JP6811998B2 - 陽電子寿命測定機能付きpet装置、及び、pet装置における陽電子寿命測定方法 - Google Patents

陽電子寿命測定機能付きpet装置、及び、pet装置における陽電子寿命測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、陽電子寿命測定機能付きPET装置、及び、PET装置における陽電子寿命測定方法に関する。
第1参考技術:診断装置の一つとして陽電子放射断層撮影(Positron emission tomography;PET)装置が実用化されている。PET装置では、陽電子放出核をトレーサーとし、陽電子が電子と対消滅する際に生じる2本のガンマ線の対を利用してトレーサー分布を画像化する。陽電子の対消滅により生じる2本の各ガンマ線は核種によらず一定のエネルギー(511keV)を有するため、測定対象となる陽電子放出核の種類を識別することはできず、撮像対象に複数種類のトレーサーを同時に投与しても、それらを区別してイメージングすることができないのが一般的であった。しかし、近年、複数種類のトレーサーを、核種を同定可能な態様で一度にイメージングできるPET装置の開発が進められている。PETにおいてトレーサーとして用いる陽電子放出核としては、陽電子のみを放出するタイプの核種と、陽電子放出の後に脱励起ガンマ線を放出するタイプの核種があるが、後者のタイプの核種をトレーサーとして用い、対消滅によるガンマ線だけでなく、陽電子に続けて放出された脱励起ガンマ線(核種に固有のエネルギーを持つ)も計測することにより、トレーサーを同定することができる(下記特許文献1及び非特許文献1参照)。
第2参考技術:他方、陽電子消滅寿命法(Positron Annihilation Lifetime Spectroscopy;PALS)は、陽電子が電子と対消滅を起こす際、周辺の環境に依存して陽電子の寿命が変化することを利用して物質構造を解析する方法である。物質中で放射性核種から放出された陽電子は、周辺の電子と衝突を繰り返しながら自身の運動量を低下させてゆき、自身の運動量がほぼゼロになったところで電子と結び付いて対消滅を起こす。この対消滅の直前には、陽電子と電子は電気的に互いに束縛された一種の分子状態であるポジトロニウムを形成する。ポジトロニウムの崩壊寿命は、周辺の電子からの電場に大きく影響されるため、電子配置を決める物質や形状(分子構造)、温度などに依存して変化することになる。PALSでは、この寿命の変化を利用して物質を解析する。特に、金属中における空孔の存在などにより寿命が大きく変わるため、半導体材料等の材料工学分野における解析にPALSが用いられている(下記非特許文献2及び3参照)。また、近年は、加速器を用いて照射した陽電子による研究も進められている。
第3参考技術:陽電子及び電子の夫々は1/2の固有スピンを持つ。故に、ポジトロニウムには、陽電子と電子の固有スピンの向きが揃ったパラポジトロニウムと、陽電子と電子の固有スピンの向きが逆向きとなるオルソポジトロニウムと、がある。オルソポジトロニウムはパラポジトロニウムの生成確率の1%以下でしか出現しないが、オルソポジトロニウムの寿命は真空中において142ns(ナノ秒)であり、パラポジトロニウムの寿命よりも1000倍程度長い。また、パラポジトロニウムは、偶数本のガンマ線(主として2本のガンマ線)に崩壊するのに対し、オルソポジトロニウムは奇数本のガンマ線(主として3本のガンマ線)に崩壊することが知られている。このオルソポジトロニウムの寿命の変化を調べることにより、上記の材料工学分野以外にも、液体中の酸素濃度など、ライフサイエンス分野に関連する解析が可能となることが分かってきている(下記非特許文献4及び5参照)。
第4参考技術:上述したように、主として、パラポジトロニウムは2本のガンマ線を放出して対消滅する一方でオルソポジトロニウムは3本のガンマ線を放出して対消滅する。PETでは、2本のガンマ線に崩壊したイベントを利用してイメージングを行うことが一般的である。これは、陽電子がオルソポジトロニウムを構成する確率がパラポジトロニウムを構成する確率の1%以下であり、大部分の陽電子対消滅の際には2本のガンマ線が放出されるためである。しかしながら、2本のガンマ線を利用する場合には2箇所の検出点を結ぶ直線として対消滅位置を推定するのに対して、3本のガンマ線を利用する場合には3本のガンマ線のエネルギーに基づいた運動量から運動方程式を解くことにより、対消滅位置を点として推定することが可能である。そのため、近年の放射線検出器の高精度化(位置の推定精度に影響するエネルギー分解能及び位置分解能の向上)に伴って、3本のガンマ線を用いたPETが提案されている(下記非特許文献6及び7参照)。
特許第5526435号公報
A. Andreyev, A. Celler, "Dual-isotope PET using positron-gamma emitters",Physics in Medical and Biology, 2011, 56, pp. 4539-4556 R. B. Bell, R. L. Graham, "Time Distribution of Positron Annihilation in Liquids and Solids",Phys. Rev., 1953, 90, pp. 644-654 "Principles and Applications of Positron and Positronium Chemistry", edited by: Y. C. Jean, P. E. Mallon, D. M. Schrader,World Scientific, 2003, ISBN:978-981-238-144-6 A. M. Cooper, G. J. Laidlaw, B. G. Hogg, "Oxygen quenching of positron lifetimes in liquids",J. Chem. Phys., 1967, 46, 2441-2442 B. Hopkins, T. W. Zerda, "Oxygen quenching of positronium in silica gels",Phys. Lett., 1990, A45, 141-145 M. D. Harpen, "Positronium: Review of symmetry, conserved quantities and decay for the radiological physicist", Medical Physics, 2004, 31(1), pp. 57-61 K. Kacperski, M. N. Spyrou, "Performance of three-photon PET imaging: Monte Carlo simulations", Phys. Med. Biol., 2005, 50, pp. 5679-5696
PETは、がんの検査等、各種の診断に有益であるが、従来のPETではトレーサーの分布情報しか得ることができない。仮に、PET装置においてトレーサーの分布情報に対応付けて陽電子の寿命情報を得ることができたならば、トレーサーの分布情報だけでなくトレーサーの各分布位置における周辺環境(酸素濃度や構造等)を詳細に知る手がかりが得られる。これは、ライフサイエンス分野等に新たな解析手法をもたらすと考えられる。
そこで本発明は、撮像対象の解析の詳細化に寄与する陽電子寿命測定機能付きPET装置、及び、PET装置における陽電子寿命測定方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る陽電子寿命測定機能付きPET装置は、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊による陽電子放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に脱励起ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、陽電子と電子の対消滅による3本の対消滅ガンマ線を受けることで前記3本の対消滅ガンマ線を検出する第1ガンマ線検出器と、前記脱励起ガンマ線を検出する第2ガンマ線検出器と、前記第1ガンマ線検出器による各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記第1ガンマ線検出器による前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記第2ガンマ線検出器による前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象における前記核種の分布状態を三次元で導出するとともに、導出した分布位置に対応付けて前記陽電子の寿命情報を決定する処理部と、を備えたことを特徴とする。
当該装置によれば、核種の分布状態と共に核種の各分布位置における陽電子の寿命情報を得ることができるため、撮像対象内の各位置の特性(酸素濃度や分子構造等)を非侵襲で知ることが可能となると期待される。これは、ライフサイエンス分野等に新たな解析手法をもたらすと考えられる。
本発明の一側面に係る、PET装置における陽電子寿命測定方法は、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊による陽電子放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に脱励起ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、陽電子と電子の対消滅による3本の対消滅ガンマ線を受けることで前記3本の対消滅ガンマ線を検出する第1ガンマ線検出器と、前記脱励起ガンマ線を検出する第2ガンマ線検出器と、を備えたPET装置にて用いられる方法であって、前記第1ガンマ線検出器による各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記第1ガンマ線検出器による前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記第2ガンマ線検出器による前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象における前記核種の分布状態を三次元で導出するとともに、導出した分布位置に対応付けて前記陽電子の寿命情報を決定することを特徴とする。
当該方法によれば、核種の分布状態と共に核種の各分布位置における陽電子の寿命情報を得ることができるため、撮像対象内の各位置の特性(酸素濃度や分子構造等)を非侵襲で知ることが可能となると期待される。これは、ライフサイエンス分野等に新たな解析手法をもたらすと考えられる。
本発明によれば、撮像対象の解析の詳細化に寄与する陽電子寿命測定機能付きPET装置、及び、PET装置における陽電子寿命測定方法を提供することが可能となる。
Aタイプの放射性崩壊の様式を示す図である。 Bタイプの放射性崩壊の様式を示す図である。 Aタイプの放射性崩壊の具体例を示す図である。 Bタイプの放射性崩壊の具体例を示す図である。 陽電子放出核からの陽電子放出に続けて脱励起ガンマ線が放出される一方で、陽電子の対消滅の際に3本の対消滅ガンマ線が発生する様子を示す図である。 本発明の実施形態に係るPET装置に概略構成図である。 図6のPET検出器及び脱励起ガンマ線検出器の夫々が複数のガンマ線検出器から構成されることを説明するための図である。 図6の信号処理部の内部ブロック図である。 本発明の実施形態に係る4γイベントデータの生成手順例を示す図である。 複数組の4γイベントデータが記録されている様子を示す図である。 陽電子放出核と3本の対消滅ガンマ線との関係を示す図である。 イベントごとに核種位置及び陽電子寿命が求められる様子を示す図である。 実際の陽電子放射核の分布と、画像再構成により得られた陽電子放出核の分布像と、を示す図である。 実際の陽電子放射核の分布と、画像再構成により得られた陽電子放出核の分布像と、陽電子寿命タイムスペクトルと、を示す図である。 実際の陽電子放射核の分布と、画像再構成により得られた陽電子放出核の分布像と、領域ごとに導出された陽電子寿命タイムスペクトルと、陽電子寿命像と、を示す図である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
図1及び図2を参照し、まず、陽電子放出核(放射性崩壊によって陽電子を放出する核種)の放射性崩壊における2つの様式を説明する。図1はAタイプの放射性崩壊の様式を示し、図2はBタイプの放射性崩壊の様式を示している。Aタイプ、Bタイプの様式にて放射性崩壊を行う陽電子放出核を、夫々、Aタイプ核種、Bタイプ核種と称する。また、陽電子放出核について、ベータ崩壊前の核種を親核と称し、ベータ崩壊後の核種を娘核と称する。
図1に示す如く、Aタイプ核種では、親核にてベータ崩壊が生じることで陽電子の放出を伴いつつ娘核の基底状態に遷移する。即ち、Aタイプ核種は、ベータ崩壊によって親核から娘核の基底状態のエネルギー準位に直接遷移し、この遷移の際に陽電子が放出される。
図2に示す如く、Bタイプ核種では、親核にてベータ崩壊が生じることで陽電子の放出を伴いつつ娘核の励起状態に遷移した後、続けて、ガンマ崩壊により当該Bタイプ核種に固有のエネルギーを有する脱励起ガンマ線を放出することで娘核の励起状態から娘核の基底状態に遷移する。Bタイプ核種の娘核における励起状態と基底状態のエネルギー差が、脱励起ガンマ線のエネルギーとなる。Bタイプ核種において、脱励起ガンマ線が放出されるタイミングは、核の構造に依存した量子力学的な確率に従う。娘核の励起状態から娘核の基底状態への寿命の指標は半減期として与えられる。本発明の実施形態に係るPET装置では、Bタイプの陽電子放出核が利用される。
図3に、Aタイプの放射性崩壊の一例を示す。Aタイプ核種の親核である18Fにてベータ崩壊が生じると、100%の確率で、娘核である18Oの基底状態に遷移する。当該ベータ崩壊の際に陽電子が放出される。
図4に、Bタイプの放射性崩壊の一例を示す。Bタイプ核種の親核である22Naは、娘核である22Neの基底状態に遷移するまでに、99.96%の確率で22Neの励起状態を経由する。この際、ガンマ崩壊により3.63fs(フェムト秒)の半減期にて22Neの励起状態から22Neの基底状態へと遷移し、当該遷移のときに、エネルギーが1275keV(キロエレクトロンボルト)の脱励起ガンマ線を放出する。22Naから22Neの励起状態への遷移をもたらすベータ崩壊の際に陽電子が放出される。尚、Bタイプ核種では、親核から娘核の基底状態に遷移するまでの過程において、娘核における複数の励起状態を経由し複数の脱励起ガンマ線を放出することもある。
また、上述したように、物質中で陽電子放出核から放出された陽電子は、周辺の電子と衝突を繰り返しながら自身の運動エネルギーを失って行き、自身の運動エネルギーがほぼゼロになったところで電子と結び付いて対消滅を起こす。この対消滅の直前には、陽電子と電子は電気的に互いに束縛された一種の分子状態であるポジトロニウムを形成する。ポジトロニウムには、陽電子と電子の固有スピンの向きが揃ったパラポジトロニウムと、陽電子と電子の固有スピンの向きが逆向きとなるオルソポジトロニウムとがあって、オルソポジトロニウムはパラポジトロニウムの生成確率の1%以下でしか出現しないが、オルソポジトロニウムの寿命はパラポジトロニウムのそれよりも1000倍程度長い。また、パラポジトロニウムは、偶数本のガンマ線(主として2本のガンマ線)に崩壊するのに対し、オルソポジトロニウムは奇数本のガンマ線(主として3本のガンマ線)に崩壊することが知られている。陽電子と電子とが対消滅する際に放出されるガンマ線を対消滅ガンマ線と称する。
図5に示すように、Bタイプの陽電子放出核がベータ崩壊する際に陽電子が放出され、それに続けて脱励起ガンマ線が放出される。放出された陽電子が周辺の電子とオルソポジトロニウムを形成した場合、それらの対消滅の際に3本の対消滅ガンマ線が放出される。以下、単に3本の対消滅ガンマ線と記した場合、それは、オルソポジトロニウムを形成する陽電子と電子とが対消滅した際に放出される3本の対消滅ガンマ線を指すものとする。3本の対消滅ガンマ線の合計エネルギーは、陽電子と電子の静止質量の合計に相当する1022keV(キロエレクトロンボルト)となる。
図6に、本実施形態に係るPET装置1の概略構成図を示す。PET装置1は、PET検出器10と、脱励起ガンマ線検出器20と、信号処理部30と、を備えて構成される。TGは、PET装置1における撮像対象を表している。撮像対象TGは、Bタイプの陽電子放出核を含む物体であり、生体を撮像対象TGとすることができる。撮像対象TG内においてBタイプの陽電子放出核が分布している。
実空間において、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸により三次元空間を定義し、当該三次元空間をXYZ空間と称する。或る位置のX軸成分、Y軸成分、Z軸成分を、夫々、x、y、zにて表すと共に、或る点のXYZ空間上での位置を(x,y,z)にて表す。
上述したように、本発明の実施形態に係るPET装置1では、Bタイプの陽電子放出核が利用される。その上で、オルソポジトロニウムの対消滅の際に放出される計3本の対消滅ガンマ線の検出と、脱励起ガンマ線の検出とを介して、陽電子放出核の分布推定と共に陽電子の寿命情報の取得を行う。従来のPET装置にて画像化に主に利用されるパラポジトロニウムの寿命は100ps(ピコ秒)のオーダーであるため、その寿命に対し、既存のPET検出器の時間分解能では寿命の測定が容易ではない。そこで、本実施形態では、計測が相対的に容易な時間オーダー(100ns(ナノ秒)程度)において、オルソポジトロニウムの寿命を計測する。以下、PET装置1の構成要素について詳説する。
[PET検出器]
PET検出器10は、撮像対象TG中の陽電子放出核から放出された陽電子と当該陽電子の周辺の電子とが対消滅する際に放出される対消滅ガンマ線(主として3本の対消滅ガンマ線)を受けることができるよう、撮像対象TGを取り囲む位置に配置され、対消滅ガンマ線を含むガンマ線を受けることで当該ガンマ線を検出する。具体的には、図7に示す如く、PET検出器10は、従来のPET装置におけるPET検出器と同様に、リング状に配列された複数のガンマ線検出器11にて構成される。即ち、概ね円筒面を成す曲面上に複数のガンマ線検出器11を分散配置することでPET検出器10が形成され、検出器10で囲まれた撮像可能な空間は一般にFOV(Field of View)と呼ばれ、そのFOVの内側に撮像対象TGが配置される。図6及び図7において、円筒面をなすFOVの軸はZ軸に平行となっている。尚、図示の簡略化上、図7においては、PET検出器10を構成する一部のガンマ線検出器に対してのみ符号11を付している。
各ガンマ線検出器11は、ガンマ線を検出可能な放射線検出器であって、FOVの内側から飛来するガンマ線の入射を受けたとき、入射したガンマ線と自身との相互作用に応じたPET検出信号を出力する。各ガンマ線検出器11において、ガンマ線と検出器11とが相互作用を起こした位置と、入射したガンマ線のエネルギーとを検出可能となっており、検出された位置を示す位置情報と検出されたエネルギーを示すエネルギー情報とが、検出器11の出力信号に含まれる。PET検出信号に含まれる位置情報が示す位置は、PET検出器が細分化されているために得られるもので、ガンマ線の検出位置のX軸、Y軸及びZ軸成分を、細分化された検出器のサイズを単位として含んでいる。
PET検出器10は、複数のガンマ線検出器11から構成されているため、PET検出器10の全体の動作としては、何れかのガンマ線検出器11にてFOVの内側から飛来するガンマ線の入射を受けたとき、入射したガンマ線の検出位置(即ち、入射したガンマ線と相互作用を起こした検出器10を構成する検出器の位置)と、入射したガンマ線のエネルギーとを検出し、検出した位置を示す位置情報と検出されたエネルギーを示すエネルギー情報とを含んだPET検出信号を出力することになる。複数のガンマ線検出器11の夫々にてガンマ線が入射及び検出されたときには、各々の検出に対応した複数のPET検出信号がPET検出器10から出力されることになる。
[脱励起ガンマ線検出器]
脱励起ガンマ線検出器20は、撮像対象TG中の陽電子放出核から放出された脱励起ガンマ線を受けることができるよう、撮像対象TGを取り囲む位置に配置され、脱励起ガンマ線を含むガンマ線を受けることで当該ガンマ線を検出する。脱励起ガンマ線検出器20は、PET検出器10が配置されていない空間の内の任意の位置に配置される。具体的には例えば、図7に示す如く、複数のガンマ線検出器11の配置面に相当する円筒面と同軸の円筒面上に複数のガンマ線検出器21を分散配置する。複数のガンマ線検出器21はリング状に配置され、且つ、ガンマ線検出器11の群を上記円筒面の軸方向において両側から挟み込むように配置される。尚、図示の簡略化上、図7においては、脱励起ガンマ線検出器20を構成する一部のガンマ線検出器に対してのみ符号21を付している。
各ガンマ線検出器21は、ガンマ線を検出可能な放射線検出器であって、FOVの内側から飛来するガンマ線の入射を受けたとき、入射したガンマ線と自身との相互作用に応じた追加検出信号を出力する。各ガンマ線検出器21において、入射したガンマ線のエネルギーを検出可能となっており、検出されたエネルギーを示すエネルギー情報が、検出器21の出力信号に含まれる。ガンマ線検出器21は、PET検出器10と異なり、位置感応性を必要としない。
脱励起ガンマ線検出器20は、複数のガンマ線検出器21から構成されているため、脱励起ガンマ線検出器20の全体の動作としては、何れかのガンマ線検出器21にてガンマ線の入射を受けて当該ガンマ線を検出したとき、入射したガンマ線のエネルギーを検出し、検出されたエネルギーを示すエネルギー情報を含んだ信号を出力することになる。ここでは、脱励起ガンマ線検出器20の出力信号としてのガンマ線検出信号を、追加検出信号と称する。また、脱励起ガンマ線検出器20の出力信号としてのガンマ線検出信号の内、脱励起ガンマ線検出器20にて脱励起ガンマ線を検出した場合におけるガンマ線検出信号を、特に、脱励起ガンマ線検出信号と称する。
例えば、Ge(ゲルマニウム)による半導体検出器にてガンマ線検出器11及び21を構成することができる。この場合、ガンマ線検出器11及び21は、0.2〜0.5%程度のエネルギー分解能にて、ガンマ線のエネルギーを検出することが可能である。但し、Ge以外の半導体材料(例えば、Si、CdTe、CdZnTe)を用いて構成される半導体検出器をガンマ線検出器11及び21として用いても良いし、シンチレーション検出器を用いてガンマ線検出器11及び21を構成しても良い。
ガンマ線検出器21のサイズやガンマ線検出器21が検出すべきガンマ線の線量を考慮して、脱励起ガンマ線検出器20を構成するガンマ線検出器21の個数が設定されるが、場合によっては、その個数は1つでありうる。
[信号処理部]
信号処理部30は、PET検出器10から出力されるPET検出信号及び脱励起ガンマ線検出器20から出力される追加検出信号に基づいて、撮像対象TGに含まれる対象核種の分布像の再構成等を行う。対象核種とは、撮像対象TGに含まれ且つ分布の画像化の対象となる核種を指す。ここでは、特に断りなき限り、撮像対象TG中にBタイプの陽電子放出核が1種類のみ含まれているものとし、当該Bタイプの陽電子放出核が対象核種であるとする。対象核種の分布像は、XYZ空間における対象核種の三次元の分布を示す三次元分布像である。Bタイプの陽電子放出核によって薬剤を標識することができ、Bタイプの陽電子放出核は薬剤に取り込まれた状態で撮像対象TGに含まれていても良い。この場合、対象核種の分布像は、当該陽電子放出核により標識された薬剤(プローブ)の分布像とも言える。
―――3γ判定処理―――
図8に示す如く、信号処理部30は、3γ同時計測判定部31を有する。3γ同時計測判定部31は、PET検出器10にて3本のガンマ線が検出されたことを示すPET検出信号が入力されたとき、当該PET検出信号が3本の対消滅ガンマ線の同時計測を示しているか否かを判定する3γ判定処理を行う。
具体的には、PET検出器10における互いに異なる3つの位置にて計3本のガンマ線が検出されたことを示す3つのPET検出信号SGγ1、SGγ2及びSGγ3が信号検出部30(ここでは3γ同時計測判定部31)に入力されたとき、3γ同時計測判定部31は、PET検出信号SGγ1、SGγ2及びSGγ3の入力タイミングから当該3本のガンマ線の検出時刻tDETγ1、tDETγ2及びtDETγ3を特定すると共に、PET検出信号SGγ1、SGγ2及びSGγ3に含まれるエネルギー情報から当該3本のガンマ線の検出エネルギーEDETγ1、EDETγ2及びEDETγ3を特定する。
ここで、PET検出信号SGγ1に基づくガンマ線の検出時刻tDETγ1とは、当該ガンマ線とPET検出器10とが相互作用を起こした時刻を指す。検出時刻tDETγ2及びtDETγ3についても同様である。但し、実際には、PET検出信号SGγ1〜SGγ3が信号処理部30に入力された時刻を検出時刻tDETγ1〜tDETγ3として取り扱うことができる(これについては後にも述べられる)。尚、PET検出信号SGγ1、SGγ2及びSGγ3には、PET検出器10によるガンマ線の検出位置PDETγ1〜PDETγ3を表す位置情報も含まれているが、3γ判定処理において位置情報は用いられない。
3γ同時計測判定部31は、3γ判定処理において、検出時刻tDETγ1、tDETγ2及びtDETγ3が同時であって、且つ、検出エネルギーEDETγ1、EDETγ2及びEDETγ3の合計が1022keVと一致する場合、3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたと判定し、そうでない場合、3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたと判定しない。
但し、検出エネルギーの合計についての判別はオフラインで行うことが一般的である。このため、通常は、3γ判定処理において、検出時刻tDETγ1、tDETγ2及びtDETγ3が同時である場合には3本の対消滅ガンマ線が同時計測された可能性があると判定する一方で、そうでない場合には3本の対消滅ガンマ線が同時計測された可能性はないと判定し、その後、オフラインにて、同時計測された可能性があると判定した3本の対消滅ガンマ線の検出エネルギーEDETγ1、EDETγ2及びEDETγ3を参照して、検出エネルギーEDETγ1、EDETγ2及びEDETγ3の合計が1022keVと一致する場合に3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたと判定すると良い。
ここにおける同時とは、所定の時間幅を有する概念であり、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3間の差の最大値が、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3を特定する系の時間分解能を考慮して定められる所定値以下であるならば、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3が同時であると判断され、そうでなければ、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3が同時であると判断されない。
1本以上のガンマ線がPET検出器10及び脱励起ガンマ線検出器20の少なくとも一方で検出される事象を、イベントと称する。対消滅ガンマ線が検出されるイベントの内、大多数のイベントは、511keVの2本の対消滅ガンマ線が生成される陽電子消滅イベントであり、PET検出器10にて3本のガンマ線が同時計測されるイベントとしては、偶発的な同時計測イベントや脱励起ガンマ線の散乱イベント(脱励起ガンマ線がPET検出器10に入射して散乱する現象が、3本のガンマ線の検出の一部として取り扱われることになるイベント)など、多数の偽イベントを含むことになる。しかしながら、画像再構成の前処理として、3本のガンマ線のエネルギーの合計が1022keVになるかを判定することで、大部分の偽イベントを除去することが可能である。
ここで、“3本のガンマ線のエネルギーの合計が1022keVになる”とは、“検出エネルギーEDETγ1、EDETγ2及びEDETγ3の合計が1022keVと一致する”という意味である。“検出エネルギーEDETγ1、EDETγ2及びEDETγ3の合計が1022keVと一致する”という表現における一致は、所定の幅を有する概念であり、検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3の合計が、例えば、(1022―ΔE)keV以上且つ(1022+ΔE)keV以下のエネルギー範囲に収まっているとき、検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3の合計が1022keVと一致していると判定され、そうでないとき、検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3の合計が1022keVと非一致であると判定される。ΔEは、PET検出器10のエネルギー分解能を考慮して設定される所定エネルギーを表す。
また、上記判定を実施した場合においても、511keVの2本の対消滅ガンマ線が生成される陽電子消滅イベントによる対消滅ガンマ線が、PET検出器10を構成する何れかのガンマ線検出器11で散乱し、散乱された対消滅ガンマ線の残りの全エネルギーがPET検出器10を構成する他のガンマ線検出器11にて吸収された場合、3γイベント(3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたイベント)として誤判定されることがある。対消滅により3本のガンマ線を放出する際には、3本いずれのガンマ線もエネルギー511keV以下であり、また511keVちょうどになる事は稀である。そのため、この様な誤判定イベントは、3本のガンマ線のエネルギーの合計が1022keVであるという条件に加えて、3本のガンマ線の何れのエネルギーも511keVより小さいという条件を課す(即ち、それら2つの条件が満たされない限り、3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたと判定しない)ことにより大部分が除去可能である。
―――4γ判定処理―――
信号処理部30は、4γイベント判定部32を更に備える。4γイベント判定部32は、3γ同時計測判定部31の判定結果と、脱励起ガンマ線検出器20からの追加検出信号SGγに基づき、4γイベントが発生したか否かを判定する4γ判定処理を行う。4γイベントは、特定の条件を満たすイベントを指す。具体的には、4γイベントとは、脱励起ガンマ線が脱励起ガンマ線検出器20にて検出され且つ脱励起ガンマ線の検出時刻を基準として所定時間TWINDOW内に3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたイベントを指す。
単一の陽電子放出核から放出された脱励起ガンマ線と、当該単一の陽電子放出核から放出された陽電子が対消滅したときに発生する3本の対消滅ガンマ線と、に基づいて発生した真4γイベントのみが、4γイベントと判定されることが理想的である。
所定時間TWINDOWが長すぎると、或る陽電子放出核から放出された脱励起ガンマ線と、他の陽電子放出核から放出された陽電子が対消滅したときに発生する3本の対消滅ガンマ線とが偶発的に同時判定される偽4γイベントを、4γイベントと誤判定することも有り得る。これらのイベントは画像ノイズとして現れることになるが、既存のPETイメージングと同様の遅延同時測定などの手法により補正することが可能である。しかし、補正の精度を上げるためには偽4γイベントは可能な限り少ない方が良い。一方で、所定時間TWINDOWが短すぎると、判定漏れにより、真4γイベントが4γベントとして判定されないこともある。誤判定や判定漏れがなるべく生じないように、所定時間TWINDOWを、半減期が最長となる真空中のオルソポジトロニウムの半減期、又は、撮像対象TG内で想定されるオルソポジトロニウムの半減期の最大値に基づいて設定しておくと良い。
具体的には、脱励起ガンマ線検出器20にてガンマ線が検出されたことを示す追加検出信号SGγEが信号検出部30(ここでは4γイベント判定部32)に入力されたとき、4γイベント判定部32は、追加検出信号SGγEの入力タイミングから当該ガンマ線の検出時刻tDETγEを特定すると共に、追加検出信号SGγEに含まれるエネルギー情報から当該ガンマ線の検出エネルギーEDETγEを特定する。ここで、追加検出信号SGγEに基づくガンマ線の検出時刻tDETγEとは、当該ガンマ線と脱励起ガンマ線検出器20とが相互作用を起こした時刻を指す。
ここで、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3及びtDETγEについて付言しておく。実際には、PET検出信号SGγ1〜SGγ3が信号処理部30に入力された時刻を検出時刻tDETγ1〜tDETγ3として取り扱うことができると共に、追加検出信号SGγEが信号処理部30に入力された時刻を検出時刻tDETγEとして取り扱うことができる。ガンマ線とガンマ線検出器(11、21)とが相互作用を起こしてから、その相互作用による信号(PET検出信号、追加検出信号)が信号入力部30に入力されるまでには所定の応答時間がかかるが、その応答時間を複数のガンマ線検出器(11、21)間で共通にするべく、必要に応じ、複数のガンマ線検出器の内、何れか1以上のガンマ線検出器と信号入力部30の間に信号遅延回路が挿入される。信号処理部30での処理において重要となるのは検出時刻間の差であるため、応答時間が複数のガンマ線検出器(11、21)間で揃っていれば問題は無い。
4γイベント判定部32は、4γ判定処理において、以下の第1及び第2の4γ判定条件の双方を満たすイベントのみを4γイベントであると判定する。ここで、撮像対象TGに分布している陽電子放出核における脱励起ガンマ線のエネルギーをEγEにて表す。エネルギーEγEは、信号処理部30にとって既知である。
第1の4γ判定条件は、検出エネルギーEDETγEが脱励起ガンマ線のエネルギーEγEと一致しているという条件である。
ここにおける一致も、所定の幅を有する概念であり、検出エネルギーEDETγEが、例えば、(EγE―ΔE)以上且つ(EγE+ΔE)keV以下のエネルギー範囲に収まっているとき、検出エネルギーEDETγEは脱励起ガンマ線のエネルギーEγEと一致していると判断され、そうでないとき、検出エネルギーEDETγEは脱励起ガンマ線のエネルギーEγEと一致していないと判断される。ΔEは、脱励起ガンマ線検出器20のエネルギー分解能を考慮して設定される所定エネルギーを表す。
第1の4γ判定条件が満たされるとき、検出エネルギーEDETγEに対応する、脱励起ガンマ線検出器20にて検出されたガンマ線は、脱励起ガンマ線であると判断される。
第2の4γ判定条件は、脱励起ガンマ線検出器20によるガンマ線の検出時刻tDETγEから所定時間TWINDOW内に3本の対消滅ガンマ線が同時計測されているという条件である。尚、第1の4γ判定条件が満たされる場合に限って、第2の4γ判定条件の判定を行えば足る。
つまり、第1の4γ判定条件が成立しているとの仮定の下、3γ判定処理にて検出時刻tDETγ1〜tDETγ3に対応する3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたと判定されており、且つ、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3に基づく3本の対消滅ガンマ線の検出時刻が、検出時刻tDETγEに相当する脱励起ガンマ線の検出時刻よりも後であって、且つ、脱励起ガンマ線の検出時刻と3本の対消滅ガンマ線の検出時刻との時間差が所定時間TWINDOW内であるとき、第2の4γ判定条件が満たされ、そうでないとき、第2の4γ判定条件が満たされない。
検出時刻tDETγ1〜tDETγ3に基づく3本の対消滅ガンマ線の検出時刻とは、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3の平均時刻であっても良いし、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3の内の何れか1つであっても良い。
4γイベント判定部32は、PET検出信号SGγ1〜SGγ3及び追加検出信号SGγEに対応するイベントが4γイベントであると判定した場合、PET検出信号SGγ1〜SGγ3及び追加検出信号SGγEに基づくデータを4γイベントデータとして作成し、作成した4γイベントデータを信号処理30に設けられたデータメモリ33に記録する。
PET検出信号SGγ1〜SGγ3及び追加検出信号SGγEに基づく4γイベントデータは、上述の検出時刻tDETγ1〜tDETγ3及びtDETγE並びに検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3及びEDETγEを含むと共に、PET検出信号SGγ1〜SGγ3に含まれる位置情報にて示される検出位置PDETγ1〜PDETγ3を含む。
或る1つの4γイベントに関し、
検出時刻tDETγ1〜tDETγ3は当該4γイベントにおける3本の対消滅ガンマ線の検出時刻を表し、検出時刻tDETγEは当該4γイベントにおける脱励起ガンマ線の検出時刻を表し、
検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3は当該4γイベントにおける3本の対消滅ガンマ線の検出エネルギーを表し、検出エネルギーEDETγEは当該4γイベントにおける脱励起ガンマ線の検出エネルギーを表し、
検出位置PDETγ1〜PDETγ3は、当該4γイベントにおける3本の対消滅ガンマ線の検出位置(対消滅ガンマ線とPET検出器10との相互作用位置)を表す。
PET検出信号SGγ1〜SGγ3及び追加検出信号SGγEに基づくデータに対し、共通のタイムスタンプを付与して記録を行うことで、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3及びtDETγEの記録を含む4γイベントデータの記録を行い、オフラインにて同時計測の判定を行うことが可能である。
図8に示す構成では、3γ同時計測判定部31及び4γイベント判定部32が別個のブロックとして設けられているが、それらを統合した1つのブロックを構成し、その1つのブロックにて上述の3γ判定処理及び4γ判定処理を行うようにしても良い。
図9に、3γ判定処理及び4γ判定処理を含む判定処理の流れの一例を簡単に示す。当該判定処理においては、ステップS11にて、追加検出信号に基づき脱励起ガンマ線が検出されたか否かが判定される。そして、追加検出信号に基づき脱励起ガンマ線が検出されたと判定された場合(ステップS11のY)、1つのイベントが発生したと判断されて(ステップS12)、ステップS13に進む。ステップ13にて、追加検出信号及びPET検出信号に基づき脱励起ガンマ線の検出時刻から所定時間TWINDOW内に3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたか否かが判定される。そして、ステップS13の判定結果が“肯定”であるとき、当該イベントが4γイベントであると判定されて、当該イベントの追加検出信号及びPET検出信号に基づき4γイベントデータが作成及び記録される。
各イベントに対して3γ判定処理及び4γ判定処理を次々と行っていくことにより、複数の4γイベントデータが作成及び記録される。図10に、データメモリ33に記憶されたn組の4γイベントデータを示す。nは2以上の整数である。i番目に作成された4γイベントデータのイベント番号は“i”にて表される(iは自然数)。イベント番号iの4γイベントデータにおけるPDETγ1〜PDETγ3、tDETγ1〜tDETγ3、EDETγ1〜EDETγ3、tDETγE、EDETγEは、夫々、PDETγ1[i]〜PDETγ3[i]、tDETγ1[i]〜tDETγ3[i]、EDETγ1[i]〜EDETγ3[i]、tDETγE[i]、EDETγE[i]にて表される。
尚、脱励起ガンマ線の全エネルギー吸収が脱励起ガンマ線検出器20にて生じた場合には、脱励起ガンマ線のエネルギーEγEが検出エネルギーEDETγEとして得られることになるが、実際には、脱励起ガンマ線検出器20において、全エネルギー吸収の他に、コンプトン散乱などによる部分エネルギー吸収も生じる。脱励起ガンマ線検出器20において、脱励起ガンマ線の部分エネルギー吸収が生じたとき、検出エネルギーEDETγEは脱励起ガンマ線のエネルギーEγEよりも小さくなる。この場合において、上述の第1の4γ判定条件を採用すると、4γイベントとして判定されるべきイベントが4γイベントとして判定されなくなる。一方で、各々の対消滅ガンマ線のエネルギーが511keVを超えることは無いため、511keVを超えるエネルギーが検出されたとき、その検出は脱励起ガンマ線に基づくものと考えられる。そこで、脱励起ガンマ線のエネルギーEγEが511keVより大きい陽電子放出核(例えば22Na)を用いる場合においては、検出エネルギーEDETγEが511keVより大きければ、第1の4γ判定条件を満たすと判断するようにしても良い(即ち、検出エネルギーEDETγEに対応する、脱励起ガンマ線検出器20にて検出されたガンマ線は、脱励起ガンマ線であると判断するようにしても良い)。
―――画像再構成―――
図8を再度参照し、信号処理部30は、画像再構成部34を更に備える。画像再構成部34は、複数の4γイベントデータに基づいて画像の再構成処理を行うことで対象核種の分布像を生成する。本実施形態において、対象核種は撮像対象TG中の陽電子放出核であるため、対象核種の分布像として、陽電子放出核の分布像が生成される。上述したように、陽電子放出核の分布像は、XYZ空間における陽電子放出核の三次元の分布を示す三次元分布像である。実際には、4γイベントごとに、4γイベントデータに含まれる3本の対消滅ガンマ線の検出位置PDETγ1〜PDETγ3及び検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3に基づき、当該4γイベントにて陽電子を放出した陽電子放出核の位置を求め、4γイベントごとに求めた位置を、或る長さを単位として分割されたXYZ空間のボクセルにヒストグラミングしていく。これにより、陽電子放出核による放射能の三次元強度分布を、陽電子放出核の分布像として得ることができる。
図11を参照して、陽電子放出核の分布像を生成する方法について補足する(図11に関して非特許文献7中の図面を引用(但し一部改変))。図11に示される円筒面は、PET検出器10を構成する複数のガンマ線検出器11の配置面を模式的に示したものである。或る注目イベントにおいて、撮像対象TG中の位置rに存在する陽電子放出核NNから陽電子が放出されて当該陽電子が対消滅する際に3本の対消滅ガンマ線が生成され、当該3本の対消滅ガンマ線が夫々PET検出器10における位置ベクトルr、r、rにて検出され(検出器10と相互作用を起こし)且つ当該3本の対消滅ガンマ線のエネルギーが夫々E、E、Eであったとする。このとき、対消滅時における陽電子と電子の合計運動量はゼロであるから、x、y、z、の各運動量成分において、以下の式(1)〜(3)による運動量保存の式が成り立つ。
Figure 0006811998
式(1)〜(3)において、cは、光速を表す定数である。3本の対消滅ガンマ線は、第1〜第3の対消滅ガンマ線から成るが、pxi、pyi、pziは、夫々、第iの対消滅ガンマ線の運動量のX軸成分、Y軸成分、Z軸成分を表す。実際には対消滅の際、陽電子と電子はわずかな運動量を持っているが、ここでは、これを0とすると、3本の対消滅ガンマ線の運動量のベクトル和は0となり、各軸成分の和も0となる。
式(1)〜(3)において、rは対消滅が起きた位置の位置ベクトルを表し、x,y,zは、夫々、位置rのX軸成分、Y軸成分、Z軸成分を表し、rはエネルギーEを有する対消滅ガンマ線の検出位置を表し、x,y,zは、夫々、検出位置rのX軸成分、Y軸成分、Z軸成分を表す(ここでjは1、2又は3)。故に、|r−r|は、対消滅が起きた位置rと対消滅ガンマ線の検出位置rとの距離を表し、この距離で、“x−x”、“y−y”、“z−z”を割った値は、3本のガンマ線の運動量方向についての単位ベクトルのX、Y、Z軸成分となる。
また、距離|r−r|をX、Y、Z座標における対消滅位置及び検出位置で表した式は上記(4)となる。
画像再構成部34は、イベント番号iの4γイベントについて、3本の対消滅ガンマ線の検出位置PDETγ1[i]〜PDETγ3[i]及び検出エネルギーEDETγ1[i]〜EDETγ3[i]を、夫々、位置r〜r及びエネルギーE〜Eとして用いて、式(1)〜式(4)を解くことにより、位置rを、イベント番号iの4γイベントにて陽電子を放出した陽電子放出核NNの位置として求める。位置rは、陽電子の対消滅位置を表すが、通常のPETでは、撮像対象TG中における陽電子の飛程は小さいとみなし、陽電子の対消滅位置rを、陽電子を放出した陽電子放出核の位置として求めることとなるため、陽電子の飛程分だけ、求められたプローブ分布と実際のプローブ分布との間にずれが生じる。しかし、本発明で求めたいのは陽電子放出核の分布ではなく、対消滅が起きた位置の周辺環境であるため、陽電子消滅位置を利用することに不都合は無く、対消滅が起きた位置の酸素濃度や分子構造等の情報を、飛程による誤差なく求めることができる。
求められた陽電子放出核の位置を核種位置とも称し、記号NPにて表す。イベント番号iについての核種位置NPを、特にNP[i]にて表すこともある。4γイベントごとに核種位置NPを求めることで、図12に示す如く、核種位置NP[1]、NP[2]、NP[3]、・・・、及び、NP[n]が得られる。
―――陽電子寿命導出―――
図8を再度参照し、信号処理部30は、陽電子寿命導出部35を更に備える。陽電子寿命導出部35は、4γイベントごとに、4γイベントデータに含まれる対消滅ガンマ線の検出時刻と脱励起ガンマ線の検出時刻に基づき、陽電子寿命を導出する。4γイベントごとに導出される陽電子寿命は、1つのイベントにおいて、陽電子放出核から陽電子が放出されてから当該陽電子が対消滅により消滅するまでの時間を表す。
4γイベントごとに導出される陽電子寿命を、記号LTにて表す。イベント番号iについての陽電子寿命LTを、特にLT[i]にて表すこともある。4γイベントごとに陽電子寿命LTを求めることで、図12に示す如く、陽電子寿命LT[1]、LT[2]、LT[3]、・・・、及び、LT[n]が得られる。
イベント番号iについて、脱励起ガンマ線の検出時刻tDETγE[i]から見た、3本の対消滅ガンマ線の検出時刻までの時間差が、陽電子寿命LT[i]として求められる。この時間差の導出に用いられる3本の対消滅ガンマ線の検出時刻として、検出時刻tDETγ1[i]〜tDETγ3[i]の平均時刻、又は検出時刻tDETγ1[i]〜tDETγ3[i]の何れか1つを用いても良い。
図13において、斜線領域で表された像200は、撮像対象TG内における実際の陽電子放出核の分布を示しており、像210は、画像再構成部34により生成された当該陽電子放出核の分布像を示している。イベント番号1〜nについて求められた核種位置NP[1]〜NP[n]をXYZ空間上のボクセルにヒストグラミングすることにより、撮像対象TG内における陽電子放出核の分布像210が生成される。図13において、像200及び210は二次元像として図示されているが、それらは実際には三次元像である(撮像対象TG内における実際の陽電子放出核の分布及び陽電子放出核の分布像を示す、後述の他の図面においても同様)。
撮像対象TG中の或る陽電子放出核NNの放射性崩壊に基づきイベント番号iの4γイベントが発生すると、陽電子の対消滅が起きた位置に相当する分布像210中の位置NP[i]に、陽電子放出核NNの存在を示すボクセル値が加算される一方で、位置NP[i]に存在していた陽電子放出核NNからの陽電子の寿命がLT[i]として求められる。陽電子放出核NN以外の陽電子放出核による、他の4γイベントについても同様である。
このように、信号処理部30は、PET検出信号及び追加検出信号に基づいて複数の4γイベントにおける複数の4γイベントデータを生成し、複数の4γイベントデータに基づいて、撮像対象TGにおける陽電子放出核の分布状態を三次元で導出すると共に、導出した各分布位置に対応付けて陽電子寿命を決定することができる。
より具体的には、信号処理部30は、脱励起ガンマ線の検出時刻(tDETγE)から所定時間TWINDOW内に3本の対消滅ガンマ線が同時計測された4γイベントごとに、PET検出器10による3本の対消滅ガンマ線の検出エネルギー(EDETγ1〜EDETγ3)及び検出位置(PDETγ1〜PDETγ3)に基づき当該4γイベントにおける陽電子消滅位置を当該4γイベントにて陽電子を放出した陽電子放出核の位置(NP)として導出すると共に、脱励起ガンマ線の検出時刻(tDETγE)から3本の対消滅ガンマ線が同時計測される検出時刻(tDETγ1〜tDETγ3の平均等)までの時間差を当該4γイベントにおける陽電子寿命(LT)として決定する。
そして、信号処理部30は、複数の4γイベントについて推定した陽電子放出核の位置(NP[1]〜NP[n])及び導出した陽電子寿命(LT[1]〜LT[n])に基づき、陽電子放出核の三次元分布像を生成できると共に、三次元分布像中の各位置における陽電子の寿命情報を個別に導出することができる。陽電子の寿命情報とは、陽電子の寿命を表す指標であり、例えば陽電子の半減期である。陽電子の半減期の導出例に関しては後述する。
上述したPET装置1の構成及び動作等を、便宜上、基本実施例と称する。以下、複数の実施例の中で、PET装置1の応用例、変形例などを説明する。特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、基本実施例に記載の事項が後述の各実施例に適用され、各実施例において基本実施例と矛盾する事項については、各実施例での記載が優先される。また矛盾無き限り、以下に述べる複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。図14において、線230は、イベント番号1〜nについて求めた陽電子寿命LT[1]〜LT[n]をヒストグラミングして得られる陽電子寿命タイムスペクトルを表す。陽電子寿命タイムスペクトル230は、イベント番号1〜nについて求めた陽電子寿命LT[1]〜LT[n]について、横軸に時間をとり、縦軸に度数をとったヒストグラムである。
陽電子寿命導出部35は、陽電子寿命タイムスペクトル230を生成すると共に、陽電子寿命タイムスペクトル230の傾きから、撮像対象TG中の陽電子放出核の存在領域における平均的な陽電子の半減期を求めることができる。陽電子寿命タイムスペクトル230を含む陽電子寿命タイムスペクトル(ヒストグラム)において、陽電子寿命タイムスペクトルの傾きは陽電子の半減期に依存する。陽電子寿命タイムスペクトルの傾きが大きいほど陽電子の半減期は短い。尚、陽電子寿命タイムスペクトルの傾きから陽電子の半減期を求める方法自体は、陽電子消滅寿命法(PALS;Positron Annihilation Lifetime Spectroscopy)にて公知である(上記非特許文献2及び3参照)。
尚、実際の陽電子寿命タイムスペクトルは、指数関数的グラフになり、半減期成分が単一の場合は片対数グラフにおいて直線となり、半減期成分が複数ある場合は曲線になるが、図14では、簡単化のため、陽電子寿命タイムスペクトルを線分にて表現している。陽電子寿命タイムスペクトルを図示した後述の他の図面においても同様である。また、位置ごとの陽電子寿命タイムスペクトルを作成するのとは逆に、全イベントについての陽電子寿命タイムスペクトルを作成し、このタイムスペクトルについて時間範囲を分割し、各時間範囲における対消滅発生位置の分布画像を得る方法もある。
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。図15を参照する。説明の具体化のため、ここでは、撮像対象TG内の互いに分離した領域201及び202の夫々に陽電子放出核が分布しているものとする。そうすると、陽電子放出核の分布像210において、領域211には領域201に対応する分布像が現れ、領域212には領域202に対応する分布像が現れる。
陽電子寿命導出部35は、撮像対象TG中の任意の領域における陽電子寿命タイムスペクトル及び陽電子の半減期を求めることができる(但し、当該領域中の陽電子放出核の放射性崩壊に基づき複数の4γイベントが発生しているものとする)。領域201中の陽電子放出核の放射性崩壊に基づく4γイベントデータから、領域201又は211についての陽電子寿命タイムスペクトル231及び陽電子の半減期を求めることができ、領域202中の陽電子放出核の放射性崩壊に基づく4γイベントデータから、領域202又は212についての陽電子寿命タイムスペクトル232及び陽電子の半減期を求めることができる。
説明の具体化のため、イベント番号1〜n/2の4γイベントは領域201中の陽電子放出核の放射性崩壊に基づくイベントであって、且つ、イベント番号(n/2+1)〜nの4γイベントは領域202中の陽電子放出核の崩壊に基づくイベントであったとする。そうすると、陽電子寿命タイムスペクトル231は、イベント番号1〜n/2について求めた陽電子寿命LT[1]〜LT[n/2]をヒストグラミングして得られるタイムスペクトルである(陽電子寿命LT[1]〜LT[n/2]について、横軸に時間をとり、縦軸に度数をとったヒストグラムである)。陽電子寿命タイムスペクトル232は、イベント番号(n/2+1)〜nについて求めた陽電子寿命LT[n/2+1]〜LT[n]をヒストグラミングして得られるタイムスペクトルである(陽電子寿命LT[n/2+1]〜LT[n]について、横軸に時間をとり、縦軸に度数をとったヒストグラムである)。
陽電子寿命タイムスペクトル231の傾きに基づき、領域201内の陽電子の半減期を求めることができ、陽電子寿命タイムスペクトル232の傾きに基づき、領域202内の陽電子の半減期を求めることができる。つまり、分布像210中の、領域211の位置における陽電子の寿命情報と領域212の位置における陽電子の寿命情報を個別に導出することができる。陽電子の寿命情報は、陽電子の寿命を表す指標であり、ここでは陽電子の半減期である。
ここでは、領域211及び212に属するボクセル数が、各々に1つ以上であることを想定している。このため例えば、領域211が第1〜第100ボクセルから成る場合、実空間における撮像対象TG中の領域201は、分布像210中では第1〜第100ボクセルにて構成されることになる。但し、領域211に属するボクセル数は1つであっても構わない。領域212についても同様である。
また、2つの領域にのみ注目し、2つの領域における陽電子の寿命情報(ここでは半減期)を個別に導出する例について述べたが、3以上の領域における陽電子の寿命情報(ここでは半減期)を個別に導出するようにしても良い。また、位置ごとの陽電子寿命タイムスペクトルを作成するのとは逆に、全イベントについての陽電子寿命タイムスペクトルを作成し、このタイムスペクトルについて時間範囲を分割し、各時間範囲における対消滅発生位置の分布画像を得る方法もある。
信号処理部30において、分布像210中の各位置における陽電子の寿命情報(ここでは半減期)を求めて、分布像210中の各位置におけるボクセル値を、対応する位置の陽電子の寿命情報に置き換えれば、陽電子の寿命情報を三次元画像化した陽電子寿命像(三次元陽電子寿命画像)250が得られる(図15参照)。陽電子寿命像250は、撮像対象TG中の陽電子放出核の分布及び撮像対象TG中の陽電子放出核の各分布位置における陽電子の寿命情報(より詳細には、撮像対象TG中で陽電子放射核が存在している領域内の各位置における陽電子の寿命情報)を三次元で示す像となる。
尚、本発明において、陽電子の寿命情報は、陽電子の寿命を表す指標であれば、半減期でなくても構わない。例えば、上記具体例においては、陽電子寿命LT[1]〜LT[n/2]の平均寿命(自然対数により表した寿命)を領域201、211及び領域202、212における陽電子の寿命情報として求めるようにしても良い。
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。幾つかの研究により、液体中での陽電子の寿命は液体中の酸素濃度に依存し、その陽電子の寿命は液体中の酸素濃度が高まるほど短くなるという知見が得られている(上記非特許文献4参照)。この知見を利用し、例えば、以下のような応用例が考えられる。
生体の血液に集積する薬剤(血流に乗る薬剤)をBタイプの陽電子放出核によって標識することで、陽電子放出核プローブを生成し、陽電子放出核プローブが投与された生体を撮像対象TGとする。そうすると、4γイベントデータの群から生体の各位置における陽電子の寿命情報を求めることができ、生体の各位置における陽電子の寿命情報から生体の各位置における血中酸素濃度を推定することができる。つまり、生体内の血中酸素濃度を非侵襲にて三次元画像化することが可能となる。赤外光の吸収を利用して体表付近の血中酸素濃度を測定する手法は存在するが、生体深部の血中酸素濃度を非侵襲にてダイレクトに可視化する技術は、従来に無く、極めて有益である。
例えば、撮像対象TGとしての生体の脳内の血中酸素濃度を三次元画像化すれば、脳機能の詳細な診断を非侵襲で行うことが可能となる。より具体的には例えば、脳内の第1部位における血中酸素濃度は通常であるが、脳内の第2部位における血中酸素濃度が異常に低いことが分かれば、脳内の第2部位に病変がある可能性を特定できる。
また例えば、撮像対象TGとしての生体の心臓における血中酸素濃度を三次元画像化すれば、心臓の診断(心疾患の有無診断)を非侵襲で詳細に行うことが可能となる。現状、心臓における血中酸素濃度を測定する検査として、血管の中にカテーテルを挿入する心臓カテーテル検査があるが、PET装置1によれば、心臓カテーテル検査よりも生体に対して遥かに少ない負担で心疾患の有無診断を行うことが可能となる。
また例えば、嫌気性菌感染症の診断にPET装置1を利用することも考えられる。生体内の或る部位において嫌気性菌が多く存在すればするほど当該部位の血中酸素濃度は低くなると考えられるため、生体内の血中酸素濃度の三次元画像化は、嫌気性菌感染症の診断や治療に有益な情報をもたらすと考えられる。
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。PALSでは、陽電子の寿命測定を介して物質の構造を解析することが可能である。例えば、固体中における空孔の存在などにより、陽電子の寿命が大きく変わることが分かっており、材料工学分野における半導体材料等の解析にPALSが用いられる(上記非特許文献2及び3参照)。この手法を生体に応用してPET装置1を用いれば、生体内の構造に応じた情報を非侵襲で得ることが可能となる。例えば、以下のような応用例が考えられる。
生体の癌細胞に集積する薬剤をBタイプの陽電子放出核によって標識することで、陽電子放出核プローブを生成し、陽電子放出核プローブが投与された生体を撮像対象TGとする。そうすると、4γイベントデータの群から生体の癌細胞における陽電子の寿命情報を求めることができ、その寿命情報から癌細胞の物理的構造を推定することで病変の進行状態を診断するなど、病理学的な情報を得ることもできる。また、前述の酸素濃度の変化による陽電子寿命の変化の他にも、酸素以外の気体濃度や、水素イオン濃度を始めとするイオン濃度、温度など様々なパラメータにより変化することが考えられる。そのため本発明は、これらのパラメータを計測することによる様々な応用が考えられる。
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。上述の基本実施例においては、既存のPET装置にも備えられるPET検出器10に対し脱励起ガンマ線を検出するための脱励起ガンマ線検出器20を別途に設けているが(図6参照)、PET検出器10に脱励起ガンマ線検出器20の機能を兼用させても良い。即ち、PET検出器10を構成するガンマ線検出器11の群の少なくとも一部に脱励起ガンマ線検出器20の機能を担わせ(換言すれば、脱励起ガンマ線検出器20を、ガンマ線検出器11の群の少なくとも一部を用いて構成し)、PET検出器10において、上述してきたPET検出器10の動作及び脱励起ガンマ線検出器20の動作の双方を実現するようしても良い。これにより、既存のPET装置において本発明を利用することも可能となる。
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。PET装置1に利用可能であって撮像対象TGに含めることのできるBタイプの陽電子放出核として、14O、22Na、34mCl、38K、44Sc、48V、52Mn、52mMn、52Fe、60Cu、72As、76Br、82mRb、94mTc、104mAg、110mIn、及び、124I、が挙げられる。但し、ここで挙げた核種は、脱励起ガンマ線の放出率が9割前後と高い代表的なものであり、放出率がこれらよりも低い他の核種についても利用可能である。
Bタイプの陽電子放出核において陽電子が放出されてから脱励起ガンマ線が放出されるまでには時間差が存在するが、娘核の励起状態が特別に長い半減期を持たない限りは、その時間はフェムト秒からピコ秒のオーダーであり、一般的な放射線検出器の時間分解能よりも短い。
PET装置1では、脱励起ガンマ線の検出時刻を陽電子の放出時刻として捉えた上で、オルソポジトロニウムの寿命としての陽電子寿命を求めるため、その寿命に対し、娘核の励起状態から基底状態への半減期は十分に小さくあるべきである。物質中のオルソポジトロニウムの半減期は数ナノ〜数10ナノ秒程度であるので、娘核の励起状態から基底状態への半減期として、フェムト秒からピコ秒のオーダーの時間を持つ陽電子放出核であれば、問題なく、PET装置1に利用できる。Bタイプの放射性崩壊を行う核種によっては、励起状態の寿命として非常に長い寿命を持つもの(核異性体又はアイソマーと呼ばれる)もあり、そのような核種はPET装置1に適さない。
また、陽電子放出核において、ベータ崩壊が起きた際には必ず陽電子が放出されるわけではなく、陽電子放出は電子捕獲(原子核の周りを回る電子を陽子が吸収して中性子に変わる現象)との競合過程となる。即ち、陽電子放出及び電子捕獲の2つの過程が競合して、どちらか一方の過程のみが起こる。陽電子放出が起こる確率及び電子捕獲が起こる確率は、核種によって決まっているが、前者の確率がなるべく高いものを、PET装置1に利用することが好ましい。
<<第7実施例>>
第7実施例を説明する。信号処理部30において、以下のような処理を行うようにしても良い。
PET検出器10にて3本のガンマ線が検出されたことを示すPET検出信号が入力されたとき、上述の基本実施例における3γ判定処理では、3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたか否か判定するが、第7実施例における3γ判定処理では、3本の対消滅ガンマ線でありうる3本のガンマ線が同時計測されたか否か判定する。つまり、第7実施例に係るγ同時計測判定部31は、PET検出器10にて3本のガンマ線が検出されたことを示すPET検出信号が入力されたとき、当該PET検出信号が3本のガンマ線の同時計測を示しているか否かを判定する3γ判定処理を行う。
具体的には(図8参照)、PET検出器10における互いに異なる3つの位置にて計3本のガンマ線が検出されたことを示す3つのPET検出信号SGγ1、SGγ2及びSGγ3が信号処理部30に入力されたとき、3γ同時計測判定部31は、PET検出信号SGγ1、SGγ2及びSGγ3の入力タイミングから当該3本のガンマ線の検出時刻tDETγ1、tDETγ2及びtDETγ3を特定すると共に、PET検出信号SGγ1、SGγ2及びSGγ3に含まれるエネルギー情報から当該3本のガンマ線の検出エネルギーEDETγ1、EDETγ2及びEDETγ3を特定する。
同時計測された3本のガンマ線が対消滅ガンマ線である場合、それらの各々のガンマ線のエネルギーが511keVを越えることはない。そのため、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3が同時であって、且つ、検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3の夫々が511keV以下である場合、3γ判定処理において、3γ同時計測判定部31は、3本の対消滅ガンマ線でありうる3本のガンマ線が同時計測されたと判定し、そうでない場合、そのような判定を行わない。ここにおける同時が、所定の時間幅を有する概念であることは上述した通りである。
また、検出エネルギーが511keV以下であることを示すエネルギー情報を有するPET検出信号のみが3γ同時計測判定部31に入力されるように、PET検出器10又は信号処理部30を構成しておいても良い。この場合、3つのPET検出信号SGγ1、SGγ2及びSGγ3が3γ同時計測判定部31に入力されたとき、3γ同時計測判定部31は、単に、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3が同時であるか否かのみを判断し、検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3に依らず、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3が同時である場合には、3本の対消滅ガンマ線でありうる3本のガンマ線が同時計測されたと判定する。
3γ同時計測判定部31は、PET検出信号SGγ1〜SGγ3の入力に基づき、3本の対消滅ガンマ線でありうる3本のガンマ線が同時計測されたと判定した場合、その3本のガンマ線を3本の候補ガンマ線と捉えて、PET検出信号SGγ1〜SGγ3を参照しつつ、3本の候補ガンマ線の検出位置PDETγ1〜PDETγ3、検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3及び検出時刻tDETγ1〜tDETγ3を含む3γイベントデータをデータメモリ33に記録する。
一方で、信号処理部30に設けておくことのできる脱励起ガンマ線用判定部(不図示)は、脱励起ガンマ線検出器20にてガンマ線が検出されたことを示す追加検出信号SGγEが入力されたとき、追加検出信号SGγEの入力タイミングから当該ガンマ線の検出時刻tDETγEを特定すると共に、追加検出信号SGγEに含まれるエネルギー情報から当該ガンマ線の検出エネルギーEDETγEを特定する。そして、脱励起ガンマ線用判定部は、検出エネルギーEDETγEが上述した第1の4γ判定条件を満たしているかのみを判断し、検出エネルギーEDETγEが第1の4γ判定条件を満たしている場合、対消滅ガンマ線が検出されたと判断して、追加検出信号SGγEを参照しつつ、対消滅ガンマ線の検出エネルギーEDETγE及び検出時刻tDETγEを含む1γイベントデータをデータメモリ33に記録する。尚、すでに判定に用いられた検出エネルギーEDETγEは1γイベントデータに含められていなくても良い。
PET検出信号SGγ1〜SGγ3及び追加検出信号tDETγEに基づくデータに対し、共通のタイムスタンプを付加して記録を行うことで、検出時刻tDETγ1〜tDETγ3及びtDETγEの記録を含む、PET検出器10の3γイベントデータ及び脱励起ガンマ線検出器20の1γイベントデータの記録が可能である。このような記録動作を所定の撮像時間中に繰り返し行うことで、複数のイベントデータがデータメモリ33に記録されることになる。
その後、オフライン解析において、信号処理部30は、データメモリ33に記録されたデータの中から、4γイベントを構成する4γイベントデータを抽出してデータメモリ33に記録する。
例えば、データメモリ33に記録された特定の3γイベントデータである3γイベントデータDT及び特定の1γイベントデータである1γイベントデータDTに注目すると、信号処理部30は、以下の第1及び第2条件が満たされるかを判断する。
第1条件は、3γイベントデータDTに含まれる検出エネルギーEDETγ1〜EDETγ3の合計が1022keVに一致するという条件である。ここにおける一致が、PET検出器10のエネルギー分解能を考慮した所定の幅を有する概念であることは上述した通りである。第1条件を満たすことにより、3γイベントデータDTに対応する3本のガンマ線は3本の対消滅ガンマ線であると判断される。第1条件が満たされない場合、第2条件の成否を判断する必要は無いので、3γイベントデータDTに対応する3本のガンマ線が3本の対消滅ガンマ線であることを前提として、以下の第2条件を記述する。
第2条件は、3γイベントデータDTに含まれる検出時刻tDETγ1〜tDETγ3の平均時刻又は検出時刻tDETγ1〜tDETγ3の何れか1つを3本の対消滅ガンマ線の検出時刻とし、1γイベントデータDTに含まれる検出時刻tDETγEを脱励起ガンマ線の検出時刻として捉えた上で、脱励起ガンマ線の検出時刻と3本の対消滅ガンマ線の検出時刻との時間差が所定時間TWINDOW内であるという条件である。
信号処理部30(例えば4γイベント判定部32)は、3γイベントデータDT及び1γイベントデータDTについて、第1条件及び第2条件の双方が満たされる場合に限り、3γイベントデータDTに対応する3本のガンマ線の検出イベント及び1γイベントデータDTに対応する1本のガンマ線の検出イベントは4γイベントを構成すると判断し、3γイベントデータDTと1γイベントデータDTを組み合わせたものを4γイベントデータとしてデータメモリ33に記録する。
このような処理を、データメモリ33に記録された3γイベントデータ及び1γイベントデータの全ての組み合わせについて行っていくことで、複数の4γイベントデータがデータメモリ33に記録される。但し、或る4γイベントデータの構成に利用された3γイベントデータは、他の4γイベントデータの構成に利用されない。1γイベントデータについても同様である。4γイベントデータが記録された後の動作は、上述した通りである。
また、検出エネルギーが511keV以下であることを示すエネルギー情報を有するPET検出信号が信号処理部30に入力されるごとに、当該PET検出信号に含まれる位置情報及びエネルギー情報を上記タイムスタンプを付加した上でデータメモリ33に記録させると共に、第1の4γ判定条件を満たす追加検出信号が信号処理部30に入力されるごとに、当該追加検出信号に含まれるエネルギー情報を上記タイムスタンプを付加した上でデータメモリ33に記録させるようにしても良い。このような記録動作は所定の撮像時間中に繰り返し行われる。その後、任意のタイミングにおいて、信号処理部30は、データメモリ33の記録内容の中から、4γイベントを構成するデータを抽出し、抽出したデータによる4γイベントデータに基づき、陽電子放出核の分布像の生成及び陽電子の寿命情報の導出を含む、上述の各種処理を行うようにしても良い。
何れにせよ、基本実施例で示した4γイベントデータが最終的に得られる限り、検出ガンマ線が対消滅ガンマ線であるかの判定や、同時計測の判定等は、どの段階で行われても良い。
<<第8実施例>>
第8実施例を説明する。脱励起ガンマ線のエネルギーが互いに異なる2種類以上のBタイプ核種(Bタイプの陽電子放出核)を撮像対象TGに含めるようにしても良い。この場合、追加検出信号に含まれるエネルギー情報を参照することで、脱励起ガンマ線検出器20にて検出されたガンマ線が、上記2種類以上のBタイプ核種中の、何れのBタイプ核種から放出されたものであるのかを同定可能である。その同定結果をも用いれば、三次元分布像及び陽電子の寿命情報等を、Bタイプ核種の種類ごとに導出することが可能となる。
<<第9実施例>>
第9実施例を説明する。信号処理部30にて行われる各種処理は、基本的にハードウェアとソフトウェアの組み合わせにて実現されるが、信号処理部30にて実現される機能の一部は、ハードウェアで実現される場合もあるし、ソフトウェアで実現される場合もある。特定の機能をソフトウェアにて実現する場合、その特定の機能をプログラムとして記述しておき、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、信号処理部30を構成するマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は信号処理部30と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。
<<発明の考察>>
本発明について考察する。
本発明の一側面に係るPET装置Wは(特に例えば図6、図8、図10、図12参照)、陽電子寿命測定機能付きPET装置であって、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊による陽電子放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に脱励起ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象(TG)から、陽電子と電子の対消滅による3本の対消滅ガンマ線を受けることで前記3本の対消滅ガンマ線を検出する第1ガンマ線検出器(10)と、前記脱励起ガンマ線を検出する第2ガンマ線検出器(20)と、前記第1ガンマ線検出器による各対消滅ガンマ線の検出エネルギー(EDETγ1〜EDETγ3)及び検出位置(PDETγ1〜PDETγ3)、並びに、前記第1ガンマ線検出器による前記対消滅ガンマ線の検出時刻(tDETγ1〜tDETγ3)及び前記第2ガンマ線検出器による前記脱励起ガンマ線の検出時刻(tDETγE)に基づいて、前記撮像対象における前記核種の分布状態を三次元で導出するとともに、導出した分布位置に対応付けて前記陽電子の寿命情報を決定する処理部(30)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、核種の分布状態と共に核種の各分布位置における陽電子の寿命情報を得ることができるため、撮像対象内の各位置の特性(酸素濃度や分子構造等)を非侵襲で知ることが可能となると期待される。これは、ライフサイエンス分野等に新たな解析手法(脳機能や心疾患の診断等に資する)をもたらすと考えられる。
具体的には例えば、PET装置Wにおいて、前記処理部は、各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象における前記核種の三次元分布像(例えば分布像210)を生成するとともに、前記三次元分布像中の複数の位置における前記陽電子の寿命情報(例えば半減期)を個別に導出すると良い。
より具体的には例えば、PET装置Wにおいて、前記処理部は、前記脱励起ガンマ線の検出時刻から所定時間内に前記3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたイベント(4γイベント)ごとに、各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置に基づき当該イベントにおける陽電子消滅位置(図12の例においてNP[i])を推定するとともに、前記脱励起ガンマ線の検出時刻から前記3本の対消滅ガンマ線が同時計測された検出時刻までの時間差を当該イベントにおける陽電子の寿命(図12の例においてLT[i])として導出し、複数のイベントについて推定した位置(図12の例においてNP[1]〜NP[n])及び導出した陽電子の寿命(図12の例においてLT[1]〜LT[n])に基づき、前記三次元分布像を生成するとともに、前記三次元分布像中の複数の位置における前記陽電子の寿命情報を個別に導出すると良い。
或いは例えば、PET装置Wにおいて、前記処理部は、各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象中の前記核種の分布及び前記撮像対象中の前記核種の各分布位置における陽電子の寿命情報を三次元で示す陽電子寿命像(例えば陽電子寿命像250)を生成しても良い。
より具体的には例えば、PET装置Wにおいて、前記処理部は、前記脱励起ガンマ線の検出時刻から所定時間内に前記3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたイベント(4γイベント)ごとに、各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置に基づき当該イベントにおける陽電子消滅位置(図12の例においてNP[i])を推定するとともに、前記脱励起ガンマ線の検出時刻から前記3本の対消滅ガンマ線が同時計測された検出時刻までの時間差を当該イベントにおける陽電子の寿命(図12の例においてLT[i])として導出し、複数のイベントについて推定した位置(図12の例においてNP[1]〜NP[n])及び導出した陽電子の寿命(図12の例においてLT[1]〜LT[n])に基づき、前記陽電子寿命像を生成しても良い。
また例えば、PET装置Wにおいて、前記第2ガンマ線検出器は、前記第1ガンマ線検出器とは別に設けられたガンマ線検出器にて構成されていて良い。
或いは例えば、PET装置Wにおいて、前記第2ガンマ線検出器は、前記第1ガンマ線検出器を形成するガンマ線検出器の群の少なくとも一部を用いて構成されていても良い。
本発明の一側面に係る、PET装置における陽電子寿命測定方法Wは、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊による陽電子放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に脱励起ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象(TG)から、陽電子と電子の対消滅による3本の対消滅ガンマ線を受けることで前記3本の対消滅ガンマ線を検出する第1ガンマ線検出器(10)と、前記脱励起ガンマ線を検出する第2ガンマ線検出器(20)と、を備えたPET装置(1)にて用いられる方法であって、前記第1ガンマ線検出器による各対消滅ガンマ線の検出エネルギー(EDETγ1〜EDETγ3)及び検出位置(PDETγ1〜PDETγ3)、並びに、前記第1ガンマ線検出器による前記対消滅ガンマ線の検出時刻(tDETγ1〜tDETγ3)及び前記第2ガンマ線検出器による前記脱励起ガンマ線の検出時刻(tDETγE)に基づいて、前記撮像対象における前記核種の分布状態を三次元で導出するとともに、導出した分布位置に対応付けて前記陽電子の寿命情報を決定することを特徴とする。
尚、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
1 PET装置
10 PET検出器
11 ガンマ線検出器
20 脱励起ガンマ線検出器
21 ガンマ線検出器
30 信号処理部

Claims (8)

  1. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊による陽電子放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に脱励起ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、陽電子と電子の対消滅による3本の対消滅ガンマ線を受けることで前記3本の対消滅ガンマ線を検出する第1ガンマ線検出器と、
    前記脱励起ガンマ線を検出する第2ガンマ線検出器と、
    前記第1ガンマ線検出器による各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記第1ガンマ線検出器による前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記第2ガンマ線検出器による前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象における前記核種の分布状態を三次元で導出するとともに、導出した分布位置に対応付けて前記陽電子の寿命情報を導出する処理部と、を備え
    前記処理部は、各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象における前記核種の三次元分布像を生成するとともに、前記三次元分布像中の複数の位置における前記陽電子の寿命情報を個別に導出する
    ことを特徴とする陽電子寿命測定機能付きPET装置。
  2. 前記処理部は、
    前記脱励起ガンマ線の検出時刻から所定時間内に前記3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたイベントごとに、各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置に基づき当該イベントにおける陽電子消滅位置を推定するとともに、前記脱励起ガンマ線の検出時刻から前記3本の対消滅ガンマ線が同時計測された検出時刻までの時間差を当該イベントにおける陽電子の寿命として導出し、
    複数のイベントについて推定した位置及び導出した陽電子の寿命に基づき、前記三次元分布像を生成するとともに、前記三次元分布像中の複数の位置における前記陽電子の寿命情報を個別に導出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の陽電子寿命測定機能付きPET装置。
  3. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊による陽電子放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に脱励起ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、陽電子と電子の対消滅による3本の対消滅ガンマ線を受けることで前記3本の対消滅ガンマ線を検出する第1ガンマ線検出器と、
    前記脱励起ガンマ線を検出する第2ガンマ線検出器と、
    前記第1ガンマ線検出器による各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記第1ガンマ線検出器による前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記第2ガンマ線検出器による前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象における前記核種の分布状態を三次元で導出するとともに、導出した分布位置に対応付けて前記陽電子の寿命情報を導出する処理部と、を備え、
    前記処理部は、各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象中の前記核種の分布及び前記撮像対象中の前記核種の各分布位置における陽電子の寿命情報を三次元で示す陽電子寿命像を生成する
    ことを特徴とする陽電子寿命測定機能付きPET装置。
  4. 前記処理部は、
    前記脱励起ガンマ線の検出時刻から所定時間内に前記3本の対消滅ガンマ線が同時計測されたイベントごとに、各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置に基づき当該イベントにおける陽電子消滅位置を推定するとともに、前記脱励起ガンマ線の検出時刻から前記3本の対消滅ガンマ線が同時計測された検出時刻までの時間差を当該イベントにおける陽電子の寿命として導出し、
    複数のイベントについて推定した位置及び導出した陽電子の寿命に基づき、前記陽電子寿命像を生成する
    ことを特徴とする請求項3に記載の陽電子寿命測定機能付きPET装置。
  5. 前記第2ガンマ線検出器は、前記第1ガンマ線検出器とは別に設けられたガンマ線検出器にて構成される
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の陽電子寿命測定機能付きPET装置。
  6. 前記第2ガンマ線検出器は、前記第1ガンマ線検出器を形成するガンマ線検出器の群の少なくとも一部を用いて構成される
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の陽電子寿命測定機能付きPET装置。
  7. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊による陽電子放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に脱励起ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、陽電子と電子の対消滅による3本の対消滅ガンマ線を受けることで前記3本の対消滅ガンマ線を検出する第1ガンマ線検出器と、前記脱励起ガンマ線を検出する第2ガンマ線検出器と、を備えたPET装置にて用いられる方法であって、
    前記第1ガンマ線検出器による各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記第1ガンマ線検出器による前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記第2ガンマ線検出器による前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象における前記核種の分布状態を三次元で導出するとともに、導出した分布位置に対応付けて前記陽電子の寿命情報を導出し、
    各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象における前記核種の三次元分布像を生成するとともに、前記三次元分布像中の複数の位置における前記陽電子の寿命情報を個別に導出する
    ことを特徴とする、PET装置における陽電子寿命測定方法。
  8. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊による陽電子放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に脱励起ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、陽電子と電子の対消滅による3本の対消滅ガンマ線を受けることで前記3本の対消滅ガンマ線を検出する第1ガンマ線検出器と、前記脱励起ガンマ線を検出する第2ガンマ線検出器と、を備えたPET装置にて用いられる方法であって、
    前記第1ガンマ線検出器による各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記第1ガンマ線検出器による前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記第2ガンマ線検出器による前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象における前記核種の分布状態を三次元で導出するとともに、導出した分布位置に対応付けて前記陽電子の寿命情報を導出し、
    各対消滅ガンマ線の検出エネルギー及び検出位置、並びに、前記対消滅ガンマ線の検出時刻及び前記脱励起ガンマ線の検出時刻に基づいて、前記撮像対象中の前記核種の分布及び前記撮像対象中の前記核種の各分布位置における陽電子の寿命情報を三次元で示す陽電子寿命像を生成する
    ことを特徴とする、PET装置における陽電子寿命測定方法。
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