JP6789681B2 - グラフィックフィルム、ライセンスプレート、及びグラフィックフィルムの製造方法 - Google Patents

グラフィックフィルム、ライセンスプレート、及びグラフィックフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明の一側面は、グラフィックフィルムに関する。また、本発明の他の一側面は、グラフィックフィルムを備えたライセンスプレートに関する。
ALPR(Automated License Plate Reader)システムは、例えば、自動徴収、交通法の執行、犯罪関与車両の捜索、及び施設へのアクセス管理等のために、車両に設置されるライセンスプレート(ナンバープレートともいう。)を読み取っている。ALPRシステムの一態様では、ライセンスプレートを読み取るために赤外線カメラが使用されているので、再帰性反射型ライセンスプレートにおいては、赤外線カメラへの赤外線の戻り光が過大となって読み取り精度が低下することがある。特許文献1は、赤外線不透過材料を含む再帰性反射シートを用いて戻り光を低減させたナンバープレートについて開示する。また、特許文献2および特許文献3は、ALPRシステムの一様態である速度違反車両およびその運転者を撮影するシステムについて開示する。
特表2013−508749号公報 特公昭60−5930号公報 特公昭61−51783号公報
上記速度違反車両およびその運転者を撮影するシステムでは、自動車などの一般車両において、図柄入りのライセンスプレートが使用された場合、人の目に依って登録ナンバー(識別表示)が判読される場合があるので、図柄入りのライセンスプレートにおいては、図柄によって識別表示の判読性が低下する可能性がある。
本発明の一側面に係るグラフィックフィルムは、基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムであって、画像印刷層は、識別表示が内側に配置される識別情報表示領域と、識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、識別情報表示領域内で識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である。
発明者は、グラフィックフィルムに識別表示が配置された状態で、識別表示の判読性が低下する原因について検討した。その結果、発明者は、識別情報表示領域において、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和との比率が80%以下であれば、仮に、識別情報表示領域内に識別表示以外の図柄等が配置されていたとしても、その図柄等の影響を受けず、識別表示の判読性の低下を低減できるとの知見を得て上記のグラフィックフィルムに想到した。つまり、上記のグラフィックフィルムでは、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、識別情報表示領域内で識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下であり、その結果として識別表示の判読性の低下を低減できる。
一態様に係るグラフィックフィルムにおいて、識別情報表示領域は、識別表示にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域であってもよい。
一態様に係るグラフィックフィルムにおいて、識別情報表示領域は、識別表示を示す外形線に沿った領域であり、外形線からの距離が15mm以下である表示形状依存領域であってもよい。
一態様に係るグラフィックフィルムにおいて、任意表示領域のうち、識別情報表示領域の外縁に沿った領域であり、且つ、外縁からの距離が15mm以下である近傍領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対して80%以下であってもよい。
本発明の他の一側面に係るライセンスプレートは、ベースプレートと、ベースプレート上に設けられ、且つ基材上に画像印刷層が配置されるグラフィックフィルムと、を備え、画像印刷層は、識別表示が内側に配置された識別情報表示領域と、識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、識別情報表示領域内で識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は80%以下である。
このライセンスプレートでは、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、識別情報表示領域内で識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下であるので、識別表示の判読性の低下を低減できる。
一態様に係るライセンスプレートにおいて、識別情報表示領域は、識別表示にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域であってもよい。
一態様に係るライセンスプレートにおいて、識別情報表示領域は、識別表示を示す外形線に沿った領域であり、外形線からの距離が15mm以下である表示形状依存領域であってもよい。
一態様に係るライセンスプレートにおいて、任意表示領域のうち、識別情報表示領域の外縁に沿った領域であり、且つ、外縁からの距離が15mm以下である近傍領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対して80%以下であってもよい。
本発明の一側面によれば、識別表示の判読性の低下を低減できる。
図1は、実施形態に係るライセンスプレートの一例を示す平面図である。 図2は、図1のIII−III線に沿った模式的な断面図であり、見易さの便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法が、実際の形態よりも厚くなるように示している。 図3は、識別情報表示領域を示す図であり、(a)図は一例に係る図であり、(b)図は他の例に係る図である。 図4は、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、及びブラック(K)インクの光透過率スペクトルを示す図である。 図5は、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、及びブラック(K)インクの光透過率スペクトルを示す図である。 図6は、比較形態に係るライセンスプレートの正面図である。 図7は、実施形態に係るグラフィックフィルムの一例を示す平面図である。 図8は、図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
本発明の実施形態は、基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムであって、画像印刷層は、識別表示が内側に配置される識別情報表示領域と、識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、識別情報表示領域内で識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である。
このグラフィックフィルムでは、識別情報表示領域の内側に識別表示が配置された状態で、識別表示の判読性の低下を低減できる。
本発明の他の実施形態は、ライセンスプレートであって、ベースプレートと、ベースプレート上に設けられ、且つ基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムと、を備え、画像印刷層は、識別表示が内側に配置される識別情報表示領域と、識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、識別情報表示領域内で識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は80%以下である。
このライセンスプレートでは、グラフィックフィルムの識別情報表示領域の内側に識別表示が配置された状態で、識別表示の判読性の低下を低減できる。
なお、本明細書における「識別表示」とは、自他を識別する機能を有する情報を含んだ表示を意味し、車両等のライセンスプレート(「ナンバープレート」ともいう)に適用される場合には、自車両と他車両とを区別して識別可能な文字、数字、記号、図柄等を含む表示である。なお、ライセンスプレートの場合、識別表示はライセンスプレートが採用される国の規則や運用等によって決まるが、自他を区別する文字や記号等によって形成される情報を広く含む。例えば、日本のライセンスプレートの場合、識別情報は、地名、分類番号、平仮名、及び4桁の数字の登録番号によって車両を識別する情報である。
「フィルム」には「シート」と呼ばれる物品も包含される。「透明」とは、対象とする特定の波長又は波長域の光の平均透過率が、約60%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上であることを意味する。「再帰反射性」とは、ある材料に入射する光源からの光が反射して該光源の方向に反射する現象又は材料の特性を意味し、「非再帰反射性」とは再帰反射性を持たない材料の特性を意味する。
以下、図面を参照しながら、ライセンスプレート及びライセンスプレートが含まれるグラフィックフィルムの実施形態について詳細に説明する。本説明において、同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1及び図2に示されるように、ライセンスプレート1は、ベースプレート10と、ベースプレート10上に設けられたグラフィックフィルム20を備える。グラフィックフィルム20は、例えば、基材22と、基材22上に設けられた画像印刷層23とを備える。基材22の画像印刷層23とは反対側となる裏面には接着層21が設けられており、基材22は接着層21を介してベースプレート10に取り付けられている。また、グラフィックフィルム20は、例えば、基材22及び画像印刷層23を被覆する表面保護層25を更に有し、また、必要に応じて、基材22及び画像印刷層23と、表面保護層25とを接合するための接合層24を有することができる。
ライセンスプレート1は、例えば、表面保護層25の上に識別表示30を設け、識別表示30が設けられる領域には、例えば、エンボス加工が施されている。ライセンスプレート1は、識別表示30を保護するためのクリアコート40を更に有してもよい。なお、表面保護層25や接合層24を省略することもでき、また、エンボス加工を省略することもできる。また、表面保護層25や接合層24を省略した場合には、画像印刷層23の上に識別表示30を設けることもでき、また、画像印刷層23の中に識別表示30を設けることもできる。
ライセンスプレート1は、識別情報表示領域E1と、識別情報表示領域E1以外の任意表示領域F1とを有し、識別情報表示領域E1とは、その内側に識別表示30が配置される領域であり、ALPR(Automated License Plate Reader)システムによる識別表示30の識別に必要な領域である。つまり、識別情報表示領域E1は、少なくとも識別表示30として予定されている一つの情報を内包する領域であり、且つ、隣接する識別情報表示領域E1との間で重なりが生じない領域である。なお、ALPRシステムによる識別表示30の識別に必要な領域は、ALPRの車両及びライセンスプレート検知システム、赤外線カメラの撮影条件及び分解能、ライセンスプレート認識アルゴリズム、OCRソフトウェアなどによって、その領域の大きさ及び形状は変化しうる。しかしながら、少なくとも後述の例示に係る識別情報表示領域E1は、ALPRシステムによる識別表示30の識別に必要な領域である。
一例に係る識別情報表示領域E1(図3の(a)図参照)は、識別表示30にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域である。この矩形領域とは、例えば、識別表示30として予定されている複数の情報を同フォントで仮定した場合において、輪郭(外縁)が最も大きくなる情報を基準情報とし、その基準情報に対してそれぞれ接する四辺を備えている矩形領域であると規定することができる。例えば、「1」〜「9」までの自然数、及び「0」という数字が識別表示30として予定されている情報であった場合、「1」に比べて他の数字(「9」や「0」)の方が、横方向の幅が広い。この場合、他の数字を基準情報として矩形領域を規定することができる。さらに、識別表示30にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域とは、狭義の意味での「識別表示30に接する」に限定されず、識別表示30の外縁から5mm程度離間している領域までを誤差として許容する四辺を備えた矩形領域を意味する。
矩形領域について、より具体的に説明する。例えば、識別情報表示領域E1は、ライセンスプレートの管轄地域における法規制に従って規定される登録番号などの識別表示30の配置領域である。識別情報表示領域E1は、識別表示30にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域であるとすることができる。例えば日本国においては、道路運送車両法施行規則の第1号様式にライセンスプレートの識別表示30の配置領域が規定されており、地名及び平仮名は縦40mm×横40mmの正方形領域に、4桁の数字は縦80mm×横40mm又は縦120mm×横60mmの矩形領域に、数字や文字などの情報がそれぞれ1個ずつ配置される。
ここで、上記第1号様式では、識別表示30の外縁の一部が識別表示30の配置領域に接するように規定されている。しかしながら、識別情報表示領域E1の一例として規定する矩形領域、つまり、識別表示30にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域とは、上記第1号様式で規定するような狭義の意味での「接する」に限定されず、識別表示30の外縁から5mm程度離間している領域までを誤差として許容する四辺を備えた矩形領域を意味する。
次に、図3の(b)図を参照して他の例に係る識別情報表示領域E2を説明する。図3の(b)図は、他の例に係る識別情報表示領域E2を示す図である。識別情報表示領域E2は識別表示30を示す外形線31に沿った表示形状依存領域であり、外形線31からの距離が、例えば、15mm以下の領域として規定することができる。ここで、外形線31とは、識別表示30と、その周囲とを区別する境界線であり、具体的には、識別表示30の輪郭を示す線である。
図1に示されるように、ライセンスプレート1には、識別表示30の背景として、様々な図柄を形成することができるが、例えば観光地をあしらった図柄の一例として、富士山の図柄を示す印刷画像が設けられる場合がある。富士山の図柄は、例えば、画像印刷層23内において、識別情報表示領域E1及び任意表示領域F1の双方に設けられている。このため、ライセンスプレート1を正面から見ると、画像印刷層23に設けられた富士山の図柄が、識別表示30のうち登録番号「42−49」と重なっている。
ここで、図6は、図1に対応する比較形態に係るライセンスプレート100の正面図である。比較形態に係るライセンスプレート100の背景である富士山の図柄は、上記の実施形態に係るライセンスプレート1の富士山の図柄に比べ、色が濃く表現されている。その結果として、比較形態に係るライセンスプレート100の識別表示30は、上記の実施形態に係るライセンスプレート1の識別表示30に比べ、富士山も図柄に同化し、識別が難しくなっている。以下、可視波長領域を基準にした場合において、背景に対する識別表示30の識別が困難になる原因について説明する。
図4及び図5は、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、及びブラック(K)インクの光透過率スペクトルを示す図である。図4では、スコッチカルTMグラフィックフィルムRG5333R(スリーエム社製)にJV5溶剤インクジェットプリンタ用純正インク(ミマキエンジニアリング社製)を用いて印刷がなされている。図5では、スコッチカルTMグラフィックフィルムRG5333R(スリーエム社製)にColorPainter H2−104S溶剤インクジェットプリンタ用純正インク(セイコーアイ・インフォテック社製)を用いて印刷がなされている。
図4及び図5に示されるように、可視波長領域、例えば、波長620nmでは、マゼンタインク及びイエローインクは、顕著な吸収を有していない。そのため、マゼンタインク及びイエローインクを用いて印刷した図柄は、波長620nmでの識別表示30の読取り時には陰影を生じさせない。一方、シアンインク及びブラックインクを用いて印刷した図柄は、波長620nmにおいて大きな吸収を有するので、例えば、ALPRシステムの自動速度取締機による識別表示30の読取り時に陰影となり、特に、画像を目視で読み取る場合は、識別表示30の判読を妨げることがあることが示される。
以上より、可視波長領域を基準にした場合における識別表示30の判読性は、主としてシアンインク、及びブラックインクの影響を受け易いとの結果を導出できる。さらに、識別表示30の判読性は、識別表示30に近接する領域との比較によって導出できると仮定できる。そこで、これらの条件と識別表示30の判読性との相関性を得るため、上述の実施形態、及び比較形態に対して、以下の検証が実施された。
本検証において、まずは、実施形態及び比較形態に対して、識別表示30を形成するシアンの光学濃度、及びブラックの光学濃度が測定等によって求められた。次に、シアン及びブラックの光学濃度の和(以下では、便宜上、「基準混合濃度」と称する)が導出された。次に、実施形態及び比較形態に対して、識別表示30に近接する領域として、識別情報表示領域E1内で識別表示30以外の領域が特定され、この領域を形成するシアンの光学濃度、及びブラックの光学濃度が測定等によって求められた。次に、シアン及びブラックの光学濃度の和(以下では、便宜上、「比較混合濃度」と称する)が導出された。なお、比較混合濃度については、最も高い値を基準にすることができる。次に、実施形態、及び比較形態に対して、それぞれ基準混合濃度に対する比較混合濃度の比率を求めた。
上記の光学濃度は、例えば、分光光度計SPM50(グレタグマクベス社製)を用いて測定される。また、光学濃度の比率RODは、以下の式により定義される。この式において、「Dc(N)」は、識別表示30から測定されるシアンの光学濃度であり、「Dk(N)」は、識別表示30から測定されるブラックの光学濃度である。つまり、「Dc(N)+Dk(N)」は基準混合濃度を意味する。また、「Dc(G)」は、識別表示30を除く識別情報表示領域E1における背景図から測定されたシアンの光学濃度であり、「Dk(G)」は、識別表示30を除く識別情報表示領域E1における背景図から測定されるブラックの光学濃度である。つまり、「Dc(G)+Dk(G)」は比較混合濃度を意味する。
OD=[(Dc(G)+Dk(G))/(Dc(N)+Dk(N))]×100(%)
次に、実施形態に係る比率と、比較形態に係る比率とを比較し検証したところ、実施形態に係る比率RODは80%以下であり、逆に比較形態に係る比率RODは80%を超えているという相関性を導出することができた。
つまり、上記の実施形態に係るライセンスプレートでは、基準混合濃度に対する比較混合濃度の比率が80%以下であるので、仮に、識別情報表示領域E1内に識別表示30以外の図柄等が配置されていたとしても、その図柄等の影響を受けず、識別表示30の判読性の低下は回避され、判読性の低下を低減できる。
なお、識別表示30の判読性は、基準混合濃度に対する比較混合濃度の比率RODが小さいほど区別し易くなって向上する。従って、図柄にシアンインクおよびまたはブラックインクを使用する場合、比率RODは75%以下が好ましく、70%以下が更に好ましい。一方で、比率RODが小さくなるほど背景図面が薄くなってしまい意匠性を低下させる可能性があるため、比率RODは、10%以上が好ましい。
また、本実施形態及び比較形態では、ライセンスプレートの任意表示領域F1のうち、識別情報表示領域E1の外縁に沿った領域を近傍領域K1として規定している。近傍領域K1とは、識別情報表示領域E1の外縁からの距離が15mm以下の領域である。更に、本実施形態及び比較形態において、近傍領域K1を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和(以下では、便宜上、「近傍混合濃度」と称する)が導出された。なお、比較混合濃度については、最も高い値を基準にすることができる。次に、実施形態、及び比較形態に対して、それぞれ基準混合濃度に対する近傍混合濃度の比率を求めたところ、実施形態に係る比率は80%以下となっており、比較形態に係る比率は80%を超えていた。つまり、本実施形態では、基準混合濃度に対する比較混合濃度の比率RODに加え、基準混合濃度に対する近傍混合濃度の比率も80%以下となっており、その結果、識別表示30の判読性の向上に有利になっている。
なお、識別表示30の判読性は、基準混合濃度に対する近傍混合濃度の比率が小さいほど区別し易くなって向上する。従って、図柄にシアンインクおよびまたはブラックインクを使用する場合、その比率は75%以下が好ましく、70%以下が更に好ましい。一方で、基準混合濃度に対する近傍混合濃度の比率が小さくなるほど任意表示領域F1の背景図面が薄くなってしまい意匠性を低下させる可能性があるため、基準混合濃度に対する近傍混合濃度の比率は、10%以上が好ましい。
以上、識別情報表示領域E1と近傍領域K1とに基づき、識別表示30の判読性について説明したが、他の例に係る識別情報表示領域E2(図3の(b)図参照)における識別表示30の判読性についても同様である。つまり、本実施形態において、識別情報表示領域E2を規定した場合に、識別情報表示領域E2内で識別表示30以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和(以下では、便宜上、「第2の比較混合濃度」と称する)が導出される。そして、基準混合濃度に対する第2の比較混合濃度の比率は、80%以下である。従って、仮に、識別情報表示領域E2内に識別表示30以外の図柄等が配置されていたとしても、その図柄等の影響を受けず、識別表示30の判読性の低下を低減できる。なお、判読性の観点から、この比率は、75%以下が好ましく、70%以下が更に好ましい。一方で、比率が小さくなるほど背景図面が薄くなってしまい意匠性を低下させる可能性があるため、比率は、10%以上が好ましい。
また、図3の(b)図に示されるように、識別情報表示領域E2の外縁に沿った領域であり、且つ識別情報表示領域E2の外縁からの距離が15mm以下の領域は近傍領域K2として規定できる。そして、本実施形態において、近傍領域K2を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和(以下では、便宜上、「第2の近傍混合濃度」と称する)が導出される。そして、基準混合濃度に対する第2の近傍混合濃度の比率は、80%以下である。つまり、本実施形態では、基準混合濃度に対する第2の比較混合濃度の比率に加え、基準混合濃度に対する第2の近傍混合濃度の比率も80%以下となっており、その結果、識別表示30の判読性の向上に有利になっている。なお、判読性の観点から、この比率は、75%以下が好ましく、70%以下が更に好ましい。一方で、比率が小さくなるほど背景図面が薄くなってしまい意匠性を低下させる可能性があるため、比率は、10%以上が好ましい。
以下、ライセンスプレート1を構成する材質について詳細に説明する。
(ベースプレート)
ライセンスプレート1のベースプレートとして、一般に金属板又は樹脂板を使用することができる。金属板として、アルミニウム板、ステンレス板、鉄板などが挙げられる。樹脂板として、ポリカーボネート板、ポリエステル板、塩化ビニル板などが挙げられる。必要に応じて、これらの板材をフレームなどの形状に成形加工してもよい。
ベースプレート10へのグラフィックフィルム20の取り付けは、グラフィックフィルム20が有する接着層21を介して、又は接着剤をグラフィックフィルム20とベースプレート10の間に塗布して、ベースプレート10とグラフィックフィルム20を接着することにより行うことができる。
ベースプレート10にグラフィックフィルム20を取り付けて形成した積層体を、例えばブランクプレスダイなどを用いて所望の大きさにブランクプレスして切り出してもよい。
(接着層)
ライセンスプレート1のベースプレート10に接着するための接着層21に好適に使用することができる接着剤として、架橋され可塑化されたアクリル系感圧接着剤又はホットメルトの感圧接着剤が挙げられる。天然ゴム、合成ゴム、シリコーン又は他のポリマーをベースとし、必要に応じて粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などの添加剤を含む、他の感圧接着剤を使用することもできる。本開示において「感圧接着剤」とは、軽い圧力で様々な表面に接着し、相変化(液体から固体へ)を呈さない接着剤を指す。接着剤は架橋剤によって熱架橋又は放射線(例えば電子線ビーム又は紫外線)で架橋されたものでもよい。
接着層21の厚さは様々であってよく、一般に、約10μm以上、約20μm以上、又は約30μm以上、約150μm以下、約90μm以下、又は約60μm以下とすることができる。
グラフィックフィルム20は、接着層21を保護するライナーをさらに有してもよい。ライナーとして、例えば、紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸セルロースなどのプラスチック材料;このようなプラスチック材料で被覆された紙などを挙げることができる。これらのライナーは、シリコーンなどにより剥離処理した表面を有してもよい。ライナーの厚さは、一般に、約5μm以上、約15μm以上又は約25μm以上、約300μm以下、約200μm以下又は約150μm以下である。
(基材)
基材22としては、例えば、ライセンスプレート用途に適した物性を有する、従来公知の種々のポリマーシートを用いることができる。ポリマーとして、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル−アミドなどを挙げることができる。基材22は複数の材料の積層体であってもよい。
いくつかの実施態様において、基材22は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、又はそれらの組合せを含む。これらのポリマーは画像受容性に優れており、基材22上に高品質の印刷画像を形成することができる。
いくつかの実施態様において、基材22は、グラフィックフィルム20を備えるライセンスプレート1の製造に際し、クラック又は浮き上がりが生じ難い材質であること、すなわち、エンボス部又はデボス部の変形形状への追従性に十分な可とう性及び延伸性を有することが好ましい。この観点から好ましいポリマーとして、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィンなどを挙げることができる。
基材22は、酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料を含んでもよく、これらの白色顔料を含むコーティングを有してもよい。白色顔料を含む基材、又は白色顔料を含むコーティングを有する基材を用いることにより、ベースプレート10の地色を隠蔽してより鮮明な印刷画像を提供することができる。
いくつかの実施態様において、基材22は非再帰反射性を有することができる。一方、非再帰反射性基材は、ペイント式ライセンスプレートの読取り用に調整されたALPRシステムによる登録番号の良好な判読性という観点から有利である。
非再帰反射性基材としては、一又は複数の上記ポリマーを用いて形成されたシート、一又は複数の上記ポリマーとフッ素樹脂を組み合わせて含むシートなどが挙げられる。
いくつかの実施態様において、基材22は再帰反射性である。再帰反射性基材は、夜間の少ない光の下又は離れた距離などでのライセンスプレートの視認性が良好である点で有利である。再帰反射性基材としては、従来公知の種々の再帰反射性シートを使用できる。例えば、光透過性のビーズ又はキューブコーナーなどの再帰反射性要素、及び必要に応じて反射層を有するシートなどが例示される。再帰反射性シートとして、例えば、特許第2642099号公報、特許第2788030号公報、特許第2960478号公報、特許第3038218号公報、特許第3594969号公報、特表2000−506623号公報、及び特表2000−508434号公報に記載されたようなシートを使用することができ、また、特表2013−508749公報や特表2015−530299号公報、特開2014−24537号公報に記載された赤外線の再帰反射性が低減された再帰反射性シート、また、特表2013−508748公報に記載された高入射角で再帰反射率が低減される再帰反射性シートを使用することができる。
基材22の再帰反射性について、観測角0.2度、入射角5度における再帰反射係数(JIS Z 9117に準拠する)は少なくとも約1cd/lx/mである。ある好適な実施態様では、再帰性反射シートの再帰反射係数は約45cd/lx/m以上、又は約50cd/lx/m以上である。例えば、ISO7591:1982に規定される白については、約45cd/lx/m以上、黄については約30cd/lx/m以上であることが望ましい。JIS Z 9117の封入レンズ型タイプ1−B−bである場合、白については約35cd/lx/m以上、黄については約25cd/lx/m以上、赤については約10cd/lx/m以上、黄赤については約13cd/lx/m以上、緑については約5cd/lx/m以上、青については約3cd/lx/m以上であることが望ましい。
ライセンスプレート1が非再帰反射性であるか、再帰反射性であるかによって、通常はALPRシステムの読取りの設定又はグラフィックフィルム20の設計を変更する必要がある。しかしながら、本開示のグラフィックフィルム20は、非再帰反射性基材及び再帰反射性基材のいずれを用いた場合であっても、ALPRシステムに対する良好な判読性をライセンスプレートに付与することができる。
基材22の厚さは、グラフィックフィルム20を備えるライセンスプレート1の耐久性の観点から、約15μm以上、約30μm以上、又は約45μm以上であることが好ましく、ライセンスプレート1にエンボス部又はデボス部を形成する場合、変形形状への追従性の観点から、約300μm以下、約250μm以下、又は約220μm以下であることが好ましい。
基材22の破断強度は、良好な耐久性の観点から、好ましくは約5N/25mm以上、約10N/25mm以上、又は約20N/25mm以上であり、製造容易性の観点から、好ましくは約200N/25mm以下、約175N/25mm以下、又は約150N/25mm以下である。本開示において、破断強度はJIS Z 0237に準拠して測定される値である。
基材22の伸びは、ライセンスプレート1に対するエンボス加工又はデボス加工時のクラックの発生の防止、及びベースプレート10からの浮き上がり防止の観点から、好ましくは、約30%以上、又は約35%以上であり、良好な機械強度の観点から、好ましくは約400%以下、又は約350%以下である。本開示において、伸びはASTM試験法D882−80aに準拠して測定される値である。
基材22として種々の市販品を使用することができる。例えば、基材22として印刷画像の形成に適したグラフィックフィルムなどを有利に使用することができる。市販のグラフィックフィルムの例として、コントロールタックTMグラフィックフィルムIJ180−10(スリーエム社製)、スコッチカルTMグラフィックフィルムIJ5331及びRG5333R(スリーエム社製)などが挙げられる。
市販の再帰反射性フィルムの例として、例えば反射シートBR190500、Preclear Reflective License Plate Sheeting 4750及び4770、High Definition License Plate Sheeting Series 6700(以上、スリーエム社製)などが挙げられる。
(画像印刷層)
画像印刷層23では、印刷画像が、基材22の上にインク、トナーなどの着色剤を、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、静電印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などの印刷技術を用いて形成されることができる。様々な画像に対応する印刷画像データに基づいて小さいロット単位でも印刷画像を基材上に簡便に印刷でき、屋外耐候性を有するフルカラー印刷画像が得られることから、インクジェット印刷又は熱転写印刷を用いることが有利である。インクジェット印刷に使用されるプリンタとして、溶剤インクジェットプリンタ、UVインクジェットプリンタ又はシルクスクリーンなどが挙げられる。熱転写印刷に使用されるプリンタとして、熱溶融型熱転写プリンタ、昇華型熱転写プリンタなどが挙げられる。
インクジェット印刷、熱転写印刷などの印刷インクは、一般にシアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、及びブラック(K)インクの4色インクセットとして提供されてフルカラー印刷を可能にする。ハイライトの再現性を高めるために、これらの4色に、ライトシアンインク及びライトマゼンタインクを加えた6色インクセット、又はさらにグレーインク若しくはダークイエローインクを加えた7色インクセットが用いられる場合もある。これらのインクは従来公知であり、一般にそれぞれ対応する色の顔料又は染料と、バインダー又はビヒクルとを含み、必要に応じてさらに水、有機溶剤、分散剤、硬化剤などを含む。
インクジェット印刷インクとして、例えば、JV5溶剤インクジェットプリンタ用純正インク(ミマキエンジニアリング社製)、ColorPainter H2−104S溶剤インクジェットプリンタ用純正インク(セイコーアイ・インフォテック社製)、UJV500−160UVインクジェットプリンタ用純正インク(ミマキエンジニアリング社製)などを使用することができる。熱転写印刷インクとして、例えば、スコッチマスターTMエッジIIシステム(熱転写プリンタ)用インクセット(スリーエム社製)などを使用することができる。
印刷画像の厚さは様々であってよく、一般に、溶剤系インクを用いた場合は、約1μm以上、又は約2μm以上、約8μm以下、又は約5μm以下である。UV系インクを用いた場合は、約1μm以上、又は約5μm以上、約50μm以下、又は約30μm以下とすることができる。
(表面保護層)
表面保護層25として様々な樹脂フィルムを使用することができる。例えば、表面保護層25に好適に使用される樹脂として、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン、これらの組合せなどを挙げることができる。表面保護層25は、印刷画像の視認性及びALPRシステムの判読性に影響を与えないように可視光及び赤外光に対して透明であることが好ましい。
表面保護層25の厚さは様々であってよく、一般に、約40μm以上、約50μm以上、又は約60μm以上、約200μm以下、約150μm以下、又は約100μm以下とすることができる。
(接合層)
接合層24は、従来知られている接着剤から形成することができ、被接合物の材質に応じて適宜選択される。接着剤として、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステルなどをベースとする接着剤を使用することができる。接合層24は、印刷画像の視認性及びALPRシステムの判読性に影響を与えないように可視光及び赤外光に対して透明であることが好ましい。
接合層24の厚さは様々であってよく、一般に、約10μm以上、又は約20μm以上、約200μm以下、又は約100μm以下とすることができる。
(識別表示)
識別表示30は、インクジェット印刷、ロールコーティングなどを用いて、グラフィックフィルム20の識別情報表示領域E1の内部に、例えば顔料及びバインダー樹脂を含むインク組成物を適用して着色層を形成することにより、ライセンスプレート1に配置することができる。識別表示30の輪郭に合わせて形成されたエンボス部又はデボス部にインク組成物を適用して着色層を形成してもよい。エンボス部又はデボス部の形成は、一般にベースプレート10にグラフィックフィルム20を取り付けて積層体を形成した後、積層体を雄雌ダイに挟んでプレス機で加圧することによって行うことができる。このときに、ライセンスプレート1の辺縁部にフレーム部を形成してもよい。フレーム部はライセンスプレート1の変形を防止するための強度をライセンスプレート1に付与することができる。エンボス部、デボス部又はフレーム部の深さは、一般にそれぞれ約1mm以上、約2mm以下であるが、この範囲に限定されない。一実施態様では、識別表示30がライセンスプレート1のエンボス部上に配置されている。
識別表示30を表示する着色層の厚さは様々であってよく、一般に、約5μm以上、約6μm以上、又は約8μm以上、約30μm以下、約25μm以下、又は約20μm以下とすることができる。
次に、図7及び図8を参照し、実施形態に係るグラフィックフィルムの一例について説明する。図7は、グラフィックフィルムの平面図であり、図8はグラフィックフィルムの断面図である。
グラフィックフィルム20Aは、例えば、上述のライセンスプレート1に適用され、ベースプレート10上に設置される。なお、グラフィックフィルム20Aは実質的に上述のグラフィックフィルム20と共通するため、同様の要素や構造については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施形態に係るグラフィックフィルム20Aの場合、一般的に、ベースプレート10上に設置された後で、エンボス加工が施され、更に識別表示30が設けられる。つまり、一般的に、グラフィックフィルム20Aの画像印刷層23には、まだ実際の識別表示30は設けられていない。しかしながら、グラフィックフィルム20Aは、識別表示30が表示される予定の領域(識別表示予定領域)として識別情報表示領域E1を有し、また、識別情報表示領域E1以外の任意表示領域F1を有する。つまり、識別情報表示領域E1は、その内側に識別表示30が配置される領域である。また、グラフィックフィルム20Aは、識別情報表示領域E1の外縁に沿った領域として近傍領域K1を有する。なお、識別情報表示領域E1及び近傍領域K1の代わりに識別情報表示領域E2及び近傍領域K2を採用できるが、以下の説明では、識別情報表示領域E1及び近傍領域K1を代表して説明する。
グラフィックフィルム20Aにおいて、識別情報表示領域E1の内側に配置予定の識別表示30は既に決められており、従って、識別表示30を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和を求めることは可能である。例えば、ライセンスプレート1の設計段階においてコンピューターグラフィック等を利用し、識別表示30に適用される色の情報を予め特定しておき、その色の情報からシアン及びブラックの光学濃度の和を求めることができる。
次に、グラフィックフィルム20Aにおいて、識別情報表示領域E1内で識別表示30以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度を測定等し、シアン及びブラックの光学濃度の和を求める。
グラフィックフィルム20Aでは、識別表示30を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対して、識別情報表示領域E1内で識別表示30以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である。その結果、実際に、識別情報表示領域E1内に識別表示30が配置された場合に識別表示30の判読性の低下を低減できる。なお、識別表示30の判読性の観点から、上記の比率は75%以下が好ましく、70%以下が更に好ましい。一方で、比率が小さくなるほど背景図柄が薄くなってしまい意匠性を低下させる可能性があるため、比率は、10%以上が好ましい。
また、グラフィックフィルム20Aでは、識別表示30を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対して、近傍領域K1を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は80%以下である。その結果、実際に、識別情報表示領域E1内に識別表示30が配置された場合における識別表示30の判読性の向上に有利になっている。識別表示30の判読性の観点から上記の比率は75%以下が好ましく、70%以下が更に好ましい。一方で、比率が小さくなるほど背景図柄が薄くなってしまい意匠性を低下させる可能性があるため、比率は、10%以上が好ましい。
以下、本発明の実施例および比較例により、さらにライセンスプレートについて説明するが、本発明は下記例に制限されない。
[実施例1]
コントロールタックTMグラフィックフィルムIJ180−10(スリーエム社製)を基材に用い、その基材の上に、JV5溶剤インクジェットプリンタ(ミマキエンジニアリング社製)を用いて、例えば、図1に示す富士山が描かれた図柄を印刷し、画像印刷層を形成した。基材及び画像印刷層の上に、スコッチカルTMグラフィックフィルムRG5333R(スリーエム社製)をラミネートして、表面保護層を形成した。基材、画像印刷層及び表面保護層を備えるグラフィックフィルムをアルミ板に貼り、エンボス加工が施される前のブランク板を作製した。ブランク板のサイズは、例えば、幅165mm、長さ330mmである。ブランク板において識別表示が配置されるべき部分をエンボス加工し、また、RollCoat Ink 4854(スリーエム社製)を用いて識別表示を印刷して、ライセンスプレートを作製した。
実施例1に係るライセンスプレートでは、識別情報表示領域として識別表示にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域を想定した。この識別情報表示領域における最も色の濃い部分の色指定は、シアン68%、マゼンタ29%、イエロー2%であった。
このライセンスプレートについては、市販のALPR(可搬式ナンバープレート自動観測装置OC−iシステム(エイテック社製))の光源を、波長620nmのLED光源に替えたカメラを用いて、視認テストを行ったところ、判読可能との結果を得た。なお、この視認テストでは、シアン及びブラックについては視認できたが、マゼンタ及びイエローについては実質的に視認できなかった。
なお、本実施例では、上記のライセンスプレートに合わせた仮想データに基づく、判読性のシミュレーションを行った。具体的には、図1に示す富士山が描かれた図柄を画像データとしてEPS形式で作成し、次いで、ソフトウェアのフォトショップTM(アドビ社製)を用いて、墨版生成なしでCMYKカラーに変換して、さらにシアンのみで表示したところ、JV5溶剤インクジェットプリンタ(ミマキエンジニアリング社製)を用いて印刷した画像と近似する結果となった。この結果は、ライセンスプレートのための画像データは、例えば、ソフトウェアのフォトショップTM(アドビ社製)によって作成されることを示しており、このソフトウェアのよるシミュレーションによって、上記の視認テストと同等の結果が得られることが示された。
[実施例2]
識別情報表示領域を識別表示にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域として、この矩形の識別情報表示領域をシアン70%の色指定で着色したデジタルデータを作成した。識別表示については、シアン70%、マゼンタ50%、イエロー70%、及びブラック50%の色指定によって着色したデジタルデータを作成した。
続いて、コントロールタックTMグラフィックフィルムIJ180−10(スリーエム社製)を基材に用い、その基材の上に、JV5溶剤インクジェットプリンタ(ミマキエンジニアリング社製)を用いて、上記デジタルデータを印刷し、画像印刷層を形成した。基材及び画像印刷層の上に、スコッチカルTMグラフィックフィルムRG5333R(スリーエム社製)をラミネートして、表面保護層を形成した。基材、画像印刷層及び表面保護層を備えるグラフィックフィルムをアルミ板に貼り、実施例2の試験板を作製した。試験板のサイズは、例えば、幅165mm、長さ330mmである。
[実施例3]
実施例2におけるシアン70%の色指定で着色したデジタルデータに替えて、シアン75%の色指定で着色したデジタルデータを作成した。この点を除いて、実施例2と同様に、ライセンスプレートのための試験板を作製した。
[実施例4]
実施例2におけるシアン70%の色指定で着色したデジタルデータに替えて、シアン80%の色指定で着色したデジタルデータを作成した。この点を除いて、実施例2と同様に、ライセンスプレートのための試験板を作製した。
[実施例5]
実施例2におけるシアン70%の色指定で着色したデジタルデータに替えて、シアン75%、マゼンタ25%の色指定で着色したデジタルデータを作成した。この点を除いて、実施例2と同様に、ライセンスプレートのための試験板を作製した。
[実施例6]
実施例2におけるシアン70%の色指定で着色したデジタルデータに替えて、シアン80%、マゼンタ25%の色指定で着色したデジタルデータを作成した。この点を除いて、実施例2と同様に、ライセンスプレートのための試験板を作製した。
[比較例1]
実施例2におけるシアン70%の色指定で着色したデジタルデータに替えて、シアン85%の色指定で着色したデジタルデータを作成した。この点を除いて、実施例2と同様に、ライセンスプレートのための試験板を作製した。
[比較例2]
実施例2におけるシアン70%の色指定で着色したデジタルデータに替えて、シアン90%の色指定で着色したデジタルデータを作成した。この点を除いて、実施例2と同様に、ライセンスプレートのための試験板を作製した。
表1は、実施例1〜実施例6、および、比較例1〜比較例2について、シアン及びマゼンタの色指定、光学濃度の比率ROD、及び視認テストの評価結果を示した表である。登録番号などの識別表示が目視で読み取れるときに「A」と評価し、目視で読み取れないときに「B」と評価した。
表1の視認テストでは、実施例2〜実施例6、および、比較例1〜比較例2についても、実施例1と同様に、市販のALPR(可搬式ナンバープレート自動観測装置OC−iシステム(エイテック社製))の光源を、波長620nmのLEDに替えたカメラを用いて行った。また、実施例2〜実施例6、および、比較例1〜比較例2については、実施例1と同様に、ソフトウェアのフォトショップTM(アドビ社製)を用いて、墨版生成なしでCMYKカラーに変換して、さらにシアンのみで表示したところ、このソフトウェアシミュレーションでの評価は、上記カメラを用いて行った評価と近似する結果となった。
表1の結果から、識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、識別情報表示領域内で識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率RODが80%以下であれば、ライセンスプレートは、良好な判読性を有することが示される。即ち、ライセンスプレートでは、上記比率RODが80%以下であれば、ALPRシステムの自動速度取締機による識別表示の読取り時に、識別表示が良好に判読できることが示される。また、表1の結果から、マゼンタは、ライセンスプレートの読み取りに対して殆ど影響を及ぼさないことも示される。
1…ライセンスプレート、10…ベースプレート、20、20A…グラフィックフィルム、22…基材、23…画像印刷層、30…識別表示、31…外形線、E1,E2…識別情報表示領域、F1…任意表示領域、K1,K2…近傍領域。

Claims (9)

  1. 基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムであって、
    前記画像印刷層は、識別表示が内側に配置された識別情報表示領域と、前記識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、
    前記識別表示は、少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、
    前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、
    前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である、グラフィックフィルム。
  2. 前記識別情報表示領域は、前記識別表示にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域である、請求項1記載のグラフィックフィルム。
  3. 前記識別情報表示領域は、前記識別表示を示す外形線に沿った領域であり、前記外形線からの距離が15mm以下である表示形状依存領域である、請求項1記載のグラフィックフィルム。
  4. 前記任意表示領域のうち、前記識別情報表示領域の外縁に沿った領域であり、且つ、前記外縁からの距離が15mm以下である近傍領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は、前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対して80%以下である、請求項1〜3のいずれか一項記載のグラフィックフィルム。
  5. ベースプレートと、
    前記ベースプレート上に設けられ、且つ基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムと、を備え、
    前記画像印刷層は、識別表示が内側に配置された識別情報表示領域と、前記識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、
    前記識別表示は、少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、
    前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、
    前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は80%以下である、ライセンスプレート。
  6. 前記識別情報表示領域は、前記識別表示にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域である、請求項5記載のライセンスプレート。
  7. 前記識別情報表示領域は、前記識別表示を示す外形線に沿った領域であり、前記外形線からの距離が15mm以下である表示形状依存領域である、請求項5記載のライセンスプレート。
  8. 前記任意表示領域のうち、前記識別情報表示領域の外縁に沿った領域であり、且つ、前記外縁からの距離が15mm以下である近傍領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は、前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対して80%以下である、請求項5〜7のいずれか一項記載のライセンスプレート。
  9. 基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムの製造方法であって、
    前記画像印刷層は、識別表示が内側に配置された識別情報表示領域と、前記識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、
    前記識別表示は、少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、
    前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、
    前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率が80%以下となるように、前記識別表示及び前記識別表示以外の領域の色指定を行う、グラフィックフィルムの製造方法。
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