JP6799947B2 - スライディングタイムウィンドウを用いてタスクをスケジュール設定するためのシステムおよび方法 - Google Patents

スライディングタイムウィンドウを用いてタスクをスケジュール設定するためのシステムおよび方法 Download PDF

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Description

本発明は、スライディングタイムウィンドウを用いてタスクをスケジュール設定するためのシステムおよび方法に関する。
[0001]航空宇宙用途におけるリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)は、特定された最悪実行時間内にRTOSがタスクを実行することを保証するために、時間区分化の概念に頼ることができる。たとえば、あるRTOSは、静的な固定タイムウィンドウスケジュールを用いる。代替アプローチは、レートモノトニック(RM)スケジューリングおよびスラックスケジューリングを用いて、時間決定性を維持しながらも動的なタスク実行のためにより高い柔軟性を実現させる。
[0002]マルチコアプラットフォームにおいては、相互のコアの干渉を特徴付け抑制することは、最悪実行時間、したがってバジェット(budget)を決定するにあたって重要であり、このバジェットは時間区分の基礎を形成する。しかしながら、マルチコアプラットフォームでは、複数のスレッドのスケジュール可能性が必ずしも保証されるとは限らない。したがって、マルチコアRTOSにおいてマルチコアRTOSの機構を提供することが常に可能であるというわけではなく、それによって、異なるコア上で実行するタスクセットは、時間決定性を充足すること、さらには柔軟性およびダイナミズムを可能にすることに限定される。
[0003]スライディングタイムウィンドウを用いてタスクをスケジュール設定するためのシステムおよび方法が提供される。ある実施形態において、タスクの実行をスケジュール設定するためのシステムは複数のタスクを実行するように構成された少なくとも1つの処理装置を備え、複数のタスク中の各タスクは複数のスケジューラインスタンス中の1つのスケジューラインスタンス内で実行するようにスケジュール設定され、複数のスケジューラインスタンス中の各スケジューラインスタンスは複数のタイムウィンドウ中の1組のタイムウィンドウと各タイムウィンドウの複数の処理装置中の1組の処理装置とに関連付けられ、複数のタイムウィンドウ中の1つまたは複数のタイムウィンドウは開始時刻および配分された期間を有し、1つまたは複数のタイムウィンドウに関連付けられたスケジューラインスタンスは関連するタスクの実行を開始時刻以降に開始し、かつ配分された期間を超えずに実行し、開始時刻はより早い時点にスライド可能である。
[0004]図面は例示の実施形態のみを示し、したがって範囲を限定するものと考えられるわけではないことを理解されたく、例示の実施形態は、添付の図面を用いて、さらなる特性および詳細によって記述される。
[0005]本開示で記述される一実施形態における、少なくとも1つの処理装置上でタスクを実行するためのシステムのブロック図である。 [0006]本開示で記述される一実施形態における、スケジュール設定されたタスクのタイムラインを示す図である。 [0007]図3Aは、本開示で記述される一実施形態における、単一の処理装置上のスライディングタイムウィンドウ内にスケジュール設定されたタスクのタイムラインの一部分を示す図である。[0008]図3Bは、本開示で記述される一実施形態における、複数のコアの処理装置上のスライディングタイムウィンドウ内にスケジュール設定されたタスクのタイムラインの一部分を示す図である。 [0009]本開示で記述される一実施形態における、スライディングタイムウィンドウと固定タイムウィンドウとの組合せを図示するタイムラインを示す図である。 [0010]図5Aは、本開示で記述される一実施形態における、単一の処理装置上での割込みサービスルーチンのタイムウィンドウのスケジュール設定を図示するタイムラインを示す図である。[0011]図5Bは、本開示で記述される一実施形態における、複数の処理装置上での割込みサービスルーチンのタイムウィンドウのスケジュール設定を図示するタイムラインを示す図である。 [0012]図6Aは、割込みサービスによるタイムウィンドウのプリエンプションに関して、一実施形態を図示するタイムラインの一部分を示す図である。図6Bは、割込みサービスによるタイムウィンドウのプリエンプションに関して、一実施形態を図示するタイムラインの一部分を示す図である。図6Cは、割込みサービスによるタイムウィンドウのプリエンプションに関して、一実施形態を図示するタイムラインの一部分を示す図である。 [0013]本開示で記述される一実施形態における、複数のタイムウィンドウに関して最早開始時刻の決定を図示するタイムラインを示す図である。 [0014]本開示で記述される一実施形態における、タイムウィンドウスラックの蓄積を図示するタイムラインを示す図である。 [0015]本開示で記述される一実施形態における、スライディングタイムウィンドウを備える、スラックの特定および使用を図示するタイムラインを示す図である。 本開示で記述される一実施形態における、スライディングタイムウィンドウを備える、スラックの特定および使用を図示するタイムラインを示す図である。 本開示で記述される一実施形態における、スライディングタイムウィンドウを備える、スラックの特定および使用を図示するタイムラインを示す図である。 本開示で記述される一実施形態における、スライディングタイムウィンドウを備える、スラックの特定および使用を図示するタイムラインを示す図である。 [0016]本開示で記述される一実施形態における、異なるタイムウィンドウによるタイムウィンドウスラックの使用を図示するタイムラインを示す図である。 [0017]本開示で記述される一実施形態における、スライディングタイムウィンドウを実施するための方法を示す流れ図である。
[0018]通例に従って、さまざまに記述される特徴は一定の縮尺率で表されるのではなく、例示の実施形態に関連する特定の特徴を強調するように表される。
[0019]以下の詳細な記述においては、本明細書の一部を成す添付の図面が参照され、これは特定の例示的な実施形態の図示により示される。しかしながら、他の実施形態が利用され得ること、また、論理的、機械的および電気的な変更が加えられ得ることが理解されよう。さらに、図面および明細書において示される方法は、個々のステップが実行され得る順序を限定するものとして解釈されるものではない。それゆえ、以下の詳細な記述は、限定する意味で捉えられるものではない。
[0020]時間保証を保持しながらも望ましいダイナミズムを提供するための柔軟性を実現させるために、スライディングタイムウィンドウを用いてタスクをスケジュール設定するためのシステムおよび方法が提供される。スライディングタイムウィンドウを実施するために、タスクは時間区分化を用いてタイムウィンドウにスケジュール設定される。時間区分化は、タスクレベルおよびタイムウィンドウレベルで時間保証を達成するのに役立つ。さらに、本明細書で記述されるように、タイムウィンドウはスライディングタイムウィンドウである。スライディングタイムウィンドウは、時間決定性を維持しながらもタスクがより早い時点で実行するように、タイムウィンドウの開始時刻を調整することができる。実施形態がスライディングタイムウィンドウを実施する場合、システムは、割込みサービスルーチンの実行のための時間を確保しておいてもよい。さらに、スラックスケジューリングは、すべてのコア上での全CPU利用を許可するように実行されてもよい。
[0021]ある実施形態によれば、図1はスライディングタイムウィンドウを実施することができるシステム100を示し、スライディングタイムウィンドウについては上記において簡潔に述べられたが、下記においてより詳細に記述される。システム100は一般に、組込みシステム、標準コンピューティングシステム、および当業者に知られている他の実装形態において実施され得る。少なくとも1つの実施形態では、システム100はオペレーティングシステム(たとえばリアルタイムオペレーティングシステムなど)を用いるが、このオペレーティングシステムはスケジューリング要求を有する。図示の通り、システム100は、スケジューラ104、メモリ106および他のリソース108に連結された処理エンティティ102を備える。この処理エンティティ102は、スケジューラ104、メモリ106および他のリソース108に通信的に連結され得る。
[0022]処理エンティティ102は、単一の処理装置または複数の処理装置であってよい。本明細書における「処理装置」という用語は、一般に、データを受け取り、プログラム命令によって指示された通りに数学演算および論理演算を行うことができる計算デバイスを指す。この実施形態では、処理エンティティ102は複数の処理装置を備え、この複数の処理装置は、マルチCPUシステム、マルチコアCPU中の1組のコア、またはハイパースレッド処理装置内の1組のハイパースレッドの一部であってよい。さらなる一例では、複数の処理装置はマルチCPUシステムであってよく、ここではマルチCPUシステム中の異なるCPUが複数のコアを備える。さらに、各コアはハイパースレッド処理装置として動作してよい。本明細書における「マルチコア」という用語は、下記において、上述のような複数の処理装置を備える実装形態を指すように用いられる。
[0023]図1に示される例示の実施形態において、プログラム命令は、適切な非一時的記憶媒体すなわちメモリ106(たとえば、フラッシュメモリまたは他の不揮発性メモリ、磁気ディスクドライブおよび/または光ディスクドライブなど)に記憶される(または実施される)。プログラム命令の少なくとも一部分は、処理エンティティ102上での実行のために処理エンティティ102によってメモリ106から読み込まれる。プログラム命令は、本明細書において「ソフトウェア」とも呼ばれる。プログラム命令が実施されるメモリ106は、本明細書において「プログラムプロダクト」と呼ばれることもある。メモリ106はそれぞれの処理エンティティ102に対してローカルなものとして図1に示されるが、リモートメモリ106(たとえば、ネットワークまたはクラウドを介してアクセス可能な記憶媒体)および/または取外し可能な媒体が用いられてもよいことが理解されよう。メモリ106は、処理エンティティ102による実行中にプログラム命令(および関連データ)を記憶することもできる。一実装形態において、メモリ106は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など現在知られている、または後に開発される、任意の適当な形式のランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。他の実施形態では、他の種類のメモリが用いられる。さらに、いくつかの例示の実装形態においては、処理エンティティ102が複数の処理装置を備えるが、各処理装置は、関連する処理装置上で実行中のプログラム命令の記憶に充てられる別個のメモリ106を備える。
[0024]図1に示されるさらなる例示の実施形態において、システム100は、外部システムとの情報の送受信を容易にする他のデバイスを備える。たとえば、図1に示されるようにシステム100はセンサ130を備えるが、このセンサは外部パラメータを感知し(または物理現象を示す信号または情報を生成し)、かつ、これらを、処理エンティティ102によって使用するために(より具体的には、処理エンティティ上でのプログラム命令の実行のために)処理エンティティ102に送信する。さらに、システム100は制御インターフェース132を備える。この実施形態では、処理エンティティ102がプログラム命令を実行する場合、処理エンティティ102は制御インターフェース132に電気信号を送信して、システム100に接続された外部システムを制御する。さらに、少なくとも1つの例示の実施形態では、システム100はユーザと対話する。ユーザとの対話を容易にするために、システム100は、少なくとも1つのユーザ入力デバイス134および表示装置136を備えてよい。各ユーザ入力デバイス134はユーザから入力を受け付け、かつ、この入力を、処理エンティティ102によって使用するために(より具体的には、処理エンティティ上でのプログラム命令の実行のために)処理エンティティ102に送信する。さらに、この実施形態では、処理エンティティ102は、ユーザが見るための情報を表示装置136に出力し、この表示装置はユーザに対して情報を表示する。
[0025]少なくとも1つの実装形態では、システム100はスケジューラ104を備える。このスケジューラ104は、処理エンティティ102上でのプログラム命令の実行をスケジュール設定する。少なくとも1つの実施形態では、スケジューラ104は、プログラム命令の実行を動的にスケジュール設定する、オペレーティングシステム内のスケジューラである。別の実施形態では、スケジューラ104は、静的な時間決定に従ってプログラム命令の実行をスケジュール設定する。たとえば、オペレーティングシステムがARINC653に準拠する場合、プログラム命令の実行は専用のタイムウィンドウに割り当てられる。さらに、処理エンティティ102が複数の処理装置を備える場合、各処理装置は関連するスケジューラ104を備えてよい。
[0026]本明細書に記述されるように、記憶媒体106内に記憶されたプログラム命令はタスク内に構成され得る。本明細書における「タスク」という用語は、指定された目的を達成するために実行される場合に相互に関連付けられたプログラム命令の一群であるかまたはこれを特定するエンティティを指す。タスクは、処理エンティティ102上での実行のために、スケジューラ104によってスケジュール設定される。実行のためにタスクがスケジュール設定される場合の各インスタンスは、本明細書において、タスクのスケジュール設定されたインスタンスと呼ばれる。さらに、タスクは、タスクのスケジュール設定されたインスタンス内で実行する、より小さいサブタスクで構成されてよい。ある例示の実装形態では、タスクは、レートモノトニックスレッド、POSIXスレッドまたはARINC653プロセスに適用され得る。
[0027]ある実施形態においては、複数のタスクインスタンスがスケジューラインスタンス内での実行のためにスケジュール設定されてよい。スケジューラインスタンスは、単一のコアまたは複数のコアに結び付けられ得る。スケジューラインスタンスが複数のコアに結び付けられる場合、スケジューリングアルゴリズムは、マルチコアのスケジューラインスタンスに関連付けられたスレッドが実行するコアを選択することができる。コアに関連付けられたスケジューラインスタンスがタイムウィンドウ内に無い場合、そのタイムウィンドウの間、タスクはスケジュール設定されていないコア上で実行することができないことがある。メジャーフレーム内に複数のスケジューラインスタンスがある場合があるが、各タスクは、メジャーフレーム全体にわたって単一のスケジューラインスタンスによって処理され得る。
[0028]ある実装形態では、処理エンティティ102は複数の処理装置を備えるが、スケジューラ104は処理エンティティ102中のどの処理装置が特定のタスクを実行するかを決定する。さらに、スケジューラ104は、任意の所与の時点において、処理エンティティ102中の各処理装置上でどのタスクが実行されることになるかを決定する。タスクの実行をどのようにスケジュール設定するかを決定する際、スケジューラ104は、タスクの実行をどのようにスケジュール設定するかを決定するための規則および方法を提供するスケジューリングアルゴリズムまたは他のスケジューリングポリシーを用いる。たとえば、スケジューラ104は、レートモノトニック、優先度プリエンプティブ、ラウンドロビンなどのスケジューリングアルゴリズムを用いることができる。このような実施形態の一実装形態では、スケジューラ104は、処理エンティティ102内の異なる処理装置上でのタスクの実行をスケジュール設定するために、単一のスケジューリングアルゴリズムを用いる。別の実装形態では、スケジューラ104は、処理エンティティ102内の異なる処理装置上でのタスクの実行をスケジュール設定するために、複数のスケジューリングアルゴリズムを用いる。たとえば、このような代替の実装形態では、スケジューラ104は、処理エンティティ102内の第1の処理装置上での実行のためにタスクのいくつかをスケジュール設定するために第1のスケジューリングアルゴリズムを用い、処理エンティティ102内の第2の処理装置上での実行のためにタスクのいくつかの実行をスケジュール設定するために第2のスケジューリングアルゴリズムを用いる。
[0029]少なくとも1つの実施形態では、タスクおよびタイムウィンドウのスケジュール設定は、時間決定性が達成されるような方法で実行される。時間決定性は、少なくとも2つの異なる方法で達成され得る。たとえば、時間決定性は、各タスクがレートモノトニックスレッドであるレートモノトニックスケジューリングの状況においてバジェットを保証することによって、1タスクベースで達成され得る。この例では、タイムウィンドウ、およびこのタイムウィンドウ内で実行するタスクはいずれも時間区分され得る。別法として、時間決定性は、バジェットを単に全体としてタイムウィンドウに配分することによって、タイムウィンドウベースで達成され得る。たとえば、タイムウィンドウは、時間区分されたエンティティであってよく、また、時間区分されないタスクのコンテナであってもよい。たとえば、ARINC653に基づく用途の場合、時間決定性は一群のタスクについてバジェットが保証されたARINC653の区分レベルで達成され得る。したがって、バジェットはタイムウィンドウレベルで実施されるが、タイムウィンドウ内では、バジェットは個々のARINC653タスクに対して配分されない。
[0030]少なくとも1つの例示の実施形態では、スケジューラ104は、時間区分されたオペレーティングシステム内でタスクをスケジュール設定する。スケジューラ104が時間区分されたオペレーティングシステム内でタスクをスケジュール設定する場合、スケジューラ104は、処理エンティティ102上で実行するタスクに処理バジェットを配分する。配分された処理バジェットは、処理エンティティ102上でタスクが実行できる一定期間を決定する。さらに、スケジューラ104は、タスクが連続または非連続の時間区間で実行を完了できるようにする処理バジェットをタスクに配分する。たとえば、タスクが連続した時間区間で実行を完了する場合、スケジューラ104は、タスクの実行が中断なく完了できるようにするために十分足りる長さの期間である、タスクの実行のための処理バジェットを配分する。別法として、タスクが非連続の時間区間で実行を完了する場合には、スケジューラ104は、非連続の処理バジェットが関連するタスクの実行の完了に十分である時間を可能にする、タスクのそれぞれの実行のための非連続の処理バジェットを配分する。
[0031]さらに、下記においてより詳細に記述されるように、スケジューラ104は2つのレベルのスケジューラを含んでよい。たとえば、スケジューラ104は、タイムウィンドウスケジューラとタスクインスタンススケジューラとを含むことができる。スケジューラ104がタイムウィンドウスケジューラとして機能する場合、スケジューラ104は、特定の開始時刻および終了時刻、または他の実装形態においては特定の開始時刻および特定の期間を有するタイムウィンドウをスケジュール設定し、ここで、タイムウィンドウは、特定のタスクが実行のためにスケジュール設定される時間の一部分である。タイムウィンドウスケジューラがタイムウィンドウの開始および期間をスケジュール設定するので、タイムウィンドウスケジューラはタイムウィンドウが特定の時間内に開始および終了することを保証することができる。タスクが周期的に実行するある実施形態においては、タイムウィンドウはメジャーフレーム中にスケジュール設定されるが、ここで、メジャーフレームは、スケジュール設定されたタイムウィンドウごとにタスクが実行する一定期間である。メジャーフレームは、最大周期を有するタスクのための一定期間を表す。このように、各タイムウィンドウは各メジャーフレーム内にスケジュール設定され、同時に異なるメジャーフレーム内でオフセットされ得る。さらに、ある実施形態では、メジャーフレームは、1つのタスクに基づくより小さい一定期間または最小の一定期間を有するタスクに分割され得る。このより小さい一定期間は、マイナーフレームと呼ばれることがある。ある実施形態においては、メジャーフレーム中にスケジュール設定された複数のタイムウィンドウがある場合がある。異なるタイムウィンドウは、タイムウィンドウシーケンスを形成する。タイムウィンドウシーケンスの最後のタイムウィンドウが終了すると、タイムウィンドウスケジューラは、タイムウィンドウシーケンスの第1のタイムウィンドウで始まるタイムウィンドウシーケンスのスケジュール設定を再び開始する。処理エンティティ102が複数のコアを備える実施形態では、タイムウィンドウスケジューラは、複数のコア上のタイムウィンドウの開始時刻および期間に同時性を持たせることができる。さらなる実施形態では、スケジューラ104はタスクインスタンススケジューラであるが、このスケジューラ104は、特定のタイムウィンドウ内のスケジューラインスタンスウィンドウ内で実行するためのタスク実行のインスタンスを割り当てる。タイムウィンドウスケジューラおよびタスクインスタンススケジューラの使用は、下記においてより詳細に記述される。
[0032]図2は、マルチコアの処理システム上でのタスクの実行に関して実行タイムライン200を示すが、図2に関して説明される原則は、単一のコアのオペレーティングシステムにも適用される。図示されるタイムラインは、メジャーフレームの一部分のみを示す。たとえば、メジャーフレームに関連付けられた実行スケジュールは1ヘルツの周波数で繰り返すことができ、繰返しの周波数はより小さくてもより大きくてもよいことは当業者であれば理解するであろう。メジャーフレーム内には複数のマイナーフレームがある場合があり、マイナーフレーム内での実行は特定の周波数で開始する。ある例示の実装形態では、マイナーフレームのそれぞれの開始は、80ヘルツの周波数で生じる。このように、異なるマイナーフレーム内での実行は12.5msごとに開始することができ、他の実装形態では、マイナーフレームは、より速い周波数またはより遅い周波数で開始することができる。図2に示されるように、マイナーフレーム201〜204として特定される4つの異なるマイナーフレームがある。マイナーフレーム201〜204内では、タスク実行の異なるインスタンスがスケジュール設定されて、スケジュール設定されたタイムウィンドウ内で実行する。別法として、マイナーフレームがメジャーフレームに等しい、単一のフレームを有し得る実施形態もある。
[0033]少なくとも1つの実装形態において、図2に示される例で図示される通り、マイナーフレーム201〜204内にスケジュール設定された8つの異なるタイムウィンドウ221〜228がある。スケジューラ104に関して上述されたように、異なるタイムウィンドウ221〜228は各メジャーフレーム内で同時に実行する。ある実装形態において、特定のタイムウィンドウ内のタスクインスタンスは、単一のマイナーフレーム内で実行するよう制約される。別法として、特定のタイムウィンドウに関連付けられたタスクインスタンスは、第1のマイナーフレーム内で実行を開始し、第2のマイナーフレーム内で実行を停止することができる。図2に示されるように、タイムウィンドウの範囲は、実質的には単一のマイナーフレームに制約される。さらに、図2に示されるように、タイムライン200は、2つの異なる処理コア251〜252についてタスクスケジューリングを示す。タイムウィンドウ221〜228は、異なるコア251〜252に及ぶ。
[0034]ある実装形態では、スケジュールは、1組のタイムウィンドウ内で1つまたは複数のコア上でのタスクの実行をスケジュール設定するスケジューラインスタンスからなる。それゆえ、タイムウィンドウ内では、各コアは特定のスケジューラインスタンスに関連付けられる。特定のスケジューラインスタンスがタイムウィンドウ内でアクティブである区間は、スケジューラインスタンスウィンドウである。スケジューラインスタンスウィンドウ210〜217および231〜236は、異なるタイムウィンドウ221〜228内のスケジューラインスタンスウィンドウを表す。図示の通り、各スケジューラインスタンスウィンドウは、特定のタイムウィンドウ内でコアに割り当てられる。たとえば、コア251上で、スケジューラインスタンスウィンドウ210〜217は、コア252上のスケジューラインスタンスウィンドウ231〜236で実行されるタスクとは異なるタスクを実行する。さらに、コア251に割り当てられたスケジューラインスタンスウィンドウ210〜217と比べて異なる種類のタスクが、コア252上のスケジューラインスタンスウィンドウ231〜236内で実行し得る。ARINC653タスク、POSIXタスク、レートモノトニックタスク、割込みタスクなどの異なる種類のタスクが実行する実施形態では、特定のスケジューラインスタンスウィンドウ内で実行する異なる種類のタスクは、同一種類のタスクとして制約され得る。たとえば、タスクτ、τ、τおよびτは、スケジューラインスタンスウィンドウ210、212〜214、216および235内で実行するようにスケジュール設定されたレートモノトニックタスクであり得、これらはレートモノトニックタスクの実行を指定される。タスクP、PおよびPは、ARINC653スケジューラインスタンスウィンドウ217、231、232および234内で実行するようにスケジュール設定されたARINC653タスクである。さらに、タスクτ、τおよびτは、POSIXスケジューラインスタンスウィンドウ211、215、233および236内で実行するようにスケジュール設定されたPOSIXタスクである。
[0035]従前のシステムでは、異なるタイムウィンドウはタイムライン200との関係で固定される。タイムウィンドウが固定されると、タイムウィンドウの開始は、タイムライン上のより早くにもより遅くにもスライドすることを妨げられる。それゆえ、固定タイムウィンドウに関連付けられたタスクは、固定タイムウィンドウの開始時刻以前に実行を開始することも、開始時刻からの固定タイムウィンドウの期間によって決定される固定タイムウィンドウの終了以降に実行を継続することもできない。さらに、固定タイムウィンドウに配分されたバジェットは、他のタイムウィンドウに関連付けられたタスクが固定タイムウィンドウ中に実行することを妨げる。本質的に、タイムウィンドウが固定される場合、固定タイムウィンドウは、タイムライン上でスライドしないことが保証される。一群の実行タスクに関するタイムウィンドウの固定は、その一群の実行タスクについて最悪実行時間を決定するのに役立つ。
[0036]しかしながら、固定タイムウィンドウにタスクを割り当てる場合、タスクおよびサブタスクが静的に決定され得るので、スケジューラはダイナミズムをサポートできないことがある。たとえば、予め設定されたバジェットおよび最大実行時間は明示的かつ静的にスケジュール設定され、タイムライン上に設定され得る。それゆえ、スケジューラはタスクの完了に延長時間を充てることを妨げられ、その結果、たとえ次の固定タイムウィンドウの開始がスケジュール設定される前にスケジューリングタイムライン上にギャップがあるために時間が利用可能であるとしても、スケジューラは追加バジェットおよび実行時間のスケジュール設定をサポートすることはできない。したがって、ダイナミズムの欠如のために、タイムラインは非効率的に利用される可能性がある。
[0037]さらなる実施形態では、スケジューラは、割込みサービスルーチンをスケジュール設定できることを要する。割込みサービスルーチンは、本来動的であり、割込みが生じる場合に実行される必要がある。スケジューラが固定タイムウィンドウを用いる場合、一般に、割込みサービスルーチンのスケジュール設定をサポートする2つの方法がある。割込みサービスルーチンをサポートする1つの方法は、「サンプリングアプローチ」と呼ばれるものによる。サンプリングアプローチでは、割込みサービスルーチンのタスクは、固定時点で明示的にスケジュール設定される。割込みルーチンのタスクの固定時間のスケジュール設定は、割込みがハードウェアによってもたらされた時点で割込みルーチンを実行するよりも、待ち時間を増大させ(スケジュール設定された時間を少なくし)、または計算リソースを増大させる可能性がある。割込みサービスルーチンをサポートする第2の方法は「全タスク割込みサービスルーチン拡大アプローチ(All tasks interrupt service routine augmented approach)」(以下「拡大アプローチ(augmented approach)」という)と呼ばれることがある。この拡大アプローチでは、タイムライン上のタスクおよびスケジュール設定されていない時間の潜在的なギャップに割込みサービスルーチンを実行するためのバジェットが挿入され、すなわち追加的に拡大される。したがって、割込みが生じる時はいつでも、割込みサービスルーチンが次のスケジュール設定されたタスクとなるので、待ち時間は短縮される。拡大アプローチは、待ち時間が無い、または最小であるという利点を有する。しかしながら、周期中に複数の割込みサービスルーチンのバジェットを配分することによって無駄なプロセッサ利用の不利益を招く可能性があり、この場合、タイムラインのかなりの部分にわたってプロセッサが作動しない状態にある。
[0038]ある実施形態において、プロセッサの能力をより効果的に利用するために、スケジューラはスライディングタイムウィンドウを実施することができる。本明細書における「スライディングタイムウィンドウ」という語句は、一般に、タイムウィンドウの予め設定された開始よりも早い時刻に実行を開始することも、タイムウィンドウについて予め設定された期間に基づいて導出されたタイムウィンドウの終了よりも早く実行を停止させることもできる、スケジュール設定されたタイムウィンドウを指す。図3Aおよび図3Bは、スライディングタイムウィンドウの概念を示す。図3Aは、単一の処理装置上で実行するようにスケジュール設定された、タイムラン300a上のスライディングタイムウィンドウを示す。図3Bは、複数のコアについて、タイムライン300b上でのスライディングタイムウィンドウの実装形態を示す。図3Aにおいて、予め設定されたタイムウィンドウ302は、マイナーフレーム304内で実行するように割り当てられる。しかしながら、予め設定されたタイムウィンドウ302は、特にメジャーフレームがマイナーフレームに等しい場合には、メジャーフレーム内の任意の時点で実行することができる。タスクτは、予め設定されたタイムウィンドウ302中に実行することができる。タイムウィンドウ302はスライディングタイムウィンドウであるので、タイムウィンドウ302の予め設定された開始306は、タイムラインのより早い時点にスライドすることができる。しかしながら、タイムウィンドウ302の予め設定された開始306は、タイムラインのより遅い時点にスライドすることはできない。さらに、タイムウィンドウ302の開始306がより早い時点にスライドする場合、タイムウィンドウ302の導出された終了308もまた、タイムウィンドウ302について予め設定された期間に基づいて、タイムライン300aのより早い時点にスライドする。しかしながら、開始306と同様に、終了308はタイムラインのより遅い時点にスライドすることができないのが一般的である。ある実装形態では、タイムウィンドウ302に関連付けられたタスクが、タイムウィンドウ302の予め設定された期間に基づいて導出された終了時刻以前に実行を終了する場合、終了時刻308はより早い時点にスライドすることができる。
[0039]図3Bは、図3Bが複数のコア上の予め設定されたタイムウィンドウのスケジュール設定を示すことを除いて図3Aと同様である。上述のように、予め設定されたタイムウィンドウ312のようなタイムウィンドウは、マイナーフレーム314内で複数のコアに及ぶ。タスクτ、τおよびτは、タイムウィンドウ312内で実行するようにスケジュール設定される。上述のように、予め設定されたタイムウィンドウ312はスライディングタイムウィンドウであり、タイムウィンドウ312の予め設定された開始316は、タイムラインのより早い時点にスライドすることができる。しかしながら、タイムウィンドウ312の予め設定された開始316は、タイムラインのより遅い時点にスライドすることはできない。さらに、開始316がより早い時点にスライドする場合、タイムウィンドウ312の導出された終了318もまた、タイムラインのより早い時点にスライドすることができる。タイムウィンドウ312の開始316はより遅い時点にスライドすることができないので、導出された終了318は、タイムライン300bのより遅い時点にスライドすることはできない。ある実装形態では、開始316がスライドすると、終了318も同じ時間量だけスライドする。ある実装形態では、タイムウィンドウ312に関連付けられたタスクが、タイムウィンドウ312の予め設定された期間に基づいて導出された終了時刻以前に実行を終了する場合、終了時刻318はより早い時点にスライドすることができる。
[0040]ある実装形態では、タイムウィンドウ内のスケジューラインスタンスに関連付けられたタスクの周期性に基づいて、タイムウィンドウがどの程度スライドできるかに関する制限があり得る。たとえば、周期的なタスクは、関連する周期の開始以前に実行を開始することはできない。あるシステムは、タスクのレートおよび/または周期に基づいてタイムウィンドウの開始時刻および期間を設定するシステムインテグレータを備えてよい。スライディングタイムウィンドウを実施する際、可能な制限を考慮に入れるために実施され得る少なくとも2つのアプローチがある。第1のアプローチでは、新たなウィンドウの開始時刻が、タイムウィンドウに関連付けられたスケジューラインスタンス内の最小周期のタスクに対して周期妨害を引き起こさないのであれば、タイムウィンドウの開始は、マイナーフレームの開始以前の時刻にスライドすることが可能とされ得る。周期妨害は、スライドがタスクに関連付けられた周期の開始以前に周期的なタスクの実行をもたらす場合に生じる。第2のアプローチでは、タイムウィンドウの開始は、予め設定されたタイムウィンドウに関連付けられたマイナーフレームの開始に先行する時刻にスライドすることを妨げられ得る。
[0041]図4は、タイムウィンドウ内で実行するタスクに関連付けられた周期性に起因して生じる制限を図示する、タイムライン400を示す図である。タイムライン400は、固定タイムウィンドウとスライド可能なタイムウィンドウの両方を含む。制限を図示するために、3つの異なるタイムウィンドウ410、420および430がタイムライン400に沿って実行するようにスケジュール設定される。第1のタイムウィンドウ410は、予め設定された開始411および導出された終了412を有する。第1のタイムウィンドウ410の開始411は、最早周期の開始時刻401であるか、またはこれ以降である限り、より早い時点にスライドすることができる。導出された終了412もまた、タイムウィンドウ410の予め設定された期間、開始411および実行タスクによって消費されたタイムウィンドウ中の時間量に基づいて、より早い時点に移動することができる。第2のタイムウィンドウ420は、予め設定された開始421および導出された終了422を備え、第2のタイムウィンドウ420に関連付けられたスケジューラインスタンス内で実行するタスクは最早開始時刻402を有する。予め設定された開始421は最早開始時刻402と既に揃えられているので、開始421はより早い時点にスライド可能ではなく、第2のタイムウィンドウ420の導出された終了422は、第2のタイムウィンドウ420に関連付けられたスケジューラインスタンス内で実行するタスクが、配分された処理バジェットが消費される以前に実行を終了する場合に、より早い時刻にスライド可能であるにすぎない。第3のタイムウィンドウ430は、予め設定された開始431および導出された終了433を有する。図示の通り、第3のタイムウィンドウ430は、第1の部分434として表される1つまたは複数のタスクを含む。第3のタイムウィンドウ430はまた、第2の部分435として表される1つまたは複数のタスクを含み、この第2の部分435のタスクは、第3のタイムウィンドウ430において周期的に制約されたタスクが最早開始時刻403以前に実行することができないように周期性の要求によって制約される。その結果、システムインテグレータは、第2の部分の開始時刻432が最早開始時刻403に等しくなるまで、タイムウィンドウ430をタイムラインに沿ってより早い時点にスライドさせることができる。
[0042]タイムウィンドウがスライド可能であるとき、スケジューラは、上述のサンプリングアプローチおよび拡大アプローチ以外の方法を用いて割込みサービスルーチンを処理することができる。割込みを処理するために、スケジューラは、割込みサービスルーチン(ISR)タイムウィンドウ内でタスクをスケジュール設定する。スケジュール設定する際には、ISRタイムウィンドウの開始時刻および期間は、ISR処理ルーチンのためのバジェットがタイムライン上のどこに確保または補充されるかを示す。ある実装形態では、システムの起動時に、ISRスケジューリングインスタンスには、生じる割込みを周期的に処理するための実行バジェットが提供される。本明細書において後述されるように、ISRタイムウィンドウは、ISRタスクが実行するときにタイムウィンドウの開始時刻および期間を必ずしも示すとは限らない。ISRタイムウィンドウは、割込みをサービスするためのバジェットを確保するための概念的または論理的な時間である。ISRの実行は、実行のレート/周期およびバジェットによって特定され得る。したがって、ISRタイムウィンドウに関する開始時刻および期間は、複数のコアが過度にスケジュール設定されないようにバジェットが特定のレートで明示的にスケジュール設定されることを確実にすることができ、ここで、「過度にスケジュール設定される」とは、割り振られた時間バジェットが利用可能な計算時間を超えることを意味する。さらに、ISRバジェットは、その後のスライディングタイムウィンドウおよび固定タイムウィンドウがスケジュール設定される前にタイムウィンドウ内で確保され得る。さらに、一実装形態において、ISRタイムウィンドウは、他のタイムウィンドウに関連付けられたスケジューラインスタンスが実行のためにスケジュール設定された後に、ISRをサービスするために確保され得る。
[0043]実施される場合、ISRに関連付けられた実際の割込みはスケジュール設定されたタイムラインに沿った任意の時点で生じ得、その結果、ISRスケジューリングインスタンスの前、スケジューリングインスタンスの間またはスケジューリングインスタンスの後に割込みが生じ得る。ISRタイムウィンドウ以外のアクティブに実行するスライディングタイムウィンドウ内に割込みが生じる場合、スケジューラは、現在のスライディングタイムウィンドウ内にタスクの実行をプリエンプトすることができる(すなわち、現在のスライディングタイムウィンドウで実行中のすべてのスケジューラインスタンスおよび関連するタスクを停止し、または特定のコア上で実行中のタスクのみ停止する)。現在のスライディングタイムウィンドウ内にタスクの実行をプリエンプトした後、システムは、バジェットを有するISRタイムウィンドウスケジューラインスタンスおよび関連するISRタスクを実行することができる。システムがマルチコアシステムである場合、システムは、複数のコアの内の1つまたは複数上で、バジェットを有するISRタイムウィンドウスケジューラインスタンスおよび関連するISRタスクを実行する。少なくとも1つの実装形態において、ISRが処理すべき割込みの発生に先立って、ISRの実行のためにバジェットが割り振られる。次に、ISRタスクは、ISRタスクが実行を完了するまで、またはバジェットが使い果たされるまで実行することができる。ISRタスクの実行がアクティブに実行するスライディングウィンドウをプリエンプトした場合、プリエンプトされたスライディングウィンドウに関連付けられたタスクは、ISRタスクが実行を完了するか、またはバジェットが使い果たされた後に実行を再開する。ISRタスクの実行がギャップ内で生じた場合、ISRタスクは、ISRタスクが完了するまで、またはバジェットが使い果たされるまで実行し、次に実行はスケジューリングタイムライン上で次のスライディングウィンドウを続行する。
[0044]図5A、図5Bおよび図6A〜図6Cは、スライド可能なタイムウィンドウの状況におけるタイムライン上でのISRタイムウィンドウのスケジュール設定を示す。詳細には、図5Aおよび図5Bは、タイムライン500aおよび500b上のISRスレッドについての開始時刻および終了時刻の予めの配分を示す。図5Aは、単一のコアのプロセッサによる実行のためにスケジュール設定されたタイムライン500a上でのバジェットの確保を示し、図5Bは、マルチコアのプロセッサによる実行のためにスケジュール設定されたタイムライン500b上でのバジェットの確保を示す。図5Aに示されるように、タイムライン500aは、生じ得る割込みを処理するための4つの異なるISRタイムウィンドウのスケジュール設定を示す。図示の通り、ISRタイムウィンドウの内の3つの511、512および513は、異なる最早開始時刻501、502および503にそれぞれ関連付けられた3つのISRタイムウィンドウによって周期的にスケジュール設定される。3つのISRタイムウィンドウ511、512および513は、それぞれの最早開始時刻501、502および503の後にサービスされることになる配分されたバジェットである。タイムウィンドウ520および522は、非割込みのタスクが実行する標準のタイムウィンドウである。第1のISRタイムウィンドウ511は、第1の最早開始時刻501と第2の最早開始時刻502の間に生じる割込みを処理するようにスケジュール設定される。第1の最早開始時刻501の後かつ第2の最早開始時間502の前に生じる割込みは、第1のISRタイムウィンドウ511に配分されたバジェットを消費するように実行され得る。第2のISRタイムウィンドウ512はタイムウィンドウ520の後にスケジュール設定され、これらはいずれも、第2の最早開始時刻502以降の実行に限定され、第3の最早開始時刻503以前に実行を終了するように制約される。さらに、第3のISRタイムウィンドウ513は、タイムウィンドウ522内のタスクのスケジュール設定の前にISRをサービスするために配分された時間である。図示の通り、配分された時間が使い果たされる前にISRが実行を終了する場合、タイムウィンドウ522は、最早開始時刻503までのより早い時点にスライドすることができる。さらなる実装形態において、第4のISRタイムウィンドウ514は、ISRタイムウィンドウ511の直後にスケジュール設定され得る。第4のISRタイムウィンドウ514は、3つのISRタイムウィンドウ511、512および513によってサービスされた割込み以外の割込みをサービスするために用いられてよい。
[0045]図5Bに示されるように、この図ではタイムライン500bは最早開始時刻551、552および553を示すのであるが、ISRタイムウィンドウ561、562および563、タイムウィンドウ570および572は異なるコアに及び、また、ISRタイムウィンドウ511、512および513、タイムウィンドウ520および522と同様にそれぞれスケジュール設定される。さらに図5Bに示されるように、タイムウィンドウ内で、異なるコア上に2つ以上のISRがそれぞれサービスされ得る。たとえば、ISRタイムウィンドウ561、562および563のそれぞれの中で、コア1上にISR1Aがサービスされ、コア2上にISR1Bがサービスされる。タイムウィンドウ内で異なるコア上に異なるISRがサービスされる場合、スケジューラは、並行するISR、すなわち同一の優先度の割込みをサービスするために同時に実行され得るISRをサービスすることに制限され得る。たとえば、ある実装形態において、ISRタイムウィンドウ514と同様に、ISRタイムウィンドウ564は異なる割込みをサービスすることに配分される。割込みをサービスする場合、ISRタイムウィンドウ564は、他のコア上に割込みをサービスするよう要求されることなく単一のコア上に割込みをサービスすることに制限され得る。
[0046]さらに、ISRウィンドウにバジェットを提供するウィンドウと、早期に開始しないように制約された次のウィンドウとの間の区間における同一の割込みの複数の発生は、区間内でISRのために特定されたバジェットを限度とする実行時間を備えてサービスされ得る。区間内にそれ以上残りのバジェットが無い場合、さらなるISRは、新たなバジェットがISRのサービスのために配分されるまでサービスされ得ない。現在の周期内にそれ以上残りのバジェットが無い場合、ISRは、新たなバジェットがISRのサービスのために配分されるまでサービスされ得ない。
[0047]図6A〜図6Cは、タイムウィンドウ内の実行タスクのプリエンプションに関するさまざまな実施形態を示す。図6Aは、ISRがサービスされる前のタイムウィンドウ602を示す。図示の通り、4つの異なるコア上で実行する9つの異なるタスクτ〜τがある。詳細には、τおよびτは第1のコア上で実行し、τ〜τは第2のコア上で実行し、τおよびτは第3のコア上で実行し、τは第4のコア上で実行する。割込みが無い場合には、タスクは通常、タイムウィンドウ602内で実行する。
[0048]図6Bおよび図6Cは、タイムウィンドウ602の実行中にタスクの実行をプリエンプトするための異なる実装形態を示す。たとえば、図6Bは、ISRが各コア上でのタスクの実行をプリエンプトする実装形態を示す。詳細には、タイムウィンドウ602は2つの別個のタイムウィンドウに効果的に分割され、第1のタイムウィンドウ604はISRタイムウィンドウ608によるISRのサービスに先行し、第2のタイムウィンドウ606はISRタイムウィンドウ608によるISRのサービスに後続する。図示の通り、ISRをサービスする場合、このISRは、他のコアがアクティブでない状態になる間に単一のコア上で実行し得るのみである。2つ以上のISRがある場合、異なるISRは対応する数の異なるコア上で実行することができ、または単一のコア上で実行することができる。
[0049]図6Bとは対照的に、図6Cは、ISRが複数のコア上で実行するタスクの一部分をプリエンプトする実装形態を示す。図示の通り、ISRタイムウィンドウ612は、第3および第4のコア上のタスクτおよびτの実行をプリエンプトするように生成されてよい。しかしながら、第1および第2のコア上で実行するタスクはプリエンプトされない。この例では、プリエンプトされたタスクにその実行を完了できるように十分な実行時間を与えるために、タイムウィンドウ602は、ISRタイムウィンドウ612に配分された時間に相当するように延長される。それゆえ、第1および第2のコア上で実行するタスクは、それらが実行することができる延長された時間を有する。第1および第2のコア上で実行するタスクがスラックリクエスタ(下記においてより詳細に記述される)である場合、タスクはISRタイムウィンドウ612からの追加時間に起因する延長された時間を消費することができ、また、第3および第4のコア上で実行するタスクは実行を完了することができる。
[0050]上述のように、生じる割込みを周期的に処理するようにISRタイムウィンドウが予め設定される場合、ISRタイムウィンドウに関連付けられた割込みがいつ生じるか、および、対応するアクティブなスライディングタイムウィンドウのプリエンプトがいつサービスされるかに関わらず、スライディングウィンドウは望ましい時間内に実行を完了することができる。
[0051]ある実施形態において、スライディングタイムウィンドウは、最早開始時刻を決定する追加のパラメータによって構成される選択肢を提供することができ、決定された予め設定された開始時刻およびスライディングウィンドウが最早開始時刻と予め設定された開始時刻の間ではあるが最早開始前ではないより早い時点にスライドすることができる以前に、最早開始時刻が生じる。最早開始時刻はスライディングタイムウィンドウに関する最早開始時刻であるので、ランタイムで、タイムウィンドウに関連付けられたタスクは最早開始時刻と予め構成された開始時刻の間の時刻に実行を開始する。少なくとも1つの例示の実装形態において、最早開始時刻の決定は、入力/出力などのコンピュータリソースがタスクの実行に備える前のタスクの実行を妨げることができる。さらに、最早開始時刻の決定は、タイムウィンドウが、周期性を乱すようなより早い時刻にスライドすることを妨げることができる。
[0052]図7は、いくつかのタイムウィンドウ701〜704に関してタイムライン700を示し、タイムウィンドウ702〜704はそれぞれ決定された最早開始時刻710〜712を有する。第1のタイムウィンドウ701はISRタイムウィンドウであり、最早開始時刻は予め設定された開始に対応する。第2のタイムウィンドウ702は、ISRタイムウィンドウの最早開始時刻に対応する最早開始時刻710を有する。サービスする割込みが無い場合、第2のタイムウィンドウ702は、少なくとも最早開始時刻710にスライドして、任意の関連するタスクの実行を開始することができる。第3のタイムウィンドウ703は最早開始時刻711を有し、第4のタイムウィンドウは最早開始時刻712を有する。少なくとも1つの実装形態において、タスクのそれぞれについての最早開始時刻と開始時刻との差は、割込みが生じる場合に割込みのサービスにとって十分な時間を可能にするためにISRタイムウィンドウに配分されたバジェット以上である。
[0053]スラックスケジューリングは、時間区分されたシステムにおいてスケジュールされない、または使用されないCPU時間を利用する手段を従来的に指している。主に、固定タイムウィンドウによって使用可能であった2つのスラックのソースがある。これらのスラックのソースは一般に、本明細書において「タイムラインスラック」および「再利用スラック(reclaimed slack)」と記述される。タイムラインスラックは一般に、割り振られないプロセッサ時間を指す。タスクに配分されたバジェットは、タスクごとに確保された最大実行時間である。タイムライン上のすべてのタスクのためにバジェットされたCPU時間全体を合計すると、メジャーフレームのバジェットの総計は、メジャーフレームの全利用可能時間の100パーセント未満であるのが一般的である。タイムライン上で確保されない時間は合計され、利用可能なタイムラインスラックを表す。タイムラインスラックは、設定時刻における実行前に決定でき、算出される。さらに、タイムラインスラックは決定性のものであり、また、割り振られないCPU時間は、各メジャーフレームの開始においてスラックアカウントに明示的にデポジットされ得、ここで、スラックアカウントはさまざまな利用可能なスラックのソースによって生成されたスラック時間の総計である。
[0054]タイムラインスラックはバジェットされない時間を表すのであるが、これとは対照的に、再利用スラックは、タスクの実行中使用されないバジェットされたCPU時間を表す。たとえば、タスクが実行し、その最悪バジェットに関する周期について配分されたバジェットを消費することなく早期に完了すると、スラックアカウントに、残りの使用されないバジェットされた時間の潜在的なデポジットが行われる。タイムラインスラックはランタイム以前に決定できるのに対して、再利用スラックはランタイムに決定される。
[0055]ある実施形態においては、タイムラインスラックおよび再利用スラックによってスラックアカウントにデポジットされたスラックを消費するために、タスクのサブセットが予め設定されてスラックリクエスタとして機能する。スラックリクエスタは、スラックを消費することができるタスクである(スラックアカウントから明示的なウィズドローアル(withdrawal)を行う)。ある実装形態において、すべてのスケジュール設定されたタスクはスラックアカウントへの時間のデポジットを行うことができてよいが、スラックリクエスタとして指定されたタスクのサブセットはスラックアカウントから時間をウィズドローすることができる。少なくとも1つの例において、配分されたバジェットが消費されるが、その周期のタスクがまだ実行を完了していない間は、スラックリクエスタはスラックアカウントからスラックをウィズドローすることを妨げられる。スラックリクエスタがその配分されたバジェットを消費したが未だ実行を完了していない場合、スラックリクエスタタスクは、スラックアカウントから追加の実行時間を許可される資格を有するようになる。スラックリクエスタが資格を有するようになる場合、スラックリクエスタは、スラックアカウントから利用可能なスラック時間のすべてまたは一部分をウィズドローすることができる。少なくとも1つの実装形態においては、資格を有する複数のスラックリクエスタタスクがあるが、この資格を有するスラックリクエスタタスクは、優先度に基づいてスラックアカウントからスラックをウィズドローすることができる。さらに、スケジューラがレートモノトニックスケジューラである場合、より高速で実行するスラックリクエスタタスクは、より低速で実行するタスクよりも高い優先度が与えられる。スラックリクエスタタスクがスラックアカウントの利用可能なスラック時間を使い果たし、続くタスクがスラックを生成しスラックアカウントにデポジットする場合、スラックリクエスタタスクは再びスケジュール設定され、新しく生成されたスラック時間へのアクセスを与えられ得る。レートモノトニックスケジューラは実行する準備のできた最優先のスレッドをスケジュール設定するので、スラックは、最優先のスラックリクエスタによって消費されることになる。
[0056]さらなる実施形態においては、スケジューラがスライディングタイムウィンドウを実施するのであるが、スラックの追加のソースが示される。スライディングウィンドウの概念は、従来のスラックの概念に加えて、2つの新しいスラックの概念を可能にする。これらは、ウィンドウタイムラインスラックおよびウィンドウ再利用スラックであり、本明細書においては、まとめて「タイムウィンドウスラック」として参照される。タイムウィンドウスラックは、時間区分されたタスクまたは時間区分されないタスクをホストするスケジューラに適用され得る。図8は、タイムウィンドウスラックのデポジットおよびウィズドローを説明する、タイムライン800を示す図である。タイムウィンドウスラックは、2つのレベルのスラックを含む。第1のレベルのスラックは複数のコアにわたって及ぶスラックを含み、従来のタイムラインスラックおよび再利用スラックに対応する第2のレベルのスラックはスケジューラインスタンス内に付与される。明確にするために、これらの第2のレベルのスラックの構成要素は本明細書において「スケジューラインスタンスタイムラインスラック」として参照され、「再利用スラック」は本明細書において「スケジューラインスタンス再利用スラック」と呼ばれる。第1のレベルに関して、タイムウィンドウスラックはすべてのコアに適用される。第1のレベルでは、同一のスラックが異なるコアにわたってタイムウィンドウスラックアカウントにデポジットされ、ゆえに、同一のスラックは複数のコアにわたって実行するスケジューラインスタンスのすべてに利用可能になる。第1のレベルにおけると同様に、複数のコアにわたる複数のスケジューラインスタンスからの同一のスラックのデポジットは、第1のレベルの付与である。ある実装形態において、タイムウィンドウによって生成されたスラック(後続するウィンドウに利用可能である)は、それゆえ、タイムウィンドウのバジェットされた期間と、タイムウィンドウ内の複数のコア上のスケジューラインスタンスのいずれかによって用いられる最大CPU時間との差である。第2のレベルに関して、スケジューラインスタンススラックは、そのスケジューラインスタンスに関連付けられたタスクのさらなる実行のために、スケジューラインスタンス内にデポジットされる。
[0057]ある実施形態において、利用可能なタイムウィンドウスラックは、スライドできないウィンドウの完了時に初期設定され、各ウィンドウがその特定された期間よりも早く完了する時間量に等しい分だけ増大される。スラック時間は、たとえば周期終了時間などの期限、つまり蓄積されるスラック時間を加算する現在の時間より遅い期限を有するすべてのタスクによって使用可能である。
[0058]ある実装形態において、最速レートを備えるスラックコンシューマの周期は、マイナーフレームと等しくてよい。最速レートの周期がマイナーフレームに等しい場合、利用可能なタイムウィンドウスラックは各マイナーフレームの開始時に初期設定され得る。下記において、スラックに関して、最速レートの周期はマイナーフレームと呼ばれる。タイムウィンドウスラックアカウントへのデポジットおよびタイムウィンドウスラックアカウントからのウィズドローアルは、スライディングタイムウィンドウの前後関係によって実行される。タスクがマイナーフレーム内で実行されると、タイムウィンドウスラックはスラックアカウント内に蓄積する。したがって、マイナーフレーム内のより早い時点のタイムウィンドウは、マイナーフレーム内のより遅い時点のためにスケジュール設定されたタイムウィンドウによって利用されることになるスラックアカウント内にスラックをデポジットする。ISRタイムウィンドウは2つの場合にスラックをデポジットすることができる。第一に、ISRタイムウィンドウがもはや割込みをサービスすることがないことを示す場合、たとえば、そのサービスするハードウェアに不備があると判断する場合、または他の条件が満たされる場合である。第二に、ISRウィンドウは、早期にスライドできないウィンドウに先立つ最後のウィンドウの終了時において、この状況においてはISRのバジェットはその時点で期限切れになるため、スラックに付与する。通常のウィンドウのように、ISRウィンドウはスラックを消費してよい。ISRが割込みをサービスしようとする場合、ISRタイムウィンドウは上述のようにマイナーフレーム内の任意の時間に実行し得るので、ISRはスラックをデポジットしない。
[0059]図8は、タイムウィンドウスラックアカウントにデポジットしタイムウィンドウスラックアカウントからウィズドローする、スライディングタイムウィンドウによって保有される能力をタイムライン800上に示す。図示の通り、タイムライン800は3つのマイナーフレーム801、802および803に分割される。タイムウィンドウスラックアカウント840および841は、第1のマイナーフレーム801および第2のマイナーフレーム802に関して示される。第1のマイナーフレーム801は、タイムウィンドウスラックアカウント840に関連付けられる。第2のマイナーフレーム802は、タイムウィンドウスラックアカウント841に関連付けられる。各スラックアカウントは、関連するマイナーフレームの開始時に初期設定され、その結果、各スラックアカウントは関連するマイナーフレームの開始時にゼロのスラック時間を有する。
[0060]ある実装形態においては、ISRをサービスするための周期がマイナーフレームのための周期と等しいが、ISRタイムウィウィンドウは各マイナーフレームの開始時にスケジュール設定され、この実施形態では、ISRタイムウィンドウは始めから終わりまで割込みをサービスし続け、ISRタイムウィンドウは、スラック時間をデポジットまたはスラックアカウントからウィズドローしない。図示の通り、各マイナーフレーム801〜803は、スケジュール設定されたそれぞれのISRタイムウィンドウ820〜822を備える。各ISRタイムウィンドウ820〜822は、ISRタイムウィンドウによってスラック時間がウィズドローされることもタイムウィンドウスラックアカウントにデポジットされることもないことを示すために、線を引いて消された両側向きの矢印を有する。しかしながら、ISRタイムウィンドウ以外のタイムウィンドウは、スラックアカウントにスラックをデポジットすることができる。たとえば、タイムウィンドウ810〜814はスラックアカウント840および841にスラックをデポジットすることができる。さらに、ギャップウィンドウ830はスラックアカウント840および841にスラックをデポジットすることができる。上述のように、すべてのタイムウィンドウがスラックアカウント840および841からスラックをウィズドローすることができるわけではない。たとえば、それぞれのスラックアカウント840および841を指す一方向の矢印によって示されるように、マイナーフレーム801および802の第1のタイムウィンドウ810および812は、スラックアカウント840および841からスラックをウィズドローすることはできない。スラックがスラックアカウント840および841に加えられるこの方法のために、第1のタイムウィンドウ810および812が実行のためにスケジュール設定されるとき、スラックアカウント840および841にはスラックが無いのが一般的である。さらに、ギャップウィンドウ830は、いかなる実行可能なスレッドにも関連付けられず、それゆえ、スラックアカウント840および841からスラックをウィズドローすることはできない。ギャップウィンドウ830は、タイムウィンドウ810および812などの第1のタイムウィンドウの前にスケジュール設定され得る。ギャップウィンドウがマイナーフレームの第1のタイムウィンドウの前にスケジュール設定される場合、ギャップウィンドウからスラックアカウント840および841へのスラックのデポジットは、第1のタイムウィンドウ810および812によるウィズドローアルのために利用可能となり得る。その結果、関連するタイムウィンドウの期間が完了する前にタスクが実行を終了すると、スライディングタイムウィンドウに関連付けられたタスクの実行中にスラックは利用可能となり、かつ、スラックアカウント840および841にデポジットされる。
[0061]スライディングタイムウィンドウの場合、スケジューラインスタンスタイムラインスラックとスケジューラインスタンス再利用スラックはいずれもスラックのためのソースとして機能することができる。上述のように、スケジューラインスタンスタイムラインスラックは、スケジューラインスタンスのタイムウィンドウ内の割り振られない処理装置時間である。タイムウィンドウが設定されるとき、スケジューラインスタンスタイムラインスラックは、実行前に決定され、算出され得る。スケジューラインスタンスタイムラインスラックは、タイムウィンドウが設定されるとき、またはランタイム中にスケジューラインスタンススラックアカウントに加えられ得る。スケジューラインスンスタイムラインスラックは決定性のものであるので、割り振られない処理装置時間は、適切な時間にスケジューラインスタンススラックアカウントに明示的にデポジットされ得る。少なくとも1つの実装形態において、タイムライン中のギャップは、関連するスケジュール設定されたインスタンスを備えないタイムウィンドウに類似し、次のタイムウィンドウがスライド可能である限りタイムウィンドウスラックとして扱われる。少なくとも1つの実装形態において、タイムウィンドウは、スラックが利用可能である場合に実行し得る少なくとも1つのスラックリクエスタタスクに関連付けられた少なくとも1つの関連するスケジューラインスタンスを備える。タイムライン中のギャップは実行可能なタスクに関連付けられないので、ギャップに割り振られた時間は決定性的に両方のコアに関してスラックアカウントに加えられてよい。別法として、ギャップウィンドウに割り振られた時間は、同時に両方のコアに適用されるタイムウィンドウスラックとして用いられてもよい。
[0062]上述のようなある実施形態において、スケジューラインスタンス再利用スラックは、スケジューラインスタンススラックの別のソースとしての役割を果たすことができる。上述のように、スケジューラインスタンス再利用スラックは、タスクが実行を完了するときに使用されなくなるバジェットされた処理装置の実行時間である。たとえば、タスクが実行し、最悪バジェットに対して早期に完了すると、スケジューラインスタンススラックアカウントに、残りの使用されないバジェットされた時間の潜在的なデポジットが行われる。スケジューラインスタンスタイムラインスラックとは対照的に、スケジューラインスタンス再利用スラックの量はランタイム前に決定され得ないので、再利用スラックの決定は限定される。さらに、タスクが配分されたバジェットに対して早期に完了する場合にスラックが加えられるので、スケジューラインスタンス再利用スラックは決定性のあるものではない。上記段落[0058]において記述されるように、割込みサービスルーチンまたはISRタイムウィンドウからのスケジューラインスタンス再利用スラックは、スラックアカウントに加えられ得、または加えられ得ない。ISRウィンドウは、割込みが生じる場合に存在するスライディングタイムウィンドウをプリエンプトするので、ISRがバジェットを取得したときと、スライドすることを妨げられる次のウィンドウとの間の区間のどこにおいても割込みの複数発生が生じ得る可能性があり、それゆえ、完全なISRバジェットは、区間内のいつでも生じ得る複数の割込みをサービスするために用いられ得る。したがって、割込みが区間中にサービスされることを要する限り、使用されないISRバジェットはスラックとして用いられることを妨げられ得る。図9A〜図9Dは、スライディングタイムウィンドウ920〜925を備えるシステムにおけるさまざまなレベルのスラックの実装形態を示す、タイムライン900の一連の図を表す。図9Aは、予め設定されたタイムライン900を示す。図示の通り、タイムライン900は、第1のマイナーフレーム901および第2のマイナーフレーム902を含むタイムライン900の一部分を示す。続く図9B〜図9Dでは、第1のマイナーフレーム901のみが示される。さらに、上述のように、タスクの周期性のために、タイムウィンドウスラックは、第1のマイナーフレーム901および第2のマイナーフレーム902のそれぞれの開始時に再び始動する。図9に示されるように、複数のギャップウィンドウ910および911がある。ウィンドウ912もある。ギャップウィンドウとウィンドウ912の違いは、ギャップウィンドウはスケジューラインスタンスに関連付けられないのに対して、ウィンドウ912は、利用可能なタイムウィンドウスラックがある場合に実行し得るスラックリクエスタタスクによって、1つまたは複数のスケジューラインスタンスに関連付けられることである。ギャップウィンドウ910および911に関連付けられた時間は、コア1およびコア2の両方に関してタイムウィンドウスラックアカウントに加えられるタイムラインスラックに関連付けられる。さらに、スケジューラインスタンスのタイムラインスラックのソースがある。たとえば、コア1上で実行するタスクが無く、コア2上で実行するタスクがあるスケジューラインスタンス内に、ギャップ930および931がある。同様に、コア2上で実行するタスクが無く、コア1上で実行するタスクがあるスケジューラインスタンス内には、コア2上にスケジューラインスタンスのギャップ932がある。図9B〜図9Dは、ランタイムに生じる、タイムライン900における変更形態を示す。ギャップウィンドウ910、911および913は、ランタイムの前に決定性的に決定され得るタイムウィンドウスラックのソースである。同様に、スケジューラインスタンスのギャップ930、931および932は、スケジューラインスタンスタイムラインスラックのソースであり、これらもまた、ランタイムの前に決定性的に決定され得る。
[0063]図9Aとは対照的に、図9Bは、配分された実行時間のすべてを使い果たすことなくタスクが実行を完了する場合に生じるスケジューラインスタンス再利用スラックの非決定性のソースを示す。図示の通り、早期に実行を完了するタスクは、消費時間940、941、942、943および944によって示される。詳細には、タスクτは、消費時間940を用いるので、早期に実行を終了する。同様に、タスクτは消費時間941を用い、τは消費時間942を用い、τは消費時間943を用い、τは消費時間944を用いる。タスクτ、τ、τ、τおよびτはすべて、配分されたバジェットのすべてを消費することなく実行を終了するので、消費されないバジェットされた時間はスケジューラインスタンス再利用スラック950、951、952、953および954として利用可能となる。
[0064]図9Cは、スケジューラインスタンス内でスケジューラインスタンス再利用スラックを消費するためのタスクの統合を示す。スケジューラインスタンス内でタスクが統合される場合、スケジューラインスタンス再利用スラックの中にはタイムウィンドウスラックになり得るものもある。たとえば、タイムウィンドウ921のコア1上で、τおよびτが実行した後、スケジューラインスタンス内に残る時間の一部分がまだある。同様に、τが実行した後も、スケジューラインスタンス内に残る時間の一部分がある。すべてのコアにわたって残る、共通部分を有する時間の量は、ランタイムのタイムウィンドウスラック960となることができる。同様に、タイムウィンドウ922には、スケジューラインスタンス再利用スラックに起因するランタイムのタイムウィンドウスラック961によって表される、共通の消費されないバジェットの一部分がある。ランタイムのタイムウィンドウスラック960および961は、次に、ギャップウィンドウ910によって提供されるタイムウィンドウスラックに加えられ得る。
[0065]図9Dは、すべての利用可能なタイムウィンドウスラックを得るためにタイムライン900に加えられる調整を示す。図示の通り、タイムウィンドウ922はより早い時点にスライドすることができ、タイムウィンドウ922は、ギャップウィンドウ910へのランタイムのタイムウィンドウスラック960の追加に等しい量だけスライドする。それゆえ、タイムウィンドウ922に関連付けられたタスクは、より早く実行し、より早く実行を完了することができ、その結果、タイムウィンドウ922に関連付けられたタスクが実行を完了すると、次に、ギャップウィンドウ910へのランタイムのタイムウィンドウスラック960および961の追加に等しいスラック時間がマイナーフレーム901内に残される。残りのスラックを消費するために、タイムウィンドウ912もまた、タイムウィンドウ922の終了までのより早い時点にスライドすることができ、タイムウィンドウ912の期間は、マイナーフレーム901の終了時の利用可能なスラック時間と等しくなるように変更される。調整されたタイムウィンドウ912内で、関連するスラックリクエスタτおよびτは実行することができ、マイナーフレーム901の残りのスラックを消費する。代替の実装形態では、タイムウィンドウ922のスラックリクエスタは残りのスラックを消費することができる。さらに、τなどのスラックリクエスタタスクは、タイムウィンドウスラックの統合の後に残るスケジューラインスタンススラックについてそれぞれのスケジューラインスタンス内でスラックを消費することもできる。
[0066]スラックを用いる場合、スケジューラは、スケジューラインスタンスにおいてスラックを利用するタスクを有するスライディングタイムウィンドウより前に、タイムライン内の適切な大きさのギャップにバジェットを配分することができる。ギャップは本質的に、タイムウィンドウスラックアカウントにデポジットされたタイムラインスラックとして機能する。さらに、最初に、設定において、スラックを利用するスケジューラインスタンスを備えるスライディングウィンドウは、スライドすることができないウィンドウ、すなわちスラックが期限切れとなるウィンドウの直前に生成され得る。スライディングウィンドウは、他のスケジュール設定されたタイムウィンドウの実行を通して蓄積された利用可能なタイムウィンドウスラックを利用する。マイナーフレームの終了時に最初にスライディングタイムウィンドウをスケジュール設定することによって、発展するスラックは、非スライディングウィンドウが開始するときに失われるのではなく利用され得る。
[0067]図10は、タイムライン1000上の単一のマイナーフレームに関して、タイムウィンドウの期間の割当てを示す。上記に図示および記述されるように、時間の最初のバジェットは、ISRタイムウィンドウ1030を通じて割込みサービスルーチンの実行のために配分され得る。さらに、バジェットは、タスクの実行のためにスライディングタイムウィンドウ1010、1011および1012について配分される。さらに、ギャップウィンドウ1020および1021はウィンドウ1050と共にタイムライン1000上にスケジュール設定される。ギャップウィンドウは関連するスケジューラインスタンスを備えないので、ギャップウィンドウに配分された時間はタイムウィンドウスラックアカウントにデポジットされる。ギャップウィンドウからの時間がタイムウィンドウスラックアカウントにデポジットされる場合、マイナーフレーム内でギャップウィンドウの後にあるタイムウィンドウのスラックリクエスタによる使用のために利用可能となる。たとえば、ギャップウィンドウ1020からスラックアカウントにデポジットされた時間は、利用可能なスラック1040として表されるが、タイムウィンドウ1010、1011および1012のスラックリクエスタによる使用が可能である。加えて、ギャップウィンドウ1021からスラックアカウントにデポジットされた時間は、利用可能なスラック1040、およびタイムウィンドウ1010に関連付けられたタスクの早期の完了によって利用可能にされたスラックと併せて(総計が利用可能なスラック1041として表される)、タイムウィンドウ1011および1012のスラックリクエスタによる使用のために利用可能であり、また、ギャップウィンドウ1021がタイムウィンドウ1010に後続するので、タイムウィンドウ1010が利用することはできない。さらに、タイムウィンドウ1012に関連付けられたタスクが実行を完了した後にタイムウィンドウスラックアカウントに残される時間は、ウィンドウ1050に関連付けられたスラックリクエスタによって用いられ得る。タイムウィンドウスラックアカウントと併せてスライディングタイムウィンドウを用いることによって、処理エンティティは、より効率的にタスクを処理することができる。
[0068]図11は、少なくとも1つの処理装置上でのタスクの実行をスケジュール設定するための方法1100の流れ図である。方法1100は、少なくとも1つの処理装置上での実行のために複数のタスクが特定される1102において進行する。方法1100は次に、複数のタスクが複数のスケジューラインスタンスに関連付けられる1104において進行する。方法1100は次に1106において進行し、ここでは複数のスケジューラインスタンスは複数のタイムウィンドウに関連付けられ、複数のスケジューラインスタンス中の各スケジューラインスタンスは、複数のタイムウィンドウ中の1組のタイムウィンドウと各タイムウィンドウの少なくとも1つの処理装置中の1組の処理装置とに関連付けられる。さらに、複数のタイムウィンドウ中の各タイムウィンドウは開始時刻および配分された期間を有し、タイムウィンドウに関連付けられたスケジューラインスタンスは関連するタスクの実行を開始時刻以降に開始し、かつ配分された期間を超えずに実行する。ある実装形態において、方法1100は、タイムウィンドウの開始時刻がより早い時点にスライドする1108において進行する。
[0069]実施例1はタスクの実行をスケジュール設定するためのシステムを含み、このシステムは、複数のタスクを実行するように構成された少なくとも1つの処理装置を備え、複数のタスク中の各タスクは複数のスケジューラインスタンス中の1つのスケジューラインスタンス内で実行するようにスケジュール設定され、複数のスケジューラインスタンス中の各スケジューラインスタンスは複数のタイムウィンドウ中の1組のタイムウィンドウと各タイムウィンドウの少なくとも1つの処理装置中の1組の処理装置とに関連付けられ、複数のタイムウィンドウ中の1つまたは複数のタイムウィンドウは開始時刻および配分された期間を有し、1つまたは複数のタイムウィンドウに関連付けられたスケジューラインスタンスは関連するタスクの実行を開始時刻以降に開始し、かつ配分された期間を超えずに実行し、開始時刻はより早い時点にスライド可能である。
[0070]実施例2は実施例1のシステムを含み、スケジューラインスタンスに関連付けられた複数のタスク中の1組のタスクが配分された期間に関連付けられたすべての時間を消費することなく実行を完了する場合、複数のタイムウィンドウ中のタイムウィンドウについて実行された期間は配分された期間より短い。
[0071]実施例3は実施例1および実施例2のいずれかのシステムを含み、少なくとも1つの割込みサービスルーチンのタイムウィンドウがスケジュール設定され、割込みサービスルーチンのタイムウィンドウの期間は割込みをサービスするために利用可能な時間を表す。
[0072]実施例4は実施例3のシステムを含み、割込みサービスルーチンのタイムウィンドウの直後にスケジュール設定される、複数のタイムウィンドウ中の次のタイムウィンドウは、割込みサービスルーチンのタイムウィンドウの開始時刻に対して残りの時間に等しい時間区間だけスライドする開始時刻を有し、残りの時間は、割込みサービスルーチンのサービスにおいて割込みサービスルーチンのウィンドウによって用いられない時間を表す。
[0073]実施例5は実施例4のシステムを含み、残りの時間は次のタイムウィンドウが実行を開始した後に受け取られる少なくとも1つの割込みをサービスするために用いられ、現在実行中のタイムウィンドウは、少なくとも1つの割込みのサービスのために、残りの時間以下の一定期間プリエンプトされる。
[0074]実施例6は実施例5のシステムを含み、少なくとも1つの処理装置中の処理装置のサブセットのみが、少なくとも1つの割込みのサービスのためにプリエンプトされる。
[0075]実施例7は実施例1から実施例6のいずれかのシステムを含み、タイムウィンドウスラックが蓄積され、このタイムウィンドウスラックは複数のタイムウィンドウ中の少なくとも1つのタイムウィンドウに関連付けられた少なくとも1つのスラックリクエスタの実行のために用いられる。
[0076]実施例8は実施例7のシステムを含み、スケジューラインスタンスタイムラインスラックおよびスケジューラインスタンス再利用スラックはスケジューラインスタンスに関して監視され、少なくとも1つの処理装置にわたって共通であるスケジューラインスタンスタイムラインスラックおよびスケジューラインスタンス再利用スラックは、タイムウィンドウスラックに付与する。
[0077]実施例9は実施例8のシステムを含み、スケジューラインスタンス再利用スラックは、スケジューラインスタンスに関連付けられたタスクがスケジューラインスタンスの配分された期間に先立って実行を完了する場合に生じる。
[0078]実施例10は実施例7から実施例9のいずれかのシステムを含み、タイムウィンドウスラックアカウントは複数のタイムウィンドウ中の固定タイムウィンドウが実行を開始するときにリフレッシュされ、固定タイムウィンドウはより早い時点にスライドできない固定開始時刻を有する。
[0079]実施例11は実施例1から実施例10のいずれかのシステムを含み、複数のタイムウィンドウ中の第1のタイムウィンドウの終了の後に複数のタイムウィンドウ中の第2のタイムウィンドウをスケジュール設定することをさらに含み、この第2のタイムウィンドウは少なくとも1つのスラックリクエスタによって少なくとも1つのスケジューラインスタンスに関連付けられる。
[0080]実施例12は、少なくとも1つの処理装置によるタスクの実行をスケジュール設定するための方法を含み、この方法は、少なくとも1つの処理装置上での実行のために複数のタスクを特定すること、複数のスケジューラインスタンスによってスケジュール設定されることになる複数のタスクを関連付けること、複数のスケジューラインスタンスを複数のタイムウィンドウに関連付けることを含み、複数のスケジューラインスタンス中の各スケジューラインスタンスは複数のタイムウィンドウ中の1組のタイムウィンドウと各タイムウィンドウの少なくとも1つの処理装置中の1組の処理装置とに関連付けられ、複数のタイムウィンドウ中の1つまたは複数のタイムウィンドウは開始時刻および配分された期間を有し、1つまたは複数のタイムウィンドウに関連付けられたスケジューラインスタンスは関連するタスクの実行を開始時刻以降に開始し、かつ配分された期間を超えずに実行し、方法は、タイムウィンドウの開始時刻をより早い時点にスライドさせることをさらに含む。
[0081]実施例13は実施例12の方法を含み、スケジューラインスタンスに関連付けられた複数のタスク中の1組のタスクが配分された期間に関連付けられたすべての時間を消費することなく実行を完了する場合、複数のタイムウィンドウ中のタイムウィンドウについて実行された期間は配分された期間よりも短い。
[0082]実施例14は実施例13の方法を含み、割込みサービスルーチンのタイムウィンドウをスケジュール設定することをさらに含み、割込みサービスルーチンのタイムウィンドウの期間は割込みを周期的にサービスするために利用可能な時間を表す。
[0083]実施例15は実施例14の方法を含み、割込みサービスルーチンのタイムウィンドウの直後にスケジュール設定される、複数のタイムウィンドウ中の次のタイムウィンドウの開始時刻を、割込みサービスルーチンのタイムウィンドウの開始時刻に対して残りの時間に等しい時間区間だけスライドさせることをさらに含み、残りの時間は、割込みサービスルーチンのサービスにおいて割込みサービスルーチンのウィンドウによって用いられない時間を表し、残りの時間は次のタイムウィンドウが実行を開始した後に受け取られる少なくとも1つの割込みをサービスするために用いられ、現在実行中のタイムウィンドウは、少なくとも1つの割込みのサービスのために、残りの時間以下の一定期間プリエンプトされる。
[0084]実施例16は実施例13から実施例15のいずれかの方法を含み、タイムウィンドウスラックを蓄積することをさらに含み、このタイムウィンドウスラックは、マイナーフレーム内での実行のためにスケジュール設定された少なくとも1つのタイムウィンドウ内の少なくとも1つのスラックリクエスタスレッドの実行のために用いられる。
[0085]実施例17は実施例16の方法を含み、複数のタイムウィンドウ中の固定タイムウィンドウが実行を開始するときにタイムウィンドウスラックアカウントを初期設定することをさらに含み、固定タイムウィンドウはより早い時点にスライドできない固定開始時刻を有する。
[0086]実施例18は実施例16および実施例17のいずれかのシステムを含み、スケジューラインスタンスタイムラインスラックおよびスケジューラインスタンス再利用スラックはスケジューラインスタンスに関して監視され、少なくとも1つの処理装置にわたって共通であるスケジューラインスタンスタイムラインスラックおよびスケジューラインスタンス再利用スラックは、タイムウィンドウスラックに付与する。
[0087]実施例19はタスクの実行をスケジュール設定するためのシステムを含み、このシステムは、複数のタスクを実行するように構成された少なくとも1つの処理装置を備え、複数のタスク中の各タスクは複数のスケジューラインスタンス中の1つのスケジューラインスタンス内で実行するようにスケジュール設定され、複数のスケジューラインスタンス中の各スケジューラインスタンスは複数のタイムウィンドウ中の1組のタイムウィンドウと各タイムウィンドウの少なくとも1つの処理装置中の1組の処理装置とに関連付けられ、複数のタイムウィンドウ中の1つまたは複数のタイムウィンドウは開始時刻および配分された期間を有し、1つまたは複数のタイムウィンドウに関連付けられたスケジューラインスタンスは関連するタスクの実行を開始時刻以降に開始し、かつ配分された期間を超えずに実行し、開始時刻はより早い時点にスライド可能であり、タイムウィンドウスラックが蓄積され、このタイムウィンドウスラックは少なくとも1つのタイムウィンドウに関連付けられた少なくとも1つのスラックリクエスタの実行のために用いられ、少なくとも1つの割込みサービスルーチンのタイムウィンドウがスケジュール設定され、この割込みサービスルーチンのタイムウィンドウは割込みをサービスするために利用可能な時間を表す。
[0088]実施例20は実施例19のシステムを含み、スケジューラインスタンスに関連付けられた複数のタスク中の1組のタスクが配分された期間に関連付けられたすべての時間を消費することなく実行を完了する場合、複数のタイムウィンドウ中のタイムウィンドウについて実行された期間は配分された期間よりも短い。
[0089]本明細書において、特定の実施形態について図示および記述がなされてきたが、同一目的を達成するように意図された任意の調整が、示された特定の実施形態の代わりに用いられ得ることが当業者には理解されよう。それゆえ、本発明は、特許請求の範囲およびその同等のものによってのみ限定されることが明白に意図される。
100 システム
102 処理エンティティ
104 スケジューラ
106 メモリ、リモートメモリ、記憶媒体
108 他のリソース
130 センサ
132 制御インターフェース
134 ユーザ入力デバイス
136 表示装置
200 タイムライン
201 マイナーフレーム
202 マイナーフレーム
203 マイナーフレーム
204 マイナーフレーム
210 スケジューラインスタンスウィンドウ
211 スケジューラインスタンスウィンドウ、POSIXスケジューラインスタンスウィンドウ
212 スケジューラインスタンスウィンドウ
213 スケジューラインスタンスウィンドウ
214 スケジューラインスタンスウィンドウ
215 スケジューラインスタンスウィンドウ、POSIXスケジューラインスタンスウィンドウ
216 スケジューラインスタンスウィンドウ
217 スケジューラインスタンスウィンドウ、ARINC653スケジューラインスタンスウィンドウ
221 タイムウィンドウ
222 タイムウィンドウ
223 タイムウィンドウ
224 タイムウィンドウ
225 タイムウィンドウ
226 タイムウィンドウ
227 タイムウィンドウ
228 タイムウィンドウ
231 スケジューラインスタンスウィンドウ、ARINC653スケジューラインスタンスウィンドウ
232 スケジューラインスタンスウィンドウ、ARINC653スケジューラインスタンスウィンドウ
233 スケジューラインスタンスウィンドウ、POSIXスケジューラインスタンスウィンドウ
234 スケジューラインスタンスウィンドウ、ARINC653スケジューラインスタンスウィンドウ
235 スケジューラインスタンスウィンドウ
236 スケジューラインスタンスウィンドウ、POSIXスケジューラインスタンスウィンドウ
251 処理コア、コア
252 処理コア、コア
300a タイムライン
300b タイムライン
302 タイムウィンドウ
304 マイナーフレーム
306 開始
308 終了、終了時刻
312 タイムウィンドウ
314 マイナーフレーム
316 開始
318 終了
400 タイムライン
401 最早周期の開始時刻
402 最早開始時刻
403 最早開始時刻
410 第1のタイムウィンドウ
411 開始
412 終了
420 第2のタイムウィンドウ
421 開始
422 終了
430 第3のタイムウィンドウ
431 開始
432 第2の部分の開始時刻
433 終了
434 第1の部分
435 第2の部分
500a タイムライン
500b タイムライン
501 第1の最早開始時刻
502 第2の最早開始時刻
503 第3の最早開始時刻
511 第1のISRタイムウィンドウ
512 第2のISRタイムウィンドウ
513 第3のISRタイムウィンドウ
514 第4のISRタイムウィンドウ
520 タイムウィンドウ
522 タイムウィンドウ
551 最早開始時刻
552 最早開始時刻
553 最早開始時刻
561 ISRタイムウィンドウ
562 ISRタイムウィンドウ
563 ISRタイムウィンドウ
564 ISRタイムウィンドウ
570 タイムウィンドウ
572 タイムウィンドウ
602 タイムウィンドウ
604 第1のタイムウィンドウ
606 第2のタイムウィンドウ
608 ISRタイムウィンドウ
612 ISRタイムウィンドウ
700 タイムライン
701 第1のタイムウィンドウ
702 第2のタイムウィンドウ
703 第3のタイムウィンドウ
704 タイムウィンドウ
710 最早開始時刻
711 最早開始時刻
712 最早開始時刻
800 タイムライン
801 第1のマイナーフレーム
802 第2のマイナーフレーム
803 マイナーフレーム
810 第1のタイムウィンドウ
811 タイムウィンドウ
812 第1のタイムウィンドウ
813 タイムウィンドウ
814 タイムウィンドウ
820 ISRタイムウィンドウ
821 ISRタイムウィンドウ
822 ISRタイムウィンドウ
830 ギャップウィンドウ
840 タイムウィンドウスラックアカウント、スラックアカウント
841 タイムウィンドウスラックアカウント、スラックアカウント
900 タイムライン
901 第1のマイナーフレーム
902 第2のマイナーフレーム
910 ギャップウィンドウ
911 ギャップウィンドウ
912 ウィンドウ、タイムウィンドウ
913 ギャップウィンドウ
920 スライディングタイムウィンドウ
921 スライディングタイムウィンドウ、タイムウィンドウ
922 スライディングタイムウィンドウ、タイムウィンドウ
923 スライディングタイムウィンドウ
924 スライディングタイムウィンドウ
925 スライディングタイムウィンドウ
930 ギャップ
931 ギャップ
932 ギャップ
940 消費時間
941 消費時間
942 消費時間
943 消費時間
944 消費時間
950 スケジューラインスタンス再利用スラック
951 スケジューラインスタンス再利用スラック
952 スケジューラインスタンス再利用スラック
953 スケジューラインスタンス再利用スラック
954 スケジューラインスタンス再利用スラック
960 ランタイムのタイムウィンドウスラック
961 ランタイムのタイムウィンドウスラック
1000 タイムライン
1010 スライディングタイムウィンドウ、タイムウィンドウ
1011 スライディングタイムウィンドウ、タイムウィンドウ
1012 スライディングタイムウィンドウ、タイムウィンドウ
1020 ギャップウィンドウ
1021 ギャップウィンドウ
1030 ISRタイムウィンドウ
1040 利用可能なスラック
1041 利用可能なスラック
1050 ウィンドウ

Claims (3)

  1. プロセッサであって、
    複数の処理装置と、スケジューラを備え、
    前記複数の処理装置が、複数のタイムウィンドウの少なくとも1つの間に、複数のタスクのそれぞれを、同時に実行するように構成され、前記複数のタイムウィンドウの各々が、それぞれの特定の開始時刻を有し、前記複数のタイムウィンドウの各々が、複数の処理装置に共通であり、
    前記スケジューラが、
    前記複数のタイムウィンドウの中の第1のタイムウィンドウに対応する、事前実行時間で決定可能なスラックを決定し、
    前記複数のタイムウィンドウの中の前記第1のタイムウィンドウにおいて、実行時間でのみ決定可能なスラックを決定し、
    前記処理装置の各々において、同時に、前記複数のタイムウィンドウの中の第2のタイムウィンドウの実際の開始時刻を、前記複数のタイムウィンドウの中の前記第2のタイムウィンドウの前記特定の開始時刻に対して、i)前記決定された、事前実行時間で決定可能なスラックと、ii)前記決定された、実行時間でのみ決定可能なスラック、の合計を超えない程度だけ早めさせて、前記複数のタイムウィンドウの中の第2のタイムウィンドウの実際の開始時刻を、前記複数のタイムウィンドウの中の前記第1のタイムウィンドウの実際の終了時刻以降の、より早い時刻にし、前記複数のタイムウィンドウの中の前記第2のタイムウィンドウが、前記複数のタイムウィンドウの中の前記第1のタイムウィンドウの直後の次のタイムウィンドウである、
    ように構成される、
    プロセッサ。
  2. 少なくとも1つの割込みサービスルーチンのタイムウィンドウがスケジュール設定され、前記割込みサービスルーチンのタイムウィンドウの期間は割込みをサービスするために利用可能な時間を表す、請求項1に記載のシステム。
  3. 事前実行時間で決定可能なスラックが蓄積され、前記複数のタイムウィンドウの少なくとも1つに関連付けられた少なくとも1つのスラックリクエスタの実行のために用いられる、請求項1に記載のシステム。
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