JP6796151B2 - 粘着フィルム - Google Patents
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Description
例えば、PDPにおいては、電磁波のシールドフィルム以外に、近赤外線の波長領域を使用している各種のリモコンスイッチの誤作動を防ぐための近赤外線吸収フィルム、その近赤外線吸収フィルムに使用されている近赤外線吸収剤の経時劣化を防ぐための紫外線吸収フィルム、さらには可視光領域の色調調整のためのネオン光カットフィルム、光学フィルターの表面に外光が映り込むのを防ぐための反射防止フィルム等が、ディスプレイ前面に貼り付けられている。これらのフィルムを、ディスプレイ用光学フィルターとして用いることにより、画像の映り具合の改善が図られている。
また、PDPでも、軽量化と薄型化、及び視認性の向上を図るため、PDPパネルに直接、光学フィルター用のフィルムを貼合することが、ダイレクトカラーフィルター方式として検討されている。
また、ディスプレイ表示装置の、出荷前に行なわれるディスプレイの性能試験では、オーブンを使用して行われる高温・高湿度での環境条件下における耐久試験に合格する必要がある。しかし、白濁防止性能が改善されていない粘着剤層を用いた光学フィルムの場合、オーブンから取り出した後、粘着剤層が白濁してしまい、ディスプレイの商品価値を損なうという問題があった。
具体的には、アルキル基の炭素数が7〜18のアルキル(メタ)アクリレートと、水酸基含有モノマーとの重量比率が100:0.01〜5で含有するポリマー、及び水酸基と反応する官能基を2つ以上有する化合物、を含有する組成物の架橋物により形成された粘着剤層である。この粘着剤層(厚さ20μm)を用いた光学フィルムをガラスに貼り合せた後、50℃×0.05MPa雰囲気下に5分間放置し、粘着剤層での微小気泡の発生の有無を目視にて確認する方法により気泡の有無を検査しているが、微小気泡の発生が防止できているとしている。
吸湿試験として、深さ0.5mmの枠で成形した樹脂シートを60℃、90%RHの高温・高湿試験槽に50時間入れることで行い、目視観察で評価を行なう方法で確認した結果、この樹脂組成物であれば発泡が少なく透明性に優れているとしている。
吸湿試験として、樹脂フィルムに積層した粘着剤層(厚さ200μm)を介してガラス板に貼り合せた積層体を、60℃、90%RHの環境下に120時間放置した後、常温(25℃)下で30分間放置した後、ヘイズ値を測定して積層体の透明性を判定している。この粘着剤組成物によれば、高温・高湿下で放置された後でも、発泡が少なくて高い透明性を維持できるとしている。
しかし、粘着剤層の厚みを厚塗りにした際の、高い透明性は達成することができても、高温・高湿時の白濁防止性能はなかなか達成できないことが多かった。また、白濁防止性能を改良するために、水酸基含有モノマーの添加量を増やすなどの試みは成され、白濁防止性能は改善されてきたが、その代わりに、耐久性などの性能を保持できないなどの欠点が多かった。これらの欠点を、同時に克服できる粘着剤が必要とされている。
前記粘着剤組成物によって形成された、塗工厚み250μmの粘着剤層を、60℃、90%RHの雰囲気下で240時間放置後、室温環境に取り出した際のヘイズ値が、4.0%以下であることが好ましい。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、タッチパネル用フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、電子ペーパー用フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、有機EL用フィルムを提供する。
本発明の粘着剤組成物は、(B)窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種と、(C)官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーとを含む。
(A)アルキル基の炭素数がC1〜C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの一部に代えて、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーを併用することもできる。
(B)の窒素含有ビニルモノマーとしては、水酸基を含有しないものが好ましく、水酸基およびカルボキシル基を含有しないものがより好ましい。このようなモノマーとしては、上に例示したモノマー、例えば、N,N−ジアルキル置換アミノ基やN,N−ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピペリドンなどのN−ビニル置換ラクタム類;N−(メタ)アクリロイルモルホリンやN−(メタ)アクリロイルピロリジンなどのN−(メタ)アクリロイル置換環状アミン類が好ましい。
これらのアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の原子がアルコキシ基で置換された構造を有する。
なお、水酸基含有(メタ)アクリルアミド類は窒素を含有するが、本発明においては、(B)群ではなく、(C)群に属するものとする。
粘着剤ポリマーの平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば重量平均分子量20万〜200万の範囲内が挙げられる。
なお、本発明に用いられる共重合体は、架橋剤と反応する官能基モノマーとして、前記(C)の水酸基含有ビニルモノマーを含むことから、カルボキシル基含有ビニルモノマーを含まないものとすることができる。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
偏光板用の表面保護フィルムなどの、光学用の表面保護フィルムの場合は、基材フィルム及び粘着剤層は、十分な透明性を有することが好ましい。
また、粘着剤層を介して、各種フィルムを積層した積層フィルムに用いることができる。このようなフィルムとしては、タッチパネル用フィルム、電子ペーパー用フィルム、有機EL用フィルム、光学用フィルム等が挙げられる。
粘着剤付き光学フィルムにおいては、基材フィルムとして、偏光板フィルム、位相差板フィルム、レンズフィルム、位相差板兼用の偏光板フィルム、レンズフィルム兼用の偏光板フィルム等の光学フィルムを用いることができる。
粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルムの片面または両面に粘着剤層を積層してなるものであって、画像表示装置のガラス板等との貼り合わせに用いることができる。これらの粘着剤付き光学フィルムは、粘着剤層を介してガラス基板等と貼り合わされて、画像表示装置等に組み込むことができる。粘着剤付き偏光板などの粘着剤付き光学フィルムに用いられる粘着剤層は、十分な透明性を有することが好ましい。
また、基材フィルムとして使用する偏光板は、一般的に、ポリビニルアルコール系偏光子の両面に、トリアセチルセルロース系保護フィルムで挟まれた3層構造を有している。
保護フィルムの表面に、ディスコティック液晶がコートされている偏光板、もしくは、トリアセチルセルロース系フィルムの替わりに、延伸トリアセチルセルロース系フィルム、延伸ポリシクロオレフィン系フィルム、または延伸セルロースアセテートプロピオネートフィルム等で貼り合わされた構造となっている。更に、これらの偏光板フィルムは、液晶表示用パネルの表面基材であるガラス基板に、粘着剤層を介して貼り合わされる。
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に、2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、N−ビニル−2−ピロリドン5重量部、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1.0重量部とともに、溶剤(酢酸エチル)を100部加えた。その後、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で8時間反応させ、重量平均分子量80万の、実施例1のアクリル共重合体溶液1を得た。
[実施例2〜7及び比較例1〜2]
単量体の組成を、各々、表1の記載のようにする以外は、上記の実施例1に用いるアクリル共重合体溶液1と同様にして、実施例2〜7及び比較例1〜2に用いるアクリル共重合体溶液を得た。
[実施例1]
上記のとおり製造した、アクリル共重合体溶液1(そのうち(A)群+(B)群が100重量部)に対して、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体)0.5重量部を加えて撹拌混合して、実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を、シリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが250μmである粘着フィルムを得た。
その後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに粘着シートを転写させ、「PETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する、実施例1の粘着フィルムを得た。
[実施例2〜7及び比較例1〜2]
架橋剤の組成を、各々、表1の(D)の記載のようにする以外は、上記の実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2〜7及び比較例1〜2の粘着フィルムを得た。
また、表1に用いた、各成分の略記号の化合物名を、表2に示す。また、表2の(D)群において、HDIは、ヘキサメチレンジイソシアネートを、XDIは、キシリレンジイソシアネートを意味する。
なお、コロネート(登録商標)HX、同HL及び同L−45は、日本ポリウレタン工業株式会社の商品名であり、デュラネート(登録商標)24A―100は、旭化成ケミカルズ株式会社の商品名であり、タケネート(登録商標)D−110Nは、三井化学株式会社の商品名である。
実施例1〜7及び比較例1〜2の粘着フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させたものを、全光線透過率の測定試料とした。
また、実施例1〜7及び比較例1〜2の粘着フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)で粘着剤層の両面を覆ったままのものを、ヘイズ値の測定試料とした。
また、実施例1〜7及び比較例1〜2の粘着フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、オーブンによる60℃、90%RHの雰囲気下で240時間放置後にオーブンから室温環境(23℃、50%RH)に取り出した後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)で粘着剤層の両面を覆ったままのものを、湿熱後ヘイズ値の測定試料とした。
また、粘着剤層を表出させた粘着フィルムを、粘着剤層を介して無アルカリガラス板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力の測定試料とした。
また、粘着剤層を表出させた粘着フィルムを、粘着剤層を介して無アルカリガラス板の表面に貼り合わせ、耐久性の測定試料とした。
上記で得られた、全光線透過率の測定試料について、ヘイズメータ(製造者:日本電色株式会社、型式:Haze Meter、NDH2000)を用いて、JISK7105に準じて、粘着剤層の全光線透過率を測定した。
上記で得られた、ヘイズ値及び湿熱後ヘイズ値の測定試料について、ヘイズメータ(製造者:日本電色株式会社、型式:Haze Meter、NDH2000)を用いて、粘着剤層のヘイズ値を測定した。
なお、上記の測定試料では、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)で粘着剤層の両面を覆ったままのものを、ヘイズ値及び湿熱後ヘイズ値の測定試料としたが、剥離フィルム自体のヘイズ値は、無視できる程度に小さいことを確認した。
上記で得られた、粘着力の測定試料(25mm幅の粘着フィルムを、無アルカリガラス板の表面に貼り合わせたもの)を、180°方向に引張試験機を用いて0.3m/minの引張速度において剥がして、測定した剥離強度を粘着力とした。
上記で得られた、耐久性の測定試料を、80℃(Dry)の雰囲気下に250時間放置後、室温に取り出し、被着体からの剥がれ、発泡等を目視にて確認した。評価基準は、剥がれ・発泡が全く確認されない場合を「○」、剥がれ・発泡が僅かに確認された場合を「△」、剥がれ・発泡が明確に確認された場合を「×」と評価した。
比較例1〜2の粘着フィルムは、高温・高湿度の雰囲気下に長期間放置すると、ヘイズ値の増大が見られ、白濁防止性能に問題があるものとなった。また、高温の雰囲気下に長期間放置すると、剥がれや発泡が見られ、耐久性に問題があるものとなった。さらに、比較例1では、高温・高湿度の雰囲気下に放置する前から、透明性(全光線透過率・ヘイズ値)の測定結果が悪いものとなった。
また、実施例1及び比較例1の粘着フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、オーブンによる60℃、90%RHの雰囲気下で240時間放置後に、オーブンから室温環境(23℃、50%RH)に取り出し、取り出した直後から60分経過までヘイズ値を測定した。得られた、高温・高湿度の環境から取り出した後のヘイズ値の変化を、図1に示す。
図1において、本発明に係わる実施例1は、オーブンから取り出した直後から1分程度で、ヘイズ値が最大値(3.5%)に達するが、オーブンから取り出して1時間経過しても、ヘイズ値が4.0%を超えることはなく、優れた白濁防止性能を有することが分かる。一方、比較例1においては、オーブンから取り出した直後から数分でヘイズ値が最大値として約25%に上昇した後、放置時間の経過と共に、徐々にヘイズ値が低下する傾向を示すが、白濁の著しい状態が60分以上も継続することが分かる。
なお、実施例1及び比較例1のいずれの場合も、高温・高湿度の環境において発生した、上記の白濁は、室温において数時間放置することにより、徐々に消滅して、最終的に粘着フィルムは透明(ヘイズ値が1.0%以下)となった。
本評価は、粘着剤層の両面が、剥離フィルムの間で覆われている状態で実施した場合に起こる変化であり、白濁が消滅するまでの時間が比較的短いが、ガス透過性の悪いガラス同士やアクリル板とガラスなどと貼り合わせたサンプルの場合は、白濁するタイミングは同じであるが、白濁が消滅するまでの時間が、数日かかることもある。
Claims (5)
- アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物を架橋させてなる粘着剤層を、基材フィルムの片面上に積層した粘着フィルムであって、
前記アクリル系ポリマーが、
(A)アルキル基の炭素数がC1〜C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種と、フェノキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種との合計が50〜95重量部と、
(B)水酸基及びカルボキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1種が5〜50重量部と、
(C)官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種が0.5〜10重量部と、
をカルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーを含有させないで共重合させた重量平均分子量が20万〜200万の共重合体であり、
前記(A)と前記(B)との合計が100重量部となる割合で含有してなり、
前記粘着剤層が、架橋剤により架橋させてなるか、又は紫外線による光架橋で架橋させてなり、
前記粘着剤層が架橋剤により架橋させてなる場合には、前記粘着剤組成物が、前記(A)と前記(B)との合計の100重量部に対して、前記(D)架橋剤を0.01〜5重量部の割合で含有してなり、
前記(B)水酸基及びカルボキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーが、N,N−ジアルキル置換アミノ基を有するアクリル系モノマー、N,N−ジアルキル置換アミド基を有するアクリル系モノマー、N−ビニル置換ラクタム類、N−(メタ)アクリロイル置換環状アミン類からなる化合物群から選択された化合物であり、
前記(C)官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群から選択して1種以上であることを特徴とする粘着フィルム。 - 前記粘着剤組成物によって形成された、塗工厚み250μmの粘着剤層を、60℃、90%RHの雰囲気下で240時間放置後、室温環境に取り出した際のヘイズ値が、4.0%以下である請求項1記載の粘着フィルム。
- 請求項1又は2に記載の粘着フィルムが用いられた、タッチパネル用フィルム。
- 請求項1又は2に記載の粘着フィルムが用いられた、電子ペーパー用フィルム。
- 請求項1又は2に記載の粘着フィルムが用いられた、有機EL用フィルム。
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