(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態のラック100について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態におけるラック100の構成例を示す断面図である。図1に示すように、ラック100は、給気ダクト110と、送風機120と、分岐板130と、排気ダクト140とを備える。
図1に示すように、ラック100は、上方から下方に所定の間隔で積層される複数の電子機器150−1〜150−10を側面で支持する。ここで、電子機器150−1〜150−10は、例えば、映像や音声等の信号を増幅する機器や、それらの信号を送信する送信機、サーバ等のコンピュータ、通信機器等である。なお、以降の説明では、電子機器150−1〜150−10の各々を区別して説明する必要が無い場合には、電子機器150−1〜150−10を電子機器150と記す。
電子機器150は、一方の側面が給気ダクト110に支持されるように、他方の側面が排気ダクト140に支持されるように、ラック100に配置される。
給気ダクト110は、内部を流体(本実施形態では空気等の気体)が移動可能に中空に形成されたダクトである。具体的には、給気ダクト110は、上方から下方を長手方向とする中空の空間が設けられた直管状のダクトである。
排気ダクト140は、内部を流体(本実施形態では空気等の気体)が移動可能に中空に形成されたダクトである。具体的には、排気ダクト140は、上方から下方を長手方向とする中空の空間が設けられた直管状のダクトである。
給気ダクト110の上方の開口部116には、外部から給気ダクト110の内部に外気を流入させるための送風機120が設置されている。そして、送風機120が、給気ダクト110の内部に上方から下方に向かう気流を生じさせる。なお、送風機120は、例えば、ファンやブロワ等の送風機である。
給気ダクト110の内部には、給気ダクト110の長手方向に沿って内部空間を、後述する供給領域112とバイパス領域113とに分割する(仕切る)板状体である分岐板130が設置される。図2は、給気ダクト110における分岐板130の設置例を示す断面図である。また、図3は、分岐板130の構成例を示す斜視図である。
図2および図3に示すように、分岐板130は、上端131と、下端132とを備える。上端131は、分岐板130における長手方向の一方の端部である。また、下端132は、分岐板130における長手方向の他方の端部である。そして、上端131が給気ダクト110における後述する流入領域111に近い側である上方に位置し、下端132が給気ダクト110における後述する合流領域114に近い側である下方に位置するように、分岐板130は給気ダクト110の内部に設置される。また、分岐板130は両側面がそれぞれ給気ダクト110の内壁に当接するように設置される。
図2に示すように、給気ダクト110内部の中空の空間は、流入領域111と、供給領域112と、バイパス領域113と、合流領域114とに分けられる。ここで、供給領域112は、分岐板130によって分けられた給気ダクト110内部の空間の一方であり、図2では、分岐板130の右側に破線で示されている領域である。また、バイパス領域113は、分岐板130によって分けられた給気ダクト110内部の空間の他の一方であり、図2では、分岐板130の左側に破線で示されている領域である。そして、供給領域112およびバイパス領域113の上方は、流入領域111に接続される。また、供給領域112およびバイパス領域113の下方は、合流領域114に接続される。つまり、流入領域111は、上端131の上方で、供給領域112とバイパス領域113とに接続される領域である。また、合流領域114は、下端132の下方で、供給領域112とバイパス領域113とに接続される領域である。
そのような構成により、外気は、送風機120によって給気ダクト110の内部に流入すると、流入領域111を上方から下方に向かって流れる。そして、当該外気は、分岐板130で分岐されて、供給領域112またはバイパス領域113を通過すると、合流領域114に流入して合流する。
また、図2に示す給気ダクト110における供給領域112の側面には、給気ダクト110の内部の気体を電子機器150側に流出させるための開口部である通気口115−1〜115−10が形成されている。なお、通気口115−1〜115−10は、電子機器150−1〜150−10が配置されている位置に対応した位置に設けられている。ここで、供給領域112に流入した気体の一部は、通気口115−1〜115−6を介して電子機器150−1〜150−6側に流出する。したがって、供給領域112において、下方側の領域の静圧は、上方側よりも低くなる。また、供給領域112に流入した気体の残部は、合流領域114に流入し、合流領域114で、バイパス領域113を通過した気体と合流する。よって、上端131の上方の領域である流入領域111の静圧に対する下端132の下方の領域である合流領域114の静圧の低下を抑制することができる。そして、合流領域114に流入した気体は、通気口115−7〜115−10を介して電子機器150−7〜150−10側に流出する。よって、電子機器150−1〜150−10のそれぞれに応じた通気口115−1〜115−10を通過する気体の量を均等化することができる。なお、図2に示すように、分岐板130は、その上端131が通気口115−1よりも開口部116に近くなるように、給気ダクト110に設置される。また、図2に示すように、分岐板130は、その下端132が通気口115−10よりも開口部116に近くなるように、給気ダクト110に設置される。以降の説明では、通気口115−1〜115−10の各々を区別して説明する必要が無い場合には、通気口115−1〜115−10を通気口115と記す。
また、図1に示すように、排気ダクト140の一の側面には、電子機器150の内部を流れた気体を排気ダクト140側に流出させるための開口部である通気口141−1〜141−10が形成されている。なお、通気口141−1〜141−10は、電子機器150−1〜150−10が配置されている位置に対応した位置に設けられている。
そのような構成により、給気ダクト110から電子機器150側に流入した気体は、電子機器150の内部を通り、通気口141−1〜141−10を介して排気ダクト140側に流出する。なお、以降の説明では、通気口141−1〜141−10の各々を区別して説明する必要が無い場合には、通気口141−1〜141−10を通気口141と記す。
図4は、電子機器150の側面の例を示す側面図を示す。図4に示すように、電子機器150は、基板151と、ヒートシンク152とを備える。
基板151における一方の面には、例えば、抵抗器等の電子部品が実装されている。そして、当該電子部品に電力が供給された場合に、当該電子部品から熱が発せられる。
基板151における他方の面には、電子部品が発した熱がベース153を介してヒートシンク152に伝わるようにヒートシンク152が設置される。また、ベース153において、基板151から離間する方向にフィン部154が設けられている。フィン部154は、例えば、複数の突起部により形成され、あるいはつづら折りされた板材によって構成される。
そして、給気ダクト110の通気口115から流入した気体が、フィン部154の間を通過して排気ダクト140の通気口141から流出するように、電子機器150がラック100に設置される。
そのような構成により、送風機120によって給気ダクト110の内部に流入した気体は、通気口115を介して電子機器150の内部に流入する。そして、当該気体は、ヒートシンク152のフィン部154の間を通り、通気口141を介して排気ダクト140に流出する。このとき、基板151に実装された電子部品が発した熱は、ヒートシンク152を介して当該気体に伝わることで放熱される。
なお、排気ダクト140に流出した気体は、排気ダクト140の内部を下方から上方に向かって流れ、排気ダクト140の上面に設けられた排気口142から外部に排出される。
以上のように、本実施形態によれば、給気ダクト110の内部に流入した外気は、給気ダクト110の内部を上方から下方に向かって流れるときに、供給領域112とバイパス領域113とに分岐される。そして、供給領域112とバイパス領域113とに分岐された外気は、合流領域114において合流する。そのような構成により、給気ダクト110において、中程に設けられた通気口115から気体が流出することによる下方の静圧の低下を防ぐことができる。したがって、給気ダクト110の通気口115−1〜115−10における静圧の差異を小さくすることができる。よって、電子機器150−1〜150−10のそれぞれにバランスよく気体を供給することができる。
さらに、本実施形態によれば、給気ダクト110の内部に分岐板130を設置するという簡素な構成で、電子機器150−1〜150−10のそれぞれをバランスよく冷却することができる。
したがって、本実施形態によれば、簡素な構成で、収容した電子機器をバランスよく冷却することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のラック200について図面を参照して説明する。
本発明の第2の実施形態におけるラック200は、分岐板2300を備える点で、第1の実施形態におけるラック100と異なる。本実施形態におけるラック200のその他の構成は、図1に示す第1の実施形態におけるラック100の構成と同様であるので、対応する要素には図1と同じ符号を付して説明を省略する。図5は、本実施形態のラック200の構成例を示す断面図である。
図6は、分岐板2300の構成例を示す斜視図である。図6に示すように、分岐板2300は、基準板2310と、可動板2320とを含む。そして、基準板2310に可動板2320が取り付けられている。なお、基準板2310は、第1の実施形態における分岐板130と上端の位置が同じになるように、設置される。
図7は、基準板2310の構成例を示す正面図である。図7に示すように、基準板2310は、長方形状の板状体である。また、基準板2310において、長辺に近い両端部には、長辺に沿って中程から一方の短辺に向かって穴2311がそれぞれ形成されている。図7に示す例では、穴2311は所定の間隔で設けられている。
図8は、可動板2320の構成例を示す正面図である。図8に示すように、可動板2320は、長方形状の板状体である。可動板2320における互いに向かい合う一方の組の辺の長さは、基準板2310の短辺の長さに対応している。そして、可動板2320における互いに向かい合う他方の組の辺に沿って、一方の組の辺の一方の辺から他方の辺に向かって穴2321が形成されている。図8に示す例では、穴2321は、予め決められた間隔で設けられている。また、図8に示す例では、穴2321は、一方の辺から他方の辺の方向の長さが他の方向の長さよりも長い長穴である。ここで、例えば、ねじの軸を、穴2321に通し、穴2311に螺入することで、可動板2320は基準板2310に螺設される。すると、可動板2320は、基準板2310の短辺と可動板2320の一方の組の辺とが平行をなすように、基準板2310に螺設される。
ここで、本実施形態におけるラック200では、螺設に用いられる穴2321および穴2311を変更したり、穴2321においてねじの軸を通す位置を変更したりすることで、基準板2310に可動板2320を螺設する位置を調整し、分岐板2300の長手方向の長さを調整することができる。つまり、分岐板2300の下端と開口部116との間の距離を調整することができる。よって、供給領域112に分岐された気体とバイパス領域113に分岐された気体とを合流させる位置を調整することができる。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、本実施形態によれば、基準板2310に可動板2320を螺設する位置を調整して、分岐板2300の長手方向の長さを調整することができる。よって、供給領域112に分岐された気体とバイパス領域113に分岐された気体とが合流する位置を調整することができる。そのような構成により、給気ダクト110の内部に流入した気体の量が変化した場合や、各電子機器150−1〜150−10の発熱量が変化した場合等であっても、通気口115−1〜115−10における静圧を容易に調整でき、電子機器150−1〜150−10のそれぞれにバランスよく気体を供給することができる。したがって、電子機器150−1〜150−10をバランスよく冷却することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態のラック300について図面を参照して説明する。
本発明の第3の実施形態におけるラック300は、分岐板3300を備える点で、第2の実施形態におけるラック200と異なる。本実施形態のラック200におけるその他の構成は、図5に示す第2の実施形態におけるラック200の構成と同様であるので、対応する要素には図5と同じ符号を付して説明を省略する。図9は、本実施形態のラック300の構成例を示す断面図である。
図10は、分岐板3300の構成例を示す斜視図である。図10に示すように、分岐板3300は、基準板3310と、可動板2320とを含む。そして、基準板3310に可動板2320が取り付けられている。ここで、可動板2320は、図8に示す第2の実施形態における可動板2320である。
図11は、基準板3310の構成例を示す正面図である。図11に示すように、基準板3310は、長方形状の板状体である。基準板3310の長辺間の領域には、長辺に沿って中程から一方の短辺に向かって複数の貫通孔が形成された領域である格子部3311が設けられている。また、格子部3311の左右の領域には、長辺に沿って穴3312が形成されている。ここで、図11に示す例では、貫通孔の形状は角穴であるが、丸穴や八角形状等の他の多角形状の穴等の他の形状であってもよい。また、図11に示す例では、穴3312は所定の間隔で設けられている。
図12は、基準板3310の一部を拡大した例である拡大図である。図12に示すように、格子部3311における角穴は、例えば、基準板3310における穴3312が形成される間隔P2と等しい間隔で形成されている。また、格子部3311において角穴が形成される間隔P1、および基準板3310において穴3312が形成される間隔P2は、例えば、10mmや13mm等である。なお、格子部3311における開口率が高くなるように、格子部3311にはより多数の角穴が形成されることが望ましい。なお、開口率は、例えば、各貫通孔による開口部の面積を合計した和を基準板3310においてバイパス領域113に対向する面の面積で除算した商の値によって示される。また、基準板3310の厚さは、2mm以上が望ましい。
そして、例えば、ねじの軸を、穴2321に通し、穴3312に螺入することで、可動板2320は基準板3310に螺設される。すると、可動板2320は、基準板3310の短辺と可動板2320の一方の組の辺とが平行をなすように、基準板2310に螺設される。
図13は、可動板2320が基準板3310に螺設された例を示す正面図である。本実施形態におけるラック300では、給気ダクト110におけるバイパス領域113に分岐された気体は、格子部3311において可動板2320に覆われていない箇所を通り、供給領域112に分岐された気体に合流する。なお、給気ダクト110におけるバイパス領域113に分岐された気体は、分岐板3300における格子部3311の角穴を通過して整流される。ここで、前述のように、基準板3310の厚さを2mm以上とすることで、厚さを2mm未満とした場合に比べて分岐板3300が気体を整流する機能を向上させることが期待できる。
そして、本実施形態におけるラック300では、図13および図14に示すように、基準板3310に可動板2320を螺設する位置を調整することで、分岐板3300において格子部3311が覆われていない面積の広狭が調整される。そのように構成することによって、給気ダクト110において、バイパス領域113に分岐された気体が供給領域112に分岐された気体に合流する位置を調整することができる。
なお、本実施形態におけるラック300においても、第2の実施形態におけるラック200と同様に、基準板3310に可動板2320を螺設する位置を調整することで、分岐板3300の長手方向の長さを調整することもできる。
本実施形態によれば、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、本実施形態によれば、基準板3310に可動板2320を螺設する位置を調整することで、分岐板3300において格子部3311が覆われていない面積の広狭を調整することができる。よって、給気ダクト110におけるバイパス領域113に分岐された気体が供給領域112に分岐された気体に合流する位置を調整することができる。そのような構成により、給気ダクト110の内部に流入した気体の量が変化した場合や、各電子機器150−1〜150−10の発熱量が変化した場合等であっても、通気口115−1〜115−10における静圧を容易に調整でき、電子機器150−1〜150−10のそれぞれにバランスよく気体を供給することができる。したがって、電子機器150−1〜150−10をバランスよく冷却することができる。
また、本実施形態によれば、バイパス領域113に分岐された気体は、分岐板3300における格子部3311で整流されて、供給領域112に分岐された気体に合流する。よって、バイパス領域113に分岐された気体が供給領域112に分岐された外気に合流するときに、給気ダクト110の内部に乱流が発生することを防ぐことができる。したがって、電子機器150の冷却効率をさらに向上させることができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態のラック400について図面を参照して説明する。
本発明の第4の実施形態におけるラック400は、給気ダクト410と、分岐板4300とを備える点で、第3の実施形態におけるラック300と異なる。本実施形態におけるラック400のその他の構成は、図9に示す第2の実施形態におけるラック300の構成と同様であるので、対応する要素には図9と同じ符号を付して説明を省略する。図15は、本実施形態のラック200の構成例を示す断面図である。
図16は、給気ダクト410の構成例を示す正面図である。なお、給気ダクト410は、穴411が形成されている以外は、第1の実施形態における給気ダクト110と同様の構成である。図16に示すように、給気ダクト410の上側の領域および下側の領域には、穴411がそれぞれ形成されている。穴411は、例えば、給気ダクト410の短手方向の長さが、長手方向の長さよりも長いように形成されている。また、給気ダクト410において、図16に示す面に対向する面にも同様に穴411がそれぞれ形成されている。本例では、第1〜第3の実施形態の給気ダクト110において、分岐板130、2300および3300が当接している面に、穴411が設けられている。
図17は、分岐板4300の構成例を示す斜視図である。図17に示すように、分岐板4300は、基準板3310と、可動板2320と、ブラケット4310とを備える。分岐板4300は、ブラケット4310を備える以外、図10に示す分岐板3300と同様の構成である。ここで、基準板3310は、図11に示す第3の実施形態における基準板3310である。また、可動板2320は、図8に示す第2の実施形態における可動板2320である。
図18は、ブラケット4310の構成例を示す斜視図である。図18に示す例では、ブラケット4310は、2枚の板がL字型をなすように接合されて構成される支持具である。ここで、ブラケット4310を構成する一方の板の中程の領域には、穴4311が形成されている。そして、ブラケット4310は、基準板3310の四隅に取り付けられる。具体的には、例えば、図17に示すように、穴4311が形成された一方の板が、基準板3310の短辺の端部3313に応じた位置に配置されるように、ブラケット4310は基準板3310に取り付けられる。
そして、例えば、ねじの軸を、穴411に通し、穴4311に螺入することで、分岐板4300は給気ダクト410に螺設される。すると、分岐板4300は、基準板3310の長辺と給気ダクト410の長辺とが平行をなすように、給気ダクト410に螺設される。
ここで、本実施形態におけるラック400では、給気ダクト410における分岐板4300を設置する位置を調整することができる。具体的には、図19および図20に示すように、給気ダクト410において、分岐板4300を設置する位置を、通気口115に近い位置と通気口115から遠い位置との間で調整することができる。
そのような構成により、供給領域112およびバイパス領域113の断面積を調整することができる。したがって、供給領域112に分岐させる気体の量、およびバイパス領域113に分岐させる気体の量を調整することができる。よって、給気ダクト410の供給領域112に形成された通気口115−1〜115−6における静圧の調整を容易に行うことができる。よって、通気口115−1〜115−10における静圧のバランスを容易に調整することができる。
図21は、風漏れ防止蓋460の構成例を示す斜視図である。分岐板4300が給気ダクト410に螺設された後、給気ダクト410に形成された各穴411を覆うように、風漏れ防止蓋460が給気ダクト410に設置される。そのような構成により、穴411からの気体の流出を防ぐことができる。
本実施形態によれば、基準板3310および可動板2320に代えて、分岐板130や、分岐板2300、分岐板3300を用いることにより、第1〜3の実施形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、本実施形態によれば、給気ダクト410における分岐板4300を設置する位置を調整することができる。そのような構成により、供給領域112に流入させる外気の量、およびバイパス領域113に流入させる外気の量を調整することができる。したがって、本実施形態におけるラック400は、より柔軟に、通気口115−1〜115−10における静圧を調整することができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態のラック500について図面を参照して説明する。
本発明の第5の実施形態におけるラック500は、給気ダクト510を備える点で、第4の実施形態におけるラック400と異なる。本実施形態におけるラック500のその他の構成は、図15に示す第4の実施形態におけるラック400の構成と同様であるので、対応する要素には図15と同じ符号を付して説明を省略する。図22は、本実施形態のラック500の構成例を示す断面図である。
図22に示すように、給気ダクト510は、U字形状のダクトである。ここで、給気ダクト510において、給気ダクト510の外部から給気ダクト510の内部に外気を流入させるための給気口511が形成されている近傍の断面積は、他の箇所の断面積よりも広くなるように形成されている。なお、給気ダクト510のその他の構成は、第4の実施形態における給気ダクト410と同様の構成である。そして、送風機120は、給気ダクト510の内部における給気口511の近傍に設置される。
なお、前述した各実施形態が組み合わされてもよい。例えば、ラック500における給気ダクト510に分岐板130や、分岐板2300、分岐板3300が設置されてもよい。
本実施形態によれば、第1〜4の実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態のラック600について図面を参照して説明する。
本発明の第6の実施形態におけるラック600は、給気ダクト610を備える点で、第4の実施形態におけるラック400と異なる。本実施形態におけるラック600のその他の構成は、図15に示す第4の実施形態におけるラック400の構成と同様であるので、対応する要素には図15と同じ符号を付して説明を省略する。図23は、本実施形態のラック600の構成例を示す断面図である。
図24は、給気ダクト610の構成例を示す斜視図である。なお、給気ダクト610は、
上面に開閉可能な第1の開閉部611が形成され、短手方向の一の端部における上側の領域に開閉可能な第2の開閉部612が形成されている以外は、図16に示す第4の実施形態における給気ダクト410と同様である。なお、第1の開閉部611は、後述する第1のアダプタ620が給気ダクト610に取り付けられるときに開かれる。また、第2の開閉部612は、後述する第2のアダプタ630が給気ダクト610に取り付けられるときに開かれる。
図25は、第1のアダプタ620の構成例を示す斜視図である。図25に示すように、第1のアダプタ620は、六面体における一の面および当該一の面に対向する面に開口部が形成されている管状体である。なお、第2のアダプタ630の構成も第1のアダプタの構成と同様である。
第1のアダプタ620は、一の面の開口部の縁部と給気ダクト610の上面の開閉部611の縁部とが互いに当接するように、給気ダクト610に取り付けられる。図26は、第1のアダプタ620が給気ダクト610に取り付けられたラック600の構成例を示す断面図である。図26に示すように、ラック600では、給気ダクト610は直管状のダクトの一部として用いられる。この場合、第1のアダプタ620内において、他の面に形成されている開口部の近傍に送風機120が設置される。そして、他の面の開口部から外気が流入する。
図27は、給気ダクト610に第2のアダプタ630が取り付けられ、第2のアダプタ630に追加ダクト640が取り付けられたラック600の構成例を示す断面図である。
第2のアダプタ630は、一の面の開口部の縁部と給気ダクト610の第2の開閉部612の縁部とが互いに当接するように、給気ダクト610に取り付けられる。そして、第2の他の面の開口部の縁部と追加ダクト640の開口部641の縁部とが互いに当接するように、第2のアダプタ630に追加ダクト640が取り付けられる。ここで、追加ダクト640は、上方から下方を長手方向とする中空の空間を備える直管状のダクトである。また、追加ダクト640の一の面の上側の領域には、開口部641が形成されている。また、追加ダクト640の下面には、外部から追加ダクト640の内部に外気を流入させるための給気口642が形成されている。また、追加ダクト640の下側の領域の断面積は、追加ダクト640の他の領域の断面積よりも広くなるように形成されている。
図27に示すように、ラック600では、給気ダクト610はU字状のダクトの一部として用いられる。この場合、追加ダクト640内において、追加ダクト640の下面に形成された給気口642の近傍に送風機120が設置される。そして、給気口642から外気が流入する。
ラック600では、第1のアダプタ620と第2のアダプタ630との一方と、給気ダクト610とを選択的に組み合わせることで、を直管状又はU字状のダクトのいずれかを適宜形成することができる。
なお、前述した各実施形態が組み合わされてもよい。例えば、ラック600における給気ダクト610に分岐板130や、分岐板2300、分岐板3300が設置されてもよい。
本実施形態によれば、第1〜4の実施形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、本実施形態によれば、給気ダクト610の使用態様を直管状のダクトの一部とU字状のダクトの一部とに適宜変更することができる。そのような構成により、ラック600の設置場所によって異なる給気方法や給気用チャンバに柔軟に対応することができる。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態のラック700について図面を参照して説明する。
図28は、本実施形態におけるラック700の構成例を示す断面図である。図28に示すように、ラック700は、流体供給部710を備える。
流体供給部710は、例えば、図1に示す第1の実施形態におけるラック100の給気ダクト110によって実現される。
流体供給部710は、複数の電子機器の一方の側面を支持し、流入した流体を当該複数の電子機器のそれぞれに供給する。
ここで、流体供給部710は、流入口711と、供給口712と、流路713と、分岐部714とを含む。
流入口711は、流入する気体が通過する一の開口である。
供給口712は、複数の電子機器のそれぞれに応じて設けられ、流入口711から流入した流体が流出して複数の電子機器のそれぞれに流体を供給する。
流路713は、流入口711から供給口712に至り、流入口711から流入した流体が通過する。
分岐部714は、流路713において、供給口712のうち、流入口711に近い供給口712から流出する流体を通過させるための供給領域と、流入口711から遠い供給口712から流出する流体を通過させるための迂回領域とを仕切る。
本実施形態によれば、ラック700において、流体供給部710に分岐部714が含まれる。そのような構成により、流路713は、流入口711に近い供給口712から流出する流体を通過させるための供給領域と、流入口711から遠い供給口712から流出する流体を通過させるための迂回領域とに仕切られる。そのような構成により、流体供給部710において、流入口711に近い供給口712から流体が流出することによる流入口711から遠い供給口712における静圧の低下を防ぐことができる。したがって、流体供給部710に含まれる各供給口712における静圧の差異を小さくすることができる。よって、各電子機器にバランスよく流体を供給することができる。したがって、各電子機器をバランスよく冷却することができる。
また、本実施形態によれば、流体供給部710に分岐部714を含ませるという簡素な構成で、各電子機器をバランスよく冷却することができる。
したがって、本実施形態によれば、簡素な構成で、収容した電子機器をバランスよく冷却することができる。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形や、置換、調整を加えることができる。また、各実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更、調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得る各種変形、修正を含むことは勿論である。
(実施例1)
本実施例では、図15に示す第4の実施形態におけるラック400と、ラック400から分岐板4300を除いた図29に示すラック800とにおいて、電子機器150−1〜150−10に供給した気体の風量をそれぞれ測定した。
具体的には、ラック400に気体が流入したときに各電子機器150に供給した気体の量を測定した。また、ラック800に気体が流入したときに各電子機器150に供給した気体の量を測定した。そして、それらを比較して、給気ダクト410の内部に分岐板4300を設置した構成のラック400の冷却効果を検証した。
なお、本実施例では、ラック400には64.12[m3/min]の外気が取り込まれ、ラック800には65.34[m3/min]の外気が取り込まれるという条件で、シミュレーション実験を行った。
図30は、検証結果を示す表である。具体的には、図30には、ラック400およびラック800において、各電子機器150に供給した風量が示されている。なお、図30には、小数点第2位まで示されているが、後述する値の算出には、さらに高い精度の値が用いられている。また、ラック400およびラック800において、各電子機器150に供給した風量の平均値(以下、「平均風量」と記載する)が示されている。さらに、図30には、ラック400およびラック800において、各電子機器150に供給した風量の最大ばらつき値が示されている。最大ばらつき値とは、電子機器150―1〜150−10各々のばらつき値のうち最大のものである。ここでいうばらつき値とは、平均風量に対する偏差の大小を示す値であり、|{(電子機器150に流れた風量)−(平均風量)}/(平均風量)|で求められる。具体的には、例えば、ラック400における電子機器150−1のばらつき値は、|(6.05−6.41)/6.41|=5.6%である。ラックにおける最大ばらつき値が小さい値であるほど、各電子機器150に気体がバランスよく供給されていることになる。
図30に示される検証結果によると、ラック400における最大ばらつき値は、16.3%である。また、ラック800における最大ばらつき値は、94.5%である。したがって、本発明の特徴的構成を有するラック400の方が、各電子機器150によりバランスよく気体を供給し、各電子機器150をよりバランスよく冷却可能であることが分かる。なお、ラック400における最大ばらつき値は、供給された風量が5.37[m3/min]である電子機器150−5に基づく値である。また、ラック800における最大ばらつき値は、供給された風量が12.71[m3/min]である電子機器150−1に基づく値である。
図31は、ラック400およびラック800における各電子機器150に流れた風量を示すグラフである。また、図32は、ラック400における外気の流速を示す解析結果図である。また、図33には、ラック800における外気の流速を示す解析結果図である。図31〜図33に示される結果からも、本発明の特徴的構成を有するラック400の方が、各電子機器150によりバランスよく気体を供給し、各電子機器150をよりバランスよく冷却可能であることが分かる。
(実施例2)
本実施例では、図22に示す第5の実施形態におけるラック500と、ラック500から分岐板4300を除いた図34に示すラック900とにおいて、電子機器150に供給した気体の風量を測定した。ここで、本実施例では、ラック500には55.62[m3/min]の外気が取り込まれ、ラック900には54.43[m3/min]の外気が取り込まれるという条件で、シミュレーション実験を行った。なお、その他の検証の詳細は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
図35は、検証結果を示す表である。図35には、ラック500およびラック900において、各電子機器150に供給した風量が示されている。なお、図35には、小数点第2位まで示されているが、後述する値の算出には、さらに高い精度の値が用いられている。また、ラック500およびラック900において、各電子機器150に供給した風量の平均値(平均風量)が示されている。さらに、図35には、ラック500およびラック900において、各電子機器150に供給した風量の最大ばらつき値が示されている。
図35に示される検証結果によると、ラック500における最大ばらつき値は、19.0%である。また、ラック900における最大ばらつき値は、142.4%である。したがって、分岐板4300を有するラック500の方が、各電子機器150によりバランスよく気体を供給し、各電子機器150をよりバランスよく冷却可能であることが分かる。なお、ラック500における最大ばらつき値は、供給された風量が4.50[m3/min]である電子機器150−10に基づく値である。また、ラック900における最大ばらつき値は、供給された風量が13.20[m3/min]である電子機器150−1に基づく値である。
なお、図36は、ラック500およびラック900における各電子機器150に流れた風量を示すグラフである。また、図37は、ラック500における外気の流速を示す解析結果図である。また、図38は、ラック900における外気の流速を示す解析結果図である。図36〜図38に示すようにラック500の方が、各電子機器150によりバランスよく気体を供給し、各電子機器150をよりバランスよく冷却可能であることが分かる。
さらに、発明者らによる検証により、各電子機器を冷却するために分岐板130、2300、3300および4300が設けられたラックが取り込む必要がある外気の風量が、分岐板を設けられていないラックが取り込む必要がある外気の風量の65%程度で済むことが分かった。
ここで、ラックに取り込まれる外気の風量は、送風機の回転数に比例し増減する。また、送風機の消費電力は送風機の回転数の3乗に比例する。よって、分岐板を設けたラックの消費電力は、分岐板が設けられていないラックの消費電力の(0.65)3=27.5%となる。したがって、消費電力を72.5%削減することができる。
図39は、ラックの寸法例を示す表である。本願発明は、図39に示す条件下で、より顕著な効果を奏する。図39において、冷却ユニットとは、積層された複数の電子機器150のことを示す。また、冷却ユニットの高さとは、冷却ユニットにおける電子機器150の積層方向の長さを示す。また、冷却ユニットの幅とは、冷却ユニットにおける電子機器150の積層方向に直交する方向の長さを示す。