以下に、本発明手術具保持装置及び手術支援装置を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
以下に示した実施の形態は、本発明手術支援装置を手術室の床等に設置されて使用されるタイプに適用した例を示す。但し、本発明手術支援装置の適用範囲は手術室の床等に設置されて使用されるタイプに限られることはなく、本発明手術支援装置は手術室の天井や壁面に取り付けられて使用されるタイプに適用することもできる。
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
また、以下に示す手術支援装置は可動体が回動される構成を有しているが、この「回動」は任意の一点を含む基準軸(中心軸)の軸回り方向への動作を意味し、「回転」をも含む動作を言う。
<手術支援装置等の概略構成>
先ず、手術支援装置1等の概略構成について説明する(図1乃至図3参照)。
手術室には手術台100が設置され、手術台100には患者200が、例えば、仰向けの状態で横たえられている(図1参照)。患者200の体腔201、例えば、腹壁201aにはポート202が形成される。ポート202には外科手術が行われるときに後述する手術具の一部(先端部)が挿入される。ポート202は軸状の手術具が挿入される小孔である。
手術支援装置1は手術室の床等に載置される土台2と土台2に固定された丸軸状のポール3とポール3に支持された本体4とを有している。土台2は手術台100の側方において床等に設置され、ポール3は上下に延びる状態で下端部が土台2に固定されている。
本体4はポール3に上下方向へ移動可能に支持され、各部が回動可能な状態で連結された構成にされ、ポール3に上下方向における所望の位置で固定可能にされている。
本体4は互いに回動可能に連結された第1の連結アーム5と第2の連結アーム6を有している。
第1の連結アーム5は水平方向に延びる形状に形成され、長手方向における一端部が被支持筒部5aとして設けられ、長手方向における他端部が支点部5bとして設けられている。第1の連結アーム5は被支持筒部5aにポール3が挿通され、手動又は電動によりポール3に対して上下方向へ移動可能にされていると共にポール3に対して被支持筒部5aを支点として軸回り方向へ回転可能にされている。
第1の連結アーム5はポール3に上下方向における所望の位置かつ軸回り方向における所望の位置で固定可能にされている。
第2の連結アーム6は水平方向に延びる形状に形成され、長手方向における一端部が支点部6aとして設けられ、長手方向における他端部が支持軸部6bとして設けられている。第2の連結アーム6は支点部6aが第1の連結アーム5の支点部5bと上下に重ねられ互いに回動可能な状態で連結されている。第2の連結アーム6は手動又は電動により第1の連結アーム5に対して支点部6aを支点として回動可能にされている。
本体4は関節部として機能する第1の可動体7を有し、第1の可動体7は第2の連結アーム6の支持軸部6bに回動可能に連結されている(図1及び図2参照)。
第1の可動体7は第2の連結アーム6側の端部が基端側連結部7aとして設けられ、第2の連結アーム6側と反対側の端部が先端側連結部7bとして設けられている。第1の可動体7は基端側連結部7aが第2の連結アーム6の支持軸部6bに回動可能に連結され、例えば、上下方向に延びる基準軸の軸回り方向へ第2の連結アーム6に対して回動される。従って、第1の可動体7が第2の連結アーム6に対して回動されることにより、手術支援装置1は動作方向における1自由度を有している。
本体4はアーム部として機能する第2の可動体8を有し、第2の可動体8は第1の可動体7の先端側連結部7bに回動可能に連結されている。
第2の可動体8は、長手方向における一端部が基端側連結部8aとして設けられ、長手方向における他端部が先端側連結部8bとして設けられている。第2の可動体8は基端側連結部8aが第1の可動体7の先端側連結部7bに回動可能に連結され、例えば、第2の可動体8と第1の可動体7の連結方向に直交する方向に延びる基準軸の軸回り方向へ第1の可動体7に対して回動される。従って、第2の可動体8が第1の可動体7に対して回動されることにより、手術支援装置1は動作方向における1自由度を有している。
第2の可動体8には、例えば、リンク機構が設けられ、リンク機構は二組の平行なリンク部9、9、・・・とリンク部9、9、・・・を結合する結合ピン10、10、・・・とを有している。第2の可動体8は第1の可動体7側に位置された結合ピン10、10が第1の可動体7の先端側連結部7bに回動可能な状態で連結されている。
本体4はアーム部として機能する第3の可動体12を有し、第3の可動体12は中間連結部材11に連結されている。第3の可動体12は、長手方向における一端部が基端側連結部12aとして設けられ、長手方向における他端部が先端側連結部12bとして設けられている。第3の可動体12は基端側連結部12aが中間連結部材11に連結され、例えば、第3の可動体12と中間連結部材11の連結方向に直交する方向に延びる基準軸の軸回り方向へ中間連結部材11に対して回動される。従って、第3の可動体12が中間連結部材11に対して回動されることにより、手術支援装置1は動作方向における1自由度を有している。
第3の可動体12には、例えば、リンク機構が設けられ、リンク機構は二組の平行なリンク部13、13、・・・とリンク部13、13、・・・を結合する結合ピン14、14、・・・とを有している。第2の可動体8は中間連結部材11側に位置された結合ピン14、14が中間連結部材11の他端部に回動可能な状態で連結されている。
尚、上記には、第2の可動体8と第3の可動体12が中間連結部材11を介して連結された例を示したが、手術支援装置1においては、中間連結部材11が設けられず第2の可動体8と第3の可動体12が中間連結部材11を介することなく連結されていてもよい。
本体4は関節部として機能する第4の可動体15を有し、第4の可動体15は第3の可動体12の先端側連結部12bに回動可能に連結されている。第4の可動体15は第3の可動体12側の端部が基端側連結部15aとして設けられ、第3の可動体12と反対側の端部が先端側連結部15bとして設けられている。第4の可動体15は基端側連結部15aが第3の可動体12の先端側連結部12bに回動可能に連結され、例えば、第4の可動体15と第3の可動体12の連結方向に延びる基準軸の軸回り方向へ第3の可動体12に対して回動される。従って、第4の可動体15が第3の可動体12に対して回動されることにより、手術支援装置1は動作方向における1自由度を有している。
上記した第1の可動体7と第2の可動体第8と第3の可動体12と第4の可動体15は、例えば、図示しない電動アクチュエーターの駆動力によって回動される。尚、第1の可動体7と第2の可動体第8と第3の可動体12と第4の可動体15は、空気圧アクチュエーターの駆動力によって回動されてもよい。
本体4は手術具保持装置16を有している。手術具保持装置16は第4の可動体15の先端側連結部15bに回動可能に連結されている。
尚、上記には、複数の可動体を有する一つの本体4を備えた手術支援装置1を例として示したが、手術支援装置1に設けられる本体4の数は一つに限られることはなく複数であってもよい(図3参照)。このような手術支援装置1において、例えば、二つの本体4、4が設けられる場合に、第1の連結アーム5に対してそれぞれ回動可能にされた二つの第2の連結アーム6、6が設けられ、第2の連結アーム6、6にそれぞれ第1の可動体7、7が連結される構成にされていてもよい。
このように複数の本体4が設けられることにより、複数の手術具によって外科手術を行うことが可能になり手術時間の短縮化を図ることが可能になる他に、異なる種類の複数の手術具を使用して高度な外科手術を行うことも可能になる。
<手術具保持装置の構成>
以下に、第4の可動体15に連結された手術具保持装置16の構成について説明する(図4乃至図19参照)。
尚、手術具保持装置16は第5の可動体に第6の可動体が回転可能に支持された構成を有しており、以下の説明においては、説明を簡単にするために、第5の可動体の下側に第6の可動体が支持された状態として両者の存在する方向を上下方向とし、第6の可動体の回転の基準となる中心軸の方向を前後方向として前後上下左右の方向を示す。但し、以下の前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
上記したように、手術具保持装置16は第4の可動体15の先端側連結部15bに回動可能に連結されている(図4乃至図6参照)。手術具保持装置16は、第4の可動体15に回動可能に連結され第5の可動体として機能する駆動体17と、駆動体17に回転可能に支持され第6の可動体として機能する保持体18と、保持体18に着脱可能にされたセパレーター19と、セパレーター19に着脱可能にされたアダプター20とを備えている。
(駆動体と検出機構の構成)
駆動体17はブラケット21と駆動力伝達機構22と収容ケース23を有し、ブラケット21に駆動力伝達機構22が支持され、駆動力伝達機構22が収容ケース23の内部に収容されている(図6乃至図8参照)。
ブラケット21は前後に延びる第1の支持部材24と上下に延びる第2の支持部材25とを有し、第1の支持部材24の前端部に第2の支持部材25の上端部が取り付けられている。第1の支持部材24の前端部における上面には結合部材26が取り付けられている。ブラケット21の前端部における上端部には前後に貫通された図示しないシャフト挿通孔が形成されている。
第2の支持部材25の下端部は支持部25aとして設けられ、上方に凸の円弧状に形成されている。第2の支持部材25には支持部25aの内周面から下方に突出された案内突部25b、25bが周方向に離隔して設けられている。
結合部材26には第4の可動体15の先端側連結部15bに連結された連結部材27が取り付けられている。連結部材27が先端側連結部15bに連結されることにより、駆動体17は、例えば、駆動体17と第4の可動体15の連結方向に直交する方向に延びる基準軸の軸回り方向へ第4の可動体15に対して回動される。従って、第5の可動体として機能する駆動体17が第4の可動体15に対して回動されることにより、手術支援装置1は動作方向における1自由度を有している。
第5の可動体として機能する駆動体17は図示しない電動アクチュエーターや空気圧アクチュエーターの駆動力によって回動される。
第1の支持部材24の後端寄りの位置には第3の支持部材28の下端部が取り付けられている(図7参照)。第1の支持部材24における第3の支持部材28の直ぐ前側の位置には、上下に貫通された図示しないベルト挿通孔が形成されている。
駆動力伝達機構22はベルト用プーリー29、30を有している。ベルト用プーリー29、30は第3の支持部材28の前面において上下に離隔して支持されている。ベルト用プーリー29、30間には第1の支持部材24のベルト挿通孔を通って伝達ベルト31が巻回されている。第3の支持部材28の前面には上側のベルト用プーリー29の回転角度を検出するエンコーダー32が配置されている。
第1の支持部材24の後端部における下面には駆動モーター33が取り付けられている。駆動モーター33はモーター軸が下側のベルト用プーリー30の中心部に固定されている。従って、駆動モーター33が回転すると、駆動力が下側のベルト用プーリー30と伝達ベルト31を介して上側のベルト用プーリー29に伝達される。ベルト用プーリー29が回転されると、ベルト用プーリー29の回転位置がエンコーダー32によって検出される。
駆動力伝達機構22はプーリー34と連結シャフト35と中間プーリー36、36を有している。
プーリー34は第2の支持部材25の上端部における前面に支持されている(図7及び図8参照)。プーリー34は下側のベルト用プーリー30に連結シャフト35によって連結され、連結シャフト35はブラケット21に形成されたシャフト挿通孔を挿通されて下側のベルト用プーリー30に連結されている。従って、プーリー34には連結シャフト35を介してベルト用プーリー30の回転力が伝達される。中間プーリー36、36は第2の支持部材25の前面に左右に離隔した状態で支持され、プーリー34の下側に位置されている。
プーリー34と中間プーリー36、36には駆動ワイヤー37、37が巻回されている。一方の駆動ワイヤー37は一方の中間プーリー36に巻回された状態で一端部がプーリー34に固定され他端部が保持体18に固定され、他方の駆動ワイヤー37は他方の中間プーリー36に巻回された状態で一端部がプーリー34に固定され他端部が保持体18に固定されている。従って、プーリー34が回転されて駆動ワイヤー37、37が送られると、駆動ワイヤー37、37の送り方向に応じた方向へ保持体18が回転される。
第2の支持部材25の後面には検出機構38が配置されている(図7及び図9参照)。検出機構38は第1の検出部39と第2の検出部40によって構成されている。第1の検出部39と第2の検出部40は保持体18の回転方向において離隔した状態で第2の支持部材25に配置されている。
第1の検出部39は保持体18に対するセパレーター19の取付状態を検出する機能を有し、第2の検出部40はセパレーター19に対するアダプター20の取付状態を検出する機能を有している。
上記のように、第1の検出部39と第2の検出部40がブラケット21に保持体18の回転方向において離隔した状態で配置されることにより、第1の検出部39と第2の検出部40がブラケット21の同一面に並んだ状態で位置されるため、ブラケット21におけるスペースの有効活用による手術支援装置1の小型化を図ることができる。
第1の検出部39は第2の支持部材25に取り付けられた本体部41と本体部41に対して移動される検出ピン42と第2の支持部材25に取り付けられた検出スイッチ43とを有している。
検出ピン42は保持体18の径方向に延びる状態で配置され、保持体18の中心に離接する方向へ本体部41に対して移動される。検出ピン42は上下両端部がそれぞれ本体部41から上方と下方に突出されている。検出ピン42は、上端部が操作部42aとして設けられ、下端部が被作用部42bとして設けられている。被作用部42bは先端部が半球状に形成され先端面が先端側に凸の球面部42cとして形成されている。
検出ピン42は図示しないバネによって本体部41に対して下方へ移動する方向へ付勢され、被作用部42bが第2の支持部材25における支持部25aの下縁より下側に位置されている。
検出スイッチ43は検出ピン42における操作部42aの上側に位置されている。検出ピン42に上方への移動力が付与されていない状態においては、検出ピン42が下方の移動端に位置され、操作部42aが検出スイッチ43から下方に離隔されて検出スイッチ43がオフ状態にされ、被作用部42bが第2の支持部材25における支持部25aの下縁より下側に位置されている。検出ピン42がバネの付勢力に反して上方へ移動されると、操作部42aによって検出スイッチ43が操作されてオン状態にされ、検出信号が図示しない検出回路に送出される。
第2の検出部40は第2の支持部材25に取り付けられた本体部44と本体部44に対して移動される検出ピン45と第2の支持部材25に取り付けられた検出スイッチ46とを有している。
検出ピン45は保持体18の径方向に延びる状態で配置され、保持体18の中心に離接する方向へ本体部44に対して移動される。検出ピン45は上下両端部がそれぞれ本体部44から上方と下方に突出されている。検出ピン45は、上端部が操作部45aとして設けられ、下端部が被作用部45bとして設けられている。被作用部45bは先端部が半球状に形成され先端面が先端側に凸の球面部45cとして形成されている。
検出ピン45は図示しないバネによって本体部44に対して下方へ移動する方向へ付勢され、被作用部45bが第2の支持部材25における支持部25aの下縁より下側に位置されている。第2の検出部40の検出ピン45は第1の検出部39の検出ピン42より稍後側に位置されている。
検出スイッチ46は検出ピン45における操作部45aの上側に位置されている。検出ピン45に上方への移動力が付与されていない状態においては、検出ピン45が下方の移動端に位置され、操作部45aが検出スイッチ46から下方に離隔されて検出スイッチ46がオフ状態にされ、被作用部45bが第2の支持部材25における支持部25aの下縁より下側に位置されている。検出ピン45がバネの付勢力に反して上方へ移動されると、操作部45aによって検出スイッチ46が操作されてオン状態にされ、検出信号が図示しない検出回路に送出される。
収容ケース23は、例えば、四つの部分に分割され、第1のケース部23aと第2のケース部23bと第3のケース部23cと第4のケース部23dから成る(図4乃至図6参照)。収容ケース23は、例えば、樹脂材料によって形成されている。収容ケース23が樹脂材料によって形成されることにより、駆動体17の軽量化を図ることが可能になり、駆動体17の動作に対する負荷が抑制され、駆動体17の第4の可動体15に対する円滑な回動動作を行うことが可能になる。
第1のケース部23aは第1の支持部材24に結合部材26の後側において上方から取り付けられ、第1のケース部23aによってベルト用プーリー29や第3の支持部材28等が覆われる。
第1のケース部23aの両側面にはそれぞれ手動スイッチ47、47が配置されている。手動スイッチ47、47が手動により操作されることにより、例えば、駆動体17を第4の可動体15に対して回動させることができる。一方の手動スイッチ47が操作されることにより駆動体17が一方へ回動され、他方の手動スイッチ47が操作されることにより駆動体17が他方へ回動される。尚、手動スイッチ47、47が手動により操作されることにより、駆動モーター33が回転されて保持体18が駆動体17に対して回転される構成にされていてもよい。手動スイッチ47、47は、例えば、手術室に存在する執刀医や助手によって操作される。
第2のケース部23bは第1の支持部材24に下方から取り付けられ、第2のケース部23bによってベルト用プーリー30や連結シャフト35等が覆われる。
第3のケース部23cは第2の支持部材25に前方から取り付けられ、第3のケース部23cによってプーリー34や中間プーリー36、36等が覆われる。第3のケース部23cの下端部には上下に貫通された図示しない部品挿通孔が形成され、部品挿通孔を介して駆動ワイヤー37、37が第3のケース部23cの内部から下方に導出されて保持体18に固定される。
第4のケース部23dは第2の支持部材25に後方から取り付けられ、第4のケース部23dによって検出機構38等が覆われる。第4のケース部23dの下端部には上下に貫通された図示しない部品挿通孔が形成され、部品挿通孔を介して第1の検出部39の検出ピン42と第2の検出部40の検出ピン45とが第4のケース部23dの内部から下方に導出される。
上記のように構成された駆動体17は、全体として横倒しの略L字状に形成され、前後に延びる部分が上下の幅が小さい幅狭部48と幅狭部48より上下の幅が大きい幅広部49とによって構成されている。
幅狭部48の内部には連結シャフト35が配置され、幅広部49の内部にはベルト用プーリー29、30や駆動モーター33等が配置されている。幅広部49はベルト用プーリー29、30や駆動モーター33等が配置される部分であるため、上下の幅が大きい形状に形成されている。幅狭部48は幅広部49の下端寄りの部分に連続され、幅狭部48の上側には上方に開口された第1の凹状空間50が形成され、幅狭部48の下側には下方に開口された第2の凹状空間51が形成されている。
(保持体の構成)
保持体18は駆動体17に回転可能に支持され第6の可動体として機能する。保持体18は第2の支持部材25の支持部25aに回転可能に支持されている(図4乃至図8参照)。
保持体18は略円弧状に形成され、外周部に外方に開口され周方向に延びる被案内溝18aを有している。保持体18の中心部は前後に貫通された挿通孔18bとして形成されている。
保持体18は周方向において、例えば、270度から330度程度の形状に形成された略円弧状にされ、周方向における両端間の空間が挿脱孔18cとして形成されている。挿脱孔18cは挿通孔18bに連通されている。
保持体18は内周部がセパレーター19とアダプター20を介して手術具を保持する保持部52として設けられている。保持部52には180度反対側の位置に、向き合う方向に開口された挿入部53、53が形成されている。挿入部53、53は挿脱孔18cに対して周方向に90度離隔した位置に形成され、挿通孔18bに連通されている。
挿入部53、53を形成する各面のうち、左右方向において対向する面はそれぞれ摺動部53a、53aとして形成されている(図8及び図11参照)。また、挿入部53を形成する各面のうち、摺動部53aに連続され上下方向において対向する面は回転規制部53b、53bとして形成されている。
保持体18は挿入部53、53の前側開口縁がそれぞれ第1の係合受部54、54として形成されている。
保持体18は被案内溝18bに第2の支持部材25の案内突部25b、25bが挿入され、案内突部25b、25bに案内されて駆動体17に対して回転される。尚、案内突部25b、25bは図示はしないが保持体18を吊り下げる形状に形成されており、保持体18の駆動体17からの脱落を防止する機能をも有している。
保持体18は、例えば、保持体18と駆動体17の連結方向に直交する方向に延びる基準軸の軸回り方向へ駆動体17に対して回動される。従って、第6の可動体として機能する保持体18が第5の可動体として機能する駆動体17に対して回転されることにより、手術支援装置1は動作方向における1自由度を有している。
上記したように、手術支援装置1は、第1の可動体7が第2の連結アーム6に対して回動され、第2の可動体8が第1の可動体7に対して回動され、第3の可動体12が中間連結部材11に対して回動され、第4の可動体15が第3の可動体12に対して回動され、駆動体17が第4の可動体15に対して回動され、保持体18が駆動体17に対して回転されることにより、動作方向における6自由度を有している。
保持体18は駆動モーター33の駆動力によって回転される。具体的には、駆動モーター33が回転されると、モーター軸が固定されたベルト用プーリー30が回転され、ベルト用プーリー30の回転に伴って伝達ベルト31を介してベルト用プーリー29が回転されると共に連結シャフト35を介してプーリー34が回転され、プーリー34の回転により中間プーリー36、36を介して駆動ワイヤー37、37が送られ、駆動ワイヤー37、37の送り方向に応じた方向へ保持体18が回転される。このとき、ベルト用プーリー29の回転位置がエンコーダー32によって検出され、保持体18の駆動体17に対する回転角度(回転位置)が算出される。
(セパレーターの構成)
セパレーター19には清潔域と不潔域を仕切るためのドレープがの一部が取り付けられ、ドレープによって患者200が存在する清潔域と手術支援装置1が存在する不潔域とが仕切られる。
セパレーター19は樹脂材料によって各部が一体に形成されて成り、前後方向が軸方向にされた挿通部55と挿通部55の後縁から外方に張り出されたフランジ状の受け部56とを有している(図12乃至図15参照)。
挿通部55は周方向において、例えば、200度から300度程度の形状に形成された略円弧面状にされている。挿通部55の前半部分には前方に開口された形成用切欠55a、55aが周方向において180度反対側の位置に形成されている。
セパレーター19には挿通部55の外周面から突出された回転被規制部57、57が設けられている。回転被規制部57、57は挿通部55の周方向において180度反対側の位置に設けられ、挿通部55の後半部分から外方に突出されている。回転被規制部57、57は、セパレーター19が保持体18に取り付けられる際に挿入部53、53に挿入される部分であり、略直方体状に形成されている。
セパレーター19には回転被規制部57、57に連続してそれぞれ第1の係合部58、58が設けられている。第1の係合部58は挿通部55の形成用切欠55aに位置され、回転被規制部57に対して挿通部55の径方向において弾性変形可能にされている。
このようにセパレーター19においては、回転被規制部57と第1の係合部58が連続して設けられている。従って、ともに挿通部55に対して突出された形状の回転被規制部57と第1の係合部58がセパレーター19において離隔した位置に設けられないため、セパレーター19を射出成形によって形成する場合に金型を簡素な構造にすることが可能になり、セパレーター19を容易に形成することができる。
第1の係合部58は回転被規制部57の前面から前方に突出された変形部59と変形部59の前端部から外方に突出された突状部60とから成る。突状部60は変形部59から外方へ離隔するに従って先細りになる略三角柱状に形成され、前側の面が摺動傾斜面60aとして形成され、後側の面が係合面60bとして形成されている。摺動傾斜面60aは前方へ行くに従って変形部59の前端に近付く傾斜面に形成され、係合面60bが後方を向く面として形成されている。第1の係合部58は突状部60が挿通部55の前端より前側に位置されている。
受け部56は挿通部55に対応して周方向において、例えば、200度から300度程度の形状に形成された略円弧面状にされている。受け部56の外周部には前方へ行くに従って内周側に変位する傾斜面56aが形成されている。受け部56の周方向における両端縁は規制部56b、56bとして形成されている。
受け部56の周方向における両端部には第2の係合受部61、61が設けられている。第2の係合受部61は、受け部56における前側の部分の一部に凹部56cが形成されることによって他の部分より厚みが薄い形状に形成されている。
セパレーター19は挿通部55と受け部56が、上記したように、周方向において、例えば、200度から300度程度の形状に形成された略円弧状にされており、周方向における両端間の空間が挿脱用開口19aとして形成されている。
(アダプターの構成)
アダプター20は手術具をセパレーター19を介して保持体18に保持させるために、異なる大きさや形状にされた各種の手術具に対応する大きさ及び形状に形成されていると共にセパレーター19に適正に取り付けられる構造にされている。
アダプター20は挿通部材62と取付部材63によって構成されている(図12、図16、図17及び図18参照)。
挿通部材62は樹脂材料によって各部が一体に形成されて成り、前後方向が軸方向にされた筒状部64と筒状部64の後縁から外方に張り出されたフランジ状の押付部65とを有している。
筒状部64は略円筒状に形成され、後半部の外周面に螺溝64aを有している。筒状部64には前方に開口されたスリット64b、64b、64bが周方向に等間隔に離隔して形成され、スリット64b、64b、64bは螺溝64aが形成された部分にも存在する。筒状部64はスリット64b、64b、64b間の部分がそれぞれ締結部66、66、66として設けられている。締結部66、66、66は筒状部64の中心に離接する方向へ弾性変形可能にされている。
押付部65は略円環状に形成され、外周部に前方へ行くに従って内周側に変位する傾斜面65aが形成されている。
押付部65の前面には円弧状の被規制部65bが設けられ、被規制部65bは押付部65の他の部分に対して前方に僅かに突出された形状に形成されている。押付部65には外方に開口された切欠65c、65cが周方向に離隔して形成されている。
アダプター20には押付部65の外周部から突出された第2の係合部67、67が設けられている。第2の係合部67、67は押付部65の後面における切欠65c、65cの近傍の位置から後方に突出されている(図16、図17及び図19参照)。第2の係合部67、67間の周方向における距離は、セパレーター19の第2の係合受部61、61間の周方向における距離と同じにされ、押付部65の周方向において80度から120度程度離隔して位置されている。
第2の係合部67は、押付部65に連続され押付部65からの突出方向に延びる基端部68と、基端部68に連続され折り返された形状に形成された折返部69と、折返部69に連続され一部が基端部68に対向して位置された外側部70と、外側部70に連続され外側部70に対して押付部65に近付く方向に直角に屈曲された係合爪部71とによって構成されている。
第2の係合部67の基端部68と折返部69と外側部70と係合爪部71は、連続する方向が長さ方向にされ長さ方向に直交し各部の内周面と外周面を結ぶ方向が厚み方向にされている。従って、基端部68と折返部69と外側部70と係合爪部71の幅方向は長さ方向と厚み方向にともに直交する方向であり、基端部68と折返部69と外側部70と係合爪部71の幅は同じにされている。
基端部68は厚みT1が幅より小さくされ、前後方向に延びる形状に形成されている(図19参照)。
折返部69は、厚みT2が基端部68の厚みT1より厚くされている。折返部69は後方に凸のU字状に形成され、一方の前端面の一部が基端部68の後端面に連続されている。このように折返部69の一方の前端面の一部が基端部68の後端面に連続されているため、折返部69と基端部68の境界部分には段差面69aが形成されている。
外側部70は厚みT3がそれぞれ折返部69の厚みT2と同じにされ、前後方向に延びる形状に形成されている。従って、外側部70は厚みT3が基端部68の厚みT1より厚くされている。外側部70は基端部68と平行な状態で位置され、前後方向に延びる形状に形成されている。
外側部70は基端部18より長さが長くされ、押付部65の外周側において押付部65の後側から前側に亘って位置され、一部が切欠65cに位置されている。
アダプター20は押付部65の外周側に外側部70、70が位置されているため、その分、外形状が大きくなり易いが、押付部65に切欠65c、65cが形成され切欠65c、65cにそれぞれ外側部70、70が位置されるようにしている。従って、押付部65の外周側に外側部70、70が位置される構成ではあるが、切欠65c、65cが形成されている分、外形状が小さくなり、小型化が図られている。
係合爪部71は外側部70の前端部から筒状部64側に突出され、厚みT4が外側部70の厚みT3と同じにされている。従って、係合爪部71は厚みT4が基端部68の厚みT1より厚くされている。係合爪部71は押付部65の前側に位置され、押付部65の前面との間に一定の距離を有した状態で位置されている。
係合爪部71の先端部は先端に行くに従って厚みが薄くなる形状に形成され、先端に近付くに従って後方に変位するように傾斜された摺動面71aと後方を向く係合面71bとを有している。
第2の係合部67は上記のような構成にされ、基端部68の厚みT1が折返部69の厚みT2と外側部70の厚みT3と係合爪部71の厚みT4より薄くされ、基端部68が厚み方向において弾性変形可能にされている。
取付部材63は軸方向が前後方向にされた略円筒状に形成され、前半部の外周面に操作用溝部63a、63a、・・・が周方向に離隔して形成されている(図16乃至図18参照)。取付部材63に操作用溝部63a、63a、・・・が形成されることにより、取付部材63を把持して回転操作するときに、取付部材63を回転させ易くなり操作性の向上を図ることができる。
取付部材63における後半部の内周面には螺合部63bが形成され、螺合部63bが筒状部64の螺溝64aに螺合される。取付部材63が回転操作されると、螺合部63bの螺溝64aに対する螺合位置が変化されて取付部材63が筒状部64に対して前後方向へ移動され、締結部66、66、66が弾性変形される。締結部66、66、66が弾性変形されることにより、筒状部64の径が変化される。
取付部材63の前半部はセパレーター19が保持体18に取り付けられた状態においてセパレーター19における第1の係合部58、58の変形を規制する変形規制部63cとして設けられている。
<手術具の構成>
以下に、保持体18に保持される手術具80の構成について説明する(図4乃至図6参照)。
手術具80は、例えば、内視鏡を有するスコープユニットとして設けられ、前後に延びるシャフト部81とシャフト部81の後端部に結合されたカメラヘッド82とシャフト部81の中間部に結合されたライトガイド83とを有している。
シャフト部81の内部には図示しない複数のレンズが軸方向に並んで配置されている。カメラヘッド82の内部には図示しない撮像素子が配置されている。
カメラヘッド82にはケーブル84が接続され、撮像素子と図示しない撮像回路との間でのケーブル84を介しての信号の送受信やケーブル84を介しての撮像素子への電流の供給が行われる。
ライトガイド83はシャフト部81に結合された環状の結合部83aと結合部83aから突出されシャフト部81に略直交する中間部83bと中間部83bに対して直交する入光部83cとを有し、入光部83cがシャフト部81の上方においてシャフト部81と略平行な状態で位置されている。
ライドガイド83の入光部83cにはライドガイドケーブル85が接続され、図示しない光源からライトガイドケーブル85を介してシャフト部81の内部に光が導かれ、シャフト部81の先端部から照明光Lが照射される(図6参照)。
手術具80はシャフト部81の先端部が患者200に形成されたポート202から体腔201の内部に挿入される。シャフト部81の先端部が体腔201の内部に挿入された状態において、シャフト部81の先端部から照明光が照射され、撮像素子によって体腔201の内部の状態が撮影される。撮像素子によって撮影された体腔201の内部の状態はケーブル84を介して術者(医師)が操作する図示しない操作装置(コントロール装置)に撮影信号として送出され、術者が遠隔から体腔201の内部の状態を観察することができる。
<手術具のアダプターへの取付>
次に、手術具80のアダプター20に対する取付作業について説明する(図20及び図21参照)。
手術具80は、取付部材63が挿通部材62の筒状部64に取り付けられていない状態において、シャフト部81が挿通部材62と取付部材63に後方から挿入される(図20参照)。このとき取付部材63は螺合部63bが螺溝64aに螺合されていないか螺合部63bの螺溝64aに対する螺合範囲が小さい状態にされている。従って、筒状部64は径が大きくされており、シャフト部81を筒状部64に容易に挿入することができる。
挿通部材62と取付部材63にシャフト部81が挿入された状態において、取付部材63が所定の方向へ手動により回転操作され螺合部63bの螺溝64aに対する螺合範囲が大きくされていき、取付部材63による筒状部64の締め付けが行われる(図21参照)。
取付部材63が回転されて螺合部63bの螺溝64aに対する螺合範囲が大きくされていくと、筒状部64の径が小さくなっていき、締結部66、66、66によってシャフト部81が締め付けられて手術具80がアダプター20に取り付けられる。
逆に、取付部材63が上記とは反対方向へ回転され螺合部63bの螺溝64aに対する螺合範囲が小さくされていくと、筒状部64の径が大きくなり手術具80をアダプター20から引き出して取り外すことができる。
このように手術具80のアダプター20への取付はシャフト部81が挿通部材62と取付部材63に挿入された状態で取付部材63を回転させることにより行うことができ、手術具80のアダプター20からの取り外しは取付部材63を反対方向へ回転させることにより行うことができる。
従って、手術具80のアダプター20に対する着脱が容易であり、手術具80のアダプター20に対する着脱作業における作業性の向上を図ることができる。
<セパレーターの保持体への取付>
次いで、セパレーター19の保持体18に対する取付作業について説明する(図22乃至図25参照)。
セパレーター19は挿通部55が保持体18の挿通孔18bに後方から挿入され第1の係合部58、58がそれぞれ保持体18の挿入部53、53に後方から挿入される(図22参照)。このときセパレーター19は挿脱用開口19aが下側に位置する向きで保持体18に挿入される。
セパレーター19が前方へ向けて保持体18に挿入されていくと、第1の係合部58、58における突状部60、60の摺動傾斜面60a、60aがそれぞれ保持体18における摺動部53a、53aの端縁に摺動されて第1の係合部58、58の変形部59、59が互いに近付く方向へ弾性変形され、突状部60、60がそれぞれ摺動部53a、53aに摺動される。
さらにセパレーター19が前方へ向けて保持体18に挿入されていくと、第1の係合部58、58における突状部60、60が摺動部53a、53aを乗り越える(図23参照)。突状部60、60が摺動部53a、53aを乗り越えて保持体18から後方に突出されることにより第1の係合部58、58が互いに離隔する方向へ弾性復帰され、突状部60、60の係合面60b、60bがそれぞれ保持体18の第1の係合受部54、54に係合される。
尚、係合面60bが第1の係合受部54に係合されたときの第1の係合部58の弾性復帰された状態とは、第1の係合部58の弾性変形される前の元の状態を含む他、突状部60の摺動傾斜面60aが保持体18の摺動部53aに摺動されて弾性変形された状態に対して変形の程度が小さくされた状態をも含む。従って、係合面60bが第1の係合受部54に係合されたときの第1の係合部58の状態は、摺動傾斜面60aが摺動部53aに摺動されて弾性変形された状態に対して弾性変形の程度が小さくされた状態であってもよい。
突状部60、60の係合面60b、60bがそれぞれ保持体18の第1の係合受部54、54に係合されたときには、セパレーター19の受け部56が保持体18の後面に接した状態にされ、保持体18を突状部60、60と受け部56が前後方向において挟持した状態でセパレーター19が保持体18に取り付けられる。
受け部56が保持体18の後面に接するときには、受け部56に形成された傾斜面56aが第1の検出部39における検出ピン42に設けられた被作用部42bの球面部42cに摺動され、検出ピン42が上方へ移動される(図24参照)。検出ピン42が上方へ移動されると、操作部42aによって検出スイッチ43が操作されてオン状態にされ、検出信号が検出回路に送出されることによりセパレーター19が保持体18に適正に取り付けられたことが検出される。
上記のようにセパレーター19が保持体18に取り付けられた状態においては、セパレーター19の回転被規制部57、57がそれぞれ保持体18の挿入部53、53に挿入され、回転被規制部57、57が挿入部53、53の回転規制部53b、53b、・・・に接した状態にされる(図23及び図25参照)。従って、セパレーター19は回転規制部53b、53b、・・・によって保持体18に対する回転が規制される。
セパレーター19の保持体18からの取り外しは、保持体18から後方に突出された突状部60、60を互いに近付く方向へ変位させて第1の係合部58、58の変形部59、59を弾性変形させ、セパレーター19を保持体18から後方に引き出すことにより行うことができる。
<アダプターのセパレーターへの取付>
続いて、アダプター20のセパレーター19に対する取付作業について説明する(図26乃至図33参照)。
アダプター20のセパレーター19への取付は、手術具80がアダプター20に取り付けられセパレーター19が保持体18に取り付けられた状態において行われる(図26参照)。アダプター20のセパレーター19への取付に際しては、先ず、手術具80のシャフト部81のうちアダプター20に取り付けられた部分より前側の部分が、下方から保持体18の挿脱孔18cとセパレーター19の挿脱用開口19aを介してセパレーター19の内部に挿入される(図27参照)。
続いて、アダプター20の取付部材63と筒状部64がセパレーター19の挿通部55に後方から挿入されていく(図28参照)。取付部材63と筒状部64が前方へ向けて挿通部55に挿入されていくと、第2の係合部67、67における係合爪部71、71の摺動面71a、71aがそれぞれセパレーター19の受け部56における後面の外周縁に接する。
引き続き取付部材63と筒状部64が前方へ向けて挿通部55に挿入されていくと、係合爪部71、71の摺動面71a、71aが受け部56における後面の外周縁に摺動され、第2の係合部67、67が互いに離隔する方向へ弾性変形され係合爪部71、71が受け部56の外周面に乗り上げる(図29参照)。このとき第2の係合部67は基端部68の厚みが他の部分の厚みより薄くされているため、主に基端部68が弾性変形される。
さらに取付部材63と筒状部64が前方へ向けて挿通部55に挿入されていくと、係合爪部71、71の摺動面71a、71aが受け部56の外周面に摺動され、受け部56を乗り越える(図30参照)。係合爪部71、71が受け部56を乗り越えることにより第2の係合部67、67は係合爪部71、71が互いに近付く方向へ弾性復帰され、係合爪部71、71の係合面71b、71bがそれぞれセパレーター19の第2の係合受部61、61に係合される(図31参照)。
尚、係合面71bが第2の係合受部61に係合されたときの第2の係合部67の弾性復帰された状態とは、第2の係合部67の弾性変形される前の元の状態を含む他、係合爪部71の摺動面71aが受け部56の外周面に摺動されて弾性変形された状態に対して変形の程度が小さくされた状態をも含む。従って、係合面71bが第2の係合受部61に係合されたときの第2の係合部67の状態は、摺動面71aが受け部56の外周面に摺動されて弾性変形された状態に対して弾性変形の程度が小さくされた状態であってもよい。
係合爪部71、71の係合面71b、71bがそれぞれセパレーター19の第2の係合受部61、61に係合されたときには、アダプター20の押付部65がセパレーター19における受け部56の後面に接した状態にされ、セパレーター19を係合爪部71、71と押付部65が前後方向において挟持した状態でアダプター20がセパレーター19に取り付けられる。
押付部65が受け部56の後面に接するときには、押付部65に形成された傾斜面65aが第2の検出部40における検出ピン45に設けられた被作用部45bの球面部45cに摺動され、検出ピン45が上方へ移動される(図32参照)。検出ピン45が上方へ移動されると、操作部45aによって検出スイッチ46が操作されてオン状態にされ、検出信号が検出回路に送出されることによりアダプター20がセパレーター19に適正に取り付けられたことが検出される。
上記のようにアダプター20がセパレーター19に取り付けられた状態においては、アダプター20の被規制部65bがセパレーター19の規制部56b、56b間に挿入され、被規制部65bの周方向における両端がそれぞれ規制部56b、56bに接した状態にされる(図31参照)。従って、アダプター20は規制部56b、56bによってセパレーター19に対する回転が規制される。
上記のように、アダプター20がセパレーター19に取り付けられた状態においては、アダプター20の取付部材63と筒状部64がセパレーター19の挿通部55に挿入され、取付部材63の変形規制部63cがセパレーター19の第1の係合部58、58に接し又は近接した状態で位置される(図33参照)。
このようにアダプター20にはセパレーター19に取り付けられた状態において第1の係合部58、58の変形を規制する変形規制部63cが設けられ、セパレーター19が保持体18に取り付けられた状態において変形規制部63cによって第1の係合部58、58の第1の係合受部54、54に対する係合状態が解除される方向への変形が規制される。
従って、セパレーター19が保持体18に取り付けられアダプター20がセパレーター19に取り付けられた状態において変形規制部63cによって第1の係合部58、58の変形が規制されるため、アダプター20がセパレーター19に取り付けられている状態において意図せずセパレーター19が保持体18から脱落することがなく、簡素な構造によりセパレーター19の保持体18に対する安定した取付状態を確保することができる。
また、アダプター20は手術具80が挿通される挿通部材62と挿通部材62に対して回転され手術具80を挿通部材62に取り付ける取付部材63とによって構成され、取付部材63に変形規制部63cが設けられている。
従って、手術具80を挿通部材62に取り付けるための取付部材63に変形規制部63cが設けられるため、アダプター20に変形規制部を有する別の専用の部材を設ける必要がなく、部品点数の増大を来すことなくセパレーター19の保持体18に対する安定した取付状態を確保することができる。
アダプター20のセパレーター19からの取り外しは、係合爪部71、71を互いに離隔する方向へ変位させて第2の係合部67、67を弾性変形させ、アダプター20をセパレーター19から後方に引き離すことにより行うことができる。また、アダプター20をセパレーター19から後方に引き離して取り外した状態において、手術具80のシャフト部81を保持体18の挿脱孔18cとセパレーター19の挿脱用開口19aから下方へ引き出すことにより、手術具80を保持体18とセパレーター19から取り出すことができる。
上記のように、保持体18とセパレーター19にはそれぞれ径方向に開口された挿脱孔18cと挿脱用開口19aが形成され、アダプター20に取り付けられた手術具80が挿脱孔18cと挿脱用開口19aから挿入され又は取り出される。
従って、挿通部55の径方向において手術具80の挿入と取出を行うことが可能になり、手術具80における軸状のシャフト部81を挿通部55の軸方向へ移動させて手術具80のアダプター20を介してのセパレーター19に対する着脱を行う必要がなく、手術具80のアダプター20を介してのセパレーター19に対する着脱作業を迅速に行うことができる。
上記したように、手術具保持装置16においては、受け部56に押付部65が押し付けられ第2の係合部67、67が弾性復帰された状態で受け部56に係合されることによりアダプター20がセパレーター19に取り付けられる。
従って、セパレーター19の受け部56にアダプター20の押付部65が押し付けられると共に弾性変形された第2の係合部67、67が弾性復帰された状態で係合され、受け部56をアダプター20の各部が異なる2箇所で押さえた状態にされるため、アダプター20がセパレーター19に安定した状態で取り付けられ、手術具80の保持体18に対する変位を防止して手術の正確性や安全性を確保することができる。
また、セパレーター19は第2の係合部67が押付部65から突出された形状に形成され、第2の係合部67には、押付部65に連続され押付部65からの突出方向に延びる基端部68と、基端部68に連続され折り返された形状に形成された折返部69と、折返部69に連続され少なくとも一部が基端部68に対向され押付部65の外周側に位置された外側部70と、外側部70に連続され外側部70に対して押付部65に近付く方向に屈曲された係合爪部71とが設けられ、係合爪部71が受け部56に係合される。
従って、受け部56に押付部65が押し付けられ第2の係合部67が弾性復帰された状態で受け部56に係合されることによりアダプター20がセパレーター19に取り付けられるため、アダプター20のセパレーター19に対する取付を容易に行うことができる。
さらに、受け部56には第2の係合受部61が設けられ、係合爪部71が受け部56を挟んで押付部65の反対側から第2の係合受部61に係合される。
従って、押付部65と係合爪部71によって受け部56が反対側から挟持されることによりアダプター20がセパレーター19に取り付けられるため、アダプター20のセパレーター19に対する安定した取付状態を確保することができる。
手術具保持装置16においては、上記したように、駆動体17には保持体18に駆動力を伝達する駆動力伝達機構22と駆動力伝達機構22が支持されたブラケット21とが設けられ、検出機構38がブラケット21に配置されている。
従って、保持体18を回転可能に支持する駆動体17のブラケット21に検出機構38が配置されるため、検出機構38が保持体18に伴って回転することがなく、検出機構38が保持体18に伴っては動作されない非動作部分に配置され、検出機構38によるセパレーター19とアダプター20の位置に関する検出精度の向上を図ることができる。
また、検出機構38が保持体18に伴っては動作されない非動作部分に配置されるため、検出機器38と検出回路や電源回路を接続するケーブルに負荷が生じ難く、ケーブルの劣化を抑制することができる。
さらに、手術具保持装置16においては、保持体18に対するセパレーター19の取付時とセパレーター19に対するアダプター20の取付時に、何れも検出機構38による検出が行われるが、検出機構38にはブラケット21に取り付けられた本体部41、44と本体部41、44に対して移動される検出ピン42、45とが設けられ、セパレーター19とアダプター20の検出ピン42、45に対する作用によって検出ピン42、45が移動されることにより検出が行われる。
従って、セパレーター19の作用により検出ピン42、45が移動されて保持体18に対するセパレーター19の取付状態が検出されると共にアダプター20の作用により検出ピン42、45が移動されてセパレーター19に対するアダプター20の取付状態が検出されるため、セパレーター19とアダプター20に対する各検出を容易かつ確実に行うことができる。
さらにまた、セパレーター19は挿通部55が保持体18に挿入された状態で保持体18に取り付けられ、アダプター20はセパレーター19が保持体18に取り付けられ筒状部64が挿通部55に挿入された状態でセパレーター19に取り付けられ、挿通部55の保持体18への挿入時に受け部56の検出ピン42、45に対する作用によって保持体18に対するセパレーター19の取付状態が検出され、筒状部64の挿通部55への挿入時に押付部65の検出ピン42、45に対する作用によってセパレーター19に対するアダプター20の取付状態が検出される。
従って、挿通部55の外周縁から外方に張り出された受け部56の検出ピン42、45に対する作用によって保持体18に対するセパレーター19の取付状態が検出され、筒状部64の外周縁から外方に張り出された押付部65の検出ピン42、45に対する作用によってセパレーター19に対するアダプター20の取付状態が検出されるため、検出ピン42、45の長さを短くすることが可能であり、検出機構38の小型化を図ることができる。
加えて、受け部56の外周部には挿通部55の保持体18に対する挿入方向へ行くに従って挿通部55に近付く傾斜面56aが形成され、押付部65の外周部には筒状部64の挿通部55に対する挿入方向へ行くに従って筒状部64に近付く傾斜面65aが形成され、傾斜面56a、65aがそれぞれ検出ピン42、45の先端部に摺動されることにより検出ピン42、45が本体部41、44に対して移動される。
従って、セパレーター19の保持体18への取付時に受け部56の傾斜面56aが検出ピン42に摺動されると共にアダプター20のセパレーター19への取付時に押付部65の傾斜面65aが検出ピン45に摺動される。これにより、セパレーター19の保持体18に対する取付とアダプター20のセパレーター19に対する取付とを円滑に行うことができると共に検出ピン42、45を確実に移動させて検出機構38による適正な動作状態を確保することができる。
加えて、検出ピン42、45の先端面が先端側に凸の球面部42c、45cとして形成されているため、セパレーター19の保持体18への取付時に受け部56が球面部42cに摺動されると共にアダプター20のセパレーター19への取付時に押付部65が球面部45cに摺動される。
従って、セパレーター19の保持体18に対する取付とアダプター20のセパレーター19に対する取付を円滑に行うことができると共に検出ピン42、45を確実に移動させて検出機構38による適正な動作状態を確保することができる。
<手術具の保持体による保持状態>
上記のように、保持体18にセパレーター19が取り付けられ、アダプター20に手術具80が取り付けられた状態においてアダプター20がセパレーター19に取り付けられることにより、手術具80がセパレーター19とアダプター20を介して保持体18に保持される。
上記のようにアダプター20がセパレーター19に取り付けられた状態においては、セパレーター19の第1の係合部58、58とアダプター20の第2の係合部67、67とが筒状部64の軸方向(前後方向)において保持体18を挟んだ反対側に位置されている(図32及び図33参照)。
従って、第1の係合部58、58と第2の係合部67、67が筒状部64の軸方向において離隔して位置されるため、第2の係合部67、67を弾性変形させてアダプター20のセパレーター19からの取外作業を行うときに第1の係合部58、58に誤って指が接触し難く、セパレーター19の保持体18からの意図しない脱落を防止することができる。
特に、セパレーター19はドレープの一部が取り付けられる部材であり、セパレーター19が保持体18から意図せず脱落してしまうとドレープの手術支援装置1等との接触によりドレープが損傷するおそれがあるため、セパレーター19の保持体18からの意図しない脱落を防止することにより、ドレープの損傷を防止することもできる。
また、アダプター20がセパレーター19に取り付けられた状態においては、セパレーター19の第1の係合部58、58とアダプター20の第2の係合部67、67とが筒状部64の周方向において異なる位置にされている(図34参照)。
従って、第1の係合部58、58と第2の係合部67、67が筒状部64の周方向において離隔して位置されるため、第2の係合部67、67を弾性変形させてアダプター20のセパレーター19からの取外作業を行うときに第1の係合部58、58に誤って指が接触し難く、セパレーター19の保持体18からの意図しない脱落を防止することができる。
さらに、アダプター20がセパレーター19に取り付けられた状態において、筒状部64の周方向における検出機構38の両端と筒状部64の中心Qとを通る二つの平面を平面S1と平面S2とする(図35参照)。このとき平面S1と平面S2によって仕切られる領域のうち、検出機構38が存在する領域を第1の領域72とし、他の領域を第2の領域73とすると、第2の係合部67、67は第2の領域73に位置されている。
従って、複数の第2の係合部67、67がそれぞれ第2の係合受部61、61に係合されると共に検出機構38と複数の第2の係合部67、67とが異なる領域に位置されるため、アダプター20のセパレーター19に対する安定した取付状態を確保した上で第2の係合部67、67と検出機構38の干渉を防止して検出機構38の適正な動作状態を確保することができる。
尚、アダプター20においては、第2の係合部67、67が押付部65の周方向における180度反対側から突出されることにより、アダプター20のセパレーター19に対する最も安定した取付状態を確保することが可能である。
但し、第2の係合部67、67が押付部65の周方向における180度反対側から突出される場合には、第2の係合部67、67と検出機構38の距離が近付いてアダプター20のセパレーター19に対する取付時に意図せず指が検出機構38に接触することも考えられる。従って、このような指の検出機構38との接触を防止するために、第2の係合部67、67が筒状部64の中心Qを通る水平面より下側に位置されることが望ましい。
また、手術具保持装置16にあっては、第1の係合部58、58が弾性復帰された状態で第1の係合受部54、54に係合されることによりセパレーター19が保持体18に取り付けられると共に第2の係合部67、67が弾性復帰された状態で第2の係合受部61、61に係合されることによりアダプター20がセパレーター19に取り付けられる。
従って、弾性変形された第1の係合部58、58が弾性復帰された状態で第1の係合受部54、54に係合され弾性変形された第2の係合部67、67が弾性復帰された状態で第2の係合受部61、61に係合されることにより手術具80がセパレーター19とアダプター20を介して保持体18に保持されるため、手術具80の保持体18に対する着脱を容易かつ迅速に行うことができる。
さらに、アダプター20には手術具80が貫通される筒状部64が設けられ、セパレーター19には筒状部64が挿通される挿通部55が設けられ、筒状部64が挿通部55に挿通された状態でセパレーター19が保持体18に取り付けられると共にアダプター20がセパレーター19に取り付けられる。
従って、手術具80が貫通された筒状部64が挿通部55に挿通された状態でセパレーター19が保持体18に取り付けられるため、省スペースでセパレーター19とアダプター20が保持体18に対して配置され、手術具保持装置16の小型化を図ることができる。
<手術支援装置の動作>
次に、手術支援装置1の動作について説明する(図36乃至図42参照)。
上記のように構成された手術支援装置1は、外科手術が行われる際に、保持体18に保持された手術具80の位置と姿勢を所望の状態に変更するように第1の可動体7と第2の可動体8と第3の可動体12と第4の可動体15と第5の可動体として機能する駆動体17と第6の可動体として機能する保持体18が回動(回転)動作される。
このとき第1の可動体7が回動されると、第1の可動体7の回動動作に伴って第2の可動体8と第3の可動体12と第4の可動体15と駆動体17と保持体18が動作されて手術具80の位置又は姿勢が変更され、第2の可動体8が回動されると、第2の可動体8の回動動作に伴って第3の可動体12と第4の可動体15と駆動体17と保持体18が動作されて手術具80の位置又は姿勢が変更される。また、第3の可動体12が回動されると、第3の可動体12の回動動作に伴って第4の可動体15と駆動体17と保持体18が動作されて手術具80の位置又は姿勢が変更され、第4の可動体15が回動されると、第4の可動体15の回動動作に伴って駆動体17と保持体18が動作されて手術具80の位置又は姿勢が変更される。さらに、駆動体17が回動されると、駆動体17の回動動作に伴って保持体18が動作されて手術具80の位置又は姿勢が変更され、保持体18が回転されると、保持体18の回転動作に伴って手術具80が回転される。
外科手術は、例えば、手術室に設置された手術支援装置1をマスタースレーブ方式により術者(医師)が遠隔から操作することによって行われる。マスタースレーブ方式は、複数の機器が協調して動作される際に、複数の機器の制御や操作を司るマスター機とマスター機の制御下で動作されるスレーブ機とに役割を分担する方式であり、この外科手術においては、術者が操作する図示しない操作装置(コントロール装置)がマスター機とされ、手術支援装置1がスレーブ機とされる。
外科手術において手術支援装置1を使用する際には、先ず、患者200の位置に応じて第1の連結アーム5をポール3に対して上下方向へ移動させて本体4の上下方向における位置を設定し、次いで、施術位置に応じて第1の連結アーム5をポール3に対して回動させると共に第2の連結アーム6を第1の連結アーム5に対して回動させて手術具80の位置を設定する。
外科手術が行われる際には、手術具80の移動の基準点とされるピボット点Pが設定される(図36及び図37参照)。
ピボット点Pは手術具80が挿入されるポート202に略一致する位置であり、トロッカー90が使用される場合にはトロッカー90の位置に略一致される(図2参照)。従って、手術具80が患者200の体腔201に挿入される状態において、手術具80の一部が常にピボット点Pを通るように位置が制御されて適正なピボット動作が行われれば、元の位置(図36の位置G)に対して手術具80の位置が変化(図36の位置H)しても患者200の体表付近の組織に対する負荷の発生が防止されて安全性が確保される。
尚、図36には、シャフト部81の軸方向へ移動された手術具80について、理解を容易にするために、移動前の手術具80と移動後の手術具80とを軸方向に直交する方向に意図的に僅かにずらし、位置Gにおける手術具80を示す実線と位置Hにおける手術具80を示す破線とが重ならないように示している。
また、手術具80が患者200の体腔201に挿入される状態において、手術具80の一部が常にピボット点Pを通るように姿勢が制御されて適正なピボット動作が行われれば、元の姿勢(図37の姿勢J)に対して手術具80の姿勢が変化(図37の姿勢K)しても患者200の体表付近の組織に対する負荷の発生が防止されて安全性が確保される。
一方、外科手術においては、手術室に執刀医や助手や多くの手術用器具が存在するため、特に、手術室の広さが限られる場合には、手術室に存在する人や器具等が手術支援装置1の各部に意図せず接触するおそれがある。
例えば、手術中や手術の準備状態等において、手術室に存在する人や器具等が意図せずセパレーター19に接触し接触による力が外力として付与されると、付与された外力によってアダプター20のセパレーター19に対する取付状態が不安定になるおそれがある。一方、取付作業における作業性の向上を図るためには、アダプター20のセパレーター19への取付が容易に行われることが望ましい。
そこで、このような外力の付与による不具合の発生を防止すると共に取付の容易性を確保するために、アダプター20の第2の係合部67は基端部68の厚みT1が係合爪部71の厚みT4より薄くされている(図38及び図39参照)。
従って、基端部68に対して外側部70を介して厚み方向において力F1(図38参照)が付与されたときに基端部68が屈曲し易く、係合爪部71に対して厚み方向において力F2(図39参照)が付与されたときに係合爪部71が屈曲し難い。これにより、基端部68に力F1が付与されたときに係合爪部71の受け部56に対する係合が解除され易くアダプター20をセパレーター19から容易に取り外すことができると共に係合爪部71に力F2が付与されたときに係合爪部71の受け部56に対する係合が解除され難くアダプター20のセパレーター19からの外れを防止することができる。
また、アダプター20の第2の係合部67は外側部70の厚みT3が基端部68の厚みT1より厚くされている(図38及び図40参照)。
従って、基端部68に対して厚み方向において力F1(図38参照)が付与されたときに基端部68が屈曲し易く、係合爪部71に対して厚み方向において力F2(図40参照)が付与されたときに外側部70が屈曲し難い。これによっても、基端部68に力F1が付与されたときに係合爪部71の受け部56に対する係合が解除され易くアダプター20をセパレーター19から容易に取り外すことができると共に係合爪部71に力F2が付与されたときに係合爪部71の受け部56に対する係合が解除され難くアダプター20のセパレーター19からの外れを防止することができる。
また、上記のように、手術室に存在する人や器具等が意図せずセパレーター19やアダプター20に接触して外力が付与されると、内視鏡による体腔201の内部における状態を正確に観察することができなくなるおそれもある。
さらに、手術支援装置1を用いた外科手術は、マスタースレーブ方式により術者が遠隔から操作することによって行われるため、手術具80における各部の位置が保持体18に対して意図せず変化してしまうと、マスター機である操作装置に入力された情報に基づいて術者が認識している手術具80の位置や姿勢と実際の手術具80の位置や姿勢とが異なり、手術の正確性や安全性を低下させるおそれがある。
そこで、手術具保持装置16は、上記したように、セパレーター19には被規制部65bに係合し筒状部64の周方向におけるアダプター20の回転を規制する規制部56b、56bが形成されている。
従って、アダプター20がセパレーター19に取り付けられセパレーター19が保持体18に取り付けられた状態において、手術具80が取り付けられたアダプター20のセパレーター19に対する回転が規制されるため、手術具80の保持体18に対する意図しない回転が防止され、手術具80の保持体18に対する変位を防止して手術の正確性や安全性を確保することができる。
また、セパレーター19には回転被規制部57、57が設けられ、保持体18には回転被規制部57に係合し挿通部55の周方向におけるセパレーター19の回転を規制する回転規制部53b、53b、・・・が形成されている。
従って、アダプター20がセパレーター19に取り付けられセパレーター19が保持体18に取り付けられた状態においてアダプター20のセパレーター19に対する回転が規制されると共にセパレーター19の保持体18に対する回転が規制されるため、手術具80の保持体18に対する意図しない回転が防止され、手術具80の高い位置精度が確保され正確な手術を行うことができる。
手術支援装置1においては、手術中及び手術の前後において手術具保持装置16が第4の可動体15に対して回動される場合がある。この場合に、手術具保持装置16は駆動体17が第4の可動体15に対して回動されるが、駆動体17は第4の可動体15に対して第1の回動位置と第2の回動位置の間で回動可能にされている(図41及び図42参照)。
第1の回動位置は、例えば、手術具80のシャフト部81が略水平な状態に保持される位置であり(図41参照)、第2の回動位置は、例えば、手術具80のシャフト部81がカメラヘッド82より下側にある状態において垂直方向に対して稍傾斜される位置である(図42参照)。
手術具保持装置16は、上記したように、全体として略L字状に形成され、前後に延びる部分における前側の部分は上下の幅が小さい幅狭部48として設けられ、前後に延びる部分における後側の部分は幅狭部48より上下の幅が大きい幅広部49として設けられている。
駆動体17は第2の回動位置において前後に延びる部分が第4の可動体15に接近して位置されるが、駆動体17が上記のような幅狭部48と幅広部49によって構成された形状に形成されることにより、第2の回動位置において幅狭部48が第4の可動体15に接近し第4の可動体15の一部が第1の凹状空間50に位置され駆動体17が第4の可動体15に接しない(図42参照)。
従って、駆動体17の第4の可動体15に対する接触が回避され、両者の損傷を防止することができると共に駆動体17を第4の可動体15に対して円滑に回動させることができる。
また、駆動体17が幅狭部48と幅広部49によって構成された形状に形成されることにより、手術具80のライトガイド83は幅狭部48に接近し入光部83cが第2の凹状空間51に位置され幅広部49に対しては離隔して位置される。
従って、駆動体17とライトガイド83の損傷を防止することができると共に手術具80を駆動体17に対してシャフト部81の軸回り方向へ駆動体17と干渉することなく円滑に回転させることができる。
特に、駆動体17において、第4の可動体15に対する連結部分である連結部材27に近付いた部分を幅狭部48とし連結部材27から離れた部分を幅広部49として設けることにより、配置スペースの大きな幅広部49にエンコーダー32や駆動モーター33等の保持体18を回転させるための所要の構成を配置することが可能になり、設計の自由度の向上を図ることができる。
また、駆動モーター33から保持体18への駆動力の伝達を行うための軸状の連結シャフト35を幅狭部48に配置することにより、幅狭部48の外形状を可能な限り小さくすることができ、駆動体17と第4の可動体15との干渉や駆動体17とライトガイド83との干渉を容易かつ効率的に回避することができる。
<その他>
上記には、本体部41、44と本体部41、44に対して移動される検出ピン42、45とが設けらた検出機構38を例として示したが、手術具保持装置16においては、検出機構38に代えて検出光によって検出を行う検出機構38Aが用いられていてもよい(図43参照)。
検出機構38Aが用いられる場合には、セパレーター19の少なくとも受け部56とアダプター20の少なくとも押付部65とが、光を反射することが可能な材料によって形成され又は光を反射することが可能な表面処理を施されている。
検出機構38Aは第1の検出部39Aと第2の検出部40Aを有し、第1の検出部39Aと第2の検出部40Aにはそれぞれ図示しない発光部と受光部が設けられている。第1の検出部39Aと第2の検出部40Aの発光部からはそれぞれセパレーター19の受け部56とアダプター20の押付部65とへ向けてレーザー光(検出光)が発光される。
第1の検出部39Aの発光部から発光されたレーザー光が受け部56で反射され第1の検出部39Aの受光部で受光されると、受光部でレーザー光を受光したことが検出信号として検出回路に送出され、セパレーター19が保持体18に適正に取り付けられたことが検出される。
また、第2の検出部40Aの発光部から発光されたレーザー光が押付部65で反射され第2の検出部40Aの受光部で受光されると、受光部でレーザー光を受光したことが検出信号として検出回路に送出され、アダプター20がセパレーター19に適正に取り付けられたことが検出される。
このように手術具保持装置16にセパレーター19又はアダプター20へ向けて検出光を発光する発光部とセパレーター19又はアダプター20で反射された検出光を受光する受光部とを有する検出機構38Aが設けられることにより、セパレーター19で反射された検出光によって保持体18に対するセパレーター19の取付状態が検出され、アダプター20で反射された検出光によってセパレーター19に対するアダプター20の取付状態が検出される。
従って、簡素な構成によってセパレーター19とアダプター20に関する取付状態の検出を容易に行うことができる。
また、上記した第1の可動体7と第2の可動体8と第3の可動体12と第4の可動体15と駆動体17と保持体18の回動方向は、上記において示した方向に限られることはなく、手術具80が直交する3軸方向へ移動可能にされ任意の姿勢にされることが可能であれば、何れの方向にされていてもよい。
さらに、上記には、6自由度を有する手術支援装置1を例として示したが、手術支援装置1は直交する3軸方向へ移動可能にされた構成であれば任意の構成にすることが可能である。
さらにまた、上記には、アダプター20に折返部69と基端部68の境界部分に段差面69aが形成された第2の係合部67が設けられた例を示したが、例えば、基端部68の厚み方向における面が曲面又は平面に形成されて基端部68が折返部69に連続されていてもよい(図44参照)。
このように基端部68の厚み方向における面が曲面又は平面に形成されて基端部68が折返部69に連続された第2の係合部67が設けられることにより、基端部68と折返部69の境界部分に応力集中が発生し難くなり、第2の係合部67の強度の向上を図ることができる。