JP6779518B2 - 生体信号検出システム、生体信号検出方法 - Google Patents

生体信号検出システム、生体信号検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体信号検出システム、生体信号検出方法に関する。
近年、被験者の疲労度、ストレス、健康状態等を把握するために、瞬き、心拍、呼吸等の生体信号を、例えばドップラーセンサを用いて非接触で観測する生体信号検出システムが検討されている。ドップラーセンサを用いた生体信号検出システムにおいて、生体信号の検出精度を向上することは重要な課題であり、そのために様々な提案がなされている。
例えば、生体信号検出の1つである瞬き検出に関して、機械学習に基づく手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この手法では、瞬き信号について5つの特徴量(電圧最大値、時間幅、分散、生信号の分散、生信号の電圧最大値)を定義し、機械学習の一つであるSVM(Support Vector Machine)により瞬きと非瞬きを識別する。
これら特徴量は人や環境毎に異なるため、事前に様々な瞬きについて特徴量を学習することで、検出特性が向上する。しかし、機械学習を用いた手法では、事前学習データとテストデータが適さない場合には検出精度が劣化してしまう。
C,Tamba and T.Ohtsuki,"Learning−based Blink Detection Using a Doppler Sensor,"IEICE technical report,vol.114,no.418,ASN2014−123,pp.97−102.Jan.2015.
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、事前学習を必要とせずに生体信号の検出精度を向上することを目的とする。
本生体信号検出システムは、被験者からの反射波を受信してドップラー信号を取得するドップラーセンサと、前記ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数の振幅又は位相を時刻毎に積分し、積分値の時間変化を算出する積分値算出部と、前記積分値の時間変化に基づいて、前記被験者の生体信号を検出する生体信号検出部と、を有し、前記積分値算出部は、前記所定の周波数帯域のうちの低周波側の正のドップラー周波数に含まれる各周波数の第1振幅と、前記低周波側の負のドップラー周波数に含まれる各周波数の第2振幅を別々に時刻毎に積分し、前記第1振幅及び前記第2振幅の積分値の時間変化を算出する低周波振幅積分値算出部を含み、前記生体信号検出部は、前記第1振幅の積分値を時刻毎に第1閾値と比較すると共に、前記第2振幅の積分値を時刻毎に第2閾値と比較し、前記第1振幅が前記第1閾値以上であり、かつ、前記第2振幅が前記第2閾値以上である時刻の前記ドップラー信号を前記生体信号の第1候補として選出する第1検出部を含むことを要件とする。
開示の技術によれば、事前学習を必要とせずに生体信号の検出精度を向上することができる。
第1の実施の形態に係る瞬き検出システムの概略構成を例示する図である。 ドップラーセンサ10で得たドップラー信号の一例である。 第1の実施の形態に係る信号処理部のハードウェアブロックを例示する図である。 第1の実施の形態に係る信号処理部の機能ブロックを例示する図である。 第1の実施の形態に係る瞬き検出システムの動作を示すフローチャートの例である。 ドップラー信号及びドップラー信号のスペクトログラムの一例である。 ドップラー信号のスペクトログラム及び低周波側の振幅データの一例である。 CA−CFAR検出について説明する図である。 ドップラー信号のスペクトログラム及び高周波側の振幅データの一例である。 瞬き信号の第1候補、第2候補、合成結果の一例である。 位相の時間変化と体動検出の結果の一例である。 瞬き信号の検出結果の一例である。 第1の実施の形態の変形例に係る瞬き検出システムの概略構成を例示する図である。 第1の実施の形態の変形例に係る信号処理部の機能ブロックを例示する図である。 第1の実施の形態の変形例に係る瞬き検出システムの動作を示すフローチャートの例である。 2つの連続するピークのVp(n)について説明する図である。 実施例1の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例3の結果を示す図である。 第2の実施の形態に係る心拍検出システムの概略構成を例示する図である。 第2の実施の形態に係る信号処理部の機能ブロックを例示する図である。 第2の実施の形態に係る心拍検出システムの動作を示すフローチャートの例である。 ドップラー信号のスペクトログラム及び位相データの一例である。 位相データのピーク及びピーク間隔の一例である。 実施例4の結果を示す図である。
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る瞬き検出システム1の概略構成を例示する図である。図1に示すように、瞬き検出システム1は、主要な構成要素として、ドップラーセンサ10と、信号処理部20とを有している。なお、瞬き検出システム1は、本発明に係る生体信号検出システムの代表的な一例である。
ドップラーセンサ10は、ドップラー効果による送信信号と受信信号の周波数シフトを観測することで、観測対象(被験者)の動きを検出するセンサである。本実施の形態では、一例として、送信波として無変調連続波(CW:Continuous Wave)を用いる。
ドップラーセンサ10は被験者の近傍に配置され、被験者の瞼又はその近傍で反射された信号(反射波)を受信し、観測対象の動きにより発生したドップラー信号を得る。被験者としては、例えば、画像表示端末(VDT)で作業する作業者、車両の運転者等が挙げられる。
図2は、ドップラーセンサ10で得たドップラー信号の一例である。図2に示す信号は、送信信号と受信信号の間の周波数シフトを表わすドップラー信号を時間の関数として取得したものであり、送信信号と同相(In-phase)成分であるI信号、及び直交位相(Quadrature)成分であるQ信号で構成される。
瞬き、心拍や呼吸、体動(身体による動作)等の身体の表面の動きはドップラーセンサ10により観測できる。瞬きのスペクトルは、5〜80Hz程度まで広がる。従って、瞬き検出を行う際には、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタ等を用いて適宜ノイズ除去を行うことが好ましい。
図1に戻り、信号処理部20は、ドップラーセンサ10の出力信号であるドップラー信号に基づいて、被験者の瞬きを検出する。信号処理部20は、適宜、ドップラーセンサ10で受信したドップラー信号のI信号及びQ信号をそのまま利用したり、I信号及びQ信号に基づいて各種信号(振幅、位相、それらの積分値等)を生成したりすることができる。
図3は、第1の実施の形態に係る信号処理部のハードウェアブロックを例示する図である。図3を参照するに、信号処理部20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、I/F24と、バスライン25とを有している。CPU21、ROM22、RAM23、及びI/F24は、バスライン25を介して相互に接続されている。
CPU21は、信号処理部20の各機能を制御する。記憶手段であるROM22は、CPU21が信号処理部20の各機能を制御するために実行するプログラムや、各種情報を記憶している。記憶手段であるRAM23は、CPU21のワークエリア等として使用される。又、RAM23は、所定の情報を一時的に記憶することができる。I/F24は、瞬き検出システム1を他の機器等と接続するためのインターフェイスである。瞬き検出システム1は、I/F24を介して、外部ネットワーク等と接続されてもよい。
但し、信号処理部20の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、信号処理部20は、物理的に複数の装置等により構成されてもよい。
図4は、第1の実施の形態に係る信号処理部の機能ブロックを例示する図である。図4を参照するに、信号処理部20は、機能ブロックとして、積分値算出部26と、生体信号検出部27と、体動検出部28とを有している。
積分値算出部26は、ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数の振幅又は位相を時刻毎に積分し、積分値の時間変化を算出する機能を有している。積分値算出部26は、低周波振幅積分値算出部261と、高周波振幅積分値算出部262とを備えている。
又、生体信号検出部27は、積分値算出部26が算出した積分値の時間変化に基づいて、被験者の生体信号(本実施の形態では瞬き信号)を検出する機能を有している。生体信号検出部27は、第1検出部271と、第2検出部272と、生体信号判定部273とを備えている。
体動検出部28は、被験者の体動を検出する機能を有している。体動は、身体の大きな動きであり、瞬き検出処理から除外するために検出するものである。
図5は、第1の実施の形態に係る瞬き検出システムの動作を示すフローチャートの例である。図5を中心にして適宜他の図も参照しながら、第1の実施の形態に係る瞬き検出方法について説明する。
まず、ステップS11では、ドップラーセンサ10で被験者からの反射波を受信してドップラー信号を取得する。ここで取得するドップラー信号は、例えば、図6(a)に示すようなI信号及びQ信号で構成されている。
図6(a)に示す信号は、例えば、被験者が着座した状態で、ドップラーセンサ10を被験者の顔正面で50〜60cm離隔して配置して得ることができる。図6(a)の例は、被験者が5回瞬き、体動、5回瞬き、体動、5回瞬きを順次実行したときの信号である。なお、図6(a)では、5回瞬きした期間をW、体動した期間をMで示している。
次に、ステップS12では、ステップS11で受信したドップラー信号の低域成分の除去を行う。低域成分の除去は、例えば、ドップラーセンサ10と信号処理部20との間にハイパスフィルタを挿入してハードウェア的に行うことができる。又、ドップラーセンサ10の出力信号を直接信号処理部20に入力し、信号処理部20内においてディジタル信号処理(ディジタルフィルタ等)により行ってもよい。ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、例えば、5Hz程度とすることができる。
次に、ステップS13では、積分値算出部26は、ハイパスフィルタで低域成分を除去したI信号及びQ信号からスペクトログラムを計算する。スペクトログラムは、例えば、I信号及びQ信号を短時間フーリエ変換(Short-Time Fourier Transform:STFT)することにより計算できる。
図6(b)は、ドップラー信号のスペクトログラムの一例であり、時間、ドップラー周波数、信号成分の強さをグレースケールで表示している。なお、正のドップラー周波数(図6(b)の+側)は近接運動に対応し、負のドップラー周波数(図6(b)の−側)は離隔運動に対応している。
以降、正のドップラー周波数及び負のドップラー周波数の所定の周波数帯域を、低周波側(Fmin≦低周波側<Ft、−Ft<低周波側≦−Fmin)、及び高周波側(Ft≦高周波側≦Fmax、−Fmax≦高周波側≦−Ft)に分けて信号処理を行う。低周波側及び高周波側の周波数帯域は、経験値に基づいて設定することが可能であり、使用環境等に応じて適宜調整することができる。なお、Fminは、ステップS12におけるハイパスフィルタのカットオフ周波数と同一値とすることが好ましい。
例えば、Fmin=5Hz、Ft=15Hz、Fmax=80Hzとすることができる。この場合、5Hz≦所定の周波数帯域≦80Hz及び−80Hz≦所定の周波数帯域≦−5Hzである。又、5Hz≦低周波側<15Hz及び−15Hz<低周波側≦−5Hz、15Hz≦高周波側≦80Hz及び−80Hz≦高周波側≦−15Hzとなる。以下の説明では、一例として、Fmin=5Hz、Ft=15Hz、Fmax=80Hzとする。
次に、ステップS15では、低周波振幅積分値算出部261は振幅データ1aを算出する。振幅データ1aは、低周波側の正のドップラー周波数(5Hz≦低周波側<15Hz)に含まれる各周波数の振幅(第1振幅)を時刻毎に積分し、振幅の積分値の時間変化を算出したものである。図7(b)に、図7(a)のスペクトログラムの5Hz≦低周波側<15Hzにおいて、低周波振幅積分値算出部261が算出した振幅データ1aの一例を示す。
次に、ステップS16では、第1検出部271はCFAR(Cell Averaging Constant False Alarm Rate)処理1aにおいて第1閾値THを決定し、振幅データ1aを第1閾値THと比較して、第1閾値TH以上である時刻のドップラー信号を検出する。
ここで、CFAR処理1aにおいて第1閾値THを決定するには、図8に示すように振幅データ1aを時間軸方向に連続する複数のセルに分割し、注目するセル(Cut:Cell under test)を決定する。
次に、Cutに隣接しない前後のセルの振幅値に基づいて第1閾値THを決定する。具体的には、Cutの直前の所定数のセルをガードセルG、Cutの直後の所定数のセルをガードセルGとし、更に、ガードセルGの直前の所定数のセルをフロントセルF、ガードセルGの直後の所定数のセルをリアセルRとする。ドップラーセンサ10で観測された瞬き信号の時間長は、経験的に約0.2秒であることがわかっている。そこで、図8における各セルのセル長は0.2秒程度に設定することが好ましい。
なお、図8では、ガードセルG、ガードセルG、フロントセルF、及びリアセルRをそれぞれ3セルで構成しているが、これは一例であり、ガードセルG、ガードセルG、フロントセルF、及びリアセルRを構成するセル数は適宜決定することができる。
次に、フロントセルFの振幅値とリアセルRの振幅値の平均値AAVEを算出し、平均値AAVEを係数α倍したものを第1閾値THとする。すなわち、第1閾値TH=AAVE×αである。なお、ガードセルG及びGは第1閾値THの算出には用いない。これは、注目するセルであるCut自身が第1閾値THへ影響することを防ぐためである。
第1閾値THが低すぎると、多くの雑音を瞬きと誤検出しFP(False Positive)が増加する。一方、第1閾値THが高すぎると、瞬きの検出漏れが多くなりFN(False Negative)が増加する。そこで、係数αを適切な値に設定する必要があるが、発明者らの事前実験により、α=3.4程度とすることでFP及びFNを低減できることがわかっている。
以上のようにして第1閾値THが決定されると、第1検出部271は、Cutにおいて第1閾値TH以上の信号成分を検出する。引き続きCutの位置を移動させながら同様の検出を繰り返して振幅データ1aを第1閾値THと比較して、第1閾値TH以上である時刻のドップラー信号を検出する。
次に、ステップS17では、低周波振幅積分値算出部261は振幅データ1bを算出する。振幅データ1bは、低周波側の負のドップラー周波数(−15Hz<低周波側≦−5Hz)に含まれる各周波数の振幅(第2振幅)を時刻毎に積分し、振幅の積分値の時間変化を算出したものである。図7(b)に、図7(a)のスペクトログラムの−15Hz<低周波側≦−5Hzにおいて、低周波振幅積分値算出部261が算出した振幅データ1bの一例を示す。
次に、ステップS18では、第1検出部271はCFAR処理1bにおいて第2閾値THを決定し、振幅データ1bを第2閾値THと比較して、第2閾値TH以上である時刻のドップラー信号を検出する。CFAR処理の具体的な方法については、前述の通りである。
次に、ステップS19では、第1検出部271は、ステップS16で検出された第1閾値TH以上であり、かつステップS18で検出された第2閾値TH以上である時刻のドップラー信号を瞬き信号の第1候補として選出する。ここで、第1閾値TH以上、かつ第2閾値TH以上である時刻のドップラー信号を瞬き信号の第1候補として選出するのは、何れか一方の閾値のみ以上である信号は、体動や雑音である可能性が高いので、これらを排除するためである。
なお、第1閾値TH及び第2閾値THを静的な値とすることも可能である。しかし、第1閾値TH及び第2閾値THをCFAR処理により動的に決定することは、身体の揺らぎや雑音に対するロバスト性を高め、瞬き信号の第1候補の検出漏れを低減できる点で好適である。
次に、ステップS20では、高周波振幅積分値算出部262は振幅データ2を算出する。振幅データ2は、高周波側の正のドップラー周波数(15Hz≦高周波側≦80Hz)に含まれる各周波数の振幅の時刻毎の積分値と、高周波側の負のドップラー周波数(−80Hz≦高周波側≦−15Hz)に含まれる各周波数の振幅の時刻毎の積分値とを同時刻同士で合計し、合計した振幅の積分値の時間変化を算出したものである。
ここで、高周波側の正のドップラー周波数の積分値と負のドップラー周波数の積分値とを合計するのは、低周波側の信号と異なり不用信号に起因する正負の信号の差異が小さいため、両者を合計して1つの信号にしてから閾値と比較する方が処理速度およびSN改善の点から効率的であるためである。
図9(b)に、図9(a)のスペクトログラムの15Hz≦高周波側≦80Hz及び−80Hz≦高周波側≦−15Hzにおいて、高周波振幅積分値算出部262が算出した振幅データ2の一例を示す。なお、振幅データ2には、図9(b)に部分的に拡大して示すように、2つの連続するピークが複数組現れる。2つの連続するピークは、原則として目を開ける動作と閉じる動作に対応すると考えられるため、後述のように、瞬き信号の候補となる。
なお、図9(b)に示す高周波側の信号は、縦軸同士を比較するとわかるように、図7(b)に示す低周波側の信号に比べ振幅が小さい。そのため、本実施の形態のように、低周波側と高周波側とをFtで分けて別々に信号検出を行わないと、高周波側の信号が低周波側の信号に埋もれてしまい、図9(b)に示す2つの連続するピークを検出することは困難である。低周波側と高周波側とをFtで分けて別々に信号検出を行い、両方の結果に基づいて瞬き判定を行うことで瞬きの検出精度を向上できる。
次に、ステップS21では、第2検出部272はCFAR処理2において第3閾値THを決定し、振幅データ2を第3閾値THと比較して、第3閾値TH以上である時刻のドップラー信号を検出する。CFAR処理の具体的な方法については、前述の通りである。
次に、ステップS22では、第2検出部272は、ステップS21で検出された第3閾値TH以上ある時刻のドップラー信号のうち、2つの連続するピークを瞬き信号の第2候補として選出する。
なお、第3閾値THを静的な値とすることも可能である。しかし、第3閾値THをCFAR処理により動的に決定することは、身体の揺らぎや雑音に対するロバスト性を高め、瞬き信号の第2候補の検出漏れを低減できる点で好適である。
次に、ステップS23では、生体信号判定部273は、ステップS19で選出された瞬き信号の第1候補と、ステップS22で選出された瞬き信号の第2候補とを合成する。図10に、瞬き信号の第1候補、第2候補、合成結果の一例を示す。なお、図10において、『1』は、瞬き信号の第1候補又は第2候補が検出されたことを示し、『0』は、瞬き信号の第1候補及び第2候補が非検出であることを示している。
次に、ステップS24では、体動検出部28は体動検出を行う。発明者らの検討によれば、送信波の周波数を24GHzとした場合、2πの位相変動で 1.25cmの移動に相当するが、瞬きの距離変動は数ミリ程度であって、1.25cmの1/4以下にとどまる。これに基づき、瞬き検出システム1では、瞬き1回の時間に相当する0.2秒でπ/2以上の位相変動がある場合は体動であると判定する。
すなわち、体動検出部28は、ステップS11で取得したドップラー信号(I信号及びQ信号)から位相の時間変化を算出し、0.2秒でπ/2以上の位相変動がある時間帯を体動と検出する。図11に、位相の時間変化と体動検出の結果の一例を示す。破線で囲まれた部分が体動検出された時間帯である。
次に、ステップS25では、生体信号判定部273は、ステップS23における瞬き信号の第1候補と第2候補との合成結果(図10(c)参照)から、ステップS24において体動検出された時間帯に存在する候補を除外したものを瞬き信号と判定する。例えば、図10(c)の合成結果から、図11の体動検出された時間帯のデータを除去し、図12に示す瞬き信号を最終検出結果として出力する。この例では、体動検出された時間帯に候補が存在しないため、図10(c)の合成結果と図12の最終検出結果とが一致している。
以上のステップにより、図6(a)に示した3つの期間Wの各々について、5回の瞬きを精度良く検出することが可能となる。
このように、瞬き検出システム1では、ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数の振幅を時刻毎に積分し、積分値の時間変化を算出する。そして、算出した積分値の時間変化に基づいて、被験者の生体信号の1つである瞬きを検出する。
ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数に信号を分解したのち、瞬きに起因する信号成分が存在する周波数の振幅を選択的に積分し、積分値の時間変化を算出することで、瞬きに起因する生体信号を高いSN比で取得することができる。その結果、高精度な瞬き検出が可能となる。
更に、ドップラー周波数を正負で区別して扱うと共に、選択的に積分する周波数を瞬き動作の特徴に応じて低周波帯と高周波帯の2つの帯域に区別して処理することで、それぞれの特徴を示す信号のSN比を最大化することができる。又、着目する生体動作(瞬き)以外に由来する不要信号(体の微小動作や環境起因)の除外を精度よく実現できるため、時間信号から直接振幅信号を求める方法等に比べて瞬き検出の精度を向上することができる。
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例では、CFAR処理を行う際の周波数Ft(低周波側と高周波側との境界となる周波数)及びFmax(高周波側の最大周波数)を可変にする例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図13は、第1の実施の形態の変形例に係る瞬き検出システムの概略構成を例示する図である。図13に示すように、瞬き検出システム1Aは、主要な構成要素として、ドップラーセンサ10と、信号処理部20Aとを有している。なお、瞬き検出システム1Aは、本発明に係る生体信号検出システムの代表的な一例である。
図14は、第1の実施の形態の変形例に係る信号処理部の機能ブロックを例示する図である。図14を参照するに、信号処理部20Aは、機能ブロックとして測定周波数決定部29が追加された点が、信号処理部20の機能ブロック(図4参照)と相違する。測定周波数決定部29は、CFAR処理を行う際の周波数Ft及びFmaxを環境及び観測対象に応じて調整する機能を有している。
図15は、第1の実施の形態の変形例に係る瞬き検出システムの動作を示すフローチャートの例である。図15を中心にして適宜他の図も参照しながら、第1の実施の形態の変形例に係る瞬き検出方法について説明する。なお、図15のフローチャートは、図5のフローチャートのS13の後段にS14が追加されたものである。
まず、第1の実施の形態と同様に、ステップS11〜S13を実行する。次に、ステップS14では、測定周波数決定部29は、低周波側及び高周波側の信号帯域の境界となる周波数Ft及びFmaxを決定する。ここでは、一例として、初期値を第1の実施の形態と同様の値(Fmin=5Hz、Ft=15Hz、Fmax=80Hz)とする。
具体的には、第1の実施の形態で説明したステップS20と同様の処理を実行し、2つの連続するピークを検出する。例えば、図16に示すデータが検出できる。次に、測定周波数決定部29は、2つの連続するピークを1対とし、各々の対について、図16に示すVp(n)を算出する。ここで、Vp(n)は、各々の対において、2つのピーク中の最大値と、2つのピーク間の最小値との差である。次に、測定周波数決定部29は、一定の観測時間(例えば、過去数十秒)におけるVp(n)の平均値が最大となるようにFt及びFmaxを決定する。
次に、第1の実施の形態と同様に、ステップS15〜S25を実行することで、瞬きを検出することができる。瞬き検出処理とVp(n)の算出とを平行して行うことで、常に最適なFt及びFmaxを用いて瞬き検出を行うことが可能となる。その結果、環境及び観測対象が変化しても、高い精度で瞬きを検出することが可能となる。
[実施例1]
実施例1では、第1の実施の形態に係る瞬き検出システム1を用いて瞬き検出を行った。具体的には、被験者が着座した状態で、ドップラーセンサ10を被験者の顔正面で50〜60cm離隔して配置し、被験者が5回瞬き、体動、5回瞬き、体動、5回瞬きを順次実行した際の瞬き検出を行った。
なお、比較例1として、実施例1のドップラー信号のI信号及びQ信号から振幅信号を求め(時間信号から直接振幅信号を求める)、求めた振幅信号をCFAR処理して瞬き候補を選出し、選出した瞬き候補から体動を除去して瞬きを検出する方法を用いた場合の結果を示した。
図17(a)はドップラーセンサ10が取得したドップラー信号であり、図17(b)は実施例1及び比較例1の検出結果を示している。
図17(b)に示すように、実施例1では5回瞬きが時間をおいて合計3回正しく検出されており、誤検出(FP)や未検出(FN)がなかった。これに対して、比較例1では、5秒〜10秒の間に2回の誤検出(FP)があった。このように、実施例1の方が比較例1よりも誤検出(FP)と未検出(FN)の合計数が少なく、瞬き検出システム1を用いることで精度よく瞬き検出できることが確認された。
[実施例2]
実施例2では、第1の実施の形態に係る瞬き検出システム1を用いて瞬き検出を行った。具体的には、被験者が着座した状態で、ドップラーセンサ10を被験者の顔正面で50〜60cm離隔して配置し、被験者が20回連続で瞬きした際の瞬き検出を行った。
なお、比較例2として、実施例2のドップラー信号のI信号及びQ信号から振幅信号を求め(時間信号から直接振幅信号を求める)、求めた振幅信号をCFAR処理して瞬き候補を選出し、選出した瞬き候補から体動を除去して瞬きを検出する方法を用いた場合の結果を示した。
図18(a)はドップラーセンサ10が取得したドップラー信号であり、図18(b)は実施例2及び比較例2の検出結果を示している。
図18(b)に示すように、実施例2では8秒付近に1回の未検出(FN)があったが、誤検出(FP)はなかった。これに対して、比較例2では、8秒付近及び18秒付近に2回の未検出(FN)があり、30秒付近に1回の誤検出(FP)があった。このように、実施例2の方が比較例2よりも誤検出(FP)と未検出(FN)の合計数が少なく、瞬き検出システム1を用いることで精度よく瞬き検出できることが確認された。
なお、実施例2において、第1の実施の形態の変形例に係る瞬き検出システム1AのようにFt及びFmaxを調整することで、更に検出精度を高める(未検出をなくす)ことが期待できる。
[実施例3]
実施例3では、第1の実施の形態に係る瞬き検出システム1を用いて瞬き検出を行った。具体的には、被験者が着座した状態で、ドップラーセンサ10を被験者の顔正面で50〜60cm離隔して配置し、被験者が5回瞬き、休止、5回瞬き、休止、5回瞬き、体動、5回瞬きを順次実行した際の瞬き検出を行った。
なお、比較例3として、実施例3のドップラー信号のI信号及びQ信号から振幅信号を求め(時間信号から直接振幅信号を求める)、求めた振幅信号をCFAR処理して瞬き候補を選出し、選出した瞬き候補から体動を除去して瞬きを検出する方法を用いた場合の結果を示した。
図19(a)はドップラーセンサ10が取得したドップラー信号であり、図19(b)は実施例3及び比較例3の検出結果を示している。
図19(b)に示すように、実施例3では35秒付近に1回の誤検出(FP)があったが、未検出(FN)はなかった。これに対して、比較例3では、8秒付近及び16秒付近に1回ずつの未検出(FN)があり、誤検出(FP)はなかった。このように、実施例3の方が比較例3よりも誤検出(FP)と未検出(FN)の合計数が少なく、瞬き検出システム1を用いることで精度よく瞬き検出できることが確認された。
なお、実施例3において、第1の実施の形態の変形例に係る瞬き検出システム1AのようにFt及びFmaxを調整することで、更に検出精度を高める(誤検出をなくす)ことが期待できる。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、心拍を検出する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図20は、第2の実施の形態に係る心拍検出システムの概略構成を例示する図である。図20に示すように、心拍検出システム1Bは、主要な構成要素として、ドップラーセンサ10と、信号処理部20Bとを有している。なお、心拍検出システム1Bは、本発明に係る生体信号検出システムの代表的な一例である。
図21は、第2の実施の形態に係る信号処理部の機能ブロックを例示する図である。図21を参照するに、信号処理部20Bは、機能ブロックとして、積分値算出部26と、生体信号検出部27とを有している。又、積分値算出部26は、位相積分値算出部263を備えている。又、生体信号検出部27は、第3検出部274と、ピーク補間部275と、ピーク間隔算出部276とを備えている。
図22は、第2の実施の形態に係る心拍検出システムの動作を示すフローチャートの例である。図22を中心にして適宜他の図も参照しながら、第2の実施の形態に係る心拍検出方法について説明する。
まず、ステップS31では、ドップラーセンサ10で被験者からの反射波を受信してドップラー信号を取得する。
次に、ステップS32では、位相積分値算出部263は、ステップS31で受信したドップラー信号のI信号及びQ信号に基づいて、位相を計算する。
次に、ステップS33では、ステップS32で計算したドップラー信号の位相のノイズ成分の除去を行う。ノイズ成分の除去は、例えば、ドップラーセンサ10と信号処理部20Bとの間にバンドパスフィルタを挿入してハードウェア的に行うことができる。又、ドップラーセンサ10の出力信号を直接信号処理部20Bに入力し、信号処理部20B内においてディジタル信号処理(ディジタルフィルタ等)により行ってもよい。
拍動により生じた信号は拍動に伴って細かく変化するため、5Hz以上50Hz以下程度の比較的高周波数の成分を含んでいる。これに対して、呼吸や体動により生じた信号は緩やかに変化するため、5Hz未満程度の比較的低周波数の成分を含んでいる。そこで、バンドパスフィルタの通過帯域は、例えば、5Hz以上50Hz以下に設定することができる。図23(a)は、バンドパスフィルタ通過後(ここでは、通過帯域を5Hz以上50Hz以下とする)の位相信号の一例である。但し、バンドパスフィルタの通過帯域は、環境及び観測対象に応じて適宜変更して構わない。
次に、ステップS34では、積分値算出部26は、バンドパスフィルタでノイズ成分を除去した位相信号からスペクトログラムを計算する。スペクトログラムは、例えば、位相信号を時間窓0.25秒程度として短時間フーリエ変換することにより計算できる。図23(b)は、図23(a)の位相信号のスペクトログラムの一例であり、時間、ドップラー周波数、信号成分の強さをグレースケールで表示している。
次に、ステップS35では、位相積分値算出部263はドップラー信号の所定の周波数帯域内(ここでは、5Hz以上50Hz以下とする)に含まれる各周波数の位相を時刻毎に積分し、位相の積分値の時間変化を算出する。図23(c)に、図23(b)のスペクトログラムの5Hz以上50Hz以下の周波数において、位相積分値算出部263が算出した位相の積分値の時間変化の一例を示す。
次に、ステップS36では、第3検出部274は、ステップS35で算出された位相の積分値に対して、時間軸方向の第1検出範囲を設定し、第1検出範囲内に存在する位相の積分値のピークを検出する。位相の積分値のピークは、例えば、位相の積分値を2回微分した値や3回微分した値を用いる周知の方法で検出できる。位相の積分値のピークは、その他の周知の方法を用いて検出してもよい。
時間軸方向の第1検出範囲は、想定する心拍数が60bpm(beats per minute)〜100bpm程度である点を考慮し、例えば、最小ピーク間隔を0.6秒、最大ピーク間隔を1.0秒とすることができる。例えば、最初にピークが検出された時間から0.6秒後〜1.0秒後の範囲を次のピークの検出範囲とすることができる。このように、第1検出範囲は、時間軸方向に離散的に設けられる。図24(a)に、第3検出部274が検出したピークの一例を示す。
次に、ステップS37では、第3検出部274は、ステップS36で検出したピークに対して、位相の大きさ方向の第2検出範囲を設定し、ステップS36で検出したピークの各々が、第2検出範囲内に存在するか否かを判定する。なお、第2検出範囲内に存在しないピークは、心拍に起因しないものであると考えられる。
位相の大きさ方向の第2検出範囲は、最小閾値THminと最大閾値THmaxとの間とすることができる。最小閾値THmin及び最大閾値THmaxは、実験的に求めることができ、例えば、最小閾値THmin=0.0047[rad]、最大閾値THmax=0.013[rad]とすることができる。例えば、図24(a)のA部(2秒の近傍)では、検出されたピークが第2検出範囲内に存在していない。
ステップS37で第3検出部274が第2検出範囲内に存在しないピークがある(第2検出範囲外で検出されたピークがある)と判定した場合(NOの場合)には、ステップS38の処理に進む。
ステップS38では、ピーク間隔算出部276は、第2検出範囲内に存在しないピークも含めた全てのピークについて、隣接するピークの時間間隔の仮算出を行う。そして、ピーク補間部275は、第2検出範囲外で検出されたピークを検出対象から除外し、第2検出範囲外でピークが検出された時刻に、計算で求めた値をピークとして補間する。ピーク補間部275は、例えば、ピーク間隔算出部276が仮算出したピーク間隔の値を使用し、第2検出範囲外でピークが検出された時刻の前後のピーク間隔の平均値をとるようにピークを補間することができる。その後、ステップS39の処理に進む。
図24(b)に、ピーク補間部275が補間したピークの一例(●部分)を示す。なお、△は補間前の値、すなわち、ピーク間隔算出部276が仮算出した値を示している。
ステップS37で第3検出部274が全てのピークが第2検出範囲内に存在する(第2検出範囲外で検出されたピークがない)と判定した場合(YESの場合)には、ステップS39の処理に進む。
ステップS39では、ピーク間隔算出部276は、ステップS38の処理が行われなかった場合には、ステップS36で第3検出部274が検出した位相の積分値のピークの全てについて、隣接するピークの時間間隔を算出する。
又、ピーク間隔算出部276は、ステップS38の処理が行われた場合には、ステップS36で第3検出部274が第2検出範囲内で検出した位相の積分値のピークの全てと、ステップS38でピーク補間部275が補間したピークについて、隣接するピークの時間間隔を算出する。
ピーク間隔算出部276が算出した隣接するピークの時間間隔が、心拍と心拍との間の時間長さ(R−R間隔)となる。
このように、心拍検出システム1Bでは、ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数の位相を時刻毎に積分し、積分値の時間変化を算出する。そして、算出した積分値の時間変化に基づいて、被験者の生体信号の1つである心拍を検出する。ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数に信号を分解したのち、心拍に起因する信号成分が存在する周波数の位相を時刻毎に選択的に積分し、積分値の時間変化を算出することで、心拍の情報を含む周波数の位相を時刻毎に高いSN比で取得することができる。その結果、高精度な心拍検出が可能となる。
更に、選択的に積分する周波数を心拍動作の特徴に応じて決定することにより、SN比を最大化することができる。又、着目する生体動作(心拍)以外に由来する不要信号(体の微小動作や環境起因)の除外を精度よく実現できるため、時間信号から直接位相信号を求める方法等に比べて心拍検出の精度を向上することができる。
又、算出した位相の積分値に対して、時間軸方向の第1検出範囲及び位相の大きさ方向の第2検出範囲を設定し、第1検出範囲と第2検出範囲との共通範囲内に存在する位相の積分値のピークを検出し、ピークが検出された時刻のドップラー信号を心拍の候補として選出する。そして、共通範囲外のピークを心拍に起因しないものとして検出対象から除外し、除外した時刻に前後のピーク間隔等に基づいてピークを補間する。これにより、心拍に起因しないピークの誤検出を低減でき、高精度な瞬き検出が可能となる。
なお、ステップS31〜S39では、ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数の位相を時刻毎に積分し、位相の積分値の時間変化を算出し、位相の積分値の時間変化に基づいて、被験者の心拍を検出する例を示した。
しかし、ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数の振幅を時刻毎に積分し、振幅の積分値の時間変化を算出し、振幅の積分値の時間変化に基づいて、被験者の心拍を検出することも可能である。この場合には、ステップS31〜S35において振幅の積分値の時間変化を算出し、ステップS36以降の処理は位相の場合と同様にすればよい。又、位相に代えて電力波形や電圧波形を用いてもよい。
[実施例4]
実施例4では、第2の実施の形態に係る心拍検出システム1Bを用いて心拍検出の実験を行った。実験の諸元を表1に示す。なお、比較のため、心拍検出システム1Bを用いた心拍検出と同時に、被験者に参照用の心電計を装着して実際の心拍(R−R間隔)を測定した。
評価項目1として、R−R間隔の検出精度の評価を行った。具体的には、心電計で測定したR−R間隔と心拍検出システム1Bで測定したピーク間隔のRMSE(Root Mean Square Error)を式(1)により算出して比較した。なお、式(1)において、Nは検出したピーク数、tはn番目のピークが検出された時刻、r(t)は心電計で得られたR−R間隔、x(t)は検出したピーク間隔である。
評価項目1の結果を表2に示す。
なお、比較例4として、R−R間隔が略一定とみなせる短い検出期間の各々において、略一定間隔で現れるピークを心拍として検出し、ビタビアルゴリズムを用いて、平均R−R間隔とピーク間隔との差が最小になるピークの組み合わせを選択することによりR−R間隔を推定する方法を用いた場合の結果を示した。
表2において、RMSEの値が小さいほど、心電計に近い計測ができていることを示す。表2より、心拍検出システム1Bを用いた心拍検出では、補間前であっても比較例4と比べて大幅に検出精度が改善されており、補間後は更に検出精度が改善されている。
次に、評価項目2として、検出したピーク間隔の使用率を式(2)により算出した。
評価項目2の結果、検出したピーク間隔の使用率は90.2%であった。この結果から、10%程度のピークが補間されて精度が改善していることがわかる。
図25は、心電計で測定したR−R間隔と心拍検出システム1Bで測定したピーク間隔(補間前、補間後)を示している。図25より、ピーク補間後は、ピーク補間前と比較して、観測期間全体で検出精度が改善される(心電計により近い計測ができている)ことが確認できる。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、図4に示す信号処理部20又は図14に示す信号処理部20Aと、図21に示す信号処理部20Bとを一体化してもよい。これにより、1つの生体信号検出システムで瞬き検出と心拍検出の両方が可能となる。
1、1A 瞬き検出システム
1B 心拍検出システム
10 ドップラーセンサ
20、20A、20B 信号処理部
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 I/F
25 バスライン
26 積分値算出部
27 生体信号検出部
28 体動検出部
29 測定周波数決定部
261 低周波振幅積分値算出部
262 高周波振幅積分値算出部
263 位相積分値算出部
271 第1検出部
272 第2検出部
273 生体信号判定部
274 第3検出部
275 ピーク補間部
276 ピーク間隔算出部

Claims (14)

  1. 被験者からの反射波を受信してドップラー信号を取得するドップラーセンサと、
    前記ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数の振幅又は位相を時刻毎に積分し、積分値の時間変化を算出する積分値算出部と、
    前記積分値の時間変化に基づいて、前記被験者の生体信号を検出する生体信号検出部と、を有し、
    前記積分値算出部は、
    前記所定の周波数帯域のうちの低周波側の正のドップラー周波数に含まれる各周波数の第1振幅と、前記低周波側の負のドップラー周波数に含まれる各周波数の第2振幅を別々に時刻毎に積分し、前記第1振幅及び前記第2振幅の積分値の時間変化を算出する低周波振幅積分値算出部を含み、
    前記生体信号検出部は、
    前記第1振幅の積分値を時刻毎に第1閾値と比較すると共に、前記第2振幅の積分値を時刻毎に第2閾値と比較し、
    前記第1振幅が前記第1閾値以上であり、かつ、前記第2振幅が前記第2閾値以上である時刻の前記ドップラー信号を前記生体信号の第1候補として選出する第1検出部を含む生体信号検出システム。
  2. 前記積分値算出部は、
    記所定の周波数帯域のうちの高周波側の各周波数の振幅を時刻毎に積分し、振幅の積分値の時間変化を算出する高周波振幅積分値算出部と、を含み、
    前記生体信号検出部は、前記低周波振幅積分値算出部による前記振幅の積分値の時間変化と、前記高周波振幅積分値算出部による前記振幅の積分値の時間変化に基づいて、前記生体信号を検出する、請求項1に記載の生体信号検出システム。
  3. 前記高周波振幅積分値算出部は、
    前記高周波側の正のドップラー周波数に含まれる各周波数の振幅の時刻毎の積分値と、前記高周波側の負のドップラー周波数に含まれる各周波数の振幅の時刻毎の積分値とを合計し、合計した振幅の積分値の時間変化を算出する、請求項に記載の生体信号検出システム。
  4. 前記生体信号検出部は、
    前記高周波振幅積分値算出部が算出した前記合計した振幅を時刻毎に第3閾値と比較し、前記合計した振幅が前記第3閾値以上である時刻の前記ドップラー信号のうち2つの連続するピークを前記生体信号の第2候補として選出する第2検出部を含む、請求項に記載の生体信号検出システム。
  5. 前記生体信号検出部は、
    前記第1候補と前記第2候補とを合成したものを前記生体信号と判定する生体信号判定部を含む、請求項に記載の生体信号検出システム。
  6. 前記高周波振幅積分値算出部が積分した前記振幅の時間変化の最大値に基づいて、前記低周波側と前記高周波側との境界となる周波数、及び前記高周波側の最大周波数を決定する測定周波数決定部を有する、請求項2乃至の何れか一項に記載の生体信号検出システム。
  7. 前記生体信号は瞬きである、請求項1乃至の何れか一項に記載の生体信号検出システム。
  8. 前記積分値算出部は、
    前記ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数の位相を時刻毎に積分し、位相の積分値の時間変化を算出する位相積分値算出部を含み、
    前記生体信号検出部は、前記位相積分値算出部による前記位相の積分値の時間変化に基づいて、前記生体信号を検出する、請求項1乃至の何れか一項に記載の生体信号検出システム。
  9. 前記生体信号検出部は、
    前記位相の積分値に対して、時間軸方向の第1検出範囲及び前記位相の大きさ方向の第2検出範囲を設定し、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲との共通範囲内に存在する前記位相の積分値のピークを検出し、前記ピークが検出された時刻の前記ドップラー信号を前記生体信号の候補として選出する第3検出部を含む、請求項に記載の生体信号検出システム。
  10. 前記生体信号検出部は、
    前記共通範囲内に前記位相の積分値のピークが検出されなかった時刻に、計算で求めた値をピークとして補間するピーク補間部を含む、請求項に記載の生体信号検出システム。
  11. 前記ピーク補間部は、前記ピークが検出されなかった時刻の前後に検出されたピークの平均値を、前記計算で求めた値とする、請求項10に記載の生体信号検出システム。
  12. 前記生体信号検出部は、
    前記ピーク補間部による補間後に、隣接する前記ピークの時間間隔を算出するピーク間隔算出部を含む、請求項11に記載の生体信号検出システム。
  13. 前記生体信号は心拍である、請求項乃至12の何れか一項に記載の生体信号検出システム。
  14. ドップラーセンサで被験者からの反射波を受信してドップラー信号を取得するドップラー信号取得ステップと、
    前記ドップラー信号の所定の周波数帯域内に含まれる各周波数の振幅又は位相を時刻毎に積分し、積分値の時間変化を算出する積分値算出ステップと、
    前記積分値の時間変化に基づいて、前記被験者の生体信号を検出する生体信号検出ステップと、を有し、
    前記積分値算出ステップは、
    前記所定の周波数帯域のうちの低周波側の正のドップラー周波数に含まれる各周波数の第1振幅と、前記低周波側の負のドップラー周波数に含まれる各周波数の第2振幅を別々に時刻毎に積分し、前記第1振幅及び前記第2振幅の積分値の時間変化を算出する低周波振幅積分値算出ステップを含み、
    前記生体信号検出ステップは、
    前記第1振幅の積分値を時刻毎に第1閾値と比較すると共に、前記第2振幅の積分値を時刻毎に第2閾値と比較し、
    前記第1振幅が前記第1閾値以上であり、かつ、前記第2振幅が前記第2閾値以上である時刻の前記ドップラー信号を前記生体信号の第1候補として選出する第1検出ステップを含む生体信号検出方法。
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