JP6807805B2 - 燃料噴射ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼル機関等の内燃機関に用いられる燃料噴射ポンプに係り、特に植物油の中でも常温で流動性のないものとして知られているパームステアリンの如き高流動点植物油であっても、燃料油として使用することができる内燃機関の燃料噴射ポンプに関するものである。
油ヤシから採取されるパーム油は、大豆油を抜き植物油(油脂類)の中で一番の生産量を有する。油ヤシの絞りたての粗油(Crude Palm Oil)の精製(例えば、融点の差を利用した分別)が行われ、精製した液体部分のRBD(Refined, Bleached and Deodorized)パームオレイン、固体部分のRBDパームステアリンが生み出されている。
ここで言うステアリンとオレインは、ステアリン酸とオレイン酸を指すものでなく、固体状のものをステアリン、液体状のものをオレインと称する業界固有の用語として定着したものである。JAS規格では、パームステアリンは60℃において清澄なもの、パームオレインは40℃において清澄なものとされている。
かかる植物油のなかでもパームステアリンに代表される高流動点植物油は、一般的に軽油やA重油と比較して分子量が3倍以上で蒸発温度が高く、ディーゼル機関の燃料に用いる場合、燃焼室温度が低い場合は完全燃焼しにくい燃料である。また、原料植物および産地の違いにより含有する脂肪酸の混合比率が異なることで流動点温度が大幅に変化し、高い温度でも急激に凝固するもの等もある。不飽和脂肪酸を多く含む植物油では加熱による酸化劣化進行が速く、また一般的には油温10℃上昇で酸化劣化速度は倍になると言われている。さらに、植物油の熱伝導率は水に比べて約1/4であり、均一に加熱するのも難しい。
ところで、現在多用されている高粘度のディーゼル燃料油としてはC重油やHPPがある。これら高粘度のディーゼル燃料油を対象とした内燃機関用に用いられている燃料噴射ポンプとしては、下記特許文献1、2に示すようなボッシュ型燃料噴射ポンプが知られている。なお、各特許文献記載の発明に関する以下の説明では、各文献に掲載されている図面及び説明において使用されている符号をそのまま使用するものとする。
特許文献1に記載された燃料噴射ポンプは、燃料噴射ポンプにおいてプランジャの下降時にバレル内にキャビテーションやエロージョンが発生しないようにしたものである。燃料噴射ポンプのプランジャ28はバレル22内で上下摺動可能である。プランジャ28の上端には切り欠き部12がある。プランジャ28が上昇すると、切り欠き部12の周面部13がバレル22の燃料油流出入口4を塞ぎ、プランジャ28の逃げ部14と油溜室23は遮断され、バレル22内の燃料油の圧力が上昇し、等圧弁5から燃料油が吐出する。バレル22の燃料油流出入口4の下方には油溜室23に連通した燃料油吸い込み口24がある。噴射終了後、プランジャ28が燃料油流出入口4を閉止した状態でバレル22内を下降すると、プランジャの第2の逃げ部29に開口した燃料導入路30が燃料油吸い込み口24に連通し、逆止弁31が作動してバレル内に燃料油が流入する。このため、バレル22内には負圧が発生せず、キャビテーションやエロージョンが発生しないものとされている。
特許文献2に記載された燃料噴射ポンプは、燃料油流出入口4が形成されたバレル2と、バレル2内に上下動可能に設けられ燃料油流出入口4を開閉するプランジャ32と、プランジャ32を従動子として上下動させるカム10を具備している。カム10は、プランジャ32が燃料油流出入口4を閉じてから再び開くまでの下降行程のうち、燃料油流出入口4が開く直前の位置でプランジャ32の上下動を停止させるようなプロフィルを有している。これにより、プランジャ32とバレル2との間隙より燃料がバレル2内に吸引され、プランジャ32の下降行程で負圧となるバレル2内の圧力が回復され、キャビテーションや潰食が発生しないものとされている。
特開平10−2265号公報 特開2000−291511号公報
特許文献1、2に記載の発明は、前述したようにいずれもキャビテーションエロージョンを防止することを目的としたものであったが、燃料油中に空気が多量に含まれている前述した高流動点植物油を燃料として使用する場合には、十分にキャビテーションエロージョンを防止することが出来なかった。
また、特許文献1に開示された燃料噴射ポンプによれば、プランジャ28に逆止弁31を設けているために機構が複雑であり、小型の燃料噴射ポンプには採用が困難であるという問題があった。さらに、このようにプランジャ28に逆止弁31を設けたとしても、逆止弁のクラッキング設定圧力を必要な値とするために、逆止弁31に設けられたばねのばね定数を設定すると、質量とばね定数で定まる逆止弁31の固有振動数が小さくなり、これによって高周波数成分の圧力変動に対する逆止弁31の応答性が低下することがあるという問題もあった。
特に、特許文献2に開示された燃料噴射ポンプによれば、前記プランジャ32が前記燃料油流出入口(バレルポート)4を閉じてから再び開くまでの下降行程のうち、燃料油流出入口(バレルポート)4が開く直前の位置で前記プランジャの上下動を停止させる期間が、回転角度で100〜200度の範囲となるようにカムのプロフィールを設定していたが、プランジャ32が燃料油流出入口(バレルポート)4を閉じた状態で下降する速度が速すぎるため、前述した高流動点植物油を用いて運転すると、燃料油流出入口(バレルポート)4付近、プランジャ32の周面部13及びデフレクタ22等に深刻なキャビテーションエロージョンが発生し、例えば、通常16000時間程度使用できるものが、わずか4000時間程度でキャビテーションエロージョンおよびエロージョン部を起点とした割れが発生したり、プランジャ周面部13に発生したキャビテーションエロージョンがリード部14につながる損傷に進展して適正な燃料油量の制御が不能となり、運転不能に陥る事態となることがあった。
図7(a)、(b)、(c)は、特許文献2において従来の燃料噴射ポンプの作動を説明する図として用いられた同文献2の図5(e)、(f)、(c)に対応する図であり、同文献2の図5と略同様の符号を付してある。以下、図7を参照して上述した燃料噴射ポンプにおけるキャビテーションクラウドの発生の機序を説明する。
図7に示す燃料噴射ポンプにおいて、バレル2とプランジャ8で構成されるポンプ室内にバレルポート4を経由して燃料供給ギャラリ(燃料室)3より燃料油を吸込み、プランジャ8の上昇により圧縮して吐出弁から燃料油を吐出する。その後、図7(a)に示すプランジャ8の下降行程において、プランジャ8の周面部がバレルポート4を塞いだ状態でプランジャ8が下降する際、ポンプ室内が負圧状態となり、キャビテーションクラウドが発生する。さらに図7(b)に示すように、プランジャ8が下降し、プランジャ8の周面部で塞がれていたバレルポート4が開かれるとバレルポート4を経由して燃料供給ギャラリ(燃料室)3より燃料油がポンプ室内に流入するが、これと同時にポンプ室内で発生したキャビテーションクラウドがバレルポート4から燃料供給ギャラリ(燃料室)3内に入り込み、この入り込んだキャビテーションクラウドはバレルポート4内および燃料供給ギャラリ3(燃料室)内に残存する。
図7(c)に示すように、プランジャ8による次の燃料油圧送行程終了時にプランジャ8が上昇し、プランジャ8の周面部で塞がれていたバレルポート4が開かれると、矢印で示すようにバレルポート4の開口部からポンプ室内の高圧燃料油が高速でバレルポート4内および燃料供給ギャラリ(燃料室)3内に噴出する。即ち燃料油の高圧噴流(スピル)30が発生し、バレルポート4内および燃料供給ギャラリ(燃料室)3内に残存するキャビテーションクラウドが、バレルポート4の内面、デフレクタ22、プランシャ8の周面部などのスピル30の衝突面で圧潰され、キャビテーションエロージョンが発生し、プランジャ8の損傷やバレル2の亀裂等に発展してしまう。
従来の技術では、特許文献1または2に開示された発明のように、キャビテーションエロージョンを防止することを目的とした燃料噴射ポンプであっても、燃料油中に空気が多量に含まれている高流動点植物油を燃料として使用するような場合には、上述した機序により、依然として燃料噴射ポンプのキャビテーションエロージョンによる損傷が激しく致命的な問題となっており、この問題の解決が重要事項となっていた。
本発明は、以上説明した背景技術における課題に鑑みてなされたものであり、パームステアリンに代表されるような高流動点植物油であっても、キャビテーションエロージョンによる損傷の問題なく使用できる燃料噴射ポンプを提供することを目的としている。
請求項1に記載された燃料噴射ポンプは、
燃料供給源に燃料室を介して接続された燃料供給口を有するバレルと、
前記バレルの内周面に接して上下動可能に設けられ前記燃料供給口を開閉して前記バレル内に供給された燃料油に圧力を加えるプランジャと、
を有する燃料吐出ポンプであって、
前記バレル内に連通する吸込み逆止弁と、前記燃料室と前記吸込み逆止弁とを連絡する連絡路とをさらに有し、
前記吸込み逆止弁は、燃料油に圧力を加える前記プランジャの上昇行程では開かず、前記プランジャが前記燃料供給口を塞ぐ前記プランジャの下降行程で開くことにより前記燃料室と前記バレル内を前記連絡路により連通させて前記バレル内の負圧を緩和し、
前記連絡路は、前記燃料室に連通する燃料室引出口と、前記吸込み逆止弁に連通する逆止弁引出口と、前記燃料室引出口と前記逆止弁引出口を連絡する外部連絡路とを備えることを特徴としている。
請求項2に記載された燃料噴射ポンプは、請求項1記載の燃料噴射ポンプにおいて、
前記吸込み逆止弁の開弁設定圧力を、前記燃料供給口における燃料油の圧力未満としたことを特徴としている。
請求項3に記載された燃料噴射ポンプは、請求項1又は2記載の燃料噴射ポンプにおいて、
前記プランジャを従動子としてとして上下動させるカムをさらに有し、
前記プランジャの下降行程において、前記プランジャが前記燃料供給口を閉じた後に再び開く再開タイミングが当該カムの回転角度で200度〜330度の範囲であり、かつ前記燃料供給口を閉じた後に再び開く再開タイミングまでの間は前記プランジャが等速に降下するように、前記カムのプロフィールが設定されていることを特徴としている。
請求項4に記載された燃料噴射ポンプは、請求項3記載の燃料噴射ポンプにおいて、
前記プランジャの下降行程において、前記プランジャが前記燃料供給口を閉じた後に再び開く再開タイミングが当該カムの回転角度280〜310度の範囲となるように、前記カムのプロフィールが設定されていること特徴としている。
請求項1に記載された燃料噴射ポンプによれば、バレルに設けた吸込み逆止弁を連絡路で燃料室と接続し、プランジャの下降行程においてポンプ室内が負圧状態となった場合に燃料室から連絡路を経由して燃料油をポンプ室に供給できる吸込み逆止弁を設けたので、プランジャが燃料供給口を塞ぐ下降行程では、吸込み逆止弁が開いてバレル内と燃料室が連絡路で連通されるため、バレル内の負圧が緩和され、キャビテーションクラウドの発生が抑制される。このため、燃料噴射終了時に燃料油スピルが発生しても、これが残存キャビテーションクラウドを圧潰することにより発生するキャビテーションエロージョンの軽減を図ることができる。さらに、連絡路を、前記燃料室に連通する燃料室引出口と、前記吸込み逆止弁に連通する逆止弁引出口と、前記燃料室引出口と前記逆止弁引出口を連絡する外部連絡路とを備える構造としたので、高流動点植物油での運転を前提としない通常の内燃機関の燃料噴射ポンプに対しての構造面での変更が少なく、主要部品の共通化が図れる。
請求項2に記載された燃料噴射ポンプによれば、吸込み逆止弁の開弁設定圧力を燃料供給口における燃料油の圧力未満としたので、プランジャが燃料供給口を塞ぐ下降行程で吸込み逆止弁が速やかに開いてバレル内の負圧の緩和が直ちに達成される。
請求項3に記載された燃料噴射ポンプによれば、プランジャの下降行程において、プランジャが燃料供給口を閉じた後に再び開く再開タイミングを当該カムの回転角度で200度〜330度の範囲とし、かつ燃料供給口を閉じた後に再び開く再開タイミングまでの間はプランジャが等速に降下するようにした。すなわち、プランジャを駆動するカムをプランジャが緩やかに下降するような形状とすることにより、バレル内の急激な負圧の発生を抑制し、吸込み逆止弁からバレル内への燃料油の円滑な流入を容易にした。なお、前記プランジャの下降行程において、プランジャが燃料供給口を閉じるタイミングは、機関の負荷状態すなわち燃料噴射量によって変わる。しかし、燃料供給口を閉じた後の再開タイミングは、その影響を受けないで一定とすることが出来る。
請求項4に記載された燃料噴射ポンプによれば、プランジャの下降行程において、プランジャが燃料供給口を閉じた後に再び開く再開タイミングを当該カムの回転角度で280〜310度の最適な範囲としたので、バレル内の急激な負圧の発生をより効果的に抑制し、吸込み逆止弁からバレル内への燃料油の流入を一層容易にした。
本発明の実施形態に係る燃料噴射ポンプの平面図である。 図1のB−A切断線における断面の説明図である。 図1のA−A切断線における断面の説明図である。 本発明の実施形態に係る燃料噴射ポンプに接続された燃料供給系統及びドレン配管系を模式的に示す構成図である。 本発明の実施形態に係る燃料噴射ポンプのカム一回転に対応するプランジャ行程図である。 本発明の実施形態に係る燃料噴射ポンプの作動を示す一部切欠き正面図である。 従来の燃料噴射ポンプにおけるキャビテーションクラウドの発生を説明するための一部切欠き正面図である。
本実施形態は、ディーゼル機関等の内燃機関に用いられる燃料噴射ポンプ30に係り、特に植物油の中でも常温で流動性のないものとして知られているパームステアリンの如き高流動点植物油であっても燃料油として使用できる内燃機関の燃料噴射ポンプ30に関するものである。
図1〜図3に示すように、本実施形態の燃料噴射ポンプ30は、円筒形のハウジング1内に固定されたバレル2を有する。バレル2とハウジング1の間には後述する供給源から送られた燃料油が溜まる燃料室3が形成されている。バレル2の内周面には燃料供給口(以下、「バレルポート」とも呼ぶ。)4が開口している。バレルポート4はこの燃料室3に連通している。バレル2の上端には等圧弁5が設けられている。等圧弁5は、加圧された燃料油の圧力で作動して燃料油をバレル2外に吐出させる吐出側チェックバルブ6と、戻り側チェックバルブ7を有している。なお図3においては説明のため、断面として現れるべき外部連絡路26および逆止弁引出口34の記載を省略している。
バレル2の内部には、プランジャ8が上下摺動可能に設けられている。開口したバレル2の下端から突出したプランジャ8の下端にはプランジャガイド9が設けられている。プランジャガイド9はハウジング1内にあり、ハウジング1の下端の開口部に配置されている。ハウジング1の下端の開口部から覗いているプランジャガイド9の下面には、機関に同期して作動するカム10が接している。ハウジング1とプランジャガイド9の上面との間には、プランジャガイド9を下方に付勢する復帰手段としてのばね11が設けられている。
プランジャ8の上端の周面には、バレルポート4を適当なストロークで開閉するための切り欠き部12が形成されている。この切り欠き部12は、プランジャ8の上端面と螺旋状の下端縁に区画されてバレル2の内周面に摺接する周面部13と、周面部13よりも凹んだ略周状の逃げ部(以下、「リード」とも呼ぶ。)14と、プランジャ8の上端面とこのリード14を連通する縦溝15から構成される。
バレル2の下端には、ピニオン16が回動可能に装着されている。ピニオン16は筒体17と一体であり、筒体17の下端には二面取り部18がある。プランジャ8の下端には二面巾を有するつば部19が設けられており、筒体17の二面取り部18に係合している。ハウジング1の内部にはピニオン16に係合するラック20が設けられている。プランジャ8が実際に燃料油を圧送する移動範囲の長さを有効ストロークと呼ぶ。プランジャ8の有効ストロークは噴射量に比例する。ラック20を移動させてピニオン16を回転させ、これによってプランジャ8を回転させて切り欠き部12とバレルポート4との位置関係を変えれば、有効ストロークを変更することができる。
図4は、前述した本実施形態の燃料噴射ポンプ30と燃料噴射ポンプ30から燃料油の供給を受ける燃料噴射弁40等を含む燃料供給系と、ドレン系とを示している。
図4には示さない機関の燃料タンクに接続された燃料供給管28にはポンプ27が介装されており、ポンプ27から所定の圧力で吐出された燃料油は、燃料入口主管28aを経て、図3等に示すようにハウジング1及びバレル2に取り付けられたデフレクタを兼用した燃料入口孔22aに入り、前記燃料室3及び前記バレルポート4を経由してポンプ室29内に供給される。図3及び図4に示す等圧弁5の出口側は、燃料噴射弁40に接続されており、所定の圧力にまで加圧された燃料油は燃料噴射弁40に送られて噴射される。また、図3及び図4に示すようにハウジング1及びバレル2に取り付けられた他方のデフレクタを兼用した燃料出口孔22bから出た燃料油は、燃料出口主管28bを経て、ポンプ27の上流側において前記燃料供給管28に還流する。
前記燃料噴射弁40のドレンとは、燃料噴射弁40の針弁と本体との摺動面からリークした燃料油または噴射管等のねじ込み部から漏れた燃流油であり、図4に示すように、針弁と本体の摺動面からリークした燃料を導く燃料戻り油路41にドレン支管42が接続されており、このドレン支管42はドレン主管43に接続されている。ドレン主管43はドレンタンク44に接続されており、各シリンダから出たドレンはドレンタンク44に集められる。
図1及び図2に示すように、本実施形態の燃料噴射ポンプ30は、「発明が解決しようとする課題」の項で説明したキャビテーションクラウドの発生を抑制するために、前述した従来の等圧弁5に加えて、バレル2の上部に、該バレル2内(ポンプ室29)に連通する吸込み逆止弁25と、吸込み逆止弁25に連通する逆止弁引出口34を有している。また、燃料室3に連通する燃料室引出口33を有する。この逆止弁引出口34と燃料室引出口33は、連絡路としての外部連絡路26 (図2では一部を破線で仮想的に示す。)によって接続されている。このように本実施形態では、燃料室3から吸込み逆止弁25への燃料油供給は、ハウジング1の外に配設するため構造が簡単な外部連絡路26で行うものとした。
本実施形態の燃料噴射ポンプ30によれば、バレル2に設けた吸込み逆止弁25を燃料室3と接続する構造により、キャビテーションエロージョン軽減の効果が得られた。その詳細は後に図5及び図6を参照して説明するが、ここでは図5のプランジャ行程図を参照して簡単に説明する。すなわち、図5における「燃料噴射期間」のように、プランジャ8が上昇してポンプ室29内の燃料油を加圧する上昇行程では、吸込み逆止弁25は開かない。プランジャ8の下降行程において、図5における「バレルポート閉期間」のように、プランジャ8の周面部13が燃料供給口4(バレルポート)を塞いだ状態でプランジャ8が下降する際には、吸込み逆止弁25が開く。これによって燃料室3とポンプ室29とが外部連絡路26を介して連通し、燃料室3内の燃料油がポンプ室29内に流入し、ポンプ室29内の負圧を緩和する。このため、前述したようなポンプ室29内におけるキャビテーションクラウドの発生が抑制され、燃料噴射終了時に発生する燃料油のスピルが残存キャビテーションクラウドを圧潰することで生じるキャビテーションエロージョンが軽減される。
前記吸込み逆止弁25の開弁設定圧は、燃料供給口4での燃料油の圧力より低い圧力とされている。具体的には、前記燃料供給口4での燃料油の圧力は、ほぼ燃料供給ポンプ27の吐出圧力に近いので、燃料供給ポンプ27の吐出圧力(例えば0.5MPa)未満の低い値、好ましくは燃料供給ポンプ27の吐出圧力(例えば0.5MPa)より0.1MPaだけ低い値(例えば0.4MPa)に設定するとよい。
本実施形態の燃料噴射ポンプ30に設けられた前記吸込み逆止弁25を含む各弁の作動圧力の設定例を示す。
吸込み逆止弁25:前記バレル2内(ポンプ室29内)の圧力が前記燃料供給口4での燃料油の圧力未満の低い圧力で開となる。好ましくは 前記燃料供給口4での燃料油の圧力より0.1MPa低い値で開となるものとする。
吐出側チェックバルブ6:前記バレル2内(ポンプ室29内)の圧力が2.0〜3.0MPa以上で開となるものとする。
戻り側チェックバルブ7:吐出側の圧力が10.5〜8.0MPa以上で開となるものとする。
このように、本実施形態の燃料噴射ポンプ30によれば、プランジャ8が燃料供給口4(バレルポート)を塞いで下降する際には吸込み逆止弁25が開き、燃料室3内の燃料油がポンプ室29内に流入して負圧を緩和する効果が得られるが、負圧緩和の効果を一層確実に得るために、プランジャ8を駆動するカム10の下り形状を、プランジャ8がより緩やかに下降するような形状とすることとした。
具体的には、前記プランジャ8の下降行程において、前記プランジャ8が前記燃料供給口4(バレルポート)を閉じた瞬間(図5における「バレルポート閉期間」の始点である「バレルポート閉」の時点)よりも後の再開タイミングD°(図5における「バレルポート閉期間」の終点である「バレルポート開」の時点)を、当該カム10の回転角度で200〜330度の範囲とし、前記燃料供給口4(バレルポート)を閉じてから前記再開タイミングD°までの間、すなわち図5における「バレルポート閉期間」の間、プランジャ8が等速で降下するように、カム10のプロフィールを設定した。
図5中に破線で示した「従来の技術におけるリフトの変化」から理解されるように、従来のカムのプロフィールによれば、プランジャ8の下降行程において、「バレルポート閉」の後、カムは急速に低下してリフトが0になる。このため、従来は、プランジャ8の下降行程における「バレルポート閉」の後は、ポンプ室29内は負圧が生じやすい条件にあったと言えるが、本実施形態によれば、そのような条件は改善されており、前記吸込み逆止弁25による効果と相俟って、ポンプ室29内の負圧解消が一層確実になっている。
なお、プランジャ8の下降行程において、プランジャ8が燃料供給口4(バレルポート)を閉じるタイミングは、機関の負荷状態すなわち燃料噴射量によって変わる。しかし、燃料供給口4(バレルポート)を閉じた後の再開タイミングは、その影響を受けないで一定とすることが出来る。
本実施形態の燃料噴射ポンプ30のさらに好ましい形態として、プランジャ8の下降行程において、プランジャ8が燃料供給口4(バレルポート)を閉じた後の再開タイミングD°を当該カム10の回転角度で280〜310度の範囲とすることもできる。
このように、本実施形態の燃料噴射ポンプ30によれば、プランジャ8の下降行程における燃料供給口4(バレルポート)の再開タイミングD°を従来よりも引き延ばしてカム10の回転角度で200〜330度の範囲としたので、ポンプ室29内における負圧の急激な発生は抑制され、吸込み逆止弁25からポンプ室29内へ流入する燃料油によってポンプ室29内での負圧の発生に的確に追従してこれを緩和することができる。すなわち、ポンプ室29内での負圧の発生に対して吸い込み逆止弁25が応答遅れを生じることがないため、ポンプ室29内にキャビテーションクラウドが発生することを確実に防止できる。
次に、以上のように構成された本実施形態に係る燃料噴射ポンプ30の作動を、図5及び図6を適宜参照して説明する。
図5に示す(a)の期間は、プランジャ8の下限位置(カム10のベースサークル)から、バレル2のバレルポート4を塞ぐまでの上昇ストロークであり、この期間ではバレル2内の燃料油はバレルポート4より燃料室3に逃げるため圧縮されない。
図5に示す(b)の期間、すなわち「燃料噴射期間」は、プランジャ8の上端がバレルポート4を塞いでから、プランジャ8のリード14がバレルポート4を開くまでの上昇ストロークであり、この期間で燃料油は圧縮されて任意の設定圧力以上で燃料噴射弁40に圧送が行われる。そしてリード14がバレルポート4を開く時点でバレル2内の高圧に圧縮された燃料油がプランジャ8の縦溝15を経由し、バレルポート4から燃料室3に噴出する。この期間では吸込み逆止弁25は開かない。
図5に示す(c)の期間は、燃料油圧送が終了し、バレル2内とバレルポート4がプランジャ8の縦溝15を経由して連通した状態での上昇ストロークであり、バレル2内の燃料油はプランジャ8の上昇に伴って、バレルポート4から燃料室3に逃げる。
図5に示す(d)の期間は、(c)の期間に続く下り行程であり、バレル2内の容積の増加に伴い、バレルポート4、縦溝15を経由し燃料室3から燃料油を吸引しながらプランジャ8が下降する。
図5に示す(e)の期間は、プランジャ8の下り行程であり、この期間はバレルポート4が塞がれた状態でプランジャ8が下降するため、従来の燃料噴射ポンプ30では、バレル内が負圧となり、従来ではキャビティの発生が問題になっていた期間である。しかしながら、本実施形態では、バレル2に設けた吸込み逆止弁25を燃料室3と接続し、プランジャ8の下降行程における燃料供給口4(バレルポート)の再開タイミングD°を従来よりも引き延ばしてプランジャが等速でゆっくり下降するようにしたため、キャビテーションエロージョン軽減の顕著な効果が得られている。
すなわち、図5における「バレルポート閉期間(ポンプ室膨張期間)」のようなプランジャ8の下降行程において、プランジャ8の周面部13が燃料供給口4(バレルポート)を閉じた状態でプランジャ8が下降する際に、図6(a)に示すように吸込み逆止弁25が開き、燃料室3とポンプ室29とが外部連絡路26(図2参照)を介して連通し、燃料室3内の燃料油がポンプ室29内に流入を始め、ポンプ室29内の負圧を緩和する。これによって、前述したキャビテーションクラウドの発生が抑制され、燃料噴射終了時に発生する燃料油のスピルが残存キャビテーションクラウドを圧潰することで生じるキャビテーションエロージョンが軽減される。
図5における「バレルポート閉期間」の始点である「バレルポート閉」のタイミングで燃料室3内の燃料油が吸い込み逆止弁25からポンプ室29内に流入を始め、その後、「バレルポート開」となるカム10の回転角度で200〜330度の再開タイミングD°まで流入が続き、その間、プランジャ8は等速度で緩やかに降下する。
このように、本実施形態の燃料噴射ポンプ30によれば、プランジャ8の下降行程における燃料供給口4(バレルポート)の再開タイミングD°を従来よりも先に引き延ばしてプランジャ8を等速度でゆっくり下降させ、ポンプ室29内における負圧の急激な発生を抑制したので、吸込み逆止弁25からの燃料油の流入が、応答遅れを生じることなくポンプ室29内の負圧の発生に的確に追従できるため、ポンプ室29内にキャビテーションクラウドが発生することを確実に防止することができる。
図5に示す(f)の期間では、バレルポート4を通じて燃料油をバレル2内に吸入する。この際、急激なバレルポート4の開により燃料室3内の圧力が変動するが、本実施形態では(e)の期間でキャビティが発生しないので、これが燃料室3内に流出することによる不都合は発生しない。
以上説明したように、本実施形態の燃料噴射ポンプ30によれば、バレル2の上部に該バレル2内に連通する吸込み逆止弁25を設け、これと燃料室3を外部連絡路26で接続した。この吸込み逆止弁25は、プランジャ8による燃料油の加圧時には開かず、プランジャ8が燃料供給口4(バレルポート)を塞いで下降した際には開口して、燃料室3からバレル2内に燃料油を流入させてバレル2内(ポンプ室29内)の負圧を緩和する。このため、燃料供給口(バレルポート)4の近傍や、プランジャ8の周面部13及びデフレクタ22等におけるキャビテーションエロージョンの発生が防止され、キャビテーションエロージョンおよびエロージョン部を起点とした割れの発生や、プランジャ8の周面部13の損傷によって適正な燃料油量の制御が不能となり、運転不能に陥るような事態を避けることが出来る。
特に、燃料油中に空気が多量に含まれている高流動点植物油を燃料として使用する場合には、キャビテーションエロージョンの発生を防止するために有効である。さらに、機構が簡単であるため、小型の燃料噴射ポンプ30には特に適用しやすい。また、燃料噴射ポンプ30のプランジャ8が燃料供給口4(バレルポート)を閉じてから再び開く再開タイミングをカム10の回転角度で200〜330度の範囲とし、プランジャ8が燃料供給口4(バレルポート)を閉じてから再び開くまでの間、プランジャ8が略等速度で降下するようにしたので、より確実にキャビテーションエロージョンの発生を防止することができる。
1…ハウジング
2…バレル
3…燃料室
4…燃料供給口(バレルポート)
8…プランジャ
10…カム
25…吸込み逆止弁
26…連絡路としての外部連絡路
30…燃料噴射ポンプ
33…燃料室引出口
34…逆止弁引出口
40…燃料噴射弁

Claims (4)

  1. 燃料供給源に燃料室を介して接続された燃料供給口を有するバレルと、
    前記バレルの内周面に接して上下動可能に設けられ前記燃料供給口を開閉して前記バレル内に供給された燃料油に圧力を加えるプランジャと、
    を有する燃料吐出ポンプであって、
    前記バレル内に連通する吸込み逆止弁と、前記燃料室と前記吸込み逆止弁とを連絡する連絡路とをさらに有し、
    前記吸込み逆止弁は、燃料油に圧力を加える前記プランジャの上昇行程では開かず、前記プランジャが前記燃料供給口を塞ぐ前記プランジャの下降行程で開くことにより前記燃料室と前記バレル内を前記連絡路により連通させて前記バレル内の負圧を緩和し、
    前記連絡路は、前記燃料室に連通する燃料室引出口と、前記吸込み逆止弁に連通する逆止弁引出口と、前記燃料室引出口と前記逆止弁引出口を連絡する外部連絡路とを備えることを特徴とする燃料噴射ポンプ。
  2. 前記吸込み逆止弁の開弁設定圧力を、前記燃料供給口における燃料油の圧力未満としたことを特徴とする請求項1記載の燃料噴射ポンプ。
  3. 前記プランジャを従動子としてとして上下動させるカムをさらに有し、
    前記プランジャの下降行程において、前記プランジャが前記燃料供給口を閉じた後に再び開く再開タイミングが当該カムの回転角度で200度〜330度の範囲であり、かつ前記燃料供給口を閉じた後に再び開く再開タイミングまでの間は前記プランジャが等速に降下するように、前記カムのプロフィールが設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料噴射ポンプ。
  4. 前記プランジャの下降行程において、前記プランジャが前記燃料供給口を閉じた後に再び開く再開タイミングが当該カムの回転角度280〜310度の範囲となるように、前記カムのプロフィールが設定されていること特徴とする請求項3記載の燃料噴射ポンプ。
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