JP6797397B2 - 越波式波力利用装置及び越波式波力利用施設 - Google Patents

越波式波力利用装置及び越波式波力利用施設 Download PDF

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Description

本発明は、海洋又は河川等の水面に設置されて波を取り込み、貯えた水のエネルギーを利用する越波式波力利用装置及び越波式波力利用施設に関する。
海洋又は河川等に設置され、波を利用して発電等を行う装置は従来から提案されている。
例えば特許文献1には、水上に浮かぶ浮体に、上下揺加速度を発信する加速度計と、バラスト水量を発信するバラストタンクと、バラストタンクに水を出し入れする水ポンプと、同調制御器とを備え、バラスト水量を増減して上下揺を同調させる波力発電用浮体が記載されている。
また、特許文献2には、水面下に設置され、波の来る方向に所定間隔で配列された対をなす空気室と、両空気室を連結する管と、管内に設けられた発電機室とを備え、波により生ずる圧力変動で両空気室が交互に収縮・膨張することによって空気が流動して発電する波力発電装置が記載されている。
また、特許文献3には、波の遡上高さを高くしてより高い越波揚程を確保し、それによって大きな発電エネルギーを得ることを目的として、水槽と、波を水槽に導く傾斜体とを備え、上り勾配で設置された傾斜体には流路絞り部が設けられている越波式波力発電装置が記載されている。
特開昭52−15945号公報 特開昭57−183574号公報 特開2015−135094号公報
特許文献1及び特許文献2は、波を取り込み、貯えた水のエネルギーを利用して発電等を行う越波式波力利用装置に関する発明ではない。
特許文献3は、越波式波力発電装置に関する発明である。しかし、このような従来の越波式波力利用装置は、波の波長が長くなると装置が波とともに上昇(いわゆる波乗り)し、取り込まれる波の量が減少して発電効率等が低下してしまう。
そこで本発明は、越波式波力利用装置及び越波式波力利用施設において、波の波長が長くなったときに越波式波力利用装置が波とともに上昇することを抑制してより多くの波を取り込み、発電等の効率を向上させることを目的とする。
請求項1記載に対応した越波式波力利用装置においては、波を取り込む水面に浮遊して臨んだ貯水手段と、貯水手段の上部に設けた波を取り込む開口と、貯水手段の上面全体にわたって開口から外方向に傾斜させて設けた傾斜板と、水中に設けられ水圧により伸縮する水圧伸縮手段と、貯水手段と水圧伸縮手段を連結する連結手段と、貯水手段又は水圧伸縮手段を水底に係止する係止手段と、貯水手段に貯えた水を利用する利用手段とを備え、水圧伸縮手段が波の到来による水圧の変化により縮み、連結手段を介して貯水手段を水面に対してより低い位置に臨ませ、全方向から到来した波を傾斜板から開口を介して、より多く貯水手段に取り込むことを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、波の波長が長く波高が高くなると、水中に配置された水圧伸縮手段は水圧によって縮み、寸法が小さくなり又は全体の浮力が小さくなるので、水圧伸縮手段の上方に連結された貯水手段が連結手段を介して水中に引き込まれる。これにより、貯水手段が波とともに上昇すること(いわゆる波乗り)を抑制できる。波乗りを抑制することで波が貯水手段を越えやすくなり、より多くの水を貯水手段に取り込むことができるので、波のエネルギーを利用した発電等の効率が向上する。また、傾斜板を設けることで、波が貯水手段の上部まで到達しやすくなり、貯水手段により多くの波を取り込むことができる。
請求項2記載の本発明は、貯水手段は、その下部に貯えた水を放流する放流管を有していることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、水を貯水手段の高い位置に貯えて下方へ放流することで、波のエネルギーを有効に利用できる。
請求項3記載の本発明は、貯水手段の上面に乗り上がった波を開口に導くガイド板を設けたことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、貯水手段の上面に乗り上がった波が開口に導かれやすくなる
請求項4記載の本発明は、利用手段は、放流管に臨ませたタービンを回転させて発電を行う発電機であることを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、貯水手段内を流れ落ちる水のエネルギーによりタービンを回転させて発電を行う、効率の良い越波型波力発電装置を実現できる。
請求項5記載の本発明は、貯水手段が所定の浮力を有し、連結手段として設けた連結索により貯水手段が水圧伸縮手段に連結されていることを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、貯水手段に浮力を付与する浮力付与手段を別途設ける必要が無い。また、水圧伸縮手段を貯水手段から所定距離下方に配置することができる。
請求項6記載の本発明は、水圧伸縮手段の一部もしくは全部が内部に気体を封入した可撓性の材料で構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、可撓性の材料で構成された部分が水圧で圧縮されることにより、水圧伸縮手段を縮ませ寸法を小さくすること又は全体の浮力を小さくすることができる。
請求項7記載の本発明は、係止手段は、水圧伸縮手段を水底に係留する係留索、もしくは直接固定する固定手段であることを特徴とする。
請求項7に記載の本発明によれば、水圧伸縮手段を所定の水中位置に設けることができる。
請求項8記載に対応した越波式波力利用施設においては、請求項1から請求項7のうちの1項に記載の越波式波力利用装置を、海岸の波の到来箇所に備えたことを特徴とする。
請求項8に記載の本発明によれば、波が高くなりやすい海岸近くの水を取り込むため効率が良い。
請求項9記載の本発明は、越波式波力利用装置を海岸に沿って複数機備えたことを特徴とする。
請求項9に記載の本発明によれば、より多くの波を取り込むことができる。
請求項10記載の本発明は、越波式波力利用装置の貯水手段を波の到来方向に複数個備えたことを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、最初に波が到来する貯水手段で取り込めなかった波を、より海岸に近くに設置された貯水手段で取り込むことができる。
本発明の越波式波力利用装置によれば、波の波長が長く波高が高くなると、水中に配置された水圧伸縮手段は水圧によって縮み、寸法が小さくなり又は全体の浮力が小さくなるので、水圧伸縮手段の上方に連結された貯水手段が連結手段を介して水中に引き込まれる。これにより、貯水手段が波とともに上昇すること(いわゆる波乗り)を抑制できる。波乗りを抑制することで波が貯水手段を越えやすくなり、より多くの水を貯水手段に取り込むことができるので、波のエネルギーを利用した発電等の効率が向上する。また、傾斜板を設けることで、波が貯水手段の上部まで到達しやすくなり、貯水手段により多くの波を取り込むことができる。
また、貯水手段は、その下部に貯えた水を放流する放流管を有している場合には、水を貯水手段の高い位置に貯えて下方へ放流することで、波のエネルギーを有効に利用できる。
また、貯水手段の上面に乗り上がった波を開口に導くガイド板を設けた場合には、貯水手段の上面に乗り上がった波が開口に導かれやすくなる
また、利用手段は、放流管に臨ませたタービンを回転させて発電を行う発電機である場合には、貯水手段内を流れ落ちる水のエネルギーによりタービンを回転させて発電を行う、効率の良い越波型波力発電装置を実現できる。
また、貯水手段が所定の浮力を有し、連結手段として設けた連結索により貯水手段が水圧伸縮手段に連結されている場合には、貯水手段に浮力を付与する浮力付与手段を別途設ける必要が無い。また、水圧伸縮手段を貯水手段から所定距離下方に配置することができる。
また、水圧伸縮手段の一部もしくは全部が内部に気体を封入した可撓性の材料で構成されている場合には、可撓性の材料で構成された部分が水圧で圧縮されることにより、水圧伸縮手段を縮ませ寸法を小さくすること又は全体の浮力を小さくすることができる。
また、係止手段は、水圧伸縮手段を水底に係留する係留索、もしくは直接固定する固定手段である場合には、水圧伸縮手段を所定の水中位置に設けることができる。
また、越波式波力利用装置を海岸の波の到来箇所に備えた越波式波力利用施設とした場合には、波が高くなりやすい海岸近くの水を取り込むため効率が良い。
また、越波式波力利用装置を海岸に沿って複数機備えた場合には、より多くの波を取り込むことができる。
また、越波式波力利用装置の貯水手段を波の到来方向に複数個備えた場合には、最初に波が到来する貯水手段で取り込めなかった波を、より海岸に近くに設置された貯水手段で取り込むことができる。
本発明の一実施形態による越波式波力利用装置の概略構成図 同貯水手段の一部透過概略構成図 本発明の他の実施形態による越波式波力利用装置の貯水手段と水圧伸縮手段との連結状態の例を示す概念図 本発明のさらに他の実施形態による越波式波力利用装置と水底との係止状態の例を示す概念図 本発明の一実施形態による越波式波力利用装置を用いた越波式波力利用施設の概略構成図
以下に、本発明の実施形態による越波式波力利用装置及び越波式波力利用施設について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による越波式波力利用装置の概略構成図である。
越波式波力利用装置1は、水面Aに浮遊する貯水手段10と、水中に設けられる水圧伸縮手段20と、貯水手段10と水圧伸縮手段20を連結する連結手段30と、貯水手段10又は水圧伸縮手段20を水底Bに係止する係止手段40と、貯水手段10に貯えた水を利用する利用手段50とを備える。
越波式波力利用装置1は、海洋等、波が発生する領域に単数又は複数で設置される。
貯水手段10は、所定の浮力を有する浮体であり、波が無い状態では上部が水面A上に露出する。貯水手段10の上部の中央には開口11が形成されている。越波式波力利用装置1に到来する波のうち貯水手段10を越える波は、開口11から貯水手段10に取り込まれて内部に貯水される。利用手段50は、貯水手段10の下部から放流される水のエネルギーを電力又は機械的な動力用等の他のエネルギーに変換して利用することができる。
なお、貯水手段10は、所定の浮力を有する別の浮体で支持すること等によって水面Aに浮遊させてもよい。
水中に設けられた水圧伸縮手段20は、円柱状であり、上部体21と下部体22との間に伸縮部23を有する。上部体21及び下部体22は、水圧によって容易に変形することが無いように硬質の材料で構成されている。伸縮部23は、内部に封入された空気等の気体をシールし伸縮することのできる可撓性の材料で構成されており、水圧により伸縮する。
この水圧伸縮手段20は、波の高さの低い、すなわち水圧伸縮手段20にかかる水圧が低く空気等の気体が膨張した状態であっても、浮力を相殺した全体の重力が下方に働くように設定されている。
また、水圧伸縮手段20は、貯水手段10の下方に設置されている。水圧伸縮手段20は、連結手段30を介して貯水手段10に連結されている。連結手段30は、複数の連結索31から成る。連結索31は、上端が貯水手段10の下面に接続され、下端が水圧伸縮手段20の上面に接続され、貯水手段10が所定の浮力を有し、水圧伸縮手段20の重力が下方に働くように設定されているため、弛みなく張られている。
水圧伸縮手段20は、係止手段40によって水底Bに係止されている。係止手段40は、複数の係留索41から成る。係留索41は、上端が水圧伸縮手段20の下面に接続され、下端が水底Bに接続されている。
波の波長が長く波高が高くなると、水面Aから水圧伸縮手段20までの深さが深くなるため水圧伸縮手段20にかかる水圧が大きくなり、水圧伸縮手段20は伸縮部23が収縮して上部体21と下部体22との間隙Xが小さくなり全体が縮む。縮んだ水圧伸縮手段20は浮力が小さくなるため、水圧伸縮手段20の重力がさらに下方に働き、間隙Xが小さくなることと相俟って、水圧伸縮手段20に連結された貯水手段10が水中に引き込まれ、貯水手段10が波とともに上昇する高さが抑制される。したがって、貯水手段10を越える波が多くなり、利用手段50の効率低下を防止できる。
このように、越波式波力利用装置1は、水圧伸縮手段20が波の到来による水圧の変化によって縮み間隙Xを小さくすることと全体の浮力を小さくすることにより、貯水手段10を水面Aに対してより低い位置に臨ませることができるので、到来した波を貯水手段10により多く取り込むことができる。
なお、水圧伸縮手段20は、その全部(全体)を可撓性の材料で構成してもよい。全部を可撓性の材料で構成した場合は、形状を球形とすることが好ましい。また、高分子材料を使用した場合は、耐久性の面から気体として窒素ガスやアルゴンガス等を封入することが好ましい。
図2は、貯水手段の一部透過概略構成図である。
貯水手段10の上部には、傾斜板12とガイド板13が設けられている。
傾斜板12は、貯水手段10の側面側(波の到来方向側)が開口11側よりも低くなるように、貯水手段10の側面から開口11にかけて斜めに設けられている。傾斜板12が貯水手段10の上面全周にわたって設けられていることにより、貯水手段10の上面は円錐状になっている。傾斜板12を貯水手段10の上面全周にわたって設けることにより、どの方向から波が到来しても取り込むことが可能となり、波のエネルギーの利用効率を向上することができる。
ガイド板13は、所定の高さを有し、傾斜板12の周方向を仕切るように傾斜板12上に所定間隔で複数設けられている。
傾斜板12を設けることにより、到来した波が貯水手段10の上部に乗り上がりやすくなる。また、ガイド板13を設けることにより、貯水手段10の上部に乗り上がった波が開口11に導かれやすくなる。したがって、より多くの波を開口11から取り込むことができる。
貯水手段10の内部の下部には、放流管14が設けられている。開口11から取り込まれた水は、落差により放流管14から水中に放流される。
放流管14には、タービン51が配置されている。タービン51には発電機(利用手段)50が接続されている。発電機50は、放流管14から放流される水のエネルギーでタービン51を回転させることによって発電を行う。
図3は、本発明の他の実施形態による越波式波力利用装置の貯水手段と水圧伸縮手段との連結状態の例を示す概念図である。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図3(a)は、連結手段30が連結索31であり、貯水手段10と水圧伸縮手段20が単数又は複数の連結索31で連結されている例である。このように連結した場合は、水圧伸縮手段20を貯水手段10から所定距離下方に配置することができる。この例の場合、貯水手段10が全体として水に対して浮力を有し、水圧伸縮手段20が浮力を相殺して下方に重力のかかる設定とすることができる。また、連結手段30を剛体で構成することにより、貯水手段10と水圧伸縮手段20の全体が浮力を有する構成とし、波が高く波長が長くなったときに水圧伸縮手段20の浮力が小さくなり、貯水手段10を、水圧伸縮手段20を含めて水中に引き込む構成とすることができる。連結手段30を剛体で構成した場合、水中に引き込む効果を大きくするために、水圧伸縮手段20の浮力分を大きくすることが好ましく、貯水手段10が水より全体の比重が大で浮力を水圧伸縮手段20の浮力に負わせることもできる。
図3(b)は、連結手段30が取付手段32であり、貯水手段10と水圧伸縮手段20が取付手段32で直接連結されている例である。貯水手段10の下面と水圧伸縮手段20の上面は接触している。このように連結した場合は、水圧伸縮手段20をより水面A近くに配置することができる。この場合、貯水手段10と水圧伸縮手段20の浮力や重力の関係は、上記した図3(a)の連結手段30を剛体で構成した場合と同様になる。
なお、図3(a)、(b)とも貯水手段10や水圧伸縮手段20の漂流を防止する係止手段40の図示を省いているが、通常の係留索41等から成る係止手段40が利用可能である。
図4は、本発明のさらに他の実施形態による越波式波力利用装置1と水底Bとの係止状態の例を示す概念図である。なお、上記した実施形態と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。図4において、貯水手段10と水圧伸縮手段20とは連結索31で連結されている。
図4(a)は、係止手段40が係留索41であり、水中に設置された水圧伸縮手段20に複数の係留索41の上端が接続して係留されている例である。この例の場合は、図1に示す実施形態のように、貯水手段10と水圧伸縮手段20の浮力と重力の関係は、貯水手段10を全体として水に対して浮力を有するように構成し、水圧伸縮手段20を波が低く水圧の低い状態でも、浮力よりも重力が勝った構成とする必要がある。
図4(b)は、係止手段40が係留索41であり、水圧伸縮手段20が水中に設置され、貯水手段10に複数の係留索41の上端が接続して係留されている例である。この例の場合も、図1に示す実施形態のように、貯水手段10と水圧伸縮手段20の浮力と重力の関係は、貯水手段10を全体として水に対して浮力を有するように構成し、水圧伸縮手段20を波が低く水圧の低い状態でも、浮力よりも重力が勝った構成とする必要がある。
但し、この例の場合は、図1や図4(a)に示す実施形態のように、水圧伸縮手段20が縮むことによる寸法面での貯水手段10を水中に引き込む効果は期待できない。しかし、貯水手段10に係留索41や連結索31が係止されるところ、係止部の点検やメンテナンスが容易となる。
図4(c)は、係止手段40が固定手段42であり、水圧伸縮手段20が水底Bに設置され、固定手段42で係止されている例である。この例の場合は、貯水手段10を全体として水に対して浮力を有するように構成する必要があるが、水圧伸縮手段20を全体として水に対して浮力を有する構成とするか、浮力よりも重力が勝った構成とするかは問われない。また、水圧伸縮手段20が縮むことによる浮力による水中に引き込む効果は期待できなく、寸法面での効果のみとなる。
図4(a)から図4(c)のいずれの係留状態の場合でも、波の波長が長く波高が高くなったときは、水面Aから水圧伸縮手段20までの深さが深くなるため水圧伸縮手段20にかかる水圧が大きくなる。そして、図4(a)及び図4(b)の係留状態の場合は、水中に浮遊する水圧伸縮手段20が縮んで水圧伸縮手段20の浮力が小さくなることによって、図4(c)の係留状態の場合は、水底Bに固定された水圧伸縮手段20が縮むことによって、水圧伸縮手段20に連結された貯水手段10が水中に引き込まれ、貯水手段10が波とともに上昇する高さが抑制されて、貯水手段10を越える波が多くなり、利用手段50の効率低下を防止できる。
同5は、本発明の一実施形態による越波式波力利用装置を用いた越波式波力利用施設の概略構成図である。
越波式波力利用施設2は、越波式波力利用装置1を、海岸Cに沿った方向αに複数備えるとともに、波の到来方向βに複数備えている。海岸Cの近くでは、波の到来方向は統計的に、海岸線に略直角になることが多いため、波の到来方向βはこれを考慮して設定できる。
また、海岸Cの近くは海底が浅いため波が高くなりやすい。よって、海岸Cの波の到来箇所に越波式波力利用施設2を設置することで、多くの波を貯水手段10に取り込むことができる。
また、海岸Cに沿った方向αに複数の越波式波力利用装置1を設置することで、越波式波力利用装置1を一つ設置する場合よりも多くの波を貯水手段10に取り込むことができる。また、波の到来方向βに複数の越波式波力利用装置1を設置することで、最初に波が到来する貯水手段10で取り込めなかった波を、より海岸Cに近くに設置された貯水手段10で取り込むことができる。
また、越波式波力利用装置1として貯水手段10を波の到来方向βに複数個備えた構成によっても、最初に波が到来する貯水手段10で取り込めなかった波を、より海岸Cに近い側の貯水手段10で取り込むことができる。この際、図2に示すように傾斜板12を貯水手段10の上面全周にわたって設け、どの方向から波が到来しても取り込むことが可能となるように構成することにより、波の到来方向を考慮せずに設置することが可能となる。
なお、複数の越波式波力利用装置1の発電機(利用手段)50で発電した電力を、海岸Cの設置場所において、一つ又は少数の系統にまとめて陸上に伝送してもよい。この際、越波式波力利用施設2として発電した電力の交直流変換、周波数変換、昇圧・降圧等の変電設備は統一して設けることが可能である。
本発明の越波式波力利用装置及び越波式波力利用施設は、海洋等において、波力エネルギーをより効率よく利用できる。また、離島や災害時における電力供給装置としても活用できる。
1 越波式波力利用装置
2 越波式波力利用施設
10 貯水手段
11 開口
12 傾斜板
14 放流管
20 水圧伸縮手段
30 連結手段
31 連結索
40 係止手段
41 係留索
42 固定手段
50 利用手段(発電機)
C 海岸
β 波の到来方向

Claims (10)

  1. 波を取り込む水面に浮遊して臨んだ貯水手段と、前記貯水手段の上部に設けた前記波を取り込む開口と、前記貯水手段の上面全体にわたって前記開口から外方向に傾斜させて設けた傾斜板と、水中に設けられ水圧により伸縮する水圧伸縮手段と、前記貯水手段と前記水圧伸縮手段を連結する連結手段と、前記貯水手段又は前記水圧伸縮手段を水底に係止する係止手段と、前記貯水手段に貯えた水を利用する利用手段とを備え、前記水圧伸縮手段が前記波の到来による前記水圧の変化により縮み、前記連結手段を介して前記貯水手段を前記水面に対してより低い位置に臨ませ、全方向から到来した前記波を前記傾斜板から前記開口を介して、より多く前記貯水手段に取り込むことを特徴とする越波式波力利用装置。
  2. 前記貯水手段は、その下部に貯えた水を放流する放流管を有していることを特徴とする請求項1に記載の越波式波力利用装置。
  3. 記貯水手段の上面に乗り上がった前記波を前記開口に導くガイド板を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の越波式波力利用装置。
  4. 前記利用手段は、前記放流管に臨ませたタービンを回転させて発電を行う発電機であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の越波式波力利用装置。
  5. 前記貯水手段が所定の浮力を有し、前記連結手段として設けた連結索により前記貯水手段が前記水圧伸縮手段に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちの1項に記載の越波式波力利用装置。
  6. 前記水圧伸縮手段の一部もしくは全部が内部に気体を封入した可撓性の材料で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちの1項に記載の越波式波力利用装置。
  7. 前記係止手段は、前記水圧伸縮手段を前記水底に係留する係留索、もしくは直接固定する固定手段であることを特徴とする請求項1から請求項6のうちの1項に記載の越波式波力利用装置。
  8. 請求項1から請求項7のうちの1項に記載の越波式波力利用装置を、海岸の前記波の到来箇所に備えたことを特徴とする越波式波力利用施設。
  9. 前記越波式波力利用装置を前記海岸に沿って複数機備えたことを特徴とする請求項8に記載の越波式波力利用施設。
  10. 前記越波式波力利用装置の前記貯水手段を前記波の到来方向に複数個備えたことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の越波式波力利用施設。
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