以下、本実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略又は実質的に同一の機能及び構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ説明を行う。
本実施形態に係るエアロゾル生成装置は、例えばエアロゾル発生物品(固体加熱)用のエアロゾル生成装置の場合を例として説明する。しかしながら、本実施形態に係るエアロゾル生成装置は、例えば、医療用のネブライザー(噴霧器)など他の種類又は用途のエアロゾル生成装置でもよい。
本実施形態に係るエアロゾル生成装置は、エアロゾル発生物品の内部に挿入した電気加熱体を用いてエアロゾル発生物品をその内部から加熱する上記第1の加熱方法を用いてエアロゾルを生成する場合を例として説明する。しかしながら、本実施形態に係るエアロゾル生成装置は、例えば、エアロゾル発生物品の外周部に配置された環状の電気加熱体を用いてエアロゾル発生物品をその外部から加熱する上記第2の加熱方法、又は誘導加熱現象を利用してエアロゾル発生物品をその内部から加熱する上記第3の加熱方法などのような他の加熱方法を用いてもよい。
図1は、本実施形態に係るエアロゾル生成装置1の基礎構成の例を示すブロック図である。
エアロゾル生成装置1は、装着部2と、負荷3と、電源4と、タイマ5と、温度測定部6と、電源測定部7と、制御部8とを含む。
装着部2は、エアロゾル発生物品9を着脱可能に支持する。
エアロゾル発生物品9は、例えば、エアロゾル源と香味源との少なくとも一方を保持、又は、担持するエアロゾル基材9aを含む。エアロゾル発生物品9は、例えば、喫煙物品でもよく、例えばスティック状などのように使いやすい形状に成形されていてもよい。
エアロゾル源は、例えば、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコールを含む液体又は固体であってもよい。また、エアロゾル源は、多価アルコールに加えて、例えばニコチン成分をさらに含有していてもよい。
エアロゾル基材9aは、例えば、エアロゾル源が添加又は担持されている固形物であり、例えば、たばこシートでもよい。
エアロゾル基材9aは、例えば、それ自身がエアロゾル源又は香味源として機能するようにエアロゾルを生成できる揮発性化合物を放出可能な基材であってもよい。揮発性化合物は、エアロゾル基材9aを加熱することで放出される。本実施形態において、エアロゾル基材9aは、エアロゾル発生物品9の一部としている。
負荷3は、例えば電気発熱体であり、電源4からの電力供給により発熱し、装着部2に装着されたエアロゾル発生物品9を加熱する。
電源4は、例えば電池、又は電池と充電用電界効果トランジスタ(FET:Field Emission Transistor)、放電用FET、保護IC(Integrated Circuit)、監視装置などを組合せた電池パックであり、負荷3へ電力を供給する。電源4は、充電可能な2次電池であり、例えばリチウムイオン2次電池としてもよい。電源4は、エアロゾル生成装置1に含まれていてもよく、エアロゾル生成装置1と別の構成でもよい。
タイマ5は、非動作状態の負荷3に電力の供給を開始してからの時間を示すタイマ値tを制御部8へ出力する。
ここで、非動作状態とは、例えば、電源4がオフの状態でもよく、電源4がオンの状態であるが負荷3への電力供給を待っていない状態でもよい。非動作状態は、スタンバイ状態としてもよい。
なお、タイマ値は、エアロゾルの生成開始からカウントされた時間、負荷3に対する加熱開始からの時間、又は、エアロゾル生成装置1の制御部8による制御開始時からの時間を示すとしてもよい。
温度測定部6は、例えば負荷3の温度(ヒータ温度)を測定し、温度測定値を制御部8へ出力する。なお、温度に応じて抵抗値が変動する正の温度係数(PTC:Positive Temperature Coefficient)特性を有するヒータを負荷3に用いてもよい。この場合における温度測定部6は負荷3の電気抵抗値を計測し、計測した電気抵抗値から負荷3の温度(ヒータ温度)を導出してもよい。
電源測定部7は、例えば電源4の残量に関する値、電源4が出力する電圧値、又は、電源4から放電される電流又は電源4へ充電される電流などのような電源4の状態を示す電源状態値を測定し、電源状態値を制御部8へ出力する。
ここで、電源4の残量に関する値としては、例えば、電源4の出力電圧を用いてもよい。または、電源4の充電状態(SOC:State Of Charge)を用いてもよい。充電状態は、例えば、開回路電圧(SOC−OCV:Open Circuit Voltage)法、又は、電源4の充電電流と放電電流を積算する電流積算法(クーロン・カウンティング法)を用いて、センサによって測定された電圧又は電流から推定されてもよい。
制御部8は、例えば、タイマ5から入力したタイマ値と温度測定部6から入力した温度測定値とに基づき、電源4から負荷3へ供給される電力を制御する。また、制御部8は、例えば、電源測定部7から入力した電源状態値を用いて制御を実行してもよい。制御部8は、例えばコンピュータ、コントローラ、又は、プロセッサと、メモリとを含み、コンピュータ、コントローラ、又は、プロセッサが、メモリに記憶されているプログラムを実行し、制御を行うとしてもよい。
図2は、本実施形態に係る制御により負荷3へ供給される電力と負荷3の温度との変化の例を示すグラフである。図2において、横軸はタイマ値tすなわち時間を示し、縦軸は負荷3へ供給される電力と負荷3の温度とを示す。
制御部8は、主に、準備フェーズと使用フェーズとで制御を切り替える。
例えば、準備フェーズにおいて、負荷3がエアロゾル発生物品9から既定量以上のエアロゾルを生成不能な状態を準備状態とする。準備状態は、例えば、ユーザからの入力を受けて負荷3の加熱が開始された後からエアロゾル生成装置1を用いてユーザがエアロゾルを吸引(パフ)することを許可されるまでの状態としてもよい。換言すれば、準備状態では、エアロゾル生成装置1を用いてユーザがエアロゾルを吸引することは許可されないとする。
既定量は、例えば、ユーザにエアロゾルの吸引を許可可能なエアロゾルの発生量に相当する。
より具体的には、既定量は、例えば、ユーザの口腔内に有効量を持つエアロゾルを送達可能な量としてもよい。ここでいう有効量は、エアロゾル発生物品に含まれるエアロゾル源又は香味源由来の香喫味をユーザに与えることができる量であってもよい。既定量は、例えば、負荷3が生成しユーザの口腔内に送達可能なエアロゾルの量としてもよい。既定量は、例えば、負荷3の温度がエアロゾル源の沸点以上の場合に生成されるエアロゾルの量としてもよい。既定量は、例えば、負荷3へ供給される電力が、エアロゾル発生物品9からエアロゾルを生成するために負荷3へ供給すべき電力以上の場合に、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量としてもよい。負荷3は、準備状態の場合に、エアロゾル発生物品9からエアロゾルを生成不能でもよく、すなわち既定量はゼロでもよい。
制御部8は、非動作状態の負荷3に電力の供給を開始する場合、又は、負荷3が準備状態の場合に、電源4から負荷3へ供給される電力をフィードフォワード制御(F/F制御)により制御してもよい。
制御部8は、負荷3が準備状態から使用状態へ遷移した場合に、フィードバック制御(F/B制御)を、又は、フィードバック制御とフィードフォワード制御との双方を、実行してもよい。
例えば、使用フェーズにおいて、負荷3がエアロゾル発生物品9から既定量以上のエアロゾルを生成可能な状態を使用状態とする。使用状態は、例えば、ユーザがエアロゾルを吸引することを許可された後からエアロゾルの生成を終了するまでの状態としてもよい。
制御部8で実行される制御の具体的な内容は、後述の第1乃至第5の実施形態において具体的に説明する。
点線L1は、タイマ値tに応じて負荷3へ供給される電力が変化する状態を示している。例えば、制御部8は、図1において不図示のスイッチに対するパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御又はパルス周波数変調(PFM:Pulse Frequency Modulation)制御によって電源4から負荷3へ供給される電力を制御してもよい。または、制御部8は、図1において不図示のDC/DCコンバータによる電源4の出力電圧に対する昇圧又は降圧によって電源4から負荷3へ供給される電力を制御してもよい。負荷3が準備状態である準備フェーズにおいては、大きな電力が電源4から負荷3へ供給され、その後電源4から負荷3へ供給される電力は低下する。準備フェーズから負荷3が使用状態である使用フェーズへ遷移すると、タイマ値tの増加に伴って電源4から負荷3へ供給される電力は段階的に大きくなる。そして、例えば、負荷3の温度が使用フェーズ終了温度へ達する、又は、タイマ値tが使用フェーズの終了を示す閾値以上になるなど、負荷3の使用状態の終了条件が成立すると、負荷3への電力供給が停止される。
実線L2は、タイマ値tに応じて負荷3の温度が変化する状態を示している。準備フェーズにおいて電源4から負荷3へ大きな電力が供給されている間、負荷3の温度は、急上昇する。準備フェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力が低下した後、負荷3の温度は、維持又は微増する。使用フェーズに遷移すると、時間の経過に伴って電源4から負荷3へ供給される電力は段階的に大きくなり、負荷3の温度も徐々に増加する。使用フェーズの終了時に負荷3の温度が使用フェーズ終了温度になるように、制御部8は、温度測定部6から入力した温度測定値に基づきフィードバック制御を実行する。
使用フェーズ終了温度は、フィードバック制御において最終的に収束又は到達するように設定される負荷3の温度である。本実施形態に係るフィードバック制御は、使用フェーズの終了時において、使用フェーズ終了温度と温度測定値との差がなくなるように負荷3への電力の供給を制御する。
図3は、本実施形態に係るエアロゾル生成装置1の制御部8が実行する制御の例を示す制御ブロック図である。
制御部8は、準備部10、差分部11、ゲイン部12、リミッタ変更(調整)部13、リミッタ部14、比較部15を含む。これら制御部8の各構成要素の具体的な説明は後述する。
制御部8によって実行される制御は、主に、第1乃至第5の特徴を持つ。制御部8によって電源4から負荷3へ供給される電力が制御されることによって、準備フェーズの時間を短縮し、また、使用フェーズにおけるエアロゾルの生成量を安定させることができる。
制御部8は、準備フェーズにおいてフィードフォワード制御を実行する第1の特徴を持つ。
制御部8は、使用フェーズのフィードバック制御においてリミッタ部14のリミッタ幅を拡張する第2の特徴を持つ。
制御部8は、準備フェーズと使用フェーズとにおいて異なる制御モードを用いる第3の特徴を持つ。
制御部8は、準備フェーズから使用フェーズへの遷移時の負荷3の温度低下を抑制する第4の特徴を持つ。
制御部8は、使用フェーズにおけるユーザのエアロゾル吸引時の温度低下を回復させる第5の特徴を持つ。
本実施形態に係るエアロゾル生成装置1は、例えば、負荷3によりエアロゾル発生物品9を加熱し、エアロゾル発生部品9からエアロゾルを生成させる。負荷3の加熱中に生成されるエアロゾルが大きく変動しないように、制御部8は、負荷3に対する電力の供給を制御する。
1つの制御モード又は1つの制御フェーズで安定したエアロゾルの生成を実現するためには、目標温度などの制御パラメータを時間経過等に応じて変化させることが必要となり、安定した制御が困難な場合がある。
これに対して、本実施形態に係る制御部8は、負荷3の加熱のために、異なる複数の制御モード、具体的にはフィードフォワード制御とフィードバック制御とを使い分けており、安定したエアロゾル生成を可能としている。
以下の第1乃至第5の実施形態で、それぞれ上記の第1の特徴から第5の特徴を具体的に説明する。
なお、本実施形態から第1乃至第5の実施形態において、一例として、フィードフォワード制御とフィードバック制御とは互いに異なる制御モードとしてもよい。フィードフォワード制御は、例えば、制御対象の制御量に基づき操作対象の操作量を決定しない制御でもよい。換言すれば、フィードフォワード制御は、例えば、制御対象の制御量を帰還成分として用いない制御でもよい。さらに別の一例として、フィードフォワード制御は、予め設定したアルゴリズム又は変数のみに基づき、又はこれと操作対象に操作量に関する制御指令を出力する前に取得した何らかの物理量の組合せのみに基づき、操作対象の操作量を決定する制御でもよい。フィードバック制御は、例えば、制御対象の制御量に基づき制御対象の操作量を決定する制御でもよい。換言すれば、フィードバック制御は、例えば、制御対象の制御量を帰還成分として用いる制御でもよい。さらに別の一例として、フィードバック制御は、予め設定したアルゴリズム又は変数に加え、制御実行中に取得した何らかの物理量の組合せに基づき、操作対象の操作量を決定する制御でもよい。
また、以下第1乃至第3の実施形態において、「過熱」という用語は、制御対象の温度が制御すべき温度(例えば、使用フェーズ終了温度、又は、目標温度)より僅かでも高い状態を意味する。つまり、必ずしも制御対象が過剰な高温状態であることを意味しない点に留意されたい。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、準備フェーズにおけるフィードフォワード制御を説明する。
第1の実施形態に係る制御部8は、非動作状態の負荷3に電力の供給を開始する場合、又は負荷3がエアロゾル発生物品から既定量以上のエアロゾルを生成不能な準備状態である場合に、電源4から負荷3へ供給される電力をフィードフォワード制御により制御する。このように、準備状態の負荷3の温度をフィードフォワード制御により上げることにより、使用状態となるまでの負荷3の温度上昇を速くすることができる。
制御部8は、負荷3が非動作状態又は準備状態から使用状態へ遷移するために必要な電力量を負荷3へ供給するように、フィードフォワード制御を実行する。このように、負荷3の温度をフィードフォワード制御により使用状態まで上げることにより、負荷3が使用状態となるまでの時間を短縮することができる。
ここで、負荷3が使用状態となるまでの時間を短縮化するために、制御部8がフィードフォワード制御を実行することについて詳述する。例えば、制御部8がフィードバック制御を実行して非動作状態又は準備状態にある負荷3を使用状態にする場合、操作量の決定に制御量が影響を与えるため、負荷3が使用状態になるまでに要する時間が長くなりやすい。特に、フィードバック制御により準備フェーズの比較的初期から負荷3を使用状態とする態様において、ゲイン(伝達関数)が小さい場合には、負荷3の昇温速度が遅くなり、ゲインが大きい場合には、負荷3が使用状態へ収束しにくくなる。また準備フェーズにおいてフィードバック制御により継時的に負荷3の目標温度を漸増させる態様において、負荷3の温度測定値が目標温度を逆転した場合には、昇温の停滞が生じ得る。これに対して、準備フェーズにおいて制御部8がフィードフォワード制御を実行する場合、上記のような準備フェーズにおいてフィードバック制御を用いた場合の懸念が生じないため、負荷3が使用状態となるまでの時間を短縮することができる。このような理由から、非動作状態又は準備状態にある負荷3を使用状態にするために制御部8が実行する制御としては、フィードバック制御よりフィードフォワード制御の方が適していると言える。
制御部8は、必要な電力量を負荷3へ供給した後、電源4から負荷3へ供給される電力を抑制するように、フィードフォワード制御を実行してもよい。この場合において、電力の抑制は、例えば、負荷3の温度を保温するように負荷3へ供給される電力を抑制してもよい。このように、必要な電力量を負荷3へ供給した後、電源4から負荷3へ供給される電力を抑制することにより、エアロゾル生成装置1及びエアロゾル発生物品9が過熱状態になることを抑制できる。なお、エアロゾル生成装置1が過熱状態に陥ってしまうと、エアロゾル生成装置1が備える電源4、制御部8、負荷3、電源4から負荷3までを電気的に接続する回路などの寿命が縮まる可能性がある。また、エアロゾル発生物品9が過熱状態に陥ってしまうと、エアロゾル発生物品9が発生するエアロゾルの香喫味が損なわれる可能性がある。
制御部8は、必要な電力量を負荷3へ供給した後、電源4から負荷3へ供給される電力をフィードバック制御により制御してもよい。このように、必要な電力量が負荷3へ供給された後にフィードバック制御を実行することにより、必要な電力量が負荷3へ供給された後の制御精度を制御安定性に優れたフィードバック制御によって向上させることができ、エアロゾル生成を安定させることができる。
制御部8によって実行されるフィードフォワード制御は、第1サブフェーズと第2サブフェーズとに区分けされ、第1サブフェーズと第2サブフェーズとでフィードフォワード制御で用いられる変数の値が異なるとしてもよい。この場合において、変数の値が異なることには、制御の変数が異なること、定数が異なること、閾値がことなることが含まれてもよい。このように、フィードフォワード制御を第1サブフェーズと第2サブフェーズとに区分けし、異なる変数の値を用いることで、1つの制御フェーズを用いる場合よりも、制御精度を向上させることができる。なお、第1サブフェーズと第2サブフェーズとでフィードフォワード制御で用いられる関数又はアルゴリズムが異なるとしてもよい。第1サブフェーズと第2サブフェーズについては、図4から図8を用いて後に詳細に説明する。
第1サブフェーズは、例えば、第2サブフェーズより先に実行されるとする。
第1サブフェーズにおいて負荷3へ供給される電力(W)又は電力量(W・h)は、第2サブフェーズにおいて負荷3へ供給される電力(W)又は電力量(W・h)より大きいとしてもよい。これにより、第2サブフェーズにおける負荷3の昇温速度が緩やかになる又は負荷3の昇温が停止するため、フィードフォワード制御の終了後の負荷3の温度を安定させることができる。
第1サブフェーズの時間は、第2サブフェーズの時間より長いとしてもよい。このように、負荷3の状態(温度)を支配的に変化させる第1サブフェーズの時間を、第2サブフェーズより長くすることで、フィードフォワード制御を行う総時間を結果として短縮することができる。換言すれば、エアロゾル生成装置1は、エアロゾル発生物品9から所望の香喫味を有するエアロゾルをより早く生成できる。
制御部8は、第2サブフェーズの終了時に、負荷3が使用状態となるようにフィードフォワード制御を実行してもよい。これにより、第2サブフェーズ終了までにフィードフォワード制御を用いて安定的に負荷3の温度を使用状態で必要とされる温度に到達させることができる。また、第2サブフェーズの終了前に負荷3が使用状態となる場合と比べて電源4が放電する電力量が小さくなるため、電源4の電費の改善に加え、電源4の劣化を抑制できる。
制御部8は、第2サブフェーズにおいて、負荷3を、エアロゾルを生成可能な使用状態にし、さらに、負荷3の使用状態を維持するために必要な電力又は電力量を供給するようフィードフォワード制御を実行してもよい。このように、第2サブフェーズにおいて使用状態を維持するために必要な電力又は電力量を負荷3へ供給することにより、第2サブフェーズで極端に低い電力又は少ない電力量が供給されることを回避することができる。従って、負荷3が使用状態ではなくなり、使用フェーズにおいてエアロゾル生成装置1がエアロゾル発生物品9から所望の香喫味を有するエアロゾルを生成できないこと、及び、電源4の電費の低下を抑制できる。
制御部8は、第1サブフェーズから第2サブフェーズへ変わる前に、負荷3が使用状態となるようにフィードフォワード制御を実行してもよい。これにより、第1サブフェーズの時点で早期に負荷3を使用状態とすることができ、さらに、第2サブフェーズにおいて負荷3の温度を調整して使用状態を維持することができ、制御の安定性を増すことができる。
制御部8は、第2サブフェーズにおいて、使用状態である負荷3に対して使用状態を維持するために必要な電力又は電力量を供給するようにフィードフォワード制御を実行してもよい。これにより、第2サブフェーズで極端に低い電力又は少ない電力量が供給されて負荷3が使用状態ではなくなることを抑制することができ、負荷3を使用状態で安定させることができる。また、第2サブフェーズ終了時の負荷3の温度のばらつきを抑制することができる。
第2サブフェーズは、例えば、第1サブフェーズより短く、且つ、制御部8によって実現される(実現可能な)制御の単位時間以上であるとしてもよい。これにより、第2サブフェーズが適切な時間だけ実行され、負荷3の温度を安定させることができる。
制御部8は、負荷3のフィードフォワード制御の実行時又は前の状態である初期状態に基づき、フィードフォワード制御で用いられる変数の値を変更してもよい。この場合において、初期状態には、例えば初期温度などが含まれる。変数の値の変更には、制御の変数の変更、定数の変更、閾値の変更が含まれる。このように、初期状態に基づきフィードバック制御で用いられる変数の値を変更することにより、製品誤差、初期条件、雰囲気温度などの外的要因などから生じ得るフィードフォワード制御の実行中及び/又は終了時における負荷3の温度のばらつきを抑制できる。
制御部8は、初期状態の負荷3が使用状態へ遷移するために必要な電力又は電力量を負荷3へ供給するように、変数の値を変更してもよい。これにより、製品誤差、初期条件、雰囲気温度などの外的要因などから生じ得るフィードバック制御が終了し使用状態となった際の負荷3の温度のはらつきを抑制できる。
制御部8は、電源4の残量に関連する値を取得し、フィードフォワード制御の実行時又は前における残量に関連する値に基づき、フィードフォワード制御で用いられる変数の値を変更してもよい。これにより、電源4の残量の違いから生じ得る負荷3の温度のばらつきを抑制できる。
制御部8は、残量に関連する値が小さいほど、電源4から負荷3へ供給される電力のデューティ比、電圧、オン時間の少なくとも1つを増加させるとしてもよい。例えば、DC/DCコンバータを用いる場合、DC/DCコンバータの出力側に設けられた平滑コンデンサの平滑作用によって、負荷3にパルス波が印加されない場合があるため、制御部8は、残量に関連する値に基づき負荷3へ電力を供給する時間(オン時間)を制御するとしてもよい。これにより、電源4の残量の違いから生じる負荷3の温度のばらつきを抑制できる。
制御部8は、電源4から取得された第1の残量に関連する値に基づき電源4から負荷3へ供給される第1電力量と、電源4から取得され第1の残量に関連する値と異なる第2の残量に関連する値に基づき電源4から負荷3へ供給される第2電力量とが略同じになるように、変数の値を変更してもよい。これにより、例えば、電源4の残量に関係なく一定電力が負荷3へ供給されるようにPWM制御を実行することができ、電源4の残量の違いから生じる負荷3の温度のばらつきを抑制できる。
制御部8は、電源4の残量に関連する値を取得し、フィードフォワード制御の実行時又は前における負荷3の状態と残量に関連する値とに基づきフィードフォワード制御で用いられる変数の値を変更してもよい。これにより、電源4の残量の違いに加え、製品誤差、初期条件、雰囲気温度などの外的要因などから生じ得るフィードフォワード制御の実行中及び/又は終了時における負荷3の温度のばらつきを抑制できる。
制御部8は、負荷3の状態に基づき、負荷3がエアロゾルを生成可能な使用状態に近いほど、電源4から負荷3へ供給される電力のデューティ比、電圧、オン時間の少なくとも1つを低下させ、残量に関連する値が大きいほど、電力のデューティ比、電圧、オン時間の少なくとも1つを低下させてもよい。この場合、例えば、初期温度などの負荷3の状態から求められる電力のデューティ比、電圧、オン時間の少なくとも1つを、電源4の残量で補正することができ、製品誤差、初期条件、雰囲気温度などの外的要因などに加え、電源4の残量から生じ得るフィードフォワード制御の実行中及び/又は終了時における負荷3の温度のばらつきを抑制できる。
制御部8は、電源4から取得された第1の残量に関連する値に基づき電源4から負荷3へ供給される第1電力量と、電源4から取得され第1の残量に関連する値と異なる第2の残量に関連する値に基づき電源4から負荷3へ供給される第2電力量とが略同じになるように、デューティ比、電圧、オン時間を変更してもよい。この場合において、第1電力量と第2電力量は、負荷3の状態に応じて異なるとしてもよい。これにより、例えば、第1の残量と第2の残量とで同じ電力が負荷3へ供給されるようにPWM制御を実行することができ、製品誤差、初期条件、雰囲気温度などの外的要因などに加え、電源4の残量から生じ得るフィードフォワード制御の実行中及び/又は終了時における負荷3の温度のばらつきを抑制できる。
制御部8は、フィードフォワード制御の実行時又は前における負荷3の抵抗値又は負荷3の劣化状態に基づき、フィードフォワード制御で用いられる変数の値を変更してもよい。この場合において、制御部8は、例えば、負荷3の使用回数又は使用時間の累積値に基づき、劣化状態を求めてもよい。これにより、エアロゾル生成装置1の使用回数が多くなるに伴って、負荷3の劣化が進行して常温などにおける電気抵抗値が変化した場合であっても、負荷3の温度を安定させることができる。また、前述した正の温度係数特性(PTC特性)を有する負荷3を用い、負荷3の劣化が進行してこの特性が変化した場合であっても、負荷3の温度を安定させることができる。
上記の制御部8による各種の制御は、制御部8がプログラムを実行することにより実現されてもよい。
上記のような第1の実施形態について、さらに以下の実施例1A〜1Eで具体的な制御例を説明する。
<実施例1A>
図4は、実施例1Aに係る制御部8によって実行される制御の例を示す制御ブロック図である。
制御部8の準備部10は、準備フェーズにおいて、タイマ5が出力するタイマ値tを取得し、タイマ値tに対応するデューティ指令値を求める。求められたデューティ指令値に応じて、後述する図9で示されているように負荷3と電源4を電気的に接続する回路に設けられた開閉器25をスイッチングすることで、制御部8はデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御する。
実施例1Aにおいて、負荷3に対する加熱状態は、デューティ指令値、より具体的にはデューティ指令値の示すデューティ比に基づき切り替えられる。しかしながら、開閉器25に代えて負荷3と電源4を電気的に接続する回路に設けられたDC/DCコンバータを制御する場合、負荷3は、例えば、当該負荷3へ供給される電流又は当該負荷3に印加される電圧又はこれらの指令値に基づき加熱状態が切り替えられてもよく、負荷3に対する加熱状態の切り替えを指示する値は適宜変更可能である。
準備フェーズは、さらに第1サブフェーズと第2サブフェーズとを含む。第1サブフェーズと第2サブフェーズとは、デューティ指令値、より具体的にはデューティ指令値の示すデューティ比によって区別されてもよい。また、第1サブフェーズと第2サブフェーズとは、当該負荷3へ供給される電流又は当該負荷3に印加される電圧又はこれらの指令値に基づき区別されてもよい。
第1サブフェーズの時間Δt1は、非動作状態の負荷3に電力の供給を開始してから時刻t1までの時間である。
第2サブフェーズの時間Δt2は、時刻t1から準備フェーズの終了時刻t2までの時間である。
第1サブフェーズの時間Δt1は、第2サブフェーズ時間Δt2よりも長い。
第1サブフェーズにおけるデューティ比D1は、第2サブフェーズにおけるデューティ比D2より高い。実施例1Aにおいては、デューティ比が高いほど、電源4から負荷3へ供給される電力は大きくなるとする。従って、第1サブフェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力は、第2サブフェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力より大きくなる。
制御部8は、第1サブフェーズにおいて、負荷3(エアロゾル発生物品9)の温度がエアロゾルの生成温度に到達するまでは高いデューティ比を示すデューティ指令値に基づき、負荷3へ供給される電力を制御し、これにより、電源4から負荷3への電力の供給(給電)の開始から早期にエアロゾル発生物品9からエアロゾルを生成可能にする。
制御部8は、第2サブフェーズにおいて、使用フェーズへ遷移するまで負荷3の温度の変動を抑制し、負荷3(エアロゾル発生物品9)をエアロゾルの生成温度以上で保温するために、第1サブフェーズのデューティ比より低いデューティ比を示すデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御する。制御部8は、第1サブフェーズの終了時の温度が若干ばらついたとしても、この第2サブフェーズにおける制御により当該ばらつきを抑制及び吸収する。これにより使用フェーズにおいてエアロゾル発生物品9から発生するエアロゾルの香喫味が安定する。
このように、準備フェーズにおいて、第1サブフェーズにより大きな電力を負荷3へ供給し、急激に負荷3の温度を上げ、その後第2サブフェーズにより小さな保温用の電力を負荷3へ供給することにより、準備フェーズの後の使用フェーズにおけるエアロゾル生成量及びその香喫味を安定させることができる。
図5は、実施例1Aに係る制御部8による準備フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS501において、準備部10は、エアロゾル生成が要求されたか否か判断する。エアロゾル生成が要求されていない場合(ステップS501における判断が「No」の場合)、準備部10は、ステップS501を繰り返す。第1の例として、準備部10は、負荷3の加熱を開始するための入力がユーザからなされたか否かに基づき、ステップS501においてエアロゾル生成が要求されたか否かを判断してもよい。より具体的には、負荷3の加熱を開始するための入力がユーザからなされた場合、準備部10は、エアロゾル生成が要求されたと判断してもよい。これとは逆に、負荷3の加熱を開始するための入力がユーザからなされない場合、準備部10は、エアロゾル生成が要求されていないと判断してもよい。第2の例として、エアロゾル生成装置1は、図1において不図示のユーザの吸引を検知するためのセンサを有し、センサによって検知されたユーザの吸引を負荷3の加熱を開始するための入力としてもよい。第3の例として、エアロゾル生成装置1は、図1において不図示のボタン、スイッチ、タッチパネル、その他のユーザインタフェースの少なくとも1つを備え、これらに対するユーザの操作を負荷3の加熱を開始するための入力としてもよい。
エアロゾル生成が要求された場合、ステップS502において、準備部10は、タイマ5を起動する。
ステップS503において、タイマ5から準備部10へタイマ値tの入力が開始される。
ステップS504において、準備部10は、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1を示すデューティ指令値に基づき、後述する図9で示されているように負荷3と電源4を電気的に接続する回路に設けられた開閉器25をスイッチングすることで、負荷3へ供給される電力を制御する。
ステップS505において、準備部10は、タイマ値tが第1サブフェーズの終了時刻t1以上か否か判断する。タイマ値tが第1サブフェーズの終了時刻t1以上ではない場合(ステップS505における判断が「No」の場合)、準備部10は、ステップS505を繰り返す。
タイマ値tが第1サブフェーズの終了時刻t1以上の場合(ステップS505における判断が「Yes」の場合)、ステップS506において、準備部10は、第2サブフェーズにおけるデューティ比D2を示すデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御する。
ステップS507において、準備部10は、タイマ値tが第2サブフェーズの終了時刻t2以上か否か判断する。タイマ値tが第2サブフェーズの終了時刻t2以上ではない場合(ステップS507における判断が「No」の場合)、準備部10は、ステップS507を繰り返す。タイマ値tが第2サブフェーズの終了時刻t2以上の場合(ステップS507における判断が「Yes」の場合)、準備部10は、準備フェーズを終了し、使用フェーズへ遷移する。
以上説明した実施例1Aにおいては、制御部8は準備フェーズにおいてフィードフォワード制御を用いて負荷3の加熱を制御するため、エアロゾル生成が要求され、電源4から負荷3への電力の供給が開始された後の負荷3の昇温速度を速くすることができる。
実施例1Aにおいては、準備フェーズにおいて、フィードフォワード制御を用いて、エアロゾルを吸引可能な温度まで負荷3の温度を上げるため、エアロゾル生成を要求してからユーザがエアロゾルを吸引可能となるまでの時間を短縮することができる。
実施例1Aにおいては、準備フェーズの第1サブフェーズにおいて負荷3に供給される電力を一旦上げ、その後準備フェーズの第2サブフェーズにおいて負荷3に供給される電力を下げるため、負荷3が過熱状態となることを抑制できる。
ここで、制御部8が準備フェーズにおいてフィードフォワード制御を用いて負荷3の加熱を制御することにより、エアロゾル生成が要求され電源4から負荷3への電力の供給が開始された後の負荷3の昇温速度を速くすることができる理由、エアロゾル生成を要求してからユーザがエアロゾルを吸引可能となるまでの時間を短縮することができる理由、負荷3が過熱状態となることを抑制できる理由について詳述する。例えば、制御部8が準備フェーズにおいてフィードバック制御を用いて負荷3の加熱を制御すると、操作量の決定に制御量が影響を与えるため、負荷3の昇温速度が遅くなりやすい。また、同様の理由で、エアロゾル生成を要求してからユーザがエアロゾルを吸引可能となるまでの時間が長くなりやすい。特に、準備フェーズの比較的初期から負荷3をエアロゾルを生成可能な温度にする態様において、ゲインが小さい場合、負荷3の昇温速度が遅くなり、ゲインが大きい場合、負荷3の温度がエアロゾルを生成可能な温度へ収束しにくくなり、負荷3が過熱状態に陥りやすくなる。また、継時的に負荷3の目標温度を漸増させる態様においては、負荷3の温度測定値が目標温度を逆転した場合に昇温の停滞が生じ得る。しかし、制御部8が準備フェーズにおいてフィードフォワード制御を用いて負荷3の加熱を制御すれば、これらの懸念が生じないため、エアロゾル生成が要求され電源4から負荷3への電力の供給が開始された後の負荷3の昇温速度を速くすることができる。さらに、エアロゾル生成を要求してからユーザがエアロゾルを吸引可能となるまでの時間を短縮することができる。併せて、負荷3が過熱状態となることを抑制でき、負荷3が使用状態となるまでの時間を短縮することができる。したがって、準備フェーズにおいて負荷3の加熱に用いる制御としては、フィードバック制御よりフィードフォワード制御の方が適していると言える。
<実施例1B>
実施例1Bでは、負荷3の温度を示す温度測定値に基づき第1サブフェーズにおいて負荷3に供給される電力を変更する制御を説明する。
図6は、準備フェーズと使用フェーズとの間で負荷3の温度がばらつく状態の例を示すグラフである。この図6は、タイマ値tと負荷3の温度との関係と、タイマ値tと電源4から負荷3へ供給される電力との関係との例を示すグラフである。横軸は、タイマ値tを示す。縦軸は、負荷3の温度又は負荷3に供給される電力のデューティ比を示す。
準備フェーズが終了した場合であっても、準備フェーズから使用フェーズへ遷移する際又は使用フェーズへ遷移した直後に、負荷3の温度が準備フェーズ終了温度から急激な変動を示すことがある。
このように、準備フェーズ終了温度がエアロゾル生成温度又はその近傍で安定しない場合、負荷3の温度が急激な変動を示し、使用フェーズの少なくとも序盤において負荷3の温度がエアロゾル生成温度に満たない場合がある。
準備フェーズが終了した場合において負荷3の温度がばらつく要因には、例えば以下の3つが想定される。
第1の要因は、負荷3の初期状態のずれであり、例えば負荷3の温度上昇開始時における負荷3の温度のずれである。
第2の要因は、電源4の残量低下又は劣化から生じ得る電源4の出力電圧のずれである。
第3の要因は、エアロゾル発生物品9又はエアロゾル生成装置1の製品誤差である。
第1及び第2の要因は、第1サブフェーズにおいて以下の制御を行うことで少なくとも緩和することができる。
第3の要因は、第2サブフェーズにおける保温制御により少なくとも緩和することができる。
図7は、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1に対する制御の例を示すグラフである。この図7は、タイマ値tと負荷3の温度との関係と、タイマ値tとデューティ比との関係とを示している。横軸は、タイマ値tを示す。縦軸は、負荷3の温度、又は、負荷3に供給される電力のデューティ比を示す。
第1サブフェーズにおけるデューティ比D1を一定とし、第2サブフェーズにおけるデューティ比D2を一定とすると、第1サブフェーズの開始時に負荷3の温度が低温又は高温の場合、第2サブフェーズの終了時の負荷3の温度も低温又は高温となり、準備フェーズの終了時の負荷3の温度がばらつくことが想定される。
これに対して、実施例1Bに係る制御部8は、第1サブフェーズの開始時における温度測定値に基づき、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1を変更することにより、第1サブフェーズの開始時における負荷3の温度のずれに基づき準備フェーズの終了時の負荷3の温度がばらつくことを抑制する。
より具体的には、制御部8は、第1サブフェーズの開始時における温度測定値が低い場合に、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1を高くする。これとは逆に、制御部8は、第1サブフェーズの開始時における温度測定値が高い場合に、第1のサブフェーズにおけるデューティ比D1を低くする。
図8は、実施例1Bに係る制御部8による準備フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS801からステップS803は、上記の図5のステップS501からステップS503と同様である。
ステップS804において、温度測定部6から準備部10へ、初期状態として第1サブフェーズ開始時の温度測定値Tstartが入力される。
ステップS805において、準備部10は、温度測定値Tstartに基づき、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1(Tstart)を求め、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1(Tstart)を示すデューティ指令値に基づき、後述する図9で示されているように負荷3と電源4を電気的に接続する回路に設けられた開閉器25をスイッチングすることで、負荷3へ供給される電力を制御する。
その後のステップS806からステップS808は、上記の図5のステップS505からステップS507と同様である。
以上説明した実施例1Bにおいては、第1サブフェーズの開始時における負荷3の温度のずれに基づき準備フェーズの終了時の負荷3の温度がばらつくことを抑制することができ、準備フェーズの後の使用フェーズにおいてエアロゾルの生成量及びその香喫味を安定させることができる。
なお、実施例1Bにおいて、制御部8は、第1サブフェーズの開始時の温度測定値Tstartに基づき第1サブフェーズのデューティ指令値を変更するが、温度測定値Tstartに基づき第2サブフェーズのデューティ指令値を変更してもよく、温度測定値Tstartに基づき第1サブフェーズのデューティ指令値と第2サブフェーズのデューティ指令値との双方を変更してもよい。
<実施例1C>
実施例1Cでは、電源4の残量に関連する値の一例として電源4の充電状態(SOC)に基づき第1サブフェーズの電力を変更する制御、又は、電源4の充電状態が変化する場合であっても負荷3に印加される電圧を一定にするPWM制御を説明する。
図9は、電源4から負荷3へ流れる電流と電源4が負荷3へ印加する電圧との関係の例を示す図である。電流計23は電源4から負荷3へ流れる電流Aを出力し、電圧計24は電源4から負荷3へ印加される電圧Vを出力する。また、図9において不図示の制御部8は、電流計23が出力する値と電圧計24が出力する値とを取得する。なお、電流計23と電圧計24には、既知の抵抗値を有するシャント抵抗を内蔵したものを用いてもよく、ホール素子を用いてもよい。なお、シャント抵抗を内蔵したものを用いた方が重量又は容積の観点からは有利であり、ホール素子を用いた方が計測制度又は計測対象に与える影響の少なさの観点から有利である。また、電流計23又は電圧計24は、計測した値をデジタル値で出力してもよく、アナログ値で出力してもよい。電流計23又は電圧計24がアナログ値を出力する場合、制御部8は、A/Dコンバータによってアナログ値をデジタル値に変換してもよい。
また、電源4と負荷3は回路によって電気的に接続されており、制御部8がこの回路に設けられた開閉器25を開閉する(スイッチングする)ように制御することで、電源4から負荷3への電力の供給が制御される。一例として、開閉器25は、スイッチ、コンタクタ、トランジスタの少なくとも1つで構成されてもよい。なお、回路は、開閉器25に代えて又は開閉器25と共にDC/DCコンバータを備えてもよい。この場合において、制御部8は、DC/DCコンバータを制御することにより電源4から負荷3への電力の供給を制御する。
なお、図9においては、開閉器25よりも負荷3側に電圧計24が設けられているが、電源4の充電状態を取得するべくSOC−OCV法を用いるために、開閉器25よりも電源4側に他の電圧計を設けてもよい。この他の電圧計は、電源4の開放端電圧(OCV)を出力可能とする。
図10は、準備フェーズの第1サブフェーズにおける電源4の残量に応じた出力電圧と出力電流の関係の例を示すグラフである。図10において、横軸はタイマ値tを示しており、時刻t1以降の第2サブフェーズは省略されている点に留意されたい。縦軸は、電源4が出力する電圧又は電流を示している。また、図10において、破線は、電源4の残量が100%である場合の電圧と電流を示す。一方、実線は、電源4の残量が0%又はその近傍であるため放電終止電圧又は放電終止電圧に近い値の電圧を出力する場合の電圧と電流を示す。なお、図10において、Vfull-chargedとVE.O.Dは、それぞれ電源4の満充電電圧と放電終止電圧を示している。
図10では、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1は100%であるとする。
簡略化のため、負荷3と電源4を電気的に接続する回路の電気抵抗は無視できるほど小さな値とし、さらに電源4が負荷3と同時に給電する対象がないと仮定すれば、負荷3の抵抗値Rで電源4の出力電圧を除算することにより、電源4の残量に応じた出力電流が求まる。
電源4の出力電圧が満充電電圧である場合に出力される電流Ifull-chargedは、前述した通り簡略化したモデルを用いれば、満充電電圧/負荷3の抵抗(Vfull-charged/R)によって求められる。
電源4の出力電圧が放電終止電圧である場合に出力される電流IE.O.Dは、前述した通り簡略化したモデルを用いれば、放電終止電圧/負荷3の抵抗(VE.O.D/R)によって求められる。
準備フェーズの第1サブフェーズにおいて、電源4の出力電圧が満充電電圧Vfull-chargedである場合に出力される電流Vfull-charged/Rは、電源4の出力電圧が放電終止電圧VE.O.Dである場合に出力される電流VE.O.D/Rよりも大きい。
図11は、デューティ比が一定の場合における、第1サブフェーズの開始時において電源4が満充電電圧の場合の準備フェーズにおける負荷3の温度変化と、第1サブフェーズの開始時において電源4が放電終止電圧近傍の場合の準備フェーズにおける負荷3の温度変化との比較の例を示すグラフである。図11において、横軸は、タイマ値tを示す。縦軸は、温度又は負荷3に供給される電力のデューティ比を示す。前述した通り、電源4が放電終止電圧近傍である場合に電源4から負荷3に供給される電流及び印加される電圧は、電源4が満充電電圧である場合より小さい。従って、電源4が放電終止電圧近傍である場合の準備フェーズにおける負荷3の温度変化よりも、電源4が満充電電圧である場合の準備フェーズにおける負荷3の温度変化の方が大きくなる。
ところで、電源4が満充電電圧である場合に、第1サブフェーズにおいて電源4から負荷3に供給される電力は以下の式で表される。
W=(Vfull-charged・D)2/R
一方、電源4が放電終止電圧近傍である場合に、第1サブフェーズにおいて電源4から負荷3に供給される電力は以下の式で表される。
W=(VE.O.D・D)2/R
両式において、Dは負荷3に供給される電力のデューティ比を示している。
これら両式の差分を計算する。電源4が満充電電圧である場合に第1サブフェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力と、電源4が放電終止電圧近傍である場合に第1サブフェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力の差分は、以下の式で表される。
ΔW={(Vfull-charged・D)2−(VE.O.D・D)2}/R
例えば、満充電電圧Vfull-chargedが4.2Vであり、放電終止電圧VE.O.Dが3.2Vであり、負荷3の電気抵抗値Rが1.0Ωであり、デューティ比Dが100%の場合、電力の差ΔWは7.4Wになる。
このため、負荷3とエアロゾル発生物品9との間の熱伝導に関する条件(例えば接触面積など)、負荷3の初期温度、エアロゾル発生物品9の熱容量などの種々の条件が同じであっても、準備フェーズ終了時の負荷3の温度は、電源4の残量に応じて変化する。
そこで、実施例1Cでは、制御部8は、電源4の出力電圧に基づき第1サブフェーズにおける電力、すなわちデューティ比を変更し、準備フェーズ終了時の負荷3の温度のばらつきを抑制する。
また、実施例1Cにおいて、制御部8は、電源4の出力電圧の影響を排除するために負荷3に印加される電圧を一定にするPWM制御を実行してもよい。PWM制御では、実効的な電圧波形の面積が同じになるように、パルス状の電圧波形が変更される。ここで、実効的な電圧は、印加電圧×デューティ比から算出可能である。なお、別の一例としては、2乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)から、実効的な電圧を求めてもよい。
図12は、電源4の残量に応じてPWM制御を行った場合の、電源4の出力電圧と出力電流との関係を例示するグラフである。図12において、横軸は、タイマ値tを示し、時刻t1以降の第2サブフェーズは省略されている点に留意されたい。縦軸は、電源4が出力する電圧又は電流を示す。
制御部8は、準備フェーズにおいて、満充電電圧Vfull-chargedに対応するパルス状の電圧波形の面積と、放電終止電圧VE.O.Dに対応する電圧波形の面積とが同じになるように制御を行う。
数式(1)は、満充電電圧V
full-chargedに対応するデューティ比D
full-chargedと、満充電電圧V
full−chargedと、放電終止電圧V
E.O.Dと、放電終止電圧V
E.O.Dに対応するデューティ比D
E.O.Dとの関係を示す。
この数式(1)において、放電終止電圧VE.O.Dに対応するデューティ比DE.O.Dを100%とすると、満充電電圧Vfull-chargedに対応するデューティ比Dfull-chargedは76%となる。
このように、制御部8は、準備フェーズに含まれる第1サブフェーズにおいて電源4の出力電圧に基づきデューティ比を制御することにより、準備フェーズ終了時の負荷3の温度のばらつきを抑制することができる。
図13は、実施例1Cに係る制御部8による準備フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS1301からステップS1303は、上記の図5のステップS501からステップS503までと同様である。
ステップS1304において、電源測定部7は、電源4の出力電圧(電池電圧)VBattを測定する。
ステップS1305において、準備部10は、デューティ比D1=(VE.O.D・DE.O.D)/VBattを求める。
ステップS1306において、準備部10は、デューティ比D1を示すデューティ指令値に基づき図9で示したような負荷3と電源4を電気的に接続する回路に設けられた開閉器25をスイッチングすることで、負荷3へ供給される電力を制御する。
その後のステップS1307からステップS1309は、上記の図5のステップS505からステップS507と同様である。
以上説明した実施例1Cにおいては、電源4の残量に関連する値の一例である電源4の出力電圧に応じて準備フェーズに含まれる第1サブフェーズにおけるデューティ比D1を変更することにより、準備フェーズの終了時の負荷温度のばらつきを抑制することができ、準備フェーズの後の使用フェーズにおいてエアロゾルの生成量及び香喫味を安定させることができる。
実施例1Cでは、電源4の残量に関連する値の一例として電源4の出力電圧を用いる態様を説明した。これに代えて、電源4の残量に関連する値の他の例として電源4の充電状態(SOC)に応じて準備フェーズに含まれる第1サブフェーズにおけるデューティ比D1を変更してもよい。
なお、電源4の残量に関連する値として充電状態を用いる場合は、広く知られている通り、電源4の電圧が満充電電圧である場合の充電状態を100%と定義する。一方、電源4の電圧が放電終止電圧である場合の充電状態を0%と定義する。また、充電状態は電源4の残量に応じて、100%から0%まで連続的に変化する。電源4にリチウムイオン2次電池を用いた場合の満充電電圧と放電終止電圧の一例は、それぞれ4.2Vと3.2Vであるが、電源4の満充電電圧と放電終止電圧はこれらの値に限定されない。なお、前述した通り、制御部8は電源4の充電状態を、例えばSOC−OCV法又は電流積算(クーロンカウンティング)法などにより求めてもよい。
<実施例1D>
準備フェーズ終了時の負荷3の温度をより高精度に制御するためには、複数の初期条件、例えば、負荷3の温度と電源4の残量に関連する値との双方に基づき制御を行うことが好ましい。
実施例1Dでは、温度測定値THTRに基づいて放電終止電圧VE.O.Dに対応するデューティ比DE.O.D(THTR)を求め、さらに、放電終止電圧VE.O.D、デューティ比DE.O.D(THTR)、バッテリ電圧VBattに基づいて、第1のサブフェーズにおけるデューティ比D1を求め、当該デューティ比D1を用いて、図9で示したような負荷3と電源4を電気的に接続する回路に設けられた開閉器25をスイッチングするようなフィードフォワード制御を実行する。
図14は、実施例1Dに係る制御部8によって実行される制御の例を示すグラフである。図14において、横軸は、タイマ値tを示す。縦軸は、温度又は負荷3に供給される電力のデューティ比を示す。
図14の左側のグラフでは、デューティ比と、負荷3の温度の変化との関係を模式的に示している。図14の左側のグラフにおいては、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1と第2サブフェーズにおけるデューティ比D2のうち、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1のみを変えている。デューティ比D1を太い実線で示された高いデューティ比とした場合、負荷3の温度は、例えば図14の左側かつ上のグラフにおける実線のように変化する。一方、デューティ比D1を細い実線で示された低いデューティ比とした場合、負荷3の温度は、例えば図14の左側かつ上のグラフにおける点線のように変化する。図14の左側のグラフで示されるように、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1のレベル(高低)に応じて、負荷3の温度変化、すなわちタイマ値tごとの負荷3の温度、は相違する。
つまり、負荷3の温度及び電源4の残量に関連する値などの初期条件が異なる場合でも、第1サブフェーズにおけるデューティ比D1を調整すれば、準備フェーズ終了時の負荷3の温度をより高度に制御できる。
そこで、実施例1Dに係る制御部8は、図14の右側のグラフで示すように、第1サブフェーズ開始時の負荷3の温度(初期温度)が高いほど、第1サブフェーズのデューティ比D1を小さくし、第1サブフェーズ開始時の負荷3の温度が低いほど、第1サブフェーズのデューティ比D1を大きくするように制御を行う。
なお、実施例1Dに係る制御部8は、第1サブフェーズ開始時の負荷3の温度とともに、電源4の残量に関連する値(例えば、電源4の出力電圧)に基づきデューティ比D1を変更してもよい。このようにすれば、図14の右側のグラフで示されるように、負荷3の温度及び電源4の残量に関連する値などの初期条件が異なる場合でも、準備フェーズ終了時の負荷3の温度をより高度に制御でき、特定の値へ近づけることができる。
図15は、実施例1Dに係る制御部8によって実行される制御の例を示す制御ブロック図である。
実施例1Dにおいて、制御部8は、初期設定部16と、準備部10とを含む。
初期設定部16は、負荷3の温度と放電終止電圧VE.O.Dに対応するデューティ比DE.O.Dとの関係を持つ。
初期設定部16は、第1サブフェーズ開始時の温度測定値THTRを温度測定部6から受け、温度とデューティ比との関係及び温度測定値THTRに基づき、放電終止電圧VE.O.Dに対応するデューティ比DE.O.D(THTR)を求める。
さらに、初期設定部16は、電源測定部7から電圧VBattを入力し、デューティ比D1=VE.O.D・DE.O.D(THTR)/VBattを求め、デューティ比D1を示すデューティ指令値を準備部10へ出力する。
タイマ5から準備部10へタイマ値tが入力され、準備部10は、タイマ値tが第1サブフェーズであるか第2サブフェーズであるかを判断し、第1サブフェーズにおいてデューティ比D1を示すデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御し、第2サブフェーズにおいてデューティ比D2を示すデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御する。
図16は、実施例1Dに係る制御部8による準備フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS1601からステップS1603は、上記の図5のステップS501からステップS503までと同様である。
ステップS1604において、温度測定部6から初期設定部16へ第1サブフェーズ開始時の温度測定値Tstartが入力される。
ステップS1605において、電源測定部7から初期設定部16へ電源4の出力電圧VBattが入力される。
ステップS1606において、初期設定部16は、温度とデューティ比との関係と、ステップS1604で入力された温度測定値Tstartとに基づき、放電終止電圧VE.O.Dに対応するデューティ比DE.O.D(Tstart)を求め、電圧VBattとデューティ比DE.O.D(Tstart)とに基づきデューティ比D1=VE.O.D・DE.O.D(Tstart)/VBattを求める。
ステップS1607において、準備部10は、デューティ比D1に基づき、図9で示したような負荷3と電源4を電気的に接続する回路に設けられた開閉器25をスイッチングすることで、負荷3へ供給される電力を制御する。
その後のステップS1608からステップS1610は、上記の図5のステップS505からステップS507と同様である。
以上説明したように、実施例1Dに係る制御部8は、負荷3の初期温度及び電源4の残量に関連する値に基づいて第1サブフェーズにおけるデューティ比D1を変更する。より具体的には、初期設定部16は、温度とデューティ比との関係と、温度測定値Tstartとに基づき、放電終止電圧VE.O.Dに対応するデューティ比DE.O.D(Tstart)を求め、さらに、放電終止電圧VE.O.D、デューティ比DE.O.D(Tstart)、電圧VBattに基づいて、第1サブフェーズに対応するデューティ比D1を求める。これにより、制御対象の制御量を帰還成分として操作量の決定に用いないフィードフォワード制御であっても、準備フェーズ終了時の負荷3の温度をより高精度に制御することができる。
<実施例1E>
実施例1Eでは、準備フェーズにおいて、負荷3の劣化に基づきフィードフォワード制御を変更することを説明する。
負荷3の積算使用回数Nsumが多くなると、破損が生じ又は酸化現象などが生じることで負荷3は劣化する。負荷3が劣化すると、負荷3の電気抵抗値RHTRは増加する傾向にある。つまり、負荷3の劣化状態を示す積算使用回数Nsumと、負荷3の電気抵抗値RHTRの間には相関がある。
そこで、実施例1Eにおいては、負荷3の劣化によって抵抗値RHTRが増加した場合であっても負荷3の温度が安定するように負荷3へ電力を供給する。以下、負荷3の劣化状態に関係なく、負荷3の温度が安定するように負荷3へ電力を供給する方法について詳述する。
負荷3へ流れる電流をI
HTR、負荷3に印加される電圧をV
HTR、負荷3へ供給される電力をP
HTR、負荷の抵抗をR
HTR、電源4の出力電圧をV、負荷3に供給される電力のデューティ比をDとすると、数式(2)及び数式(3)が得られる。なお、V
HTRは電圧の実効値であることに留意されたい。
ここで、負荷3が新しい場合(劣化していない場合)の電力をPHTR_new、負荷3が新しい場合の抵抗をRHTR_new、負荷3が新しい場合のデューティ比をDnewとする。
また、負荷3が古い場合(劣化した場合)の電力をPHTR_used、負荷3が古い場合の抵抗をRHTR_used、負荷3が古い場合のデューティ比をDusedとする。
負荷3が新しい場合の電力PHTR_newと負荷3が古い場合の電力PHTR_usedとは、等しいことが好ましい。
前述した負荷3の劣化状態を示す積算使用回数N
sumと負荷3の電気抵抗値R
HTRとの相関が線形である場合又は線形で近似できる場合、数式(4)は以下の数式(5)に書き換えることができる。
従って、前述した負荷3の劣化状態を示す積算使用回数Nsumと負荷3の電気抵抗値RHTRとの相関が線形である場合又は線形で近似できる場合、制御部8は、負荷3の積算使用回数Nsumを取得すれば、数式(5)に基づき劣化した負荷3に対応するデューティ比Dusedを求めることができる。
一方、前述した負荷3の劣化状態を示す積算使用回数N
sumと負荷3の電気抵抗値R
HTRとの相関が非線形である場合、負荷3の電気抵抗値R
HTRを負荷3の積算使用回数N
sumの関数で表すと、数式(4)は、以下の数式(6)に書き換えることができる。
従って、前述した負荷3の劣化状態を示す積算使用回数Nsumと負荷3の電気抵抗値RHTRとの相関が非線形である場合、制御部8は、負荷3の積算使用回数Nsumを取得すれば、この数式(6)を用いることで、積算使用回数Nsumがゼロ回(負荷3が新しい場合の)の負荷3の抵抗R(0)と、積算使用回数がNsum回の負荷3の抵抗R(Nsum)と、負荷3が新しい場合のデューティ比Dnewとに基づき、劣化した負荷3に対応するデューティ比Dusedを求めることができる。
図17は、実施例1Eに係る制御部8による準備フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS1701からステップS1703は、上記の図5のステップS501からステップS503と同様である。
ステップS1704において、電源測定部7から準備部10へ負荷3が劣化した場合の抵抗値RHTR_usedが入力される。
ステップS1705において、準備部10は、前述した負荷3の劣化状態を示す積算使用回数Nsumと負荷3の電気抵抗値RHTRとの相関が線形である場合又は線形で近似できる場合、取得した負荷3の積算使用回数Nsum及び数式(5)に基づき、劣化した負荷3に対応するデューティ比Dusedを求める。一方、準備部10は、前述した負荷3の劣化状態を示す積算使用回数Nsumと負荷3の電気抵抗値RHTRとの相関が非線形である場合、数式(6)を用いることで、負荷3の積算使用回数Nsumと、積算使用回数Nsumがゼロ回の場合(負荷3が新しい場合)の負荷3の抵抗R(0)と、積算使用回数がNsum回の負荷3の抵抗R(Nsum)と、負荷3が新しい場合のデューティ比Dnewとに基づき、劣化した負荷3に対応するデューティ比Dusedを求める。
ステップS1706において、準備部10は、第1サブフェーズにおいて、デューティ比Dusedを示すデューティ指令値に基づき、図9で示したような負荷3と電源4を電気的に接続する回路に設けられた開閉器25をスイッチングすることで、負荷3へ供給される電力を制御する。
その後のステップS1707からステップS1709は、上記の図5のステップS505からステップS507と同様である。
以上説明した実施例1Eにおいては、負荷3の積算使用回数Nsumが多くなるなどの要因によって、負荷3が劣化した場合であっても、負荷3の温度が安定するように負荷3へ電力を供給することができる。
なお本実施例においては、負荷3の劣化状態を示す物理量として、負荷3の積算使用回数Nsumを用いた。しかしながら、積算使用回数Nsumに代えて、例えば、負荷3の積算動作時間、負荷3の積算消費電力、負荷3の積算エアロゾル生成量、室温などの所定温度における負荷3の電気抵抗値などを用いてもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、使用フェーズで実行されるフィードバック制御においてゲイン部12のゲインとリミッタ部14で用いられるリミッタ幅(範囲)とのうちの少なくとも一方を変更する制御を説明する。
エアロゾル発生物品9を加熱するエアロゾル生成装置1において、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルを継時的に安定させるためには、負荷3又はエアロゾル発生物品9の温度を徐々に上げることにより、エアロゾル発生物品9におけるエアロゾル生成位置を、負荷3の近くから徐々に遠くへ遷移させる必要がある。この理由は、負荷3からエアロゾル発生物品9への熱伝導を考えた場合、エアロゾル発生物品9に対する加熱を開始すると、エアロゾル発生物品9において負荷3に近い位置ほど早期にエアロゾルが生成されるためである。すなわち、エアロゾル発生物品9において負荷3から近い位置のエアロゾル源が霧化され尽くされてエアロゾル生成が完了した場合、継続してエアロゾル発生物品9からエアロゾルを生成するためには、負荷3から遠い位置のエアロゾル源を霧化する必要がある。つまり、エアロゾル発生物品9における負荷3から近い位置から、負荷3からの熱伝導効率が劣るためにエアロゾル源が霧化され尽くされていないエアロゾル発生物品9における負荷3から遠い位置へ、エアロゾル生成位置を遷移させる必要がある。
前述した通り、エアロゾル発生物品9において負荷3から遠い位置は、エアロゾル発生物品9において負荷3から近い位置に比べて、負荷3からの熱伝導の観点で劣る。従って、エアロゾル発生物品9において負荷3から遠い位置でエアロゾルを生成しようとすると、エアロゾル発生物品9において負荷3から近い位置でエアロゾルを生成させる場合と比べて負荷3は多くの熱をエアロゾル発生物品9に伝える必要がある。換言すれば、エアロゾル発生物品9において負荷3から遠い位置でエアロゾルを生成しようとすると、エアロゾル発生物品9において負荷3から近い位置でエアロゾルを生成させる場合と比べて負荷3の温度を高くする必要がある。
第2の実施形態では、エアロゾル発生物品9におけるエアロゾル生成位置を負荷3から近い位置から遠い位置へ遷移させることで、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量を継時的に安定させるための制御を説明する。
例えば、負荷3がエアロゾル発生物品9を内部から加熱する第1の加熱方法が用いられる場合、エアロゾル発生物品9の中心部が、エアロゾル発生物品9において負荷3から近い位置となる。またエアロゾル発生物品9の外周部が、エアロゾル発生物品9において負荷3から遠い位置となる。
例えば、負荷3がエアロゾル発生物品9を外部から加熱する第2の加熱方法が用いられる場合、エアロゾル発生物品9の外周部が、エアロゾル発生物品9において負荷3から近い位置となる。またエアロゾル発生物品9の中心部が、エアロゾル発生物品9において負荷3から遠い位置となる。
例えば、負荷3が誘導加熱(IH)を用いてエアロゾル発生物品9を加熱する第3の加熱方法が用いられる場合、エアロゾル発生物品9においてサセプタと接する又は近い位置が、エアロゾル発生物品9において負荷3から近い位置となる。またエアロゾル発生物品9においてサセプタと接しない又は遠い位置が、エアロゾル発生物品9において負荷3から遠い位置となる。
しかしながら、フィードバック制御における目標温度を徐々に上げることにより負荷3又はエアロゾル発生物品9の温度を徐々に上げようとすると、温度測定値が目標温度を一時的に上回った場合にその際の温度上昇が停滞し、エアロゾルを吸引するユーザに違和感を与える場合がある。
そこで、第2の実施形態においては、使用フェーズにおけるゲイン部12のゲインと、リミッタ部14のリミッタ幅との少なくとも一方を徐々に拡大し、負荷3又はエアロゾル発生物品9の温度を停滞なく滑らかに上昇させ、安定的にエアロゾルを生成する。なお、ゲイン部12のゲインの拡大とは、ゲインを拡大する前のゲイン部12に入力された入力値に対する出力値の絶対値より、ゲインを拡大した後のゲイン部12に入力された入力値に対する出力値の絶対値が大きくなるように、ゲイン部12における出力値と入力値の相関を調整することを意味するとしてもよい。また、リミッタ部14のリミッタ幅の拡大とは、リミッタ部14が出力する出力値の絶対値が取り得る最大値を大きくすることを意味するとしてもよい。
第2の実施形態に係る制御部8による制御と既存のエアロゾル生成装置による制御とを対比すると、第2の実施形態に係る制御部8による制御は、フィードバック制御で用いられる目標温度を上げ、次に下げ、さらに次に上げるような制御ではなく、使用フェーズ終了温度を一定として制御を行う点で特徴的である。つまり、第2の実施形態においては、使用フェーズの大部分において、負荷3の温度はフィードバック制御で用いられる使用フェーズ終了温度よりも低いため、使用フェーズの全体に亘って負荷3又はエアロゾル発生物品9の温度を遅滞なく滑らかに上昇させ、安定的にエアロゾルを生成する。
第2の実施形態に係る制御部8による制御は、リミッタ部14のリミッタ幅をタイマ値tに基づき縮小するような制御ではない点で特徴的である。また、第2の実施形態に係る制御部8による制御は、リミッタ部14のリミッタ幅を一定として目標温度をタイマ値tに基づき上げるような制御ではない点で特徴的である。換言すれば、第2の実施形態に係る制御部8による制御において、リミッタ幅は、使用フェーズの進行に伴い縮小することなく、拡大し続けるか、又は、段階的に拡大する。
第2の実施形態に係る制御部8は、使用フェーズにおいて、例えば、負荷3の温度がエアロゾル発生物品9から既定量以上のエアロゾルを生成可能な値以上である場合に、負荷3の温度と使用フェーズの進行度とを取得し、負荷3の温度が既定温度に収束するようにフィードバック制御を実行し、フィードバック制御において、進行度が進むほど、フィードバック制御におけるゲイン、又は、電源4から負荷3へ供給される電力の上限値、を増加させてもよい。これにより、負荷3の温度を、徐々に、停滞なく、かつ、安定的に上げることができる。つまり使用フェーズ全体に亘って、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量を安定させることができる。
ここで、制御部8は、フィードバック制御におけるゲインの増加を、PID(Proportional Integral Differential)制御の比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御のいずれの要素の変更で行ってもよい。また制御部8は、比例制御、積分制御、微分制御のうち、1つのゲインを増加させてもよく、複数のゲインを増加させてもよい。また、制御部8は、ゲインの増加と負荷3へ供給される電力の上限値の増加の双方を行ってもよい。
制御部8は、負荷3の温度が使用フェーズの開始時から減少しないように、進行度が進むほど、ゲイン又は上限値を増加させてもよい。これにより、エアロゾル生成量が低下することを抑制できる。
進行度の進行幅に対するゲイン又は上限値の上昇幅は、一定としてもよい。これにより、フィードバック制御の安定性を向上させることができる。
制御部8は、進行度の進行幅に対するゲイン又は上限値の増加率を変化させてもよい。これにより、進行度に応じて適切な量のエアロゾルを生成できる。
制御部8は、進行度が進むほど、増加率を拡大させてもよい。これにより、エアロゾル生成量が低下することを抑制できる。また、負荷3が高温である時間を短くすることができ、負荷3及びエアロゾル生成装置1が過熱状態となることを抑制することができ、負荷3及びエアロゾル生成装置1の耐久性を向上させることができる。さらに、負荷3が高温である時間が短いため、エアロゾル生成装置1の断熱構造を簡略化できる。特にエアロゾル生成装置1が上記第2の加熱方法を採用する場合に、断熱構造の簡略化を図ることができる。
制御部8は、進行度が進むほど、増加率を縮小させてもよい。これにより、負荷3が高温となる時間を長くすることができ、エアロゾル生成量が低下することを抑制できる。負荷3が高温となる時間を長くすることができるため、1つのエアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量を増加させることができる。また、ゲイン又は上限値が増加される期間が長いため、ユーザによるエアロゾルの吸引に伴う温度低下(例えば温度ドロップ)を迅速に回復し、負荷3の温度を補償することができる。つまり使用フェーズの全体に亘って、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量を安定させることができる。
制御部8は、進行度が進むほどゲイン又は上限値が上昇する第1関係(相関)に基づき、進行度に対応するゲイン又は上限値を決定し、進行度の時系列的な変化に基づき第1関係を変更してもよい。これにより、進行度の進み具合に応じて、ゲイン又は上限値の拡張の度合いを変更することができ、実際の進み具合に応じて、負荷3へ適切な電力量を供給することができ、エアロゾル生成量を安定させることができる。
制御部8は、進行度が進むほどゲイン又は上限値が上昇するように第1関係を変更してもよい。この場合、ゲイン又は上限値が下がらないため、エアロゾル生成量が低下することを抑制できる。
制御部8は、進行度が既定の進行度より遅れている場合に、進行度の進行幅に対応するゲイン又は上限値の上昇幅が大きくなるように第1関係を変更し、進行度は、負荷3の温度としてもよい。これにより、負荷3の温度上昇が遅れているほど、負荷3の温度を上がりやすくすることができるため、エアロゾル生成量が低下することを抑制できる。
制御部8は、進行度が既定の進行度より進んでいる場合に、進行度の進行幅に対応するゲイン又は上限値の上昇幅が小さくなるように第1関係を変更し、進行度は、負荷3の温度としてもよい。これにより、負荷3の温度上昇が進んでいるほど、負荷3の温度を上がりにくくすることができるため、エアロゾル生成量が大きくなることを抑制できる。
制御部8は、進行度が既定の進行度より遅れている場合に、進行度の進行幅に対応するゲイン又は上限値の上昇幅が小さくなるように第1関係を変更し、進行度は、エアロゾル吸引回数、エアロゾル吸引量、エアロゾル生成量のうちの少なくとも1つを含むとしてもよい。例えば、エアロゾルの吸引が既定の進行度より遅れている場合には、負荷3の近傍のエアロゾル源が枯渇していないことが考えられる。このような場合に、ゲイン又は上限値の上昇幅を小さくすることで、エアロゾル発生物品9内のエアロゾル源を有効に利用することができる。
制御部8は、進行度が既定の進行度より進んでいる場合に、進行度の進行幅に対応するゲイン又は上限値の上昇幅が大きくなるように第1関係を変更し、進行度は、エアロゾル吸引回数、エアロゾル吸引量、エアロゾル生成量のうちの少なくとも1つを含むとしてもよい。例えば、エアロゾルの吸引が既定の進行度より進んでいる場合には、エアロゾル発生物品9におけるエアロゾル生成位置が想定より負荷3から遠い位置へ遷移していることが考えられる。このような場合であっても、ゲイン又は上限値の上昇幅を大きくすることで、負荷3から遠いエアロゾル生成位置からエアロゾルを積極的に生成させることができる。
制御部8は、第1関係を一時的に変更、又は、第1関係の一部を変更してもよい。この場合、ゲイン又は上限値の上昇幅が一時的に変更され、その後、元の上昇幅に戻るため、制御の安定性を向上させることができる。
制御部8は、第1関係のうち制御部8によって取得された最新の進行度以降の全体部分を変更してもよい。この場合、ゲイン又は上限値の上昇幅が全体的に変更されるため、再度の変更が必要となる可能性を少なくすることができる。
なお、制御部8は、最新の進行度より過去の進行度を含む第1関係全体を変更してもよい。
制御部8は、第1関係のうち制御部8によって取得された最新の進行度以降を変更し、第1関係の変更前と変更後において使用フェーズの終点における進行度とゲイン又は上限値との関係を同じにしてもよい。この場合、使用フェーズの終点におけるゲイン又は上限値は変更されないため、負荷3に与えられる電力量が大きく変更されることを抑制でき、制御の安定性を向上させることができる。
既定温度は、装着されたエアロゾル発生物品9に含まれており負荷3から最も離れた位置のエアロゾル源又はエアロゾル基材9aから、エアロゾルを生成するために必要な負荷3の温度としてもよい。これにより、エアロゾル発生物品9から効果的にエアロゾルを生成させることができる。
制御部8は、負荷3の温度が既定温度に到達した場合に、使用フェーズを終了してもよい。これにより、エアロゾル発生物品9が過熱状態となることを抑制できる。
制御部8は、負荷3の温度が既定温度に到達した場合、又は、進行度が既定閾値に到達した場合に、使用フェーズを終了してもよい。これにより、より安全かつ確実にフィードバック制御を終了させることができる。
制御部8は、負荷3の温度が既定温度に到達し、且つ、進行度が既定閾値に到達した場合に、使用フェーズを終了してもよい。これにより、適切な範囲で終了条件を厳しくし、エアロゾル発生物品9からより多くのエアロゾルを生成させることができる。
制御部8は、使用フェーズにおいて、負荷3の温度が既定温度以上である時間より、負荷3の温度が既定温度未満である時間の方が長くなるように、ゲイン又は上限値を増加させてもよい。この場合、既定温度の近傍に負荷3の温度がない時間の方が、既定温度の近傍に負荷3の温度がある時間より長くなるため、エアロゾルの生成量が大きくなることを抑制できる。
進行度は、制御部8の制御に応じて、使用フェーズの経過時間、エアロゾル吸引回数、エアロゾル吸引量、エアロゾル生成量、又は、負荷3の温度を用いることができる。
第2の実施形態に係る制御部8は、例えば、負荷3の温度が、エアロゾル発生物品9に含まれており負荷3から最も近い位置のエアロゾル源又はエアロゾル基材9aから既定量以上のエアロゾルを生成可能な第1温度から、エアロゾル発生物品9に含まれており負荷3から最も遠い位置のエアロゾル源又はエアロゾル基材9aから既定量以上のエアロゾルを生成可能な第2温度へ、漸近するように、フィードバック制御におけるゲイン、又は、電源4から負荷3へ供給される電力の上限値、を増加させる。これにより、制御部8はフィードバック制御によって、エアロゾル発生物品9における負荷3から近い位置から遠い位置までの全体にわたってエアロゾル生成を効果的に行うことができる。
第2の実施形態に係る制御部8は、例えば、負荷3の温度がエアロゾル発生物品9から既定量以上のエアロゾルを生成可能な値以上である使用フェーズの場合に、負荷3の温度と使用フェーズの進行度とを取得し、負荷3の温度と既定温度との差分に基づき電源4から負荷3へ供給される電力を決定し、且つ、使用フェーズの進行にそった電力の供給量の変化率が使用フェーズの進行にそった既定温度の変化率よりも大きくなるように、フィードバック制御を実行してもよい。なお、変化率は、ゼロ、すなわち、変化していない状態も含むとしてもよい。これにより、負荷3の温度を、徐々に、停滞なく、かつ、安定的に上げることができる。
第2の実施形態に係る制御部8は、例えば、負荷3の温度がエアロゾル発生物品9から既定量以上のエアロゾルを生成可能な値以上である使用フェーズの場合に、負荷3の温度と使用フェーズの進行度とを取得し、負荷3の温度と既定温度との差分に基づき電源4から負荷3へ供給される電力を決定し、且つ、使用フェーズの進行にそって既定温度から負荷3の温度を引いた値が減少し、使用フェーズの進行にそって電源4から負荷3へ供給される電力の供給量が増加するように、フィードバック制御を実行してもよい。これにより、負荷3の温度を、徐々に、停滞なく、かつ、安定的に上げることができる。
上記の制御部8による各種の制御は、制御部8がプログラムを実行することにより実現されてもよい。
上記のような第2の実施形態について、さらに以下の実施例2A〜2Fで具体的な制御例を説明する。
<実施例2A>
図18は、実施例2Aに係る制御部8によって実行される制御の例を示す制御ブロック図である。
制御部8のリミッタ変更部13は、タイマ値tと負荷3の温度測定値とパフプロファイルとの少なくとも1つを含む入力パラメータとリミッタ部14のリミッタ幅とを関連付けた第1関係を保持する。タイマ値t、負荷3の温度測定値、パフプロファイルは、使用フェーズの進行度を表す値の例であり、これらに代えて使用フェーズの進行度に応じて増大する傾向を持つ他の物理量又は変数を用いてもよい。
実施例2Aにおいては、タイマ値tと温度測定値とパフプロファイルとを入力パラメータとして用いる場合を例として説明するが、タイマ値tと温度測定値とパフプロファイルとのうちの一部を入力パラメータとして用いてもよい。
入力パラメータとリミッタ幅との関係付けは、テーブルで管理されてもよく、リスト構造などのデータ構造で管理されてもよく、入力パラメータとリミッタ幅とに関する関数が用いられてもよい。以下の各種の関係付けについても同様である。
制御部8は、使用フェーズにおいて、タイマ5からタイマ値tを入力し、温度測定部6から負荷3の温度を示す温度測定値を入力する。
制御部8は、例えば、エアロゾル生成装置1が備える流量センサ、流速センサ、圧力センサなどのユーザの吸引に伴って変動する物理量を検出するセンサの出力値に基づきユーザの吸引を検知し、例えば時系列的なユーザの吸引回数又は吸引量などのような吸引状態を示すパフプロファイルを生成する。
制御部8は、リミッタ変更部13、差分部11、ゲイン部12、リミッタ部14を含む。
リミッタ変更部13は、入力パラメータに基づきリミッタ部14で用いられるリミッタ幅の上昇幅を決定し、使用フェーズの進行が進むにつれて、リミッタ幅を徐々に拡大する。
実施例2Aにおいて、リミッタ変更部13は、例えば、リミッタ幅を狭くすることはないとしてもよい。換言すれば、リミッタ変更部13は、リミッタ幅を変更する際には、その拡大のみを行ってもよい。以下、第2の実施形態の実施例2B〜2Fにおいても同様に、リミッタ変更部13で用いられるリミッタ幅が狭くなることはないとしてもよい。
より具体的には、リミッタ変更部13は、タイマ値tの増加に応じて、リミッタ最大値とリミッタ最小値との間の幅が拡大するようにリミッタ部14のリミッタ幅を変更する。
差分部11は、温度測定部6によって測定された温度測定値と使用フェーズ終了温度との差を求める。実施例2Aにおいて、使用フェーズ終了温度は、固定値であり、フィードバック制御により例えば使用フェーズの終了時に負荷3の温度が到達すべき値であるとする。
ゲイン部12は、温度測定値と使用フェーズ終了温度の差に基づき当該差をなくす、又は、小さくするようなデューティ比を求める。換言すれば、ゲイン部12は、温度測定値と使用フェーズ終了温度の差とデューティ比との相関を持ち、入力された温度測定値と使用フェーズ終了温度との差に対応するデューティ比をリミッタ部14に対して出力する。
リミッタ部14は、ゲイン部12によって求められたデューティ比がリミッタ幅に含まれるように制御する。具体的には、リミッタ部14は、ゲイン部12によって求められたデューティ比がリミッタ変更部13で求められたリミッタ幅の最大値を超える場合に、デューティ比をリミッタ幅の最大値とし、求められたデューティ比がリミッタ変更部13で求められたリミッタ幅の最小値を下回る場合に、デューティ比をリミッタ幅の最小値に制限する。リミッタ部14は、リミッタ処理の結果として、リミッタ幅に含まれるデューティ比を示すデューティ操作値を、例えば図3で示された比較部15へ出力する。デューティ操作値は、制御部8のフィードバック制御の結果得られた値であるとする。
図19は、実施例2Aに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS1901において、制御部8は、タイマ5からタイマ値tを入力する。
ステップS1902において、制御部8は、タイマ値tが使用フェーズ終了を示す時間tthre以上か否か判断する。
タイマ値tが時間tthre以上の場合(ステップS1902における判断が肯定的である場合)、制御部8は、負荷3への電力供給を停止し、使用フェーズを終了する。
タイマ値tが時間tthre以上ではない場合(ステップS1902における判断が否定的である場合)、ステップS1903において、制御部8の差分部11は、負荷3の使用フェーズ終了温度と温度測定部6から入力した温度測定値との差分ΔTHTRを求める。
ステップS1904において、制御部8のリミッタ変更部13は、タイマ値t、温度測定値、パフプロファイルのうち少なくとも1つに基づき、リミッタ部14で用いられるリミッタ幅の上昇幅を決定し、リミッタ幅を変更する。
ステップS1905において、制御部8のゲイン部12は、差分ΔTHTRに基づきデューティ比(デューティ操作値)Dcmdを求める。ゲイン部12における入力値と出力値の相関を関数Kとすると、このゲイン部12の処理は、Dcmd=K(ΔTHTR)と表すことができる。特に、ゲイン部12における入力値と出力値の相関が線形であるならば、当該相関の傾きであるゲイン係数をKとすると、このゲイン部12の処理は、Dcmd=K×ΔTHTRと表すこともできる。
ステップS1906において、制御部8のリミッタ部14は、ゲイン部12によって求められたデューティ比Dcmdがリミッタ部14のリミッタ幅に収まるようにリミッタ処理を行い、リミッタ処理されたデューティ比Dcmddを求める。
ステップS1907において、制御部8は、デューティ比Dcmddを示すデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御し、その後処理はステップS1901へ戻る。なお、デューティ比Dcmddは、電源4と負荷3の間に設けられた開閉器25に適用されてもよく、電源4と負荷3の間に設けられたDC/DCコンバータに適用されてもよい。
なお、上記の処理において、ステップS1904とステップS1905とは、順序を入れ替えてもよい。
以上説明した実施例2Aに係る制御部8が実行する制御においては、使用フェーズが進行するごとにリミッタ部14で用いられるリミッタ幅が徐々に拡大されるように変更され、リミッタ幅内のデューティ比Dcmddに基づき負荷3の温度が制御される。これにより、負荷3又はエアロゾル発生物品9の温度を停滞なく滑らかに上昇させることができ、安定的にエアロゾルを生成することができる。
<実施例2B>
実施例2Bでは、使用フェーズの時系列な進捗においてエアロゾル発生物品9の熱容量が想定よりも大きいか否かの判断に基づいて、リミッタ変更部13が、リミッタ幅の上昇幅を決定し、当該リミッタ幅を変更する制御を説明する。
実施例2Bにおいて、エアロゾル発生物品9の熱容量は、エアロゾル発生物品9の質量と比熱から厳密に求めてもよい。また別の一例として、エアロゾル発生物品9の熱容量は、エアロゾル発生物品9が備えるエアロゾル基材9a、香味源、エアロゾル源の組成又は構造に依存し、特にエアロゾル発生物品9、香味源、エアロゾル源の残量が多いほど高い値を示す物理量として扱ってもよい。つまり、負荷3によってエアロゾル発生物品9を加熱すると、エアロゾル基材9aと香味源又はエアロゾル源の少なくとも一部が消費されることにより、エアロゾル発生物品9の熱容量は、使用フェーズの進行に伴い減少する傾向を持つ。換言すれば、エアロゾル発生物品9の熱容量は、エアロゾル発生物品9が生成可能なエアロゾル量、エアロゾル生成装置1のユーザが吸引可能なエアロゾルの残量、吸引の残り回数、又は、エアロゾル生成装置1によるエアロゾル発生物品9への加熱可能量を表すとする。なお、エアロゾル発生物品9が生成可能なエアロゾル量、エアロゾル生成装置1のユーザが吸引可能なエアロゾル源の残量、又は、吸引の残り回数がゼロになった場合でも、エアロゾル発生物品9の熱容量はゼロにならない点に留意されたい。
実施例2Bに係る制御部8及び/又はリミッタ変更部13は、使用フェーズの時系列的な進捗においてエアロゾル発生物品9の熱容量が想定よりも大きいか否かを、温度測定値又はパププロファイルに基づき判断してもよい。一例として、実施例2Bに係る制御部8及び/又はリミッタ変更部13は、使用フェーズにおける負荷3又はエアロゾル発生物品9の温度、使用フェーズにおけるエアロゾル生成装置1のユーザの吸引回数又は吸引量の積算値についての、理想的な時系列データを予め記憶しておく。そして、これら理想的な時系列データと温度測定値又はパフプロファイルとを比較することにより、使用フェーズの時系列的な進捗においてエアロゾル発生物品9の熱容量が想定より大きいか否かを判断してもよい。
具体的には、制御部8及び/又はリミッタ変更部13は、理想的な時系列データに対して温度測定値が遅延している場合は、エアロゾル発生物品9の熱容量が想定より大きいと判断してもよい。一方、制御部8及び/又はリミッタ変更部13は、理想的な時系列データに対して温度測定値が進行している場合は、エアロゾル発生物品9の熱容量が想定より小さいと判断してもよい。
換言すれば、エアロゾル発生物品9の熱容量が大きい状態では、温度測定値は低いと推定される。これとは逆に、エアロゾル発生物品9の熱容量が大きくない(小さい)状態では、温度測定値が高いと推定される。
リミッタ変更部13は、温度測定値が低いことを示す場合に、リミッタ幅の上昇幅を拡大する。
リミッタ変更部13は、温度測定値が高いことを示す場合に、リミッタ幅の上昇幅を縮小する。
一方、制御部8及び/リミッタ変更部13は、理想的な時系列データに対してパフプロファイルが遅延している場合は、エアロゾル発生物品9の熱容量が想定より大きいと判断してもよい。このような場合においては、パフプロファイルが遅延していることから明らかなように、エアロゾル生成装置1に対するユーザの吸引が想定よりも行われていない。従って、リミッタ幅の上昇幅を拡大してエアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量を増加又は維持するようにリミッタ幅の上昇幅を拡大する必要が乏しい点に留意されたい。
また、制御部8及び/リミッタ変更部13は、理想的な時系列データに対してパフプロファイルが進行している場合は、エアロゾル発生物品9の熱容量が想定より小さいと判断してもよい。このような場合においては、パフプロファイルが進行していることから明らかなように、エアロゾル生成装置1に対するユーザの吸引が想定よりも行われている。従って、リミッタ幅の上昇幅を拡大してエアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量を増加又は維持するようにリミッタ幅の上昇幅を積極的に拡大する必要がある点に留意されたい。
リミッタ変更部13は、パフプロファイルが遅延している場合に、リミッタ幅の上昇幅を縮小する。
リミッタ変更部13は、パフプロファイルが進行している場合に、リミッタ幅の上昇幅を拡大する。
ただし、先で説明したように、使用フェーズの進行度に温度測定値とパフプロファイルとのどちらを用いる場合でも、実施例2Bでは、リミッタ変更部13は、使用フェーズの進行に伴いリミッタ幅を縮小することはないとする。
図20は、実施例2Bに係るリミッタ変更部13におけるリミッタ幅の変更例を示す図である。なお、図20における右上がりの破線は、変更前のリミッタ幅の上昇幅を示す。 図20における点線で示されるリミッタ幅の第1の変更例において、リミッタ変更部13は、入力パラメータに基づき、一時的に、リミッタ幅の上昇幅を拡大又は縮小し、その後、リミッタ幅の上昇幅を図20における右上がりの破線で示される変更前の状態に戻す。なお、リミッタ幅の第1の変更例において点線で示されるリミッタ幅が適用される領域では、リミッタ変更部13は、破線で示される変更前のリミッタ幅の上昇幅を出力しない点に留意されたい。
図20における実線で示されるリミッタ幅の第2の変更例において、リミッタ変更部13は、入力パラメータに基づき、リミッタ幅の上昇幅を拡大又は縮小し、その後、その上昇幅によるリミッタ幅の変更を維持する。換言すれば、この第2の変更例においては、リミッタ幅と入力パラメータとを含む関数の切片が一律に変更される。
図20における一点鎖線で示されるリミッタ幅の第3の変更例において、リミッタ変更部13は、入力パラメータに基づき、リミッタ幅の上昇幅を拡大又は縮小し、その後、使用フェーズの終了時に想定されていたリミッタ幅となるように、リミッタ幅の上昇幅を変更する。
図21は、実施例2Bに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。この図21では、パフプロファイル又は温度測定値に基づきリミッタ幅の上昇幅が決定され、決定された上昇幅に基づきリミッタ幅が変更される場合を例として説明している。
ステップS2101及びステップS2102は、上記図19のステップS1901及びステップS1902と同様である。
ステップS2102においてタイマ値tが時間tthre以上ではないと判断された場合(判断が否定的な場合)、ステップS2103において、リミッタ変更部13へ、例えば、パフプロファイル又は温度測定値が入力される。
ステップS2104において、リミッタ変更部13は、入力したパフプロファイル又は温度測定値が想定内(既定範囲内)か否か判断する。なお、入力したパフプロファイル又は温度測定値が想定内であるとは、前述した理想的な時系列データと、入力したパフプロファイル又は温度測定値との間の乖離が無い又は僅かであることを指す。
パフプロファイル又は温度測定値が想定内の場合(ステップS2104の判断が肯定的である場合)、処理はステップS2106に移動する。
パフプロファイル又は温度測定値が想定内ではない場合(ステップS2104の判断が否定的である場合)、ステップS2105において、リミッタ変更部13は、リミッタ幅の上昇幅を変更し、処理はステップS2106に移動する。
ステップS2106からステップS2110は、上記図19のステップS1903からステップS1907と同様である。
以上説明した実施例2Bの作用効果について説明する。
ユーザによってエアロゾル生成装置1によるエアロゾルの吸引ペースは異なり、また、エアロゾル生成装置1及び/又はエアロゾル発生物品9の間で不可避の製品誤差も存在する。実施例2Bにおいては、このようなユーザのエアロゾルの吸引ペースに基づく誤差及び製品誤差を解消・吸収するために、使用フェーズの進行度に基づきリミッタ部14で用いられるリミッタ幅の上昇幅を変更する。これにより、エアロゾル生成に関する制御を安定させることができる。
<実施例2C>
例えば、負荷3が高温となる時間を抑制することにより、エアロゾル発生物品9が過熱状態となることを抑制することができる。
他方で、負荷3が高温となる時間を長くすることにより、エアロゾル発生物品9のうち負荷3から離れた位置に対してエアロゾルの生成を促進させることができる。
そこで、実施例2Cでは、エアロゾル発生物品9の過熱を抑制するため、又は、エアロゾルの生成を促進させるために、リミッタ幅の上昇幅を拡大又は縮小し、負荷3の温度を制御することを説明する。
使用フェーズの全体に亘って安定してエアロゾルを生成するためには、エアロゾルの生成開始から時間が経てば、エアロゾル発生物品9のうち負荷3から離れた位置からエアロゾルを生成させる必要がある。
前述した通り、エアロゾル発生物品9のうち負荷3から離れた位置をエアロゾル生成に適用な温度とすると、負荷3はエアロゾルの生成開始時よりも高温とならなければならない。
制御部8は、使用フェーズ終了時に負荷3が使用フェーズ終了温度となるように制御を行うが、使用フェーズ終了温度で維持される時間が短いほど、負荷3が過熱状態となることを抑制することができる。
その一方で、負荷3から離れた位置においても充分な量のエアロゾルを生成するために、負荷3が高温となる時間が長い方が好ましい場合もある。
図22は、リミッタ部14で用いられるリミッタ幅の変化と負荷3の温度上昇状態の例を示すグラフである。図22において、横軸は、タイマ値tを示す。縦軸は、温度又はリミッタ幅を示す。
線L28Aは、タイマ値(時間)tが小さいほどリミッタ幅の上昇幅が小さく、タイマ値tが大きいほどリミッタ幅の上昇幅が大きいことを示す。この線L28Aに対応する温度の変化が線L28Bである。この線L28Bは、負荷3の温度上昇が遅く、負荷3の温度が使用フェーズの終了に近づくにつれて大きくなる。リミッタ変更部13は、この線L28A及び線L28Bに従うようにリミッタ幅の上昇幅を変更することで、負荷3の過熱状態を防止することができる。
他方で、線L28Cは、タイマ値(時間)tが小さいほどリミッタ幅の上昇幅が大きく、タイマ値tが大きいほどリミッタ幅の上昇幅が小さくなることを示す。この線L28Cに対応する温度の変化が線L28Dである。この線L28Dは、負荷3の温度上昇が速く、負荷3の温度が使用フェーズ終了温度あたりで維持される時間が長くなる。リミッタ変更部13は、この線L28C及び線L28Dに従うようにリミッタ幅の上昇幅を変更することで、エアロゾル発生物品9における負荷3から遠い位置から充分にエアロゾルを生成することができる。
図23は、実施例2Cに係るリミッタ幅の変化の例を示すグラフである。
リミッタ変更部13は、例えば、原則としてタイマ値tに基づきリミッタ幅を変更し、さらに、パフプロファイルと温度測定値との少なくとも一方に基づきリミッタ幅を変更する際のリミッタ幅の上昇幅を決定する。
線L29Aは、リミッタ幅の上昇幅が拡大した状態を示し、線L29Bは、リミッタ幅の上昇幅が縮小した状態を示す。
以上説明した実施例2Cにおいては、進行度に応じてリミッタ幅の上昇幅を変更して負荷3の過熱を抑制することができる。
また、実施例2Cにおいては、エアロゾル発生物品9における負荷3から離れた位置でエアロゾルを効果的に生成させることができる。
<実施例2D>
上記の実施例2A乃至実施例2Cは、リミッタ変更部13がリミッタ部14で用いられるリミッタ幅を変更することを説明している。
これに対して、実施例2Dでは、タイマ値t、負荷3の温度、パフプロファイルの少なくとも1つを含む入力パラメータに基づきゲイン部12のゲインを変更することを説明する。
図24は、実施例2Dに係る制御部8によって実行される制御の例を示す制御ブロック図である。
実施例2Dに係る制御部8に備えられるゲイン変更部17は、タイマ値t、温度測定値、パフプロファイルの少なくとも1つを含む入力パラメータに基づきゲイン部12で用いるゲインを変更する。ゲインの変更には、例えば、制御特性の変更、ゲイン関数の変更、ゲイン関数に含まれる値の変更を含む。ゲイン関数は、例えば、使用フェーズ終了温度と温度測定値との差と、当該差に対応するデューティ比とを関係付けた第2関係を持つ。
入力パラメータに基づきゲイン変更部17がゲイン部12で用いられるゲインを変更することにより、差分部11から入力した差に基づき求められるデューティ比を変更することができる。
図25は、実施例2Dに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS2501からステップS2503は、上記図19のステップS1901からステップS1903と同様である。
ステップS2504において、制御部8のゲイン変更部17は、入力パラメータに基づきゲイン部12のゲインを変更する。
ステップS2505からステップS2507は、上記図19のステップS1905からステップS1907と同様である。
以上説明した実施例2Dにおいては、リミッタ部14のリミッタ幅を変更するのではなく、ゲイン部12のゲインを変更することにより、エアロゾル生成に関する制御を安定させることができる。
<実施例2E>
実施例2Eでは、使用フェーズの終了条件を温度測定値が既定温度以上であることとし、温度測定値が既定温度以上の場合に使用フェーズを終了する制御を説明する。ここで、例えば既定温度は、負荷3の使用フェーズ終了温度以上としてもよい。既定温度とは、例えば、前述したように、エアロゾル発生物品9に含まれており負荷3から最も離れた位置のエアロゾル源又はエアロゾル基材9aから、エアロゾルを生成するために必要な負荷3の温度としてもよい。
図26は、実施例2Eに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS2601からステップS2607は、上記図19のステップS1901からステップS1907と同様である。
ステップS2602においてタイマ値tが時間tthre以上と判断された場合(判断が肯定的である場合)、ステップS2608において、制御部8は、温度測定値が既定温度以上か否か判断する。
温度測定値が既定温度以上の場合(ステップS2608の判断が肯定的である場合)、制御部8は、負荷3への電力供給を停止し、使用フェーズを終了する。
温度測定値が既定温度以上でない場合(ステップS2608の判断が否定的である場合)、制御部8は、ステップS2608を繰り返す。
以上説明した実施例2Eにおいては、温度測定値が既定温度以上となった場合に使用フェーズを終了させる。
特に、実施例2Eにおいて、使用フェーズの終了条件としては、タイマ値tが時間tthre以上であり、かつ、温度測定値が既定温度以上であることが用いられている。
これにより、終了条件が厳しくなり、エアロゾル発生物品9が過熱状態になることを抑制しつつ、エアロゾル発生物品9からより多くのエアロゾルを生成できる。
なお、使用フェーズの終了条件は、上記の実施例2A〜2Cで説明したように、タイマ値tが時間tthre以上であることを用いてもよい。
また、使用フェーズの終了条件としては、タイマ値tが時間tthre以上と温度測定値が既定温度以上とのうちのいずれか一方が成立することが用いられてもよい。これにより、安全かつ確実に使用フェーズを終了させ、エアロゾル発生物品9が過熱状態になることを抑制できる。
<実施例2F>
実施例2Fでは、第2の実施形態の使用フェーズにおける制御部8による制御の特徴を説明する。
図27は、第2の実施形態に係る使用フェーズ終了温度と、既存のエアロゾル生成装置に係る目標温度との比較の例を示すグラフである。この図27において、横軸は、タイマ値tを示す。縦軸は、温度又は電力を示す。電力は、例えばデューティ比として表されてもよい。
例えば、既存のエアロゾル生成装置では、線L33Aで示すように、負荷3及び/又はエアロゾル発生物品9の目標温度が時間の経過に従って上昇する制御が実行される。
これに対して、第2の実施形態に係る制御部8で実行される制御では、線L33Bで示すように、使用フェーズ終了温度は一定であり変化しない特徴を持つ。第2の実施形態において、負荷3へ供給される電力の増加幅は、線L33Cで示すように、段階的に大きくなる。
換言すれば、第2の実施形態に係る制御部8で実行される制御では、使用フェーズの進行にそった負荷3へ供給される電力の変化率が、使用フェーズの進行にそった使用フェーズ終了温度の変化率よりも大きくなる。
図28は、第2の実施形態に係る使用フェーズ終了温度と温度測定値との差と、既存のエアロゾル生成装置に係る目標温度と温度測定値との差との比較の例を示すグラフである。この図28において、横軸は、タイマ値tを示す。縦軸は、差又は電力を示す。
例えば、既存のエアロゾル生成装置では、線L34Aで示すように、目標温度から温度測定値を引いた値が小さくなるように即時に負荷3の温度が制御される。
これに対して、第2の実施形態に係る制御部8で実行される制御では、線L34Bで示すように、使用フェーズ終了温度から温度測定値を引いた値は、タイマ値tの増加、すなわち時間経過に従って減少する特徴を持つ。
このように、第2の実施形態に係る制御部8で実行される制御では、使用フェーズの進行にそって使用フェーズ終了温度から温度測定値を引いた値が減少し、同時に使用フェーズの進行にそって電源4から負荷3へ供給される電力が増加する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、エアロゾル生成装置1が、複数のフェーズで異なる制御を実行し、複数のフェーズは、先に実行される第1フェーズと、当該第1フェーズより後に実行される第2フェーズとを含む場合を説明する。
第3の実施形態に係るエアロゾル生成装置1は、例えば、電源4から供給される電力を用いて、エアロゾル発生物品9を加熱する負荷3と、電源4から負荷3へ供給される電力を、異なる制御モードを実行する複数のフェーズに分けて制御する制御部8とを備える。エアロゾル発生物品9への加熱に関する複数のフェーズで制御モードが異なることにより、フェーズに適した特性の制御モードを利用することができ、より高度に負荷3の温度及び負荷3によって加熱されるエアロゾル発生物品9の温度を制御できる。従って、複雑な構造を持つエアロゾル発生物品9であっても、生成されるエアロゾルを高度に制御できる。
制御部8は、例えば、上記第1及び第2の実施形態で説明したように、第1フェーズにおいて、第1のフィードフォワード制御を実行し、第2フェーズにおいて、第2のフィードフォワード制御とフィードバック制御とのうち少なくともフィードバック制御を実行してもよい。このように、制御部8による制御がフィードフォワード制御からフィードバック制御へ遷移することにより、フィードフォワード制御による負荷3及びエアロゾル発生物品9の高速な温度上昇と、フィードバック制御によるエアロゾルの安定的な生成という相反する効果を同時に実現することができる。
第1フェーズで用いられる制御モードの数よりも、第2フェーズで用いられる制御モードの数を多くしてもよい。これにより、第1フェーズから第2フェーズへ遷移した後、複数の制御モードを用いることで安定したエアロゾルの生成を実現することができる。
第1フェーズの実行時間は、第1フェーズよりも負荷3の昇温速度が遅い第2フェーズの実行時間よりも短いとしてもよい。これにより、負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度上昇が速いフェーズほど実行時間が短くなり、早期にエアロゾルの生成が可能になる。
第1フェーズの実行時間は、第1フェーズよりも負荷の温度又は負荷の平均温度が高い第2フェーズの実行時間より短いとしてもよい。これにより、負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度又は負荷3及びエアロゾル発生物品9の平均温度が低いフェーズほど実行時間が短くなり、早期にエアロゾルの生成が可能になる。
第1フェーズおいて電源4から負荷3へ供給される電力量は、第1フェーズよりも負荷3の昇温速度が遅い第2フェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力量より少ないとしてもよい。これにより、負荷3及びエアロゾル発生物品9の昇温速度が速いフェーズほど消費する電力量が小さくなり、エアロゾル生成に対する電源4の利用効率を向上させることができる。
第1フェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力量は、第1フェーズより負荷3の温度又は負荷3の平均温度が高い第2フェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力量より少ないとしてもよい。これにより、負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度又は負荷3及びエアロゾル発生物品9の平均温度が低いフェーズほど消費する電力量が小さくなり、エアロゾル生成に対する電源4の利用効率を向上させることができる。
第1フェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力は、第1フェーズより負荷3の昇温速度が低い第2フェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力より多いとしてもよい。このように、第1フェーズで消費される電力が第2フェーズで消費される電力より多くなることにより、第1フェーズで迅速にエアロゾルを発生可能であり、さらに、第2フェーズで好ましい量のエアロゾルを安定して発生させることができ、第2フェーズで消費される電力を抑制することができる。
第1フェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力は、第1フェーズより負荷3の温度又は負荷の平均温度が高い第2フェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力より多いとしてもよい。このように、第1フェーズで消費される電力が第2フェーズで消費される電力より多くなることにより、第1フェーズで迅速にエアロゾルを発生可能であり、さらに、第2フェーズで好ましい量のエアロゾルを安定して発生させることができ、第2フェーズで消費される電力を抑制することができる。
第2フェーズにおける負荷3の昇温速度は、第1フェーズにおける負荷3の昇温速度よりも遅く、成立すると第2フェーズを終了する条件の数は、成立すると第1フェーズを終了する条件の数よりも多いとしてもよい。これにより、安定的にエアロゾル生成を終了することができる。
第2フェーズにおける負荷3の昇温速度は、第1フェーズにおける負荷3の昇温速度よりも遅く、第2フェーズを終了するために成立することが必要な終了条件の数は、第1フェーズを終了するために成立することが必要な終了条件の数よりも多いとしてもよい。これにより、第2フェーズの終了がより慎重に判断されるため、第2フェーズが実行される時間を十分に確保し、エアロゾル発生物品9からより多くのエアロゾルを生成することができる。
第2フェーズにおける負荷3の温度又は平均温度は、第1フェーズにおける負荷3の温度又は平均温度よりも高く、成立すると第2フェーズを終了する条件の数は、成立すると第1フェーズを終了する条件の数よりも多いとしてもよい。これにより、安定的にエアロゾル生成を終了することができる。
第2フェーズにおける負荷3の温度又は平均温度は、第1フェーズにおける負荷3の温度又は平均温度よりも高く、第2フェーズを終了するために成立することが必要な終了条件の数は、第1フェーズを終了するために成立することが必要な終了条件の数よりも多いとしてもよい。これにより、第2フェーズの終了がより慎重に判断されるため、第2フェーズが実行される時間を十分に確保し、エアロゾル発生物品9からより多くのエアロゾルを生成することができる。
複数のフェーズは、第1フェーズと、第1フェーズより負荷3の昇温速度が低い第2フェーズとを含み、制御部8が第1フェーズの実行前又は第1フェーズにおける負荷3の昇温前に取得し第1フェーズにおける電源4から負荷3へ供給される電力に関する制御で用いる変数の数は、制御部8が第2フェーズの実行前又は第2フェーズにおける負荷3の昇温前に取得し第2フェーズにおける電源4から負荷3へ供給される電力に関する制御で用いる変数の数より多いとしてもよい。これにより、昇温速度が速いフェーズほどフェーズ開始時の環境設定が多くなり、より安定かつ高速に負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度を上昇させることができる。
複数のフェーズは、負荷3の昇温速度が最も遅いフェーズを含み、制御部8は、最も遅いフェーズの実行前又は最も遅いフェーズにおける負荷3の昇温前に最も遅いフェーズにおける電源4から負荷3へ供給される電力に関する制御で用いる変数を取得しない、又は、最も遅いフェーズの実行前又は最も遅いフェーズにおける負荷3の昇温前に取得した変数に基づき最も遅いフェーズにおける電源4から負荷3へ供給される電力に関する制御を実行しないとしてもよい。これにより、昇温速度が最も遅いフェーズに対する変数の取得を省略することができるため、遅滞なく昇温速度が最も遅いフェーズを実行できる。また、昇温速度が最も遅いフェーズの制御を簡略化することができる。
複数のフェーズは、第1フェーズと、第1フェーズより負荷3の温度又は平均温度が高い第2フェーズとを含み、制御部8が第1フェーズの実行前又は第1フェーズにおける負荷3の昇温前に取得し第1フェーズにおける電源4から負荷3へ供給される電力に関する制御で用いる変数の数は、制御部8が第2フェーズの実行前又は第2フェーズにおける負荷3の昇温前に取得し第2フェーズにおける電源4から負荷3へ供給される電力に関する制御で用いる変数の数より多いとしてもよい。これにより、負荷3の温度又は平均温度が低いフェーズほどフェーズ開始時の環境設定が多くなり、より安定かつ高速に負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度を上昇させることができる。
複数のフェーズは、負荷3の温度又は平均温度が最も高いフェーズを含み、制御部8は、最も高いフェーズの実行前又は最も高いフェーズにおける負荷の昇温前に最も高いフェーズにおける電源4から負荷3へ供給される電力に関する制御で用いる変数を取得しない、又は、最も高いフェーズの実行前又は最も高いフェーズにおける負荷3の昇温前に取得した変数に基づき最も高いフェーズにおける電源4から負荷3へ供給される電力に関する制御を実行しないとしてもよい。これにより、温度又は平均温度が最も高いフェーズに対する変数の取得を省略することができるため、遅滞なく温度又は平均温度が最も高いフェーズを実行できる。また、温度又は平均温度が最も高いフェーズの制御を簡略化することができる。
第2フェーズにおける負荷3の昇温速度は、第1フェーズにおける負荷3の昇温速度よりも遅く、第2フェーズの制御で用いられる変数及び/又はアルゴリズムを第2フェーズの制御実行中に変更する回数は、第1フェーズの制御で用いられる変数及び/又はアルゴリズムを第1フェーズの制御実行中に変更する回数よりも多いとしてもよい。これにより、負荷3の昇温速度が遅いフェーズほど、フェーズ中の変更回数が多くなり、より負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度を高度に制御することで、安定的にエアロゾルを生成することができる。
ここで、制御で用いられる変数の変更は、例えば、ある変数を他の変数に代えることと、変数に格納された値が変更されることとを含むとする。
アルゴリズムの変更は、例えば、あるアルゴリズムを他のアルゴリズムに代えることと、アルゴリズム内で用いられる関数、処理、変数が変更されることと、関数の部分的な変更、処理の部分的な変更を含むとする。
制御部8は、複数のフェーズのうち負荷3の昇温速度が最も速いフェーズの制御で用いられる変数及び/又はアルゴリズムを最も速いフェーズの制御実行中に変更しないとしてもよい。これにより、昇温速度が最も速いフェーズに対する変数の取得を省略することができ、また、昇温速度が最も速いフェーズの制御を簡略化することができる。
第2フェーズにおける負荷3の温度又は平均温度は、第1フェーズにおける負荷3の温度又は平均温度よりも高く、第2フェーズの制御で用いられる変数及び/又はアルゴリズムを第2のフェーズの制御実行中に変更する回数は、第1フェーズの制御で用いられる変数及び/又はアルゴリズムを第1フェーズの制御実行中に変更する回数よりも多いとしてもよい。これにより、負荷3の温度又は平均温度が高いフェーズほど、フェーズ中の変更回数が多くなり、より負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度を高度に制御することで、安定的にエアロゾルを生成することができる。
制御部8は、複数のフェーズのうち負荷3の温度又は平均温度が最も低いフェーズの制御で用いられる変数及び/又はアルゴリズムを最も低いフェーズの制御実行中に変更しないとしてもよい。これにより、温度又は平均温度が最も低いフェーズに対する変数の取得を省略することができるため、遅滞なく温度又は平均温度が最も低いフェーズを実行できる。また、温度又は平均温度が最も低いフェーズの制御を簡略化することができる。
第2フェーズにおける負荷3の昇温速度は、第1フェーズにおける負荷3の昇温速度よりも遅く、制御部8は、エアロゾル発生物品9から生成されたエアロゾルの吸引を検知し、第2フェーズにおいて検知された吸引に応じて電源4から負荷3へ供給される電力の増加幅は、第1フェーズにおいて検知された吸引に応じて電源4から負荷3へ供給される電力の増加幅よりも大きいとしてもよい。これにより、負荷3の昇温速度が遅いフェーズほど、吸引に伴う温度低下に対して大きい増加幅で温度を回復することができ、吸引によりエアロゾル生成量及び負荷3の温度が低下することを抑制することができる。
第2フェーズにおける負荷3の温度又は平均温度は、第1フェーズにおける負荷3の温度又は平均温度よりも高く、制御部8は、エアロゾル発生物品9から生成されたエアロゾルの吸引を検知し、第2フェーズにおいて検知された吸引に応じて電源4から負荷3へ供給される電力の増加幅は、第1フェーズにおいて検知された吸引に応じて電源4から負荷3へ供給される電力の増加幅よりも大きいとしてもよい。これにより、負荷3の温度又は平均温度が高いフェーズほど、吸引に伴う温度低下に対して大きい増加幅で温度を回復することができ、吸引によりエアロゾル生成量及び負荷3の温度が低下することを抑制することができる。
制御部8は、複数のフェーズごとに、異なる変数に基づき進行度を求めるとしてもよい。このように、フェーズごとに進行度に対応する変数を変えることにより、フェーズ進行をより適切に認識することができる。
制御部8は、複数のフェーズのうち負荷3の昇温速度が最も早いフェーズの進行度を時間に基づき求めるとしてもよい。このように、昇温速度の速いフェーズの進行度を時間で判断することにより、負荷3が過熱状態となることを抑制することができる。
制御部8は、複数のフェーズのうち負荷3の温度又は平均温度が最も低いフェーズの進行度を時間に基づき求めるとしてもよい。このように、温度又は平均温度が最も低いフェーズの進行度を時間で判断することにより、負荷3が過熱状態となることを抑制することができる。
制御部8は、エアロゾル発生物品9から生成されたエアロゾルの吸引を検知し、複数のフェーズのうち負荷3の昇温速度が最も遅いフェーズの進行度を、負荷3の温度又は吸引に基づき求めるとしてもよい。このように、負荷3の温度又は吸引に基づき進行度を判断することで、エアロゾル発生物品9のエアロゾル生成に関する実績に基づきフェーズの進行度を判断できるため、エアロゾル発生物品9からより多くのエアロゾルを生成することができる。
制御部8は、エアロゾル発生物品9から生成されたエアロゾルの吸引を検知し、複数のフェーズのうち負荷3の温度又は平均温度が最も高いフェーズの進行度を、負荷3の温度又は吸引に基づき求めるとしてもよい。このように、温度又は平均温度が最も高いフェーズにおいて負荷3の温度又は吸引に基づき進行度を判断することで、エアロゾル発生物品9のエアロゾル生成に関する実績に基づきフェーズの進行度を判断できるため、エアロゾル発生物品9からより多くのエアロゾルを生成することができる。
制御部8は、フィードバック制御を目標温度の異なる複数のフェーズに分けて実行し、複数のフェーズのそれぞれにおいてフィードバック制御におけるゲインと電源4から負荷3へ供給される電力の上限値とのうちの少なくとも一方が異なるとしてもよい。加熱に関する複数のフェーズで制御モードが異なることにより、フェーズに適した特性の制御モードを利用することができ、より高度に負荷3及び負荷3によって加熱されるエアロゾル発生物品9の温度を制御できる。従って、複雑な構造を持つエアロゾル発生物品9であっても、生成されるエアロゾルを高度に制御できる。
第3の実施形態においては、使用フェーズをさらに複数のフェーズに分け、この複数のフェーズが第1フェーズと第2フェーズを含むとしてもよい。
この場合において、第1フェーズの目標温度は、第2フェーズの目標温度よりも低く、制御部8が第1フェーズで用いるゲインと上限値との少なくとも一方は、制御部8が第2フェーズで用いるゲインと上限値との少なくとも一方より大きいとしてもよい。これにより、目標温度が低いフェーズほどゲインと上限値との少なくとも一方を大きくすることができる。また、第1フェーズにおいてフィードフォワード制御に代えてフィードバック制御によって、目標温度に応じて負荷3の昇温速度を高度に制御することができる。
第1フェーズにおける負荷3の温度の変化幅は、第2フェーズにおける負荷3の温度の変化幅より大きく、制御部8が第1フェーズで用いるゲインと上限値との少なくとも一方は、制御部8が第2フェーズで用いるゲインと上限値との少なくとも一方より大きいとしてもよい。これにより、負荷3の温度の変化幅が大きいフェーズほどゲインと上限値との少なくとも一方を大きくすることができる。また、第1フェーズにおいてフィードフォワード制御に代えてフィードバック制御によって、目標温度に応じて負荷3の昇温速度を高度に制御することができる。
第2フェーズの目標温度は、第1フェーズの目標温度よりも高く、制御部8が第1フェーズで用いるゲインと上限値との少なくとも一方の変化幅は、制御部8が第2フェーズで用いるゲインと上限値との少なくとも一方の変化幅より小さいとしてもよい。これにより、目標温度が高いフェーズほど、ゲインと上限値との少なくとも一方の変化幅を大きくすることができる。また、第1フェーズにおいてフィードフォワード制御に代えてフィードバック制御によって、目標温度に応じて負荷3の昇温速度を高度に制御することができる。
第2フェーズにおける負荷3の温度の変化幅は、第1フェーズにおける負荷3の温度の変化幅よりも小さく、制御部8が第1フェーズで用いるゲインと上限値との少なくとも一方の変化幅は、制御部8が第2のフェーズで用いるゲインと上限値との少なくとも一方の変化幅より小さいとしてもよい。これにより、負荷3の温度の変化幅が小さいフェーズほど、ゲインと上限値との少なくとも一方の変化幅を大きくすることができる。また、第1フェーズにおいてフィードフォワード制御に代えてフィードバック制御によって、目標温度に応じて負荷3の昇温速度を高度に制御することができる。
制御部8は、第1フェーズの進行度に基づいて、第2フェーズの目標温度、ゲイン、電力の上限値の少なくとも1つを変更可能に構成されるとしてもよい。これにより、先のフェーズの進行度に基づき、後のフェーズの変数の値を変更することができる。従って、先のフェーズから後のフェーズへ、円滑な遷移が可能となる。
制御部8は、フィードバック制御を複数のフェーズに分けて実行し、複数のフェーズのそれぞれにおいてフィードバック制御におけるゲインが異なるとしてもよい。これにより、フィードバック制御によって、各フェーズで適した制御を行うことができる。
上記の制御部8による各種の制御は、制御部8がプログラムを実行することにより実現されてもよい。
図29は、第3の実施形態に係る制御部8によって実行される準備フェーズと使用フェーズとの対比を示す表である。前述したとおり、準備フェーズは、例えば、負荷3がエアロゾル発生物品9から既定量以上のエアロゾルを生成不能な準備状態に対応するフェーズである。また、使用フェーズとは、例えば、負荷3がエアロゾル発生物品9から既定量以上のエアロゾルを生成可能な使用状態に対応するフェーズである。従って、エアロゾル発生物品9からエアロゾルを生成するためには、制御部8は、準備フェーズから使用フェーズの順に、実行されるフェーズを遷移させる必要がある。
第1の実施形態で述べたように準備フェーズで用いられる制御モードは、フィードフォワード制御である。準備フェーズの終了条件は、例えば、準備フェーズの開始から既定時間が経過したことである。
準備フェーズは、準備状態にある負荷3を使用状態へ遷移させ、エアロゾル発生物品9から早急にエアロゾルを生成させる。従って、準備フェーズの実行時間は、使用フェーズの実行時間よりも短い。
準備フェーズは、準備状態にある負荷3を使用状態へ遷移させるために設けられており、当該準備フェーズにおいてエアロゾル生成は要求されず、準備フェーズの単位時間当たりの消費電力は、使用フェーズの単位時間当たりの消費電力よりも多い。一方、準備フェーズは比較的に短期間だけ実行されることが好ましいため、準備フェーズに亘る総消費電力量は、使用フェーズに亘る総消費電力量よりも少ない。
準備フェーズで用いられるフィードフォワード制御は、制御実行中における制御対象の状態をその制御に反映することが難しい。従って、準備フェーズでは、前述したように、準備フェーズ開始時の温度測定値又は電源4の充電率などに基づき、制御特性を変更する環境設定を行ってもよい。当該環境設定によって、準備フェーズ終了時における負荷3及び/又はエアロゾル発生物品9の状態を一様にできる。
準備フェーズでは、フェーズの実行に先立ち既定の値又は関数から制御変数(制御パラメータ)又は制御関数の変更は行われてもよいし、行われなくてもよい。
準備フェーズは、準備状態にある負荷3を使用状態へ遷移させるために設けられており、当該準備フェーズにおいてエアロゾル生成は要求されておらず、また当該準備フェーズにおいてエアロゾル生成装置1のユーザによる吸引は想定されていない。従って、準備フェーズでは、ユーザの吸引に起因する温度低下の回復は行われない。
準備フェーズはその目的上、比較的に短期間だけ実行されることが好ましい。従って、準備フェーズで実行されるフィードフォワード制御の入力パラメータには、タイマ値t、すなわち動作時間が用いられる。入力パラメータに確実に継時的に増加する動作時間を用いることで、準備フェーズを確かに進行させ、動作時間をできる限り短縮化できる。
準備フェーズにおける温度測定値の変化(温度プロファイル)は、できるかぎり短期間で負荷3を準備状態から待機状態へ遷移させるため、より直線的に増加傾向を示す。
これに対して、第2の実施形態で述べたように使用フェーズで利用される制御モードは、フィードバック制御であり、さらに部分的にフィードフォワード制御を用いてもよい。
使用フェーズの目的の1つは、エアロゾル発生物品9からより多くのエアロゾルを発生させることであるため、使用フェーズを終了させるか否かの条件は、より慎重に設計する必要がある。従って、使用フェーズの終了条件には、例えば、既定時間経過、既定温度への到達、又は、既定時間経過と既定温度への到達との双方などが用いられる。
使用フェーズは、エアロゾル発生物品9からより多くのエアロゾルを発生させるために用いられる。従って、使用フェーズの実行時間は、準備フェーズの実行時間よりも長い。
負荷3は、使用フェーズ実行時に既に使用状態である。従って、使用フェーズでは準備フェーズと比べて負荷3の温度を大幅に昇温する必要がないため、使用フェーズで使用する電力量は準備フェーズで使用する電力量よりも少なく、使用フェーズの消費電力は準備フェーズの消費電力よりも少ない。一方、使用フェーズはエアロゾル発生物品9から多くのエアロゾルを発生させる必要があるため、使用フェーズに亘る総消費電力量は、準備フェーズに亘る総消費電力量よりも多い。使用フェーズでは主にフィードバック制御を実行するため使用フェーズ開始時の環境設定は不要としてもよく、又は、準備フェーズ終了時の温度測定値を環境温度として用いてもよい。
使用フェーズでは、例えばゲインの変更など、制御変数を変更することで、負荷3の温度及び/又はエアロゾル発生物品9の温度を高度に制御してもよい。
使用フェーズでは、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルを安定化させる必要があるため、吸引に起因する温度低下の回復を実行する。
使用フェーズにおいてフィードフォワード制御を実行する場合、この使用フェーズにおけるフィードフォワード制御の入力パラメータは、例えば、タイマ値t、温度測定値、パフプロファイルのいずれか、又は、これらの任意の組み合わせとすることができる。使用フェーズではエアロゾル発生物品9からより多くのエアロゾルを発生させる必要があるため、より高度に負荷3の温度及びエアロゾル発生物品9の温度を制御しなければならない。従って、フェーズが進行した際のみ増加する温度測定値又はパフプロファイルが、フィードフォワード制御の入力パラメータとして利用できる点に留意されたい。
使用フェーズにおいてはエアロゾル発生物品9内におけるエアロゾル生成位置を継時的に変化させるように負荷3に温度を制御するため、使用フェーズにおける負荷3の温度の変化は、曲線的に増加する。
以上説明した第3の実施形態においては、準備フェーズにおいてフィードフォワード制御を実行し、使用フェーズにおいてフィードバック制御を実行してエアロゾルを生成することで、例えばフィードバック制御のみを用いる場合と比較して、エアロゾルを吸引するユーザの利便性を向上させることができ、電力効率を向上させることができ、エアロゾルを安定して生成することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、使用フェーズにおけるフィードバック制御の結果得られる操作値と既定値とのうち大きい値を用いて負荷3へ供給される電力を制御することを説明する。この制御により、例えば準備フェーズから使用フェーズへの遷移時に発生する負荷3の温度低下を抑制可能である。
第4の実施形態に係る制御部8は、例えば、フィードバック制御が求めた操作値と既定値との比較に基づき、電源4から負荷3へ供給される電力を決定する。例えば、既定値は、最小保証値としてもよい。これにより、最小保証値を有さない場合と比べて、負荷3の温度及びエアロゾル発生物品9の温度が急落することを抑制することができる。
制御部8は、操作値と既定値とのうち大きい方に基づき、電源4から負荷3へ供給される電力を決定してもよい。これにより、既定値より小さい値に基づき、負荷3へ供給される電力が制御され、負荷3の温度及びエアロゾル発生物品9の温度が急落することを防止することができる。
制御部8は、電源4から負荷3へ供給される電力を複数のフェーズに分けて実行し、複数のフェーズは、第1フェーズと、第1フェーズの後に実行される第2フェーズとを含み、第2フェーズで用いられる既定値は、第1フェーズにおいて電源4から負荷3へ供給される電力に基づき決定されてもよい。このように、第1フェーズで用いられた電力に関する値に基づき第2フェーズで用いられる既定値を決定することにより、第1フェーズから第2フェーズへの遷移時の負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度低下を抑制することができる。
第2フェーズで用いられる既定値は、第1フェーズで最後に決定された電力に関する値に基づき決定されてもよい。このように、第1フェーズで最後に用いられた電力に関する値に基づき第2フェーズで用いられる既定値を決定することにより、第1フェーズから第2フェーズへの遷移時の負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度低下を効果的に抑制することができる。
制御部8は、負荷3の温度が漸増するようにフィードバック制御を実行し、既定値は、負荷3の温度の増加に伴って変化してもよい。この場合、フェーズ進行に伴って最小保証値が変更されるため、フェーズ進行に応じた適切な最小保証値を用いることができる。従って、フェーズが進行しても負荷3の温度の急落を抑制することができる。
制御部8は、操作値が漸増するようにフィードバック制御を実行し、既定値は、負荷3の温度の増加に伴って変化してもよい。これにより、フェーズが進行し、負荷3の温度が上昇しても、負荷3の温度の増加に応じた適切な既定値を用いることで、負荷3の温度の急落を抑制することができる。
制御部8は、フィードバック制御におけるゲインを漸増させてもよい。これにより、操作値をフェーズが進行するにつれて増加させることができる。従って、フェーズの進行に応じて負荷3及び/又はエアロゾル発生物品9を昇温させることができるため、第2の実施形態で述べたように、使用フェーズ全体に亘ってエアロゾル発生物品9から安定してエアロゾルを発生させることができる。
制御部8は、フィードバック制御において電源4から負荷3へ供給する電力の上限を漸増させてもよい。これにより、操作値をフェーズが進行するにつれて増加させることができる。従って、フェーズの進行に応じて負荷3及び/又はエアロゾル発生物品9を昇温させることができるため、第2の実施形態で述べたように、使用フェーズ全体に亘ってエアロゾル発生物品9から安定してエアロゾルを発生させることができる。
既定値は漸減してもよい。この場合、フェーズ進行に伴って最小保証値を小さくすることができる。特に準備フェーズから使用フェーズへの遷移時に発生する負荷3の温度低下を抑制するために最小保証値が設けられている場合、フェーズ進行に伴い最小保証値を設ける必要性が低下する。よって、フェーズが進行するにつれて最小保証値が制御に与える影響を小さくすることができる。
制御部8は、フィードバック制御の実行中に既定値をゼロへ変更してもよい。この場合、前述した通りフェーズが進行することで不要になった最小保証値が制御に影響を与えることを抑制できる。
ここで、既定値をゼロへ変更することには、一時的に既定値をゼロへ変更することも含まれるとする。
制御部8は、負荷3の温度が既定時間当たりに閾値以上変化するオーバーシュートを検知した場合に、既定値を減らしてもよい。このように、負荷3の温度のオーバーシュートが検知された場合に最小保証値を小さくすることにより、制御部8が実行しているフィードバック制御が求めた操作値に対して最小保証値が及ぼす影響を低減できる。従って、オーバーシュートを早期に解消することができる。
制御部8は、オーバーシュートが解消された場合に、既定値をオーバーシュートが検知される前の値に戻してもよい。これにより、オーバーシュートの解消に基づき最小保証値を復帰させることができ、オーバーシュート解消後の負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度の急落を抑制できる。
既定値は、負荷3の保温に必要な値以上に決定されてもよい。これにより、負荷3の温度が低下しないように最小保証値が決定され、負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度低下を抑制できる。
制御部8は、負荷3の温度に基づき既定値を決定又は補正してもよい。これにより、負荷3の温度に基づき最小保証値が決定又は補正されるため、最小保証値を決定又は補正しない場合と比べ、最小保証値が負荷3の状態を反映した値となる。従って、負荷3の温度低下を抑制できる。
制御部8は、負荷3の温度と既定温度との差分の絶対値が増加しないように、既定値を決定又は補正してもよい。これにより、既定温度と負荷3の温度との差が、広がらないように最小保証値が決定又は補正されるため、最小保証値を決定又は補正しない場合と比べ、最小保証値が使用フェーズの進捗を反映した値となる。従って、負荷3の温度低下を抑制できる。
制御部8は、負荷3の温度を取得し、負荷3の温度と既定温度との差分に基づき電源4から負荷3へ供給される電力をフィードバック制御により制御し、さらに、負荷3の温度の減少を抑制するようにフィードバック制御が求めた操作値を補正してもよい。これにより、制御部8が実行するフィードバック制御の制御値である負荷3の温度を反映した値へ、操作値が補正される。従って、フィードバック制御が小さな操作値を求めた場合でも、負荷3の温度が急落することを効果的に抑制できる。
上記の制御部8による各種の制御は、制御部8がプログラムを実行することにより実現されてもよい。
<実施例4A>
図30は、実施例4Aに係る制御部8が実行する制御の例を示す制御ブロック図である。
実施例4Aに係る制御部8に備えられる比較部15は、使用フェーズにおいて、フィードバック制御の結果得られた操作値と既定値とを比較し、大きい値を出力する。
既定値は、例えば、負荷3へ供給される電力に関するデューティ比を示すデューティ指令値の最小保証値である。既定値は、例えば、準備フェーズにおける電力に関する値として、準備フェーズ終了時のデューティ比を用いてもよい。
より具体的に比較部15について説明すると、比較部15は、使用フェーズにおいて、リミッタ部14からデューティ操作値が入力されるとともに、最小保証値が入力される。比較部15は、デューティ操作値と最小保証値とを比較し、大きい方をデューティ指令値として求める。制御部8は、デューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御する。なお、デューティ指令値は、電源4と負荷3の間に設けられた開閉器25に適用されてもよく、電源4と負荷3の間に設けられたDC/DCコンバータに適用されてもよい。
図31は、実施例4Aに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS3101からステップS3106は、上記図19のステップS1901からステップS1906と同様である。
ステップS3107において、制御部8の比較部15は、リミッタ部14から入力されたデューティ操作値の示すデューティ比Dcmddが最小保証値以上か否か判断する。
デューティ比Dcmddが最小保証値以上の場合(ステップS3107の判断が肯定的である場合)、ステップS3108において、制御部8は、デューティ比Dcmddを示すデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御し、その後処理はステップS3101へ戻る。
デューティ比Dcmddが最小保証値以上ではない場合(ステップS3107の判断が否定的である場合)、ステップS3109において、制御部8は、最小保証値に基づき負荷3へ供給される電力を制御し、その後処理はステップS3101へ戻る。
以上説明した実施例4Aの作用効果について説明する。
例えばエアロゾル発生物品9を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル生成装置1は、ユーザへ違和感を与えないようにするため、加熱により生成されるエアロゾルが大きく変動しないように、負荷3へ供給される電力を制御する。前述したように、負荷3へ供給される電力の制御は、例えば準備フェーズと使用フェーズなどのように複数のフェーズに分けて実行されることが好ましい。一例として第1の実施形態及び第2の実施形態で述べたように、制御部8は、準備フェーズの後に使用フェーズを実行することで、エアロゾル生成装置1による早期のエアロゾル生成と、その後の安定したエアロゾル生成を両立させることができる。
さらに、あるフェーズから他のフェーズへ遷移する制御においては、フェーズ遷移時における負荷3の温度急変を抑制することが好ましい。特に、遷移前後のフェーズで用いられる制御が異なれば異なるほど、あるフェーズから他のフェーズへの遷移時が制御の過渡期になるため、複数のフェーズを通じて共通の制御量である負荷3の温度が変動しやすいといえる。
実施例4Aにおいては、フェーズ遷移時に、遷移前のフェーズで用いられた制御パラメータを最小保証値として用いることにより、最小保証値を用いない場合と比べて、フェーズ遷移時における負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度急変を抑制することができる。
<実施例4B>
実施例4Bでは、負荷3の温度にオーバーシュート、すなわち急峻な上昇が発生した場合であっても、当該オーバーシュートを適切に抑制する制御を説明する。
図32は、負荷3の温度のオーバーシュートの発生状態の例を示すグラフである。図32において、最小保証値は一定であるとする。
負荷3の温度は、使用フェーズにおけるフェーズの進行度を示す指標の一例であるタイマ値tの増加、すなわち時間経過とともに、徐々に上昇する。
リミッタ幅は、タイマ値tの増加に応じて段階的に大きくなる。
ゲイン部12は、温度測定値と使用フェーズ終了温度との差に基づきデューティ比を求める。
リミッタ部14は、ゲイン部12で求められたデューティ比に基づき、リミッタ幅の範囲内に収まるデューティ比を求め、リミッタ幅の範囲内に収まるデューティ比を示すデューティ操作値を求める。リミッタ幅が段階的に拡大するため、デューティ操作値の示すデューティ比も、段階的に上昇し得る。
使用フェーズにおいて負荷3の温度にオーバーシュートが発生した場合、当該オーバーシュートを抑制するために制御部8はデューティ指令値を下げようとする。例えば、負荷3の温度が瞬間的にフィードバック制御における使用フェーズ終了温度を超えてしまった場合、制御部8は、操作値であるデューティ比を下げることで、制御値である負荷3の温度を下げようとする。しかしながら、デューティ指令値の示すデューティ比は最小保証値より低い値とならないため、負荷3の温度の回復が不十分となる可能性がある。
そこで、実施例4Bでは、タイマ値t、負荷3の温度、パフプロファイルの少なくとも1つを含む入力パラメータに基づき、使用フェーズの進行度に応じて最小保証値を徐々に減らすことで、負荷3の温度にオーバーシュートが発生した場合であっても適切に負荷3の温度を回復可能とする。最小保証値は、準備フェーズから使用フェーズへの遷移時において生じ得る負荷3及びエアロゾル発生物品9の温度急変を抑制するために設けられている。つまり、ひとたび制御部8が使用フェーズを実行すれば、最小保証値を設ける必要性は低下する。従って、使用フェーズの進行度に応じて最小保証値を徐々に減らしても、制御部8は、負荷3の温度及びエアロゾル発生物品9の温度を高度に制御することができる。
図33は、実施例4Bに係る制御部8が実行する制御の例を示す制御ブロック図である。
実施例4Bに係る制御部8に備えられる漸減部18は、例えば、タイマ値t、温度測定値、パフプロファイルの少なくとも1つを含む入力パラメータの示す使用フェーズの進行度に基づき、例えば準備フェーズ終了時のデューティ比を示す最小保証値を徐々に漸減させる。なお、タイマ値t、温度測定値、パフプロファイルのうち漸減部18が使用フェーズの進行度を表すものとして用いるものは、リミッタ変更部13及び/又はゲイン変更部17が使用フェーズの進行度を表すものとして用いるものと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
比較部15は、リミッタ部14によってリミッタ処理されたデューティ比Dcmddと、漸減部18によって漸減された最小保証値とを比較し、比較の結果、大きい値を示す方をデューティ指令値として求める。
図34は、実施例4Bに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS3401からステップS3406は、上記図19のステップS1901からステップS1906と同様である。
ステップS3407において、制御部8は、入力パラメータを取得する。
ステップS3408において、制御部8の漸減部18は、例えば、入力パラメータに基づき漸減された最小保証値を求める。例えば、入力パラメータがタイマ値tの場合、タイマ値tが大きくなるほど、使用フェーズが進行していると判断され、最小保証値は小さくなる。なお、漸減部18は、タイマ値tに代えて又はタイマ値tとともに、温度測定値とパフプロファイルとのうちの少なくとも一方に基づき最小保証値を漸減してもよい。
ステップS3409において、制御部8の比較部15は、リミッタ処理されたデューティ比Dcmddが漸減された最小保証値以上か否か判断する。
デューティ比Dcmddが漸減された最小保証値以上の場合(ステップS3409の判断が肯定的である場合)、ステップS3410において、制御部8は、デューティ比Dcmddを示すデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御し、その後処理はステップS3401へ戻る。
デューティ比Dcmddが漸減された最小保証値以上ではない場合(ステップS3409の判断が否定的である場合)、ステップS3411において、制御部8は、漸減された最小保証値に基づき負荷3へ供給される電力を制御し、その後処理はステップS3401へ戻る。
以上説明した実施例4Bにおいては、タイマ値t、負荷3の温度、パフプロファイルの少なくとも1つを含む入力パラメータに基づき使用フェーズの進行度を判断し、使用フェーズの進行度が進むほど最小保証値を徐々に減らす。これにより、負荷3にオーバーシュートが発生した場合に、負荷3へ提供される電力を充分に抑制することができ、オーバーシュートを迅速かつ適切に解消することができる。
<実施例4C>
実施例4Cは、上記の実施例4Bの変形例である。実施例4Cにおいては、使用フェーズが進行した場合に、デューティ操作値をデューティ指令値として用いるように制御を行う。換言すれば、実施例4Cに係る制御では、入力パラメータに基づき、最小保証値を無効化するか、最小保証値をゼロにするか、又は、最小保証値に基づく比較部15の処理をキャンセルする。
図35は、実施例4Cに係る制御部8が実行する制御の例を示す制御ブロック図である。
実施例4Cに係る制御部8に備えられる切替部19は、例えば、タイマ値t、温度測定値、パフプロファイルの少なくとも1つを含む入力パラメータが所定の進行度を示す場合に、最小保証値をゼロに切り替える又は無効化する。
切替部19によって最小保証値がゼロになった場合、比較部15は、リミッタ部14から入力したデューティ操作値をデューティ指令値とする。
制御部8は、デューティ操作値に相当するデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御する。
図36は、実施例4Cに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。この図36では、入力パラメータとしてタイマ値tを用いて使用フェーズの進行度を判断する場合を例として説明するが、使用フェーズの進行度は、温度測定値又はパフプロファイルを用いて判断されてもよい。
ステップS3601からステップS3606は、上記図19のステップS1901からステップS1906と同様である。
ステップS3607において、制御部8の切替部19は、例えば、タイマ値tが既定の時間tthre2未満か否か判断する。
タイマ値tが既定の時間tthre2未満の場合(ステップS3607の判断が肯定的である場合)、ステップS3608において、制御部8の比較部15は、リミッタ処理されたデューティ比Dcmddが最小保証値以上か否か判断する。
切替部19においてタイマ値tが既定の時間tthre2未満ではないと判断された場合(ステップS3607の判断が否定的である場合)、又は、比較部15においてデューティ比Dcmddが最小保証値以上と判断された場合(ステップS3608の判断が肯定的である場合)、ステップS3609において、制御部8は、デューティ比Dcmddを示すデューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御し、その後処理はステップS3601へ戻る。
比較部15においてデューティ比Dcmddが最小保証値以上ではないと判断された場合(ステップS3608の判断が否定的である場合)、ステップS3610において、制御部8は、最小保証値に基づき負荷3へ供給される電力を制御し、その後処理はステップS3601へ戻る。
以上説明した実施例4Cにおいては、入力パラメータに基づき使用フェーズの進行が既定値以上か否か判断し、使用フェーズの進行が既定値以上の場合に最小保証値を使用しない制御へ切り替える。これにより、温度のオーバーシュートなどの負荷3の温度の挙動に乱れが発生した場合に、フィードバック制御が大きな操作量を出力し得るように機能することで、負荷3へ提供される電力を高度に制御することができる。従って、負荷3の温度の挙動の乱れを迅速かつ適切に解消又は収束させることができる。
<実施例4D>
実施例4Dは、上記の実施例4Cの変形例である。実施例4Dにおいて、制御部8は、温度のオーバーシュートを検知した場合に最小保証値を無効化し、最小保証値をゼロにし、又は、最小保証値に基づく比較部15の処理をキャンセルする。
図37は、実施例4Dに係る制御部8が実行する制御の例を示す制御ブロック図である。
実施例4Dに係る制御部に備えられるオーバーシュート検知部20は、例えば、温度のオーバーシュートを検知した場合に、最小保証値を無効化又は低減させ、温度のオーバーシュートが解消した場合に、再び、最小保証値を有効化又は増加させる。
図38は、実施例4Dに係るオーバーシュート検知部20の処理の例を示すフローチャートである。
ステップS3801において、オーバーシュート検知部20は、温度のオーバーシュートの検知を実行し、オーバーシュートが検知されたか否か判断する。
オーバーシュートが検知されていない場合(ステップS3801の判断が否定的である場合)、処理は、ステップS3801を繰り返す。
オーバーシュートが検知された場合(ステップS3801の判断が肯定的である場合)、ステップS3802において、オーバーシュート検知部20は、最小保証値を無効化、又は、低減する。
ステップS3803において、オーバーシュート検知部20は、オーバーシュートが解消したか否か判断する。
オーバーシュートが解消していない場合(ステップS3803の判断が否定的である場合)、処理は、ステップS3803を繰り返す。
オーバーシュートが解消した場合、ステップS3804において、オーバーシュート検知部20は、最小検証値を復帰する。
以上説明した実施例4Dにおいては、温度のオーバーシュートが検知された場合に最小保証値を無効化又は低減することにより、温度のオーバーシュートを迅速かつ適切に解消することができる。
<実施例4E>
実施例4Eにおいて、制御部8は、使用フェーズにおける進行度を示す入力パラメータに基づき負荷3の保温に必要なデューティ比を持つ最小保証値を求め、ゲイン部12によって得られたデューティ操作値と最小保証値とのうち大きい値をデューティ指令値とし、デューティ指令値に基づき負荷3へ供給される電力を制御する。
実施例4Eでは、使用フェーズにおける進行度を示す入力パラメータとして、温度測定値が用いられる場合を例として説明する。しかしながら、タイマ値t又はパフプロファイルが入力パラメータとして用いられてもよい。
図39は、実施例4Eに係る制御部8で実行される制御の例を示す制御ブロック図である。
実施例4Eに係る制御部8に備えられる保温制御部21は、例えば、温度測定値に基づき負荷3の保温に必要なデューティ比となる最小保証値を求め、保温に必要な最小保証値を比較部15へ出力する。例えば、温度測定値と、当該温度測定値に対応する負荷3の保温に必要なデューティ比となる最小保証値とを、解析的に又は実験的に求める。そして、保温制御部21は、例えば、この解析結果又は実験結果から導出される温度測定値と最小保証値との相関に係るモデル式又はテーブルを使用してもよい。なお、保温制御部21は、タイマ値t又はパフプロファイルなどの使用フェーズにおける進行度を示す他の入力パラメータと最小保証値との相関を使用してもよい。
このように、負荷3の温度を保温するために必要なデューティ比を最小保証値とすることにより、前述の準備フェーズに含まれている第2サブフェーズを、使用フェーズに組み込むことができる。これにより、準備フェーズから第2サブフェーズを省略することができる。従って、実施例4Eにおいては、準備フェーズの期間を短くすることができ、さらに最小保証値に従って負荷3が保温されるため、負荷3の温度低下を抑制することができる。
図40は、実施例4Eに係る制御部8による準備フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
この図40におけるステップS4001からステップS4005は、上記図5のステップS501からステップS505と同様である。
図40の処理では、上記図5の処理からステップS506及びステップS507に対応するステップS4006及びステップS4007が省略されている点に留意されたい。
図41は、実施例4Eに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS4101において、制御部8の保温制御部21は、温度測定部6から温度測定値THTRを入力する。
ステップS4102において、保温制御部21は、温度測定値THTRの示す温度を保温するために必要なデューティ比を求め、保温に必要なデューティ比を示す最小保証値Dlim(THTR)を比較部15へ出力する。一例として、保温制御部21が、前述した入力パラメータと最小保証値との相関をモデル式で有する場合は、Dlim(THTR)は関数である。一例として、保温制御部21が、前述した入力パラメータと最小保証値との相関をテーブルで有する場合は、Dlim(THTR)はテーブルに対するクエリである。
その後のステップS4103からステップS4111は、上記の図31のステップS3101からステップS3109と同様である。なお、ステップ4110及びステップS4111の後、処理はステップS4103へ戻ってもよく、ステップS4101へ戻ってもよい。
以上説明した実施例4Eにおいては、負荷3の保温を確保しながら、オーバーシュートなどの温度変化を適切に解消することができる。また、実施例4Eでは、準備フェーズから第2サブフェーズを省略し、準備フェーズを短くすることができる。
(第5の実施形態)
電子たばこ又は加熱式たばこにおいては、負荷3の温度をフィードバック制御し、ユーザの吸引に起因して負荷3の温度が低下した場合であっても、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量及び香喫味を損なわないように、迅速にこの温度低下を回復し、負荷3の温度を補償することが好ましい。
しかしながら、例えば、フィードバック制御によって得られた操作量が小さい場合、温度の低下した負荷3に十分な電力が供給されず、負荷3の温度の低下を回復するまでに時間がかかる可能性がある。
そこで、第5の実施形態においては、ユーザの吸引を検知した場合に、一時的にフィードバック制御によって得られる操作量を大きくすることにより、吸引に伴う負荷3の温度低下を迅速に回復させる。より具体的には、第5の実施形態に係る制御部8は、例えば、使用フェーズにおいてエアロゾル吸引に伴う温度低下が発生した場合に、フィードバック制御で用いられるリミッタ部14のリミッタ幅を温度低下が発生する前より拡張するような制御を行う。これにより、第5の実施形態においては、吸引時の負荷3の温度低下を迅速に回復し、負荷3の温度を補償することができる。従って、ユーザによる吸引が行われても、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量及び香喫味が損なわれることを抑制できる。
第5の実施形態に係る制御部8は、フィードバック制御の実行中において負荷3の温度ドロップを検知した場合に、電源4から負荷3へ供給される電力を増加するように、フィードバック制御で用いられる変数の値を変更してもよい。これにより、フィードバック制御で用いられる変数の値を変更しない場合と比べて、負荷3の温度を迅速に回復することができる。ここで、制御で用いられる変数の変更は、例えば、ある変数を他の変数に代えることと、変数に格納された値が変更されることとを含むとする。
制御部8は、ドロップを検知した場合に、フィードバック制御で用いられるゲインと電源4から負荷3へ供給される電力の上限値との少なくとも一方を増加させてもよい。これにより、ゲインと電力の上限値との双方を増加させない場合と比べて、負荷3の温度を迅速に回復することができる。
制御部8は、ドロップを検知した場合に、フィードバック制御で用いられる目標温度を増加させてもよい。これにより、目標温度を増加させない場合と比べて、負荷3の温度を迅速に回復することができる。
制御部8は、負荷3の温度が漸増するようにフィードバック制御を実行し、ドロップが解消した場合に、変数を、ドロップの検知に基づき変更される前の値と異なる値へ変更してもよい。これにより、例えば、ドロップが検出される前よりも多くの電力を負荷3へ供給することができる。第2の実施形態で述べたように、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量を安定させるためには、負荷3の温度及び負荷3によって加熱されるエアロゾル発生物品9の温度を継時的に増加させる必要がある。従って、ドロップが検出される前よりも多くの電力を負荷3へ供給することで、ドロップ発生の前後に亘り、エアロゾル生成量の低下を抑制することができる。
制御部8は、電源4から負荷3へ供給される電力が漸増するようにフィードバック制御を実行し、ドロップが解消した場合に、変数を、ドロップの検知に基づき変更される前の値と異なる値へ変更してもよい。これにより、例えば、ドロップが検出される前よりも多くの電力を負荷3へ供給することができる。前述した通り、ドロップが検出される前よりも多くの電力を負荷3に供給することで、ドロップ発生の前後に亘り、エアロゾル生成量の低下を抑制することができる。
制御部8は、フィードバック制御で用いられるゲインと電源4から負荷3へ供給される電力の上限値との少なくとも一方を、フィードバック制御の進行に伴って漸増させ、ドロップを検知した場合に、ゲインと上限値との少なくとも一方をフィードバック制御の進行に対応する増加分以上に増加させ、ドロップを解消した場合に、ゲインと上限値との少なくとも一方を、ドロップの検知に基づき増加される前の値と異なる値へ変更してもよい。これにより、例えば、ドロップが検出される前よりも多くの電力を負荷3へ供給することができる。従って、ドロップ発生の前後に亘り、エアロゾル生成量の低下を抑制することができる。
制御部8は、ドロップを検知した場合に、又は、ドロップが解消した場合に、ゲインと上限値との少なくとも一方を減少させないように変更してもよい。これにより、負荷3の温度が停滞することを抑制することができる。従って、エアロゾル生成量が継時的に減少しにくくなる。
制御部8は、ドロップを検知した場合に、又は、ドロップが解消した場合に、ゲインと上限値とのうちの少なくとも一方を増加させるように変更してもよい。これにより、エアロゾルの生成量が低下することを抑制することができる。
制御部8は、ドロップが解消した場合に、ゲインと上限値との少なくとも一方を、フィードバック制御の進行に対応する増加分増加させてもよい。これにより、ドロップ解消後、ドロップ検知前と同じ制御にそって負荷3の温度を上げることができるため、吸引の発生状態に影響されることなく安定したエアロゾル生成が可能になる。従って、エアロゾル生成装置1のユーザが、使用フェーズ全体に亘って、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量及び香喫味に対して違和感を覚えなくなる。よって、エアロゾル生成装置1の品質を向上させることができる。
制御部8は、ドロップが解消した場合、ドロップの検知前よりも大きい電力が電源4から負荷3へ供給されるように、ゲインと上限値との少なくとも一方を、ドロップの検知に基づき増加される前の値と異なる値へ変更してもよい。これにより、エアロゾル生成量が低下することを抑制することができる。
制御部8は、フィードバック制御の進行に伴って、変数の変更量を小さくしてもよい。これにより、フェーズ進行に伴いフィードバック制御が大きな操作量を出力し得るように機能し始めることで、重要度が低下した変数に対する変更が、制御に影響を与えることを抑制できる。
制御部8は、フィードバック制御が既定の進行度以上に進行し、且つ、ドロップを検知した場合に、変数の変更量をゼロとしてもよい。これにより、フェーズがある程度進行した後においては、たとえドロップが発生したとしても変数に対して変更を行わないとすることができる。なお、フェーズがある程度進行した後においては、発生したドロップは、大きな操作量を出力し得るフィードバック制御によって、即座に解消される。従って、エアロゾルの生成量が低下されることは抑制される。
制御部8は、フィードバック制御の進行に伴って、ゲインと上限値との少なくとも一方の増加量を小さくしてもよい。これにより、フェーズ進行に伴いフィードバック制御が大きな操作量を出力し得るように機能し始めることで、ゲインと上限値との少なくとも一方の変更の重要度が低下した場合に、ゲインと上限値との少なくとも一方の変更が、制御に影響を与えることを抑制できる。
制御部8は、フィードバック制御が既定の進行度以上に進行し、且つ、ドロップを検知した場合に、ゲインと上限値との少なくとも一方の変更量をゼロとしてもよい。これにより、フェーズ進行に伴いフィードバック制御が大きな操作量を出力し得るように正常に機能し始めることで、ゲインと上限値との少なくとも一方の変更が不要となった場合に、ゲインと上限値との少なくとも一方の変更を抑制できる。
制御部8は、負荷3の温度が一定になるようにフィードバック制御を実行し、ドロップが解消した場合、変更した変数を、ドロップの検知に基づき変更される前の値へ変更してもよい。これにより、ドロップを迅速に解消し、制御の状態をドロップ検知前の状態へ復帰することができる。
制御部8は、負荷3の温度が第1閾値以上に低下したこと、又は、電源4から負荷3へ供給される電力が第2閾値以上に増加したことを、ドロップとして検知し、第1閾値は、エアロゾル発生物品9から生成されたエアロゾルの吸引時における負荷3の温度の低下と、エアロゾルの非吸引時における負荷3の温度の低下とを区別可能な値であり、第2閾値は、エアロゾル発生物品9から生成されたエアロゾルの吸引時において電源4から負荷3へ供給される電力の増加と、エアロゾルの非吸引時において電源4から負荷3へ供給される電力の増加とを区別可能な値としてもよい。これにより、ドロップがエアロゾルの吸引に基づき発生した場合に、エアロゾル生成量が低下することを迅速に抑制できる。
制御部8は、フィードバック制御の実行中において負荷3の温度のドロップを検知した場合に、フィードバック制御で用いられる電源4から負荷3へ供給される電力の上限値を無効化してもよい。これにより、ドロップ検知に基づき負荷3へ供給される電力を大きくすることができ、ドロップによりエアロゾル生成量が低下することを迅速に抑制できる。
上記の制御部8による各種の制御は、制御部8がプログラムを実行することにより実現されてもよい。
<実施例5A>
図42は、実施例5Aに係る制御部8が実行する制御の例を示す制御ブロック図である。
制御部8のリミッタ変更部13は、入力パラメータに基づきフィードフォワード制御によりリミッタ幅の上昇幅を制御する。
ユーザがエアロゾルを吸引すると、エアロゾル生成装置1内に生じた空気流が負荷3の近傍を通過するため、一時的に負荷3の温度が低下する。実施例5Aに係るリミッタ変更部13は、エアロゾルの吸引を検知した場合に、リミッタ幅の上昇幅を一時的に拡大し、吸引に伴う負荷3の温度低下を迅速に回復する。
図43は、実施例5Aに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS4301からステップS4303は、上記図19のステップS1901からステップS1903と同様である。
ステップS4304において、制御部8は、吸引を検知したか否か判断する。この吸引の検知は、例えば、エアロゾル生成装置1が備える流量センサ、流速センサ、圧力センサなどのユーザの吸引に伴って変動する物理量を検出するセンサの出力値に基づいて検知される。
吸引を検知しない場合(ステップS4304の判断が否定的である場合)、処理は、ステップS4306に移動する。
吸引を検知した場合(ステップS4304の判断が肯定的である場合)、ステップS4305において、リミッタ変更部13は、リミッタ部14で用いられるリミッタ幅の上昇幅が入力プロファイルに対して大きくなるように、リミッタ幅変更用相関を変更し、ステップS4306に移動する。
ステップS4306からステップS4309は、上記図19のステップS1904からステップS1907と同様である。
以上説明した実施例5Aにおいては、吸引を検知した場合に、リミッタ部14で用いるリミッタ幅の上昇幅を拡大し、フィードバック制御によって得られるデューティ操作値を大きくすることができ、吸引に伴う負荷3の温度低下を迅速に回復できる。従って、ユーザによる吸引が行われても、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの量及び香喫味が損なわれることを抑制できる。
<実施例5B>
実施例5Bでは、吸引が検知されない場合のリミッタ幅の上昇幅よりも、吸引が検知された場合のリミッタ幅の上昇幅を大きくする制御を説明する。
図44は、実施例5Bに係る負荷3の温度とリミッタ幅との変化の例を示すグラフである。この図44において、横軸はタイマ値tを示し、縦軸は温度又はリミッタ幅を示す。
制御部8のリミッタ変更部13は、吸引が検知された後において、吸引が検知される前よりも負荷3の温度を上げるようにリミッタ幅の上昇幅を制御する。
リミッタ変更部13は、吸引を検知しない場合には、線L50Aで示すように、タイマ値tの増加、すなわち時間経過に伴ってリミッタ幅を上昇させる。
リミッタ変更部13は、吸引を検知した場合には、負荷3の温度が回復した後、線L50Bで示すように、リミッタ幅が線L50Aの変化よりも大きくなるように変更する。
なお、リミッタ変更部13は、線L50Cで示すように、温度回復の終了後のリミッタ幅が、吸引による温度低下を解消中のリミッタ幅より縮小するように変更してもよい。この場合、リミッタ変更部13は、温度回復の終了後のリミッタ幅が吸引検知前のリミッタ幅よりは大きいとしてもよい。また、リミッタ変更部13は、温度回復の終了後にリミッタ幅を吸引検知前の状態へ戻すとしてもよい。
一例として、制御部8が、負荷3の温度で使用フェーズの進行度を評価する場合、吸引による温度低下が生じてしまうと、使用フェーズの進行度が停滞する。負荷3の温度が回復した後、リミッタ幅を線L50Aで示すように変更してしまうと、前述した通り、線L50Aは吸引を検知しない場合の上昇幅であるため、吸引を検知しない場合と比べて使用フェーズの進行度が遅延してしまう。そこで、リミッタ変更部13は、吸引を検知した場合には、負荷3の温度が回復した後、線L50Bで示すように、リミッタ幅が線L50Aの変化よりも大きくなるように変更する。これにより、吸引による使用フェーズの進行度の遅延を回復できる。
なお、リミッタ変更部13は、吸引を検知する度に、線L50Bで示すように、リミッタ幅が吸引を検知しない場合の変化よりも大きくなるように変更することにより、エアロゾル生成装置1のユーザがどのようなパフプロファイルで吸引しても、使用フェーズの進行度を一様にすることができる。従って、エアロゾル発生物品9から生成されるエアロゾルの香喫味を、パフプロファイルに拠らない安定的なものにできるため、エアロゾル生成装置の品質を向上できる。
図45は、実施例5Bに係るリミッタ変更部13の例を示す図である。
実施例5Bに係るリミッタ変更部13は、タイマ値tと温度測定値とパフプロファイルとの少なくとも一つを含む入力パラメータに基づきリミッタ幅の上昇幅を決定する。
リミッタ変更部13は、例えば負荷3の温度低下又はパフプロファイルなどから吸引を検知した場合に、リミッタ幅を拡大する。リミッタ幅の上昇幅(拡大の程度)が大きいほど、負荷3の温度の回復を促進させることができる。すなわち、図45に示したリミッタ幅の上昇幅を小さく拡大する場合と大きく拡大する場合では、これらの差分である面積A51に応じて負荷3の温度の回復の度合いが異なる。よって、負荷3の温度の低下の度合いが大きいほど、又は負荷3の温度を回復させる必要性が高いほど、右上がりの破線で示される吸引を検知しない場合のリミッタ幅の上昇幅と、点線で示される拡大された上昇幅とで規定される面積が大きくなるようにすればよい。
図46は、実施例5Bに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS4601からステップS4603は、上記図43のステップS4301からステップS4303と同様である。
ステップS4604において、制御部8のリミッタ変更部13は、例えば、入力パラメータとリミッタ幅とを関係付けた第3関係(以下、リミッタ幅変更用相関という)が変更済みであるか否か判断する。ここで、リミッタ幅変更用相関は、相関データ又は相関関数で表されてもよい。
リミッタ幅変更用相関が変更済みではない場合には(ステップS4604の判断が否定的である場合には)、処理はステップS4607へ移動する。
リミッタ幅変更用相関が変更済みの場合(ステップS4604の判断が肯定的である場合)、ステップS4605において、リミッタ変更部13は、負荷3の温度低下が回復したか、例えば、負荷3の温度低下から既定時間経過したか、を判断する。
負荷3の温度低下が回復していない場合(ステップS4605の判断が否定的である場合)、処理はステップS4607へ移動する。
負荷3の温度低下が回復した場合(ステップS4605の判断が肯定的である場合)、ステップS4606において、リミッタ変更部13は、リミッタ幅変更用相関を吸引検知前の元の状態へ戻し、処理はステップS4607へ移動する。
ステップS4607からステップS4612は、上記図43のステップS4304からステップS4309と同様である。
以上説明した実施例5Bにおいては、吸引を検知した場合に、リミッタ幅を拡大することができ、吸引により負荷3の温度が低下する前よりも吸引後に負荷3の温度を上げることができる。これにより、負荷3の温度が回復した後の加熱の遅れを取り戻し、負荷3の加熱を適切化することができる。
また、実施例5Bにおいては、温度低下回復後に、リミッタ幅変更用相関が温度低下前の状態へ戻されるため、安定したエアロゾル生成を実現することができる。
<実施例5C>
実施例5Cにおいて、制御部8は、使用フェーズにおいて、リミッタ幅がある程度広くなった場合にリミッタ幅を変更するフィードフォワード制御の影響を軽減し、フィードバック制御により安定的に負荷3の温度を制御する。
図47は、実施例5Cに係る制御部8が実行する制御の例を示す制御ブロック図である。
制御部8は、エアロゾル生成装置1が備える流量センサ、流速センサ、圧力センサなどのユーザの吸引に伴って変動する物理量を検出するセンサの出力値などから吸引を検知する。
リミッタ変更部13は、使用フェーズにおいて入力パラメータに基づきフィードフォワード制御によりリミッタ幅を徐々に拡大する。リミッタ変更部13は、吸引が検知された場合に、リミッタ幅の上昇幅を拡大し、負荷3の温度の回復を行う。
制御部8に備えらえるリミッタ幅制御部22は、リミッタ幅がある程度大きくなると吸引検知時におけるリミッタ幅の拡大を抑制する。
より具体的には、リミッタ幅制御部22は、例えば、リミッタ幅と、当該リミッタ幅に対応する補償係数とを関連付けた第4関係(以下、補償関係という)を持つ。補償係数は、吸引検知時においてリミッタ幅を拡大して温度回復を行う度合いを表す。補償関係において、例えばリミッタ幅と補償係数とは逆相関とする。すなわち、補償関係では、例えば、リミッタ幅が小さいほど補償係数が大きくなり、リミッタ幅が大きいほど補償係数が小さくなる。そして、補償係数が小さいほど、吸引検知時に変更されるリミッタ幅の上昇幅が抑制される。この結果、補償係数が大きいほど、吸引検知に対して敏感にリミッタ幅の拡大が実行され、補償係数が小さいほど、吸引検知に対してリミッタ幅の拡大が制限される。
一例として、図47で示されるように、第4関係において、リミッタ幅がある閾値以上に大きくなれば、対応する補償係数はゼロになってもよい。一例として、図47で示されるように、第4関係において、補償係数は上限を有していてもよい。
実施例5Cにおいては、リミッタ幅が拡大するにつれて、吸引検知時のリミッタ幅の拡大による温度低下からの回復の効果が軽減され、吸引検知時においてフィードバック制御による温度低下からの回復の効果が大きくなる。より詳述すると、リミッタ幅が拡大すれば、ゲイン部12から出力されるデューティ比そのものが、デューティ操作値となる可能性が高まる。一例として、ゲイン部12から出力されるデューティ比は、使用フェーズ終了温度と温度測定値の差分に依存するため、リミッタ部14の影響を受けないならば、フィードバック制御によって温度低下は効果的に解消される。これにより、安定的に制御を行うことができる。
図48は、実施例5Cに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。この図48においては、タイマ値tが閾値tthre3未満か否かに基づいて吸引検知時のリミッタ幅の変更を行うか否かを判断しているが、例えば、タイマ値tに代えて、又は、タイマ値tとともに、温度測定値とパフプロファイルとの少なくとも一方に基づき吸引検知時のリミッタ幅の変更を行うか否かを判断してもよい。
ステップS4801からステップS4803は、上記図43のステップS4301からステップS4303と同様である。
ステップS4804において、リミッタ幅制御部22は、タイマ時tが使用フェーズが進んだ状態を示す閾値tthre3未満か否かを判断する。
タイマ時tが閾値tthre3未満ではない場合(ステップS4804の判断が否定的である場合)、リミッタ幅制御部22はリミッタ幅変更用相関を変更することなく、処理はステップS4807へ移動する。
タイマ時tが閾値tthre3未満の場合、ステップS4805において、リミッタ変更部13は、吸引が検知されたか否か判断する。
吸引が検知されていない場合(ステップS4805の判断が否定的である場合)、処理はステップS4807へ移動する。
吸引が検知された場合、ステップS4806において、リミッタ変更部13は、タイマ値tに基づきリミッタ変更部13で用いられるリミッタ幅変更用相関を変更し、処理はステップS4807に移動する。
ステップS4807からステップS4810は、上記図43のステップS4306からステップS4309と同様である。
以上説明した実施例5Cの作用効果について説明する。
使用フェーズが進行した場合、リミッタ幅が拡大し、リミッタ部14によって求められるデューティ操作値の大きさの制限が緩和される。このように、リミッタ部14で利用されるリミッタ幅が充分拡大した場合には、フィードバック制御が効果的に機能しやすくなり、リミッタ幅を吸引に伴い拡大しなくてもフィードバック制御により吸引時の負荷3の温度低下を回復させることが可能となる。このような場合において、リミッタ幅を拡大すると、却って使用フェーズで実行される制御を複雑化させてしまう場合がある。
実施例5Cにおいては、吸引時に発生する負荷3の温度低下を回復するために、吸引に伴ってリミッタ幅を拡大させる度合いを徐々に減らし、出力し得る操作量が大きいフィードバック制御を用いて負荷3の温度の安定性を確保することができる。
<実施例5D>
実施例5Dでは、吸引が検知された場合の負荷3の温度低下をゲイン部12のゲインを変更することにより回復する制御を説明する。ここで、ゲインの変更は、例えば、ゲイン関数の変更、ゲイン関数に含まれる値の変更などを含む。
図49は、実施例5Dに係る制御部8が実行する制御の例を示す制御ブロック図である。
実施例5Dに係る制御部8に備えられるゲイン変更部17は、例えば、吸引が検知された場合に、ゲイン部12で用いられるゲインを変更する。より具体的には、ゲイン変更部17は、吸引が検知された場合に、差分部11から入力された差に基づき、吸引が検知されていない場合よりも大きなデューティ比が求められるように、ゲイン部12のゲインを変更、より具体的にはゲイン部12のゲインを増大させる。
これにより、吸引時における負荷3の温度低下を回復させることができる。
図50は、実施例5Dに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS5001からステップS5004は、上記図43のステップS4301からステップS4304と同様である。
ステップS5004において吸引が検知されなかった場合(判断が否定的である場合)、処理は、ステップS5006に移動する。
ステップS5004において吸引が検知された場合(判断が肯定的である場合)、ステップS5005において、ゲイン変更部17は、ゲインと入力パラメータとの相関を示すゲイン変更用相関を変更し、処理はステップS5006に移動する。
ステップS5006において、ゲイン変更部17は、入力パラメータに基づきゲイン部12のゲインを変更する。
ステップS5007からステップS5009は、上記図43のステップS4307からステップS4309と同様である。
以上説明した実施例5Dにおいては、吸引が発生した場合にゲイン部12のゲインを変更することにより、負荷3の温度低下を早期に回復することができる。
なお、制御部8は、吸引が検知された場合に、フィードバック制御によって得られるデューティ操作値を大きくするために、リミッタ部14で用いるリミッタ幅の上昇幅又はゲイン部12のゲインに代えて、又は、リミッタ幅の上昇幅又はゲインとともに、使用フェーズ終了温度を変更してもよい。使用フェーズ終了温度を高くすれば、差分部11が出力する差分が大きくなるため、ゲイン部12が出力するデューティ比が大きくなり、結果としてフィードバック制御が出力するデューティ操作値が大きくなり得る。
<実施例5E>
実施例5Eでは、吸引検知時にリミッタ幅を拡大し、吸引によって発生した負荷3の温度低下の回復後にリミッタ幅を吸引検知前の値に戻す制御を説明する。
図51は、実施例5Eに係る負荷3の温度とリミッタ幅との変化の例を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸はタイマ値tを示し、縦軸は、負荷3の温度及びリミッタ幅を示す。
前述したように、負荷3の温度は、吸引時に低下する。制御部8のリミッタ変更部13は、吸引が検知された場合に、リミッタ幅を拡大し、これにより、制御部8は、低下した負荷3の温度を回復する。
リミッタ変更部13は、例えば、負荷3の温度が吸引検知前の状態に戻ること、又は、吸引検知から既定時間が経過することにより、負荷3の温度の回復を検知する。すると、リミッタ変更部13は、リミッタ幅を吸引が検知される前の値に戻す。
このような実施例5Eの制御は、負荷3の温度を一定に維持する場合にも適用可能である。
図52は、実施例5Eに係る制御部8による使用フェーズの処理の例を示すフローチャートである。
ステップS5201からステップS5205は、上記図46のステップS4601からステップS4605と同様である。
ステップS5204においてリミッタ幅変更用相関が変更済みではないと判断された場合(判断が否定的である場合)、処理はステップS5207へ移動する。
ステップS5205において負荷3の温度低下が回復していないと判断された場合も(判断が否定的である場合も)、処理はステップS5207へ移動する。
ステップS5205において負荷3の温度低下が回復したと判断された場合(判断が肯定的である場合)、ステップS5206において、リミッタ変更部13は、リミッタ幅を元に戻し、処理はステップS5207へ移動する。
ステップS5207において、制御部8は、吸引を検知したか否か判断する。
吸引を検知していない場合(ステップS5207の判断が否定的である場合)、処理は、ステップS5209に移動する。
吸引を検知した場合(ステップS5207の判断が肯定的である場合)、ステップS5208において、リミッタ変更部13は、リミッタ部14で用いられるリミッタ幅を広げ、ステップS5209に移動する。
ステップS5209からステップS5212は、上記図46のステップS4609からステップS4612と同様である。
以上説明した実施例5Eにおいては、吸引が検知された場合に負荷3の温度を迅速かつ適切に回復することができ、負荷3の温度の回復後には再びリミッタ部14で用いられるリミッタ幅を吸引が検知される前の値へ戻すことができる。これにより、負荷3の温度を安定させることができる。
上記の実施形態は、自由に組み合わせることができる。上記の実施形態は、例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記の実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。