JP6777574B2 - 区分線形近似関数生成装置および方法 - Google Patents

区分線形近似関数生成装置および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6777574B2
JP6777574B2 JP2017058738A JP2017058738A JP6777574B2 JP 6777574 B2 JP6777574 B2 JP 6777574B2 JP 2017058738 A JP2017058738 A JP 2017058738A JP 2017058738 A JP2017058738 A JP 2017058738A JP 6777574 B2 JP6777574 B2 JP 6777574B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
linear approximation
optimization problem
function
approximation function
input
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017058738A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018163396A (ja
Inventor
亨 鹿島
亨 鹿島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Azbil Corp
Original Assignee
Azbil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Azbil Corp filed Critical Azbil Corp
Priority to JP2017058738A priority Critical patent/JP6777574B2/ja
Publication of JP2018163396A publication Critical patent/JP2018163396A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6777574B2 publication Critical patent/JP6777574B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Complex Calculations (AREA)

Description

本発明は、複雑な非線形連続関数を複数の区分に分割して線形関数で近似した区分線形近似関数を生成するための区分線形近似関数生成技術に関する。
複数の空調熱源設備の運転に用いる運転計画を作成する場合、熱源機器特性を示す複雑な非線形連続関数を区分線形近似関数で近似し、得られた関数を混合整数計画(MIP:Mixed Integer Programming)の定式化に用いることがある(例えば、特許文献1など参照)。区分線形近似関数を生成する関数生成技術としては、近似誤差を最小化するような区分線形近似関数を生成する方法がある(例えば、特許文献2など参照)。しかし、生成すべき関数が凸関数あるいは凹関数であることを予め決められない場合には、適用できない。
従来、このような区分線形近似関数生成技術として、Douglas-Peuckerアルゴリズムと呼ばれる手法が提案されている(例えば、特許文献3など参照)。図15は、Douglas-Peuckerアルゴリズムを示す説明図である。この手法は、ステップ1:近似対象曲線の両端点を直線で結び、ステップ2:その直線から最も遠い曲線上の点を検出し、ステップ3:検出した点を節点として各区分の曲線をそれぞれの直線で結び直し、ステップ4:区分数や誤差が望みの値になるまでステップ2−3を繰り返すことにより区分数を増やしていく、というものである。
特開2010−169328号公報 特開2016−099910号公報 特開2006−113457号公報
しかしながら、このような特許文献3にかかる従来技術では、誤差を含むデータの線形近似関数を生成する場合、誤差の大きい点すなわち外れ値があると、そこが節点となりやすいため、誤差の大きい点に引きずられ、意図とは異なる不自然な線形近似関数が生成されてしまうという問題点があった。
図16は、不自然な線形近似関数の生成例である。ここでは、入力データが[−2,4]の範囲で0.01刻みの等間隔に配置されている。出力データは、ある非線形関数にガウシアンノイズを載せ、1点だけ外れ値を置いたものであり、入出力データの個数は計601個ある。
この生成例によれば、誤差を含むデータの線形近似を、区分数が3の時点で止めた状態が示されているが、大多数のデータ群から値が大きく離れた外れ値が節点として選択されたために、データ群に比べて線形近似関数が大きく歪んでいることがわかる。
一般に、近似関数を生成する場合、近似誤差は小さい方がよい。また、近似誤差最大の一点に着目するのではなく、全体の近似誤差を小さくするべきである。それにより、特許文献3の課題であった、外れ値の影響を軽減できる。
区分線形近似関数の近似誤差を小さくするためには、区分の数を多くしていけばよい。しかし、区分の数を多くすれば細かい近似が出来るようになるが、「過学習」「オーバーフィッティング」(与えられたデータにのみ特化した、汎用性に欠ける関数を生成してしまうこと)と呼ばれる問題を引き起こしてしまう。そこで、近似誤差が小さく、かつ、区分の数が少ない区分線形近似関数を生成する必要がある。
このような手法の1つとして、例えば、区分と区分の境目、すなわち節点の候補と、使える節点の最大数を予め設定しておき、生成された区分線形近似関数による近似誤差が最小となるような節点を選び出す、という手法が考えられる。
この手法によれば、近似誤差が小さく、かつ、区分の数が「使える節点の最大数−1」を超えない関数を生成することができる。
図17は、節点候補を示す説明図である。図18は、区分線形近似関数の生成例である。
図17では、近似対象となる関数f(x)と、x軸上に設定された節点候補xi(i=1,2,…,11)とが示されている。この場合、最大の区分数は10となる。
仮に、下限値x1,上限値x11の他に節点を最大2つ使って、最も近似誤差の少ない区分線形近似関数を求め、その結果として図18に示す区分線形近似関数が得られたとする。
図18では、節点として、下限値x1,上限値x11の他に、x3とx7が節点として選ばれており、区分数は3となっている。したがって、区分線形近似関数h(x)は、3つの線形関数の組み合わせとなり、対応する区分S1,S2,S3の線形近似関数の傾きgと切片bを、g[1],g[2],g[3]とb[1],b[2],b[3]とした場合、次の式(19)のように表すことができる。
Figure 0006777574
このような区分線形近似関数は、例えば以下のような計算を行うことで生成できる。
まず、下限値x1,上限値x11以外の節点を1つも選ばず、全体で1つの線形近似関数を求め、近似誤差を算出する。次に、下限値x1,上限値x11以外の節点候補xiから任意の1つを選び出して区分を2つに分け、それぞれの区分で線形近似関数を求めた後、全区間の近似誤差を算出する。これを9回繰り返す。次に、下限値x1,上限値x11以外の節点候補xi(i=2,3,…,10)から任意の2つを選び出して区分を3つに分け、それぞれの区分で線形近似関数を求めた後、全区間の近似誤差を算出する。これを組み合わせの数、すなわち36回繰り返す。その後、最も近似誤差の小さかった場合に選び出した節点の組み合わせを採用する。
上記の方法は、「組合せ最適化問題」となっている。組合せ最適化問題は、組み合わせの候補の数が多くなると、計算負荷が大きくなる性質を持つ。例えば、上下限以外の節点候補が500点あり、その中から最大5つの節点を採用する場合、組み合わせの数は、2千億通りを超えてしまう。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、近似誤差が小さく、かつ、区分の数が少ない区分線形近似関数を、少ない計算負荷で生成できる区分線形近似関数生成技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる区分線形近似関数生成装置は、入力が1次元である複数の入出力データと、予め設定された複数の節点候補とに基づいて、前記入出力データの各区分を線形近似関数で近似する区分線形近似関数を生成する区分線形近似関数生成装置であって、前記入出力データおよび前記節点候補に基づいて、前記線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化する最適化問題定式化部と、最適化演算を実行することにより前記最適化問題の解を求める最適化処理部と、得られた解に基づいて前記線形近似関数のそれぞれを生成する区分線形近似関数生成部とを備え、前記最適化問題定式化部は、前記入出力データに対する前記区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化し、前記区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化し、前記隣り合う区分の線形近似関数による近似値が節点で一致することを前記最適化問題に関する制約条件として定式化するようにしたものである。
また、本発明にかかる他の区分線形近似関数生成装置は、入力が多次元である複数の入出力データと、予め設定された複数の頂点候補とに基づいて、前記入出力データの各区分を線形近似関数で近似する区分線形近似関数を生成する区分線形近似関数生成装置であって、前記入出力データおよび前記頂点候補に基づいて、前記線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化する最適化問題定式化部と、最適化演算を実行することにより前記最適化問題の解を求める最適化処理部と、得られた解に基づいて前記線形近似関数のそれぞれを生成する区分線形近似関数生成部とを備え、前記最適化問題定式化部は、前記入出力データに対する前記区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化し、前記区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化し、前記隣り合う区分の線形近似関数による近似値が頂点で一致することを前記最適化問題に関する制約条件として定式化するようにしたものである。
また、本発明にかかる上記区分線形近似関数生成装置の一構成例は、前記正則化項が、前記傾き差のすべてに関するL1ノルムからなるものである。
また、本発明にかかる上記区分線形近似関数生成装置の一構成例は、前記正則化項が、前記傾き差のL2ノルムの総和からなるものである。
また、本発明にかかる上記区分線形近似関数生成装置の一構成例は、前記傾き差ごとに設けた所定の係数を用いて前記正則化項を基準化する基準化部をさらに備え、前記係数のそれぞれは、前記係数を1と仮定して前記最適化問題を解くことにより得られた、対応する前記傾き差の絶対値からなるものである。
また、本発明にかかる区分線形近似関数生成方法は、入力が1次元である複数の入出力データと、予め設定された複数の節点候補とに基づいて、前記入出力データの各区分を線形近似関数で近似する区分線形近似関数を生成する区分線形近似関数生成方法であって、最適化問題定式化部が、前記入出力データおよび前記節点候補に基づいて、前記線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化する最適化問題定式化ステップと、最適化処理部が、最適化演算を実行することにより前記最適化問題の解を求める最適化処理ステップと、区分線形近似関数生成部が、得られた解に基づいて前記線形近似関数のそれぞれを生成する区分線形近似関数生成ステップとを備え、前記最適化問題定式化ステップは、前記入出力データに対する前記区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化するステップと、前記区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化するステップと、前記隣り合う区分の線形近似関数による近似値が節点で一致することを前記最適化問題に関する制約条件として定式化するステップとを含むものである。
また、本発明にかかる他の区分線形近似関数生成方法は、入力が多次元である複数の入出力データと、予め設定された複数の頂点候補とに基づいて、前記入出力データの各区分を線形近似関数で近似する区分線形近似関数を生成する区分線形近似関数生成方法であって、最適化問題定式化部が、前記入出力データおよび前記頂点候補に基づいて、前記線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化する最適化問題定式化ステップと、最適化処理部が、最適化演算を実行することにより前記最適化問題の解を求める最適化処理ステップと、区分線形近似関数生成部が、得られた解に基づいて前記線形近似関数のそれぞれを生成する区分線形近似関数生成ステップとを備え、前記最適化問題定式化ステップは、前記入出力データに対する前記区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化するステップと、前記区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化するステップと、前記隣り合う区分の線形近似関数による近似値が頂点で一致することを前記最適化問題に関する制約条件として定式化するステップとを含むものである。
本発明によれば、線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を、連続変数のみを用いた最適化問題として定式化することができる。したがって、なるべく区分数の少ない区分線形近似関数を生成することができ、近似誤差が小さく、かつ、区分の数が少ない区分線形近似関数を、少ない計算負荷で生成することが可能となる。このため、区分線形近似関数における「過学習」や「オーバーフィッティング」と呼ばれる問題を避けることができる。
また、熱源運転計画では、例えば30分程度の短い周期で計画を立てたり、機器故障や熱負荷の急激な変化等の現場状況変化に応じて即座に計画を立て直したりするような状況にも対応することができる。このため、熱源運転計画の計算周期内で、実績データに基づいて関数を再生成する、多数の関数を生成する、というような応用が可能となり、産業上、極めて大きな効果を得ることが可能となる。
第1の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成処理を示すフローチャートである。 入出力データと節点候補を示す説明図である。 線形近似関数の傾きと近似値を示す説明図である。 区分線形近似関数の生成例である。 第1の実施の形態による区分線形近似関数の生成例である。 第2の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置の構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成処理を示すフローチャートである。 第2の実施の形態による区分線形近似関数の生成例である。 第5の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置の構成を示すブロック図である。 第5の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成処理を示すフローチャートである。 入力が2次元の場合の区分を示す説明図である。 2入力1出力の入出力データに関する区分線形近似関数例である。 第5の実施の形態による区分線形近似関数の生成例である。 Douglas-Peuckerアルゴリズムを示す説明図である。 不自然な線形近似関数の生成例である。 節点候補を示す説明図である。 区分線形近似関数の生成例である。 隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差を示す説明図である。
[発明の原理]
まず、本発明の原理について説明する。
一般に、区分線形近似関数では、「過学習」や「オーバーフィッティング」と呼ばれる問題を避けるために、なるべく区分数を少なくしたいというニーズがある。また、熱源運転計画のための混合整数計画に用いる場合、その計算負荷の観点からも、区分数は少ない方がよい。
特に、熱源運転計画では、例えば30分程度の短い周期で計画を立てたり、機器故障や熱負荷の急激な変化等の現場状況変化に応じて即座に計画を立て直したりする必要がある。このため、計算負荷を削減し、短い所要時間で計算結果を出すことが肝要となる。
また、区分数が少ない区分線形近似関数の生成を簡易かつ高速に行うことができれば、熱源運転計画の計算周期内で、実績データに基づいて関数を再生成したり、多数の関数を生成したり、といった応用が可能となり、産業上の効果が大きい。
前述したように、区分線形近似関数は、各区分の線形近似関数が連結された関数であり、区分数を少なくするための方法として、隣接する区分を1つにまとめる方法が考えられる。本発明は、隣接する区分を1つにまとめるための具体的方法として、隣接する区分の線形近似関数を1つの線形近似関数で表現すること、すなわち「隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差」を小さくすることに着目した。
「隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差」が小さくなり、やがて同じになれば、それらの区分については同じ線形近似関数で表現できる。図19は、隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差を示す説明図である。例えば、図19において、隣り合う区分の線形近似関数の傾き傾きg1,g2の差がなくなると、これら線形近似関数を1つの線形近似関数で表現できる。このため、これら区分は1つであると見なせるため、結果的に区分の数が少なくなるはずである。
ここで、区分線形近似関数の生成は、区分ごとの線形近似関数の組合せを最適化する組合せ最適化問題と見なすことができる。しかしながら、「隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差」を小さくすることを目的関数または制約条件にした場合、区分線形近似関数の生成は、組合せ最適化問題とはならない。連続変数のみを用いた最適化問題として定式化できる。
本発明は、このような観点から、「近似誤差」が小さくなるような目的関数および/または制約条件と、「隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差」が小さくなるような目的関数および/または制約条件に加えて、隣り合う区分の線形近似関数による近似値が節点で一致するような制約条件を置いた最適化問題を解くことにより、区分数が少ない区分線形近似関数を生成するようにしたものである。
この場合、「隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差」を小さくしようとしても、傾きが少しずつ違う区分がたくさんできるだけで、区分の数がうまく少なくならない可能性がある。そこで、次のような対策1,2が考えられる。
対策1:「隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差」の大きさを、絶対値の和(L1ノルム)で表す。
対策2:絶対値の和を取る前に、それぞれの絶対値を係数で除して基準化を行う。係数の決め方は、一旦、係数を用いずに(=係数を1と置いて)最適化を行い、その結果得られた絶対値そのものを、係数として使う。
本発明は、このような対策1のみを実施するか、あるいは対策1,2の両方を実施するようにしたものである。
[第1の実施の形態]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置の構成を示すブロック図である。
この区分線形近似関数生成装置10は、全体としてサーバ装置などの情報処理装置からなり、複数の入出力データと予め設定された複数の節点候補とに基づいて、入出力データの各区分を線形近似関数で近似する区分線形近似関数を生成する装置である。
図1に示すように、区分線形近似関数生成装置10には、主な機能部として、通信I/F部11、操作入力部12、画面表示部13、記憶部14、および演算処理部15が設けられている。
通信I/F部11は、通信回線を介して外部装置(図示せず)との間で、入出力データや節点候補など、区分線形近似関数の生成処理に用いる各種データや、得られた区分線形近似関数に関するデータをやり取りする機能を有している。
操作入力部12は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部15へ出力する機能を有している。
画面表示部13は、LCDなどの画面表示装置からなり、操作メニュー画面、各種入力・設定画面、得られた区分線形近似関数を示す結果画面など、演算処理部15から出力された各種画面を表示する機能を有している。
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部15で実行される区分線形近似関数の生成処理に用いる各種処理データや、予め外部から登録されたプログラム14Pを記憶する機能を有している。
記憶部14で記憶される主な処理データとして、入出力データ14Aおよび節点候補14Bがある。
入出力データ14Aは、入力データ(x)と出力データ(y)の組が複数登録されたデータである。節点候補14Bは、入力データ空間に設定された各区分の境界、すなわち区分線形近似関数の節点を示すデータである。
演算処理部15は、CPUなどのマイクロプロセッサを有し、記憶部14のプログラムを読み出して実行することにより、区分線形近似関数の生成処理を行う各種処理部を実現する機能を有している。
演算処理部15で実現される主な処理部として、設定処理部15A、最適化問題定式化部15B、最適化処理部15C、および区分線形近似関数生成部15Dがある。
設定処理部15Aは、通信I/F部11を介して取得した入出力データ14Aを記憶部14に登録する機能と、操作入力部12から操作入力された節点候補14Bを記憶部14に設定する機能とを有している。
最適化問題定式化部15Bは、記憶部14の入出力データ14Aおよび節点候補14Bに基づいて、各区分における線形近似関数のそれぞれについて、傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化する機能を有している。
より具体的には、最適化問題定式化部15Bは、入出力データ14Aに対する区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項を、最適化問題に関する目的関数として定式化する機能と、区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項、例えば傾き差のすべてに関するL1ノルムからなる正則化項を、最適化問題に関する目的関数として定式化する機能と、隣り合う区分の線形近似関数による近似値が節点で一致することを最適化問題に関する制約条件として定式化する機能とを有している。
最適化処理部15Cは、最適化演算を実行することにより最適化問題の解を求める機能を有している。
区分線形近似関数生成部15Dは、最適化処理部15Cで得られた最適化問題の解に基づいて、各区部の線形近似関数のそれぞれを生成することにより、区分線形近似関数を生成する機能を有している。
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2を参照して、本実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置10の動作について説明する。図2は、第1の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成処理を示すフローチャートである。
区分線形近似関数生成装置10の演算処理部15は、操作入力部12で検出されたオペレータ操作に応じて、図2の区分線形近似関数生成処理を実行する。
まず、図2において、設定処理部15Aは、通信I/F部11を介して取得した入出力データ14Aを記憶部14に登録するとともに(ステップ100)、操作入力部12から操作入力された節点候補14Bを記憶部14に設定する(ステップ101)。
入出力データ14Aとして、入力データと出力データの組がN(Nは2以上の整数)個与えられたとする。また、n(nは3以上の整数)個の節点候補xi(i=1,2,…,n)が設定されたとする。xiはiに関して昇順に並べ替えてあるもの、すなわち、x1<x2<…<xnが成り立っているものとする。節点候補は、入力データそのものでもよいし、x1からxnの範囲を等間隔に区切るなどして設定してもよい。x1とxnは、入力データの最小値と最大値でもよいし、入力データを含む範囲で任意の値を設定してもよい。
節点候補と一致する入力データに対する出力データを、yi(i=1,2,…,n)とする。ただしi=jのときは、出力データが存在しない、すなわち節点候補上にデータがないものとする。jの個数をnjとする。
また、節点候補と一致しない入力データとそれに対応する出力データについては、節点候補xiと節点候補xi+1に挟まれた区分Siにmi個の入出力データがあるとき、これら入出力データの入力データをx[i]k(k=1,2,…,mi)と表し、対応する出力データをy[i]kと表すものとする。したがって、入出力データの個数Nは、次の式(1)で表される。
Figure 0006777574
図3は、入出力データと節点候補を示す説明図である。この例では、節点候補としてx1,x2,x3,x4の4個(n=4)が設定されており、これら節点候補x1,x2,x3,x4で区切られた3つの区分S1,S2,S3が設けられている。節点候補x1,x2,x3,x4のうち、x1は下限値であり、x4は上限値であるものとする。
2上には出力データy2が存在するが、x1,x3,x4上には出力データが存在せず、j=1,3,4である。また、x1とx2の間の区分S1には入出力データが存在せず、m1=0である。一方、x2とx3の間の区分S2には1つの入出力データ(x[2]1,y[2]1)が存在し、m2=1であり、同じく、x3とx4の間の区分S3には2つの入出力データ(x[3]1,y[3]1)と(x[3]2,y[3]2)とが存在し、m3=2である。したがって、入出力データの個数Nは、N=4−3+(0+1+2)=4である。
次に、図2において、最適化問題定式化部15Bは、入出力データ14Aに対する区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項EDを、最適化問題に関する目的関数として定式化する(ステップ102)。
区分線形近似関数をh(x)とし、h(x)による出力データyiの近似値をy^i=h(xi)や、y^[i]k=h(x[i]k)で表すものとする。
また、節点候補xiと節点候補xi+1に挟まれた区間の線形近似関数の傾きを、giとする。
図4は、線形近似関数の傾きと近似値を示す説明図である。この例では、節点候補x1,x2,x3,x4で区切られた3つの区分S1,S2,S3が設けられており、これら区分S1,S2,S3の傾きがg1,g2,g3である。また、x1,x2,x3,x4と対応する出力データy1,y2,y3,y4の近似値がy^1,y^2,y^3,y^4であり、入出力データ(x[2]1,y[2]1),(x[3]1,y[3]1),(x[3]2,y[3]2)の近似値がy^[2]1,y^[3]1,y^[3]2である。
ここで、入出力データに対する区分線形近似関数の近似誤差が小さくなるような目的関数および/または制約条件を置くために、誤差項EDを、次の式(2)で定義する。式(2)は、誤差の平方和を表している。
Figure 0006777574
なお、入出力データ14Aに、同じ入力データを持つ出力データが複数存在する場合、式(2)の誤差計算に含めればよい。例えば、(x1,y1)と(x1,y'1)という、同じ入力データx1を持つ入出力データy1,y'1が2つあった場合、(y1−y^12だけでなく、(y'1−y^12も誤差項EDの総和に含めればよい。
次に、図2において、最適化問題定式化部15Bは、各区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項EWを、最適化問題に関する目的関数として定式化する(ステップ103)。
ここでは、「隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差」が小さくなるような目的関数および/または制約条件を置くために、正則化項EWを次の式(3)で定義する。式(3)は、傾き差のすべてに関する絶対値の和、すなわちL1ノルムを表している。
Figure 0006777574
次に、図2において、最適化問題定式化部15Bは、隣り合う区分の線形近似関数による近似値が節点で一致すること、すなわち近似値一致制約を、最適化問題に関する制約条件として定式化する(ステップ104)。
この近似値一致は、次の式(4)の1行目で表すことができる。また、2行目の式は、区分内部の近似値が、近似直線と一致する(直線上に乗る)ことを表している。
Figure 0006777574
次に、図2において、最適化問題定式化部15Bは、このようにして定式化した個々の目的関数および制約条件を統合して、各区分における線形近似関数のそれぞれについて、傾きおよび切片を求めるための最適化問題を、次の式(5)のように定式化する(ステップ105)。
Figure 0006777574
最小化したい目的関数は、誤差項EDと正則化項EWの重み付き線形和である。λ>0は正則化項EWに対する重みであり、重みを大きくすれば、区分線形近似関数の区間の数がより少なくなることが期待できる。
図2において、最適化処理部15Cは、操作入力部12で検出されたオペレータ操作に応じて、正則化項EWに対する重みλを設定し(ステップ106)、この重みλで規定された式(5)に基づいて最適化演算を実行することにより最適化問題を求解する(ステップ107)。
この際、中間変数vi(i=1,2,…,n−2)を導入し、中間変数viを用いて正則化項を新たに定義すれば、上記式(5)は次の式(6)のように表現できる。式(6)の正則化項Ewは、中間変数viの総和である。この式(6)は、いわゆる「二次計画問題」である。したがって、この問題は、組合せ最適化問題に比較して、容易に、高速に解くことができる。
Figure 0006777574
この後、図2において、区分線形近似関数生成部15Dは、最適化処理部15Cで得られた最適化問題の解に基づいて、各区部の線形近似関数のそれぞれを生成することにより、区分線形近似関数を生成する(ステップ108)。
ここで、式(6)の最適化問題を解いた結果、傾きgi(i=1,2,…,n−1)を並べた結果が、次の式(7)のようになったとする。
Figure 0006777574
式(7)は、最初のs1個の傾き、すなわちgiからgs1が、同じ傾きとなったことを意味する。また、その次のs2個の傾き、すなわち、gs1からgs2が、また同じ傾きになったことを意味する。このようにして、得られた傾きがp個に区分されたことを意味する。ここで、微小な誤差はゼロと見なしてよい。また、傾きが同じであっても、隣り合っていなければ、異なるものと見なす。
以上より、採用する節点は、x1,xs1+1,xs1+s2+1,…,xs1+…+sp+1であり、採用する節点の数はp+1個となる。ただし、x1は下限値、xs1+…+sp+1は上限値であり、区分の数はp個である。
ここで、p個の傾きを、改めてg[1],g[2],…,g[p]で表すと、区分線形近似関数h(x)は、次の式(8)で表せる。
Figure 0006777574
なお、切片b[1],b[2],…,b[p]は、最適化問題を解いた結果得られた近似値を用いて、次の式(9)から求めればよい。
Figure 0006777574
図5は、区分線形近似関数の生成例である。ここでは、x1からx3までの区分S1では、m1=2個の傾きg1とg2から傾きg[1]が導出され、x3からx7までの区分S2では、m2=4個の傾きg3,g4,g5,g6から傾きg[2]が導出され、x7からx11までの区分S2では、m3=4個の傾きg7,g8,g9,g10から傾きg[3]が導出されている。
ここで、得られた区分線形近似関数h(x)が所望の範囲のものか確認し(ステップ109)、得られた区分線形近似関数h(x)の近似誤差が大きかったり、区分数が多かったりして、所望の区分線形近似関数h(x)が得られていない場合(ステップ109:NO)、ステップ106に戻って、正則化項EWに対する重みλの大きさを変更すればよい。λを小さくすれば近似誤差が小さくなり、λを大きくすれば区分の数が少なくなることが期待できる。
一方、得られた区分線形近似関数h(x)が所望の範囲のものである場合(ステップ109:YES)、得られた区分線形近似関数h(x)を画面表示部13で画面表示し、あるいは通信I/F部11から外部へ出力して、一連の区分線形近似関数の生成処理を終了する。
図6は、第1の実施の形態による区分線形近似関数の生成例である。ここでは、前述した図16と同様に、入力データが[−2,4]の範囲で0.01刻みの等間隔に配置されている。出力データは、ある非線形関数にガウシアンノイズを載せ、1点だけ外れ値を置いたものであり、入出力データの個数は計601個ある。
この区分線形近似関数の生成処理では、全ての入力データを節点候補として設定した。よって、上下限値を除いた節点候補は599個存在することになる。正則化項に対する重みλは適当な値を設定した。
この結果、区分数が10個の区分線形近似関数が得られ、外れ値の影響は受けていないことが分かる。また、最適化処理には、一般に流通する二次計画ソルバを用いたが、非常に短時間で計算することができた。
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、最適化問題定式化部15Bが、入出力データ14Aおよび節点候補14Bに基づいて、線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化し、この際、入出力データ14Aに対する区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項EDを、最適化問題に関する目的関数として定式化し、区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項EWを、最適化問題に関する目的関数として定式化し、隣り合う区分の線形近似関数による近似値が節点で一致することを最適化問題に関する制約条件として定式化するようにしたものである。
これにより、線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を、連続変数のみを用いた最適化問題として定式化することができる。したがって、なるべく区分数の少ない区分線形近似関数を生成することができ、近似誤差が小さく、かつ、区分の数が少ない区分線形近似関数を、少ない計算負荷で生成することが可能となる。このため、区分線形近似関数における「過学習」や「オーバーフィッティング」と呼ばれる問題を避けることができる。
また、熱源運転計画では、熱源運転計画では、例えば30分程度の短い周期で計画を立てたり、機器故障や熱負荷の急激な変化等の現場状況変化に応じて即座に計画を立て直したりするような状況にも対応することができる。このため、熱源運転計画の計算周期内で、実績データに基づいて関数を再生成する、多数の関数を生成する、というような応用が可能となり、産業上、極めて大きな効果を得ることが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置10について説明する。図7は、第2の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置の構成を示すブロック図であり、図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
前述した第1の実施の形態によれば、入出力データ14Aによって、区分数がうまく少なくならない可能性がある。本実施の形態では、図7に示すように、第1の実施の形態の構成のうち、演算処理部15に、前述した正則化項EWを基準化する基準化処理部15Eを追加したものである。
この基準化処理部15Eは、各区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差ごとに設けた所定の係数を用いて、正則化項EWを基準化する機能を有している。
すなわち、本実施の形態では、正則化項EWとして前述した式(3)を用いる代わりに、次の式(10)のように、正の係数diを用いて、「基準化」を行う。
Figure 0006777574
ここで、係数diの設定方法について説明する。
初回の基準化では、初期値としてdi=1とする。これは、式(10)と式(3)が等価であることを意味する。その上で、最適化問題を解き、得られた傾きをg*iとする。得られた傾きg*iを用いて、次の式(11)に従ってdiを更新する。
Figure 0006777574
この際、εは、ゼロ割を防ぐための微小な正の数であり、予め適当に設定すればよい。max(a,b)は、a,bのうち大きな値を取る関数を意味する。diは、最適化を行うたびに更新してよい。
図8は、第2の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成処理を示すフローチャートであり、図2と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
前述した図2と比較して、ステップ106とステップ107の間に、基準化処理部15Eが式(10)および式(11)に従って、正則化項EWを基準化する処理(ステップ200)が追加されている。
これにより、区分数がうまく少なくならない入出力データ14Aであっても、区分数の少ない区分線形近似関数を生成することが可能となる。
なお、所望の区分線形近似関数h(x)が得られていない場合(ステップ109:NO)、ステップ106に戻って、正則化項EWに対する重みλの大きさを変更してもよく、ステップ200に戻って、正則化項EWを基準化し直してもよい。λを小さくすれば近似誤差が小さくなり、λを大きくすれば区分の数が少なくなることが期待できる。
図9は、第2の実施の形態による区分線形近似関数の生成例である。ここでは、前述した図16と同様に、入力データが[−2,4]の範囲で0.01刻みの等間隔に配置されている。出力データは、ある非線形関数にガウシアンノイズを載せ、1点だけ外れ値を置いたものであり、入出力データの個数は計601個ある。
この区分線形近似関数の生成処理では、全ての入力データを節点候補として設定した。よって、上下限値を除いた節点候補は599個存在することになる。正則化項に対する重みλは図6の場合と同じ値を設定した。
この結果、区分数が図6の10個より少ない4個の区分線形近似関数が得られ、外れ値の影響は受けておらず、より自然な近似が得られていることが分かる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置10について説明する。
第1の実施の形態では、入出力データ14Aに対する区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項EDを、最適化問題に関する目的関数として定式化し、区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項EWを、最適化問題に関する目的関数として定式化する場合を例として説明したが、これら誤差項EDおよび正則化項EWのいずれか一方または両方を、最適化問題に関する制約条件として定式してもよい。
誤差項EDおよび正則化項EWを制約条件に含めるには、誤差項EDの上限r、正則化項EWの上限lを設定した上で、次の式(12)を、前述した式(6)の制約条件に含めればよい。誤差項EDは二次形式であるため、誤差項EDを制約条件に含んだ最適化問題は、「二次制約問題」となる。この問題も、組合せ最適化問題に比較して容易かつ高速に解くことができる。
Figure 0006777574
なお、誤差項EDを制約条件に含める場合には、目的関数には含めなくともよい。同様に、正則化項EWを制約条件に含める場合には、目的関数には含めなくともよい。
誤差項ED、正則化項の少なくともいずれか一方を目的関数に含めない場合、正則化項EWに対する重みλは不要であり、設定しなくてよい。
誤差項ED、正則化項EWのどちらも目的関数に含めない場合、最適化問題は、目的関数が存在せず、制約条件のみが存在する「実行可能性問題」となるが、同様に求解可能である。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置10について説明する。
最適化問題は、二次計画問題ではなく、線形計画問題とすることもできる。その場合は、誤差項EDを、前述した式(2)で表されるような誤差の平方和ではなく、次の式(13)のように、誤差の絶対値の和とすればよい。なお、絶対値表現の線形表現への変換は、式(5)から式(6)で行った、正則化項の変換と同じように、中間変数を用いて行えばよい。
Figure 0006777574
[第5の実施の形態]
次に、図10を参照して、本発明の第5の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置10について説明する。図10は、第5の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置の構成を示すブロック図であり、図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
前述した第1〜第4の実施の形態では、入力が1次元の線形近似関数、いわゆる折れ線の生成する場合を例として説明した。本実施の形態では、入力が多次元である場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる区分線形近似関数生成装置10の構成は、図1と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
入力が多次元である場合、2つの線形近似関数が節点で接続されるのではなく、3つ以上の線形近似関数が頂点で接続されることになるため、入力が1次元である場合の「節点」を「頂点」に置き換えればよいことになる。したがって、記憶部14には、節点候補14Bに代えて、頂点候補14Cが登録されている。
すなわち、本発明は、「近似誤差」が小さくなるような目的関数および/または制約条件と、「隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差」が小さくなるような目的関数および/または制約条件に加えて、隣り合う区分の線形近似関数による近似値が「頂点」で一致するような制約条件を置いた最適化問題を解くことにより、区分数が少ない区分線形近似関数を生成するようにしたものである。
[第5の実施の形態の動作]
次に、図11を参照して、本実施の形態にかかる区分の線形近似関数生成装置10の動作について説明する。図11は、第5の実施の形態にかかる区分線形近似関数生成処理を示すフローチャートであり、図2と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
区分線形近似関数生成装置10の演算処理部15は、操作入力部12で検出されたオペレータ操作に応じて、図11の区分線形近似関数生成処理を実行する。
まず、図11において、設定処理部15Aは、通信I/F部11を介して取得した入出力データ14Aを記憶部14に登録するとともに(ステップ100)、操作入力部12から操作入力された頂点候補14Cを記憶部14に設定する(ステップ101)。
入力の次元数がpであるとすると、区分は、p+1個の頂点を持つシンプレックスとなる。例えば、入力が2次元の場合、シンプレックスは三角形である。
図12は、入力が2次元の場合の区分を示す説明図である。例えば、入力がx1,x2の2次元で、出力yは1次元であるとした場合、各区分(三角形)は、例えば図12のように定義できる。この例では、区分数は、全部で224個となっており、頂点数は135個である。
図13は、2入力1出力の入出力データに関する区分線形近似関数例である。各頂点が、それぞれ出力値yを持つものとした場合、各区分を平面で表すと、つまり、各区分を別々の線形近似関数で表現すると、図13に示すように、すべての出力値と一致する区分線形近似関数を生成できる。
次に、図11において、最適化問題定式化部15Bは、入出力データ14Aに対する区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項EDを、最適化問題に関する目的関数として定式化する(ステップ103)。
多次元の誤差項EDは、式(2)と同様に次の式(14)のように表すことができる。
Figure 0006777574
ここで、yi,i≠jは、頂点iが持つ出力値であり、nは頂点iの合計数である。i=jの場合、その頂点は出力値を持たないとする。
また、y[I]kは、ある区分をSIとしたとき、その区分SIに含まれる(ただし頂点以外)出力値であり、その個数はmiである。また、Nは区分の合計数である。なお、出力値が区分と区分の境界上に位置していたとしても、近似誤差を重複して加算する必要はない。
次に、図11において、最適化問題定式化部15Bは、各区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項EWを、最適化問題に関する目的関数として定式化する(ステップ103)。
1次元の場合と同様に、「隣り合う区分の線形近似関数の傾きの差」をゼロにすれば、それらは同じ区分と見なせるので、区分の数を減らすことができる。2次元の場合、「隣り合う区分」とは、「辺」(線分)を共有している2つの三角形を意味する。p次元の場合、隣り合う区分とは、p−1次元超平面を共有している2つのシンプレックスを意味する。
隣り合う2つの区分をそれぞれSI,SJとし、SI,SJはそれぞれp次元方向の傾きを持つものとする。これらの傾きを、gI=[g[I]1,[I]2,,[I]pTおよびgJ=[g[J]1,[J]2,,[J]pTで表す。Tは転置記号である。
各次元の傾きの差を取り、そのL2ノルムの計算を次の式(15)のように定義する。
Figure 0006777574
また、式(3)に対応する多次元の正則化項EWは、次の式(16)のようにL2ノルムの総和として定義できる。ただし、「I,J∈A」は、「隣り合う区分の全ての組み合わせ」を意味している。
Figure 0006777574
次に、図11において、最適化問題定式化部15Bは、隣り合う区分の線形近似関数による近似値が頂点で一致すること、すなわち近似値一致制約を、最適化問題に関する制約条件として定式化する(ステップ104)。
数式(4)に対応する多次元の制約条件は、次の式(17)のようになる。
Figure 0006777574
1行目は、区分SIの辺p+1個のうち、p個について置けばよい。これは全ての辺について置くと冗長となるからである。a,bは各辺の両端の頂点を意味しており、xaとxbは頂点の位置を意味する。gIは区分SIにおける線形近似関数の傾きを表すベクトルを表す。
2行目は、区分SIに含まれる区分内部の近似値が、近似直線と一致する(超平面上に乗る)ことを表している。y^aは、SIの任意の頂点上の近似値である。
次に、図11において、最適化問題定式化部15Bは、このようにして定式化した個々の目的関数および制約条件を統合して、各区分における線形近似関数のそれぞれについて、傾きおよび切片を求めるための最適化問題を、次の式(18)のように定式化する(ステップ105)。この式(18)は、「二次計画問題」であり、1次元の場合と同様、容易に、高速に解くことができる。
Figure 0006777574
この後、最適化処理部15Cは、操作入力部12で検出されたオペレータ操作に応じて、正則化項EWに対する重みλを設定し(ステップ106)、この重みλで規定された式(5)に基づいて最適化演算を実行することにより最適化問題を求解する(ステップ107)。
続いて、区分線形近似関数生成部15Dは、最適化処理部15Cで得られた最適化問題の解に基づいて、各区部の線形近似関数のそれぞれを生成することにより、区分線形近似関数を生成する(ステップ108)。
ここで、得られた区分線形近似関数h(x)が所望の範囲のものか確認し(ステップ109)、得られた区分線形近似関数h(x)の近似誤差が大きかったり、区分数が多かったりして、所望の区分線形近似関数h(x)が得られていない場合(ステップ109:NO)、ステップ106に戻って、正則化項EWに対する重みλの大きさを変更すればよい。λを小さくすれば近似誤差が小さくなり、λを大きくすれば区分の数が少なくなることが期待できる。
一方、得られた区分線形近似関数h(x)が所望の範囲のものである場合(ステップ109:YES)、得られた区分線形近似関数h(x)を画面表示部13で画面表示し、あるいは通信I/F部11から外部へ出力して、一連の区分線形近似関数の生成処理を終了する。
図14は、第5の実施の形態による区分線形近似関数の生成例であり、図14(a)は平面図、図14(b)は斜視図である。ここでは、前述した図13の入出力データから生成した区分線形近似関数が示されている。元々の区分数は224個であったが、本手法により、12個まで減っていることが分かる。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
例えば、第5の実施の形態に対して、第2、第3、第4の実施の形態を適用してもよい。なお、第5の実施の形態に対して第2の実施の形態を適用するには、式(16)の右辺D(I,J)を基準化係数で除すればよい。基準化係数は、初期値1として最適化問題を解き、得られた傾きを式(15)に代入して得られる値と、微小な正の数εと比較して、大きい方を採用すればよい。
10…区分線形近似関数生成装置、11…通信I/F部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…記憶部、14A…入出力データ、14B…節点候補、14C…頂点候補、15…演算処理部、15A…設定処理部、15B…最適化問題定式化部、15C…最適化処理部、15D…区分線形近似関数生成部。

Claims (7)

  1. 入力が1次元である複数の入出力データと、予め設定された複数の節点候補とに基づいて、前記入出力データの各区分を線形近似関数で近似する区分線形近似関数を生成する区分線形近似関数生成装置であって、
    前記入出力データおよび前記節点候補に基づいて、前記線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化する最適化問題定式化部と、
    最適化演算を実行することにより前記最適化問題の解を求める最適化処理部と、
    得られた解に基づいて前記線形近似関数のそれぞれを生成する区分線形近似関数生成部とを備え、
    前記最適化問題定式化部は、
    前記入出力データに対する前記区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化し、
    前記区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化し、
    前記隣り合う区分の線形近似関数による近似値が節点で一致することを前記最適化問題に関する制約条件として定式化する
    ことを特徴とする区分線形近似関数生成装置。
  2. 入力が多次元である複数の入出力データと、予め設定された複数の頂点候補とに基づいて、前記入出力データの各区分を線形近似関数で近似する区分線形近似関数を生成する区分線形近似関数生成装置であって、
    前記入出力データおよび前記頂点候補に基づいて、前記線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化する最適化問題定式化部と、
    最適化演算を実行することにより前記最適化問題の解を求める最適化処理部と、
    得られた解に基づいて前記線形近似関数のそれぞれを生成する区分線形近似関数生成部とを備え、
    前記最適化問題定式化部は、
    前記入出力データに対する前記区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化し、
    前記区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化し、
    前記隣り合う区分の線形近似関数による近似値が頂点で一致することを前記最適化問題に関する制約条件として定式化する
    ことを特徴とする区分線形近似関数生成装置。
  3. 請求項1に記載の区分線形近似関数生成装置において、
    前記正則化項は、前記傾き差のすべてに関するL1ノルムからなることを特徴とする区分線形近似関数生成装置。
  4. 請求項2に記載の区分線形近似関数生成装置において、
    前記正則化項は、前記傾き差のL2ノルムの総和からなることを特徴とする区分線形近似関数生成装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の区分線形近似関数生成装置において、
    前記傾き差ごとに設けた所定の係数を用いて前記正則化項を基準化する基準化部をさらに備え、
    前記係数のそれぞれは、前記係数を1と仮定して前記最適化問題を解くことにより得られた、対応する前記傾き差の絶対値からなる
    ことを特徴とする区分線形近似関数生成装置。
  6. 入力が1次元である複数の入出力データと、予め設定された複数の節点候補とに基づいて、前記入出力データの各区分を線形近似関数で近似する区分線形近似関数を生成する区分線形近似関数生成方法であって、
    最適化問題定式化部が、前記入出力データおよび前記節点候補に基づいて、前記線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化する最適化問題定式化ステップと、
    最適化処理部が、最適化演算を実行することにより前記最適化問題の解を求める最適化処理ステップと、
    区分線形近似関数生成部が、得られた解に基づいて前記線形近似関数のそれぞれを生成する区分線形近似関数生成ステップとを備え、
    前記最適化問題定式化ステップは、
    前記入出力データに対する前記区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化するステップと、
    前記区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化するステップと、
    前記隣り合う区分の線形近似関数による近似値が節点で一致することを前記最適化問題に関する制約条件として定式化するステップとを含む
    ことを特徴とする区分線形近似関数生成方法。
  7. 入力が多次元である複数の入出力データと、予め設定された複数の頂点候補とに基づいて、前記入出力データの各区分を線形近似関数で近似する区分線形近似関数を生成する区分線形近似関数生成方法であって、
    最適化問題定式化部が、前記入出力データおよび前記頂点候補に基づいて、前記線形近似関数のそれぞれについて傾きおよび切片を求めるための最適化問題を定式化する最適化問題定式化ステップと、
    最適化処理部が、最適化演算を実行することにより前記最適化問題の解を求める最適化処理ステップと、
    区分線形近似関数生成部が、得られた解に基づいて前記線形近似関数のそれぞれを生成する区分線形近似関数生成ステップとを備え、
    前記最適化問題定式化ステップは、
    前記入出力データに対する前記区分線形近似関数の近似誤差を表す誤差項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化するステップと、
    前記区分のうち隣り合う区分の線形近似関数に関する傾き差を表す正則化項を、前記最適化問題に関する目的関数および制約条件のいずれか一方または両方として定式化するステップと、
    前記隣り合う区分の線形近似関数による近似値が頂点で一致することを前記最適化問題に関する制約条件として定式化するステップとを含む
    ことを特徴とする区分線形近似関数生成方法。
JP2017058738A 2017-03-24 2017-03-24 区分線形近似関数生成装置および方法 Active JP6777574B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017058738A JP6777574B2 (ja) 2017-03-24 2017-03-24 区分線形近似関数生成装置および方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017058738A JP6777574B2 (ja) 2017-03-24 2017-03-24 区分線形近似関数生成装置および方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018163396A JP2018163396A (ja) 2018-10-18
JP6777574B2 true JP6777574B2 (ja) 2020-10-28

Family

ID=63860178

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017058738A Active JP6777574B2 (ja) 2017-03-24 2017-03-24 区分線形近似関数生成装置および方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6777574B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7328119B2 (ja) * 2019-10-28 2023-08-16 アズビル株式会社 近似データ作成装置および近似データ作成方法
JP7259731B2 (ja) * 2019-12-23 2023-04-18 株式会社明電舎 水力発電機の運用支援方式、水力発電機の運用支援システム、水力発電機の運用支援方法
JP7034193B2 (ja) * 2020-03-17 2022-03-11 株式会社関電エネルギーソリューション 熱源運転支援システム
WO2023210536A1 (ja) * 2022-04-28 2023-11-02 三菱自動車工業株式会社 演算装置、及び、車両の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018163396A (ja) 2018-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6777574B2 (ja) 区分線形近似関数生成装置および方法
Müller et al. SO-MI: A surrogate model algorithm for computationally expensive nonlinear mixed-integer black-box global optimization problems
Ali et al. A penalty function-based differential evolution algorithm for constrained global optimization
Deb et al. A genetic algorithm based augmented Lagrangian method for constrained optimization
US20170286422A1 (en) Merging feature subsets using graphical representation
Lloyd et al. A cubic differential system with nine limit cycles
JP2020064535A (ja) 最適化装置及び最適化装置の制御方法
Zhang et al. A reference direction and entropy based evolutionary algorithm for many-objective optimization
JP2008204214A (ja) 信用リスク計算装置、および、信用リスク計算方法
Sadi-Nezhad et al. A new data envelopment analysis under uncertain environment with respect to fuzziness and an estimation of reliability
Bombin et al. Statistical mechanical models and topological color codes
CN114386879B (zh) 一种基于多产品多维度性能指标的评分与排行方法及系统
Ye A new complexity result on solving the Markov decision problem
Khezrimotlagh How to deal with numbers of decision making units and variables in data envelopment analysis
CN111209930A (zh) 一种生成授信策略的方法、装置和电子设备
Chen et al. A refinement indicator for adaptive quasicontinuum approaches for structural lattices
JP6104469B2 (ja) 行列生成装置及び行列生成方法及び行列生成プログラム
US20200066377A1 (en) Method and apparatus for generating chemical structure using neural network
Islam et al. Fuzzy geometric programming techniques and applications
Seydaoğlu et al. Computing the matrix sine and cosine simultaneously with a reduced number of products
JP6651254B2 (ja) シミュレーション方法、シミュレーションプログラム、及びシミュレーション装置
Ceko et al. Algorithms for linear time reconstruction by discrete tomography II
Mastorakis Genetic Algorithms and Nelder-Mead Method for the solution of boundary value problems with the collocation method
Cardoso et al. On contact modelling in isogeometric analysis
US20230281267A1 (en) Calculation device, calculation program, recording medium, and calculation method

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190917

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200929

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201008

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6777574

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150