理は、ステップS14の予測に先だって行われていればよい。
予測部14は、学習された予測モデルに、対象患者の属性データを入力することにより、対象患者の第2の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数を予測する(ステップS14)。
次に、類似患者抽出部15は、ステップS14の予測結果と、対象患者の属性データとを用いて、属性データと第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数との点で最も似ている患者を、過去患者群の中から抽出する(ステップS15)。
次に、動作情報抽出部16は、抽出された過去患者が、第pの回復水準に初めて至った日から対象患者の次のリハビリ実施日に相当するときに実施したリハビリでの動作シーケンス情報を抽出する(ステップS16)。
予測結果出力部17は、動作情報抽出部16によって抽出した動作シーケンス情報を、対象患者の次のリハビリ実施日における動作シーケンスの予測結果として表示する(ステップS17)。
次に、各機能ブロックの動作をより詳細に説明する。
[属性作成フェーズ(ステップS12)]
属性データ生成部12は、例えば、次のようにして、対象患者および各過去患者の属性データを作成してもよい。属性データ生成部12は、まず、対象患者基本情報、対象患者臨床履歴情報、過去患者基本情報と過去患者臨床履歴情報をメモリ1002から読み出す。ここで、過去患者数が合わせてN人あるとする(Nは1以上の整数)。また、過去患者のうちn番目の過去患者の属性データをX_nと表す(n=1,・・・,N)。属性データX_nは、複数個の要素からなるベクトルとして表される。
例えば、属性データの要素数が7であるとする。この場合、属性データ生成部12は、過去患者の1人目の属性データとして、例えば、X_1=(0,0,3,2,1,0,0)と表されるデータを生成する。これは、n=1である過去患者について、属性項目1の値が0、属性項目2の値が0、属性項目3の値が3、属性項目4の値が2、属性項目5の値が1、属性項目6の値が0、属性項目7の値が0、であることを示している。作成された属性データは、メモリ1002に格納される。
属性データ生成部12は、さらに、対象患者についても同様に、X’という属性データを作成して、メモリ1002に格納する。なお、X’の「’」は対象患者であることを表す記号であって、X’はX_nと同様、複数個の要素からなるベクトルとして表される。
ここで、ある過去患者の属性データの各要素は、その過去患者の過去患者基本情報または過去患者臨床履歴情報に含まれる項目や該項目から算出される情報等に対応する。同様に、対象患者の属性データの各要素は、その対象患者基本情報または対象患者臨床履歴情報に含まれる項目や該項目から算出される情報等に対応する。例えば、基本情報の項目に性別、年齢、身長、体重があったとする。そのような場合に、属性データの要素として、例えば、性別が男性であれば1を女性であれば0を示す項目と、年齢の数値を示す項目と、身長の数値を示す項目と、体重の数値を示す項目を含んでいてもよい。
また、ある過去患者の属性データの要素の1つは、その過去患者の過去患者臨床履歴情報によって示される、所定期間中の当該過去患者の特定の傷病名の件数やその割合であってもよい。ここで、所定期間は、当該過去患者の第pの回復水準期間中であってもよいし、リハビリスタート時から第pの回復水準に至るまでの全期間や各回復水準期間や、リハビリスタート時から第pの回復水準における、対象患者の現在の状態に相当する時点まで(第pの回復水準に到達した日から○日経過後等)であってもよい。例えば、件数は、特定の傷病名が過去患者臨床履歴情報の所定期間中に含まれている回数であってもよい。また、例えば件数の割合は、(特定の傷病名が過去患者臨床履歴情報の所定期間中に含まれている回数)/リハビリ日数、で表されるものであってもよい。ここで、リハビリ日数は所定期間の日数であってもよいし、所定期間中のリハビリ実施回数であってもよい。なお、属性データ生成部12は、所定期間の例として挙げた期間の全てに対して、件数やその割合を求めることも可能である。
また、同様に、対象患者の属性データの要素の1つは、対象患者臨床履歴情報によって示される、所定期間中の当該対象患者の特定の傷病名の件数やその割合であってもよい。
また、ある過去患者の属性データの要素の1つは、その過去患者の過去患者臨床履歴情報によって示される、所定期間中の当該過去患者の特定の診療行為名の件数やその割合であってもよい。
また、同様に、対象患者の属性データの要素の1つは、対象患者臨床履歴情報によって示される、所定期間中の当該対象患者の特定の医薬品名の件数やその割合であってもよい。
また、ある過去患者の属性データの要素の1つは、その過去患者の過去患者臨床履歴情報によって示される、所定期間中の当該過去患者の特定の診療行為名の件数やその割合であってもよい。
また、同様に、対象患者の属性データの要素の1つは、対象患者臨床履歴情報によって示される、所定期間中の当該対象患者の特定の医薬品名の件数やその割合であってもよい。
また、ある過去患者の属性データの要素の1つは、その過去患者の過去患者臨床履歴情報等によって示される、当該過去患者の第pの回復水準までの各回復水準期間や、各回復水準期間中に必要とされたリハビリ実施回数であってもよい。
また、同様に、対象患者の属性データの要素の1つは、対象患者臨床履歴情報等によって示される、当該対象患者の第pの回復水準までの各回復水準期間や、各回復水準期間中に必要とされたリハビリ実施回数であってもよい。
このようにして、属性データ生成部12は、各過去患者および対象患者について、対象患者基本情報、対象患者臨床履歴情報、過去患者基本情報、過去患者臨床履歴情報における各項目に記載された情報や、該情報を基に算出される所定の情報の発生頻度や、所定の行為や状態にかかった時間・回数等の統計情報を要素とする属性データを生成する。
[予測モデル学習フェーズ(ステップS13)]
予測モデル学習部13は、例えば、次のようにして予測モデルを学習してもよい。すなわち、予測モデル学習部13は、まず各過去患者の属性データ、および、各過去患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされたリハビリ実施日数をメモリ1002から読み出す。
ここでも、過去患者nの属性データを、X_n(n=1,・・・,N)と表す。また、過去患者nのj番目の要素を、X_nj(j=1,・・・,M)と表す。Mは、属性データの要素数である。また、過去患者nの第p+1の回復水準期間中に必要とされたリハビリ実施日数を、Y_nと表す。
予測モデルは、例えば次式(1)で表される。
Y_i=f(X_i) ・・・(1)
ここで、f()は、任意の患者iの属性データX_iを入力として、当該患者iが第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数を出力する関数である。なお、患者iには、過去患者および対象患者が含まれる。また、予測モデルで求める値は、Y_iと表される。予測モデル学習部13は、Y_n=f(X_n),(n=1,・・・,N)を算出するための関数モデルf()を定めてそのパラメータを学習する。
以下では、予測モデル学習部13が、予測モデルとして、任意のX_iに対して、Y_iを出力可能な線形回帰モデルを用いる例を示す。線形回帰モデルは、X_iから、Y_iを予測する問題によく適用されるモデルである。以下、線形回帰の数理的構造について説明する。
ここで、Xを属性データに対応するM次元の説明変数とする。また、Yを数値とする。また、WをM次元の重みベクトルとする。この場合、線形回帰モデルは、次式(2)で表される。なお、上付きのTは、ベクトルの転置を表す。
なお、式(2)における{WTX}の部分が、式(1)におけるf()に相当する。今、学習データとして、N人の過去患者について、{X_n,Y_n}(n=1,・・・,N)が与えられたとする。この場合、予測モデル学習部13は、線形回帰を利用して、次式(3)の目的関数を最適化することによって、式(2)で示したモデルにおけるパラメータWの値を算出する。ただし、X_nおよびY_nは、それぞれXおよびYの実現値とする。
なお、λは、尤度(右辺第1項)と罰則項(右辺第2項)とのバランスを調整するパラメータである。また、||W||は、ベクトルWのノルム(長さ)である。通常は、L1ノルムまたはL2ノルムが用いられる。また、L(W)は、Wに関する凸関数であり、勾配法に準じた方法によって最大化することが可能である。
予測モデル学習部13は、L(W)を最大化するパラメータWの値を求める。以下、求めたWの値をWcと表記する。予測モデル学習部13は、求めたWcを、式(2)で示したモデルのパラメータWとする。また、予測モデル学習部13は、求めたWcをメモリ1002に記憶させる。
[予測フェーズ(ステップS14)]
予測部14は、例えば、例えば、次のようにして予測を行ってもよい。すなわち、予測部14は、まず学習済みの予測モデル(Wcの値が適用された式(2)等)の情報と、対象患者に対応した属性データを、メモリ1002から読み出す。なお、予測モデルの情報は、例えば、Wcの値であってもよい。また、ここでは、読み出された対象患者の属性データをX’とする。
そして、予測部14は、読み出した情報によって特定される予測モデルと、属性データX’と用いて、対象患者が第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数Y’を、次式(4)により計算する。
そして、予測部14は、計算したY’を、メモリ1002に記憶する。ここで、Y’は、対象患者の現在の状態(第pの回復水準)から、次の回復状態(第p+1の回復水準)に達するまでにかかるであろうリハビリ実施日数を表す。なお、Y’は、小数点以下を四捨五入して、整数に変換してもよい。
[類似患者抽出フェーズ(ステップS15)]
類似患者抽出部15は、例えば、次のようにして対象患者に類似する過去患者を抽出する。すなわち、類似患者抽出部15は、各過去患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数と属性データの組と、対象患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数(すなわち予測結果)と属性データの組とで類似度を求め、最も類似した対象患者と最も似ている過去患者を抽出してもよい。
ここでは、類似患者抽出部15は、まず各過去患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数Y_nと属性データX_nの組み合わせである{X_n,Y_n}(n=1,・・・,N)と、対象患者の第p+1の回復水準期間中に必要とされるリハビリ実施日数Y’と属性データX’の組み合わせ{X’,Y’}とをメモリ1002から読み出す。
そして、類似患者抽出部15は、{X_n,Y_n}(n=1,・・・,N)の中から、{X’,Y’}との類似度が最も高い組合せを算出し、その組合せのnを求めて、求めたnの値をメモリ1002に書きだしてもよい。以下、求めたnの値を、ncと表記する。
以下に、類似度の計算方法に関して具体的に説明する。まず、類似患者抽出部15は、過去患者のデータ組{X_n,Y_n}(n=1,・・・,N)から、X_n:X_nj(j=1,・・・,M)とY_nとを複数個の要素からなるベクトルとしたベクトルデータをV_n=[X_n1,X_n2,・・・,X_nM,Y_n](n=1,・・・,N)を生成する。同じく、対象患者のデータ組{X’,Y’}からも、V’=[X’_1,X’_2,・・・,X’_M,Y’]を生成する。
そして、類似患者抽出部15は、V_n(n=1,・・・,N)について、V’との類似度を算出する。ここで、算出された類似度を、S_n(n=1,・・・,N)と表す。例えば、類似患者抽出部15は、S_nを、以下の式(5)に示すように求めてもよい。
ここで、<A,B>はベクトルAとベクトルBの内積を表す。式(5)で求められるS_nは、0から1の間の値をとり、2つのベクトルV’,V_nの向きが等しいほど1に近づき、高類似を表す。類似患者抽出部15は、S_nが最も高い値を示したnの値をncとする。なお、類似度S_nが同じ患者が複数いた場合には、それぞれを類似患者nc1,nc2,・・・としてもよい。
[動作情報抽出フェーズ(ステップS16)]
動作情報抽出部16は、抽出された過去患者が、第pの回復水準に初めて至った日から対象患者の次のリハビリ実施日に相当するときに実施したリハビリでの動作シーケンス情報を抽出する。動作情報抽出部16は、例えば、対象患者の第p水準における経過日数に1を足した日数(以下、該当日数という)を算出し、抽出された類似患者ncの、第pの回復水準に初めて至った日から上記の該当日数分を経過したとき、に実施したリハビリの動作シーケンス情報を抽出してもよい。なお、対象患者の第p水準における経過日数に代えて、対象患者の第pの回復水準におけるリハビリ実施回数(以下、第p水準における実施回数という)と最後の実施日からの経過日数とを用いてもよい。その場合、動作情報抽出部16は、抽出された類似患者ncの、第pの回復水準に初めて至った日からリハビリを第p水準における実施回数分行った後、対象患者の最後の実施日からの経過日数分を経過したとき、に実施したリハビリの動作シーケンス情報を抽出してもよい。
ここでは、動作情報抽出部16は、まず、対象患者の第p水準における経過日数をメモリ1002から読み出す。ここで、対象患者の対象患者の第p水準における経過日数を、Tと表記する。
動作情報抽出部16は、抽出された類似患者ncが、過去に、第pの回復水準に初めて至った日からT+1日後にリハビリを実施した際の、動作シーケンス情報を抽出する。
[予測結果表示フェーズ(ステップS17)]
予測結果出力部17は、動作情報抽出部16によって抽出された動作シーケンス情報を、対象患者の次のリハビリ実施日における動作シーケンス情報の予測結果として表示する。表示先は、例えば、メモリ1002、出力装置1003またはネットワークインタフェース1005を介して接続された他の装置等である。
なお、上記の説明では、予測モデル学習部13が、予測モデルとして、線形回帰モデルを学習する例を中心に説明した。これに限らず、予測モデル学習部13は、任意患者の属性データとリハビリ日数やリハビリ回数等の予測対象とされる単位の実績値のペアを学習データとして、予測対象患者の属性データとペアになる上記単位の値を予測するための他のモデルを学習してもよい。
また、上記の各実施形態において、分析システムや分析装置の各機能ブロックが、同一のコンピュータ装置上で実現される例を中心に説明した。これに限らず、分析装置は、有線または無線で接続された2つ以上の物理的に分離した装置上に分散されて実現されてもよい。
また、上記の各実施形態において、分析システムや分析装置の各機能ブロックが、記憶装置またはROMに記憶されたコンピュータ・プログラムを実行するCPUによって実現される例を中心に説明した。これに限らず、各機能ブロックの一部、全部、または、それらの組合せが専用のハードウェアにより実現されていてもよい。
また、上記の各実施形態において、各フローチャートを参照して説明した分析方法を説明した。本発明は、該分析方法にかかる各機能ブロックの動作を、本発明のコンピュータ・プログラムとしてコンピュータ装置の記憶装置(記憶媒体)に格納しておいてもよい。そして、該コンピュータ・プログラムをコンピュータ装置のCPUが読み出して実行するようにしてもよい。すなわち、本発明の他の側面としては、上記の方法を少なくとも1つのコンピュータに実行させるプログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。
このコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されたとき、コンピュータに、分析装置上で、その制御方法を実施させるコンピュータプログラムを含む。
なお、以上の構成要素の二に野組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしもここに独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
また、本発明の方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の方法およびコンピュータプログラムを実施する時には、その複数の手順の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができる。
さらに、本発明の方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。