JP6815131B2 - 搾乳装置 - Google Patents
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Description
すなわち、乳児等は、先ず、母親の乳首の先端部分を自己の口腔内の哺乳窩に配置させる。そして、この状態で乳児等は、その舌を乳首の下側に当て、さらに舌の側面をせり上げて、舌を乳首に密着させ、舌は乳首を包むように配置される。
この過程で、舌は先端側から根本側にかけて波が移動するような蠕動様の運動(以下、「蠕動様運動」という。)を行い、乳首はその根元から先端に向けて搾られると共に、この乳首と舌と上顎との間の閉空間の負圧が高まる。その後、この閉空間が開放されると、圧力が開放され、乳首から母乳が出ることになる。この出てきた母乳を飲み込むことで、哺乳運動が終了することになる。
また、この柔軟部の乳房が配置される側と反対の側には、配置される乳首の根本側から先端側に対応するように、3個のローラ配置されている。
そして、これらのローラが乳首の根本側から先端側に向かって順次、回転しながら当接することで、乳児の舌による「蠕動様運動」を再現しようとしている。
そして、従来の搾乳器で、同様にシリコーンゴムからなる柔軟部を乳首の周囲を密閉するように配置した状態でローラを動作させ、蠕動様運動を行うと、ローラが柔軟部を介して乳首等に当接するため、利用者がローラにより擦られて痛み等を感じることになる。
さらに、搾乳器では乳首から母乳を出すため、吸引ポンプで乳房と乳受け部等とで形成された空間の雰囲気を陰圧にし、これにより吸引する構成ともなっている。
したがって、吸引ポンプで吸引している空間内に配置されている乳首等にローラを当接させると擦られて、より痛みが大きくなり、蠕動様運動の再現が困難になるという問題があった。
さらに、従来の搾乳器は、比較的大掛かりな装置であったため、家庭での個人的使用には不向きであるという問題もあった。
したがって、乳房部へ圧力を加える加圧部がバルーン(風船)等の気体袋部を有しているので、圧力を乳房部へ加えても使用者が痛みを感じ難い構成となっている。
このため、乳児等の舌の蠕動様運動のように、乳房配置部と乳房部を密着させ、加圧部が乳房部に圧力を加えても、使用者が痛み等を感じ難いので、実際の乳児等の舌による蠕動様運動に近い動作を再現することができ、使用者にとって、より円滑な搾乳が可能となる。また、搾乳装置を小型化できるため、家庭で利用し易い構成ともなっている。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1に示すように、「蠕動搾乳器1」は、対象者(使用者)である例えば、母親が自己の乳房部である乳房及び乳首を挿入する「搾乳器本体10」及びこの搾乳器本体10を動作させるための「搾乳ポンプ・操作部100」を有している。
また、これら搾乳器本体10と「搾乳ポンプ・操作部100」は、後述する「吸引用チューブ50」及び「密着バルーン用チューブ121」や「第1の蠕動バルーン用チューブ122」等を介して相互に接続されている。
この負圧雰囲気保持部30の下側には、哺乳瓶40が着脱可能に配置されている。
すなわち、哺乳瓶40と負圧雰囲気保持部30は、例えば、それぞれ雄ねじや雌ねじが形成され、これらを螺合させることで、哺乳瓶40を負圧雰囲気保持部30に装着可能となっている。
「搾乳ポンプ・操作部100」には、後述する加圧ポンプ120の圧力を調整するための「加圧調整ダイヤル103」や、後述する吸引ポンプ110の圧力を調整するための「吸引調整ダイヤル104」が配置されている。
したがって、利用者は、これらの「加圧調整ダイヤル103」や「吸引調整ダイヤル104」を操作することで、好ましい圧力に容易に調整することができる構成となっている。
図2に示すように、乳房配置部20は、「密着ファネル22」を有し、密着ファネル22は、乳房配置部20の内側、すなわち、母親の乳房が当接する部分に配置されている。この密着ファネル22は、シリコーンゴム等からなるシート状で形成されている。
したがって、母親等が乳房配置部20に乳房を配置しても柔らかい感触が確保される。
このように、負圧雰囲気保持部30が小室33を有するため、乳房配置部20に母親の乳房が配置され、挿入口21が閉状態となると、乳房配置部20の内部と負圧雰囲気保持部30の内部の空間は、この逆止弁33a等によって閉空間となる。そして、後述のように搾乳で母乳が小室33に到達し、溜まり負圧が開放されると、その自重で逆止弁33aが開き、母乳は哺乳瓶40へ導かれ、哺乳瓶40に溜まる構成となっている。
これは、母親が乳房を挿入口21に挿入させやすい角度としたためである。
以下、図2及び図3を参照しながら説明する。
これにより、図3に示すように、母親の乳房が挿入口21の端部21aに当接しても痛み等を感じることがない構成となっている。
なお、本実施の形態では、2個の密着バルーン70等の例で説明するが、本発明においては、密着バルーンは1個でも良く、3個以上であっても構わない。
これら密着バルーン70、71は、シリコーンゴム等からなる風船の一種であり、内部に気体である例えば、空気を導入することで、膨らむ構成となっている。
すなわち、密着バルーン70と71が膨らんだ状態が、加圧状態の一例で、萎んだ状態が非加圧状態の一例となっている。
なお、図2の密着バルーン70、71等は、膨らんだ状態を示し、図3の密着バルーン70等は萎んだ状態を示す。
このように乳房配置部20は、第1の蠕動バルーン80、第2の蠕動バルーン81及び第3の蠕動バルーン82を有するが、これら第1の蠕動バルーン80等は、シリコーンゴム等からなる風船の一種であり、内部に気体である例えば、空気を導入することで、膨らむ構成となっている。
これら第1の蠕動バルーン80、第2の蠕動バルーン81及び第3の蠕動バルーン82は、それぞれ乳房等Pの根本側から先端側である例えば、乳房から乳首に至る領域に、並ぶように配置されている。
なお、図2及び図3の第1の蠕動バルーン80等は、ともに萎んだ状態を示す。
図4に示すように、「搾乳ポンプ・操作部100」は、「制御部・操作部102」を有し、この「制御部・操作部102」は、図1に示すスイッチ101、加圧調整用ダイヤル103及び吸引調整用ダイヤル104と接続されている。
また、「搾乳ポンプ・操作部100」は、図4に示すように、「吸引ポンプ110」と「加圧ポンプ120」を有し、これらは、「制御部・操作部102」によって制御等されている。
また、負圧用電磁弁131は、吸引用チューブ50を介してキャップ31に接続されている。
また、「搾乳ポンプ・操作部100」には、吸引調整用ダイヤル104の操作に応じて、吸引ポンプ110の吸引圧力を電圧制御する可変抵抗器を備える「吸引調整装置106」が配置されている。この吸引調整装置106は、図4に示すように、吸引調整用ダイヤル104と隣り合って配置されている。なお、本発明では、吸引調整装置106と吸引調整用ダイヤル104が一体の構成となっていても良い。
この「吸引調整装置106」により、吸引ポンプ110の圧力は利用者の所望の圧力値に調整されることになる。
そして、密着バルーン用電磁弁132は、図4に示すように、密着バルーン用チューブ121を介して、2つの密着バルーン70、71と接続されている。
同様に、第2の蠕動バルーン用電磁弁134や第3の蠕動バルーン用電磁弁135が「ON」状態となると、空気が第2の蠕動バルーン81や第3の蠕動バルーン82に送られ、第2の蠕動バルーン81や第3の蠕動バルーン82が萎んだ状態から膨らんだ状態(図4の破線部分)にそれぞれ変化する構成となっている。
また、「搾乳ポンプ・操作部100」には、加圧調整用ダイヤル103の操作に応じて、加圧ポンプ120の加圧圧力を電圧制御する可変抵抗器を備える「加圧調整装置105」が配置されている。この加圧調整装置105は、図4に示すように、加圧調整用ダイヤル103と隣り合って配置されている。なお、本発明では、加圧調整装置105と加圧調整用ダイヤル103が一体の構成となっていても良い。
この「加圧調整装置105」により、加圧ポンプ120の圧力は利用者の所望の圧力値に調整されることになる。
本実施の形態では、母親が母乳を搾乳するために図1に示す「蠕動搾乳器1」を使用する例で以下説明する。
図5(1)に示すように、このとき、吸引ポンプ110や加圧ポンプ120は動作しておらず、密着バルーン70等と第1の蠕動バルーン80、第2の蠕動バルーン81及び第3の蠕動バルーン82はいずれも萎んだ状態となっている。
このため、母親は自己の乳房等Pを乳房配置部20の密着ファネル22に容易に奥の位置まで密着させることができる。
このように、本実施の形態では、利用者である母親等が、後述する加圧ポンプ120と吸引ポンプ110の圧力を最適な状態に調整することができるため、痛み等を感じることなく搾乳をすることができる。
このとき、図6の(2)で示すように、第1の蠕動バルーン用電磁弁133、第2の蠕動バルーン用電磁弁134及び第3の蠕動バルーン用電磁弁135は「OFF」となっている。
これにより、母親の乳房等Pは、乳房配置部20の密着ファネル22により密着し、安定的に配置される。
すなわち、乳房等Pは、上側では、膨らんだ状態の密着バルーン70、71で押圧されると共に、下側では、膨らんだ第1の蠕動バルーン80により、密着ファネル22を介して押圧(加圧)される。このとき、押圧される部分は、乳房等Pの根本側となる。
すると、乳房等Pの図5の下側に配置されている第2の蠕動バルーン81内に空気が導入され、第2の蠕動バルーン81が膨らんだ状態となる。
これにより、乳房等Pは、上側では、膨らんだ状態の密着バルーン70、71で押圧されると共に、下側では、膨らんだ第1の蠕動バルーン80と第2の蠕動バルーン81により、密着ファネル22を介して押圧(加圧)される。このとき、第2の蠕動バルーン81により押圧される部分は、第1の蠕動バルーン80より乳首側(先端側)となる。
すると、図4の第1の蠕動バルーン80への空気の導入が止まり、図5(5)に示すように、第1の蠕動バルーン80は萎んだ状態となり、乳房等Pへの押圧の圧力が弱まることになる。
これにより、図2の負圧雰囲気保持部30の内部空間から空気が吸引され、この負圧雰囲気保持部30の内部空間と連通している乳房配置部20の内部空間からも空気が吸引され、これらの空間は負圧状態となる。
なお、このとき、乳房配置部20の挿入口21は、母親の乳房等Pによって閉状態となっている。
すると、乳房等Pの図5の下側に配置されている第3の蠕動バルーン82内に空気が導入され、第3の蠕動バルーン82が膨らんだ状態となる。
したがって、この負圧状態によって、母親の乳房等Pの乳首は吸引され、乳首から出された母乳等は図2の小室33へ向かって移動することになる。
すると、図4の第2の蠕動バルーン81への空気の導入が止まり、図5(7)に示すように、第2の蠕動バルーン81は萎んだ状態となり、乳房等Pへの押圧の圧力が弱まることになる。
すなわち、乳房部の根本側である乳房部側から先端側である乳首側にかけて順番に圧力が加わることになる。
これは、上述の乳児が行う舌による蠕動様運動と同様の動きとなる。
したがって、母親は乳児が授乳を受けているときと同様の動きが再現されるので、極めて自然に搾乳をすることができる。
したがって、実際に乳児が舌を母親の乳首等に密着させ、舌で蠕動様運動を行う状態に近い動作を再現しても、痛み等のない自然な搾乳を行うことができる。
これにより、図2の負圧雰囲気保持部30の内部空間から空気が吸引され、この負圧雰囲気保持部30の内部空間と連通している乳房配置部20の内部空間からも空気が吸引され、これらの空間は負圧状態が維持される。
すると、図4の第3の蠕動バルーン82への空気の導入が止まり、図5(8)に示すように、第3の蠕動バルーン81は萎んだ状態となる。このときは、第1の蠕動バルーン80乃至第3の蠕動バルーン82の全てが萎み、これらから乳房等Pへの圧力が弱まることになる。
これにより、図2の負圧雰囲気保持部30と乳房配置部20の内部空間からも空気が吸引され、これらの空間は負圧状態が維持され、母乳の搾乳は実行される。
そして、図5(3)から(8)の動作を繰り返すことで、蠕動様運動による搾乳が継続され、一定量の搾乳の後、母親の乳房等Pからの搾乳は終了する。
そして、図2の小室33の一定量の母乳が、その自重で逆止弁33aの部分が開いて、母乳が図1の哺乳瓶40に蓄積されることになる。
Claims (2)
- 対象者の乳房及び乳首等の乳房部を配置する乳房配置部と、
少なくとも、前記乳房部と前記乳房配置部との間の空間を負圧空間とするためのポンプ部と、
前記乳房部の根本側から先端側に向かって場所を変えて複数配置され、加圧状態又は非加圧状態に制御可能な加圧部と、
前記加圧部に対向するように配置され、前記加圧部の加圧による前記乳房部へ影響を受け止める押さえ部と、を有し、
前記加圧部は、内部に気体を導入することにより、外部に圧力を加えることができる気体袋部を有し、
前記押さえ部が前記気体袋部を有し、
前記押さえ部の前記気体袋部は、加圧状態又は非加圧状態に制御可能な構成となっており、
前記乳房部を前記乳房配置部に配置した後、前記押さえ部及び前記加圧部の前記気体袋部の内部に気体を導入して加圧状態とすることを特徴とする搾乳装置。 - 前記加圧部は、複数の前記気体袋部を有し、複数の前記気体袋部が順番に膨らむことで、前記乳房部の前記乳房側から前記乳首側にかけて順番に圧力が加わる構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の搾乳装置。
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