本開示は、外部固定システム及びその使用方法に関する。当業者は、以下の説明が、多様な実施形態のために様々に応用できるテクノロジーの原則の単なる例示であることが分かるはずである。本説明は、このテクノロジーの一般原則を例証するためのものであり、請求項における本発明の概念を限定するためのものではない。本開示は設計概念を例証するために膝又は足首関節又は骨折の固定に関連してなされるが、本発明の設計及び/又はその変形は、腕、手首、指、つま先、脊椎又はその他の骨又は関節における応用に適合することが想定される。
本出願において説明するテクノロジーは、骨と強化ロッドとの間に高い適合性を持つ接続部を与えるために少なくとも1つの多軸ジョイントを利用する外部固定クランプに関する。
本開示の装置、キット及び方法は、経済的に使い捨て可能な外部固定システムを提供できる。本開示のシステムは、1回の使用後に処分することを想定できるような低コストで製造できる。例えば、本開示のキットは、約$500の製造者推奨の小売価格(MSRP)で製造できる。本明細書に開示する外部固定システムの各々は、工具及び/又はピンなどの固定部材も含むことができるキットとして予組立して提供できる。使用方法において、骨折及び/又は解剖学上の関節をスパニングするために、骨ピンを患者の骨部分に固定できる。予組立された外部固定システムは、単一ピースとして又はユニットとして骨ピンに取付けでき、システムの一方の端を反対端から離して引っ張って、骨折を整復しかつ/又は解剖学上の関節を不動化することによって、暫定的にロックされる。暫定的ロック(関節又は骨折を不動化したまま保持する)の後に、システムの個々の接続部及びクランプを調節して、更にロックダウンできる。外部固定システムは、搬送時間を含めて短期間、患者の体に当てたままにできる。例えば、ピロン骨折などの足首の複雑骨折は、1〜2週間後に腫脹が小さくなり、最終的に骨折を治療するために皮膚の切開をより安全に行えるまで、当初は外部固定器で治療できる。このような場合、患者を、当初の外部固定器取付と最終的手術との間に別の病院又はリハビリ施設へ搬送できる。別の例において、本開示の1つ又はそれ以上のシステムは、戦場又は事故現場において患者に使用して、病院への搬送時に患者にロックダウン構成のままにして、病院において、骨折又は関節を安定化するために手術又は他の長期的手段が使用される。
本明細書において、標準的な医学的方向用語はその通常の慣例的意味で使用される。上方(superior)は頭部寄りを意味する。下方(inferior)は頭部から離れることを意味する。前方(anterior)は、前面寄りを意味し、後方(posterior)は背面寄りを意味する。正中側(medial)は、身体の中線又は左右相称平面寄りを意味する。外側(lateral)は身体の中心線から離れることを意味する。近位は、体幹寄りを意味する。遠位は、体幹から離れることを意味する。
本明細書において、3つの相互に直交する基準面の標準的体系を採用する。矢状面は、身体を相称の左右部分に分割する。前頭面は、身体を前後部分に分割する。水平面は、身体を上下部分に分割する。
四肢(第1骨部分及び第2骨部分を有する四肢)の外部固定のための方法の1つの形態において、方法は、第1骨部分に第1骨ピンを固定することと、第2骨部分に第2骨ピンを固定することと、予組立された外部固定システムを第1骨ピンに取り付けることであって、外部固定システムが、第1及び第2クランプ組立体と、第1ロッド組立体と、一方向ロック機構とを含み、第1ロッド組立体が第1及び第2クランプ組立体の各々に接合され、第1及び第2クランプ組立体が第1ロッド組立体の長手方向に対向する両端に在り、第1クランプ組立体が第1骨ピンに被せて受け入れられる、ことと、外部固定システムを第2骨ピンに取り付けることであって、第2クランプ組立体が第2骨ピンに被せて受け入れられる、ことと、第1クランプ組立体と第2クランプ組立体との間の外部固定システムの長さを増大するために第2クランプ組立体から長手方向に離れる方向へ第1クランプ組立体を伸延させるために張力を加えることと、第1クランプ組立体に対する張力を解除することと、を含み、第1クランプ組立体に対する張力が解除されたとき、一方向ロック機構は自動的に係合して、外部固定システムの長さが減少するのを防止する。
1つの実施形態において、方法は、包装を開けることと、包装から単一ユニットとして予組立された外部固定システムを取り出すことと、を含むことができる。
別の実施形態において、各ロッド組立体は、取外し可能タブを含み、方法は、一方向ロック機構を起動するためにタブを取り外すことを含み、タブを取り外す前に、外部固定システムは、第1クランプ組立体と第2クランプ組立体との間の外部固定システムの長さを増減するために自由に調節できる。
更に別の実施形態において、外部固定システムは第2ロッド組立体を含み、第2ロッド組立体は、第1及び第2クランプ組立体の各々に接合される。
更に別の実施形態において、第1クランプ組立体は第2クランプ組立体と同じであり、第1ロッド組立体は第2ロッド組立体と同じである。
更に別の実施形態において、一方向ロック機構は、自動的にロッド組立体に係合して、外部固定システムの長さが減少するのを防止する。
更に別の実施形態において、一方向ロック機構は、非離散的位置において自動的にロッド組立体に係合して、外部固定システムの長さが減少するのを防止する。
更に別の実施形態において、ロッド組立体は、外側管状部材の中に受け入れられる内側管状部材を含み、一方向ロック機構は第1ロック機構であり、一方向ロック機構は、外側管状部材に取り付けられ、一方向ロック機構を起動することは、更に、内側管状部材が外側管状部材に対して第1方向に並進するのを防止するために一方向ロック機構を内側管状部材と直接係合させることを含む。
更に別の実施形態において、一方向ロック機構は、内側管状部材を取り巻くカラーを含み、カラーは、摩擦によって内側管状部材に係合して、内側管状部材が外側管状部材に対して第1方向に並進するのを防止する。
更に別の実施形態において、方法は、更に内側管状部材が外側管状部材に対して第1方向及び第1方向と反対の第2方向に並進するのを防止するために、第2ロック機構を起動することを含む。
更に別の実施形態において、ロッド組立体は、更に第2ロック機構を含み、第2ロック機構は外側管状部材を取り巻くクランプを含み、方法は、更に外側管状部材の周りにクランプを圧迫することと、内側管状部材の周りに外側管状部材を圧迫することとを含む。
更に別の実施形態において、方法は、更に内側管状部材が外側管状部材に対して並進するのを防止するために第3ロック機構を起動することを含む。
更に別の実施形態において、ロッド組立体は更に第3ロック機構を含み、第3ロック機構は、内側管状部材の中に受け入れられたプラグを含み、方法は、更に、内側管状部材の一部分を拡張させるために内側管状部材内でプラグを引っ張ることを含む。
更に別の実施形態において、方法は、第1クランプ組立体に対して第1ロッド組立体の位置を多軸的に調節することと、第1クランプ組立体に対して第1ロッド組立体の位置をロックするために第1ロッド組立体の周りに第1クランプ組立体を圧迫することとを含む。
更に別の実施形態において、方法は、第1クランプ組立体を第1骨ピンにロックすることを含む。
更に別の実施形態において、第1クランプ組立体は、第1固定プレート及び第2固定プレートを収容し、第1クランプ組立体を第1骨ピンにロックすることは、更に、第1及び第2固定プレートに第1骨ピンを貫通させることと、第1骨ピンを拘束するために第1及び第2固定プレートを変形することとを含む。
更に別の実施形態において、方法は、第1クランプ組立体の中へ第3骨ピンを通過させることと、第3骨ピンを四肢に固定することとを含む。
外部固定システムの1つの形態において、システムは、第1クランプ組立体と、第2クランプ組立体と、第1クランプ組立体及び第2クランプ組立体に固定されかつその間に延びる第1ロッド組立体であって、第1ロッド組立体が第1管状部材と第1管状部材の中に受け入れられる第2管状部材とを含む、第1ロッド組立体と、第1管状部材と第2管状部材との間の軸方向並進を制限する一方向ロック機構であって、一方向ロック機構がアンロック構成とロック構成とを有する一方向ロック機構と、を含む。外部固定システムは、第1クランプ組立体と第2クランプ組立体との間で計測された長さを有し、一方向ロック機構がアンロック構成の時、外部固定システムの長さを増減するために第2管状部材は第1管状部材に対して自由に並進でき、かつ一方向ロック機構がロック構成の時、第2管状部材は、外部固定システムの結合長さを増大するために第1管状部材に対して自由に並進できるが、外部固定システムの長さを減少するために第1管状部材に対して並進するのを防止される。
1つの実施形態において、外部固定システムは、第1クランプ組立体及び第2クランプ組立体に固定されかつその間に延びる第2ロッド組立体を含み、第1クランプ組立体は第2クランプ組立体と同じであり、かつ第1ロッド組立体は第2ロッド組立体と同じである。
別の実施形態において、第2管状部材は、外部固定システムの長さを増大するために第1方向に、及び外部固定システムの長さを減少するために第1方向の反対の第2方向に、軸方向に並進できる。
更に別の実施形態において、ロック構成において、一方向ロック機構は、外部固定システムの長さが減少するのを防止するために第1ロッド組立体に係合する。
更に別の実施形態において、一方向ロック機構は、更に、第2管状部材を取り巻くカラーを含み、ロック構成において、カラーは、第2管状部材の第2方向への並進を防止するために第2管状部材を拘束する。
更に別の実施形態において、一方向ロック機構は第1ロック機構であり、システムは、更に第1管状部材に対する第2管状部材の一切の移動を防止するために、更に第2ロック機構を含む。
更に別の実施形態において、ロッド組立体は、更に第2ロック機構を含み、第2ロック機構は第1管状部材を取り巻くクランプを含み、クランプは、第2管状部材の周りで第1管状部材を圧迫して、第1管状部材に対する第2管状部材の一切の移動を防止するために、第1管状部材の周りで圧縮可能である。
更に別の実施形態において、外部固定システムは、第1及び第2管状部材に係合する第3ロック機構を含む。
更に別の実施形態において、第3ロック機構は、第2管状部材の中に受け入れられるプラグを含み、第2管状部材内でプラグを引っ張ることによって、第2管状部材の一部分が拡張して、第1管状部材内にぴったりと嵌る。
更に別の実施形態において、第1クランプ組立体は球形クランプ面を含み、第1ロッド組立体は球体部分を含み、球体部分は球形クランプ面内に受け入れられて、第1クランプ組立体と第1ロッド組立体との間に多軸ジョイントを形成する。
更に別の実施形態において、第1クランプ組立体は、更にロックスクリューを含み、ロックスクリューを締めると、球体部分の周りに球形クランプ面を圧迫して、第1クランプ組立体に対する第1ロッド組立体の位置をロックする。
更に別の実施形態において、外部固定システムは、第2球体部分を含む第2ロッド組立体を含み、第1クランプ組立体は更に第2球形クランプ面を含み、第2球体部分は第2球形クランプ面内に受け入れられて、第1クランプ組立体と第2ロッド組立体との間に多軸ジョイントを形成し、ロックスクリューを締めると、第1クランプ部材に対して第1及び第2ロッド組立体の位置を同時にロックする。
更に別の実施形態において、外部固定システムは第1骨ピンを含み、第1クランプ組立体は第1固定プレート及び第2固定プレートを収容し、第1骨ピンは第1固定プレート及び第2固定プレートを貫通し、第1及び第2固定プレートは、第1骨ピンを拘束して第1クランプ組立体に対して第1骨ピンの位置を固定するために変形可能である。
更に別の実施形態において、外部固定システムは、一方向ロック機構に取り付けられた取外し可能タブを含み、取外し可能タブは一方向ロック機構をアンロック構成に保持し、一方向ロック機構からタブを取り外すと、一方向ロック機構をロック構成に変換する。
図1及び2を参照すると、外部固定システム500は、第1クランプ組立体502と、第2クランプ組立体504と、第1ロッド組立体506と、第2ロッド組立体508と、を含む。1つの実施形態において、外部固定システム500は、膝スパニングシステムまたは関節スパニングシステムと呼ぶことができるが、外部固定システム500は、骨折、切骨、骨端板又は骨部分と骨部分の間のその他の不連続部をスパニングするためにも使用できる。ロッド組立体506、608は、クランプ組立体502、504の間に延びかつこれらを接続して、単一システム500にする。ロッド組立体506、508は、膝又はその他の解剖学的部位のために適切なサイズに調整できる。いくつかの実施形態において、第2ロッド組立体508は省略できる。ロッド組立体とクランプ組立体との間の接続部は、多軸的に調節可能である。クランプ組立体は、ロッド組立体を支持するので、支持要素または部材と呼ぶことができる。ロッド組立体は、各々の長さが調節可能なので、可変長さ又は入れ子式要素、ストラット又は部材と呼ぶことができる。外部固定システム500は、フレームと呼ぶことができる。第1と第2クランプ組立体は、第1及び第2ロッド組立体と同様に、鏡像的とするか、又は相互に同一とすることができる。システムに同一の組立体を使用することによって、システム全体を、各別個の構成要素又は組立体が独特であるシステムより安価にかつ/又は迅速に製造できるようにする。例えば、同一の組立体502、504及び506、508を持つシステム500は、複数の独特の非同一の構成要素を持つシステムより、必要とする形式及び独特の生産工程が少ない。ステップを少なくできるので組立もより迅速になり、特定の組立ステップを反復できる。
使用時に、システム500は、ユニットとしてワンピース式に患者に固定できる。第1クランプ組立体502は、1つ又はそれ以上の固定ピン510によって第1骨部分に固定できる。骨スクリュー、骨ピン、ワイヤ及び/又はその他の締結具を、固定ピン510の代わりに又はこれと組み合わせて使用できる。第2クランプ組立体504は、付加的な固定ピン510によって第2骨部分に固定できる。クランプ組立体間に延びるロッド組立体506及び508は、第1骨部分と第2骨部分との間の関節又は骨折をスパニングできる。クランプ組立体502、504が骨部分に固定された後、ロッド組立体506、508を所望の長さに伸長又は短縮して、関節又は骨折を安定化するために暫定的にロックできる。暫定ロック後に、組立体の多軸接続部を調節でき、その後より永続的にロックできる。
図3〜6は、クランプ組立体502をより詳細に示す。クランプ組立体504は、クランプ組立体502に対して鏡像的とするか又は同一とすることができるので、詳細に説明しない。クランプ組立体502の説明はクランプ組立体504にも適用できる。クランプ組立体502は、単一ピースとして形成されるクランプ本体520を含む。クランプ組立体502は、更に第1及び第2固定ボルト522、524と、第1、第2、第3及び第4固定プレート526、527、528及び529と、クランプボルト530と、第1ナット532と、第2ナット533とを含む。固定プレートは、ロックプレートと呼ぶことができる。ロッド組立体506、508は、クランプ本体520の一部として形成される第1クランプ534及び第2クランプ536を介してクランプ組立体502に多軸的に調節可能に接続される。いくつかの実施形態において、第2クランプ536は、省略できる。2つの骨ピン560、562は、クランプ本体520を通過して延びて、クランプ組立体502を骨部分に固定する。別の実施形態において、1本の骨ピンのみを使用できる。
図2、4及び5を参照すると、クランプ本体520は、十字形又プラス形とすることができ、上面又は第1面512と、第1面の反対側の下面又は第2面514とを含む。クランプ本体520は、更に、第1及び第2クランプ534、536(第2軸535に沿って延びる)に対して直交する第1アーム538及び第2アーム540(第1軸541に沿って延びる)を含む。第1軸541は、システム500が中立又は直角配列の時ロッド組立体506、508の長手方向に対して平行とすることができる。2つのボルト用開口部544、546が、下で説明するピン用開口部542、552と同じ方向にクランプ本体520を通過して延びる。図示する実施例において、ボルト及びピン用開口部は、第1軸541及び第2軸535に対して直交する方向に延びる。第1スロット548は第1面512の中へ陥没し、第2スロット550は、第1スロットに対向して第2面514の中へ陥没する。第1及び第2スロットは細長く、第1及び第2アーム538、540の長さの大部分を占め、スロットは第1軸541に対して平行である。複数のピン用開口部又は孔542は、アームを通過して第1スロット548と第2スロット550との間に延び、各ピン孔は骨ピン510を受け入れるサイズを持つ。第1及び第2固定プレート526、528は、第1スロット548の中に収容され、第3及び第4固定プレートは第2スロット550の中に収容される。各固定プレート526、527、528及び529は、少なくとも1つのプレートピン用開口部552と、ねじ切りプレートボルト用開口部554又は非ねじ切りプレートボルト用開口部555の一方を含む。各固定プレート526、527、528及び529は、細長く、第1延長部556と第2延長部558とを有する。
骨ピン560、562は、クランプ本体520のピン用開口部542の中に受け入れられる。図4及び5に示すように、各骨ピンは、固定プレートのプレートピン用開口部552を通過し、第1スロット548を通過し、ピン孔542を通過し、第2スロット550を通過し、別の固定プレートのプレートピン用開口部552を通り抜ける。ピン用開口部は、ピン560、562が当初はアーム538、540に対して軸方向に並進できるようにするために、非ねじ切りでかつ/又は平滑とすることができる。並進は、患者の四肢に対してシステム500の高さを調節可能にすることができ、このことは、四肢に組織の腫脹、開放創及び/又は擦過傷がある場合に有利である可能性がある。骨ピンはピン用開口部542の1つ又は任意の組合せに配置できることが分かるはずである。
図5を参照すると、第1固定ボルト522は、第1固定プレート526の非ねじ切りボルト用開口部554を通過してスロット548の中へ入り、ボルト用開口部544を通過し、第2スロット550及び第2固定プレート527のねじ切りプレートボルト用開口部555を通り抜ける。ボルト522のねじ山がねじ切りプレートボルト用開口部555に係合するとき、第2固定プレート527は、第1固定プレート526へ向かって引っ張られ、固定プレート527、526の一方又は両方は、弾性的又は可塑的に変形できる。プレートピン用開口部552は、摩擦によってピン562を拘束して、ピンが軸方向にそれ以上並進するのを防止する。プレート526、528が変形するとき、プレートは弓形に曲がってその長さを減少して、ピン562をピン孔542の側面に押し付ける。この力は、ピン562に対する二次的ロック作用を生じる。ボルト524は、第3固定プレート528のボルト用開口部554を通過し、ボルト用開口部544を通過し、第2スロット550及び第4固定プレート529のねじ切りプレートボルト用開口部555を通り抜ける。ボルト524は、ボルト522について説明したのと同様にプレート528、529と係合して、ピン560を固定する。他の実施形態において、技術上既知の他のピン捕捉又は固定方法を使用できることが分かるはずである。
図4及び6を参照すると、クランプ534、536は、ロッド組立体を伸長又は短縮するためにロッド組立体が入れ子式移動できるようにしながら、ロッド組立体506、508を保持又は締付けする形状を持つ。クランプ534は、図示する実施形態においては球形のクランプ内面570を有する。別の実施形態において、クランプ面は部分的に球形、円錐形、円筒形、平坦、多角形又は他の形状を持つことができる。図示する実施形態において、クランプ534、536は、対応する球体部分612、614を捕捉しておくことができる。なぜなら、クランプ内面570、580は、小さい荷重での解体を妨害するのに充分な対応する球体部分612、614の赤道直径又は大直径(great diameter)をカバーできる充分な幅(軸541に対して平行)を持つ。クランプ内面570は、対向する第1及び第2クランプ面574、576によって画定されるクランプギャップ572によって中断される。同様に、クランプ536は、球形クランプ内面580、クランプギャップ582及び第1及び第2クランプ面584、586を有する。図示する実施例において、クランプ内面570、580は平滑であるが、別の実施形態においては、畝付き(ridged)又は粗面とすることができる。孔590は、第2軸535に対して平行にクランプ534、536を通過して延び、クランプギャップ572、582と交差する。孔590は、また、クランプ本体520の中心で第2スロット550とも交差する。孔590は、一方の端部に第1凹部592を、反対端部に第2凹部594を含む。チェンバ596が、クランプ本体520内で第1クランプ534と第2クランプ536との間に長手方向に延びて、クランプ本体の重量を減少できる。クランプボルト530は、孔590を通過して延びて、ナット532に係合する。クランプボルト530がナット532に係合するとき、ナット532は、第2凹部594の中に捕捉される。ボルト530を更に作動すると、ナット532をボルト頭部へ向かって引っ張って、凹部594と係合して、ギャップ572、582を閉鎖する。ナット533(ウィングナットとすることができる)を手で作動して、ボルト530を締付けできる。図1に示すように、ロッド組立体506、508が図示するようにクランプ534、536と組み立てられ、説明したようにボルト530が締め付けられたとき、ロッド組立体は、クランプの中に把握されて、クランプ本体520に対する一切の移動(例えば軸方向、回転又は多軸的な移動)が防止される。ナット533及びボルト530は、迅速な締付けのために粗目ねじ山(coarse pitch threads)を含むことができる。
図7〜10は、ロッド組立体506を更に詳細に示す。ロッド組立体508は、ロッド組立体506の鏡像であるか又はこれと同一とすることができるので、更に詳細には説明しない。ロッド組立体506は、外側又は第1管状要素600と、内側又は第2管状要素602と、ロックスクリュー604と、ロッドクランプ組立体606とを含む。第1管状要素600は、第1端部601と、第2端部603と、その間に延びる軸部609とを含み、第2管状要素は、第1端部605と、第2端部607と、その間に延びる軸部619と、を有する。第1管状要素600は、第2管状要素602より直径が大きく、第2管状要素の一部分を同軸的に受け入れる。管状要素は、図示するように円形断面を持つか、又は別の実施形態において正方形、長方形、三角形又は他の任意の多角形の断面を持つことができる。管状要素は、ロッド、ロッド要素又はロッド部材と呼ぶこともできる。
第1チューブプラグ608は、第1管状要素600の第1端部601に接合され、第2チューブプラグ610は、第2管状要素602の第2端部607に接合される。内側プラグ611は、内側管状要素602の第1端部605内に嵌まる。チューブプラグ608、610は、クランプ534、536の凹面球形クランプ内面に対して相補的形状を持つ凸面球体部分612、614を有する。第1チューブプラグ608は、更に首部613と取付け部617とを含み、第2チューブプラグ610は、更に首部615と取付け部619とを含む。首部613、615は、それぞれの球体部分612、614及びそれぞれ内側及び外側管状部分600、602の直径より小さい。取付け部617、619は、環状でかつ中空とすることができ、それぞれの管状要素600、602の中に受け入れられるサイズを持つことができる。大小のチューブプラグ608、610は、機械加工のアルミニウムから製造できる。製造時に、プラグは、特に挿入、接着、糊付け又はねじ式接続によって関連するチューブに組立できる。
ライン、チェーン、テザー又はその他の接続要素が、第2管状要素602内の内側プラグ611と第1管状要素との間に延びて、管状要素600、602間の不注意による分離を防止できる。図9から分かるように、ライン629は、内側プラグ611につながれて、外側管状要素600の孔を通過して延びて、チューブプラグ608の中に受け入れられたキャップ631につなぐことができる。ライン629は、管状要素間で軸方向に並進できるようにするのに充分な長さを持つことができる。例えば、ライン629は、ほぼ外側管状要素600の長さである。別の実施形態において、第1管状要素と第2管状要素との間の分離を防止するために、技術上既知の他の保持特徴部を使用できる。
プラグの球体部分612、614は、多軸クランプのロック強さを強化するための外面パターン又はテクスチャを特徴とすることができる。第1パターンは、谷、溝又はスロットが球体の外面に切り込まれるネガティブ特徴部とすることができる。これは、クランプ面が、ネガティブ特徴部の中へ弾性的又は可塑的に変形して入り込むのに充分なコンプライアンスを持つ場合に効果的である。第2パターンは、元来の又は名目上の球面から延びるスパイク又は鋭いリッジなどのポジティブ特徴部とすることができる。これらのポジティブ特徴部は、球体部分とクランプとの間に機械的インターロックを生じるために、クランプ面を押圧する又はクランプ面に切り込むためのものである。第1パターンは、いずれの構成要素も損傷することなく、2つの要素間の締付け力を強化できる。第2パターンは2つの要素の一方を永久的に変形させ、原状復帰しにくい。本出願において開示する実施形態は、第1又は第2パターン、その組み合わせを含むか、いずれのパターンも含まないか、または別のパターンを含む場合がある。他の実施形態において、コーティング又は沈着によってテクスチャを与えることができる。球体部分は、患者が入浴するときに流体を排出できるようにするために、ドレン孔として役立つ開口部を含むことができる。
例えば図1及び3に示すように、クランプ534、536と組み立てたとき、球体部分612、614は、多軸的に調節可能なジョイントを形成して、複数軸の周りで回転運動できるようにする。システム500の多軸的運動範囲は、軸541に対して平行のクランプ534、536の厚み、チューブプラグの球体部分612、614の直径及び球体部分を管状要素に接続する首部613、615の直径に応じて決まる。図示する実施形態は、各多軸的調節可能ジョイントにおいて±30度の運動を特徴とする。別の実施形態においては、運動範囲は、各多軸的調節可能ジョイントにおいて±45度とすることができる。更なる運動範囲が要求される場合、クランプの厚みを減少し、球体部分の直径を増大しかつ/又は首部の直径を減少することによって、運動範囲を増大できる。首部の直径が減少すると、チューブ壁厚みは、同じ強度を維持するために厚くなる可能性がある。多軸的運動範囲及び構成要素の強度の両方を最大化する直径及び壁厚みを決定するために最適化エクササイズ(optimization exercise)を採用できる。球体部分及びクランプ面の設置位置は、クランプ組立体とロッド組立体との間を多軸的に接続するために逆転できることが分かるはずである。例えば、1つの実施形態において、クランプ本体520は、凸面球体部分を含み、ロッド組立体506又は508は凹面球形クランプ面を含むことができる。別の実施形態において、球体部分612、614は、球形クランプ面570、580とロックするために内部から拡張したスプリット球体(split sphere)とすることができる。
球体部分612、614は、外部固定器の実施形態の予定の用途に応じて任意の直径サイズを持つことができる。球体部分の直径が増大すると、球体部分とそのそれぞれの球形クランプ面との間の運動をロックアウトするために必要な締付け力が減少して、指でウィングナット、ノブ、レバー、ボルト又はこれと同種のものを締めることによってロックできるレベルにすることができる。1つの実施形態において、球体部分の直径は、0.75インチ(1.90cm)以上である。別の実施形態において、球体部分の直径は、1.0インチ(2.54cm)以上である。別の実施形態において、球体部分の直径は、1.25〜1.75インチ(3.18〜4.45cm)の範囲である。0.75インチ(1.90cm)以上の球体部分を持つ実施形態は、大腿骨、膝、脛骨、足首及び/又は脚に使用するのに適する。
本開示の範囲内で想定される他の実施形態は、本出願において開示するシステムの他の場所において多軸的調節可能ジョイントを含むことが分かるはずである。別の実施形態において、多軸的調節可能ジョイントは、ロッド組立体の端部の多軸的調節可能ジョイントの代わりに又はこれに加えて、ロッド組立体の長さに沿った1つ又はそれ以上の場所に配置できる。例えば、多軸的調節可能ジョイントは、ロッド組立体の第1ロッド要素と第2ロッド要素との間に形成できる。別の実施形態において、2つの軸の周りでの回転移動を可能にするU字形ジョイントをロッド組立体とクランプ組立体との間に形成できる。別の実施形態において、多軸的調節可能ジョイントは、クランプ組立体とロッド組立体との間の接続部ではなく、クランプ組立体上に形成できる。別の実施形態において、多軸的調節可能ジョイントは、骨ピンとクランプ本体との間に形成できる。別の実施形態は、本出願において開示するジョイントの設置場所を混合し、調和させることができる。
外側チューブ600及び内側チューブ602は、標準サイズの薄壁アルミニウム管として指定できる。また、炭素繊維補強ポリマー又は所望の剛性及びチューブプラグと結合できる能力を与えるその他の材料からも製造できる。軸部609、619は、その間の滑動を容易にするために平滑にすることができる。ロッド組立体の長さを示すために管状要素の外面に印646を付けることができる。いくつかの実施形態において、離散的なかつ/又は設定された位置において拘束カラー624を捕捉するために管状要素602の外面に溝を付けることができる。いくつかの実施形態において、ラチェット接続部を第1管状要素と第2管状要素との間に形成できる。
1つの実施形態において、ロッドクランプ組立体606は、スプリットカラーロック装置として説明できる。ロッドクランプ組立体は、外側管状要素600の端部に接着でき、外側管状要素の短いスロット616の方を向く。図8に示す実施例において、ロッドクランプ組立体606は、ロックカラー620と、ピン622と、拘束カラー624と、スクリュー626と、保持ピン628と、ばね630と、保持具632とを含む。拘束カラー624は、ロックカラー620の環状凹部621の中に受け入れられ、ピン622を介してロックカラー624に蝶番式に接続される。トング625が、拘束カラー624から突出する。保持ピン628は、拘束カラー624の孔を通過し、ロックカラーのピン孔629を通過し、ばね630を通過して延びて、保持具632によって捕捉される。ロックカラー620は、更に、カラーギャップ662によって中断される円形孔660を含む。第1ショルダ664及び第2ショルダ664が、孔ギャップ662の両側に在る。スクリュー626は、ロックカラー620のスクリュー孔627に受け入れられる。外側管状要素は孔660の中に受け入れられ、第2端部603はフランジ623に着座する。
ロッドクランプ組立体606は、更に、タブ部材670を含む。タブ部材は、第1及び第2管状部材600、602を固定された軸方向又は長さ関係に暫定的にロックするためにロッドクランプ組立体606を作動できるようにするために取外し可能である。タブ部材670は、1対のタブ延長部672を含む。図10に示すように、拘束カラー624は、ロックカラー620の中に受け入れられる。アンロック構成において、タブ部材670は、タブ延長部672がトング625の両側に在ってトングとショルダ664、666との間に捕捉された状態で、ロッドクランプ組立体606に取り付けられる。タブ部材670の存在は、カラーギャップ662を開放したままに維持して、孔660が管状部材600、602の周りで締まって管状部材を共に暫定的にロックするのを防止することによって、管状部材600、602が相互に対して軸方向に両方向に移動できるようにする。使用の際、タブ部材670は、システムがパッケージから取り出されたときシステム500に付いていて、システム500を伸長又は短縮するために、システム500の長さを軸方向に両方向に入れ子式に調節できるようにする。
暫定的又は一時的ロック機構650は、チューブ600、602を外向きに入れ子式に移動して結合長さを増大できるようにするが、ロックが解除されない限り、チューブが縮んだり結合長さを減少したりするのを防止する。このタイプのロックは一方向運動ロックとして説明できる。ロッド組立体は、一時的ロック機構650が係合したとき長さ安定であると言える。暫定ロック機構650は、システム全体500が固定的構成にロックダウンされる前に、ロッド組立体の長さを調節できるようにする。この一方向ロック機構は、外部固定システムの長さを増減するために第2管状部材を第1管状部材に対して自由に並進できるアンロック構成と、外部固定システムの結合長さを増加するために第2管状部材を第1管状部材に対して並進できるが、外部固定システムの長さを減少するために第2管状部材を第1管状部材に対して並進することは防止されるロック構成とを有する。タブ部材670を取り外すと、一方向ロック機構はアンロック構成からロック構成へ変換される。タブ部材670は、タブ部材670をロッドクランプ組立体606から外した後にタブ部材を紛失しないように、例えばライン、索、スプリットリング又はその同種のものを介してシステム500につなぐことができる。タブ部材670は、治療中に繰り返しロッドクランプ組立体606から取り外して、ロッドクランプ組立体606に挿入し直すことができる。
ロック機構650は、拘束カラー624と、ロックカラー620と、保持ピン628と、ばね630と、保持具632とを含む。タブ部材670が取り外された後、閉鎖力がばね630によって加えられ、閉鎖力は拘束カラー624を内側管状要素602へ押し付ける。この状態で、張力を一方又は両方の管状要素600及び602へ加えて、管状要素を同軸的に並進させて離間させ、その結合長さを増大できる。例えば、第2クランプ組立体504は、第1クランプ組立体から引き離すことができる。管状要素が引き離されるとき、拘束カラー624及び保持ピン628はロックカラー620へ向かって前進して、拘束カラー624を内側管状要素602との係合から解放する。ロッド組立体506の所望の長さに達して、張力が解除されたら、ばね力によって、拘束カラー624は内側チューブ602を拘束して、暫定的にチューブ600、602を共にロックして、その結合長さが減少するのを防止する。ロック作用が自動的でありかつ一切の遊び(backlash)無しに生じるようにするために、閉鎖力が必要とされる。本開示において、自動ロックは、ロックのために使用者による付加的動作を一切必要としないロックを意味する。即ち、引っ張り力が無くなり、拘束カラー624が内側カラー602を拘束できるようになると、ロッド組立体506の長さは、それ以上のステップなしにロックされる。暫定ロック機構650は、内側管状要素602の外面の連続体に沿って任意の場所で2つの管状要素を共にロックできるようにすることが分かるはずである。言い換えると、暫定ロック機構650は、内側管状要素の他方の面に沿った無限数の場所の任意の1つにおいて2つの管状要素を共にロックできるようにする。システムが伸長するとき、拘束カラー624は、ロックカラー620に対して平行であり、暫定ロック時に、拘束カラー624は、内側管状要素を拘束するとき、ロックカラー620に対して傾斜できる。
暫定ロック後、各ロッド組立体の更なるロックは、スクリュー626を回すことによって得られる。スクリュー626が締められるとき、ロックカラー620の内径は減少して、ロッドスロット616を圧迫して、大きい方のチューブ600が小さい方のチューブ602の外面の周りを圧迫するまで大きいチューブの有効内径を減少する。スクリュー626及びプラグ611は、迅速な締付けのために粗目ねじ山を含むことができる。
ロックスクリュー604は、ロッド組立体506の長さをより永久的に固定しかつ/又はロッド組立体506の剛性を増大するためにも、締めることができる。ロックスクリュー604及び内側プラグ611は、小さいチューブ602の第1端部605の外径と大きいチューブ600の内径との間に遊び又は緩みがあれば、これを取り除くように作用する。ロックスクリュー604は、スクリュー頭部634と、ねじ切り部分6384を持つ軸部636とを含む。内側プラグ611は、突出部642とねじ切り孔644とを含む。スクリュー604を回すと、スクリューのねじ切り部分638は、内側プラグ611のねじ切り孔644に係合し、突出部642は、チューブのスロット640の1つの中にインデクシング(index into)して、スクリュー604が回転するときプラグがスピンするのを防止する。突出部642をキーと呼ぶことができ、スロット640をキー溝と呼ぶことができる。内側チューブ602の第1端部605は、スクリュー604の回転によってテーパー状の内側プラグが第1端部へ引き込まれるときチューブを拡張できるようにする数個のスロット640を形成する。スクリュー604は、内側管状部材602の第1端部605を外側管状部材600内部にぴったりと嵌めて外側管状部材600に対する内側管状部材の位置をロックするのに充分に拡張するまで、回せる。スクリュー頭部634は、小さいチューブのプラグ610から突出するので、容易に触れることができるがあまり邪魔にならない(out of the way)。
管状部分を共に締め付けてロッド組立体の長さを固定するために技術上既知の他のロック組立体を使用できることが分かるはずである。1つの実施形態において、ロッド組立体の長さを固定するために2ピース圧縮ロックを使用できる。外側管状要素は、内側管状要素の周りに圧迫して、ロッド組立体の長さをロックするために、内側管状要素の周りで回転できる。別の実施形態において、外側管状要素604内で内側管状要素602を拡張させて、管状要素を共にロックするために、ウェッジ部材を内側プラグ611の代わりに使用できる。別の実施形態において、所望の長さで管状部材を共にロックするために、液圧拡張を使用できる。別の実施形態において、所望の長さで管状部材を共にロックするために、ダブテイル-タブ式システムを使用できる。別の実施形態において、管状要素を共にロックするために、ボール-傾斜部(ball and ramp)式摩擦ロックを使用できる。
1つの実施形態において、外部固定システム500は、図11に示すように、キット700で入手できる。キット700は、トレイ702、予組立外部固定システム500、複数の骨ピン510、560及び/又は562、ドリルガイド704、ドリルスリーブ706及び/又はレンチ708を含むことができる。キットは、密閉できるピールパックトレイ702の中に滅菌梱包できる。
1つの使用方法においては、キット700を開封して、ドリルガイド704を取り出す。ドリルガイド704を患者の第1骨部分に位置付け、ドリルスリーブ706をドリルガイドの中へ挿入して、ドリルスリーブ及びガイドを通過し、隣接する組織を通過して骨部分の中まで通路を穿孔する。ドリルスリーブは、このステップにおいて、軟組織がドリル及び/又はピンの周りに巻き付くのを防止できる。骨ピン560、562の1つ又はそれ以上を、穿孔された通路を通過して挿入して、第1骨部分の中で固定する。別の実施形態において、ドリルガイド及びドリルスリーブを使用せずにピンを配置できる。1つの代替案において、システム500をキットから取り出して、第1及び第2クランプ組立体502、504が骨折、関節又はその他の不連続部の両側に配置されるように位置付けることができ、第1クランプ組立体502を介してピンを配置できる。
システム500をキットから取り出して、各骨ピン560及び/又は562がピン孔542の中に受け入れられた状態で第1クランプ組立体502が1つ又はそれ以上の骨ピンに被せて配置されるように、システムを位置付ける。固定ボルト522、524を締めて、クランプ本体520を骨ピンに固定する。システム500は、内側管状部材602に対して外側管状部材600を軸方向に並進させることによって、伸長又は短縮できる。システム500の長さは、関節及び/又は骨折をスパニングするように調節される。システムの長さを調節するために、第2クランプ組立体504を第1クランプ組立体502へ向かって又はこれから離れるように軸方向に引っ張って、組立体を伸長又は短縮できる。所望の長さに達したら、第2クランプ組立体504は、1つ又はそれ以上の追加の骨ピン560、562を第2骨部分に固定するためのドリルガイドとして使用できる。追加の骨ピンは、第1骨部分の骨ピンの平面から外して第2骨部分に配置できる。少なくとも1つの追加の骨ピンを第2骨部分に配置した後、第2クランプ組立体を追加の骨ピン上に取り付けて、第2骨部分の追加の骨ピンに第2クランプ本体520を固定するために第2クランプ組立体504の固定ボルト522、524を締める。多軸接続は、クランプ組立体502、504を相互に異なる平面でそれぞれ第1及び第2組の骨ピンに取付けできるように充分にシステム500が捻じれるようにする。タブ部材670を取り外す。システム500を伸長して、牽引力を与え、骨折を整復し、第1骨部分と第2骨部分との間の適切な四肢長さを確立する。内側管状要素602は外側管状要素600に対して非回転式に滑動する。システム500は、クランプ組立体502を握ってクランプ組立体504から離れるように軸方向に引っ張ることによって、多軸運動範囲内で軸541に対して概ね平行に伸長できる。または、医療従事者は、患者の四肢例えば足を握って、軸方向に引っ張って、四肢及びシステムを伸長できる。伸長が停止すると、システム500は、拘束カラー624が内側管状要素602に係合して、上述のように自動的に暫定的に一方向にロックする。これを一次ロックと呼ぶことができる。暫定ロックは、クランプ組立体502が引っ張り張力から解除されたときに生じることができる。この配列体において、医療従事者は、間欠的に伸延力を与えることができ、無伸延力時には長さ安定構成を維持するために一方向ロックに依存できる。これは、整復を犠牲にすることなく休憩時間を取れるので、医療従事者にとって有利である。休憩時間は、整復の質を再評価できるようにするか、又は腫脹した、痙攣した又は引きつった筋肉又はその他の軟組織を徐々に非外傷的に伸張できるようにする。システムは、初期整復の後、四肢に対する牽引を終始維持することに伴うストレス及び疲労無しに整復を反復的に微調整(refining)できるようにする。例えば、整復は、一方の骨部分を他方の骨部分に対して回転することによって微調整される。
所望の長さにおける暫定ロック後、スクリュー626の少なくとも1つを締めて、ロッド組立体の周りにロックカラー620をロックできる。これは、第2ロック機構を起動することによる二次ロックと呼ぶことができる。四肢又は骨部分を更に操作して、骨区分の適切な整列を得ることができる。即ち、球体部分612、614を、そのそれぞれのクランプ内面570、580内部で多軸的に回転できる。例えば、システム500が自動的に所望の長さを維持する間、骨部分の一方又は両方を回転できる。所望の骨の整列が得られたら、各クランプ組立体502、504のクランプボルト530を締めて、クランプ面570、580が球体部分612、614を圧迫する状態でクランプ組立体502、504をロッド組立体506、508にロックして、それ以上の多軸的運動を防止する。ウィングナット533を指で締めて、クランプボルト530を締めることができる。残りのスクリュー626も、緩んでいれば、この時点で締めることができる。各ロッド組立体506、508のロックスクリュー604を締めて、入れ子式の内側管状要素600と外側管状要素602の相対的位置を更にロックする。これは、第3ロック機構を起動することによる三次ロックと呼ぶことができる。この処置において、レンチ708を用いて、組立体500のスクリュー及びボルトを調節できる。
ワンピース組立体500及びロッド組立体506、508の一方向自動ロックは、患者の四肢又は関節の迅速で確実な整復が望ましいときに有利になり得る。外部固定処置の際別個のロッド、クランプ及びその他の構造体の組立を必要とする外部固定システムと異なり、システム500は、予組立され、使用者の両手で容易に操作できるワンピースとして梱包される。骨ピンに取り付けた後、システム500は、一方のクランプ組立体502を他方のクランプ組立体504から引き離すことによって入れ子式に容易に伸長できる。即ち、クランプ組立体が解除されたとき、自動一方向ロック機構、組立体500の収縮又は短縮を防止する。一方向暫定ロック機構は、最終調節が行われ第2ロック機構が展開される間、組立体500の長さを維持する。
システム500は、ロック機構の各々において単一の締め緩め点を与える。長さは、クランプをアンロックすることなく、漸次的にロックするか、又はアンロックして調節できる。又はその逆が可能である。
使用を容易にするために、印又はラベルをロックスクリュー又はその他の部品に付けることができる。1つの非限定的実施例として、固定ボルト522、524の各々に、最初に作動すべきことを示すマーク“1”が付けられる。同様に、作動及びロックの適切な順番を指示するために、クランプボルト530にマーク“2”、スクリュー626にマーク“3”、ロックスクリュー604にマーク“4”を付けることができる。他の実施形態において、ロックは別の順番とすることができ、スクリュー又は部品にはそれに応じてラベルを付けることができる。
クランプ本体520、ロックカラー622及び拘束カラー624は、長期の荷重を受けたときクリープに耐えるために、プラスチック好ましくは繊維補強材料で射出成形できる。例えば、繊維入りPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を使用でき、ガラス繊維又は炭素繊維を組み込める。別の実施形態において、クランプ本体は、機械加工アルミニウムから製造される。ピン、ボルト、スクリュー、ナット及びばねは、好ましくは非磁気性のステンレス鋼又はステンレス合金で製造できる。固定プレート526〜529及び拘束カラー624は、好ましくは非磁気性のステンレス鋼又はその他の金属で製造できる。ロックカラー622及び内側及び外側管状要素602、600はアルミニウムで形成できる。球体部分612、614は、鋳造するか、アルミニウムから機械加工するか、又はPEEKから成形できる。内側プラグ611は、プラスチックで射出成形するか、又は他の実施形態においては、アルミニウム又は繊維入りPEEKを含むことができる。いくつか又は全ての部品は放射線透過性とすることができる。システム500は、医療従事者が患者のサイズ及びニーズに適合するシステムを選択できるように様々なサイズ及び/又は長さで提供できることが分かるはずである。例えば、より長い又は短いロッド組立体を使用して、全体的により長い又は短い長さのシステムを構成できる。意図する用途に外部固定システムを合わせるために様々な直径のロッドを利用できるようにすることもできる。また、1つの実施形態において、システムにロッド組立体を1つだけ含めることができる。別の実施形態において、2つを超えるロッド組立体を、ロッド組立体を留めるために適する数のクランプと共に、システムに含めることができる。
別の実施形態は、足首スパニングシステム800又は関節スパニングシステムと呼ぶことができる外部固定システム800を含む。但し、外部固定システム800は、骨折、切骨、骨端板又は骨部分間の他の不連続部をスパニングするためにも使用できる。図12〜18Bを参照すると、外部固定システム800は、第1クランプ組立体502と、第1ロッド組立体506及び第2ロッド組立体508と、クランプ部分組立体802とを含む。
クランプ部分組立体802は、足首クランプ部分組立体と呼ぶことができ、第1ロッド組立体506と第2ロッド組立体508に接続され、これらの間に延びることができ、第1クランプストラット組立体804と、第2クランプストラット組立体806と、スパニング部材808と、ピンクランプ組立体810とを含む。2つの踵骨ピン812、814が、第1クランプストラット組立体804と第2クランプストラット組立体806との間に延びる。各踵骨ピンはねじ切り部分815を含む。第1クランプ組立体502、第1ロッド組立体506及び第2ロッド組立体508は、図1〜10を参照して上に説明した通りである。この実施形態において、ロッド組立体は、図1〜10に示すものより短い可能性がある。外部固定システム800は、例えば下部脛骨骨折又は足首関節損傷の場合に脛骨に対して脚及び足首を安定化するために、足首関節に強固な固定を与えることができる。
図14〜16を参照すると、第1及び第2クランプストラット組立体804、806は、鏡像的であるか、又はロックボルト、スクリュー又はピンが挿入される方向を除いて相互に同一とすることができる。従って、第1クランプストラット組立体804の説明は組立体806にも当てはまる。第1クランプストラット組立体804は、クランプストラット820と、第1及び第2固定プレート822、824と、スペーシング部材826と、第1固定ボルト828と、第2固定ボルト830と、ナット832と、固定部材834と、2つのドエルピン836とを含む。クランプストラット820は、ストラット部分840と、スプリットクランプ部分842と、ピンクランプ部分844とを含む。側面から見ると、クランプストラットは、概ねY字形とすることができる。ストラット部分840は直線であり、楕円形断面を持つことができるが、円形、正方形又は長方形などの他の断面の形状も、本開示範囲内で想定される。ストラット部分840は、固定部材孔841を含み、スパニング部材に接続できるようにするためにドエルピンを受け入れるための付加的孔を含むことができる。ストラット部分の孔の少なくとも1つは、ねじ切りとすることができる。1つの実施形態において、固定プレート822、824は、構造的に固定プレート526〜529と同じである。各固定プレート822、824は、ボルト用開口部870及び数個のピン用開口部872を含む。ボルト及びピン用開口部870、872は、ねじ切り又は非ねじ切りとすることができる。各踵骨ピンのねじ切り部分815は、固定プレートのピン用開口部872のねじ切り部の直径より小さく、踵骨ピンを固定プレートに自由に挿入できるようにする。
クランプストラット820のスプリットクランプ部分842は、相互に対面して球形クランプ面854を取り巻く第1及び第2クランプアーム850、852を含み、クランプ面はギャップ856によって中断される。固定孔858は、スプリットクランプ部分842の遠位端部を通過して延び、ギャップ856によって中断される。図14に示すように作動可能に組み立てられると、ロッド組立体506の球体部分612は、クランプアーム850、852内に受け入れられて、球体部分612がクランプアーム850、852内に捕捉されるように、球形クランプ面854によって取り巻かれる。ロッド組立体506は、所望の位置に達するまでスプリットクランプ部分842内で多軸的に調節可能とすることができる。第2固定ボルト830は、第1及び第2クランプアーム850、852を共に引っ張って、ギャップ856を閉鎖し、クランプストラット820に対するロッド組立体506の位置をロックするように作動できる。
ピンクランプ部分844は、第1凹部862を有する第1支持アーム860と、第2凹部866を有する対向する第2支持アーム864を含み、各凹部は、固定プレート822、824を受け入れる形状を持つ。支持アーム860、864は、アームギャップ868によって分離される。図14に示すように作動可能に組み立てられたとき、第1固定プレート822は、第1凹部862の中に受け入れられ、第2固定プレート824は第2凹部866の中に受け入れられ、スペーサ部材826は、支持アーム860、864の間のアームギャップ868の中に受け入れられる。第1固定ボルト828は、第1固定プレート822のボルト用開口部822を通過し、スペーサ部材825を通過し、第2固定プレート824のボルト用開口部870の中へ延びる。踵骨ピン812、814は、固定プレートのピン用開口部872を通過し、支持アーム860、864を通過し、アームギャップ868を通過して横切って延びる。固定ボルト828が締められると、固定ボルト828のねじ山は第2固定プレート824のボルト用開口部870のねじ山に係合するので、ボルトを締めると、第1固定とプレート第2固定プレートを相互に引き寄せて、固定プレート822、824の一方又は両方を変形できる。ピン用開口部872は、踵骨ピン812、814を摩擦によって拘束して、ピンがクランプストラット組立体804に対してそれ以上軸方向に並進するのを防止する。他の実施形態において、技術上既知の他のピン捕捉又は固定の方法を使用できることが分かるはずである。
図17A〜17Cを参照すると、スパニング部材808は、スパン区分884によって架橋される(bridged)第1及び第2取付区分880、882を含む。図示する実施形態において、スパン区分884は、患者の外肢(appendage)に被せてフィットするように湾曲する。スパニング部材808のサイズ、形状および曲率は、患者のサイズ又は外肢の形状の変動に対処するように変化できる。いくつかの実施形態において、スパニング部材は直線とすることができる。各取付区分は、第1孔886と、1つ又はそれ以上の二次孔890とを含む。部材880の外面において、凹部888が第1孔886を取り囲む。図14及び16に示すように、スパニング部材808は、各クランプストラット組立体804、806に作動可能に取付けできる。ドエルピン836は、クランプストラット820の開口部及びスパニング部材の二次孔890に受け入れられる。固定部材834は、第1孔886を通過し、クランプストラット820の孔841の中へ延びて、スパニング部材808をクランプストラット820に固定する。固定部材834の頭部は凹部888の中に受け入れられて、組立体を低プロフィルにする。
クランプストラット組立体804、806及びスパニング部材808の構成の変形が考えられることが分かるはずである。例えば、別の実施形態において、ストラット部分は、図示するものより短く、取付区分880、882がストラット部分へ向かって延びることができる。別の実施形態において、別個のスパニング部材が存在せず、代わりに、スパニング部材は、その間を架橋するためにクランプストラット組立体と一体的に形成できる。別の実施形態において、スパニング部材が存在せず、踵骨ピンがクランプストラット組立体の間の接続部を形成できる。
図18A及び18Bを参照すると、ピンクランプ組立体810は、ピンクランプ部分902とスパニング部材クランプ部分904とを有するクランプ本体900を含む。クランプ部分902、904は、相互に対して傾斜できる。ピンクランプ部分902は、第1及び第2球形開口部906、908を含む。スロット910が、両方の球形開口部と交差する。第1スプリット球体912は第1球形開口部906の中に受け入れられ、第2スプリット球体914は第2球形開口部908の中に受け入れられる。第1固定ピン916は、第1スプリット球体912を貫通して受け入れられ、第2固定ピン918は第2スプリット球体914の中に受け入れられる。スプリット球体は、球形開口部内で多軸的に調節可能であり、中足骨又はその他の構造体など標的骨部分と接続するために固定ピンの軌道を調節できるようにする。第1ボルト用開口部920は、球形開口部を横切るピンクランプ部分902を通過して延び、第1クランプボルト922を受け入れる。クランプボルト922が締められると、スロット910の幅が減少し、球形開口部906、908は球体部材912、914の周りに圧縮されて、球体部材及び捕捉されたピン916、918の位置をロックする。
スパニング部材クランプ部分904は、部材クランプ面930によって取り囲まれた部材用開口部928を含む。部材用開口部928及びクランプ面930は、共に、部材クランプギャップ932によって中断される。第2ボルト用開口部934は、クランプ部分904を通過して延び、第2クランプボルト936は、ボルト用開口部934を通過して延びて、ギャップ932を架橋する。例えば図12に示すように作動可能に組み立てられたとき、スパニング部材808は、部材用開口部928の中に受け入れられ、ピンクランプ組立体810は、所望又は標的位置に到達するまでスパニング部材808に沿って並進できる。第2クランプボルト936は、ギャップ932を閉鎖し、スパニング部材808の周りにクランプ面930を圧縮して、スパニング部材808に対するピンクランプ組立体810のそれ以上の並進を防止するために、作動される。
1つの実施形態において、外部固定システム800は、キットで入手できる。キットは、トレイ、予組立された外部固定システム800、複数の骨ピン560、562、916、918、踵骨ピン812、814、ドリルガイド704、ドリルスリーブ706及び/又はレンチ708を含むことができる。キットは、トレイ702の中に滅菌梱包できる。
足首関節を不動化するためのシステム800の1つの使用方法には、下記のステップの1つ又はそれ以上を含むことができる。トレイを開封して、システム800をトレイから取り出す。図12を参照して、第1骨ピン560を脛骨に配置する。第1骨ピン560がクランプ本体520のピン用開口部542を通過して延びる状態で、クランプ組立体502を含めて予組立されたシステム800を、第1骨ピン560に被せて配置する。第1及び第2クランプストラット組立体804、806を足の両側に沿って概ね整列した位置に配置した状態で、スパニング部材808を足に被せて置く。クランプ組立体502をガイドとして使用して、第2脛骨ピンを、クランプ本体520の別のピン用開口部542を通過して脛骨の中へ延ばす。クランプ組立体502は、固定ボルト522、524を締めることによって骨ピン560、562にロックされる。第1及び第2クランプストラット組立体804、806を踵骨に整列して、第1又は第2踵骨ピン812、814の一方を第1及び第2クランプストラット組立体804、806並びに骨を通過して移動させる。ロッド組立体506、508の多軸整列を、クランプ組立体502、804及び806に対して調節する。多軸クランプは、クランプ組立体502のクランプボルト530を締めることによって及びクランプストラット組立体804、806の固定ボルト830を締めることによって、暫定的にロックされる。ピンクランプ組立体89を、親指中足骨に対して適切なアプローチ角度を与えるまで、スパニング部材808に沿って滑動させる。スパニング部材におけるピンクランプ組立体810の位置は、スパニング部材クランプ部分904のクランプボルト936を締めることによってロックされる。一方又は両方の中足骨ピン916、918を、多軸スプリット球体を通過して中足骨の中へ配置する。ピン916、918は、クランプボルト922を締めることによってピンクランプ部分902の中にロックされる。
第1及び第2踵骨ピン812、814の他方を、第1及び第2クランプストラット組立体804、806並びに骨を通過して挿入する。踵骨ピン812、814は、固定ボルト828を締めて摩擦によってピンをクランプストラット820にロックすることによって第1及び第2クランプストラット組立体804、806の中にロックされる。タブ部材670をロッド組立体506、508から取り外す。必要であれば、適切な四肢長さを再確立するために、四肢を牽引する。牽引力が解除されたとき、上述のように、ロッド組立体の一方向暫定ロックは、確立された長さを維持する。拘束カラー624は、内側チューブ602に係合して、入れ子式の縮み又はロッド組立体の長さの減少を防止する。四肢の位置は必要に応じて調節できる。調節には、多軸クランプボルト530、830を緩め、ロッド組立体の相対位置を調節し、多軸クランプボルト530、830を再び締めることを含むことができる。ロックカラー620においてスクリュー626を締めて、内側及び外側チューブ602、600の相互の軸方向の並進を防止する。ロックスクリュー604を締めて、各内側管状部材602を拡張して外側管状部材600に対する内側管状部材の位置をロックする。
図19及び20に示す外部固定システム1000は、膝関節をスパニングできるシステム500と、足首関節をスパニングできるシステム800とを含む2レベルシステムである。両方のシステム500、800は、脛骨に取付けできる共通の骨ピン560、562のセットに取り付けられる。システム1000は、膝及び足首関節の両方に強固な固定を与えることができる。システム500及び800は、図19及び20に示すように、それ以上の修正なしに1組のピンに垂直に重ねることができる。別の実施形態において、クランプ本体520は、システム500及び800を、相互に水平に例えば第2の軸535に沿って相互に隣接して取付けできるように修正できる。
外部固定システム1000の使用方法においては、骨ピン560を脛骨に取り付ける。外部固定システム800を、上述のようにロッド組立体を一方向暫定ロックするステップによって骨ピン560に取り付ける。外部固定システム800を取り付けて暫定的にロックした後に、外部固定システム500を骨ピン560、562に取り付けて、システム500について上に説明したようにロッド組立体を暫定的にロックする。システム500及び800を暫定的にロックした後に、両方のシステムについて、最終四肢調節及びロックのステップを、必要に応じて繰り返し実行できる。必要な限り固定ゾーンを広げるために、順次、付加的システム500及び/又は800を取付けできることが分かるはずである。
別の実施形態は、手首スパニングシステム1100又は関節スパニングシステムと呼ぶことができる外部固定システムを含むが、外部固定システム1100は、骨折、切骨、端骨板又は骨部分の間の他の不連続部をスパニングするためにも使用できる。図21〜27を参照すると、外部固定システム1100は、第1クランプ組立体1102と、第2クランプ組立体1104と、第1ロッド組立体506とを含む。ロッド組立体506は、クランプ組立体1102、1104の間に延びてこれらを接続して、単一システム1100にする。ロッド組立体506は、その長さ及び直径を手首に適するサイズに合わせて調整できる。クランプ組立体は、ロッド組立体を支持するので支持要素又は部材と呼ぶことができる。第1及び第2クランプ組立体は鏡像であるか、又は相互に同一とすることができる。上述のように、システムにおいて同一の組立体を使用することによって、それぞれ別個の構成要素又は組立体が特有のものであるシステムに比べて、システム全体をより安価にかつ/又は迅速に製造できる。
使用の際、システム1100は、ワンピース式にユニットとして患者に固定できる。第1クランプ組立体1102は、1つ又はそれ以上の固定ピン510によって第1骨部分に固定できる。骨スクリュー、骨ピン、ワイヤ及び/又はその他の締結具を、固定ピン510の代わりに又はこれと組み合わせて使用できる。第2クランプ組立体1104は、付加的な固定ピン510によって第2骨部分に固定できる。クランプ組立体の間に延びるロッド組立体506は、第1骨部分と第2骨部分との間の関節又は骨折をスパニングできる。クランプ組立体102、1104を骨部分に固定した後に、ロッド組立体506を所望の長さに伸長又は短縮して、関節又は骨折を安定化するために暫定的にロックできる。暫定的ロックの後に、組立体の多軸接続部を調節した後に、より永久的にロックできる。
図22〜26は、クランプ組立体1102をより詳細に示す。クランプ組立体1104は、クランプ組立体1102の鏡像であるか又はこれと同一なので、更に詳細には説明しない。即ち、クランプ組立体1102の説明はクランプ組立体1104にも当てはまる。クランプ組立体1102は、単一ピースとして形成されるクランプ本体1120を含む。クランプ組立体1102は、更に、第1固定ボルト1122と、第1及び第2固定プレート1126、1127と、クランプボルト1130と、第1ナット1132と、第2ナット1133とを含む。固定プレートは、ロックプレートと呼ぶことができる。ロッド組立体506は、クランプ本体1120の一部として形成されるクランプ1134を介してクランプ組立体1102に多軸的に調節可能に接続される。2つの骨ピン560、562は、クランプ本体1120を通過して延びて、クランプ組立体1102を骨部分に固定する。別の実施形態において、各クランプ組立体において骨ピンを1本のみ使用できる。
図21〜26を参照すると、クランプ本体1120は、T字形であり、上側の第1面1112と、第1面と反対の下側の第2面1114とを含む。クランプ本体1120は、更に、第1クランプ1134(第2軸1135に沿って延びる)に対して直交する第1アーム1138及び第2アーム1140(第1軸1141に沿って延びる)を含む。第1軸1141は、システム1100が中立又は直角配列の時、ロッド組立体506の長手方向に対して平行とすることができる。ボルト用開口部1144は、下で説明するピン用開口部142、1152と同じ方向にクランプ本体1120を通過して延びる。図示する実施例において、ボルト及びピン用開口部は、第1軸1141及び第2軸1135に対して直交する方向に延びる。第1スロット1148は第1面1112の中へ陥没し、第2スロット1150は、第1スロットに対向して第2面1114の中へ陥没する。第1及び第2スロットは細長く、第1及び第2アーム1138、1140の長さの大部分を占め、スロットは、第1軸1141に対して平行である。複数のピン用開口部又は孔1142は、アームを通過して第1スロット1148と第2スロット1150との間で延び、各ピン孔は、骨ピン510を受け入れるサイズを持つ。第1固定プレート1126は、第1スロット1148の中に収容され、第2固定プレート1127は第2スロット1150の中に収容される。各固定プレート1126、1127は、少なくとも1つのプレートピン用開口部1152と、ねじ切りプレートボルト用開口部1154又は非ねじ切りプレートボルト用開口部1155の一方と、を含む。各固定プレート1126、1127は、細長く、第1延長部1156と第2延長部1158とを有する。
骨ピン560、562は、クランプ本体1120のピン用開口部1142の中に受け入れられる。各骨ピンは、固定プレートのプレートピン用開口部1152を通過し、第1スロット1148を通過し、ピン孔1142を通過し、第2スロット1150を通過して、別の固定プレートのプレートピン用開口部1152を通り抜けることができる。ピン用開口部は、ピン560、562がまずアーム1138、1140に対して軸方向に並進できるようにするために非ねじ切りでかつ/又は平滑とすることができる。並進は、患者の四肢に対してシステム1100の高さを調節できるようにし、このことは、四肢に組織の腫脹、開放創及び/又は皮膚の擦過傷がある場合有利である。骨ピンはピン用開口部1142の1つに又はその任意の組み合わせに配置できることが分かるはずである。
図25を参照すると、第1固定ボルト1122は、第1固定プレート1126の非ねじ切りボルト用開口部1155を通過して第1スロット1148の中へ入り、ボルト用開口部1144を通過して、第2スロット1150及び第2固定プレート1127のねじ切りプレートボルト用開口部1154を通り抜ける。ボルト1122のねじ山がねじ切りプレートボルト用開口部1154に係合するとき、第2固定プレート1127の中央部は、スロット1148、1150の中に在る第1及び第2延長部1156、1157の抵抗に対抗して第1固定プレート1126の中央部へ向かって引き寄せられて、固定プレート1127、1126の一方又は両方を弾性的又は可塑的に変形させる。弾性又は可塑的変形の結果として、プレートピン用開口部1152は、摩擦によってピン562を拘束して、ピン562がクランプ本体1120に対して軸方向にそれ以上並進するのを防止する。プレート1126、1128が変形するとき、プレートは弓状になって、その長さを減少し、それによって、ピン562をピン孔1142の側壁に押し付ける。この力は、ピン562に対する二次的ロック作用を生じる。他の実施形態において、技術上既知の他のピン捕捉又は固定方法を使用できることが分かるはずである。
図23〜24及び26を見ると、クランプ1134は、ロッド組立体を伸長又は短縮するためにロッド組立体の入れ子式移動を許容しながらロッド組立体506を保持又は締付けするような形状を持つ。クランプ1134は、図示する実施形態においては球形であるクランプ内面1170を有する。他の実施形態においては、クランプ面は部分的に球形、円錐形、円筒形、平坦、多角形又は別の形状とすることができる。クランプ内面1170は、対向する第1及び第2クランプ面1174、1176によって画定されたクランプギャップ1172によって中断される。図示する実施例において、クランプ内面1170は平滑であるが、別の実施形態においては、畝付き又は粗面とすることができる。孔1190は、第2軸1135に対して平行にクランプ1134を通過して延びて、クランプギャップ1172と交差する。孔1190は、一方の端部に第1凹部1192を、又、反対端部に第2凹部1194を含む。1つ又はそれ以上のチェンバ1196が、ピン用開口部1142の間においてクランプ本体1120の中へ延びて、クランプ本体の重量を減少することができる。クランプボルト1130は、孔1190を通過して延びて、ナット1132に係合する。クランプボルト1130がナット1132に係合するとき、ナット1132は第2凹部1194の中に捕捉される。ボルト1130を更に作動すると、ナット1132をボルト頭部へ向かって引っ張り、凹部1194に係合して、ギャップ1172を閉鎖する。ナット1133(ウィングナットとすることができる)もボルト1130を締めるために作動できる。図21に示すように、ロッド組立体506が図示するようにクランプ組立体1102、1104と組み立てられ、ボルト1130が説明通りに締められると、ロッド組立体は、クランプ1134に把握されて、クランプ本体1120に対する移動例えば軸方向、回転又は多軸的移動が防止される。
1つの実施形態において、外部固定システム1100は、図11に示すのと同様のキットで入手できる。外部固定システム1100のためのキットは、トレイ、予組立された外部固定システム1100、複数の骨ピン560及び562、ドリルガイド704、ドリルスリーブ706及び/又はレンチ708を含むことができる。キットは、ピールパックトレイ(密封できる)に滅菌梱包できる。
外部固定システム1100の使用方法は、外部固定システム500について上に説明した方法と同様又は同一である。
図28は、2つの骨ピンを含む別のクランプ組立体の斜視図である。図28のクランプ組立体1200は、主クランプ本体1202と、第1ロッド組立体例えば図1のロッド組立体506に接続するための内面1206を有する第1クランプ1204と、第2ロッド組立体例えば図2のロッド組立体508に接続するための内面1210を有する第2クランプ1208と、2つの骨ピン1212、1214とを含むことができる。
2つのボルト即ち第1及び第2固定ボルト522、524が骨ピン560、562をロックする図3〜5のクランプ組立体502(上で詳細に説明する)と異なり、図28のクランプ組立体1200は、1つ又はそれ以上の骨ピンを同時に例えば骨ピン1212、1214の両方を同時にロックできる単一の固定ボルト1216を含む。更に、図3〜5のように骨ピン560、562に対して実質的に平行の方向から作動する代わりに、図28のクランプ組立体1200の単一の固定ボルト1216は、骨ピン1212、1214に対して実質的に直交する方向から例えば主クランプ本体の長手軸線に沿って、作動できる。例えば、図28に示すように、固定ボルト1216例えばボルト又はスクリューは、主クランプ本体1202の中へ延びて、主クランプ本体の側面から作動できる。図29及び30に示しかつ下で説明するように、クランプ組立体1200は、主クランプ本体1202又は任意の設置済みブッシングに対して骨ピン1212、1214をロックできるスライドクランプ1218を含むことができる。
図29は、図28の主クランプ本体1202の一部分の上面図であり、開放位置のスライドクランプ1218を示す。図29において、固定ボルト1216を締めることによってスライドクランプ1218が右へ移動するとき、スライドクランプ1218は、主クランプ本体1202に対して図28の骨ピン1212、1214をロックできる。
スライドクランプ1218の整列を助け、主クランプ本体1202内で回転するのを防止するために、クランプ組立体1200は、スライドクランプピン1220を含むことができる。更に、2つのピン1222A、1222Bは、主クランプ本体1202内で固定ホルト1216を保持及び/又は整列するのを助けることができる。スライドクランプ1218を、図33に詳細に示す。
主クランプ本体1202は、複数の孔1224A〜1224Dを形成でき、これを通過して骨ピン1212、1214を挿入できる。いくつかの構成例において、孔1224A〜1224Dは、骨ピン1212、1214に被せて配置された組織スリーブの使用に対処するサイズを持つことができる(図32)。
いくつかの構成例において、主クランプ本体1202は、1つ又はそれ以上のブッシング例えばブッシング1226A〜1226D(まとめて「ブッシング1226」と呼び、図29に示す)を含むことができる。ブッシング1226は、図3の固定(又はロック)プレート526、528の代わりに使用できる。
図30は、図29に示す主クランプ本体1202の部分の上面断面図であり、開放位置のスライドクランプ1218を示す。図30に示すように、スライドクランプ1218は、2つの開口1228A、1228B(まとめて「開口1228」と呼ぶ)を形成する。開口1228は、少なくとも部分的に傾斜部(ramp)1230A〜1230D(まとめて「傾斜部1230」と呼ぶ)によって形成できる。本開示において、傾斜部1230は、スライドクランプ1218の長さに沿って延びる軸に対して斜面を持つものとして定義できる。いくつかの構成例において、傾斜部1230は、曲線部分及び/又は直線部分を含むことができる。スライドクランプ1218の傾斜部1230は、骨ピン1212、1214を主クランプ本体1202(又は設置される場合にはブッシング)にロックできる締付け力を与えることができる。図30に示すように、スライドクランプ1218が固定ボルト1216を介して右へ向かって引っ張られたとき、傾斜部1230は、骨ピン1212、1214に沿って滑動して、開口1228の直径が減少するので徐々に骨ピンを主クランプ本体1202に固定できる。スライドクランプピン1220は、固定ボルト1216がスライドクランプ1218を図30において右へ向かって引っ張るとき、スライドクランプ1218が側方へ移動するのを助けることができる。
更に、図29の主クランプ本体1202の設計は、骨ピン1212、1214に被せた組織スリーブ1232、1234(図33)の使用を可能にできる。
いくつかの別の構成において、干渉体(interference)を開口の壁とすることができ、傾斜部である必要はない。
図31は、図28の主クランプ本体の一部分の上面図であり、閉鎖位置のスライドクランプ1218を示す。固定ボルト1216は、スライドクランプ1218を既に閉鎖位置まで引っ張っている。図31に示すように、傾斜部1230A及び傾斜部1230Dは、貫通孔サイズを減少して、各孔位置においてスライドクランプ1218と主クランプ本体/ブッシングとの間に締付け力を生じている。関連する骨ピン1212、1214は、撓んで又は曲がって、各位置においてロックを生じることができる。
図32は、図29の主クランプ本体1202の部分例の断面図である。組織スリーブ1232は、主クランプ本体1202及びスライドクランプ1218を通過して延びることができる。図32の実施例において、ブッシング1226A、1226Eは、主クランプ本体によって形成される孔例えば図29の孔1224A内に同軸に配置される。
図33は、図28のクランプ組立体1200の断面図である。図示するスライドクランプ1218は、開放位置にある。固定ボルト1216が図33において右へスライドクランプ1218を引っ張ると、スライドクランプ1218は、骨ピン例えば図28の骨ピン1212、1214を主クランプ本体1202に固定できる。孔1224A、1224Dは、組織スリーブ1232、1234の使用に対処するサイズを持つ。
図30に関連して上に説明するように、スライドクランプ1218の傾斜部1230A〜1230Dは、骨ピン1212、1214を主クランプ本体1203(又は設置される場合にはブッシング1226)にロックできる締付け力を与えることができる。図34〜37は、主クランプ本体1202に使用できる別のスライドクランプ構成の様々な例を示す。
図34A及び34Bは、本開示の様々な技法に従って使用できるスライドクランプの別の実施例を示す。図34Bは、図34Aのスライドクランプ例1218の拡大図である。簡潔にするために、図34A及び34Bについては共に説明する。
図34A及び34Bのスライドクランプ1218は、複数の歯1236を形成する部分を有する1つ又はそれ以上の傾斜部1230A〜1230Dを含むことができる。歯1236は、スライドクランプ1218に対する骨ピンの捩じり回転抵抗を改良できる。図34Bに示すように、傾斜部例えば傾斜部1230Bの第1部分は、歯1236を形成できるが、傾斜部の第2部分1238は、実質的に平滑なままである。更に、傾斜部例えば傾斜部1230Bの第1部分の歯1236に隣接するスライドクランプ1218の直線部分1240も歯1240を形成できる。固定ボルト1216(図30)がスライドクランプ1218を側方へ引っ張るとき、歯1236は骨ピンを把握し、それによってロック力を増大できる。
図35A及び35Bは、本開示の様々な技法に従って使用できるスライドクランプの別の実施例を示す。図35Bは、図35Aのスライドクランプ例1218の拡大図である。簡潔にするために、図35A及び35Bについて共に説明する。
図34A及び34Bに示すスライドクランプと同様、図35A及び35Bのスライドクランプ1218は、複数の歯1236を形成する部分を有する1つ又はそれ以上の傾斜部1230A〜1230Dを含むことができる。歯1236は、スライドクランプ1218に対する骨ピンの捻じれ回転抵抗を改良できる。図35Bに示すように、傾斜部例えば傾斜部1230Bの第1部分は歯1236を形成できるが、傾斜部の第2部分1238は実質的に平滑のままである。更に、傾斜部1230Bの第1部分の歯1236に隣接するスライドクランプ1218の直線部分1240も、歯1236を形成できる。
傾斜部1230A〜1230D(及び隣接する直線部分)が形成する歯1236に加えて、スライドクランプ1218は、複数の歯を形成する他の部分を含むことができる。図35Bに示す構成例において、スライドクランプ1218は、捻じれ回転抵抗を増大するために歯1242を含むことができる。固定ボルト1216(図30)がスライドクランプ1218を側方に引っ張るとき、歯1236、1242の各セットは骨ピンを把握し、それによってロック力を増大できる。
図36は、本開示の様々な技法に従って使用できるスライドクランプの別の実施例を示す。非対称的設計を持つ図30、34A〜34B及び35A〜35Bに示すスライドクランプの実施例と異なり、図36のスライドクランプ1218は、スライドクランプ1218の長さに沿って延びる軸1244の周りで対称的な設計を含む。
図36の対称的構成例において、スライドクランプ1218は、複数対の傾斜部1230A〜1230Hを含み、例えば、傾斜部1230A、1230Eは第1対の傾斜部を形成し、傾斜部1230B、1230Fは第2対の傾斜部を形成する。図34A及び34Bに関連して説明した構成と同様、傾斜部1230A〜1230Hは、複数の歯1236を形成する部分を含むことができる。歯1236は、スライドクランプ1218に対する骨ピンの捻じれ回転抵抗を改良できる。傾斜部例えば傾斜部1230Aの第1部分は歯1236を形成できるが、傾斜部の第2部分は実質的に平滑のままである。更に、傾斜部例えば傾斜部1230Aの第1部分の歯1236に隣接する傾斜部の直線部分も歯1236を形成できる。固定ボルト1216(図30)がスライドクランプを側方に引っ張るとき、歯1236は骨ピンを把握し、それによってロック力を増大できる。
図37は、本開示の様々な技法に従って使用できるスライドクランプの別の実施例を示す。上述のスライドクランプ例と異なり、図37のスライドクランプ1218は、2つではなく4つの開口(1228A〜1228D)を形成する。開口1228A〜1228Dは、複数対の傾斜部1230A〜1230Hを形成できる。図37の構成は、1つの開口に2つの傾斜部を持つことによって3つの接点(傾斜部により2つ及びブッシングに1つ)を生じるので、回転ロックを改良できる。
図36に示すスライドクランプ1218の実施例と同様、図37のスライドクランプ1218は、開口1228A〜1228Dがスライドクランプ1218の長さに沿って延びる軸1244の周りで対称的である設計を含む。但し、図37のスライドクランプ1218は、歯を形成しない。スライドクランプ1218によって与えられる捻じれ抵抗は、対の傾斜部の各々例えば傾斜部1230A、1230Eによる骨ピンとの接触及びブッシング(図示せず)との接触の結果である。骨ピンとの間のこの3点接触は、骨ピンを所定の位置にロックするために充分な力を与えることができる。
図34A〜37に示すスライドクランプのいずれも歯なしで構成できることを明記する。
図38は、クランプ組立体1200の別の実施例の断面図である。上述のスライドクランプ1218と異なり、クランプ組立体1200は、可撓性プレート1248例えばばね鋼を含むことができる。可撓性プレート1248は、その両端において、それぞれの骨ピン1212、1214に係合するように構成される曲線ノッチを形成できる(ノッチ1250A、1250Bを図39に示す)。
非圧縮の時、可撓性プレート1248は、図38に示すように曲線形状を取ることができる。固定ボルト1216によって圧縮された時、可撓性プレート1248は撓んで(flex)、より線形の形状を取ることができる。可撓性プレート1248が撓むとき、骨ピン1212、1214は、曲線ノッチを形成する可撓性プレート1248の部分と摩擦によって係合して、機械的ロックを生じることができる。
図39は、図38の可撓性プレートの上面図である。可撓性プレート1248は、それぞれの曲線ノッチ1250A、1250Bを形成する第1及び第2端部1252、1254を含む。ノッチは、各々骨ピンに係合して機械的ロックを生じるように構成される。
図40は、ロッドクランプ組立体1260の別の実施例の斜視図である。図40のロッドクランプ組立体1260は、ロッドクランプ組立体606の代替物として使用でき、例えば図7〜10に関連して上に説明したロッド組立体506の一部分を形成できる。簡潔にするために、ロッド組立体506の構成要素の多くについては重ねて詳しく説明しない。
図7〜10のロッドクランプ組立体606と同様、図40のロッドクランプ組立体1260も、スプリットカラーロック装置として説明できる。ロッドクランプ組立体1260は、スプリットクランプ1262(又はロックカラー)と、ばねクランプ1262と同軸に整列するように構成された拘束カラー1264と、ばねハウジング1266とを含むことができる。スプリットクランプ1262は、カラーギャップ1270によって中断される円形孔1268を形成できる。スクリュー1271は、スプリットクランプ1262のスクリュー孔の中に受け入れられて、カラーギャップ1270のサイズを調節できる。下で更に詳細に説明するように、ばねハウジング1266例えば成形ハウジングは、ばね(図41において1274で示す)を保持でき、ばねは、スプリットクランプ1262に対して下向きに拘束カラー1264を付勢する。
図41は、第1ロッド1272と組み合わせた図40のロッドクランプ組立体の側面断面図であり、第2ロッドは、第1ロッド1272内に滑動可能に配置される(図2及び8)。ロッドクランプ組立体1260は、スプリットクランプ1262と、拘束カラー1264と、ばねハウジング1266と、ばね1274と、てこ台1276と、スプリットクランプ1262の外面の周りに配置された1つ又はそれ以上の突出部又はタブ1278例えば2つのタブ1278とを含むことができる。
スプリットクランプ1262が開放されて、第1ロッド1272の周りで滑動するとき、1つ又はそれ以上の突出部又はタブ1278は、第1ロッド1272の対応する1つ又はそれ以上の孔1280と噛み合うことができる。タブ1278は、接着剤を使用することなく第1ロッド1272上でスプリットクランプ1262を保持するのを助ける。
上述のように、ばねハウジング1266は、拘束カラー1264を下向きに付勢するばね1274を保持できる。てこ台1276は、拘束カラー1264の端部1282を上向きに保持する反動力を与えて、第1ロッド1272内に滑動可能に配置された第2ロッドとの間に拘束力を生じることができる。
図41のロッドクランプ組立体1260の設計は、図7〜10のロッドクランプ組立体606の設計のいくつかの構成要素を有利に排除できる。例えば、拘束カラー624をロックカラー620に接続できる図8に示すピン622は、てこ台1272の存在の結果生じるロッド1272との間の拘束効果によって図41の拘束カラー1264を束縛できるので、排除できる。この設計の変化は、拘束カラー1264を機械加工ではなくウォータージェットカット又は型抜きできるようにする。
別の実施例として、ばねハウジング1266の中に保持されるばね1274は、図8のばね630に取って代わることができる。ばねハウジング1266の使用は、ばね1274をスプリットクランプ1262(例えば、成形された)内部に保持できるようにし、図8の保持ピン628及び保持具632を排除できる。
また、上述のように、1つ又はそれ以上のタブ1278を使用すると、スプリットクランプ1262をロッド1272に保持するために糊付けする必要がない。組立が単純化されかつ構成要素の数が減少するので、図40および41の設計は、生産コストを下げることができる。
図42は、図40のロッドクランプ組立体1260を含むロッド組立体1284の一部分の斜視図である。ロッド組立体1284は、ロッドクランプ組立体1260を除いて図7のロッド組立体506と同様なので、簡潔にするために、これについては重ねて説明しない。図42に示すように、ロッドクランプ組立体1260は、例えば図8に関連して上に説明したタブ部材670と同様とすることができるタブ部材1286を含むことができる。タブ部材1286が在ることによって、スプリットクランプ1262のカラーギャップを開放したまま維持できる。これにより、孔1268が管状部材の周りを締め付けて暫定的に管状部材を共にロックするのを防止することによって、管状部材1272及び内側管状部材(例えば、図8の内側管状部材602)が相互に対して両方向に軸方向に移動できるようにする。
図43は、トロカール組立体1290の分解図である。トロカール組立体1290は、ルーメンを形成する組織スリーブ1292と、組織スリーブ1292の端部1296に取り付けられた第1グリップ1294と、第1グリップ1294の開口部を通過して組織スリーブ1292のルーメンの中へ延びることができる閉塞具(obturator)1298と、閉塞具の端部1302に取り付けられる第2グリップ1300と、を含むことができる。トロカール組立体1290は、図44A〜44Cに示し下に説明するように、組織スリーブ1292の第1グリップ1294と閉塞具1298の第2グリップ1300との間に、組立体1290を共に保持できる相互ロック特徴部を含むことができる。
閉塞具1298は、臨床医が骨表面にアクセスするために軟組織を通過してトロカール組立体1290を挿入できるようにする。標的場所に到達したら、閉塞具1298を取り外して、組織スリーブ1292を通過して骨ピンを挿入するために骨表面を露出できる。
図44A〜44Cは、図43のトロカール組立体の第1グリップ及び第2グリップの斜視図である。簡潔にするために、図44A〜44Cについて共に説明する。
第2グリップ1300は、握ったとき第2グリップ1330を回転するために使用できる1対のグリップウィング1304、1306を含むことができる。更に、第1グリップ1294と第2グリップ1300は、グリップ1294、1300を相互ロックできるようにするためにキー式に接続できる。例えば、第2グリップ1300は、第1グリップ1294のノッチと噛み合うことができる突出部1308を含むことができる。例えば2つのグリップ1294、1300を共にロックできるバイオネットコネクタとすることができる。
いくつかの構成例(図示せず)において、第1グリップ1294と第2グリップ1300を更に相互ロックするために付加的特徴部を含むことができる。例えば、ばね錠、ボールデテント、締まり嵌め、ねじ式接続部及び/又は他のバイオネットコネクタを使用して、第1グリップ1294と第2グリップ1300を相互ロックできる。
図44A〜44Cに示すように、第1グリップ1294と第2グリップ1300は、突出部1308がノッチ1310内に位置付けされるまでグリップウィング1304、1306を回転することによって相互ロックできる。係合は、反対方向にグリップウィング1304、1306を回転することによって解除できる。
図45は、相互ロック位置のときの図43のトロカール組立体1290の斜視図である。第1グリップ1294は、第2グリップ1300と相互ロックされている。
図46A〜46Cは、トロカール組立体に使用できる第1グリップ及び第2グリップの別の実施例の斜視図である。簡潔にするために、図46A〜46Cについて共に説明する。
図46A〜46Cに示すように、図44A〜44Cの設計と異なり、第1グリップ1294及び第2グリップ1300の各々が、第1及び第2グリップウィングを含むことができる。第1グリップ1294は、第1及び第2グリップウィング1312、1314を含み、第2グリップ1300は第1及び第2グリップウィング1302、1304を含むことができる。更に、第1グリップ1294及び第2グリップ1300は、グリップ1294、1300を相互ロックできるようにするためにキー式に接続できる。例えば、第2グリップ1300は、第1グリップ1294のノッチ1310と噛み合うことができる突出部1308を含むことができる。例えば、2つのグリップ1294、1300を共にロックできるバイオネットコネクタとすることができる。
図47は、トロカール組立体1290の斜視図であり、相互ロック位置にある図46A〜46Cの第1グリップと第2グリップを示す。第1グリップ1294は、第2グリップ1300と相互ロックされる。
図48は、外部固定システムのクランプ組立体の別の実施例の上面図である。図49は、図48のクランプ組立体の斜視図であり、骨ピン1232,1234を示す。簡潔にするために、図48及び49について共に説明する。図48のクランプ組立体1400は、複数の孔例えば4つの孔1404A、1404B、1404C、1404D(まとめて、孔1404)を形成する主クランプ本体1402を含む。孔は、クランプフープ1134(又はクランプ)のクランプフープ中心線1406(図48)からオフセットするように位置付けられる。即ち、主クランプ本体がクランプフープ中心線を中心とする2つの孔を形成する図22のクランプ組立体1102と異なり、図48のクランプ組立体の孔1404は、孔1404A〜1404Dが中心線1406から順次離れるように中心線1406から偏る。
いくつかの構成例において、主クランプ本体1402は、図28の主クランプ本体1202と同様とすることができ、スライドクランプ例えば図28のスライドクランプ1218を含むことができる。いくつかの構成例において、クランプ組立体は、図28に示すような2つのクランプフープを含むことができる。2つのクランプフープ(又はクランプ)を持つ構成において、主クランプ本体に沿った複数の孔は、第2クランプフープ中心から同様にオフセットする。
図50は、外部固定システムの1つの実施例の斜視図であり、システムは、図48のクランプ組立体2つと、ロッド組立体と、複数の骨ピンとを含む。図51は、図50の外部固定システムの側面図である。簡潔にするために、図50及び51について共に説明する。図50のシステム例1408は、第1クランプ組立体1400Aと、第2クランプ組立体1400Bと、ロッド組立体506とを含む。ロッド組立体506は、クランプ組立体1400Aと1400Bとの間に延び、2つのクランプ組立体を接続して単一のシステム1408にする。ロッド組立体506は、図40及び41に示しかつ図に関して上に説明するようなロッドクランプ組立体1260を含むことができる。
図50の外部固定システム1408において図48のクランプ組立体1400を使用することによっていくつかの利点を与えることができる。例えば、骨ピン孔1232、1234をクランプフープ中心線1406から離してロッド組立体506の中心へ向かって移動することによって、対向するクランプの骨ピンを、当初、フレームの完全収縮状態においてより接近して位置付けできる。更に、オフセットした骨ピン孔1404は、より長い管状要素例えば管状要素600を使用できるようにし、それによって、フレームの拡張をより大きくできる。
図52は、本開示に従ったロッド組立体のロッド組立体の拡張プラグの実施例の断面図である。図8の604に示すように実質的に管状要素の長さに延びる長い放射線不透過性の金属ロックスクリューを使用する代わりに、図53の1410で示すようなロッド組立体は、例えばプラスチック製の放射線透過性の拡張プラグ1414と組み合わせてずっと短い放射線不透過性金属拡張プラグスクリュー1412を含むことができる。突出部1416を持つ拡張プラグ1414は、内側管状要素602の長さに沿って延び、管状要素602をその端部で拡張できるようにできる。放射線透過性拡張プラグ1414を使用することによって、長い放射線不透過性の金属スクリューを使用するより、目標エリアのより良い画像例えばX線画像を臨床医に提供できる。
図52に示すように、拡張プラグスクリュー1412は、チューブプラグ610の球体部分614を通過して拡張プラグ1414の一端の中へ延びる。拡張プラグスクリュー1412は、保持ナット1420を使用して拡張プラグ内に固定できる。拡張プラグスクリュー1412が回されると、拡張プラグナット1422は、スクリュー1414が静止したまま拡張プラグ1414がナットに沿って並進できるようする。即ち、拡張スクリューを回す時拡張スクリュー1412が出入りするのではなく、スクリュー1412を回すと、拡張プラグ1414が移動する。
図53は、図52の拡張プラグ1414を含むロッド組立体1410の分解図である。ロッド組立体1410の構成要素の多くは、図8に示し図8に関連して上で説明した構成要素と同様なので、重ねて説明しない。図53に示すように、ロッド組立体1410は、図52の拡張プラグ1414と、拡張スクリュー1412と、拡張プラグナット1422とを含むことができる。拡張プラグ1414は、内側管状要素602を通過して延びるように構成される。拡張スクリュー1412は、内側管状部材602が内側管状部材602の第1端部1423を外側管状部材600内部にぴったりと嵌めるのに充分に拡張して(拡張プラグ1414の突出部1416を介して)、外側管状部材600に対する内側管状部材の位置をロックするまで、回すことができる。
図53のロッド組立体1410は、ケーブル1426例えば可撓性の組編(braided)金属ケーブルを含むこともできる。ケーブル1426は、拡張プラグ1414の端部1428に取り付けることができ、拡張プラグ1414の他方の端の球体部分614の中へ取付けできる「ランヤードボタン」(図示せず)の中へ嵌まることができる。ケーブル1426は、内側及び外側管状要素の行程を制限するストッパ機構として作用でき、外側管状及び内側管状要素600、602がロックアウト前に分離しないように過剰拡張を防止できる。ケーブル1426は、フレームが最小長さ構成まで収縮されたとき内側管状要素602内部にコイル状に巻くことができ、フレームを拡張するとき伸びることができる。
図54は、蝶番式の主クランプ本体1430の実施例の斜視図である。図54に示すように、クランプフープ1432は、ピン1536及びロックスクリュー1438を用いて主クランプ本体1434に回動可能に係合される。いくつかの構成例において、主クランプ本体434は、図28の主クランプ本体1202と同様とすることができ、スライドクランプ例えば図28のスライドクランプ1218を含むことができる。
蝶番式設計は、いくつかの利点を与えることができる。例えば、蝶番式設計は、使用者がクランプ本体1434から独立してクランプフープ1432を回転できるようにする。更に、蝶番式設計は、フレームの管状要素の長手軸線に対して約90度に骨ピン(図示せず)を配置できるようにする(図57)。蝶番式ジョイントは、フレーム全体長さにおいてより大きい変動を及び骨ピン配置においてより柔軟性を与えることができる。ラジアルジョインに対して平行の骨ピン配置に対処するために別個のピースを必要とする代わりに、図54の設計は、クランプフープ1432を回転して、別個の部品又は組立体無しで同等のピン配置を可能にできる。
図55A及び55Bは、それぞれ図54のクランプフープ本体1440及び主クランプ本体1434の斜視図である。簡潔にするために、図55A及び55Bについて、共に説明する。図55において、クランプフープ本体1440は、クランプフープ1432と、第1開口1444及び第2開口1446を形成する第1係合部分1442とを含む。図55Bにおいて、主クランプ本体1434は、第3開口1450を形成する第2係合部分を含む。整列すると、第1開口1444及び第3開口1450は、ピン1436(図54)を受け入れるように構成され、ピンは、クランプフープ本体1440を主クランプ本体1434に蝶番式に固定する。クランプフープ本体1440は、第1円筒形支持面1452を含み、主クランプ本体1434は第2円筒形支持面1454を含み、支持面は摩擦により相互に係合する。下で説明するように、締め付けたとき、ロックスクリュー1438(図54)は、第1円筒形支持面1452及び第2円筒形支持面1454に共に押して、摩擦によってフィットさせる。
図56は、図54の蝶番式主クランプ本体の実施例の断面図である。ピン1436は、クランプフープ1432が回転できるようにする蝶番1458の回転軸1456である。ピン1436は、その中央に孔1457を形成して、ロックスクリュー1438がクランプフープ本体を通過しピン1436及び第1係合部分1442の第2開口1446を通過して延びるようにする。ピン1436及びロックスクリュー1438は、チューブプラグの球体部分の周りでの多軸的回転を可能にできる。更に、図56の設計は、単一のスクリュー即ちロックスクリュー1438で、ピン1436の周りでの回転をロックアウトできるようにする。ロックアウトは、スクリュー1438が第1円筒形支持面1452と第2円筒形支持面1454を共に「ピンチ」するとき、得ることができる。いくつかの実施例において、ロックを増大するために円筒形支持面1454、1454の間に付加的接触が好ましい場合、1つ又はそれ以上の突出部例えば相互ロックする歯を、境界を成す円筒形面の一方又は両方に付加できる。
図57は、腕の橈骨1462に固定された外部固定システム1460の斜視図である。システム1460は、第1蝶番式主クランプ本体1430Aと第2蝶番式主クランプ本体1430Bとの間に延びるロッド組立体506を含むことができる。図57に示すように、第1蝶番式主クランプ本体1430Aの蝶番式設計は、第1蝶番式主クランプ本体1430Aを通過して延びる骨ピンによって形成される線1464がロッド組立体の長手軸線1466との間に角度(90度に近くにできる)を成すことができるように、クランプフープ1430を回転できるようにする。
本出願において開示するシステムは、技術上既知の外部固定システムを越える利点を与えることができる。例えば、解剖学的構造固有の予組立システム(500、800又は1100など)を提供することによって、分離した部品の包括的キットとして提供されるシステムに比べて、外部固定処置を実施するために必要な部品又は在庫の数を減らすことができる。また、予組立システムを持つことによって、外部固定処置時及びシステムの締付け及び調節時の予期しない分解を最小限に抑えることができる。従って、予組立システムは、例えば、面倒な術中の組立又は予期せぬ分解を排除することによって、医療従事者にとってストレスの少ない使用体験を提供できる。本出願において開示する予組立システムを使用することによって、技術上既知の他のシステムの場合にはバックテーブルにおいて固定システムの組立に使われる手術室及び処置の時間を減少または排除できる。一方向ロック機構は、外科医が絶えず伸延する必要なくシステムの締付け及び調節の間四肢の長さを維持できる。一方向ロック機構は、骨折の整復を容易にすることに寄与し、暫定ロックは、システムを暫定的にロックしながら整復を容易に調節できるようにするのに充分な確実性を持つ。取外し可能なタブ部材670は、アンロック構成とロック構成との間の迅速な切替えを可能にして、迅速かつ効率のよい伸延及び整復を可能にする。本出願において開示するシステムは、1人又は2人の医療従事者によって患者に応用でき、必要な医療従事者の人数及び全体治療費を減少できる。
膝、足首及び/又は手首関節をスパニングするための本出願において示す実施形態に加えて、本出願において教示する原則は、肘、手首、手根、足根、指骨、股関節、仙骨、肩関節、頭蓋及び/又は脊椎関節を含めて(但し、これに限定されない)他の関節のための外部固定器及び固定方法に応用できることが分かるはずである。本出願において開示するテクノロジーは、関節ではなく骨折の外部固定及び固定方法にも応用できる。
本出願において開示する装置は、旋盤及びフライス削りなどの低コスト製造法を用いて、アルミニウム及び/又はプラスチックなどの低コスト材料から製造できる。いくつかの実施形態において、システムは、使い捨てできるほど安価にすることができる。この場合、装置の所有者に再処理又は補充の料金がかからない。
本発明のシステム、キット、装置及び方法は、開示される特定の形式に限定されることを意図せず、特許請求の範囲に属する全ての修正、同等物及び代替物を包括するものである。
請求項は、それぞれ「のための手段」又は「のためのステップ」という語句を用いて所与の請求項において明確に限定を明示しない限り、ミーンズプラス又はステッププラスファンクションの限定を含むものとして解釈されるべきではない。
用語「結合する」は、必ずしも直接的ではなくかつ必ずしも機械的ではなく「接続する」と定義される。
請求項及び/又は明細書において用語「備える(comprising)」と共に使用される場合「単数冠詞(a又はan)」は、「1つ」を意味するが、「1つ又はそれ以上」又は「少なくとも1つ」の意味とも両立する。用語「約(about)」は、概ね明記される値±5%を意味する。請求項における用語「又は(or)」の使用は、明確に代替物のみに言及するために示されるか又は代替物が相互に排他的でない限り「及び/又は(and/or)」を意味するために使用されるが、開示は、代替物のみ及び「及び/又は」に言及する定義を支持する。
用語「備える(comprise)」(及びその活用形)、「有する(have)(及びその活用形)」、「含む(include)(及びその活用形)」、及び「包含する(contain)」(及びその活用形)は、制限のない連結動詞である。従って、1つ又はそれ以上のステップ又は要素を「備える」、「有する」、「含む」又は「包含する」方法又は装置は、上記の1つ又はそれ以上のステップ又は要素を持つが、これらの1つ又はそれ以上の要素のみを持つことに限定されない。同様に、1つ又はそれ以上の特徴を「備える」、「有する」、「含む」又は「包含する」方法のステップ又は装置の要素は、前記の1つ又はそれ以上の特徴を持つが、前記の1つ又はそれ以上の特徴のみを持つことに限定されない。更に、特定の様式で構成される装置または構造体は、少なくとも前記の様式で構成されるが、明記されない様式でも構成できる。
本発明は、その主旨又は基本的特徴から逸脱することなく他の固有の形式で実現できる。上述の実施例の様々な特徴は、混合して組み合わせて他の多様な代替物を形成できることが分かるはずである。例えば、1つのシステムについて説明するクランプ本体又は組立体は、別のシステムと共に使用できる。1つの実施例の器具構成(instrumentation)の特徴は、他の実施例の器具構成に応用できる。従って、説明する実施形態は、全ての点で例示的であって、限定的なものと見なすべきではない。従って、本発明の範囲は、以上の説明によってではなく特許請求の範囲によって指示される。請求項の意味及び同等物の範囲内に属する全ての変更は、請求項の範囲に包含されるものとする。