JP6777363B2 - 多流体掘削システム - Google Patents

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Description

地盤に孔を掘削するためのシステムおよび方法を開示する。孔はたとえば、限定するものではないが、炭化水素、もしくは地下熱源利用のための探査または産出孔、または廃棄物貯留孔である。
特定の目的のためにおよび個別の地盤状態において孔を掘削するために、多くの種類の地盤掘削システムを利用可能である。ある種類のダウンホール・ドリル・システムは、ドリルの前進を支援するために、加圧された流体を利用する。流体は、関連するドリル・ストリングに連結された掘削工具を駆動することまたは掘削中の孔からドリル掘削屑を洗い流すことのいずれか、または両方を行うように働き得る。流体は、空気もしくは窒素などの気体、水もしくは掘削泥などの液体/スラリ、または気体と液体の組み合わせとすることができる。
石油およびガスの探査に関しては、取り付けられたローラ・ビットに回転を提供するために、掘削泥などの高い比重の流体によって駆動されるダウンホール・モータを使用するのが一般的である。この泥は、孔から掘削屑を取り除きダウンホール圧力制御を提供するようにも働き得る。加えて、マッド・モータを通る泥の体積流量は、必要な場合にウェルを埋めるのに十分であり得る。しかしながら、特に方向性のあるもの(すなわち鉛直でない孔)を用いる、硬い物質の掘削に関しては、限界が存在する。これは、岩石を破砕し経済的な速度で掘削を進めるのに十分なダウンホール引き下げまたはビット荷重(「WOB」)を加えることができないことに起因して生じる。
硬い物質における貫通の限界は、ダウン・ザ・ホール(DTH)ハンマの使用によって克服し得る。DTHハンマは流体によって駆動される。空気が一般的な駆動流体であるが、これはダウンホールおよび地圧の制御を可能にはしない。また多くの場合、ハンマを効果的に駆動するために、一般的なダウン・ホール環境を基準とした場合の十分な圧力差を提供するために必要とされる圧力および体積を空気に提供することが、可能ではない。
ハンマを駆動するために、空気の代わりに、水および添加剤、たとえば掘削泥を用いることができる。このことは、高い地圧に対抗するためのより高い掘削圧力が提供されることを可能にする。しかしながら、その本来的な性質に起因して、掘削泥はハンマの内側表面を短時間で摩耗させ、頻繁な交換の必要性をもたらす。これは、ドリル・ストリングを移動させる非常に時間を消費する工程を含む。また従来のハンマ・ドリルは、危険な過圧力状態の場合にウェルを埋める(すなわちウェルを短時間で溢れさせて気体の流れおよび他の危険なウェル状態を制御または停止する)のに十分な体積流量を可能としない。
広い観点からは、複数の流体を利用して個別のダウンホール・デバイスを駆動する、掘削システムおよび方法を開示する。個別のダウンホール・デバイスは、ハンマおよびダウンホール・モータを含み得る。ハンマ・ビットはハンマに取り付けられ、このハンマはモータの下流にある。掘削システムは、ドリル・ストリングのダウンホール縁部に連結される。ドリル・ストリングは、第1の流体および第2の流体の個別の独立した流れを可能にするように配置構成される。第1の流体は、ハンマに動力を提供するために使用される。第2の流体は、モータに動力を提供するために使用される。どちらの流体も液体であってよい。液体は異なる特徴を有してよく、また多くの場合有することになる。この違いは、それらの比重、粘度、レオロジー、圧力、および流量のうちの1つまたは複数に関するものであってよい。
ダウンホール・モータは、ハンマを回転させるために使用され得る。但し、ダウンホール・モータへの第2の流体の流れを止めることも可能であり、この場合、モータはハンマを回転させないことになる。この場合、ハンマの回転は、たとえば表面回転テーブルまたは回転ヘッドの使用によりドリル・ストリングを回転させることによって提供され得る。さらなる代替形態では、ダウンホール・モータおよび表面回転テーブルまたは回転ヘッドの両方によって、ビットにトルクが提供され得る。
ドリル・ストリングのダウンホール端部とハンマとの間に、操向可能な接合部またはサブが提供されてよい。この場合、操向可能な接合部またはサブは、ストリングの端部とモータとの間、またはモータとハンマとの間のいずれかに存在することができる。但し、代替の実施形態では、ダウンホール・モータは、内蔵された調節可能な屈曲部の組み込みによって、それ自体が操向可能であってよい。
システムは、第2の流体が掘削中の孔内へとハンマ・ビットの面を横切って放出され得るように構成される。別法として、第2の流体は、ビットの面に近い場所から、またはハンマ・ドリルのアップ・ホール側の場所から、孔内へと放出されてよい。
複数の流体の使用は、システムおよび方法を、これらの様々な特定の要件を満たすように流体を適切に選択することによって最適化することを可能にする。たとえば、第1の流体は、ハンマを動作させることに関して、動力、速度、効率、および寿命といった観点から、最適化され得る。他方で、第2の流体は、モータを動作させること、および孔からドリル掘削屑を取り除くこと、孔の安定性、および、単独で、またはハンマの動作後に排液された孔内に第1の流体が入る場合に第1の流体と混合されたとき、のいずれかで、所望のダウンホール圧力状態を提供すること、といった観点から、最適化されてよい。第2の流体に関して選択され得るパラメータまたは特性は、限定するものではないが、アップ・ホール速度、粘度、および比重を含む。
第1の流体は、「動力流体」と呼ばれる場合があるが、その理由は、これがダウン・ザ・ホール・ハンマ・ドリルを駆動するための動力を提供する流体だからである。ハンマのポート配置構成を通って流れて、ハンマのハンマ・ビットに周期的に衝撃を与えるピストンを往復運動させるのは、この動力流体である。様々な実施形態において、第1の流体は、液体もしくは気体またはこれらの組み合わせ、たとえば限定するものではないが、水、油、空気、窒素ガス、またはこれらの組み合わせを含んでよい。
第2の流体は、モータに動力を提供することに加えて、様々な環境下で同時にまたは個別に行われ得る他の機能を有する。たとえば、第2の流体は、孔からおよび特にハンマ・ビットのビット面の近くから掘削屑を洗い流すための、洗浄流体として機能し得る。第2の流体は、ダウンホール圧力を制御するために使用されてもよい。この理由により、第2の流体は、「洗浄流体」または「制御流体」とも呼ばれ得る。第2の流体はほとんどの事例において、液体、たとえば限定するものではないが、水、掘削泥、またはたとえば危険な過圧力状態下では、セメント/グラウトである。第2の流体として水が使用される場合、その水が自体にかなりの割合の粒子状物質を担持しているかどうかは、ハンマの動作寿命にとってそれほど重要なことではない。すなわち、モータを動作させるために、汚れた水が使用されてよい。一方ハンマ用には、好ましくはきれいな水が使用される。
第1の態様では、第1の流体および第2の流体の個別の独立した流れを可能にするように構成されたドリル・ストリングの端部に連結されることが可能な、多流体掘削システムであって、
ドリル・ストリングによって支持されるときにドリル・ストリングを通って流れる第1の流体がハンマ・ドリルに動力を提供できるように配置構成されたハンマと、
ドリル・ストリングによって支持されるときにドリル・ストリングを通って流れる第2の流体がモータを通って流れモータに動力を提供できるように配置構成されたモータと、を備え、
モータが、ハンマに連結され、第2の流体がモータを通って流れるときにハンマを回転させるように配置構成されているシステムを、開示している。
第2の態様では、
第1の流体および第2の流体の個別の独立した流れを可能にするように構成されたドリル・ストリングと、
ドリル・ストリングによって支持されドリル・ストリングと流体連通しているハンマであって、第1の流体がハンマに動力を提供できる、ハンマと、
ドリル・ストリングによって支持されドリル・ストリングと流体連通しており、第2の流体がモータを通って流れモータに動力を提供でき、ハンマを回転させるように配置構成されたモータと、を備える、多流体掘削システムを開示している。
第3の態様では、
ハンマ・ドリルを回転させることの可能なモータをハンマに連結し、
第1の流体および第2の流体を、ドリル・ストリングを通してそれぞれハンマおよびモータへと個別に互いに独立して送達し、第1の流体は、ハンマが掘削中の孔の先端に周期的に衝撃を与えることができるようにハンマに動力を提供し、
第2の流体は、モータがハンマを回転させることができるように、第1の流体とは別個にモータに動力を提供する、孔の掘削方法を開示している。
「発明の概要」に明記されたようなシステムおよび方法の範囲に属し得る任意の他の形態に関わらず、ここで特定の実施形態が、添付の図面を参照して、例示としてのみ記載される。
開示された多流体掘削システムの第1の実施形態を概略的に表したものである。 開示された多流体掘削システムの第2の実施形態を概略的に表したものである。 開示された多流体掘削システムの第3の実施形態を概略的に表したものである。 開示された多流体掘削システムの第4の実施形態を概略的に表したものである。 開示された多流体掘削システムの第5の実施形態を概略的に表したものである。
図1は、孔またはウェル11を掘削する開示された多流体掘削システム10の1つの実施形態を例示している。システム10は、二重壁ドリル・ストリング12に連結される。ドリル・ストリング12は、円によって描写される第1の流体14および矢印によって描写される第2の流体16の個別の流れを可能にするように構成される。この事例では、第1の流体14は、ドリル・ストリング12の外側環状の経路またはチャネル18内を流れ、一方、第2の流体16は、内側チャネルまたは流路20を通って流れる。システム10は、ハンマ22およびダウンホール・モータ24を備える。ハンマ22およびモータ24はどちらも、ドリル・ストリング12によって支持されかつこれに連結される。モータ24は、ハンマ22のアップホール側にある。
ハンマ22は、ドリル・ストリング12によって支持されるときに、ドリル・ストリング12を通って流れるときの第1の流体14がハンマ22へと流れてこれに動力を提供できるように、配置構成される。モータ24はハンマ22とドリル・ストリング12との間に配設されているので、第1の流体14は、モータ24を通って流れることもできる。この目的のために、モータ24は、第1の流体がドリル・ストリング12からハンマ22へと流れることを可能にするための、チャネル25を有する。チャネル25は、第1の流体14のための流路または導管の一部として働く。
ハンマ22は全体として従来の構造のものであり、特に、ハンマ・ビット26、ピストン28、および中心管30を含む。ハンマ22は、第1の流体14が中を通って流れるポート配置構成(図示せず)も含む。ポート配置構成は、ピストン28上およびポート・スリーブ(図示せず)の内周表面上に形成される、複数の面を備える。ピストン28は、ポート配置構成を通過する流体14の作用によって、中心管30に沿って往復運動させられる。このことは、ビット26上に衝撃力を与える。流体14は次いで、ビット26の外側とハンマ22の外側ケーシング32との間で全体に排液される。
モータ24は、第2の流体16の流れによって駆動される。第2の流体16は、モータ24を通過するときに、モータ24内のロータ(図示せず)を、対応するステータ(図示せず)に対して回転させる。ロータはハンマ22に連結される。したがって、流体16がモータ24を通過するとき、関連するハンマ・ビット26を含むハンマ22が回転する。
本実施形態では、第2の流体16は、中心管30を通って、および次にハンマ・ビット26内の内部通路を通って流される。この通路は、ビット面34上へと開いている。流体16はその結果、ビット面34を横断して流れ、および次にシステム10により掘削中の孔/ウェル11を上に戻るように流れることができる。流体14および16は、これらが孔/ウェル11を上に戻るように移動する際に混合する。
図2は、開示されるシステム10aの第2の実施形態を例示している。上記のシステム10の特徴を記載するために図1において使用されている同じ参照符号を、システム10aの同じ特徴を示すために図2において使用する。システム10aはシステム10と実質的に同じであるが、第1の流体14は、本実施形態では内側チャネル20を通って流れ、一方、第2の流体16は、環状のチャネル18を通過する。この結果として、システム10aは、ドリル・ストリング12とモータ24との間に、クロスオーバサブ35も含む。クロスオーバサブ35は、ドリル・ストリング12からモータ24へと第1の流体14および第2の流体16の流路を交差させ、この結果、第2の流体16は引続きモータ24のチャネル25を通って、および次にハンマ22の内側の管30を通って流れ、また第1の流体14は、ハンマ22のポート配置構成へと導かれる。
図3は、10bとして指定される開示されたシステムのさらなる実施形態を例示している。上記のシステム10の特徴を記載するために図1において使用されている同じ参照符号を、システム10bの同じ特徴を示すために図3において使用する。システム10bは、第2の流体16用の出口または流出箇所によってのみ、システム10と異なっている。システム10bでは、第2の流体16は、ハンマ22の近くの但しアップホール側で、システム10から出る。このことは、モータ24内に、第2の流体16がハンマ22のアップホール側でモータ24から出て掘削中の孔の中へと流れることを可能にする、ポート36を提供することによって達成される。本実施形態では、第1の流体14はモータ24を通ってハンマ22へと流れ続けて、ピストン28の往復運動を引き起こし、この結果、ハンマ・ビット26に衝撃力を与える。流体14は、外側ハウジング32とビット26との間からシステム10bを出る。この場合も、流体14および16の両方が孔11内で混合し、上向きに流れてドリル掘削屑を地表へと運ぶことになる。
図4は、システム10cとして指定されるさらなる実施形態を描写している。システム10cはシステム10bの変更例である。変更点は、ポート36の軽微な構成変更および外部シュラウド38の追加にある。シュラウド38は、ハンマ22の外側ハウジング32を覆って延在する。シュラウド38および外側ハウジング32は、これらに間に環状の流路40を形成するように構成される。ポート36は、流路40を通って流れるように流体16を導くよう配置構成される。第2の流体16は次いで、ハンマ・ビット26のヘッドに隣接して但しビット面34の上流から、システム10cを出る。第1の流体14も、外側ハウジング32の下端部とハンマ・ビット26との間から、システム10cを出る。したがってこの事例では、流体14および16のどちらも、ドリル・システム10cの実質的に同じ場所から外に出て、上向きに流れてドリル掘削屑を地表へと運ぶ。
図3および図4にそれぞれ示すシステム10bおよび10cの各々は、流体16にモータ24を動作させるのではなく、モータ24を本質的に迂回させこの結果流体16が掘削中の孔の中に直接ポンプ送給されるようにする様式に、さらに修正され得る。システム10bおよび10cをこの様式で動作するよう修正するために、どちらもさらなる流出ポート42を必要とする。ポート42はポート36の上流にある。
これらの修正された実施形態では、ポート36および42の各々には、それぞれ弁37および43も設けられる。弁37および43は、選択的および独立的に開閉され得る。
上流ポート42内の弁43を閉じ、下流ポート36内の弁37を開くことによって、システム10bおよび10cは、前述したように動作する。しかしながら、ポート36内の弁37が閉じられ、ポート42内の弁43が開かれている場合には、流体16はモータ24を実質的に迂回させられ、掘削中の孔の中へと直接流れる。結果的に、モータ24はハンマ22に、あるとしても非常に僅かな回転トルクしか提供しないことになる。その場合、ハンマ22および対応するハンマ・ビット26の回転は、ドリル・ストリング12に連結されたアップホール回転ヘッドまたは回転台によって提供されてよい。どちらの事例でも、流体16は、孔/ウェル11内へとポンプ送給されることになる。
図5は、ここでは10dとして指定される開示されるシステムのさらなる実施形態を示している。上記のシステム10の特徴を記載するために図1において使用されている同じ参照符号を、システム10dの同じ特徴を示すために図5において使用する。システム10dは、操向機構50を含んでいることによって、先のシステム10〜10cと異なっている。操向機構50は本実施形態では、ハンマ22とモータ24との間に配設されているものとして例示されている。但し代替の実施形態では、操向機構50は、ドリル・ストリング12の端部とモータ24との間に位置付けられてよい。但し、操向機構を、可能な限りビット面34の近くに有するのが一般に好ましい。その最も単純な形態では、操向機構は、モータ24内の屈曲したハウジングとして、または屈曲したサブもしくは偏心スタビライザを使用することによって、組み込まれてよい。したがって、操向機構50はモータ24とは別個のものとして示されているが、これはモータ24の一部として組み込まれてもよい。
操向機構50を提供することは、掘削システム10dが指向性の掘削のために使用されることを可能にする。その場合、(たとえば屈曲部の前後の)孔の直線部分を掘削するとき、ハンマ22/ハンマ・ビット26は、ドリル・ストリング12を回転させることによって回転される。一実施形態では、掘削の方向を変えることが要求されるとき、第2の流体16がストリング12を通してモータ24へと送達される。このことは、操向機構を作動させて、ハンマ22および関連するビット26の掘削の線を、ドリル・ストリング12の線と比較して偏向させることになる。適切な屈曲部が掘削されると、第2の流体16の送達は止まることができ、たとえばドリル・ヘッドまたは回転台を使用してストリング12を回転させることによって、回転が再び提供される。但し、掘削中の孔/ウェル11の方向制御を提供するために、第2の流体16の流れを止める必要なく作動される、他の知られている屈曲したサブまたは操向可能なサブ/接合部が使用されてよい。実際にはこれは、所望のダウン・ホール圧力、および連続的な洗い流し、および孔/ウェル11の安定性を維持するために、ほとんどの環境において好ましい。
操向機構50は、上記したシステム10a、10b、および10cの各々の中に導入されてよい。特に弁制御ポート36および42を有するシステム10bまたは10cの修正された形態と併せて使用されるとき、孔/ウェル11内に屈曲部または曲がりを形成中であるかどうかに関係なく、孔/ウェル11内への第2の流体16の流れを維持することが可能である。操向機構は、全ての実施形態において、モータ24の一部としてとして組み込まれてよい。
上記した実施形態の各々において、第1の流体14は、気体または液体(すなわち圧縮可能なまたは圧縮不可能な流体)とすることができる。第1の流体16は、孔の深さおよび圧力差が、空気がハンマ22を動作させるのに十分な圧力および流量/体積で送達され得るようなものである場合、空気などの気体とすることができる。別法として、第1の流体14は液体(すなわち圧縮不可能な流体)、たとえば限定するものではないが水とすることができる。このことは、ハンマ22を動作させるための圧力差を提供するために深い孔を掘削するときに、有益である場合がある。ハンマ22を動作させるかまたはこれに動力を提供する際の第1の流体14に関連する「水」という用語は、きれいな水、または許容可能な程度に小さい割合の小さい粒子状物質を有する比較的きれいな水を指すものであることを意図する。たとえば水は、5μの純度を有し得る。これは、本質的においてかなりの割合の比較的大きい粒子状物質と混合された水である、汚れた水または泥と区別されるべきである。ダウン・ホール・ハンマに泥を用いることが実際には知られている。しかしながら、そのようなハンマは、泥がハンマの内部機構、特にポート表面に対して擦過効果を有するので、耐用年数が短い。このことは、性能の急速な低下およびハンマ22を定期的に交換する必要性につながる。
第1の流体14とは別個に流れる第2の流体16は、モータ24を駆動するための動力を提供することに加えて、ダウンホール状態を制御するための特性を有し、ビット面34に潤滑をもたらし、孔/ウェル11から掘削屑を洗い流すように選ばれ得る。流体16は、限定するものではないが、気体、水、汚れた水、掘削泥、掘削添加剤、潤滑剤、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせを有し得る。
第1の流体14は、ダウンホール圧力状態の制御の観点からは決定的に重要なものではないが、その濃度および粘度は、流体14および16の混合物が所望のダウンホール圧力状態を提供するように第2の流体16を選択するときに、考慮され得る。たとえば、第1の流体14を考慮に入れるがこれを変えることは何ら必要とせずに、所望のダウンホール状態を提供するように第2の流体16の特性を選択または修正することができる。
危険な状態が検出される場合、第2の流体16をウェルを埋めるのに十分な体積および流量で提供することが可能である。これは、従来のダウン・ホール流体ハンマの場合よりもかなり大きい体積の液体を提供する、第2の流体16が送達される手法により実現される。
上記のシステム10〜10dは、流体作動ハンマ22を隣接するトルクを提供する流体作動モータとともに使用して、地盤に孔またはウェルを掘削する方法を可能にする。ハンマ22およびモータ24を駆動するために、個別の流体14および16が使用される。流体は、一般的なダウン・ホール状態に合わせて、ならびに/またはハンマおよび/もしくはモータ24が最適に動作するように、適合されてよい。流体14および16は、二重循環流体入口スイベルを使用して、ドリル・ストリング12のアップ・ホール端部内へとポンプ送給されてよい。システムおよび関連する掘削方法の上記した実施形態は、特に、但し排他的にではないが、石油およびガス、もしくは硬い地盤構成における地熱井の掘削、または、たとえば5000m超の深さなどの非常に深い孔の掘削に適している。特に、開示されたシステムおよび方法の実施形態は、硬い物質の掘削に非常に良好に適しているダウン・ザ・ホール・ハンマの形態のダウン・ザ・ホール掘削工具の使用を可能にするが、掘削工具の寿命とダウン・ホール圧力を制御し孔の安定性を維持する能力との間のトレードオフに起因して、石油/ガスのための掘削時には好ましくない。たとえば、標準的なダウン・ホール・ハンマを用いるときに限界加圧で掘削するために、比較的高い比重の流体を用いてハンマを動作させることが要求される場合がある。これは、ハンマを駆動するために泥またはスラリを使用することを含む。しかしながら、泥またはスラリはまさにその本質により、ハンマを擦過し摩耗させる粒子を包含するものである。結果として、摩耗したハンマを交換するために、ドリル・ストリングをより頻繁に移動させることが必要となる。孔が数キロメートルの深さであるとき、ドリル・ストリングの移動は、最大24時間かかる、またはこれを超える場合がある。しかしながら、より低い比重のハンマ駆動流体が使用される場合、特定の圧力状態を提供する能力が失われる場合がある。システムおよび方法の実施形態は、作動および洗浄流体のパラメータおよび特性の個別の提供および制御を可能にし、このことにより、ダウン・ホール工具の最大の効率および寿命を可能にすると同時に、ダウン・ホール圧力および孔の安定性に対する制御も提供する。
本明細書で開示されているシステムおよび方法の実施形態は、ドリル・ストリング12の底部までおよび多くの実施形態ではウェル/孔11までずっと、2つの個別の流体の流れを使用する。最終的に、流体14および16は、ビット面34すなわちウェル11の底部において、またはその非常に近くで、混合することになる。このことは、最大限の効果および安全性でのウェルの制御を、ならびに、ビット面でのまたはその非常に近くでの両方の流体の混合を、可能にする。
第1の流体14と第2の流体16との間の比率は、10/90から30/70の間であってよい。すなわち、10%の第1の流体16および90%の第2の流体18である。これは、たとえば、5.5インチのドリル・パイプを使用する8.5インチのウェルの掘削中、開示されたハンマ22の実施形態が、第1の流体16として合計ウェル体積の10%から30%を使用することになることを意味する。
流体の体積および圧力の観点から見ると、たとえば例として、掘削を行い掘削屑を上昇させるのに必要とされる流体の合計体積は、5,000psiの圧力でポンプ送給される毎分1,000リットルである。ハンマ22は、この合計体積の100から300リットルを毎分使用することになる。第2の流体は、約4,000psiでポンプ送給されることになり、流量は毎分900から700リットルになることになる。
したがって、開示されたシステムおよび方法の実施形態は、たとえば一般的な動作のウォータ・ハンマと比較して、非常に効率的である。同等のダウンホール環境および深さでは、一般的な動作のウォータ・ハンマであれば通常、毎分1,000リットル超、および最大で毎分2,000リットルを使用するであろう。これは、開示されたシステムおよび方法の実施形態の毎分100〜300リットルよりも、かなり大きい。
開示されたシステムおよび方法では、モータおよびハンマへの個別の流体の流れの提供が、掘削工程の「調整」を可能にし、この場合、ハンマ・ビットの回転速度/トルクおよび衝撃エネルギーが、個別に制御され得る。ハンマ・ビット26の回転速度/トルクは、モータ24を駆動する第2の流体16の流れおよび他の特性を制御することによって、制御され得る。ハンマ・ビット26の衝撃エネルギーは、第1の流体14の流れおよび他の特性を制御することによって、制御され得る。したがってたとえば、低いビット回転速度および高いビット衝撃エネルギー衝突速度、または高いビット回転速度および低いビット衝撃エネルギー、または実際上より一般的には任意の組み合わせのビット回転速度およびビット衝撃エネルギーで、掘削することが可能である。
モータ24は、ベーンまたはタービン型のモータの形態であってよい。そのようなモータは、ハンマ22に連結されてハンマ22を回転させる、中心駆動シャフトを有する。中心駆動シャフトには、チャネル25を形成する空洞が設けられている。別法として、駆動シャフトには、チャネル25を形成する空洞、および内側回転分離スリーブが設けられてもよい。
システムおよび方法の実施形態は、地上のまたは海上のリグに対して使用されてよい。以下の特許請求の範囲においておよび前述する本発明の説明において、明示的な文言または必然的な示唆により、そうでないことが文脈から必然である場合を除いて、「備える(comprise)」という単語または「備える(comprises)」もしくは「備えている(comprising)」という変形は、包括的な意味において、すなわち、述べられた特徴の存在を明示するが、開示されたシステムおよび方法の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を除外しないように、使用されている。

Claims (19)

  1. 第1の流体および第2の流体の個別の独立した流れを可能にするように構成されたドリル・ストリングの端部に連結されることが可能な、多流体掘削システムであって、
    前記ドリル・ストリングによって支持されるときに前記ドリル・ストリングを通って流れる第1の流体により動力を提供されるように配置構成されたハンマと、
    前記ドリル・ストリングによって支持されるときに前記ドリル・ストリングを通って流れる第2の流体が通って流れ、動力を提供されるように配置構成されたモータと、を備え、
    前記モータが、前記ハンマに連結され、前記第2の流体が前記モータを通って流れるときに前記ハンマを回転させるように配置構成されており、
    前記掘削システムが、前記第2の流体が前記掘削システムによって掘削中の孔内に流れることができるように配置構成されている、
    多流体掘削システム。
  2. 複数の流体によって動力を提供される掘削システムであって、
    第1の流体および第2の流体の個別の独立した流れを可能にするように構成されたドリル・ストリングと、
    前記ドリル・ストリングによって支持され前記ドリル・ストリングと流体連通し、前記第1の流体により動力を提供される、ハンマと、
    前記ドリル・ストリングによって支持され前記ドリル・ストリングと流体連通しており、前記第2の流体が通って流れ動力を提供され、前記ハンマを回転させるように配置構成されたモータと、を備え、
    前記掘削システムが、前記第2の流体が前記掘削システムによって掘削中の孔内に流れることができるように配置構成されている、
    掘削システム。
  3. 前記ハンマにハンマ・ビットが設けられ、第1の流体が前記掘削システムを通して導かれて、前記ハンマ・ビットに隣接して前記掘削システムから出る、請求項1に記載の掘削システム。
  4. ハンマにハンマ・ビットが設けられ、前記第2の流体が前記掘削システムを通して導かれて、前記掘削システムから出て前記ハンマ・ビットのビット面を横断して流れる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の掘削システム。
  5. ハンマにハンマ・ビットが設けられ、前記第2の流体が前記掘削システムを通して導かれて、前記ハンマ・ビットのビット面のアップ・ホール側で前記掘削システムから出る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の掘削システム。
  6. 前記ハンマを覆って位置付けられ前記ビット面のアップ・ホール側で終端するシュラウドを備え、前記第2の流体が前記シュラウドのダウン・ホール端部から前記掘削システムを出る、請求項5に記載の掘削システム。
  7. 前記モータに実質的な動力を与える前に、または前記モータに動力を与えた後で、前記第2の流体を掘削中の前記孔内へと選択的に流れさせるための、前記モータに関連付けられたポートの配置構成を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の掘削システム。
  8. 前記第1の流体が前記ドリル・ストリング内に形成された環状の流路内を流れ、前記第2の流体が前記環状の流路によって取り囲まれた内側流路内を流れる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の掘削システム。
  9. 前記第1の流体が前記ドリル・ストリング内に形成された内側路内を流れ、前記第2の流体が前記ドリル・ストリング内の環状の流路内を流れ、前記環状の流路が前記内側流路を取り囲む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の掘削システム。
  10. 前記ドリル・ストリングと前記ハンマとの間に連結された操向機構を備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の掘削システム。
  11. 前記操向機構が、前記モータと前記ハンマとの間に位置付けられるか、または前記モータに組み込まれる、請求項10に記載の掘削システム。
  12. 前記ドリル・ストリングにトルクを与えることによって前記ハンマを回転させるように配置構成された頂部側回転システムを備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の掘削システム。
  13. ハンマを回転させることの可能なダウン・ホール・モータを前記ハンマに連結し、
    第1の流体および第2の流体を、ドリル・ストリングを通してそれぞれ前記ハンマおよび前記モータへと個別に互いに独立して送達し、前記第1の流体は、前記ハンマが掘削中の孔の先端に周期的に衝撃を与えることができるように前記ハンマに動力を提供し、
    前記第2の流体は、前記ダウン・ホール・モータが前記ハンマを回転させることができるように、前記第1の流体とは別個に前記ダウン・ホール・モータに動力を提供し、
    前記第2の流体が前記ハンマによって掘削中の孔内に流れることを可能とする、
    孔の掘削方法。
  14. 前記ハンマを動作させた後で前記第1の流体を前記孔内へと導く、請求項13に記載の方法。
  15. 前記ハンマのビットのビット面を横断する場所、前記ビット面のアップ・ホール側の場所、および前記ハンマのアップ・ホール側の場所のうちの少なくとも1つから、前記第2の流体を前記孔内へと導く、請求項13または14に記載の方法。
  16. ハンマに連結された操向機構を使用して掘削中の孔の方向を変更させる、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記掘削中の孔の前記方向を変更するときに、前記ハンマを回転させるように前記ダウン・ホール・モータを動作させる、請求項16に記載の方法。
  18. 前記ダウン・ホール・モータを、前記第1の流体および前記第2の流体をそれぞれ前記ハンマおよび前記モータに送達することを可能にするように配置構成されるドリル・ストリングに連結し、前記ドリル・ストリングを介して表面回転テーブル又は回転ヘッドから前記ハンマにトルクを伝達する、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記第1の流体および前記第2の流体が少なくとも1つの異なる特性を有するそれぞれの液体の形態であり、前記特性は、比重、粘度、レオロジー、圧力、および流量を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の掘削システム。
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