JP6781610B2 - 評価装置、料金収受システム、評価方法及びプログラム - Google Patents
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Description
なお、電波の到来角度を求める手段としては、例えば、複数のアンテナ素子が並べて配置された専用のパッチアンテナ(AOA(Angle of Arrival)アンテナとも言う。以下、「位置特定用アンテナ」とも記載する。)で車載器からの電波を受信し、当該複数のアンテナ素子の各々が受信した信号の位相差に基づいて到来角度を検出する手法が考案されている。
上記要因に基づく車載器位置特定結果のずれの検出については、車線上の既知の位置に車載器を設置(固定)し、その車載器の位置の特定処理を実施することで実現可能であるが、車線内に車載器を固定させるためには車線閉鎖の必要があり、車線開放中には実施できない。
このようにすることで、位置特定用アンテナの健全性を評価する際に、実際に車線を走行する車両のうち、所定の車種区分に属する車両に関する車載器位置情報(評価用位置情報)が抽出される。ここで、車両別の車載器の取り付け位置のばらつきは、主に、車種区分(車体形状)のばらつきに起因する。即ち、同じ車種区分に属する車両どうしでは、車載器の取り付け位置のばらつきは小さくなる。そのため、当該評価用位置情報に示される車載器の空間的位置のばらつきを抑制することができる。これにより、出口料金所、入口料金所において車線閉鎖を行うことなく、位置特定用アンテナの健全性を評価することができる。
「大型車」に属する車両は、一般に、車体前端から運転座席付近までの距離が、他の車種区分に属する車両よりも短い。したがって、「大型車」に属する車両に関する車載器位置情報(評価用位置情報)に示される空間的位置に基づいて、精度良く位置特定用アンテナの健全性を評価することができる。
このようにすることで、車線を走行する車両の車線幅方向の位置の相違に起因して生じ得る評価用位置情報の車線幅方向成分のばらつきが補正処理を通じて抑制される。これにより、精度よく、位置特定用アンテナの健全性を評価することができる。
このようにすることで、車載器に予め登録された車種区分情報に基づいて、車両の車種区分を判別することができる。したがって、車両の車種区分を判別する目的で新たな装置を設置する手間及びコストを排することができる。
このようにすることで、料金収受システムの管理者は、位置特定用アンテナの異常の発生を早急に認知することができる。
このようにすることで、評価用位置情報に示される位置の分散値が、基準位置の分散値から明らかに変化している場合にも、異常が生じていることを判断することができる。
このようにすることで、位置特定用アンテナの異常(特性のずれ)を自動的に回復することができる。したがって、位置特定用アンテナに異常が発生した場合であっても、直ちに車線を封鎖して補修を行わずに済む。
以下、第1の実施形態に係る料金収受システムについて、図1〜図10を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
第1の実施形態に係る料金収受システム1は、車線に設置された路側アンテナ(後述する料金収受用アンテナ20)と、当該車線を走行する車両との間で料金収受用の無線通信を行い、車両を停止させることなく電子決済(料金収受処理)を完了する電子式料金収受システムである。
第1の実施形態に係る料金収受システム1は、例えば、図1に示すような高速道路等の有料道路における出口料金所に設けられる。図1に示すように、料金収受システム1には、アイランドIで仕切られた複数の車線Lが隣接して敷設されている。この出口料金所を通過しようとする車両Aは、各車線Lのいずれかを走行する。
なお、以下の説明においては、第1の実施形態に係る料金収受システム1は、有料道路の出口料金所に設けられているものとしているが、他の実施形態においては、料金収受システム1は、有料道路の入口料金所に設けられる態様であってもよい。
車両検知器10は、車線Lの一方側に設置された投光塔と他方側に設置された受光塔とからなり、当該投光塔から受光塔にかけて所定波長の光(例えば、赤外光)を常時投光している。車両Aが車両検知器10(投光塔と受光塔との間)を横切る際、上記光が車両Aに遮られて受光塔にて受光されなくなると、車両Aが車線Lに進入したものと判断し、車両Aの進入を検知したことを示す車両検知信号を出力する。
料金収受用アンテナ20は、支持体G(ガントリー、ポール等)を通じて複数の車線Lの各々に設置され、各車線Lを走行する車両Aを通信対象として無線通信を行う。具体的には、料金収受用アンテナ20は、車線Lにおける車両検知器10よりも下流側(車両の進行方向奥側、即ち、+X方向側)であって、高さ方向(±Z方向)における路面上方、かつ、車線幅方向(±Y方向)における中央付近に設置される。
料金収受用アンテナ20は、車線Lにおける規定通信領域Qの領域内に存在する車両Aが無線通信の対象となるように、送受可能な電波の指向性が予め設計されている。
車線サーバ21は、車両検知器10を介して車両Aの車線Lへの進入を検知した場合に、当該車両Aとの間で料金収受用の無線通信を開始すべく、料金収受用アンテナ20を通じて電波を出力する。
具体的には、位置特定用アンテナ22A、22Bは、水平方向、垂直方向に複数のアンテナ素子(図示せず)が並べて配置されてなるアレイアンテナである。位置特定用アンテナ22A、22Bは、それぞれ、上記複数のアンテナ素子の各々を通じて所定の方向から到来した電波を受信した際に、当該電波の到来角度に応じた位相差を示す信号(以下、「IQ信号」とも記載する。)を出力する。位置特定用アンテナ22Aから出力された上記IQ信号を解析することで、当該位置特定用アンテナ22Aに対する水平方向、垂直方向の各々についての電波の到来角度を検出することができる。同様に、位置特定用アンテナ22Bから出力された上記IQ信号を解析することで、当該位置特定用アンテナ22Bに対する水平方向、垂直方向の各々についての電波の到来角度を検出することができる。
ここで、図1に示すように、位置特定用アンテナ22A及び位置特定用アンテナ22Bは、それぞれ、支持体Gの車線幅方向(±Y方向)において互いに異なる位置に取り付けられている。具体的には、位置特定用アンテナ22Aは、料金収受用アンテナ20に対し、車両Aの進行方向左端(+Y方向側)に配置され、位置特定用アンテナ22Bは、料金収受用アンテナ20に対し、車両Aの進行方向右端(−Y方向側)に配置されている。このように配置されることで、位置特定用アンテナ22Aに対する電波の到来角度と、位置特定用アンテナ22Bに対する電波の到来角度と、の両方を組み合わせた三角測量により、電波の発信元である車載器A1の空間的位置を精度良く特定することができる。
そのため、第1の実施形態に係る位置特定装置23は、車載器A1の空間的位置の特定結果に基づいて、料金収受用アンテナ20が、当該車線Lの規定通信領域Q外を走行する車両Aからの電波を受信したと判断できる場合には、当該車両Aに対する車線サーバ21の料金収受処理を制限する機能を有している。
図2は、第1の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
まず、図2を参照しながら、位置特定装置23について説明する。
図2に示すように、位置特定装置23は、通信インターフェイス部230と、位置特定部231と、LID取得部232と、制御部233と、記録媒体234と、を備えている。
上述したように、IQ信号には、位置特定用アンテナ22A、22Bの各々に対する電波の到来角度を特定可能な情報(位相差)が含まれている。位置特定部231は、2つの位置特定用アンテナ22A、22Bの各々から入力された2つのIQ信号に基づいて、位置特定用アンテナ22Aに対する電波(車載器A1が発信した電波)の到来角度、及び、位置特定用アンテナ22Bに対する電波の到来角度を検出する。そして、位置特定部231は、位置特定用アンテナ22A、22Bの各々の空間的位置、姿勢を示す情報(予め規定された情報)と、2種類の電波の到来角度と、を用いて三角測量演算を行うことで、車載器A1の空間的位置を特定する。
ここで、「DSRC受信信号」とは、料金収受用の無線通信において、料金収受用アンテナ20を通じて車載器A1から車線サーバ21に向けて送信される信号であって、車線サーバ21側が当該車載器A1を識別するための識別子(LID)を含む信号である。なお、「DSRC受信信号」は、より具体的には、狭域通信(DSRC:Dedicated Short-Range Communication)システムの標準的な通信規格であるARIB(Association of Radio Industries and Businesses)標準規格において「ACTC信号」(アクティベーションチャネル信号)として規定される信号である。また、第1の実施形態において、「識別子(LID)」とは、車載器A1を識別するために車載器固有に割り振られた情報であって、ARIB標準規格においては、料金収受用の無線通信を開始する際(通信リンクを確立する際)に、車載器A1にランダムに割り振られる識別情報である。
なお、DSRC受信信号は、例えば、ASK(amplitude-shift keying)変調方式で変調された変調信号である。LID取得部232は、ASK変調方式で変調されたDSRC受信信号を逐次復号してLIDを抽出する。
また、制御部233は、あるLIDに関連付けられた車載器位置情報が、車線Lの規定通信領域Q(図1)の範囲内に含まれない位置を示している場合には、当該LIDを含むDSRC受信信号を通じた車載器A1と車線サーバ21との料金収受用の無線通信を成立させないようにする機能を有している。
図2に示すように、車線サーバ21は、料金収受処理部210と、記録媒体211と、を備えている。
料金収受処理部210は、車載器A1との間で料金収受用の無線通信を実行する。具体的には、料金収受処理部210は、車両検知器10から車両検知信号を受信すると、料金収受用アンテナ20にDSRC送信信号を出力する。ここで、「DSRC送信信号」とは、料金収受用の無線通信において、車線サーバ21(料金収受処理部210)が料金収受用アンテナ20を通じて車載器A1に向けて送信する信号である。車線サーバ21は、DSRC送信信号を送信することで、車載器A1に対しDSRC受信信号の返信を要求する。このDSRC送信信号は、料金収受用アンテナ20を通じて、電波として車載器A1に向けて発信される。車載器A1は、DSRC送信信号に応答して、電波(DSRC受信信号)を発信する。
料金収受処理部210は、正規の位置(規定通信領域Qの範囲内)に存在する車載器A1との間で通信リンクを確立し、料金収受用の無線通信を行う(正規の位置に存在するか否かの判断は、位置特定装置23にて行われる)。料金収受処理部210は、当該料金収受用の無線通信を通じて、車載器A1に登録されている車両Aについての「車両番号」、「車種区分」等を取得する。料金収受処理部210は、料金収受用の無線通信を通じて取得した上記各種情報に基づいて、利用者に対する料金収受処理を行う。ここで、「料金収受処理」とは、例えば、車両Aの車種区分等に基づく支払料金(請求額)を算出するとともに、当該支払料金、車両Aの走行履歴、利用日時等を含む明細情報を作成する処理のことをいう。
料金収受処理部210は、料金収受用の無線通信により実行された料金収受処理に関する各種情報を、車線サーバ21の記録媒体211に逐次記録する。
図3は、第1の実施形態に係る位置特定装置に記録される情報を示す図である。
位置特定装置23の記録媒体234には、図3に示すような車載器位置情報テーブルが記録される。「車載器位置情報テーブル」とは、位置特定装置23の制御部233が生成する情報テーブルであって、DSRC受信信号に含まれるLID情報と、位置特定部231が特定する車載器位置情報とを関連付けてなる情報テーブルである。
図3に示すように、車載器位置情報テーブルには、取得時刻(電波の受信時刻)と、LID情報(図3に示す「LID」)と、車載器位置情報(「車載器位置」の列に記録される空間上の座標位置(X、Y、Z))と、が関連付けられて記録されている。
図4は、第1の実施形態に係る車線サーバに記録される情報を示す図である。
車線サーバ21の記録媒体211には、図4に示すような料金収受用情報テーブルが記録される。「料金収受用情報テーブル」とは、車線サーバ21の料金収受処理部210が生成する情報テーブルであって、車載器A1との間で行われた料金収受用の無線通信を経て取得した各種情報(車載器A1から読み取られた各種情報)が関連付けられて記録された情報テーブルである。
図4に示すように、料金収受用情報テーブルには、取得時刻(電波の受信時刻)と、LID情報(図4に示す「LID」)と、料金収受処理に必要な各種情報である車両番号情報(「車両番号」)、車種区分情報(「車種区分」)、車線番号(「車線番号」)等と、が関連付けられて記録されている。
図5は、第1の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図5に示す評価装置3は、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する。ここで、位置特定用アンテナ22A、22Bが「健全である」とは、位置特定用アンテナ22A、22Bが、その設置目的に沿った機能を発揮できる状態(即ち、車載器A1が規定通信領域Qの範囲内に存在するか否かを正しく判別できる状態)にあることを意味する。
操作受付部32は、操作者から必要な操作を受け付けるユーザインターフェイスであって、例えば、マウス、キーボード、タッチセンサ等である。
接続インターフェイス34は、LAN、インターネット回線等の通信回線を通じて車線サーバ21及び位置特定装置23との間で各種情報を送受可能な通信インターフェイスである。接続インターフェイス34は、車線サーバ21、位置特定装置23との間で、例えば、有線回線又は無線回線を介して情報を送受可能とするものであってよい。
車載器位置情報取得部300は、位置特定用アンテナ22A、22Bによる電波の受信結果に基づいて特定された車載器A1の位置を示す車載器位置情報を取得する。具体的には、車載器位置情報取得部300は、接続インターフェイス34を介して、位置特定装置23の記録媒体234に記録された車載器位置情報テーブル(図3)を取得する。
ここで、第1の実施形態においては、評価用位置情報抽出部302は、上記「所定の車種区分」として、「大型車」に属する車両Aの車載器A1についての車載器位置情報を抽出する。また、「大型車」とは、本実施形態においては、「バス」、「トラック(普通貨物自動車)」、「トレーラ」に分類される車両からなる車種区分であるものとする。
図6は、第1の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
また、図7〜図10は、それぞれ、第1の実施形態に係る評価装置の動作を説明する第1〜第4の図である。
以下、図6及び図7〜図10を参照しながら、評価装置3の処理について詳細に説明する。
まず、評価装置3の車載器位置情報取得部300は、位置特定装置23の記録媒体234にアクセスして、当該記録媒体234に蓄積された車載器位置情報テーブル(図3)を取得する(ステップS01)。
なお、車両検知器10による車両検知のタイミングから車載器位置が検出されるタイミングまでの間に車両が進行するため、実際に検出される車載器AM1、AL1の空間的位置は、下流側(+X方向側)に全体的にシフトする。
上述の通り、一つの車線Lを走行する車両Aの車体形状は、軽自動車、普通自動車、大型車等、多種に及ぶ。また、同じ車種区分に属する車両であっても車体形状(特にボンネットの長さ)は、車両別に大きな個体差がある。そのため、図8に示すように、位置特定装置23(位置特定部231)によって特定された車載器A1の空間的位置は、車両Aの車体形状のばらつきに起因して、車両検知位置周辺において広い範囲に分布する。
上述の通り、取得された複数の車載器位置情報のうち、「大型車」に属する車両Aに関するもの(評価用位置情報)だけを抽出した場合、その分布範囲は、車両検知位置近傍の領域に狭められる。
ここで、図10に示す散布図の黒丸のプロット群は、ある運用期間中に取得した評価用位置情報に基づく空間的位置(以下、「前回車載器位置」と表記。)の、X−Z座標平面上における分布を示している。また、図10に示す散布図の白丸のプロット群は、上記運用期間後の他の運用期間中に再度取得した評価用位置情報に基づく空間的位置(以下、「今回車載器位置」と表記。)の、X−Z座標平面上における分布を示している。
ステップS04の処理において、評価部303は、まず、前回車載器位置の平均値を「基準位置」として算出する。また、評価部303は、今回車載器位置の平均値を「評価対象位置」として算出する。そして、評価部303は、算出した基準位置と、評価対象位置と、の差を演算するとともに、当該差の演算結果が所定の判定閾値を上回っていた場合には、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じている可能性があると判断し、表示部31等を通じてその旨を操作者に通知する。
なお、図10には、「基準位置」、「評価対象位置」の各々の車線方向成分(X軸成分)のみを図示しているが、「基準位置」、「評価対象位置」は、実際には、車線幅方向成分(Y軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)を含む座標情報である。即ち、評価部303は、車線方向成分(X軸成分)、車線幅方向成分(Y軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)から特定される、「基準位置」、「評価対象位置」それぞれの座標位置(X、Y、Z)の差の絶対値を算出する。
以上の通り、第1の実施形態に係る評価装置3は、位置特定用アンテナ22A、22Bによる電波の受信結果に基づいて特定された車載器A1の位置を示す車載器位置情報を取得する(図6のステップS01)。また、評価装置3は、電波を発信した車載器A1を搭載する車両Aの車種区分を示す車種区分情報を取得する(ステップS02)。更に、評価装置3は、車種区分情報に基づいて、複数の車載器位置情報のうち所定の車種区分(本実施形態においては「大型車」)に属する車両Aの車載器A1についての車載器位置情報である評価用位置情報を抽出する(ステップS03)。そして、評価装置3は、抽出された評価用位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する(ステップS04)。
以上より、評価装置3によれば、出口料金所、入口料金所において車線閉鎖を行うことなく、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価することができる。
なお、上述の通り、評価装置3によれば車線閉鎖を行うことなくアンテナの健全性を評価できるが、車線閉鎖をした状態であっても、評価装置3を用いてアンテナの健全性を評価できることはもちろんである。
このようにすることで、車載器A1に予め登録された車種区分情報に基づいて、車両Aの車種区分を判別することができる。したがって、車両Aの車種区分を判別する目的で新たな装置を設置する手間及びコストを排することができる。
このようにすることで、料金収受システム1の管理者は、位置特定用アンテナ22A、22Bの異常の発生を早急に認知することができる。
例えば、他の実施形態に係る評価用位置情報抽出部302は、車載器位置情報テーブル及び料金収受用情報テーブルのうち、共通する(誤差が所定範囲内である)時刻情報を通じて、車載器位置情報と車種区分情報とを関連付けてもよい。
例えば、他の実施形態に係る評価部303は、評価用位置情報に示される位置の平均値及び分散値に基づく統計的な対比手法を用いて、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じているか否かを判断してもよい。例えば、評価部303は、「分散値」の差が所定値以上となった場合に、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じていると判断してもよい。このようにすることで、評価用位置情報に示される位置の分散値が、基準位置の分散値から明らかに変化している場合には、(平均値が変化していない場合であっても)異常が生じていることを判断することができる。
また、他の実施形態に係る評価部303は、評価用位置情報に示される位置の“平均値”ではなく“中央値”又は“最頻値”を用いて位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価してもよい。
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムについて、図11〜図19を参照しながら説明する。
図11は、第2の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図11に示すように、第2の実施形態に係る料金収受システム1は、第1の実施形態で説明した構成(図1)に加え、更に、踏板11を備えている。
踏板11は、車線方向(±X方向)における上流側(車両検知器10と同じ位置)に設けられる。踏板11は、車線Lの路面上において、車線幅方向(±Y方向)に伸びるように配置されており、その上を通過する車両Aのタイヤにより踏みつけられた位置(踏み付け位置)を特定可能な踏み付けセンサを内部に有している。なお、踏板11は、複数のタイヤ(例えば、車両Aの右輪及び左輪)に同時に踏みつけられた場合は、当該複数の踏み付け位置を個別に特定することができる。
図12は、第2の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図12に示すように、踏板11は、車両Aのタイヤにより踏みつけられた車線幅方向の位置(踏み付け位置)を特定可能な車線幅位置信号を車線サーバ21の料金収受処理部210に向けて出力する。
料金収受処理部210は、踏板11から出力された車線幅位置信号を受け付けて、車両Aの車線幅方向の位置を特定する。例えば、受け付けた車線幅位置信号に車両Aの右輪の踏み付け位置、及び、左輪の踏み付け位置が示されていた場合、料金収受処理部210は、当該右輪の踏み付け位置と、左輪の踏み付け位置との中間値を算出し、車両Aの車線幅方向の位置とする。
また、料金収受処理部210は、車両Aについて特定した車線幅方向の位置を、当該車両AのLID情報、車種区分情報とともに、記録媒体211に記録する。
図13は、第2の実施形態に係る評価装置に記録される情報を示す図である。
図13に示すように、第2の実施形態に係る料金収受用情報テーブルには、取得時刻(電波の受信時刻)と、LID情報と、車線幅方向位置情報と、料金収受処理に必要な各種情報である車両番号情報、車種区分情報、車線番号等と、が関連付けられて記録されている。ここで、車線幅方向位置情報(図13に示す「車線幅方向位置」)には、料金収受処理部210が踏板11からの車線幅位置信号に基づいて特定した車両Aの車線幅方向(±Y方向)の位置が記録される。
図14は、第2の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図14に示すように、第2の実施形態に係る評価装置3のCPU30は、第1の実施形態の機能に加え、更に、車線幅方向位置情報取得部304としての機能を発揮する。
車線幅方向位置情報取得部304は、車線L走行時における車両Aの車線幅方向(±Y方向)の位置を取得する。具体的には、車線幅方向位置情報取得部304は、車線サーバ21の記録媒体211に記録された料金収受用情報テーブルを参照して、各LID情報及び各車種区分情報に関連付けられた車線幅方向位置情報を取得する。
図15は、第2の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
また、図16〜図19は、それぞれ、第2の実施形態に係る評価装置の動作を説明する第1〜第4の図である。
以下、図15及び図16〜図19を参照しながら、評価装置3の処理について詳細に説明する。
次に、評価装置3の車種区分情報取得部301は、車線サーバ21の記録媒体211にアクセスして、当該記録媒体211に蓄積された料金収受用情報テーブル(図13)のうち、LID情報と車種区分情報を取得する。更に、車線幅方向位置情報取得部304は、記録媒体211に蓄積された料金収受用情報テーブル(図13)のうち、車線幅方向位置情報を取得する(ステップS12)。
図16に示す例によれば、大型車両ALは、車線Lの車線幅方向中央(Y=0とする。)から距離Y1だけ右寄り(−Y方向側)を走行している。また、他の大型車両AL’は、車線Lの車線幅方向中央から距離Y2だけ左寄り(+Y方向側)を走行している。この場合、大型車両ALに搭載された車載器A1(車載器AL1)の空間的位置は、車線幅方向中央を走行する車両に搭載された車載器よりも距離Y1だけ右寄り(−Y方向)に検出される。同様に、大型車両AL’に搭載された車載器A1(車載器AL1’)の空間的位置は、車線幅方向中央を走行する車両に搭載された車載器よりも距離Y2だけ左寄り(+Y方向)に検出される。
このように、車載器位置情報の車線幅方向成分(Y軸成分)は、車両Aが走行する車線幅方向(±Y方向)の位置(距離Y1、Y2等)に応じて変動する。
図16を用いて説明した通り、車載器A1の空間的位置は、車線Lを走行する車両Aの車線幅方向の位置(距離Y1、Y2等)に依存して変化する。そのため、図17に示すように、位置特定装置23(位置特定部231)によって特定された車載器A1の空間的位置は、車両Aの車線幅方向の位置のばらつきに起因して当該車線幅方向に広がるように分布する。
具体的には、評価部303は、評価用位置情報の車線幅方向成分(Y軸成分)から、車線幅方向位置情報に示される車線幅方向の位置を示す値(図16に示す距離Y1、Y2)を差し引く処理を行う。
上述の通り、取得された複数の評価用位置情報の車線幅方向成分(Y軸成分)から、車両Aの車線幅方向の位置を示す値(距離Y1、Y2等)を差し引いた結果、当該評価用位置情報に示される空間的位置の車線幅方向(±Y方向)のばらつきが抑制され、その分布範囲は、車線幅方向(±Y方向)の所定位置近傍に狭められる。
ここで、図19に示す散布図の黒丸のプロット群は、ある運用期間中に取得した補正処理後の評価用位置情報に基づく空間的位置(前回車載器位置)の、X−Y座標平面上における分布を示している。また、図19に示す散布図の白丸のプロット群は、上記運用期間後の他の運用期間中に再度取得した補正処理後の評価用位置情報に基づく空間的位置(今回車載器位置)の、X−Y座標平面上における分布を示している。
ステップS15の処理において、評価部303は、第1の実施形態と同様に、前回車載器位置の平均値である「基準位置」と、今回車載器位置の平均値である「評価対象位置」と、の差を演算する。そして、評価部303は、「基準位置」と「評価対象位置」との差の演算結果が所定の判定閾値を上回っていた場合には、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じている可能性があると判断し、表示部31等を通じてその旨を操作者に通知する。
なお、図19には、「基準位置」、「評価対象位置」の各々の車線幅方向成分(Y軸成分)のみを図示しているが、「基準位置」、「評価対象位置」は、実際には、車線方向成分(X軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)を含む座標情報である。即ち、評価部303は、車線方向成分(X軸成分)、車線幅方向成分(Y軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)から特定される、「基準位置」、「評価対象位置」それぞれの座標位置(X、Y、Z)の差の絶対値を算出する。
以上の通り、第2の実施形態に係る評価装置3は、第1の実施形態に加え、更に、車両Aの車線幅方向における位置を取得する車線幅方向位置情報取得部304を備えている。
また、第2の実施形態に係る評価部303は、車両Aの車線幅方向における位置(車線幅方向位置情報(図13参照))に基づいて、評価用位置情報の車線幅方向成分を補正するとともに、当該補正がなされた評価用位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する。
このようにすることで、車線Lを走行する車両Aの車線幅方向の位置の相違に起因して生じ得る評価用位置情報の車線幅方向成分のばらつきが補正処理(ステップS14)を通じて抑制される(図17、図18参照)。したがって、評価用位置情報に示される空間的位置を取得時間別に対比することで、位置特定装置23による位置特定処理の経時的な変動を一層精度良く見分けることができる。
次に、上述した第1の実施形態(第2の実施形態)の変形例について、図20〜図23を参照しながら説明する。
図20は、第1の実施形態の第1変形例に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図20に示すように、第1変形例に係る料金収受システム1は、第1の実施形態の構成に加え、更に、車種判別装置4を備えている。
車種判別装置4は、車線L(図1)の路側に設けられ、当該車線Lを走行する車両Aのナンバープレートを読み取って当該車両Aの車種区分を判別する装置である。
また、車種判別処理部41は、更に、NP情報に示される分類番号に基づいて、車種区分を特定してもよい。
車種判別処理部41は、車種区分の判別結果を、車種判別装置4の記録媒体42に記録する。
車種判別装置4の記録媒体42には、図21に示すような車種区分情報テーブルが記録される。「車種区分情報テーブル」とは、車種判別装置4の車種判別処理部41が生成する情報テーブルであって、車種判別処理部41による車種区分情報の取得時刻と、当該車種区分情報と、を関連付けてなる情報テーブルである。
図21に示すように、車種区分情報テーブルには、車種区分情報の取得時刻と、車種区分情報(図21に示す「車種区分」)と、が関連付けられて記録されている。
ここで、例えば、車載器A1の積み替え等を行った場合等を考慮すると、車載器A1に予め記録されていた車種区分情報は、必ずしも、実際に搭載されている車両Aの車種区分と整合していない可能性がある。そこで、上述の第1変形例のようにすることで、車載器A1に予め記録されていた情報ではなく、車両Aの走行中に行われた車種判別結果に基づいて車種区分情報を取得するので、より信頼性の高い車種区分情報を取得することができる。
図22は、第1の実施形態の第2変形例に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図22に示すように、第2変形例に係る料金収受システム1は、第1の実施形態の構成に加え、更に、車体形状判別装置5を備えている。
車体形状判別装置5は、車両検知器10から出力される車体形状計測信号(後述)に基づいて、当該車両検知器10を通過した車両Aの車種区分を判別する装置である。
ここで、一般に、車両検知器10の投光塔には、複数の投光素子が高さ方向に複数配列されている。また、車両検知器10の受光塔には、複数の受光素子が高さ方向に複数配列されている。したがって、投光塔と受光塔との間を通過する車両Aの車体によって遮光される光軸(各投光素子、受光素子を結ぶ軸)の数は、当該車両の車体形状に応じたものとなる。例えば、車高が高い車両(主に「大型車」に属する車両A)が走行した場合は、車高が低い車両Aが走行した場合に比べて遮光される光軸の数が多くなる。
第2変形例において、車両検知器10は、車体形状判別処理部50に対し、遮光された光軸の数を示す車体形状計測信号を出力する。車体形状判別処理部50は、当該車体形状計測信号(即ち、遮光された光軸の数を示す信号)に基づいて、通過した車両Aが「大型車」の車種区分に属するか、「大型車」以外(「普通自動車」、「軽自動車」等)の車種区分に属するか、を判別する。具体的には、車体形状計測信号に示される光軸の数が予め規定された判定閾値以上となった場合には、通過した車両Aの車種区分を「大型車」と判定し、車体形状計測信号に示される光軸の数が予め規定された判定閾値未満となった場合には、通過した車両Aの車種区分を「大型車以外」と判定する。
車体形状判別装置5の記録媒体51には、図23に示すような車種区分情報テーブルが記録される。車種区分情報テーブルには、取得時刻と、車種区分情報(図21に示す「車種区分」)と、が関連付けられて記録されている。図23に示すように、第2変形例に係る車種区分情報テーブルの車種区分情報には、「大型車」、「大型車以外」のいずれかが記録される。
このようにすることで、第1変形例と同様に、車載器A1に予め記録されていた情報ではなく、車両Aの走行中に行われた車種判別結果に基づいて車種区分情報を取得するので、より信頼性の高い車種区分情報を取得することができる。また、車両Aの車種区分を判別するための別途の構成(ナンバープレート読取機等)を追加設置する必要がなくなる。
次に、第3の実施形態に係る料金収受システムについて、図24〜図25を参照しながら説明する。
図24は、第3の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図24に示すように、第3の実施形態に係る評価装置3のCPU30は、第2の実施形態で説明した機能(図14)に加え、更に、係数校正部305としての機能を発揮する。
係数校正部305は、予め用意された「基準位置」と、「評価対象位置」(今回取得された評価用位置情報に示される位置の平均値)との差に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bによる電波の受信結果に基づく車載器A1の空間的位置の特定(位置特定装置23の位置特定部231による位置特定処理)に用いる各種係数(後述の「内部校正係数」、「外部校正係数」)を校正する。
図25は、第3の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
第3の実施形態に係る評価装置3は、ステップS21〜ステップS25の処理を経て、「基準位置」と「評価対象位置」との対比を行う。ここで、ステップS21〜ステップS25の処理は、第2の実施形態に係る評価装置3の処理フロー(図15)のステップS11〜ステップS15の処理と同様であるため、説明を省略する。
ここで、「内部校正係数」及び「外部校正係数」は、いずれも、位置特定装置23の位置特定部231による位置特定処理に用いる係数である。
「内部校正係数」とは、位置特定用アンテナ22A、22B内部の回路素子の特性を示す校正係数である。「内部校正係数」には、例えば、アンテナ素子のゲインAs及び位相φs、ケーブルのゲインAc及び位相φc、アンプのゲインAa及び位相φa、ミキサ(周波数変換器)のゲインAm及び位相φm等がある。
「外部校正係数」とは、位置特定用アンテナ22A、22B各々の設置位置及び姿勢(ロール、ピッチ、ヨー)を示す校正係数である。「外部校正係数」には、位置特定用アンテナ22Aの設置位置(Xa、Ya、Za)及び姿勢(ωa、φa、κa)(ω=ロール、φ=ピッチ、κ=ヨー)と、位置特定用アンテナ22Bの設置位置(Xb、Yb、Zb)及び姿勢(ωb、φb、κb)と、がある。
位置特定装置23の位置特定部231は、上述の「内部校正係数」及び「外部校正係数」と、位置特定用アンテナ22A、22Bの各々から入力されたIQ信号に示される電波の位相差と、に基づいて、発振元である車載器A1の空間的位置を特定する処理を行う。
このように、係数校正部305は、「評価対象位置」と「基準位置」との差が最小となる組み合わせを探索する最適化処理により、新たに適用すべき「内部校正係数」及び「外部校正係数」を算出する。係数校正部305は、算出された(最適化された)「内部校正係数」及び「外部校正係数」を位置特定装置23の位置特定部231に向けて出力して更新する。これにより、位置特定部231は、新たに更新された校正係数(実際の位置特定用アンテナ22A、22Bの特性に整合する校正係数)を用いて位置特定処理を行うことができる。
以上の通り、第3の実施形態に係る評価装置3は、予め用意された「基準位置」と、「評価対象位置」との差に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bによる電波の受信結果に基づく車載器A1の位置の特定に用いる「内部校正係数」及び「外部校正係数」を校正する。
このようにすることで、評価装置3は、位置特定用アンテナ22A、22Bの異常(特性のずれ)を自動的に回復することができる。したがって、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が発生した場合であっても、直ちに車線を封鎖して補修を行わずに済む。
次に、第4の実施形態に係る料金収受システムについて、図26〜図29を参照しながら説明する。
図26は、第4の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図26に示すように、第4の実施形態に係る料金収受システム1は、第1の実施形態(図1)と同様の構成を備えている。ただし、第4の実施形態に係る評価装置3は、第1〜第3の実施形態(及び各変形例)とは異なり、位置特定装置23のみにアクセスして、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性の評価に必要な情報(車載器位置情報等)を取得する。
また、第4の実施形態に係る料金収受システム1の車両検知器10は、路面からの高さが“高さ判定閾値H”以上である物体の存在を検知したタイミングで車両検知信号を出力する点で第1の実施形態と異なる。ここで、「高さ判定閾値H」とは、「普通自動車」の車種区分に属する車両における路面からボンネットまでの高さに相当する高さを示す値である。
図27は、第4の実施形態に係る車両検知器の動作を説明する図である。
以下、第1の実施形態に係る車両検知器10との対比を行いながら、第4の実施形態に係る車両検知器10が有する機能について詳細に説明する。
他方、図7に示した時点から普通車両AMが車線下流側(+X方向側)に更に走行し、当該普通車両AMの運転座席付近が車両検知位置に到達したタイミング(図27に示すタイミング)で、車両検知器10の光軸のうち車体により遮光されている光軸の高さが高さ判定閾値Hに達する。したがって、車両検知器10はこのタイミングで車両検知信号を出力する。
即ち、一般的な普通車両AM(「普通自動車」に属する車両A)は、車体前端(フロントバンパー部分)から車体屋根(ルーフパネル部分)にかけて、ボンネット及びフロントガラスを通じて緩やかに高さが上昇する傾斜面を有している。また、車載器A1が搭載される運転座席付近は、ボンネットよりも上流側となる。したがって、走行中の普通車両AMの車両検知位置における高さが、一般的な「普通自動車」のボンネットの高さとして規定された高さ判定閾値H以上となるタイミングは、当該普通車両AMの運転座席位置が車両検知位置に到達したタイミングにほぼ一致する。つまり、普通車両AMに搭載される車載器AM1が電波を発信するタイミングは、普通車両AMの運転座席が車両検知位置に到達するタイミングと一致する。
以上より、第4の実施形態において、大型車両ALが車両検知器10によって検知された時点(即ち、車載器AL1から電波が発信された時点)における車載器AL1の空間的位置から車両検知器10の設置位置(車両検知位置)までの間隔(距離dL’)は、大型車両ALの車体前端から運転座席までの距離(距離dL)とほぼ同じ長さとなる。
(評価装置の機能構成)
図28は、第4の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図28に示すように、第4の実施形態に係る評価装置3は、CPU30と、表示部31と、操作受付部32と、メモリ33と、接続インターフェイス34と、を備えている。
また、第4の実施形態に係るCPU30は、車載器位置情報取得部300、及び、評価部303としての機能を発揮する。
また、第4の実施形態に係る評価部303は、車載器位置情報取得部300によって取得された車載器位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する。
なお、第4の実施形態に係るCPU30は、第1の実施形態に係る車種区分情報取得部301及び評価用位置情報抽出部302としての機能を有していなくともよい。
図29は、第4の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
図29に示す処理フローは、所定のメンテナンス周期ごとに実施される料金収受システム1のメンテナンス作業時に実行される。
まず、評価装置3の車載器位置情報取得部300(図28)は、位置特定装置23の記録媒体234にアクセスして、当該記録媒体234に蓄積された車載器位置情報テーブル(図3)を取得する(ステップS31)。
次に、評価装置3の評価部303(図28)は、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性の評価を行う(ステップS32)。ここで、評価部303は、所定期間内に走行した全ての車両Aについて取得された車載器位置情報を用いて位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性の評価を行う。具体的には、評価部303は、まず、前回車載器位置(ある運用期間中に取得した車載器位置情報に基づく空間的位置)の平均値を「基準位置」として算出する。また、評価部303は、今回車載器位置(上記運用期間後の他の運用期間中に再度取得した車載器位置情報に基づく空間的位置)の平均値を「評価対象位置」として算出する。そして、評価部303は、算出した基準位置と、評価対象位置と、の差を演算するとともに、当該差の演算結果が所定の判定閾値を上回っていた場合には、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じている可能性があると判断し、表示部31等を通じてその旨を操作者に通知する。
以上の通り、第4の実施形態に係る料金収受システム1の車両検知器10は、路面からの高さが、普通自動車における路面からボンネットまでの高さ(高さ判定閾値H)以上である物体の存在を検知したタイミングで車両検知信号を出力する。また、車線サーバ21(料金収受処理部210)は、当該車両検知信号を受信したタイミングで、車線Lに設置された料金収受用アンテナ20を通じて、車載器A1との間で料金収受用の無線通信を行う。
一方、評価装置3は、位置特定用アンテナ22A、22Bによる車載器A1からの電波の受信結果に基づいて特定された当該車載器A1の位置を示す車載器位置情報を取得する車載器位置情報取得部300と、取得された車載器位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する評価部303と、を備えている。
以上のような構成によれば、車両検知器10が車両Aの進入を検知するタイミング(車両検知信号を出力するタイミング)が、少なくとも「普通自動車」に属する車両のボンネット部分が車両検知位置を通り過ぎた直後(即ち、運転座席付近)となる。そうすると、車載器A1が電波を発信するタイミングにおける当該車載器A1の空間的位置の分布範囲は、「大型車」、「普通自動車」にかかわらず、車両検知位置の近傍に留められる。したがって、車体形状の相違(特にボンネットの長さ)に起因して生じ得る車載器A1の、車線方向(±X方向)における空間的位置のばらつきを抑制することができる。これにより、車載器位置情報に示される空間的位置の分布を取得時間別に対比することで、位置特定装置23による位置特定処理の経時的な変動を精度良く見分けることができる。
以上より、評価装置3によれば、出口料金所、入口料金所において車線閉鎖を行うことなく、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価することができる。
次に、第5の実施形態に係る料金収受システムについて、図30〜図37を参照しながら説明する。
図30は、第5の実施形態に係る料金収受システム1の機能構成を示す図である。
図30に示すように、第5の実施形態に係る料金収受システム1の車両検知器10は、第4の実施形態と同様に、路面からの高さが“高さ判定閾値H”以上である物体の存在を検知したタイミングで車両検知信号を出力する。また、第5の実施形態に係る車両検知器10は、上記車両検知信号の他、走行する車両Aの車高(路面から屋根までの高さ)を示す車高信号を出力する。ここで、「車高信号」とは、例えば、走行中の車両Aの車体前端が車両検知位置に到達してから車体後端が車両検知位置を離れるまでの間において遮光された光軸のうち最も高い位置の光軸を示す信号としてよい。車両検知器10を構成する各光軸の識別情報と、各光軸が配される実際の高さと、を予め関連付けておくことで、車高信号に基づいて車両検知位置を通過した車両Aの車高を特定することができる。
図31は、第5の実施形態に係る車線サーバに記録される情報を示す図である。
第5の実施形態に係る料金収受用情報テーブルには、取得時刻(電波の受信時刻)と、LID情報と、車高情報(図31に示す「車高」)と、料金収受処理に必要な各種情報である車両番号情報、車種区分情報、入口情報等と、が関連付けられて記録されている。ここで、車高情報には、料金収受処理部210が、車両検知器10からの車高信号に基づいて特定した車両Aの車高が記録される。
図32は、第5の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図32に示すように、第5の実施形態に係る評価装置3のCPU30は、第4の実施形態に加え、更に、車高情報取得部306としての機能を発揮する。
車高情報取得部306は、車載器A1を搭載し、車線Lを走行する車両Aの車高を取得する。具体的には、車高情報取得部306は、車線サーバ21の記録媒体211に記録された料金収受用情報テーブル(図31)を参照して、各LID情報及び各車種区分情報に関連付けられた車高情報を取得する。
図33は、第5の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
また、図34〜図37は、それぞれ、第5の実施形態に係る評価装置の動作を説明する第1〜第4の図である。
以下、図33及び図34〜図37を参照しながら、評価装置3の処理について詳細に説明する。
次に、評価装置3の車高情報取得部306は、記録媒体211に蓄積された料金収受用情報テーブル(図31)のうち、LID情報と車高情報とを取得する(ステップS42)。
図34に示す例によれば、普通車両AMは、高さZ1の車高を有する車両である。普通車両AMに搭載される車載器AM1は、普通車両AMの運転座席付近、即ち、ルーフパネルの高さ(高さZ1)よりも所定の幅(例えば50cm程度)だけ下の位置に配置される。
また、普通車両AM’は、高さZ2(>Z1)の車高を有する車両である。普通車両AM’に搭載される車載器AM1’は、普通車両AM’の運転座席付近、即ち、ルーフパネルの高さ(高さZ2)よりも所定の幅(例えば50cm程度)だけ下の位置に配置される。この場合、普通車両AM’に搭載される車載器AM1’の高さは、普通車両AMに搭載される車載器AM1の高さよりも高い位置に配置される。
このように、車載器A1の高さ方向における位置は、搭載される車両Aの車高との相関性を有している。即ち、車両Aの車種区分にかかわらず、車高が高い車両Aに搭載される車載器A1は、相対的に高い位置に存在し、車高が低い車両Aに搭載される車載器A1は、相対的に低い位置に存在する。
図34を用いて説明した通り、車載器A1の空間的位置は、車線Lを走行する車両Aの車高(高さZ1、Z2等)に依存して変化する。そのため、図35に示すように、位置特定装置23(位置特定部231)によって特定された車載器A1の空間的位置は、車両Aの車高のばらつきに起因して高さ方向に広がるように分布する。
なお、図35においては、第4の実施形態に係る車両検知器10の機能(図27参照)により、車体形状(特にボンネットの長さ)に起因して生じ得る車載器A1の、車線方向における空間的位置のばらつきが抑制されている。
具体的には、評価部303は、車高情報に示される車高(図34に示す高さZ1、Z2等)と、当該車高情報に関連する(共通するLID情報で紐付けられる)車載器位置情報の高さ方向成分との偏差を演算する。例えば、車高情報により車高が“Z1”と特定された車両Aに搭載された車載器A1の空間的位置の高さ方向成分が“z1”であった、評価部303は、Z1−z1を演算する。そして、評価部303は、算出した偏差を、車載器位置情報の高さ方向成分(Z軸成分)とする。
上述の通り、取得された複数の車載器位置情報の高さ方向成分を、車両Aの車高を示す値(高さZ1、Z2等)との偏差に補正した結果、当該車載器位置情報に示される空間的位置の高さ方向(±Z方向)のばらつきが抑制され、その分布範囲は、高さ方向(±Z方向)の所定位置近傍に狭められる。
ここで、図37に示す散布図の黒丸のプロット群は、ある運用期間中に取得した補正処理後の車載器位置情報に基づく空間的位置(前回車載器位置)の、X−Z座標平面上における分布を示している。また、図37に示す散布図の白丸のプロット群は、上記運用期間後の他の運用期間中に再度取得した補正処理後の車載器位置情報に基づく空間的位置(今回車載器位置)の、X−Z座標平面上における分布を示している。
ステップS44の処理において、評価部303は、第4の実施形態と同様に、前回車載器位置の平均値である「基準位置」と、今回車載器位置の平均値である「評価対象位置」と、の差を演算する。そして、評価部303は、「基準位置」と「評価対象位置」との差の演算結果が所定の判定閾値を上回っていた場合には、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じている可能性があると判断し、表示部31等を通じてその旨を操作者に通知する。
なお、図37には、「基準位置」、「評価対象位置」の各々の高さ方向成分(Z軸成分)のみを図示しているが、「基準位置」、「評価対象位置」は、実際には、車線方向成分(X軸成分)及び車線幅方向成分(Y軸成分)を含む座標情報である。即ち、評価部303は、車線方向成分(X軸成分)、車線幅方向成分(Y軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)から特定される、「基準位置」、「評価対象位置」それぞれの座標位置(X、Y、Z)の差の絶対値を算出する。
以上の通り、第5の実施形態に係る料金収受システム1の評価装置3は、車載器A1を搭載する車両Aの車高を取得する車高情報取得部306を更に備えている。また、評価装置3の評価部303は、車両Aの車高に基づいて、車載器位置情報の高さ方向成分(Z軸成分)を補正するとともに、当該補正がなされた車載器位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する。
このようにすることで、車線Lを走行する車両Aの車高の相違に起因して生じ得る車載器位置情報の高さ方向成分のばらつきが補正処理(ステップS43)を通じて抑制される(図35、図36参照)。したがって、車載器位置情報に示される空間的位置を取得時間別に対比することで、位置特定装置23による位置特定処理の経時的な変動を一層精度良く見分けることができる。
10 車両検知器
11 踏板
20 料金収受用アンテナ
21 車線サーバ
210 料金収受処理部
211 記録媒体
22A、22B 位置特定用アンテナ
23 位置特定装置
230 通信インターフェイス部
231 位置特定部
232 LID取得部
233 制御部
234 記録媒体
3 評価装置
30 CPU
300 車載器位置情報取得部
301 車種区分情報取得部
302 評価用位置情報抽出部
303 評価部
304 車線幅方向位置情報取得部
305 係数校正部
306 車高情報取得部
31 表示部
32 操作受付部
33 メモリ
34 接続インターフェイス
4 車種判別装置
40 ナンバープレート読取機
41 車種判別処理部
42 記録媒体
5 車体形状判別装置
50 車体形状判別処理部
51 記録媒体
A 車両
A1 車載器
L 車線
I アイランド
Q 規定通信領域
R 料金所事務所
G 支持体
O 光通信ケーブル
Claims (10)
- 電波の発信元である車載器の位置を特定するために設置された位置特定用アンテナの健全性を評価する評価装置であって、
前記位置特定用アンテナによる前記電波の受信結果に基づいて特定された前記車載器の位置を示す車載器位置情報を取得する車載器位置情報取得部と、
前記電波を発信した車載器を搭載する車両の車種区分を示す車種区分情報を取得する車種区分情報取得部と、
前記車種区分情報に基づいて、複数の前記車載器位置情報のうち所定の車種区分に属する車両の車載器についての車載器位置情報である評価用位置情報を抽出する評価用位置情報抽出部と、
抽出された前記評価用位置情報に基づいて、前記位置特定用アンテナの異常を判断する評価部と、
を備える評価装置。 - 前記評価用位置情報抽出部は、
前記車種区分情報に基づいて、複数の前記車載器位置情報のうち大型車に属する車両の車載器に関する車載器位置情報を、前記評価用位置情報として抽出する
請求項1に記載の評価装置。 - 前記車両の車線幅方向における位置を取得する車線幅方向位置情報取得部を更に備え、
前記評価部は、前記車両の車線幅方向における位置に基づいて、前記評価用位置情報の車線幅方向成分を補正するとともに、当該補正がなされた前記評価用位置情報に基づいて、前記位置特定用アンテナの異常を判断する
請求項1又は請求項2に記載の評価装置。 - 前記車種区分情報取得部は、
前記車載器と料金収受処理装置との間で行われた料金収受用の無線通信を通じて読み取られた情報であって前記車載器に予め登録された車種区分情報を参照して前記車種区分情報を取得する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の評価装置。 - 前記評価部は、
予め用意された基準位置と、抽出された前記評価用位置情報に示される位置との差が所定値以上となった場合に、前記位置特定用アンテナに異常が生じているものと判断し、異常を通知する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の評価装置。 - 前記評価部は、
予め用意された基準位置の分散値と、抽出された前記評価用位置情報に示される位置の分散値との差が所定値以上となった場合に、前記位置特定用アンテナに異常が生じているものと判断し、異常を通知する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の評価装置。 - 予め用意された基準位置と、抽出された前記評価用位置情報に示される位置との差に基づいて、前記位置特定用アンテナによる前記電波の受信結果に基づく前記車載器の位置の特定に用いる係数を校正する係数校正部を更に備える
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の評価装置。 - 請求項1から請求項6の何れか一項に記載の評価装置と、
前記位置特定用アンテナと、
を備える料金収受システム。 - 電波の発信元である車載器の位置を特定するために設置された位置特定用アンテナの健全性を評価する評価方法であって、
評価装置の車載器位置情報取得部が、前記位置特定用アンテナによる前記電波の受信結果に基づいて特定された前記車載器の位置を示す車載器位置情報を取得するステップと、
前記評価装置の車種区分情報取得部が、前記電波を発信した車載器を搭載する車両の車種区分を示す車種区分情報を取得するステップと、
前記評価装置の評価用位置情報抽出部が、前記車種区分情報に基づいて、複数の前記車載器位置情報のうち所定の車種区分に属する車両の車載器についての車載器位置情報である評価用位置情報を抽出するステップと、
前記評価装置の評価部が、抽出された前記評価用位置情報に基づいて、前記位置特定用アンテナの異常を判断するステップと、
を備える評価方法。 - 電波の発信元である車載器の位置を特定するために設置された位置特定用アンテナの健全性を評価する評価装置のコンピュータを、
前記位置特定用アンテナによる前記電波の受信結果に基づいて特定された前記車載器の位置を示す車載器位置情報を取得する車載器位置情報取得部、
前記電波を発信した車載器を搭載する車両の車種区分を示す車種区分情報を取得する車種区分情報取得部、
前記車種区分情報に基づいて、複数の前記車載器位置情報のうち所定の車種区分に属する車両の車載器についての車載器位置情報である評価用位置情報を抽出する評価用位置情報抽出部、
抽出された前記評価用位置情報に基づいて、前記位置特定用アンテナの異常を判断する評価部、
として機能させるプログラム。
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