本発明は、医療用カテーテルに用いられるカテーテル用ハンドルに関するものであり、カテーテルに設けられるチューブ体の遠位側を屈曲させる操作を行うためのものである。このようなカテーテルは、通常、血管や消化管や尿管などの体内の管腔部に挿入するためのチューブ体と、チューブ体の近位側に設けられたハンドルとから構成され、チューブ体の内腔に配されたワイヤの遠位側をチューブ体に固定し、近位側をハンドルに固定して、ハンドルを操作してワイヤをハンドル側に引き込むことにより、チューブ体の遠位側を屈曲させることができる。本発明のカテーテル用ハンドルは、ハンドルを操作した際のワイヤの牽引長を使用者(術者)が任意に調整できるようにしたものであり、これにより使用者の好みに応じたハンドル操作が可能となる。
以下、下記実施の形態に基づき本発明のカテーテル用ハンドルと当該ハンドルを備えたカテーテルを具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
まず図1を参照して、カテーテル用ハンドルを備えたカテーテルの全体を説明する。図1には、カテーテル用ハンドルを備えた電極カテーテルの全体図を示した。電極カテーテル51は、チューブ体52と、チューブ体52の近位側に設けられたハンドル1とを有し、チューブ体52の遠位側には電極53が備わっている。電極カテーテル51は、例えば、チューブ体52を患者の血管内を通って心臓まで到達させて、心臓における不整脈の検査や治療に用いられる。本発明において、カテーテルあるいはカテーテル用ハンドルの近位側とは、カテーテルの延在方向に対して使用者(術者)の手元側の方向を指し、遠位側とは近位側の反対方向(すなわち処置対象側の方向)を指す。
チューブ体52は、可撓性を有する管状構造を有しており、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂から構成することができる。チューブ体52の軸方向の長さは、ハンドルの同方向の長さの数倍から数十倍程度長くなっており、例えば、500mm〜1200mm程度である。チューブ体52の外径は、例えば、0.6mm〜3mm程度とすればよい。
チューブ体52は内腔を有しており、内部に1つの内腔を有するシングルルーメン構造であっても、複数の内腔を有するマルチルーメン構造のいずれであってもよい。内腔には、例えば、電極に接続した導線や、後述するワイヤが配置される。チューブ体52の内腔に配されるワイヤは1本であっても複数本であってもよい。
チューブ体52の遠位側には、複数の電極53が離間して設けられている。図1では、先端電極53Aと複数のリング状電極53Bが設けられている。電極カテーテルでは、この電極を患者の心臓の内壁に接触させたりして、不整脈の測定や心臓の治療が行われる。電極53は、例えば、銅、金、白金、アルミニウム、鉄、またはこれらの合金等の金属材料から構成することができる。なお、カテーテルの使用時におけるX線に対する造影性を良好にするために、電極53は、白金またはその合金から構成されていることが好ましい。
カテーテル用ハンドル1はチューブ体52の近位側に設けられ、カテーテルとして組み立てた際には、チューブ体52の内腔に配されたワイヤ6の遠位側がチューブ体52(例えば、チューブ体52の遠位側1/3の部分)に固定され、近位側がハンドル1に固定される。
ワイヤ6は、ハンドル1の操作によってチューブ体52を屈曲させるために設けられ、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属線材や、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂から形成された糸条を用いることができる。ワイヤ6の径としては、例えば、100μm〜500μm程度とすることができる。
カテーテル用ハンドルの詳細(第1構成例)について、図2〜図7を参照して説明する。図2は、図1に示したカテーテルに設けられたハンドルの主要部の平面図を表し、図3は、図2に示したハンドル主要部の内部構造の平面図を表し、図4は、図2に示したハンドル主要部のIV−IV断面図を表し、図5は、図2に示したハンドル主要部のV−V断面図を表し、図6は、図2に示したハンドル主要部の回転盤を回転操作したときの平面図を表し、図7は、図2に示したハンドル主要部のワイヤガイド部材を回転盤の平面方向に対して回転させた平面図を表す。
ハンドル1(1A)は、ハンドル本体2と、ハンドル本体2に対して回転自在に設けられた回転盤3と、回転盤3の平面方向に対して回転可能に形成されたワイヤガイド部材7とを有する。ハンドルにおいて、平面方向とは、回転盤3の回転軸5の延在方向(回転軸方向)に対して垂直な方向を意味する。また平面方向は、ハンドルの近位側から遠位側に向かう主方向と、主方向に垂直な幅方向とを有する。
ハンドル本体2は回転盤3を支持する部材であり、使用者は通常、ハンドル本体2を持ってハンドルを操作する。図面に示したハンドルでは、ハンドル本体2が、回転盤3の支持部、ハンドルの把持部、チューブ体52との接続部を含んで構成されている。なおハンドル本体2において、回転盤3の支持部とは、ハンドル本体2が回転盤3と重なる部分を意味し、それより近位側の部分をハンドルの把持部とし、それより遠位側の部分をチューブ体52との接続部とする。ハンドル本体2の支持部は、図4および図5では、回転盤3を回転軸方向の片側のみに設けられているが、回転盤3を回転軸方向の両側から挟むように設けられていてもよい。ハンドル本体2は、例えば合成樹脂から形成することができる。
回転盤3は、ハンドル本体2に対して回転自在に設けられ、ワイヤ6の近位側が配置される。回転盤3は筐体として構成され、内部にワイヤガイド部材7やワイヤ6が配置されることが好ましい。回転盤3は、遠位側にワイヤ6の挿入部13が設けられ、ワイヤ6の近位側が挿入部13を通って回転盤3に導入される。ワイヤ6の近位側は、回転盤3に設けられたワイヤ係止部4に固定される。ワイヤ係止部4は回転盤3の近位側に設けられることが好ましい。回転盤3は、例えば合成樹脂から形成することができ、回転盤3の外側からワイヤガイド部材7の位置を目視できるように、透明または半透明な材料から形成されていてもよい。
回転盤3には、ワイヤ6が、回転盤3の回転軸5を挟んで一方側のみに設けられてもよく、両側に設けられてもよい。すなわち、ハンドル1は、チューブ体52の遠位側を一方向に曲げるシングルディレクションタイプのカテーテル用であってもよく、チューブ体52の遠位側を二方向に曲げるバイディレクションタイプのカテーテル用であってもよい。また図面では、回転盤3にワイヤ係止部4が2つ設けられているが、ワイヤ係止部4は1つのみであってもよい。
ワイヤガイド部材7は、回転盤3におけるワイヤ6の経路を規定する。ワイヤ6は、ワイヤガイド部材7の外縁に接するように配置される。ワイヤガイド部材7を設けることにより、回転盤3を回転させた際に、回転盤3内のワイヤ6の道のりを変化させて、チューブ体52の内腔に配されたワイヤ6を近位側に牽引することができる。例えば、図6に示すように回転盤3を時計回りに回転させることで、ハンドルの近位側から見て右側のワイヤ6Rの回転盤3内での道のりが増えて、ワイヤ6Rを近位側に牽引することができる。このようにワイヤ6を引っ張ることにより、チューブ体52の遠位側を屈曲させることができる。例えば図1において、回転盤3を時計回りに回転させることで、チューブ体52の遠位側を右側に屈曲させ、回転盤3を反時計回りに回転させることで、チューブ体52の遠位側を左側に屈曲させることができる。回転盤3の回転角(回転可能な角度範囲)は、カテーテルあるいはハンドルの操作性を良好にする点から、45°以上が好ましく、60°以上がより好ましく、また150°以下が好ましく、120°以下がより好ましい。
ハンドル1Aでは、ワイヤガイド部材7が回転盤3内に設けられ、回転軸方向の断面で、ワイヤガイド部材7が回転軸方向の両側から回転盤3(具体的には回転盤3の一部を構成する回転盤3A,3B)によって挟まれている。回転軸方向の一方側(図4では下側)に位置する回転盤3Aは、隣接して設けられたハンドル本体2と回転軸5で繋がっており、回転盤3は、回転軸方向の一方側からハンドル本体2によって支持されている。回転軸5はネジから構成され、このネジがワイヤガイド部材7とその下側の回転盤3Aとハンドル本体2とを貫通し、ハンドル本体2側からナットにより留められている。回転軸5のネジは、ハンドル本体2に形成されたネジ穴に嵌合されてもよい。なお、回転軸5はネジとナットの組み合わせに限定されず、例えば、ピンとピン留めを採用してもよい。また、ネジとナットの位置が逆になっていてもよい。
ワイヤガイド部材7は、回転盤3の平面方向に対して回転可能に形成されている。ハンドル1Aでは、回転盤3の回転軸5がワイヤガイド部材7の回転軸を兼ねており、回転軸5がワイヤガイド部材7と回転盤3を貫通している。ワイヤガイド部材7の回転中心は、回転盤3の回転軸5と重なって位置している。
ワイヤガイド部材7は、ワイヤガイド部材7の回転中心から不等距離に形成された外縁を有し、ハンドル1の外側から操作して、回転盤3を固定させた状態で回転盤3の平面方向に対して回転可能に形成されている。すなわち、ワイヤガイド部材7は回転中心を中心とする円形以外の形状で設けられ、ワイヤガイド部材7をハンドル1の外側から操作して、回転中心に対する回転位置を調整できるようになっている。ワイヤガイド部材7が回転盤3の平面方向に対して回転可能とは、回転盤3の平面方向に垂直な方向を回転軸としてワイヤガイド部材7が回転可能であることを意味する。また、ワイヤガイド部材7が回転盤3を固定させた状態で回転可能とは、回転盤3を固定させた状態でも回転可能であることを意味し、ワイヤガイド部材7の回転を回転盤3を固定させた状態で行うことを必須とすることを意味するものではない。このようにワイヤガイド部材7を構成することにより、ハンドル1を使用する際に、回転盤3を回転させた際の回転盤3内のワイヤ6の道のりの変化量を調整することができる。
例えば、図2〜図7に示したハンドル1Aには平面形状が卵形のワイヤガイド部材7が設けられているが、図3に示すようにワイヤガイド部材7の位置をハンドル1の幅方向に対して左右対称となるように設けた場合は、回転盤3を時計回りに回転させても反時計回りに回転させても、左側のワイヤ6Lと右側のワイヤ6Rのいずれも回転盤3内での道のりの変化量が変わらないようにすることができる。なお、ワイヤガイド部材7の位置は、回転盤3が回転可能な角度範囲の中央位置にあるときを基準として定める。一方、図7に示すように、ワイヤガイド部材7がハンドル1の幅方向に対して非対称となる(図7では、ワイヤガイド部材7の長径部分がハンドルの近位側から見て右側に位置する)ようにワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に対して回転させた場合は、回転盤3を回転させたときに左側のワイヤ6Lの道のりの変化量を小さくして、右側のワイヤ6Rの道のりの変化量を大きくすることができる。その結果、回転盤3を回転させた際のワイヤ6の牽引長を使用者(術者)が調整できるようになり、回転盤3を回転させた際のチューブ体52の遠位側の屈曲の程度を使用者の好みやニーズに応じて任意に調整することが可能となる。
ハンドル1Aでは、ワイヤガイド部材7の長径部分が、ハンドルの近位側から見て右側と左側のそれぞれに位置させることができるように、ワイヤガイド部材7が形成されている。ワイヤガイド部材7は、このように長径部分がハンドル1の幅方向の一方側と他方側の両方に位置できるように回転可能に構成されていてもよく、幅方向の一方側のみに位置できるように回転可能に構成されていてもよい。
ワイヤガイド部材7の形状は、ワイヤガイド部材7の回転中心から不等距離に形成された外縁を有するものであれば特に限定されず、上記に説明した卵形以外に、例えば、楕円形、長円形、中心が回転中心以外にある円形等が挙げられる。なお、ワイヤガイド部材7は線対称形状で形成され、回転中心が線対称形状の対称軸上に位置することが好ましく、これにより、回転盤3を時計回りに回転させた場合と反時計回りに回転させた場合とで、ワイヤ6を同じように操作できる状態を作り出すことができる。また、ワイヤガイド部材7は、外縁の少なくとも一部が曲面状に形成されていることが好ましく、これによりワイヤガイド部材7へのワイヤ6の引っ掛かりを抑えて、回転盤3の操作をスムーズにすることができる。ワイヤガイド部材7は、例えば合成樹脂から形成することができる。
ワイヤガイド部材7は、回転盤3に直接または間接的に取り付けられて、回転盤3の回転によって、回転盤3とともに回転するように形成されていてもよく、ハンドル本体2に直接または間接的に取り付けられて、回転盤3の回転によって、回転盤3とともに回転しないように形成されていてもよい。いずれの場合も、ワイヤガイド部材7が、回転盤3を固定させた状態で、回転盤3の平面方向に対して回転可能に形成することができる。図2〜図7に示したハンドル1Aでは、ワイヤガイド部材7が回転盤3に取り付けられて、回転盤3とともに回転するように形成されている。
ワイヤガイド部材7が、ハンドル1の外側から操作して、回転盤3を固定させた状態で回転盤3の平面方向に対して回転可能に形成されるためには、例えば、ワイヤガイド部材7に操作部を設ければよい。ハンドル1Aでは、ワイヤガイド部材7に操作部8が設けられ、操作部8がハンドル1Aの外側に露出している。詳細には、操作部8がワイヤガイド部材7に設けられ、回転盤3(図4および図5では、図の上側に位置する回転盤3B)に溝9が形成され、操作部8が溝9を貫通して設けられている。操作部8はワイヤガイド部材7の回転中心以外に設けられ、溝9は弧状に形成され、操作部8を溝9に沿って回転移動させることにより、ハンドル1Aの外側から操作して、ワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に対して回転させることができる。
操作部は、ワイヤガイド部材7から延出して設けられていればよく、その形態は特に限定されない。ハンドル1Aでは、操作部8がワイヤガイド部材7から回転軸方向に突出するように設けられているが、これ以外にも、例えば、ワイヤガイド部材7から平面方向に突出するように操作部を設け、操作部が、回転盤3の側面から露出するように設けられてもよい。この場合、回転盤3の側面に溝(当該溝は回転盤3Aと下側の回転盤3Bの隙間であってもよい)が形成され、操作部がこの溝を貫通して設けられればよい。また、後述するように、ワイヤガイド部材7に操作部を設ける代わりに、ギア機構により、ハンドル1の外側から操作して、ワイヤガイド部材7が回転盤3の平面方向に対して回転可能に形成することもできる。
操作部8は、ワイヤガイド部材7と一体形成されていてもよく、ワイヤガイド部材7とは別部材としてワイヤガイド部材7に取り付けられていてもよい。操作部8は、ハンドル1Aの外側から手で操作しやすいように、回転盤3の溝9を貫通してさらに0.5mm以上延在していることが好ましく、1mm以上延在していることがより好ましい。また、操作部8の操作性を高めるために、図5に示すように、操作部8の頂部に把手部8Aを設けてもよい。この場合、把手部8Aは操作部8の一部を構成し、操作部8の本体部(把手部8Aよりもワイヤガイド部材7に近い部分)よりも幅広に形成されることが好ましい。
溝9は、回転盤3を貫通し、ワイヤガイド部材7の回転中心を中心とする弧状に設けられる。このとき、溝9の弧の延在角度は、30°以上が好ましく、45°以上がより好ましく、60°以上がさらに好ましく、また270°以下が好ましく、210°以下がより好ましく、180°以下がさらに好ましい。溝9は、操作部8を所望の位置に固定しやすくするために、一部が幅狭に形成されていてもよい。
ハンドル1Aでは、ワイヤガイド部材7の上側に位置する回転盤3Bの回転軸5と重なる部分に開口12が形成され、この開口12から回転軸5のネジを回すことができる。ネジとナットを締めたり緩めたりすることで、ワイヤガイド部材7をその下側に位置する回転盤3Aに固定させたり、ワイヤガイド部材7を回転盤3Aから離して、回転盤3の平面方向に対して回転可能にすることができる。すなわち、ワイヤガイド部材7は、ハンドル1の外側から操作して、回転盤3の回転軸方向に移動可能に形成されている。ワイヤガイド部材7がこのように構成されていれば、ハンドル1の取り扱い性を向上させることができる。
カテーテル用ハンドルの別の実施態様(第2構成例)について、図8〜図10を参照して説明する。図8は、カテーテル用ハンドルの主要部の平面図を表し、図9は、図8に示したハンドル主要部の内部構造の平面図を表し、図10は、図8に示したハンドル主要部のX−X断面図を表す。なお、下記の説明において、上記と重複する部分の説明を省略する。また、図8〜図10では、上記図面と同じ構成要素を同一符号で表している。
図8〜図10に示したハンドル1(1B)では、ワイヤガイド部材7の平面形状がハンドル1Aとは異なり、円形の平面形状で設けられている。ただし、円の中心は、ワイヤガイド部材7の回転中心(回転盤3の回転軸5に対応)からずれて設けられている。この場合も、ワイヤガイド部材7は、ワイヤガイド部材7の回転中心から不等距離に形成された外縁を有するものとなる。そのため、回転盤3を固定させた状態でワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に回転させることで、回転盤3を時計回りまたは反時計回りに回転させた際のワイヤ6の牽引長を調整することができる。
ハンドル1Aでは、溝9が約180°の角度の弧状に設けられていたが、ハンドル1Bでは、溝9が約120°の角度の弧状に設けられている。いずれの場合も、ワイヤガイド部材7の操作部8を溝9に沿って回転移動させることで、回転盤3を時計回りまたは反時計回りに回転させた際のワイヤ6の牽引長を調整することができる。溝9の弧の延在角度は、所望の効果が発揮される範囲内で適宜設定すればよい。
回転軸方向の一方側(図4では下側)に位置する回転盤3Aは、隣接して設けられたハンドル本体2と回転軸5で繋がっている。回転軸5はネジから構成され、このネジがワイヤガイド部材7とその下側の回転盤3Aを貫通し、ハンドル本体2に形成されたネジ穴に嵌合されている。なお、当該ネジは、ハンドル本体2を貫通してナットにより留められていてもよく、また、ネジの代わりにピンによって回転軸5が形成されていてもよい。
カテーテル用ハンドルのさらに別の実施態様(第3構成例)について、図11〜図13を参照して説明する。図11は、カテーテル用ハンドルの主要部の平面図を表し、図12は、図11に示したハンドル主要部の内部構造の平面図を表し、図13は、図11に示したハンドル主要部のXIII−XIII断面図を表す。なお、下記の説明において、上記と重複する部分の説明を省略する。また、図11〜図13では、上記図面と同じ構成要素を同一符号で表している。
図11〜図13に示したハンドル1(1C)では、ワイヤガイド部材7の平面形状がハンドル1A、1Bとは異なり、楕円形の平面形状で設けられ、楕円の中心がワイヤガイド部材7の回転中心となっている。この場合も、回転盤3を固定させた状態でワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に回転させることで、回転盤3を時計回りまたは反時計回りに回転させた際のワイヤ6の牽引長を調整することができる。
ハンドル1Cでは、溝9が約90°の角度の弧状で、ハンドル1Cの幅方向の一方側のみに延在するように設けられている。ハンドル1Cのように、ワイヤガイド部材7が、回転中心に対して90°の角度差で対称軸を2つ有する平面形状で形成される場合は、ワイヤガイド部材7の長軸方向または短軸方向がハンドル1Cの主方向(または幅方向)と一致するように回転位置を90°の角度差で調整することにより、回転盤3を時計回りに回転させたときと反時計回りに回転させたときの操作性を等しくさせながら、回転盤3の回転角度によるワイヤ6の牽引長の程度を変化させることができる。
ハンドル1Cでは、ハンドル1A、1Bとは異なり、ワイヤガイド部材7の回転軸が回転盤3の回転軸と共有されておらず、回転盤3に回転軸5が設けられ、ワイヤガイド部材7には回転軸11が設けられている。回転盤3の回転軸5は、回転軸方向の一方側(図13では下側)に位置する回転盤3Aの回転中心を貫通して、ハンドル本体2と繋がっているのに対し、ワイヤガイド部材7の回転軸11は、回転軸方向の他方側(図13では上側)に位置する回転盤3Bに固定されている。ハンドル1Cでも、ワイヤガイド部材7の回転中心(回転軸11)が、回転盤3の回転軸5と重なって形成されている。
回転盤3の回転軸5はネジから構成されており、このネジは、回転盤3Aとハンドル本体2を貫通してナットにより留められている。回転軸5のネジは、ハンドル本体2に形成されたネジ穴に嵌合されてもよく、また、ネジの代わりにピンによって回転軸5が形成されていてもよい。
ワイヤガイド部材7の回転軸11はネジから構成されており、回転盤3Bの回転中心に形成された開口を貫通してナットにより留められている。ハンドル1Cでは、回転軸11のネジとナットを締めたり緩めたりすることで、ワイヤガイド部材7が、ハンドル1Cの外側から操作して、回転盤3の回転軸方向に移動可能となる。回転軸11のネジとナットを締めると、ワイヤガイド部材7を回転盤3Bに固定させることができ、緩めると、回転盤3の平面方向に対して回転可能にすることができる。
カテーテル用ハンドルのさらに別の実施態様(第4構成例)について、図14〜図16を参照して説明する。上記に説明したハンドル1A〜1Cでは、ワイヤガイド部材7が回転盤3に取り付けられていたが、図14〜図16に示したハンドル1(1D)では、ワイヤガイド部材7がハンドル本体2に取り付けられている。図14は、カテーテル用ハンドルの主要部の平面図を表し、図15は、図14に示したハンドル主要部の内部構造の平面図を表し、図16は、図14に示したハンドル主要部のXVI−XVI断面図を表す。なお、下記の説明において、上記と重複する部分の説明を省略する。また、図14〜図16では、上記図面と同じ構成要素を同一符号で表している。
図14〜図16に示したハンドル1(1D)では、ワイヤガイド部材7がハンドル本体2に取り付けられ、回転盤3の回転によって、回転盤3とともに回転しないように形成されている。図16に示すように、ハンドル1Dでは、回転軸方向の断面で、回転盤3が回転軸方向の両側からハンドル本体2(具体的にはハンドル本体2の一部を構成するハンドル本体2A,2B)によって挟まれている。回転盤3は、回転軸方向の一方側(図16では下側)に位置するハンドル本体2Aに回転軸5で繋がっており、ワイヤガイド部材7は、回転軸方向の他方側(図16では上側)に位置するハンドル本体2Bに取り付けられている。
回転軸5はネジから構成され、このネジが回転盤3の回転中心を貫通して、ハンドル本体2Aに形成されたネジ穴に嵌合されている。このネジは、ハンドル本体2Aも貫通してナットにより留められていてもよく、また、ネジの代わりにピンとピン留めによって回転軸5が形成されていてもよい。
ワイヤガイド部材7は、回転軸11がハンドル本体2Bを貫通して、ハンドル本体2Bに固定されている。ハンドル1Dでも、ワイヤガイド部材7の回転中心(回転軸11)が、回転盤3の回転軸5と重なって形成されている。ワイヤガイド部材7の回転軸11はネジから構成されており、ハンドル本体2Bに形成された開口を貫通してナットにより留められている。ハンドル1Dでも、回転軸11のネジとナットを締めたり緩めたりすることで、ワイヤガイド部材7が、ハンドル1Dの外側から操作して、回転盤3の回転軸方向に移動可能となる。回転軸11のネジとナットを締めると、ワイヤガイド部材7をハンドル本体2Bに固定させることができ、緩めると、回転盤3の平面方向に対して回転可能にすることができる。
ハンドル1Dでは、ハンドル本体2Bに溝10が形成され、ワイヤガイド部材7の操作部8が溝10を貫通している。操作部8は、ワイヤガイド部材7の回転中心以外に、ワイヤガイド部材7から回転軸方向に突出するように設けられ、溝10が弧状に形成され、操作部8を溝10に沿って回転移動させることにより、ハンドル1Dの外側から操作して、ワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に対して回転させることができる。操作部8は、ハンドル本体2Bの溝10を貫通してさらに0.5mm以上延在していることが好ましく、1mm以上延在していることがより好ましく、これにより操作部8をハンドル1Dの外側から手で操作しやすくなる。
溝10は、ハンドル本体2Bを貫通し、ワイヤガイド部材7の回転中心(図14では回転軸11に相当)を中心とする弧状に設けられる。このとき、溝10の弧の延在角度は、30°以上が好ましく、45°以上がより好ましく、60°以上がさらに好ましく、また270°以下が好ましく、210°以下がより好ましく、180°以下がさらに好ましい。溝10は、操作部8を所望の位置に固定しやすくするために、一部が幅狭に形成されていてもよい。
ハンドル1Dのようにワイヤガイド部材7をハンドル本体2に取り付ける場合も、ワイヤガイド部材7の形状は、ワイヤガイド部材7の回転中心から不等距離に形成された外縁を有するものであれば特に限定されず、例えば、卵形、楕円形、長円形、中心が回転中心以外にある円形等が挙げられる。また、ワイヤガイド部材7は線対称形状で形成されることが好ましく、外縁の少なくとも一部が曲面状に形成されていることが好ましい。ハンドル1Dの操作部8も、ハンドル1Dの外側に露出するように設けられれば、図14〜図16に示した実施態様に限定されず、例えば、ワイヤガイド部材7から平面方向に突出するように操作部を設け、操作部が、ハンドル本体2Bと回転盤3の間から、ハンドル本体2Bの外縁より外方に延出するように設けられてもよい。また、後述するように、ワイヤガイド部材7に操作部を設ける代わりに、ギア機構により、ハンドル1の外側から操作して、ワイヤガイド部材7が回転盤3の平面方向に対して回転可能に形成されてもよい。
ハンドル1Dでは、回転盤3の筐体に蓋が設けられていないが、蓋が設けられていてもよい。回転盤3の蓋は、筐体の一部(例えば外縁近傍)のみを覆うように設けられてもよい。
ハンドル1Dのようにワイヤガイド部材7をハンドル本体2に取り付ける場合も、回転盤3を固定させた状態でワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に回転させることで、回転盤3を時計回りまたは反時計回りに回転させた際のワイヤ6の牽引長を調整することができる。そのため、回転盤3を回転させた際のワイヤ6の牽引長を使用者(術者)が調整できるようになり、回転盤3を回転させた際のチューブ体52の遠位側の屈曲の程度を使用者の好みやニーズに応じて任意に調整することが可能となる。
カテーテル用ハンドルのさらに別の実施態様(第5構成例)について、図17〜図19を参照して説明する。図17は、カテーテル用ハンドルの主要部の平面図を表し、図18は、図17に示したハンドル主要部の内部構造の平面図を表し、図19は、図17に示したハンドル主要部のXIX−XIX断面図を表す。なお、下記の説明において、上記と重複する部分の説明を省略する。また、図17〜図19では、上記図面と同じ構成要素を同一符号で表している。
図17〜図19に示したハンドル1(1E)は、ワイヤガイド部材7の回転中心(回転軸11)が、回転盤3の回転軸5と重なって形成されていない点で、上記に説明したハンドル1A〜1Dと異なる。ハンドル1Eも、ワイヤガイド部材7は、ワイヤガイド部材7の回転中心から不等距離に形成された外縁を有している。ハンドル1Eにおいても、回転盤3を固定させた状態で、ワイヤガイド部7の操作部8を溝9に沿って移動させることで、ワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に回転させることができ、これにより回転盤3を回転させた際の回転盤3内のワイヤ6の道のりの変化量を調整することができる。
ハンドル1Eでは、ワイヤガイド部材7の回転中心は、例えば図18に示すように、回転盤3が回転可能な角度範囲の中央位置にあるときに、ハンドル1Eの幅方向の中心線上に位置することが好ましく、これにより、ワイヤガイド部材7によって左側のワイヤ6Lと右側のワイヤ6Rの両方の道のりの変化量を調整しやすくなる。またこの場合において、ワイヤガイド部材7は左右対称形状に形成され、その対称軸上に回転中心が設けられることが好ましく、これにより、ワイヤガイド部材7の回転位置を調整して、回転盤3を時計回りに回転させたときと反時計回りに回転させたときの操作性が等しい状態を作り出すことが可能となる。なお、ハンドル1の操作性を高めたり、ハンドル1の組み立てを容易にする点からは、ハンドル1A〜1Dのように、ワイヤガイド部材7の回転中心が回転盤3の回転軸5と重なって形成されていることが好ましい。
ハンドル1Eでは、ワイヤガイド部材7が回転盤3に取り付けられているが、ハンドル1Dのようにワイヤガイド部材7はハンドル本体2に取り付けることも可能である。またハンドル1Eでは、回転盤3の回転軸5がネジから構成され、このネジが回転盤3Aとハンドル本体2を貫通してナットにより留められているが、回転軸5のネジは、ハンドル本体2に形成されたネジ穴に嵌合されてもよく、また、ネジの代わりにピンによって回転軸5が形成されていてもよい。
カテーテル用ハンドルのさらに別の実施態様(第6構成例)について、図20〜図21を参照して説明する。図20〜図21には、上記に説明したハンドル1Aの変形例を示した。図20は、カテーテル用ハンドルの主要部の平面図を表し、図21は、図20に示したハンドル主要部のXXI−XXI断面図を表す。なお、下記の説明において、上記と重複する部分の説明を省略する。また、図20〜図21では、上記図面と同じ構成要素を同一符号で表している。
図20〜図21に示したハンドル1(1F)は、ワイヤガイド部材7を回転軸方向に移動させる機構がハンドル1Aとは異なる。ハンドル1Aでは、回転盤3の回転軸5がネジから構成され、このネジがワイヤガイド部材7とその下側の回転盤3Aとハンドル本体2とを貫通し、ネジとナットの嵌合を緩めることでワイヤガイド部材7が回転軸方向に移動可能に形成されるようになっていたが、ハンドル1Fでは、突起23を備えたピン22から回転軸5を構成し、ピン22によってワイヤガイド部材7の回転軸方向の移動を制御している。これについて詳しく説明する。
ハンドル1Fの回転軸5を構成するピン22は、ワイヤガイド部材7とその下側(すなわちワイヤガイド部材7に対して回転軸方向の一方側)の回転盤3Aとハンドル本体2とを貫通して設けられている。回転軸方向の他方側に位置する回転盤3Bには凹部21が形成され、ピン22の先端が回転盤3Bの凹部21に嵌設されている。ピン22は、ワイヤガイド部材7を回転軸方向の他方側(図21では上側)から押さえる突起23をその側面に備えている。突起23と回転盤3Bの間にはバネ24が設けられ、このバネ24はピン22(突起23)を回転盤3Bから離間させるように作用する。バネ24としては、圧縮コイルバネや皿バネ等を用いることができ、バネ24がピン22を軸に周回して設けられることが好ましい。ハンドル1Fでは、ハンドル本体2を貫通したピン22の下端(回転軸方向の一方側の下端)25が幅広に形成されており、これによりピン22を押しやすくなる。なお、バネ24の代わりに、ハンドル本体2とピン22の下端の間にバネ(圧縮コイルバネや皿バネ等)を設けてもよい。
ハンドル1Fでは、ピン22を回転軸方向の一方側(図21では下側)から押すことによって、ワイヤガイド部材7を回転盤3Aから離れるように回転軸方向に移動させることができ、その上でワイヤガイド部材7の操作部8を溝9に沿って移動させることで、ワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に対して回転させることができる。ピン22を押さない状態では、バネ24の圧縮回復力によって、突起23を介してワイヤガイド部材7が回転軸方向の他方側(図21では下側)に押さえられ、ワイヤガイド部材7を回転盤3に対して固定させることができる。
カテーテル用ハンドルのさらに別の実施態様(第7構成例)について、図22〜図24を参照して説明する。図22は、カテーテル用ハンドルの主要部の平面図を表し、図23は、図22に示したハンドル主要部の内部構造の平面図を表し、図24は、図22に示したハンドル主要部のXXIV−XXIV断面図を表す。なお、下記の説明において、上記と重複する部分の説明を省略する。また、図22〜図24では、上記図面と同じ構成要素を同一符号で表している。
図22〜図24に示したハンドル1(1G)は、ワイヤガイド部材7に回転軸が設けられない点で、上記に説明したハンドル1A〜1Fと異なる。ハンドル1A〜1Fでは、ワイヤガイド部材7の回転中心に回転軸11が設けられているか、回転盤3と共有した回転軸5が設けられていたが、ハンドル1Gでは、ワイヤガイド部材7の回転中心に回転軸が設けられない代わりに、ワイヤガイド部材7から回転軸方向に突出した操作部8が複数設けられ、各操作部8に対応した複数の溝9が回転盤3Bに形成されている。このようにワイヤガイド部材7に操作部8を複数設け、回転盤3Bに溝9を複数設けた場合は、ワイヤガイド部材7に回転軸を設けなくても回転中心を定めることができる。そのため、ワイヤガイド部材7が回転軸を有しなくても、ワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に回転可能に形成することができる。
ハンドル1Gでは、ワイヤガイド部材7の操作部8がネジから構成されており、このネジが回転盤3Bの溝9を貫通してナットにより留められている。ハンドル1Gでは、操作部8のネジとナットを締めたり緩めたりすることで、ワイヤガイド部材7が、ハンドル1Gの外側から操作して、回転盤3の回転軸方向に移動可能となる。操作部8のネジとナットを締めると、ワイヤガイド部材7を回転盤3Bに固定させることができ、緩めると、ワイヤガイド部材7が回転盤3Bから離れて、回転盤3の平面方向に対して回転可能にすることができる。
ハンドル1Gでは、ワイヤガイド部材7が回転盤3に取り付けられているが、ハンドル1Dのようにワイヤガイド部材7はハンドル本体2に取り付けることも可能である。この場合は、ハンドル本体2に、ワイヤガイド部材7の各操作部8に対応した複数の溝10を設ければよい。
ハンドル1Gでは、ワイヤガイド部材7に回転軸が設けられず、操作部8が複数設けられているが、もちろんワイヤガイド部材7に回転軸を設けつつ、操作部8を複数設けることも可能である。ハンドル1Gではまた、回転盤3の回転軸5がネジから構成され、このネジが回転盤3Aとハンドル本体2を貫通してナットにより留められているが、回転軸5のネジは、ハンドル本体2に形成されたネジ穴に嵌合されてもよく、また、ネジの代わりにピンによって回転軸5が形成されていてもよい。
上記に説明したカテーテル用ハンドルには、ワイヤガイド部材7が1つのみ設けられていたが、ワイヤガイド部材7は複数設けられていてもよい。このようなハンドルの構成例を図25〜図28を参照して説明する。
図25〜図28には、ハンドル1Aの変形例として、ワイヤガイド部材7を2つ設けたハンドルの一例(第8構成例)を示した。図25は、カテーテル用ハンドルの主要部の平面図を表し、図26は、図25に示したハンドル主要部の内部構造の平面図を表し、図27は、図25に示したハンドル主要部の回転盤を回転操作したときの平面図を表し、図28は、図25に示したハンドル主要部のXXVIII−XXVIII断面図を表す。なお、下記の説明において、上記と重複する部分の説明を省略する。また、図25〜図28では、上記図面と同じ構成要素を同一符号で表している。
図25〜図28に示したハンドル1(1H)には、ワイヤガイド部材7として、ハンドルの近位側から見て左側のワイヤ6Lの経路を規定する第1ワイヤガイド部材7Aと、右側のワイヤ6Rの経路を規定する第2ワイヤガイド部材7Bが設けられている。第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bにはそれぞれ操作部8A,8Bが設けられ、回転盤3Bには、操作部8Aが貫通した溝9Aと操作部8Bが貫通した溝9Bが形成されている。なお、溝9Aと溝9Bは別々に設けらずに、溝9Aと溝9Bが接続して1つの溝として形成されていてもよい。ハンドル1Hは、操作部8A,8Bをそれぞれ溝9A,9Bに沿って移動させることで、第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bを回転盤3の平面方向に対して独立して回転させることができる。そのため、回転盤3を回転させたときのワイヤ6Lとワイヤ6Rの牽引長を独立して使用者(術者)が自由に調整でき、回転盤3を回転させた際のチューブ体の遠位側の屈曲の程度を、使用者の好みやニーズに応じて調整することが可能となる。
ハンドル1Hでは、第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bが回転軸方向に重なって設けられ、それぞれの回転中心が回転軸5で重なって形成されている。また、回転軸5がネジから構成され、このネジがワイヤガイド部材7とその下側の回転盤3Aとハンドル本体2とを貫通し、ナットにより留められている。回転軸5のネジは、ハンドル本体2に形成されたネジ穴に嵌合されてもよく、また、ネジの代わりにピンによって回転軸5が形成されていてもよい。ハンドル1Hでは、回転軸5のネジとナットを締めたり緩めたりすることで、ワイヤガイド部材7が、ハンドル1Hの外側から操作して、回転盤3の回転軸方向に移動可能となる。回転軸5のネジとナットを締めると、ワイヤガイド部材7を回転盤3Aに固定させることができ、緩めると、回転盤3の平面方向に対して回転可能にすることができる。
第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bの回転軸は、回転盤3Aとハンドル本体2を繋ぐ回転軸とは異なる部材から構成してもよい。この場合、例えば、第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bとその上側の回転盤3Bとを貫通するようにネジを設け、このネジを第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bの回転軸とすることができる。当該ネジは、回転盤3B側からナットで留めるようにすればよい。また、第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bはそれぞれの回転中心を互いにずらして形成することも可能であり、この場合は、第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bが重なって設けられなくてもよい。
ハンドル1Hでは、ワイヤガイド部材7が回転盤3に取り付けられているが、ハンドル1Dのようにワイヤガイド部材7はハンドル本体2に取り付けることも可能である。例えば、ハンドル1Hを、回転盤3の回転軸方向の両側からハンドル本体2A,2Bで挟んで構成し、回転盤3を回転軸5で下側のハンドル本体2Aに取り付け、第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bを上側のハンドル本体2Bに取り付けることができる。この場合、第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bとその上側のハンドル本体2Bとを貫通するようにネジを設け、このネジを第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bの回転軸とすることができる。ハンドル本体2Bには、第1ワイヤガイド部材7Aと第2ワイヤガイド部材7Bのそれぞれの操作部8A,8Bに対応した弧状の溝を設け、操作部8A,8Bが当該溝を貫通するように形成すればよい。
ワイヤガイド部材7を複数設ける場合、その数は2つが好ましい。また回転盤3には、ワイヤ6として、左側のワイヤ6Lと右側のワイヤ6Rの両方が配されることが好ましい。
カテーテル用ハンドルのさらに別の実施態様(第9構成例)について、図29〜図31を参照して説明する。図29は、カテーテル用ハンドルの主要部の平面図を表し、図30は、図29に示したハンドル主要部の内部構造の平面図を表し、図31は、図29に示したハンドル主要部のXXXI−XXXI断面図を表す。なお、下記の説明において、上記と重複する部分の説明を省略する。また、図29〜図31では、上記図面と同じ構成要素を同一符号で表している。
図29〜図31に示したハンドル1(1J)は、ギア機構により、ハンドル1Jの外側から操作して、ワイヤガイド部材7が回転盤3の平面方向に対して回転可能に形成されている。ハンドル1Jは、ワイヤガイド部材7に第1ギア31が備えられ、第1ギア31と係合する第2ギア32を備えた操作部材35が設けられ、操作部材35がハンドル1Jの外側に露出している。ハンドル1Jでは、上記に説明したハンドル1A〜1Hのようにワイヤガイド部材7に操作部8を設けなくても、操作部材35を操作して第2ギア32を回転させることで、第2ギア32に係合した第1ギア31が回転し、ワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に回転させることができる。
第1ギア31は、回転盤3と回転中心を同一とする平歯車として設けられる。すなわち、回転盤3の回転軸5が第1ギア31の回転軸も兼ねている。ハンドル1Jでは、第1ギア31が外歯車として形成され、第2ギア32と外接するように設けられているが、第1ギア31は回転盤3の内側に歯が設けられた内歯車として形成され、第2ギア32が第1ギア31に内接するように設けられてもよい。第2ギア32は平歯車として設けられ、第2ギア32の回転軸33は第2ギア32から突出し、ハンドル1Jの外側に延在するように(すなわち回転盤3Bを貫通して)設けられることが好ましい。操作部材35にはさらに、回転軸33に接続し、ハンドル1Jの外側に露出して把手部34が設けられることが好ましく、このように操作部材35を構成することにより、把手部34を手で摘まんで操作部材35を回しやすくすることができる。把手部34は回転軸33よりも幅広に形成されることが好ましく、より好ましくは、第2ギア32よりも幅広に形成される。このように把手部34を形成することにより、把手部34を回してワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に回転させやすくなる。
ハンドル1Jでは、ワイヤガイド部材7が回転盤3に取り付けられ、回転盤3の回転によって、ワイヤガイド部材7が回転盤3とともに回転するように形成されている。具体的には、ワイヤガイド部材7と第1ギア31は、回転盤3の回転軸5を構成するネジによって、回転盤3に取り付けられている。回転軸5のネジは、第1ギア31とワイヤガイド部材7とその下側の回転盤3Aとハンドル本体2とを貫通し、ナットにより留められている。なお、回転軸5のネジは、ハンドル本体2に形成されたネジ穴に嵌合されてもよく、また、ネジの代わりにピンによって回転軸5が形成されていてもよい。ハンドル1Hでは、回転軸5のネジとナットを締めたり緩めたりすることで、ワイヤガイド部材7が、ハンドル1Hの外側から操作して、回転盤3の回転軸方向に移動可能となる。回転軸5のネジとナットを締めると、ワイヤガイド部材7を回転盤3Aに固定させることができ、緩めると、回転盤3の平面方向に対して回転可能にすることができる。
ワイヤガイド部材7と第1ギア31は、回転軸5によって回転盤3Aに取り付けられる代わりに、ハンドル1Cのように第1ギア31にその上側の回転盤3Bに向かって突出する回転軸を設け、この回転軸が回転盤3Bを貫通して、回転盤3Bに固定されるようにしてもよい(図示せず)。この場合、例えば、回転軸をネジから構成し、このネジが回転盤3Bを貫通してナットで留めるようにすれば、ネジとナットの嵌合を締めたり緩めたりすることで、ワイヤガイド部材7が、ハンドル1の外側から操作して、回転盤3の回転軸方向に移動可能とすることができる。
ハンドル1Jでは、ハンドル1Dのようにワイヤガイド部材7をハンドル本体2に取り付けることも可能である。例えば、ハンドル1を回転盤3の回転軸方向の両側からハンドル本体2A,2Bで挟んで構成し、回転盤3を回転軸5で下側のハンドル本体2Aに取り付け、ワイヤガイド部材7を上側のハンドル本体2Bに取り付けようにすればよい。この場合、ワイヤガイド部材7と第1ギア31とハンドル本体2Bとを貫通するネジを設け、このネジをワイヤガイド部材7と第1ギア31の回転軸とすることができる。その上で、第2ギア32を備えた操作部材35を、ハンドル本体2Aを貫通させて設ければよい。
ハンドル1Jでは、操作部材35を操作してワイヤガイド部材7を回転移動させる際のワイヤガイド部材7の回転範囲を規制するために、回転盤3Aのワイヤガイド部材7との対向面に規制ピン36を突出して設け、ワイヤガイド部材7の回転盤3Aとの対向面に、規制ピン36が嵌設された弧状の溝37を形成している。このようにワイヤガイド部材7と回転盤3Aを構成することにより、ワイヤガイド部材7が溝37の角度範囲を超えて回転移動しないように規制することができる。溝37の弧の延在角度は、30°以上が好ましく、45°以上がより好ましく、60°以上がさらに好ましく、また270°以下が好ましく、210°以下がより好ましく、180°以下がさらに好ましい。なお、ワイヤガイド部材7の回転盤3Aとの対向面に規制ピンを設け、回転盤3Aのワイヤガイド部材7との対向面に、この規制ピンが嵌設された弧状の溝を形成して、ワイヤガイド部材7の回転範囲を規制することも可能である。
カテーテル用ハンドルのさらに別の実施態様(第10構成例)について、図32〜図33を参照して説明する。図32は、カテーテル用ハンドルの主要部の平面図を表し、図33は、図32に示したハンドル主要部のXXXIII−XXXIII断面図を表す。なお、下記の説明において、上記と重複する部分の説明を省略する。また、図32〜図33では、上記図面と同じ構成要素を同一符号で表している。
図32〜図33に示したハンドル1(1K)は、ワイヤガイド部材7の回転軸11に把手部41を設けることにより、ハンドル1の外側から操作して、ワイヤガイド部材7が回転盤3の平面方向に対して回転可能に形成されている。詳細には、ワイヤガイド部材7の回転軸11はワイヤガイド部材7から突出し、ハンドル1Kの外側に延在するように(すなわち回転盤3Bを貫通して)設けられ、回転軸11にはハンドル1Kの外側に露出して把手部41が設けられている。ハンドル1Kでは、把手部41を手で摘まんで回すことにより、ワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に対して回転移動させることができる。把手部41は回転軸11よりも幅広に形成されることが好ましく、例えば、その最大径が10mm以上であることが好ましく、15mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましい。このように把手部41を構成することにより、把手部41を回してワイヤガイド部材7を回転移動させやすくなる。
ハンドル1Kでは、ワイヤガイド部材7と回転盤3Bの間にバネ42が設けられている。バネ42としては、圧縮コイルバネや皿バネ等を用いることができ、バネ42が回転軸11を軸に周回して設けられることが好ましい。バネ42を設けることにより、ハンドル1Kは、ワイヤガイド部材7の回転軸方向の移動を制御することができる。すなわち、バネ42はワイヤガイド部材7を回転盤3Aに押し付けるように作用し、把手部41を手で触れない状態ではワイヤガイド部材7が回転盤3Aに固定され、把手部41を引っ張ることで、ワイヤガイド部材7が回転盤3Aから離れるように回転軸方向に移動させることができる。ハンドル1Kでは、把手部41を引っ張りながら回転させることで、ワイヤガイド部材7を回転盤3の平面方向に対して回転移動させることができる。
ハンドル1Kでは、バネ42を設けることにより、ワイヤガイド部材7の回転軸方向の移動を制御しているが、回転軸11をネジから構成し、このネジを回転盤3Bを挟んでナットで留めるように構成しても、ワイヤガイド部材7の回転軸方向の移動を制御することができる。また、ハンドル1Dのように、ワイヤガイド部材7をハンドル本体2に取り付けることも可能である。この場合は、例えば、ハンドル1を回転盤3を回転軸方向の両側からハンドル本体2A,2Bで挟んで構成し、ワイヤガイド部材7の回転軸11をハンドル本体2Bを貫通させて、回転軸11に、ハンドル1の外側に露出するように把手部41を設ければよい。
ハンドル1Kにおいても、ハンドル1Hのように、ワイヤガイド部材7の回転範囲を規制するために、回転盤3Aのワイヤガイド部材7のそれぞれの対向面に規制ピンまたは当該ピンが嵌設される弧状の溝を設けてもよい。またハンドル1Kでは、回転盤3の回転軸5がネジから構成され、このネジが回転盤3Aとハンドル本体2を貫通してナットにより留められているが、回転軸5のネジは、ハンドル本体2に形成されたネジ穴に嵌合されてもよく、ネジの代わりにピンによって回転軸5が形成されていてもよい。
以上、本発明のカテーテル用ハンドルの様々な実施態様について説明したが、上記に説明したカテーテル用ハンドルの各構成は、複数の実施態様を任意に組み合わせたり、置き換えて実施することができる。また、上記に説明したネジやナットあるいはピンやピン留めは、道具を使わなくても手で操作することができるように、把手部などを適宜設けることもできる。
また上記では、ワイヤガイド部材の回転位置の調整をハンドルの使用前に行う実施態様に基づき、本発明のカテーテル用ハンドルの使用方法について説明したが、ワイヤガイド部材の回転位置の調整はハンドルの使用中に行うことも可能である。例えば、施術中に回転盤を回転させてチューブ体の遠位側を屈曲させた際に、回転盤を所定の角度範囲のいっぱいまで回転させた状態でさらにチューブ体の遠位側を屈曲させたい場合などは、ワイヤガイド部材を回すことで、ワイヤを回転盤内に牽引してチューブ体の遠位側をさらに屈曲させることもできる。