JP6773566B2 - 自動車ギア用潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
特に、自動車に使用される潤滑油においては、これまで以上の優れた温度粘度特性が求められてきている。温度粘度特性は自動車の燃費性能に直結するものであるが、この性能向上要求は1997年に京都議定書が採択されて以降、近年世界各国の政府にて乗用車に対する二酸化炭素排出規制や燃費規制、もしくは将来的な目標が定められたためである。
特許文献14〜15には特定のエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する潤滑油組成物が提案されている。
(A1)100℃における動粘度が1.0〜12mm2/sであること
(A2)粘度指数が120以上であること
(A3)流動点が−30℃以下であること
(B1)エチレン含有率が55〜85mol%の範囲にあること
(B2)100℃における動粘度が10〜200mm2/sであること
(B3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算により得られた分子量において、分子量分布(Mw/Mn)が2.2以下であること
(B4)流動点が−10℃以下であること
(B5)示差走査熱量分析(DSC)で測定において−30℃から−60℃の範囲にピークを持ち、融解熱量(ΔH)が25J/g以下である融点を有すること
[2]前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のエチレン含有率が58〜70mol%の範囲にある[1]に記載の自動車ギア用潤滑油組成物。
[3]前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が20〜170mm2/sである[1]または[2]に記載の自動車ギア用潤滑油組成物。
[4]前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィンがプロピレンである[1]〜[3]のいずれかに記載の自動車ギア用潤滑油組成物。
本発明に係る自動車ギア用潤滑油組成物は、潤滑油基油とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)とを含有し、100℃における動粘度が10〜40mm2/sであり、前記潤滑油基油が合成油(A)からなることを特徴としている。
本発明に使用される潤滑油基油は、その製造方法や精製方法等により粘度特性や耐熱性、酸化安定性等の性能・品質が異なる。API(American Petroleum Institute)では、潤滑油基油をグループI、II、III、IV、Vの5種類に分類している。これらAPIカテゴリーはAPI Publication 1509、15th Edition、Appendix E、April 2002において定義されており、表2に示すとおりである。
本発明に係る合成油(A)は以下の(A1)〜(A3)の特徴を有する。
(A1)100℃における動粘度が1〜12mm2/sであること
この動粘度の値はJIS K2283に記載の方法に従い測定した場合のものである。合成油(A)の100℃における動粘度は、1〜12mm2/s、好ましくは1.5〜9.0mm2/s、より好ましくは1.8〜6.5mm2/sである。100℃における動粘度がこの範囲にあると、本発明の潤滑油組成物は、揮発性、温度粘度特性の点において優れる。
この粘度指数の値はJIS K2283に記載の方法に従い測定した場合のものである。合成油(A)の粘度指数は、120以上、好ましくは125以上である。粘度指数がこの範囲にあると、本発明の潤滑油組成物は、優れた温度粘度特性を有する。
この流動点の値はASTM D97に記載の方法に従い測定した場合のものである。合成油(A)の流動点は、−30℃以下、好ましくは−40℃以下、より好ましくは−50℃以下、さらに好ましくは−60℃以下である。流動点がこの範囲にあると、本発明の潤滑油組成物は、優れた低温粘度特性を有する。
グループIVに帰属されるポリ−α−オレフィンは米国特許第3,780,128号公報、米国特許第4,032,591号公報、特開平1−163136号公報等に記載のように、酸触媒により高級α−オレフィンをオリゴメリゼーションすることにより得ることができる。このうちポリ−α−オレフィンとしては、炭素原子数8以上のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンの低分子量オリゴマーが使用できる。前記潤滑油基油としてポリ−α−オレフィンを用いると、極めて温度粘度特性、低温粘度特性、さらには耐熱性に優れた潤滑油組成物が得られる。
脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、以下のような炭素、酸素、水素のみからなる脂肪酸エステルが挙げられ、例えば、一塩基酸とアルコールから製造されるモノエステル;二塩基酸とアルコールとから、またはジオールと一塩基酸または酸混合物とから製造されるジエステル;ジオール、トリオール(たとえばトリメチロールプロパン)、テトラオール(たとえばペンタエリスリトール)、ヘキサオール(たとえばジペンタエリスリトール)などと一塩基酸または酸混合物とを反応させて製造したポリオールエステルなどが挙げられる。これらのエステルの例としては、ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、トリデシルペラルゴネート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパントリヘプタノエート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート、ペンタエリスリトールテトラヘプタノエートなどが挙げられる。
本発明に係るエチレン−α−オレフィン共重合体(B)は以下(B1)〜(B5)の特徴を有する。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のエチレン含有率は、55〜85モル%、好ましくは58〜70モル%、特に好ましくは60〜68モル%である。これよりも過度に低いと潤滑油組成物の粘度温度特性が悪化し、これよりも過度に高いと分子内のエチレン連鎖が伸びることによりエチレン‐α−オレフィン共重合体が高い結晶性を発現し、潤滑油組成物の低温粘度特性を悪化させる場合がある。
この動粘度の値はJIS K2283に記載の方法により測定した場合のものである。エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度は、10〜200mm2/s、好ましくは20〜170mm2/s、より好ましくは30〜100mm2/sである。エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が上記範囲内であると、潤滑油組成物の剪断安定性および低温粘度特性の点で好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって後述する方法に従い測定し、標準ポリスチレン換算により得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)として算出される。このMw/Mnは2.2以下であり、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.8以下である。分子量分布がこの範囲を過度に超えると、高温環境での使用において低分子量成分の揮発による潤滑油組成物の粘度変化、もしくは潤滑油組成物の剪断安定性の悪化が生じる。また、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の分子量分布は少なくとも1.4以上あることが好ましい。分子量分布がこの範囲にあると、潤滑油組成物の粘度温度特性が優れる。
この流動点の値はASTM D97に記載の方法に従い測定した場合のものである。エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の流動点は、−10℃以下、好ましくは−15℃以下、より好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−25℃以下である。流動点がこの範囲にあると、本発明の潤滑油組成物は、優れた低温粘度特性を有する。
本発明に係るエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の融点(Tm)および融解熱量(ΔH)は、示差走査熱量計(DSC)測定を行い、150℃まで昇温した後、−100℃まで冷却してから昇温速度10℃/分で150℃まで昇温したときにDSC曲線をJIS K7121を参考に解析し求められる。エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、この示差走査熱量分析(DSC)条件において−30℃から−60℃の範囲、好ましくは−35℃から−58℃の範囲、より好ましくは−40℃から−50℃の範囲に融点のピークが観測される。この時観測される融点(Tm)のピークより計測される融解熱量(ΔH)(単位:J/g)は25J/g以下、好ましくは23J/g以下、より好ましくは20J/g以下である。融点のピーク、および融解熱量がこの範囲にあると、−40℃以上の温度領域において固化することなく優れた低温粘度特性を有し、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の分子内、および/または分子間相互作用により、温度粘度特性の優れた潤滑油組成物が得られる。
架橋メタロセン化合物(a)は、上記式[I]で表される。式[I]中のY、M、R1〜R14、Q、nおよびjを以下に説明する。
(Y、M、R1〜R14、Q、nおよびj)
Yは、第14族原子であり、例えば、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびスズ原子が挙げられ、好ましくは炭素原子またはケイ素原子であり、より好ましくは炭素原子である。
R1〜R12は、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基からなる群より選ばれる原子または置換基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、R1からR12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、互いに結合していなくてもよい。
ハロゲン含有基としては、上述した炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基または酸素含有基において、水素原子がハロゲン原子によって置換された基であるトリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示される。
ハロゲン原子および炭素数1〜20の炭化水素基の詳細は、上述のとおりである。Qがハロゲン原子である場合は、塩素原子が好ましい。Qが炭素数1〜20の炭化水素基である場合は、該炭化水素基の炭素数は1〜7であることが好ましい。
nは1〜4の整数であり、好ましくは1または2であり、さらに好ましくは1である。
R13およびR14は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、アリール基、置換アリール基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基からなる群より選ばれる原子または置換基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、R13およびR14は互いに結合して環を形成していてもよく、互いに結合していなくてもよい。
アリール基としては、前述した炭素数3〜20の環状不飽和炭化水素基の例と一部重複するが、芳香族化合物から誘導された置換基であるフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、テトラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、インデニル基、アズレニル基、ピロリル基、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基などが例示される。アリール基としては、フェニル基または2−ナフチル基が好ましい。
[ジメチルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、
[シクロヘキシリデン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[シクロヘキシリデン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[シクロヘキシリデン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[シクロヘキシリデン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[シクロヘキシリデン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、
[ジフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(η5−2−メチル−4−t−ブチルシクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン{η5−(2−メチル−4−i−プロピルシクロペンタジエニル)}(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、
[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、
[メチル(3−メチルフェニル)メチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(3−メチルフェニル)メチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(3−メチルフェニル)メチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(3−メチルフェニル)メチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(3−メチルフェニル)メチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、
[ジフェニルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、
[ビス(3−メチルフェニル)シリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ビス(3−メチルフェニル)シリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ビス(3−メチルフェニル)シリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ビス(3−メチルフェニル)シリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ビス(3−メチルフェニル)シリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、
[ジシクロヘキシルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジシクロヘキシルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジシクロヘキシルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジシクロヘキシルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジシクロヘキシルシリレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、
[エチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、等が挙げられる。
本発明で使用される重合触媒は、上記の架橋メタロセン化合物(a)、ならびに有機金属化合物(b−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)および架橋メタロセン化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(b)を含む。
(b−1a)一般式 Ra mAl(ORb)nHpXq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である)
で表される有機アルミニウム化合物。
(b−1c)一般式 RaRbM3(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
特にRがメチル基であるメチルアルミノキサンであってnが3以上、好ましくは10以上のものが利用される。これらアルミノキサン類に若干の有機アルミニウム化合物が混入していても差し支えない。
この修飾メチルアルミノキサンはトリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製されるものである。このような化合物は一般にMMAOと呼ばれている。このようなMMAOは米国特許4960878号公報および米国特許5041584号公報で挙げられている方法で調製することができる。また、東ソー・ファインケム社等からもトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製した、Rがイソブチル基であるものがMMAOやTMAOといった名称で市販されている。このようなMMAOは各種溶媒への溶解性および保存安定性を改良したアルミノキサンであり、具体的には上記式[IV]で表わされる化合物および[V]で表わされる化合物のうちのベンゼンに対して不溶性または難溶性の化合物とは違い、脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素に溶解する。
架橋メタロセン化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b−3)(以下、「イオン化イオン性化合物」または単に「イオン性化合物」と略称する場合がある。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許5321106号公報などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
上記のイオン性化合物(b−3)は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いでもよい。
本発明では、オレフィン重合触媒の構成成分として、必要に応じて担体(c)を用いてもよい。
担体(c)としての有機化合物としては、粒径が0.5〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
架橋メタロセン化合物(a)(以下「成分(a)」ともいう。)は、反応容積1リットル当り、通常10-9〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルになるような量で用いられる。
得られる共重合体の分子量は、重合系中の水素濃度や重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(b)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量は生成する共重合体1kgあたり0.001〜5,000NL程度が適当である。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、官能基をグラフト変性させてもよく、また、これらをさらに2次変性してもよい。例えば、特開昭61−126120号公報や特許第2593264号公報などに記載される方法など、2次変性としては特表2008−508402号公報などに記載される方法などが挙げられる。
本発明に係る自動車ギア用潤滑油組成物は、前記合成油(A)からなる潤滑油基油ならびに前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)を含有する。
鉱物油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油等の潤滑油基油が例示できる。
極圧剤は、自動車ギアが高負荷状態に晒された場合に、焼付け防止の効果を有するものの総称であり、特に限定されないが、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、チオホスフィネート類、チオカーボネート類、硫化油脂、硫化オレフィンなどのイオウ系極圧剤;リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン類などのリン酸類;塩素化炭化水素などのハロゲン系化合物などを例示することができる。また、これらの化合物を2種類以上併用してもよい。
清浄分散剤としては、金属スルホネート、金属フェネート、金属フォスファネート、コハク酸イミドなどを例示することができる。清浄分散剤は、必要に応じて自動車ギア用潤滑油組成物100質量%に対して0〜15質量%の範囲で用いられる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのフェノール系やアミン系の化合物が挙げられる。酸化防止剤は、必要に応じて自動車ギア用潤滑油組成物100質量%に対して0〜3質量%の範囲で用いられる。
上記の添加剤以外にも、抗乳化剤、着色剤、油性剤(油性向上剤)などを必要に応じて用いることができる。
本発明の自動車ギア用潤滑油組成物は、ディファレンシャルギア油、または手動変速機油などのような自動車用ギア油に好適に使用でき、極めて優れた剪断安定性と低温粘度特性を有し、自動車の省燃費性能に大きく寄与できる。特にディファレンシャルギアに多大な負荷の生じる大型自動車用ディファレンシャルギア油として極めて有用である。
[評価方法]
下記実施例および比較例等において、エチレン−α−オレフィン共重合体および自動車ギア油用潤滑油組成物の物性等は以下の方法で測定した。
o−ジクロロベンゼン−d4を測定溶媒とし、測定温度120℃、スペクトル幅20ppm、パルス繰り返し時間7.0秒、かつパルス幅6.15μsec(45°パルス)の測定条件下にて、1H−NMRスペクトル(400 MHz、日本電子ECX400P)を測定した。ケミカルシフト基準には、溶媒ピーク(オルトジクロロベンゼン 7.1ppm)を用い、0〜3ppmに観測されるメインピークと、4〜6ppmに観測されるビニル、ビニリデン、二置換オレフィンおよび三置換オレフィンに由来するピークの積分値の比率より、炭素原子1000個当たりの不飽和結合量(個/1000C)を算出した。
日本分光社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−610またはFT/IR−6100を用い、長鎖メチレン基の横揺れ振動に基づく721cm-1付近の吸収とプロピレンの骨格振動に基づく1155cm-1付近の吸収との吸光度比(D1155cm-1/D721cm-1)を算出し、予め作成しておいた検量線(ASTM D3900での標準試料を使って作成)よりエチレン含有率(重量%)を求めた。次に、得られたエチレン含有率(重量%)を用い、下記式に従ってエチレン含有率(mol%)を求めた。
分子量分布は、東ソー株式会社HLC−8320GPCを用いて以下のようにして測定した。分離カラムとして、TSKgel SuperMultiporeHZ−M(4本)を用い、カラム温度を40℃とし、移動相にはテトラヒドロフラン(和光純薬社製)を用い、展開速度を0.35ml/分とし、試料濃度を5.5g/Lとし、試料注入量を20マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンとしては、東ソー社製(PStQuick MP−M)のものを用いた。汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として重量平均分子量(Mw)並びに数平均分子量(Mn)を算出し、これらの値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
セイコーインスツルメント社X−DSC−7000を用い、簡易密閉できるアルミサンプルパンに約8mgのエチレン−α−オレフィン共重合体を入れてDSCセルに配置し、DSCセルを窒素雰囲気下にて室温から150℃まで10℃/分で昇温し、次いで、150℃で5分間保持した後、10℃/分で降温し、DSCセルを−100℃まで冷却した(降温過程)。次いで、100℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温し、昇温過程で得られるエンタルピー曲線が極大値を示す温度を融点(Tm)とし、融解に伴う吸熱量の総和を融解熱量(ΔH)とした。ピークが観測されないか、融解熱量(ΔH)の値が1J/g以下の場合、融点(Tm)は観測されないとみなした。融点(Tm)、および融解熱量(ΔH)の求め方はJIS K7121に基づいた。
100℃動粘度、および粘度指数は、JIS K2283に記載の方法により、測定、算出した。
流動点はASTM D97に記載の方法により測定した。なお、流動点が−60℃を下回る場合は、−60℃以下と記載した。
自動車ギア用潤滑油組成物の剪断安定性に関しては、潤滑油組成物に対して、CRC L−45−T−93に記載の方法に準拠し、KRL剪断試験機を用いて、試験時間100時間、試験温度60℃、ベアリング回転数1450rpmの剪断条件下にて剪断を行い、下式で表される剪断による100℃動粘度の低下率(剪断試験粘度低下率)を評価した。
剪断試験粘度低下率(%)=(剪断前の100℃動粘度−剪断後の100℃動粘度)/剪断前の100℃動粘度×100
低温粘度特性として、ASTM D2983に準拠し、それぞれ−40℃にてブルックフィールド粘度計により−40℃粘度を測定した。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は以下の重合例に従い製造した。なお、得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(B)について、必要に応じて、下記方法で水添操作を実施した。
内容積1Lのステンレス製オートクレーブに0.5質量%Pd/アルミナ触媒のヘキサン溶液100mLおよびエチレン−α−オレフィン共重合体の30質量%ヘキサン溶液500mLを加え、オートクレーブを密閉した後、窒素置換を行なった。次いで、撹拌をしながら140℃まで昇温し、系内を水素置換した後、水素で1.5MPaまで昇圧して15分間水添反応を実施した。
〔合成例1〕
[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリドの合成
(i)6−メチル−6−フェニルフルベンの合成
窒素雰囲気下、200mL三口フラスコにリチウムシクロペンタジエン7.3g (101.6mmol)および脱水テトラヒドロフラン100mLを加えて攪拌した。溶液をアイスバスで冷却し、アセトフェノン15.0g(111.8mmol)を滴下した。その後、室温で20時間攪拌し、得られた溶液を希塩酸水溶液でクエンチした。ヘキサン100mLを加えて可溶分を抽出し、この有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、溶媒を留去し、得られた粘性液体をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で分離し、目的物(赤色粘性液体)を得た。
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,7−ジ−t−ブチルフルオレン2.01g(7.20mmol)および脱水t−ブチルメチルエーテル50mLを添加した。氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.65M)4.60mL(7.59mmol)を徐々に添加し、室温で16時間攪拌した。6−メチル−6−フェニルフルベン1.66g(9.85mmol)を添加した後、加熱還流下で1時間攪拌した。氷浴で冷却しながら水50mLを徐々に添加し、得られた二層の溶液を200mL分液漏斗に移した。ジエチルエーテル50mLを加えて数回振った後水層を除き、有機層を水50mLで3回、飽和食塩水50mLで1回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで30分間乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。少量のヘキサンを加えて得た溶液に超音波を当てたところ固体が析出したので、これを採取して少量のヘキサンで洗浄した。減圧下で乾燥し、白色固体としてメチル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)(フェニル)メタン2.83gを得た。
窒素雰囲気下、100mLシュレンク管にメチル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)(フェニル)メタン1.50g(3.36mmol)、脱水トルエン50mLおよびTHF 570μL(7.03mmol)を順次添加した。氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.65M)4.20mL(6.93mmol)を徐々に添加し、45℃で5時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、脱水ジエチルエーテル40mLを添加して赤色溶液とした。メタノール/ドライアイス浴で冷却しながら四塩化ジルコニウム 728mg(3.12mmol)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら16時間攪拌したところ、赤橙色スラリーが得られた。減圧下で溶媒を留去して得られた固体をグローブボックス内に持ち込み、ヘキサンで洗浄した後、ジクロロメタンで抽出した。減圧下で溶媒を留去して濃縮した後、少量のヘキサンを加え、−20℃で放置したところ赤橙色固体が析出した。この固体を少量のヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、赤橙色固体として[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド1.20gを得た。
[エチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリドの合成
[エチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリドは、特許第4367687号公報に記載の方法で合成した。
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘプタン910mLおよびプロピレン35gを装入し、系内の温度を130℃に昇温した後、水素2.33MPa、エチレン0.07MPaを供給することにより全圧を3MPaGとした。次にトリイソブチルアルミニウム0.4mmol、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド 0.0006mmolおよびN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.006mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を400rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPaGに保ち、130℃で5分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレン、プロピレン、水素をパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/lの塩酸1000mLで3回、次いで蒸留水1000mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で一晩乾燥した後、さらに神鋼パンテック製2−03型薄膜蒸留装置を用いて、減圧度を400Paに保持し、設定温度180℃、流量3.1ml/minにて薄膜蒸留を行い、外観が無色透明なエチレン−プロピレン共重合体22.2gを得た。さらに、このエチレン−プロピレン共重合体に対して水添操作を施した。
プロピレン45gを装入、水素2.20MPa、エチレン0.12MPaを供給した以外は重合例1と同様の操作により外観が無色透明なエチレン−プロピレン共重合体を得た。さらに、このエチレン−プロピレン共重合体に対して水添操作を施した。
以上の操作により得られたポリマー(重合体2)の評価結果を表3に示す。
プロピレン45gを装入、水素2.17MPa、エチレン0.15MPaを供給した以外は重合例1と同様の操作により外観が無色透明なエチレン−プロピレン共重合体を得た。さらに、このエチレン−プロピレン共重合体に対して水添操作を施した。
以上の操作により得られたポリマー(重合体3)の評価結果を表3に示す。
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘプタン760ml、プロピレン50gを装入し、系内の温度を150℃に昇温した後、水素2.10MPa、エチレン0.12MPaを供給することにより全圧を3MPaGとした。次に、トリイソブチルアルミニウム0.4mmol、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド0.0002mmol、及びN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.002mmolを窒素で圧入し、撹拌回転数を400rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンを連続的に供給することにより全圧を3MPaGに保ち、150℃で5分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレン、プロピレン、水素をパージした。得られたポリマー溶液は、0.2mol/Lの塩酸1000mlで3回、次いで蒸留水1000mlで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で10時間乾燥し、エチレン−プロピレン共重合体を得た。さらに、このエチレン−プロピレン共重合体に対して水添操作を施した。
以上の操作により得られたポリマー(重合体4)の評価結果を表3に示す。
プロピレン50gを装入、水素2.15MPa、エチレン0.12MPaを供給した以外は重合例1と同様の操作により外観が無色透明なエチレン−プロピレン共重合体(重合体5)を得た。さらに、このエチレン−プロピレン共重合体に対して水添操作を施した。
以上の操作により得られたポリマー(重合体5)の評価結果を表3に示す。
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘプタン710mLおよびプロピレン95gを装入し、系内の温度を150℃に昇温した後、水素1.34MPa、エチレン0.32MPaを供給することにより全圧を3MPaGとした。次にトリイソブチルアルミニウム0.4mmol、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド 0.0001mmolおよびN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.001mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を400rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPaGに保ち、150℃で5分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレン、プロピレン、水素をパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/lの塩酸1000mLで3回、次いで蒸留水1000mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で一晩乾燥し、エチレン−プロピレン共重合体52.2gを得た。さらに、このエチレン−プロピレン共重合体に対して水添操作を施した。
以上の操作により得られたポリマー(重合体6)の評価結果を表3に示す。
以下の潤滑油組成物の調製において用いられたエチレン−α−オレフィン共重合体(B)以外の成分は以下のとおりである。
潤滑油基油;100℃動粘度が5.8mm2/s、粘度指数が138、流動点が−60℃以下である合成油ポリ−α−オレフィン(Neste社製NEXBASE2006、合成油−A)、ならびに脂肪酸エステルである、100℃動粘度が4.3mm2/s、粘度指数が143であるBASF社製トリメチロールプロパンC8/C10エステル(合成油−B)、ならびに100℃動粘度が4.2mm2/s、粘度指数が122、流動点が−15℃であるAPI Group III鉱物油(SK Lubricants社製Yubase−4、鉱物油−A)。
極圧剤パッケージ;Lubrizol社製Anglamol−6043(EP)
流動点降下剤;BASF社製IRGAFLO 720P(PPD)
PAO;100℃動粘度が65mm2/s、粘度指数が179であるメタロセン触媒系にて製造されたExxonMobil Chemical社製Spectrasyn Elite 65(mPAO)
実施例1〜4、および比較例1〜4では、SAEによるギア油粘度規格75W−90を満たすよう、表4に示す配合比にて配合調整を行った。得られた潤滑油組成物の潤滑油特性を併せて表4に示す。
合成油(A)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を含有する実施例1〜実施例4の潤滑油組成物はいずれも粘度指数が160以上、−40℃粘度が100,000mPa・s以下、および剪断試験粘度低下率が1%以下である、温度粘度特性、低温流動性、および剪断安定性に優れた潤滑油組成物である。
加えて潤滑油組成物の合成油(A)を鉱物油に変えた比較例4は、低温流動性が著しく悪化し、75Wを満たせない。
Claims (4)
- 以下の(A1)〜(A3)の特徴を有する合成油(A)からなる潤滑油基油と、以下の(B1)〜(B5)の特徴を有するエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を含有し、100℃における動粘度が10〜40mm2/sである自動車ギア用潤滑油組成物。
(A1)100℃における動粘度が1.0〜12mm2/sであること
(A2)粘度指数が120以上であること
(A3)流動点が−30℃以下であること
(B1)エチレン含有率が55〜85mol%の範囲にあること
(B2)100℃における動粘度が10〜200mm2/sであること
(B3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算により得られた分子量において、分子量分布(Mw/Mn)が2.2以下であること
(B4)流動点が−10℃以下であること
(B5)示差走査熱量分析(DSC)で測定において−30℃から−60℃の範囲にピークを持ち、融解熱量(ΔH)が25J/g以下である融点を有すること - 前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のエチレン含有率が58〜70mol%の範囲にある請求項1に記載の自動車ギア用潤滑油組成物。
- 前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が20〜170mm2/sである請求項1または請求項2に記載の自動車ギア用潤滑油組成物。
- 前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィンがプロピレンである請求項1〜3のいずれかに記載の自動車ギア用潤滑油組成物。
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