JP6800462B2 - 患者位置決め支援装置 - Google Patents
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Description
粒子線治療を的確に実施するためには、腫瘍患部に対し、正確に重粒子線を照射する必要がある。このため、患者の正確な位置決めが極めて重要である。
特許文献1には、照射対象である臓器によって、その移動や変形する要因が異なるが、そのような場合にも、形成される線量分布が治療として許容できる範囲に収まる治療計画であるかどうかを適切に判断できる治療計画装置に関する技術が開示されている。
(1)先ず、患者の腫瘍患部周辺をX線CT装置でスキャニングを行い、X線画像の集合体である3D−CTボリュームデータを得る。
(2)患者を放射線治療装置のベッドに固定するための治具を作成する。
(3)次に、3D−CTボリュームデータに基づいて患者の腫瘍患部を確認し、どの角度からどの方向で放射線を照射するのかを決定する。これを治療計画という。
(4)治療計画が決定したら、患者を放射線治療装置のベッドに載置し、治具でベッドに固定した上で、患者の腫瘍患部に対し、2方向からX線撮影を行い、X線画像(Digital Radiograph、以下「DR画像」と略す)を得る。
(5)一方、(1)で得た3D−CTボリュームデータから、擬似的に2方向からX線撮影を行うなどの演算処理を行って、疑似X線画像(Digital Reconstructed Radiograph、以下「DRR画像」と略す)を得る。
(6)計算機を用いて、(4)で得たDR画像に、(5)で得たDRR画像が一致するように、6軸上のずれを計算する。そして、患者のベッドに対して6軸の駆動制御を行う。6軸の駆動とは、X座標、Y座標、Z座標の三次元方向の移動と、X回転座標、Y回転座標、Z回転座標の三次元方向の回転である。
なお、上記(1)から(4)に至るまで、概ね1週間程度の期間が必要となることが多い。
このような生体組織の変形は、病変の位置変動とともに、特に粒子線治療では粒子の打ち込み深さの変動等により病変への線量付与が担保できなくなるため、治療計画のやり直しを余儀なくされる場合もある。
また、DR画像もDRR画像も基がコントラストの低いX線画像であるため、DR画像とDRR画像とを比較する作業は、熟練を要する作業となっている。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
そこで発明者は、患者の臓器が変形して、DR画像がDRR画像に対して不一致を引き起こすならば、DRR画像も患者の臓器と同様に変形できるようにすればよいのではないかと考えた。
先ず、3D−CTボリュームデータ(三次元透過画像データ)から、変形や変動が生じる箇所を分離する。この分離した箇所を、三次元関心領域またはVOI(volume of interest)と呼ぶ。そして、計算機の仮想空間内で3D−CTボリュームデータとVOIのそれぞれに独立して6軸の移動ができるように、計算機のプログラムを構成する。その上で、再構成したVOIを含む3D−CTボリュームデータからDRR画像を作成して、DR画像と画面上で比較する。
本発明の実施形態にて説明する患者位置決め支援装置は、3D−CTボリュームデータとVOIとを、それぞれ独立して仮想空間内で動かして、DRR画像を形成した上で、DR画像との一致を計算する、医療用三次元CGエディタとも呼べる。そして更に、DR画像にDRR画像が一致するように自動計算を行う、患者位置決め支援機能をも有する。
図1は、本発明の実施形態である患者位置決め支援装置101を示すブロック図である。
重粒子線治療施設内において、患者102は患者ベッド103に寝かされている。患者ベッド103はモータを有する駆動機構104によって、6軸の駆動が行われる。患者ベッド103の下にはX線受像素子105が敷かれている。
図1は患者102を頭の方向から見た視点で描かれている。このため、駆動機構104の下にX線受像素子105が設けられているように見えるが、実際には、駆動機構104は患者102の足元側等、X線受像素子105が患者102のX線受像を妨げない位置に設けられている。
一方、患者位置決め支援装置101には、キーボード及びマウス等のポインティングデバイスよりなる操作部111か、図示しないUSBメモリやネットワーク等から、治療計画データが入力される。
なお、6軸変位または6軸移動とは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の平行移動と、X軸回転方向、Y軸回転方向、Z軸回転方向の回転移動を指す。
図2は、患者位置決め支援装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。
一般的な計算機である患者位置決め支援装置101は、バス201に接続されたCPU202、ROM203、RAM204、表示部112、操作部111、不揮発性ストレージ205とシリアルポート206を備える。
不揮発性ストレージ205には、計算機を患者位置決め支援装置101として動作させるためのプログラムが格納されている。
シリアルポート206には、治療計画データを入力するためのUSBメモリが接続される他、患者ベッド103を駆動する駆動機構104も接続される。
なお、病院情報システムなどのネットワーク経由で必要な画像やデータを取得する場合は、シリアルポート206の代わりにネットワークインターフェースを用いることとなる。
図3は、患者位置決め支援装置101のソフトウェア機能を示すブロック図である。
3D−CTボリュームデータ110は、3Dイメージ生成処理部301に入力される。また、3Dイメージ生成処理部301には操作部111が接続されており、操作部111の操作情報に基づいて、3D−CTボリュームデータ110からVOIを切り出すためのVOI座標データ302が形成される。そして、VOI座標データ302も3Dイメージ生成処理部301に入力される。
VOIとは、3D−CTボリュームデータ110から腫瘍患部を含む臓器や所定の立体形状を切り出した部分の領域を示すものである。したがって、VOIを特定するためには、3D−CTボリュームデータ110に対し、VOIを形成するための座標情報を作成すればよい。VOI座標情報としては、放射線治療計画装置等で描画、出力された輪郭情報を利用することもできる。
そして、3Dイメージ生成処理部301は、3D−CTボリュームデータ110と、VOI用初期変位座標306及び後述するVOI用最適化変位座標321によって6軸変位されたVOI座標データ302に基いて、VOI変位済3DCTイメージ303を生成する。
なお、3Dイメージ生成処理部301が生成するVOI変位済3DCTイメージ303は、必要に応じてリアルタイムでGUI処理部307を通じて表示部112に表示される。
なお、DRR生成処理部308が生成するDRR縦画像312とDRR横画像314は、必要に応じてリアルタイムでGUI処理部307を通じて表示部112に表示される。
図4は、3Dイメージ生成処理部301の詳細を説明するブロック図である。図4は、図3の一部抜粋及び拡大図である。
3Dイメージ生成処理部301は、VOI切り出し処理部401、VOI変位処理部402、境界処理部403よりなる。
3D−CTボリュームデータ110は、VOI座標データ302と共にVOI切り出し処理部401に入力される。
VOI切り出し処理部401は、3D−CTボリュームデータ110からVOI座標データ302に基いて、VOIイメージ404を切り出す。また、VOI切り出し処理部401は操作部111の操作情報に基づいて、3D−CTボリュームデータ110からVOIを切り出すためのVOI座標データ302を形成する。
こうして、境界処理部403は、変位済VOIイメージ405とVOI抜き3DCTイメージ406よりなる、VOI変位済3DCTイメージ303を出力する。
DRR生成処理部308には、このVOI変位済3DCTイメージ303が入力される。
DRR生成処理部308が生成するDRR縦画像312とDRR横画像314は、相関値演算処理部315に入力される。
相関値演算処理部315には、ノイズ除去処理部316によってノイズ除去が施されたDR縦画像311及びDR横画像313も入力される。このDR縦画像311及びDR横画像313は、DRR縦画像312とDRR横画像314との比較対象となる画像である。ノイズ除去処理部316は、DR縦画像311及びDR横画像313に含まれている軸線等の除去を行う。
更に相関値演算処理部315には、操作部111を通じて比較対象範囲指定部317によって作成される、比較対象領域座標318及び比較除外領域座標322も入力される。
相関値最大化処理部319には、3Dイメージ生成処理部301が作成した、3DCT用変位座標と、VOI用変位座標も入力される。
この相関値最大化処理部319は、図示されていないが、操作部111によってオン・オフ制御される。相関値最大化処理部319は、DRR縦画像312及びDRR横画像314を、DR縦画像311及びDR横画像313に自動的に合わせ込むための機能ブロックである。
・ノイズ除去処理部316から得られる、ノイズ除去が施される前あるいは後のDR縦画像311及びDR横画像313、
・DRR生成処理部308から得られるDRR縦画像312及びDRR横画像314、3DCT用初期変位座標305、3DCT用最適化変位座標320、
・3Dイメージ生成処理部301から得られるVOI変位済3DCTイメージ303、VOI用初期変位座標306及びVOI用最適化変位座標321
等は、操作部111の操作指示に基づいて、GUI処理部307を通じて、表示部112に選択的に表示される。
本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101は、VOI抜き3DCTイメージ406と変位済VOIイメージ405をそれぞれ独立して動かすことが可能である。VOI変位済3DCTイメージ303については、実際に動かしているのはDRカメラ座標310であるが、説明の便宜上、VOI変位済3DCTイメージ303が動いているものと見做して説明する。以下、このVOI変位済3DCTイメージ303と変位済VOIイメージ405について説明する。
図5Aでは、肝臓502そのものをVOIとして指定した状態を想定している。DRR画像に現れる、コントラストが大きくなっている境界線部分をなぞることで、VOI変位済3DCTイメージ303から肝臓502自体をVOIとして指定することができる。このような、臓器全体をVOIとして指定する手法は、臓器自体に変形が少なく、臓器の体内における位置だけがずれている場合に効果的である。
図5Bでは、図5Aとは異なり、肝臓502に存在する悪性腫瘍とその周縁部分のみを立方体あるいは直方体等の幾何学的立体形状503で切り出す。あるいは、悪性腫瘍を含む臓器の一部の輪郭情報を与えてもよい。このような、臓器の一部分をVOIとして指定する手法は、臓器自体に変形が生じている場合に効果的である。またこの場合、VOI以外の臓器のずれを考慮しないようにするために、比較対象範囲指定部317を通じて、比較除外領域座標322をVOI外の臓器に設定することが好ましい。
このように、本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101は、VOIを様々な形状で指定することが可能である。
図6は、本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101における、表示部112に表示されるDR画像表示画面の表示例である。
図6において、左側に表示されるX線画像はDR縦画像311であり、右側に表示されるX線画像はDR横画像313である。DR縦画像311及びDR横画像313には、患者102の腫瘍601が造影剤によって他の箇所と比べてやや高い明度で現れている。また、図6では明瞭には見えていないが、腫瘍601の近傍にはX線不透過金属マーカーが配置されている。操作者は、このDR縦画像311及びDR横画像313に対し、比較対象領域座標318を設定する。図6において、比較対象領域座標318は矩形形状である。
図7において、左側はDRR縦画像312であり、右側はDRR横画像314である。DRR縦画像312及びDRR横画像314には、患者102の腫瘍601が造影剤によって他の箇所と比べてやや高い明度で現れている。また更に、図7では明瞭には見えていないが、腫瘍601の近傍にはX線不透過金属マーカーが配置されている。操作者は、このDRR縦画像312及びDRR横画像314に対し、比較対象領域座標318を設定する。この時、このDRR画像表示画面では、DR画像表示画面において設定した比較対象領域座標318と同一になるように設定されている。
更に、図7では図6のDR縦画像311及びDR横画像313にはない、変位済VOIイメージ405の外形状の二次元投影像が表示されている。図7中では、変位済VOIイメージ405は直方体形状で表示されている。
図8において、左側はDRR縦画像312であり、右側はDRR横画像314である。
図8の表示画面に表示されているDRR縦画像312及びDRR横画像314の、図7との相違点は、VOI座標データ302が元にあった場所(VOI座標データ801)からずれている点である。変位済VOIイメージ405がずれた結果、DRR縦画像312及びDRR横画像314には、空隙802が生じている。
この時、この表示画面中、左上には「マッチング位置ずれ量」として、左側にVOI変位済3DCTイメージ303のずれ量の欄R803が、右側に変位済VOIイメージ405のずれ量の欄R804が、表示されている。
図9Bは、DRR画像の基となる変位済VOIイメージ405の、6軸座標上におけるずれの概念を説明する概略図である。
図9Aに示すベクトルA901は、患者102の現在の状態に対して、DRR画像の基となる実体とDR画像の基となる実体が、どのようにずれているのかを、6軸座標情報として示したベクトルである。
そして図9Bに示すベクトルA902は、VOI変位済3DCTイメージ303を示すベクトルに対して、変位済VOIイメージ405がどの程度ずれているのかを、6軸座標情報として示している。すなわち、変位済VOIイメージ405は、VOI変位済3DCTイメージ303を起点としてずれる。変位済VOIイメージ405が全くずれていない場合は、VOI変位済3DCTイメージ303と同様に6軸座標上で駆動される。
(1)上述の実施形態では、VOIを1個だけ示したが、VOIの個数は1個に限定するものではない。計算機の演算能力とソフトウェアの改良で、VOIを複数個設定し、それらをそれぞれ独立して動かせるように構成してもよい。
更に、VOIとして指定する対象も、単一の臓器に限らない。場合によっては必要に応じて、複数の臓器に跨るようにVOIを指定してもよい。
3Dイメージ生成処理部301は、X線CT装置の撮影データである3D−CTボリュームデータ110から仮想的に切り出したVOIイメージ404を作成する。このVOIイメージ404を6軸変位させ、変位済VOIイメージ405を作成する。3D−CTボリュームデータ110からVOIイメージ404を切り出したVOI抜き3DCTイメージ406と、変位済VOIイメージ405を組み合わせて、VOI変位済3DCTイメージ303を作成し、計算機の三次元仮想空間内に配置する。このVOI変位済3DCTイメージ303をレイトレーシングにてDRR縦画像312とDRR横画像314を作成する際、DRカメラ座標310を6軸逆変位させる。こうして、VOI変位済3DCTイメージ303と変位済VOIイメージ405を独立して三次元仮想空間内で6軸方向に動かせる機能を実現する。相関値演算処理部315はDRR縦画像312とDRR横画像314に対し、DR縦画像311及びDR横画像313との相関値を算出する。相関値最大化処理部319は、相関値演算処理部315が算出する相関値が最大になるように、DRカメラ座標310と変位済VOIイメージ405をそれぞれ独立に6軸方向に動かす。
このように、DRカメラ座標310と変位済VOIイメージ405を独立して動かせるように構成することで、患者102の臓器の変形や移動にも柔軟に対応が可能になる。
また、本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101は、過去に撮影した3D−CTボリュームデータ110から、X線CT装置で再度撮影することなく、現在の患者102の臓器の状態を把握することが可能になる。このことにより、実際に治療計画に基づいて治療を行うべきか否かを、操作者である医師の経験に頼ることなく、客観的なデータに基づいて判断することが可能になる。
例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることは可能であり、更にはある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の揮発性或は不揮発性のストレージ、または、ICカード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
Claims (2)
- 患者の人体をスキャンした三次元透過画像データから、三次元関心領域であるVOIを切り出す座標情報であるVOI座標データを生成し、前記三次元透過画像データから仮想空間内に配置する3DCTイメージと、前記三次元透過画像データ及び前記VOI座標データから前記VOIを前記仮想空間内に配置するVOIイメージを生成し、前記仮想空間内において前記VOIイメージを6軸座標方向に移動及び回転を実現する3Dイメージ生成処理部と、
前記仮想空間内において前記3DCTイメージ及び前記VOIイメージに対し、6軸座標方向に逆移動及び逆回転させたX線カメラの座標情報に基づいて、異なる二方向の疑似X線画像である第一DRR画像及び第二DRR画像を生成するDRR生成処理部と、
前記第一DRR画像及び前記第二DRR画像に対し、X線カメラから得られる第一DR画像及び第二DR画像との類似度を算出する類似度演算処理部と、
前記類似度演算処理部から得られる類似度が最大になるように、前記3Dイメージ生成処理部に6軸移動及び回転情報を与える、類似度最大化処理部と
を具備する、患者位置決め支援装置。 - 更に、
操作者の操作情報を受け付ける操作部と、
前記3DCTイメージ及び前記VOIイメージを表示可能な表示部と
を具備し、
前記類似度最大化処理部は、前記操作部によってオン・オフ制御されるものであり、
前記3Dイメージ生成処理部は、前記類似度最大化処理部がオフ状態において、前記3DCTイメージ及び前記VOIイメージを、操作部を通じて手動で可動可能である、
請求項1記載の患者位置決め支援装置。
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