以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
(構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る評価装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の評価装置の構成を示すブロック図である。
図1のように、本実施形態の評価装置1は、情報入力部10、目標要件定量化部20、設計案定量評価部30、評価結果表示部40、設計要件DB50および関連付けルールDB60を備える(DB:Database)。
情報入力部10は、評価対象システムの設計案の前提となるシステム利用のコンテキスト情報と、設計案そのものを入力する。情報入力部10は、入力したコンテキスト情報および設計案を目標要件定量化部20に出力する。
本実施形態においては、システムが利用されるコンテキストとして、システム導入・利用の目的、システム利用者の特性および業務特性に着目する。コンテキスト情報とは、システム導入・利用の目的、システム利用者の特性および業務特性に関する情報である。コンテキスト情報種類とは、システム導入・利用の目的、システム利用者の特性および業務特性といった種別である。なお、評価装置1が扱うコンテキスト情報は上述の情報に限定されず、任意に設定できる。
システム導入・利用の目的とは、例えば、「顧客による操作ミスを減らしたい」、「顧客の待ち時間を短くしたい」などのように、顧客がそのシステムの導入・利用を通じて実現したい価値とそれらの価値の優先順位とを含む。
利用者の特性とは、システムを利用することが想定される利用者が「IT(Information Technology)に慣れているか」、「業務を熟知しているか」、「どの年齢層に属するか」などといった特性のことである。
業務特性とは、「作業者が交代で作業する」、「細かい作業項目を漏れなく実施する」、「相手に合わせて提示情報を変える」など、システムを使って実施する業務自体の特性である。
設計要件DB50は、評価対象システムの設計要件を格納するデータベース(第1のデータベースともよぶ)である。
関連付けルールDB60は、コンテキスト情報と設計要件とを関連付ける関連付けルールを格納するデータベース(第2のデータベースともよぶ)である。
目標要件定量化部20は、情報入力部10からシステムのコンテキスト情報を入力する。目標要件定量化部20は、関連付けルールDB60および設計要件DB50を参照し、コンテキスト情報と設計要件とを関連付ける関連付けルールを用いて、コンテキスト情報の種類ごとにコンテキスト情報に関連付く設計要件を特定する。
目標要件定量化部20は、特定した設計要件ごとの重み付け得点を算出し、全設計要件の重み付け得点を合算して設計案全体の重み付け得点の合計である目標得点を算出する。また、目標要件定量化部20は、特定した設計要件の論理積となる設計要件(目標要件ともよぶ)をコンテキスト情報種類ごとに導出する。目標要件とは、評価対象システムの設計目標に相当する。
目標要件定量化部20は、各設計要件の重み付け得点と、各設計案の目標得点と、コンテキスト情報種類ごとに特定した目標要件とを設計案定量評価部30に出力する。
設計案定量評価部30は、情報入力部10からシステムの設計案を入力する。また、設計案定量評価部30は、目標要件定量化部20から各設計要件の重み付け得点と、各設計案の目標得点と、コンテキスト情報種類ごとに特定した目標要件とを入力する。設計案定量評価部30は、入力した各設計案に含まれる設計要件を抽出する。設計案定量評価部30が抽出する設計要件のことを保有要件と呼ぶ。
設計案定量評価部30は、設計案ごとに抽出した保有要件と目標要件との違いを分析して設計案における目標要件の有無を特定する。設計案定量評価部30は、各設計要件の重み付け得点のうち、自身が特定した当該設計案に含まれる目標要件に対応する重み付け得点(実装得点)を合算し、当該設計案の合計実装得点を算出する。設計案定量評価部30は、各設計案の目標得点に対する当該実装得点の比率を算出し、当該設計案の利用のコンテキストの観点での評価得点を算出する。設計案定量評価部30が算出する各設計案の目標得点に対する合計実装得点の比率のことを達成率とも呼ぶ。設計案定量評価部30は、各設計案の評価得点を評価結果表示部40に出力する。
評価結果表示部40は、設計案定量評価部30から各設計案の評価得点を入力する。評価結果表示部40は、入力した各設計案の評価得点を表示する。評価結果表示部40によって表示される評価得点が高いほど、システムの設計案がよいことを示す。
ここで、図2を用いて、評価装置1の詳細構成について説明する。
〔情報入力部〕
情報入力部10は、コンテキスト情報入力手段11と、設計案入力手段12とを含む。例えば、情報入力部10は、外部のネットワークや入力機器に接続され、コンテキスト情報や設計案を入力する。
コンテキスト情報入力手段11は、システムの設計案の前提となるシステム利用のコンテキスト情報を入力する。コンテキスト情報入力手段11は、入力したコンテキスト情報を目標要件定量化部20に出力する。
設計案入力手段12は、評価対象システムの設計案を入力する。設計案入力手段12は、入力した設計案を設計案定量評価部30に出力する。
〔目標要件定量化部〕
目標要件定量化部20は、関連分析手段21と、要件定量化手段22と、目標要件導出手段23とを含む。
関連分析手段21は、コンテキスト情報入力手段11からコンテキスト情報を入力する。関連分析手段21は、関連付けルールDB60が保持するコンテキスト情報と設計要件の関連付けルールを参照し、設計要件DB50に格納された設計要件の中から当該設計案のコンテキスト情報種類ごとにンテキスト情報に関連付く設計要件を特定する。
要件定量化手段22は、関連分析手段21が特定した設計要件に対して、コンテキスト情報種類ごとに重み付け得点を付ける。そして、要件定量化手段22は、設計要件ごとに重み付け得点を合算して各設計要件の重み付け得点を算出する。さらに、要件定量化手段22は、全設計要件の重み付け得点を合算して当該設計案全体の重み付け合計得点(目標得点)を算出する。要件定量化手段22は、各設計要件の重み付け得点と各設計案の目標得点とを設計案定量評価部30に出力する。
目標要件導出手段23は、関連分析手段21がコンテキスト情報種類ごとに特定した設計要件の論理積となる設計要件(目標要件ともよぶ)を導出する。目標要件導出手段23は、コンテキスト情報種類ごとに導出した目標要件を設計案定量評価部30に出力する。
〔設計案定量評価部〕
設計案定量評価部30は、保有要件分析手段31と、目標要件特定手段32と、評価得点算出手段33とを含む。
保有要件分析手段31は、設計案入力手段12から評価対象システムの設計案を入力する。保有要件分析手段31は、入力した設計案を用いて、当該設計案が保有する設計要件(保有要件とも呼ぶ)を抽出する。
目標要件特定手段32は、目標要件導出手段23が導出した目標要件と、保有要件分析手段31が抽出した保有要件とを入力する。目標要件特定手段32は、設計案ごとに目標要件と保有要件との違いを分析し、各設計案における目標要件の有無を特定する。
評価得点算出手段33は、要件定量化手段22が算出した各設計要件の重み付け得点と目標得点とを入力する。評価得点算出手段33は、各設計要件の重み付け得点のうち、目標要件特定手段32で特定した当該設計案が保有する目標要件に対応する得点(実装得点)を合算して当該設計案の合計実装得点を算出する。そして、評価得点算出手段33は、目標得点に対する合計実装得点の比率(達成率ともよぶ)を算出し、当該設計案の利用のコンテキストの観点での評価得点を算出する。
〔設計案定量表示部〕
評価結果表示部40は、評価得点表示手段41を含む。例えば、評価結果表示部40は、ディスプレイなどの表示機器に接続されてもよいし、評価結果表示部40自体が表示機能を有してもよい。
評価得点表示手段41は、設計案定量評価部30で算出された設計案の評価得点を表示する。例えば、評価得点表示手段41は、ディスプレイなどの表示機器に設計案の評価得点に関するデータを出力し、その評価結果を表示機器に表示させる。
〔データベース〕
設計要件DB50は、システムの設計要件を格納する。
関連付けルールDB60は、コンテキスト情報と設計要件との関連付けルールを格納する。本実施形態において、関連付けルールDB60は、導入・利用目的と設計要件とを対応付ける導入・利用目的対応ルール、利用者特性と設計要件とを対応付ける利用者特性対応ルール、業務特性と設計要件とを対応付ける業務特性対応ルールを格納する。
以上が、本実施形態に係る評価装置1の構成についての説明である。
〔動作〕
次に、図3〜図6のフローチャートを参照しながら、本実施形態の評価装置1の動作について詳細に説明する。図3および図4は、目標要件定量化部20の動作に対応するフローチャートである。図5および図6は、設計案定量評価部30の動作に対応するフローチャートである。
〔目標要件定量化部の動作〕
まず、図3および図4のフローチャートを用いて、目標要件定量化部20の動作について説明する。以下においては、目標要件定量化部20の構成要素である関連分析手段21、要件定量化手段22および目標要件導出手段23を主体として説明する。
図3において、まず、関連分析手段21は、コンテキスト情報入力手段11からシステム利用のコンテキスト情報を入力する(ステップS211)。
関連分析手段21は、入力したコンテキスト情報からコンテキスト情報種類を一つ抽出する(ステップS212)。
抽出したコンテキスト情報種類に関連付けられた全てのコンテキスト情報を確認済みではない場合(ステップS213でNo)、関連分析手段21は、ステップS212で抽出したコンテスト情報種類からコンテキスト情報を一つ抽出する(ステップS214)。一方、抽出したコンテキスト情報種類に関連付けられた全てのコンテキスト情報を確認済みである場合(ステップS213でYes)、ステップS218に進む。
ステップS214において抽出されたコンテキスト情報と関連付く設計要件がある場合(ステップS215でYes)、関連分析手段21は、コンテキスト情報と関連付く設計要件を特定する(ステップS216)。一方、ステップS214において抽出されたコンテキスト情報と関連付く設計要件がない場合(ステップS215でNo)、ステップS213に戻る。
要件定量化手段22は、特定した設計要件に対して、コンテキスト情報種類ごとに、重み付け得点を付与する(ステップS217)。
全てのコンテキスト情報種類を確認済みの場合(ステップS218でYes)、図4のフローチャートのステップS219およびステップS220に進む。一方、全てのコンテキスト情報種類を確認済みではない場合(ステップS218でNo)、ステップS212に戻る。
図4のフローチャートでは、二つの処理を並行して実行する。ステップS219〜ステップS221は、要件定量化手段22の処理に関する。ステップS222およびステップS223は、目標要件導出手段23の処理に関する。
図4において、要件定量化手段22は、設計要件ごとに重み付け得点を合算し、各設計要件の重み付け得点を算出する(ステップS219)。
要件定量化手段22は、全設計要件の重み付け得点を合算して当該設計案の目標得点を算出する(ステップS220)。
そして、要件定量化手段22は、各設計要件の重み付け得点と、各設計案の目標得点とを出力する(ステップS221)。
また、図4において、目標要件導出手段23は、コンテキスト情報種類ごとに特定した設計要件の論理積である目標要件を導出する(ステップS222)。
そして、目標要件導出手段23は、コンテキスト情報種類ごとに導出された目標要件を出力する(ステップS223)。
以上が、目標要件定量化部20の動作についての説明である。
〔設計案定量評価部の動作〕
次に、図5および図6のフローチャートを用いて、設計案定量評価部30の動作について説明する。以下においては、設計案定量評価部30の構成要素である保有要件分析手段31、目標要件特定手段32および評価得点算出手段33を主体として説明する。
図5において、まず、保有要件分析手段31は、システムの設計案を入力する(ステップS311)。
保有要件分析手段31は、設計案に含まれる設計要件(保有要件)を抽出し、保有要件のリストを作成する(ステップS312)。
目標要件特定手段32は、コンテキスト情報種類ごとに特定した目標要件を入力する(ステップS313)。
目標要件特定手段32は、入力した目標要件のうち一つを抽出する(ステップS314)。
目標要件特定手段32は、設計案ごとに目標要件と保有要件との違いを分析し、各設計案における目標要件の有無を特定する(ステップS315)。
目標要件特定手段32は、ステップS315において目標要件があると特定すると、目標要件が「ある」ことを示す情報を出力する(ステップS316)。一方、目標要件特定手段32は、ステップS315において目標要件がないと特定すると、目標要件が「ない」ことを示す情報を出力し(ステップS319)、ステップS320に進む。
評価得点算出手段33は、各設計要件の重み付け得点と、各設計案の目標得点とを入力する(ステップS317)。
評価得点算出手段33は、目標要件に対する重み付け得点を出力する(ステップS318)。ステップS318の後はステップS320に進む。
全ての目標要件を確認済みの場合(ステップS320でYes)、図6のステップS321に進む。一方、全ての目標要件を確認済みではない場合(ステップS320でNo)、ステップS314に戻る。
図6において、評価得点算出手段33は、各設計案に含まれる目標得点に対する重み付け得点の合計(合計実装得点とよぶ)を算出する(ステップS321)。
評価得点算出手段33は、各設計案の合計実装得点の比率を算出し、設計案の利用のコンテキストの観点での評価得点を算出する(ステップS322)。
評価得点算出手段33は、算出した設計案の評価得点を出力する(ステップS323)。
以上が、設計案定量評価部30の動作についての説明である。
以上のように、本実施形態によれば、システム設計案の評価において、システム設計の前提条件となるシステム利用のコンテキストの観点から設計案の達成度を定量的に示すことができる。すなわち、本実施形態によれば、システム設計案が利用のコンテキストをどの程度反映しているのかを定量的に示すことができる。
また、本実施形態では、設計案を組み合わせて評価できるので、具体的な画面UI案を作成する前のより早い段階で設計案を評価できる。そのため、改良すべき点を早い段階で特定することによって、画面ユーザインターフェースの設計に関わる手戻りを少なくすることができる。
また、本実施形態によれば、システム設計案をシステム利用のコンテキストを反映したものに改良するために、設計案のどこに問題があるのかを具体的な要件として示すことができる。すなわち、本実施形態によれば、設計案に問題があった場合に、優先的に改良すべき点を具体的な要件として示すことができる。
例えば、特許第5910510号公報や国際公開第2012/144140号に開示された関連技術では、システム利用のコンテキストのうち、利用者の特性の観点を用いて具体的な画面UIを構成する。しかし、それらの関連技術では、システム設計案、特に画面や利用者とのインタラクションに関するUI設計案について、システム導入者・利用者の合意を得られず改良が必要な場合に、設計案の何がシステム利用のコンテキストに合っていないのかを特定できない。また、関連技術では、設計案の何を優先的に改良すればよいのかを特定できない。
一般に、システム画面や利用者とのインタラクションに関するUI設計案は、具体的な画面UIが作成された後でなければ、システム利用のコンテキストに合っているのかを評価できない。その理由は、設計の前提条件となるシステム利用のコンテキストと設計要件との対応関係に加えて、コンテキスト間の優先関係、さらにそれを基にした設計要件の優先関係等が複雑なためである。
また、特許第4558403号公報などに開示された関連技術では、評価の観点にシステム利用のコンテキストを含むものではないが、具体的な画面UIやドキュメントを作成した後で設計案の評価を用いて行う。そのような関連技術では、システム利用のコンテキストを特定しても、特定したコンテキストに対してどのように設計要件を組み合わせて設計案を構成すればコンテキストに合ったものになるのかを容易には特定できない。すなわち、関連技術では、設計案が設計の前提条件を満たすものになるのかが容易には特定できない。したがって、関連技術では、コンテキストの観点での評価は困難であり、設計案の問題点を特定することも困難である。また、関連技術では、設計要件の組合せとして設計案を評価することが容易でないため、具体的な画面UIを設計案として作成した後に、その画面UIを用いなければ設計案の評価を実施することが困難である。
それに対し、本実施形態では、利用者とシステムとの接面であるUIについて、システム導入者・利用者がシステム設計の前提条件と捉えている利用のコンテキストの観点からシステム設計案を評価する。その結果、本実施形態によれば、システム設計案の評価結果として得られた問題点を改良することによって、導入者・利用者の要求に合ったシステム設計を行うことができる。
(第2の実施形態)
〔構成〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る評価装置について図面を参照しながら説明する。図7は、本実施形態の評価装置2の構成を示すブロック図である。なお、以下の説明においては、第1の実施形態の評価装置1と同様の構成・動作については説明を省略する場合がある。
評価装置2は、第1の実施形態の評価装置1と同様に、情報入力部10、目標要件定量化部20、設計案定量評価部30、設計要件DB50および関連付けルールDB60を備える。評価装置2は、第1の実施形態に係る評価装置1の評価結果表示部40とは異なる評価結果表示部40−2を備える。なお、評価装置1と同様の情報入力部10、目標要件定量化部20、設計案定量評価部30、設計要件DB50および関連付けルールDB60については、詳細な説明を省略する。
評価結果表示部40−2は、評価得点表示手段41と、第1リスト表示手段42と、第2リスト表示手段43とを含む。
評価得点表示手段41は、設計案定量評価部30が算出した設計案の評価得点を表示する。評価得点表示手段41は、第1の実施形態と同様の構成である。
第1リスト表示手段42は、各設計要件の重み付け得点を要件定量化手段22から入力する。また、第1リスト表示手段42は、コンテキスト情報種類ごとの目標要件を目標要件導出手段23から入力する。第1リスト表示手段42は、当該設計案のコンテキスト情報に関連付く設計要件に対して、設計要件ごとに出力した重み付け得点と、当該設計案の目標要件とを対応付けた第1リストを表示する。
第2リスト表示手段43は、目標要件特定手段32から設計要件ごとに目標要件が含まれるか否かを示す情報を入力する。第2リスト表示手段43は、各設計要件が目標要件を含むか否かを示す情報を記した第2リストを表示する。なお、第2リストは、第1リストと独立したリストであってもよいし、第2リストに表示する情報を第1リストに追加したリストとしてもよい。
以上が、本実施形態に係る評価装置2の構成についての説明である。
〔動作〕
次に、図8および図9のフローチャートを参照しながら本実施形態に係る評価装置2の動作について詳細に説明する。図8および図9のフローチャートは、第1リスト表示手段42および第2リスト表示手段43の動作に関する。なお、目標要件定量化部20の動作は、図3および図4のフローチャートに示す通りであり、設計案定量評価部30の動作は図5および図6のフローチャートに示す通りであるので、詳細な説明については省略する。
図8において、まず、第1リスト表示手段42は、要件定量化手段22から各設計要件の重み付け得点を入力し、目標要件導出手段23からコンテキスト情報ごとの目標要件を入力する(ステップS411)。
第1リスト表示手段42は、コンテキスト情報種類を一つ抽出する(ステップS412)。
抽出したコンテキスト情報種類と関連付く設計要件がある場合(ステップS413でYes)、第1リスト表示手段42は、設計要件を一つ抽出し(ステップS414)、ステップ413に戻る。
一方、抽出したコンテキスト情報種類と関連付く設計要件がない場合(ステップS413でNo)、ステップS415に進む。
全てのコンテキスト情報を確認済みの場合(ステップS415でYes)、図9のステップS416に進む。一方、全てのコンテキスト情報を確認済みではない場合(ステップS415でNo)、ステップS412に戻る。
図9において、第1リスト表示手段42は、抽出済みの全設計要件のリストを作成する(ステップS416)。ステップS416で作成されるリストは、コンテキスト情報種類と設計要件との対応付けをまとめたものである。
第1リスト表示手段42は、設計要件を一つ抽出する(ステップS417)。ステップS417の後は、ステップS418〜ステップS419の処理と、ステップS420〜ステップS421の処理とを並列で行う。ステップS418〜ステップS419の処理は第1リスト表示手段42によって実行され、ステップS420〜ステップS421の処理は第2リスト表示手段43によって実行される。
第1リスト表示手段42は、抽出した設計要件に対する重み付け得点を抽出する(ステップS418)。第1リスト表示手段42は、各設計要件に対応付ける重み付け得点をコンテキスト情報種類ごとに別々に抽出してもよいし、全てのコンテキスト情報種類について重み付け得点を合計した要件別得点を抽出してもよい。また、第1リスト表示手段42は、要件別得点を合計した目標得点を合わせて抽出してもよい。
第1リスト表示手段42は、抽出した重み付け得点を設計要件に対応付けて出力する(ステップS419)。第1リスト表示手段42は、各設計要件に対応付ける重み付け得点をコンテキスト情報種類ごとに別々に出力してもよいし、全てのコンテキスト情報種類について重み付け得点を合計した要件別得点を出力してもよい。また、第1リスト表示手段42は、要件別得点を合計した目標得点を合わせて出力してもよい。
一方、第2リスト表示手段43は、抽出した設計要件が目標要件と合致するか否かを検証する(ステップS 420)。
抽出した設計要件が目標要件と合致する場合(ステップS420でYes)、第2リスト表示手段43は、設計要件と目標要件との合致有無(要件合致有無ともよぶ)を対応付けて出力する(ステップS421)。一方、抽出した設計要件が目標要件と合致しない場合(ステップS420でNo)、ステップS422に進む。
ステップS418〜ステップS421の処理が終了すると、第1リスト表示手段42および第2リスト表示手段43は、出力結果をリストに反映させる(ステップS422)。ステップS422では、ステップS416で作成されたリストに、第1リスト表示手段42と第2リスト表示手段43が出力した値を反映させる。例えば、第1リスト表示手段42は、各設計要件に対応付けて、コンテキスト情報種類ごとの重み付け得点と、全てのコンテキスト情報種類の重み付け得点の合計値である要件別得点とをまとめた第1リストを表示させる。また、第2リスト表示手段43は、各設計要件に要件合致有無を対応付けた第2リストを表示させる。なお、第2リストに表示させる値を第1リストに追加するように構成してもよい。
ここで、全ての設計要件を確認済みの場合(ステップS423でYes)、完成した第1リストを出力する(ステップS424)。これで、図9のフローチャートに沿った処理は終了である。ステップS424で出力される第1リストは、任意の表示機器に表示させればよい。一方、全ての設計要件を確認済みではない場合(ステップS423でNo)、ステップS417に戻る。
以上が、第1リスト表示手段42の動作についての説明である。
本実施形態においては、要件定量化手段が算出した各設計要件の重み付け得点と、目標要件導出手段が導出した当該設計案に対する目標要件とを関連付けて一覧にした第1リストを表示する。また、本実施形態においては、目標要件特定手段が特定した当該設計案における目標要件の保有の有無を一覧にした第2リストを表示する。
そのため、本実施形態によれば、設計案をシステム利用のコンテキストを反映したものに改良するために、設計案のどこに問題があるのか、そして優先的に改良すべき点が何なのかを示す定量的な値を基に具体的な要件として提示できる。その結果、本実施形態によれば、利用者とシステムとの接面、すなわち画面や利用者とのインタラクションを実現するUIについてユーザに提示できる。本実施形態によれば、システム設計の前提条件と捉えている利用のコンテキストの観点から設計案を評価し、そこで明らかになった問題点を改良することによって、導入者や利用者の要求に合ったシステム設計が可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る評価装置について図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態の評価装置100の構成を示すブロック図である。本実施形態の評価装置100は、第1および第2の実施形態の評価装置1および2を上位概念化した構成である。なお、以下の説明においては、評価装置1および2と同様の構成・動作については説明を省略する場合がある。
評価装置100は、目標要件定量化手段200と設計案定量評価手段300とを備える。
目標要件定量化手段200は、評価対象システムの設計案の前提となるシステム利用に関するコンテキスト情報を入力し、コンテキスト情報に関連付く設計要件ごとに重み付け得点を算出する。また、目標要件定量化手段200は、コンテキスト情報ごとに特定された設計要件の中から評価対象システムの設計目標に相当する目標要件を導出する。目標要件定量化手段200は、コンテキスト情報に関連付く設計要件ごとに重み付け得点と、目標要件とを設計案定量評価手段300に出力する。
目標要件定量化手段200は、評価装置1および2の目標要件定量化部20の機能の一部を有する。目標要件定量化手段200は、回路などのハードウェアで実現してもよいし、記憶装置に展開されるプログラムを中央演算処理装置によって処理をするソフトウェアで実現してもよい。
設計案定量評価手段300は、評価対象システムから設計案を入力するとともに、目標要件定量化手段200から設計要件ごとの重み付け得点と目標要件とを入力する。そして、設計案定量評価手段300は、目標要件に相当する設計要件の重み付け得点の合計値である合計実装得点を含む評価結果を算出する。
設計案定量評価手段300は、評価装置1および2の設計案定量評価手段300の機能の一部を有する。設計案定量評価手段300は、回路などのハードウェアで実現してもよいし、記憶装置に展開されるプログラムを中央演算処理装置によって処理をするソフトウェアで実現してもよい。
本実施形態の評価装置によれば、実際にシステムが利用される際のコンテキストの観点からシステム設計案の評価を行うことができる。
(適用例)
次に、図11〜図17を用いて、本発明の各実施形態の適用例について説明する。本適用例においては、UIに関わる設計要件(以下、UI要件)を設計要件DB50に格納しておく。また、本適用例においては、コンテキスト情報とUI要件とを関連付ける関連付けルールを関連付けルールDB60に格納しておく。
図11は、評価対象システムの設計案Aに関するシステム利用のコンテキスト情報の一例(以下、コンテキスト情報テーブル500)である。コンテキスト情報テーブル500は、システム導入・利用の目的、利用者の特性および業務の特性という三つのコンテキスト情報種類のコンテキスト情報を含む。これ以降、システム導入・利用の目的のコンテキスト情報種類を第1のコンテキスト情報種類、利用者特性のコンテキスト情報種類を第2のコンテキスト情報種類、業務特性のコンテキスト情報種類を第3のコンテキスト情報種類と呼ぶ。
図11のコンテキスト情報テーブル500において、第1のコンテキスト情報種類は、「ミスの低減」、「業務品質の維持」、「進め方の無駄の削除」というコンテキスト情報に関連付けられる。第1のコンテキスト情報種類に関連付けられるコンテキスト情報のうち「ミスの低減」および「業務品質の維持」は最優先事項であり、「進め方の無駄」の削除は優先事項である。本適用例では、最優先要件には4点、優先要件には2点、その他の要件には1点などといった重み付け得点を付与する。
同様に、コンテキスト情報テーブル500において、第2のコンテキスト情報種類は、「IT習熟度が中・上級」、「業務習熟度が中・上級」というコンテキスト情報に関連付けられる。また、コンテキスト情報テーブル500において、第3のコンテキスト情報種類は、「一定の時間に多数の仕事」、「漏れなく実施」というコンテキスト情報に関連付けられる。
図12は、設計要件DB50に格納されるUI要件をまとめたUI要件テーブル501である。UI要件テーブル501には、達成目標(上位UI要件ともよぶ)に対して、使いやすさの担保の基準レベルである実現レベルごとのUI要件(下位UI要件ともよぶ)が格納される。
UI要件テーブル501は、「文字の入力の付加を低減する」という達成目標に対応付けて、レベル1〜4の四つのUI要件を格納する。レベル1のUI要件は「直接入力を基本とする」、レベル2のUI要件は「項目選択を基本とする」、レベル3のUI要件は「手書き入力/音声入力を可能にする」、レベル4のUI要件は「レベル3に加えて、手書き入力の自動文字認識を可能にする」である。
また、UI要件テーブル501は、階層構造を有する達成目標(上位UI要件)に対応付けられる実現レベルごとのUI要件(下位UI要件)を格納する。すなわち、UI要件テーブル501は、「迷わないように、業務の進め方を規定する」という上位項目、「理解しやすい単位で情報を画面に表示する」という下位項目に階層化された達成目標を含む。なお、「迷わないように、業務の進め方を規定する」という上位項目は要件そのものではなく、「理解しやすい単位で情報を画面に表示する」という達成目標の分類名である。UI要件テーブル501は、「理解しやすい単位で情報を画面に表示する」という達成目標に対応付けて、レベル1〜3の三つのUI要件を格納する。レベル1のUI要件は「情報量が多い場合は、2〜3スクロール程度に情報を分割して表示する」である。レベル2のUI要件は「情報の構造に従い、1項目ずつ分割して表示する」である。レベル3のUI要件は「レベル2の項目を、業務タスク上の意味でまとめて表示する」である。
図13〜図15は、関連付けルールDB60に格納される関連付けルールの一例である。
図13は、システムの導入・利用目的(第1のコンテキスト情報種類)とUI要件とを対応付ける第1の関連付けルールの一つである。図13の例は、第1のコンテキスト情報種類の一つである「ミスの低減」というコンテキスト情報が、「文字入力の負荷を軽減する」という達成目標のレベル2〜4のUI要件に対応付けられることを示す。
図14は、利用者特性(第2のコンテキスト情報種類)とUI要件とを対応付ける第2の関連付けルールの一つである。図14の例では、コンテキスト情報テーブル500の第2のコンテキスト情報種類には含まれない「IT習熟度・初級」というコンテキスト情報が、「文字入力の負荷を軽減する」という達成目標のレベル2〜4のUI要件には対応付けられることを示す。なお、図14の例は、「IT習熟度・初級」というコンテキスト情報が、「文字入力の負荷を軽減する」という達成目標のレベル1のUI要件に対応付けられないことも示す。
図15は、業務特性(第3のコンテキスト情報種類)とUI要件とを対応付ける第3の関連付けルールの一つである。図15の例は、第3のコンテキスト情報種類に含まれる「一定時間内に多数の確認作業」および「漏れなく実施」というコンテキスト情報が、「文字入力の負荷を軽減する」という達成目標のレベル2のUI要件に対応付けられることを示す。
なお、図12〜図15に示すように、本適用例は、設計要件(UI要件)を達成目標とその実現レベルの2段階に構造化した例への適用を示すが、構造化されていない設計要件についても同様に適用できる。また、本発明の各実施形態の手法は、3段階以上に構造化された設計要件についても適用できる。
図16は、設計案Aの各UI要件に対して、コンテキスト情報種類ごとの重み付け得点、要件ごとの重み付け得点の合計(要件別得点)、さらに設計案Aの重み付け得点の合計(目標得点)をまとめた目標得点テーブル511である。
目標得点テーブル511の左から1列目が達成目標、2列目が達成目標の実現レベルを示し、1列目と2列目とを組み合わせたものがコンテキスト情報に関連付けられるUI要件に相当する。目標得点テーブル511の左から3〜5列目は、第1〜第3のコンテキスト情報種類ごとの各UI要件に対する重み付け得点である。目標得点テーブル511の右から1列目がUI要件ごとの重み付け得点の合計値(要件別得点)である。そして、目標得点テーブル511の右下の欄内の数値が、各UI要件の要件別得点を合計することによって算出される設計案Aの目標得点である。
例えば、目標得点テーブル511の上から4行目には、達成目標Rb「文字入力の負荷を軽減する」かつ実現レベル2「項目選択を基本とする」のUI要件(以下、UI要件B)の重み付け得点が格納される。目標得点テーブル511によると、UI要件B(4行目)に関して、第1〜第3のコンテキスト情報種類の重み付け得点は、それぞれ4点、0点、2点であり、要件別得点は6点である。そして、設計案Aの目標得点は118点である。
図17は、設計案Aの各UI要件に対する重み付け得点、要件合致有無、オーバースペックか否か、実装得点、合計実装得点、評価得点をまとめた評価得点テーブル512である。
評価得点テーブル512の左から1〜6列目は、目標得点テーブル511と同様である。評価得点テーブル512の右から3列目は、各UI要件と、保有要件分析手段31が設計案から抽出した設計要件(保有要件)との合致の有無を示し、合致があれば1、合致がなければ0が格納される。評価得点テーブル512の右から2列目は、UI要件がオーバースペックか否かを示し、オーバースペックならば1、オーバースペックでなければ0が格納される。なお、オーバースペックとは、達成目標に対してより高い実現レベルの要件を指定していることを示す。なお、オーバースペックに関しては考慮しなくてもよい。
評価得点テーブル512の右から1列目は、UI要件の実装得点を格納する。実装得点は、要件別得点と要件合致とを積算した値である。なお、要件合致が0かつオーバースペックが1ならば、要件別得点を2で割った値が実装得点になる。
例えば、達成目標Rb「文字入力の負荷を軽減する」かつ実現レベル2「項目選択を基本とする」のUI要件Bに関する数値は、目標得点テーブル511の上から4行目に格納される。目標得点テーブル511によると、要件別得点は6点であり、要件合致は1点であり、要件別得点と要件合致を積算することによって実装得点は6点となる。目標得点テーブル511の全てのUI要件の実装得点を合計した値が合計実装得点である。設計案Aの実装得点の合計が73であるため、合計実装得点に対する目標得点の比率を算出することによって、評価得点は0.62と計算される。
ここで、図12〜図17を参照しながら、本適用例について詳細に説明する。以下の説明においては、第1および第2の実施形態に係る評価装置の構成を参照しながら説明する。
関連分析手段21は、コンテキスト情報入力手段11からコンテキスト情報テーブル500を入力する。関連分析手段21は、関連付けルールDB60に格納されている関連付けルールを参照し、コンテキスト情報テーブル500に含まれるコンテキスト情報種類ごとにコンテキスト情報に対応するUI要件を特定する。
例えば、関連分析手段21は、コンテキスト情報テーブル500の第1のコンテキスト情報種類である「システム導入・利用目的」に関連付けられた「ミスの低減」というコンテキスト情報を抽出する。関連分析手段21は、図13の関連付けルールを適用して、コンテキスト情報「ミスの低減」に関連付けられたレベル2〜4のUI要件を特定する。関連分析手段21は、特定したUI要件を出力する。
関連分析手段21は、図11のコンテキスト情報テーブル500の全てのコンテキスト情報種類に関するコンテキスト情報に対応するUI要件を、それぞれのコンテキスト情報種類に対応する関連付けルールを参照して特定する。
そして、要件定量化手段22は、関連分析手段21から出力される全てのUI要件に対して、コンテキスト情報種類ごとに重み付け得点を与える。
例えば、コンテキスト情報テーブル500は、達成目標Rb「文字入力の負荷を軽減する」は、第1のコンテキスト情報種類(導入・利用目的)に加えて、第3のコンテキスト情報種類(業務特性)とも関連付いている。したがって、要件定量化手段22は、「文字入力の負荷を軽減する」という達成目標に対して、第1および第3のコンテキスト情報種類に重み付け得点を付与する。すなわち、図16の4行目のように、導入・利用目的については最優先のコンテキスト情報に対するUI要件なので4点、業務特性については関連付くUI要件に付与する2点が重み付け得点として付与される。
なお、図16の例では、導入・利用目的については最優先の目的と関連付く要件に4点、優先する要件に2点、その他の要件に1点を、利用者特性および業務特性と関連付く要件に2点を付与する。
そして、要件定量化手段22は、図16の目標得点テーブル511のように、各UI要件に対して、コンテキスト情報種類ごとに付与された重み付け得点を合算して要件別の重み付け得点(要件別得点)を算出する。
例えば、UI要件B(4行目)の場合、要件定量化手段22は、導入・利用目的に対する4点と業務特性に対する2点を合計した6点を、当該UI要件に対する重み付け得点として付与する。さらに、要件定量化手段22は、全UI要件の重み付け得点を合算して、当該設計案全体の重み付け合計得点(目標得点)を算出する。図16の例では、要件別得点欄の全ての重み付け得点を合計した118点が、設計案A全体の目標得点として出力される。
目標要件導出手段23は、要件定量化手段22が重み付け得点を算出するのと並行して、コンテキスト情報種類ごとに特定された設計要件の論理積となる設計要件を目標要件として導出する。
例えば、達成目標Rb「文字入力の負荷を軽減する」の場合、図13の第1の関連付けルールからは、より具体的なUI要件の実現レベルとしてレベル2〜4の設計要件が特定される。また、図15の第3の関連付けルールからは、UI要件の実現レベルとしてレベル2の設計要件が特定される。目標要件導出手段23は、第1の関連付けルールから特定されるレベル2〜4の設計要件と、第3の関連付けルールから特定されるレベル2の設計要件の論理積をとり、レベル2の「項目選択を基本とする」という設計要件を目標要件として導出する。目標要件導出手段23は、導出した「項目選択を基本とする」目標要件を出力する。
一方、保有要件分析手段31は、設計案入力手段12から入力された設計案Aが保有する設計要件を抽出し、設計案Aの保有要件のリスト(以下、保有要件リストA)を作成する。
目標要件特定手段32は、保有要件リストAを用いて、目標要件導出手段23が導出した設計案Aの目標要件と保有要件との違いを分析する。そして、目標要件特定手段32は、目標要件有無に関する情報を出力する。図17の例では、要件合致の欄に、目標要件がある場合は1、目標要件がない場合は0が出力される。
次に、評価得点算出手段33は、設計案Aが保有する全ての目標要件について、要件定量化手段22が算出した当該要件の重み付け得点を出力する。例えば、UI要件Aの場合、評価得点算出手段33は、図17の要件別得点欄に出力された6点を、当該UI要件に対する重み付け得点として評価得点テーブル512の実装得点欄に出力する。
評価得点算出手段33は、評価得点テーブル512の実装得点欄に出力された全ての重み付け得点、すなわち設計案Aが実際に保有する目標要件に対応する重み付け得点を合算した73点を、設計案Aの実装得点として合計実装得点欄に出力する。評価得点算出手段33は、評価得点テーブル512の目標得点118点に対する合計実装得点73点の比率(達成率)0.62を算出して出力する。評価得点算出手段33によって算出された0.62という数値が設計案Aの利用のコンテキストの観点での評価得点である。
第1リスト表示手段42は、図16に示すように、設計案Aのコンテキスト情報に関連付くUI要件に対して、要件ごとに付与された重み付け得点と、設計案Aの目標要件とを対応付けて一覧にして表示する。例えば、第2リスト表示手段43は、図17に示すように、設計案Aにおける目標要件の有無を要件合致欄に表示する。このとき、第2リスト表示手段43は、評価得点テーブル512のオーバースペック欄のように、達成目標に対してより高い実現レベルの要件を指定していることを示す情報を表示してもよい。
(ハードウェア)
ここで、図18を用いて、本発明の実施形態に係る評価装置を実現するためのハードウェア90について説明する。なお、ハードウェア90は、本実施形態の評価装置を実現するための一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
図18のように、ハードウェア90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95およびネットワークアダプター96を備える。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95およびネットワークアダプター96は、バス99を介して互いに接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、ネットワークアダプター96を介して、イントラネットやインターネットなどのネットワークに接続される。また、ハードウェア90は、ネットワークを介して、別のシステムや装置に接続される。なお、ハードウェア90の構成要素のそれぞれは、単一であってもよいし、複数であってもよい。
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する中央演算装置である。本実施形態においては、ハードウェア90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、種々の演算処理や制御処理を実行する。
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとすればよい。また、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを主記憶装置92として構成・追加してもよい。
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶させるための記憶装置である。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクとして構成される。なお、主記憶装置92にデータを記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略してもよい。
入出力インターフェース95は、ハードウェア90と周辺機器とを接続規格に基づいて接続するインターフェース(I/F:Interface)である。
ハードウェア90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器、ディスプレイや印刷機器などの出力機器を接続してもよい。それらの入力機器や出力機器は、情報や設定の入力に使用される。プロセッサ91と入力機器との間のデータ授受は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
ネットワークアダプター96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95およびネットワークアダプター96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
また、ハードウェア90には、必要に応じて、リーダライタを備え付けてもよい。リーダライタは、バス99に接続される。リーダライタは、プロセッサ91と図示しない記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータ・プログラムの読み出し、ハードウェア90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。記録媒体は、例えばSD(Secure Digital)カードやUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの半導体記録媒体などで実現できる。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体やその他の記録媒体によって実現してもよい。
以上が、本発明の実施形態に係る評価装置を実現するためのハードウェアの一例である。本発明の各実施形態の構成要素は、図18のハードウェアの構成要素のうち少なくともいずれかを含む回路として実現できる。また、本発明の各実施形態の構成要素は、図18のハードウェアの構成を有するコンピュータ上で動作するソフトウェアとして実現してもよい。
図18のハードウェア構成は、本実施形態の評価装置を可能とするためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、本実施形態の評価装置による処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、本発明の実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。
以上のように、本発明の各実施形態の手法によれば、システム設計案の評価において、システム設計の前提条件となるシステム利用のコンテキストの観点から、設計案の達成度を定量的に示すことができる。すなわち、本発明の各実施形態によれば、設計案が利用のコンテキストをどの程度反映しているのかを定量的に示すことができる。また、本発明の各実施形態によれば、設計案をシステム利用のコンテキストを反映したものに改良するために、設計案のどこに問題があるのか、優先的に改良すべき点が何なのかを、具体的な要件として示すことができる。さらに、本発明の各実施形態の手法によれば、具体的な画面UI案を作成する前のより早い段階における設計案の評価が可能になる。
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。