JP6807261B2 - プラズマ切断装置及びプラズマ切断方法 - Google Patents

プラズマ切断装置及びプラズマ切断方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマ切断装置及びプラズマ切断方法に関する。
従来、プラズマ切断によって鋼板などの被切断材を切断することが行われている。プラズマ切断では、プラズマトーチ内の電極と被切断材との間に直流電圧を印加し、かつ酸素ガスなどの作動ガスを流すことによりプラズマアークを発生させ、電極と被切断材とを相対的に移動させることで被切断材が切断される。
作動ガスに酸素ガスを用いる酸素プラズマ切断において、電極は、高純度酸素ガスによる酸化性雰囲気に曝されかつプラズマアークの高い温度が作用する。このような過酷な使用条件に耐えるため、従来、電極材料として、融点が高く仕事関数が小さいハフニウムが用いられている。これによって、電極の寿命を使用可能な程度まで伸ばしている。
また、電極の寿命をさらに伸ばす方法として、特許文献1には、電極と被切断材との間にプラズマアークを発生させるために供給する直流電流に、所定の周波数及び振幅を有する交流電流を重畳させることによって、直流電流のみを供給する場合よりも電極の寿命を伸ばす技術が開示されている。
特許第2819393号公報
近年、プラズマ切断で比較的板厚が大きい被切断材を切断する需要が高くなっている。被切断材は、例えば鋼板である。この需要に対応するため、電流値が200Aを超えるような大電流がプラズマ切断の直流電流として用いられている。このように切断時の電流値が大きい場合には、0からその電流値まで瞬時に電流を増加させること、及びその電流値から0まで瞬時に電流を減少させることは難しい。このため、通常は、一定の時間をかけて0からその電流値まで電流を増加させ、また一定の時間をかけてその電流値から0まで減少させている。
これに対して、特許文献1に記載された技術は、電極と被切断材との間に供給する供給電流の平均値が70Aである条件下での実験結果のみに基づいている。プラズマ切断において、70Aの電流は、主に薄板(板厚が6mm未満)を切断する際に用いられており、中厚板(板厚が6mm以上16mm未満)や厚板(板厚が16mm以上)を切断するのには用いられていない。通常、プラズマ切断において、70A程度の電流値であれば、0からこの電流値まで瞬時に電流を増加させ、またこの電流値から0まで瞬時に電流を減少させている。したがって、特許文献1では、0から切断時の電流値まで電流を増加させる期間(電流増加期間)及び切断時の電流値から0まで電流を減少させる期間(電流減少期間)について全く考慮されていないと考えられる。加えて、特許文献1には、直流電流に交流電流を重畳させると電極の寿命が短くなる場合があることも開示されている。このため、上述した電流増加期間及び電流減少期間を含むように供給される電流によって被切断材を切断する場合、具体的には板厚が大きい被切断材を高速で切断する場合に、どのように直流電流に交流電流を重畳させれば電極の寿命を伸ばせるのか不明であった。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、電流増加期間及び電流減少期間を含むように供給される電流によって被切断材を切断する場合において、電極の寿命を伸ばすことが可能なプラズマ切断装置及びプラズマ切断方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様に係るプラズマ切断装置は、電極を有するプラズマトーチと、前記電極と被切断材との間にプラズマアークを発生させるために前記電極と前記被切断材との間に直流電流を供給し、前記直流電流に交流電流を重畳させることが可能な電源部と、前記電源部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記直流電流が、前記直流電流の大きさが0から切断電流値まで上昇する電流増加期間と、前記直流電流の大きさが前記切断電流値で略一定である定常期間と、前記直流電流の大きさが前記切断電流値から0まで下降する電流減少期間と、を有するように前記電源部を制御し、かつ、少なくとも前記定常期間及び前記電流減少期間の間、前記交流電流を前記直流電流に重畳させるように前記電源部を制御する。
上記のプラズマ切断装置において、前記制御部は、前記定常期間及び前記電流減少期間の間のみ、前記交流電流を前記直流電流に重畳させるように前記電源部を制御してもよい。
本発明の第二の態様に係るプラズマ切断方法は、プラズマトーチの電極と被切断材との間に発生するプラズマアークによって前記被切断材を切断するプラズマ切断方法であって、前記プラズマアークを発生させるために前記電極と前記被切断材との間に直流電流を、前記直流電流の大きさが0から切断電流値まで上昇する電流増加期間と、前記直流電流の大きさが前記切断電流値で略一定である定常期間と、前記直流電流の大きさが前記切断電流値から0まで下降する電流減少期間と、を設けるように供給し、少なくとも前記定常期間及び前記電流減少期間の間、交流電流を前記直流電流に重畳させる。
上記のプラズマ切断方法において、前記定常期間及び前記電流減少期間の間のみ、前記交流電流を前記直流電流に重畳させてもよい。
このようなプラズマ切断装置及びプラズマ切断方法によれば、少なくとも定常期間及び電流減少期間の間、交流電流を直流電流に重畳させることによって、電極の寿命を伸ばすことができる。
上記のプラズマ切断装置及びプラズマ切断方法によれば、少なくとも定常期間及び電流減少期間の間、交流電流を直流電流に重畳させることによって、電極の寿命を伸ばすことができる。
本発明の一実施形態に係るプラズマ切断装置の概略構成を示す図である。 前記プラズマ切断装置において電極と被切断材との間に供給される直流電流の波形の一例を示す図である。 前記電極と前記被切断材との間に供給される電流の波形を模式的に示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ切断装置1の概略構成を示す図である。図1に示すように、プラズマ切断装置1は、電極11を有するプラズマトーチ10と、電源部20と、電源部20を制御する制御部30と、を備えている。
プラズマトーチ10は、内部に空間を有するノズル部12を有している。ノズル部12は、先端側が円錐状で基端側が円筒状とされた筒体からなる外径を有している。電極11は、ノズル部12の内部に配置されている。電極11とノズル部12との間には、作動ガスが流れる作動ガス流路13が形成されている。ノズル部12の先端には、作動ガス流路13の先端側と連通するノズル孔12aが形成されている。
電極11は、先端側に底部を有する円筒状の外形を有している。電極11の先端には、例えばハフニウムなどで形成された電極材14が設けられている。電極11は、電極11の内部空間に冷却水を循環させることで冷却することができる。電極11は、例えば銅などの比較的高い導電率を有する金属で形成されている。
作動ガス流路13の基端側は、ホースなどを介して作動ガス供給源15と接続されている。作動ガス供給源15は、例えば酸素ガスなどの作動ガスを作動ガス流路13に供給することができる。作動ガス供給源15から作動ガス流路13の基端側に供給された作動ガスは、作動ガス流路13の先端側を通ってノズル孔12aから噴出する。
電源部20は、プラズマトーチ10の電極11と被切断材Wとの間にプラズマアークPを発生させるために電極11と被切断材Wとの間に直流電流を供給する。また、電源部20は、直流電流に交流電流を重畳させることが可能に構成されている。電源部20は、電極11及び被切断材Wのそれぞれと電気的に接続されている。また、電源部20は、プラズマトーチ10のノズル部12とも電気的に接続されている。電源部20は、商用電源から供給される電力を用いて、電極11と被切断材Wとの間に所定の電圧をかけることでプラズマアークPを発生させることができる。電源部20において直流電流の供給や交流電流の直流電流への重畳は、制御部30からの指示に基づいて実施される。
制御部30は、電源部20と電気的に接続されており、電源部20との間で信号を送受信可能に構成されている。本実施形態では、制御部30は、直流電流が電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdを有するように電源部20を制御する。図2に、プラズマ切断装置1において電極11と被切断材Wとの間に供給される直流電流の波形の一例を示す。図2に示すように、電流増加期間Tuは、直流電流の大きさが電流値0から切断時の電流値(以下、切断電流値と称する。)Icまで上昇する期間である。切断電流値Icは、例えば200A〜400A程度である。この電流増加期間Tuにおいて、プラズマアークPを発生させる。また、定常期間Tcは、直流電流の大きさが切断電流値Icで略一定である期間である。主に定常期間Tcにおいて、被切断材WをプラズマアークPによって切断する。そして、電流減少期間Tdは、直流電流の大きさが切断電流値Icから電流値0まで下降する期間である。
なお、図2に示す例では、電流増加期間Tuにおいて、直流電流の大きさを0から切断電流値Icよりも小さい第一電流値Iuまで瞬時(例えば、0秒)に上昇させている。第一電流値Iuは、プラズマアークPを発生させるのに十分な電流値に設定されており、例えば50A程度である。よって、電流増加期間Tuでは、プラズマアークPを発生させるため直流電流の大きさを0から第一電流値Iuまで瞬時に上昇させて、その後、電極材14を不必要に溶融させないように直流電流の大きさを第一電流値Iuから切断電流値Icまで所定の期間で上昇させている。
また、図2に示す例では、電流減少期間Tdにおいて、直流電流の大きさを切断電流値Icから切断電流値Icより小さい第二電流値Idまで所定の期間で下降させた後、第二電流値Idから0まで瞬時に下降させている。第二電流値Idは、プラズマ切断装置1において直流電流を瞬時に0まで下降させても不具合のない電流値に設定されており、例えば50A程度である。よって、電流減少期間Tdでは、プラズマアークPによって被切断材Wを不必要に溶融させないように直流電流の大きさを切断電流値Icから第二電流値Idまで所定の期間で下降させ、その後、直流電流の大きさを第二電流値Idから0まで瞬時に下降させている。なお、図2に示す例では、第一電流値Iuと第二電流値Idとは同じ大きさになっているが、これに限らない。第一電流値Iuと第二電流値Idとは、異なる大きさになっていてもよい。
制御部30は、電源部20が供給する直流電流に所定の交流電流を重畳させるように電源部20を制御することが可能である。本実施形態では、制御部30は、少なくとも定常期間Tc及び電流減少期間Tdの間、交流電流を直流電流に重畳させるように電源部20を制御する。このようにすることで、後述する実施例に示すように、電極11の寿命を伸ばすことができる。
また、制御部30は、電源部20が供給する直流電流の大きさ(直流電流の電流値I)、並びに直流電流に重畳させる交流電流の大きさ(交流電流の振幅A)及び周波数Fを制御することができる。制御部30が制御するこれらの値の範囲について特に制限はないが、例えば、制御部30は、直流電流の大きさが切断電流値Icとして例えば200A〜400A程度となるように電源部20を制御することができる。また、制御部30は、交流電流の最大値と最小値との差が直流電流の切断電流値Icに対して0%よりも大きく40%程度以下の大きさの交流電流を直流電流に重畳させるように電源部20を制御することができる。さらに、制御部30は、交流電流の周波数Fが50Hz〜300Hz程度となるように電源部20を制御することができる。
ここで、電源部20が供給する直流電流及び直流電流に重畳させる交流電流について、詳細に説明する。図3は、電極11と被切断材Wとの間に供給される電流の波形を模式的に示す図である。図3では説明を簡略にするため、直流電流の大きさが電流値Iで一定の場合(例えば、定常期間Tcにおいて直流電流の大きさが切断電流値Icで一定の場合に相当する。)を示している。図3(a)は、直流電流に交流電流が重畳されていない場合の波形を示している。図3(b)は、直流電流に重畳する交流電流の波形を示している。図3(c)は、直流電流に交流電流が重畳されている場合の波形を示している。
図3(a)に示すように、直流電流は、その電流値が時間の経過に関わらず所定の電流値Iで略一定の電流C1である。図3(b)に示すように、直流電流に重畳する交流電流は、所定の振幅A及び所定の周波数Fを有する正弦波の電流C2である。そして、図3(c)に示すように、直流電流に交流電流が重畳された電流は、電流値Iの直流電流に所定の振幅A及び所定の周波数Fを有する交流電流が重畳された電流C3である。この場合、電流C3の平均電流値は、電流値Iとなり、電流C3の電流値は、電流値Iを中心に振幅Aの範囲で時間の経過とともに変化する。なお、交流電流の最大値と最小値との差である振幅Aは、電流C3の平均電流値、すなわち直流電流の電流値Iに対する比率(以下、リップル率と称する。)Rで表現する。リップル率Rは、次に示す式(1)で表現される。
R=(A/I)×100[%] ・・・ (1)
直流電流に交流電流を重畳させない場合には、電源部20は、電極11と被切断材Wとの間に図3(a)で示される電流C1を供給する。また、直流電流に交流電流を重畳させる場合には、電源部20は、電極11と被切断材Wとの間に図3(c)で示される電流C3を供給する。
次に、プラズマ切断装置1を用いたプラズマ切断方法について説明する。
まず、作動ガス供給源15から作動ガス流路13を介してプラズマトーチ10の電極11の周囲に作動ガスを供給する。同時に、電源部20によって電極11とノズル部12との間に電圧をかけることにより、ノズル部12内で電極11からパイロットアークが発生る。引き続き作動ガスを供給することで、パイロットアークによりノズル部12内でプラズマ化した作動ガスをノズル孔12aから噴射するとともに、電源部20によって電極11と被切断材Wとの間に電圧をかけプラズマアーク(メインアーク)Pを形成する。同時に、電極11とノズル部12との間に印加した電圧を停止してパイロットアークを停止する。被切断材Wは、プラズマアークPの熱エネルギーによって溶融し、またプラズマアークPの噴射エネルギーによってその溶融物が排除される。これによって、被切断材Wの厚さ方向に貫通した溝を形成し、プラズマ切断が実施される。
本実施形態では、上述のプラズマ切断方法において、電極11と被切断材Wとの間に、電流増加期間Tuと定常期間Tcと電流減少期間Tdとを設けるように直流電流を供給し、少なくとも定常期間Tc及び電流減少期間Tdの間、交流電流を直流電流に重畳させる。このようにすることで、交流電流を直流電流に重畳させていない場合に比べて電極11の寿命を伸ばすことができる。
より好ましくは、定常期間Tc及び電流減少期間Tdの間のみ、交流電流を直流電流に重畳させるとよい。また、定常期間Tcの全体及び電流減少期間Tdの全体に渡って、交流電流を直流電流に重畳させるとよい。定常期間Tcの間に直流電流に重畳させる交流電流の大きさ及び周波数Fと電流減少期間Tdの間に直流電流に重畳させる交流電流の大きさ及び周波数Fとは、それぞれ同一であってよい。
電極11と被切断材Wとの間に供給される、交流電流を重畳させる前の直流電流の大きさは、250A以上350A以下に設定することが好ましい。このようにすることで、6mm以上の板厚を有する被切断材Wを好適に切断することができる。また、直流電流に重畳させる交流電流の大きさは、交流電流の最大値と最小値との差が直流電流に対して25%以上40%以下となるように設定することが好ましい。直流電流に重畳させる交流電流の周波数Fは、50Hz以上300Hz以下となるように設定することが好ましい。
被切断材Wを切断する速度である切断速度は、被切断材Wの板厚や電源部20が供給する直流電流の大きさによって変化する。例えば、被切断材Wの板厚が6mmであり、直流電流の大きさが250Aである場合には、切断速度は4000mm/minである。また、被切断材Wの板厚が6mmであり、直流電流の大きさが500Aである場合には、切断速度は8000mm/minである。そして、被切断材Wの板厚が50mmであり、直流電流の大きさが500Aである場合には、切断速度は800mm/minである。なお、切断速度は、公知の速度制御手段によって制御することができる。
また、上述した説明において、直流電流に重畳させる交流電流の波形は正弦波であるとしたが、これに限らない。交流電流の波形は、矩形波などであってもよい。
また、直流電流に重畳させる交流電流の周波数Fは、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdにおいて全て同じ周波数であったが、各期間で周波数が異なっていてもよい。この場合、例えば、定常期間Tcにおける交流電流の周波数Fよりも電流減少期間Tdにおける交流電流の周波数Fを大きくすることで、電極11の寿命をさらに伸ばすことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
本実施例では、電極と被切断材との間に供給する直流電流に交流電流を重畳させる期間を、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdについて変化させ、電極の寿命が伸びる効果について検討した。
〔比較例1〕
プラズマ切断装置において、作動ガスとして酸素ガスを用い、ガス流量を50NL(ノルマルリットル)/minとした。電極の電極材には、ハフニウムを用いた。電極と被切断材との間に供給する直流電流の切断電流値Icを300Aとした。なお、直流電流には交流電流を重畳させていない。この条件において、プラズマアークを1分間発生させた後、電源部からの電流の供給を停止した。このとき、直流電流の波形は図2に示すものとし、第一電流値Iu及び第二電流値Idはともに50Aとした。プラズマアークを発生させた1分間のうち、最初の電流増加期間Tuは1.5秒とし、次の定常期間Tcは58.3秒とし、最後の電流減少期間Tdは0.2秒とした。この1分間プラズマアークを発生させる作業を繰り返して電極を消耗させ、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は165分であった。
〔実施例1〕
切断電流値Icに対するリップル率33.3%及び周波数50Hzの交流電流を、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた以外は比較例1と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は225分であった。
〔実施例2〕
切断電流値Icに対するリップル率33.3%及び周波数50Hzの交流電流を、定常期間Tc及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた以外は比較例1と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は251分であった。
上述した比較例1、実施例1、及び実施例2の計測結果を表1に示す。なお、表1では、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdのそれぞれにおける直流電流への交流電流の重畳の有無、切断電流値Ic、リップル率R、周波数F、電極寿命、並びに電極寿命比率を示している。ここで、電極寿命比率とは、同一の切断電流値Icにおいて交流電流を直流電流に重畳させていない場合の寿命を100とした場合における、交流電流を直流電流に重畳させた場合の寿命を示す割合である。
Figure 0006807261
表1に示すように、直流電流の切断電流値Icが300Aで交流電流を直流電流に重畳していない条件の比較例1に対して、リップル率Rが33.3%の交流電流を、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた実施例1では、電極寿命比率が136となった。また、比較例1に対して、リップル率Rが33.3%の交流電流を、定常期間Tc及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた実施例2では、電極寿命比率が152となった。これにより、実施例1及び2では、比較例1に対して電極の寿命が大幅に伸びることが確認された。また、電流増加期間Tuでは直流電流に交流電流を重畳させず、定常期間Tc及び電流減少期間Tdで直流電流に交流電流を重畳させた実施例2において、最も電極の寿命が伸びることが確認された。
以上より、少なくとも定常期間Tc及び電流減少期間Tdの間、直流電流に交流電流を重畳させることで、直流電流のみを供給する場合に比べて電極の寿命が伸びることが確認された。また、定常期間Tc及び電流減少期間Tdの間のみ、直流電流に交流電流を重畳させることで、電極の寿命が最も伸びることが確認された。
本実施形態に係るプラズマ切断装置1は、電極11を有するプラズマトーチ10と、電極11と被切断材Wとの間にプラズマアークPを発生させるために電極11と被切断材Wとの間に直流電流を供給し、直流電流に交流電流を重畳させることが可能な電源部20と、電源部20を制御する制御部30と、を備える。制御部30は、直流電流が、直流電流の大きさが0から切断電流値Icまで上昇する電流増加期間Tuと、直流電流の大きさが切断電流値Icで略一定である定常期間Tcと、直流電流の大きさが切断電流値Icから0まで下降する電流減少期間Tdと、を有するように電源部20を制御し、かつ、少なくとも定常期間Tc及び電流減少期間Tdの間、交流電流を直流電流に重畳させるように電源部20を制御する。
また、本実施形態に係るプラズマ切断方法は、プラズマトーチ10の電極11と被切断材Wとの間に発生するプラズマアークPによって被切断材Wを切断するプラズマ切断方法であって、プラズマアークPを発生させるために電極11と被切断材Wとの間に直流電流を、直流電流の大きさが0から切断電流値Icまで上昇する電流増加期間Tuと、直流電流の大きさが切断電流値Icで略一定である定常期間Tcと、直流電流の大きさが切断電流値Icから0まで下降する電流減少期間Tdと、を設けるように供給し、少なくとも定常期間Tc及び電流減少期間Tdの間、交流電流を直流電流に重畳させる。
上述したプラズマ切断装置1及びプラズマ切断方法によれば、電極11と被切断材Wとの間に供給する直流電流に、少なくとも定常期間Tc及び電流減少期間Tdの間、交流電流を重畳させることによって、交流電流を直流電流に重畳させていない場合に比べて電極11の寿命を伸ばすことができる。
なお、発明者らは上述した検討に加えて、電極と被切断材との間に供給する直流電流の切断電流値Icと直流電流に重畳させる交流電流のリップル率R及び周波数Fとを変化させ、電極の寿命が伸びる効果についても検討した。その結果を下記に示す。
〔比較例2〕
直流電流の切断電流値Icを250Aとした以外は比較例1と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は90分であった。
〔実施例3〕
切断電流値Icに対するリップル率32%及び周波数150Hzの交流電流を、定常期間Tc及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた以外は比較例2と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は150分であった。
〔実施例4〕
切断電流値Icに対するリップル率32%及び周波数300Hzの交流電流を、定常期間Tc及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた以外は比較例2と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は270分であった。
〔実施例5〕
切断電流値Icに対するリップル率33.3%及び周波数50Hzの交流電流を、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた以外は比較例1と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は225分であった。
〔実施例6〕
切断電流値Icに対するリップル率33.3%及び周波数150Hzの交流電流を、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた以外は比較例1と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は240分であった。
〔実施例7〕
切断電流値Icに対するリップル率13.3%及び周波数300Hzの交流電流を、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた以外は比較例1と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は172分であった。
〔比較例3〕
直流電流の切断電流値Icを350Aとした以外は比較例1と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は131分であった。
〔実施例8〕
切断電流値Icに対するリップル率28.6%及び周波数100Hzの交流電流を、定常期間Tc及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた以外は比較例3と同じ条件で、電極の寿命を計測した。その結果、電極の寿命は212分であった。
上述した各実施例及び各比較例での計測結果を表2から表4に示す。
Figure 0006807261
Figure 0006807261
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表2に示すように、直流電流の切断電流値Icが250Aで交流電流を直流電流に重畳していない条件の比較例2に対して、切断電流値Icに対するリップル率Rが32%の交流電流を、定常期間Tc及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた実施例3及び4では、電極寿命比率がそれぞれ167及び300となった。これにより、実施例3及び4では、比較例2に対して電極の寿命が大幅に伸びることが確認された。
また、表3に示すように、直流電流の切断電流値Icが300Aで交流電流を直流電流に重畳していない条件の比較例1に対して、切断電流値Icに対するリップル率Rが33.3%の交流電流を、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた実施例5及び6では、電極寿命比率がそれぞれ136及び145となった。これにより、実施例5及び6では、比較例1に対して電極の寿命が大幅に伸びることが確認された。また、切断電流値Icに対するリップル率Rが13.3%の交流電流を、電流増加期間Tu、定常期間Tc、及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた実施例7では、比較例1に対して電極寿命比率が104となり、実施例5及び6に比べると小さいが電極の寿命が伸びることが確認された。
また、表4に示すように、直流電流の切断電流値Icが350Aで交流電流を直流電流に重畳していない条件の比較例3に対して、切断電流値Icに対するリップル率Rが28.6%の交流電流を、定常期間Tc及び電流減少期間Tdの全てにおいて直流電流に重畳させた実施例8では、電極寿命比率が162となった。これにより、実施例8では、比較例3に対して電極の寿命が大幅に伸びることが確認された。
以上より、直流電流の切断電流値Icが250A〜350Aの範囲において、切断電流値Icに対するリップル率Rが25%〜40%及び周波数Fが50Hz〜300Hzの交流電流を直流電流に重畳させることで、直流電流のみを供給する場合に比べて電極の寿命が伸びることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
1 プラズマ切断装置
10 プラズマトーチ
11 電極
12 ノズル部
12a ノズル孔
13 作動ガス流路
14 電極材
15 作動ガス供給源
20 電源部
30 制御部
A 振幅
C1、C2、C3 電流
F 周波数
I 電流値
Ic 切断電流値
Id 第二電流値
Iu 第一電流値
P プラズマアーク
R リップル率
Tc 定常期間
Td 電流減少期間
Tu 電流増加期間
W 被切断材

Claims (2)

  1. 電極を有するプラズマトーチと、
    前記電極と被切断材との間にプラズマアークを発生させるために前記電極と前記被切断材との間に直流電流を供給し、前記直流電流に交流電流を重畳させることが可能な電源部と、
    前記電源部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記直流電流が、前記直流電流の大きさが0から切断電流値まで上昇する電流増加期間と、前記直流電流の大きさが前記切断電流値で略一定である定常期間と、前記直流電流の大きさが前記切断電流値から0まで下降する電流減少期間と、を有するように前記電源部を制御し、かつ、
    前記定常期間及び前記電流減少期間の間のみ、前記交流電流を前記直流電流に重畳させるように前記電源部を制御する
    プラズマ切断装置。
  2. プラズマトーチの電極と被切断材との間に発生するプラズマアークによって前記被切断材を切断するプラズマ切断方法であって、
    前記プラズマアークを発生させるために前記電極と前記被切断材との間に直流電流を、前記直流電流の大きさが0から切断電流値まで上昇する電流増加期間と、前記直流電流の大きさが前記切断電流値で略一定である定常期間と、前記直流電流の大きさが前記切断電流値から0まで下降する電流減少期間と、を設けるように供給し、
    前記定常期間及び前記電流減少期間の間のみ、交流電流を前記直流電流に重畳させる
    プラズマ切断方法。
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