(第1の実施形態)
以下、パチンコ遊技機に具体化した第1の実施形態を図1〜図12にしたがって説明する。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10は、枠体Wを備えている。枠体Wは、パチンコ遊技機10の機体を構成している。枠体Wは、パチンコ遊技機10の機体を遊技場などの島設備(遊技機設置設備)へ固定するための固定枠(設置枠)としての外枠WSと、各種の部品(遊技用構成部材)を搭載する搭載枠(搭載部)としての中枠WN及び前枠WMと、を備えている。中枠WNは外枠WSの開口前面側に開放及び着脱自在に
組み付けられているとともに、前枠WMは中枠WNの前面側に開閉及び着脱自在に組み付けられている。搭載枠を構成する枠体数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
前枠WMは、中枠WNに搭載される遊技盤YBを保護する保護ガラスGを備えている。図1において保護ガラスGは、一部を残して図示が省略されているが、実際には前枠WMの開口部WMaの全体を覆っている。また、前枠WMは、前面に装飾ランプLaを備えている。装飾ランプLaは、内蔵された発光体の点灯、点滅及び消灯による発光演出を行う際に用いられるとともに、エラー報知といった各種報知を行う際にも用いられる。また、前枠WMは、前面にスピーカSpを備えている。スピーカSpは、楽曲や効果音などの音を出力する音声演出を行う際に用いられるとともに、エラー音を出力するエラー報知といった各種報知を行う際にも用いられる。この実施形態において、装飾ランプLa及びスピーカSpは、所定の報知を可能に構成された特定報知手段、特別報知手段、及び予め定めた報知を可能に構成された特殊報知手段である。
また、前枠WMは、前面下部に遊技球の発射ハンドルHDを備えているとともに、前面下部に遊技球を貯留する球皿(貯留皿)として上皿Saと下皿Sbとを備えている。上皿Saは、主に発射ハンドルHDの操作によって遊技盤YBの遊技領域YBaに向けて打ち出される遊技球であって、機内に取り込まれる遊技球を貯留する貯留皿である。下皿Sbは、主にパチンコ遊技機10から払出される遊技球であって、上皿Saから溢れ出た遊技球を貯留する貯留皿である。なお、図示しないが、前枠WMの後側には、遊技球を下皿Sbへ排出する各種の排出通路が搭載されている。排出通路には、例えば、上皿Saから溢れ出た遊技球の排出通路、上皿Saに貯留されている遊技球の排出通路、遊技領域YBaへ向けて打ち出されたが当該遊技領域YBaへ到達せずに戻り球となった遊技球の排出通路がある。また、上皿Saの上面には、図1に示すように、遊技者が演出の一つである操作演出において操作可能な演出ボタンBTや、遊技者がパチンコ遊技機10から貸し球を貸し受ける際に操作する球貸操作部TSなどが設けられている。
中枠WNには、遊技盤YB、各種の制御基板、遊技球を払出すための各種部材(球タンク(図示しない)、図6に示す払出ユニットHS)などが搭載されている。また、図示しないが、中枠WNには、遊技球の案内通路が搭載されている。案内通路には、例えば、球タンクに貯留されている遊技球を払出ユニットHSへ案内する案内通路、払出ユニットHSから払出された遊技球(賞球又は貸し球)を上皿Saへ案内する案内通路、遊技に使用された有効球を機外(遊技機設置設備)に案内する案内通路がある。有効球については後に詳しく説明する。
図2に示すように、遊技盤YBの盤面には、正面視ほぼ円形状の遊技領域YBaが画成されている。そして、遊技領域YBaのほぼ中央には、画像表示部GHを有する演出表示装置11が設けられている。演出表示装置11の画像表示部GHは、例えば液晶ディスプレイ型の表示部である。演出表示装置11では、演出図柄(飾り図柄)を用いた図柄変動ゲームなど、画像を用いた各種の表示演出が表示される。また、演出表示装置11は、エラー画像を表示するエラー報知といった各種報知を行う際にも用いられる。この実施形態において、演出表示装置11は、所定の報知を可能に構成された特定報知手段、特別報知手段、及び予め定めた報知を可能に構成された特殊報知手段である。
また、遊技盤YBの遊技領域YBaには、遊技球が入球可能な複数の入賞口(入球口)が配設されている。入賞口には、第1始動口12と、第2始動口13と、大入賞口15と、普通入賞口16,17と、を含む。
第1始動口12は、図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第1始動口12は、演出表示装置11の下方に位
置しており、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。第1始動口12には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には第1始動口12に入球した遊技球を検知する手段(図6に示す始動口スイッチ(センサ)S1)が配設されている。
第2始動口13は、図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第2始動口13は、第1始動口12の右方に位置している。第2始動口13は、所定条件(普通図柄の当選)が成立していないときには遊技球を入球させることができない、若しくは入球し難いように閉鎖されている。そして、第2始動口13は、所定条件(普通図柄の当選)の成立により、遊技球を入球させることができる、若しくは入球し易いように開放される。第2始動口13は、アクチュエータ(ソレノイドやモータなど)から動力を受けて開放する。この実施形態において第2始動口13を開放させるアクチュエータは、図6に示すアクチュエータAC1である。また、第2始動口13には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には第2始動口13に入球した遊技球を検知する手段(図6に示す始動口スイッチ(センサ)S2)が配設されている。第2始動口13は、所謂「普通電動役物」である。
大入賞口15は、賞球の払出条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において大入賞口15は、演出表示装置11の右下方に位置している。大入賞口15は、所定条件(特別図柄の当選)が成立していないときには遊技球を入球させることができないように閉鎖されている。そして、大入賞口15は、所定条件(特別図柄の当選)の成立により、遊技球を入球させることができる、若しくは入球し易いように開放される。大入賞口15は、アクチュエータ(ソレノイドやモータなど)から動力を受けて開放する。この実施形態において大入賞口15を開放させるアクチュエータは、図6に示すアクチュエータAC2である。また、大入賞口15には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には大入賞口15に入球した遊技球を検知する手段(図6に示すカウントスイッチ(センサ)S3)が配設されている。
普通入賞口16,17は、賞球の払出条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において普通入賞口16,17は遊技領域YBaの左方の領域と右方の領域のそれぞれに位置している。また、普通入賞口16,17は、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。
左方の普通入賞口16は、主に第1始動口12を狙って発射された遊技球が入球可能な位置にあり、大入賞口15を狙って発射された遊技球は入球不能な位置にある。この実施形態において左方の領域には、複数の普通入賞口16が設けられている。そして、左方の各普通入賞口16には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には各普通入賞口16に入球した遊技球を検知する手段(図6に示す普通口スイッチ(センサ)S5)が配設されている。左方の普通入賞口16に連設された球通路は、各普通入賞口16に入球した遊技球を受け入れる複数の分岐通路と、各分岐通路を案内された遊技球を受け入れる集合通路によって構成されており、当該集合通路に単一の普通口スイッチS5が配設されている。
右方の普通入賞口17は、主に大入賞口15を狙って発射された遊技球が入球可能な位置にあり、第1始動口12を狙って発射された遊技球は入球不能な位置にある。つまり、右方の普通入賞口17は、大入賞口15を狙って発射された遊技球が入球可能な位置に配置されている。この実施形態において右方の領域には、単数の普通入賞口17が設けられている。そして、右方の普通入賞口17には入球した遊技球を遊技盤YBの後側に導く図
示しない球通路が連設されており、その球通路には普通入賞口17に入球した遊技球を検知する手段(図6に示す普通口スイッチ(センサ)S6)が配設されている。
この実施形態において上記した第1始動口12、第2始動口13、大入賞口15及び普通入賞口16,17は、何れの入賞口も遊技球の入球によって賞球の払出条件が成立する入賞口であり、第1始動口12、第2始動口13及び普通入賞口16,17は大入賞口15とは異なる複数の入賞口である。この実施形態では、第1始動口12の賞球数を[4球]に、第2始動口13の賞球数を[1球]に、大入賞口15の賞球数を[15球]に、普通入賞口16,17の各賞球数を[5球]に定めている。なお、各入賞口に定めた賞球数は、適宜変更してもよい。賞球数として定めた遊技球の個数は、1球の入球に対してパチンコ遊技機10から払出される遊技球の個数である。第1始動口12、第2始動口13、大入賞口15、及び普通入賞口16,17は、遊技球の入球によって賞球払出しの対象となる入球装置であり、パチンコ遊技機10には前述したような賞球払出しの対象なる入球装置が複数備えられている。
また、遊技領域YBaには、作動ゲート18が配設されている。この実施形態において作動ゲート18は、遊技領域YBaの右方の領域であって、第2始動口13や大入賞口15の上方に位置している。作動ゲート18には、常時、遊技球を入球させることができるように開放されたゲート口18aが開口されている。ゲート口18aには、入球し、通過する遊技球を検知する手段(図6に示すゲートスイッチ(センサ)S4)が配設されている。作動ゲート18のゲート口18aは、普通図柄を用いた図柄変動ゲーム(以下、「普図変動ゲーム」と示す)の始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入球口である。第2始動口13は、作動ゲート18へ遊技球が入球することによって行われる普通図柄の当り抽選に当選し、普図変動ゲームで導出された後、閉鎖態から開放状態へ動作する。なお、作動ゲート18は、遊技球の入球によって賞球払出しの対象となる入球装置ではなく、作動ゲート18を遊技球が入球しても賞球の払出条件は成立しない。
この実施形態において、遊技者は、発射ハンドルHDの発射強度の強弱を調整することで、左方の領域及び右方の領域に遊技球を打ち分け、第1始動口12、第2始動口13、大入賞口15、普通入賞口16,17又は作動ゲート18へ遊技球を入球させることが可能となる。具体的には、発射強度を強めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、右打ち)、遊技球は、右方の領域に流下案内され易く、第2始動口13、大入賞口15、右方の普通入賞口17、又は作動ゲート18へ入球する可能性がある。なお、右打ちは、遊技球を右方の領域へ到達させるために勢いよく発射させる必要があることから、発射強度を最大強度若しくは最大強度よりも若干弱い強度で調整して行う。
一方、発射強度を弱めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、左打ち)、遊技球は、左方の領域に流下案内され易く、第1始動口12、又は左方の普通入賞口16へ入球する可能性がある。また、左打ちは、右打ちのときほど遊技球を勢いよく発射させる必要がないので、発射させた遊技球が右方の領域へ到達しない程度の強度に調整して行う。なお、この実施形態では、右打ちを行った場合、第1始動口12や左方の普通入賞口16に遊技球が入球し得ないよう、遊技釘などの遊技部品によって遊技球の流路が形成されている。なお、遊技部品は、右打ちを行ったときには第1始動口12や左方の普通入賞口16への入球を規制するように配置されていてもよいし、左打ちを行ったときに比べて第1始動口12や左方の普通入賞口16へ入球し難い(入球する確率を極めて低くする)ように配置されていてもよい。
この実施形態において「左方の領域」とは、遊技盤YBを正面視したときに遊技領域YBaを左右に二等分する中心線Cよりも左側に位置する領域である。また、この実施形態において「右方の領域」とは、遊技盤YBを正面視したときに前記中心線Cよりも右側に
位置する領域である。パチンコ遊技機10において発射ハンドルHDの操作によって発射された遊技球は、遊技盤YBを正面視したときの左側に位置する打出通路19で案内され、その打出通路19の最下流に位置する逆戻り防止弁20を通過して遊技領域YBaに到達される。このため、「左方の領域」とは打出通路19寄りの領域でもあり、その逆に「右方の領域」とは打出通路19から離れた領域でもある。そして、左方の領域を流下案内される遊技球は、遊技領域YBaに位置する演出表示装置11の左側をとおり、遊技領域YBaの最下方に位置するアウト口21へ向かう。また、右方の領域を流下案内される遊技球は、遊技領域YBaに位置する演出表示装置11の右側をとおり、前記アウト口21へ向かう。
ここで、前述した有効球について説明する。
この明細書において有効球は、パチンコ遊技機10での遊技に使用された遊技球のことであり、より詳しくは発射ハンドルHDの操作によって打ち出され、遊技盤YBの遊技領域YBaへ到達した遊技球である。パチンコ遊技機10では、発射ハンドルHDを連続して操作した場合、所定の間隔(1分間当り100球の打ち出し間隔)で遊技球を打ち出し、その打ち出した遊技球のうち、打出通路19で案内されて逆戻り防止弁20を通過した遊技球が有効球に相当する。その一方で、打ち出した遊技球のうち、逆戻り防止弁20を通過せずに打出通路19を戻った又は逆流した遊技球(所謂、戻り球)は打出通路19の途中に連通する排出通路を通じて下皿Sbへ排出され、遊技者に返却されることから、遊技に使用されなかった遊技球(無効球)であり、有効球とはならない。
なお、遊技領域YBaに到達した有効球としての遊技球は、遊技盤YBの何れかの入賞口へ入球する場合もあれば、何れの入賞口へも入球せずにアウト口21へ入球する場合もある。そして、何れかの入賞口へ入球した有効球は、入球した入賞口に連設されている球通路から中枠WNにある案内通路へ導かれるとともに当該案内通路を通じて機外へと案内され、機外へ排出される。また、アウト口21へ入球した遊技球は、アウト口21に連設されている球通路から中枠WNにある案内通路へ導かれるとともに当該案内通路を通じて機外へと案内され、機外へ排出される。
遊技盤YBの説明に戻り、遊技盤YBには、図6に示す、特図表示装置23、保留表示装置24、普図表示装置25が配設されている。これらの表示装置は、パチンコ遊技機10を正面視した場合に遊技者が視認可能な遊技盤YBの部位に位置している。例えば、これらの表示装置は、遊技盤YBの遊技領域に配設されている飾り部材や、遊技盤YBのコーナー飾り部材などに配設されている。
特図表示装置23は、特別図柄を用いた図柄変動ゲーム(以下、「特図変動ゲーム」と示す)を行い、当該特図変動ゲームにおいて大当り抽選の抽選結果に応じた特別図柄が導出される。特図表示装置23には、第1特別図柄の図柄変動ゲーム(以下、「第1特図変動ゲーム」と示す)を行う第1特図表示装置と、第2特別図柄の図柄変動ゲーム(以下、「第2特図変動ゲーム」と示す)を行う第2特図表示装置と、がある。第1始動口12に遊技球が入球し、検知された場合は、第1特図変動ゲームの始動条件が成立する。一方、第2始動口13に遊技球が入球し、検知された場合は、第2特図変動ゲームの始動条件が成立する。第1特別図柄と第2特別図柄では、始動条件の成立を契機に大当り抽選が行われるが、その大当り抽選に当選する確率は同一確率である。その一方で、第1特別図柄と第2特別図柄では、大当り抽選に当選した場合に決定される大当りの種類や同一種類の大当りの決定割合を異ならせている。これにより、第1特別図柄と第2特別図柄では、大当り抽選に当選した際の有利度(例えば、賞球の多少、入球率向上状態の付与期間など)を異ならせている。なお、この実施形態では、大当り抽選に当選する確率(以下、「大当り確率」と示す)を定めた複数通りの設定値の中から何れかの設定値に変更して設定する設定機能を搭載していない。
また、始動条件が成立した場合には、大当り抽選の抽選結果を導出するために特図表示装置23で特図変動ゲームが行われるとともに、当該特図変動ゲームで導出される特別図柄に応じた結果を導出する図柄変動ゲームが演出表示装置11においても演出図柄を用いて行われる。
特図表示装置23は、複数の発光体を備えた表示装置である。特図変動ゲームでは、表示装置を構成する発光体を任意に組み合わせたものが特別図柄として導出される。特別図柄には、大当り抽選に当選した場合に導出される大当り図柄と大当り抽選に当選しなかった場合に導出されるはずれ図柄とを含む。一方、演出図柄の図柄変動ゲームでは、複数列の演出図柄の組み合わせが導出される。演出図柄は、例えばアラビア数字を模した意匠で構成されている。そして、全列の演出図柄が同一の演出図柄となる組み合わせを大当り抽選に当選したことを特定可能な大当りの組み合わせとし、全列の演出図柄が同一の演出図柄とならない組み合わせを大当り抽選に当選しなかったことを特定可能なはずれの組み合わせとしている。
演出図柄の図柄変動ゲームで導出される結果は、特図変動ゲームで導出される結果に対応する。このため、特図変動ゲームでは大当り抽選の抽選結果を特別図柄で導出させる一方で、演出図柄の図柄変動ゲームにおいても大当り抽選の抽選結果を特定可能な情報が演出図柄で導出される。なお、第1特図変動ゲームと第2特図変動ゲームは同時に実行されず、演出表示装置11では実行されている特別図柄に対応する演出図柄の図柄変動ゲームが行われる。
保留表示装置24は、実行が保留されている特図変動ゲームの数(始動保留数)を表示する。保留表示装置24には、第1特別図柄の始動保留数を表示する第1保留表示装置と、第2特別図柄の始動保留数を表示する第2保留表示装置と、がある。普図表示装置25は普図変動ゲームを行い、当該普図変動ゲームにおいて普通図柄の当り抽選の抽選結果に応じた普通図柄が導出される。
また、図3に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技盤YBの後側に組み付けられる枠搭載部材50を備えている。枠搭載部材50は、前方が開放された扁平な四角箱状の部材であり、各種の遊技部品が組み付けられる。枠搭載部材50は、例えばねじなどの締結部品を用いて、遊技盤YBの裏面に固定されている。
また、パチンコ遊技機10は、遊技盤YBの後側に、液晶パネルユニット60、第1副基板ユニット70、第2副基板ユニット75、及び主基板ユニット80を備えている。液晶パネルユニット60、第1副基板ユニット70、第2副基板ユニット75、及び主基板ユニット80は、枠搭載部材50の後側に組み付けられている。
液晶パネルユニット60は、画像表示部GHを構成する液晶パネルと、液晶パネルの駆動基板(図示しない)と、液晶パネル及び駆動基板を収容しているパネルケース61と、を備えている。この実施形態において液晶パネルユニット60は、枠搭載部材50の後壁50aに組み付けられている。
第1副基板ユニット70は、第1副基板71と、第1副基板71を収容している第1副基板ケース72と、を備えている。また、第2副基板ユニット75は、第2副基板76と、第2副基板76を収容している第2副基板ケース77と、を備えている。第1副基板ユニット70及び第2副基板ユニット75は、何れも液晶パネルユニット60のパネルケース61に固定されており、遊技盤YBの左右方向に隣り合って配置されている。
この実施形態では、第1副基板ユニット70の第1副基板ケース72に収容している第1副基板71を、サブ統括基板32と音声・ランプ基板47としている。また、この実施形態では、第2副基板ユニット75の第2副基板ケース77に収容している第2副基板76を、演出表示基板46としている。
演出表示基板46は、演出表示装置11を制御する。音声・ランプ基板47は、装飾ランプLa及びスピーカSpを制御する。サブ統括基板32は、複数の副基板を統括して制御する。演出表示基板46、音声・ランプ基板47及びサブ統括基板32は、図6に示すように何れも副基板42である。なお、サブ統括基板32と音声・ランプ基板47は、独立した制御基板として構成されていてもよいし、1枚の制御基板として構成されていてもよい。
主基板ユニット80は、主基板30と、主基板30を収容している主基板ケース81と、を備えている。主基板ユニット80は、液晶パネルユニット60のパネルケース61に固定されており、第1副基板ユニット70及び第2副基板ユニット75の下方に配置されている。
以下、図4及び図5にしたがって主基板ユニット80の構成を具体的に説明する。
主基板30は、図示しない配線パターンをプリントしたプリント基板に各種の電子部品を実装して構成されている。図4には、主基板30に実装されている電子部品として、CPU30a、接続端子103、RWMクリアボタン104、表示手段としての表示器105などを例示している。なお、主基板30の構成などについては後に詳述する。
主基板30を収容している主基板ケース81は、ベース部材82と、カバー部材86と、を備えている。ベース部材82とカバー部材86とを組み付けることにより、その内部に、主基板30を収容する空間が形成される。
図4に示すように、ベース部材82は、左右方向に沿って延びている長方形の板状部材である。ベース部材82は、左右方向に沿って延びている長方形の嵌込凹部82aを備えている。嵌込凹部82aには、主基板30が嵌め込まれている。ベース部材82は、嵌込凹部82aの上縁部に沿って延びている上ガイド溝83Uと、嵌込凹部82aの下縁部に沿って延びている下ガイド溝83Lと、を備えている。
ベース部材82は、上ガイド溝83Uの内部に、複数の係合部83aと単数の凹部83bと、を備えている。上ガイド溝83Uの係合部83aと凹部83bは、上ガイド溝83Uが延びている方向に沿って所定の間隔を開けて並んでいる。また、ベース部材82は、下ガイド溝83Lの内部に、複数の係合部83aと単数の凹部83bと、を備えている。下ガイド溝83Lの係合部83aと凹部83bは、下ガイド溝83Lが延びている方向に沿って所定の間隔を開けて並んでいる。上ガイド溝83Uの係合部83aと下ガイド溝83Lの係合部83aは主基板30(嵌込凹部82a)を挟んで上下方向に対向しているとともに、上ガイド溝83Uの凹部83bと下ガイド溝83Lの凹部83bは主基板30(嵌込凹部82a)を挟んで上下方向に対向している。
図4に示すように、カバー部材86は、前方に向かって開口しており、且つ左右方向に沿って延びている長方形の箱状部材である。カバー部材86は、後方に向かって突出している膨出部86aを備えている。膨出部86aは、主基板30が備えている電子部品を収容する空間を確保するための部分である。また、カバー部材86は、膨出部86aの下方に、主基板30に近接した状態で広がる近接部86bを備えている。カバー部材86において、近接部86bは、膨出部86aの下壁86cと繋がっている。
カバー部材86は、上縁部に沿って延びている上ガイドリブ87Uと、下縁部に沿って延びている下ガイドリブ87Lと、を備えている。また、カバー部材86は、上ガイドリブ87Uに、複数(上ガイド溝83Uの係合部83aと同数)の係止片87aと単数の凸部87cと、を備えている。上ガイドリブ87Uの係止片87aと凸部87cは、上ガイドリブ87Uが延びる方向に沿って所定の間隔を開けて並んでいる。
また、カバー部材86は、下ガイドリブ87Lに、複数(下ガイド溝83Lの係合部83aと同数)の係止片87aと単数の凸部87cと、を備えている。下ガイドリブ87Lの係止片87aと凸部87cは、下ガイドリブ87Lが延びる方向に沿って所定の間隔を開けて並んでいる。なお、各係止片87aは、上ガイドリブ87U及び下ガイドリブ87Lの平面視においてL字型に切り欠いた切欠き部87bを形成することによって設けられている。上ガイドリブ87Uの係止片87aと下ガイドリブ87Lの係止片87aは主基板30(嵌込凹部82a)を挟んで上下方向に対向しているとともに、上ガイドリブ87Uの凸部87cと下ガイドリブ87Lの凸部87cは主基板30(嵌込凹部82a)を挟んで上下方向に対向している。
ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態において、上ガイドリブ87Uは、上ガイド溝83Uに挿入される。そして、上ガイド溝83Uにある複数の係合部83aは、それぞれ上ガイドリブ87Uにある切欠き部87bに挿入され、係止片87aと個別に係止される。また、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態において、下ガイドリブ87Lは、下ガイド溝83Lに挿入される。そして、下ガイド溝83Lにある複数の係合部83aは、それぞれ下ガイドリブ87Lにある切欠き部87bに挿入され、係止片87aと個別に係止される。これにより、ベース部材82とカバー部材86とは、係合部83aと係止片87aとの係合によって、前後方向に分離することが規制される。
また、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態では、上ガイド溝83Uにある凹部83bと、上ガイドリブ87Uにある凸部87cとが係合する。また、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態では、下ガイド溝83Lにある凹部83bと、下ガイドリブ87Lにある凸部87cとが係合する。これにより、ベース部材82とカバー部材86とは、左右方向へと相互にスライドしてしまうことが抑制される。したがって、この実施形態では、ベース部材82とカバー部材86とが左右方向へと相互にスライドすることによって、複数の係合部83aと複数の係止片87aとによる係止が解除されてしまうことを抑制できる。
また、この実施形態の主基板ケース81は、ベース部材82が備える第1カシメ部85とカバー部材86が備える第2カシメ部88とを含む不正開放防止手段を備えている。第1カシメ部85と第2カシメ部88とは、破壊することなく分離不能に固定されている。
ベース部材82は、ベース部材82の左右方向の一端部から外方へ突出する四角箱状の第1カシメ部85を備えている。第1カシメ部85は、前後方向に貫通している複数(この実施形態では2つ)の貫通孔85a,85bを備えている。一方、カバー部材86は、カバー部材86の左右方向の一端部から外方へ突出する四角箱状の第2カシメ部88を備えている。第2カシメ部88は、前後方向に貫通している複数(この実施形態では2つ)の貫通孔88a,88bを備えている。貫通孔88a,88bは、それぞれの開口部の周囲に沿って階段状に凹んでいる段部88dを備えている。
そして、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態において、第1カシメ部85にある貫通孔85aと、第2カシメ部88にある貫通孔88aとは、後方から見たときに整合一致している。また、ベース部材82とカバー部材86とを組み付けた状態において、第1カシメ部85にある貫通孔85bと、第2カシメ部88にある貫通孔88bと
は、後方から見たときに整合一致している。
図4に示すように、主基板ケース81は、第1カシメ片90を備えている。第1カシメ片90は、ベース壁90aと、該ベース壁90aの左端部及び右端部から後方に向かって突出し、且つ上下方向に沿って延びている四角板状の側壁90b,90bと、を備えている。第1カシメ片90は、側壁90b,90bのそれぞれに、係止片90c,90cを備えている。係止片90c,90cは、基端部が側壁90b,90bのそれぞれに繋がっているとともに、先端部が側壁90b,90bの間に突出している板状部材である。係止片90c,90cの基端部は、係止片90c,90cの先端部よりも、側壁90b,90bの先端部側(後方)に配置されている。係止片90c,90cは、左右方向へはそれぞれ基端部を中心として比較的容易に撓むことが可能であるが、側壁90b,90bの突出方向(前後方向)へは撓み難く、所定の強度を備えている。
また、図4に示すように、主基板ケース81は、第2カシメ片91を備えている。第2カシメ片91は、上下方向に沿って延びる四角板状のベース部91aと、該ベース部91aの前面(第1カシメ片90側の面)から前方に向かって突出するとともに、上下方向に沿って延びているロック板91bと、を備えている。ロック板91bは、該ロック板91bを厚さ方向(左右方向)に貫通するロック孔91cを備えている。この実施形態において、ロック孔91cの形状は、四角形である。
貫通孔85bには、該貫通孔85bの開口部のうち前側(パネルケース61側)の開口部から、第1カシメ片90が挿入されている。そして、貫通孔85bの内部には上下方向に沿って図示しない支持部が延在されており、第1カシメ片90のベース壁90aは支持部に係止される。この状態において、貫通孔88bには、該貫通孔88bの開口部のうち後側の開口部から、第2カシメ片91が挿入されている。この状態において、第1カシメ片90の係止片90c,90cは、第2カシメ片91のロック孔91cに挿入され、係止片90c,90cとロック孔91cとが係止された状態となっている。係止片90c,90cとロック孔91cとが係止された状態では、第1カシメ片90のベース壁90aと支持部との当接によって第2カシメ片91を貫通孔88bから引き抜くことが規制されている。同様に、係止片90c,90cとロック孔91cとが係止された状態では、第2カシメ片91のベース部91aと段部88dとの当接によって第1カシメ片90を貫通孔85bから引き抜くことが規制されている。
第1カシメ片90や第2カシメ片91を無理に引き抜いた場合には、係止片90c,90cが破壊される。このため、第1カシメ片90や第2カシメ片91を引き抜いて主基板ケース81を開封した場合には、第1カシメ片90が破壊されてしまっているために、同じ第1カシメ片90を用いて第1カシメ部85と第2カシメ部88とを固定することができない。すなわち、この実施形態の主基板ケース81は、ベース部材82とカバー部材86とを分離して開封したときに、第1カシメ部85及び第2カシメ部88において開封の痕跡を残すことができる。なお、主基板ケース81は、貫通孔85a,85bや貫通孔88a,88bを覆っている蓋部材を備えていてもよい。また、主基板ケース81は、貫通孔85aに予め第1カシメ片90を挿入しておくことで、予備の第2カシメ片91を用い、再び、第1カシメ部85と第2カシメ部88とを固定できるようにしてもよい。
カバー部材86の説明に戻り、カバー部材86は、近接部86bに、表示器105が挿通される表示器挿通孔96を備えている。この実施形態の表示器105は、表示器105が備える情報表示部(表示面)105aを正面視したときに四角形である。このため、表示器挿通孔96は、情報表示部105aの外形に対応した四角形である。そして、表示器挿通孔96の周囲における近接部86bの厚さは、他の部分におけるカバー部材86の厚さと同一又は略同一である。このため、主基板30が主基板ケース81に収容された状態
において、表示器105は、表示器挿通孔96において近接部86bの後面よりも後方へ突出している。つまり、表示器105が備える情報表示部(表示面)105aは、カバー部材86外に露出している。なお、表示器105の構成については後に詳述する。
また、カバー部材86は、接続端子103が挿通される端子孔97を備えている。端子孔97の形状は、接続端子103の外形に対応した四角形である。
また、カバー部材86は、近接部86bに、近接部86bから後方へと突出するボタン保護部99を備えている。ボタン保護部99の後面99aは、上方から見たときに、膨出部86aよりも後方に突出していない。ボタン保護部99は、RWMクリアボタン104が挿通されるボタン孔99bを備えている。そして、ボタン保護部99は、ボタン孔99bの周囲を囲っている凹部99cを備えている。主基板30が主基板ケース81に収容された状態において、RWMクリアボタン104は、上方から見たときに、ボタン保護部99の後面99aよりも後方へ突出していない。したがって、仮に主基板ユニット80の上方から遊技球が落下してきた場合であっても、該遊技球がRWMクリアボタン104に接触し難くなっている。
図5は、遊技盤YBに組み付けられた主基板ユニット80を後方から正面視した状態を示している。
この実施形態においてカバー部材86は、無色透明の樹脂成型品である。このため、主基板ケース81に収容している主基板30の実装面(カバー部材86と対向している側の面)は、主基板ケース81(カバー部材86)を透過して視認可能である。換言すれば、主基板30に実装したCPU30aなどの電子部品も、主基板ケース81(カバー部材86)を透過して視認可能である。
また、カバー部材86は、主基板30の管理番号を表示する番号表示部101を備えている。番号表示部101は、粘着面を備えるシール材に管理番号を印刷したものであり、カバー部材86の外に貼り付けられている。なお、主基板30の管理番号は、パチンコ遊技機10毎に異なる番号が付されており、どのパチンコ遊技機10にどの主基板30が搭載されているかを管理する番号である。
そして、主基板30に搭載されている表示器105は、主基板30を主基板ケース81に収容し、主基板ユニット80としてユニット化した場合でも、情報表示部105aが露出することで視認可能とされている。つまり、この実施形態において表示器105は、主基板30を主基板ケース81で覆った状態で表示状態が視認可能に搭載されている。また、図5に示すように、表示器105を搭載した位置は、主基板ケース81外に配置されている番号表示部101の位置とは上下方向に離間している。このため、表示器105の情報表示部105aは、主基板ケース81に収容している主基板30を後方から正面視したときに番号表示部101と上下方向及び前後方向の何れでも重ならない位置に配置されている。
なお、パチンコ遊技機10では、遊技盤YBの後側に組み付けられた主基板ユニット80のさらに後方に別の遊技部品は組み付けられていない。そして、主基板ケース81のカバー部材86は、少なくとも主基板30の実装面が対向する部位については他の遊技部品で覆われていない。このため、遊技盤YBを組み付けた中枠WNを開放させた場合、主基板ユニット80は露出した状態となり、図5に示すように視認可能である。したがって、中枠WNを開放させた状態においては主基板ケース81に収容している主基板30の実装面が視認可能であるとともに、番号表示部101及び表示器105の情報表示部105aがそれぞれ視認可能である。
そして、パチンコ遊技機10は、常には図1に示す施錠装置SSによって中枠WN及び
前枠WMの開放が規制されているが、遊技場の管理者が管理する枠キー(鍵)を用いて施錠装置SSを操作することで中枠WN及び前枠WMが解錠されて開放させることができる。このため、表示器105の情報表示部105aに表示される情報は、中枠WNを開放させることによって視認可能である。つまり、この実施形態において主基板30に搭載した表示器105の情報は、施錠装置SSを操作することができない遊技者の目には触れない位置に配置されていることになる。
次に、図6にしたがって、パチンコ遊技機10の電気的構成を説明する。
パチンコ遊技機10は、主基板30、払出基板31、サブ統括基板32を含む各種制御基板を備えている。
主基板30は、制御動作を所定の手順で実行することができる主制御用のCPU30aを備えている。また、演算素子としてのCPU30aは、パチンコ遊技機10における遊技の進行を制御する。CPU30aは、所定の処理を行う処理部(中央処理装置)である。この実施形態においてCPU30aは、メモリを内蔵しているとともに、該メモリには読み出し専用のROM領域と、読み書きが可能なRWM領域とが設けられている。これにより、主基板30は、図6に示すようにROM領域に相当する主制御用のROM30bと、RWM領域に相当する主制御用のRWM30cと、を備えている。なお、メモリは、CPU30aと別体であってもよい。また、主基板30は、乱数生成回路30d、及び表示器(ベースモニタ)105を備えている。なお、主基板30は、図示しないが、入出力回路、クロック生成回路などの電子部品も備えている。そして、主基板30を主基板ケース81に収容した状態において上記した電子部品は、主基板ケース81のカバー部材86を透過して視認可能である。
主基板30には、始動口スイッチS1,S2、カウントスイッチS3、ゲートスイッチS4、普通口スイッチS5,S6が接続されている。そして、CPU30aは、上記した各スイッチS1〜S6からの検知信号を受信可能である。また、CPU30aは、各種表示装置(特図表示装置23、保留表示装置24、普図表示装置25など)の表示内容を制御するとともに、アクチュエータAC1,AC2の動作を制御する。また、主基板30には、RWMクリアボタン104が接続されている。CPU30aは、RWMクリアボタン104がオン状態に操作(押込操作)されたときに送信する操作信号を受信可能である。
ROM30bには、遊技に関する処理を実行するためのメイン制御プログラム、特別図柄の変動パターン(メイン変動パターン)を特定する情報や、各種の判定値などが格納されている。メイン変動パターンは、特別図柄が変動を開始してから特別図柄が確定停止表示される迄の間の変動時間(演出時間)を特定可能である。メイン変動パターンは、大当り変動用の変動パターンと、はずれ変動用の変動パターンとに分類可能である。また、各種の判定値には、大当り抽選に用いる大当り判定値、普通図柄の当り抽選に用いる普通当り判定値などを含む。また、RWM30cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ、始動保留数など)が記憶される。つまり、CPU30aは、自身による演算結果を示すデータ(制御情報)をメモリのRWM領域に記憶させる。
CPU30aは、各種のソフトウェア乱数の値を所定の制御周期(割込み周期)毎に更新し、RWM30cに記憶させる乱数更新処理(ソフトウェア乱数生成処理)を実行する。ソフトウェア乱数には、特別図柄の大当り図柄を決定するときに用いる大当り図柄乱数、メイン変動パターンを振り分けるときに用いる変動パターン振分乱数などを含む。乱数生成回路30dは、図示しないクロック生成回路から供給される内部システムクロック(例えば10MHz)の1周期毎に値を1更新することにより、ハードウェア乱数を生成する。ハードウェア乱数は、特別図柄の大当り抽選に用いる大当り乱数や、普通図柄の当り
抽選に用いる普通当り乱数となる。
払出基板31は、制御動作を所定の手順で実行することができる払出制御用のCPU31aと、CPU31aの制御プログラムなどの制御用情報を格納する払出制御用のROM31bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる払出制御用のRWM31cと、を備えている。払出基板31は、中継端子板37を介して主基板30に接続されている。主基板30と払出基板31は、双方向に情報(制御信号)が送信されるように電気的に接続されている。払出基板31は、主基板30から送信される賞球の払出しを指示する賞球信号をもとに払出ユニットHSを駆動させ、所定個数の賞球を払出す。
主基板30から払出基板31に送信される賞球信号(賞球指定コマンド)は、賞球払出しの対象となる入賞口へ入球したことにより、その入賞口に対応する賞球数を特定可能に構成されている。例えば、第1始動口12へ入球した場合の賞球信号は賞球数として[4球]を特定可能に構成されている。なお、例えば、主基板30において払出すべき賞球数を合算した賞球総数を管理している場合、賞球信号は1球の賞球の払出しを指示するような構成とし、必要な回数分(賞球総数が零になるまで)、1球の賞球の払出しを指示する賞球信号を払出基板31に送信するようにしてもよい。賞球信号は、2バイトのデータから構成されており、1バイト目のデータと2バイト目のデータの一方が賞球の払出しを指示していることを示すデータであり、他方が賞球数を示すデータである。
パチンコ遊技機10は、電源ユニット38を備えている。電源ユニット38は、遊技場などの外部電源から供給される電源電圧を所定の電源電圧(V1)に変換するとともに、その変換後の電源電圧(V1)を主基板30や払出基板31などの各基板へ供給すべき電源電圧(V2)にさらに変換する。電源ユニット38は、複数本の電源供給線を介して各基板(主基板30や払出基板31)と接続されており、各基板は電源供給線を通じて電力供給を受けることによって動作する。電源ユニット38は、電源スイッチ(接点装置)38aを備えている。電源スイッチ38aは、オン状態及びオフ状態の何れかに切り替える操作が可能であって、切り替え後の操作状態を維持するように構成されている。この実施形態では、外部電源からパチンコ遊技機10へ電力が供給されている状態において、電源スイッチ38aをオフ状態からオン状態に操作にすると、各基板に電力が供給され、さらにオフ状態に操作すると各基板への電力供給が遮断される。したがって、パチンコ遊技機10を起動するためには、電源スイッチ38aをオン状態に操作したまま、外部電源からの電力供給を開始するか、外部電源からの電力供給をしている状態のまま、電源スイッチ38aをオフ状態からオン状態に操作にする。以下の説明では、電源スイッチ38aを操作するなどして、各基板に対して電力が供給されている状態にすることを、「電源投入」又は「電力供給を開始する」と示し、各基板に対して電力が供給されていない状態にすることを、「電源断(電源遮断)」又は「電力供給を停止する」と示す。
払出基板31には、アウトスイッチS7が接続されている。アウトスイッチ(センサ)S7は、遊技に使用された有効球(アウト球)を検知するスイッチである。CPU31aは、アウトスイッチS7からの検知信号を受信可能である。この実施形態のパチンコ遊技機10においてアウトスイッチS7は、遊技盤YBの搭載枠である中枠WNに備えられている。
パチンコ遊技機10において遊技盤YBの遊技領域YBaに打ち出され、その後に遊技領域YBaを流下案内される遊技球(有効球)は、賞球払出しの対象となる各種の入賞口へ入賞する場合、何れの入賞口にも入賞せずにアウト口21へ入球する場合、作動ゲート18を通過した後にアウト口21へ入球する場合などがある。そして、何れかの入賞口へ入賞した遊技球、及びアウト口21へ入球した遊技球は、最終的には中枠WNに搭載された案内通路を通って機外へ排出される。
このため、この実施形態のパチンコ遊技機10においてアウトスイッチS7は、入賞口へ入賞した遊技球、及びアウト口21へ入球した遊技球が集合する案内通路に配置されている。つまり、案内通路に配置されているアウトスイッチS7は、遊技盤YBのアウト口21よりも下方の位置にあり、さらに詳しく言えば、案内通路のほぼ最下流(案内通路に開口する機外への球排出口の付近)に相当する中枠WNの最下部位に位置している。
この実施形態では、アウトスイッチS7が遊技に使用された遊技球を検知する有効球検知手段に相当する。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10は、単数(単一)の有効球検知手段を備えている。また、この実施形態では、始動口スイッチS1,S2、及び普通口スイッチS5,S6が、有効球のうち、大入賞口15とは異なる入賞口としての第1始動口12、第2始動口13、及び普通入賞口16,17へ入球した遊技球を検知する入球検知手段に相当する。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10は、複数の入球検知手段を備えている。
パチンコ遊技機10は、外部接続手段としての外部端子板40を備えている。外部端子板40は、払出基板31に接続されている。払出基板31と外部端子板40は、払出基板31から一方向で情報(信号)が送信されるように払出基板31と電気的に接続されている。外部端子板40は、遊技場に設置された各パチンコ遊技機の動作状態を管理するために遊技場の管理室などに設置される外部装置としてのホールコンピュータHCとパチンコ遊技機10とを接続する基板である。外部端子板40は、複数の入力端子と複数の出力端子とを備える。そして、外部端子板40の入力端子には、払出基板31から送信される複数種類の信号を別々に受信可能となるように別々の信号線が接続されている。また、外部端子板40の出力端子には、受信した各信号を別々に送信可能となるように別々の信号線が接続される。
ここで、外部端子板40を通じてホールコンピュータHCへ送信可能な情報(信号)について説明する。
この実施形態のパチンコ遊技機10では、外部信号として、外部端子板40を通じて情報信号と、扉開放信号と、セキュリティ信号と、賞球予定信号と、賞球情報信号と、アウト信号を送信可能である。外部端子板40は、外部信号の出力を可能に構成された外部信号出力手段である。セキュリティ信号は、特定の外部信号に相当する。扉開放信号は、所定の外部信号に相当する。
情報信号は、パチンコ遊技機10の遊技に関する情報を特定可能とした信号である。例えば、これらの情報としては、大当り遊技などの状態、始動口(第1始動口12、第2始動口13)へ遊技球が入球したこと、特図変動ゲーム及び普図変動ゲームが終了したこと、などである。扉開放信号は、パチンコ遊技機10の搭載枠(前枠WM、中枠WN)が開放されたことを特定可能とした信号である。セキュリティ信号は、パチンコ遊技機10で発生したエラーを特定可能とした信号である。例えば、エラーとしては、RWMクリア、磁気エラー、振動エラー(誘導磁界検知エラー)、大入賞口不正入賞エラー、及び普通電動役物不正入賞エラーなどである。
賞球予定信号は、払出ユニットHSにより賞球の払出動作が行われたか否かに拘わらず、予め定めた一定数単位(例えば10球)の賞球としての遊技球を払出す予定がある旨を特定可能とした信号である。賞球予定信号は、賞球信号の受信を契機に計数した賞球予定球数(払出予定球数)が一定の球数(例えば10球)を超える毎に送信される。賞球情報信号は、予め定めた一定数単位(例えば10球)の賞球としての遊技球を払出した旨を特定可能とした信号である。賞球情報信号は、一定数単位の賞球としての遊技球の払出しが完了する毎に送信される。アウト信号は、アウトスイッチS7で有効球を検知する毎に計
数した有効球の数が一定の球数(例えば10球)を超える毎に送信される。
賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号は、一定時間(例えば128ms)、送信される。また、賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号は、連続して送信される場合、一定間隔(例えば128ms)をあけて送信される。なお、上記信号が送信される一定時間と一定間隔は同じ時間である。また、連続して送信される場合とは、例えばアウト信号であれば、一定時間送信されている間にアウトスイッチS7で検知された有効球の一定の球数に達している場合である。そして、この場合、アウト信号は、一定時間の経過後、一定間隔をあけて送信される。なお、このような信号の送信は、賞球予定信号及び賞球情報信号でも同じである。
賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号は、第1状態(例えばオン(Hi)状態)と第2状態(例えばオフ(Low)状態)とを取り得る2値の信号であり、具体的に言えば送信時は第1状態となり、未送信時は第2状態となる。なお、賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号がオン状態を取り得る時間は任意に変更可能であり、連続して送信される場合の間隔(オフ状態を取り得る時間)は任意に変更可能である。
また、図6に示すように、主基板30と払出基板31は、制御信号を送受信する複数本の情報信号線によって電気的に接続されている。そして、パチンコ遊技機10は、情報信号線として、主基板30から払出基板31へ制御信号を一方向で送信する情報信号線L1と、払出基板31から主基板30へ制御信号を一方向で送信する情報信号線L2と、を有する。情報信号線L1は、主基板30を基準としたとき、主基板30から払出基板31に制御信号を送信する送信線である。情報信号線L2は、主基板30を基準としたとき、主基板30が払出基板31の送信した制御信号を受信する受信線である。また、パチンコ遊技機10は、情報信号線として、情報信号線L1,L2に加え、制御信号を送受信する単数又は複数の情報信号線L3を有する。
この実施形態のパチンコ遊技機10では、情報信号線L1と情報信号線L2とを用いて、主基板30と払出基板31との間で賞球の払出しに関する制御信号を送受信する。なお、情報信号線L1と情報信号線L2は、シリアル通信線である。また、この実施形態のパチンコ遊技機10では、情報信号線L3を用いて、主基板30と払出基板31との間で賞球の払出し以外に関する制御信号を送受信する。賞球の払出し以外に関する制御信号には、例えば払出基板31を介して外部端子板40へ送信される信号である。具体的に言えば、情報信号、扉開放信号、セキュリティ信号、賞球予定信号、賞球情報信号、及びアウト信号である。
また、パチンコ遊技機10は、バックアップ機能を搭載している。この実施形態において主基板30と払出基板31は、バックアップ機能を搭載している。バックアップ機能を搭載したパチンコ遊技機10は、外部電源からの電力供給が停止した場合でも遊技制御に関する情報(以下、「遊技情報」と示す)を含む各種情報を所定期間保持し、電力供給が開始されたときには前記各種情報に基づいて復帰可能である。
遊技制御に関する遊技情報には、特図変動ゲームに関する情報、大当り遊技に関する情報、遊技状態に関する情報、賞球の払出しに関する情報を含む。特図変動ゲームに関する情報としては、例えば大当り抽選の抽選結果を特定可能な情報、特図変動ゲームの変動パターンを特定可能な情報、特図変動ゲームで導出される特別図柄を特定可能な情報などである。大当り遊技に関する情報としては、大当り遊技の進行状況を特定可能な情報などである。遊技状態に関する情報としては、確率変動状態であるかを特定可能な情報や入球率向上状態であるかを特定可能な情報などである。賞球の払出しに関する情報としては、未送信の賞球信号を特定可能な情報などである。また、所定期間は、バックアップ用電源(
例えば電気二重層コンデンサ)が放電され、そのバックアップ用電源が電力供給不能になるまでの期間である。バックアップ用電源は、電源ユニット38に搭載されている。バックアップ用電源は、各種情報のバックアップを可能に構成されたバックアップ手段である。
そして、パチンコ遊技機10に電源を供給して起動させると(復電時を含む)、主制御用のCPU30a及び払出制御用のCPU31aは、RWMの初期化指示を受けていない場合、記憶内容が正常であるかを確認し、正常であるときには記憶されている遊技制御に関する情報(記憶内容)に基づいて復帰させる処理を行う。これにより、パチンコ遊技機10は、RWMの記憶内容(電源遮断時における遊技制御に関する情報)に基づいて復帰される。記憶内容が正常であるか、異常であるかの確認は、例えばバックアップフラグの状態確認とチェックサムの一致確認によって行われる。一方で、RWMの初期化指示を受けていない場合であっても、RWMの記憶内容が異常であるときにはRWMの初期化を行って初期値を設定し、RWMの初期化指示を受けたときと同様に制御を開始する。つまり、RWMの記憶内容が異常であるときには、前述した遊技制御に関する情報は初期化される。RWMの初期化指示は、パチンコ遊技機10の電源投入時にRWMクリアボタン104をオン状態に操作することによって行うことができる。このように、RWMクリアボタン104は、遊技情報の初期化を指示する操作を可能に構成された初期化操作手段である。
また、図6に示すように、サブ統括基板32は、主基板30から一方向で情報(制御信号)が送信されるように主基板30と電気的に接続されている。サブ統括基板32は、何れも図示しないCPUと、ROMと、RWMと、を有する。サブ統括基板32のCPUは、ROMに格納されている制御プログラムにしたがって制御動作を所定の手順で実行するとともに、RWMには制御動作で生じたデータが一時的に格納される。
また、サブ統括基板32には、演出表示装置11の表示内容を制御する演出表示基板46と、装飾ランプLaの発光を制御するとともにスピーカSpの音声出力を制御する音声・ランプ基板47と、が接続されている。この実施形態のパチンコ遊技機10において、サブ統括基板32、演出表示基板46、及び音声・ランプ基板47は、主基板30から送信される制御信号をもとに主に遊技演出の制御を司る副基板42である。また、サブ統括基板32には演出ボタンBTが接続されており、演出ボタンBTからの操作信号を受信可能である。
以下、主基板30のCPU30aが、遊技を制御するために行う処理(通常処理)について説明する。
最初に、各種スイッチS1,S2,S3,S4,S5,S6からの遊技球の検知信号の受信に関する処理(受信処理(入力処理))について説明する。
主制御用のCPU30aは、第1始動口12への入球によって始動口スイッチS1からの検知信号を受信している場合、第1特別図柄の始動保留数(以下、「第1特図保留数」と示す)が上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。そして、CPU30aは、第1特図保留数が上限数未満である場合、第1特図保留数を1加算して書き換えるとともに、加算後の第1特図保留数を表示させるように第1特図保留数用の保留表示装置24を制御する。一方、CPU30aは、第1特図保留数が上限数に達している場合、第1特図保留数を加算しない。
また、CPU30aは、第2始動口13への入球によって始動口スイッチS2からの検知信号を受信している場合、第2特別図柄の始動保留数(以下、「第2特図保留数」と示す)が上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。そして、CPU30aは
、第2特図保留数が上限数未満である場合、第2特図保留数を1加算して書き換えるとともに、加算後の第2特図保留数を表示させるように第2特図保留数用の保留表示装置24を制御する。一方、CPU30aは、第2特図保留数が上限数に達している場合、第2特図保留数を加算しない。
CPU30aは、図柄変動ゲームの始動条件を成立させる始動口(第1始動口12又は第2始動口13)へ遊技球が入球し、始動保留数(第1特図保留数又は第2特図保留数)が上限数未満であるという条件の成立を契機に始動保留数を計数する計数手段である。また、保留表示装置24は、始動保留数の計数結果を表示可能な手段である。例えば、パチンコ遊技機10は、保留表示装置24として、数字を直接的に表示する装置を搭載したり、複数の発光体を備え、その点灯個数によって始動保留数を表示する装置を搭載したりしている。また、CPU30aによって計数された始動保留数は、RWM30cに記憶される特図変動ゲームに関する情報であり、電力供給が停止した場合でも保持され、さらに電力供給が開始されたときには復帰可能な情報である。つまり、パチンコ遊技機10は、例えば始動保留数として「4」を特定可能な情報を保持している場合、電力供給が開始されたときには始動保留数を「4」として復帰可能であり、復帰時の保留表示装置24には復帰した始動保留数が表示される。一方、CPU30aによって計数された始動保留数は、RWMの初期化指示によって初期化される情報である。このため、初期化された場合の保留表示装置24は、初期値である「0(零)」を示すことになる。
また、CPU30aは、始動保留数(第1特図保留数又は第2特図保留数)を加算した場合、加算後の始動保留数を特定可能な情報(保留指定コマンドなど)を副基板42に送信する。副基板42は、加算後の始動保留数を特定可能な情報を報知する。例えば、演出表示装置11の画像表示部GHには、加算後の始動保留数を特定可能な情報として保留数を示す画像が表示される。
また、CPU30aは、始動保留数の上限数未満で遊技球が入球した場合、その入球を契機に各種乱数の値を取得するとともに、該取得した各種乱数の値を特定可能な乱数情報を、RWM30cに記憶させる。乱数情報は、乱数の値によって構成されていてもよいし、乱数の値を当該値を特定可能な他の情報に変換した情報によって構成されていてもよい。また、CPU30aは、乱数情報を記憶させる場合、その乱数の値の取得契機となった遊技球の入球順序(情報の記憶順序)と、先に入球した遊技球の入球順序(情報の記憶順序)とが特定可能なようにRWM30cに記憶させる。なお、CPU30aは、乱数の値を取得する場合、大当り乱数の値を乱数生成回路30dから取得し、大当り図柄乱数の値や変動パターン振分乱数の値をRWM30cから取得する。
また、CPU30aは、始動口スイッチS1,S2、カウントスイッチS3、及び普通口スイッチS5,S6からの検知信号を受信した場合の処理において、賞球を払出すための賞球処理を行う。賞球処理では、払出基板31に送信する賞球信号(賞球指定コマンド)を生成して、送信する。賞球信号を受信した払出基板31のCPU31aは、払出ユニットHSを作動させて、賞球信号で指示された個数の遊技球を賞球として払出す。
また、CPU30aは、ゲートスイッチS4からの検知信号を受信した場合の処理において、普図変動ゲームの保留を記憶する処理や普通図柄の当り抽選などに用いる各種乱数を取得する処理を行う。なお、CPU30aは、普図変動ゲームの始動条件を成立させる作動ゲート18へ遊技球が入球し、普通図柄の始動保留数が上限数(この実施形態では4)未満であるという条件の成立を契機に普通図柄の始動保留数を計数する計数手段である。普通図柄の始動保留数は、CPU30aが制御する図示しない普通図柄保留表示装置に表示される。また、普通図柄の始動保留数は、特別図柄の始動保留数とともにRWM30cに記憶され、同様に電力供給が停止した場合でも保持される情報であって、電力供給が
開始されたときには復帰可能な情報である。また、普通図柄の始動保留数は、RWMの初期化指示によって初期化される情報である。
次に、大当り抽選の抽選結果を導出させる特図変動ゲームの実行に関する処理(特図変動処理)について説明する。なお、主制御用のCPU30aは、所定の制御周期(例えば4ms)毎に特図変動処理を実行する。
特図変動処理においてCPU30aは、特図変動ゲームの開始条件が成立したかを判定する。この判定においてCPU30aは、特図変動ゲームの実行中ではなく、且つ大当り遊技中ではない場合に開始条件が成立したと判定する一方で、特図変動ゲームの実行中、又は大当り遊技中である場合に開始条件が成立していないと判定する。そして、CPU30aは、開始条件が成立していない場合、特図変動処理を終了する。
CPU30aは、前述した開始条件が成立している場合、第2特図保留数を読み出し、その読み出した第2特図保留数が零よりも大きいかを判定する。そして、第2特図保留数が零よりも大きい場合、CPU30aは、第2特図変動ゲームを開始させるように所定の処理を行う。一方、CPU30aは、第2特図保留数が零の場合、第1特図保留数を読み出し、その読み出した第1特図保留数が零よりも大きいかを判定する。そして、第1特図保留数が零よりも大きい場合、CPU30aは、第1特図変動ゲームを開始させるように所定の処理を行う。この実施形態のパチンコ遊技機10は、第1特図変動ゲームと第2特図変動ゲームとを同時に実行させず、第2特図変動ゲームを優先的に実行させる仕様である。
なお、第1特図保留数と第2特図保留数の何れもが零の場合、CPU30aは、デモンストレーション演出(以下、「デモ演出」と示す)を実行させるための処理を行う。デモ演出は、パチンコ遊技機10が待機状態であることを例えば演出表示装置11などの装置を利用して報知し、客寄せ効果を得るための演出である。
第2特図変動ゲームを開始させる場合、CPU30aは、第2特図保留数を1減算して書き換えるとともに、減算後の第2特図保留数を表示させるように第2特図保留数用の保留表示装置24を制御する。また、CPU30aは、第2特図保留数を減算した場合、減算後の第2特図保留数を特定可能な情報(保留指定コマンドなど)を副基板42に送信する。
次に、CPU30aは、RWM30cに記憶されている乱数情報のうち、最先に記憶された乱数情報を取得する。
乱数情報を取得したCPU30aは、大当り乱数の値と大当り判定値とを比較し、大当り抽選を行う。大当り抽選においてCPU30aは、遊技状態を特定可能な情報をもとに大当り抽選時(すなわち、特図変動処理の実行時)が確率変動状態であるか、非確率変動状態であるかを判定し、その判定結果をもとに異なる当選確率で大当り抽選を行う。
大当り抽選においてCPU30aは、RWM30cから取得した大当り乱数の値が大当り判定値と一致するかを判定する。そして、大当り乱数の値と大当り判定値とが一致した場合には、大当り抽選に当選する。大当り抽選に当選した場合、CPU30aは、大当り処理を行う。具体的に言えば、CPU30aは、取得した乱数情報から特定される大当り図柄乱数の値に基づき、特別図柄の大当り図柄を決定する。この決定した大当り図柄が、特図変動ゲームにて導出される確定停止図柄となる。なお、特別図柄の大当り図柄は、大当りの種類に対応付けられている。このため、大当り図柄を決定することは大当りの種類を決定することになる。また、CPU30aは、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、大当りに当選した場合に選択可能な大当り変動用の変動パ
ターンの中から変動パターンを決定する。
また、CPU30aは、大当り抽選に当選しなかった場合、はずれ処理を行う。はずれ処理においてCPU30aは、特別図柄のはずれ図柄を決定する。この決定したはずれ図柄が、特図変動ゲームにて導出される確定停止図柄となる。また、CPU30aは、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、はずれ変動用の変動パターンを決定する。はずれ変動用の変動パターンを決定する場合、CPU30aは、リーチありの変動パターン又はリーチなしの変動パターンの何れかを決定する。
なお、CPU30aは、第1特図変動ゲームを開始させる場合、前述した第2特別図柄の制御と同様の制御を第1特別図柄を対象にして行う。つまり、CPU30aは、第1特別図柄の始動保留数の減算、大当り抽選、大当り抽選の結果に基づく大当り処理又ははずれ処理を行う。
また、CPU30aは、特図変動ゲームの実行に関する処理として、前述した処理の結果をもとに、副基板42に遊技演出の制御を指示する制御情報(制御コマンド)を生成する処理を行う。当該処理で生成された各種の制御情報は、CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副基板42に送信される。
CPU30aは、特図変動ゲームを開始させる場合、制御情報として図柄変動ゲームを開始させることを特定可能な変動開始コマンド(変動開始情報)を生成する。変動開始コマンドには、前述した大当り処理又ははずれ処理において決定した変動パターンを特定可能な情報も含む。また、CPU30aは、特図変動ゲームを開始させる場合、制御情報として特別図柄を特定可能な特図コマンド(特図情報)を生成する。特別図柄の大当り図柄は大当りの種類と対応していることから、特図情報によって大当りの種類が特定可能である。このため、特図コマンドは、当否を特定可能な情報でもあり、また大当りの種類を特定可能な情報でもある。
また、CPU30aは、特図変動ゲームを開始させてからの経過時間が所定の変動時間(変動パターンに定められている時間)に達した場合、制御情報として特図変動ゲームを終了させることを特定可能な変動停止コマンド(変動終了情報)を生成する。なお、主制御用のCPU30aは、特図変動ゲームを開始させる場合、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動を開始させるように特図表示装置23の表示内容を制御するとともに、変動時間の計測を開始する。そして、CPU30aは、決定したメイン変動パターンに定められている変動時間の経過時に、決定している特別図柄を導出させるように特図表示装置23の表示内容を制御する。
特図変動ゲームの変動パターンには、特図変動ゲームの変動時間(特別図柄を導出するまでの時間)が規定されている。パチンコ遊技機10は、変動時間を異ならせた複数種類の特図変動ゲームの変動パターンを備えている。特図変動ゲームの変動パターンのうち、大当り変動用及びはずれ変動用のリーチありの変動パターンの変動時間は、はずれ変動用のリーチなしの変動パターンの変動時間に比して長い時間に規定されている。これは、演出図柄の図柄変動ゲームにおいてリーチ演出が行われない変動の時間を長くすることによって遊技の消化(始動保留球の消化)を妨げないようにしているからである。はずれ変動用の変動パターンの変動時間は、比較的短い時間に規定されており、例えば通常遊技時(低確かつ低ベース)において5000〜10000ms程度の時間である。また、例えば通常遊技時以外(高確時や高ベース時)では、通常遊技時よりもさらに短い時間が規定されており、例えば1000〜3000ms程度の時間である。また、変動開始時の始動保留数によって変動時間を短縮させる機能を搭載している場合は、例えば通常遊技時においても例えば1000ms程度の変動時間が規定されている短縮変動の変動パターンが決定
される場合もある。
次に、大当り抽選に当選したことによって行われる大当り遊技の進行に関する処理について説明する。
この実施形態の大当り遊技は、大当り遊技の開始に伴うオープニングと、大入賞口15を開放させるラウンド遊技と、大当り遊技の終了に伴うエンディングと、から構成されている。つまり、大当り遊技は、オープニング→ラウンド遊技→エンディングというように段階的に進行する。そして、CPU30aは、大当り遊技の進行に関する処理として、副基板42に遊技演出の制御を指示する制御情報(制御コマンド)を生成する処理と、大入賞口15を開放及び閉鎖させる処理を行う。前記処理で生成された各種の制御情報は、CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副基板42に送信される。
次に、遊技状態に関する処理について説明する。
この処理においてCPU30aは、制御情報として遊技状態を特定可能な制御情報を生成する。前記処理で生成された各種の制御情報は、CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副基板42に送信される。
ここで、図7にしたがって、この実施形態のパチンコ遊技機10における遊技状態を説明する。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、確率変動機能を備えている。確率変動機能は、大当り遊技の終了後に大当り抽選の当選確率を低確率(通常確率)から高確率に変動させる確率変動状態を付与することができる機能である。確率変動状態は、大当り抽選の当選確率が低確率である非確率変動状態に比して、大当り抽選に当選し易く、遊技者にとって有利な遊技状態である。確率変動状態は、例えば、次回、大当り抽選に当選するまで付与される。
また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、入球率向上機能を備えている。入球率向上機能は、特定始動口としての第2始動口13への単位時間当たりの遊技球の入球率を向上させる入球率向上状態を付与することができる機能である。入球率向上状態は、所謂「電サポ状態」、「高ベース状態」である。なお、以下の説明では、入球率向上状態が付与されていない状態を「非入球率向上状態」と示す場合がある。非入球率向上状態は、所謂「非電サポ状態」、「低ベース状態」である。
入球率向上状態は、例えば次に示す4つの制御のうち任意に選択された1の制御を実行すること、又は複数の制御を組み合わせて実行すること、により実現できる。第1の制御は、普図変動ゲームの変動時間を、非入球率向上状態のときよりも短くする普通図柄の変動時間短縮制御である。第2の制御は、普通図柄の当り抽選に当選する確率(普通当り確率)を、非入球率向上状態のときよりも高確率に変動させる普通図柄の確率変動制御である。第3の制御は、普通図柄の当り抽選に当選したことに基づく第2始動口13の合計開放時間を、非入球率向上状態のときよりも長くする開放時間延長制御である。なお、開放時間延長制御としては、普通図柄の当り抽選に当選したことに基づく第2始動口13の開放回数を、非入球率向上状態のときよりも多くする制御、及び普通図柄の当り抽選に当選したことに基づく第2始動口13の1回の開放時間を非入球率向上状態のときよりも長くする制御のうち、少なくとも一方の制御を実行するとよい。第4の制御は、特別図柄変動ゲームの変動時間(例えば平均の変動時間)を、非入球率向上状態のときよりも短くなり易くする特別図柄の変動時間短縮制御である。特別図柄の変動時間短縮制御を実行する場合、入球率向上状態は、所謂「変動時間短縮状態(時短状態)」となる。
入球率向上状態は、例えば、次回、大当り抽選に当選するまで、又は入球率向上状態が
付与されてから規定上限回数(例えば100回)の特図変動ゲームが実行されるまで、若しくは規定上限回数に達する前に大当り抽選に当選するまで付与される。なお、第1特別図柄と第2特別図柄を用いるパチンコ遊技機10の場合、規定上限回数は第1特図変動ゲームと第2特図変動ゲームとの合算回数である。
そして、パチンコ遊技機10の遊技状態は、確率変動状態の有無と入球率向上状態の有無との組み合わせによって規定することができる。
具体的に言えば、遊技状態には、確率変動状態が付与されておらず、さらに入球率向上状態が付与されていない第1遊技状態(図7の「低確+低ベース」)と、確率変動状態は付与されていないが、入球率向上状態が付与されている第2遊技状態(図7の「低確+高ベース」)と、がある。また、遊技状態には、確率変動状態は付与されているが、入球率向上状態が付与されていない第3遊技状態(図7の「高確+低ベース」)と、確率変動状態が付与されているとともに入球率向上状態も付与されている第4遊技状態(図7の「高確+高ベース」)と、がある。
パチンコ遊技機10において遊技状態が変化する契機には、第1の状態変化契機と、第1の状態変化契機とは異なる第2の状態変化契機と、がある。
第1の状態変化契機は、大当り抽選に当選することである。パチンコ遊技機10において大当り遊技中の遊技状態は、低確かつ低ベースである。このため、低確かつ低ベース以外の遊技状態中に大当り抽選に当選した場合は、その当選によって付与される大当り遊技の開始に伴って遊技状態が低確かつ低ベースに変化する。
また、大当り抽選に当選したときに決定される大当りの種類には大当り遊技の終了後の遊技状態を対応付けている。具体的に例示すると、大当りの種類として第1大当りと第2大当りとを備えている場合に、第1大当りに当選したときには大当り遊技の終了後が高確かつ高ベースとなり、第2大当りに当選したときには大当り遊技の終了後が低確かつ高ベースとなる。大当りの種類は、大当り抽選に当選したことによって決定されることから、前述した例示のように大当り遊技の終了後の遊技状態の変化契機は、大当り抽選に当選したことであると言える。
第2の状態変化契機は、確率変動状態及び入球率向上状態のうち少なくとも何れか一方が付与されている場合に確率変動状態及び入球率向上状態の終了条件が成立することである。具体的に例示すると、上記した第2大当りに当選したときの入球率向上状態の終了条件に規定上限回数(例えば100回)の特図変動ゲームが実行されるまでという条件を含む場合、規定上限回数に達するまでの間に大当り抽選に当選しなかったときには規定上限回数に達したことで「高ベース」から「低ベース」となる。
なお、パチンコ遊技機10には、例えば確率変動状態を、大当り遊技中に、遊技盤YBに予め定められている特定領域に遊技球を通過させることを付与条件としている仕様がある。この仕様における遊技状態の状態変化契機は、遊技球が特定領域を通過したか否かである。また、この実施形態では、パチンコ遊技機10が備える遊技状態として低確かつ低ベースと、低確かつ高ベースと、高確かつ低ベースと、高確かつ高ベースと、を挙げているが、パチンコ遊技機10が何れの遊技状態を取り得るかはパチンコ遊技機10の仕様によって異なる。例えば、パチンコ遊技機10は、低確かつ低ベースと、低確かつ高ベースと、高確かつ高ベースと、を取り得る仕様としてもよい。
そして、遊技状態に関する処理においてCPU30aは、遊技状態を特定可能な状態指定コマンド(遊技状態情報)を生成する。生成された遊技状態情報は、例えば電源投入時(復電時)や遊技状態の変遷時などに副基板42へ送信される。例えば、大当り遊技終了後の遊技状態を高確かつ高ベースとする場合、大当り遊技の終了に伴って高確かつ高ベー
スを特定可能な状態指定コマンドが副基板42へ送信される。また、CPU30aは、入球率向上状態の付与期間をゲーム回数で管理する場合、実行された特図変動ゲームの回数をカウントし、入球率向上状態の終了条件が成立したときに入球率向上状態の終了を特定可能な状態指定コマンドとして終了コマンド(遊技状態情報)を生成する。
また、図7には、各遊技状態においてパチンコ遊技機10で行われる遊技の分類を示している。
具体的に言えば、低確かつ低ベースでは、特図変動ゲームの始動条件が成立することによって特図変動ゲームが行われるとともに、普図変動ゲームの始動条件が成立することによって普図変動ゲームが行われる。また、低確かつ低ベースでは、特別図柄の大当り抽選に当選したことによって大当り遊技が行われる。また、その他の低確かつ高ベース、高確かつ低ベース、及び高確かつ高ベースでも、特図変動ゲームや普図変動ゲームが行われる。この明細書では、図7に示すように、遊技状態が低確かつ低ベースであって、大当り遊技が行われていないときの遊技を第1遊技(通常遊技)とする。一方で、この明細書では、図7に示すように、遊技状態が低確かつ低ベースであって、大当り遊技が行われているときの遊技、及び低確かつ低ベース以外の遊技状態での遊技を、通常遊技以外の第2遊技とする。このうち、大当り遊技が行われているときの遊技は特別遊技に相当する。
また、CPU30aは、前述した処理の他にも以下に説明する処理を行う。例えば、CPU30aは、普通図柄の当り抽選の抽選結果を導出させる普図変動ゲームの実行に関する処理(普図変動処理)を実行する。普図変動処理においてCPU30aは、普通当り乱数を用いた普通図柄の当り抽選、その抽選結果をもとに普図変動ゲームで導出する普通図柄の決定、及び普図変動ゲームの変動パターンの決定を行う。また、CPU30aは、上記した決定事項にしたがって普図表示装置25にて普図変動ゲームを実行させる処理、及び普通図柄の当り抽選に当選した場合には普図変動ゲームの終了後に第2始動口13を所定の開放パターンで開放させる処理を行う。
普図変動ゲームの変動パターンには、普図変動ゲームの変動時間(普通図柄を導出するまでの時間)が規定されている。パチンコ遊技機10は、変動時間を異ならせた複数種類の普図変動ゲームの変動パターンを備えていてもよい。複数種類の普図変動ゲームの変動パターンを備える場合、これらの変動パターンは、同一の遊技状態において決定可能な変動パターンを複数としてもよいし、遊技状態に応じて変動時間が異なる変動パターンを決定可能とし、変動パターンを複数備えるようにしてもよい。普図変動ゲームの変動パターンに規定する変動時間は、例えば、「低ベース」であれば6000ms、「高ベース」であれば1000msとし、高ベース時には普通図柄が導出されるまでの時間を短縮してもよい。
また、パチンコ遊技機10は、第2始動口13の開放パターンとして開放態様を異ならせた複数種類の開放パターンを備えていてもよい。複数種類の開放パターンを備える場合、これらの開放パターンは、同一の遊技状態において決定可能な開放パターンを複数としてもよいし、遊技状態に応じて開放態様が異なる開放パターンを決定可能とし、開放パターンを複数備えるようにしてもよい。開放態様は、開放時間と開放回数の組み合わせによって規定することができる。具体的に例示すれば、380msで1回開放させる開放パターンと、4500msで1回開放させる開放パターンとでは、開放時間が異なることによって開放態様が異なる。また、380msで1回開放させる開放パターンと、380msで3回開放させる開放パターンとでは、開放回数が異なることによって開放態様が異なる。そして、開放パターンとしては、例えば、「低ベース」であれば380msの1回開放とし、「高ベース」であれば4500msの1回開放とし、高ベース時には第2始動口13へ入球し易くしてもよい。
なお、上記した普図変動ゲームの変動パターンや、第2始動口13の開放パターンは、パチンコ遊技機10の仕様に応じて任意に設定可能である。そして、パチンコ遊技機10では、普図変動ゲームの変動パターンや第2始動口13の開放パターンを複数備える場合、決定可能な変動パターンの種類や開放パターンの種類は遊技状態毎に設定され、遊技状態が変化することによって決定可能な変動パターンの種類や第2始動口13の開放パターンの種類も変更される。
また、CPU30aは、デモ演出に関する処理では、保留されている特別図柄の図柄変動ゲームが存在せずにデモ演出の実行条件が成立した場合、制御情報として待機状態になることを特定可能なデモコマンド(待機状態情報)を生成する。このデモコマンドは、CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副基板42に送信される。なお、デモ演出は、遊技状態に関係なく行われる。つまり、デモ演出は、例えば遊技状態が低確かつ低ベースであるとき、遊技状態が高確かつ高ベースであるときの何れでも、デモ演出の実行条件(特図保留数が零)が成立することによって行われる。また、エラーに関する処理では、パチンコ遊技機10で生じた各種のエラーを検知することによって報知を行わせるなどの処理を行う。また、エラーに関する報知も、遊技状態に関係なく行われる。
次に、副基板42が実行する各種処理について説明する。副基板42は、主制御用のCPU30aから制御コマンドを受信すると、その制御コマンドに応じて各種処理を実行する。
最初に、演出図柄変動処理について説明する。
演出図柄変動処理において、副基板42の1つであるサブ統括基板32のCPUは、特図コマンドを受信すると、特図コマンドにより指定された特別図柄に基づき、演出図柄の図柄変動ゲームで導出させる演出図柄の組み合わせを決定する。サブ統括基板32のCPUは、特別図柄の大当り図柄が指定された場合には、演出図柄による大当りの組み合わせを決定する。また、サブ統括基板32のCPUは、特別図柄のはずれ図柄が指定された場合には、変動開始コマンドから特定されるメイン変動パターンに基づき、演出図柄の図柄変動ゲームで導出させる演出図柄の組み合わせを決定する。具体的に言えば、サブ統括基板32のCPUは、リーチありのはずれ変動用のメイン変動パターンが指定されたときには、リーチ形成図柄を含むはずれの組み合わせを決定する。また、サブ統括基板32のCPUは、リーチなしのはずれ変動用のメイン変動パターンが指定されたときには、リーチ形成図柄を含まないはずれの組み合わせを決定する。
この実施形態において演出図柄の図柄変動ゲームは、左列、中列、右列からなる3列の演出図柄による組み合わせを導出させる。そして、演出図柄の図柄変動ゲームでは、所定の複数列(この実施形態では左列と右列の2列)に同一の演出図柄が導出されることによってリーチが形成され、残りの列(この実施形態では中列の1列)を導出させるためのリーチ演出が行われる。このため、所定の複数列に導出された同一の演出図柄がリーチ形成図柄となり、リーチ形成図柄を含むはずれの組み合わせは所定の複数列が同一の演出図柄であって、残りの列が所定の複数列の演出図柄とは異なる演出図柄である組み合わせとなる。また、リーチ形成図柄を含まないはずれの組み合わせは所定の複数列が異なる図柄であって、残りの列については所定の複数列の演出図柄との一致性を問わない組み合わせとなる。因みに、この実施形態の大当りの組み合わせは、全列の演出図柄が同一の演出図柄となる組み合わせである。つまり、大当りの組み合わせにも、リーチ形成図柄を含んでいる。
また、サブ統括基板32のCPUは、変動開始コマンドを受信すると、当該コマンドから特定可能なメイン変動パターンの種類をもとに、演出表示装置11(画像表示部GH)
の表示内容などを制御するためのサブ変動パターンを決定する。サブ変動パターンは、演出図柄の図柄変動ゲームの演出内容を特定可能である。サブ統括基板32のCPUは、決定した演出図柄及び決定したサブ変動パターンを特定可能な情報をそれぞれ演出表示基板46のCPU及び音声・ランプ基板47のCPUに送信する。
演出表示基板46のCPUは、サブ変動パターンで特定される演出内容で演出図柄の図柄変動ゲームが表示されるように演出表示装置11(画像表示部GH)の表示内容を制御する。また、音声・ランプ基板47のCPUは、演出図柄の図柄変動ゲームの開始に伴い、当該図柄変動ゲームに付随する発光演出や音声演出を行わせるように装飾ランプLaの発光態様やスピーカSpの音声出力態様を制御する。
そして、演出表示基板46のCPUは、メイン変動パターンから特定される変動時間の経過により、演出図柄の図柄変動ゲームを終了させ、演出図柄の組み合わせを導出させるように画像表示部GHの表示内容を制御する。なお、この実施形態では、変動停止コマンドの受信を契機として、演出図柄の図柄変動ゲームを終了させているが、演出表示基板46のCPUの制御によりメイン変動パターンから特定される変動時間を計時し、演出図柄の図柄変動ゲームを終了させるようにしてもよい。つまり、主基板30から変動停止コマンドを送信せずに、演出図柄の図柄変動ゲームの終了を制御してもよい。
なお、演出表示装置11の制御において演出表示基板46のCPUは、実行させる画像演出を選択し、その選択した画像演出に必要なデータをROMから読み出す。なお、演出表示基板46には、演出表示装置11に表示させるキャラクタ画像データ、具体的には人物、文字、図形又は記号(飾り図柄を含む)を予め格納したキャラクタROMを備え、キャラクタROMから必要なデータを読み出してもよい。そして、演出表示基板46のCPUは、読み出したデータをVDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に出力する。VDPは、入力されたデータに基づいて表示制御を実行し、画像表示部GHに画像を表示させる。
上記のように構成したこの実施形態のパチンコ遊技機10は、ベース値を計数し、その計数したベース値を報知するベース報知機能を搭載している。
ベース値は、有効球の総数に対する賞球の総数の割合を示す値である。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10は、ベース値として通常遊技時における有効球の総数に対する通常遊技時における賞球の総数を示すベース値を計数し、そのベース値を所定の報知態様で報知する機能を搭載している。通常遊技は、図7に示したように、この明細書においては低確かつ低ベースであって、大当り遊技が行われていないときの遊技である。また、ベース値は、通常遊技時における有効球の総数と通常遊技時における賞球の総数とを比較したときの割合、つまり比率である。そして、後に詳述するが、報知されるベース値は、大当り遊技中ではないことを前提として、(低確かつ低ベース時(低確時短無)の賞球の総数÷低確かつ低ベース時の有効球の総数)×100の計算式によって計数(計算)された数値である。なお、以下の説明において単に「ベース」又は「ベース値」と記載した場合は、特に断りがない限り、上記計算式で計数した通常遊技時のベース値を表すものとする。この実施形態では、CPU30aによってベース値を計数することが、ベース値計数手段に相当する。
最初に、図8にしたがって、ベース値を報知する手段としてのモニタについて説明する。
この実施形態のモニタは、図5に示した情報表示部105aを有する表示器105である。表示器105は、図4及び図5を用いて説明したように、主基板30に搭載されており、パチンコ遊技機10を組み付けた状態において中枠WNを開放させることによって情報表示部105aの表示内容を外部から視認可能である。
表示器105は、7つの発光ダイオード(LED)を全体として[8(数値)]の字に配置して7つのセグメント(部分)を構成した所謂、7セグメントLEDを含む表示要素を4つ備えている。表示要素は、第1表示要素D1、第2表示要素D2、第3表示要素D3、第4表示要素D4である。また、表示器105は、第1〜第4表示要素D1〜D4毎に、7つのセグメントを構成する7つのLEDに加え、ドットを表示するLEDを1つずつ備えている。これにより、表示器105の第1〜第4表示要素D1〜D4は、7つのセグメントによる数字などを表示可能な部分と、ドットを表示可能な部分と、を備えている。ドットを表示可能な部分は、7つのセグメントによる数字などを表示可能な部分に対し、図8に示すように情報表示部105aを正面視した場合の右下に位置している。そして、この実施形態の表示器105は、4つの表示要素(第1〜第4表示要素D1〜D4)を横並びに配置している。
この実施形態の表示器105には、第1〜第4表示要素D1〜D4が備える各8つのLEDを点灯及び消灯させる駆動回路が内蔵されている。なお、主基板30には、表示器105の駆動回路を別体として搭載してもよいし、この実施形態のように駆動回路とユニット化した表示器105として搭載してもよい。
図9(a),(b)は、表示器105によるベース値の報知例を示している。
この実施形態の表示器105は、第1〜第4表示要素D1〜D4のうち、2つの表示要素を一組とし、その一組の表示要素で所定の情報を報知するように構成されている。具体的に言えば、第1表示要素D1と第2表示要素D2とが組となり、この2つの表示要素の表示の組み合わせで1つの情報を構成し、第3表示要素D3と第4表示要素D4とが組となり、この2つの表示要素の表示の組み合わせで1つの情報を構成する。
第3,第4表示要素D3,D4は、ベース値を表示する。ベース値は、[00]〜[99]までの2桁の数字によって表され、100以上の場合は[99.]というように第4表示要素D4にドットを表示して表される。
一方で、第1,第2表示要素D1,D2は、第3,第4表示要素D3,D4に表示されたベース値を識別する識別子を表示する。この実施形態のパチンコ遊技機10は、ベース値を識別する識別子として[bL.]と[b6.]とを備えている。識別子[bL.]は、第1表示要素D1にアルファベットの[b]を表示するとともに第2表示要素D2にアルファベットの[L]とドットとを表示することによって構成される。また、識別子[b6.]は、第1表示要素D1にアルファベットの[b]を表示するとともに第2表示要素D2に数字の[6]とドットとを表示することによって構成される。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、表示器105の表示状態(表示内容)として第1表示状態と第2表示状態とを備えている。第1表示状態と第2表示状態は、何れの表示状態もベース値を表示するものであるが、表示されるベース値の種別が異なる。この実施形態において第1表示状態と第2表示状態は、それぞれ、第1,第2表示要素D1,D2の識別子と第3,第4表示要素D3,D4のベース値との組み合わせによって構成されている。
具体的に言えば、図9(a)に示す、[bL.36]は、後に詳述するが、所定の計数周期で計数されたベース値を表示しており、この実施形態では表示器105の表示状態が第1表示状態であるときの表示である。また、図9(b)に示す、[b6.36]は、後に詳述するが、所定期間で計数されたベース値の最終のベース値を表示しており、この実施形態では表示器105の表示状態が第2表示状態であるときの表示である。このように表示器105では、ベース値とともに当該ベース値の識別子を並べて表示することで、表
示されているベース値の種別を識別可能である。
識別子[bL.]は第1表示状態に対応した表示であるとともに[b6.]は第2表示状態に対応した表示であるが、ベース値[XX(X:数字)]はそれぞれの表示状態において変動する表示である。図9(a)、(b)に示したベース値[36]は単なる例示であり、この値は前述したように変動値である。この実施形態では、第3,第4表示要素D3,D4によってベース値を構成するベース表示部を構成し、第1,第2表示要素によってベース表示部に表示されているベース値の識別子を表示する識別子表示部を構成している。
また、図10に示すように、この実施形態において表示器105の表示状態は、所定の周期毎(図中に示す時間T毎)に切り替わる。具体的に言えば、表示器105は、第1表示状態を時間Tの間、維持した後、時間Tの経過によって第2表示状態に切り替わり、その第2表示状態を時間Tの間、維持した後、時間Tの経過によって再び第1表示状態に切り替わり、以降は第2表示状態→第1表示状態→第2表示状態→・・を繰り返す。このように2つの表示状態を所定の周期毎に切り替えることで、1つの表示器105で、異なる情報を報知することが可能である。なお、時間Tは、例えば4〜6秒程度である。
なお、図10は、表示器105の表示状態として第1表示状態→第2表示状態→第1表示状態→・・というように切り替わる順を例示したが、第2表示状態→第1表示状態→第2表示状態→・・というように切り替わる順としてもよい。この実施形態の表示器105は、電源投入後に表示を開始するが、そのときに最初に表示される表示状態は第1表示状態又は第2表示状態の何れでもよい。
以下、図11及び図12にしたがって、この実施形態のパチンコ遊技機10に搭載されているベース報知機能の具体的な制御内容をその作用とともに説明する。
制御内容には、大別して、ベース値の計数に関する制御と、ベース値の表示に関する制御と、がある。これらの制御は、主基板30のCPU30aが行う。
CPU30aは、ベース値を計数するにあたって、次に説明する3つの数を計数し、その計数値をCPU30aのRWM領域(RWM30c)に格納する。
具体的に言えば、CPU30aは、第1の数として、パチンコ遊技機10から通常遊技時に払出された賞球の総数を計数する。以下、第1の数を「通常時賞球数」と示す。通常時賞球数は、RWM領域に設定されている所定の領域に格納され、通常時賞球数を格納する領域は通常遊技時に払出された賞球の総数のカウンタ(以下、「通常時賞球カウンタ」と示す)として機能する。また、CPU30aによって通常遊技時に払出された賞球の総数を計数することが、通常時賞球計数手段に相当する。
また、CPU30aは、第2の数として、通常遊技時における有効球の総数を計数する。以下、第2の数を「通常時有効球数」と示す。通常時有効球数は、RWM領域に設定されている所定の領域に格納され、通常時有効球数を格納する領域は通常遊技時における有効球の総数のカウンタ(以下、「通常時有効球カウンタ」と示す)として機能する。また、CPU30aによって通常遊技時における有効球の総数を計数することが、通常時有効球計数手段に相当する。
また、CPU30aは、第3の数として、全ての遊技状態における有効球の総数を計数する。以下、第3の数を「全状態時有効球数」と示す。全状態時有効球数は、RWM領域に設定されている所定の領域に格納され、全状態時有効球数を格納する領域は全ての遊技状態における有効球の総数のカウンタ(以下、「全状態時有効球カウンタ」と示す)として機能する。また、CPU30aによって全ての遊技状態時における有効球の総数を計数
することが、全状態時有効球計数手段に相当する。
ここで、通常時賞球数、通常時有効球数、及び全状態時有効球数を計数する処理を具体的に説明する。
CPU30aのRWM領域(RWM30c)は、遊技状態を特定可能な情報(フラグ)を格納する領域(以下、「状態格納領域」と示す)と、大当り遊技中であるかを特定可能な情報(フラグ)を格納する領域(以下、「大当り格納領域」と示す)と、を備えている。状態格納領域には、現在の遊技状態に応じた情報が格納される。例えば、現在の遊技状態が「低確かつ低ベース」であれば当該遊技状態を特定可能な情報が格納されるとともに、現在の遊技状態が高確かつ高ベースであれば当該遊技状態を特定可能な情報が格納される。また、大当り格納領域には、大当り遊技中であれば大当り遊技中であることを特定可能な情報が格納されるとともに、大当り遊技中でなければ大当り遊技中でないことを特定可能な情報が格納される。
通常時賞球数は、状態格納領域の情報と大当り格納領域の情報とから通常遊技であること、つまり低確かつ低ベースであって、大当り遊技中ではないことを特定できる場合、CPU30aが計数する。このとき、CPU30aは、大入賞口15を除く賞球払出しの対象となる入賞口へ遊技球が入球する毎にその入球した入賞口に対応する賞球数を通常時賞球カウンタに累積加算する。具体的に言えば、CPU30aは、始動口スイッチS1の検知信号を受信した場合は第1始動口12の賞球数を累積加算するとともに、始動口スイッチS2の検知信号を受信した場合は第2始動口13の賞球数を累積加算する。また、CPU30aは、普通口スイッチS5の検知信号を受信した場合は普通入賞口16の賞球数を累積加算するとともに、普通口スイッチS6の検知信号を受信した場合は普通入賞口17の賞球数を累積加算する。
通常時有効球数は、状態格納領域の情報と大当り格納領域の情報とから通常遊技であること、つまり低確かつ低ベースであって、大当り遊技中ではないことを特定できる場合、CPU30aが計数する。このとき、CPU30aは、有効球が発生する毎に1を通常時有効球カウンタに累積加算する。具体的に言えば、CPU30aは、アウトスイッチS7の検知信号を受信する毎に1を累積加算する。
全状態時有効球数は、状態格納領域の情報と大当り格納領域の情報が如何なる内容の情報、つまり何れの遊技状態であっても、さらに大当り遊技中であるとき又は大当り遊技中ではないときであっても、CPU30aが計数する。このとき、CPU30aは、有効球が発生する毎に1を全状態時有効球カウンタに累積加算する。具体的に言えば、CPU30aは、アウトスイッチS7の検知信号を受信する毎に1を累積加算する。
そして、CPU30aは、全状態時有効球数が所定数に達した場合、その達した時点で計数されている通常時賞球数を、RWM領域に設定されている所定の領域に格納する。このときに通常時賞球数を格納する領域は全状態時有効球数が所定数に達したときに計数されている通常時賞球数を記憶するバッファ(以下、「通常時賞球バッファ」と示す)として機能する。そして、CPU30aによって全状態時有効球数が所定数に達したときに計数されている通常時賞球数を記憶することが、賞球記憶手段に相当する。
また、CPU30aは、全状態時有効球数が所定数に達した場合、その達した時点で計数されている通常時有効球数を、RWM領域に設定されている所定の領域に格納する。このときに通常時有効球数を格納する領域は全状態時有効球数が所定数に達したときに計数されている通常時有効球数を記憶するバッファ(以下、「通常時有効球バッファ」と示す)として機能する。そして、CPU30aによって全状態時有効球数が所定数に達したときに計数されている通常時有効球数を記憶することが、有効球記憶手段に相当する。
通常時賞球数と通常時有効球数は、所定の条件の成立時にCPU30aが零クリアする。具体的に言えば、CPU30aは、全状態時有効球数が所定数に達したことで通常時賞球カウンタの通常時賞球数を通常時賞球バッファに格納したことで、通常時賞球カウンタを零クリアする。また、CPU30aは、全状態時有効球数が所定数に達したことで通常時有効球カウンタの通常時有効球数を通常時有効球バッファに格納したことで、通常時有効球カウンタを零クリアする。なお、所定数は、ベース値を計数する基準となる数値(有効球の数)であり、例えば60000である。このため、CPU30aは、全状態時有効球カウンタの計数値を参照し、その計数値から全状態時有効球数が所定数に達したことを特定した場合に通常時賞球数と通常時有効球数をそれぞれのバッファに格納するとともにそれぞれのカウンタを零クリアする。つまり、全状態時有効球数は、全状態時有効球カウンタの計数値から全状態時有効球数が所定数に達したか否かを制御的に判断することができれば、例えば所定数として定めた60000を計数する毎に零クリアして零から再び計数してもよい。また、全状態時有効球数は、全状態時有効球カウンタの計数値から全状態時有効球数が所定数に達したか否かを制御的に判断することができれば、例えばCPU30aが60000の倍数に達したことを所定数に達したこととして判断することで、零クリアせずに継続して計数してもよい。
そして、CPU30aは、通常時賞球カウンタの通常時賞球数と通常時有効球カウンタの通常時有効球数を用いて表示器105が第1表示状態であるときに表示するベース値を計数する。つまり、CPU30aは、所定の計数周期毎に通常時賞球カウンタの計数値と通常時有効球カウンタの計数値を取得し、(低確かつ低ベース時(低確時短無)の賞球の総数÷低確かつ低ベース時の有効球の総数)×100の計算式によって計数(計算)する。この実施形態では、このときに計数されるベース値が第1ベース値に相当する。また、第1ベース値は、全状態時有効球数が所定数に達するまでに計数されるベース値である。以下の説明では、通常時賞球カウンタの通常時賞球数と通常時有効球カウンタの通常時有効球数を用いて計数するベース値を「第1ベース値」と示す。なお、第1ベース値は、低確かつ低ベースであって、大当り遊技中ではないときの通常遊技時のベース値である。
また、CPU30aは、通常時賞球バッファの通常時賞球数と通常時有効球バッファの通常時有効球数を用いて表示器105が第2表示状態であるときに表示するベース値を計数する。つまり、CPU30aは、所定数に達する毎に格納される通常時賞球バッファの値と通常時有効球バッファの値を取得し、(低確かつ低ベース時(低確時短無)の賞球の総数÷低確かつ低ベース時の有効球の総数)×100の計算式によって計数(計算)する。この実施形態では、このときに計数されるベース値が第2ベース値に相当する。また、第2ベース値は、全状態時有効球数が所定数に達したときのベース値である。以下の説明では、通常時賞球バッファの通常時賞球数と通常時有効球バッファの通常有効数を用いて計数するベース値を「第2ベース値」と示す。なお、第2ベース値は、低確かつ低ベースであって、大当り遊技中ではないときの通常遊技時のベース値である。
以下、前述したベース値の計数に関する制御で計数したベース値を表示器105に表示する制御について説明する。
表示器105の表示状態である第1表示状態と第2表示状態のそれぞれは、全状態時有効球数に応じた表示態様で制御される。
図11に示す、時点X1〜X2までの期間は、全状態時有効球数が0(零)から球数Y1(例えば300球)に達するまでの期間である。時点X1は、工場出荷時などのテストにおいてパチンコ遊技機10に初めて電源が投入された初回投入の時点である。全状態時有効球数の計数は、初回投入の時点で有効球の発生によって計数される。
時点X1〜X2の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には[−−(バー)]が点灯表示される。また、時点X1〜X2の期間において表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には[−−(バー)]が点灯表示される。
表示器105の表示状態は、時点X1〜X2の期間においても、図10を用いて説明したように所定の周期で切り替わる。また、識別子の点滅表示は、例えば点灯0.3秒、消灯0.3秒の周期0.6秒で行われる。また、時点X1〜X2の期間でベース表示部に表示される[−−]は、ベース値を報知していないことを意味する。なお、この実施形態においてCPU30aは、時点X1〜X2までの期間中、通常時賞球数及び通常時有効球数を計数するが、第1ベース値を計数しない。また、CPU30aは、時点X1〜X2までの期間中、全状態時有効球数が所定数に達していないことから、第2ベース値を計数しない。換言すれば、CPU30aは、所定数に達していないので第2ベース値を計数することができない。
図11に示す、時点X2〜X3までの期間は、全状態時有効球数が球数Y1を超えてから球数Y2(例えば6000球)に達するまでの期間である。
時点X2〜X3の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には計数された第1ベース値B1(図中は[34]を例示している)が点灯表示される。CPU30aは、パチンコ遊技機10の初回投入後、全状態時有効球数が球数Y1を超えることによって第1ベース値の計数を開始する。この実施形態において識別子[bL.]は、第1ベース値を識別する第1識別子に相当する。また、時点X2〜X3の期間において表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には[−−(バー)]が点灯表示される。つまり、時点X2〜X3の期間における第2表示状態は、時点X1〜X2の期間における第2表示状態と同一の表示である。
図11に示す、時点X3〜X4までの期間は、全状態時有効球数が球数Y2を超えてから球数Y3(例えば60000球)に達するまでの期間である。球数Y3は、第2ベース値を計数する契機となる所定数に一致する数である。
時点X3〜X4の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が点灯表示されているとともにベース表示部には計数された第1ベース値B1(図中は[34]を例示している)が点灯表示される。CPU30aは、全状態時有効球数が球数Y1を超えることによって第1ベース値の計数を開始していることから、時点X2〜X4の期間において表示器105が第1表示状態のときに表示される第1ベース値は計数結果によって変動し、同じ数値を表示する場合もあれば、異なる数値を表示する場合もある。また、時点X3〜X4の期間において表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には[−−(バー)]が点灯表示される。つまり、時点X3〜X4の期間における第2表示状態は、時点X1〜X3の期間における第2表示状態と同一の表示である。
以上の説明は、パチンコ遊技機10の初回投入〜全状態時有効球数が初めて所定数に達するまでの表示器105の表示に関する制御である。なお、CPU30aのRWM領域(RWM30c)は、ベース値の表示を制御する情報(フラグ)を格納する領域を備えている。この領域には、初回投入後、全状態時有効球数が球数Y1に達するまでの期間であることを特定可能な情報と、初回投入後、全状態時有効球数が最初に所定数に達するまでの期間であることを特定可能な情報と、が格納されるようになっている。また、前記領域には、全状態時有効球数が最初に所定数を超えた以降の期間であることを特定可能な情報が
格納されるようになっている。これらの情報をもとにCPU30aは、表示器105の表示を制御する。
以下、パチンコ遊技機10の初回投入後、最初に所定数に達した以降の表示に関する制御を説明する。
図11に示す、時点X4〜X5までの期間は、全状態時有効球数が0(零)〜球数Y2(例えば6000球)に達するまでの2回目の期間である。
時点X4〜X5の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には計数された第1ベース値B2(図中は[36]を例示している)が点灯表示される。また、時点X4では、1回目の期間である時点X1〜X4において全状態時有効球数が所定数に達していることから、第2ベース値が計数可能な状態である。このため、時点X4以降、表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が点灯表示されるとともにベース表示部には計数された第2ベース値B1f(図中は[34]を例示している)が点灯表示される。第2ベース値B1fは、前回(この例示では1回目)の計数で所定数に達したときのベース値に相当する。第2ベース値(ベース値B1f)の表示は、今回(2回目)、所定数に達するまでの間、第2表示状態において継続して表示される。この実施形態において識別子[b6.]は、第2ベース値を識別する第2識別子に相当する。
図11に示す、時点X5〜X6までの期間は、全状態時有効球数が球数Y2を超えてから球数Y3(例えば60000球)に達するまでの2回目の期間である。
時点X5〜X6の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が点灯表示されているとともにベース表示部には計数された第1ベース値B2(図中は[36]を例示している)が点灯表示される。なお、第1ベース値B2は、計数結果によって変動し、同じ数値を表示する場合もあれば、異なる数値を表示する場合もある。
図12に示す、時点X6〜X7までの期間は、全状態時有効球数が0(零)〜球数Y2(例えば6000球)に達するまでの3回目の期間である。
時点X6〜X7の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には計数された第1ベース値B3(図中は[32]を例示している)が点灯表示される。また、時点X6では、2回目の期間である時点X4〜X6において全状態時有効球数が所定数に達していることから、第2ベース値が計数可能な状態である。このため、時点X6以降、表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が点灯表示されるとともにベース表示部には計数された第2ベース値B2f(図中は[36]を例示している)が点灯表示される。第2ベース値B2fは、前回(この例示では2回目)、所定数に達したときのベース値に相当する。第2ベース値(ベース値B2f)の表示は、今回(3回目)、所定数に達するまでの間、第2表示状態において継続して表示される。
図12に示す、時点X7〜X8までの期間は、全状態時有効球数が球数Y2を超えてから球数Y3(例えば60000球)に達するまでの3回目の期間である。
時点X7〜X8の期間において表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が点灯表示されているとともにベース表示部には計数された第1ベース値B3(図中は[32]を例示している)が点灯表示される。なお、第1ベース値B3は、計数結果によって変動し、同じ数値を表示する場合もあれば、異なる数値を表示する場合もある。
そして、図12に示す、時点X8からのn回目の期間は、前述した2回目の期間及び3回目の期間と同様に表示器105における表示の制御を繰り返す。つまり、全状態時有効球数が球数Y2に達するまでの間、表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL
.]が所定の周期で点滅表示されるとともにベース表示部には計数された第1ベース値Bn(図中のXXは計数された任意の数値)が点灯表示される。また、全状態時有効球数が球数Y2を超えてから球数Y3に達するまでの間、表示器105は、第1表示状態のとき、識別子[bL.]が点灯表示されているとともにベース表示部には計数された第1ベース値Bnが点灯表示される。
また、表示器105は、第2表示状態のとき、識別子[b6.]が点灯表示されるとともにベース表示部には計数された第2ベース値Bn−1f(図中のXXは計数された任意の数値)が点灯表示される。第2ベース値Bn−1fは、前回(この例示ではn−1回目)、所定数に達したときのベース値に相当する。第2ベース値(ベース値Bn−1f)の表示は、今回(n回目)、所定数に達するまでの間、第2表示状態において継続して表示される。
以上、説明したように、表示器105の表示に関する制御は、全状態時有効球数が所定数(例えば60000球)に達するまでを1回の制御単位としている。そして、パチンコ遊技機10の初回投入から最初に全状態時有効球数が所定数に達するまでの1回目の期間では、全状態時有効球数が所定数よりも小さい一定数(例えば300球)に達するまでの間、第1ベース値が表示されない(図中に示す[−−])。また、全状態時有効球数が所定数に達するまでの各期間において、第1ベース値を識別する第1識別子は、所定数よりも小さい特定数(例えば6000球)に達するまでは点滅表示され、特定数に達してからは点灯表示されることから、特定数に達するまでと達してからとで異なる表示態様で表示される。また、図11に示す1回目の期間では、第2ベース値が計数不能であり、パチンコ遊技機10は第2ベース値を保持していない状態である。一方、図11及び図12に示す2回目以降の期間では、第2ベース値が計数可能であり、パチンコ遊技機10は第2ベース値を保持している状態である。このため、第2ベース値を識別する第2識別子は、第2ベース値を保持していない場合には点滅表示され、第2ベース値を保持している場合には点灯表示されることから、第2ベース値を保持している場合と保持していない場合とで異なる表示態様で表示される。
なお、表示器105のベース表示部に表示されるベース値(第1ベース値と第2ベース値)は、前述した計算式によって計数され、その計数結果が表示されるが、表示器105のベース表示部に表示可能な値は2桁である。このため、表示器105のベース表示部には、計数されたベース値を四捨五入した値が表示される。この実施形態では、計数後の小数点第1位を四捨五入し、四捨五入後の値を表示する。また、四捨五入後の値が10未満の場合、ベース値の十の位(第3表示要素D3に表示される値)には[0]を表示する(例えば[09]と表示する)。また、この実施形態では、四捨五入後の値が100以上の場合、ベース表示部には、図12に示すようにベース値として[99.]を表示する。
次に、CPU30aのRWM領域(RWM30c)を初期化する初期化処理について説明する。初期化処理は、バックアップされている遊技情報を初期化する初期化制御に相当する。CPU30aは、初期化制御を可能に構成された初期化制御手段である。
RWM領域の初期化は、パチンコ遊技機10の電源投入時に初期化手段であるRWMクリアボタン104を操作することによって行うことができる。CPU30aは、RWMクリアボタン104の操作によって初期化指示を受けると、RWM領域に記憶している情報、すなわちパチンコ遊技機10への電力供給が停止した場合でも保持されている情報を原則、初期化するが、ベース値に関する情報を格納している領域の初期化は行わない。つまり、CPU30aは、RWMクリアボタン104の操作によって初期化指示を受けると、各種情報のうち遊技情報を格納している領域の初期化を行なう。これに対して、CPU30aは、RWMクリアボタン104の操作によって初期化指示を受けても、ベース値の計
数に必要な情報、及びベース値の表示に必要な情報を格納している領域の初期化を行わず、ベース値の計数に必要な情報をそのまま保持する。具体的に言えば、CPU30aは、通常時賞球カウンタ、通常時有効球カウンタ、全状態時有効球カウンタ、通常時賞球バッファ、及び通常時有効球バッファに相当するRWM領域の各領域を初期化しない。また、CPU30aは、ベース値の表示を制御する情報を格納するRWM領域の各領域を初期化しない。換言すれば、この実施形態のパチンコ遊技機10では、RWMクリアボタン104の操作によるベース値に関する情報の初期化は不能とされている。
これにより、電源供給が開始されたときの表示器105には、電力供給が停止した際に表示されていたベース値の表示が復帰する。つまり、表示器105の識別子表示部及びベース表示部の表示内容は、電力供給が開始されると、電力供給が停止したときの状態に復帰する。上記した表示器105の表示内容が復帰することは、ベース値の表示が復帰することを意味し、電力供給が開始されたときに表示器105の表示状態(第1表示状態と第2表示状態)を電力供給が停止したときと同じ表示状態に戻すことを意味するものではない。そして、表示器105の表示内容の復帰は、パチンコ遊技機10の電源投入が幾度となく繰り返される場合であっても、同様に復帰する。なお、電力供給が停止することには、例えば遊技場の営業時間の終了によって遊技場の管理者がパチンコ遊技機10への電力供給をOFFする場合や、遊技場の営業時間中に例えば停電などの発生によってパチンコ遊技機10への電力供給が強制的に遮断される場合などを含む。
なお、RWM領域は、CPU30aが初期化指示を受けていないときであっても、記憶内容が異常、つまり電源供給が停止したときと同じ状態で復帰できないときには初期化される。この場合の初期化では、RWM領域に異常が発生していることから、遊技制御に関する情報とともにベース値の計数に必要な情報及びベース値の表示に必要な情報も、初期化される。ベース値の計数に必要な情報及びベース値の表示に必要な情報が初期化された場合、これらの情報はパチンコ遊技機10の初回投入の状態に戻ることから、電源供給が開始されたときの表示器105は、図11に示す時点X1からと同じ表示を行うことになる。つまり、CPU30aは、ベース値の計数に必要な情報及びベース値の表示に必要な情報が初期化されることで、パチンコ遊技機10の初回投入と同様にベース値の計数に関する制御とベース値の表示に関する制御を行う。これにより、表示器105には、例えば図11に示す時点X1〜X2の期間であれば、第1表示状態及び第2表示状態の何れでも識別子が点滅表示されるとともにそれぞれのベース値として[−−]が点灯表示される。
また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、ベース値を報知する機能を搭載しているが、計数したベース値がどのような値を取り得ても、パチンコ遊技機10におけるその他の制御には何ら影響を与えていない。つまり、パチンコ遊技機10では、ベース値と直接的な関わりはなく、その他の制御が行われる。換言すれば、ベース値を報知する機能を搭載していないパチンコ遊技機で行われる各種の制御は、ベース値を報知する機能を搭載しているパチンコ遊技機10においてもベース値に関係なく同様に行われ、ベース値の計数及び表示に関する制御とその他の制御は独立して行われる。
例えば、特別図柄に関する制御(大当り遊技を含む)、普通図柄に関する制御(第2始動口13を開放する普通図柄の当り遊技を含む)、遊技状態(確率変動状態、入球率向上状態)に関する制御、賞球の払出しに関する制御、エラー報知に関する制御など、主基板30に関する制御はベース値に関係なく行われる。また、副基板42に関する制御はベース値に関係なく行われる。副基板42に関する制御は、例えば、演出図柄の図柄変動ゲームに関する制御(モード演出なども含む)、装飾ランプLaの発光演出に関する制御、スピーカSpの音声演出に関する制御、演出ボタンBTに関する制御、演出用の可動体を備えている場合には可動体による可動演出に関する制御など、がある。また、スピーカSpの音量を調整する機能や装飾ランプLaの光量を調整する機能など、遊技者のカスタマイ
ズ機能をパチンコ遊技機10に搭載している場合、これらのカスタマイズ機能に関する制御もベース値に関係なく行われる。
また、このパチンコ遊技機10に搭載したベース値を報知する機能には、表示器105の表示態様を変更することが含まれている。具体的に言えば、識別子の点滅表示と点灯表示が切り替わることによる表示態様の変更や、第1表示状態と第2表示状態が切り替わることによる表示態様の変更である。このように表示器105の表示態様が変更される場合であっても、その変更に何ら影響を受けることなくパチンコ遊技機10の遊技は継続して行うことが可能であり、また副基板42の制御による演出(例えば演出ボタンBTの操作やカスタマイズ機能による操作など)も継続して行うことが可能である。また、図11及び図12を用いて説明したように、表示器105の表示態様は全状態時有効球数に応じて変更されるが、その変更タイミングにおいて表示器105の表示態様が変更されることは何ら報知されない。例えば、演出表示装置11を用いて表示器105の表示態様が変更されることは報知されない。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10において表示器105は主基板30に搭載されており、主基板30には表示器105以外の表示器(7セグメントLEDによる表示器など)は搭載されていない。
したがって、この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1−1)通常遊技時のベース値を計数し、その計数したベース値を報知する機能を搭載した。パチンコ遊技機10は、大当り遊技中や入球率向上状態中などの有利遊技中は賞球を容易に獲得し得る傾向にあり、その結果、これらの遊技を考慮したベース値は比較的高めである。一方、通常遊技では、賞球を獲得するために主に第1始動口12や普通入賞口16,17へ遊技球を入球させて賞球の払出条件を成立させる必要がある。このため、通常遊技時のベース値を報知する機能を搭載することで、通常遊技時において遊技者がどの程度の割合で賞球を獲得しているかを直接的に知り得ることが可能である。したがって、上記機能を搭載することで、パチンコ遊技機10に関する有用な情報となり得る通常遊技時のベース値を報知することができ、その報知によって有用な情報を得ることができる。
(1−2)また、通常遊技時のベース値の計数及び報知(表示)は、パチンコ遊技機10にアウトスイッチS7を搭載したことで実現可能である。このため、通常遊技時のベース値をパチンコ遊技機10毎に、かつパチンコ遊技機10から直接得ることができるようになる。その結果、例えばパチンコ遊技機10から機外に排出される有効球を検出する手段を遊技機設置設備に設置し、その検知結果を例えばホールコンピュータHCに送信してベース値を得るなどの仕組みに比較して構成を簡素化することができる。また、パチンコ遊技機10自体で通常遊技時のベース値を得られることで、その得られた情報をもとに各パチンコ遊技機10で何らかの報知又は演出を行うことも可能であり、拡張性又は柔軟性に富んだ仕組みを構築することができる。
(1−3)通常遊技時のベース値を報知する手段(表示器105)を、主基板30に搭載した。主基板30は、不正対策の観点からパチンコ遊技機10の後側であっても、比較的視認性の高い状態で配置されている。このため、表示器105自体の視認性を向上させることもできる。また、主基板30のCPU30aによって表示器105を直接制御することができ、表示器105の報知の信頼性を維持又は向上させることができる。例えば副基板42などに搭載して制御する場合、ベース値を計数するために必要な情報、又はベース値を表示するために必要な情報を主基板30から副基板42に送信する必要がある。このため、送信過程において例えば情報の欠落や受信不能などの通信エラーが発生してしまうと、表示器105による報知の信頼性を損なわせる可能性がある。
(1−4)また、主基板30は、バックアップ機能を搭載している。このため、パチン
コ遊技機10への電力供給が停止した場合でも、電力供給が再開された際にはベース値の計数結果を電力供給が停止したときの状態に復帰させることができる。特に、遊技場の営業時間中に不慮の停電などが生じた場合でも、ベース値の計数に関する情報を失うことなく、復旧後はベース値の計数結果を電力供給が停止したときの状態に復帰させることができる。その結果、ベース値を営業時間を通して、かつ日を跨いで継続的に計数することができ、情報の信頼性を向上させることができる。
(1−5)また、この実施形態のパチンコ遊技機10では、ベース値の計数に関する情報をRWMクリアボタン104の操作によるRWM領域の初期化の対象外としている。つまり、電源投入時にRWM領域の初期化の指示を受けても初期化しない。このため、ベース値の計数結果は、パチンコ遊技機10をRWM領域の初期化を行って起動させても、電力供給が停止したときの状態に復帰させることができる。その結果、ベース値を営業時間を通して、かつ日を跨いで継続的に計数することができ、情報の信頼性を向上させることができる。
(1−6)主基板30は、不正対策の観点から個々に管理番号を付し、その管理番号は例えば管理番号を印刷したシール(番号表示部101)などを主基板ケース81に貼り付けることで明示されている。そして、表示器105は、その情報表示部105aが番号表示部101と重ならないように主基板30に配置されている。このため、表示器105及び番号表示部101のそれぞれの視認性を損なわせることなく、ベース値を報知することができる。
(1−7)また、主基板30に搭載した表示器105は、主基板ケース81で覆われているので、外部から表示器105へ容易にアクセスできない構成とすることができる。また、主基板ケース81は、不正開放防止手段を備えており、この観点からも外部から表示器105へ容易にアクセスできない構成とすることができる。したがって、表示器105の交換や構造変更などを容易にできないようにすることができる。また、表示器105は、主基板ケース81で覆われることで、例えばパチンコ遊技機10が備える球タンクなどから落下した遊技球の衝突や、その衝突による故障などを抑制することができる。
(1−8)図11及び図12に示すように、全状態時有効球数に応じて識別子及びベース値を異なる表示態様で表示させることで、現在、表示器105に表示されている情報の意味合いを視覚的に又は直感的に捉えることができ、表示器105の視認性を向上させることができる。例えば、第1識別子を所定数(球数Y3)よりも小さい特定数(球数Y2)に達するまでと特定数に達してからとで異なる表示態様とすることで、現在、表示されているベース値を計数する際の有効球の総数を把握することができる。
(1−9)また、図11に示すように、1回目の期間において、全状態時有効球数が一定数(球数Y1)に達するまではベース値を計数せずに表示させないが、表示器105には[−−]を表示している。図11に示す時点X1〜X2は、主に工場出荷時のテストにおいてパチンコ遊技機10に電源を投入したことを想定したものである。このため、信頼性の低い状態でのベース値の計数や表示を行うことなく、その一方で第3,第4表示要素D3,D4には[−−]を表示させることで表示器105の初期不良などをテストすることも可能である。
(1−10)また、図11に示すように、第2識別子は、パチンコ遊技機10が第2ベース値を保持している場合と第2ベース値を保持していない場合、すなわち1回目の期間である場合と2回目以降の期間である場合とで異なる表示態様で表示させる。これにより、現在、表示器105に表示されている情報の意味合いを視覚的に又は直感的に捉えることができ、表示器105の視認性を向上させることができる。
(1−11)表示器105の表示状態として、第1ベース値と第1識別子を表示する第1表示状態と、第2ベース値と第2識別子を表示する第2表示状態と、を備える。これにより、意味合いの異なる情報を単一の表示器105によって報知することができ、複数の表示器を用いる場合に比して主基板30の構成を簡素化することができる。
(1−12)そして、表示器105の表示状態である第1表示状態と第2表示状態は、所定の周期後に切り替えられる。このため、例えば遊技場の管理者などが表示器105を確認する場合でも、複数の情報を視認するにあたって表示状態をわざわざ切り替える操作を行う必要がなく、容易である。また、表示状態を切り替える手段を備える必要がないので、主基板30や表示器105の構成を簡素化することができる。
(1−13)外部端子板40は、アウトスイッチS7によって検知された有効球が一定の球数に達する毎に情報を送信する端子を備えている。これにより、外部装置(ホールコンピュータHC)を前記端子に接続することで、有効球に関する情報を外部にも送信することができる。このため、有効数の総数に関する情報を外部でも得ることができる。
(1−14)また、アウトスイッチS7によって検知された有効球が一定の球数に達する毎に送信される情報は、一定時間送信されるとともに、一定時間の間にさらに一定の球数に達したときには一定時間の経過後、一定間隔をあけて送信される。このため、前記情報を一定の球数(有効球)毎の情報として、外部装置に確実に受信させることができる。
(第2の実施形態)
次に、パチンコ遊技機に具体化した第2の実施形態を図13〜図23にしたがって説明する。以下に説明する実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成及び同一制御内容についてはその重複する説明を省略又は簡略する。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、大当り確率を定めた複数通りの設定値の中から何れかの設定値に変更して設定する設定機能を搭載している。この実施形態において、大当り確率は、特別遊技(大当り遊技)に関する有利度合いに相当し、設定値は、特別遊技に関する有利度合いを定めた設定情報に対応する。
図13に示すように、主基板30は、表示器105に加え、設定器106を備えている。つまり、表示器105と設定器106は、同一基板に実装されている。設定器106は、有利度合いを定めた複数の設定情報のうち何れかの設定情報を内部制御に用いる内部的な情報として設定する契機を与える変更契機手段である。また、設定器106は、特別遊技に関する有利度合いを定めた設定情報に関する操作を可能に構成された設定操作手段である。この実施形態の設定器106は、設定情報の変更又は確認を許容する設定制御モード(設定変更モード又は設定確認モード)へ移行するかの許可及び禁止を選択的に指示できる。設定制御モードの詳細については後述する。設定キーによる操作は、例えば遊技場の管理者による人的操作である。
この実施形態の設定器106は、RWMクリアボタン104とは別の操作手段である。設定器106は、主基板30に固定される基端部106cと、図示しない設定キー(鍵)を差し込む鍵穴106aを有する円柱状のシリンダ106bを備えている。鍵穴106aは、シリンダ106bの先端面に開口している。設定器106は、設定キーを鍵穴106aに差し込んだ状態で所定方向へ回動させたオン状態と、前記所定方向へ回動させていないオフ状態のうち、何れかの操作状態(指示状態)に切り替える操作を可能に構成されている。設定キーを用いて設定器106をオン状態にした状態が第1操作状態に相当し、設定キーを用いて又は用いないで設定器106をオフ状態にした状態が第2操作状態に相当
する。そして、設定器106は、設定キーを用いた切り替え後の操作状態(オン状態又はオフ状態)を、人的操作なしに戻ることなく、そのまま維持するように構成されている。なお、設定器106は、オフ状態に切り替えた操作状態でなければ、鍵穴106aから設定キーを抜くことができないように構成されている。
主基板ケース81を構成するカバー部材86には、設定器106のシリンダ106bが挿通される設定器挿通孔108を備えている。設定器挿通孔108は、設定器106のシリンダ106b(先端面)の外形に対応した円形である。主基板30が主基板ケース81に収容された状態において、シリンダ106bの先端面は、設定器挿通孔108において膨出部86aの後面と面一(又は略面一)である。すなわち設定器106は、シリンダ106bの先端面(鍵穴106a)のみが主基板ケース81から露出されている一方で、その他の部分は主基板ケース81に覆われている。
この実施形態において、電源スイッチ38aとRWMクリアボタン104の間の距離は、電源スイッチ38aと設定器106の間の距離、及びRWMクリアボタン104と設定器106の間の距離に比して狭い。つまり、RWMクリアボタン104は、設定器106に比して、電源スイッチ38aに近接している。このため、遊技場の管理者は、RWMクリアボタン104と電源スイッチ38aを同時に操作し易い一方で、設定器106とRWMクリアボタン104や、設定器106と電源スイッチ38aとを同時に操作し難い。
パチンコ遊技機10は、パチンコ遊技機10が設定変更を許容する設定変更モードへ移行しているときに、複数の設定値を選択的に指示する設定スイッチを備えている。設定スイッチは、設定情報の変更を指示する操作を可能に構成された変更操作手段である。設定スイッチは、押しボタン式に限らず、レバー式、ダイアル式など、任意に変更してもよい。また、設定スイッチの操作は、例えば遊技場の管理者による人的操作である。この実施形態の設定スイッチは、RWMクリアボタン104と兼用されている。つまり設定変更モードにおいて、RWMクリアボタン104は設定スイッチとして機能する。なお、設定スイッチは、エラー報知を解除するときに操作するエラー解除スイッチを設ける場合であれば、RWMクリアボタン104ではなくエラー解除スイッチと兼用されていてもよい。エラー解除スイッチは、エラー報知の終了を指示する操作を可能に構成された終了操作手段である。また、設定スイッチは、RWMクリアボタン104といった他のスイッチと兼用せず、専用の操作手段であってもよい。設定スイッチは、主基板30に設けられている。
設定器106及び設定スイッチは、中枠WNを開放したときに遊技場の管理者が設定器106及び設定スイッチの操作部分をアクセス可能なように、前記操作部分は表示器105の情報表示部105aと同様に主基板ケース81から露出されている。また、設定器106及び設定スイッチは、表示器105と同様にパチンコ遊技機10の施錠装置SSを操作することができない遊技者の目に触れない位置に配置されている。
図14に示すように、主基板30には、RWMクリアボタン104が接続されている。CPU30aは、設定スイッチとしても機能するRWMクリアボタン104の操作信号を受信可能である。RWMクリアボタン104の操作信号は、RWMクリアボタン104がオン状態に操作されていることを検知して出力する検知信号(情報)である。また、主基板30には、設定器106が搭載されている。CPU30aは、設定器106の操作信号を受信可能である。設定器106の操作信号は、設定器106がオン状態に操作されていることを検知して出力する検知信号(情報)である。
主基板30には、磁気スイッチ(センサ)S8、振動スイッチ(センサ)S9、及び枠スイッチ(センサ)S10が接続されている。CPU30aは、各スイッチS8〜S10からの検知信号を受信可能である。磁気スイッチS8は、磁気を検知する磁気検知手段で
あり、磁気を検知すると検知信号を送信する。振動スイッチS9は、振動を検知する振動検知手段であり、振動を検知すると検知信号を送信する。例えば、各スイッチS8,S9は、遊技盤YBの裏側に設けられている。枠スイッチS10は、外枠WSに対する搭載枠(中枠WN及び前枠WM)の開放を検知すると検知信号(以下、「枠開放信号」と示す)を送信する。
図15に示すように、この実施形態のパチンコ遊技機10では、複数の設定情報として大当り抽選の大当り確率を設定可能である。具体的に言えば、この実施形態のパチンコ遊技機10は、複数の設定情報として第1設定値(図中の[01])と第2設定値(図中の[02])と第3設定値(図中の[03])を備えている。第1設定値[01]は、大当り確率K1を設定する情報であり、第2設定値[02]は、大当り確率K2を設定する情報であり、第3設定値[03]は、大当り確率K3を設定する情報である。図15の例示では、大当り確率K1<大当り確率K2<大当り確率K3の順に高確率であり、大当り抽選に当選し易くなっている。大当り確率K1〜K3は、非確率変動状態時の低確率と確率変動状態時の高確率とをセットにしたものである。なお、何れの設定値に基づく大当り確率を設定したとしても、パチンコ遊技機10においては大当りの種類に対応する特別図柄の振分け、変動パターンの振分け、確率変動状態への突入率(確変割合)は、一定であって差異がない。
例えば、大当り確率K1は、低確率であるときに318.14分の1であり、高確率であるときに106.05分の1である。例えば、大当り確率K2は、低確率であるときに292.57分の1であり、高確率であるときに97.52分の1である。例えば、大当り確率K3は、低確率であるときに277.69分の1であり、高確率であるときに92.56分の1である。ここに示す大当り確率K1〜K3は、あくまで例示であり、適宜変更してもよい。また、設定値は、設定[01]〜[03]の3段階であることに限定されず、2段階であってもよく、4段階以上であってもよい。
図16に示すように、この実施形態では、設定値に関する制御を行う設定制御モード(設定制御状態)として、設定値の確認と変更が許容される設定変更モード(設定変更状態)と、設定値の確認が許容されるが変更は許容されない設定確認モード(設定確認状態)と、を備えている。
パチンコ遊技機10は、設定器106の操作状態とRWMクリアボタン104の操作状態との組み合わせに応じて、設定変更モードと設定確認モードの何れかに移行可能である。設定変更モードは、設定器106を設定キーでオン状態に操作し、かつRWMクリアボタン104をオン状態に操作しながら電源を投入したときに移行可能であって、パチンコ遊技機10が設定値の変更を許容する設定変更状態へ移行するモードである。設定変更モードでは、設定スイッチを操作することによって設定する設定値を選択することができる。設定変更状態は、複数の設定値のうち何れかの設定値に変更して設定可能な制御状態である。設定変更モードでは、各種の報知が行われる。
設定変更モードへ移行する場合、パチンコ遊技機10は、RWM領域(RWM30c)の初期化も合わせて行う。この実施形態におけるRWM領域の初期化処理は、第1の実施形態と同様に、遊技制御に関する遊技情報を格納している領域を対象としており、ベース値の計数に必要な情報及びベース値の表示に必要な情報のほか、設定値に関する情報を格納している領域の初期化は行わない。ここで、設定値に関する情報とは、パチンコ遊技機10に設定されている現在の設定値を特定可能な情報である。つまり、パチンコ遊技機10が設定変更状態へ移行しても、ベース値の計数に必要な情報及びベース値の表示に必要な情報と、設定されている設定値はそのまま保持される。設定変更モード(設定変更状態)は、設定器106を設定キーでオフ状態に操作すると終了する。このように、この実施
形態において、バックアップされている遊技情報は、設定変更状態へ移行する場合には初期化される一方で、バックアップされているベース値及び設定値は、設定変更状態へ移行する場合には初期化されない。
一方、設定確認モードは、設定器106を設定キーでオン状態に操作し、RWMクリアボタン104をオン状態に操作せずに電源を投入したときに移行可能であって、パチンコ遊技機10が現在設定されている設定値を報知する設定確認状態へ移行するモードである。設定確認状態は、複数の設定値のうち、その時点において設定されている設定値を確認できるように表示手段(後述するように、この実施形態では表示器105)を制御する制御状態である。この実施形態において、設定変更状態及び設定確認状態は、設定値に関する制御を行う設定制御状態である。設定制御状態は、通常制御状態とは異なる制御状態である。設定確認モードにおいてパチンコ遊技機10は設定値の変更を許容しない。つまり、設定確認モードでは、設定スイッチを操作しても設定値を変更することはできない。設定確認モードでは、各種の報知が行われる。設定確認モードへ移行する場合、パチンコ遊技機10は、RWM領域(RWM30c)の初期化を行わない。設定確認モード(設定変更状態)は、設定器106を設定キーでオフ状態に操作すると終了する。
なお、設定器106を設定キーでオン状態に操作せず(オフ状態に操作し)、かつRWMクリアボタン104をオン状態に操作しながら電源を投入したときには、設定変更状態及び設定確認状態へ移行せず、RWMの初期化のみが行われる。また、設定器106を設定キーでオン状態に操作せず、かつRWMクリアボタン104をオン状態に操作せずに電源を投入したときには、設定変更状態及び設定確認状態へ移行せず、かつRWMの初期化も行われない。
そして、図17に示すように、この実施形態のパチンコ遊技機10は、設定制御モード(設定制御状態)において設定値を報知する手段として設定モニタを備えている。この実施形態では、主基板30に搭載されている表示器105を、第1の実施形態で説明したベース値を報知する手段と設定制御モードにおいて設定値を報知する設定モニタとで兼用している。なお、設定モニタは、表示器105とは別の表示手段と兼用されていてもよく、設定情報を報知する手段として専用の表示手段であってもよい。
図17には、表示器105による設定値の報知例を示している。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、表示器105の表示状態(表示内容)として、第1の実施形態における第1表示状態及び第2表示状態に加えて、設定値を報知する表示を行う第3表示状態を備えている。この実施形態において第3表示状態は、ベース値及び識別子の何れも表示しない状態である。表示器105では、電源投入されたときに設定変更モード又は設定確認モードの何れかへの移行条件が成立している場合、表示器105の情報表示部105aに現在設定されている設定値を報知する表示を行う。具体的に言えば、第1表示要素D1に[−]を表示し、第2表示要素D2に[−]を表示し、第3,第4表示要素D3,D4に設定値を示す値を表示する。例えば、第1設定値を報知する表示は[−−01]であり、第2設定値を報知する表示は[−−02]であり、第3設定値を報知する表示は[−−03]である。
設定変更モードでは、設定スイッチが操作される毎に、現在選択されている設定値が第1設定値→第2設定値→第3設定値→第1設定値・・・というように、ループするように切り替えられる。これに伴って、設定変更モードでは、現在設定中である設定値を報知する表示が[−−01]→[−−02]→[−−03]→[−−01]・・・というように、ループするように切り替わる。その一方で、設定確認モードでは、現在設定されている設定値を報知する表示が継続され、設定スイッチの操作によっては現在設定されている設定値が切り替えられず、かつ表示内容も変化しない。
そして、表示器105では、設定器106がオフ状態に操作されることで設定変更モード又は設定確認モードが終了すると、第1の実施形態において説明したベース値を報知するように、表示内容が切り替わる。この実施形態では、設定変更モード又は設定確認モードの何れかに移行しているとき、表示器105の表示を、設定値を特定可能な表示のみとする。つまり、設定変更モード又は設定確認モードの何れかに移行しているとき、表示器105には、ベース値に関する情報を表示しない。
この実施形態では、表示器105が設定情報を表示する設定情報表示部として機能する。表示器105は、情報表示手段に相当する。表示器105において、第1,第2表示状態であるときに表示される数値は、ベース値を特定可能な第1情報に相当し、第3表示状態であるときに表示される数値は、設定値を特定可能な第2情報に相当する。すなわち、表示器105は、第1情報を表示する表示手段と、第2情報を表示する表示手段として兼用されている。換言すれば、ベース値に関する情報を表示する表示手段と、設定情報に関する情報を表示する表示手段とは、表示器105において、その少なくとも一部の表示領域が兼用されている。そして、表示器105では、設定変更状態であるときには第2情報が表示され、設定変更状態の終了を契機として、第2情報に代えて第1情報が表示される。すなわち、表示器105では、表示が切り替わる。なお、詳しくは後述するが、設定制御状態においては遊技を行えないことから、ベース値に関する情報の報知は、設定制御状態においては発生しない事象に関する報知である。
そして、この実施形態では、表示器105が第3表示状態であることによって、設定変更状態及び設定確認状態の何れかであることを認識可能である。その一方で、表示器105が第1表示状態又は第2表示状態であることによって、通常制御状態であることを認識可能である。すなわち表示器105は、特別報知手段としても機能し得る。そして、特別報知に相当する第3表示状態と、特別報知とは異なる報知に相当する第1,第2表示状態とにおいては、何れも第3,第4表示要素D3,D4に数値が表示されることから、その表示内容の一部が同じになるときがあるといえる。その一方で、第1,第2表示要素D1,D2には、第1,第2表示状態と、第3表示状態とにおいて異なる情報が表示される。すなわち表示器105における表示内容の少なくとも一部が異なるといえる。つまり、第3表示状態は、設定制御状態における専用態様である。
また、設定変更モードに移行しているとき、特図表示装置23では、パチンコ遊技機10が設定変更状態であることを報知する。設定確認モードに移行しているとき、特図表示装置23では、パチンコ遊技機10が設定確認状態であることを報知する。
具体的に言えば、この実施形態において、遊技盤YBの表側から視認可能な特図表示装置23では、当該特図表示装置23を構成する複数の発光体の全てを点灯させることにより、設定変更状態又は設定確認状態であることを報知する。特図表示装置23を構成する複数の発光体の全てを点灯させる表示パターン(以下、「設定報知パターン」と示す)は、特図変動ゲームで用いる特別図柄(大当り図柄とはずれ図柄)とは異なる専用の表示パターン(専用態様)である。つまり、設定変更状態又は設定確認状態であるときの特図表示装置23の表示パターンは、大当り図柄の表示パターンではなく、さらにはずれ図柄の表示パターンでもない。このような特図表示装置23による報知を行うことで、パチンコ遊技機10が設定変更状態又は設定確認状態であることを表示器105の表示に限らず、認識することができる。
この実施形態の特図表示装置23は、予め定めた報知を可能に構成された特殊報知手段である。また、特図表示装置23は、所定の報知を可能に構成された特別報知手段及び特別表示手段でもある。そして、設定報知パターンによる発光は、設定変更状態及び設定確
認状態のうち一方又は両方であることを特定可能な特別報知となる。また、この実施形態において、特図変動ゲームによって導出される特別図柄は、大当り抽選の結果を報知(以下、「当落報知」と示す場合がある)するものであるから、特図表示装置23は、これら特別報知とは異なる報知を行う報知手段として兼用されているともいえる。当落報知は、設定変更状態であるとき及び設定確認状態であるときには発生しない事象(大当り抽選)に関する報知である。なお、特図表示装置23を構成する複数の発光体に注目したとき、設定報知パターンと、大当り図柄やはずれ図柄の表示パターンとは、少なくとも一部の発光体における点灯(消灯)状態が異なっておればよく、一部の発光体における点灯(消灯)状態が同一であるものを含む。
なお、設定変更状態と設定確認状態とで特図表示装置23の表示を異なる表示パターンとしてもよいし、特図表示装置23の表示を同じ表示パターンとしてもよい。異なる表示パターンとする場合には、例えば表示内容自体を異ならせてもよいし、表示内容は同じであるが、設定変更状態のときには点灯させ、設定確認状態のときには点滅させるというように表示態様を異ならせてもよい。また、設定変更状態又は設定確認状態であることの報知は、第1特図変動ゲームを行う第1特図表示装置又は第2特図変動ゲームを行う第2特図表示装置の何れか一方のみを用いて行ってもよいし、両方を同時に用いて行ってもよい。また、設定変更状態の報知を第1特図表示装置で行い、設定確認状態の報知を第2特図表示装置で行うというように、特図表示装置を異ならせてもよい。
以下、CPU30aが実行する電源投入処理について説明する。
CPU30aは、電源投入がなされ、主基板30への供給電圧がCPU30aの動作に必要な電圧に達すると起動処理(ブート処理)を実行し、各種処理を実行可能な状態へ移行する。CPU30aは、起動処理の終了後、以下に説明する電源投入処理を実行する。
図18に示すように、電源投入処理において、CPU30aは、RWMクリアボタン104から操作信号を受信しているか否かに基づいて、RWMクリアボタン104がオン状態に操作されているか否かを判定する(S101)。
RWMクリアボタン104がオン操作に操作されている場合(S101:YES)、CPU30aは、外部情報出力をONする(S102)。具体的に言えば、CPU30aは、外部端子板40からセキュリティ信号の出力を開始させる。この実施形態において、セキュリティ信号の出力は、ステップS102の処理で出力を開始した場合、後述するステップS112の処理において出力が停止されるまで継続される。
次に、CPU30aは、RWMクリア(RWM領域の初期化処理)を行う(S103)。ステップS103の初期化処理において、CPU30aは、遊技制御に関する遊技情報を格納している領域を初期化する一方で、ベース値の計数に必要な情報、ベース値の表示に必要な情報、及び設定値に関する情報を格納している領域の初期化を行わない。次に、CPU30aは、設定器106から操作信号を受信しているか否かに基づいて、設定キーONされているか否か、つまり設定器106がオン状態に操作されているか否かを判定する(S104)。
設定器106がオン状態に操作されている場合(S104:YES)、CPU30aは、設定変更報知コマンドを副基板42に送信する(S105)。ここで、副基板42は、設定変更報知コマンドを受信すると、設定変更モード(設定変更状態)中であることを特定可能な情報の報知(以下、「設定変更報知」と示す)を行う。例えば、演出表示装置11の画像表示部GHには、設定変更モード中であることを特定可能な情報として、「設定変更中」などの文字列を示す画像が表示される。例えば、スピーカSpでは、設定変更モード中であることを特定可能な情報として、設定変更モードに専用の音が出力される。設
定変更報知を構成する専用音は、例えば「設定変更中」の文字列を読み上げた音声を1の単位報知とし、当該単位報知を繰返す(ループする)ことにより構成されている。例えば、装飾ランプLaでは、設定変更モード中であることを特定可能な情報として、設定変更モードに専用の発光が行われる。設定変更報知を構成する専用発光は、例えば設定変更モードに専用の発光パターンによる発光を1の単位報知とし、当該単位報知を繰返す(ループする)ことにより構成されている。なお、設定変更報知は、表示演出、発光演出、及び音声演出のうち1つ、又は2つを組み合わせて構成してもよい。設定変更報知は、第1種報知に相当する。
電源投入処理の説明に戻り、CPU30aは、ステップS105の処理を終了すると、設定値を表示させる(S106)。ステップS106の処理において、CPU30aは、RWM領域に記憶されている現在の設定値を読み出し、当該読み出した設定値を報知する表示を行うように表示器105を制御する。ここで表示される設定値は、直近の電源断がされたときに設定されていた設定値であって、かつバックアップ機能によって記憶保持されている設定値である。つまり、表示器105では、設定変更状態へ移行したことを契機として、複数の設定値のうち、その時点において設定されている設定値を特定可能な情報が最初に表示される。また、表示器105では、設定変更状態へ移行したことを契機として、設定スイッチの操作を必要とせずに、複数の設定値のうち初期数値(後述する第1設定値[01])とは異なる設定値を特定可能な情報を表示可能に構成されている。
次に、CPU30aは、設定スイッチ(RWMクリアボタン104)から操作信号を受信したか否かに基づいて、設定スイッチが操作されたか否かを判定する(S107)。設定スイッチが操作されている場合(S107:YES)、CPU30aは、現在設定している設定値を変更する。ここで、CPU30aは、設定スイッチが操作される毎に、第1設定値→第2設定値→第3設定値→第1設定値・・・というように、設定している設定値をループするように切り替える。CPU30aは、設定値を切り替えるときには、RWM領域のうち所定の領域に格納されている情報であって、かつその時点において設定している設定値を特定可能な情報を、切り替え後の設定値を特定可能な情報に書き換える。
ステップS108の処理を終了した場合、又は設定スイッチが操作されていない場合(S107:NO)、CPU30aは、設定器106から操作信号を受信しているか否かに基づいて、設定キーOFFされているか否か、つまり設定器106がオフ状態に操作されているか否かを判定する(S109)。設定キーOFFされていない場合(S109:NO)、CPU30aは、ステップS106の処理に戻る。ステップS109から戻ったときのステップS106の処理において、CPU30aは、その時点において設定している変更後の設定値を報知する表示を行うように表示器105を制御する。
設定キーOFFされている場合(S109:YES)、CPU30aは、現在設定している設定値が第1設定値、第2設定値、及び第3設定値の何れかであるか否かを判定する(S110)。具体的に言えば、CPU30aは、現在設定している設定値を特定可能な情報として所定の数値を格納する領域において、現実に格納されている数値が、第1設定値を示す数値、第2設定値を示す数値、及び第3設定値を示す数値の何れかであるとき、肯定判定する。その一方で、CPU30aは、現在設定している設定値を特定可能な情報として所定の数値を格納する領域において、現実に格納されている数値が、第1設定値を示す数値、第2設定値を示す数値、及び第3設定値を示す数値の何れでもないとき、否定判定する。即ち、CPU30aは、設定値を特定可能な数値が適正な数値範囲にないとき、設定値エラーと判定する。
設定値エラーではない場合(S110:YES)、CPU30aは、デバイス設定を行う(S111)。デバイス設定において、CPU30aは、各スイッチS1〜S10によ
る検知結果の読み込みを開始する。つまり、電源投入から無効であった各スイッチS1〜S10が何れも有効になる。ステップS111の処理は、全スイッチが何れも有効である状態に移行させるための移行処理に相当する。なお、各スイッチS1〜S10は、この移行処理の期間中も無効である。また、CPU30aは、ステップS103の初期化処理によって初期化された遊技情報に基づいて、変動ゲームを実行可能な状態に復帰する。即ち、CPU30aは、ステップS111の処理によって、大当り抽選の結果に基づく特図変動ゲームを実行可能な通常制御状態へ移行する。
次に、CPU30aは、外部情報出力をOFFする(S112)。具体的に、CPU30aは、外部端子板40からのセキュリティ信号の出力を停止させる。ここで、CPU30aは、ステップS102の処理によってセキュリティ信号の出力を開始してから、ステップS112の処理によってセキュリティ信号の出力を停止するまでの期間(出力期間)が所定期間(例えば50ms)に満たない場合、セキュリティ信号の出力を前記所定期間が経過するまで延長する。CPU30aは、セキュリティ信号の出力を延長しないで、又は延長してから停止すると、ステップS112の処理を終了する。
次に、CPU30aは、電源投入初期時指定コマンドを副基板42に送信する(S113)。ここで、副基板42は、電源投入初期時指定コマンドを受信すると、設定変更モード(設定変更状態)中であることを特定可能な情報の報知を終了する。つまり演出表示装置11、スピーカSp、及び装飾ランプLaでは、設定変更報知が終了する。また、副基板42は、電源投入初期時指定コマンドを受信すると、演出図柄の図柄変動ゲームを実行可能な状態に制御する。例えば、演出表示装置11の画像表示部GHには、複数列の演出図柄の初期組み合わせや、所定の背景画像といった初期画面が表示される。なお、パチンコ遊技機10は、初期画面を表示してから、所定期間が経過しても特図変動ゲームを開始しない場合など、デモ演出の実行条件が成立したときには、デモ演出を実行するように構成されていてもよい。なお、デモ演出を実行させるための処理については第1の実施形態と同様である。そして、ステップS113の処理を終了すると、CPU30aは、電源投入処理を終了する。
また、設定値エラーである場合(S110:NO)、CPU30aは、全ての遊技に関する処理を停止する遊技停止状態へ移行する(S114)。ステップS114の処理において、CPU30aは、設定値に関する情報を初期化する。具体的に言えば、CPU30aは、RWM領域のうち、現在設定している設定値を特定可能な数値(情報)を格納する領域に初期数値(この実施形態では、第1設定値[01]を示す数値)を格納する。なお、遊技停止状態は、電源断をしてから電源を再投入しなければ解除できない。この実施形態では、設定値エラーと判定されることにより、特定初期化条件が成立すると、バックアップされている設定値が初期化される。なお、RWMの初期化を行う初期化条件のうち、特定初期化条件以外の初期化条件は、通常初期化条件である。上記初期数値に示される初期設定値は、初期設定情報に相当する。
また、ステップS114の処理において、CPU30aは、設定値エラーコマンドを副基板42に送信する。ここで、副基板42は、設定値エラーコマンドを受信すると、設定値エラーであることを特定可能な情報の報知(以下、「設定値エラー報知」と示す)を行う。例えば、演出表示装置11の画像表示部GHでは、「設定値エラー」などの文字列を示す画像が表示される。設定値エラー報知は、スピーカSpや装飾ランプLaによって行ってもよい。
また、設定器106がオン状態に操作されていない場合(S104:NO)、CPU30aは、上記ステップS105〜S109の処理を実行することなく、ステップS110の処理へ移行する。つまり、パチンコ遊技機10は、設定変更状態及び設定確認状態の何
れにも移行せず、かつ初期化処理を行ってから通常制御状態へ移行する。この実施形態のパチンコ遊技機10は、RWMクリアボタン104の操作状態がオン状態であり、且つ、設定器106の操作状態がオン状態である状態にて電源投入されたときには、設定制御状態のうち、ステップS104〜S109の処理から構成される設定変更状態へ移行する。設定変更状態へ移行する場合にはRWMの初期化が行なわれる。そして、設定変更状態の終了後には、初期化処理によって初期化された遊技情報に基づいて通常制御状態へ移行する。また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、RWMクリアボタン104の操作状態がオン状態であり、且つ、設定器106の操作状態がオフ状態である状態にて電源投入されたときには、設定変更状態へ移行せずに、RWMの初期化を行う。RWMの初期化の終了後には、初期化した遊技情報に基づいて通常制御状態へ移行する。
一方、RWMクリアボタン104がオン状態に操作されていない場合(S101:NO)、CPU30aは、バックアップ異常であるか否か、つまりRWM領域の記憶内容に異常があるか否かを確認する(S115)。バックアップ異常である場合(S115:YES)、CPU30aは、ステップS103と同様にRWMの初期化を行う(S116)。ステップS116の処理を終了した場合、又はバックアップ異常ではない場合(S115:NO)、CPU30aは、現在設定している設定値が第1設定値、第2設定値、及び第3設定値の何れかであるか否かを判定する(S117)。すなわちステップS110の処理と同様に、設定値エラーではないか否かを判定する。
設定値エラーである場合(S117:NO)、CPU30aは、ステップS118の処理へ移行し、ステップS114と同様の処理を行う。設定値エラーではない場合(S117:YES)、CPU30aは、設定キーONされているか否か、つまり設定器106がオン状態に操作されているか否かを判定する(S119)。
設定器106がオン状態に操作されている場合(S119:YES)、CPU30aは、外部情報出力をONする(S120)。具体的に言えば、CPU30aは、外部端子板40からセキュリティ信号の出力を開始させる。この実施形態において、セキュリティ信号の出力は、ステップS120の処理で出力を開始した場合、後述するステップS125の処理において出力が停止されるまで継続される。
次に、CPU30aは、設定確認報知コマンドを副基板42に送信する(S121)。ここで、副基板42は、設定確認報知コマンドを受信すると、設定確認モード(設定確認状態)中であることを特定可能な情報の報知(以下、「設定確認報知」と示す)を行う。例えば、演出表示装置11の画像表示部GHには、設定確認モード中であることを特定可能な情報として、「設定確認中」などの文字列を示す画像が表示される。例えば、スピーカSpでは、設定確認モード中であることを特定可能な情報として、設定確認モードに専用の音が出力される。設定確認報知を構成する専用音は、例えば「設定確認中」の文字列を読み上げた音声を1の単位報知とし、当該単位報知を繰返す(ループする)ことにより構成されている。例えば、装飾ランプLaでは、設定確認モード中であることを特定可能な情報として、設定確認モードに専用の発光が行われる。設定確認報知を構成する専用発光は、例えば設定確認モードに専用の発光パターンによる発光を1の単位報知とし、当該単位報知を繰返す(ループする)ことにより構成されている。なお、設定確認報知は、表示演出、発光演出、及び音声演出のうち1つ、又は2つを組み合わせて構成してもよい。設定確認報知は、第1種報知に相当する。この実施形態において、設定変更報知と、設定確認報知とは異なる報知態様である。
電源投入処理の説明に戻り、CPU30aは、ステップS121の処理を終了すると、設定値を表示させる(S122)。ステップS122の処理において、CPU30aは、RWM領域に記憶されている現在の設定値を読み出し、当該読み出した設定値を報知する
表示を行うように表示器105を制御する。ここで表示される設定値は、設定変更状態へ移行したときと同様、直近の電源断がされたときに設定されていた設定値であって、かつバックアップ機能によって記憶保持されていた設定値である。
次に、CPU30aは、設定キーOFFされているか否か、つまり設定器106がオフ状態に操作されているか否かを判定する(S123)。設定キーOFFされていない場合(S123:NO)、CPU30aは、ステップS122の処理に戻る。すなわち、CPU30aは、現在設定している設定値を報知する表示を継続するように表示器105を制御する。ここで、CPU30aは、設定スイッチ(RWMクリアボタン104)が操作されても、現在設定している設定値を切り替えない。つまりCPU30aは、設定スイッチの操作を契機とした設定情報の変更を許容しない。
設定キーOFFされている場合(S123:YES)、CPU30aは、デバイス設定を行う(S124)。ステップS124の処理において、CPU30aは、各スイッチS1〜S10による検知結果の読み込みを開始する。つまり、電源投入から無効であった各スイッチS1〜S10が何れも有効になる。すなわちステップS124の処理は、全スイッチが何れも有効である状態に移行させるための移行処理に相当する。なお、各スイッチS1〜S10は、この移行処理の期間中も無効である。また、CPU30aは、原則として、バックアップされていた遊技情報に基づいて、変動ゲームを実行可能な状態に復帰する。すなわち、CPU30aは、ステップS124の処理によって、通常制御状態へ移行する。このように、通常制御状態は、設定制御状態(設定変更状態及び設定確認状態)とは異なる制御状態である。なお、ステップS116で初期化処理が行われた場合には、初期化された遊技情報に基づいて、通常制御状態に移行する。
次に、CPU30aは、外部情報出力をOFFする(S125)。具体的に言えば、CPU30aは、外部端子板40からのセキュリティ信号の出力を停止させる。ここで、CPU30aは、ステップS120の処理によってセキュリティ信号の出力を開始してから、ステップS125の処理によってセキュリティ信号の出力を停止するまでの期間が所定期間(例えば50ms)に満たない場合、セキュリティ信号の出力を前記所定期間が経過するまで延長する。CPU30aは、セキュリティ信号の出力を延長しないで、又は延長してから停止すると、ステップS125の処理を終了する。次に、CPU30aは、電源投入初期時指定コマンドを副基板42へ送信する(S126)。ここで、副基板42は、電源投入初期時指定コマンドを受信すると、設定確認モード(設定確認状態)中であることを特定可能な情報の報知を終了する。つまり演出表示装置11、スピーカSp、及び装飾ランプLaでは、設定確認報知を終了する。副基板42によるその他の処理については、前記ステップ113のときの処理と同様である。そして、ステップS126の処理を終了すると、CPU30aは、電源投入処理を終了する。
また、設定器106がオン状態に操作されていない場合(S119:NO)、CPU30aは、上記ステップS120〜S125の処理を実行することなく、ステップS126の処理へ移行する。つまり、パチンコ遊技機10は、設定変更状態及び設定確認状態の何れにも移行せず、かつ初期化処理を行わないで通常制御状態へ移行する。この実施形態のパチンコ遊技機10は、RWMクリアボタン104の操作状態がオフ状態であり、且つ、設定器106の操作状態がオン状態である状態にて電源投入されたときには、設定制御状態のうち、ステップS120〜S125の処理から構成される設定確認状態へ移行する。設定確認状態へ移行する場合には、原則としてRWMの初期化を行わず、バックアップされている遊技情報に基づいて通常制御状態へ移行する。また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、RWMクリアボタン104の操作状態がオフ状態であり、且つ、設定器106の操作状態がオフ状態である状態にて電源投入されたときには、設定変更状態及び設定確認状態へ移行せずに、原則としてRWMの初期化を行わず、バックアップされている遊
技情報に基づいて通常制御状態へ移行する。
以上のように、電源投入処理を実行するCPU30aは、特別遊技に関する有利度合いを定めた複数の設定情報のうち何れかの設定情報を設定する制御を少なくとも可能に構成された設定制御手段として機能する。設定情報に関する制御を行う設定制御状態への移行条件には、設定器106をオン状態とする操作が含まれている。設定器106をオン状態とする操作は、所定態様操作及び第1態様操作に相当する。具体的に言えば、設定変更状態への第1移行条件には、設定器106をオン状態とする操作が含まれている。設定確認状態への第2移行条件には、設定器106をオン状態とする操作が含まれている。また、設定制御状態の終了条件には、設定器106をオフ状態とする操作が含まれている。設定器106をオフ状態とする操作は、第2態様操作に相当する。具体的に言えば、設定変更状態の終了条件には、設定器106をオフ状態とする操作が含まれている。設定確認状態の終了条件には、設定器106をオフ状態とする操作が含まれている。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、各種のエラーを検知し、検知したエラーを特定可能な情報の報知(以下、「エラー報知」と示す)を行う。
図19に示すように、例えば、エラーとしては、磁気エラー、振動エラー(誘導磁界検知エラー)、大入賞口不正入賞エラー、及び普通電動役物不正入賞エラーのほか、扉開放エラーがある。なお、RWMクリアについては、エラーには該当しないものの、エラーと同様に扱って報知する。
CPU30aは、通常制御状態において、パチンコ遊技機10におけるエラーを検知するための処理(以下、「エラー処理」と示す)を行う。この実施形態では、エラー処理を実行するCPU30aが機体の状態を判定する機体判定手段として機能する。
具体的に言えば、CPU30aは、磁気スイッチS8から磁気の検知信号を受信すると、磁気エラーを検知する。CPU30aは、振動スイッチS9から振動の検知信号を受信すると、振動エラーを検知する。CPU30aは、磁気エラー又は振動エラーを検知すると、遊技停止状態へ移行し、遊技の進行に係る各種処理を停止する。ここで、例えば、遊技の進行に関する各種処理は、遊技球の検知信号の受信に関する処理(受信処理)、特図変動ゲームの実行に関する処理、及び大当り遊技の進行に関する処理などである。CPU30aは、遊技停止状態へ移行すると、電源断がされるまで待機する。なお、ここでの遊技停止状態では、設定値に関する情報の初期化を行ってもよく、行わなくてもよい。
CPU30aは、大当り遊技(特別遊技)中ではないときにカウントスイッチS3から遊技球の検知信号を受信すると、大入賞口不正入賞エラーを検知する。CPU30aは、普通図柄の当選に基づく第2始動口13の開放中ではないときに始動口スイッチS2から遊技球の検知信号を受信すると、普通電動役物不正入賞エラーを検知する。CPU30aは、枠スイッチS10から枠開放の検知信号(枠開放信号)を受信すると、扉開放エラーを検知する。CPU30aは、大入賞口不正入賞エラー、普通電動役物不正入賞エラー、又は扉開放エラーを検知しても、遊技停止状態へ移行せず、前記遊技の進行に関する各種処理を継続する。
CPU30aは、エラーを検知すると、検知したエラーを特定可能なエラーコマンドを副基板42に送信する。副基板42は、エラーコマンドを受信すると、受信したエラーコマンドに示されるエラーを区別して特定可能となるようにエラー報知を行う。例えば、演出表示装置11の画像表示部GHでは、「扉開放エラー」などのように、エラーの種類を特定可能な文字列を示す画像が表示される。例えば、スピーカSpでは、「扉開放エラー」の文字列を読み上げた音声など、エラーの種類を特定可能な音が出力される。例えば、装飾ランプLaでは、エラーの種類を特定可能な発光パターンによる発光が行われる。な
お、エラー報知は、表示演出、発光演出、及び音声演出のうち1つ、又は2つを組み合わせて構成してもよい。
副基板42は、磁気エラーを特定可能なエラーコマンドを受信した場合に、磁気エラーを特定可能な情報の報知を、電源断がされるまで行なう。副基板42は、振動エラーを特定可能なエラーコマンドを受信した場合に、振動エラーを特定可能な情報の報知を、電源断がされるまで行なう。副基板42は、大入賞口不正入賞エラーを特定可能なエラーコマンドを受信した場合に、大入賞口不正入賞エラーを特定可能な情報の報知を、エラーコマンドの受信(エラー発生)から所定時間(例えば30s)が経過するまで行う。副基板42は、普通電動役物不正入賞エラーを特定可能なエラーコマンドを受信した場合に、普通電動役物不正入賞エラーを特定可能な情報の報知を、エラーコマンドの受信(エラー発生)から所定時間(例えば30s)が経過するまで行う。
副基板42は、扉開放エラーを特定可能なエラーコマンドを受信した場合に、扉開放エラーを特定可能な情報の報知(以下、「扉開放エラー」と示す)を、エラーコマンドの受信(エラー発生)から所定時間(例えば30s)が経過する第1報知終了条件、及び扉開放エラーが解消される第2報知終了条件の両報知終了条件が成立するまで行う。なお、CPU30aは、枠スイッチS10から枠開放信号を受信しなくなると、扉開放エラーを非検知とする。CPU30aは、扉開放エラーが非検知になると、報知終了コマンドを副基板42に送信する。副基板42は、報知終了コマンドを受信すると、扉開放エラーが解消されたこと、すなわち第2報知終了条件の成立を特定できる。この実施形態において、扉開放エラーの報知は、特殊報知に相当し、搭載枠(中枠WN及び前枠WM)が外枠WSに対して開放されている状態は、機体の状態のうち特定状態に対応する。即ち、パチンコ遊技機10は、演出表示装置11、スピーカSp、装飾ランプLa、及び特図表示装置23などからなる特殊報知手段では、状態判定手段により機体の状態が特定状態であると判定されたときに特殊報知を行うことが可能に構成されている。そして、搭載枠が閉鎖されることは、特定状態が解消されることに相当する。
また、CPU30aは、エラーを検知すると、外部端子板40を通じて所定の外部信号の出力を開始させる。具体的に言えば、CPU30aは、磁気エラー、振動エラー、大入賞口不正入賞エラー、又は普通電動役物不正入賞エラーを検知した場合、セキュリティ信号を所定期間(例えば50ms以上)にわたって出力させる。CPU30aは、扉開放エラーを検知してから、扉開放エラーが非検知となるまでの期間にわたって、外部端子板40から扉開放信号を出力させる。
なお、この実施形態において、設定確認状態であることの情報の報知(設定確認報知)は、上述のように、特図表示装置23を用いる報知、及び演出表示装置11、スピーカSp、並びに装飾ランプLaを用いる報知の何れであっても、設定確認状態である期間(セキュリティ信号を出力中である期間)にわたって行われる。また、セキュリティ信号は、設定確認状態が開始してから終了するまでの期間(但し50ms以上)にわたって出力される。また、この実施形態において、設定変更状態であることの情報の報知(設定変更報知)は、上述のように、特図表示装置23を用いる報知、及び演出表示装置11、スピーカSp、並びに装飾ランプLaを用いた報知の何れであっても、設定変更状態である期間(セキュリティ信号を出力中である期間)にわたって行われる。また、セキュリティ信号は、設定変更状態が開始してから終了するまでの期間(但し50ms以上)にわたって出力される。設定確認状態へ移行したときに出力するセキュリティ信号と、設定変更状態へ移行したときに出力するセキュリティ信号とは、同じ外部信号である。
次に、RWMクリアに関する報知とセキュリティ信号の出力について説明する。
この実施形態では、RWM領域の初期化処理が行われた場合であっても、設定変更状態
へ移行してから電源投入処理が終了したときと、設定変更状態へ移行しないで電源投入処理が終了したときとで異なる処理を行う。
設定変更状態へ移行した場合の処理について説明する。
上述したように、この実施形態のパチンコ遊技機10において、設定器106、設定スイッチ(RWMクリアボタン104)、及び電源スイッチ38aの各操作部分は、何れも遊技盤YBの裏側に設けられているため、搭載枠を開放しなければアクセス不能なように構成されている。つまり、遊技場の管理者が設定値の変更又は確認をしようとする場合、搭載枠は、電源投入前から電源投入処理の実行中を含めて、原則として開放されており、設定キーOFFを契機に設定変更状態及び設定確認状態が終了してから閉鎖されることになる。この実施形態のパチンコ遊技機10は、設定変更状態へ移行する場合にRWMの初期化が行われた場合、バックアップされている遊技情報が初期化されたことの報知(以下、「初期化報知」と示す)を、設定変更状態が終了した後、より詳しくは搭載枠が閉鎖されたことを契機として行う。
すなわち初期化報知は、設定変更状態が開始してから、設定器106がオフ状態に操作されるとき(設定変更状態が終了するとき)までは少なくとも規制される。また、初期化報知は、さらに特定状態が解消されるまで規制される。すなわち初期化報知は、特定状態が解除されてから行なわれる。なお、設定確認状態へ移行するときには、原則としてRWMの初期化が行われないことから、初期化報知は、設定確認状態が終了した後であっても、搭載枠が閉鎖されたことを契機としては基本的に行われない。つまり、この実施形態において、初期化報知は、所定の報知(予め定めた報知)及び第2種報知に相当する。そして、特定報知手段では、設定変更状態が終了したことを契機として所定の報知を行う一方で、設定確認状態が終了したことを契機として所定の報知を行わない。
CPU30aは、電源投入処理のステップS111,S124におけるデバイス設定によって、有効化された各スイッチS1〜S10から検知信号の受信を開始することに伴い、電源投入処理が終了した時点においては、枠スイッチS10からも枠開放信号を受信している状態となる。そして、CPU30aは、枠スイッチS10から枠開放信号を受信しなくなると、外部端子板40からセキュリティ信号を所定期間(例えば50ms以上)にわたって出力させる。つまり、パチンコ遊技機10の起動時に設定変更状態へ移行する場合、RWMの初期化に対応するセキュリティ信号の出力は、設定変更状態の終了タイミングや電源投入処理の終了タイミングではなく、設定変更状態が終了した後であって、搭載枠が閉鎖されたタイミングにて開始される。
ここで、CPU30aは、セキュリティ信号の出力中(延長中)に搭載枠が閉鎖されたときには、設定変更状態に関するセキュリティ信号の出力に続けてRWMの初期化に関するセキュリティ信号を続けて出力する。すなわち、CPU30aは、設定変更状態が終了した場合であって、セキュリティ信号が出力されていないときには、セキュリティ信号を再出力する一方で、セキュリティ信号が出力されているときには、セキュリティ信号の出力を延長することとなる。すなわち、CPU30aは、再出力制御と出力延長制御を可能に構成されている。なお、再出力制御と出力延長制御のうち一方を省略してもよい。また、CPU30aは、セキュリティ信号の出力に関して、表示器105を第1表示状態及び第2表示状態の何れに制御しているかを区別しない。つまり、第1ベース値を表示しているときに出力されるセキュリティ信号と、第2ベース値を表示しているときに出力されるセキュリティ信号とは、同じ外部信号である。
また、CPU30aは、枠スイッチS10から枠開放信号を受信しなくなると、初期化報知コマンドを副基板42に送信する。副基板42は、初期化報知コマンドを受信した場合に、初期化報知を、初期化報知コマンドの受信から所定期間(例えば30s)が経過す
るまで行う。つまり、パチンコ遊技機10の起動時に設定変更状態を行なった場合、初期化報知は、設定変更状態の終了タイミングや電源投入処理の終了タイミングではなく、設定変更状態が終了した後であって、搭載枠が閉鎖されたタイミングにて開始される。例えば、演出表示装置11の画像表示部GHでは、「RWMクリア」などのように、遊技情報が初期化されたことを特定可能な文字列を示す画像が表示される。例えば、スピーカSpでは、「ラムクリア」の文字列を読み上げた音声など、遊技情報が初期化されたことを特定可能な音が出力される。例えば、装飾ランプLaでは、遊技情報が初期化されたことを特定可能な発光パターンによる発光が行われる。なお、初期化報知は、表示演出、発光演出、及び音声演出のうち1つ、又は2つを組み合わせて構成してもよい。
次に、設定変更状態へ移行しなかった場合の処理について説明する。
CPU30aは、電源投入処理を終了すると、枠スイッチS10から枠開放信号を受信しなくなることを待たずに、外部端子板40からセキュリティ信号を所定期間(例えば50ms以上)にわたって出力させる。つまり、パチンコ遊技機10に起動時に設定変更状態へ移行しなかった場合、セキュリティ信号の出力は、電源投入処理の終了タイミング(すなわち、RWMが初期化されたタイミング)にて開始される。また、CPU30aは、電源投入処理を終了すると、枠スイッチS10から枠開放信号を受信しなくなることを待たずに、初期化報知コマンドを副基板42に送信する。副基板42は、初期化報知コマンドを受信した場合に、初期化報知を、初期化報知コマンドの受信から所定時間(例えば30s)が経過するまで行う。つまり、パチンコ遊技機10の起動時に設定変更状態へ移行しなかった場合、初期化報知は、電源投入処理の終了タイミング(すなわち、RWMが初期化されたタイミング)にて開始される。
なお、この実施形態において、設定変更状態へ移行せず、RWMの初期化だけが行なわれる状況とは、RWMクリアボタン104をオン状態に操作し、かつ設定器106をオフ状態に操作した状態にて電源投入したときである。また、設定変更状態へ移行せず、RWMの初期化だけが行なわれる状況とは、RWMクリアボタン104及び設定器106をオン状態に操作しないで電源投入した場合であって、かつバックアップ異常に起因してRWMの初期化が行なわれたときである。以上のように、設定変更状態(及び設定確認状態)であるときに出力されるセキュリティ信号は、設定変更状態ではないとき(設定変更状態が終了した後)に出力される外部信号と同じ端子から出力される同じ外部信号である。
次に、この実施形態のパチンコ遊技機10において、遊技場などの管理者が設定値を変更せずに確認のみするときの手順と制御の流れについて、その作用とともに説明する。なお、以下の説明では、演出表示装置11、スピーカSp、及び装飾ランプLaを纏めて「報知装置」と示す場合がある。
図20に示す、時点X10では、パチンコ遊技機10の電源投入がされていないものとする。時点X10では、電源投入がされていないことから、各スイッチS1〜S10、RWMクリアボタン104、及び設定器106が作動していない。時点X10では、表示器105が非表示であり、外部端子板40では外部信号が出力されておらず、報知装置においてエラー報知が行われておらず、CPU30aも起動していない。
最初に、遊技場の管理者は、自身が管理する枠キー(鍵)を用いて施錠装置SSを解錠し、搭載枠(中枠WN及び前枠WM)を開放するとともに、設定キー(鍵)を用いて設定器106をオン状態に操作する(時点X11)。次に、遊技場の管理者は、RWMクリアボタン104をオン状態に操作していない状態(オフ状態)にて、電源スイッチ38aをオン状態に操作(電源ON)するなどし、パチンコ遊技機10の電源投入を行う(時点X12)。このとき、設定器106は、オン状態に維持されている。
時点X12〜X13までの特別期間においてCPU30aは、図中において「ブート中」と示すように、起動処理(ブート処理)を実行し、各種処理を実行可能な状態に立ち上がる。時点X13〜X14までの期間においてCPU30aは、設定制御状態に関するスイッチの検知結果を読み込む。設定制御状態に関するスイッチは、例えばRWMクリアボタン104、及び設定器106である。この実施形態において、設定制御状態に関するスイッチは、設定器106を含む第2種検知手段に相当する。また、設定制御状態に関するスイッチ以外のスイッチ(各スイッチS1〜S10など)は、設定器106を含まない第1種検知手段に相当する。
時点X14においてCPU30aは、電源投入処理を開始する。時点X14においてCPU30aは、RWMクリアボタン104がオフ状態であり、かつ設定器106がオン状態であることから、図中に「設定確認中」と示すように、設定確認状態へ移行する。なお、時点X14の経過後においてCPU30aは、図中において「入力不問」と示すように、RWMクリアボタン104の操作状態がオン状態であるか否かに基づいた各種処理を行わない。
次に、遊技場の管理者は、設定キー(鍵)を用いて設定器106をオフ状態に操作する(時点X15)。時点X15においてCPU30aは、設定器106の操作状態がオフ状態に切り替えられたことから、設定確認状態を終了する。そして、時点X15〜X16までの期間においてCPU30aは、図中において「設定確認終了中」と示すように、設定確認状態を終了して通常制御状態へ移行するための移行処理を行う。時点X16においてCPU30aは、図中において「通常遊技中」と示すように、通常制御状態へ移行する。この実施形態においてCPU30aは、設定確認状態へ移行する場合、電源投入がされてから通常制御状態へ移行する迄の間に、原則としてRWMの初期化を行わない。
時点X12〜X16までの期間(すなわち電源投入されてから通常制御状態へ移行するまでの期間)においてCPU30aは、ベース値の表示に関する制御だけでなく、ベース値の計数に関する制御も行わない。つまりCPU30aは、設定確認状態であるときにベース値を計数しない。時点X16においてCPU30aは、設定確認状態が終了したことから、バックアップされている各種情報に基づいて、遊技の進行に関する各種処理のほか、ベース値の計数に関する制御と、ベース値の表示に関する制御とを開始する。具体的に言えば、CPU30aは、バックアップ機能によって記憶保持されている通常時賞球カウンタ、通常時有効球カウンタ、全状態時有効球カウンタ、通常時賞球バッファ、及び通常時有効球バッファの各値に基づいて、ベース値の計数を再開するとともに、ベース値を表示させる制御を再開する。したがって、表示器105には、電力供給が停止した際に表示されていたベース値の表示が復帰する。つまり、表示器105の識別子表示部及びベース表示部の表示内容は、電力供給が開始されると、電力供給が停止したときの状態に復帰する。その後、遊技球の発射に伴って遊技が進行すると、それにあわせてベース値の計数が行なわれる。
時点X14までの期間において表示器105は、図中において「表示消灯」と示すように、消灯状態となる。時点X14〜X16までの期間において表示器105は、第3表示状態となり、その時点において設定されている設定値を報知する表示を行う。したがって、遊技場の管理者は、遊技盤YBの裏側にある表示器105の表示内容を視認することで、パチンコ遊技機10に設定されている設定値を認識できる。なお、表示器105は、仮に設定確認状態のまま(すなわち、設定器106をオフ状態に操作しないまま)で搭載枠を閉鎖しても、第3表示状態(設定値の表示)を維持する。つまり、CPU30aは、機体の状態が特定状態でなくても、その時点において設定されている設定値を確認できるように表示器105を制御可能に構成されている。時点X16以降の期間において表示器105は、第1の実施形態にて詳細に説明した通り、第1表示状態(第1ベース値の表示)
と第2表示状態(第2ベース値の表示)とを切り替えながら、ベース値及び識別子の表示を常時(継続的に)行う。したがって、遊技場の管理者は、遊技盤YBの裏側にある表示器105の表示内容を視認することで、ベース値を認識できる。
時点X14までの期間において外部端子板40では、何れの外部信号も出力されない。時点X14〜X15までの期間において外部端子板40では、セキュリティ信号が出力される。この実施形態において、セキュリティ信号の出力期間は、設定確認状態である期間、及び所定期間(例えば50ms)のうち何れか長い期間である。つまり、設定値に関する情報が表示されているときには、セキュリティ信号が出力される。このため、遊技場の管理者のうち、パチンコ遊技機10の整備を直接行う者以外の者であっても、ホールコンピュータHCを用いることによって、パチンコ遊技機10が設定確認状態又は設定変更状態であることを容易に推認できる。なお、時点X16以降の期間において外部端子板40では、エラーが検知されているときに、当該検知されたエラーに応じた外部信号が出力される。
時点X14までの期間において報知装置は、何れの報知も行わない。時点X14〜X16までの期間において報知装置は、設定確認報知を行う。この実施形態において、設定確認報知の実行期間は、設定確認状態である期間、及び所定期間(例えば50ms)のうち何れか長い期間である。したがって、遊技場の管理者は、搭載枠(遊技盤YB)の裏側を覗きこまなくても、報知装置の報知内容から、設定確認状態中であることを把握できる。例えば、設定確認報知を構成する1の単位報知に要する時間は、1秒である。一般に、管理者が設定確認を行うのに数分を要することから、設定確認報知を行う期間(特定期間)の長さは、設定確認報知の単位報知を少なくとも2回行うことができる長さの期間である。設定確認報知は、特定報知に相当する。
なお、時点X16以降の期間において報知装置は、エラーが検知されているときに、当該検知されたエラーに応じた報知を行う。また、この実施形態の報知装置は、遊技に関連した各種演出(遊技演出)を実行する演出装置とも兼用されている。したがって、時点X16以降の期間において報知装置(演出装置)は、エラーが検知されていないのであれば、特図変動ゲームや大当り遊技に関連した遊技演出を行う。なお、時点X16において演出表示装置11は、初期画面を表示する。
時点X14までの期間において特図表示装置23は、何れの情報の報知も行わない消灯状態となる。時点X14〜X15までの期間において特図表示装置23は、図中において「設定確認中表示」と示すように、設定報知パターンによる表示を行なう。したがって、遊技場の管理者は、搭載枠(遊技盤YB)の裏側を覗きこまなくても、特図表示装置23を視認すれば、パチンコ遊技機10が設定確認状態又は設定変更状態であることを認識できる。時点X15〜X16までの期間において特図表示装置23は、再び消灯状態となる。時点X16以降の期間において特図表示装置23は、設定報知パターンによる表示を行なわず、特図変動ゲームの表示を行う。なお、時点X16において特図表示装置23は、予め定めた初期特別図柄(例えばはずれ図柄など)を表示する。
時点X13までの期間において各スイッチS1〜S10、RWMクリアボタン104、及び設定器106(以下、纏めて「スイッチ類」と示す場合がある)は、そもそもCPU30a自体が立ち上がっておらず、その検知結果がCPU30aによって読み込まれることもない。CPU30aがスイッチ類の検知結果を読み込むことは、各スイッチから検知信号を受信しているか否かに応じて、RWM領域のうち各スイッチに各別に対応付けた領域に、検知信号の受信の有無を特定可能な情報を格納することを意味する。そして、スイッチ類に関して無効であることは、検知結果の読み込みを行わないことを意味し、スイッチ類に関して有効であることは、検知結果の読み込みを行うことを意味する。なお、スイ
ッチ類が無効である状況には、そもそもスイッチ類が作動していない状況、及びスイッチ類が作動しているもののCPU30aが検知結果を読み込まない状況が想定できる。
したがって、時点X13までの期間において全てのスイッチ類は、図中において「全スイッチ無効」と示すように、何れも無効である。時点X13〜X16までの期間において、スイッチ類のうち各スイッチS1〜S10は、CPU30aによって検知結果が読み込まれることがなく、無効である。つまり、設定確認状態であるときには、設定制御状態に関するスイッチ以外のスイッチは無効である。一方、時点X13〜X16までの期間において、スイッチ類のうちRWMクリアボタン104、及び設定器106は、CPU30aによって検知結果が読み込まれるようになっており、有効である。つまり、設定確認状態であるときには、設定制御状態に関するスイッチは有効である。時点X16以降の期間において全てのスイッチ類は、図中において「全スイッチ有効」と示すように、何れも有効である。つまり、ベース値に関する情報を表示しているときには、少なくとも各スイッチS1〜S10は有効である。また、時点X15〜X16までの期間(移行処理を行う期間)において、各スイッチS1〜S10は、無効のままである。
なお、時点X14以降の期間においてRWMクリアボタン104の検知結果は、図中において「入力不問」と示すように、CPU30aによって参照されず、各種処理に供されることもない。つまり、時点X14〜X15までの期間においてCPU30aは、RWMクリアボタン104が操作されても、RWMの初期化を行わず、かつ設定されている設定値の変更も行わない。また、時点X15以降の期間においてCPU30aは、RWMクリアボタン104が操作されても、RWMの初期化を行わず、設定されている設定値の変更も行わず、かつ設定値の表示(第3表示状態への移行)も行わない。また、時点X16以降の期間において設定器106の操作結果は、図中において「入力不問」と示すように、CPU30aによって参照されず、各種処理に供されることもない。つまり、時点X16以降の期間(設定確認状態の終了後、すなわちベース値を表示しているとき)においてCPU30aは、設定器106が操作されても、設定制御状態(設定変更状態及び設定確認状態)へ移行せず、かつ設定値の表示(第3表示状態への移行)も行わない。
そして、遊技場の管理者は、設定確認を終えると、搭載枠を閉鎖する(時点X17)。時点X17においてCPU30aは、RWMの初期化が行われていないことから、初期化報知を行わせない。つまり、時点X17において報知装置は、初期化報知を行わない。時点X17において外部端子板40では、セキュリティ信号が出力されない。したがって、この実施形態のパチンコ遊技機10では、設定確認状態へ移行するとセキュリティ信号が出力されるが、設定確認状態が終了するとセキュリティ信号が再出力されず、且つ、セキュリティ信号の出力が延長されない。
したがって、図21に示すように、パチンコ遊技機10における設定確認方法は、次の通り手順1から手順5を含んで構成される。
最初に、パチンコ遊技機10の電源投入がされていない状態(電源断の状態)であって、かつ搭載枠を開放した状態とする(手順1)。具体的に言えば、例えば外部電源からパチンコ遊技機10に対して電力を供給している状態にて中枠WNを開放し、電源スイッチ38aをオフ状態に操作したり、外部電源の電力供給をしていない状態にて中枠WNを開放し、電源スイッチ38aをオフ状態に操作した後、外部電源から電力供給を開始したりする。
次に、設定キーをシリンダ106bに挿し込んで回動操作を行い、設定器106をオフ状態からオン状態とする(手順2)。次に、RWMクリアボタン104をオフ状態としたまま、パチンコ遊技機10に電源投入する(手順3)。具体的に言えば、外部電源からパチンコ遊技機10に対して電力を供給している状態にて電源スイッチ38aをオン状態に
操作したり、電源スイッチ38aをオン状態としたまま、外部電源から電力供給を開始したりする。これにより、パチンコ遊技機10は起動し、設定確認状態へ移行する。つまり遊技場の管理者は、その時点において設定されている設定値を確認できる。
次に、設定器106をオフ状態に操作し、設定キーを抜き取る(手順4)。これにより、パチンコ遊技機10は、設定確認状態を終了し、通常制御状態へ移行する。次に、搭載枠を閉鎖する(手順5)。このとき、報知装置では初期化報知が行われない。これにより、パチンコ遊技機10は、遊技者によって遊技を可能な状態となる。
次に、この実施形態のパチンコ遊技機10において、遊技場などの管理者が設定値を変更及び確認するときの手順と制御の流れについて、その作用とともに説明する。なお、以下の説明では、設定確認状態(設定確認モード)へ移行させるときとは異なる点についてのみ詳しく説明し、共通する点については詳しい説明を省略する。
図22に示すように、最初に、遊技場の管理者は、自身が管理する枠キーを用いて施錠装置SSを解錠し、搭載枠(中枠WN及び前枠WM)を開放するとともに、設定キーを用いて設定器106をオン状態に操作する(時点X11)。次に、遊技場の管理者は、RWMクリアボタン104をオン状態に操作した状態にて、電源スイッチ38aをオン状態に操作(電源ON)し、パチンコ遊技機10の電源投入を行う(時点X12)。
CPU30aは、時点X12〜X13において起動処理を実行し、時点X13〜X14においてRWMクリアボタン104、及び設定器106の検知結果を読み込む。時点X14においてCPU30aは、電源投入処理を実行する。時点X14においてCPU30aは、RWMクリアボタン104がオン状態であり、設定器106がオン状態であることから、図中に「設定変更中」と示すように、設定変更状態へ移行する。
時点X14〜X15までの期間においてCPU30aは、設定スイッチとしてのRWMクリアボタン104から操作信号(検知信号)を入力する毎に、現在設定している設定値を次の設定値に変更する。時点X14〜X15までの期間においてCPU30aは、現在設定している設定値を表示するように表示器105を制御する。すなわち、時点X14〜X15において表示器105は、設定スイッチの操作前であればバックアップされていた設定値を表示し、設定スイッチの操作後であれば設定スイッチが操作される毎に変更後の設定値を表示する。なお、表示器105は、仮に設定変更状態のまま(すなわち、設定器106をオフ状態に操作しないまま)で搭載枠を閉鎖しても、第3表示状態(設定値の表示)を維持する。つまり、CPU30aは、機体の状態が特定状態でなくても、複数の設定値のうち、その時点において設定されている設定値を確認できるように表示器105を制御可能に構成されている。
次に、遊技場の管理者は、設定キーを用いて設定器106をオフ状態に操作する(時点X15)。時点X15においてCPU30aは、設定器106の操作状態がオフ状態に切り替えられたことから、設定変更状態を終了する。つまり、時点X15において、設定値が確定する。そして、時点X15〜X16までの期間においてCPU30aは、図中において「設定変更終了中」と示すように、設定変更状態を終了して通常制御状態へ移行するための移行処理を行う。時点X16においてCPU30aは、図中において「通常遊技中」と示すように、通常制御状態へ移行する。この実施形態においてCPU30aは、設定変更状態へ移行する場合には、電源投入がされてから通常制御状態へ移行する迄の間に、RWMの初期化を行う。
時点X12〜X16までの期間においてCPU30aは、ベース値の表示に関する制御だけでなく、ベース値の計数に関する制御も行わない。つまりCPU30aは、設定変更
状態であるときにベース値を計数しない。時点X16においてCPU30aは、設定変更状態が終了したことから、初期化された遊技情報に基づいて、遊技の進行に関する各種処理を開始するほか、バックアップされている情報に基づいて、ベース値の計数に関する制御と、ベース値の表示に関する制御とを開始する。このとき、CPU30aは、今回の設定変更状態において、実際に設定値が変更して設定されたか否かを問わない。つまりCPU30aは、今回の設定変更状態において、設定値が変更して設定されたとき、及び設定値が変更して設定されていないときの何れであっても、バックアップされている各種情報に基づいて、ベース値の計数に関する制御と、ベース値の表示に関する制御とを開始する。したがって、表示器105には、設定変更の有無に関係なく、電力供給が停止した際に表示されていたベース値の表示が復帰する。
時点X14〜X16までの期間において表示器105は、第3表示状態となり、その時点において設定されている設定値を報知する表示を行う。したがって、遊技場の管理者は、遊技盤YBの裏側にある表示器105の表示内容を視認することで、パチンコ遊技機10に設定されている設定値(変更後を含む)を認識できる。時点X16以降の期間において表示器105は、第1表示状態と第2表示状態とを切り替えながら、ベース値及び識別子の表示を常時(継続的に)行う。したがって、遊技場の管理者は、遊技盤YBの裏側にある表示器105の表示内容を視認することで、ベース値を認識できる。
時点X14〜X16までの期間において外部端子板40では、セキュリティ信号が出力される。つまり、設定値に関する情報が表示されているときには、セキュリティ信号が出力される。したがって、遊技場の管理者のうち、パチンコ遊技機10の整備を直接行う者以外の者であっても、ホールコンピュータHCを用いることによって、パチンコ遊技機10が設定確認状態又は設定変更状態であることを容易に推認できる。
時点X14〜X16までの期間において報知装置は、設定変更報知を行う。この実施形態において、設定変更報知の実行期間は、設定変更状態である期間、及び所定期間(例えば50ms)のうち何れか長い期間である。したがって、遊技場の管理者は、中枠WN(遊技盤YB)の裏側を覗きこまなくても、報知装置の報知内容から、設定変更状態中であることを把握できる。例えば、設定変更報知を構成する1の単位報知に要する時間は、1秒である。一般に、管理者が設定変更を行うのに数分を要することから、設定変更報知を行う期間(特定期間)の長さは、設定変更報知の単位報知を少なくとも2回行うことができる長さの期間である。設定変更報知は、特定報知に相当する。
時点X14〜X15までの期間において特図表示装置23は、図中において「設定確認中表示」と示すように、設定報知パターンによる表示を行なう。したがって、遊技場の管理者は、中枠WN(遊技盤YB)の裏側を覗きこまなくても、特図表示装置23を視認すれば、パチンコ遊技機10が設定確認状態又は設定変更状態であることを認識できる。
そして、遊技場の管理者は、設定変更を終えると、搭載枠を閉鎖する(時点X17)。時点X17においてCPU30aは、RWMの初期化が行われていることから、初期化報知を行わせる。時点X17において報知装置は、所定期間(例えば30s)にわたって初期化報知を行う。時点X17において、外部端子板40では、セキュリティ信号が出力される。つまり、ベース値に関する情報の表示に切り替えられた後に、設定制御状態であるときと同じ外部信号が出力される。
時点X13までの期間(特別期間を含む)において全てのスイッチ類は、図中において「全スイッチ無効」と示すように、何れも無効である。時点X13〜X16までの期間において、スイッチ類のうち各スイッチS1〜S10は無効である一方、スイッチ類のうちRWMクリアボタン104、及び設定器106は有効である。時点X16以降の期間にお
いて全てのスイッチ類は、図中において「全スイッチ有効」と示すように、何れも有効である。また、時点X15〜X16において移行処理を行う期間では、各スイッチS1〜S10は、無効のままである。
なお、時点X15以降の期間においてRWMクリアボタン104の検知結果は、図中において「入力不問」と示すように、CPU30aによって参照されず、各種処理に供されることもない。つまり、時点X15以降の期間においてCPU30aは、RWMクリアボタン104が操作されても、RWMの初期化を行わず、設定されている設定値の変更も行わず、かつ設定値の表示(第3表示状態への移行)も行わない。また、時点X16以降の期間において設定器106の操作結果は、図中において「入力不問」と示すように、CPU30aによって参照されず、各種処理に供されることもない。つまり、時点X16以降の期間(設定変更状態の終了後、すなわちベース値を表示しているとき)においてCPU30aは、設定器106がオン状態に操作されても、設定制御状態(設定変更状態及び設定確認状態)へ移行せず、かつ設定値の表示(第3表示状態への移行)も行わない。
したがって、図23に示すように、パチンコ遊技機10における設定変更方法は、次の通り手順1から手順6を含んで構成される。
最初に、パチンコ遊技機10の電源投入がされていない状態(電源断の状態)であって、かつ搭載枠を開放した状態とする(手順1)。次に、設定キーをシリンダ106bに挿し込んで回動操作を行い、設定器106をオン状態とする(手順2)。次に、RWMクリアボタン104をオン状態としたまま、パチンコ遊技機10に電源投入する(手順3)。これにより、パチンコ遊技機10は起動し、設定変更状態へ移行する。
設定変更状態において、設定スイッチを操作することにより、設定中の設定値を変更する(手順4)。つまり、遊技場の管理者は、その時点において設定されている設定値を確認しながら変更できる。次に、設定器106をオフ状態に操作し、設定キーを抜き取る(手順5)。これにより、パチンコ遊技機10は、設定値を確定して設定変更状態を終了し、通常制御状態へ移行する。次に、搭載枠を閉鎖する(手順6)。これにより、パチンコ遊技機10は、遊技者によって遊技を可能な状態となる。このとき、報知装置では初期化報知が行われる。以上のように、この実施形態のパチンコ遊技機10は、機体の状態が搭載枠の開放状態(特定状態)であるとき、複数の設定値のうち何れかの設定値に変更して設定可能に構成されているといえる。
なお、第1の実施形態では、ベース値の計数に関する制御、及びベース値の表示に関する制御を説明したが、これらの制御は、第1〜第3設定値の何れが設定されている場合、及び設定値が変更された場合であっても、同一制御を行う。つまりベース値の計数に関する制御においてCPU30aは、計数する処理(通常時賞球カウンタ、通常時有効球カウンタ、全状態時有効球カウンタ)、全状態時有効球数が所定数に達したときに取得する処理(通常時賞球バッファ、通常時有効球バッファ)、第1ベース値と第2ベース値とを計算式で計数する処理を、設定値に関係なく同じ内容で行う。また、ベース値の表示に関する制御においてCPU30aは、表示器105の第1表示状態と第2表示状態の切り替え処理、全状態時有効球数に応じた第1表示状態又は第2表示状態のそれぞれにおけるベース表示部及び識別子表示部の表示態様の処理を、設定値に関係なく行う。
そして、この実施形態のパチンコ遊技機10は、設定器106の操作とRWMクリアボタン104の操作によって所望の設定制御状態(設定制御モード)へ移行させているが、例えば設定器106をオン操作せずにRWMクリアボタン104を操作して電源を投入した場合には第1の実施形態で説明したようにRWM領域の初期化のみが行われる。また、例えば設定器106をオン操作せずに、さらにRWMクリアボタン104も操作せずに電源を投入した場合には第1の実施形態で説明したように電力供給が停止した場合でも保持
している遊技制御に関する情報によって復帰する(復電処理)。
したがって、この実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1−1)〜(1−14)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(2−1)パチンコ遊技機10の設定値(大当り確率)を変更可能に構成した。このため、設定値の変更によって、同一の演出などを行うパチンコ遊技機10に変化を生じさせることができる。また、遊技者には、どのパチンコ遊技機10の優位性が高いかを推測させる楽しみを与えることができる。
(2−2)パチンコ遊技機として、大当り遊技に関する有利度合いを定めた複数の設定値のうち何れかの設定値を設定可能であるとともに、設定器106の操作によって、設定値に関する制御を行う設定制御状態へ簡便に移行させることもできる。したがって、遊技者の興趣の低下を抑制できる。
(2−3)設定値を変更できる設定変更状態(設定変更モード)と、その時点において設定されている設定値の確認のみできる設定確認状態(設定確認モード)と、を区別することで、例えば、設定値の変更や確認をしようとする作業者に対して、設定値に関する制御を理解し易くできる。
(2−4)設定変更状態へ移行するために、RWMクリアボタン104をオン状態にする操作、及び設定器106をオン状態とする操作を伴った電源投入を要求する。このため、例えば不正な遊技者などが設定値を容易に変更できないようにすることで、設定値についてのセキュリティ性を高めることができる。
(2−5)設定確認状態へ移行するために、設定器106をオン状態とする操作を伴った電源投入を要求する。このため、例えば不正な遊技者などが設定値を容易に確認できないようにすることで、設定値についてのセキュリティ性を高めることができる。
(2−6)通常制御状態へ移行した後には、設定器106をオン状態に操作しても設定変更状態及び設定確認状態へ移行しない。このため、特図変動ゲームの実行中に設定値に関する制御が行われ得ることで、遊技者に疑念を持たせることを抑制できる。また、例えば、設定器106を誤操作したときなどに、ベース値に関する情報を確認できなくなることを抑制できる。また、パチンコ遊技機10において重要度(機密性)が高い設定値に関する情報を表示可能な期間に制限を設けることができるから、パチンコ遊技機10としてのセキュリティ性を高めることができる。
(2−7)設定変更状態へ移行する場合には、バックアップされている遊技情報が初期化される。このため、設定値が変更されたにも関わらず、バックアップされている遊技情報、すなわち設定値の変更前における遊技情報に基づいて制御が行われ、予期せぬ不具合が生じることを抑制できる。
(2−8)その一方で、設定確認状態へ移行する場合には、バックアップされている遊技情報が初期化されない。このため、設定値の確認後、バックアップされている遊技情報に基づいて、電源断がされたときの状態に復帰させることができる。
(2−9)バックアップされている設定値は、設定変更状態への移行する場合などに行なわれるRWMの初期化によっては初期化されない。したがって、電源断がされるときの設定値を参考にしながら、遊技場の管理者などが適切に設定値を変更して設定できる。
(2−10)バックアップされている設定値は、通常初期化条件が成立したことを契機
としては初期化されないが、特定初期化条件が成立したことを契機として初期化される。このため、設定値に関して利便性を高めることができる。また、破損した情報に基づいて、予期しない制御が行われてしまうことも抑制できる。
(2−11)設定変更状態では、設定変更報知が行われる。また、設定確認状態では、設定確認報知が行われる。このため、設定制御状態において、これらの報知が行われることによって、設定値に関する制御が行われていることを、遊技場の管理者などに対して認識させ得る。
(2−12)設定変更状態の終了後には、初期化報知が行われる。一方、設定確認状態の終了後には、初期化報知が行われない。このため、設定変更報知とは異なる報知(初期化報知)の有無によって、パチンコ遊技機10にとって重要性が高い設定値を変更する制御が行われていたかを、遊技場の管理者などに対して明確に認識させ得る。また、設定変更状態であるときに初期化報知を行う構成に比して、RWMの初期化を認識させ易くできる。また、異なる観点によれば、初期化報知に関して、「設定変更状態の終了」及び「遊技情報の初期化」の報知として兼用化し、管理者などにおける確認の負担を軽減できるという効果もある。
(2−13)設定変更状態の終了後における初期化報知は、搭載枠が閉鎖されたことを契機として行なわれる。このため、搭載枠の閉鎖と、初期化報知とを連動させ、設定値を変更しようとする管理者自身に対して、設定値を変更する一連の作業の完了(区切り)を認識させ易くできる。
(2−14)設定変更状態へ移行しない場合の初期化報知と、設定変更状態へ移行する場合の初期化報知とは、異なるタイミングで行なわれる。具体的に言えば、設定変更状態へ移行しない場合には、搭載枠を閉鎖する前であって、かつRWMの初期化が行なわれたときに初期化報知が行なわれる一方で、設定変更状態へ移行する場合には、搭載枠を閉鎖するときに初期化報知が行なわれる。すなわち、初期化報知は、設定変更状態が開始してから、設定器106がオフ状態に操作されるときまでは少なくとも規制される。したがって、初期化報知のタイミングによって、設定変更状態に起因した初期化であるかを認識させ易くできる。
(2−15)表示器105では、設定制御状態であるとき、その時点において設定されている設定値を表示する。したがって、設定されている設定値を容易に認識させ得る。ここで、設定制御状態へ移行したときには、その時点において設定されている設定値(すなわち、バックアップされている設定値)が最初に表示される。また、設定制御状態では、設定スイッチなどの操作手段の操作を必要とせずに、初期設定値とは異なる設定値を表示可能である。このため、遊技場の管理者は、設定値の確認を簡単にできる。
(2−16)この実施形態のパチンコ遊技機10では、ベース値に関する情報の表示と、設定値に関する情報の表示と、を行うことが何れも可能である。このため、例えば遊技場の管理者に、遊技の状態を適切に把握させ得る。
(2−17)表示器105は、設定値の表示(第3表示状態)と、ベース値の表示(第1,第2表示状態)とで兼用している。したがって、パチンコ遊技機10の構成、特に主基板30の構成を簡略化できる。これに加えて、パチンコ遊技機10に関する重要な情報を分散して表示する構成に比して、例えば管理者の注意が分散してしまうことを抑制し、より適切なパチンコ遊技機10の管理に資することができる。なお、設定制御状態では、設定値が表示され、かつセキュリティ信号が出力されることから、両者を連動させ、設定変更状態などであることの監視をより容易にできる。
(2−18)表示器105では、設定制御状態であるときに設定値が表示され、設定制御状態が終了すると、設定値からベース値へ表示が切り替わる。したがって、表示器105を視認することで、設定制御状態であることを容易に監視できる。また、ベース値に関する報知は、設定制御状態においては発生し得ない遊技行為という事象に関するものであり、さらに第3表示状態は、第1,第2表示状態とは異なる専用態様である。このため、表示器105を兼用しても、遊技場の管理者などに対して、表示内容を混同し難くできる。また、パチンコ遊技機10に関する重要な情報を同時に表示しないことから、個々の情報を適切に認識させ、適切なパチンコ遊技機10の管理にさらに資することができる。
(2−19)第3表示状態であるときと、第1,第2表示状態であるときとでは、表示器105における表示内容の一部が同じになるときがあるから、表示内容の一部を兼用することで、表示に関する構成を簡略化できる。
(2−20)設定変更状態へ移行すること、設定確認状態へ移行すること、RWMの初期化を行ってから通常制御状態へ移行すること、及び、RWMの初期化を行わずに通常制御状態へ移行することを、設定器106と、RWMクリアボタン104と、を用いることで実現できる。したがって、少ない数の操作手段によって、きめ細やかに制御の状態を切り替え可能になる。
(2−21)搭載枠が開放状態であるときに、設定値を変更する制御を可能である。搭載枠を開放することは、一般的な遊技者にとって困難である。このため、パチンコ遊技機10にとって重要度(機密度)が高い設定値に関して、単に設定器106をオン状態とする操作のみを要求する場合に比して、セキュリティ性を高めることができる。その一方で、設定値を確認させるための制御については、搭載枠が開放状態でなくても行なえる。このため、設定値の確認については、セキュリティ性を緩和し、その時点において設定されている設定値の確認を簡便にできる。
(2−22)設定変更状態であるときには、セキュリティ信号を出力する。このため、設定変更状態であることについて、セキュリティ信号から容易に監視できる。なお、上述のように、設定変更状態であるときは、基本的に搭載枠が開放状態であることから、搭載枠が開放状態であるかの監視に流用することもできる。
(2−23)設定確認状態であるときには、セキュリティ信号を出力する。このため、設定確認状態であることについて、セキュリティ信号から容易に監視できる。特に、設定変更状態及び設定確認状態の何れにおいてもセキュリティ信号を出力することで、セキュリティ性を好適に高め得る。
(2−24)設定制御状態(設定変更状態及び設定確認状態)は、設定器106をオフ状態に操作したことを契機として終了する。そして、設定制御状態の終了を契機として、すなわち設定器106の操作を契機として、設定制御状態に対応するセキュリティ信号の出力が終了する。このため、遊技場の管理者などは、セキュリティ信号に基づいて、このような設定確認状態である期間を正確に監視できる。
(2−25)設定変更状態が終了したときに、セキュリティ信号を出力中でなければ、セキュリティ信号が再出力され、セキュリティ信号を出力中であれば、セキュリティ信号の出力が延長される。このため、設定変更状態が終了した後に、セキュリティ信号を出力していない状況が発生しないようにできる。
(2−26)設定変更状態が終了したときには、セキュリティ信号の再出力又は出力の
延長を行うが、設定確認状態が終了したときには行わない。このため、設定確認状態に比して、重要度が高い設定変更状態について、外部信号を用いた監視をさらに行い易くできる。また、設定確認状態が終了したときにまで過剰に外部信号が出力され、監視の負担が増加することを抑制できる。
(2−27)設定変更状態であるとき(すなわち設定値に関する情報が表示されているとき)と、設定変更状態が終了した後(すなわちベース値に関する情報が表示されてから)とで、同じセキュリティ信号を出力する。このため、ベース値に関する情報が表示されること、及び、設定情報に関する情報の表示がされていることを、1種類の外部信号から適切に監視できる。
(2−28)設定情報に関する情報を表示しているときと、ベース値に関する情報を表示しているときとでは、セキュリティ信号の出力態様が異なっている。具体的に言えば、セキュリティ信号は、設定制御状態では、当該設定制御状態である期間(但し50ms以上)にわたって出力される一方で、設定制御(変更)状態が終了した後には所定期間(例えば50ms)だけ送信される。したがって、この実施形態では、何れの情報を表示しているかをセキュリティ信号から容易に監視できる。
(2−29)第1ベース値を表示しているとき(第1表示状態)、及び第2ベース値を表示しているとき(第2表示状態)の何れであっても、同じセキュリティ信号が出力される。このため、情報表示についての監視を容易にしつつも、外部信号の種類が多くなり過ぎることを抑制できる。
(2−30)セキュリティ信号は、設定変更状態へ移行したときと、設定確認状態へ移行したときとで同じ外部信号である。また、セキュリティ信号は、所定のエラーが発生しているときに出力される外部信号と同じ外部信号とすることもできる。このため、個別に外部信号を備える構成に比して、外部信号の種類が多くなり過ぎることを抑制できる。
(2−31)報知装置では、設定変更状態であるときに、設定変更報知を行う。このため、報知装置による報知によって、設定変更状態であることを容易に認識できる。また、報知装置では、設定確認状態であるときに、設定確認報知を行う。このため、報知装置による報知によって、設定確認状態であることを容易に認識できる。特に、この実施形態において、設定変更報知と設定確認報知とは、異なる報知態様であることから、設定変更状態中であるか、設定確認状態中であるかを、容易に認識できる。また、認識できる設定制御状態に応じて、RWMの初期化や初期化報知などが行われるかも認識できる。
(2−32)設定変更報知の単位報知は、設定変更状態であるときに少なくとも2回は行われ得る。また、設定確認報知の単位報知は、設定確認状態であるときに少なくとも2回は行われ得る。このため、設定変更状態や設定確認状態であることを、さらに容易に認識できる。
(2−33)特図表示装置23では、設定変更状態であるとき及び設定確認状態であるときに特別報知(設定報知パターンによる発光)を行なう。したがって、特図表示装置23を視認することで、設定制御状態であることを容易に監視できる。また、この実施形態における特図表示装置23は、特図変動ゲームを伴う当落報知などの別の報知を行う報知手段としても兼用されていることから、パチンコ遊技機10としての構成を簡略化できる。ここで、前記当落報知は、設定制御状態において発生しない事象に関するものである。また、前記設定報知パターンは、特別報知に専用の発光パターンである。このため、特図表示装置23を兼用しても、遊技場の管理者に対して、報知を混同し難くできる。
(2−34)設定変更状態であるときの各種報知、及び設定変更状態が終了してからの各種報知と連動して、兼用化されたセキュリティ信号が出力される。このため、セキュリティ信号に基づいて、設定変更状態であるか否か、及び設定変更状態が終了したか否かを認識可能としつつ、外部信号の種類が多くなり過ぎることを抑制できる。
(2−35)電源投入がされてから、設定値に関する情報を表示するまでの期間のうちの特別期間(時点X12〜X13)では、全スイッチ(第1種検知手段及び第2種検知手段)の何れも無効であるから、例えば起動処理などに制御的な資源を十分に割り当てることができる。
(2−36)設定制御状態であるとき(つまり、設定値に関する情報を表示しているとき)には、当該制御状態に関係する第2種検知手段についてのみ有効とし、他の第1種検知手段については無効としている。したがって、第1種検知手段の検知結果によって、設定値に関する制御に予期しない悪影響を及ぼしてしまうことを抑制できる。また、検知手段に関する制御的な負担の増加を抑制できる。
(2−37)ベース値に関する情報を表示しているときには、少なくとも第1種検知手段は有効である。したがって、ベース値の計数や表示を適切に行える。
(2−38)第1種検知手段が無効である状態から、全スイッチが有効である状態に移行させるための移行処理が行われる場合、当該移行処理の期間中も第1種検知手段が無効である。このため、移行処理に制御的な資源を十分に割り当てることができる。
(2−39)表示器105と設定器106を同一基板(主基板30)に実装している。このため、設定器106を操作したときに表示される設定情報の視認性を向上させることができる。また、関連し合う表示器105と設定器106を同一基板に実装することで、パチンコ遊技機10の構成にまとまりを持たせることができる。
(2−40)設定器106が主基板30と同じ主基板ケース81内に設けられていることから、セキュリティ性を向上させ得る。また、設定器106のシリンダ106bのうち、鍵穴106aがある先端面のみが主基板ケース81から露出している。したがって、設定器106の操作性を確保しつつ、セキュリティ性を向上できる。
(2−41)設定器106は、オン状態、及び、オフ状態のうち一方の状態に維持できることから、設定器106を操作し続ける必要がなく、設定値に関する作業を簡単にできるようになる。
(2−42)設定スイッチは、RWMクリアボタン104として兼用されていることから、パチンコ遊技機10の構成を簡略化できる。
(2−43)表示器105は、遊技盤YBの裏側に設けられている。このため、ベース値に関する情報の表示に加えて、設定値に関する情報の表示は、搭載枠を開放しなければ視認できない。このため、パチンコ遊技機10のセキュリティ性を高めることができる。
(2−44)CPU30aは、設定確認状態であるときには、ベース値の計数をしない。そして、設定確認状態が終了すると、設定値の表示が終了する一方で、設定確認状態の開始前におけるベース値(すなわち、電源断されたときのベース値)の表示が開始される。したがって、設定確認状態の終了後におけるベース値に関する情報の表示を正確にできる。
(2−45)CPU30aは、設定変更状態であるときには、ベース値の計数をしない。そして、設定変更状態が終了すると、設定値の表示が終了する一方で、設定変更状態の
開始前におけるベース値(すなわち、電源断されたときのベース値)の表示が開始される。したがって、設定変更状態の終了後におけるベース値に関する情報の表示を正確にできる。
(2−46)CPU30aは、設定確認状態が終了するとベース値の計数を開始する。CPU30aは、設定変更状態が終了するとベース値の計数を開始する。すなわち、設定制御状態が終了して通常制御状態へ移行すると、バックアップされているベース値からベース値の計数を開始(再開)する。このため、変動ゲームを実行可能になる通常制御状態へ移行したことに連動して、ベース値の計数が開始されることから、ベース値の計数を正確にできる。そして、設定制御状態の開始前におけるベース値から計数したベース値を特定可能な情報の表示を正確にすることができる。
(2−47)設定変更状態が終了した場合には、今回の設定変更状態における設定値の変更の有無に関係なく、バックアップされている各種情報に基づいて、ベース値の計数に関する制御と、ベース値の表示に関する制御とを開始する。したがって、設定値の変更の有無に関係なく、ベース値に関する情報を正確に把握させ得る。
(2−48)ベース値の計数に関する制御及びベース値の表示に関する制御は、設定されている設定値の種類に影響されることなく、設定値が変更された場合でも同一制御を行う。このため、ベース値の計数に関する基準を統一化でき、例えば他のパチンコ遊技機のベース値と比較する場合でも同一基準で比較することができる。このため、ベース値の信頼性を維持することができる。
(第3の実施形態)
この実施形態のパチンコ遊技機10は、その時点において設定されている設定値に関する演出(以下、「特別演出」と示す)を実行可能に構成されている。特別演出としては、設定されている設定値を示唆する示唆演出と、設定されている設定値を報知する報知演出と、のうち一方又は両方を設けることができる。
例えば、示唆演出は、特定の演出図柄、特定のキャラクタ、特定の文字列、及び特定の背景などが出現したときに、特定の設定値が設定されている可能性が高い、又は確定する態様により行うことができる。例えば、示唆演出は、所定条件が成立すると通常であれば出現する演出図柄、キャラクタ、文字列、及び背景が、前記所定条件が成立しても出現しないときに、特定の設定値が設定されている可能性が高い、又は確定する態様により行うことができる(所謂、法則崩れ)。例えば、報知演出は、「第3設定値です」の文字列のように、設定されている設定値を直接的に特定可能な態様により行うことができる。
この実施形態のCPU30aは、図18に示す電源投入処理のうち、ステップS113,S126において、その時点において設定されている設定値を特定可能な設定値コマンドを副基板42に送信する。副基板42は、設定値コマンドから特定可能な設定値に基づいて、特別演出を実行する。具体的に言えば、副基板42は、予め定めた特別条件が成立したことを契機として、特別演出を実行するように報知装置(演出装置)を制御する。
特別条件としては、以下に例示する通り、各種条件を定めることができるとともに、1つ条件、又は複数の条件を任意に選択して適用できる。
例えば、特別条件は、第1始動口12へ入球したこと、第2始動口13入球したこと、大入賞口15へ入球したこと、普通入賞口16,17に入球したこと、作動ゲート18に入球したこと、アウト口21に入球したこと、及びこれらの入球口とは異なる演出用の入球口に入球したこと、などである。例えば、特別条件は、電源投入されてからの経過時間が特定時間となったこと、特定時刻になったこと、特定日時になったこと、及び特定の曜
日や季節になったこと、などである。なお、副基板42は、リアルタイムクロック(RTC)機能を搭載することにより、時間、時刻、日付、曜日、及び季節の特定を可能に構成できる。
例えば、特別条件は、低確かつ低ベースにおける特図変動ゲームの実行回数が所定回数に達したこと、大当り遊技の付与回数が所定回数に達したこと、待機状態へ移行したこと、及びデモ演出を開始したこと、などである。例えば、特別条件は、第1ベース値が所定値になったこと、第2ベース値が所定値になったこと、通常時賞球カウンタが所定値になったこと、通常時有効球カウンタが所定値になったこと、及び全状態時有効球カウンタが所定値になったこと、などである。例えば、特別条件は、大当り遊技のオープニングが開始したこと、所定のラウンド遊技が開始したこと、エンディングが開始したこと、高ベース状態が開始したこと、高ベース状態が終了したこと、高確率が開始したこと、及び高確率が終了したこと、などである。
したがって、この実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1−1)〜(1−14)、及び第2の実施形態の効果(2−1)〜(2−48)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(3−1)特別演出を実行することによって、その時点において設定されている設定値を推測するための要素を積極的に提供し、自身にとって有利な設定値が設定されていることに期待する遊技者の興趣を向上させ得る。
なお、各実施形態は以下のように変更してもよい。
・各実施形態において、CPU30aは、所定の計数周期毎(有効球が所定数に達する毎)に格納される通常時賞球バッファの値と通常時有効球バッファの値を取得し、(低確かつ低ベース時の賞球の総数÷低確かつ低ベース時の有効球の総数)×100の計算式によって、第2ベース値を計数する。有効球の所定数は、例えば60000である。そして、CPU30aは、今回の計数周期において、前回の計数周期における第2ベース値を表示する。これに代えて、パチンコ遊技機10は、第2表示状態において、前回の計数周期における第2ベース値を含み、新しいものから複数である所定回分の第2ベース値を切り替えて表示可能に構成されていてもよい。所定回としては、例えば3回であるが、適宜変更してもよい。
この場合、RWM領域には、前記所定回分の通常時賞球バッファと通常時有効球バッファを個別に定めておき、所定回分の各バッファに格納された値をもとに第2ベース値をそれぞれ計数(計算)してもよい。また、RWM領域には、計数周期毎に計数した第2ベース値を格納するバッファとして、前記所定回分のバッファを定めておき、最新のものから所定回分の第2ベース値を格納するようにしてもよい。これらのバッファは、所謂「リングバッファ」としてそれぞれ構成し、同じ記憶領域を繰り返し利用してもよい。
また、CPU30aは、所定回分の第2ベース値を計数できていないとき、すなわち有効球が所定数と所定回とを乗算した基準数(例えば60000×3)に達していないとき、第2表示状態における表示態様を、前記基準数に達しているときとは異なる特定態様としてもよい。例えば特定態様は、計数できている第2ベース値を切り替えないで、又は切り替えて表示するとともに、識別子を点滅表示させる態様である。さらに、CPU30aは、前記所定回分の計数周期を通しての通算ベース値を計数し、当該通算ベース値を表示させてもよい。
・各実施形態において、第1ベース値を識別する識別子、及び第2ベース値を識別する識別子の表示パターンを変更してもよい。なお、表示器105における数字や文字の表示
パターンは、他の数字や文字との混同を避けるように構成するとよい。
・各実施形態において、表示器105の構成を変更してもよい。具体的には、表示器105を構成する表示要素D1〜D4の数(7セグメントLEDの数)を増減させてもよい。また、表示要素D1〜D4の配列を一列の横並びに代えて、例えば2つの表示要素を2段に配列したり、一列の縦並びに配列してもよい。
・各実施形態において、図11及び図12で説明した全状態時有効球数に応じた識別子の表示態様やベース値の表示態様を変更してもよい。
・ベース値の計数やベース値の表示に関する球数Y1,Y2,Y3は、任意に変更可能である。例えば、球数Y3を20000球としてもよい。
・各実施形態において、図11の時点X2の段階で一旦、通常時賞球カウンタ(通常時賞球数)、通常時有効球カウンタ(通常時有効球数)、及び全状態時有効球カウンタ(全状態時有効球数)を零クリアしてもよい。そして、これらのカウンタを零クリアした後、時点X2からの1回目の計測を開始させてもよい。
・上記別例において、例えば、1回目の期間における時点X1〜X2において、第1ベース値の表示態様を[−−]に代えて、その他の表示パターンに変更してもよいし、第3,第4表示要素D3,D4に何も表示しないようにしてもよい。この別例は、1回目の期間における時点X1〜X4において、第2ベース値も同様である。また、時点X1〜X2において第1ベース値を計数し、その計数結果を表示してもよい。
・上記別例において、1回目の期間における時点X1〜X2の第1表示状態時の識別子の表示態様と時点X2〜X3の第1表示状態時の識別子の表示態様を異ならせてもよい。例えば、時点X2〜X3のときは、識別子を点灯表示させてもよい。この場合、時点X2〜X3と時点X3〜X4における識別子の表示態様は同一となる。同様に、時点X4〜X5などの第1表示状態時の識別子、つまり全状態時有効球数が球数Y3に達するまでの識別子を点灯表示させてもよい。
・上記別例において、第1ベース値及び第2ベース値の各識別子を点滅表示させるときの周期は任意に変更してもよい。
・各実施形態において、例えばベース値として閾値を設定しておき、計数の結果、閾値を超えるベース値を表示する場合は異なる表示態様(例えば点滅表示)で表示させてもよい。例えば、閾値は、想定されるベース値よりも高いベース値に設定しておくことで、エラーや不正などの指標とすることができる。また、各実施形態では、ベース値が99のときはベース表示部に[99]を表示させ、ベース値が100以上のときにはベース表示部に[99.]というようにドットを付加した表示としている。通常、ベース値が100以上になることは想定し難いので、「.(ドット)」を付加した表示又は報知は想定し難い状況が発生していることを認識させる指標となり得る。
・各実施形態において、ベース値が[100]以上の場合の表示態様を変更してもよい。例えば、[FF]などの表記としてもよい。また、表示パターンを[99]として点滅表示させてもよい。
・各実施形態において、主基板30に、第1ベース値を表示する表示器と第2ベース値を表示する表示器を別々に搭載してもよい。この場合の各表示器は、各実施形態と同様に4つの表示要素D1〜D4で構成し、識別子とベース値を表示するようにしてもよい。また、表示器を別々にする場合において、各表示器を例えば2つの表示要素で構成し、それぞれのベース値を識別する識別子を主基板30の実装面にプリントしてもよい。
・各実施形態において、通常時賞球カウンタ、通常時有効球カウンタ、全状態時有効球カウンタ、通常時賞球バッファ、通常時有効球バッファ、計数した第1ベース値及び第2ベース値など、ベース値の計数に関する制御における計数結果や制御に必要な情報を格納するRWM領域を初期化する手段を設けてもよい。なお、この手段は、遊技場の管理者など特定の人のみが操作可能であって、遊技者は操作不能に設けるようにする。
・各実施形態において、CPU30aが計数したベース値を特定可能な情報を副基板42へ送信し、副基板42が制御する例えば演出表示装置11にベース値を表示させてもよい。このようにすれば、遊技者もベース値を認識することが可能である。また、この場合、ベース値を報知する手段は、遊技盤YBの盤面や演出表示装置11を取り付けるセンター枠に設けた7セグメントLEDとしてもよい。
・各実施形態において、アウトスイッチS7の配置を変更してもよい。例えば、アウトスイッチS7を遊技盤YBに設けてもよい。この場合、アウトスイッチS7は、遊技盤YBにあるアウト口21よりも下方であって、遊技盤YBの最下位部に配置してもよい。
・各実施形態において、アウトスイッチS7を複数配置してもよい。この場合、通常時有効球カウンタや全状態時有効球カウンタの計数は複数のアウトスイッチS7の検知結果の合算となる。
・各実施形態において、通常遊技以外の遊技におけるベース値を計数してもよい。この場合の計数したベース値を報知する手段を、主基板30に搭載してもよいし、副基板42の制御によって例えば演出表示装置11に表示させてもよい。
・各実施形態において、主基板30のCPU30aによって計数されたベース値を特定可能な情報を副基板42へ送信し、副基板42は特定したベース値に応じて例えば演出表示装置11で所定の演出を行わせてもよい。例えば、ベース値が想定される値に一致又はほぼ一致しているときには「調子よい」などのメッセージを表示させ、ベース値が想定される値と離れているときには「調子悪い」などのメッセージを表示させてもよい。また、例えば、ベース値が想定される値に一致又はほぼ一致しているときには「調整よい」などのメッセージを表示させ、ベース値が想定される値と離れているときには「調整悪い」などのメッセージを表示させてもよい。
・各実施形態において、主基板30のCPU30aによって計数されたベース値を特定可能な情報を外部装置に送信してもよい。外部装置は、例えばホールコンピュータHCや、遊技機設置設備に配置されているデータカウンタであり、データカウンタにてベース値を報知してもよい。
・パチンコ遊技機10では、例えば入球率向上状態の残り回数など、主基板30のCPU30aが計数した結果を、副基板42の制御によって例えば演出表示装置11に表示することが行われている。このように主基板30で計数し、副基板42で報知する情報については、RWM領域の初期化指示によって初期化される情報である。
・各実施形態において、主基板30における表示器105の配置は任意に変更してもよい。また、各実施形態では、表示器105の情報表示部105aが主基板ケース81外に露出しているが、表示器105全体が主基板ケース81内に配置されていてもよい。
・各実施形態において、主基板ケース81における番号表示部101の配置は任意に変更してもよい。つまり、表示器105の情報表示部105aと番号表示部101とが重な
らなければよい。
・また、各実施形態において、表示器105の情報表示部105aは、主基板ケース81に番号表示部101以外の情報を表示する表示部(例えば、二次元コード、外部端子板40の端子を説明する表示部)を設ける場合においてこれらの表示部と重ならない位置に配置されていることが好ましい。
・各実施形態において、表示器105を、払出基板31に搭載してもよいし、主基板30と払出基板31との間の中継端子板37に搭載してもよい。
・第2,第3の実施形態において、表示器105と設定器106を別の基板に搭載してもよい。例えば、表示器105は主基板30に搭載し、設定器106を払出基板31に搭載してもよい。
・第2,第3の実施形態において、表示器105を、ベース値を報知する手段と設定情報を報知する手段とで兼用させずに、設定情報を報知する手段を別途設けてもよい。この場合、設定情報を報知する手段は、主基板30に搭載してもよいし、払出基板31に搭載してもよいし、主基板30と払出基板31との間の中継端子板37に搭載してもよい。
・第2,第3の実施形態において、CPU30aは、設定変更状態及び設定確認状態の一方又は両方において、設定している設定値を特定可能な情報を副基板42へ送信し、副基板42が制御する例えば演出表示装置11に設定値を表示させてもよい。
・パチンコ遊技機10は、搭載枠(前枠WM、中枠WN)が開放されたことを検知できるように搭載枠の開放を検知する手段(枠スイッチS10)を備えている。このため、第2,第3の実施形態では、搭載枠の開放を検知できることを利用して、搭載枠が開放された状態で設定器106の操作が行われたときには、設定制御状態(設定変更状態又は設定確認状態)へ移行し得るようにしてもよい。その一方で、搭載枠が開放されていない状態(つまり、閉鎖されている状態)で設定器106の操作が行われたときには、設定制御状態(設定変更状態又は設定確認状態)へ移行せず、エラー報知を行うようにしてもよい。この別例では、設定確認状態への移行条件には、搭載枠が外枠WSに対して開放されている特定状態であることを含む。また、本別例では、設定変更状態への移行条件には、搭載枠が外枠WSに対して開放されている特定状態であることを含む。
・上記別例において、搭載枠が開放されていない状態で設定器106の操作が行われたときには、設定制御状態(設定変更状態又は設定確認状態)へ移行し得るようにしてもよい。その一方で、搭載枠が開放されている状態で設定器106の操作が行われたときには、エラー報知を行うようにしてもよい。
・第2,第3の実施形態において、搭載枠が開放されていなければ、設定制御状態(設定変更状態又は設定確認状態)であっても、表示器105において設定値を表示しないようにしてもよい。遊技者にとって基本的に開放が困難である搭載枠が開放されているときに、何れかの設定値を表示可能であることから、セキュリティ性を好適に高め得る。
・第2,第3の実施形態において、搭載枠が開放されていなければ、設定変更状態であっても、設定スイッチの操作信号を受信したときに、設定値を変更しないようにしてもよい。遊技者にとって基本的に開放が困難である搭載枠が開放されているときに、何れかの設定値に変更可能であることから、セキュリティ性を好適に高め得る。
・第2,第3の実施形態において、設定確認状態及び設定変更状態のうち一方又は両方について、セキュリティ信号の出力を省略してもよい。
・第2,第3の実施形態において、設定確認状態及び設定変更状態のうち一方又は両方について、報知装置における報知を省略してもよい。
・第2,第3の実施形態において、設定確認状態及び設定変更状態のうち一方又は両方について、特図表示装置23における報知を省略してもよい。
・第2,第3の実施形態において、設定確認状態又は設定変更状態であることの報知には、特図表示装置23に加えて、又は代えて、表示装置24,25のうち一方又は両方を用いてもよい。即ち、設定確認状態又は設定変更状態であることの報知は、CPU30aが表示内容を制御する表示装置であれば、特図表示装置23のみを用いることに限定されず、表示装置24,25や、これらとは異なる表示装置を用いてもよい。また、設定確認状態又は設定変更状態であることの報知は、設定されている設定値を報知する表示と兼ねてもよい。すなわち、例えば特図表示装置23の単体を、又は報知対象が異なる複数の表示装置を一纏まりの7セグメントLEDとするのであれば、当該7セグメントLEDを用いて設定値を表示してもよい。
・第2,第3の実施形態において、設定確認状態及び設定変更状態のうち一方又は両方について、セキュリティ信号に加えて、又は代えて、セキュリティ信号とは異なる外部信号を出力してもよい。例えば、設定確認状態及び設定変更状態の両方に共通かつ専用の外部信号、又は設定変更状態に専用の外部信号、若しくは設定確認状態に専用の外部信号などであってもよい。セキュリティ信号とは異なる外部信号と兼用されていてもよい。
・第2,第3の実施形態において、設定確認状態及び設定変更状態のうち一方又は両方について、セキュリティ信号の最低出力時間を変更してもよい。例えば、最低出力時間としては、30秒を定めてもよい。
・第2,第3の実施形態において、CPU30aは、設定確認状態及び設定変更状態の何れかに移行したときに、所定期間(例えば50ms)にわたってセキュリティ信号を出力させ、設定器106がオフ状態に操作されることを待たずに、セキュリティ信号の出力を停止してもよい。
・第2,第3の実施形態において、設定変更状態が終了した後、セキュリティ信号の出力(延長)中に枠スイッチS10から枠開放信号を受信しなくなったときには、セキュリティ信号を再出力してもよい。
・第2,第3の実施形態において、CPU30aは、設定変更状態へ移行した場合についても、初期化報知に対応するセキュリティ信号を、設定器106がオフ状態に操作されたときや、電源投入処理を終了したときに出力させてもよい。つまり、セキュリティ信号の再出力又は出力の延長は、設定器106をオフ状態に操作したタイミングにて行われるようにしてもよい。
・第2,第3の実施形態において、CPU30aは、設定変更状態へ移行してから、設定器106がオフ状態に操作された後に枠スイッチS10から枠開放信号を受信しなくなる迄の間、再出力や出力を延長する処理を伴わずに、セキュリティ信号を継続して出力させてもよい。
・第2,第3の実施形態において、CPU30aは、設定変更状態へ移行した場合についても、設定器106がオフ状態に操作されたときや、電源投入処理を終了したときに、初期化報知コマンドを副基板42に送信してもよい。つまり、設定変更状態へ移行した場合でも、初期化報知は、設定器106をオフ状態に操作したタイミングにて開始してもよい。
・第2,第3の実施形態において、CPU30aは、RWMの初期化が行われた時点で、初期化報知コマンドを副基板42に送信してもよい。つまり、初期化報知は、常にRWMの初期化が行われたタイミングにて開始してもよい。
・第2,第3の実施形態において、設定確認状態へ移行してからの経過時間が、設定確認報知の単位報知に要する時間の2倍以上に定めた規定時間に達していない場合に、設定器106をオフ状態とする操作がされたときには、前記規定時間が経過してから設定確認状態を終了するようにしてもよい。設定変更状態についても同様に変更してもよい。この別例によれば、単位報知が少なくとも2回以上にわたって、確実に行われ得ることから、遊技場の管理者などに設定値に関する制御が行われていることを認識させ易い。
・第2,第3の実施形態において、設定確認報知及び設定変更報知などの設定制御状態に関する各種の報知態様は、設定確認状態と設定変更状態とで同じ態様であってもよく、異なっていてもよい。
・第2,第3の実施形態において、特図表示装置23では、特別報知を実行しているときと、これとは異なる報知を実行しているときとで、表示内容の少なくとも一部が異なればよく、一部が共通していてもよい。本別例によれば、特図表示装置23を兼用しても、報知を混同し難くできる。
・第2,第3の実施形態において、設定確認状態及び設定変更状態のうち一方又は両方について、移行した直後には表示器105を非表示としておき、設定スイッチの操作を契機として設定値の表示(第3表示状態)を開始するようにしてもよい。
・第2,第3の実施形態において、表示器105の第3表示状態を変更してもよい。例えば、第1,第2表示要素D1,D2を用いて設定値を示す識別子を表示してもよい。
・第2,第3の実施形態において、電源投入処理(ステップS110,S117)にて設定値エラーと判定したときの処理内容を変更してもよい。例えば、ステップS114,S118の処理において、CPU30aは、設定値に関する情報を初期化しなくてもよい。また、副基板42は、設定値エラーコマンドを受信すると、設定値の変更を推奨する報知(以下、「変更推奨報知」と示す)を行ってもよい。例えば、演出表示装置11の画像表示部GHには、「RWM異常です」や「設定値を確認して下さい」などの文字列を示す画像が表示される。
・第2,第3の実施形態において、CPU30aは、起動処理においてRWM領域のチェックを行い、当該チェックでRWM領域に異常が検知されたときに、遊技停止状態へ移行してもよい。この場合、CPU30aは、設定値に関する情報を初期化してもよく、上記別例と同様に、設定値に関する情報を初期化しなくてもよい。副基板42の制御についても、上記別例と同じように構成できる。
・第2,第3の実施形態において、通常制御状態(すなわち、ベース値に関する情報を表示しているとき)では第2種検知手段を無効にしてもよい。すなわち、少なくとも第1種検知手段が有効であればよい。例えば、CPU30aは、操作不問としている期間について、第2種検知手段の検知結果を読み込まないようにするとよい。
・各実施形態において、非入球率向上状態中は、普通図柄の当り抽選に当選しないようにしてもよい。つまり、非入球率向上状態中は、作動ゲート18へ遊技球を通過させても、当り抽選に当選せず、全てがはずれの扱いとなることから、第2始動口13も開放されず、第2特図変動ゲームの始動条件や第2始動口13への入球に基づく賞球の払出条件を
成立させることができないようにしてもよい。なお、この場合であっても、普通図柄のはずれ図柄を導出するために普通図柄の変動パターンが決定され、普図変動ゲームが行われる。
・確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機10として、次回の当りに当選するまで確変状態を付与する仕様や、転落抽選に当選するまで確変状態を付与する仕様(転落機)、あるいは予め定めた回数分の図柄変動ゲームが終了するまで確率変動状態を付与する仕様(ST機)がある。また、確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機には、遊技球が特定領域を通過することを契機に確変状態を付与する仕様(V確変機)がある。各実施形態のパチンコ遊技機10は、これらの何れの仕様のパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、パチンコ遊技機10は、上記した転落機とV確変機を混合させた仕様のパチンコ遊技機であってもよい。
・各実施形態のパチンコ遊技機10を、遊技球が特定領域を通過することを契機に大当り遊技を付与する遊技機(所謂1種2種混合機)に具体化してもよい。この場合、ベース値を計数する通常遊技は、低ベースであって、大当り遊技中ではないときの遊技である。
・各実施形態は、パチンコ遊技機10として、「羽根もの」、「ヒコーキタイプ」とも言われる第2種に分類されるパチンコ遊技機に具体化してもよい。この種のパチンコ遊技機では、始動口への遊技球の入球を契機に入球装置(大入賞口)の開閉羽根(開閉部材)が開き、入球装置へ入球した遊技球が特別入賞口へ入球することによって大当り遊技が生起される。この場合、ベース値を計数する通常遊技は、大当り遊技中ではないときであり、始動口への入球によって入球装置の開閉羽根が開いているとき(小当り)はベース値を計数する対象としてもよい。
・主基板30に搭載される遊技の進行を制御する手段をワンチップマイクロコンピュータとしてもよい。
・各実施形態のパチンコ遊技機10を、特別図柄のみを用いるパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、各実施形態のパチンコ遊技機10を、複数の大入賞口を有するパチンコ遊技機、単一の始動口を有し、単一の特別図柄を用いるパチンコ遊技機、若しくは複数の始動口を有し、単一の特別図柄を用いるパチンコ遊技機に具体化してもよい。すなわち、パチンコ遊技機10の構成、特に遊技盤YBの具体的な構成は任意に変更してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(a)大入賞口と当該大入賞口とは異なる複数の入賞口とを備え、大入賞口へ遊技球が入球した場合には1球の入球に対して所定個数の賞球の払出しが行われるとともに、前記入賞口へ遊技球が入球した場合には1球の入球に対して入賞口毎に定められた個数の賞球の払出しが行われる遊技機において、遊技に使用された有効球を検知する有効球検知手段と、遊技に使用された有効球のうち、前記入賞口へ入球した遊技球を検知する入球検知手段と、遊技機から通常遊技時に払出された賞球の総数を計数する通常時賞球計数手段と、通常遊技時において遊技に使用された有効球の総数を計数する通常時有効球計数手段と、全ての遊技状態において遊技に使用された有効球の総数を計数する全状態時有効球計数手段と、全状態時有効球計数手段で計数されている遊技に使用された有効球の総数が所定数に達したときの通常時賞球計数手段で計数されている賞球の総数を記憶する賞球記憶手段と、全状態時有効球計数手段で計数されている遊技に使用された有効球の総数が所定数に達したときの通常時有効球計数手段で計数されている遊技に使用された有効球の総数を記憶する有効球記憶手段と、通常遊技時において遊技に使用された有効球の総数に対する通常遊技時における賞球の総数の割合を示すベース値を計数するベース値計数手段と、表示手段と、を備え、ベース値には、所定数に達するまでに計数される第1ベース値と、所定数に達したときの第2ベース値と、があり、表示手段は、ベース値を表示するベース表示
部と、ベース表示部に表示されているベース値の識別子を表示する識別子表示部と、を有し、ベース表示部には、第1ベース値と、前回の計数で所定数に達したときの第2ベース値と、が表示され、識別子には、第1ベース値を識別する第1識別子と第2ベース値を識別する第2識別子と、がある遊技機。
(b)第1識別子は、所定数よりも小さい特定数に達するまでと特定数に達してからとで異なる表示態様で表示されるとよい。
(c)第2識別子は、遊技機が第2ベース値を保持している場合と第2ベース値を保持していない場合とで異なる表示態様で表示されるとよい。
(d)表示手段は、第1ベース値と第1識別子とを表示する第1表示状態と、第2ベース値と第2識別子とを表示する第2表示状態と、に所定の周期毎に切り替わるとよい。
(e)有効球検知手段は、遊技盤の搭載枠の最下部位、又は遊技盤に設けられているとともに、遊技盤において大入賞口及び複数の入賞口の何れにも入賞せずに遊技領域から排出される遊技球が入球するアウト口よりも下方の遊技盤の最下部位に配置されているとよい。
(f)遊技機への電力供給が停止した場合でも保持されている情報の初期化を行う初期化手段を備え、通常時賞球計数手段及び通常時有効球計数手段の各計数内容、並びに賞球記憶手段及び有効球記憶手段の各記憶内容については、初期化手段による初期化が不能とされ、電力供給が開始されたときの表示手段には、電力供給が停止した際に表示されていたベース値の表示が復帰するとよい。
(g)所定条件の成立によって計数を行う計数手段を備え、遊技機への電力供給が停止した場合でも保持されている情報には、通常時賞球計数手段及び通常時有効球計数手段の各計数内容と、賞球記憶手段及び有効球記憶手段の各記憶内容と、計数手段の計数内容と、を含み、計数手段の計数内容は初期化手段による初期化が可能である一方で、通常時賞球計数手段及び通常時有効球計数手段の各計数内容、並びに賞球記憶手段及び有効球記憶手段の各記憶内容は初期化手段による初期化が不能であるとよい。
(h)ベース表示部には、全状態時有効球計数手段で計数されている有効球の総数が所定数よりも小さい一定数に達するまでの間はベース値が表示されず、一定数に達するまでの間の数には零を含むとよい。
(i)外部装置を接続することができる外部接続手段を備え、外部接続手段からは、有効球検知手段によって検知された有効球が一定の球数に達する毎に情報が出力されるとよい。
(j)有利度合いを定めた複数の設定情報のうち何れかの設定情報を設定する設定手段を備え、表示手段は、設定情報を表示する設定情報表示部として兼用されているとよい。
(k)遊技機は、設定手段によって設定情報が変更された場合でも、ベース値の計数に関する制御及びベース値の表示に関する制御として同一制御を行うとよい。
(l)有利度合いを定めた複数の設定情報のうち何れかの設定情報を設定する設定手段と、設定手段が設定情報を変更する契機を与える変更契機手段と、を備え、表示手段と変更契機手段は同一基板に実装されているとよい。
(m)前記設定操作手段とは別に初期化操作手段を備え、前記設定操作手段の操作状態が第1操作状態であり、且つ、前記初期化操作手段の操作状態が初期化操作状態である状態にて電源投入がされたときには、前記設定変更状態へ移行し、前記設定操作手段の操作
状態が前記第1操作状態であり、且つ、前記初期化操作手段の操作状態が非初期化操作状態である状態にて電源投入がされたときには、前記設定確認状態へ移行し、前記設定操作手段の操作状態が第2操作状態であり、且つ、前記初期化操作手段の操作状態が前記初期化操作状態である状態にて電源投入がされたときには、前記設定変更状態を移行せずに、前記初期化制御を行い、前記設定操作手段の操作状態が前記第2操作状態であり、且つ、前記初期化操作手段の操作状態が前記非初期化操作状態である状態にて電源投入がされたときには、前記初期化制御を行わず、前記バックアップされている遊技情報に基づいて前記通常制御状態へ移行するとよい。
(n)前記設定操作手段は、第1操作状態と、第2操作状態と、のうち何れかの操作状態に切り替える操作を可能であって、切り替え後における一方の操作状態を維持するように構成されており、前記所定態様操作は、前記設定操作手段を前記第1操作状態とする第1態様操作、及び、前記設定操作手段を前記第2操作状態とする第2態様操作のうち、前記第1態様操作であるとよい。
(o)前記設定情報の変更を指示する操作を可能に構成された変更操作手段を備え、前記変更操作手段は、遊技情報の初期化を指示する操作を可能に構成された初期化操作手段、又は、エラー報知の終了を指示する操作を可能に構成された終了操作手段と兼用されているとよい。
(p)前記設定変更状態又は前記設定確認状態の終了後には、前記当り抽選に基づいた変動ゲームを実行可能な通常制御状態へ移行し、当該通常制御状態では、前記設定操作手段の所定態様操作があっても前記設定変更状態及び前記設定確認状態へ移行しないとよい。
(q)ケースと、前記ケースに収容されている基板と、を備え、前記設定制御手段は、前記基板に実装された演算素子を含んで構成され、前記設定操作手段は、前記ケース内に設けられているとよい。