以下、本発明を実施するための実施形態及びその変形例が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態及びその変形例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。
<<透析システムの全体構成>>
図1は、透析システムの構成の概略を示す図である。図1に示すように、本実施形態の透析システム1はセントラル透析液供給システムであり、透析用剤溶解装置2と、多人数用透析液供給装置3と、複数の透析用監視装置4A〜4Fとによって構成されている。
透析用剤溶解装置2と多人数用透析液供給装置3とによって構成される透析液供給システム10は、本実施形態では透析液調整室に設置されている。透析用剤溶解装置2は、粉末型の透析用剤(A剤・B剤)と精製水とを混合して透析液原液(A原液・B原液)を作成し、多人数用透析液供給装置3に供給する。多人数用透析液供給装置3は、精製水と透析液原液(A原液・B原液)を混合・調製し透析液を作成し、当該透析液を透析用監視装置4A〜4Fそれぞれに供給する。透析用剤は、ブドウ糖や、1種又は複数種の電解質などを含んでおり、例えば粉末状に形成されている。電解質としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、クロールイオン、重炭酸イオン、リンイオンなどが挙げられる。また、好ましい電解質としては、カルシウムイオン、リンイオンなどが挙げられる。本実施形態では電解質としてリンイオンが採用される。
透析用監視装置4A〜4Fは同じ構成であるため、当該透析用監視装置4Aについてのみ説明する。透析用監視装置4Aは、1人の透析患者に割り当てられ、本実施形態では透析室に設置されている。この透析用監視装置4Aは、透析液供給システム10から供給される透析液を用いて透析患者から取り出された血液中の老廃物及び電解質を除去し、必要な電解質及び電解質を補充し、処理された血液を透析患者に戻す。老廃物としては、尿素窒素、クレアチニン及び尿素を含む尿毒症性物質などが挙げられる。
(1)第1実施形態
<透析用監視装置の構成>
図2は、第1実施形態における透析用監視装置の構成の概略を示す図である。図2に示すように、透析用監視装置4Aは、血液回路20、ダイアライザー30及び電解質補充装置40を主な構成要素として備える。
血液回路20は、シャント(図示せず)から取り出された血液を通す経路であり、弾性を有するチューブで構成される。この血液回路20の中途部位にはダイアライザー30が設けられている。血液回路20のうち、ダイアライザー30よりもシャントの入力口側となる動脈側血液回路20Aには、血液ポンプ21及びエアートラップチャンバ22が設けられている。また、血液回路20のうち、ダイアライザー30よりもシャントの出力口側となる静脈側血液回路20Bには、エアートラップチャンバ23及び接続ポート24が設けられている。
血液ポンプ21は、回転ローラ21Aで血液回路20を扱いて血液を血液回路20に送るローラポンプであり、当該回転ローラ21Aの回転数に応じた量の血液を血液回路20に流入する。エアートラップチャンバ22,23は、血液中の空気を抜くとともに凝血塊を捕捉する器具である。接続ポート24は、液体等の出し入れ用としてチューブ等を必要に応じて接続可能なポートである。
ダイアライザー30は、血液中の老廃物を除去するための透析器であり、透析液を収容する収容空間を有する本体ケース31と、当該収容空間に配置される複数の半透膜管32とを有する。
本体ケース31の入力部では動脈側血液回路20Aの一端と本体ケース31内の各半透膜管32の一端とが接続され、当該本体ケース31の出力部では静脈側血液回路20Bの一端と本体ケース31内の各半透膜管32の他端とが接続されている。
本体ケース31の入力部及び出力部以外の部位には、透析液流路33を介して透析液供給システム10の多人数用透析液供給装置3(図1)が連結される。透析液流路33は透析液が通る経路であり、弾性を有するチューブで構成される。この透析液流路33には、液体等の出し入れ用としてチューブ等を必要に応じて接続可能な接続ポート34が設けられている。
本体ケース31の収容空間には、透析液供給システム10の多人数用透析液供給装置3(図1)で生成される透析液が上流側の透析液流路33Aを介して流入する。一方、本体ケース31の収容空間に配置される各半透膜管32の管空内には、透析患者の血液が動脈側血液回路20Aを介して流入する。
本体ケース31の収納空間では、各半透膜管32を介して血液と透析液との間で物質が移動する。具体的には、血液中における尿毒素などの老廃物は、濃度勾配に従い半透膜管32を透過して透析液中に移動する。一方、血液中における赤血球、白血球、蛋白質などの成分は、半透膜管32を透過せずに管内を流れる。他方、血液中の電解質は、透析液中の電解質濃度よりも血中の電解質濃度が高い場合には、濃度勾配に従い半透膜管32を透過して透析液中に移動し、透析液中の電解質濃度よりも血中の電解質濃度が低い場合には、濃度勾配に従い半透膜管32を透過して血液中に移動する。同様に、血液中の電解質は、透析液中の電解質濃度よりも血中の電解質濃度が高い場合には、濃度勾配に従い半透膜管32を透過して透析液中に移動し、透析液中の電解質濃度よりも血中の電解質濃度が低い場合には、濃度勾配に従い半透膜管32を透過して血液中に移動する。
血液から移動した老廃物を含む透析液は、本体ケース31の収納空間から下流側の透析液流路33Bを介して廃液として排出される。一方、ダイアライザー30で老廃物が除去された血液は、各半透膜管32から静脈側血液回路20Bを介して透析患者の血管に流入する。
<電解質補充装置の構成>
電解質補充装置40は、電解質溶液タンク41、溶液供給経路42、ポンプ43及びコントローラ44を主な構成要素として備える。
電解質溶液タンク41は、電解質を含有する溶液である電解質溶液を貯留するタンクである。この電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質として、本実施形態では、リンイオンが含有される。
溶液供給経路42は、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液を静脈側血液回路20Bに供給する経路である。溶液供給経路42の一端は電解質溶液タンク41に接続され、その溶液供給経路42の他端は接続ポート24に接続される。
ポンプ43は、電解質溶液を送るものであり、溶液供給経路42における途中の部位に設けられている。なお、ポンプ43は、ローラポンプであってもシリンジポンプであってもよい。
図3は、第1実施形態におけるコントローラの機能的な構成の概略を示す図である。コントローラ44は、電解質補充装置40を統括的に制御するコンピュータであり、図3に示すように、入力部51、記憶部52及び制御部53を含む構成とされる。
入力部51は、半透膜を隔てて血液側から透析液側に電解質が移動する要因となる情報(以下、電解質移動要因情報という)や、その他の各種の情報を入力可能な構成とされる。この入力部51は、電解質移動要因情報が入力された場合にはその電解質移動要因情報を示すデータを制御部53に与える。
なお、入力部51は、キーボードやマウス等によって電解質移動要因情報を入力可能になっていても良く、患者個人が携帯するICカードと通信することによって電解質移動要因情報を入力可能になっていてもよい。
半透膜を隔てて血液側から透析液側に電解質が移動する要因の1つとして、血液中の電解質と透析液中の電解質との濃度勾配がある。このため本実施形態では、目標値として透析患者の状態に応じて定められる血中の電解質濃度である目標電解質濃度と、透析液に含まれる電解質の濃度である透析液電解質濃度とが電解質移動要因情報として採用される。なお、目標電解質濃度は医師により設定される。
また、半透膜を隔てて血液側から透析液側に電解質が移動する要因の1つとして、ダイアライザー30に流入する血液流量、透析液流量、透析時間がある。血液流量は半透膜管32の管内を単位時間あたりに流れる血液の液量であり、透析液流量は本体ケース31の収納空間を単位時間あたりに流れる透析液の液量である。また、透析時間は透析治療を継続すべき時間である。
血液流量や透析液流量が少ない場合、半透膜を隔てた血液と透析液との接触機会が減少し、血液中の電解質と透析液中の電解質との濃度勾配が小さくなり、半透膜を隔てて血液側から透析液側又は透析液側から血液側に電解質が移動し難くなる。また、透析時間が短い場合、半透膜を隔てた血液と透析液との接触機会が減少し、半透膜を隔てた血液側から透析液側又は透析液側から血液側への電解質の移動できる時間が短くなる。このため本実施形態では、血液流量、透析液流量及び透析時間も電解質移動要因情報として採用される。
さらに、本実施形態では、血中に含まれるリン濃度の指標となる血中のALP(Alkaline Phosphatase)及びPTH(Parathyroid Hormone)も電解質移動要因情報として採用される。
記憶部52には、各種のプログラムを格納する第1格納領域と、入力部51から入力される設定データや、電解質移動要因情報を示すデータなどの各種のデータを格納する第2格納領域と、当該プログラムやデータを展開する展開領域とが含まれる。本実施形態の第1格納領域には、電解質を補充する処理を実行するための電解質補充プログラムが記憶される。また、第2格納領域には、データベースDBが構築される。
図4は、データベースDBの内容の概略を示す図である。図4に示すように、本実施形態のデータベースDBでは、電解質移動要因情報の各項目(目標電解質濃度、透析液電解質濃度、血液流量、透析液流量、透析時間、ALP、PTH)と、変動電解質量とが関連付けられ、データベースDBのフィールドとされる。変動電解質量は、単位時間あたりに血液から除去又は付加される電解質の量である。また、本人における過去の透析治療の履歴、或いは、複数人における過去の透析治療の履歴である履歴値がデータベースDBのレコードとされ、各フィールドに対応付けられる。各フィールドに対応する履歴値を示すデータは記憶部52の第2格納領域に記憶される。なお、複数人の履歴値がデータベースDBのレコードとされる場合、当該人は特定の人であっても任意の人であってもよい。
制御部53は、記憶部52の第1格納領域に記憶される各種のプログラムや、当該記憶部52の第2格納領域に記憶される各種のデータに基づいて電解質補充装置40の制御を司るようになっている。
この制御部53は、記憶部52の第1格納領域に記憶される電解質補充プログラムを読み出した場合、その読み出した電解質補充プログラムを記憶部52の展開領域に展開する。この場合、制御部53は、補充量予測部60及びポンプ制御部70として機能し、電解質を補充する電解質補充処理を実行する。
補充量予測部60は、補充すべき電解質溶液量を予測する機能部であり、変動電解質量探索部61と補充量演算部62とを有する。
変動電解質量探索部61は、入力部51から与えられたデータが示す電解質移動要因情報に基づいて変動電解質量を探索する。本実施形態の場合、変動電解質量探索部61は、第1段階として、電解質移動要因情報の入力値に最も近似する履歴値をデータベースDBから検出する。電解質移動要因情報の入力値は、透析治療を受けるべき透析患者における電解質移動要因情報(目標電解質濃度、透析液電解質濃度、血液流量、透析液流量、透析時間、ALP、PTH)であって入力部51から入力される値である。
具体的には、例えば、入力部51から入力された電解質移動要因情報の入力値と、データベースDBにおける電解質移動要因情報に対応付けられる履歴値とが、当該電解質移動要因情報の項目ごとに比較される。そして、電解質移動要因情報の項目ごとに、入力値と履歴値との差が小さいほど高い評価度(点数)が与えられ、当該項目の評価度(点数)の合計値が最も高いレコードが、電解質移動要因情報の入力値に最も近似するレコードとされる。入力部51から入力される電解質移動要因情報の入力値が図5に示す入力値とされた場合、図4に示す例では、レコード1が電解質移動要因情報の入力値に最も近似する履歴値を有するレコードとなる。
なお、各項目の重要度に応じて、入力値と履歴値との差が小さいほど評価度(点数)を高くする割合が異なっていてもよい。例えば、目標電解質濃度、透析液電解質濃度及び血液流量は、透析液流量、透析時間、ALP、PTHに比べると、半透膜を隔てて血液側から透析液側に電解質が移動する直接的な要因となる。したがって、目標電解質濃度、透析液電解質濃度及び血液流量の項目では、他の項目よりも、入力値と履歴値との差が小さいほど評価度(点数)を高くする割合を大きくすることが可能である。
さらに、目標電解質濃度と透析液電解質濃度との差が大きいほど、半透膜を隔てて血液側から透析液側に移動する電解質量が多くなる。したがって、目標電解質濃度と透析液電解質濃度との差が電解質移動要因情報の項目の1つとして設けられても良く、当該項目では、他の項目よりも、入力値と履歴値との差が小さいほど評価度(点数)を高くする割合を大きくすることが可能である。
変動電解質量探索部61は、第2段階として、データベースDBから検出した電解質移動要因情報に関連付けられる変動電解質量を認識する。入力部51から入力される電解質移動要因情報の入力値が図5に示す入力値とされた場合、図4に示す例では上述したようにレコード1が電解質移動要因情報の入力値に最も近似する履歴値を有するレコードとなる。このため、レコード1の−1.8mg/minが変動電解質量として認識される。この変動電解質量は、過去の透析治療の履歴であることから、ダイアライザー30において実際に血液から除去又は付加される単位時間あたりの電解質量と概ね近似する傾向になる。
補充量演算部62は、変動電解質量探索部61で探索された変動電解質量に基づいて、補充すべき電解質溶液量を演算する。具体的には、変動電解質量探索部61で探索された変動電解質量に対して、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度(リン濃度)が除算され、補充すべき電解質溶液量が算出される。例えば、変動電解質量(リン)が−1.8mg/minであり、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質(リン)濃度が15.5mg/mLである場合、補充すべき電解質(リン)溶液量は0.12mL/minである。
なお、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度は、入力部51から予め入力され、設定データとして記憶部52に記憶される。
ポンプ制御部70は、補充量演算部62で演算された電解質溶液量の電解質溶液が血液に補充されるようポンプ43を制御する。例えば、ポンプ43がローラポンプである場合、ポンプ制御部70は、補充すべき電解質溶液量を所定の期間内で静脈側血液回路20Bに流入させるための回転ローラの回転数などの条件を求め、その条件でポンプ43を駆動させる。また例えば、ポンプ43がシリンジポンプである場合、ポンプ制御部70は、補充すべき電解質溶液量を所定の押圧回数で静脈側血液回路20Bに流入させるための押圧量及び押圧間隔などの条件を求め、その条件でポンプ43を駆動させる。
このような補充量予測部60及びポンプ制御部70として制御部53が機能し、電解質補充処理が実行される。
<電解質補充方法>
図6は、第1実施形態における電解質補充方法を示すフローチャートである。図6に示すように、制御部53は、例えば透析用監視装置4Aに電源が投入された時点を契機として電解質補充処理を開始し、入力待機ステップSP1に進む。
制御部53は、入力待機ステップSP1では、入力部51から電解質移動要因情報(目標電解質濃度、透析液電解質濃度、血液流量、透析液流量、血中ALP、血中PTH)の入力を待機する。また制御部53は、電解質移動要因情報を示すデータを取得した場合には液量予測ステップSP2の探索ステップSP2Aに進む。
制御部53は、液量予測ステップSP2の探索ステップSP2Aでは、入力待機ステップSP1を経て取得したデータが示す電解質移動要因情報の入力値に最も近似する履歴値をデータベースDBから検出する。そして制御部53は、データベースDBから検出した履歴値に関連付けられる変動電解質量を探索した後、液量予測ステップSP2の演算ステップSP2Bに進む。
制御部53は、液量予測ステップSP2の演算ステップSP2Bでは、当該液量予測ステップSP2の探索ステップSP2Aで探索した変動電解質量に基づいて補充すべき電解質溶液量を演算し、その後、制御ステップSP3に進む。
制御部53は、制御ステップSP3では、液量予測ステップSP2の演算ステップSP2Bで演算した補充すべき電解質溶液量に基づいてポンプ43の駆動条件を求める。そして制御部53は、求めた駆動条件でポンプ43を制御し始めることで、接続ポート24から静脈側血液回路20Bを流れる血液に電解質を補充させ始め、補充確認ステップSP4に進む。
制御部53は、補充確認ステップSP4では、液量予測ステップSP2の演算ステップSP2Bで演算した電解質溶液量の電解質を補充し終えたか否かを確認する。具体的には、例えば、補充すべき電解質(リン)溶液量(0.12mL/min)に、透析時間(4hr<240min>)が加算され、当該加算結果が、1回の透析治療で補充すべき電解質溶液量(28.8mL)に達していれば補充し終えているもの認識される。
ここで、制御部53は、電解質を補充し終えていないと認識した場合、当該電解質を補充し終えたと認識するまで、所定間隔ごとに補充をし終えたか否かを確認する。これに対し、制御部53は、電解質を補充し終えていると認識した場合、制御停止ステップSP5に進む。
制御部53は、制御停止ステップSP5では、ポンプ43の制御を停止させることで、接続ポート24から静脈側血液回路20Bを流れる血液に電解質を補充させることを停止させ、電解質補充処理を終了する。
このように制御部53は、データベースDBから探索した変動電解質値が示す血中電解質濃度に基づいて演算した量の電解質溶液を、静脈側血液回路20Bを流れる血液に補充するようになっている。
<小括>
以上のとおり、本実施形態の電解質補充装置40は、入力部51から入力される目標電解質濃度、透析液電解質濃度及び血液流量に基づいて、当該透析患者から取り出され血液回路20を流れる血液に補充すべき電解質溶液量を予測する。このため、電解質補充装置40では、透析患者から採血する機会を抑制することができ、当該採血に起因する透析患者の負担を低減することができる。
ところで、入力部51から入力される目標電解質濃度は透析患者の状態に応じて定められる血中の電解質濃度である。このため、電解質補充装置40は、透析液電解質濃度が複数人の透析患者に共通であるか否かにかかわらず、目標電解質濃度、透析液電解質濃度及び血液流量に基づいて透析患者個人の血液と透析液との電解質の濃度差を知ることができる。したがって、電解質補充装置40は、透析患者個人の状態に応じて補充すべき電解質溶液量を適切に予測し、その量の電解質溶液を静脈側血液回路20Bに送り込むことができる。
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態として透析液供給システムの一部の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
<透析用監視装置の構成>
図7は、第2実施形態における透析用監視装置の構成の概略を示す図である。図7に示すように、本実施形態の透析用監視装置4Aは、電解質補充装置40に代えて電解質補充装置140を備えた点で、上記第1実施形態と相違する。
<電解質補充装置の構成>
本実施形態の電解質補充装置140では、上記第1実施形態の溶液供給経路42に代えて溶液供給経路142が採用され、上記第1実施形態のコントローラ44に代えてコントローラ144が採用される。
溶液供給経路142は、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液を静脈側血液回路20B又は上流側の透析液流路33Aに供給する経路であり、その溶液供給経路142の途中で分岐している。溶液供給経路142の一端は電解質溶液タンク41に接続され、分岐部位142Pから静脈側血液回路20B側に分岐する血液経路142Aの端部は静脈側血液回路20Bの接続ポート24に接続される。また、分岐部位142Pから上流側の透析液流路33A側に分岐する透析経路142Bの端部は上流側の透析液流路33Aの接続ポート34に接続される。
血液経路142Aには第1開閉弁145Aが設けられ、透析経路142Bには第2開閉弁145Bが設けられている。また、分岐部位142Pと電解質溶液タンク41との間の分岐前経路142Cにはポンプ43が設けられている。
図8は、第2実施形態におけるコントローラの機能的な構成の概略を示す図である。図8に示すように、コントローラ144では、上記第1実施形態の制御部53に代えて制御部153が採用されている。この制御部153は、上記第1実施形態の変動電解質量探索部61と、上記第1実施形態の補充量演算部62に代わる補充量演算部162と、ポンプ制御部70とに加え、経路決定部80及び弁制御部90を新たに有している。
経路決定部80は、記憶部52に記憶される設定データに基づいて、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度と規定濃度範囲とを認識し、その電解質濃度が規定濃度範囲内にあるか否かを判別する。
規定濃度範囲は、血液及び血管に与える影響の程度が小さい濃度の範囲として規定されるものであり、例えば、人体に許容しやすい浸透圧(例えば、浸透圧比0.5〜2.0程度)及び投与速度などを参考に設定される。なお、規定濃度範囲は、入力部51から予め入力され、設定データとして記憶部52に記憶される。また、電解質濃度は、上述したように、入力部51から予め入力され、設定データとして記憶部52に記憶される。
ここで、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にある場合、その電解質溶液を静脈側血液回路20Bから流入させても、血液及び血管に与える影響の程度が小さいことを意味する。この場合、経路決定部80は、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液を流入させる経路として、血液経路142Aを通じて静脈側血液回路20Bに流入させる血液経路を決定する。
これに対して、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にない場合、その電解質溶液を静脈側血液回路20Bから流入させると、血液及び血管に与える影響の程度が大きいことを意味する。この場合、経路決定部80は、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液を流入させる経路として、透析経路142Bを通じて透析液流路33Aに流入させる透析液経路を決定する。
補充量演算部162は、変動電解質量探索部61で探索された変動電解質量と、経路決定部80で決定される経路とに基づいて、補充すべき電解質溶液量を演算するようになっている。
具体的には、例えば、変動電解質量探索部61で探索された変動電解質量に対して、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が除算され、電解質溶液量が暫定的に算出される。ここで、経路決定部80で決定される経路が血液回路である場合、暫定的に算出された電解質溶液量が、補充すべき電解質溶液量として決定される。
一方、経路決定部80で決定される経路が透析液経路である場合、当該経路が血液回路である場合に比べて電解質溶液量を多くする必要がある。この理由としては、透析液経路ではダイアライザー30を介して間接的に電解質溶液に含まれる電解質が血液に与えられるのに対し、血液経路ではダイアライザー30を介さずに直接的に電解質溶液に含まれる電解質が血液に与えられるからである。したがって、経路決定部80で決定される経路が透析液経路である場合、暫定的に算出された電解質溶液量に対して規定値が乗算されることで暫定的な電解質溶液量が補正され、この補正結果として得られる電解質溶液量が、補充すべき電解質溶液量とされる。なお、暫定的な電解質溶液量に乗算すべき規定値は、例えば、電解質溶液量に対して1.01〜1.30倍程度とされる。
弁制御部90は、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液が経路決定部80で決定される経路に送り込まれるよう、第1開閉弁145A及びは第2開閉弁145Bを制御する。
すなわち、経路決定部80で決定される経路が血液経路である場合、弁制御部90は、第1開閉弁145Aを開放させるとともに第2開閉弁145Bを閉塞させる。この場合、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液は、血液経路142Aを通じて接続ポート24から静脈側血液回路20Bに送り込まれる。
一方、経路決定部80で決定される経路が透析経路である場合、弁制御部90は、第1開閉弁145Aを閉塞させるとともに第2開閉弁145Bを開放させる。この場合、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液は、透析経路142Bを通じて接続ポート34から透析液流路33Aに送り込まれる。
このように経路決定部80は、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度に応じて、その電解質溶液の送り先を血液経路142A又は透析経路142Bのいずれかに切り替えるようになっている。
<電解質補充方法>
図9は、第2実施形態における電解質補充方法を示すフローチャートである。図9に示すように、第2実施形態における電解質補充方法では、上記第1実施形態における電解質補充方法の液量予測ステップSP2に新たなステップが設けられ、制御ステップSP3が制御ステップSP30に代わる。その他のステップは上記第1実施形態における電解質補充方法と同様である。このため、第2実施形態における電解質補充方法については、液量予測ステップSP2及び制御ステップSP30を主として説明する。
すなわち、制御部153は、液量予測ステップSP2の探索ステップSP2Aで変動電解質量を探索した場合、液量予測ステップSP2の暫定演算ステップSP2Cに進む。
制御部153は、暫定演算ステップSP2Cでは、探索ステップSP2Aで探索した変動電解質量に基づいて電解質溶液量を暫定的に演算する。例えば、制御部153は、変動電解質量を、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度で除算することで暫定的な電解質溶液量を算出し、濃度確認ステップSP2Dに進む。
制御部153は、濃度確認ステップSP2Dでは、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にあるか否かを確認する。ここで、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にある場合、制御部153は、暫定演算ステップSP2Cで暫定的に演算した電解質溶液量を、補充すべき電解質溶液量として決定し、制御ステップSP30に進む。
これに対して、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にない場合、制御部153は、補正ステップSP2Eに進んで、暫定演算ステップSP2Cで暫定的に算出した電解質溶液量を補正する。例えば、制御部153は、暫定演算ステップSP2Cで暫定的に算出した電解質溶液量に規定値を乗算することで電解質溶液量を補正する。そして制御部153は、補正した電解質溶液量を、補充すべき電解質溶液量として決定し、制御ステップSP30に進む。
制御部153は、制御ステップSP30では、濃度確認ステップSP2Dにおける確認内容に基づいて、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液を流入させる経路が透析液流路又は血液回路となるように第1開閉弁145A及び第2開閉弁145Bを制御する。すなわち、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にある場合、制御部153は、第1開閉弁145Aを開放させるとともに第2開閉弁145Bを閉塞させる。これに対し、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にない場合、制御部153は、第1開閉弁145Aを閉塞させるとともに第2開閉弁145Bを開放させる。
また、制御部153は、濃度確認ステップSP2Dで決定した補充すべき電解質溶液量に基づいてポンプ43の駆動条件を求め、その求めた駆動条件でポンプ43を制御し始め、補充確認ステップSP4に進む。
その後、制御部153は、補充確認ステップSP4で電解質を補充し終えたと認識するまでポンプ43を制御し続け、当該電解質を補充し終えたと認識したときには制御停止ステップSP5に進んでポンプ43の制御を停止させ、電解質補充処理を終了する。
<小括>
以上のとおり、本実施形態の電解質補充装置140は、補充すべき電解質溶液量の電解質濃度に応じて、ポンプ制御部70により送られる電解質溶液の送り先を、静脈側血液回路20B又は上流側の透析液流路33Aのいずれかに切り替える経路決定部80を備える。
このため、電解質溶液タンク41に貯留された電解質溶液の濃度及び投与速度に応じた安全な投与方法で投与することができ、患者に安全な補充液の追加が実現される。また、人体の血液・血管に与える影響の程度が小さい最適な投与方法を自動的に選択されるため、医療従事者の判断の負担を軽減することができる。
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態として透析液供給システムの一部の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
<透析用監視装置の構成>
図10は、第3実施形態における透析用監視装置の構成の概略を示す図である。図10に示すように、本実施形態の透析用監視装置4Aは、電解質補充装置40に代えて電解質補充装置240を備えた点で、上記第1実施形態と相違する。
<電解質補充装置の構成>
本実施形態の電解質補充装置240では、濃度調整用タンク241及び濃度調整用ポンプ242が新たに設けられ、上記第1実施形態のコントローラ44に代えてコントローラ244が採用される。
濃度調整用タンク241は、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度を調整するためのタンクであり、その電解質溶液タンク41とポンプ43との間の溶液供給経路42上に設けられる。この濃度調整用タンク241には、精製水を流入させる管である水流入管251が接続され、水流入管251には開閉弁252が設けられている。この開閉弁252が開放状態にある場合、水流入管251を通じて精製水が濃度調整用タンク241内に流入される。
濃度調整用ポンプ242は、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液を濃度調整用タンク241に送るポンプであり、例えばローラポンプとされる。
図11は、第3実施形態におけるコントローラの機能的な構成の概略を示す図である。図11に示すように、本実施形態のコントローラ244では、上記第1実施形態の制御部53に代えて制御部253が採用されている。この制御部253は、上記第1実施形態の補充量予測部60及びポンプ制御部70に加え、濃度調整部100を新たに有している。
濃度調整部100は、記憶部52に記憶される設定データに基づいて、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度と規定濃度範囲とを認識し、その電解質濃度が規定濃度範囲内にあるか否かを判別する。
規定濃度範囲は、上記第2実施形態と同様に、血液及び血管に与える影響の程度が小さい濃度の範囲として規定され、例えば、人体に許容しやすい浸透圧(例えば、浸透圧比0.5〜2.0程度)及び投与速度などを参考に設定される。
ここで、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にある場合、その電解質溶液を静脈側血液回路20Bから流入させても、血液及び血管に与える影響の程度が小さいことを意味する。この場合、濃度調整部100は、開閉弁252を閉塞させた状態で濃度調整用ポンプ242を制御し、補充量演算部62で演算された電解質溶液量の電解質溶液を電解質溶液タンク41から濃度調整用タンク241に送り込ませる。この濃度調整用タンク241に送り込まれた電解質溶液は、濃度調整を受けずにポンプ43によって接続ポート24から静脈側血液回路20Bに送り込まれる。
これに対して、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にない場合、その電解質溶液を静脈側血液回路20Bから流入させると、血液及び血管に与える影響の程度が大きいことを意味する。この場合、濃度調整部100は、濃度調整用ポンプ242を制御し、補充量演算部62で演算された電解質溶液量の電解質溶液を電解質溶液タンク41から濃度調整用タンク241に送り込ませる。このとき濃度調整部100は、補充量演算部62で演算された電解質溶液量の電解質溶液の電解質濃度を規定範囲にするために要する精製水量を演算し、その精製水量の精製水が濃度調整用タンク241に貯留されるまで開閉弁252を開放する。例えば、浸透圧比が約20である電解質溶液が電解質溶液タンク41に100mLだけ送り込まれる場合、浸透圧比が約2になるよう開閉弁252が開放され、当該電解質溶液は1000mLまで濃度調整される。このように濃度調整された電解質溶液のうち補充量演算部62で演算された電解質溶液量の電解質溶液は、ポンプ43によって接続ポート24から静脈側血液回路20Bに送り込まれる。なお、静脈側血液回路20Bに送り込まれずに濃度調整用タンク241に残った電解質溶液は、濃度調整用タンク241の排液口を介して濃度調整用タンク241から排出される。
<電解質補充方法>
図12は、第3実施形態における電解質補充方法を示すフローチャートである。図12に示すように、第3実施形態における電解質補充方法では、上記第1実施形態における電解質補充方法の液量予測ステップSP2と制御ステップSP3との間に新たなステップが設けられる。その他のステップは上記第1実施形態における電解質補充方法と同様である。このため、第3実施形態における電解質補充方法については、新たなステップを主として説明する。
すなわち、制御部253は、演算ステップSP2Bにおいて探索ステップSP2Aで探索した変動電解質量に基づいて補充すべき電解質溶液量を演算した後、濃度確認ステップSP40に進む。
制御部253は、濃度確認ステップSP40では、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にあるか否かを確認する。ここで、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にある場合、制御部253は、濃度調整ステップSP50を経ずに制御ステップSP3に進む。
これに対して、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が規定範囲内にない場合、制御部253は、濃度調整ステップSP50に進んで、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度を濃度調整用タンク241で調整する。すなわち、制御部253は、補充量演算部62で演算された電解質溶液量の電解質溶液の電解質濃度を規定範囲にするために要する精製水量が濃度調整用タンク241に貯留されるまで開閉弁252を開放させる。また制御部253は、濃度調整用ポンプ242によって補充量演算部62で演算された電解質溶液量の電解質溶液を電解質溶液タンク41から濃度調整用タンク241に送り込ませた後、制御ステップSP3に進む。
制御部253は、制御ステップSP3では、液量予測ステップSP2の演算ステップSP2Bで演算した補充すべき電解質溶液量に応じた駆動条件でポンプ43を制御し始めることで、濃度調整用ポンプ242から電解質溶液を送り込ませ、補充確認ステップSP4に進む。
その後、制御部253は、補充確認ステップSP4で電解質を補充し終えたと認識するまでポンプ43を制御し続け、当該当該電解質を補充し終えたと認識したときには制御停止ステップSP5に進んでポンプ43の制御を停止させ、電解質補充処理を終了する。
<小括>
以上のとおり、本実施形態の電解質補充装置240は、電解質溶液タンク41から送り出される電解質溶液の電解質濃度が規定濃度範囲となるように、その電解質溶液タンク41から送り出される電解質濃度を調整する濃度調整部100を備える。
このため、電解質溶液タンク41に貯留された電解質溶液の濃度どのような濃度の溶液であっても、被験者の特性に合わせた浸透圧比に調整して投与することができ、患者に安全な補充液の追加が実現され、医療従事者の当該調整に対する負担を軽減する。
なお、上記第3実施形態では、濃度調整用の液体として精製水が濃度調整用タンク241に送り込まれたが、当該精製水に代えて、図13に示すように、透析液流路33Aに流れる透析液が濃度調整用タンク241に送り込まれてもよい。
この図13に示す電解質補充装置250では、水流入管251に代えて、濃度調整用タンク241と接続ポート34とを連結する連結管261が設けられる。この連結管261上に設けられる開閉弁252が濃度調整部100によって開放れている場合、透析液流路33Aに流れる透析液が接続ポート34及び連結管261を順次介して濃度調整用タンク241に送り込まれる。このようにしても、被験者の特性に合わせた浸透圧比に調整して投与することができ、患者に安全な補充液の追加が実現され、医療従事者の当該調整に対する負担を軽減する。
また、透析液流路33Aに流れる透析液を濃度調整用タンク241に送り込む場合、図14に示す電解質補充装置250が適用されてもよい。この図14に示す電解質補充装置250では、溶液供給経路42に代えて、上記第2実施形態の溶液供給経路142が採用され、またポンプ43がローラポンプとされる。濃度調整用タンク241で濃度調整する場合、濃度調整部100は、溶液供給経路142の血液経路142A上に設けられる第1開閉弁145Aを閉塞させるとともに、溶液供給経路142の透析経路142B上に設けられる第2開閉弁145Bを開放させる。これに加えて濃度調整部100は、電解質溶液を静脈側血液回路20Bに送り込む場合にポンプ制御部70によって回転されるポンプ43の第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転させる。
これに対して、濃度調整用タンク241で濃度調整された電解質溶液を静脈側血液回路20Bに送り込む場合、濃度調整部100は、溶液供給経路142の血液経路142A上に設けられる第1開閉弁145Aを開放させるとともに、溶液供給経路142の透析経路142B上に設けられる第2開閉弁145Bを閉塞させる。この状態でポンプ制御部70によってポンプ43が第1回転方向に回転されることで、濃度調整用タンク241で濃度調整された電解質溶液が静脈側血液回路20Bに送り込まれる。
このように図14に示す電解質補充装置250では、溶液供給経路142の一部が、電解質溶液を静脈側血液回路20Bに送り込む流路と、濃度調整用の透析液を濃度調整用タンク241に送り込む流路として共用される。したがって図14に示す電解質補充装置250は、溶液供給経路142の一部を共用できる分だけ部品点数を削減することができる。
また、上記第3実施形態の電解質補充装置250、図13に示す電解質補充装置250、図14に示す電解質補充装置250は、上記第2実施形態に組み入れることも可能である。すなわち、上記第2実施形態のポンプ43と電解質溶液タンク41との間に濃度調整用タンク241及び濃度調整用ポンプ242が設けられ、上記第2実施形態の制御部153に濃度調整部100が設けられればよい。この場合、制御部153の電解質処理としては、例えば、上記第2実施形態の補正ステップSP2Eと制御ステップSP30との間に濃度確認ステップSP40及び濃度調整ステップSP50が設けられる。
(4)第4実施形態
次に、第4実施形態として透析液供給システムの一部の構成を説明する。なお、上記において説明した構成と同様の構成については同一の符号を付し、特に説明する場合を除き、重複する説明は省略する。
<透析用監視装置の構成>
図15は、第4実施形態における透析用監視装置の構成の概略を示す図である。図15に示すように、本実施形態の透析用監視装置4Aは、電解質補充装置40に代えて電解質補充装置340を備えた点で、上記第1実施形態と相違する。
<電解質補充装置の構成>
本実施形態の電解質補充装置340では、上記第1実施形態の溶液供給経路42に代えて溶液供給経路342が採用され、上記第1実施形態のポンプ43に代えてローラポンプ351と、シリンジポンプ352とが採用される。
溶液供給経路342は、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液を静脈側血液回路20Bに供給する経路であり、その溶液供給経路342の途中で分岐している。溶液供給経路342の一端は接続ポート24に接続され、分岐部位342Pから一方に分岐する第1枝経路342Aの端部とその分岐部位342Pから他方に分岐する第2枝経路342Bの端部とは電解質溶液タンク41に接続される。第1枝経路342Aにはローラポンプ351が設けられ、第2枝経路342Bにはシリンジポンプ352が設けられている。
ローラポンプ351は、回転ローラ351Aで第1枝経路342Aを扱いて電解質溶液を送るポンプである。このローラポンプ351は、回転ローラ351Aの回転数に応じた量の電解質溶液を血液回路20に継続的に流入させる。シリンジポンプ352は、第2枝経路342Bからシリンダー352A内に流入する電解質溶液を、当該シリンダー352Aに嵌合されるピストン352Bを押圧して送るポンプである。このシリンジポンプ352は、ピストン352Bの押圧力に応じた量の電解質溶液を血液回路20に間欠的に流入させる。
また、本実施形態の電解質補充装置340では、上記第1実施形態のコントローラ44に代えてコントローラ344が採用される。図16は、第3実施形態におけるコントローラの機能的な構成の概略を示す図である。図16に示すように、本実施形態のコントローラ344では、上記第1実施形態の制御部53に代えて制御部353が採用されている。この制御部353は、上記第1実施形態の変動電解質量探索部61及びポンプ制御部70と、上記第1実施形態の補充量演算部62に代わる補充量演算部362と、上記第1実施形態のポンプ制御部70に代わるポンプ制御部370とを有している。
補充量演算部362は、上記第1実施形態と同様に、変動電解質量探索部61で探索された変動電解質量に基づいて、補充すべき電解質溶液量を演算する。また、補充量演算部362は、電解質溶液量を演算した後に、血液回路20を流れる血液から測定された血中の電解質濃度である実測濃度値を示す実測データを入力部51から取得した場合、当該実測濃度値に基づいて補充すべき電解質溶液量を変更する。
具体的には、実測データが示す実測濃度値と目標電解質濃度との差に対して、血液流量が乗算され、変動電解質量が再演算される。当該再演算された変動電解質量に対して、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液の電解質濃度が除算され、補充すべき電解質溶液量が算出される。例えば、実測濃度値(血清リン)が3.9mg/dL、目標電解質濃度(血清リン)が4.8mg/dLであり、血液流量が200mL/minである場合、変動電解質(リン)量は−1.8mg/minである。そして、再演算された変動電解質(リン)量が−1.8mg/minであり、電解質溶液タンク41に貯留される電解質(リン)溶液の濃度が15.5mg/mLである場合、補充すべき電解質(リン)溶液量は0.12mL/minである。実測濃度値に基づいて実際の変動電解質量が演算されるため、より正確な補充すべき電解質溶液量が演算でき、過去の履歴に基づいて補充すべき電解質溶液量が算出される場合に比べて、当該電解質溶液量が実際に補充すべき真値に近似することになる。
ポンプ制御部370は、補充量演算部362で演算された電解質溶液量の電解質溶液が血液に補充されるように、ローラポンプ351又はシリンジポンプ352を制御する。本実施形態の場合、ポンプ制御部370は、補充量演算部362で演算された電解質溶液量に応じて、当該電解質溶液量の電解質溶液が継続的又は間欠的に補充されるようにローラポンプ351又はシリンジポンプ352を制御する。
すなわち、ポンプ制御部370は、第1段階として、補充量演算部362で演算された補充すべき電解質溶液量と所定の閾値とを比較する。この閾値は、補充量演算部362で演算された電解質溶液量が少量であるか否かを定めるための閾値として入力部51から予め入力され、設定データとして記憶部52に記憶される。
補充量演算部362で演算された補充すべき電解質溶液量が閾値以上である場合、ポンプ制御部370はローラポンプ351を駆動すべきポンプとして決定する。これに対して、補充量演算部62で演算された補充すべき電解質溶液量が閾値未満である場合、ポンプ制御部370はシリンジポンプ352を駆動すべきポンプとして決定する。
ポンプ制御部370は、第2段階として、補充量演算部62で演算された電解質溶液量に基づいて駆動すべきポンプの駆動条件を求め、その駆動条件で駆動すべき命令をポンプ43に与える。
駆動すべきポンプがローラポンプ351である場合、ポンプ制御部370は、例えば、継続的に電解質を補充するための駆動条件として、補充すべき電解質溶液量を所定の期間内で静脈側血液回路20Bに流入させるための回転ローラ351Aの回転数を求める。そしてポンプ制御部370は、求めた回転数で回転ローラ351Aを回転させるべき命令をローラポンプ351に与える。この結果、ローラポンプ351の回転ローラ351Aが所定の回転数で駆動され、補充量演算部362で演算された量の電解質が接続ポート24から静脈側血液回路20Bを流れる血液に補充される。
一方、駆動すべきポンプがシリンジポンプ352である場合、ポンプ制御部370は、例えば、間欠的に電解質を補充するための駆動条件として、補充すべき電解質溶液量を所定の押圧回数で静脈側血液回路20Bに流入させるための押圧量及び押圧間隔を求める。そしてポンプ制御部370は、求めた押圧量及び押圧間隔でピストン352Bを押圧すべき命令をシリンジポンプ352に与える。この結果、シリンジポンプ352のピストン352Bが所定の押圧量及び押圧間隔で駆動され、補充量演算部362で演算された量の電解質が接続ポート24から静脈側血液回路20Bを流れる血液に補充される。
なお、ポンプ制御部370は、補充量演算部362で補充すべき電解質溶液量が変更された場合、当該電解質溶液量に基づいて上述した場合と同様にして駆動条件を求め、その駆動条件でローラポンプ351又はシリンジポンプ352を駆動させる。
<電解質補充方法>
図17は、第4実施形態における電解質補充方法を示すフローチャートである。図17に示すように、第4実施形態における電解質補充方法では、上記第1実施形態における電解質補充方法の制御ステップSP3と補充確認ステップSP4との間に新たなステップが設けられ、その他のステップは上記第1実施形態における電解質補充方法と同様である。このため、第4実施形態における電解質補充方法については、新たなステップを主として説明する。
すなわち、制御部353は、制御ステップSP3において接続ポート24から静脈側血液回路20Bを流れる血液に電解質を補充させ始めた後、実測確認ステップSP60に進む。
制御部353は、実測確認ステップSP60では、入力部51から静脈側血液回路20Bを流れる血液から測定された実測濃度値の入力があったか否かを確認する。ここで、制御部353は、実測濃度値の入力に応じて入力部51から与えられる実測データを取得していない場合には、補充確認ステップSP4に進む。
一方、実測濃度値の入力に応じて入力部51から与えられる実測データ取得している場合、このことは、原則、医療従事者の判断などで血中の電解質濃度の測定があったことを意味する。この場合、制御部353は、再演算ステップSP70に進んで、当該実測データが示す電解質濃度に基づいて補充すべき電解質溶液量を再演算した後、変更ステップSP80に進む。
制御部353は、変更ステップSP80では、再演算ステップSP70で再演算した補充すべき電解質溶液量に基づいてローラポンプ351又はシリンジポンプ352の駆動条件を変更する。そして制御部353は、変更した駆動条件でローラポンプ351又はシリンジポンプ352の駆動を開始させ、補充確認ステップSP4に進む。
なお、上記実測確認ステップSP60で入力部51から与えられる実測データが取得されている場合、制御部353は、補充確認ステップSP4では、再演算ステップSP70で演算した電解質溶液量の電解質を補充し終えたか否かを確認する。一方、実測確認ステップSP60で入力部51から与えられる実測データが取得されていない場合、制御部353は、補充確認ステップSP4では、演算ステップSP2Bで演算した電解質溶液量の電解質を補充し終えたか否かを確認するようになっている。
また、制御部353は、補充確認ステップSP4において電解質を補充し終えていないと認識した場合には実測確認ステップSP60に戻る。一方、制御部353は、補充確認ステップSP4において電解質を補充し終えていると認識した場合には、制御停止ステップSP5に進んで電解質を補充させることを停止させた後に、電解質補充処理を終了する。
<小括>
このように電解質補充装置340は、実測データの入力があった場合には、データベースDBから探索した変動電解質量から演算した量から、実測データが示す電解質濃度に基づいて演算した量に補充すべき電解質量を変更する。このため、データベースDBを用いて過去の履歴に基づいて補充すべき電解質溶液量が算出される場合に比べて、当該電解質溶液量が実際に補充すべき真値に近似させることができる。
なお、実測濃度値を取得するために透析患者は採血することになるが、既に透析患者の状態に応じて定められる血中の電解質濃度である目標電解質濃度が得られた状態にあるため、ダイアライザー30を通過する前後の血液のいずれか一方の採血でよい。また、医療従事者が患者の容態を確認し必要に応じて測定を開始するため、不必要な採血は行われない。したがって、透析患者に過度の採血を強いることは回避される。
また、本実施形態の電解質補充装置340は、補充すべき電解質溶液量が閾値以上である場合には、補充すべき電解質溶液量の電解質溶液が継続的に補充されるようにローラポンプ351を制御する。一方、電解質補充装置340は、補充すべき電解質溶液量が閾値未満である場合には、補充すべき電解質溶液量の電解質溶液が間欠的に補充されるようにシリンジポンプ352を制御する。
このように溶液量に多少に応じて、継続駆動・間欠駆動を切り替えることができるため、電解質溶液量を単位時間当たりより均一に細かな調整を行いながら電解質を補充することができる。
なお、上記第4実施形態では、実測濃度値が入力部51から取得された。しかしながら、実測濃度値は、図18に示すように、血液回路20上の採血部400に接続された電解質濃度測定部500から取得してもよい。図18に示す透析用監視装置では、上記第4実施形態の透析用監視装置4Aの構成要素に採血部400及び電解質濃度測定部500が新たに設けられている。
採血部400は、接続ポート24とシャント(図示せず)との間に設けられており、当該接続ポート24からシャントに向かって静脈側血液回路20Bを流れる血液の一部を採取し、電解質濃度測定部500に与える。
電解質濃度測定部500は、採血部400から与えられる血液の電解質濃度を測定し、その測定結果として得られる実測濃度値を示す実測データを電解質補充装置340に与える。なお、電解質補充装置340では、電解質濃度測定部500から与えられる実測データに基づいて補充すべき電解質溶液量が補充量演算部362により変更される。
このように実測濃度値が血液回路20上の採血部400に接続された電解質濃度測定部500から取得された場合、入力部51から取得される場合に比べると、当該実測測定値を測定してから電解質補充装置340に取得するまでに人が介在することがない。このため、ヒューマンエラーが回避され、その分だけ補充すべき電解質溶液量の予測精度を向上させることができる。また、図18に示す透析用監視装置では、接続ポート24とシャント(図示せず)との間に採血部400が設けられているため、電解質濃度測定部500に対して、電解質液を補充した補正後となる実際の電解質濃度を測定させることができる。
なお、採血部400は、接続ポート24とダイアライザー30との間に設けられていてもよい。接続ポート24とダイアライザー30との間に採血部400が設けられた場合、当該接続ポート24から静脈側血液回路20Bを流れる血液に補充される電解質溶液中の電解質濃度が反映されないことになる。このため、接続ポート24とダイアライザー30との間に採血部400が設けられた場合には、電解質濃度測定部500に対して、透析患者が有する真の電解質濃度により近似する電解質濃度を測定させることができる。
また、上記第4実施形態の電解質補充装置350は、上記第2実施形態又は上記第3実施形態に組み入れることも可能である。すなわち、上記第2実施形態に組み入れる場合、上記第2実施形態の電解質溶液タンク41と分岐部位142Pとの間に第1枝経路342Aと第2枝経路342Bとが設けられ、上記第2実施形態のポンプ43に代えてローラポンプ351及びシリンジポンプ352が設けられる。この場合、上記第2実施形態の制御部153の電解質処理としては、例えば、制御ステップSP30と補充確認ステップSP4との間に実測確認ステップSP60、再演算ステップSP70及び変更ステップSP80が設けられる。
これに対し上記第3実施形態に組み入れる場合、上記第3実施形態の濃度調整用タンク241と接続ポート24との間に第1枝経路342Aと第2枝経路342Bとが設けられ、上記第3実施形態のポンプ43に代えてローラポンプ351及びシリンジポンプ352が設けられる。この場合、上記第3実施形態の制御部253の電解質処理としては、例えば、制御ステップSP3と補充確認ステップSP4との間に実測確認ステップSP60、再演算ステップSP70及び変更ステップSP80が設けられる。
(5)変形例
上記実施形態では、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液に含有される電解質としてリンイオンが採用された。しかしながら、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液に含有される電解質は、リンイオンに限定されない。例えば、リンイオンに加えて、あるいは、リンイオンに代えて、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、クロールイオン、重炭酸イオンなどが挙げられる。なお、電解質溶液タンク41に貯留される電解質溶液に含有される電解質と、透析液に含まれる電解質とは同じであっても異なっていてもよいが、同じであるほうが好ましい。
なお、リンイオンに代えて他のイオンを含有する溶液を電解質溶液タンク41に貯留する場合、電解質移動要因情報のうち目標電解質濃度には、当該イオンの血中濃度の目標値が入れられる。また、電解質移動要因情報のうちATP及びPTHに代えて、当該イオンの血中濃度の指標となる項目が入れられる。例えば、カルシウムイオンを含有する溶液を電解質溶液タンク41に貯留する場合、ATP及びPTHに代えて、当該イオンの血中濃度の指標となる血中アルブミンが入れられる。
また上記実施形態では、補充すべき電解質溶液量が補充量予測部60により演算された。しかしながら、図19に示すように、電解質移動要因情報の項目に対して変動電解質量とともに補充すべき電解質溶液量が関連付けられ、当該電解質溶液量を示すデータが記憶部52に記憶されていてもよい。
このように補充すべき電解質溶液量がデータベースDBにおける電解質移動要因情報の項目とされる場合、補充量予測部60では補充量演算部が省略され、制御部での処理負荷を低減することができる。またこの場合、補充量予測部60は、例えば、入力部51から入力される電解質移動要因情報に最も近似する履歴値をデータベースDBから検出し、その履歴値に関連付けられる補充すべき電解質溶液量を探索することで、当該電解質溶液量を予測することができる。なお、図19では、電解質移動要因情報における目標電解質濃度の電解質としてカルシウムイオンが採用されるため、血中に含まれるカルシウム濃度の指標となる血中のアルブミンが電解質移動要因情報として採用される。
また、図19に示したように、本人における過去の透析治療の履歴値がデータベースDBのレコードとされる場合、上述の予測方法を代えることも可能である。例えば、補充量予測部60は、入力部51から入力される目標電解質濃度及び透析液濃度と、データベースDBに記憶される目標電解質濃度及び透析液濃度との値が同じである場合、当該入力した日時に最も近いレコードにおける補充すべき電解質溶液量を検出することで、当該電解質溶液量を予測することができる。
別例として、補充量予測部60は、データベースDBに記憶される目標電解質濃度及び透析液濃度との値が同じである場合、当該入力した日時に直近である複数のレコード又は任意の複数のレコードにおける補充すべき電解質溶液量を検出することで、当該電解質溶液量を予測することができる。
また上記実施形態では、制御部53の補充量予測部60が、電解質移動要因情報に最も近似する履歴値をデータベースDBから検出し、その履歴値に関連付けられる変動電解質量に基づいて補充すべき電解質溶液量を演算することで、当該補充すべき電解質溶液量を予測した。しかしながら、補充量予測部60は、電解質移動要因情報に基づいて、所定の関数を用いて補充すべき電解質溶液量を予測してもよい。
また上記実施形態では、入力部51から入力された電解質移動要因情報をデータベースDBのレコードとして登録してなかったが、当該電解質移動要因情報をデータベースDBのレコードとして登録してもよい。
なお、変動電解質量は、電解質移動要因情報の目標電解質濃度に該当する透析患者の透析治療以後に判明する。したがって、入力部51から入力された電解質移動要因情報をレコードとして登録する場合、図19に示したような日付等の識別子がデータベースDBのフィールドに追加されるとよい。このようにすれば、透析治療以後に判明した変動電解質量を入力部51から入力したときに、識別子を用いて、レコードとして先に登録された電解質移動要因情報に対して、後に判明した変動電解質量を関連付けることができる。
このように入力部51から入力された電解質移動要因情報をデータベースDBのレコードとして登録した場合、透析治療に応じたレコードがデータベースDBに反映されるとともに、当該統制治療数のレコード数がデータベースDBに登録されることになる。したがって、データベースDBに登録される履歴値がより透析治療の透析治療に適応した値となり、この結果、補充量予測部60での予測精度を向上させることができる。
また上記実施形態では、データベースDBにおけるフィールドに登録される電解質移動要因情報として目標電解質濃度、透析液電解質濃度、血液流量、透析液流量、ALP、PTHが採用された。しかしながら、電解質移動要因情報としては、少なくとも、目標電解質濃度、透析液電解質濃度及び血液流量が採用されていれば、透析液流量及び膜面積の全部又は一部が採用されていなくてもよい。また、図19に示したように、目標電解質濃度、透析液電解質濃度、血液流量、透析液流量、アルブミン以外の項目が採用されてもよい。例えば、本体ケース31の収納空間に血液、透析液を流す時間である透析時間、あるいは、補充すべき電解質溶液の濃度である補充用溶液濃度なども電解質移動要因情報として採用することが可能である。なお、電解質移動要因情報以外の透析治療に関係する情報がデータベースDBに記憶されていてもよい。具体的には、例えば、尿毒症性物質、尿毒症毒素、血清及び血中電解質、血球、血小板、FGF(Fibroblast Growth Factor)23、Klotho、骨型アルカリフォスフアターゼ、I型プロコラーゲンN末端ペプチド、オステオカルシン、MGP(Matrix Gla-Protein)、Fetuin−A、ピロリン酸、BMP(Bone Morphogenetic Protein),TNF(Tumor Necrosis Factor)−αなどの透析又は電解質又は骨代謝関連の臨床検査値や、生体指標が挙げられる。電解質移動要因情報と臨床検査値と生体指標との一部又は全部を用いて患者の兆候が取得されるようにしてもよい。
また上記実施形態では、静脈側血液回路20Bに接続ポート24が設けられ、当該静脈側血液回路20Bから電解質溶液が送り込まれた。しかしながら、接続ポート24が動脈側血液回路20Aに設けられ、当該動脈側血液回路20Aから電解質溶液が送り込まれてもよい。ただし、動脈側血液回路20Aから電解質溶液が送り込まれる場合、当該電解質溶液に含まれる電解質の一部がダイアライザー30で除去される傾向があるため、その除去分の電解質を含めて電解質を補充することが必要となる。したがって、電解質溶液量の仕様を抑え、透析患者に無用な水分を補充せず、正確かつ効率良く電解質溶液を補充する観点では、静脈側血液回路20Bから電解質溶液が送り込まれことが好ましい。
また上記実施形態では、透析システム1が透析液供給システム10と複数の透析用監視装置4A〜4Fとによって構成されるセントラル透析液供給システムとされたが、当該透析液供給システム10を省略した個人用透析装置による透析システムであってもよい。なお、個人用透析装置による透析システムの場合、透析用監視装置4A〜4Fのそれぞれには透析液を供給する透析液供給部が設けられる。