JP6813196B2 - 学習システム、学習プログラム及び学習方法 - Google Patents

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Description

本発明は、役割取得能力の発達を促す為の学習システム、学習プログラム及び学習方法に関する。
近年、書籍の電子化が進んでおり、音声や動きを用いてより効果的に内容を伝える電子書籍等も知られている。例えば特許文献1には、登場人物の画像を表示するとともに、登場人物の発言を読み上げる電子書籍装置が記載されている。
また、このような電子書籍や電子絵本は、教育目的でも用いられている。例えば、特許文献2には、電子絵本の進行の途中でクイズを出題し、学習を行わせる技術が記載されている。
特開2003−122554号公報 特開2006−308815号公報
ところで、幼児期の教育によって獲得すべき能力のひとつに、役割取得能力がある。役割取得能力とは、自分の考えや気持ちと同等に他者の立場に立って、その人の考えや気持ちを推し量り、それを受け入れ、調整して対人行動に生かす能力のことである。
役割取得能力の発達に伴って自己中心性が低減し、他者理解が進む。また、自らが行った行為が相手にどのような影響を与えるのかについて理解できるようになるとともに、他者の行動の意味を理解できるようになる。このように、役割取得能力の発達を促すことは、社会性を育む上で非常に重要である。
役割取得能力の教育において紙の絵本を用いることが従来から行われてきたが、近年、ユーザの入力に反応して動作する電子的な媒体の方が、紙絵本よりも子供が興味を示しやすく、主体的に関わろうとするということがわかった。
しかし、特許文献1、2に記載の電子絵本等では、他者の気持ちの理解を促すための機能が備わっておらず、効果的に役割取得能力の発達を促すことが出来なかった。そこで、本発明では、物語を通して役割取得能力の発達を促すことが出来る電子的な学習システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決する為に、本発明は、役割取得能力の発達を促す為の学習システムであって、
複数の場面により構成される物語及び前記物語の登場人物の気持ちに関する質問を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記物語の場面を示すページ画面及び前記質問を出力させるための質問画面を表示処理して処理結果を送信する表示手段と、を備え、
前記質問画面は、前記物語に含まれる前記場面に対応する前記ページ画面を全て表示した後に表示される。
このような構成とすることで、物語の全ての場面を確認させた後で、登場人物の気持ちに関する質問を出力することができるため、登場人物の気持ちを考えさせることで役割取得能力の発達を促すことができる。また、場面ごとにページ画面を切り替えて表示することで、それぞれのペースで各場面を理解して物語を進めることができる。
本発明の好ましい形態では、ユーザからの入力に応じて音声を出力する音声出力手段を更に備え、前記音声出力手段は、前記ページ画面において表示される再生ボタンを介して音声出力の指示を受け付け、前記場面に対応する場面音声を出力し、前記ページ画面は、前記場面音声の再生位置を示す表示を含む。
このような構成とすることで、各場面の内容が音声によって出力されるため、子供や言語学習中の外国人等の文字が読めない人物であっても、物語を理解することができる。また、ユーザの入力に応じて音声が再生されることで、ユーザの興味を引き自主的に物語に関わる効果が期待できる。更に、全体のどの位置を再生中であるかを示す再生位置を表示することで、注意力が低い子供等でも、集中して音声を聞くようになる効果が期待できる。
本発明の好ましい形態では、前記音声出力手段は、前記ページ画面を介して登場人物を選択する入力を受け付け、前記場面音声のうち、選択された登場人物の発言部分に対応する発言音声を出力する。
このような構成とすることで、ユーザは、ページ画面に示される登場人物と、その発言と、の対応をより明確に理解することができる。また、ユーザの入力に応じて発言音声を出力することにより、個々の希望するタイミングで発言を確認することができるため、より物語の内容について理解しやすくなる効果が期待できる。
本発明の好ましい形態では、前記記憶手段は、一つの前記物語に対して複数の前記質問を記憶し、
前記音声出力手段は、前記質問画面を介して前記質問の選択を受け付けて当該質問を読み上げる質問音声を出力する。
このような構成とすることで、一つの物語に対して多角的に考えさせ、より効果的に役割取得能力の発達を促すことができる。例えば、一つの物語について、複数の登場人物それぞれの気持ちを尋ねる質問をすることで、他者の立場に立って気持ちを考えるトレーニングを行うことが出来る。
本発明の好ましい形態では、前記質問画面は、選択された質問及びそれ以外の質問を識別可能に表示する。
このような構成とすることで、どの質問を再生しているのかを理解しやすくなり、注意力が低いユーザでも現在の進捗状況を認識できる。
本発明の好ましい形態では、前記ページ画面及び質問画面は、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ装置の備えるタッチパネルディスプレイにおいて表示される。
このような構成とすることで、ユーザが興味を示しやすく、かつ直感的な操作が可能な媒体を用いて学習を行うことができる。
本発明の好ましい形態では、前記ページ画面及び/又は質問画面において出力される音声に対応する文字を出力する文字出力手段を更に備え、
前記表示手段は、前記文字を含む前記ページ画面及び/又は質問画面を表示処理して処理結果を送信する。
このような構成とすることで、文字が読めるユーザに対してはより効果的に物語の内容を理解させることができる。また、音声と文字の両方を出力することにより、語学学習にも役立てることが出来る。
本発明の好ましい形態では、前記記憶手段は、テーマごとに前記物語を複数記憶する。
このような構成とすることで、繰り返し学習を行った場合に例えばユーザが質問と前回の回答を記憶し、質問に対して考えなくなってしまうような問題を防止することができる。
本発明の好ましい形態では、前記物語ごとに、前記質問及び質問に対する回答欄を記載したワークシートを更に備える。
このような構成とすることで、電子的に表示される物語及びワークシートを併用して、ユーザの回答を記録することができる。また、ワークシートを用いることで、文字が書けないユーザの代わりに親や教員等の教育者が回答を記入する運用が可能になる。
本発明は、役割取得能力の発達を促す為の学習プログラムであって、コンピュータを、
複数の場面により構成される物語及び前記物語の登場人物の気持ちに関する質問を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記物語の場面を示すページ画面及び前記質問を出力させるための質問画面を表示処理して処理結果を送信する表示手段と、として機能させ、
前記質問画面は、前記物語に含まれる前記場面に対応する前記ページ画面を全て表示した後に表示される。
本発明は、役割取得能力の発達を促す為の学習方法であって、
複数の場面により構成される物語及び前記物語の登場人物の気持ちに関する質問を対応付けてコンピュータに記憶させるステップと、
前記物語の場面を示すページ画面を表示処理して処理結果を送信するステップと、
全ての前記場面に対応する前記ページ画面の表示後に、前記質問を出力するステップと、を備える。
本発明によれば、物語を通して役割取得能力の発達を促すことが出来る電子的な学習システムを提供することができる。
本発明の実施形態における学習システムの学習装置の機能ブロック図である。 本発明の実施形態における学習システムが記憶する情報の一例を示す図である。 本発明の実施形態における学習システムを利用した学習の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施形態における学習システムの物語選択画面の表示例を示す図である。 本発明の実施形態における学習システムのページ画面の表示例を示す図である。 本発明の実施形態における学習システムの質問画面の表示例を示す図である。 本発明の実施形態における学習システムと併用するワークシートの一例を示す図である。
以下、図面を用いて、本発明に関する学習システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
例えば、本実施形態では学習システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、サーバ装置、コンピュータプログラム、記録媒体等も、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えばコンピュータにプログラムをインストールすることができる。ここで、プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD−ROM等の非一過性の記録媒体であっても良い。
本実施形態では、それぞれテーマを持った物語を複数用意し、その物語を教材として登場人物の気持ちについて考えさせる質問をすることで、役割取得能力の発達を促す形態を示す。本実施形態におけるテーマとは、物語の題材のことであり、例えば「遊具を使用する順番」、「もらったごほうびの分け方」等のテーマが挙げられる。そして、本実施形態では、話の大筋は変えずに登場人物の名前や発言を少し変えて、各テーマについて複数の物語を用意する。これにより、それぞれ異なる物語として認識させ、質問と回答を覚えてしまい学習効果が薄れることを防止することができる。
また、本実施形態では、幼児から小学校低学年程度の子供を対象に教育を行うことを想定するが、学習の対象者は限定されない。
本実施形態では、3つの場面からなる短い物語を教材として学習を行う。本実施形態の学習システムは、場面ごとに挿絵と操作部を含むページ画面を表示して、ユーザの入力を受け付けて音声の出力や場面の移動を行う。即ち、本実施形態では、3ページの絵本を教材として学習を行う。
本実施形態の学習システムは、学習装置1と、ワークシートと、によって構成される。学習装置1は、ディスプレイへの表示や音声の再生により、ユーザとの間で物語に関する入出力を行うためのコンピュータ装置であり、ワークシートは物語に関する質問及び質問に対する回答欄が記載された、回答の記録を行う為のノートである。
図1は、本実施形態における学習システムの機能ブロック図である。学習装置1は、ユーザからの入力に応じて場面に応じた音声を出力する音声出力手段11と、音声に対応する文字を出力する文字出力手段12と、ページ画面及び質問画面を表示処理して処理結果を送信する表示手段13と、物語及び物語の登場人物の気持ちに関する質問を対応付けて記憶する記憶手段14と、を備える。
学習装置1としては、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置、タッチパネルディスプレイやスピーカー等を含む種々の入出力装置等を備えた、スマートフォン等の一般的なコンピュータ装置を利用することができる。
音声出力手段11は、ページ画面において表示される再生ボタンを介して音声出力の指示を受け付け、当該ページ画面が示す場面に対応する場面音声を出力する。場面音声とは、物語の場面を説明する音声である。例えば当該場面にナレーション及び登場人物の発言が含まれていれば、その全てを連続して読み上げる音声である。
また、本実施形態の音声出力手段11は、ページ画面を介して登場人物を選択する入力を受け付け、選択された登場人物の当該場面における発言音声を再生する。例えば、ページ画面の挿絵に登場人物が描かれており、ユーザがタッチパネルディスプレイにおいてその登場人物をタップ(クリック)する入力を行うことで、場面音声のうち、タップされた登場人物の発言部分を再生させることができる。
更に、本実施形態では、音声出力手段11は質問画面を介して質問を選択する入力を受け付け、選択された質問を読み上げる質問音声を出力する。
文字出力手段12は、ページ画面や質問画面において出力される音声に対応する文字を出力する。例えば、ページ画面において登場人物が選択されると、音声出力手段11が出力する発言音声を文字として後述の表示手段13に出力する。この他にも、場面音声全体や質問音声に対応する文字を出力し、ページ画面や質問画面において表示させてもよい。
表示手段13は、物語の各場面を示すページ画面及び質問を出力させるための質問画面を表示処理して処理結果を送信する。これにより、学習装置1の備えるタッチパネルディスプレイ等の表示部においてページ画面及び質問画面を表示する。また、文字出力手段12の出力に基づいて、文字を含むページ画面や質問画面を表示処理する。
記憶手段14は、複数の場面(ページ)により構成される物語及び物語の登場人物の気持ちに関する質問を対応付けて記憶する。本実施形態では、テーマごとに2つの物語を記憶し、その各々について複数の質問が記憶されている。本実施形態では物語選択時に「こころえほんその1」と「こころえほんその2」を選択することができ、それぞれ4つのテーマに対応した物語を選択することができる。即ち、本実施形態の記憶手段14は、4つのテーマのそれぞれについて、「こころえほんその1」及び「こころえほんその2」の2種類ずつの物語を記憶している。
図2は、本実施形態において記憶手段14が記憶する情報の一例を示す図である。このように、記憶手段14は、物語情報として、物語IDと、物語名と、物語のテーマと、を記憶する。また質問情報として、質問No.、質問文、音声データ及び質問の対象となる物語を特定する物語IDを記憶する。このように本実施形態では質問情報に含まれる物語IDによって、物語及び質問が紐づいている。なお本実施形態では、質問は各物語について6つ記憶されており、物語ごとに質問No.1〜6の質問が存在する。
また、物語情報は、各物語を構成する場面の情報である場面情報を含む。図2における場面情報は、ある物語における場面情報の一例である。このように、場面情報は、各場面について、登場人物やナレーション等の発言者を区別した発言内容及びページ画面において表示される場面の挿絵となる画像を含む。発言内容は、文字で表現される発言文字情報と、発言を読み上げた音声の情報である発言音声情報と、を含む。
本実施形態では、ナレーション及び登場人物ごとに発言内容及びその順序を記憶する。例えば、場面1では、まずナレーション発言があり、次に登場人物1発言、その次に登場人物2発言、最後に登場人物3発言、の順番で発言が管理される。これにより各場面の発言の順序が決定され、音声出力手段11がこの通りの順序で連続して発言音声情報を出力すれば、場面音声が出力される。また、発言音声を出力する場合には、対応する登場人物の発言に対応する発言音声情報を出力すればよい。なお、場面音声と発言音声とをそれぞれ記憶する構成としてもよい。文字出力手段12による文字の出力も同様にして行うことができる。
また、本実施形態では、音声出力手段11がページ画面を介して登場人物を選択する入力を受け付け、当該登場人物の発言音声を出力する。この際に選択された登場人物から発言を特定する為に、各場面における発言情報は各登場人物につき1以下で構成され、ひとつの場面において複数の発言をする登場人物は存在しない。これにより、ページ画面を介した登場人物の選択だけで、その場面の登場人物の発言を特定できる。なお、ナレーション発言については、各場面において複数の発言を含んでいてもよいし、1以下の発言から構成されてもよい。
なお、上記の各手段は、必ずしも一つのコンピュータ装置が備えている必要はない。例えば、一部の手段を別のコンピュータ装置が備え、複数の装置を協働させて本実施形態における学習装置1として機能させる構成としてもよい。
また、本実施形態では、スマートフォンやタブレット端末等を学習装置1として用いる構成を示すが、例えば、上述の各手段を備えるサーバ装置等を学習装置1として利用し、ネットワークを介してサーバ装置に接続するスマートフォンやタブレット端末によってユーザとの間で入出力を行う構成としてもよい。この場合、音声出力手段11は、各種の音声をスマートフォンやタブレット端末等のユーザ端末に送信し、表示手段13は、表示処理結果をユーザ端末に送信して、ユーザ端末が備えるスピーカーやタッチパネルディスプレイ等において音声の再生や画面の表示を行う。
図3は、本実施形態における学習システムを利用した学習の流れを示すフローチャートである。まずステップS1において、表示手段13が物語を選択させる為の物語選択画面を表示し、物語の選択を受け付ける。図4は、本実施形態における物語選択画面の表示例を示す図である。物語選択画面W1は、選択部W11と、設定ボタンW12と、ホームボタンW13と、を備える。選択部W11には物語を選択する為のボタンが表示されており、このボタンをタップすることで物語の選択を入力できる。
なお、本実施形態では「こころえほんその1」と「こころえほんその2」を選択することができ、それぞれ4つのテーマに対応した物語を選択することができる。図4は、「こころえほんその1」を選択した場合の物語選択画面W1の表示例である。ここに表示される1〜4の物語は、それぞれ異なる4つのテーマに対応しており、「こころえほんその2」を選択した場合には、これら4つのテーマに対応する別の物語が選択肢として表示される。即ち、記憶手段14は、4つのテーマのそれぞれについて2種類ずつの物語を記憶しており、ユーザは任意に物語を選択することができる。
設定ボタンW12は、文字表示の有無を設定する為に表示されるボタンであり、設定ボタンW12が操作されると、文字表示の有無を選択するボタンが表示される。ここで、文字表示ありを選択した場合には、ページ画面や質問画面において、音声に対応する文字が表示される。なお、本実施形態では、ページ画面において発言音声に対応する文字を表示し、場面音声全体や質問音声については表示しないが、これらについても表示するようにしてもよい。
ホームボタンW13が操作されると、「こころえほんその1」と「こころえほんその2」の選択を受け付けるホーム画面の表示要求を表示手段13が受け付け、学習装置1が備えるタッチパネルディスプレイにおいてホーム画面が表示される。
物語選択画面W1を介して学習装置1が物語の選択を受け付けると、ステップS2に進み、選択された物語の最初の場面を示すページ画面を表示する。図5は、本実施形態におけるページ画面の表示例を示す図である。図5(a)は、場面音声再生中のページ画面W2を、図5(b)は登場人物の選択に応じた発言音声の再生中のページ画面W2を、それぞれ例示する。
ページ画面W2は、再生ボタンW21と、停止ボタンW22と、進むボタンW23と、戻るボタンW24と、を備える操作部を画面右側に表示する。また、場面の挿絵の画像を表示する画像表示部を左側に表示する。再生ボタンW21が操作されると、音声出力手段11が入力を受け付けて場面音声を出力し、学習装置1が備えるスピーカー等によって再生される。
本実施形態では、場面音声の再生中には、再生ボタンW21上に再生位置表示W25が表示される。再生位置表示W25は、場面音声全体のうち現在どの位置を再生中であるかを示すものである。図5(a)の例では、四角形が場面音声全体を表し、黒丸印が現在の再生位置を表しており、場面音声の再生中に黒丸印が四角形の左端から右端まで移動する。つまり、図5(a)の例では、半分より少し後ろ辺りを再生している。なお、再生位置表示W25は、再生位置を表せるものであれば、任意の位置に任意の形式で表示してよい。
そして、画像表示部において登場人物をタップすると、タップされた登場人物の選択が音声出力手段11によって受け付けられ、この場面における当該登場人物の発言音声が出力される。そして、図4における設定ボタンW12の操作によって、文字表示ありが選択された場合には、登場人物のタップによって文字出力手段12も登場人物の選択を受け付け、音声出力手段11が出力する音声に対応する文字を出力する。
図5(b)は、図4における設定ボタンW12で文字表示ありが選択された場合に、発言音声の再生中に表示されるページ画面W2の表示例である。このように、文字表示ありが選択されると、発言音声の再生中には発言表示部W26が表示される。なお、発言音声に限らず、全ての場面音声の再生中に発言表示部W26を表示して、音声出力手段11が出力する音声に対応する文字を常に表示する構成としてもよい。
このように、登場人物の選択に反応して当該登場人物の発言を出力することにより、ユーザは各登場人物の発言を明確に認識できる。また、本実施形態では、登場人物を選択することで何度でも発言音声を出力でき、ユーザは何度でも各登場人物の発言を確認することができる。これにより、ユーザ自身のペースで物語の内容を理解して進めることができる。
停止ボタンW22が操作されると再生中の音声が停止され、また進むボタンW23が操作されると表示手段13が次の場面を表すページ画面の表示要求を受け付け、次の場面に対応するページ画面が表示される。また、戻るボタンW24が操作されると、表示手段13が前の場面を表すページ画面の表示要求を受け付け、次の場面に対応するページ画面が表示される。このようにして前後のページ画面に移動することが出来る。
ステップS2において表示されたページ画面W2を介して進むボタンW23の操作を受け付けると、ステップS3に進み、学習装置1が全ての場面を表示し終えたかを判定する。本実施形態では、表示中のページ画面に対応する場面の次の場面があるか否かを判定し、なければ全場面を表示したと判定する。次の場面がある場合にはステップS4に進み、次の場面に進んで再度ステップS2で場面を示すページ画面W2を表示する。
ステップS3で全場面を表示した(現在の場面が最終場面)と判定された場合にはステップS5に進み、表示手段13が質問画面を表示処理して処理結果を送信する。図6は、本実施形態における質問画面の表示例を示す図である。本実施形態における質問画面W3は、質問選択部W31と、ホームボタンW33と、戻るボタンW34と、を備える。
質問選択部W31においては、図6で星型の印で示すような質問の選択肢を表示している。ここで、各質問の選択肢には数字が表示されているが、これに替えて、又は加えて、各選択肢の色や形を変える等の方法により、文字以外の手段で選択肢を識別可能に表示することが好ましい。これにより、文字の読めない子供や外国人も、各選択肢を認識することができる。
質問選択部W31において選択肢がタップされると音声出力手段11が質問の選択を受け付けて、ステップS6で対応する質問音声を出力する。質問選択部W31は、選択された質問を強調表示する選択マークW32を備える。なお、選択マークW32は、質問音声の再生中常に表示してもよいし、選択された時に一時的に表示して、一定時間で消えるようにしてもよい。
ホームボタンW33が操作されると、「こころえほんその1」又は「こころえほんその2」の選択を受け付けるホーム画面に戻る。また、戻るボタンW34が操作されると、表示手段13が、前の場面、即ち物語の最後の場面を示すページ画面W2の表示要求を受け付けて当該ページ画面W2が表示される。このようにすることで、質問を聞いて物語の内容を再度確認したくなった場合にも、すぐに物語の場面を示すページ画面W2を表示させて、場面音声や発言音声を出力させることができる。
なお、図4における設定ボタンW12で文字表示ありが選択された場合には、質問画面W3において、質問音声の再生中に、当該質問音声に対応する文字を表示してもよい。
以上のようにして物語の再生後に当該物語の登場人物の気持ちに関する質問を出力することにより、ユーザに登場人物の気持ちを考えさせ、役割取得能力の発達を促すことができる。
ここで、本実施形態における学習システムを利用して学習を行う際には、質問の内容について考えさせ、その時の反応を記録しておくことが好ましい。図7は、本実施形態における学習システムのワークシートの一例を示す図である。
なお、本実施形態では、記憶手段14は各物語について6つの質問を記憶しており、質問1及び質問2が物語の内容の理解を確かめるための質問、質問3〜6が登場人物の気持ちを考えさせる為の質問である。このように、物語の内容を理解しているかを確かめる質問を用意することで、例えば内容が理解できていない場合にはページ画面W2に戻って再度内容を理解させる等の方法を取ることができる。これにより、内容が理解できていないために役割取得能力の発達に十分な効果が得られなくなるというような問題を防止することが出来る。
本実施形態では、図7に示すワークシートを利用して、質問1〜6に対するユーザ(学習者)の回答や反応を記録する。文字が書けないユーザを対象とする場合には、親や教員等の教育者がその回答を聞き、代わりに記録すればよい。なお、学習装置1を介してワークシートに対応する内容の入力を受け付ける構成としてもよい。
このようなワークシートを併用することで、学習の記録を残してその効果を確認したり、学習方法の見直しを行ったりすることができる。また、学習装置1がワークシート出力手段を更に備え、ワークシート出力手段が物語情報及び質問情報に基づいてワークシートを出力する構成としてもよい。
以上のようにして、本実施形態における学習システムを利用して学習を行うことにより、多角的に物語の登場人物の気持ちを考えさせ、役割取得能力の発達を促すことができる。また、ユーザの入力に応じて表示・音声出力等を行う学習装置を利用することにより、ユーザの興味を引き、主体的に学習を行う効果が期待できる。
以下、本発明者らによって行われた、本発明に係る学習システムを利用した役割取得能力の学習実験の結果について説明する。なお、本発明は以下の実験において示す形態に限定されない。
<実験1>
(1)実験対象
こども園に在園する6歳児クラスの幼児12名(男児5名、女児7名、平均年齢6歳5か月)を対象として、本発明を利用したトレーニングを行った。
(2)実験方法
1日1回、上述の実施形態において説明した学習システムを用いて、約15分のトレーニングを週1回×4回実施した。トレーニングは、対象の幼児を3名ずつのグループに分け、保育教諭2名によって行われた。トレーニングの実施前及び終了後に、役割取得能力の測定と、園内での行動評定を行い、比較することによって効果測定を行った。
役割取得能力は、登場人物の気持ちを考えさせる質問への回答に基づき、自己中心的な視点(段階0)、主観的役割取得(段階1)、自己内省的役割取得(段階2)、相互的役割取得(段階3)、社会及び慣習システムの役割取得(段階4)、等に区別される、ピアジェの認知発達理論をベースとした発達段階に分けて多段階評価を行った。
園内での行動評定としては、「社会的スキル」、「仲間関係」、「向社会的行動」の3因子に関し、計11項目を保育教諭が評定した。
(3)結果
幼児12名のうち、7名に役割取得能力の発達段階の1段階向上が見られた。また、園内での行動評定については、7名の幼児の社会的スキル尺度の得点が上昇し、4名が変化なし、1名が低下した。
更に役割取得能力の発達段階が向上した7名を効果あり群、向上しなかった5名を効果なし群として分けて社会的スキル尺度の変化を観察すると、効果あり群の幼児については7名中5名の社会的スキル尺度が向上し、2名が変化なしであった。また、効果なし群の幼児については、5名中2名の社会的スキル尺度が向上し、2名が変化なし、1名が低下する結果となった。
(4)効果の検証
効果あり群と効果なし群とに分けてトレーニング前後の行動評定の変化について統計分析を行った。効果あり群については、トレーニング後社会的スキル平均−トレーニング前社会的スキル平均において、有意な上昇が認められた。一方、効果なし群については、行動評定の有意な変化は確認されなかった。社会的スキル以外の因子については、効果あり群、効果なし群ともに有意な変化は確認されなかった。
(5)傾向観察
以上の結果から、本発明の学習システムを利用した学習により、役割取得能力の向上について一定の効果が示された。これにより、本発明を利用した学習を行うことで役割取得能力の向上効果が期待できることが示された。
更に、役割取得能力の向上が見られた幼児を効果あり群、役割取得能力の向上が見られなかった幼児を効果なし群として、社会的スキル尺度の得点をトレーニング前後で比較すると、効果あり群については社会的スキル尺度の有意な上昇が確認された。これにより、本発明の学習システムを利用したトレーニングによって役割取得能力が向上すると、同時に社会的スキル尺度も向上する可能性が示された。
<実験2>
実験1においては通常発達の幼児を対象に実験を行ったが、更に発達障害児に対する学習効果についても実験を行った。以下、発達障害児を対象とした実験について記載する。
(1)実験対象
小学校の通級指導教室に通級する発達障害児(小学2年生1名、小学3年生2名、全員男児)を対象として、本発明を利用したトレーニングを行った。
(2)実験方法
1日1回、上述の実施形態において説明した学習システムを用いて、約15分のトレーニングを週1回×4回実施した。トレーニングの実施前及び終了後に、役割取得能力の測定を行い、比較することによって効果測定を行った。役割取得能力の測定方法は実験1と同様である。なお、実験2では、行動評定は測定していない。
(3)結果
3名のうち、2名に役割取得能力の発達段階の向上が見られ、1名は役割取得能力の変化がなかった。この結果から、本発明を利用した学習を行うことで、通常発達の幼児だけでなく発達障害児についても役割取得能力の向上効果が得られる可能性が示された。
1 学習装置
11 音声出力手段
12 文字出力手段
13 表示手段
14 記憶手段
W1 物語選択画面
W11 選択部
W12 設定ボタン
W13 ホームボタン
W2 ページ画面
W21 再生ボタン
W22 停止ボタン
W23 進むボタン
W24 戻るボタン
W25 再生位置表示
W3 質問画面
W31 質問選択部
W32 選択マーク
W33 ホームボタン
W34 戻るボタン

Claims (10)

  1. 役割取得能力の発達を促す為の学習システムであって、
    複数の場面により構成される物語及び前記物語の登場人物の気持ちに関する質問を対応付けて記憶する記憶手段と、
    前記物語の場面を示すページ画面及び前記質問を出力させるための質問画面を表示処理して処理結果を送信する表示手段と、
    ユーザからの入力に応じて音声を出力する音声出力手段と、を備え、
    前記音声出力手段は、前記ページ画面において表示される再生ボタンを介して音声出力の指示を受け付け、前記場面に対応する場面音声を出力し、
    前記ページ画面は、前記場面音声の再生位置を示す表示を含み、
    前記質問画面は、前記物語に含まれる前記場面に対応する前記ページ画面を全て表示した後に表示される、学習システム。
  2. 前記音声出力手段は、前記ページ画面を介して登場人物を選択する入力を受け付け、前記場面音声のうち、選択された登場人物の発言部分に対応する発言音声を出力する、請求項1に記載の学習システム。
  3. 前記記憶手段は、一つの前記物語に対して複数の前記質問を記憶し、
    前記音声出力手段は、前記質問画面を介して前記質問の選択を受け付けて当該質問を読み上げる質問音声を出力する、請求項1又は請求項2に記載の学習システム。
  4. 前記質問画面は、選択された質問及びそれ以外の質問を識別可能に表示する、請求項3に記載の学習システム。
  5. 前記ページ画面及び質問画面は、スマートフォン又はタブレット型コンピュータ装置の備えるタッチパネルディスプレイにおいて表示される、請求項1〜4の何れかに記載の学習システム。
  6. 前記ページ画面及び/又は質問画面において出力される音声に対応する文字を出力する文字出力手段を更に備え、
    前記表示手段は、前記文字を含む前記ページ画面及び/又は質問画面を表示処理して処理結果を送信する、請求項1〜5の何れかに記載の学習システム。
  7. 前記記憶手段は、テーマごとに前記物語を複数記憶する、請求項1〜6の何れかに記載の学習システム。
  8. 前記物語ごとに、前記質問及び質問に対する回答欄を記載したワークシートを更に備える、請求項1〜7の何れかに記載の学習システム。
  9. 役割取得能力の発達を促す為の学習プログラムであって、コンピュータを、
    複数の場面により構成される物語及び前記物語の登場人物の気持ちに関する質問を対応付けて記憶する記憶手段と、
    前記物語の場面を示すページ画面及び前記質問を出力させるための質問画面を表示処理して処理結果を送信する表示手段と、
    ユーザからの入力に応じて音声を出力する音声出力手段と、として機能させ、
    前記音声出力手段は、前記ページ画面において表示される再生ボタンを介して音声出力の指示を受け付け、前記場面に対応する場面音声を出力し、
    前記ページ画面は、前記場面音声の再生位置を示す表示を含み、
    前記質問画面は、前記物語に含まれる前記場面に対応する前記ページ画面を全て表示した後に表示される、学習プログラム。
  10. 役割取得能力の発達を促す為の学習方法であって、
    複数の場面により構成される物語及び前記物語の登場人物の気持ちに関する質問を対応付けてコンピュータに記憶させるステップと、
    前記物語の場面を示すページ画面を表示処理して処理結果を送信するステップと、
    ユーザからの入力に応じて音声を出力するステップと、
    全ての前記場面に対応する前記ページ画面の表示後に、前記質問を出力するステップと、を備え
    前記音声を出力するステップでは、前記ページ画面において表示される再生ボタンを介して音声出力の指示を受け付け、前記場面に対応する場面音声を出力し、
    前記ページ画面は、前記場面音声の再生位置を示す表示を含む、学習方法。
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