JP6804434B2 - エンジンの排気処理装置 - Google Patents
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Description
特許文献1の装置では、ガス生成触媒に、白金やロジウム等の触媒成分が混在し、ガス生成触媒の昇温に時間がかかり、エンジンの排気昇温処理時に、可燃性ガスの生成が停滞するおそれがあった。この場合、可燃性ガスの生成が遅くなり、排気昇温処理が停滞する。
図1(A)、図6(A)に例示するガス生成触媒(3)は、燃料入口(3b)寄りで、白金が担持され、ロジウムが担持されていない入口側触媒部(3e)と、可燃性ガス出口(3d)寄りで、ロジウムが担持された出口側触媒部(3f)を備え、
ガス生成触媒(3)は、前記入口側触媒部(3e)と出口側触媒部(3f)を備えたメイン触媒(3a)と、メイン触媒(3a)の燃料入口(3b)に配置された起動触媒(3c)を備え、起動触媒(3c)には、白金が担持され、ロジウムが担持されておらず、
図1(A)、図3(A)(B)、図6(A)に例示するように、起動触媒(3c)の下面からメイン触媒(3a)の中心部に沿って下向きに導出された熱伝導体(13)を備え、
熱伝導体(13)の下方に配置されたメイン触媒ヒータ(12)を備え、熱伝導体(13)の下面(13a)はメイン触媒(3a)の下面側でメイン触媒ヒータ(12)に向けて露出されている、ことを特徴とするエンジンの排気処理装置。
《効果》 可燃ガスの生成が促進される。
燃料供給室(1)から液体燃料(4)と空気(5)が導入された入口側触媒部(3e)では、ロジウム触媒下での改質反応(吸熱反応)が起こらず、酸化反応力が高い白金触媒下で、改質反応(吸熱反応)を伴わない酸化反応(発熱反応)が起こり、出口側触媒部(3f)が速やかに昇温され、出口側触媒部(3f)でロジウム触媒下での改質反応(吸熱反応)が促進され、水素や一酸化炭素等の可燃性ガスの生成が促進される。
《効果》 起動触媒(3c)が速やかに昇温される。
燃料供給室(1)から液体燃料(4)と空気(5)が導入された起動触媒(3c)では、ロジウム触媒下での改質反応(吸熱反応)が起こらず、酸化反応力が高い白金触媒下で、改質反応(吸熱反応)を伴わない酸化反応(発熱反応)が起こり、起動触媒(3c)が速やかに昇温される。
各実施形態では、ディーゼルエンジンの排気処理装置について説明する。
図1に示すように、このエンジンの排気処理装置は、排気経路(14)と、排気経路(14)の途中に設けられたガスミキサ(15)と、排気処理ケース(16)を備えている。
排気経路(14)は、エンジンの排気マニホルド(図外)から導出されている。
ガスミキサ(15)は、ガス生成器(17)と、ガス供給路(7)と、排気導出路(8)を備えている。
ガス生成器(17)は、燃料供給室形成ブロック(18)と、蓋体(19)と、触媒室形成ブロック(20)を備え、これらはいずれも鋳鉄の鋳物で、締結ボルト(21)で一体に組み付けられている。
液体燃料入口(22)には、液体燃料ポンプ(27)を介して燃料タンク(28)が接続されている。燃料タンク(28)内の液体燃料(4)は、ディーゼルエンジンの燃料である軽油である。
空気入口(23)には、第1空気調量弁(29)を介してブロワ(30)が接続されている。
燃料供給室形成ブロック(18)と蓋体(19)の間には、燃料供給室形成ブロック(18)の上面を覆うガスケット(31)が挟まれ、このガスケット(31)に液体燃料入口(22)及び空気入口(23)から燃料供給室(1)に液体燃料(4)と空気(5)を供給する供給路(32)が設けられている。
触媒室形成ブロック(20)は、内部に下窄まりの円錐台状の触媒室(2)と、触媒室(2)の底面からL字形に導出されたガス供給路(7)を備え、触媒室(2)内にガス生成触媒(3)が収容されている。
メイン触媒(3a)は、上部中央部に上開口円柱状に窪んだ燃料入口(3b)を備え、この燃料入口(3b)に起動触媒(3c)が収容されている。
メイン触媒(3a)は、燃料供給室(1)から供給された液体燃料(4)と空気(5)の混合物に触媒反応を起こさせて可燃性ガス(6)を生成するための触媒で、織った鉄クロム線をプレス成形で円錐台型に固め、触媒成分として、白金やロジウムを担持させている。メイン触媒(3a)と触媒室(2)の周壁(2a)の間、メイン触媒(3a)と蓋体(19)の間には、クッション材(34)が設けられている。クッション材(34)にはアルミ繊維のマットが用いられている。
排気導出路(8)は、燃料供給室形成ブロック(18)と一体鋳造された排気導出路形成管(44)内に設けられている。
DOC(45)と、排気処理材(46)は、排気処理ケース(16)の排気入口管(53)と排気出口管(54)の間に配置され、排気処理ケース(16)内の排気上流側にDOC(45)が配置され、排気下流側に排気処理材(46)が配置されている。
DOCは、ディーゼル酸化触媒の略称である。DOC(45)は、可燃性ガス(6)を排気(9)中で触媒燃焼させ、排気(9)の温度を昇温させる触媒で、セラミック製のハニカム形担体に、白金等の酸化触媒成分が担持され、セルの両端が開口させたフロースルーモノリスで、セルの内部を排気が通過する。
排気処理材(46)には、DPF(47)が用いられている。DPFは、ディーゼル・パティキュレート・フィルタの略称で、排気中のPMを捕捉するフィルタで、セラミック製のハニカム形担体に、白金等の酸化触媒成分が担持され、隣り合うセルの端部を交互に目封じしたウォールフローモノリスで、隣り合うセルの間の壁を排気が通過する。PMは、粒子状物質の略称である。
制御装置(52)には、エンジンECUが用いられている。ECUは、電子制御ユニットの略称であり、マイコンである。
図5に示すように、ステップ(S1)では、DPFの再生要求があったか否かが判定され、判定が否定された場合には、ステップ(S1)が繰り返され、判定が肯定された場合には、ステップ(S2)に移行する。排気圧センサ(51)で検出された背圧が所定値を超えると、DPF(47)に堆積したPMを焼却除去するためにDPF再生要求が制御装置(52)によって発動される。排気圧センサ(51)で検出された排気経路(14)の背圧に基づいて、制御装置(52)がDPF(47)のPM堆積量を推定し、PM堆積量が所定値を超える再生必要量に達した場合には、DPF再生要求が発動され、ステップ(S1)が肯定される。
ステップ(S3)では、起動触媒(3c)の暖機終了が判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S4)に移行する。ステップ(S3)の判定が否定されたされた場合には、ステップ(S3)が繰り返される。ステップ(S3)では、起動触媒(3c)の暖機の時間が計測され、暖機の時間が所定時間に至ると、判定が肯定される。
ステップ(S7)では、燃料パージが終了したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S1)に戻り、判定が否定された場合には、ステップ(S6)に戻る。ガス生成触媒(3)に残留する液体燃料(4)が減少し、触媒温度センサ(35)で検出した触媒温度が所定値未満のパージ終了温度に至った場合には、燃料パージが終了したものとされ、判定が肯定される。
燃料パージは、DPF再生が終了した場合の他、DPF再生が中断された後の再生再開時にも行われる。
SCR触媒は、選択触媒還元(Selective Catalytic Reduction)型の触媒の略称で、内部に軸長方向に沿う多数のセルが貫通状に並設されたフロースルーハニカム型のものが用いられ、その排気上流側には尿素水インジェクタが配置され、尿素水を排気中に噴射することにより高温下でアンモニアガスを得、このアンモニアによりNOx(窒素酸化物)を還元し、N2(窒素ガス)とH2O(水蒸気)を得る。
NOX吸蔵還元触媒は、排気中のNOXを一時的に吸蔵し、後に還元(N2化)する触媒である。
排気処理材(46)にSCR触媒や、NOX吸蔵還元触媒を用いる場合には、排気昇温処理によりこれらを活性化する。
図1(A)(B)に示すように、このエンジンの排気処理装置は、エンジンの排気昇温処理時に、燃料供給室(1)から触媒室(2)のガス生成触媒(3)に液体燃料(4)と空気(5)が供給され、触媒反応で生成された可燃性ガス(6)が、ガス供給路(7)から排気導出路(8)に供給され、排気(9)中での可燃性ガス(6)の燃焼で、排気(9)が昇温するように構成されている。
図1(A),図2(A)(B)に示すように、触媒室(2)の周壁(2a)の外周に沿う排気進入室(10)を備え、この排気進入室(10)が排気導出路(8)と連通され、排気導出路(8)の排気(9)が排気進入室(10)に進入するように構成されている。
エンジンの排気昇温処理前に、排気進入室(10)の排気(9)の熱が触媒室(2)の周壁からガス生成触媒(3)に入熱されており、ガス生成触媒(3)の温度が高められる。また、エンジンの排気昇温処理時には、触媒室(2)の周壁(2a)からのガス生成触媒(3)の放熱が、排気進入室(10)の排気(9)の熱で妨げられる。これらの理由により、エンジンの排気昇温処理時に、可燃性ガス(6)を生成するガス生成触媒(3)の昇温時間が短縮される。この場合、可燃性ガス(6)が速やかに生成され、排気昇温処理が促進される。
この装置では、排気進入室(10)が排気導出路(8)の通路抵抗にならず、背圧の上昇が抑制される利点がある。
排気進入室(10)は、排気導出路(8)のバイパス路となっており、円環状で、排気導出路(8)から流入した排気(9)は、排気進入室(10)を通過して、排気導出路(8)に戻る。
この場合には、次の利点がある。
鋳物(2c)よりも高強度の板金(2b)で触媒室(2)の周壁(2a)が薄肉化されると、排気進入室(10)の容積が大きくなり、排気進入室(10)に進入する排気(9)が増加し、ガス生成触媒(3)への入熱機能が高められる。鋳物(2c)よりも熱伝導性の高い板金(2b)で触媒室(2)の周壁(2a)の熱伝導性が高められると、ガス生成触媒(3)への入熱機能が高められる。このように、いずれの場合でも、エンジンの排気昇温処理時のガス生成触媒(3)の昇温時間が短縮される。
鋳鉄の鋳物(2c)を用いた場合、これよりも高強度の板金(2b)には、耐熱鋼(SUH)やステンレス鋼(SUS)やチタンの板材用いることができ、これよりも熱伝導性の高い板金(2b)には、難燃性マグネシウムや鉄の板材を用いることができる。
この場合、鋳物(2c)よりも高強度の板金(2b)で触媒室(2)の周壁(2a)が薄肉化されると、排気進入室(10)の容積が大きくなり、排気進入室(10)に進入する排気(9)が増加し、ガス生成触媒(3)への入熱機能が高められる。鋳物(2c)よりも熱伝導性の高い板金(2b)で触媒室(2)の周壁(2a)の熱伝導性が高められると、ガス生成触媒(3)への入熱機能が高められる。このように、いずれの場合でも、エンジンの排気昇温処理時のガス生成触媒(3)の昇温時間が短縮される。
板金(2b)には、前記のものを用いることができる。
この装置では、暖機された起動触媒(3c)で速やかに触媒反応が開始され、メイン触媒(3a)を主体とするガス生成触媒(3)の昇温時間が短縮される利点がある。
この装置には、次の利点がある。
液体燃料(4)と空気(5)の供給前に、起動触媒ヒータ(11)と共にメイン触媒ヒータ(12)を発熱させると、メイン触媒(3a)が燃料入口(3b)側と可燃性ガス出口(3d)側の両側から暖機され、メイン触媒(3a)を主体とするガス生成触媒(3)の昇温時間が短縮される。
また、可燃性ガス(6)生成中に、メイン触媒ヒータ(12)を発熱させると、メイン触媒(3a)中での液体燃料(4)や空気(5)の対流が促進され、可燃性ガス(6)の生成が促進される。
起動触媒ヒータ(11)とメイン触媒ヒータ(12)には、電熱式のグロープラグを用いられている。
この装置は、次の利点を備えている。
起動触媒(3c)の発熱が熱伝導体(13)を介してメイン触媒(3a)に伝達され、メイン触媒(3a)の昇温時間が短縮される。
熱伝導体(13)は、金属製のブロック体で、難燃性マグネシウムを好適に用いることができる。
この装置で、次の利点がある。
起動触媒(3c)からメイン触媒(3a)に流出する液体燃料(4)や空気(5)は、伝熱体(13)の上部の案内で伝熱体(13)周囲のメイン触媒(3a)に広く分散され、メイン触媒(3a)の広い領域で触媒反応が起こり、メイン触媒(3a)の昇温時間が短縮される。
熱伝導体(13)の下方に配置されたメイン触媒ヒータ(12)を備え、熱伝導体(13)の下面(13a)はメイン触媒(3a)の下面側でメイン触媒ヒータ(12)に向けて露出されている。
この装置には、次の利点がある。
筒部(11a)の案内で下降してきた液体燃料(4)や空気(5)が膨径部(11b)の案内で周囲のメイン触媒(3a)に広く分散され、メイン触媒(3a)の広い範囲で触媒反応が起こり、メイン触媒(3a)の昇温時間が短縮される。
筒部(11a)と膨径部(11b)は、別体とし、筒部(11a)を蓋体(19)のボス(19a)に挿通させた後、筒部(11a)に膨径部(11b)を取り付ける。
基本例では、次の利点がある。
図4(C)に示すように、エンジン搭載機械が傾斜し、垂直な筒部(11a)が傾斜しても、襞(11c)の溝(11d)内で案内される液体燃料(4)は、×印に向う矢印のルートで周方向に沿って傾斜下側にのみ流れ落ちることなく、○印に向う矢印のルートで襞(11c)の溝(11d)に沿って筒部(11a)の下端にも案内され、起動触媒ヒータ(11)で液体燃料(4)が十分に加温される。また、液体燃料(4)が起動触媒(3c)やメイン触媒(3a)の傾斜下側にのみ偏ることがなく、起動触媒(3c)やメイン触媒(3a)の広い範囲で触媒反応が起こる。これらの理由により、起動触媒(3c)やメイン触媒(3a)の昇温が促進される。
この場合の利点は、次の通りである。
基本例の場合と同様であり、エンジン搭載機械が傾斜し、垂直な筒部(11a)が傾斜しても、フィン(11e)(11e)間の溝(11d)内で案内される液体燃料(4)は、周方向に沿って傾斜下側にのみ流れ落ちることなく、フィン(11e)(11e)間の溝(11d)に沿って筒部(11a)の下端にも案内され、起動触媒ヒータ(11)で液体燃料(4)が十分に加温される。また、液体燃料(4)が起動触媒(3c)やメイン触媒(3a)の傾斜下側にのみ偏ることがなく、起動触媒(3c)やメイン触媒(3a)の広い範囲で触媒反応が起こる。これらの理由により、起動触媒(3c)やメイン触媒(3a)の昇温が促進される。
この装置には、次の利点がある。
燃料供給室(1)から液体燃料(4)と空気(5)が導入された入口側触媒部(3e)では、ロジウム触媒下での改質反応(吸熱反応)が起こらず、酸化反応力が高い白金触媒下で、改質反応(吸熱反応)を伴わない酸化反応(発熱反応)が起こり、出口側触媒部(3f)が速やかに昇温され、出口側触媒部(3f)でロジウム触媒下での改質反応(吸熱反応)が促進され、水素や一酸化炭素等の可燃性ガスの生成が促進される。
この装置には、次の利点がある。
燃料供給室(1)から液体燃料(4)と空気(5)が導入された起動触媒(3c)では、ロジウム触媒下での改質反応(吸熱反応)が起こらず、酸化反応力が高い白金触媒下で、改質反応(吸熱反応)を伴わない酸化反応(発熱反応)が起こり、起動触媒(3c)が速やかに昇温される。
この装置には、次の利点がある。
エンジンの排気昇温処理時には、触媒室(2)の周壁(2a)からのガス生成触媒(3)の放熱が、断熱空気層(2d)で妨げられる。これにより、排気昇温処理時に、可燃性ガス(6)を生成するガス生成触媒(3)の昇温時間が短縮される。この場合、可燃性ガス(6)が速やかに生成され、排気昇温処理が促進される。
この第2実施形態では、第1実施形態のガス進入室(10)は設けられていない。周壁(2a)は鋳鉄で構成されている。他の構成は、第1実施形態と同一の構成が採用され、図6,7中、図1,2に示す第1実施形態と同一の要素には、図1,2と同一の符号を付しておく。
Claims (2)
- エンジンの排気昇温処理時に、燃料供給室(1)から触媒室(2)のガス生成触媒(3)に液体燃料(4)と空気(5)が供給され、触媒反応で生成された可燃性ガス(6)が、ガス供給路(7)から排気導出路(8)に供給され、排気(9)中での可燃性ガス(6)の燃焼で、排気(9)が昇温するように構成された、エンジンの排気処理装置において、
ガス生成触媒(3)は、燃料入口(3b)寄りで、白金が担持され、ロジウムが担持されていない入口側触媒部(3e)と、可燃性ガス出口(3d)寄りで、ロジウムが担持された出口側触媒部(3f)を備え、
ガス生成触媒(3)は、前記入口側触媒部(3e)と出口側触媒部(3f)を備えたメイン触媒(3a)と、メイン触媒(3a)の燃料入口(3b)に配置された起動触媒(3c)を備え、起動触媒(3c)には、白金が担持され、ロジウムが担持されておらず、
起動触媒(3c)の下面からメイン触媒(3a)の中心部に沿って下向きに導出された熱伝導体(13)を備え、
熱伝導体(13)の下方に配置されたメイン触媒ヒータ(12)を備え、熱伝導体(13)の下面(13a)はメイン触媒(3a)の下面側でメイン触媒ヒータ(12)に向けて露出されている、ことを特徴とするエンジンの排気処理装置。 - 請求項1に記載されたエンジンの排気処理装置において、
起動触媒(3c)の下面に接する熱伝導体(13)の上部は、液体燃料(4)と空気(5)を通過させない中実体で構成されている、ことを特徴とするエンジンの排気処理装置。
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