JP6809303B2 - スポット溶接装置 - Google Patents
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Description
高強度鋼板はその強度を達成するために母材の炭素等量が大きくなっており、しかも、スポット溶接では溶接部は加熱後直ちに急冷されるために、高強度鋼板のスポット溶接部はマルテンサイト組織となり、溶接部及び熱影響部において硬度が上昇し、靭性が低下するようになる。また、溶接部では、局部的に生じる変態膨張と収縮により、溶接継手の引張残留応力が大きくなっている。
前述のように、溶接部は、硬度が高く、引張残留応力が大きくなっているので、水素侵入が起これば、遅れ破壊を引き起こしやすい部位である。このような遅れ破壊が発生すると、溶接継手の品質指標である引張強さと疲労強さにおいて、十分な強さが得られず、また、その部分(割れ)に水分が浸入すると、腐食が発生して強度がさらに低下するという問題が生じる。これらの問題が、高強度鋼板の適用による車体の軽量化(薄肉化)を阻害する一因である。
また、特許文献2には、PC鋼棒と補助筋とのスポット溶接を行った後、スポット溶接部に超音波振動子による打撃処理を施して、溶接部に圧縮残留応力を付与することにより、高強度PC鋼棒の耐遅れ破壊特性を向上させる技術が記載されている。
また、特許文献2では、遅れ破壊の抑制の点では効果が期待できるが、溶接以外の工程や機器が必要となる問題がある。
本発明では、このような実情に鑑み、高い耐遅れ破壊特性を有する溶接継手を、特別な機器を用いることなく安定して形成することができる抵抗スポット溶接装置を提供することを課題とする。
(1) 少なくとも溶接箇所が重ね合わされた複数の鋼板部材を溶接するスポット溶接装置において、
互いに対向して配置され、接近又は離隔する一対の溶接電極と、少なくとも溶接電極の一方を接近又は離隔する方向に駆動して、前記鋼板部材に加圧力を付与する電極駆動機構と、前記一対の溶接電極間に電流を通電する溶接電源と、前記電極駆動機構と前記溶接電源を同期して制御し、溶接電流と電極の加圧力を予め定められたシーケンスに基づいて変化させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記鋼板部材の溶接個所に前記溶接電極により加圧力P1を付与しながら、通電電流I1で通電して溶融金属を形成し、続いて、前記加圧力P1を付与したまま、冷却時間tcの間、通電電流を前記通電電流I1より低い通電電流Icとして鋼板部材の溶接個所を冷却し、続いて、前記通電電流I1より低く、前記通電電流Icより高い通電電流I2で通電しながら、前記加圧力P1よりも高い加圧力P2を加圧時間tfの間付与し、その後直ちに前記加圧力P2よりも低い加圧力P3を加圧時間tiの間付与する、加圧力の上昇下降を2回以上繰り返し行うシーケンスに基づいて前記電極駆動機構と溶接電源を制御することを特徴とするスポット溶接装置。
0≦Ic<I1 ・・・(1)
0.3≦I2/I1<1.0 ・・・(2)
P2/P1≧1.2 ・・・(3)
tf≦0.2 ・・・(4)
P3<P2 ・・・(5)
ti≦0.2 ・・・(6)
スポット溶接では、2枚の鋼板を重ね合わせ、両側から2枚の鋼板の溶接箇所を挟み込むように、銅合金等からなる溶接電極により、図3に示しように、加圧力をP1として加圧しながら、通電電流IをI1として通電し、溶融金属を形成する。その後、加圧力P1を付与したまま、冷却時間tcの間、通電電流Icとして、水冷された溶接電極2による抜熱や鋼板自体への熱伝導によって、2枚の鋼板1の間に断面楕円形状の溶接金属(ナゲット)を形成する。
本発明は、基本的に、従来のスポット溶接機に、上述のピーニング処理が実施できる制御装置を組み込むことにより実現できる。以下、定置式のスポット溶接機を例に説明する。
導電部材からなる上部電極ホルダー5には、電気接続部21を介して溶接電源20が接続され、同様の下部電極ホルダー7には、電気接続部22を介して溶接電源20が接続されており、溶接電極6、8に溶接電流を供給するようになっている。
制御装置30は、サーボモータ15を制御する電極駆動制御手段32、溶接電源を制御する溶接電流制御手段33、それらの制御手段に動作指令を出力する主制御手段31などを備えている。また、電極駆動制御手段32には、可動電極ホルダー5に設けられた加圧力検出手段(例えば、ひずみ計)34が接続され、溶接電流制御手段33は電気接続部22と溶接電源20の間に介挿された電流検出手段(例えば、電流計)35が接続されている。
スポット溶接では、重ねられた複数枚の鋼板の溶接箇所を挟み込むように、両側から溶接電極6、8を押し付けて、鋼板間を加圧しつつ通電して、溶融金属を形成し(本通電期間)、本通電の終了後に水冷された電極による抜熱や鋼板自体への熱伝導によって、溶融金属を急速に冷却して凝固させ、鋼板の間に断面楕円形状のナゲットを形成し(冷却期間)、ナゲットを形成された後、後通電しながら加圧力の上昇下降を繰り返す処理が行われる(ピーニング処理期間)。
本通電の際の基本加圧及び通電パターンは、特に限定されるものでなく、上記の加圧力、通電時間、通電電流の範囲としたうえで、溶接個所の鋼板部材の材質や板厚などに応じて適宜最適条件に調整すればよい。なお、通電の開始時の電流値は、直ちに通電電流とせず、電流値が通電電流になるまで、電流値を0(ゼロ)又は0超の低い電流から漸増(アップスロープ)させてもよい。
本通電における通電時間が経過後、溶接電極の加圧力を保持したまま、通電電流値を溶融金属の凝固が進行する程度の低い値まで下げるか、通電を停止し、溶接部を冷却する。この冷却時間tcは、特に限定されるものでなく、溶接金属(ナゲット)が形成されればよく、鋼板の板厚にも依存するものの、0.04〜0.4sが例示される。冷却時間中の通電電流Icは、下記(1)の条件を満たす必要がある。IcがI1以上に大きくなると、溶融金属の凝固が進行しない。Icは0(kA)が好ましい。
0≦Ic<I1 ・・・(1)
スポット溶接後に行うピーニング処理では、制御装置30の指令により、先の例では、溶接電源20とサーボモータ15を制御して、溶接電極6、8間に通電電流I2で通電しながら、高い加圧力P2とそれより低い加圧力P3を交互に繰り返し付与する処理を行う。
この時、通電電流I2、加圧力P2、P3及び加圧時間tf、tiは、下記の(2)〜(3)の条件を満たすものとする。
0.3≦I2/I1<1.0 ・・・(2)
P2/P1≧1.2 ・・・(3)
tf≦0.2 ・・・(4)
P3<P2 ・・・(5)
ti≦0.2 ・・・(6)
このピーニング処理の間の通電電流I2は、上記(2)を満足するものとする。ピーニング処理での溶接部の温度が適切となり、溶接部の塑性変形が容易となり、溶接部の引張残留応力が低減する。また、通電電流I2をスポット溶接の際の通電電流I1未満とすることで、ピーニング処理においてナゲットの拡大を抑制する。ナゲットを拡大させつつピーニング処理を実行すると、ナゲットの凝固が不安定となって、散りが生じたり、溶接部が窪んだり、エネルギーが無駄になったりすることがある。通電電流I1に対する通電電流I2の比(I2/I1)を0.3以上1.0未満とする。0.3未満とすると、ピーニング処理による引張残留応力低減効果が不十分となる場合がある。
ピーニング処理の際の高い加圧力P2は、引張残留応力を低減させるために、スポット溶接時の加圧力P1の1.2倍以上とする。好ましくは、1.3倍以上である。上限は、特に限定されるものでないが、溶接部への過度の加圧を避けるために2.5倍以下が好ましい。
また、高い加圧力P2での加圧時間tfの上限は、溶接部の引張残留応力を低減させるため、0.4sとする。好ましくは0.2sである。下限は、0.02sが好ましい。
加圧力の上昇下降の繰り返し回数(1つの加圧P2と次の1つの加圧P3で1回)は、2回以上とする。2回以上の加圧力の上昇下降を行なった後、最後に加圧力P2をtfの間付与することで、溶接部の引張残留応力を低減させることができる。そのため、加圧力の上昇下降の繰り返し回数は、2回以上とする。繰り返し回数の上限は、特に限定されるものでないが、作業時間を短縮するために10回とすることが好ましい。
表1に示す合金化溶融亜鉛(GA)めっき鋼板を準備した。表2に、溶接装置の主制御手段に設定したスポット溶接の条件を示し、表3に、同じく設定したピーニング処理の条件を示す。
各試験番号において、同じ鋼板番号の2枚の鋼板を溶接して試験片を作製した。また、スポット溶接では、直径16mm、先端6mmのドームラジアス型電極を用いた。表3に示す繰り返し回数nは、加圧力P2を加圧時間tfの間付与し、加圧力P3を加圧時間tiの間付与することを1サイクルとしたときのサイクルの回数である。また、加圧力の上昇下降を所定回数行なった後、最後に加圧力P2を加圧時間tfの間付与した。
2 上部アーム
3 下部アーム
4 電極駆動機構
5 上部電極ホルダ
6 可動側の溶接電極
7 下部電極ホルダ
8 固定溶接電極
11 支持部材
12 ボールねじ軸
13 ナットブロック
14 ガイドレール
15 サーボモータ
16、17 ベルト用歯車
18 タイミングベルト
19 取付け部材
20 溶接電源
21、22 電気接続部
30 制御装置
31 主制御手段
32 電極駆動制御手段
33 溶接電流制御手段
34 加圧力検出手段
35 電流検出手段
I 通電電流
I1 スポット溶接の際の通電電流
I2 ピーニング処理の際の通電電流
Ic 冷却時間における通電電流
P 加圧力
P1 スポット溶接時の加圧力
P2 加圧力上昇時の加圧力
P3 加圧力下降時の加圧力
t1 スポット溶接の際の通電時間
t2 ピーニング処理の際の通電時間
tc 冷却時間
tf 加圧力上昇時の加圧時間
ti 加圧力下降時の加圧時間
Claims (2)
- 少なくとも溶接箇所が重ね合わされた複数の鋼板部材を溶接するスポット溶接装置において、
互いに対向して配置され、接近又は離隔する一対の溶接電極と、少なくとも溶接電極の一方を接近又は離隔する方向に駆動して、前記鋼板部材に加圧力を付与する電極駆動機構と、前記一対の溶接電極間に電流を通電する溶接電源と、前記電極駆動機構と前記溶接電源を同期して制御し、溶接電流と電極の加圧力を予め定められたシーケンスに基づいて変化させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記鋼板部材の溶接個所に前記溶接電極により加圧力P1を付与しながら、通電電流I1で通電して溶融金属を形成し、続いて、前記加圧力P1を付与したまま、冷却時間tcの間、通電電流を前記通電電流I1より低い通電電流Icとして鋼板部材の溶接個所を冷却し、続いて、通電電流を前記通電電流I1より低く、前記通電電流Icより高い通電電流I2で通電しながら、前記加圧力P1よりも高い加圧力P2を加圧時間tfの間付与し、その後直ちに前記加圧力P2よりも低い加圧力P3を加圧時間tiの間付与する、加圧力の上昇下降を2回以上繰り返し行うシーケンスに基づいて前記電極駆動機構と溶接電源を制御することを特徴とするスポット溶接装置。 - 前記制御装置は、溶接電流I1(kA)、溶接電流Ic(kA)、溶接電流I2(kA)、加圧力P1(kN)、加圧力P2(kN)、加圧力P3(kN)、加圧時間tf(s)、加圧時間ti(s)を、下記の式(1)〜(6)の関係を満たす範囲で制御することを特徴とする請求項1に記載の抵抗スポット溶接装置。
0≦Ic<I1 ・・・(1)
0.3≦I2/I1<1.0 ・・・(2)
P2/P1≧1.2 ・・・(3)
tf≦0.2 ・・・(4)
P3<P2 ・・・(5)
ti≦0.2 ・・・(6)
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JP2017044925A JP6809303B2 (ja) | 2017-03-09 | 2017-03-09 | スポット溶接装置 |
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JP2018144098A JP2018144098A (ja) | 2018-09-20 |
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JPH07132382A (ja) * | 1993-11-09 | 1995-05-23 | Dengensha Mfg Co Ltd | スポット溶接制御方法と装置 |
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