JP6763193B2 - 需給計画装置、需給計画方法及びプログラム - Google Patents

需給計画装置、需給計画方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、需給計画装置、需給計画方法及びプログラムに関する。
従来、発電機を運用するための発電計画の作成を行う方法が知られている。
例えば、発電機を運用する際に修正が少ない発電計画を作成する方法が知られている。具体的には、まず、将来の一定期間において、電力需要を時系列で示す需要予測カーブを作成する。次に、需要予測カーブに基づいて、発電機を起動及び停止させる起動停止計画を複数作成する。続いて、複数の異なる需要予測カーブに対して、確率的な重みを持つ組を作成し、作成される組に基づいて、需要予測カーブが実現した場合において、各発電計画のそれぞれの修正量を評価する。その上で、発電計画のうち、修正量の平均値等が最小となる発電計画を選択することで、発電機を運用する際に修正が少ない発電計画を作成する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
他にも、電力取引市場における取引で、定量的な指標に基づいて取引を行うため、電力取引市場における電力取引を支援する方法が知られている。具体的には、まず、過去の気象実績データ及び過去の取引価格を示すデータ等の実績データと、将来の気象予測データ及び送電余力予測データ等の予測データを記憶する。次に、回帰式等を用いて予測市場価格を計算し、更に入札価格等を計算して定量的な指標に基づいて電力取引を行うようにする方法が知られている(例えば、特許文献2)。
特許第5248372号公報 特許第4968599号公報
しかしながら、従来の方法では、負荷設備の負荷の制御が可能な場合に、負荷を調達するコスト又は負荷の調達によって発生する二酸化炭素量を最小して最適となる負荷設備の負荷を決定できない場合がある。
本発明の1つの側面は、このような問題に鑑みてなされたものであり、負荷設備の負荷の制御が可能な場合に、負荷を調達するコスト又は負荷の調達によって発生する二酸化炭素量を最小して最適となる負荷設備の負荷を決定することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一実施形態における、電力又は電力量の負荷を計画する需給計画装置は、
前記負荷の実績を示す実績データを少なくとも読み込むデータ読込部と、
前記実績データに基づいて予測される制御前負荷及び前記負荷を削減させる省エネ制御が行われた場合の制御後負荷の差を示す負荷制御実績値と、前記省エネ制御によって削減させる負荷を示す負荷制御計画値とに基づいて達成率を計算する達成率計算部と、
前記負荷制御計画値及び前記達成率に基づいて、前記負荷制御計画値と、前記負荷制御計画値による制御結果を示す負荷制御予測値との関係を示すモデルを生成するモデル生成部と、
前記モデルに基づいて、前記負荷を調達するコスト又は前記負荷を調達するのに発生する二酸化炭素量の最小化の問題を定式化した目的関数を生成し、前記目的関数に基づいて前記負荷を計算する最適需給計画計算部と
を含む。
本発明によれば、負荷設備の負荷の制御が可能な場合に、負荷を調達するコスト又は負荷の調達によって発生する二酸化炭素量を最小して最適となる負荷設備の負荷を決定できる。

本発明の一実施形態における需給計画装置の使用例を示す概要図である。 本発明の一実施形態における需給計画装置によって算出される予測値等の例を示す図である。 本発明の一実施形態における需給計画装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態における需給計画装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。 本発明の一実施形態における需給計画装置による全体処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における需給計画装置による負荷制御モデルの生成例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における電力の負荷特性の一例を示す図である。 本発明の一実施形態における負荷制御実績値の一例を示す図である。 本発明の一実施形態における負荷制御計画値の一例を示す図である。 本発明の一実施形態における負荷制御予測値と負荷制御計画値との関係の一例を示す図である。 本発明の一実施形態における負荷制御計画値と需要量との関係の一例を示す図(その1)である。 本発明の一実施形態における負荷制御計画値と需要量との関係の一例を示す図(その2)である。 本発明の一実施形態における負荷制御予測値と負荷制御計画値との関係の別の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.需給計画装置の使用例
2.需給計画装置のハードウェア構成例
3.需給計画装置の機能構成例
4.需給計画装置による全体処理例
なお、負荷は、設備等で使用される電力又は電力量等のエネルギー量である。以下の例では、負荷が電力である例で説明する。
≪ 1. 需給計画装置の使用例 ≫
図1は、本発明の一実施形態における需給計画装置の使用例を示す概要図である。例えば、需給計画装置10は、図示するような構成において使用される。具体的には、電力系統PSでは、電力会社等の一般送配電事業者が有する送電設備ETに対して、PPS(Power Producer and Supplier、特定規模電気事業者)等の小売事業者、一般送配電事業者又はIPP(Independent Power Producer、独立系発電事業者)を含む発電事業者等の電気事業者が有する設備が接続される。例えば、電気事業者12は、発電設備PW、負荷設備LD及び蓄電設備STを有するとする。なお、送電設備ETは、例えば、電力ケーブル等である。そして、送電設備ETを介して、建物、工場又は一般家庭等の需要家CURに電力が供給される。なお、需要家CURは、工場又は一般家庭等に限られず、電気事業者12が有する負荷設備LDを需要家としてもよい。すなわち、需要家は、電力を使用する者である。
また、需要家は、負荷設備LD等で使用する電力を節電する節電設備等を有してもよい。
この例では、電気事業者12は、送電設備ETを介して、発電設備PWが発電する電力を他の設備等に送電する。また、このようにすると、電気事業者12は、電力市場に対して、発電設備PWが発電する電力を売る電力取引を行うことができる。
一方で、電気事業者12は、送電設備ETを介して、負荷設備LDが消費する電力を他の設備が発電する電力を受電する。また、このようにすると、電気事業者12は、電力市場から、負荷設備LDが消費する電力を買うことができる。なお、負荷設備LDは、例えば、ビル、住宅又は工場等である。
また、蓄電設備STは、受電又は発電する電力を蓄電する。
なお、電気事業者12は、図示する設備を有する構成に限られない。例えば、電気事業者12は、他に設備を有してもよい。また、電気事業者12は、図示する設備のうち、いずれの設備を有さなくともよい。さらにまた、電気事業者は、複数であってもよい。他にも、電力系統PSには、電力を消費、発電又は蓄電する設備が更に含まれてもよい。
さらに、図示する例では、需給計画装置10及び監視制御システム11は、通信ネットワークCNを介して、電力系統PSに接続される。
監視制御システム11は、例えば、需要予測装置、発電予測装置、需給制御装置及びデータベースサーバ等によって構成される。そして、需要予測装置、発電予測装置及び需給制御装置は、例えば、「石橋直人・飯坂達也・大平涼子・中西要祐、「部分的最小二乗法を用いた日射量予測とその信頼区間の推定方法」、電気学会論文誌B、2012年、Vol.133、No.1、64−71頁」、「飯坂達也・神通川亨・近藤英幸・中西要祐・福山良和・森啓之、「風力発電方法とその信頼区間の推定手法」、電気学会論文誌C、2011年、Vol.131、No.10、1672−1678頁」及び「湯川哲也、沼一之、斉藤俊哉、高山信一、飯坂達也、松井哲郎「ニューラルネットワークを適用した電力需要予測システムの開発」、平成20年電気学会電力・エネルギー部門大会、2008年、01_1−2」等に示す方法によって予測値及び予測の幅等を算出する。
図2は、本発明の一実施形態における需給計画装置によって算出される予測値等の例を示す図である。例えば、監視制御システムは、需要予測装置、発電予測装置、需給制御装置及びデータベースサーバ等によって、図示するような予測値及び予測の幅等を算出する。具体的には、監視制御システムは、負荷又は発電量の予測値EX1を上記の方法等によって算出する。次に、監視制御システムは、時間tにおける予測値EX1の確率分布PDを算出する。さらに、監視制御システムは、確率分布PDにおいて、「3×σ(標準偏差)」となる信頼区間を算出する。このようにすると、予測上限値EX2及び予測下限値EX3が、それぞれ算出される。この予測上限値EX2及び予測下限値EX3によって示す範囲が、予測の幅となる。
図1に戻り、図示する例では、監視制御システム11は、通信ネットワークCNを介して、電力系統PSが有する各設備を監視制御する。具体的には、通信ネットワークCNを介して、電力系統PSに含まれる各設備から、監視制御システム11は、各設備の計測データを受信する。すなわち、監視制御システム11は、計測データ等の電力系統PSに係るデータを記憶する。さらに、監視制御システム11は、計算した計画値等に基づいて制御信号を各種設備に対して送信し、各種設備を制御する。
≪ 2. 需給計画装置のハードウェア構成例 ≫
図3は、本発明の一実施形態における需給計画装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。具体的には、需給計画装置10は、CPU(Central Processing Unit)101と、記憶装置102と、ネットワークI/F(interface)103と、入力I/F104と、出力I/F105とを有する。つまり、需給計画装置10は、PC(Personal Computer)、サーバ又はワークステーション等の情報処理装置、すなわち、コンピュータである。
CPU101は、需給計画装置10が行う各種処理及び各種制御を実現するための演算と各種データの加工とを行う演算装置である。さらに、CPU101は、需給計画装置10が有するハードウェアを制御する制御装置である。
記憶装置102は、需給計画装置10が使うデータ、プログラム及び設定値等を記憶する。また、記憶装置102は、いわゆるメモリ(memory)等である。なお、記憶装置102は、ハードディスク(harddisk)等の補助記憶装置等を有してもよい。
ネットワークI/F103は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続される装置と各種データ等を送受信する。例えば、ネットワークI/F103は、NIC(Network Interface Controller)及びLANケーブルを接続させるコネクタ等である。なお、ネットワークI/F103は、ネットワークを利用するI/Fに限られず、ケーブル、無線又はコネクタ等によって外部装置と送受信するI/Fであってもよい。
入力I/F104は、需給計画装置10を使うユーザとのインタフェースである。具体的には、入力I/F104は、ユーザが行う各種操作を入力する。例えば、入力I/F104は、キーボード等の入力装置及び入力装置を需給計画装置10に接続させるコネクタ等によって構成される。
出力I/F105は、需給計画装置10を使うユーザとのインタフェースである。具体的には、出力I/F105は、需給計画装置10が行う各種処理の処理結果等をユーザに出力する。例えば、出力I/F105は、ディスプレイ等の出力装置及び出力装置を需給計画装置10に接続させるコネクタ等である。
なお、需給計画装置10は、各ハードウェア資源による処理等を補助する補助装置を更に有する構成でもよい。また、需給計画装置10は、各種処理を並列、冗長又は分散して処理するため、装置を内部又は外部に更に有してもよい。さらに、需給計画装置10は、複数の情報処理装置で構成されてもよい。
≪ 3. 需給計画装置の機能構成例 ≫
図4は、本発明の一実施形態における需給計画装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。具体的には、需給計画装置10は、入力部FN1と、出力部FN2と、通信部FN3と、データベースFN4と、制御部FN5と、計算部FN6とを含む。
入力部FN1は、需給計画装置10に入力されるデータを制御部FN5に送る。なお、入力部FN1は、例えば、ネットワークI/F103(図3参照)又は入力I/F104(図3参照)等によって実現される。
出力部FN2は、制御部FN5から送られる入力応答結果及び計算部FN6等が計算した計算結果等を示すデータを出力する。なお、出力部FN2は、例えば、ネットワークI/F103又は出力I/F105(図3参照)等によって実現される。
入力部FN1及び出力部FN2は、ユーザインタフェースである。例えば、入力部FN1は、ユーザの入力操作を受け付ける操作入力手段で実現され、出力部FN2は、ユーザが出力を視認できるように、表示画面等を表示する出力手段で実現される。なお、入力部FN1及び出力部FN2は、入力装置と出力装置が一体となったいわゆるタッチパネル等で実現されてもよい。
通信部FN3は、所定の通信方式によって、需給計画装置10と、監視制御システム11(図1参照)との間等で通信を行う。すなわち、通信部FN3は、監視制御システム11等と、最適需給計画の生成に必要なデータ及び生成する最適需給計画に係るデータ等を送受信する。なお、通信部FN3は、例えば、ネットワークI/F103等によって実現される。
データベースFN4は、需給計画装置10が入力部FN1又は通信部FN3によって取得又は計算部FN6等によって生成する実績データD1、予測データD2、設備データD3及び計画データD4等を記憶する。なお、データベースFN4は、例えば、記憶装置102(図3参照)等によって実現される。また、予測データD2、設備データD3及び計画データD4は、実績データD1等を統計処理して生成されるデータでもよい。
なお、実績データD1は、過去の負荷等、いわゆる実績を示すデータである。また、予測データD2は、気象データ等から予測される太陽光発電設備による発電量等である。さらに、設備データD3は、各設備のスペック等を示し、例えば、発電設備が発電できる発電量等である。さらにまた、計画データD4は、発電設備によって発電させる予定の発電量又は電力市場から購入する予定の電力等を示す。
制御部FN5は、データ及び信号等を処理又は加工し、各部間でデータ等を送受信する。なお、制御部FN5は、例えば、CPU101(図3参照)等によって実現される。
計算部FN6は、例えば、データ読込部FN61、達成率計算部FN62、モデル生成部FN63及び最適需給計画計算部FN64等を有する。また、計算部FN6によって計算が行われ、最適な需給計画を示すデータ等が生成され、監視制御システム11等に送信されると、監視制御システム11等によって、需給計画を示すデータに基づいて、各設備が制御されてもよい。なお、計算部FN6は、例えば、CPU101等によって実現される。
データ読込部FN61は、制御部FN5を介して、データベースFN4等に記憶される実績データD1、予測データD2、設備データD3及び計画データD4等を読み込み、需給計画の計算に必要なデータを取得する。また、データ読込部FN61は、必要に応じてデータの加工及び処理を行い、各部にデータを送信する。
達成率計算部FN62は、実績データD1に基づいて予測される制御前負荷と、負荷を削減させる省エネ制御が行われた場合の制御後負荷との差を示す負荷制御実績値及び省エネ制御によって削減させる負荷を示す負荷制御計画値に基づいて達成率を計算する。
モデル生成部FN63は、負荷制御計画値及び達成率計算部FN62が計算した達成率に基づいて、負荷制御計画値と、負荷制御計画値による制御結果を示す負荷制御予測値との関係を示すモデルを生成する。
最適需給計画計算部FN64は、モデル生成部FN63が生成したモデルに基づいて、所定の問題を定式化した目的関数を生成し、目的関数に基づいて負荷を計算する。
≪ 4. 需給計画装置による全体処理例 ≫
図5は、本発明の一実施形態における需給計画装置による全体処理の一例を示すフローチャートである。
≪ データの読込例(ステップS101) ≫
ステップS101では、需給計画装置は、データを読み込む。具体的には、ステップS101では、需給計画装置は、あらかじめ需給計画装置に入力される実績データD1(図4参照)、予測データD2(図4参照)、設備データD3(図4参照)及び計画データD4(図4参照)等のデータを読み込む。このように、各データを読み込むことによって、需給計画装置は、発電設備による発電実績値、発電予測値、発電計画値、蓄電設備による充放電、充放電計画値、充電率、負荷設備による需要実績値、需要予測値、節電計画値及び節電実現率等を把握する。なお、ステップS101では、需給計画装置は、後述する最適需給計画問題の生成に用いられるデータ等を読み込む。また、需給計画装置は、読み込んだデータを加工して新たにデータを生成してもよい。さらに、読み込まれたデータは、制御部FN5(図4参照)によって、各部に送信される。
≪ 負荷制御モデルの生成例(ステップS102) ≫
ステップS102では、需給計画装置は、負荷制御モデルを生成する。例えば、需給計画装置は、以下のようにして負荷制御モデルを生成する。
図6は、本発明の一実施形態における需給計画装置による負荷制御モデルの生成例を示すフローチャートである。
≪ グループの分類例(ステップS201) ≫
複数の需要家が需給計画の対象である場合には、需要家は、複数の需要家を1つにして、グループに分類されるのが望ましい。以下、複数の需要家がグループに分類される例で説明する。
ステップS201では、需給計画装置は、需要家をグループに分類する。また、分類は、ステップS101で読み込まれるデータに基づいて行われる。例えば、需給計画装置は、負荷特性が類似又は同一の需要家を同じグループとするように分類する。なお、負荷特性は、例えば、電力の使用傾向等である。
図7は、本発明の一実施形態における電力の負荷特性の一例を示す図である。以下、工場等の需要家による消費電力(以下「第1消費電力G1」という。)及び一般家庭等の需要家による消費電力(以下「第2消費電力G2」という。)のそれぞれの使用傾向を例に説明する。
図示するように、需要家によって、1日において、消費電力が増減する時間又は削減できる電力等に傾向がある場合が多い。
例えば、第1消費電力G1は、朝方、つまり、工場等の始業とともに、工場等の製造ライン等で用いられる設備等が稼動し、電力を多く使うようになるため、第1消費電力G1は、朝方等に増加する。そして、工場等が稼動する時間帯では、第1消費電力G1は、図示するように、深夜帯等と比較すると、多くなる場合が多い。続いて、夜方、つまり、工場等の終業とともに、工場等で用いられる設備等が停止し、設備等が使う電力が少なくなるため、第1消費電力G1は、夜方等に減少する。また、深夜等であっても、深夜の間に稼動する設備、サーバ又はセキュリティ装置等の設備には、電力が使用されるため、第1消費電力G1は、一定の電力となる場合が多い。
一方で、第2消費電力G2は、朝方、つまり、人の起床等とともに、人が活動するため、一般家庭等で用いられる家電製品等の設備等が稼動し、電力を多く使うようになるため、第2消費電力G2は、朝方等に増加する。その後、出勤等によって人が外出する場合が多い。したがって、外出とともに、家電製品等の設備等が停止し、設備等によって使用される電力が少なくなるため、第2消費電力G2は、減少する場合が多い。そして、夕方から夜方あたりに人が帰宅するため、家電製品等の設備等が稼動し、電力が多く使われるようになる。続いて、夜方、つまり、人の就寝等とともに、一般家庭等で用いられる設備等が停止し、設備等が使う電力が少なくなるため、第2消費電力G2は、夜方等に減少する。また、深夜等であっても、冷蔵庫等の設備には、電力が使用されるため、第2消費電力G2は、一定の電力となる場合が多い。
このように、需要家の種類等によって、消費電力が増減する時間等は、ある程度傾向がある。そこで、例えば、需給計画装置は、図示するようなグラフから読み取れる使用傾向を負荷特性として、複数の需要家を第1消費電力G1のような負荷特性となる需要家、つまり、工場等のグループと、第2消費電力G2のような負荷特性となる需要家、つまり、一般家庭等のグループとに分類する。
負荷特性は、例えば、時間に対する負荷の変化量、負荷の平均値又は負荷の最大値等から判断される。すなわち、このような値が同一又は類似であると、電力の使用傾向が同一又は類似であると判断される。また、負荷特性は、1日における使用傾向でもよいし、週単位又は年間単位で判断されてもよい。例えば、週単位では、曜日によって、同じような使用傾向となると、同一又は類似の負荷特性であると判断される。他にも、年間単位では、季節によって、同じような使用傾向となると、同一又は類似の負荷特性であると判断される。
なお、負荷特性に基づく分類は、工場及び一般家庭等の2つのグループのどちらかに分類するに限られず、更に分類数があってもよい。
また、需要家は、削減できる電力があるか否かに基づいて分類されてもよい。具体的には、第2消費電力G2では、昼方及び夜方には、停止させてもよい設備がある場合が多いため、削減できる電力がある場合が多い。一方で、第1消費電力G1では、昼方には、生産能力を確保するため、一定量の電力を確保する必要があり、削減できない電力がある場合が多い。つまり、各電力には、節電できる電力がある場合とない場合がある。なお、負荷を削減させる制御を以下の説明では「省エネ制御」という。負荷が電力である場合には、省エネ制御は、電力を削減する制御、いわゆる節電制御である。また、第1消費電力G1の一定量の電力等のように、削減できない電力を「省エネ制御不可」とし、第2消費電力G2等のように、削減できる電力を「省エネ制御可」とする。このように、各需要家が「省エネ制御不可」であるか「省エネ制御可」であるかの省エネ制御の可否に基づいて、需給計画装置は、需要家を2つのグループに分類してもよい。
他にも、省エネ制御に対する応答、すなわち、後述する達成率等によって、分類してもよい。この場合には、あらかじめ計算されたそれぞれの達成率を示すデータが需給計画装置によって読み込まれるとする。例えば、省エネ制御によって、ある時間帯の消費電力を「100kW」削減する場合を例に説明する。例えば、ある需要家は、「100kW」の削減の指示がされると、「90kW」の消費電力を削減するとする。この場合には、達成率は、「(90kW÷100kW)×100%=90%」となる。一方で、他の需要家は、「100kW」の省エネ制御がされると、「150kW」の消費電力を削減するとする。この場合には、達成率は、「(150kW÷100kW)×100%=150%」となる。そして、需給計画装置は、このように算出されるそれぞれの達成率に基づいて、達成率が同一又は類似となる需要家を同一のグループとするように分類してもよい。例えば、「20%」単位で分類する場合には、グループは、達成率が「0%乃至20%」及び「21%乃至40%」等のように区切られる。つまり、需給計画装置は、省エネ制御に対して、同一又は類似の応答をする需要家を同一のグループとするように分類してもよい。
さらに、分類は、負荷制御コスト又は負荷制御方法等による分類でもよい。具体的には、負荷制御コストによって分類されると、省エネ制御に費やすコストが同一又は類似の需要家が同一のグループとなるように分類される。また、負荷制御方法には、家電等を直接遠隔操作する等の直接負荷制御と、いわゆるデマンドレスポンス等のような間接負荷制御がある。なお、負荷制御方法の詳細は、後述する。
このように、負荷特性、省エネ制御の可否、達成率、負荷制御コスト、負荷制御方法又はこれらの組み合わせが同一又は類似となる需要家がまとめられ、同一のグループに分類されると、需給計画装置は、負荷を精度良く計算することができる。また、分類方法及びグループ等は、あらかじめ運用者等が需給計画装置に設定できるとする。
≪ 達成率を計算例(ステップS202) ≫
図6に戻り、ステップS202では、需給計画装置は、達成率を計算する。なお、ステップS201によって需要家がグループに分類される場合には、達成率は、分類数分繰り返し計算される。つまり、達成率は、分類される場合には、グループごとに、それぞれ計算される。
達成率は、需給計画装置によって、例えば、下記(1)式のように計算される。
上記(1)式が示すように、達成率の例である負荷制御達成率(AchievementRate、以下「AR」と記載する。)は、例えば、負荷制御実績値(ControlResult、以下「CR」と記載する。)を負荷制御計画値(ControlPlan、以下「CP」と記載する。)によって除した値の百分率である。また、負荷制御達成率ARは、負荷分類、すなわち、分類されたグループごと(上記(1)式では、負荷分類iで示す。)に計算されてもよい。この場合には、それぞれの負荷制御達成率ARは、それぞれ上記(1)式に基づいて、各負荷分類iのそれぞれの負荷制御実績値CR及び負荷制御計画値CPに基づいて計算される。さらに、上記(1)式が示すように、負荷制御達成率ARは、時間tごとに計算されてもよい。なお、時間tは、例えば、30分単位である。一方で、負荷制御達成率ARは、時間が変化しても一定であるとしてもよい。
また、達成率は、省エネ制御に対する応答に基づいて、定数、線形モデルによって算出される値又は非線形モデルによって算出される値等でもよい。達成率は、負荷の使用傾向に応じて傾向が異なる場合がある。したがって、達成率は、負荷の使用傾向等を反映した数理モデルによって計算されてもよい。
負荷制御実績値CRは、実績データに基づいて計算される、省エネ制御が行われないと仮定する条件下で使用されると予測される負荷(以下「制御前負荷CB」という。)と、省エネ制御が行われた場合の負荷(以下「制御後負荷CA」という。)との差から計算される。
制御前負荷CBは、例えば、実績データが示す前日の同時刻の負荷、過去の負荷の平均値又は過去の負荷の最大値等である。そして、制御前負荷CBは、省エネ制御の効果、すなわち、負荷制御実績値CRを計算する上で基準となる値である。一方で、制御後負荷CAは、例えば、スマートメータ等の計測機器によって計測される負荷等である。
負荷制御実績値CRは、例えば、以下のように示せる。
図8は、本発明の一実施形態における負荷制御実績値の一例を示す図である。なお、図8は、制御区間CTにおいて、省エネ制御が行われた場合の例である。このように、省エネ制御が行われる制御区間CTでは、制御後負荷CAが示すように、負荷が制御前負荷CBから削減される。つまり、負荷が消費電力である場合には、制御区間CTでは、省エネ制御によって、いわゆる節電が実行される。すなわち、省エネ制御中は、節電によって電力が確保される。
そして、負荷制御実績値CRは、制御区間CTにおいて、制御後負荷CAと、制御前負荷CBとの差から計算される。まず、制御前負荷CBは、実績データから計算できる負荷である。すなわち、制御前負荷CBは、省エネ制御が行われない場合に、予測される負荷である。実績データは、過去の負荷を示すので、例えば、実績データが示す同じような条件に該当する負荷等を参照すると、制御前負荷CBは、予測することができる。また、制御後負荷CAは、例えば、省エネ制御が行われる制御区間CTにおいて、負荷を計測して特定することができる。
具体的には、負荷が消費電力であり、かつ、実績データに基づいて、時間tにおける制御前負荷CBが「100kW」と予測されるとする。そして、時間tにおいて省エネ制御が行われると、負荷が「90kW」になるとする。この場合には、負荷制御実績値CRは、「100kW−90kW=10kW」と計算される。
負荷制御計画値CPは、例えば、省エネ制御によって削減できる負荷が設定される。具体的には、図8に示す制御区間CTにおいて、省エネ制御によって「100kW」の節電が求められる状況であるとする。このような場合には、負荷制御計画値CPには、「100kW」等のように、所定の値が運用者の操作等によって設定される。
運用者等は、負荷制御計画値CPが示す電力と、購入及び発電する電力とを合計して、需要量を確保する。つまり、運用者等は、購入、発電及び節電によって、需要家が使用する予定の電力を確保する。
他にも、負荷制御計画値CPは、例えば、以下のように、実績データに基づいて計算される制御可能な負荷等である。
図9は、本発明の一実施形態における負荷制御計画値の一例を示す図である。例えば、まず、実績データ等に基づいて、省エネ制御が行われない場合における需要家ごとの負荷RDが定まる。さらに、実績データ等に基づいて、負荷RDのうち、省エネ制御等が行われても削減できない制御不可値UCが定まる。このような場合には、図示するように、負荷制御計画値CPは、負荷RDから制御不可値UCを引いた値である。
一方で、負荷制御計画値CPは、省エネ制御によって直接削減させる負荷でなくともよい。例えば、いわゆるデマンドレスポンス制御等による間接的な制御が省エネ制御で行われる場合等である。デマンドレスポンス制御では、需要家が負荷を削減するように誘導する制御が行われる。具体的には、デマンドレスポンス制御は、図8に示す制御区間CT、例えば、消費電力がピークとなる時間等において、電力を調達するコスト、すなわち、電気料金等を高く設定する等である。つまり、需要家は、同じ電力を制御区間CTと、それ以外の区間とで使用する場合では、費やすコストが制御区間CTの方が高くなる。そのため、需要家は、制御区間CTでは、消費電力を削減し、コストを少なくしようとする。このように、デマンドレスポンス制御は、直接、供給側が負荷を制御するのではなく、需要家が負荷を削減するよう動機付けとなる値を設定する制御である。このようにして、間接的に負荷を削減させる省エネ制御が間接負荷制御では行われる。
例えば、デマンドレスポンス制御では、削減対象となる時間帯で負荷を調達する場合のコストが設定される。つまり、負荷を削減させる時間帯では、他の時間帯より高くコストが設定される。なお、コストは、段階で設定されてもよい。他にも、デマンドレスポンス制御では、削減量に対してポイント又はクーポン等が付与される等の設定でもよい。
このように、デマンドレスポンスが行われる場合には、例えば、値上げするコストの量が設定される。例えば、制御区間CTでは、単位時間当たりのコストを「10%」値上げすると設定する。次に、制御区間CTでは、需要家は、「10%」に対して、「5%」の負荷を削減させる制御を行うとする。この場合には、コストを「10%」値上げする設定をすると、負荷を「5%」削減する省エネ制御が行えると見込める。なお、段階的に設定する場合には、例えば、コストが「10%」値上がる負荷、コストが「20%」値上がる負荷及びコストが「30%」値上がる負荷等のように、コストの値上がり量が増加する境界となる負荷が複数あらかじめ設定される。
したがって、負荷制御計画値CPは、コストの変動量に対する需要家の反応量に基づいて設定されてもよい。
なお、達成率のばらつきが大きい場合、すなわち、負荷制御計画値CPに対する不確実性が高い場合等では、達成率に、期待値等の統計量等が用いられてもよい。また、達成率のばらつきが大きい等の場合には、再度、分類が行われてもよい。
≪ モデルの生成例(ステップS203) ≫
図6に戻り、ステップS203では、需給計画装置は、モデルを生成する。例えば、モデルは、負荷制御計画値CPと、負荷制御達成率AR等の達成率とに基づいて、負荷制御計画値CPによる制御結果となる負荷制御予測値(Control、以下「CTL」と記載する。)を計算する下記(2)式のような数理モデルである。
上記(2)式において、「時間tの負荷制御計画値(InitialControl)」は、例えば、負荷制御計画値CPである。すなわち、「時間tの負荷制御計画値(InitialControl)」には、「100kW」等のように、直接負荷制御又は間接負荷制御によって削減させる負荷等が入力される。一方で、負荷制御予測値CTLは、省エネ制御による制御結果、つまり、いわゆる実際に確保できる節電量等を示す。
また、上記(2)式において、負荷制御達成率ARは、上記(1)式によって計算される値である。このように、上記(2)式に示す数理モデルに基づいて計算される負荷制御予測値CTLと、上記(2)式に示す負荷制御計画値CPとは、以下のような関係となる。
図10は、本発明の一実施形態における負荷制御予測値と負荷制御計画値との関係の一例を示す図である。負荷制御予測値CTLと、負荷制御計画値CPとの関係は、負荷制御達成率ARに変動要因がなく、一定である場合には、図示する直線G3で示せる。また、負荷制御計画値CPと、需要家が使用する予定の負荷(以下「需要量」という。)との関係は、例えば、以下の通りとなる。
図11は、本発明の一実施形態における負荷制御計画値と需要量との関係の一例を示す図(その1)である。図11(A)は、負荷制御計画値CPと、省エネ制御が行われる前の需要量(以下「第1需要量DM1」という。)と、省エネ制御が行われた後の需要量(以下「第2需要量DM2」という。)との関係を示す。そして、図11(A)に示す負荷制御計画値CPと、第1需要量DM1との関係を図11(B)に示す。
図11(B)に示す例は、負荷制御計画値CPと、第1需要量DM1とは、単純な比例関係となる例である。すなわち、第1需要量DM1が増加すると、負荷制御計画値CPは、比例して、増加する。この関係は、需要家が使用する電力が増えると、その増加に伴って、省エネ制御によって確保される電力が比例する例となる。
また、モデルは、例えば、下記(3)式のような数理モデルでもよい。
上記(2)式に示すモデルと比較すると、上記(3)式に示すモデルには、「時間tの第1需要量(InitialDemand)」が加わる点が異なる。第1需要量NDは、需要量の影響を考慮する値である。したがって、上記(3)式によって、負荷制御予測値CTLが計算されると、負荷制御予測値CTLには、需要量の影響が反映される。
図12は、本発明の一実施形態における負荷制御計画値と需要量との関係の一例を示す図(その2)である。図11と比較すると、図12に示す各図のそれぞれの軸は、図11と同様である。一方で、特に、図11(B)と、図12(B)とを比較すると、図12(B)では、第1需要量DM1が負荷制御計画値CPの変動要因となる。上記(3)式で示すように、負荷制御達成率ARは、第1需要量DM1によって定まる。したがって、第1需要量DM1が変動すると、負荷制御達成率ARは、変動する。このように、モデルは、第1需要量DM1の影響等を考慮する数理モデルでもよい。
図12(B)に示す例は、負荷制御計画値CPと、第1需要量DM1とは、第1需要量DM1の増加に対して負荷制御計画値CPが二次関数的に増加する関係となる例である。すなわち、第1需要量DM1が増加すると、負荷制御計画値CPは、加速度的に増加する。この関係は、需要家が使用する電力が増えると、その増加に伴って、省エネ制御によって確保される電力が加速度的に増加する例となる。
なお、図6に示すステップS201によって、需要家がグループに分類される場合には、複数のグループをまとめて、1つのモデルが生成されてもよい。この場合には、まず、ステップS201によって、複数の需要家が分類され、複数のグループが生成されるとする。以下、下記(表1)に示すように需要家が分類される例で説明する。
上記(表1)に示す例では、需要家は、ステップS201によって、「A」乃至「E」の5つのグループに分類される。この例では、「A」のグループは、ステップS202によって、達成率が「80%以上」の値となると計算されたとする。同様に、「B」のグループは、「80%未満50%以上」の値、「C」のグループは、「50%未満30%以上」の値、「D」のグループは、「30%未満10%以上」の値、及び、「E」のグループは、「10%未満0%以上」の値となるとそれぞれ計算されたとする。
そして、達成率が高い順に、優先順位が各グループに設定される。この例では、「A」のグループが最も優先順位が高く、一方で、「E」のグループが最も優先順位が低い。つまり、上記(表1)は、達成率が高い順に、「A」乃至「E」のグループがソートされた例を示す。
また、「A」のグループに対して、省エネ制御が行われると、最大で「a」の負荷を削減できるとする。同様に、「A」及び「B」のグループが省エネ制御によって削減できる最大の合計負荷は、「b」であり、「A」、「B」及び「C」のグループが省エネ制御によって削減できる最大の合計負荷は、「c」であるとする。さらに、「A」、「B」、「C」及び「D」のグループが省エネ制御によって削減できる最大の合計負荷は、「d」であるとする。
上記(表1)に示す場合では、負荷制御計画値CPの値に応じて、各グループに割り当てる負荷が異なる。まず、負荷制御計画値CPが「0乃至a」、すなわち、負荷制御計画値CPが「a」以下である場合の例を説明する。負荷制御計画値CPが「0乃至a」である場合には、需給計画装置は、負荷制御計画値CPをすべて「A」のグループに割り当てる。つまり、需給計画装置は、負荷制御計画値CPをすべて優先順位が最も高いグループに割り当て、他のグループには、負荷制御計画値CPを割り当てないようにする。負荷制御計画値CPが「a」以下の場合は、「A」のグループに対して省エネ制御が行われると、負荷制御計画値CPをすべて確保できる場合である。達成率が高いグループに対して、省エネ制御が行われると、高い確率で、負荷制御計画値CPを確保することができる。
次に、負荷制御計画値CPが「a」より大きく、かつ、「b」以下である場合の例を説明する。この場合には、需給計画装置は、負荷制御計画値CPを優先順位が高い「A」及び「B」のグループに割り当てる。具体的には、まず、需給計画装置は、「A」のグループに対して「a」の負荷を割り当てる。そして、需給計画装置は、全体の負荷制御計画値CP(上記(表1)では「Total」と記載する。)のうち、「A」のグループに対して割り当てた負荷を除いた分(「Total−a」)を「B」のグループに対して割り当てる。
さらに、負荷制御計画値CPが「b」より大きく、かつ、「c」以下である場合の例を説明する。具体的には、まず、需給計画装置は、「A」のグループに対して「a」の負荷を割り当てる。次に、需給計画装置は、「B」のグループに対して「b−a」の負荷を割り当てる。そして、全体の負荷制御計画値CP(「Total」)のうち、「A」及び「B」のグループに対して割り当てたそれぞれの負荷を除いた分(「Total−b」)を「C」のグループに対して割り当てる。
また、負荷制御計画値CPが「c」より大きく、かつ、「d」以下である場合の例を説明する。具体的には、まず、需給計画装置は、「A」のグループに対して「a」の負荷を割り当てる。次に、需給計画装置は、「B」のグループに対して「b−a」の負荷を割り当てる。続いて、需給計画装置は、「C」のグループに対して「c−b−a」の負荷を割り当てる。そして、全体の負荷制御計画値CP(「Total」)のうち、「A」、「B」及び「C」のグループに対して割り当てたそれぞれの負荷を除いた分(「Total−c」)を「D」のグループに対して割り当てる。
上記(表1)に示すように、優先順位が高い順に負荷制御計画値CPが割り当てられる場合では、負荷制御予測値と負荷制御計画値との関係は、以下のようになる。
図13は、本発明の一実施形態における負荷制御予測値と負荷制御計画値との関係の別の一例を示す図である。図示するように、負荷制御予測値CTLと、負荷制御計画値CPとの関係を示す直線G4の傾きは、負荷制御計画値CPの区分によって異なる。例えば、上記(表1)の場合では、図示するように、負荷制御計画値CPが「a」、「b」及び「c」となる点から直線G4の傾きは、変動する。具体的には、「a」までは、直線G4の傾きは、「A」のグループに係る負荷制御達成率ARとなる。そして、「a」乃至「b」では、直線G4の傾きは、「B」のグループに係る負荷制御達成率ARとなる。さらに、「b」乃至「c」では、直線G4の傾きは、「C」のグループに係る負荷制御達成率ARとなる。
このようにすると、需給計画装置は、複数のグループを1つのモデルで扱うことができる。したがって、複数のグループをまとめることによって、分類数より生成するモデル数を少なくすることができる。そして、モデル数を少なくすると、需給計画装置は、需給計画に係る計算時間を短くすることができる。
なお、優先順位が高い順に、負荷を割り当てると、需給計画装置は、高い確率で節電等によって電力を確保できる。つまり、優先順位が高い順に、負荷を割り当てると、需給計画装置は、計画した節電量と、実際の節電量との乖離を少なくすることができる。
また、負荷を削減すると、いわゆる報奨金等が出るように設定される場合には、下記(4)式のような計算が需給計画装置によって更に行われてもよい。
まず、上記(4)式を計算するため、需給計画装置には、あらかじめパラメータとして、上記(4)式に示す「時間tの負荷制御コスト係数(従量料金)」及び「時間tの負荷制御コスト係数(基本料金)」等が設定される。上記(4)式によって計算される「時間tの負荷制御コスト」は、省エネ制御に応じて、負荷を削減させる量によって得られる報奨金等の利益を示す。なお、上記(4)式に示す例では、「時間tの負荷制御コスト係数(基本料金)」は、負荷を削減させる量、すなわち、負荷制御予測値CTLの値によらず、一定の値となる。
一方で、「時間tの負荷制御コスト係数(従量料金)」は、負荷制御予測値CTLの値に乗じる係数となる。例えば、上記(4)式等によって、需給計画装置は、利益等を計算すると、コストを精度良く計算することができる。
≪ 最適化問題の生成例(ステップS103) ≫
図5に戻り、ステップS103では、需給計画装置は、最適化問題を生成する。すなわち、ステップS103では、需給計画装置は、実績データ、予測データ、計画データ及び設備データ等に基づいて、各設備にそれぞれ設定される計画値の最適な値等を示す需給計画を計算するため、最適化問題を数理モデルで生成する。具体的には、例えば、需給計画装置は、目的関数及び制約条件をそれぞれ定式化する。
目的関数は、最適化したい値を数式で示す関数である。例えば、目的関数は、負荷を調達するコスト又は負荷の調達によって発生する二酸化炭素量を最小にする最適化を示す関数である。以下、コストを最小化する目的関数を例に説明する。例えば、コストを最小化する目的関数は、下記(5)式のようになる。
なお、上記(5)式は、負荷が電力である場合の例である。また、上記(5)式における「発電設備i、時間tの発電コスト」は、需要家が発電設備を有する場合であって、発電設備によって電力を発電するのに費やすコストを示す。例えば、「発電設備i、時間tの発電コスト」は、設備データ等によって設定される。
さらに、上記(5)式における「負荷設備j、時間tの負荷制御コスト」は、需要家が負荷設備において、発電量を制御するのに費やすコストを示す。例えば、「負荷設備j、時間tの負荷制御コスト」は、設備データ等によって設定される。
また、上記(5)式における「時間tにおける市場取引収益」は、電力を電力市場に売却して得られる利益を示す。電力市場に売却する電力は、計画データ等によってあらかじめ定まるとする。したがって、「時間tにおける市場取引収益」は、例えば、売却される電力に、売却単価を乗じて計算できる。このようにして、目的関数は、計算される。なお、二酸化炭素量を最小とする場合には、上記(5)式における各コストが、二酸化炭素量となる。
次に、制約条件が、例えば、下記(6)式等のように設定される。
上記(6)式は、需給バランスに係る制約を示す。具体的には、上記(6)式において、「発電設備i、時間tの発電計画値又は予測値」は、需要家が発電設備を有する場合、発電設備によって発電させる電力の計画値又は予測値を示す。例えば、計画値又は予測値等は、計画データ又は予測データ等によって設定される。
また、上記(6)式において、「蓄電設備k、時間tの放電計画値」は、需要家が蓄電設備を有する場合、蓄電設備にあらかじめ蓄電する電力のうち、放電させる電力の計画値を示す。
さらに、上記(6)式において、「時間tにおける購入計画値」は、電力市場から購入する電力の計画値を示す。
さらにまた、上記(6)式において、「負荷設備j、時間tの第2需要量」は、図11と同様に、省エネ制御後の状態において、負荷設備で使用される電力を示す。
また、上記(6)式において、「蓄電設備k、時間tの充電計画値」は、需要家が蓄電設備を有する場合、蓄電設備に蓄電させる電力の計画値を示す。
さらに、上記(6)式において、「時間tにおける売却計画値」は、電力市場に売却する電力の計画値を示す。
すなわち、上記(6)式は、左辺において、発電、放電及び購入する電力の総和を示し、確保する電力を示す。一方で、上記(6)式は、右辺において、使用、充電及び売却する電力の総和を示し、消費する電力を示す。
なお、上記(6)式では、「負荷設備j、時間tの第2需要量」が用いられる。すなわち、需要量は、省エネ制御によって、電力が削減された後の値である。したがって、需要量は、省エネ制御の前後で、下記(7)式のような関係となる。
上記(7)式において、「負荷設備j、時間tの第2需要量」は、上記(6)式と同様に、省エネ制御後の状態において、負荷設備で使用される電力を示す。
また、上記(7)式において、「負荷設備j、時間tの第1需要量」は、図11と同様に、省エネ制御前の状態において、負荷設備で使用される電力を示す。
さらに、上記(7)式において、負荷制御予測値CTLは、図11と同様に、省エネ制御によって削減させる電力を示す。
なお、上記(7)式における電力は、例えば、下記(8)式及び下記(9)式が成立する。
すなわち、上記(8)式は、上記(3)式に示すモデルが生成された場合等に成立する。
すなわち、上記(9)式は、上記(8)式に基づいて計算される負荷制御予測値CTLを得るために必要な制御コストを計算する式である。
例えば、需給計画装置は、上記(5)式乃至上記(9)式等の式を設定して最適化問題を生成する。なお、最適化問題を構成する目的関数及び制約条件は、上記(5)式乃至上記(9)式に限られない。例えば、需給計画装置は、発電設備、負荷設備、蓄電設備及び電力市場における市場取引に係る制約条件等が更に設定してもよい。また、需給計画装置は、実績データ等以外のデータを用いてもよい。具体的には、需給計画装置は、特許第5248372号公報、特許第5540698号公報及び特許第4968599号公報等に記載されている制約条件又はデータ等を用いてもよい。
例えば、発電設備に係る制約条件には、定格発電量、発電量の上限値並びに下限値、発電変化量の上限値並びに下限値、予備発電量、燃料消費特性、使用燃料の種類、最小連続停止時間、最小連続運転時間、起動費又はこれらの組み合わせ等が定められてもよい。
さらに、蓄電設備に係る制約条件には、定格容量、充電並びに放電の定格出力、充電並びに放電の上限値並びに下限値、充電並びに放電の効率、蓄電率の上限値並びに下限値、蓄電率の目標値又はこれらの組み合わせ等が定められてもよい。
さらにまた、送電設備に係る制約条件には、潮流の上限値及び下限値等が定められてもよい。
他にも、市場取引に係る制約条件には、取引単位等が定められてもよい。
≪ 最適需給計画の計算例(ステップS104) ≫
図5に戻り、ステップS104では、需給計画装置は、最適需給計画を計算する。例えば、ステップS104では、需給計画装置は、ステップS103で生成される最適化問題を示す数理モデルを線形計画法又は二次計画法等の最適化計算方法によって最適解を解く。すなわち、需給計画装置は、最適な需給計画となる、各設備のそれぞれの運用計画等を計算し、計算結果を出力する。なお、運用計画には、発電設備の発電計画、蓄電設備の充放電計画、負荷設備の節電計画及び電力市場における市場取引計画等が含まれてもよい。
以上のようにして、需給計画装置は、まず、データ読込部FN61(図4参照)等によって、負荷の実績を示す実績データ等を読み込む。次に、需給計画装置は、達成率計算部FN62(図4参照)等によって、例えば、図8に示すような制御前負荷を計算する。さらに、需給計画装置は、例えば、図8に示すような省エネ制御が行われた場合の制御後負荷を計測等によって特定する。そして、需給計画装置は、例えば、制御前負荷から制御後負荷を減算して、制御前負荷及び制御後負荷の差から負荷制御実績値を計算する。
次に、需給計画装置は、達成率計算部FN62(図4参照)等によって、例えば、上記(1)式等のように、負荷制御実績値及び負荷制御計画値に基づいて、達成率を計算する。また、負荷制御計画値は、直接負荷制御等のために、削減させる負荷が設定されたり、デマンドレスポンス制御等のために、需要家に負荷を削減させるように誘導する値等に基づいて設定されたりする。
そして、需給計画装置は、モデル生成部FN63(図4参照)等によって、負荷制御計画値及び達成率等に基づいて、上記(2)式又は上記(3)式のようなモデルを生成する。このようにすると、需給計画装置は、最適需給計画計算部FN64(図4参照)等によって、モデル生成部FN63が生成するモデル等に基づいて、所定の問題を定式化した目的関数を計算し、コストが最小となる等の最適な負荷を計算することができる。
負荷が需給計画によって決定すると、例えば、運用者又は需要家等は、各設備を決定した負荷となるように操作する。なお、各設備は、需給計画に基づいて、決定された負荷となるように、監視制御システム11等によって制御されてもよい。
省エネ制御等によって負荷が削減できると、削減された分、負荷には余力が生じる。この余力分を電源と見立て、電源として活用する方法、いわゆるネガワット(Negawatt)等が実行できる。つまり、省エネ制御等によって、負荷を直接又は間接的に確保し、確保される負荷を活用するように計画することができる。
なお、本発明の一実施形態に係る各処理の全部又は一部は、機械語、アセンブラ等の低水準言語、C言語、Java(登録商標)若しくはオブジェクト指向プログラミング言語等の高水準言語又はこれらを組み合わせて記述されるコンピュータに需給計画方法を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。すなわち、プログラムは、情報処理装置又は情報処理システム等のコンピュータに各処理を実行させるためのコンピュータプログラムである。
また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納して頒布することができる。さらに、記録媒体は、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM若しくはブルーレイディスク等の光ディスク、SD(登録商標)カード又はMO等でもよい。さらにまた、プログラムは、電気通信回線を通じて頒布することができる。
さらに、本発明の一実施形態に係る各処理の全部又は一部は、1以上の情報処理装置を含む需給計画システムによって、処理の全部又は一部が並行、分散、冗長又はこれらの組み合わせで処理されてもよい。
また、本発明の一実施形態に係る各処理は、図示した順序に限られない。例えば、各処理の一部又は全部は、異なる順序、並行、分散又は省略されて処理されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
10 需給計画装置
FN1 入力部
FN2 出力部
FN3 通信部
FN4 データベース
FN5 制御部
FN6 計算部
FN61 データ読込部
FN62 達成率計算部
FN63 モデル生成部
FN64 最適需給計画計算部
CB 制御前負荷
CA 制御後負荷
CR 負荷制御実績値
CP 負荷制御計画値
AR 負荷制御達成率
CTL 負荷制御予測値

Claims (9)

  1. 電力又は電力量の負荷を計画する需給計画装置であって、
    前記負荷の実績を示す実績データを少なくとも読み込むデータ読込部と、
    前記実績データに基づいて予測される制御前負荷及び前記負荷を削減させる省エネ制御が行われた場合の制御後負荷の差を示す負荷制御実績値と、前記省エネ制御によって削減させる負荷を示す負荷制御計画値とに基づいて達成率を計算する達成率計算部と、
    前記負荷制御計画値及び前記達成率に基づいて、前記負荷制御計画値と、前記負荷制御計画値による制御結果を示す負荷制御予測値との関係を示すモデルを生成するモデル生成部と、
    前記モデルに基づいて、前記負荷を調達するコスト又は前記負荷を調達するのに発生する二酸化炭素量の最小化の問題を定式化した目的関数を生成し、前記目的関数に基づいて前記負荷を計算する最適需給計画計算部と
    を含む需給計画装置。
  2. 複数の需要家が有するそれぞれの負荷設備によって使用される負荷が前記最適需給計画計算部によって計算される負荷となるように制御する請求項に記載の需給計画装置。
  3. 前記データ読込部は、需要家ごとの前記負荷を使用する傾向を示す負荷特性及び前記需要家が前記省エネ制御を行えるか否かを示す省エネ制御の可否のうち、少なくともいずれか1つを示すデータを更に読み込み、
    前記負荷特性、前記省エネ制御の可否、前記達成率又はこれらの組み合わせに基づいて、前記需要家を単数又は複数のグループに分類する分類部を更に含む請求項1又は2に記載の需給計画装置。
  4. 前記分類部は、前記負荷特性に基づいて、前記需要家を前記グループに分類する請求項に記載の需給計画装置。
  5. 前記分類部は、前記達成率に基づいて、前記需要家を前記グループに分類し、
    前記最適需給計画計算部は、前記達成率が高い前記グループから順に前記負荷を割り当てる請求項に記載の需給計画装置。
  6. 前記省エネ制御は、直接負荷制御又は間接負荷制御である請求項1乃至のいずれか1項に記載の需給計画装置。
  7. 前記省エネ制御は、前記間接負荷制御であって、前記負荷を調達するコストを変動させる制御である請求項に記載の需給計画装置。
  8. 電力又は電力量の負荷を計画する需給計画装置が行う需給計画方法であって、
    前記需給計画装置が、前記負荷の実績を示す実績データを少なくとも読み込むデータ読込手順と、
    前記需給計画装置が、前記実績データに基づいて予測される制御前負荷及び前記負荷を削減させる省エネ制御が行われた場合の制御後負荷の差を示す負荷制御実績値と、前記省エネ制御によって削減させる負荷を示す負荷制御計画値とに基づいて達成率を計算する達成率計算手順と、
    前記需給計画装置が、前記負荷制御計画値及び前記達成率に基づいて、前記負荷制御計画値と、前記負荷制御計画値による制御結果を示す負荷制御予測値との関係を示すモデルを生成するモデル生成手順と、
    前記需給計画装置が、前記モデルに基づいて、前記負荷を調達するコスト又は前記負荷を調達するのに発生する二酸化炭素量の最小化の問題を定式化した目的関数を生成し、前記目的関数に基づいて前記負荷を計算する最適需給計画計算手順と
    を含む需給計画方法。
  9. 電力又は電力量の負荷を計画するコンピュータに需給計画方法を実行させるためのプログラムであって、
    前記コンピュータが、前記負荷の実績を示す実績データを少なくとも読み込むデータ読込手順と、
    前記コンピュータが、前記実績データに基づいて予測される制御前負荷及び前記負荷を削減させる省エネ制御が行われた場合の制御後負荷の差を示す負荷制御実績値と、前記省エネ制御によって削減させる負荷を示す負荷制御計画値とに基づいて達成率を計算する達成率計算手順と、
    前記コンピュータが、前記負荷制御計画値及び前記達成率に基づいて、前記負荷制御計画値と、前記負荷制御計画値による制御結果を示す負荷制御予測値との関係を示すモデルを生成するモデル生成手順と、
    前記コンピュータが、前記モデルに基づいて、前記負荷を調達するコスト又は前記負荷を調達するのに発生する二酸化炭素量の最小化の問題を定式化した目的関数を生成し、前記目的関数に基づいて前記負荷を計算する最適需給計画計算手順と
    を実行させるためのプログラム。
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