JP6815005B2 - 地震予測方法および地震予測システム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に示すシステムは、たとえば、地上から発せられた超長波(VHF)の電波を利用し、電離層に生じた擾乱を検出する。例えば、電離層のE層に擾乱が生じていない通常の場合には、VHF電波はE層を通過し、地上に戻ってくることはない。しかし、E層に擾乱が生じた場合には、E層に到達したVHF電波は、E層の擾乱によって散乱(反射)され、見通し外(通常ではVHF電波が届かない遠方)にVHF電波が伝播される。特許文献1に示すシステムでは、地上からVHF電波を発し、E層の擾乱によってVHF電波が反射されたときに、反射されたVHF電波を地上で検出する。
また、特許文献3に記載の技術では、井戸や河川等でラドンの状況を検出することが求められる。この技術でも、国土の広い範囲において、いずれかの地域に地震が発生する可能性を予測するためには、広い範囲の様々な箇所に検出施設を建設する必要がある。
(1) 測定地点の地上に設置された空間放射線量測定装置で周期的に測定された前記測定地点の空間放射線量のデータを収集するデータ収集段階と、
周期的に測定された前記空間放射線量における平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する異常値検出段階と、
検出された前記異常値に基づいて、前記異常値が生じた後に発生し得る、前記異常値に対応する前記測定地点から地震の震央までの距離と前記地震の規模との関係を予測する規模予測段階と、
を有することを特徴とする地震予測方法。
(1)の方法では、空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量の異常値に基づいて、地震の前兆が検出され、異常値に基づいて地震の震央までの距離及び前記地震の規模が予測される。この方法では、測定地点の空間放射線量の測定に空間放射線量測定装置を利用することができる。このような空間放射線量測定装置は、既に広い範囲に建設されている。広い範囲に建設されている空間放射線量測定装置の検出結果を利用することによって、低コストで広範囲にわたる地震を予測することができる。
なお、偏差は、データが表す測定値のうち、測定対象時点における測定値と平均値との差を意味する。
(3)によれば、空間放射線量測定装置の本来の設置目的としては有意な結果が検出されていない場合に、この検出結果に基づいて異常値が検出される。これによって、空間放射線量測定装置の検出結果を、地震が発生する前における地震の予測に利用することができる。
なお、国際放射線防護委員会の勧告による平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量は、0.19μS/hである。
前記異常値検出段階は、複数の測定地点のそれぞれについて前記異常値を検出し、
前記規模予測段階は、前記複数の測定地点のそれぞれについて前記異常値に対応する前記それぞれの測定地点から地震の震央までの距離と前記地震の規模との関係を予測することを特徴とする(1)から(3)いずれか1の地震予測方法。
モニタリングポストは、本来、原子力関連施設からの放射能漏れ等の影響を監視するための設備である。特に、事故等が生じた場合に、国際放射線防護委員会の勧告相当値を超えるような空間放射線量を検出することが主目的となる。これに対し、(6)によれば、国際放射線防護委員会の勧告相当値を超えないような、空間放射線量の変動を検出することによって、地震の予兆を捉える用途にモニタリングポストを利用することができる。
また、モニタリングポストは、本来、地震が発生した後、地震の影響で原子力関連施設からの放射能漏れ等があるか否かを監視することが主目的である。これに対し、(6)によれば、地震の発生前に地震の予兆を捉える用途にモニタリングポストを利用することができる。
(6)によれば、既設のモニタリングポストを用いて、低コストで広範囲にわたる地震を精度良く予測することができる。
前記規模予測段階の予測結果と前記判定段階による判定結果とに基づいて地震を予測するための所定領域を設定する所定領域設定段階と、
前記規模予測段階および前記判定段階の両方で影響があると判定された場合、前記所定領域で地震が起こる確率が高まるよう予測する予測段階と、を有することを特徴とする(1)から(7)いずれか1の地震予測方法。
周期的に測定された前記空間放射線量における平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する異常値検出手段と、
検出された前記異常値に基づいて、前記異常値が生じた後に発生し得る、前記異常値に対応する前記測定地点から地震の震央までの距離と前記地震の規模との関係を予測する規模予測段階と、
を有することを特徴とする地震予測システム。
<<地震予測システム(地震予測方法)の概要>>
図1〜図6を用いて地震予測システム(地震予測方法)の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る地震予測システム100の一例を示す図である。地震予測システム100は、地震の前兆現象に係る複数種類の観測データを収集して解析することで、地震の予測の精度を高めることが可能なシステムである。
なお、第3データベース123には、地震、気象、地質、月齢、潮汐に関する情報が含まれている。
図2は、地震予測システム100で用いられる観測データの観測手法を模式的に示した図である。図2を用いて観測方法(観測データ)について説明する。観測データは、各地に設けられた観測点において観測されたデータである。
第1の前兆現象は、空間放射線量測定装置212で測定された空間放射線量である。
第1の前兆現象として、地震が発生する前に、震源域201(震源付近)では、空間放射線量(Space Radiation Dose:SRD)の変動が生じる。
原因として、震源域201(震源付近)では、地震が発生する前に微細破壊(マイクロクラック)が起こり、無数のクラックから、放射性元素が空気中に放出されるためと推定される。
空間放射線量の上昇の量は、例えば、原子力発電所に代表される原子力関連施設の設備破損等により放出される放射線の量と比べ、格段に小さい。例えば、モニタリングポストは、原子力発電所の事故等によって人体に影響を与え得るような放射線が放出されているか否かを監視するための設備である。人体に影響を与え得るような放射線の量として、国際放射線防護委員会が、平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量について勧告している。平常時の公衆の線量限度の勧告値は、年間1mSvである。1日のうち、屋外に8時間、屋内に16時間滞在するという生活パターンを仮定して、年間被曝線量(追加被曝線量)を1mSvにするための指標となる空間放射線量は、0.19μSv/hに相当する。地震の前兆としての、空間放射線量の変動量は、0.19μSv/hよりも小さい。本実施形態の地震予測システム100では、国際放射線防護委員会の勧告による平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量、即ち、0.19μSv/hよりも低い場合における空間放射線量に基づいて異常値を検出する。
本願発明者らによる研究の結果、次のことが判明している。地震の前兆としての空間放射線量の上昇の量は、地震の震央から離れるほど小さい傾向を有する。即ち、空間放射線量の上昇の量は、地震の震央に近いほど大きい傾向を有する。また、空間放射線量の上昇の量は、地震の規模が大きいほど大きい傾向を有する。また、空間放射線量の上昇は、地震の7日から13日前に生じやすい。空間放射線量の上昇は、一時的であり、例えば上昇が生じた次の日には、平均値に戻る場合が多い。
空間放射線量の上昇によって、第1の観測地点を中心として30Km程度の半径の円状の範囲にわたる地震を予測することができる。
詳細は後述するが、地震予測システム100では、空間線量の測定データに基づいて、空間放射線量測定装置212の近傍での地震を予測することが可能である。
図3に示すように、6月9日に空間線量が他と比べ極端に上昇している。但し、上昇した空間線量は、0.1μSv/hよりも低い。即ち、上昇した空間線量は、国際放射線防護委員会による勧告の線量限度よりも十分に低い値である。
函館市では、空間線量の上昇が観測された7日後の6月16日にM5.3の地震が観測された。
図4は、過去2015年に生じたM5.0以上の主な地震について、地震の発生日から遡って、震源付近のモニタリングポストにおける空間線量の異常値(平均に対する偏差の増大)を特定した結果として得られる。図4は、異常値の検出後の地震の発生を、異常値が生じた日から地震が発生するまでの日数ごとに全体の件数に対する割合として示している。
図4に示すように、空間放射線量の上昇による異常値の検出後、7日から13日後期間に地震が生じる確率が高い。
空間放射線量の異常値Iは、次の式で表される。
ここで、
x: (異常時の)空間線量[μSv/h]
m: 空間線量の平均値(過去13日分の空間線量の平均)[μSv/h]
σ: 標準偏差[μSv/h]
そこから、ある空間放射線量の異常値に対して、地震の大きさと震央までの距離との関係が導かれる。放射性物質の放出による放射線は、球面状に全方位に拡散する。このことから、上記の異常値Iに対して、震央までの距離を考慮した異常指数Ipが導かれる。
ここで、
r: 震央までの距離[km]
図5のグラフから、異常指数Ipと、地震の大きさMとの関係を近似する指数近似曲線(図8では直線)を求めることによって、距離rを変数とした、地震の大きさの推定式が導かれる。推定式は例えば、次の通りである。
I×4πr2 = 10−7e1.7703M ・・・(II)
1.7703M = ln((x−m)×4πr2 /σ×107) ・・・(III)
aM = ln(b×r2) ・・・(IV)
a,bは、継続した測定の結果に応じて更新される値である。
第2の前兆現象として、地震が発生する際、マイクロクラックによる電荷変動が生じ、電荷変動が電離層に到達することによって電離層の電子密度(プラズマ密度)に変化が生じ、電離層に擾乱202が生じることが報告されている。また、これまでに、電離層の擾乱202の程度に応じて、地震のマグニチュードの大小が定まることが知られている。
受信装置としての受信局222(第2の観測点)では、第2の前兆現象に係る観測が行われる。より具体的には、受信局222では、電波時計に用いられる標準電波および航行ナビゲーションに用いられるナビゲーション用電波が受信される。特段の区別を要しない場合、標準電波およびナビゲーション用電波を第1の電波223(VLF(Very Low Frequency)/LF(Low Frequency)電波)と称する。また、VLF/LF電波は、特段の区別を要しない場合、VLF電波と称する。第1の電波223は、電離層に当ると、その殆どが電離層の最下面で反射し、地上と電離層との間を反射することで非常に遠くまで伝播する特徴を有する。
また、例えば、低い部分で反射するほどエネルギーの損失が大きくなり、第1の電波223の受信強度が通常時よりも小さくなることが挙げられる。
また、例えば、地震の数日前より位相最小を示す日の出時間が早くなり、位相最小を示す日の入り時間が遅くなることが挙げられる。
また、例えば、夜間の平均振幅変化からのずれを夜間にわたって積分した量(夜間の揺らぎ量)が上昇することが挙げられる。
つまり、第1の電波223の伝播異常を捉えることで、第1の電波223の送信局221と受信局222とを結ぶ所定の幅(例えば約200km)の帯状(パス)内の地震を予測可能となる。
受信局232(第3の観測点)では、第2の前兆現象に係る観測が行われる。より具体的には、受信局232では、航空無線標識に用いられる第2の電波233(VHF(Very High Frequency)電波)が受信され得る。通常、第2の電波233は、電離層で反射されることがなく、電離層を突き抜けるが、地震の前兆現象により電離層に擾乱202または大気圏に擾乱(図示せず)が発生すると、擾乱により一部の電波が反射され、通常では電波が届かない遠方(見通し外)でも受信される。
なお、第2の電波233は、FMラジオ等とは異なり、混信も停波もないことから、第2の電波233によれば、質の高い観測が可能になる。
なお、第2の電波233は、VHF電波に限られるものではなく、浜松送信局(周波数998MHz)などから送信されるUHF(Ultra High Frequency)電波を採用してもよい。
受信局242(第4の観測点)では、第3の前兆現象に係る観測が行われる。より具体的には、受信局242では、送信局241(GPS衛星)から放射される2種類の周波数(L1:1575.42MHz、L2:1227.60MHz)の第3の電波243が受信される。
電波の速度は、一般に光速であるが、電離層を通過するときには周波数によって速度が異なってくる。送信局241からは、異なる周波数の第3の電波243が放射され、これらが電離層を通過するのに要する時間(遅延差)から電離層の電子数(電子密度)が算出可能であるので、受信局242では、第3の電波243を受信することで電離層中の電子密度を観測している。
図6は、上述した空間放射線213、及び第1の電波223〜第3の電波243を観測する各観測手法の主な特徴を示す図である。なお、図6に示す数値は一例である。
なお、第2の観測手法〜第4の観測手法についても、同じ観測手法の検出範囲を重ね合わせることで、地震の発生場所をより正確に把握可能となる場合もある。
図7は、地震予測システム100を含む地震観測システム300のシステム構成の一例を示す図である。
地震観測システム300は、解析サーバ101、バックアップサーバ102、複数の空間放射線量測定装置212、複数の受信局222、複数の受信局232および受信局242を有する。
なお、空間放射線量測定装置212、及び受信局222〜232の各々は、複数に限られるものではなく、1つであってもよい。受信局242は、1つに限られるものではなく、複数であってもよい。バックアップサーバ102は、1つに限られるものではなく、複数であってもよい。
解析サーバ101は、地震予測システム100の一例であり、クラウド301を介して、一または複数の空間放射線量測定装置212、受信局222〜242およびバックアップサーバ102と通信可能に接続される。
バックアップサーバ102は、観測データ、解析サーバ101による解析結果などのデータのバックアップを行う。なお、バックアップサーバ102は、情報処理装置の一例であり、バックアップサーバ102のハードウェア構成については、解析サーバ101と同様であるので、その説明は省略する。
空間放射線量測定装置212は、検出器2121、制御器2122およびコンピュータ2123を有する。空間放射線量測定装置212は、例えば、モニタリングポストである。空間放射線量測定装置212では、空間放射線量測定装置212が設置された測定地点における空間放射線量が連続測定され、観測データとして所定の記憶領域に記憶される。
例えば、ラドン測定に利用されるα線は、空気中の伝搬距離(飛距離)が短いため、測定地点の地下の局所的な影響を受けやすい。つまり、観測点が数m程度ずれるだけで、測定値が変化し易い。また、仮に前兆が観測されたとしても、前兆が観測される領域は局所的であると考えられる。
これに対し、本実施形態の測定に利用されるγ線は、α線よりも遠方まで伝搬する。このため、放射線量は、前兆が観測される範囲に亘って緩やかな空間分布を形成しやすい。従って、前兆変動としての測定値及び偏差をパラメータ化し、距離及びマグニチュードの推定まで数式化することができる。
また、空間放射線量測定装置212は、空気中のラドンを測定する装置とは異なり、水又は外気を検出器まで導入する装置を有していない。このため、設置やメンテナンスが容易である。
コンピュータ2123は、受信データを送信する旨の指令を制御器2122に送信する。制御器2122は、指令に応じて受信データをコンピュータ2123に送信する。コンピュータ2123は、制御器2122から送信された受信データを受信し、自己の所定の記憶領域に記憶し、クラウド301上の所定の記憶領域にアップロードする。
このようにして、解析サーバ101は、各地に設置されている空間放射線量測定装置212から受信データを収集(取得)することができる。
なお、例えば、解析サーバ101の機能のうち、データ収集を担うサーバが自治体及び電力会社等に設けられてもよい。このサーバが公開したデータを、解析サーバ101の機能のうち、データ収集以外の機能を担うサーバが受信する。
また、コンピュータ2123は、ネットワーク(クラウド301)を介して解析サーバ101と通信可能に接続される構成であってもよい。この場合、例えば、解析サーバ101は、受信データを送信する送信指令をコンピュータ2123に送信する。コンピュータ2123は、送信指令を受信すると、HDDなどに記憶されている受信データを解析サーバ101に送信する。
受信局222は、アンテナ2221、受信機2222およびコンピュータ2223を有する。受信局222では、予め設定された所定の周波数の電波が測定され、観測データとして所定の記憶領域に記憶される。
アンテナ2221は、広帯域にて電波を受信し、第1の電波223を受信可能に構成されている。なお、複数の送信局221から送信される各電波を受信するにあたり、アンテナ2221は、周波数ごとに設けられていてもよい。
なお、受信機2222は、電波時計に用いられる標準電波を受信可能なアンテナ、時刻を特定するGPS信号を受信可能なGPSアンテナ等、時刻を特定可能なデバイスを有する。
コンピュータ2223は、受信データを送信する旨の指令を受信機2222に送信する。受信機2222は、指令に応じて受信データをコンピュータ2223に送信する。コンピュータ2223は、受信機2222から送信された受信データ(時刻、位相、振幅など)を受信し、自己の所定の記憶領域に記憶し、クラウド301上の所定の記憶領域にアップロードする。
このようにして、解析サーバ101は、各地に設置されている受信局222から受信データを収集(取得)することができる。
なお、コンピュータ2223は、ネットワーク(クラウド301)を介して解析サーバ101と通信可能に接続される構成であってもよい。この場合、例えば、解析サーバ101は、受信データを送信する送信指令をコンピュータ2223に送信する。コンピュータ2223は、送信指令を受信すると、HDDなどに記憶されている受信データを解析サーバ101に送信する。
受信局232は、アンテナ2321、受信機2322およびコンピュータ2323を有する。受信局232では、予め設定された所定の周波数の電波が測定され、観測データとして所定の記憶領域に記憶される。
アンテナ2321は、広帯域にて電波を受信し、第2の電波233を受信可能に構成されている。なお、複数の送信局231から送信される各電波を受信するにあたり、アンテナ2321は、周波数ごとに設けられていてもよい。
なお、受信機2322は、電波時計に用いられる標準電波を受信可能なアンテナ、時刻を特定するGPS信号を受信可能なGPSアンテナ等、時刻を特定可能なデバイスを有する。
コンピュータ2323は、受信データを送信する旨の指令を受信機2322に送信する。受信機2322は、指令に応じて受信データをコンピュータ2323に送信する。コンピュータ2323は、受信機2322から送信された受信データ(時刻、位相、振幅など)を受信し、自己の所定の記憶領域に記憶し、クラウド301上の所定の記憶領域にアップロードする。
このようにして、解析サーバ101は、各地に設置されている受信局232から受信データを収集(取得)することができる。
なお、コンピュータ2323は、ネットワーク(クラウド301)を介して解析サーバ101と通信可能に接続される構成であってもよい。この場合、例えば、解析サーバ101は、受信データを送信する送信指令をコンピュータ2323に送信する。コンピュータ2323は、送信指令を受信すると、HDDなどに記憶されている受信データを解析サーバ101に送信する。
受信局242は、アンテナ2421、受信機2422およびコンピュータ2423を有する。受信局242では、予め設定された所定の周波数の電波が測定され、観測データとして所定の記憶領域に記憶される。
アンテナ2421は、第3の電波243を受信可能に構成されている。
なお、受信機2422は、電波時計に用いられる標準電波を受信可能なアンテナ、時刻を特定するGPS信号を受信可能なGPSアンテナ等、時刻を特定可能なデバイスを有する。
コンピュータ2423は、受信データを送信する旨の指令を受信機2422に送信する。受信機2422は、指令に応じて受信データをコンピュータ2423に送信する。コンピュータ2423は、受信機2422から送信された受信データ(時刻、位相、振幅など)を受信し、自己の所定の記憶領域に記憶し、クラウド301上の所定の記憶領域にアップロードする。
このようにして、解析サーバ101は、各地に設置されている受信局242から受信データを収集(取得)することができる。
なお、コンピュータ2423は、ネットワーク(クラウド301)を介して解析サーバ101と通信可能に接続される構成であってもよい。この場合、例えば、解析サーバ101は、受信データを送信する送信指令をコンピュータ2423に送信する。コンピュータ2423は、送信指令を受信すると、HDDなどに記憶されている受信データを解析サーバ101に送信する。
図8は、解析サーバ101のハードウェア構成の一例を示す図である。
解析サーバ101は、CPU1010(Central Processing Unit)、ROM1011(Read Only Memory)、RAM1012(Random Access Memory)、外部記憶装置1013、グラフィックボード1014、入力制御装置1015およびネットワークI/F1016(interface)を有する。
<異常判定結果(異常判定データ)>
図9は、異常判定結果(異常判定データ)の一例(判定結果テーブル)を示す図である。異常判定結果は、予測情報作成処理113において異常度合いの判定が行われて生成されるデータであり、基本的には、一日一回、外部記憶装置1013(第3データベース123)に記憶される。
判定結果テーブルには、観測データ種別に対応して、DOY(Day-Of-Year)ごとに異常判定結果を示す情報が記憶されている。
観測データ種別「SRD」ごとに、異常値とマグニチュードの対応関係を示すデータは、外部記憶装置1013に記憶されている。なお、対応関係を示すデータには、過去の実績がフィードバックされ、徐々に精度が高められ、地震のマグニチュードがより的確に予測可能になっている。
図10は、地震予測カレンダー(地震予測データ)の一例(地震予測テーブル)を示す図である。地震予測カレンダーは、第3データベース123に記憶され、図11に示す前兆異常期間等に基づいて更新される。
地震予測テーブルには、観測データ種別に対応して、DOYごとに地震が発生すると予測したことを示す情報が記憶される。
図11は、前兆異常期間(異常期間データ)の一例(前兆異常期間設定用テーブル)を示す図である。前兆異常期間は、予め設定されるデータであり、外部記憶装置1013に記憶されている。なお、前兆異常期間は、適宜の見直しが行われる。
前兆異常期間設定用テーブルには、観測手法ごとに前兆異常期間の開始および終了を示す情報が規定されている。
また、例えば、図9に示すように、DOY「284」において、観測データ種別「VLF3」における異常度合いの判定において異常が検出された場合、前兆異常期間が参照され、開始「2」および終了「10」が特定され、2日〜10日後において地震が発生すると予測され、図10に示す地震予測カレンダーのDOY「286」〜「295」に地震が発生すると予測したことを示す情報「○」が設定される。また、例えば、翌日のDOY「285」においても異常が検出された場合、地震予測カレンダーのDOY「287」〜「296」に地震が発生すると予測したことを示す情報「○」が設定(上書きおよび追加)される。なお、他の観測手法「VOR」、および「GPS」についても同様である。
図12は、予測震源ブロック(ブロックデータ)の一例(予測震源ブロック設定用テーブル)を示す図である。予測震源ブロックは、外部記憶装置1013に記憶されている。
<空間放射線量測定装置の設置例>
図13は、空間放射線量測定装置212の設置場所(SRD観測網)の一例を示す図である。
例えば、特定の異常値と、「M5.2」以上の規模の地震を予測対象とした条件では、空間放射線量測定装置212から半径30kmが観測エリアとなる。
前兆現象を捉えるには、例えば既に設置されたモニタリングポストのうち、測定エリアが重なるようなモニタリングポストを選択して、本実施形態における空間放射線量測定装置212として認定し、認定した空間放射線量測定装置212から測定データを収集することが好適である。この場合、モニタリングポストの選択及び認定が、空間放射線量測定装置212の設置に相当する。
図14は、受信局222の設置場所(VLF/LF観測網)の一例を示す図である。
地震予測システム100では、日本全国を網羅するように、すなわち観測エリア(パス)が重なるように受信局222が10箇所設けられている。
より具体的には、空間放射線量の異常が検出され、更にVLFの異常が検出された場合、震源を絞り込む。
例えば、VLFの観測エリア内に空間放射線量測定装置が設置されている場合、またはVLFの観測エリア付近に空間放射線量測定装置が設置されている場合に、VLFの異常が検出され、予測する地震のマグニチュードが「6.0」であり、かつ、空間放射線量の異常が検出されたとき、空間放射線量の異常値に応じた距離の範囲内で地震が発生すると予測することが可能となる。
この組合せの場合、空間放射線量測定装置を設置する際、どの程度の規模の地震を予測するかに応じて空間放射線量測定装置を設置することが好ましい。
この組合せの場合、GPS観測手法では、マグニチュードの正確な予測困難であり、観測エリアも広く、さらに、空間放射線量測定装置1つでは観測エリアを特定することが困難であるので、空間放射線量測定装置を2つ以上設置することが好ましい。
例えば、一の空間放射線量測定装置について異常が検出され、かつ、他の空間放射線量測定装置について異常が検出されたとき、一の空間放射線量測定装置の観測エリアと他の空間放射線量測定装置の観測エリアとが重なるエリアで地震が発生すると予測することが可能となる。
地震予測システムでは、解析サーバ101は、図15および図16のフローチャートに示す処理を実行する。
図15は、地震予測システムのメイン処理に係るフローチャートの一例を示す図である。メイン処理は、1日1回、所定の時間(例えば、9時)に実行される。
(1)解析サーバ101は、1日の中の定刻に観測された空間放射線量(SRD)測定データを抽出する。なお、空間放射線量(SRD)測定データとして、1日に複数回測定されたデータの平均値が用いられてもよい。詳細には、解析サーバ101は、自治体等によって公開されたサーバのウェッブページから、モニタリングポストでの空間線量の測定結果を表す測定データを読み出す。
自治体等が運用するサーバは、モニタリングポストからデータを収集して、ウェッブページで測定データを出力している。モニタリングポストからのデータ収集は、1日に数回実行されるが、本実施形態では、1日に1回の測定データを利用される。
空間放射線量測定データの例は、図3図に示されている。
上記比(x−m)/σが予め定めた上限値を超える場合、後のステップで、地震の予兆としての異常値を検出したと判定されることとなる。また、解析サーバ101は、比(x−m)/σそのものを異常値として設定する。
(1)解析サーバ101は、夜間(例えば、21時〜3時)に観測されたVLF観測データを抽出する。なお、夜間の観測データを用いるのは、主に、太陽の影響を避けるためである。
ここで、VLF観測データの一例を図17に示す。図17は、根室に設置された受信局222で観測された観測データの一例を示す。
(1)解析サーバ101は、VOR観測データを抽出する。
ここで、VOR観測データの一例を図19および図20に示す。図19は、通常時の観測データの一例を示す。図20は、異常時の観測データの一例を示す。
VORグラフの一例を図21および図22に示す。図21は、観測データと平均(m)と計算結果「平均(m)+標準偏差の3倍(3σ)」と観測データが「平均(m)+標準偏差の3倍(3σ)」を超える値との関係の一例を示す図である。図22は、「平均(m)+標準偏差の3倍(3σ)」を超えた累積時間(1日毎)の一例を示す図である。
(1)解析サーバ101は、L1、L2という異なる周波数の電波の到達時間差から電離層電子密度変動(TEC)を計算する。
なお、ファイルは、PDF(Portable Document Format)、HTML(HyperText Markup Language)など、任意の形式を採用可能である。
例えば、配信は、毎日行われてもよいし、毎週、水曜日と金曜日というように、指定した曜日に行われてもよい。また、例えば、地震レベルに応じて配信してもよい。地震レベルが「(異常なし)」、「注意」である場合は、指定した曜日に配信が行われ、「警戒」である場合は、臨時(例えば、地震予測の直後)に配信が行われてもよい。
図16は、地震予測処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
解析サーバ101は、ステップS12で算出した、標準偏差σに対する、異常値検出段階で検出された偏差x−mの比(x−m)/σが、予め定めた上限値を超えたか否かを判別する。
比(x−m)/σが、予め定めた上限値を超えた場合、地震の予兆としての異常値を検出したと判定する。また、解析サーバ101は、比(x−m)/σそのものを異常値として設定する。比(x−m)/σが、予め定めた上限値を超えない場合、地震は発生しないと予測する。
解析サーバ101は、上述した推定式(III)を用いて、対応する地震の震央までの距離及び地震の規模の関係を求める。
解析サーバ101は、ステップS12で算出した夜間時間の合計が所定の値(「−2.5」、「−3」等)を超えたか否かを判定する。所定の値を超えたと判定した場合、地震が発生すると予測し、所定の値を超えていないと判定した場合、地震が発生しないと予測する。
解析サーバ101は、ステップS12で算出した「m+3σ」を超えた時間が所定の値(例えば、120分)を超えたか否かを判定する。所定の値を超えたと判定した場合、地震が発生すると予測し、所定の値を超えていないと判定した場合、地震が発生しないと予測する。
なお、所定の値については、過去の実績がフィードバックされる構成を採用してもよく、その場合、VOR観測データ種別ごとに所定の値を示すデータが外部記憶装置1013に記憶され、所定の値は、VOR観測データ種別ごとに異なり得る。
解析サーバ101は、ステップS12で算出した電離層電子密度変動について、閾値(例えば、前15日に対して+2σ)を超えた時間が所定時間(例えば、10時間)以上あったか否かを判定し、閾値を超えた時間が所定時間以上あったと判定した場合、地震が発生すると予測し、閾値を超えた時間が所定時間以上継続しなかったと判定した場合、地震が発生しないと予測する。
より具体的には、ブロック区分に対応付けられた観測データ種別の全てにおいて、地震が発生すると予測された場合(発生日予測情報が設定されている場合)、警戒レベルを設定する。
例えば、図12に示すブロック区分「B」について見ると、観測データ種別は、全部で、「SRD2」、「SRD3」、「SRD4」、「VLF3」、「VLF4」、「VLF5」、「VLF15」、「VOR6」、および「GPS」であり、全ての観測データ種別において発生日予測情報が設定されている場合、ブロック区分「B」に対して警戒レベルが設定される。このようにして、空間放射線量に基づいて震央までの距離及び地震の規模(大きさ)を予測する規模予測段階、および電波に基づいて異常を判定する判定段階の両方で影響があると判定された場合、対応する領域で地震が起こる確率が高まるよう予測される。
例えば、図12に示すブロック区分「B」について見ると、観測データ種別「SRD2」、「SRD3」、および「SRD4」においてのみ発生日予測情報が設定されている場合、ブロック区分「B」に対して異常なしが設定される。例えば、図12に示すブロック区分「B」について見ると、観測データ種別「SRD2」、「SRD3」、「SRD4」、「VLF5」、および「VLF15」においてのみ発生日予測情報が設定されている場合、ブロック区分「B」に対して注意レベルが設定される。
図23は、配信情報の一例(地震ハザードマップ:地震警戒度マップ)を示す図である。
地震ハザードマップには、地図画像500、ブロック区分に対応するブロック画像501,502,503,504、地震予測詳細505が含まれる。
ブロック画像501,502,503,504は、地震レベルも示している。ブロック画像501は、地震レベルが警戒レベルを示す画像であり、赤色で表示される。ブロック画像502,503,504は、地震レベルが注意レベルを示す画像であり、緑色で表示される。
上述の構成によれば、所定のマグニチュード以上の地震を予測の対象とすることで、毎日起きている「M4.0」以下の小規模レベルの地震を排除することができ、地震予測の重要度を上げることが可能となる。
SRDによる観測手法との組合せとして、最も優先順位が高い観測手法は、マグニチュードの予測に過去の実績データが反映されるVLFに係る観測であり、最も優先順位が低い観測手法は、マグニチュードの特定が一定となるGPSに係る観測手法である。
上述の構成によれば、最悪のケースを想定した予測が可能になる。
また、電離層のF層に対する臨界周波数を求め、求めた臨界周波数の高低を判断して、地震を予測することが可能な銀河電波の観測手法を採用してもよい。
上述した構成によれば、様々な角度から地震の前兆現象を捉えることで、高確率な地震予測を実現できる。
4月7日に、0.083μSv/hの空間放射線量が観測された。平均値との偏差(x−m)は0.0454であり、標準偏差のとの比(x−m)/σは、12.20102123であり、異常値として検出された。
110 データ処理部
120 データ記憶部
131 観測データ
132 統計基礎データ
Claims (9)
- 測定地点の地上に設置された空間放射線量測定装置で周期的に測定された前記測定地点の空間放射線量のデータを収集するデータ収集段階と、
周期的に測定された前記空間放射線量における平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する異常値検出段階と、
検出された前記異常値に基づいて、前記異常値が生じた後に発生し得る、前記異常値に対応する前記測定地点から地震の震央までの距離と前記地震の規模との関係を予測する規模予測段階と、
を有することを特徴とする地震予測方法。 - 前記異常値検出段階で検出された前記異常値が生じた時期に基づいて、前記地震の発生時期を予測する時期予測段階をさらに有することを特徴とする請求項1記載の地震予測方法。
- 異常値検出段階は、前記空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量が、国際放射線防護委員会の勧告による平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量よりも低い場合における空間放射線量に基づいて異常値を検出することを特徴とする請求項1又は2記載の地震予測方法。
- 前記データ収集段階は、複数の測定地点に設置された空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量のデータを収集し、
前記異常値検出段階は、前記複数の測定地点のそれぞれについて前記異常値を検出し、
前記規模予測段階は、前記複数の測定地点のそれぞれについて前記異常値に対応する前記それぞれの測定地点から地震の震央までの距離と前記地震の規模との関係を予測することを特徴とする請求項1から3いずれか1に記載の地震予測方法。 - 前記空間放射線量測定装置は、測定した空間放射線量を表すデータを、コンピュータネットワークを通じて送信することを特徴とする請求項1から4いずれか1に記載の地震予測方法。
- 空間放射線量測定装置は、測定地点における放射線量を定期的に監視するためのモニタリングポストであることを特徴とする請求項1から5いずれか1に記載の地震予測方法。
- 前記異常値検出段階は、周期的に測定された前記空間放射線量の標準偏差に対する、異常値検出段階で検出された前記偏差の比に基づいて、地震に対応する前記異常値を検出することを特徴とする請求項1から6いずれか1に記載の地震予測方法。
- 地上に設置された受信装置で受信された電波に地震の前兆現象の影響があるか否かを判定する判定段階と、
前記規模予測段階の予測結果と前記判定段階による判定結果とに基づいて地震を予測するための所定領域を設定する所定領域設定段階と、
前記規模予測段階および前記判定段階の両方で影響があると判定された場合、前記所定領域で地震が起こる確率が高まるよう予測する予測段階と、を有することを特徴とする請求項1から7いずれか1に記載の地震予測方法。 - 測定地点の地上に設置された空間放射線量測定装置で周期的に測定された前記測定地点の空間放射線量のデータを収集するデータ収集手段と、
周期的に測定された前記空間放射線量における平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する異常値検出手段と、
検出された前記異常値に基づいて、前記異常値が生じた後に発生し得る、前記異常値に対応する前記測定地点から地震の震央までの距離と前記地震の規模との関係を予測する規模予測段階と、
を有することを特徴とする地震予測システム。
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