JP6809072B2 - 欺まん装置 - Google Patents
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Description
送受信機220から生成されるRF信号はアンテナ210から空間へ放射する。この場合、ISARレーダ装置200は目標物の動揺運動を利用する。目標物からはRF信号が反射し、アンテナ210で受信して、受信機を経てADコンバータ230でデジタル化、2次元メモリ240に蓄積される。蓄積したデータはレンジマイグレーションを取り除くため、レンジ処理部250でレンジ補償処理を行う。次に位相補償処理を行うため、ドプラー処理部260でドプラー追尾処理行う。ドプラー追尾処理を行った2次元データに対しFFT処理(フーリエ変換)を行う。
これにより、横軸(レンジ方向)にレンジ情報、縦軸(クロスレンジ方向)にドプラー情報の2次元画像を得ることができる。この2次元画像をISAR画像という。
ISARレーダ装置側では目標物側から電子妨害をかけられた場合、例えばその目標船は電子妨害が可能な特殊な船であると判断し、脅威と判定して対処することが可能となる。このように、電子妨害を行うことによりISARレーダ装置にISAR画像を取得させないことは可能となるが、同時に、目標物を脅威と判定させてしまうという課題があった。
本発明によれば、脅威と判定させることなく、ISARレーダ装置により得られるISAR画像を欺まんすることができる。
図10(a)、(b)は各々実施の形態1に係る欺まん装置を搭載する船舶100の外観を示した図である。
図10(a)の船舶100は、甲板105上に構造物である操舵室120が設けられている。操舵室120は甲板105から立直しており、遠方からも視認ができる構造物である。操舵室120の位置は船舶100によって異なるもので、船舶の進行方向前方、中央、あるいは後方に設けられる。操舵室120の位置や形状は、船舶を判断する際の材料となる。
なお、本実施の形態ではレーダ装置が捜索・追尾する目標として船舶を例にとるが、船舶に限るものではなく、本発明は車両などの移動体に対して効果を奏する。
図1左側のISARレーダ装置4を搭載した航空機41は、目標である船舶100を対象に捜索・追尾する飛しょう体である。位相変調装置6は、レーダ装置の欺まん装置の一例であり、ここでは操舵室120の構造物上に設置される。
位相変調装置6のアンテナ61は、航空機41が搭載するISARレーダ装置から送信されたレーダ波を受信してそのレーダ波をサーキュレータ62に出力する。サーキュレータ62はアンテナ61から出力されたレーダ波を移相器63に出力する。
移相器63は制御部67の制御の下で、サーキュレータ62から出力されたレーダ波の位相を制御し、位相変調後のレーダ波を反射波として可変減衰器64に出力する。より詳しくは、移相器63はサーキュレータ62からレーダ波を受けると、制御部67が指定する速度で位相を制御し、位相変調後のレーダ波を反射波として出力する。このとき移相器63は、そのレーダ波に対して、0度と180度の位相変調を施す。
ここで例えば、制御部67が指定する位相制御で、100kHzの変調周波数から200kHzの変調周波数に段階的に変更すると、周波数が400kHzの信号は、周波数が300kHzから200kHzの信号と、600kHzから700kHzの信号に切り換わる。
図3(a)において、ISARレーダ装置4と目標である船舶100に対して、ISARレーダ装置4が出力するレーダ波の周波数が500kHzの場合、ISARレーダ装置4では500kHzの周波数の反射波が受信されISAR画像が得られる。
ISARレーダ装置4では、周波数が400kHzの反射波と、周波数が600kHzの反射波とを受信しても、自己が放射しているレーダ波の周波数(500kHz)と異なるため、目標(船舶100)の正しくないISAR画像が得られる。
ISARレーダ装置4は、船舶100の形状を表した、横軸(レンジ方向)にレンジ情報、縦軸(クロスレンジ方向)にドプラー情報の2次元画像を取得できる。ISARレーダ装置4は、図4の画像から、船舶の長(図4の長さB)に対する操舵室(ブリッジ)120の位置(図4の長さA)の比率(=A/B)などの特徴量を数値化する。
上述したように、欺まん装置である位相変調装置6は、意図的に偽った周波数の信号(反射波)を、航空機41のISARレーダ装置4に反射する。
これにより位相変調装置6は、相手のISARレーダ装置4で数値化する自らの船舶100の特徴量を変化させ、ISARレーダ装置4に、船舶100とは異なる新しい船舶としてISAR画像を取得させることができる。
相手方のISARレーダ装置4では、通常と同じ動作で信号処理を行うことが出来るため、通常の信号処理によりISAR画像を得ることが出来るが、欺まんされた情報で画像を得ているのか、正しい情報で画像を得ているのかの区別をつけることは困難である。このため欺まんされていることを認識せず、自船舶である目標船舶を誤った船種として、相手に認識させることが可能となる。これにより相手のISARレーダ装置4を実質無効化することができ、自船舶が危険にさらされる可能性を低減することができる。
反射周波数を任意に変更することは、反射信号をドプラー処理するレーダ装置、例えば画像化を前提としたSARレーダ装置や、パルスドプラーレーダ装置に対しても欺まんをすることが可能である。
マスト130の位置や形状は、船種の弁別において特徴的なポイントである。
船舶が、図10(b)に示すようにマスト130が設置されている場合には、欺まん装置である位相変調装置6を、マスト130に設けるようにしてもよい。
また、船舶が、図10(b)に示すように操舵室(ブリッジ)120bの他に、特徴的な構造体である格納庫140を備える場合は、欺まん装置(位相変調装置6)を格納庫140に設置するようにしてもよい。
欺まん装置(位相変調装置6)は、意図的に偽った周波数の信号(反射波)を、反射波の振幅を変えて再放射する。
これにより、欺まんと気付かせることなく、ISAR画像を欺まんすることができ、相手のISAR画像による船種の弁別を困難にすることができる。
実施の形態2では、欺まん装置として、電気的に反射と透過を制御可能な反射制御板を用い、この反射制御板を船舶の外板材として使用する。
本実施の形態では、非特許文献1で開示されるメタマテリアル(反射制御板)が反射周波数をシフトできる点に注目し、反射制御板をレーダ装置の欺まん装置として使用した例について説明する。
図8(a)は、反射制御板電気的に接続したパルス駆動装置20をオフにした状態で、航空機に搭載されるISARレーダ装置4から出力されたレーダ波(周波数500kHz)がメタマテリアル8で反射された反射波5の周波数を示した図である。この場合、反射波の周波数はISARレーダ装置4から出力されたレーダ波の周波数(500kHz)と同じである。
次に図8(b)は、反射制御板に電気的に接続したパルス駆動装置20を動作させ、100kHzのパルス電圧を反射制御板に印加した状態での反射波5の周波数を示した図である。反射制御板に100kHzのパルス信号を印加することで、反射制御板からの反射波5の周波数として400kHz(500kHz−100kHz)と、600kHz(500kHz+100kHz)の周波数が観測される。
このように反射制御板にパルス駆動装置を接続し、パルス電圧を印加することにより反射波の周波数をシフトさせることができる。
上述したように、反射制御板は、意図的に偽った周波数の信号(反射波)を、航空機41のISARレーダ装置4に、周波数を変えて反射する。
これにより、位相変調装置6は自らの船舶100の特徴量を変化させ、新しい船舶としてISARレーダ装置4にISAR画像を取得させることができる。
ISARレーダ装置4では、通常と同じ動作で信号処理を行うことが出来るため、通常の信号処理によりISAR画像を得ることが出来るが、欺まんされた情報で画像を得ているのか、正しい情報で画像を得ているのかの区別をつけることは困難である。このため欺まんされていることを認識せず、自船舶である目標船舶を誤った船種として、相手に認識させることが可能となる。
これにより自船舶が危険にさらされる可能性が低減される。また、相手のISARレーダ装置4を実質無効化することができる。
マスト130の位置や形状は、船種の弁別において特徴的なポイントであり、船舶が、図10(b)に示すようにマスト130が設置されている場合には、反射制御板をマスト130に設けるようにしてもよい。
また、船舶が、図10(b)に示すように操舵室(ブリッジ)120bの他に、特徴的な構造体である格納庫140を備える場合は、反射制御板を格納庫140に設置するようにしてもよい。
偽った情報を受け取ったSARレーダ装置やISARレーダ装置は、その真偽は判定することは困難なため、欺まんされているとは考えずに得られた情報を処理する。そのため自船の安全を確保する時間を確保することができる。
また、本発明では、反射周波数を任意の変更ができるため、受信反射周波数を分析するパスルドプラーレーダ装置に対しても、欺まん効果を発揮できる。
ドプラーレーダ装置は一般に受信した信号を周波数分析して目標の速度情報を得るが、本発明によれば、目標の速度情報を欺まんすることができる。
Claims (5)
- ISAR(Inverse Synthetic Aperture Radar)レーダ装置またはSAR(Synthetic Aperture Radar)レーダ装置を用い、目標対象物からの信号を処理して生成される前記目標対象物の画像を欺まんする欺まん装置であって、
前記ISARレーダ装置または前記SARレーダ装置から送信されたレーダ波を受信する送受アンテナと、
前記レーダ波の位相を変調する移相器と、
前記移相器による位相変調を制御する制御部と、
前記制御部で制御された前記移相器からの出力信号を用い、前記受信したレーダ波の反射波として電波を放射するアンテナと、を備え、
前記目標対象物が備える構造体であって突出した形状を有する構造体に設置される、
ことを特徴とする欺まん装置。 - 突出した形状を有する前記構造体の上部分に設置されることを特徴とする請求項1記載の欺まん装置。
- 前記目標対象物は船舶であり、
突出した形状を有する前記構造体は、前記船舶の操舵室であることを特徴とする請求項1、2いずれか記載の欺まん装置。 - 前記目標対象物は船舶であり、
突出した形状を有する前記構造体は、前記船舶のマストであることを特徴とする請求項1、2いずれか記載の欺まん装置。 - 前記移相器は0度と180度で位相の切り替えを行い、
前記制御部は前記位相の切り替えの速度を制御することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の欺まん装置。
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