本願発明の理解を容易にするため、技術的な用語と、本願発明が解決しようとする課題とを説明する。まず、技術的な用語について説明する。以降の説明においては、事象、または、状態を総称して「状態」と表すとする。
データ同化(Data assimilation)技術は、時間が経過するにつれて変化する対象(target)に関する状態を表す数理的なモデルに、該対象に関する観測情報に適合するよう不確実さを表す情報を導入することによって、より高い予測精度を実現する技術である。データ同化技術におけるモデルは、複数のパラメタと、状態変数とを含む。該複数のパラメタには、それぞれ、値が設定される。さらに、状態変数には、各タイミングにおける状態変数の値がそれぞれ設定される。以降、時間が経過するにつれてパラメタの値、及び、状態変数の値(以下、状態値又は状態情報とも言う)が変化する様子を「シナリオ(scenario)」と表す。すなわち、シナリオは、対象に関する状態が変化する態様を表す。データ同化技術においては、状態変数の値が、確率分布に従い分布していると仮定する。この結果、該モデルによって推定されるシナリオは、複数存在している。
以降、1つのシナリオに従うシミュレーション、または、シナリオ自体を、「粒子(particle)」と表す。たとえば、複数の粒子は、該複数のシナリオに従うシミュレーション(または、シナリオ自体)を表す。また、シナリオのうち、あるタイミングにおける複数のパラメタの値と、状態変数の値とを、「該あるタイミングにおける状態」と表す。
データ同化技術等のシミュレーション技術においては、対象に関して実際に生じる可能性がある状態を確率的に予測する。該シミュレーション技術においては、たとえば、タイミングtにおける状態が状態Cであるという条件を満たしているシナリオに関する粒子の割合が全粒子の80%である場合に、タイミングtにおける状態が状態Cである確率が80%であると予測される。1つのシナリオに関する粒子は、複数存在していてもよい。
解析情報は、対象に関する数理的なモデルに基づき求められた状態変数の値を表す。観測情報は、たとえば、該対象を観測している観測装置によって観測された観測情報(観測値)を表す。モデル値は、数理的なモデルに含まれる変数の値が、確率分布に従い分布しているモデルにおいて、1つのシナリオにおける状態を表す変数に関する値を表す。
たとえば、上述したようなシミュレーション技術においては、あるタイミングにおける複数のモデル値に関して、該あるタイミングにおける観測情報が作成される確率分布になるように、粒子が複製、または、削除される。あるいは、該シミュレーション技術においては、あるタイミングにおける複数のモデル値に関して、該あるタイミングにおける観測情報が作成される確率分布になるように、粒子に関するシナリオを変更する。以降、粒子を複製、削除、または、変更する処理を「フィルタリング処理」と表す。該フィルタリング処理を実現する手法には、粒子フィルタ(particle filter)、アンサンブルカルマンフィルタ(ensemble Kalman filter)等の手法がある。これらの手法においては、対象に関する解析情報を算出する場合に、複数の粒子のうち、1つのタイミングにおける観測情報に最も適合している(当てはまっている、尤もらしい)粒子を選択する。以降、当てはまっている程度を「尤度」と表す。ここで、本発明の各実施形態に係る情報処理装置において算出される各尤度に関して説明する。
第1尤度(あるタイミングに関する観測情報ごとの尤度)は、式1に示されているように、あるタイミングt(tは、自然数)において第j(jは、自然数)観測装置によって観測された観測情報y
j,tに対して、第i粒子に関する変数x
t|t−1 (i)(iは、自然数)が当てはまっている程度(度合)を表す。
ただし、p(A|B)は、事象Bが生じる場合に事象Aが生じる条件付き確率を表す。xt|t−1 (i)は、第i粒子に関して、タイミング(t−1)における状態と、数理的なモデルとに基づき、タイミングtに関して推定される状態を表す。
したがって、第1尤度は、第iシナリオのうち、タイミングtにおける観測情報yj,tに対して解析情報が当てはまっている程度を表す。
第2尤度(あるタイミングに関する総合的な尤度)は、式2に示されているように、タイミングtにおいて、全ての観測情報y
tに対して、第i粒子に関する変数x
t|t−1 (i)が当てはまっている程度(度合)を表す。
ただし、Πjは、jに関する掛け算を表す。
したがって、第2尤度は、第iシナリオのうち、タイミングtにおける全観測情報に対して解析情報が当てはまっている程度を表す。
第3尤度(ある期間に関する観測情報ごとの尤度)は、式3に示されているように、タイミングt1からタイミングt2までの期間(t_1→t_2)における、第1尤度(式1)の総乗を表す。
したがって、第3尤度は、第iシナリオのうち、タイミングt1からタイミングt2までの期間における観測情報yj,tに対して解析情報が当てはまっている程度を表す。
第4尤度(ある期間に関する総合的な尤度)は、式4に示されているように、タイミングt1からタイミングt2までの期間(t1→t2)における、第2尤度(式2)の総乗を表す。
すなわち、第4尤度は、第iシナリオのうち、タイミングt1からタイミングt2までの期間におけるすべての観測情報に対して解析情報が当てはまっている程度を表す。第3尤度、及び、第4尤度は、必ずしも、式3、及び、式4に例示されているように、総乗することによって算出する処理手順でなくともよく、たとえば、総和によって算出する処理手順であってもよい。第3尤度、及び、第4尤度を算出する処理手順は、式3、及び、式4に限定されない。
粒子平均尤度は、式5乃至式8に示されるように、上述した第1尤度乃至第4尤度の4つの尤度に関して、それぞれ、すべてのシナリオに関する平均値によって算出される。
ただし、Σは、総和を算出する処理を表す。
式5に示される第1平均尤度は、タイミングtにおける観測情報yj,tに対して解析情報が当てはまっている程度を、すべてのシナリオに関して平均した平均値を表す。式6に示される第2平均尤度は、タイミングtにおける全観測情報に対して解析情報が当てはまっている程度を、すべてのシナリオに関して平均した平均値を表す。式7に示される第3平均尤度は、タイミングt1からタイミングt2までの期間における観測情報yj,tに対して解析情報が当てはまっている程度を、すべてのシナリオに関して平均した平均値を表す。式8に示される第4平均尤度は、タイミングt1からタイミングt2までの期間におけるすべての観測情報に対して解析情報が当てはまっている程度を、すべてのシナリオに関して平均した平均値を表す。
次に、本願発明者によって見出された課題について説明する。
特許文献1、及び、特許文献2等の最尤推定法においては、複数の粒子のうち、1つのタイミングにおける尤度が高い粒子を選択する。しかし、1つのタイミングにおける尤度が最も高い粒子に関するシナリオに従ったシミュレーションが、必ずしも、対象に関する予測精度が高いとは限らない。本願発明者は、該シミュレーションに関するモデルにおける不確実性が有限の離散分布を用いて表されていることに、係る対象に関する予測精度が高くならない原因の1つがあることを見出した。さらに、本願発明者は、粒子に関する尤度等の評価値(式9等を参照しながら後述する)と、解析情報との間に統計的な関係性があり、該関係性から外れる粒子が、たとえ、高い尤度を有する粒子であっても、該粒子に関するシナリオに従い推定される状態が、実際の観測情報とは乖離した状態になってしまうことを見出した。したがって、高い尤度を有する粒子に関するシナリオに従うシミュレーションであっても、該シミュレーションを用いた予測精度(prediction accuracy)が低いという課題を、本願発明者は見出した。
本願発明者は、係る課題を見出すとともに、係る課題を解決する手段を導出するに至った。以降、このような課題を解決可能な、本発明を実施する実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置101が有する構成について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置101が有する構成を示すブロック図である。
情報処理装置101は、大別して、シミュレーション部102と、評価処理部103とを有する。シミュレーション部102は、データ取得部104と、同化計算部105と、予測部106と、計算終了判定部107とを有する。評価処理部103は、評価値計算部108と、関係性決定部109と、状態算出部110とを有する。
観測装置151は、対象に関する状態を観測し、観測した状態を表す観測情報(観測値)を作成し、作成した観測情報を観測情報記憶部154に格納する。入力装置152は、外部から設定情報を入力し、入力した設定情報を設定情報記憶部155に格納する。設定情報は、対象に関する設定モデルを表す情報、及び、同化処理を終了するか否かを表す終了条件(stopping criteria)を含む。該終了条件は、たとえば、処理しているタイミングが所定のタイミング(すなわち、終了タイミング)に到達したという条件である。または、該終了条件は、状態値(状態情報)のうち、いずれかの状態値が所定の条件(たとえば、状態値が閾値を超えている)を満たしているという条件であってもよい。状態値(状態情報)は、対象に関する状態を表す。状態情報は、たとえば、対象作物、高速道路等の対象に関する状態のうち、注目している状態を表す情報であり、後述する対象作物の収穫量、渋滞が解消するまでに要する時間等を表す情報である。
情報処理装置101は、観測情報記憶部154、設定情報記憶部155、及び、出力装置153に、接続(または、通信可能に接続)されている。情報処理装置101は、観測情報記憶部154に格納されている観測情報、及び、設定情報記憶部155に格納されている設定情報を読み取ることができる。情報処理装置101は、処理した結果を出力装置153に出力してもよい。
第1の実施形態に係る情報処理装置101における各構成要素について説明する。
データ取得部104は、観測情報記憶部154に格納されている観測情報を読み取り、読み取った観測情報を同化計算部105に対して出力する。
同化計算部105は、データ取得部104が出力した観測情報を入力する。次に、同化計算部105は、複数のシナリオ(粒子)を作成する。この処理について説明する。
まず、同化計算部105は、あるタイミングにおける状態情報(状態値)を含むセットを、複数作成する。すなわち、同化計算部105は、該状態情報(状態値)を含むシナリオ(粒子)を複数作成する。次に、同化計算部105は、観測情報を中心としてある分散を有した乱数を算出し、作成した乱数が組み合わされることによって構成されたセットを複数作成する。同化計算部105は、各該セットを含むシナリオ(粒子)を作成する。したがって、上記の処理は、あるタイミングにおける観測情報が作成される確率分布になるように、粒子を複製、変更、または、削除する処理である。同化計算部105は、上述した処理によって、各タイミングに関する観測情報と、数理的なモデルとに基づきフィルタリング処理を実行する。また、同化計算部105は、入力した観測情報に基づき、式1乃至式4を参照しながら上述したような尤度(生じやすさの程度)、及び、式5乃至式8を参照しながら上述したような平均尤度(シナリオに関して平均化された生じやすさの程度)のうち、少なくとも、いずれか1つの尤度を算出する。同化計算部105は、算出した該尤度、及び、該平均尤度を評価処理部103に対して出力する。
次に、同化計算部105は、作成した複数の粒子を、予測部106に対して出力する。観測情報が観測されていないタイミングに関して、同化計算部105は、上述したフィルタリング処理を実行せずに、粒子を予測部106に対して出力する。
予測部106は、同化計算部105が出力した粒子(シナリオ)を入力し、入力したシナリオのうちのタイミングtにおける状態情報と、対象に関する状態が時間の推移に従い変化する態様を表す微分方程式が離散化された数理的なモデルとに基づき、タイミング(t+1)における状態情報を作成する。
計算終了判定部107は、設定情報記憶部155に格納されている設定情報のうち、計算を終了するか否かに関する終了条件を読み取り、読み取った終了条件に基づき、同化処理を終了するか否かを判定する。計算終了判定部107は、同化処理を終了すると判定した場合に、同化処理を終了する。計算終了判定部107は、同化処理を終了しないと判定した場合に、ステップS101(図2を参照しながら後述する)に示された処理を実行する。
シミュレーション部102は、同化処理を実行する過程において算出される尤度(式1乃至式8に例示)と、該同化処理を実行した結果として算出される各粒子の状態情報とを、評価処理部103に対して出力する。したがって、シミュレーション部102は、上述したような処理を実行することによって、対象に関する状態が変化する態様を表すシナリオを推定する。
評価処理部103において評価値計算部108は、シミュレーション部102が出力した状態情報と、尤度とを入力する。評価値計算部108は、入力した尤度に対して所定の評価処理を実行することによって、粒子(シナリオ)と、対象にて実際に生じた状態とが類似している程度を表す評価値(式9)を算出する。
ただし、Σjは、jに関する総和を算出することを表す。αjは、重みを表す。Σjαj=1である。
式9に例示された評価値は、各シナリオに関する尤度の期待値であるので、尤もらしさ(生じやすさ)の程度を表す情報である。したがって、粒子に関する評価値が大きな値であるほど、該粒子は実際に生じた状態に近い状態を表す。粒子に関する評価値が小さな値であるほど、該粒子は実際に生じた状態に遠い状態を表す。所定の評価処理は、たとえば、式9に従い評価値を算出する処理である。
評価値計算部108は、算出した評価値を、関係性決定部109に対して出力する。評価値計算部108は、上述した処理を、各粒子に関して実行する。
関係性決定部109は、各粒子に関して評価値計算部108が出力した評価値を入力する。関係性決定部109は、図3(後述する)に例示されているように、各粒子における状態情報のうちの少なくとも1つの値と、該粒子に関する評価値とに対して適合している関係性を求める。関係性決定部109は、たとえば、複数の粒子に関して、該値と、該評価値とが適合している関係性を求めるフィッティング処理を実行する。該フィッティング処理は、該値と、該評価値とに基づき、所定の関係性における係数を求める処理である。所定の関係性は、たとえば、ガウス関数、2次関数、または、それらの関数を足し合わせた合成関数である。所定の関係性が上に凸な関数である場合には、該関係性において大きな値を探索することによって、評価値が高い値を求めることができる。
関係性決定部109は、状態情報が所定の制約条件を満たしている場合における値に関して、上述したようなフィッティング処理を実行してもよい。たとえば、作物を育成する過程に関するシミュレーションの場合に、関係性決定部109は、状態情報の1つである作物の収穫量xに関して、「1ヘクタールあたり50トンから150トンまでの範囲」という所定の制約条件を満たしている状態情報のみに関して、上述したようなフィッティング処理を実行してもよい。これは、たとえば、1ヘクタールあたりにて収穫可能な作物の量が、あらかじめ得られている場合に適用できる。関係性決定部109は、算出した関係性を状態算出部110に対して出力する。フィッティング処理に関しては、図3を参照しながら後述する。
状態算出部110は、関係性決定部109が出力した関係性を入力し、入力した関係性に基づき状態情報に関する推定情報を作成し、作成した推定情報を出力装置153に出力する。この処理において、状態算出部110は、入力した該関係性において、生じやすさが所定の選択条件を満たす場合の状態情報(たとえば、生じやすい状態情報)を該推定情報として求める。たとえば、所定の選択条件が、生じやすさが該関係性において大きな値であるという条件である場合に、状態算出部110は、入力した該関係性において、生じやすさを表す評価値が大きな値である場合における状態情報を、該推定情報として求める。この場合に、状態算出部110は、入力した関係性に含まれている評価値を相互に比較することによって、該評価値が大きな値である場合における状態情報を求める。たとえば、状態算出部110は、該関係性における評価値が最大(または、略最大)である場合における状態情報を、該推定情報として求めてもよい。略最大は、たとえば、最大から所定の範囲(たとえば、3%、5%、または、10%)内の値であればよい。
次に、図3を参照しながら、フィッティング処理について説明する。図3は、シナリオにおける状態に関する状態値と、該シナリオに関する評価値とに基づきフィッティング処理された関係性を概念的に表す図である。図3の横軸は、状態情報のうち注目している状態値を表し、右側であるほど該状態値が大きく、左側であるほど該状態値が小さいことを表す。図3の縦軸は、評価値を表し、上側であるほど評価値が大きく(すなわち、尤もらしい)、下側であるほど評価値が小さい(すなわち、尤もらしくない)ことを表す。黒い点は、シナリオに関する評価値と、該シナリオにおける状態情報のうち注目している状態の値とによって決定される位置を表す。曲線は、各粒子に関して決定された位置に基づき求められた関係性を表す。フィッティング処理においては、各粒子に関して決定された位置との乖離が少ない関係性が求められる。
尚、フィッティング処理においては、関係性とは乖離している位置に関する情報(すなわち、はずれ値)を用いることなく処理を実行してもよい。この場合に、該処理は、はずれ値が関係性におけるパラメタの値に与える影響を抑える処理である。該はずれ値の影響を抑える処理は、たとえば、注目している位置の分布から大きく乖離している位置を用いない処理であってもよい。乖離しているか否かの判定処理は、たとえば、該位置が、全位置の平均的な位置から「3×σ」(σは、標準偏差を表す)以上離れているか否かを判定することによって実行される。この場合に、乖離しているか否かの判定処理は、たとえば、該位置が、全位置の平均的な位置から所定の距離以内であるか否かを判定することによって実行される。または、該はずれ値の影響を抑える処理は、上述したような所定の制約条件に基づく処理であってもよい。本実施形態において、距離は、数理的(数学的)な距離を表している。
該はずれ値の影響を抑える処理は、たとえば、複数の位置をクラスタリングする手法に従い求められたクラスタに応じて、はずれ値を選択する処理であってもよい。クラスタリングする手法は、たとえば、K−means法、X−means法である。この場合に、該はずれ値の影響を抑える処理においては、複数の位置をクラスタリングすることによってクラスタを求め、求められたクラスタに属している位置の個数を求める。該処理においては、次に、求めた該クラスタを、属している位置の個数が多いクラスタと、属している位置の個数が少ないクラスタとに分類し、後者のクラスタに属している位置をはずれ値として選択する。該処理によれば、はずれ値の影響を抑える処理によって、より正確に推定情報を求めることができる。
次に、図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置101における処理について詳細に説明する。図2は、第1の実施形態に係る情報処理装置101における処理の流れを示すフローチャートである。
データ取得部104は、観測情報記憶部154に観測情報が格納されているか否かを判定する(ステップS102)。観測情報記憶部154に観測情報が格納されている場合に(ステップS102にてYES)、データ取得部104は、観測情報記憶部154から観測情報を取得し、観測した観測情報を同化計算部105に対して出力する。同化計算部105は、データ取得部104が出力した観測情報を入力する。同化計算部105は、上述したような、同化処理(ステップS103)、及び、フィルタリング処理を実行する。同化処理において、同化計算部105は、取得した該観測情報に基づき、式1乃至式8を参照しながら上述したような尤度のうち、少なくとも、いずれか1つの尤度を算出する。
観測情報記憶部154に観測情報が格納されていない場合に(ステップS102にてNO)、ステップS103に示された同化処理は実行されない。この場合に、データ取得部104は、観測情報がないことを表す信号を予測部106に対して出力する。
予測部106は、同化計算部105が出力した状態情報、及び、尤度、または、データ取得部104が出力した信号を入力する。予測部106は、入力した状態情報と、数理的なモデルとに基づき、入力した状態情報に関するタイミングの次のタイミングにおける状態情報を作成する(ステップS104)。
計算終了判定部107は、設定情報記憶部155に格納されている設定情報のうち、同化処理を終了するか否かに関する終了条件を読み取り、読み取った終了条件に基づき、同化処理を終了するか否かを判定する(ステップS105)。計算終了判定部107は、同化処理を終了すると判定した場合に(ステップS105にてYES)、同化処理を終了する。計算終了判定部107は、同化処理を終了しないと判定した場合に(ステップS105にてNO)、タイミングを進める処理(ステップS101)を実行する。ステップS101に示された処理の後に、ステップS102に示された処理が実行される。
ステップS105にてYESの場合に、評価値計算部108は、同化計算部105が算出した各粒子の第3尤度(式3に例示)と、予測部106が算出した各粒子の状態情報とに所定の評価処理を実行する。この処理によって、評価値計算部108は、粒子(シナリオ)と、対象にて実際に生じた状態とが類似している程度を表す評価値(式9に例示)を算出する(ステップS106)。
次に、関係性決定部109は、各粒子に関して評価値計算部108が算出した評価値(式9に例示)と、該粒子に関して予測部106が算出した状態情報とに対して適合している関係性を求める(ステップS107)。たとえば、関係性決定部109は、図3に例示されているようなフィッティングに関する処理を実行することによって該関係性を求める。
評価値計算部108は、関係性決定部109が求めた関係性に基づき、評価値が大きい場合の状態情報を作成する(ステップS108)。評価値計算部108は、たとえば、ガウス関数が最大となる場合の状態情報を求めることによって、評価値が最も大きい場合における状態情報を作成する。
次に、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置101に関する効果について説明する。
第1の実施形態に係る情報処理装置101によれば、対象に関する状態を高精度に推定する基となる情報を提供することができる。この理由は、対象に関する粒子(シナリオ)の評価値と、該対象に関する状態情報との間の定性的な関係性に基づき、尤もらしい状態を与える状態を決定することによって、上述したように、該対象に関する観測情報とは乖離した予測が実行されてしまう可能性を低減することができるからである。この理由について、具体的に説明する。
最尤推定(maximum likelihood estimation)においては、最も大きな尤度を有する粒子(シナリオ)における状態情報を、最適な推定情報として作成する。また、上述したような粒子は、解空間において離散的に現れる。このため、最尤推定においては、正確な粒子を算出する目的のために、該解空間において粒子を増やすことによって該解空間における粒子の密度を増やす。この結果、最尤推定においては、正確な粒子を算出する場合に計算量が増えてしまう。
解空間は、対象が、たとえば、作物の収穫量である場合に、該収穫量に関する1つの座標軸を表す。各粒子(シナリオ)における収穫量は、該座標軸上(たとえば、図3の「状態の値」に示される座標軸上)に分布している。しかし、本願発明者が見出した課題について上述したように、該座標軸に分布している値(たとえば、図3の黒い点の横軸方向の座標値)は、必ずしも、実際に対象に生じる状態を表しているとは限らない。
本実施形態に係る情報処理装置101は、各シナリオに関して算出された評価値と、該シナリオにおいて注目している状態を表す状態情報との間の関係性(図3における曲線)を求め、求めた該関係性に従い、尤もらしい状態情報を求める。この場合に、情報処理装置101は、たとえば、所定の関係性におけるパラメタの値を、該評価値と、該状態情報と(すなわち、図3の黒い点の位置)に基づき決定することによって、最適な推定情報を作成する。所定の関係性は、たとえば、状態情報が分布している区間において連続している。この結果、情報処理装置が求める解は、離散的な状態情報を処理する場合に比べて、実際に対象に生じる状態である可能性が高い。
さらに、所定の関係性として、ガウス関数、または、尤度に関して上に凸な関数等の関係性を用いることによって、該評価値と、該状態情報とのセットの分布から、外れているセットを取り除くことができる。この結果、実際に対象に生じる可能性が低い状態(すなわち、非現実的な状態)を、該解空間から除外することができる。この結果、本実施形態に係る情報処理装置によれば、対象に関する状態を、より一層、高精度に推定する基となる情報を提供することができる。
また、本実施形態に係る情報処理装置101は、評価値と、状態情報とに適合している関係性を求め、求めた該関係性に従い評価値が大きな状態情報を求める。したがって、対象に関する状態を高精度に推定する基となる情報を提供する目的のために、膨大な個数の粒子を作成する必要はない。これに対して、特許文献1、または、特許文献2に開示されている装置は、評価値が高い状態情報を選択するので、対象に関する状態を高精度に推定する基となる情報を提供する目的のためには、膨大な個数の粒子を作成する必要がある。
また、同化処理を例として参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置101における処理について説明したが、情報処理装置101における処理は、必ずしも、同化処理に関する処理でなくともよい。情報処理装置101における処理は、対象に関する状態を予測し、さらに、予測した状態と、該対象に関して観測された観測情報との依存関係を解析する処理に関して実行されればよく、上述した例に限定されない。以降の各実施形態についても同様に、同化処理に限定されない。
<第2の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態を基本とする本発明の第2の実施形態について説明する。
以降の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明を省略する。
図4を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置201が有する構成について詳細に説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置201が有する構成を示すブロック図である。
情報処理装置201は、大別して、複数のシミュレーション部202と、評価処理部203とを有する。シミュレーション部202は、データ取得部204と、同化計算部205と、予測部206と、計算終了判定部207と、統計処理部208とを有する。評価処理部203は、評価値計算部209と、関係性決定部210と、状態算出部211とを有する。
データ取得部204は、データ取得部104が有している機能と同様な機能を有する。同化計算部205は、同化計算部105が有している機能と同様な機能を有する。予測部206は、予測部106が有している機能と同様な機能を有する。計算終了判定部207は、計算終了判定部107が有している機能と同様な機能を有する。評価値計算部209は、評価値計算部108が有している機能と同様な機能を有する。関係性決定部210は、関係性決定部109が有している機能と同様な機能を有する。状態算出部211は、状態算出部110が有している機能と同様な機能を有する。したがって、シミュレーション部202は、対象に関する状態が変化する態様を表すシナリオを推定する。
観測装置151は、対象に関する状態を観測し、観測した状態を表す観測情報(観測値)を作成し、作成した観測情報を観測情報記憶部154に格納する。入力装置152は、外部から設定情報を入力し、入力した設定情報を設定情報記憶部155に格納する。設定情報は、対象に関する設定モデルを表す情報、及び、同化処理を終了するか否かを表す終了条件を含む。該終了条件は、たとえば、処理しているタイミングが所定のタイミング(すなわち、終了タイミング)に到達したという条件である。または、該終了条件は、状態情報のうち、いずれかの状態値が所定の条件(たとえば、状態値が閾値を超えている)を満たしているという条件である。
情報処理装置201は、観測情報記憶部154、設定情報記憶部155、及び、出力装置153に、接続(または、通信可能に接続)されている。情報処理装置201は、観測情報記憶部154に格納されている観測情報、及び、設定情報記憶部155に格納されている設定情報を読み取ることができる。情報処理装置201は、処理した結果を出力装置153に出力してもよい。
本実施形態に係る情報処理装置201において、シミュレーション部202は、観測情報、設定情報、及び、擬似乱数(pseudo−random numbers)を生成(generate)する初期条件である乱数種(random seed)を読み取る。シミュレーション部202において、同化計算部205は、たとえば、乱数種情報212から乱数種を読み取り、読み取った乱数種に基づき擬似乱数を生成する。同化計算部205は、乱数種でなく、擬似乱数、または、乱数を読み取ってもよい。以降、擬似乱数、または乱数を総称して「乱数」と表す。該乱数は、初期の状態値を算出する場合や、粒子を再配分する場合に用いられる。また、同化計算部205は、シミュレーション部202ごとに異なる複数の乱数種を読み取る。同化計算部205は、第1の実施形態にて説明したような同化処理、及び、フィルタリング処理を実行する。同化計算部205は、該同化処理において、式1乃至式8を参照しながら説明したような尤度(生じやすさの程度、尤もらしさの程度)のうち、少なくとも、いずれか1つの尤度を算出する。
統計処理部208は、同化計算部205が算出した各粒子の尤度、及び、状態情報を統計処理する(ステップS203)ことによって、代表的な尤度、及び、代表的な状態情報を選択する。式10に示されているように、統計処理部208は、代表的な状態情報x
kl(ただし、kは、乱数種を指し示す自然数。l(エル)は、第l状態情報を表す)として、たとえば、各粒子が表すシナリオにおける状態情報が該粒子に関する第4尤度(式4)にて重み付けされた加重平均を算出する。
ただし、xkl (i)は、第i粒子に関して、第k乱数種に従い生成された擬似乱数に基づき算出された第l状態(変数)の値を表す。
すなわち、統計処理部208は、式10に示された処理に従い、平均的な状態情報を算出する。
統計処理部208は、さらに、観測情報に関する代表的な尤度L
kj(ただし、kは、乱数種を指し示す自然数。jは、第j状態情報を表す)として、たとえば、各粒子が表すシナリオに関する尤度が該粒子に関する第4尤度(式4)にて重み付けされた加重平均を算出する。
ただし、Lkj (i)は、第i粒子に関して、第k乱数種に従い生成された擬似乱数に基づき算出された第j状態(変数)に関する平均尤度を表す。たとえば、Lkj (i)は、式7に従い算出される尤度を表す。
すなわち、統計処理部208は、式11に示された処理に従い、尤もらしさの平均(すなわち、平均的な尤もらしさ)を算出する。
各シミュレーション部202は、式10及び式11等に示された処理に従い算出した代表的な尤度、及び、代表的な状態情報を、評価値計算部209に対して出力する。したがって、各シミュレーション部202は、粒子ごとではなく、各状態処理を算出した乱数種ごとに上述した値を算出する。
関係性決定部210、及び、状態算出部211は、第1の実施形態にて説明した処理と同様な処理を実行する。状態算出部211は、作成した推定情報を出力装置153に出力する。
次に、図5を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置201における処理について詳細に説明する。図5は、第2の実施形態に係る情報処理装置201における処理の流れを示すフローチャートである。
各シミュレーション部202は、乱数種情報から乱数種を読み取る。各シミュレーション部202は、並行、擬似並行、または、逐次的に、ステップS201、及び、ステップS202を参照しながら上述したような処理を実行する。ステップS202は、図2内のステップS101乃至ステップS105に示された処理を表す。ステップS202にて実行される処理について、図2を参照しながら具体的に説明する。
各シミュレーション部202において、データ取得部204は、観測情報記憶部154に観測情報が格納されているか否かを判定する(ステップS102)。観測情報記憶部154に観測情報が格納されている場合に、同化計算部205は、該観測情報に基づき、上述したような同化処理を実行する(ステップS103)。同化計算部205は、該同化処理において、式1乃至式8を参照しながら説明したような尤度のうち、少なくとも、いずれか1つの尤度を、該観測情報に基づき算出する。観測情報記憶部154に観測情報が格納されていない場合に(ステップS102にてNO)、同化計算部205は、ステップS103に示された処理を実行しない。
観測情報記憶部154に観測情報が格納されていない場合に(ステップS102にてNO)、予測部206は、数理的なモデルに基づき、次のタイミングにおける状態に関する状態情報を作成する(ステップS104)。観測情報記憶部154に観測情報が格納されている場合に(ステップS102にてYES)、予測部206は、算出された粒子(シナリオ)に関して、次のタイミングにおける状態に関する状態情報を作成する(ステップS104)。
ステップS101乃至ステップS105(図2)における処理は、所定の終了条件が成立していない場合に(ステップS105にてNO)、繰り返し実行される。所定の終了条件が成立した場合に(ステップS105にてYES)、シミュレーション部202は、式10、及び、式11を参照しながら説明した処理を実行することによって、代表的な尤度、及び、代表的な状態情報を作成する(図5におけるステップS203)。
すべてのシミュレーション部202が代表的な尤度、及び、代表的な状態情報を作成した後に、評価値計算部209は、該代表的な尤度、及び、代表的な状態情報に基づき、乱数種ごとの評価値を算出する(ステップS204)。評価値は、たとえば、代表的な尤度が、各シナリオに関して平均化された値である。
関係性決定部210は、粒子(シナリオ)に関して乱数種ごとに算出された評価値と、該シナリオにおける代表的な状態情報のうちの指定された状態情報とに関するフィッティング処理を実行する(ステップS205)。フィッティング処理は、図3に例示されているように、たとえば、ガウス関数等の所定の関係性におけるパラメタの値を算出することによって、関係性を求める処理である。
状態算出部211は、求めた関係性に関して、評価値が最大である場合の状態値を推定情報として作成し(ステップS206)、作成した推定情報を出力装置153に出力する。
上述した処理においては、算出された関係性と、該関係性におけるパラメタを算出する基である情報(すなわち、評価値と、所定の状態情報との組)との適合度に基づき、式9に示されているような評価値を算出する基である乱数の個数を調整してもよい。たとえば、関係性決定部210は、上述したような適合度を、関係性を求める処理において算出し、求めた適合度に基づき、さらに、粒子を作成するか否かを判定する。たとえば、適合度が低い場合に、関係性決定部210は、さらに、粒子を作成することを決定する。関係性決定部210が粒子を作成することを決定した場合に、シミュレーション部202は、さらに、粒子を作成する。
また、上述した処理においては、各乱数種に関する代表的な状態情報、及び、代表的な尤度に基づき、フィッティング処理を実行しているが、代表的な状態情報、及び、代表的な尤度を参照せずにフィッティング処理を実行してもよい。この場合に、関係性決定部210は、各乱数種に従い算出された各粒子に関する尤度と、該粒子における状態情報とに基づき、フィッティング処理を実行する。
または、関係性決定部210は、各乱数種に関する尤度が最も高い場合における尤度、及び、状態情報を、代表的な尤度、または、代表的な状態情報として算出してもよい。
次に、上述した処理を農業に適用した場合に、本実施形態に係る情報処理装置201が実行する処理について説明する。
まず、対象作物である植物の成長に関するシミュレーションに、本実施形態に係る情報処理装置201を適用した場合に、情報処理装置201が実行する処理について、図2、及び、図5を参照しながら説明する。
観測情報記憶部154には、植物に関して観測している土壌水分量センサー、葉面積指数センサー、植物伸長センサー、葉中窒素濃度センサー等の観測装置151によって観測された観測情報が、観測日ごとに格納されているとする。
データ取得部204は、観測情報記憶部154に格納されている観測情報を読み取る。
説明の便宜上、該植物が発芽してから該植物の実が熟す(すなわち、対象作物を収穫できる)までの期間を、200日間とする。シミュレーションにおいては、該200日間における植物の状態をシミュレーションするとする。また、注目する状態は、該200日目における実の総重量であるとする。この場合に、設定情報記憶部155に設定される終了条件は、たとえば、タイミングが200日以上であるという条件である。植物成長モデルは、観測情報と、植物の状態を表す情報との関係性を表す情報である。
同化計算部205は、たとえば、乱数種に従い生成された擬似乱数を用いて、1000個の粒子(シナリオ)を作成する。同化計算部205は、作成した粒子における状態と、植物成長モデルと、該植物に関して観測された観測情報とに基づき、第1の実施形態にて上述したような、同化処理(図2におけるステップS103)を実行する。タイミングに関する観測情報が観測情報記憶部154に格納されていない場合に(ステップS102にてNO)、同化計算部205は、該同化処理(ステップS103)を実行しない。
次に、予測部206は、同化計算部205が算出した粒子における状態情報に植物成長モデルを適用することによって、該植物に関する次のタイミングにおける状態情報を推定する(ステップS104)。すなわち、予測部206は、次のタイミングにおける状態情報を作成する。
所定の終了条件(この例において、タイミングが200日以上であるという条件)が成立していない場合に(ステップS105にてNO)、ステップS101乃至ステップS105(図2)における処理は、次のタイミングに関して実行される。タイミングが200日以上である場合に(ステップS105にてYES)、シミュレーション部202は、同化処理を終了する。
シミュレーション部202は、上述したような入力データに関して同化処理を実行することによって、1000個の各粒子に関する尤度(たとえば、植物に関する土壌水分量、葉面積指数、伸長、葉中窒素濃度に対する尤度(λj,0→200 (i))、及び、該粒子に関する状態情報(たとえば、実の総重量x(i))を算出する。
ただし、発芽したタイミングを表すタイミングを「0」と表し、200日後を表すタイミングを「200」と表す。
たとえば、土壌水分量センサー、葉面積指数センサー、植物伸長センサー、葉中窒素濃度センサーのそれぞれの信頼度がα
j(ただし、jは、自然数。jは、観測装置を表している)である場合に、評価値計算部209は、それぞれの粒子の評価値を、式12に従い算出する(図5におけるステップS204)。
関係性決定部210は、式13に示されているような所定の関係性に従い、該所定の関係性におけるパラメタ(μ、σ)を決定する。
ただし、μは、xの平均値を表す。σ2は、xの分散を表す。πは、円周率を表す。expは、ネイピア数に関する指数関数を表す。xは、総重量に関するパラメタ(変数)を表す。Eは、式12に示される評価値E(i)に関するパラメタ(変数)を表す。
したがって、関係性決定部210は、式13に示されているような関係性におけるパラメタ(μ、σ)を算出することによって、フィッティング処理を実行する(ステップS205)。状態算出部211は、シミュレーション部202が算出した関係性に基づき、該関係性における評価値が最大である場合の状態値(すなわち、μ)を求める(ステップS206)。
たとえば、対象である状態値(この例では、植物の実の総重量)の平均が、1ヘクタールあたり130トン(すなわち、130(t/ha))であり、尤度が最も多い粒子における作物の総重量が125(t/ha)であり、次に尤度が高い粒子における総重量が134(t/ha)であるとする。特許文献1等に記載された最尤推定法においては、尤度が最も高い粒子における状態値である125(t/ha)を算出する。これに対して、本実施形態に係る情報処理装置201は、上述したような加重平均された尤度を、全粒子に関して算出することによって、状態値に関する推定情報として129(=(134+125)÷2)(t/ha)を算出する。情報処理装置201は、植物に関する観測情報と、該植物に関する植物成長モデルとに基づき、該植物が発芽してから200日目における該植物の実の総重量が、1ヘクタールあたり129トンであると推定する。
状態算出部211は、作成した推定情報を、ディスプレイ等の出力装置153に出力する。
次に、車両の渋滞を予測するシミュレーションに、本実施形態に係る情報処理装置201を適用した場合の、該情報処理装置201における処理について説明する。
観測情報記憶部154には、トラフィックカウンター、各高速道路の出入口に設置された車両数センサー等の観測装置151によって観測された観測情報が格納されている。観測情報は、たとえば、5分おきに観測された情報である。観測情報は、たとえば、渋滞が生じている位置、各位置における車両の流速、車両の密度、各高速道路に流入する車両の台数、高速道路から流出する車両の台数を表す情報である。
説明の便宜上、シミュレーションは、渋滞予測に関するシミュレーションであるとする。該シミュレーションにおいては、現在から3時間における渋滞をシミュレーションするとする。たとえば、該シミュレーションにおいては、渋滞が生じた各位置において、渋滞が解消されるまでに要する時間(以降、「解消時間」と表す)が推定される。所定の終了条件は、タイミングが、現在から3時間を経過するという条件である。指定される状態情報は、渋滞が解消されるまでに要する時間であるとする。図2、及び、図5を参照しながら、処理について説明する。
データ取得部204は、観測情報記憶部154に観測情報が格納されているか否かを判定する(ステップS102)。観測情報記憶部154に観測情報が格納されている場合に(ステップS102にてYES)、データ取得部204は、観測情報記憶部154から観測情報を読み取り、読み取った観測情報を同化計算部205に対して出力する。観測情報記憶部154に観測情報が格納されていない場合に(ステップS102にてNO)、データ取得部204は、次のタイミングの状態情報を作成するよう要求する信号を予測部206に対して出力する。
同化計算部205は、データ取得部204が出力した観測情報を入力する。同化計算部205は、入力した観測情報と、渋滞モデルとに基づき、たとえば、乱数種に従い生成された擬似乱数を用いて1000個の粒子(すなわち、シナリオ)を作成する。同化計算部205は、作成した1000個の粒子に関して、観測情報に基づき同化処理を実行する(ステップS103)ことによって、1000個の粒子を作成する。該同化処理において、同化計算部205は、該観測情報に基づき、式1乃至式8を参照しながら説明したような尤度(生じやすさの程度、尤もらしさの程度)のうち、少なくとも、いずれか1つの尤度を算出する。
予測部206は、更新された粒子における状態情報と、該渋滞モデルとに基づき、次のタイミングにおける状態情報を予測する(ステップS104)。ステップS101乃至ステップS105(図2)に示された処理は、所定の終了条件が成立していない期間(ステップS105にてNO)、タイミングごとに実行される。
所定の終了条件が成立していると計算終了判定部207が判定した場合(すなわち、シミュレーションに関するタイミングが現在から3時間経過した場合、ステップS105にてYES)に、シミュレーション部202は、同化処理を終了する。
シミュレーション部202は、上述したような処理を実行することによって、1000個の各粒子に関する尤度と、該粒子に関する状態情報とを算出する。該尤度は、該粒子における観測情報であり、たとえば、渋滞が生じた位置、各位置において車両が移動する速度、車両の密度、各高速道路に流入する車両の台数、または、各高速道路から流出する車両の台数等の情報に関する尤度(λj,0→3h (i))である。状態情報は、たとえば、指定された状態情報である第k位置において渋滞が解消するまでに要する時間(xk (i))である。
ただし、現在を表すタイミングを「0」と表し、3時間後を表すタイミングを「3h」と表す。
評価値計算部209は、シミュレーション部202が各粒子に関して算出した尤度と、該粒子に関する状態情報とに基づき、該粒子に関する評価値を算出する(ステップS204)。たとえば、渋滞が発生した位置、各位置における車両の流速、車両の密度、各高速道路に流入する車両の台数、該高速道路から流出する車両の台数等の観測情報に関する誤差がα
jである場合に、それぞれの粒子に関する評価値は、式14に示されるように算出される。
所定の関係性が式15によって表されている場合に、関係性決定部109は、式15に示された関係性に基づき、該関係性に含まれているパラメタ(σ,μ)の値を求める。
μは、xの平均値を表す。σ2は、xの分散を表す。πは、円周率を表す。expは、ネイピア数に関する指数関数を表す。xは、渋滞が解消するまでに要する時間に関するパラメタ(変数)を表す。Eは、式14に示される評価値E(i)に関するパラメタ(変数)を表す。
したがって、関係性決定部109は、パラメタ(σ,μ)の値を求めることによって、粒子における観測情報と、該粒子に関する評価値との関係性を算出する。すなわち、関係性決定部109は、該パラメタの値を算出することによってフィッティング処理を実行する(ステップS205)。
状態算出部211は、関係性決定部109が求めた関係性に基づき、求めた関係性において式15に示された関係性の値が最大である場合の状態情報(たとえば、xの値情報)を、推定情報(すなわち、推定値μ)として算出する(ステップS206)。
たとえば、第k(kは、自然数)位置において生じた渋滞の解消に要する時間のうち、最も高い尤度を有する第k位置に関する状態情報(この例では渋滞が解消されるまでに要する時間)が2.3時間であるとする。また、次に尤度が高い第k粒子に関する状態情報(この例では渋滞が解消されるまでに要する時間)が1.8時間であるとする。
この場合に、特許文献1等に示された装置は、尤度が最も高い場合の2.3時間に関する状態情報を推定情報として算出する。これに対して、本実施形態に係る情報処理装置201は、たとえば、平均値(すなわち、2.05=(1.8+2.3)÷2)を算出することによって、尤度が2.05である場合の粒子に関する状態情報を推定情報として算出する。
本実施形態に係る情報処理装置201によれば、対象に関する推定情報を、より正確に算出することができる。この理由は、高い尤度を有する粒子であっても、該粒子における状態情報が非現実的な場合を除外する処理が、フィッティング処理を実行することによって可能だからである。
尚、本実施形態においては、乱数種に基づきシナリオを作成し、作成したシナリオにおける状態情報と、該シナリオに関する尤度とに基づきフィッティング処理を実行する。しかし、上述したように、情報処理装置201は、フィッティング処理において、たとえば、該状態情報と、該尤度との散らばり具合に応じて、乱数種の個数を調整する処理を実行してもよい。関係性決定部210が算出した関係性が、該状態情報と、該尤度との間の関係性を十分に表していない場合に、同化計算部205は、さらに、乱数種を読み取る。その後、図5のステップS202乃至ステップS205に示された処理が実行される。上述したような処理によって、少ない個数の乱数種にて、対象に関する推定情報を、より正確に算出することができる効果を奏する。
また、上述した処理においては、代表的な評価値と、代表的な状態情報とに基づきフィッティング処理が実行されているが、すべての評価値と、すべての状態情報とに基づき該フィッティング処理を実行してもよい。また、代表的な値を選択する手順として、最も評価値が高い粒子を選択してもよい。
尚、上述した各実施形態において、予測部(図1における予測部106、または、図4における予測部206)は、次のタイミングにおける状態情報を作成したが、必ずしも、次のタイミングである必要はなく、異なるタイミングにおける状態情報を作成すればよい。すなわち、当該予測部が算出する対象であるタイミングは、上述した例に限定されない。
次に、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置201に関する効果について説明する。
本実施形態に係る情報処理装置201によれば、対象に関する状態を高精度に推定する基となる情報を提供することができる。この理由は、第1の実施形態にて説明した理由と同様である。
さらに、本実施形態に係る情報処理装置201によれば、対象に関する状態を高精度に推定する基となる情報を、短時間に提供することができる。この理由は、同化処理が並列に実行されるからである。
さらに、本実施形態に係る情報処理装置201によれば、対象に関する状態を高精度に推定する基となる情報を、安定的に提供することができる。この理由は、代表的な状態情報、及び、代表的な尤度に基づき推定情報を作成することによって、ばらつきが少ない推定情報を作成することができるからである。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図6を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置301が有する構成について詳細に説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置301が有する構成を示すブロック図である。
第3の実施形態に係る情報処理装置301は、関係性決定部302と、評価処理部303とを有する。
情報処理装置301は、推定装置(シミュレーション装置)304に、通信可能に接続されている。推定装置304は、対象に関する状態が変化する態様を表す複数のシナリオを推定する。推定装置304は、ステップS101乃至ステップS105(図2)を参照しながら説明したような同化処理に従い複数の該状態を推定する(または、該状態を確率的に推定する)。情報処理装置301は、該対象に関して観測された観測情報に対する該シナリオの尤もらしさと、該シナリオとを、情報処理装置301に対して出力することができる。情報処理装置301は、たとえば、図1におけるシミュレーション部102が有する機能、または、図4におけるシミュレーション部202が有する機能を用いて実現することができる。
次に、図7を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置301における処理について詳細に説明する。図7は、第3の実施形態に係る情報処理装置301における処理の流れを示すフローチャートである。
情報処理装置301は、推定装置304が対象に関して推定したシナリオと、該対象に関して観測された観測情報とを入力する。
関係性決定部302は、入力した該シナリオにおける状態(すなわち、該対象に関して推定された状態)と、該状態が生じる生じやすさとの関係性を決定する(ステップS301)。関係性決定部302は、関係性を決定する処理において、たとえば、パラメタを含む関係性を入力し、シナリオにおける状態と、該状態が生じる生じやすさとに適合している該パラメタを決定する。関係性を決定する処理は、図3を参照しながら上述したようなフィッティング処理である。
評価処理部303は、関係性決定部302が決定した該関係性において、該生じやすさが大きな値である場合の状態を求める。言い換えると、評価処理部303は、関係性決定部302が決定した該関係性に基づき、生じやすい状態を選択する条件を表す所定の選択条件を求める(ステップS302)。ステップS302に示された処理において、評価処理部303は、たとえば、該関係性において生じやすさが最大(または、略最大)である場合の状態を求める。この場合に、評価処理部303は、該関係性において、最も生じやすい状態を推定する。
関係性決定部302は、図1における関係性決定部109が有する機能、または、図4における関係性決定部210が有する機能を用いて実現することができる。評価処理部303は、図1における評価処理部103が有する機能、または、図4における評価処理部203が有する機能を用いて実現することができる。したがって、情報処理装置301は、図1における情報処理装置101が有する機能、または、図4における情報処理装置201が有する機能を用いて実現することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る情報処理装置301に関する効果について説明する。
第3の実施形態に係る情報処理装置301によれば、対象に関する状態を高精度に推定する基となる情報を提供することができる。この理由は、第1の実施形態にて説明した理由と同様である。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図8を参照しながら、本発明の第4の実施形態に係る情報処理装置401が有する構成について詳細に説明する。図8は、本発明の第4の実施形態に係る情報処理装置401が有する構成を示すブロック図である。
第4の実施形態に係る情報処理装置401は、関係性決定部402と、評価処理部403とを有する。
情報処理装置401は、推定装置(シミュレーション装置)404に、通信可能に接続されている。推定装置404は、対象に関する状態(状態情報)が変化する態様を表す複数のシナリオを推定する。推定装置404は、ステップS101乃至ステップS105(図2)を参照しながら説明したような同化処理に従い複数の該シナリオを推定する(または、該シナリオを確率的に推定する)。推定装置404は、該対象に関して観測された観測情報に対する該シナリオの生じやすさ(尤もらしさ)と、該シナリオとを情報処理装置401に対して出力することができる。情報処理装置401は、たとえば、図1におけるシミュレーション部102が有する機能、または、図4におけるシミュレーション部202が有する機能を用いて実現することができる。
次に、図9を参照しながら、本発明の第4の実施形態に係る情報処理装置401における処理について詳細に説明する。図9は、第4の実施形態に係る情報処理装置401における処理の流れを示すフローチャートである。
情報処理装置401は、推定装置404が対象に関して推定したシナリオの尤もらしさと、該シナリオにおける該対象に関する状態を表す状態情報とが組み合わされることによって構成されたセットを入力する。この場合、情報処理装置401は、推定装置404が推定した複数のシナリオに関する、複数のセットを入力する。
関係性決定部402は、入力した複数のセットのうち、少なくとも一部のセットの分布において、他のセットから距離が離れていない、または、該他のセットと類似しているという第1条件を満たしているセットを選択する(ステップS401)。距離は、数学的な距離を表している。
第1条件を満たしているセットを選択する処理の例について説明する。
関係性決定部402は、たとえば、入力したすべてのセットに関して中心を算出する場合に、図3を参照しながら説明したような、平均的な位置(図3を参照しながら説明した注目している位置の一例)を算出する。関係性決定部402は、一部のセットに関して中心を算出する場合に、たとえば、関係性決定部109が実行する処理と同様な処理を実行することによって、中心を算出してもよい。この場合に、関係性決定部402は、入力した複数セットのうち、所定の制約条件を満たしている状態情報を含むセットを選択し、選択したセットに関して中心を算出する。この場合に、算出される中心は、数学的な(または、数理的な)中心を表す。
関係性決定部402は、算出した中心に近いセットを選択する。関係性決定部402は、たとえば、中心から「3×σ」(σは、標準偏差を表す)以上離れているか否かを判定し、中心から「3×σ」以内におけるセットを選択する。したがって、関係性決定部402は、他のセットから距離が離れていないまたは、該他のセットと類似しているという第1条件を満たしているセットを選択する。
あるいは、関係性決定部402は、はずれ値の影響を抑える処理として上述したように、クラスタリングに従いクラスタを作成し、作成したクラスタに属して得る要素の個数が大きなクラスタを選ぶことによって、第1条件を満たしているセットを選択してもよい。したがって、第1条件を満たしているセットを選択する処理は、上述した例に限定されない。
評価処理部403は、関係性決定部402が選択したセットのうち、所定の選択条件を満たすセットにおいて生じやすさに対応する状態情報を求める(ステップS402)。たとえば、所定の選択条件は、生じやすさが大きな値であるという条件である。この場合に、関係性決定部402は、たとえば、該生じやすさが大きな値であるセットにおいて、該生じやすさが大きな値である場合の状態情報を求める。言い換えると、評価処理部403は、関係性決定部402が選択した該セットにおいて、生じやすい状態を求める。ステップS402に示された処理において、評価処理部403は、たとえば、関係性決定部402が選択した該セットのうち、生じやすさが最大であるセットにおいて、該生じやすさに対応する状態情報を求めてもよい。この場合に、評価処理部403は、関係性決定部402が選択した該セットにおいて、最も生じやすい状態を求める。
関係性決定部402は、図1における関係性決定部109が有する機能、または、図4における関係性決定部210が有する機能を用いて実現することができる。評価処理部403は、図1における評価処理部103が有する機能、または、図4における評価処理部203が有する機能を用いて実現することができる。したがって、情報処理装置401は、図1における情報処理装置101が有する機能、または、図4における情報処理装置201が有する機能を用いて実現することができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る情報処理装置401に関する効果について説明する。
第4の実施形態に係る情報処理装置401によれば、対象に関する状態を高精度に推定する基となる情報を提供することができる。この理由は、複数のシナリオの生じやすさと、該シナリオにおける対象に関する状態を表す状態情報とが組み合わされることによって構成された複数のセットのうち生じる可能性が高いセットを、当該複数のセットの中心に基づき選択するからである。情報処理装置401が、複数のセットのうち、当該複数のセットに関する分布から外れているセットを取り除くことができるので、対象に関する状態を高精度に推定する基となる情報を提供することができる。
(ハードウェア構成例)
上述した本発明の各実施形態に係る情報処理装置を、1つの計算処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。但し、係る情報処理装置は、物理的または機能的に少なくとも2つの計算処理装置を用いて実現されてもよい。また、係る情報処理装置は、専用の装置として実現されてもよい。
図10は、本発明の各実施形態に係る情報処理装置を実現可能な計算処理装置のハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。計算処理装置20は、中央処理演算装置(Central_Processing_Unit、以降「CPU」と表す)21、メモリ22、ディスク23、不揮発性記録媒体24、及び、通信インターフェース(以降、「通信IF」と表す)27を有する。計算処理装置20は、入力装置25、出力装置26に接続可能であってもよい。計算処理装置20は、通信IF27を介して、他の計算処理装置、及び、通信装置と情報を送受信することができる。
不揮発性記録媒体24は、コンピュータが読み取り可能な、たとえば、コンパクトディスク(Compact_Disc)、デジタルバーサタイルディスク(Digital_Versatile_Disc)である。また、不揮発性記録媒体24は、ユニバーサルシリアルバスメモリ(USBメモリ)、ソリッドステートドライブ(Solid_State_Drive)等であってもよい。不揮発性記録媒体24は、電源を供給しなくても係るプログラムを保持し、持ち運びを可能にする。不揮発性記録媒体24は、上述した媒体に限定されない。また、不揮発性記録媒体24の代わりに、通信IF27、及び、通信ネットワークを介して係るプログラムを持ち運びしてもよい。
すなわち、CPU21は、ディスク23に格納されているソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム:以下、単に「プログラム」と称する)を、実行する際にメモリ22にコピーし、演算処理を実行する。CPU21は、プログラム実行に必要なデータをメモリ22から読み取る。表示が必要な場合に、CPU21は、出力装置26に出力結果を表示する。外部からプログラムを入力する場合に、CPU21は、入力装置25からプログラムを読み取る。CPU21は、上述した図1、図4、図6、または、図8に示す各部が表す機能(処理)に対応するところのメモリ22にある情報処理プログラム(図2、図5、図7、または、図9)を解釈し実行する。CPU21は、上述した本発明の各実施形態において説明した処理を順次実行する。
すなわち、このような場合に、本発明は、係る情報処理プログラムによっても成し得ると捉えることができる。さらに、係る情報処理プログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体によっても、本発明は成し得ると捉えることができる。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態には限定されない。すなわち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2017年1月24日に出願された日本出願特願2017−010441を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。