JP6815005B2 - 地震予測方法および地震予測システム - Google Patents

地震予測方法および地震予測システム Download PDF

Info

Publication number
JP6815005B2
JP6815005B2 JP2016187866A JP2016187866A JP6815005B2 JP 6815005 B2 JP6815005 B2 JP 6815005B2 JP 2016187866 A JP2016187866 A JP 2016187866A JP 2016187866 A JP2016187866 A JP 2016187866A JP 6815005 B2 JP6815005 B2 JP 6815005B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
earthquake
data
radiation amount
prediction
observation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016187866A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018054348A (ja
Inventor
弘輝 山口
弘輝 山口
了 山内
了 山内
Original Assignee
富士防災警備株式会社
富士S−Cast株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 富士防災警備株式会社, 富士S−Cast株式会社 filed Critical 富士防災警備株式会社
Priority to JP2016187866A priority Critical patent/JP6815005B2/ja
Publication of JP2018054348A publication Critical patent/JP2018054348A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6815005B2 publication Critical patent/JP6815005B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)

Description

本発明は、地震予測方法および地震予測システムに関する。
近年、各種の電磁気現象を地震の予兆として捉え、地震予測を行うことが提案されている。
例えば、特許文献1に示すシステムは、たとえば、地上から発せられた超長波(VHF)の電波を利用し、電離層に生じた擾乱を検出する。例えば、電離層のE層に擾乱が生じていない通常の場合には、VHF電波はE層を通過し、地上に戻ってくることはない。しかし、E層に擾乱が生じた場合には、E層に到達したVHF電波は、E層の擾乱によって散乱(反射)され、見通し外(通常ではVHF電波が届かない遠方)にVHF電波が伝播される。特許文献1に示すシステムでは、地上からVHF電波を発し、E層の擾乱によってVHF電波が反射されたときに、反射されたVHF電波を地上で検出する。
また、地上から送信されたVLF(Very Low Frequency)やLF(Low Frequency)電波を利用し、地震の前に発生する電離層の下部(例えばD層)に生ずる擾乱を観測する方法が知られている。例えば、特許文献2に示すシステムは、VLF/LF電波の伝搬経路上に電離層に擾乱が発生した場合に、受信電波の強度や位相に異常が生ずることを利用して地震を予知する。
また、井戸や河川等での地下水のラドンの状況を地震の予兆として捉え、地震予測を行うことが提案されている。例えば特許文献3には、井戸や河川等での地下水を測定対象とし、水に含まれるラドンの状況を検出して、地震の予知を行うことが示されている。
特許第2875398号明細書 特許第4867016号明細書 特開2008−139114号公報
しかしながら、上述の特許文献1,2に記載の技術では、電離層の擾乱によってVHF電波が伝播される地域に電波を受信するアンテナが設置されている必要がある。言い換えると、1箇所に配置されたアンテナを用いて地震予測を行う地域には限度がある。例えば、国土にわたる広い範囲において、いずれかの地域に地震が発生する可能性を予測するためには、広い範囲の様々な箇所にアンテナ及びその付帯設備を建設する必要がある。
また、特許文献3に記載の技術では、井戸や河川等でラドンの状況を検出することが求められる。この技術でも、国土の広い範囲において、いずれかの地域に地震が発生する可能性を予測するためには、広い範囲の様々な箇所に検出施設を建設する必要がある。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、低コストで広範囲にわたる地震を予測可能にすることを目的としている。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
(1) 測定地点の地上に設置された空間放射線量測定装置で周期的に測定された前記測定地点の空間放射線量のデータを収集するデータ収集段階と、
周期的に測定された前記空間放射線量における平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する異常値検出段階と、
検出された前記異常値に基づいて、前記異常値が生じた後に発生し得る、前記異常値に対応する前記測定地点から地震の震央までの距離前記地震の規模との関係を予測する規模予測段階と、
を有することを特徴とする地震予測方法。
本発明者は、種々の現象を対象として地震との関連性を徹底的に検証した。この結果、本発明者は、種々の現象の中で、空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量と地震との関連性が高いことを見出した。また、測定地点での空間放射線量が、地震の震央までの距離及び地震の規模と高い関連性を有することを見出した。本発明は、このような知見に基づくものである。
(1)の方法では、空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量の異常値に基づいて、地震の前兆が検出され、異常値に基づいて地震の震央までの距離及び前記地震の規模が予測される。この方法では、測定地点の空間放射線量の測定に空間放射線量測定装置を利用することができる。このような空間放射線量測定装置は、既に広い範囲に建設されている。広い範囲に建設されている空間放射線量測定装置の検出結果を利用することによって、低コストで広範囲にわたる地震を予測することができる。
なお、偏差は、データが表す測定値のうち、測定対象時点における測定値と平均値との差を意味する。
(2) 前記異常値検出段階で検出された前記異常値が生じた時期に基づいて、前記地震の発生時期を予測する時期予測段階をさらに有することを特徴とする(1)の地震予測方法。
本発明者は、空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量における異常値が生じる時期と、地震との発生時期に関連性があることを見出した。本発明は、このような知見に基づくものである。(2)によれば、空間放射線量測定装置の検出結果を利用することによって、地震の場所、規模、そして時期に関する情報を得ることができる。従って、低コストで、地震についての予測が行える。
(3) 異常値検出段階は、前記空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量が、国際放射線防護委員会の勧告による平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量よりも低い場合における空間放射線量に基づいて異常値を検出することを特徴とする(1)又は(2)の地震予測方法。
既存の空間放射線量測定装置は、通常、国際放射線防護委員会の勧告による量を超える空間放射線量の検出を主な目的として設置されている。これは、既存の空間放射線量測定装置が、例えば地震発生結果等によって原子力関連設備の損傷が生じた場合における、各地での放射線の影響を検出することを主な目的として設置されているからである。しかし、既存の空間放射線量測定装置は、通常、勧告による量よりも低い場合でも、空間放射線量を測定している。
(3)によれば、空間放射線量測定装置の本来の設置目的としては有意な結果が検出されていない場合に、この検出結果に基づいて異常値が検出される。これによって、空間放射線量測定装置の検出結果を、地震が発生する前における地震の予測に利用することができる。
なお、国際放射線防護委員会の勧告による平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量は、0.19μS/hである。
(4) 前記データ収集段階は、複数の測定地点に設置された空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量のデータを収集し、
前記異常値検出段階は、複数の測定地点のそれぞれについて前記異常値を検出し、
前記規模予測段階は、前記複数の測定地点のそれぞれについて前記異常値に対応する前記それぞれの測定地点から地震の震央までの距離前記地震の規模との関係を予測することを特徴とする(1)から(3)いずれか1の地震予測方法。
(4)によれば、複数の測定地点に設置された空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量に基づいて地震の震央までの距離及び地震の規模が予測される。複数の測定地点についての予測結果から、地震の震央の位置がより高い精度で予想できるようになる。従って、地震の位置について、高い精度で予測が可能になる。
(5) 前記空間放射線量測定装置は、測定した空間放射線量を表すデータを、コンピュータネットワークを通じて送信することを特徴とする(1)から(4)いずれか1の地震予測方法。
(5)によれば、空間放射線量測定装置によって測定された空間放射線量を表すデータが、コンピュータネットワークを通じて送信される。このため、空間放射線量測定装置が、データを用いた地震予測についての処理を行う装置から離隔した地域に配置されていても、地震予測についての処理を迅速に開始することができる。従って、地震予測を低コストで迅速に行うことができる。
(6) 空間放射線量測定装置は、測定地点における放射線量を定期的に監視するためのモニタリングポストであることを特徴とする(1)から(5)いずれか1の地震予測方法。
(6)によれば、モニタリングポストによって測定された空間放射線量が利用される。モニタリングポストは、電力各社によって原子力発電所の敷地内に設置されている。また、モニタリングポストは、国によって原子力発電所周辺の自治体を中心に設置されている。リアルタイムの測定データは、自治体、文部科学省、原子力規制委員会、及び電力各社のウェブページ上で公開されている。特に、2011年の東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故を契機として、全国に多数のモニタリングポストが建設されている。(6)によれば、全国に多数設置されたモニタリングポストの公開情報を用いて、地震予測を行うことができる。
モニタリングポストは、本来、原子力関連施設からの放射能漏れ等の影響を監視するための設備である。特に、事故等が生じた場合に、国際放射線防護委員会の勧告相当値を超えるような空間放射線量を検出することが主目的となる。これに対し、(6)によれば、国際放射線防護委員会の勧告相当値を超えないような、空間放射線量の変動を検出することによって、地震の予兆を捉える用途にモニタリングポストを利用することができる。
また、モニタリングポストは、本来、地震が発生した後、地震の影響で原子力関連施設からの放射能漏れ等があるか否かを監視することが主目的である。これに対し、(6)によれば、地震の発生前に地震の予兆を捉える用途にモニタリングポストを利用することができる。
(6)によれば、既設のモニタリングポストを用いて、低コストで広範囲にわたる地震を精度良く予測することができる。
(7) 前記異常値検出段階は、周期的に測定された前記空間放射線量の標準偏差に対する、異常値検出段階で検出された前記偏差の比に基づいて、地震に対応する前記異常値を検出することを特徴とする(1)から(6)いずれか1の地震予測方法。
異常値が検出されない場合における空間放射線量にはばらつきがあり、ばらつきの範囲は、測定地点によって異なる。(7)によれば、周期的に測定された空間放射線量の標準偏差に対する、異常値検出段階で検出された偏差の比に基づいて、異常値が検出される。従って、測定地点による、検出精度の差が抑えられる。
(8) 地上に設置された受信装置で受信された電波に地震の前兆現象の影響があるか否かを判定する判定段階と、
前記規模予測段階の予測結果と前記判定段階による判定結果とに基づいて地震を予測するための所定領域を設定する所定領域設定段階と、
前記規模予測段階および前記判定段階の両方で影響があると判定された場合、前記所定領域で地震が起こる確率が高まるよう予測する予測段階と、を有することを特徴とする(1)から(7)いずれか1の地震予測方法。
(8)によれば、地上に設置された受信装置で受信された電波による地震の前兆検証判定と、空間放射線量に基づく予測とが組合せられる。従って、地震の予測精度を、低コストで高めることができる。
(9) 測定地点の地上に設置された空間放射線量測定装置で周期的に測定された前記測定地点の空間放射線量のデータを収集するデータ収集手段と、
周期的に測定された前記空間放射線量における平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する異常値検出手段と、
検出された前記異常値に基づいて、前記異常値が生じた後に発生し得る、前記異常値に対応する前記測定地点から地震の震央までの距離前記地震の規模との関係を予測する規模予測段階と、
を有することを特徴とする地震予測システム。
(9)の地震予測システムによれば、空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量の異常値に基づいて、地震の前兆が検出され、異常値に基づいて地震の震央までの距離及び前記地震の規模が予測される。このシステムでは、測定地点の空間放射線量の測定に空間放射線量測定装置を利用することができる。従って、低コストで広範囲にわたる地震を予測することができる。
本発明によれば、低コストで広範囲にわたる地震を予測することができる。
地震予測システムの一例を示す図である。 観測手法を模式的に示した図である。 空間放射線量測定装置の一例おける空間線量の変化を示すグラフである。 空間線量の異常値検出後の経過時間と地震の発生率との関係を示すグラフである。 過去の地震における異常指数と地震の大きさの関係を示すグラフである。 観測手法の主な特徴を示す図である。 地震観測システムのシステム構成の一例を示す図である。 解析サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。 判定結果テーブルを示す図である。 地震予測テーブルを示す図である。 前兆異常期間設定用テーブルを示す図である。 予測震源ブロック設定用テーブルを示す図である。 SRD観測網の一例を示す図である。 VLF/LF観測網の一例を示す図である。 メイン処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 地震予測処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 VLF観測データの一例を示す図である。 VLFグラフの一例を示す図である。 VOR観測データの一例を示す図である。 VOR観測データの一例を示す図である。 VORグラフの一例を示す図である。 VORグラフの一例を示す図である。 地震ハザードマップを示す図である。 空間放射線量を用いた地震予測方法の適用例を説明するグラフである。
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
<<地震予測システム(地震予測方法)の概要>>
図1〜図6を用いて地震予測システム(地震予測方法)の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る地震予測システム100の一例を示す図である。地震予測システム100は、地震の前兆現象に係る複数種類の観測データを収集して解析することで、地震の予測の精度を高めることが可能なシステムである。
地震予測システム100は、データ処理部110とデータ記憶部120とを有する。
データ処理部110は、データ収集処理111(データベースの構築など)を行う。データ収集処理111では、データ処理部110は、各観測点の観測データ131を取得し、観測データとしてデータ記憶部120(第1データベース121)に記憶する。
データ処理部110は、データ解析処理112(前兆現象の抽出など)を行う。データ解析処理112では、データ処理部110は、観測データを読み込み、データ解析(空間線量の偏差解析、VLF信号解析、FFT、偏波解析など)を行い、解析結果を書き出し、解析結果としてデータ記憶部120(第2データベース122)に記憶する。
データ処理部110は、予測情報作成処理113(異常度合いの判定など)を行う。予測情報作成処理113では、データ処理部110は、解析結果と統計基礎データ132(例えば、過去10〜20年の統計的な基礎データ)とを読み込み、異常度合いの判定を行い、地震予測情報(いつ、どこで、どのくらいの大きさの地震が発生し得るかを含む情報)としてデータ記憶部120(第3データベース123)に記憶する。
なお、第3データベース123には、地震、気象、地質、月齢、潮汐に関する情報が含まれている。
データ処理部110は、配信情報作成処理114(地震予測情報を地図情報に反映など)を行う。配信情報作成処理114では、データ処理部110は、地震予測情報を読み込み、地図情報に反映し、配信情報を書き出し、地震配信情報としてデータ記憶部120(第4データベース124)に記憶する。
データ処理部110が行う処理については、一の情報処理装置で行われてもよいし、複数の情報処理装置で分散して行われてもよい。データ処理部110が行う処理については、一部または全部の処理を人が担ってもよい。
また、データ記憶部120に記憶されるデータについては、一の記憶装置(記憶媒体)に記憶される構成であってもよいし、複数の記憶装置に分散して記憶される構成であってもよい。また、データ記憶部120は、データベースであってもよいし、紙などの記録媒体であってよい。
<<観測手法(観測データ)>>
図2は、地震予測システム100で用いられる観測データの観測手法を模式的に示した図である。図2を用いて観測方法(観測データ)について説明する。観測データは、各地に設けられた観測点において観測されたデータである。
本実施形態では、4つの前兆現象を利用している。第1の前兆現象は、空間放射線量における変動である。第2から第4までの前兆現象は、電波における変動である。
<第1の前兆現象に係る観測データ>
第1の前兆現象は、空間放射線量測定装置212で測定された空間放射線量である。
第1の前兆現象として、地震が発生する前に、震源域201(震源付近)では、空間放射線量(Space Radiation Dose:SRD)の変動が生じる。
原因として、震源域201(震源付近)では、地震が発生する前に微細破壊(マイクロクラック)が起こり、無数のクラックから、放射性元素が空気中に放出されるためと推定される。
空間放射線量の上昇の量は、例えば、原子力発電所に代表される原子力関連施設の設備破損等により放出される放射線の量と比べ、格段に小さい。例えば、モニタリングポストは、原子力発電所の事故等によって人体に影響を与え得るような放射線が放出されているか否かを監視するための設備である。人体に影響を与え得るような放射線の量として、国際放射線防護委員会が、平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量について勧告している。平常時の公衆の線量限度の勧告値は、年間1mSvである。1日のうち、屋外に8時間、屋内に16時間滞在するという生活パターンを仮定して、年間被曝線量(追加被曝線量)を1mSvにするための指標となる空間放射線量は、0.19μSv/hに相当する。地震の前兆としての、空間放射線量の変動量は、0.19μSv/hよりも小さい。本実施形態の地震予測システム100では、国際放射線防護委員会の勧告による平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量、即ち、0.19μSv/hよりも低い場合における空間放射線量に基づいて異常値を検出する。
本願発明者らによる研究の結果、次のことが判明している。地震の前兆としての空間放射線量の上昇の量は、地震の震央から離れるほど小さい傾向を有する。即ち、空間放射線量の上昇の量は、地震の震央に近いほど大きい傾向を有する。また、空間放射線量の上昇の量は、地震の規模が大きいほど大きい傾向を有する。また、空間放射線量の上昇は、地震の7日から13日前に生じやすい。空間放射線量の上昇は、一時的であり、例えば上昇が生じた次の日には、平均値に戻る場合が多い。
空間放射線量の上昇によって、第1の観測地点を中心として30Km程度の半径の円状の範囲にわたる地震を予測することができる。
詳細は後述するが、地震予測システム100では、空間線量の測定データに基づいて、空間放射線量測定装置212の近傍での地震を予測することが可能である。
空間放射線量(SRD)を用いる第1の前兆現象について、例に基づいて詳細に説明する。
図3は、空間放射線量測定装置212の一例である、函館市内のある地点に設置されたモニタリングポストにおける空間線量の変化を示すグラフである。
図3に示すように、6月9日に空間線量が他と比べ極端に上昇している。但し、上昇した空間線量は、0.1μSv/hよりも低い。即ち、上昇した空間線量は、国際放射線防護委員会による勧告の線量限度よりも十分に低い値である。
函館市では、空間線量の上昇が観測された7日後の6月16日にM5.3の地震が観測された。
図4は、空間線量の異常値検出後の経過時間と地震の発生率との関係を示すグラフである。
図4は、過去2015年に生じたM5.0以上の主な地震について、地震の発生日から遡って、震源付近のモニタリングポストにおける空間線量の異常値(平均に対する偏差の増大)を特定した結果として得られる。図4は、異常値の検出後の地震の発生を、異常値が生じた日から地震が発生するまでの日数ごとに全体の件数に対する割合として示している。
図4に示すように、空間放射線量の上昇による異常値の検出後、7日から13日後期間に地震が生じる確率が高い。
本実施形態の地震予測システムでは、空間放射線量の異常値が生じた時期に基づいて、地震の発生時期を予測する。より詳細には、地震予測システムでは、空間放射線量の異常値が生じた後、7日から13日後の期間を地震の発生時期として予測する。期間をより狭く特定する場合には、空間放射線量の異常値が生じた後、7日から9日後の期間を地震の発生時期として予測することが好ましい。
空間放射線量は、地震に関連する上昇が生じている以外の期間でも変動している。そこで、本実施形態の地震予測システムでは、周期的に測定された空間放射線量における平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する。
空間放射線量の異常値Iは、次の式で表される。
I = (x−m)/σ
ここで、
x: (異常時の)空間線量[μSv/h]
m: 空間線量の平均値(過去13日分の空間線量の平均)[μSv/h]
σ: 標準偏差[μSv/h]
本実施形態の地震予測システムでは、異常値Iが所定の上限値を超えた場合、7日から9日後に地震が発生する可能性があるとして、予測を行う。
上述したように、空間放射線量の上昇が、震源域における微細破壊に起因した放射性物質の放出によると仮定する場合、空間放射線量の上昇量は、地震の大きさと、震央までの距離に依存すると考えられる。
そこから、ある空間放射線量の異常値に対して、地震の大きさと震央までの距離との関係が導かれる。放射性物質の放出による放射線は、球面状に全方位に拡散する。このことから、上記の異常値Iに対して、震央までの距離を考慮した異常指数Ipが導かれる。
Ip = I×4πr = (x−m)×4πrσ ・・・(I)
ここで、
r: 震央までの距離[km]
図5は、過去の地震における異常指数Ipと地震の大きさの関係を示すグラフである。図5は、過去の地震について、地震付近のモニタリングポストにおける空間放射線量の変化に基づいて計算した異常指数Ipと、発生した地震の大きさ(マグニチュードM)との関係が、地震ごとにプロットされている。異常指数Ipと表す図5のグラフの縦軸は、対数表示である。
図5のグラフから、異常指数Ipと、地震の大きさMとの関係を近似する指数近似曲線(図8では直線)を求めることによって、距離rを変数とした、地震の大きさの推定式が導かれる。推定式は例えば、次の通りである。
Ip = 10−71.7703M
式(I)から、
I×4πr = 10−71.7703M ・・・(II)
また、
1.7703M = ln((x−m)×4πr σ×10) ・・・(III)
本実施形態の地震予測システムでは、異常値Iから、異常値Iが生じた後に発生し得る、異常値Iに対応する地震の震央までの距離r及び地震の規模Mを予測する。より詳細には、地震予測システムでは、地震の震央までの距離rと地震の大きさ(規模)Mとの関係を予測する。ただし、測定可能な異常値Iが生じる地震の大きさには下限がある。下限は、マグニチュード4.5〜5.0程度の範囲である。これに関連して、異常値Iが測定される距離にも限度がある。距離の限度は、30km程度である。
なお、図5のグラフにプロットされた地震について、式(III)を用いて計算された地震の大きさMの、実際の地震の大きさに対する相対誤差は20%以下である。もともと、通常のモニタリングポストは、公称で20%程度の線量検出誤差を有している。従って、式(III)自体からは、実用的な精度の推定が行われていると言える。
なお、上記の式(III)は、推定式の一例である。式(III)は、より一般的には、次のように表される。
aM = ln(b×) ・・・(IV)
a,bは、継続した測定の結果に応じて更新される値である。
<第2の前兆現象に係る観測データ>
第2の前兆現象として、地震が発生する際、マイクロクラックによる電荷変動が生じ、電荷変動が電離層に到達することによって電離層の電子密度(プラズマ密度)に変化が生じ、電離層に擾乱202が生じることが報告されている。また、これまでに、電離層の擾乱202の程度に応じて、地震のマグニチュードの大小が定まることが知られている。
(第1の電波)
受信装置としての受信局222(第2の観測点)では、第2の前兆現象に係る観測が行われる。より具体的には、受信局222では、電波時計に用いられる標準電波および航行ナビゲーションに用いられるナビゲーション用電波が受信される。特段の区別を要しない場合、標準電波およびナビゲーション用電波を第1の電波223(VLF(Very Low Frequency)/LF(Low Frequency)電波)と称する。また、VLF/LF電波は、特段の区別を要しない場合、VLF電波と称する。第1の電波223は、電離層に当ると、その殆どが電離層の最下面で反射し、地上と電離層との間を反射することで非常に遠くまで伝播する特徴を有する。
ここで、地震の前には、震源域201上方の下部電離層(例えばD層)が下降するとことが報告されている。つまり、地震断層運動により、マイクロクラックが生じることで電界が発生し、電磁波が放射されたり、荷電粒子が大気中に放出されたりするなどの現象が生じ、その影響で下部電離層が降下し、地震に伴った第1の電波223の伝播異常(変動異常)が報告されている。
地震に伴った第1の電波223の伝播異常としては、例えば、第1の電波223は電離層に当るとその殆どが電離層の最下面で反射することから、第1の電波223の伝播距離が短くなるので、観測点では通常時に比べて到達時間が早くなることが挙げられる。
また、例えば、低い部分で反射するほどエネルギーの損失が大きくなり、第1の電波223の受信強度が通常時よりも小さくなることが挙げられる。
また、例えば、地震の数日前より位相最小を示す日の出時間が早くなり、位相最小を示す日の入り時間が遅くなることが挙げられる。
また、例えば、夜間の平均振幅変化からのずれを夜間にわたって積分した量(夜間の揺らぎ量)が上昇することが挙げられる。
例えば、電離層に擾乱202がないとき、送信局221からのVLF電波が1秒後に受信局222で受信されるとすると、地震の前では電離層が数km低下すると、電波の通る経路が短くなり、0.999秒で到達する(位相が進む)。受信局222での振幅と位相とを正確に測定することにより、電離層の異常を把握できるようになる。
つまり、第1の電波223の伝播異常を捉えることで、第1の電波223の送信局221と受信局222とを結ぶ所定の幅(例えば約200km)の帯状(パス)内の地震を予測可能となる。
地震予測システム100では、受信局222は、複数の送信局221から送信される各電波を受信可能に構成されている。より具体的には、受信局222は、シアトル送信局(NLK:周波数24.8kHz)、ハワイ送信局(NPM:周波数21.4kHz)、オーストラリア送信局(NWC:周波数19.8kHz)、中国送信局(BPC:周波数20.6kHz)、福島送信局(YYJ40:周波数40kHz)、佐賀送信局(YYJ60:周波数60kHz)および宮崎送信局(JJI:周波数22.2kHz)から送信される各電波を受信可能に構成されている。
(第2の電波)
受信局232(第3の観測点)では、第2の前兆現象に係る観測が行われる。より具体的には、受信局232では、航空無線標識に用いられる第2の電波233(VHF(Very High Frequency)電波)が受信され得る。通常、第2の電波233は、電離層で反射されることがなく、電離層を突き抜けるが、地震の前兆現象により電離層に擾乱202または大気圏に擾乱(図示せず)が発生すると、擾乱により一部の電波が反射され、通常では電波が届かない遠方(見通し外)でも受信される。
なお、第2の電波233は、FMラジオ等とは異なり、混信も停波もないことから、第2の電波233によれば、質の高い観測が可能になる。
つまり、第2の電波233の伝播異常を捉えることで、第2の電波233の送信局231と受信局232とを結ぶ所定の幅(例えば約150km)の帯状(パス)内の地震を予測可能となる。
地震予測システム100では、受信局232は、複数の送信局231から送信される各電波を受信可能に構成されている。より具体的には、受信局232は、羽田送信局(周波数112.2MHz)、成田送信局(周波数117.9MHz)、横須賀送信局(周波数116.2MHz)等、日本各地に配置されたVOR(VHF Omnidirectional Radio Range)施設から送信される各電波を受信可能に構成されている。以下では、適宜、VOR施設から送信される各電波をVOR電波と称する。
なお、第2の電波233は、VHF電波に限られるものではなく、浜松送信局(周波数998MHz)などから送信されるUHF(Ultra High Frequency)電波を採用してもよい。
(第3の電波)
受信局242(第4の観測点)では、第3の前兆現象に係る観測が行われる。より具体的には、受信局242では、送信局241(GPS衛星)から放射される2種類の周波数(L1:1575.42MHz、L2:1227.60MHz)の第3の電波243が受信される。
電波の速度は、一般に光速であるが、電離層を通過するときには周波数によって速度が異なってくる。送信局241からは、異なる周波数の第3の電波243が放射され、これらが電離層を通過するのに要する時間(遅延差)から電離層の電子数(電子密度)が算出可能であるので、受信局242では、第3の電波243を受信することで電離層中の電子密度を観測している。
つまり、電離層中の電子密度の異常な変動を捉えることで地震を予測可能となる。「M6.0」以上の地震については、受信局242から半径1000km内の地震が予測可能となっている。
空間放射線量測定装置212、受信局222、受信局232、および受信局242は、同じ敷地内に設置されていてもよいし、異なっていてもよい。
(各種観測手法の主な特徴)
図6は、上述した空間放射線213、及び第1の電波223〜第3の電波243を観測する各観測手法の主な特徴を示す図である。なお、図6に示す数値は一例である。
図6に示すように、空間放射線量(SRD)を用いる第1の観測手法では、空間放射線量測定装置として、例えば、全国3千箇所以上に配置された既存の放射線モニタリングポストで測定された測定結果を利用することができる。このため、測定自体のコストが抑えられる。放射線モニタリングポストは、コンピュータネットワークを介して接続されている。各地の放射線モニタリングポストまで行くことなく、測定結果が入手できる。また、測定結果は通常1日以内に入手できる。具体的には、測定結果は、自治体等によってウェブページ上に公開されている。
空間放射線量(SRD)を用いる第1の観測手法によれば、測定地点から半径30km程度の範囲における地震の発生を予測することが可能である。また、隣接する複数の測定地点の測定結果に基づいて、地震の発生場所をより正確に把握することができる。
また、地震は、自然現象であるので、一定のパターンで発生することはあっても、必ず一定のパターンで発生するものではなく、1つの観測手法、より狭義には1つの前兆現象による地震の予測では、予測の精度に限界がある。そこで、複数の観測手法を用いて複合的に前兆現象を観測することで、すなわち複数種類の観測手法を組み合わせることで、地震の予測の精度をより高めることが可能となる。
各種観測手法には、地震の前兆現象を検出可能な範囲(検出範囲)が相対的に広いものと狭いものがある。検出範囲が広い手法に検出範囲が狭い手法を組み合わせることで、地震の発生場所をより正確に把握可能となる。
検出範囲が狭い手法と広い手法との組合せとして、空間放射線量(SRD)を用いる第1の観測手法と、第2の観測手法〜第4の観測手法を適宜に組み合わせることができる。第2の観測手法〜第4の観測手法のうち、1つを組み合わせてもよいし、2つを組み合わせてもよいし、3つを組み合わせてもよい。第1の観測手法に対する1つの組合せとして、例えば、第1の観測手法と第2の観測手法とを組み合わせてもよいし、他の組合せでもよい。また、第1の観測手法に対する2つの組合せとして、例えば、第1の観測手法と第2の観測手法と第4の観測手法とを組み合わせてもよいし、他の組合せでもよい。
なお、第2の観測手法〜第4の観測手法についても、同じ観測手法の検出範囲を重ね合わせることで、地震の発生場所をより正確に把握可能となる場合もある。
また、各種観測手法には、地震の前兆現象を検出可能な期間(前兆異常期間)が相対的に早いものと遅いものとがある。前兆異常期間が早い手法と、前兆異常期間が遅い手法とを組み合わせることで、早い手法で異常(地震の前兆現象の影響)が検出され、遅い手法で異常が検出されるという正規の順序で異常が検出された場合、地震が発生する可能性が相対的に(非正規の順序で異常が検出された場合よりも、また、何れか一方で異常が検出された場合よりも)高いと判断可能となる。
前兆異常期間が早い手法と前兆異常期間が遅い手法との組合せとして、空間放射線量(SRD)を用いる第1の観測手法と、第2の観測手法〜第4の観測手法を適宜に組み合わせることができる。第2の観測手法〜第4の観測手法のうち、1つを組み合わせてもよいし、2つを組み合わせてもよいし、3つを組み合わせてもよい。第1の観測手法に対する1つの組合せとして、例えば、第1の観測手法と第2の観測手法とを組み合わせてもよいし、他の組合せでもよい。また、第1の観測手法に対する2つの組合せとして、例えば、第1の観測手法と第2の観測手法と第4の観測手法とを組み合わせてもよいし、他の組合せでもよい。
なお、第1の観測手法〜第4の観測手法では、異常が発生する場所(異常発生場所)、メリット、デメリットも異なるため、各々を考慮して観測手法の組合せ、及び観測点の設置場所を決定することが好ましい。
<<地震観測システムのシステム構成>>
図7は、地震予測システム100を含む地震観測システム300のシステム構成の一例を示す図である。
地震観測システム300は、解析サーバ101、バックアップサーバ102、複数の空間放射線量測定装置212、複数の受信局222、複数の受信局232および受信局242を有する。
なお、空間放射線量測定装置212、及び受信局222〜232の各々は、複数に限られるものではなく、1つであってもよい。受信局242は、1つに限られるものではなく、複数であってもよい。バックアップサーバ102は、1つに限られるものではなく、複数であってもよい。
<解析サーバ>
解析サーバ101は、地震予測システム100の一例であり、クラウド301を介して、一または複数の空間放射線量測定装置212、受信局222〜242およびバックアップサーバ102と通信可能に接続される。
解析サーバ101は、上述したデータ収集処理111、データ解析処理112、予測情報作成処理113、配信情報作成処理114などを行う。なお、データ収集処理111を行う解析サーバと、データ解析処理112、予測情報作成処理113、及び配信情報作成処理114を行う解析サーバとは、クラウド301を介して通信可能に接続された、別個のサーバで構成されてもよい。また、解析サーバ101は、情報処理装置の一例であり、解析サーバ101のハードウェア構成については後述する。
<バックアップサーバ>
バックアップサーバ102は、観測データ、解析サーバ101による解析結果などのデータのバックアップを行う。なお、バックアップサーバ102は、情報処理装置の一例であり、バックアップサーバ102のハードウェア構成については、解析サーバ101と同様であるので、その説明は省略する。
<空間放射線量(SRD)測定装置>
空間放射線量測定装置212は、検出器2121、制御器2122およびコンピュータ2123を有する。空間放射線量測定装置212は、例えば、モニタリングポストである。空間放射線量測定装置212では、空間放射線量測定装置212が設置された測定地点における空間放射線量が連続測定され、観測データとして所定の記憶領域に記憶される。
検出器2121は、例えばγ線センサである。検出器2121は、制御器2122に接続されている。空間放射線量測定装置212は、地上に設置されている。検出器2121は、地上から離れた、地上よりも上の位置に配置されている。検出器2121は、空間放射線量をアナログ電圧(測定データ信号)として制御器2122に出力する。換言するならば、検出器2121は、空間放射線量213を測定可能に構成されている。さらに、検出器2121は、国際放射線防護委員会の勧告による平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量よりも低い空間放射線量を測定することが可能である。
空間放射線量測定装置212の検出器2121は、γ線センサであり、例えばα線を検出するラドン測定装置の検出器とは異なる。空間放射線量測定装置212は、例えば、地下水や空気中のラドンを測定する装置とは異なる。空間放射線量測定装置212は、地下水や空気中のラドンを測定する装置とは異なり、水又は外気を検出器まで導入する管やポンプを有していない。
例えば、ラドン測定に利用されるα線は、空気中の伝搬距離(飛距離)が短いため、測定地点の地下の局所的な影響を受けやすい。つまり、観測点が数m程度ずれるだけで、測定値が変化し易い。また、仮に前兆が観測されたとしても、前兆が観測される領域は局所的であると考えられる。
これに対し、本実施形態の測定に利用されるγ線は、α線よりも遠方まで伝搬する。このため、放射線量は、前兆が観測される範囲に亘って緩やかな空間分布を形成しやすい。従って、前兆変動としての測定値及び偏差をパラメータ化し、距離及びマグニチュードの推定まで数式化することができる。
また、空間放射線量測定装置212は、空気中のラドンを測定する装置とは異なり、水又は外気を検出器まで導入する装置を有していない。このため、設置やメンテナンスが容易である。
制御器2122は、検出器2121およびコンピュータ2123と通信可能に接続されている。制御器2122は、検出器2121から出力された受信信号を増幅したり、受信信号の波形を処理したり、ノイズを除去したり、AD変換(受信信号(アナログ信号)をコンピュータ2123で処理できるデジタルデータに変換)したり、AD変換した受信データ(測定データ)をコンピュータ2123に送信したりする。
コンピュータ2123は、情報処理装置の一例であり、制御器2122およびクラウド301と通信可能に接続されている。
コンピュータ2123は、受信データを送信する旨の指令を制御器2122に送信する。制御器2122は、指令に応じて受信データをコンピュータ2123に送信する。コンピュータ2123は、制御器2122から送信された受信データを受信し、自己の所定の記憶領域に記憶し、クラウド301上の所定の記憶領域にアップロードする。
解析サーバ101およびバックアップサーバ102は、所定の記憶領域に記憶された受信データを適宜のタイミングでダウンロードする。
このようにして、解析サーバ101は、各地に設置されている空間放射線量測定装置212から受信データを収集(取得)することができる。
なお、例えば、解析サーバ101の機能のうち、データ収集を担うサーバが自治体及び電力会社等に設けられてもよい。このサーバが公開したデータを、解析サーバ101の機能のうち、データ収集以外の機能を担うサーバが受信する。
また、コンピュータ2123は、ネットワーク(クラウド301)を介して解析サーバ101と通信可能に接続される構成であってもよい。この場合、例えば、解析サーバ101は、受信データを送信する送信指令をコンピュータ2123に送信する。コンピュータ2123は、送信指令を受信すると、HDDなどに記憶されている受信データを解析サーバ101に送信する。
<受信局(VLF)>
受信局222は、アンテナ2221、受信機2222およびコンピュータ2223を有する。受信局222では、予め設定された所定の周波数の電波が測定され、観測データとして所定の記憶領域に記憶される。
アンテナ2221は、ダイポールアンテナ等であり、受信機2222に接続されている。アンテナ2221は、空間の電波(電磁波)を高周波エネルギーに変換(受信)し、受信信号として受信機2222に出力する。
アンテナ2221は、広帯域にて電波を受信し、第1の電波223を受信可能に構成されている。なお、複数の送信局221から送信される各電波を受信するにあたり、アンテナ2221は、周波数ごとに設けられていてもよい。
受信機2222は、アンテナ2221およびコンピュータ2223と通信可能に接続されている。受信機2222は、アンテナ2221から出力された受信信号を増幅したり、受信信号の波形を処理したり、ノイズを除去したり、AD変換(受信信号(アナログ信号)をコンピュータ2223で処理できるデジタルデータに変換)したり、AD変換した受信データ(観測データ)をコンピュータ2223に送信したりする。
なお、受信機2222は、電波時計に用いられる標準電波を受信可能なアンテナ、時刻を特定するGPS信号を受信可能なGPSアンテナ等、時刻を特定可能なデバイスを有する。
コンピュータ2223は、情報処理装置の一例であり、受信機2222およびクラウド301と通信可能に接続されている。
コンピュータ2223は、受信データを送信する旨の指令を受信機2222に送信する。受信機2222は、指令に応じて受信データをコンピュータ2223に送信する。コンピュータ2223は、受信機2222から送信された受信データ(時刻、位相、振幅など)を受信し、自己の所定の記憶領域に記憶し、クラウド301上の所定の記憶領域にアップロードする。
解析サーバ101およびバックアップサーバ102は、所定の記憶領域に記憶された受信データを適宜のタイミングでダウンロードする。
このようにして、解析サーバ101は、各地に設置されている受信局222から受信データを収集(取得)することができる。
なお、コンピュータ2223は、ネットワーク(クラウド301)を介して解析サーバ101と通信可能に接続される構成であってもよい。この場合、例えば、解析サーバ101は、受信データを送信する送信指令をコンピュータ2223に送信する。コンピュータ2223は、送信指令を受信すると、HDDなどに記憶されている受信データを解析サーバ101に送信する。
<受信局(VOR)>
受信局232は、アンテナ2321、受信機2322およびコンピュータ2323を有する。受信局232では、予め設定された所定の周波数の電波が測定され、観測データとして所定の記憶領域に記憶される。
アンテナ2321は、八木アンテナ等であり、受信機2322に接続されている。アンテナ2321は、空間の電波(電磁波)を高周波エネルギーに変換(受信)し、受信信号として受信機2322に出力する。
アンテナ2321は、広帯域にて電波を受信し、第2の電波233を受信可能に構成されている。なお、複数の送信局231から送信される各電波を受信するにあたり、アンテナ2321は、周波数ごとに設けられていてもよい。
受信機2322は、アンテナ2321およびコンピュータ2323と通信可能に接続されている。受信機2322は、アンテナ2321から出力された受信信号を増幅したり、受信信号の波形を処理したり、ノイズを除去したり、AD変換(受信信号(アナログ信号)をコンピュータ2323で処理できるデジタルデータに変換)したり、AD変換した受信データ(観測データ)をコンピュータ2323に送信したりする。
なお、受信機2322は、電波時計に用いられる標準電波を受信可能なアンテナ、時刻を特定するGPS信号を受信可能なGPSアンテナ等、時刻を特定可能なデバイスを有する。
コンピュータ2323は、情報処理装置の一例であり、受信機2322およびクラウド301と通信可能に接続されている。
コンピュータ2323は、受信データを送信する旨の指令を受信機2322に送信する。受信機2322は、指令に応じて受信データをコンピュータ2323に送信する。コンピュータ2323は、受信機2322から送信された受信データ(時刻、位相、振幅など)を受信し、自己の所定の記憶領域に記憶し、クラウド301上の所定の記憶領域にアップロードする。
解析サーバ101およびバックアップサーバ102は、所定の記憶領域に記憶された受信データを適宜のタイミングでダウンロードする。
このようにして、解析サーバ101は、各地に設置されている受信局232から受信データを収集(取得)することができる。
なお、コンピュータ2323は、ネットワーク(クラウド301)を介して解析サーバ101と通信可能に接続される構成であってもよい。この場合、例えば、解析サーバ101は、受信データを送信する送信指令をコンピュータ2323に送信する。コンピュータ2323は、送信指令を受信すると、HDDなどに記憶されている受信データを解析サーバ101に送信する。
<受信局(GPS)>
受信局242は、アンテナ2421、受信機2422およびコンピュータ2423を有する。受信局242では、予め設定された所定の周波数の電波が測定され、観測データとして所定の記憶領域に記憶される。
アンテナ2421は、パラボラアンテナ等であり、受信機2422に接続されている。アンテナ2421は、空間の電波(電磁波)を高周波エネルギーに変換(受信)し、受信信号として受信機2422に出力する。
アンテナ2421は、第3の電波243を受信可能に構成されている。
受信機2422は、アンテナ2421およびコンピュータ2423と通信可能に接続されている。受信機2422は、アンテナ2421から出力された受信信号を増幅したり、受信信号の波形を処理したり、ノイズを除去したり、AD変換(受信信号(アナログ信号)をコンピュータ2423で処理できるデジタルデータに変換)したり、AD変換した受信データ(観測データ)をコンピュータ2423に送信したりする。
なお、受信機2422は、電波時計に用いられる標準電波を受信可能なアンテナ、時刻を特定するGPS信号を受信可能なGPSアンテナ等、時刻を特定可能なデバイスを有する。
コンピュータ2423は、情報処理装置の一例であり、受信機2422およびクラウド301と通信可能に接続されている。
コンピュータ2423は、受信データを送信する旨の指令を受信機2422に送信する。受信機2422は、指令に応じて受信データをコンピュータ2423に送信する。コンピュータ2423は、受信機2422から送信された受信データ(時刻、位相、振幅など)を受信し、自己の所定の記憶領域に記憶し、クラウド301上の所定の記憶領域にアップロードする。
解析サーバ101およびバックアップサーバ102は、所定の記憶領域に記憶された受信データを適宜のタイミングでダウンロードする。
このようにして、解析サーバ101は、各地に設置されている受信局242から受信データを収集(取得)することができる。
なお、コンピュータ2423は、ネットワーク(クラウド301)を介して解析サーバ101と通信可能に接続される構成であってもよい。この場合、例えば、解析サーバ101は、受信データを送信する送信指令をコンピュータ2423に送信する。コンピュータ2423は、送信指令を受信すると、HDDなどに記憶されている受信データを解析サーバ101に送信する。
<<解析サーバのハードウェア構成>>
図8は、解析サーバ101のハードウェア構成の一例を示す図である。
解析サーバ101は、CPU1010(Central Processing Unit)、ROM1011(Read Only Memory)、RAM1012(Random Access Memory)、外部記憶装置1013、グラフィックボード1014、入力制御装置1015およびネットワークI/F1016(interface)を有する。
CPU1010は、解析サーバ101の各構成部の実行制御を行うとともに、ROM1011に格納された各種プログラムを実行し、各種の演算を行う。
ROM1011は、フラッシュメモリなどのメモリデバイスからなり、CPU1010により実行される恒久的なデータが記憶されている。例えば、地震予測システム100の制御に係るプログラム等が記憶される。
RAM1012は、ROM1011に記憶された各種プログラムを実行する際に必要なデータを一時的に記憶する。
外部記憶装置1013は、ハードディスク装置などの記憶装置であり、CPU1010で実行されるプログラムや、CPU1010で実行されるプログラムが利用するデータ(テーブル、データベースなど)を記憶する。
グラフィックボード1014は、LCD1017(Liquid Crystal Display)に各種情報を表示させるよう制御する。
入力制御装置1015は、キーボード1018からの入力、マウス1019からの入力を信号化してCPU1010に送信する。
ネットワークI/F1016は、クラウド301から受信データ(観測データ)をダウンロードする等のデータ通信を実現する。
解析サーバ101では、例えば、CPU1010がROM1011などに格納されたプログラムおよび観測データをRAM1012に読み出して実行することにより、解析サーバ101に係る各種機能(データ処理部、データ記憶部など)が実現される。
<<各種データ>>
<異常判定結果(異常判定データ)>
図9は、異常判定結果(異常判定データ)の一例(判定結果テーブル)を示す図である。異常判定結果は、予測情報作成処理113において異常度合いの判定が行われて生成されるデータであり、基本的には、一日一回、外部記憶装置1013(第3データベース123)に記憶される。
判定結果テーブルには、観測データ種別に対応して、DOY(Day-Of-Year)ごとに異常判定結果を示す情報が記憶されている。
観測データ種別は、各空間放射線量測定装置、及び各受信局で測定される一の測定情報に対応して設けられ、測定情報の種別を識別可能な情報である。DOY2015は、年月日を識別可能な情報である。
異常判定結果は、観測データ種別に対応して、DOYごとに異常判定結果を示す情報(本例では、「○」)を有する。例えば、現在がDOY「290」であり、観測データ種別「SRD2」、「SRD3」、「VOR6」、および「GPS」の電波において異常が検出された場合、対応する箇所に異常判定結果を示す情報「○」が設定される。
例えば上記の第1の観測手法による異常判定結果は、観測データ種別「SRD」に対応して、DOYごとに地震が発するエネルギーの大きさ(地震の規模)を示す情報(マグニチュード:「M」と略記)を有する。観測データ種別「SRD」については、異常値から距離と規模との関係が得られるので、ある仮想の距離における大きさが仮に規定される。
観測データ種別「SRD」ごとに、異常値とマグニチュードの対応関係を示すデータは、外部記憶装置1013に記憶されている。なお、対応関係を示すデータには、過去の実績がフィードバックされ、徐々に精度が高められ、地震のマグニチュードがより的確に予測可能になっている。
また、例えば上記の第2の観測手法による異常判定結果は、観測データ種別「VLF」に対応して、DOYごとに地震が発するエネルギーの大きさを示す情報(マグニチュード:「M」と略記)を有する。観測データ種別「VLF」については、異常値が「-2.5」のときは「M5.0」、異常値が「-3.0」のときは「M6.0」というように、異常値に応じてマグニチュードが特定される。すなわち、異常値が「-3.0」のときに「M6.0」が特定される観測データ種別「VLF」があれば、異常値が「-3.0」のときに「M6.5」が特定される観測データ種別「VLF」があり、観測データ種別「VLF」ごとに、異常値とマグニチュードの対応関係を示すデータが外部記憶装置1013に記憶されている。
<地震予測カレンダー(地震予測データ)>
図10は、地震予測カレンダー(地震予測データ)の一例(地震予測テーブル)を示す図である。地震予測カレンダーは、第3データベース123に記憶され、図11に示す前兆異常期間等に基づいて更新される。
地震予測テーブルには、観測データ種別に対応して、DOYごとに地震が発生すると予測したことを示す情報が記憶される。
<前兆異常期間(異常期間データ)>
図11は、前兆異常期間(異常期間データ)の一例(前兆異常期間設定用テーブル)を示す図である。前兆異常期間は、予め設定されるデータであり、外部記憶装置1013に記憶されている。なお、前兆異常期間は、適宜の見直しが行われる。
前兆異常期間設定用テーブルには、観測手法ごとに前兆異常期間の開始および終了を示す情報が規定されている。
例えば、図9に示すように、DOY「284」において、観測データ種別「SRD2」における異常度合いの判定において異常が検出された場合、前兆異常期間が参照され、開始「7」および終了「13」が特定され、2日〜13日後において地震が発生すると予測され、図10に示す地震予測カレンダーのDOY「291」〜「297」に地震が発生すると予測したことを示す情報「○」が設定される。
また、例えば、図9に示すように、DOY「284」において、観測データ種別「VLF3」における異常度合いの判定において異常が検出された場合、前兆異常期間が参照され、開始「2」および終了「10」が特定され、2日〜10日後において地震が発生すると予測され、図10に示す地震予測カレンダーのDOY「286」〜「295」に地震が発生すると予測したことを示す情報「○」が設定される。また、例えば、翌日のDOY「285」においても異常が検出された場合、地震予測カレンダーのDOY「287」〜「296」に地震が発生すると予測したことを示す情報「○」が設定(上書きおよび追加)される。なお、他の観測手法「VOR」、および「GPS」についても同様である。
<予測震源ブロック(ブロックデータ)>
図12は、予測震源ブロック(ブロックデータ)の一例(予測震源ブロック設定用テーブル)を示す図である。予測震源ブロックは、外部記憶装置1013に記憶されている。
ブロック区分は、日本全土が予め複数のブロックに分割された各ブロックを識別可能な情報である。地震検知可能なエリア(地震検知エリア)は、当該ブロックで地震を検知可能な観測データ種別である。例えば、ブロック区分「B」には、観測データ種別「SRD2」、「SRD3」、「VLF3」、「VLF15」、「VOR6」、および「GPS」により地震の検知が可能な地震検知エリア「B1」と、観測データ種別「SRD2」、「SRD4」、「VLF4」、および「GPS」により地震の検知が可能な地震検知エリア「B2」と、観測データ種別「SRD3」、「SRD4」、「VLF5」、および「GPS」により地震の検知が可能な地震検知エリア「B3」とが含まれる。ブロック画像は、ブロック区分に対応する画像を識別可能な情報(ファイル名、URLなど)である。
本実施形態では、異常が検出された観測データ種別に基づいて地震検知エリアが絞られ、地震の震源(震央であってもよい。)を予測する場所(地域)としてブロック区分が特定される。例えば、図10に示すように、DOY「290」において、観測データ種別「SRD2」、「SRD3」、「VLF3」、「VLF15」、および「VOR6」において地震が発生すると予測された場合、エリア「B1」に絞られ、ブロック区分「B」が特定される。
<<空間放射線量測定装置及び受信局の設置例>>
<空間放射線量測定装置の設置例>
図13は、空間放射線量測定装置212の設置場所(SRD観測網)の一例を示す図である。
空間放射線量測定装置212は、複数の測定地点に設置されている。
例えば、特定の異常値と、「M5.2」以上の規模の地震を予測対象とした条件では、空間放射線量測定装置212から半径30kmが観測エリアとなる。
前兆現象を捉えるには、例えば既に設置されたモニタリングポストのうち、測定エリアが重なるようなモニタリングポストを選択して、本実施形態における空間放射線量測定装置212として認定し、認定した空間放射線量測定装置212から測定データを収集することが好適である。この場合、モニタリングポストの選択及び認定が、空間放射線量測定装置212の設置に相当する。
例えば、空間放射線量測定装置212A、空間放射線量測定装置212Dおよび空間放射線量測定装置212Fの各観測データで前兆現象が確認された場合、空間放射線量測定装置212A,212D,212Fの観測エリアが重なる領域401付近に震源がある地震が発生すると判断可能となる。
また、例えば、「M6.0」の地震では、観測エリアの半径が30kmであるので、空間放射線量測定装置212Dおよび空間放射線量測定装置212Eでは、同時期に(同じ)前兆現象が確認されることがない(殆どない)が、「M7.0」以上の地震では、観測エリアの半径が100kmであるので、空間放射線量測定装置212Dおよび空間放射線量測定装置212Eで同時期に前兆現象が確認され得る。換言するならば、空間放射線量測定装置212Dおよび空間放射線量測定装置212Eで同じ異常(略同じパターンを示す異常)を検出した場合、「M7.0」以上の地震が発生すると予測することができる。
なお、空間放射線量を測定するモニタリングポストは、日本全国に設置されている。空間放射線量測定装置212は、日本全国で設定することができる。
また、空間放射線量測定装置212については、独自に設置してもよいし、例えば、大学又は企業が設置したものを利用してもよい。
<VLF電波受信局の設置例>
図14は、受信局222の設置場所(VLF/LF観測網)の一例を示す図である。
地震予測システム100では、日本全国を網羅するように、すなわち観測エリア(パス)が重なるように受信局222が10箇所設けられている。
各受信局222では、独自に選定した中国送信局および佐賀送信局を含む7箇所の送信局からの各電波を受信可能であるので、パスの重なりがより密になり、地震予測の精度の向上を図ることができる。
例えば、第1のパスと第2のパスとで前兆現象が確認された場合、第1のパスと第2のパスとが重なる領域付近に震源がある地震が発生すると判断可能となる。
なお、受信局222の設置場所は、図14に示すものに限られるものではない。例えば、日本全国を更に網羅するように受信局222を稚内に設置する等、受信局222を更に設置してもよい。
受信局222については、独自に設置してもよいし、大学が設置したものを利用してもよいし、国が設置したものを利用してもよい。
VORの受信局232については、VLFの受信局222と同様に設置することができる。また、GPSの受信局242については、観測エリアが1000kmと広範囲であるため、日本全土の多くを網羅することが可能な新潟などに設置される。
ここで、上述したように、検出範囲が狭いSRD観測手法に検出範囲が広いVLF観測手法を組み合わせることで、地震の発生場所をより正確に把握可能となる。
より具体的には、空間放射線量の異常が検出され、更にVLFの異常が検出された場合、震源を絞り込む。
例えば、VLFの観測エリア内に空間放射線量測定装置が設置されている場合、またはVLFの観測エリア付近に空間放射線量測定装置が設置されている場合に、VLFの異常が検出され、予測する地震のマグニチュードが「6.0」であり、かつ、空間放射線量の異常が検出されたとき、空間放射線量の異常値に応じた距離の範囲内で地震が発生すると予測することが可能となる。
また、例えば、検出範囲が狭いSRD観測手法に検出範囲が広いVOR観測手法を組み合わせることで、地震の発生場所をより正確に把握可能となる。
この組合せの場合、空間放射線量測定装置を設置する際、どの程度の規模の地震を予測するかに応じて空間放射線量測定装置を設置することが好ましい。
また、例えば、検出範囲が狭いSRD観測手法に検出範囲が広いGPS観測手法を組み合わせることで、地震の発生場所をより正確に把握可能となる。
この組合せの場合、GPS観測手法では、マグニチュードの正確な予測困難であり、観測エリアも広く、さらに、空間放射線量測定装置1つでは観測エリアを特定することが困難であるので、空間放射線量測定装置を2つ以上設置することが好ましい。
例えば、一の空間放射線量測定装置について異常が検出され、かつ、他の空間放射線量測定装置について異常が検出されたとき、一の空間放射線量測定装置の観測エリアと他の空間放射線量測定装置の観測エリアとが重なるエリアで地震が発生すると予測することが可能となる。
<<地震予測システムに係る処理(地震予測方法に係る工程)>>
地震予測システムでは、解析サーバ101は、図15および図16のフローチャートに示す処理を実行する。
<メイン処理>
図15は、地震予測システムのメイン処理に係るフローチャートの一例を示す図である。メイン処理は、1日1回、所定の時間(例えば、9時)に実行される。
ステップS11では、解析サーバ101は、各受信局よりクラウド上にアップロードされた観測データをダウンロードする(観測データを収集する)。空間放射線量については、例えば、自治体及び電力会社のサーバが、解析サーバ101の一部機能として、空間放射線量測定装置からデータを収集し、ウェブページに公開している。この場合、解析サーバ101は、自治体及び電力会社が公開する空間放射線量のデータをウェブページからダウンロードする。解析サーバ101は、ダウンロードした観測データを第1データベース121に記憶する。ステップS12の処理は、データ収集段階の処理の例である。解析サーバ101は、本処理を終了した場合、ステップS12に処理を移す。
ステップS12では、解析サーバ101は、各観測データのデータ解析を行う。解析サーバ101は、解析した結果(解析結果データ)を第2データベース122に記憶する。ステップS12の処理は、異常値検出段階の処理の例である。解析サーバ101は、本処理を終了した場合、ステップS13に処理を移す。
<空間放射線量測定データ解析>
(1)解析サーバ101は、1日の中の定刻に観測された空間放射線量(SRD)測定データを抽出する。なお、空間放射線量(SRD)測定データとして、1日に複数回測定されたデータの平均値が用いられてもよい。詳細には、解析サーバ101は、自治体等によって公開されたサーバのウェッブページから、モニタリングポストでの空間線量の測定結果を表す測定データを読み出す。
自治体等が運用するサーバは、モニタリングポストからデータを収集して、ウェッブページで測定データを出力している。モニタリングポストからのデータ収集は、1日に数回実行されるが、本実施形態では、1日に1回の測定データを利用される。
(2)解析サーバ101は、測定データを用いて波形のプロットを行う。なお、プロットされた波形は、ディスプレイ、用紙などに出力可能であり、解析者は、出力された波形を参照し、例えば原子力施設からの放射能に起因するような極端に大きな変動及び欠測などを目視により確認し、不適正なデータを排除する。これにより、データ解析(地震予測)において適正なデータが使用される。
空間放射線量測定データの例は、図3図に示されている。
(3)解析サーバ101は、過去の所定期間における空間放射線量の過去の平均値m及び標準偏差σを計算する。詳細には、解析サーバ101は、測定日から、測定日より13日前までの空間放射線量の相加平均値mを計算する。また、解析サーバ101は、測定日から、測定日より13日前までの空間放射線量の標準偏差σを計算する。
(4)解析サーバ101は、測定日の測定データxの平均に対する偏差x−mを計算する。また、解析サーバ101は、標準偏差σに対する偏差x−mの比(x−m)/σを計算する。
上記比(x−m)/σが予め定めた上限値を超える場合、後のステップで、地震の予兆としての異常値を検出したと判定されることとなる。また、解析サーバ101は、比(x−m)/σそのものを異常値として設定する。
<VLFのデータ解析>
(1)解析サーバ101は、夜間(例えば、21時〜3時)に観測されたVLF観測データを抽出する。なお、夜間の観測データを用いるのは、主に、太陽の影響を避けるためである。
(2)解析サーバ101は、観測データを用いて波形のプロットを行う。なお、プロットされた波形は、ディスプレイ、用紙などに出力可能であり、解析者は、出力された波形を参照し、欠測、停波、落雷などを目視により確認し、不適正なデータを排除する。これにより、データ解析(地震予測)において適正なデータが使用される。
ここで、VLF観測データの一例を図17に示す。図17は、根室に設置された受信局222で観測された観測データの一例を示す。
(3)解析サーバ101は、前15日の同時間の平均強度からの差異を計算する。
(4)解析サーバ101は、(3)で計算した差異の夜間時間の合計を計算する。
(5)解析サーバ101は、解析結果データをグラフ(VLFグラフ)にプロットすると共に、第2データベース122に記憶する。VLFグラフの一例を図18に示す。
<VORのデータ解析>
(1)解析サーバ101は、VOR観測データを抽出する。
(2)解析サーバ101は、観測データを用いて波形のプロットを行う。なお、プロットされた波形は、ディスプレイ、用紙などに出力可能であり、解析者は、出力された波形を参照し、欠測、停波、落雷、流星エコー、気象要因(例えば、風、地表温度)などを目視により確認し、不適正なデータを排除する。これにより、データ解析(地震予測)において適正なデータが使用される。
ここで、VOR観測データの一例を図19および図20に示す。図19は、通常時の観測データの一例を示す。図20は、異常時の観測データの一例を示す。
(3)解析サーバ101は、前15日間におけるVOR電波の強度の「平均(m)+標準偏差の3倍(3σ)」を計算する。
(4)解析サーバ101は、1日の中で「m+3σ」を超えた時間を解析結果データとしてグラフ(VORグラフ)にプロットすると共に、第2データベース122に記憶する。
VORグラフの一例を図21および図22に示す。図21は、観測データと平均(m)と計算結果「平均(m)+標準偏差の3倍(3σ)」と観測データが「平均(m)+標準偏差の3倍(3σ)」を超える値との関係の一例を示す図である。図22は、「平均(m)+標準偏差の3倍(3σ)」を超えた累積時間(1日毎)の一例を示す図である。
<GPSのデータ解析>
(1)解析サーバ101は、L1、L2という異なる周波数の電波の到達時間差から電離層電子密度変動(TEC)を計算する。
(2)解析サーバ101は、磁場の指数(Kp、Dst[nT]など)、太陽活動の指数(IMF、F10.7など)をもとに、磁場および太陽活動の影響がないことを確認し、不適正なデータを排除する。これにより、データ解析(地震予測)において適正なデータが使用される。
(3)解析サーバ101は、解析結果データをグラフ(GPSグラフ)にプロットすると共に、第2データベース122に記憶する。なお、GPSグラフについては図示を省略する。
ステップS13では、解析サーバ101は、地震予測を行う。詳細は後述するが、地震予測では、解析結果データ等に基づいて、地震の発生有無、発生場所、発生期間、および地震レベルを予測する。解析サーバ101は、本処理を終了した場合、ステップS14に処理を移す。
ステップS14では、解析サーバ101は、配信処理を行う(予測結果の配信などを行う)。例えば、解析サーバ101は、図23に示すように、日本地図(地図情報)にブロック画像がマッピングされ、ブロック区分ごとに発生期間(予測期間)と地震レベルとが任意のディスプレイに表示可能なファイル(画面情報)を生成する。また、例えば、解析サーバ101は、日本地図にブロック画像をマッピングせず、発生場所と発生期間(予測期間)と地震レベルとの文字情報を任意のディスプレイに表示可能なファイル(画面情報)を生成する。
なお、ファイルは、PDF(Portable Document Format)、HTML(HyperText Markup Language)など、任意の形式を採用可能である。
続いて、解析サーバ101は、生成したファイルを第4データベース124に記憶する。また、解析サーバ101は、予め定められたタイミングで、第4データベース124からファイルを読み出してEメールに添付し、予め登録されているメールアドレスに送信する。
ただし、配信処理は、上述の内容に限られるものではない。
例えば、配信は、毎日行われてもよいし、毎週、水曜日と金曜日というように、指定した曜日に行われてもよい。また、例えば、地震レベルに応じて配信してもよい。地震レベルが「(異常なし)」、「注意」である場合は、指定した曜日に配信が行われ、「警戒」である場合は、臨時(例えば、地震予測の直後)に配信が行われてもよい。
また、配信先として、例えば、所定の専用端末(契約対象の表示端末機、デジタルサイネージなど)に送信し、所定の専用端末は、予測結果を表示する構成であってもよい。また、例えば、予め登録された番号のファクシミリに予測結果を送信する構成であってもよい。また、例えば、予測結果を含む情報を所定のURLに送信し、WEBサイトに表示する構成であってもよい。
<地震予測処理>
図16は、地震予測処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
ステップS101では、解析サーバ101は、第2データベース122から解析結果を読み込む。本処理を終了した場合、ステップS102に処理を移す。
ステップS102では、解析サーバ101は、解析結果の異常度合いの判定(異常判定)を行う。以下に、観測手法ごとの異常判定の一例を示す。ステップS102の処理は、判定段階及び規模予測段階の処理の例である。本処理を終了した場合、ステップS103に処理を移す。
(空間放射線量SRDに基づく異常判定)
解析サーバ101は、ステップS12で算出した、標準偏差σに対する、異常値検出段階で検出された偏差x−mの比(x−m)/σが、予め定めた上限値を超えたか否かを判別する。
比(x−m)/σが、予め定めた上限値を超えた場合、地震の予兆としての異常値を検出したと判定する。また、解析サーバ101は、比(x−m)/σそのものを異常値として設定する。比(x−m)/σが、予め定めた上限値を超えない場合、地震は発生しないと予測する。
解析サーバ101は、上述した推定式(III)を用いて、対応する地震の震央までの距離及び地震の規模の関係を求める。
(VLF電波に基づく異常判定)
解析サーバ101は、ステップS12で算出した夜間時間の合計が所定の値(「−2.5」、「−3」等)を超えたか否かを判定する。所定の値を超えたと判定した場合、地震が発生すると予測し、所定の値を超えていないと判定した場合、地震が発生しないと予測する。
(VOR電波に基づく異常判定)
解析サーバ101は、ステップS12で算出した「m+3σ」を超えた時間が所定の値(例えば、120分)を超えたか否かを判定する。所定の値を超えたと判定した場合、地震が発生すると予測し、所定の値を超えていないと判定した場合、地震が発生しないと予測する。
なお、所定の値については、過去の実績がフィードバックされる構成を採用してもよく、その場合、VOR観測データ種別ごとに所定の値を示すデータが外部記憶装置1013に記憶され、所定の値は、VOR観測データ種別ごとに異なり得る。
(GPS電波に基づく異常判定)
解析サーバ101は、ステップS12で算出した電離層電子密度変動について、閾値(例えば、前15日に対して+2σ)を超えた時間が所定時間(例えば、10時間)以上あったか否かを判定し、閾値を超えた時間が所定時間以上あったと判定した場合、地震が発生すると予測し、閾値を超えた時間が所定時間以上継続しなかったと判定した場合、地震が発生しないと予測する。
異常判定は、上述の内容に限られるものではない。上述した異常(伝播異常、URL放射)の特性に基づいて、適宜の方法により異常判定することが可能である。
付言するならば、異常判定の一部または全部を、出力されたグラフなどを参照して人が担ってもよい。
ステップS103では、解析サーバ101は、解析結果の異常度合いの判定結果を第3データベース123に記憶する。例えば、解析サーバ101は、図9に示すように、観測データ種別ごとに異常判定結果を示す情報を記憶する。本処理を終了した場合、ステップS104に処理を移す。
ステップS104では、解析サーバ101は、地震予測カレンダーを更新する。より具体的には、観測データ種別ごとに異常判定結果と前兆異常期間とを参照し、地震予測カレンダーを更新する。ステップS104の処理は、地震の発生時期を予測する時期予測段階の処理の例である。本処理を終了した場合、ステップS105に処理を移す。
ステップS105では、解析サーバ101は、地震が予測されているか否かを判定する。より具体的には、解析サーバ101は、地震予測カレンダーを参照し、本日から所定の日数(例えば、10日)までに、地震が発生すると予測したことを示す情報(発生日予測情報)が設定されているか否かを判定する。解析サーバ101は、発生日予測情報が設定されていると判定した場合、ステップS106に処理を移し、発生日予測情報が設定されていないと判定した場合、ステップS111に処理を移す。
ステップS106では、解析サーバ101は、地震が予測されている予測データ(観測データ種別、地震が予測されている日、マグニチュード)を地震予測カレンダーから抽出する。本処理を終了した場合、ステップS107に処理を移す。
ステップS107では、解析サーバ101は、各予測データを照合して地震発生地域を絞り込む。より具体的には、解析サーバ101は、地震が予測されている観測データ種別が含まれる地震検知エリアを絞り込む(抽出する)。続いて、解析サーバ101は、絞り込んだ地震検知エリアに対応するブロック区分を特定(設定)する。また、解析サーバ101は、特定したブロック区分に対応するブロック画像を外部記憶装置1013から読み出す(ブロック画像のファイル名を一時記憶する)。ステップS107の処理は、所定領域設定段階の処理の一例である。
ステップS108では、解析サーバ101は、各予測データを照合して地震発生期間を絞り込む。解析サーバ101は、ブロック区分ごとに地震発生期間を絞り込む。より具体的には、ブロック区分に対応付けられた観測データ種別の各地震発生期間(地震が予測されている日)の和集合を求める。求めた地震発生期間の最終日が所定の日数(例えば、10日)を超える場合、翌日から所定の日数までを地震発生期間(予測期間)として特定(設定)し、超えない場合、翌日から求めた地震発生期間の最終日までを地震発生期間(予測期間)として特定する。
ステップS109では、解析サーバ101は、各予測データを照合して地震レベルを設定する。地震レベルとしては、「異常なし」、注意を示す「注意レベル(第1レベル)」と警戒を示す「警戒レベル(第2レベル)」とが設けれらている。
解析サーバ101は、ブロック区分ごとに地震レベルを設定する。
より具体的には、ブロック区分に対応付けられた観測データ種別の全てにおいて、地震が発生すると予測された場合(発生日予測情報が設定されている場合)、警戒レベルを設定する。
例えば、図12に示すブロック区分「B」について見ると、観測データ種別は、全部で、「SRD2」、「SRD3」、「SRD4」、「VLF3」、「VLF4」、「VLF5」、「VLF15」、「VOR6」、および「GPS」であり、全ての観測データ種別において発生日予測情報が設定されている場合、ブロック区分「B」に対して警戒レベルが設定される。このようにして、空間放射線量に基づいて震央までの距離及び地震の規模(大きさ)を予測する規模予測段階、および電波に基づいて異常を判定する判定段階の両方で影響があると判定された場合、対応する領域で地震が起こる確率が高まるよう予測される。
他方、ブロック区分に対応付けられた観測データ種別の全てにおいて地震が発生しないと予測された場合、異常なしを設定し、観測データ種別「SRD」のみにおいて地震が発生すると予測された場合、異常なしを設定し、上記以外は注意レベルを設定する。
例えば、図12に示すブロック区分「B」について見ると、観測データ種別「SRD2」、「SRD3」、および「SRD4」においてのみ発生日予測情報が設定されている場合、ブロック区分「B」に対して異常なしが設定される。例えば、図12に示すブロック区分「B」について見ると、観測データ種別「SRD2」、「SRD3」、「SRD4」、「VLF5」、および「VLF15」においてのみ発生日予測情報が設定されている場合、ブロック区分「B」に対して注意レベルが設定される。
なお、地震レベルの設定は、上述の内容に限られるものではない。例えば、ブロック区分の何れかの観測エリアに対応付けられた観測データ種別の全てにおいて地震が発生すると予測された場合に警戒レベルを設定し、その他の場合は注意レベルを設定する構成を採用してもよい。
ステップS110では、解析サーバ101は、地震が発生する旨の予測結果を生成する。より具体的には、解析サーバ101は、予測した地震の発生場所、発生期間、警戒レベルを含む予測結果(地震予測情報)を生成する。
ステップS111では、解析サーバ101は、地震が発生しない旨の予測結果を生成する。本処理を終了した場合、メイン処理に処理を戻す。
付言するならば、ステップS103からステップS110の一部または全部を人が担ってもよい。
例えば、判定結果の記憶(ステップS103)および地震予測カレンダーの更新(ステップS104)を行うことなく、解析結果データがプロットされた各グラフを参照して、地震が予測されているか否かを判定してもよい。
また、例えば、解析結果データがプロットされた各グラフ、地震予測カレンダー等を参照して、地震発生地域を絞り込んでもよい。この際、異常が検出されたSDR、VLF、VORの観測エリアを色分けして地図に書き込み、地震発生地域を絞り込む(震源を特定する)。
また、例えば、解析結果データがプロットされた各グラフ、地震予測カレンダー等を参照して、地震発生期間を絞り込んでもよい。
また、例えば、解析結果データがプロットされた各グラフ、地震予測カレンダー等を参照して、地震レベルを設定してもよい。
また、例えば、解析結果データがプロットされた各グラフ、地震予測カレンダー等を参照して、地震が発生する旨の予測結果(地震が発生しない旨の予測結果)を作成してもよい。
<<配信情報>>
図23は、配信情報の一例(地震ハザードマップ:地震警戒度マップ)を示す図である。
地震ハザードマップには、地図画像500、ブロック区分に対応するブロック画像501,502,503,504、地震予測詳細505が含まれる。
地図画像500は、概ね日本全体を示す。ただし、地図画像500は、北海道・東北圏、首都圏、中部圏、近畿圏、九州圏など日本の一部(例えば、図中の各枠内。)を示す地図であってもよし、全部と一部の組合せ(全部を示しつつ、一部も示す構成。)であってよい。
ブロック画像501,502,503,504は、地震の震源エリアを示す。
ブロック画像501,502,503,504は、地震レベルも示している。ブロック画像501は、地震レベルが警戒レベルを示す画像であり、赤色で表示される。ブロック画像502,503,504は、地震レベルが注意レベルを示す画像であり、緑色で表示される。
地震予測詳細505は、ブロック区分ごとの予測期間と地震レベルとを示す。例えば、ブロック区分No.3を見ると、2015年12月9日〜2015年12月12において警戒レベルが設定されているので、当該期間に当該ブロック区分で地震が発生する確率が相対的に高いことがわかる。
なお、地震ハザードマップは、上述の内容に限られるものではない。
例えば、地震予測詳細505は、上述の内容に加えてまたは代えて、アナリストの解説が含まれてもよいし、マグニチュード(値、規模レベル)が含まれてもよい。例えば、マグニチュードの規模レベルとしては、「M5.0」以上「M6.5」未満は中規模レベル、「M6.5」以上「M7.5」未満は大規模レベル、「M7.5」以上「M8.5」未満は巨大規模レベル、「M8.5」以上は長巨大規模レベルが設けられてもよい。
また、例えば、予測される地震の発生地点(震源)、被害の拡大範囲および被害程度、避難経路、避難場所などの情報が地図上に図示されてもよい。
なお、本実施形態は、上述の内容に限られるものではない。
本実施形態では、観測手法を4つ示して説明したが、4つ全てを採用しなくてもよい。例えば、空間放射線量(SRD)の観測手法のみを単体で採用してもよい。また、例えば、SRDの観測手法にVLFの観測手法と組み合わせて採用してもよいし、SRDの観測手法に、VLFの観測手法とGPSの観測手法とを組み合わせて採用してもよい。つまり、任意の観測手法を2つ組み合わせてもよいし、任意の観測手法を3つ組み合わせてもよい。
また、例えば、解析サーバ101は、まず、所定のマグニチュード(例えば、「M6.0」)以上の地震を対象として予測する構成としてもよい。より詳細には、解析サーバ101は、異常判定結果を参照し、所定のマグニチュード以上の地震を予測しているか否かをブロック区分ごとに判定する。
上述の構成によれば、所定のマグニチュード以上の地震を予測の対象とすることで、毎日起きている「M4.0」以下の小規模レベルの地震を排除することができ、地震予測の重要度を上げることが可能となる。
この際、各ブロックの地震のマグニチュードは、観測手法に対応付けられた優先順位に従って決定される構成(観測手法に重み付けをしてマグニチュードを決定する構成)を採用してもよい。
SRDによる観測手法との組合せとして、最も優先順位が高い観測手法は、マグニチュードの予測に過去の実績データが反映されるVLFに係る観測であり、最も優先順位が低い観測手法は、マグニチュードの特定が一定となるGPSに係る観測手法である。
他方、観測手法に重み付けをしない構成を採用してもよい。この場合、最も高いマグニチュードを示す値を採用する。
上述の構成によれば、最悪のケースを想定した予測が可能になる。
なお、上述した4つの観測手法に加えてまたは代えて、地震の前に発生する微小なひび割れから生じる極超長波(ULF)と称される電波をULFセンサで検出可能した結果に基づいて、地震を予測する観測手法を採用してもよい。
また、電離層のF層に対する臨界周波数を求め、求めた臨界周波数の高低を判断して、地震を予測することが可能な銀河電波の観測手法を採用してもよい。
上述した構成によれば、様々な角度から地震の前兆現象を捉えることで、高確率な地震予測を実現できる。
図24は、空間放射線量を用いた地震予測方法の適用例を説明するグラフである。図24のグラフは、2016年4月における熊本市に設置されたモニタリングポストの空間放射線量を示している。
4月7日に、0.083μSv/hの空間放射線量が観測された。平均値との偏差(x−m)は0.0454であり、標準偏差のとの比(x−m)/σは、12.20102123であり、異常値として検出された
また、4月7日から、7〜13日の間に地震が発生すると予測された。なお、VLFの観測によって、4月7日に、佐賀−大仁に対応する領域で異常が観測された。このため、この地域における地震の発生の確度が高いと予測された。
4月16日に、M7.3の地震を本震とする熊本地震が、対応地震として発生した。測定地点から震源までの距離は、約4.6kmであった。
なお、4月21日に、空間放射線量の異常値が検出された。但し、この時、VLFの観測による異常は検出されなかった。結果として、4月21日における空間放射線量の異常値に対応する地震は発生しなかった。
空間放射線量の異常値の検出に基づいて、有意な確率で地震を検出することが可能であることが分かった。
100 地震予測システム
110 データ処理部
120 データ記憶部
131 観測データ
132 統計基礎データ

Claims (9)

  1. 測定地点の地上に設置された空間放射線量測定装置で周期的に測定された前記測定地点の空間放射線量のデータを収集するデータ収集段階と、
    周期的に測定された前記空間放射線量における平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する異常値検出段階と、
    検出された前記異常値に基づいて、前記異常値が生じた後に発生し得る、前記異常値に対応する前記測定地点から地震の震央までの距離前記地震の規模との関係を予測する規模予測段階と、
    を有することを特徴とする地震予測方法。
  2. 前記異常値検出段階で検出された前記異常値が生じた時期に基づいて、前記地震の発生時期を予測する時期予測段階をさらに有することを特徴とする請求項1記載の地震予測方法。
  3. 異常値検出段階は、前記空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量が、国際放射線防護委員会の勧告による平常時の公衆の線量限度の単位時間あたりの量よりも低い場合における空間放射線量に基づいて異常値を検出することを特徴とする請求項1又は2記載の地震予測方法。
  4. 前記データ収集段階は、複数の測定地点に設置された空間放射線量測定装置で測定された空間放射線量のデータを収集し、
    前記異常値検出段階は、前記複数の測定地点のそれぞれについて前記異常値を検出し、
    前記規模予測段階は、前記複数の測定地点のそれぞれについて前記異常値に対応する前記それぞれの測定地点から地震の震央までの距離前記地震の規模との関係を予測することを特徴とする請求項1から3いずれか1に記載の地震予測方法。
  5. 前記空間放射線量測定装置は、測定した空間放射線量を表すデータを、コンピュータネットワークを通じて送信することを特徴とする請求項1から4いずれか1に記載の地震予測方法。
  6. 空間放射線量測定装置は、測定地点における放射線量を定期的に監視するためのモニタリングポストであることを特徴とする請求項1から5いずれか1に記載の地震予測方法。
  7. 前記異常値検出段階は、周期的に測定された前記空間放射線量の標準偏差に対する、異常値検出段階で検出された前記偏差の比に基づいて、地震に対応する前記異常値を検出することを特徴とする請求項1から6いずれか1に記載の地震予測方法。
  8. 地上に設置された受信装置で受信された電波に地震の前兆現象の影響があるか否かを判定する判定段階と、
    前記規模予測段階の予測結果と前記判定段階による判定結果とに基づいて地震を予測するための所定領域を設定する所定領域設定段階と、
    前記規模予測段階および前記判定段階の両方で影響があると判定された場合、前記所定領域で地震が起こる確率が高まるよう予測する予測段階と、を有することを特徴とする請求項1から7いずれか1に記載の地震予測方法。
  9. 測定地点の地上に設置された空間放射線量測定装置で周期的に測定された前記測定地点の空間放射線量のデータを収集するデータ収集手段と、
    周期的に測定された前記空間放射線量における平均に対する偏差の異常値を地震の前兆として検出する異常値検出手段と、
    検出された前記異常値に基づいて、前記異常値が生じた後に発生し得る、前記異常値に対応する前記測定地点から地震の震央までの距離前記地震の規模との関係を予測する規模予測段階と、
    を有することを特徴とする地震予測システム。
JP2016187866A 2016-09-27 2016-09-27 地震予測方法および地震予測システム Active JP6815005B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016187866A JP6815005B2 (ja) 2016-09-27 2016-09-27 地震予測方法および地震予測システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016187866A JP6815005B2 (ja) 2016-09-27 2016-09-27 地震予測方法および地震予測システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018054348A JP2018054348A (ja) 2018-04-05
JP6815005B2 true JP6815005B2 (ja) 2021-01-20

Family

ID=61836395

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016187866A Active JP6815005B2 (ja) 2016-09-27 2016-09-27 地震予測方法および地震予測システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6815005B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110412646B (zh) * 2018-04-27 2024-02-23 曾玉婷 一种地震前兆参数获取方法及临震预测方法
KR102686609B1 (ko) * 2021-08-12 2024-07-18 한전케이디엔주식회사 배전계통에 설치된 단말장치들을 이용한 지진감지 시스템 및 방법
CN116663752B (zh) * 2023-07-31 2023-10-10 山东省地质测绘院 一种基于大数据分析的地质灾害智能预警系统

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59111081A (ja) * 1982-12-17 1984-06-27 Shintaro Kamisaka 地震予知装置
JP2000180559A (ja) * 1998-12-17 2000-06-30 Masatada Hata 地殻活動監視装置
AU2002222626A1 (en) * 2000-12-12 2002-06-24 Hiroyuki Inubushi Device and method for analyzing correlation between natural-world data and earthquake data, device and method for moniting natural-world data, and method ofmonitoring earthquake
ITRM20020638A1 (it) * 2002-12-20 2004-06-21 Gioacchino Giuliani Dispositivo e metodo di rilevazione della variazione di concentrazione di gas radon nell'ambiente e uso del dispositivo nella previsione di eventi sismici.

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018054348A (ja) 2018-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hutchins et al. Far-field power of lightning strokes as measured by the World Wide Lightning Location Network
CN102741895B (zh) 自动进行位置相关的自然灾害预报的方法和系统
Blanc et al. Ten year observations of gravity waves from thunderstorms in western Africa
Bedka et al. Examining deep convective cloud evolution using total lightning, WSR-88D, and GOES-14 super rapid scan datasets
Lay et al. Local time variation in land/ocean lightning flash density as measured by the World Wide Lightning Location Network
Keilhauer et al. Impact of varying atmospheric profiles on extensive air shower observation: atmospheric density and primary mass reconstruction
Basarab et al. An improved lightning flash rate parameterization developed from Colorado DC3 thunderstorm data for use in cloud‐resolving chemical transport models
Singh et al. D‐region ionosphere response to the total solar eclipse of 22 July 2009 deduced from ELF‐VLF tweek observations in the Indian sector
JP6815005B2 (ja) 地震予測方法および地震予測システム
Dafis et al. Performance evaluation of an explicit lightning forecasting system
Murakami et al. Contributing factors to the recent high level of accumulated cyclone energy (ACE) and power dissipation index (PDI) in the North Atlantic
Suszcynsky et al. Narrow bipolar events as indicators of thunderstorm convective strength
Dear et al. Ionospheric effects during the total solar eclipse over Southeast Asia‐Pacific on 9 March 2016: Part 1. Vertical movement of plasma layer and reduction in electron plasma density
Liu et al. Meteorological and electrical conditions of two mid‐latitude thunderstorms producing blue discharges
Massin et al. Status of earthquake early warning in Switzerland
Enno et al. ATDnet detection efficiency and cloud lightning detection characteristics from comparison with the HyLMA during HyMeX SOP1
Smets et al. The study of sudden stratospheric warmings using infrasound
Bór et al. Measurements of atmospheric electricity in the Széchenyi István geophysical observatory, Hungary
CN112415570B (zh) 一种地震静电预警系统
Tyndall et al. Sensitivity of surface air temperature analyses to background and observation errors
Alfonsi et al. Analysis of the regional ionosphere at low latitudes in support of the biomass ESA mission
Fujiwara et al. Statistical comparison of national probabilistic seismic hazard maps and frequency of recorded JMA seismic intensities from the K-NET strong-motion observation network in Japan during 1997–2006
JP6742101B2 (ja) 地震予測方法および地震予測システム
Yokoi et al. The relationship between observation intervals and errors in radar rainfall estimation over the Indochina Peninsula
JP3453272B2 (ja) 地殻活動監視システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190918

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200415

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200526

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200909

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6815005

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350