ところで、排ガス処理装置では、燃焼排ガス中に含まれる窒素酸化物(例えば、二酸化窒素(NO2))に起因する成分がCO2吸収液に蓄積成分として蓄積するので、CO2回収装置の前段に排ガス中の窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去装置が設けられる。一方で、ガスタービンが運転時に低発電負荷状態となると、燃焼排ガス中の窒素酸化物の排出量が顕著に増大し、CO2回収装置の前段に窒素酸化物除去装置を設けても、燃焼排ガス中の窒素酸化物を必ずしも十分に除去できないことがある。燃焼排ガス中に窒素酸化物が残存すると、窒素酸化物に起因する蓄積成分がCO2回収装置のCO2吸収液に蓄積し、CO2吸収液から窒素酸化物に起因する蓄積成分を除去するリクレーミング処理の頻度が増えて運転費が増大する場合がある。
本発明は、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を低減でき、運転費の低減が可能な排ガス処理装置及び排ガス処理方法を提供することを目的とする。
本発明の排ガス処理装置は、前記第1発電設備から排出される第1燃焼排ガスが流れる第1排ガス流路と、前記第2発電設備から排出される第2燃焼排ガスが流れる第2排ガス流路と、前記第1排ガス流路及び前記第2排ガス流路の少なくとも一方から分岐して設けられ、前記第1排ガス流路を流れる前記第1燃焼排ガス及び前記第2排ガス流路を流れる前記第2燃焼排ガスの少なくとも一方の少なくとも一部を排気燃焼排ガスとして排出する排ガス排気流路と、前記第1排ガス流路を流れる第1燃焼排ガスと前記第2排ガス流路を流れる第2燃焼排ガスとを統合した統合燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去部と、前記窒素酸化物除去部で窒素酸化物を除去した前記統合燃焼排ガスの排熱を回収する統合排熱回収部と、前記統合排熱回収部で排熱が回収された前記統合燃焼排ガス中のCO2をCO2回収液によって回収するCO2回収部とを具備することを特徴とする。
この構成によれば、第1発電設備及び第2発電設備の少なくとも一方から排出される燃焼排ガス中の窒素酸化物が増大した際に、排ガス排気流路を介して、窒素酸化物の濃度が増大した第1燃焼排ガス及び第2燃焼排ガスの少なくとも一方を外部に排出することが可能となる。これにより、排ガス処理装置は、窒素酸化物除去部に導入される統合燃焼排ガス中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に調整することができるので、統合燃焼排ガス中の窒素酸化物を効率良く分解除去することが可能となる。したがって、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を低減でき、運転費の低減が可能な排ガス処理装置を実現できる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記排ガス排気流路を流れる排気燃焼排ガスの排熱を回収する排気排熱回収部を備えたことが好ましい。この構成により、排ガス処理装置は、第1排気ガス排気流路及び第2排気ガス排気流路の少なくとも一方を流れる燃焼排ガスの排熱を排気排熱回収部で回収することができるので、第1燃焼排ガス及び第2燃焼排ガスの排熱を有効に活用することが可能となる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記統合排熱回収部に導入する前記第1燃焼排ガス及び前記第2燃焼排ガスの流量を制御する制御部を備えたことが好ましい。この構成により、排ガス処理装置は、統合排熱回収部に導入する第1燃焼排ガス及び前記第2燃焼排ガスの流量を制御することにより、発電負荷が低下した第1発電設備及び第2発電設備の少なくとも一方から排出された第1燃焼排ガス及び第2燃焼排ガスの少なくとも一部を外部に排出できるので、窒素酸化物除去部に導入される統合燃焼排ガス中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に容易に調整することができる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記制御部は、前記第1発電設備及び前記第2発電設備の発電負荷に基づいて、前記統合排熱回収部に導入する前記第1燃焼排ガス及び前記第2燃焼排ガスの流量を制御することが好ましい。この構成により、排ガス処理装置は、発電負荷が低下した第1発電設備及び第2発電設備の少なくとも一方から排出された第1燃焼排ガス及び第2燃焼排ガスの少なくとも一部を外部に排出できるので、窒素酸化物除去部に導入される統合燃焼排ガス中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に容易に調整することができる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記制御部は、前記発電負荷として、前記第1発電設備及び前記第2発電設備の発電出力に基づいて、前記統合排熱回収部に導入する前記第1燃焼排ガス及び前記第2燃焼排ガスの流量を制御することが好ましい。この構成により、排ガス処理装置は、発電出力が低下した第1発電設備及び第2発電設備の少なくとも一方から排出された第1燃焼排ガス及び第2燃焼排ガスの少なくとも一部を外部に排出できるので、窒素酸化物除去部に導入される統合燃焼排ガス中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に容易に調整することができる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記制御部は、前記発電負荷として、前記第1排ガス流路を流れる前記第1燃焼排ガスの流量、前記第2排ガス流路を流れる前記第2燃焼排ガスの流量及び前記排ガス排気流路を流れる前記排気燃焼排ガスの流量の少なくとも一つに基づいて、前記統合排熱回収部に導入する前記第1燃焼排ガス及び前記第2燃焼排ガスの流量を制御することが好ましい。この構成により、排ガス処理装置は、第1燃焼排ガス及び第2燃焼排ガスの流量が低下した第1発電設備及び第2発電設備の少なくとも一方から排出された第1燃焼排ガス及び第2燃焼排ガスの少なくとも一部を外部に排出できるので、窒素酸化物除去部に導入される統合燃焼排ガス中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に容易に調整することができる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記制御部は、前記発電負荷が所定の閾値以下となった際に、下記式(1)に基づいて算出される排ガス負荷に基づいて、前記統合排熱回収部に導入する前記第1燃焼排ガス及び前記第2燃焼排ガスの流量を制御することが好ましい。この構成により、排ガス処理装置は、排ガス負荷に基づいて、統合排熱回収部に導入する第1燃焼排ガス及び前記第2燃焼排ガスの流量を制御するので、排ガス負荷が低下した第1発電設備及び第2発電設備の少なくとも一方から排出された第1燃焼排ガス及び第2燃焼排ガスの少なくとも一部を外部に排出でき、窒素酸化物除去部に導入される統合燃焼排ガス中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に容易に調整することができる。
排ガス負荷(%)=測定対象となる第1排ガス流路又は第2排ガス流路を流れる第1燃焼排ガス又は第2燃焼排ガスの流量/第1排ガス流路又は第2排ガス流路を流れる第1燃焼排ガス又は第2燃焼排ガスの定格流量×100・・・式(1)
本発明の排ガス処理装置においては、前記窒素酸化物除去部に導入される前記第1燃焼排ガス及び前記第2燃焼排ガスの流量を調整し、前記統合燃焼排ガスの温度を300℃以上400℃以下に制御する制御部を備えたことが好ましい。この構成により、窒素酸化物除去部に導入される統合燃焼排ガスのガス温度を窒素酸化物の分解処理に適した300℃以上400℃以下にできるので、CO2回収部におけるCO2回収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を効率良く低減することが可能となる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記統合排熱回収部内に前記窒素酸化物除去部が設けられたことが好ましい。この構成により、統合排熱回収部及び窒素酸化物除去部を一体化できるので、排ガス処理装置の設備の小型化及び簡素化が可能となる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記窒素酸化物除去部は、窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去触媒と還元剤を注入する還元剤注入部とを備えたことが好ましい。この構成により、還元剤及び窒素酸化物除去触媒により、統合燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物をより一層効率良く分解除去することが可能となる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記CO2回収部に導入される統合燃焼排ガスのガス流量及び窒素酸化物濃度に基づいて、前記還元剤の供給量を制御する制御部を備えたことが好ましい。この構成により、CO2回収部に導入される統合燃焼排ガス中の窒素酸化物を所望の濃度範囲に制御することができる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記統合排熱回収部は、前記窒素酸化物を除去した前記統合燃焼排ガスの排熱によってCO2回収部から排出されたCO2を圧縮するCO2圧縮部駆動用蒸気を生成し、生成したCO2圧縮部駆動用蒸気をCO2圧縮部に供給することが好ましい。この構成により、統合燃焼排ガスの排熱をCO2圧縮部駆動用蒸気として有効に活用することが可能となり、排ガス処理装置の運転費を削減することが可能となる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記統合排熱回収部は、前記窒素酸化物を除去した前記統合燃焼排ガスの排熱によってタービン駆動用蒸気を生成し、生成したタービン駆動用蒸気を蒸気タービンに供給することが好ましい。この構成により、統合燃焼排ガスの排熱をタービン駆動用蒸気として有効に活用することが可能となり、排ガス処理装置の運転費を削減することが可能となる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記窒素酸化物除去部に導入される前記統合燃焼排ガスの温度及びガス流量を測定し、測定した温度及びガス流量に基づいて、前記発電設備の燃焼器に供給する燃料の量及び前記蒸気タービンへの蒸気供給量の少なくとも一方を制御する制御部を備えることが好ましい。この構成により、窒素酸化物除去部に導入される統合燃焼排ガスの温度及び流量を所望の範囲に制御することが可能となる。
本発明の排ガス処理装置においては、前記第1発電設備及び前記第2発電設備の少なくとも一方が、既存発電設備を含むことが好ましい。この構成により、既存発電設備に対しても、第1ガス排気流路及び第2ガス排気流路を設けることにより、統合燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解除去に適した範囲に調整できるので、設備費の増大の低減も可能となる。
本発明の排ガス処理方法は、第1発電設備及び第2発電設備の少なくとも一方の発電負荷が所定の閾値未満となった際に、当該発電負荷が所定の閾値より低くなった第1発電設備から排出される第1燃焼排ガス及び第2発電設備から排出される第2燃焼排ガスの少なくとも一部を外部に排出する燃焼排ガス排出工程と、前記燃焼排ガス排出工程で少なくとも一部を外部に排出された前記第1燃焼排ガスと前記第2燃焼排ガスとを統合し統合燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去工程と、前記窒素酸化物除去工程で窒素酸化物を除去した前記統合燃焼排ガスの排熱を回収する統合排熱回収工程と、前記統合排熱回収工程で排熱が回収された前記統合燃焼排ガス中のCO2をCO2回収液によって回収するCO2回収工程とを具備することを特徴とする。
この方法によれば、第1発電設備及び第2発電設備の少なくとも一方から排出される燃焼排ガス中の窒素酸化物が増大した際に、窒素酸化物の濃度が増大した第1燃焼排ガス及び第2燃焼排ガスの少なくとも一方を外部に排出することが可能となる。これにより、排ガス処理装置は、統合燃焼排ガス中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に調整することができるので、統合燃焼排ガス中の窒素酸化物を効率良く分解除去することが可能となる。したがって、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を低減でき、運転費の低減が可能な排ガス処理方法を実現できる。
本発明によれば、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を低減でき、運転費の低減が可能な排ガス処理装置及び排ガス処理方法を実現できる。
本発明者らは、従来の排ガス処理装置では、発電設備の発電負荷が低下すると発電設備から排出される燃焼排ガス中の窒素酸化物が顕著に増大することに着目した。そして、本発明者らは、複数の発電設備のうち、排ガス排気流路を介して発電負荷が低下して窒素酸化物が増大した燃焼排ガスを排気することを着想した。これにより、本発明者らは、複数の発電設備から排出される燃焼排ガスを統合した統合燃焼排ガス中の窒素酸化物濃度を低減するが可能となり、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を低減でき、運転費の低減が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。
図1は、本発明の実施の形態に係る排ガス処理装置1の一例を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態に係る排ガス処理装置1は、燃焼排ガスG11を発生する発電設備(第1発電設備)10−1から排出される燃焼排ガス(第1燃焼排ガス)G11−1及び発電設備(第2発電設備)10−2から排出される燃焼排ガス(第2燃焼排ガス)G11−2の排熱を統合排熱回収ボイラ12で回収した後、統合燃焼排ガスG21に含まれるCO2をCO2回収部13によって回収して排出するものである。排ガス処理装置1は、燃焼排ガスG11−1を排出する発電設備10−1と、燃焼排ガスG11−2を排出する発電設備10−2と、燃焼排ガスG11の流れ方向における発電設備10−1の後段に設けられた排気排熱回収ボイラ11及び統合排熱回収ボイラ12と、統合排熱回収ボイラ12の後段に設けられたCO2回収部13と、CO2回収部13の後段に設けられたCO2圧縮部14とを備える。排気排熱回収ボイラ11の後段には、燃焼排ガスG11の一部を排出する煙突15が設けられている。
図2は、本実施の形態に係る発電設備10−1,10−2の模式図である。なお、図2おいては、発電設備10−1,10−2は、それぞれ同様の構成を有するので、発電設備10として示している。図2に示すように、発電設備10は、ガスタービン210と、蒸気タービン220と、発電機230とが一軸で構成されてなる一軸型の複合発電設備(ガスタービンコンバインドサイクル)である。ガスタービン210は、空気Aを圧縮する圧縮機211と、圧縮機で圧縮された空気Aを燃料Fと共に燃焼させる燃焼器212と、燃焼器212で発生した燃焼ガスにより回転駆動するタービン213とを備える。圧縮機211とタービン213とは、タービン軸240を介して連結されている。
蒸気タービン220は、低圧蒸気によって回転駆動する低圧蒸気タービン221と、中圧蒸気によって回転駆動する中圧蒸気タービン222A及び高圧蒸気によって回転駆動する高圧蒸気タービン222Bとが連結された中圧・高圧蒸気タービン222とを備える。低圧蒸気タービン221及び中圧・高圧蒸気タービン222は、タービン軸240を介して発電機230と接続されると共に、ガスタービン210に連結されている。発電機230は、タービン軸240を介したガスタービン210及び蒸気タービン220の回転駆動により発電する。
発電設備10−1は、発電によって発生した燃焼排ガスG11−1を排ガスライン(第1排ガス流路)L11−1に排出する。排ガスラインL11−1は、発電設備10−1から排出された燃焼排ガスG11−1を統合排熱回収ボイラ12に向けて供給する。排ガスラインL11−1には、排ガスラインL11−1を流れる燃焼排ガスG11−1の流量を調整する流量制御弁V11−1が設けられている。また、排ガスラインL11−1には、発電設備10−1と統合排熱回収ボイラ12との間の流量制御弁V11−1の後段に排ガスラインL11−1から分岐する排ガス排気ライン(排ガス排気流路)L12−1が設けられている。この排ガス排気ラインL12−1には、流量制御弁V12−1、排気排熱回収ボイラ11及び煙突15がこの順に設けられている。流量制御弁V12−1は、排ガス排気ラインL12−1を流れる排気燃焼排ガスG12−1の流量を調整する。排気排熱回収ボイラ11は、排ガス排気ラインL12−1を流れる排気燃焼排ガスG12−1の排熱を回収し、排熱を回収した排気燃焼排ガスG12−1を煙突15に供給する。煙突15は、排熱が回収された排気燃焼排ガスG12−1を外部に排出する。なお、排気排熱回収ボイラ11は、必ずしも設ける必要はない。
発電設備10−2は、発電によって発生した燃焼排ガスG11−2を排ガスライン(第2排ガス流路)L11−2に排出する。排ガスラインL11−2は、発電設備10−2から排出された燃焼排ガスG11−2を統合排熱回収ボイラ12に向けて供給する。排ガスラインL11−2には、排ガスラインL11−1を流れる燃焼排ガスG11−1の流量を調整する流量制御弁V11−2が設けられている。また、排ガスラインL11−2には、発電設備10−2と統合排熱回収ボイラ12との間の流量制御弁V11−2の後段に排ガスラインL11−2から分岐する排ガス排気ライン(排ガス排気流路)L12−2が設けられている。この排ガス排気ラインL12−2には、排ガス排気ラインL12−2を流れる排気燃焼排ガスG12−2の流量を調整する流量制御弁V12−2が設けられている。また、排ガス排気ラインL12−2は、排ガス排気ラインL12−1と接続されて統合排ガス排気ラインL31となる。
統合排熱回収ボイラ12には、排ガスラインL11−1を流れる燃焼排ガスG11−1及び排ガスラインL11−2を流れる燃焼排ガスG11−2が統合された統合燃焼排ガスG21が供給される。統合排熱回収ボイラ12は、統合燃焼排ガスG21の排熱を回収する。統合排熱回収ボイラ12には、内部に統合燃焼排ガスG21中に含まれる一酸化窒素及び二酸化窒素などの窒素酸化物を還元除去する窒素酸化物除去部120が設けられている。このように、統合排熱回収ボイラ12内に窒素酸化物除去部120を設けることにより、排ガス処理装置1を小型化することが可能となる。なお、窒素酸化物除去部120は、必ずしも統合排熱回収ボイラ12と一体に設ける必要はなく、統合排熱回収ボイラ12の外部に設けてもよい。
窒素酸化物除去部120は、統合燃焼排ガスG21に窒素酸化物を還元する還元剤を噴射する還元剤供給部121と、還元剤供給部121の後段に設けられ、窒素酸化物を選択的に還元する脱硝触媒が充填された選択触媒還元(SCR:Selective Catalytic Reduction)部122とを含む。還元剤供給部121の還元剤としては、一酸化窒素及び二酸化窒素などの窒素酸化物を分解除去できるものであれば特に制限はない。また、選択触媒還元部122の脱硝触媒としては、一酸化窒素及び二酸化窒素などの窒素酸化物を分解除去できるものであれば特に制限はない。
統合排熱回収ボイラ12は、窒素酸化物除去部120で統合燃焼排ガスG21中に還元剤供給部121から還元剤を供給し、還元剤が供給された窒素酸化物を選択触媒還元部122で分解処理する。また、統合排熱回収ボイラ12は、窒素酸化物が分解処理された統合燃焼排ガスG21の排熱を回収し、排熱を回収した統合燃焼排ガスG21をCO2回収部13に供給する。
CO2回収部13は、統合燃焼排ガスG21中の二酸化炭素(CO2)をCO2吸収液により回収するCO2吸収塔と、CO2を吸収したCO2吸収液を加熱してCO2吸収液からCO2を放散させるCO2再生塔とを含む。CO2回収液としては、統合燃焼排ガスG21中の二酸化炭素(CO2)を回収できるものであれば特に制限はなく、例えば、アミン系吸収液などを用いることができる。また、CO2回収部13は、CO2を回収した統合燃焼排ガスG21を外部に排出すると共に、回収したCO2をCO2圧縮部14に供給する。CO2圧縮部14は、CO2回収部13から供給されるCO2を圧縮して排出する。
また、排ガス処理装置1は、統合排熱回収ボイラ12に導入される統合燃焼排ガスG21のガス流量及び温度を測定する第1排ガス測定部16と、CO2回収部13に導入される統合燃焼排ガスG21のガス流量及び窒素酸化物濃度を測定する第2排ガス測定部17と、統合排熱回収ボイラ12に導入する燃焼排ガスG11−1,G11−2の流量、発電設備10への燃料Fの供給量及び還元剤供給部121から統合燃焼排ガスG21中に供給される還元剤の供給量を制御する制御部18と、排ガスラインL11−1,L11−2を流れる燃焼排ガスG11−1,G11−2の流量及び排ガス排気ラインL12−1,L12−2を流れる排気燃焼排ガスG12−1,G12−2の流量を測定する流量測定部19と、発電設備10−1,10−2の発電出力を測定する出力測定部20とを備える。第1排ガス測定部16におけるガス流量、温度の測定、第2排ガス測定部17におけるガス流量、窒素酸化物濃度の測定、流量測定部19における燃焼排ガスG11−1,G11−2及び排気燃焼排ガスG12−1,G12−2の流量の測定、及び出力測定部20における発電設備10−1,10−2の発電出力を測定は、従来公知の方法により行われる。
制御部18は、第1排ガス測定部16で測定された統合燃焼排ガスG21のガス流量及び温度に基づいて、流量制御弁V11−1,V11−2,V12−1,V12−2の開度及び発電設備10への燃料の供給量を調整する、また、制御部18は、排ガスラインL11−1を流れる燃焼排ガスG11−1の流量、排ガスラインL11−2を流れる燃焼排ガスG11−2の流量、排ガス排気ラインL12−1を流れる排気燃焼排ガスG12−1の流量及び排ガス排気ラインL12−2を流れる排気燃焼排ガスG12−2の流量及び発電設備10−1,10−2の発電出力の少なくとも一つに基づいて、統合排熱回収ボイラ12に導入する燃焼排ガスG11−1,G11−2の流量を制御する。また、制御部18は、第2排ガス測定部17で測定された統合燃焼排ガスG21のガス流量及び窒素酸化物濃度に基づいて、発電設備10への燃料Fの供給量を制御する。
制御部18は、発電設備10−1,10−2の発電負荷に基づいて流量制御弁V11−1,V11−2,V12−1,V12−2の開度を調整して排ガス排気ラインL12−1,L12−2を流れる排気燃焼排ガスG12−1,G12−2の流量を制御する。制御部18は、発電負荷として、例えば、出力測定部20で測定された発電設備10−1の発電出力が予め設定された所定の閾値未満となった場合には、流量制御弁V11−1の開度の低減及び流量制御弁V12−1の開度の増大の少なくとも一方の制御をする。これにより、発電出力の低下によって、窒素酸化物の濃度が増大した燃焼排ガスG11−1を排気燃焼排ガスG12−1として排出することができるので、統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物の濃度を低減することができる。この結果、統合排熱回収ボイラ12への窒素酸化物の導入量を低減することができるので、CO2回収部13のCO2回収液における窒素酸化物起因成分の蓄積量を減少させることができる。制御部18は、発電設備10−1の発電出力が予め設定された所定の閾値以上となった場合には、流量制御弁V11−1の開度の増大及び流量制御弁V12−1の開度の低減の少なくとも一方の制御をする。これにより、発電出力の増大により窒素酸化物の濃度が減少した排気燃焼排ガスG12−1を燃焼排ガスG11−1として統合排熱回収ボイラ12へ導入することができるので、統合排熱回収ボイラ12での排熱の回収量を増やすことができる。
また、制御部18は、発電負荷として、例えば、出力測定部20で測定された発電設備10−2の発電出力が予め設定された所定の閾値未満となった場合には、流量制御弁V11−2の開度の低減及び流量制御弁V12−2の開度の増大の少なくとも一方の制御をする。これにより、発電出力の低下によって、窒素酸化物の濃度が増大した排気燃焼排ガスG12−1を排気燃焼排ガスG12−2として排出することができるので、統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物の濃度を低減することができる。この結果、統合排熱回収ボイラ12への窒素酸化物の導入量を低減することができるので、CO2回収部13のCO2回収液における窒素酸化物起因成分の蓄積量を減少させることができる。制御部18は、発電設備10−2の発電出力が予め設定された所定の閾値以上となった場合には、流量制御弁V11−2の開度の増大及び流量制御弁V12−2の開度の低減の少なくとも一方の制御をする。これにより、発電出力の増大により窒素酸化物の濃度が減少した排気燃焼排ガスG12−2を燃焼排ガスG11−2として統合排熱回収ボイラ12へ導入することができるので、統合排熱回収ボイラ12での排熱の回収量を増やすことができる。
制御部18は、発電負荷として、例えば、流量測定部19で測定された排ガスラインL11−1を流れる燃焼排ガスG11−1の流量が予め設定した所定の閾値未満となった場合には、流量制御弁V11−1の開度の低減及び流量制御弁V12−1の開度の増大の少なくとも一方の制御をする。これにより、発電出力の低下に伴って流量が低下すると共に、窒素酸化物の濃度が増大した燃焼排ガスG11−1を排気燃焼排ガスG12−1として排出することができるので、統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物の濃度を低減することができる。この結果、統合排熱回収ボイラ12への窒素酸化物の導入量を低減することができるので、CO2回収部13のCO2回収液における窒素酸化物起因成分の蓄積量を減少させることができる。制御部18は、排ガス排気ラインL12−1を流れる燃焼排ガスG11−1の流量が予め設定した所定の閾値以上となった場合には、流量制御弁V11−1の開度の増大及び流量制御弁V12−1の開度の低減の少なくとも一方の制御をする。これにより、発電出力の増大に伴って流量が増大すると共に、窒素酸化物が減少した燃焼排ガスG11−1を統合排熱回収ボイラ12へ導入することができるので、統合排熱回収ボイラ12での排熱の回収量を増やすことができる。
制御部18は、発電負荷として、例えば、流量測定部19で測定された排ガスラインL11−2を流れる燃焼排ガスG11−2の流量が予め設定した所定の閾値未満となった場合には、流量制御弁V11−2の開度の低減及び流量制御弁V12−2の開度の増大の少なくとも一方の制御をする。これにより、発電出力の低下に伴って流量が低下すると共に、窒素酸化物の濃度が増大した燃焼排ガスG11−2を排気燃焼排ガスG12−2として排出することができるので、統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物の濃度を低減することができる。この結果、統合排熱回収ボイラ12への窒素酸化物の導入量を低減することができるので、CO2回収部13のCO2回収液における窒素酸化物起因成分の蓄積量を減少させることができる。制御部18は、排ガス排気ラインL12−2を流れる燃焼排ガスG11−2の流量が予め設定した所定の閾値以上となった場合には、流量制御弁V11−2の開度の増大及び流量制御弁V12−2の開度の低減の少なくとも一方の制御をする。これにより、発電出力の増大に伴って流量が増大すると共に、窒素酸化物の濃度が減少した燃焼排ガスG11−2の統合排熱回収ボイラ12への導入量を増大することができるので、統合排熱回収ボイラ12での排熱の回収量を増やすことができる。
また、制御部18は、発電負荷が所定の閾値以下となった際に、例えば、下記式(1)に基づいて算出される排ガス負荷に基づいて、統合排熱回収ボイラ12に導入する燃焼排ガスG11−1,G11−2の流量を制御することが好ましい。ここでの定格流量とは、発電設備10−1,10−2の通常運転の際の排ガスラインL11−1,L11−2を流れる燃焼排ガスG11−1,G11−2の流量である。また,測定対象となる排ガスラインは、統合排ガスラインへの燃焼排ガスの供給があるラインとする。
排ガス負荷(%)=測定対象となる排ガスラインL11−1,L11−2を流れる燃焼排ガスG11−1,G11−2の流量/排ガスラインL11−1,L11−2流れる燃焼排ガスG11−1,G11−2の定格流量×100・・・式(1)
制御部18は、上記式(1)で算出された排ガス負荷が設定した所定の閾値未満となった場合には、流量制御弁V11−1,V11−2の開度の低減及び流量制御弁V12−1,V12−2の開度の増大の少なくとも一方の制御をする。これにより、排ガス負荷の低下に伴って窒素酸化物の濃度が増大した燃焼排ガスG11−1,G11−2を排気燃焼排ガスG12−1,G12−2として排出することができるので、統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物の濃度を低減することができる。この結果、統合排熱回収ボイラ12への窒素酸化物の導入量を低減することができるので、CO2回収部13のCO2回収液における窒素酸化物起因成分の蓄積量を減少させることができる。制御部18は、上記式(1)で算出された排ガス負荷が予め設定した所定の閾値以上となった場合には、流量制御弁V11−1,V11−2の開度の増大及び流量制御弁V12−1,V12−2の開度の低減の少なくとも一方の制御をする。これにより、排ガス負荷の増大に伴って窒素酸化物の濃度が減少した燃焼排ガスG11−1,G11−2の統合排熱回収ボイラ12への導入量を増大することができるので、統合排熱回収ボイラ12での排熱の回収量を増やすことができる。
図3は、排ガス負荷とCO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量との関係を示す図である。図3に示すように、排ガス処理装置1では、上記式(1)で算出される排ガス負荷の増大に伴って、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量が減少する。この排ガス負荷は、60%で窒素酸化物起因成分の蓄積量が、窒素酸化物除去部120を設けない場合に対して約0.28倍となり、70%で窒素酸化物除去部120を設けない場合に対して約0.17倍となる。また、排ガス負荷は、60%未満の範囲では窒素酸化物起因成分の蓄積量が著しく増大し、70%以上の範囲では窒素酸化物起因成分の蓄積量の低下率が低下し、60%以上70%以下の範囲で減少率が最大となる。また、排ガス負荷は、100%に近くなるほどCO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量が減少する。以上を考慮すると、予め設定する排ガス負荷の閾値としては、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を減少させて排ガス処理装置1の運転費を低減する観点から、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、また100%以下が好ましい。
また、制御部18は、統合排熱回収ボイラ12に導入する燃焼排ガスG11−1,G11−2の流量及び発電設備10への燃料の供給量の少なくとも一方を調整して第1排ガス測定部16で測定される統合燃焼排ガスG21の温度が300℃以上400℃以下となるように制御する。このような制御により、排ガス処理装置1は、統合排熱回収ボイラ12の窒素酸化物除去部120に供給される統合燃焼排ガスG21の温度を窒素酸化物の分解除去に適した温度にすることができるので、より一層効率良く統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物を分解除去することが可能となる。
制御部18は、第1排ガス測定部16で測定される統合燃焼排ガスG21の温度が300℃未満の場合には、排ガス負荷又は発電出力が低下した発電設備10−1,10−2に接続された排ガスラインL11−1,L11−2の流量制御弁V11−1,V11−2の開度の低減及び当該排ガスラインL11−1,L11−2から分岐した排ガス排気ラインL12−1,L12−2の流量制御弁V12−1,V12−2の開度の増大の少なくとも一方の制御により、統合燃焼排ガスG21中における燃焼排ガスG11−1,G11−2の割合を低下させる。これにより、統合燃焼排ガスG21中における排ガス負荷又は発電出力が低下して温度が低下した燃焼排ガスG11−1,G11−2の統合排熱回収ボイラ12への導入量を減少させることができるので、第1排ガス測定部16で測定される統合燃焼排ガスG21の温度が増大する。また、制御部18は、流量制御弁V11−1,V11−2,V12−1,V12−2の開度を維持して、排ガス負荷又は発電出力が低下した発電設備10−1,10−2への燃料Fの供給量を増大させて統合燃焼排ガスG21の温度を上げてもよい。
また、制御部18は、第1排ガス測定部16で測定される統合燃焼排ガスG21の温度が400℃超えの場合には、排ガス負荷又は発電出力が高い発電設備10−1,10−2に接続された排ガスラインL11−1,L11−2の流量制御弁V11−1,V11−2の開度の低減及び当該排ガスラインL11−1,L11−2から分岐した排ガス排気ラインL12−1,L12−2の流量制御弁V12−1,V12−2の開度の増大の少なくとも一方の制御により、統合燃焼排ガスG21中における燃焼排ガスG11−1,G11−2の割合を低下させる。これにより、統合燃焼排ガスG21中における排ガス負荷又は発電出力が高くて温度が上昇した燃焼排ガスG11−1,G11−2の統合排熱回収ボイラ12への導入量を減少させることができるので、第1排ガス測定部16で測定される統合燃焼排ガスG21の温度が減少する。また、制御部18は、流量制御弁V11−1,V11−2,V12−1,V12−2の開度を維持して、排ガス負荷又は発電出力が高い発電設備10−1,10−2への燃料Fの供給量を減少させて統合燃焼排ガスG21の温度を上げてもよい。
また、制御部18は、還元剤供給部121から供給される還元剤の供給量を調整し、第2排ガス測定部17で測定される統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物濃度が所定値以下となるように制御する。制御部18は、第2排ガス測定部17で測定される統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物濃度が所定値超えの場合には、還元剤供給部121からの還元剤の供給量を増やす。また、第2排ガス測定部17で測定される統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物濃度が所定値未満の場合には、還元剤供給部121からの還元剤の供給量を維持又は減少させる。このような制御により、排ガス処理装置1は、CO2回収部13に導入される統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物濃度を所定値以下に制御できるので、CO2回収部13から排出されるCO2回収後の統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物を効率良く低減することができる。
次に、本実施の形態に係る排ガス処理装置1の全体動作について説明する。発電設備10−1から排出された燃焼排ガスG11−1は、排ガスラインL11−1を介して統合排ガスラインL21に供給される。ここでは、発電設備10−1の発電出力及び排ガス負荷及び排ガスラインL11−1を流れる燃焼排ガスG11−1の流量の少なくとも一部が低下して、燃焼排ガスG11−1中の窒素酸化物の濃度が増大した場合には、燃焼排ガスG11−1の少なくとも一部が、排ガス排気ラインL12−1に分岐して排気燃焼排ガスG12−1として流れる。排ガス排気ラインL12−1を流れる排気燃焼排ガスG12−1は、排気排熱回収ボイラ11で排熱が回収された後、統合排ガス排気ラインL31に供給される。また、発電設備10−2から排出された燃焼排ガスG11−2は、排ガスラインL11−2を介して統合排ガスラインL21に供給される。ここでは、発電設備10−2の発電出力及び排ガス負荷及び排ガスラインL11−2を流れる燃焼排ガスG11−2の流量の少なくとも一部が低下して、燃焼排ガスG11−2中の窒素酸化物の濃度が増大した場合には、燃焼排ガスG11−2の少なくとも一部が、排ガス排気ラインL12−2に分岐して排気燃焼排ガスG12−2として流れる。排ガス排気ラインL12−2を流れる排気燃焼排ガスG12−2は、統合排ガス排気ラインL31に供給される。統合排ガス排気ラインL31に供給された排気燃焼排ガスG12−1,G12−2は、統合排気燃焼排ガスG31に統合されて煙突15から排出される。
統合排ガスラインL21に供給された燃焼排ガスG11−1,G11−2は、統合されて統合燃焼排ガスG21として、統合排熱回収ボイラ12に供給される。ここでは、制御部18が、必要に応じて、流量制御弁V11−1及び流量制御弁V11−2のバルブ開度、並びに、発電設備10に供給される燃料の供給量を制御することにより、統合燃焼排ガスG21の温度が所定温度(例えば、300℃以上400℃以下)となるように制御する。統合排熱回収ボイラ12に供給された統合燃焼排ガスG21は、窒素酸化物除去部120の還元剤供給部121で還元剤が供給され、選択触媒還元部122で窒素酸化物が分解除去された後、CO2回収部13に供給される。ここでは、制御部18は、必要に応じてCO2回収部13に供給される統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物が所定値以下となるように、還元剤供給部121から統合燃焼排ガスG21中に供給される還元剤の量を制御する。CO2回収部13に供給された統合燃焼排ガスG21は、CO2吸収液によってCO2が回収された後、排ガス処理装置1の外部に排出される。CO2吸収液によって回収された統合燃焼排ガスG21中のCO2は、加熱によってCO2吸収液から放散された後、CO2圧縮部14に供給されて圧縮されて排出される。
以上説明したように、上記実施の形態によれば、発電設備10−1,10−2の少なくとも一方から排出される燃焼排ガスG11−1,G11−2中の窒素酸化物が増大した際に、排ガス排気ラインL12−1,L12−2の少なくとも一方を介して、窒素酸化物の濃度が増大した燃焼排ガスG11−1,G11−2の少なくとも一方を外部に排出することが可能となる。これにより、排ガス処理装置1は、窒素酸化物除去部120に導入される統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に調整することができるので、統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物を効率良く分解除去することが可能となる。したがって、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を低減でき、運転費の低減が可能な排ガス処理装置1を実現できる。
なお、上述した実施の形態では、統合排ガス排気ラインL31に排気排熱回収ボイラ11を設けた構成について説明したが、排気排熱回収ボイラ11は、図4に示す排ガス処理装置2のように、排ガス排気ラインL12−1に設けてもよく、排ガス排気ラインL12−2に設けてもよく、排ガス排気ラインL12−1,L12−2の双方に設けてもよい。なお、排気排熱回収ボイラ11は、必ずしも設けなくともよい。
また、上述した実施の形態では、排ガスラインL11−1,L11−2にそれぞれ排ガス排気ラインL12−1,L12−2を設ける例について説明したが、排ガス排気ラインL12−1,L12−2は、少なくとも一方を設ければよい。この場合、発電設備10−1,10−2の性能に応じて、例えば、発電出力が低下しやすい運転条件の発電設備10−1の排ガスラインL11−1に排ガス排気ラインL12−1を設ける一方、発電出力が低下しにくい発電設備10−2の排ガスラインL11−2には、排ガス排気ラインL12−2を設けない構成としてもよい。これにより、発電設備10−1の発電出力のみが低下して燃焼排ガスG11−1中の窒素酸化物濃度が増大した場合であっても、統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物を低減することができる。また、発電設備10−1,10−2は、既存の発電設備であってもよく、新設した発電設備であってもよい。発電設備10−1,10−2が、既存の発電設備の場合には、既存の排ガスラインに対して、排ガス排気ラインを設けるだけでよい。
また、上述した実施の形態における統合排熱回収ボイラ12の構成は適宜変更可能である。図5は、上記実施の形態に係る排ガス処理装置1の他の例を示す模式図である。図5に示す排ガス処理装置3では、統合排熱回収ボイラ12は、窒素酸化物除去部120の後段に設けられた蒸気生成部123を備える。蒸気生成部123は、統合燃焼排ガスG21の流れ方向における窒素酸化物除去部120の後段に設けられたタービン駆動用蒸気生成部123Aと、タービン駆動用蒸気生成部123Aの後段に設けられたCO2圧縮部駆動用蒸気生成部123Bとを備える。
タービン駆動用蒸気生成部123Aは、窒素酸化物が除去された統合燃焼排ガスG21の排熱を回収して低圧蒸気タービン21を駆動する低圧蒸気であるタービン駆動用蒸気S1を生成する。また、タービン駆動用蒸気生成部123Aは、蒸気供給ラインL12を介して生成したタービン駆動用蒸気S1を低圧蒸気タービン21に供給する。低圧蒸気タービン21としては、排ガス処理装置3の外部に設けられたものであってもよく、図2に示した発電設備10の低圧蒸気タービン221であってもよい。低圧蒸気タービン21は、タービン駆動用蒸気S1によって回転駆動して発電機(不図示)により発電する。これにより、排ガス処理装置3は、統合排熱回収ボイラ12で回収した統合燃焼排ガスG21の排熱によって発電を行うことができるので、低圧蒸気タービン21の駆動に必要な蒸気を削減することができる。また、低圧蒸気タービン21は、蒸気排出ラインL13を介してタービン駆動後のタービン駆動用蒸気S1をCO2吸収液再生用蒸気S2としてCO2回収部13に供給する。
CO2圧縮部駆動用蒸気生成部123Bは、窒素酸化物が除去された統合燃焼排ガスG21の排熱を回収してCO2圧縮部14を駆動する低圧蒸気であるCO2圧縮部駆動用蒸気S3を生成する。また、CO2圧縮部駆動用蒸気生成部123Bは、蒸気供給ラインL14を介して生成したCO2圧縮部駆動用蒸気S3をCO2圧縮部14に供給する。CO2圧縮部14は、CO2圧縮部駆動用蒸気S3によってCO2圧縮機を駆動してCO2を圧縮する。これにより、排ガス処理装置3は、統合排熱回収ボイラ12で回収した統合燃焼排ガスG21の排熱によってCO2の圧縮を行うことができるので、CO2の圧縮に必要な蒸気を削減することができる。また、CO2圧縮部14は、蒸気排出ラインL15を介してCO2圧縮機駆動後のCO2圧縮部駆動用蒸気S3をCO2吸収液再生用蒸気S4としてCO2回収部13に供給する。
CO2回収部13は、CO2吸収液再生用蒸気S2,S4をCO2再生塔のリボイラに供給し、CO2を回収したCO2吸収液からCO2の放散を行う。これにより、排ガス処理装置3は、CO2吸収塔のリボイラに用いる蒸気を削減することができる。CO2回収部13は、CO2吸収塔のリボイラで用いられたCO2吸収液再生用蒸気S2,S4が凝縮した凝縮水Wを統合排熱回収ボイラ12のタービン駆動用蒸気生成部123A及びCO2圧縮部駆動用蒸気生成部123Bに供給する。
制御部18は、第1排ガス測定部16によって測定される窒素酸化物除去部120に導入される統合燃焼排ガスG21の温度及びガス流量に基づいて、発電設備10の燃焼器に供給する燃料の量、低圧蒸気タービン21へ供給するタービン駆動用蒸気S1の供給量及びCO2圧縮部14に供給するCO2圧縮部駆動用蒸気S3の供給量を制御する。制御部18は、窒素酸化物除去部120に導入される統合燃焼排ガスG21の温度及びガス流量が所定範囲未満の場合には、発電設備10の燃焼器212に供給する燃料Fを増大させる。また、制御部18は、窒素酸化物除去部120に導入される統合燃焼排ガスG21の温度及びガス流量が所定範囲を超える場合には、発電設備の燃焼器212に供給する燃料Fを減少させる。また、制御部18は、窒素酸化物除去部120に導入される統合燃焼排ガスG21の温度及びガス流量が所定範囲未満の場合には、蒸気供給ラインL12に設けられた流量制御弁V12及び蒸気供給ラインL14に設けられた流量制御弁V14の少なくとも一方の開度を減らして、低圧蒸気タービン21に供給されるタービン駆動用蒸気S1及びCO2圧縮部14に供給されるCO2圧縮部駆動用蒸気S3の供給量の少なくとも一方を減少させる。また、制御部18は、窒素酸化物除去部120に導入される統合燃焼排ガスG21の温度及びガス流量が所定範囲超えの場合には、蒸気供給ラインL12に設けられた流量制御弁V12及び蒸気供給ラインL14に設けられた流量制御弁V14の少なくとも一方の開度を増やして、低圧蒸気タービン21に供給されるタービン駆動用蒸気S1及びCO2圧縮部14に供給されるCO2圧縮部駆動用蒸気S3の供給量の少なくとも一方を増大させる。このような制御により、窒素酸化物除去部120に導入される統合燃焼排ガスG21の温度を窒素酸化物の分解除去に適した範囲に制御できるので、統合燃焼排ガス中の窒素酸化物を効率良く低減することができる。
このように、上記実施の形態に係る排ガス処理装置3によれば、統合排熱回収ボイラ12のタービン駆動用蒸気生成部123A及びCO2圧縮部駆動用蒸気生成部123Bによって、低圧蒸気タービン21の回転駆動に必要となるタービン駆動用蒸気S1、CO2の圧縮に必要となるCO2圧縮部駆動用蒸気S3及びCO2吸収液の再生に必要となるCO2吸収液再生用蒸気S2,S4が得られるので、排ガス処理装置3全体における蒸気の使用量を削減することができる。
また、図1に示した排ガス処理装置1においては、排ガス処理装置1が2つの発電設備10−1,10−2の燃焼排ガスG11−1,G11−2を処理する例について説明したが、第2発電設備及び第2排ガス流路は複数であってもよく,より多数の発電設備の燃焼排ガスを処理することも可能である。図6は、本実施の形態に係る排ガス処理装置1の他の例を示す模式図である。図6に示すように、排ガス処理装置4は、5つの発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5から排出される燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5の排熱を統合排熱回収ボイラ12で回収した後、燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5に含まれるCO2をCO2回収部13によって回収するものである。排ガス処理装置5は、燃焼排ガスG11−1を排出する発電設備10−1と、燃焼排ガスG11−2を排出する発電設備10−2と、燃焼排ガスG11−3を排出する発電設備10−3と、燃焼排ガスG11−4を排出する発電設備10−4と、燃焼排ガスG11−5を排出する発電設備10−5と、後段に発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5の後段に設けられた統合排熱回収ボイラ12と、統合排熱回収ボイラ12の後段に設けられたCO2回収部13と、CO2回収部13の後段に設けられたCO2圧縮部14とを備える。
発電設備10−3,10−4,10−5は、発電によって発生した燃焼排ガスG11−3を排ガスラインL11−3,L11−4,L11−5にそれぞれ排出する。排ガスラインL11−3,L11−4,L11−5は、発電設備10−3,10−4,10−5から排出された燃焼排ガスG11−3,G11−4,G11−5を統合排熱回収ボイラ12に向けてそれぞれ供給する。排ガスラインL11−3,L11−4,L11−5には、排ガスラインL11−3,L11−4,L11−5を流れる燃焼排ガスG11−3,G11−4,G11−5の流量を調整する流量制御弁V11−3,V11−4,V11−5がそれぞれ設けられている。また、排ガスラインL11−3,L11−4,L11−5には、発電設備10−3,10−4,10−5と統合排熱回収ボイラ12との間の流量制御弁V11−3,V11−4,V11−5の後段に排ガスラインL11−3,L11−4,L11−5からそれぞれ分岐する排ガス排気ラインL12−3,L12−4,L12−5が設けられている。この排ガス排気ラインL12−3,L12−4,L12−5には、流量制御弁V12−3,V12−4,V12−5、排気排熱回収ボイラ11及び煙突15がこの順に設けられている。流量制御弁V12−3,V12−4,V12−5は、排ガス排気ラインL12−3,L12−4,L12−5を流れる排気燃焼排ガスG12−3,G12−4,G12−5の流量をそれぞれ調整する。排気排熱回収ボイラ11は、排ガス排気ラインL12−3,L12−4,L12−5を流れる排気燃焼排ガスG12−3,G12−4,G12−5の排熱をそれぞれ回収し、排熱を回収した排気燃焼排ガスG12−3,G12−4,G12−5をそれぞれ煙突15に供給する。煙突15は、排熱が回収された排気燃焼排ガスG12−3,G12−4,G12−5を外部に排出する。なお、排気排熱回収ボイラ11は、必ずしも設ける必要はない。
統合排熱回収ボイラ12には、排ガスラインL11−1,L11−2,L11−3,L11−4,L11−5を流れる燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5が統合された統合燃焼排ガスG21が供給される。統合排熱回収ボイラ12は、統合燃焼排ガスG21の排熱を回収する。
また、排ガス処理装置4は、統合排熱回収ボイラに導入する燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5の流量、発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5への燃料Fの供給量及び還元剤供給部121から統合燃焼排ガスG21中に供給される還元剤の供給量を制御する制御部18と、排ガスラインL11−1,L11−2,L11−3,L11−4,L11−5を流れる燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5の流量及び排ガス排気ラインL12−1,L12−2,L12−3,L12−4,L12−5を流れる排気燃焼排ガスG12−1,G12−2,G12−3,G12−4,G12−5の流量を測定する流量測定部19と、発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5の発電出力を測定する出力測定部20とを備える。第1排ガス測定部16におけるガス流量、温度の測定、第2排ガス測定部17におけるガス流量、窒素酸化物濃度の測定、流量測定部19における燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5及び排気燃焼排ガスG12−1,G12−2,G12−3,G12−4,G12−5の流量の測定、及び出力測定部20における発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5の発電出力を測定は、従来公知の方法により行われる。
制御部18は、第1排ガス測定部16で測定された統合燃焼排ガスG21のガス流量及び温度に基づいて、流量制御弁V11−1,V11−2,V11−3,V11−4,V11−5,V12−1,V12−2,V12−3,V12−4,V12−5の開度及び発電設備10への燃料の供給量を調整する。また、制御部18は、排ガスラインL11−1,L11−2,L11−3,L11−4,L11−5及び排ガス排気ラインL12−1,L12−2,L12−3,L12−4,L12−5を流れる燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5の流量及び発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5の発電出力の少なくとも一つに基づいて、統合排熱回収ボイラ12に導入する燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5の流量を制御する。また、制御部18は、第2排ガス測定部17で測定された統合燃焼排ガスG21のガス流量及び窒素酸化物濃度に基づいて、発電設備10への燃料Fの供給量を制御する。制御部18による各部の具体的な制御及びその他の構成については、図1に示した排ガス処理装置1と同様であるため説明を省略する。
次に、本実施の形態に係る排ガス処理装置4の全体動作について説明する。発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5から排出された燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5は、排ガスラインL11−1,L11−2,L11−3,L11−4,L11−5を介して統合排ガスラインL21に供給される。ここでは、発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5の発電負荷の少なくとも一部が低下して、燃焼排ガスG11−1中の窒素酸化物の濃度が増大した場合には、燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5の少なくとも一部が排ガス排気ラインL12−1,L12−2,L12−3,L12−4,L12−5に分岐して流れる。排ガス排気ラインL12−1,L12−2,L12−3,L12−4,L12−5を流れる燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5は、排気排熱回収ボイラ11で排熱が回収された後、統合排ガス排気ラインL31に供給される。統合排ガス排気ラインL31に供給された燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5は、統合燃焼排ガスG21に統合されて煙突15から排出される。
統合排ガスラインL21に供給された燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5は、統合されて統合燃焼排ガスG21として、統合排熱回収ボイラ12に供給される。ここでは、制御部18が、必要に応じて、流量制御弁V11−1,V11−2,V11−3,V11−4,V11−5のバルブ開度及び発電設備10に供給される燃料Fの供給量を制御することにより、統合燃焼排ガスG21の温度が所定温度(例えば、300℃以上400℃以下)となるように制御する。統合排熱回収ボイラ12に供給された統合燃焼排ガスG21は、窒素酸化物除去部120の還元剤供給部121で還元剤が供給され、選択触媒還元部122で窒素酸化物が分解除去された後、CO2回収部13に供給される。ここでは、制御部18は、CO2回収部13に供給される統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物が所定値以下となるように、還元剤供給部121から統合燃焼排ガスG21中に供給される還元剤の量を制御する。CO2回収部13に供給された統合燃焼排ガスG21は、CO2吸収液によってCO2が回収された後、排ガス処理装置1の外部に排出される。CO2吸収液によって回収された統合燃焼排ガスG21中のCO2は、加熱によってCO2吸収液から放散された後、CO2圧縮部14に供給されて圧縮されて排出される。
以上説明したように、上記実施の形態によれば、発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5の少なくとも一つから排出される燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5中の窒素酸化物が増大した際に、排ガス排気ラインL12−1,L12−2,L12−3,L12−4,L12−5の少なくとも一方を介して、窒素酸化物の濃度が増大した燃焼排ガスG11−1,G11−2,G11−3,G11−4,G11−5の少なくとも一つを排気燃焼排ガスG12−1,G12−2,G12−3,G12−4,G12−5として外部に排出することが可能となる。これにより、排ガス処理装置4は、窒素酸化物除去部120に導入される統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に調整することができるので、統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物を効率良く分解除去することが可能となる。したがって、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を低減でき、運転費の低減が可能な排ガス処理装置4を実現できる。しかも、例えば、2つの発電設備10−1,10−2が既存発電設備の場合には、発電設備10−3,10−4,10−5を新設するだけで、排ガス処理装置4の構成とすることができる。この場合、新設する3つの発電設備10−3,10−4,10−5に対して、既存の2つの発電設備10−1,10−2の発電負荷及び排ガス負荷が低下しやすい場合には、必ずしも排ガス排気ラインL12−3,L12−4,L12−5を設ける必要はなく、排ガス排気ラインL12−1,L12−2を設けるだけで、統合燃焼排ガスG21中の窒素酸化物の濃度を窒素酸化物の分解処理に適した濃度範囲に調整することもできる。このように、排ガス処理装置4によれば、複数の発電設備10−1,10−2,10−3,10−4,10−5の中で発電負荷及び排ガス負荷の低下しやすいものについて排ガス排気ラインL12−1,L12−2,L12−3,L12−4,L12−5を設けて排気燃焼排ガスG12−1,G12−2,G12−3,G12−4,G12−5の流量を切替えながら運転することにより、CO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量を低減でき、運転費の低減が可能な排ガス処理装置4を実現できる。
(実施例)
本発明者らは、上記実施の形態に係る排ガス処理装置におけるCO2吸収液への窒素酸化物(NO2)起因成分の蓄積量の低減効果について詳細に調べた。以下、本発明者らが調べた内容について説明する。
図7は、実施例及び比較例に係る排ガス処理装置のCO2吸収液への窒素酸化物起因成分の蓄積量の説明図である。図7においては、上記実施の形態に係る排ガス処理装置1により、排ガスラインL11−1,L11−2を設けた場合の窒素酸化物起因成分の蓄積量(実施例参照)と、排ガスラインL11−1,L11−2を設けない場合の窒素酸化物起因成分の蓄積量(比較例参照)とを対比して示している。図7に示すように、排ガスラインL11−1,L11−2を設けることにより、CO2吸収液における窒素酸化物起因成分の蓄積量を約0.5倍に低減することが可能となる。この結果から、上記実施の形態に係る排ガス処理装置によれば、CO2吸収液に蓄積する窒素酸化物を大幅に低減することが可能となり、排ガス処理装置の運転費の低減が可能になることが分かる。