JP6759912B2 - 燃料電池用電極触媒層シートの製造方法および燃料電池用電極触媒層シートの製造装置 - Google Patents

燃料電池用電極触媒層シートの製造方法および燃料電池用電極触媒層シートの製造装置 Download PDF

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Description

本発明は燃料電池用電極触媒層シートの製造方法および燃料電池用電極触媒層シートの製造装置に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動して高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。特に、固体高分子形燃料電池(PEFC)は、比較的低温で作動することから、電気自動車用電源として期待されている。固体高分子形燃料電池の構成は、一般的には、電解質膜−電極接合体(MEA)を、セパレータで挟持した構造となっている。電解質膜−電極接合体は、高分子電解質膜が一対の電極触媒層およびガス拡散性の電極(ガス拡散層;GDL)により挟持されてなるものである。
上記したような電解質膜−電極接合体を有する固体高分子形燃料電池では、固体高分子電解質膜を挟持する両電極(カソードおよびアノード)において、その極性に応じて以下に記す反応式で示される電極反応を進行させ、電気エネルギーを得ている。まず、アノード(負極)側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒成分により酸化され、プロトンおよび電子となる(2H→4H+4e:反応1)。次に、生成したプロトンは、電極触媒層に含まれる固体高分子電解質(アイオノマ)、さらに電極触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、カソード(正極)側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、電極触媒層を構成しているカーボン担体、さらに電極触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する(O+4H+4e→2HO:反応2)。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
電極触媒層の形成方法は、様々であるが、そのうちの1つに転写シートを利用した方法がある。この方法は、溶媒、アイオノマ、および触媒粒子を担持したカーボン担体を含む電極触媒インクを作製し、該インクを転写シートに塗工する。そして、それを乾燥させて転写シート上に電極触媒層を形成した後、これを固体高分子電解質膜に転写することによって、電極触媒層を固体高分子電解質膜上に配置する。例えば特許文献1は、電極触媒インクの製造方法を開示しており、そこでは、触媒担持カーボンブラック、アイオノマ、および溶媒を混合した後に、外部剪断機による剪断、内部剪断機による内部剪断、および再度の外部剪断という3回の剪断が行われている。こうすることによって、特許文献1では、カーボンブラックが高分散した電極触媒インクが得られるとしており、また、分散処理によって触媒粒子凝集体の粒子径を小さくしている。触媒粒子凝集体の粒子径が小さくなれば、触媒粒子へのアイオノマの吸着量が増加するため、プロトンの輸送性を向上させるという観点からは好ましい。
特開2005−216661号公報
しかしながら、触媒粒子凝集体の小径化とともに触媒粒子が密に充填される結果、触媒層内では空孔(微細孔)が確保され難くなる。また、空孔が狭まれば、アイオノマによって目詰まりが生じる虞もある。
燃料ガスまたは酸化剤ガス等の反応ガスは、触媒層内の空孔を通じて輸送され、また、カソード側での電極反応によって生成される水は、触媒層内の空孔を通じて排出されるため、触媒層内の空孔の減少は、ガスや水の輸送性の観点からは好ましくない。
そこで、本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、触媒層内の空孔を確保しつつアイオノマによる触媒粒子の被覆を増加させることができる燃料電池用電極触媒層シートの製造方法および燃料電池用電極触媒層シートの製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の製造方法は、炭素を主成分とする触媒担体および触媒担体に担持される触媒金属からなる燃料電池用電極触媒と、アイオノマと、を含む燃料電池用電極触媒層シートの製造方法である。本発明の製造方法は、アイオノマおよび溶媒を混合してアイオノマ溶液を準備し、アイオノマ溶液に超音波を照射する。また、本発明の製造方法は、アイオノマ溶液および燃料電池用電極触媒を混合し、これに分散処理を行うことで電極触媒インクを得、電極触媒インクをシート材に塗工する。
上記目的を達成するための本発明の製造装置は、アイオノマ溶液の貯留手段と、触媒および溶媒の貯留手段と、アイオノマ溶液と触媒とを分散処理しインク化する混合手段と、を備える。また、本発明の製造装置は、シート材へのインクの塗工手段と、塗工されたシート材を乾燥する溶媒乾燥機と、シート材の巻取り装置と、を備える。本発明の製造装置では、アイオノマ溶液へ超音波を照射する超音波照射手段が設けられ、アイオノマによる触媒粒子の被覆が増加される。
本発明によれば、触媒層内の空孔を確保しつつアイオノマによる触媒粒子の被覆を増加させることができる。
第1実施形態の製造方法のフローチャートである。 アイオノマ溶液への超音波照射およびアイオノマ溶液と触媒との混合を模式的に示す図である。 間欠的に照射される超音波の出力変化を示す図である。 ビーズミルによる分散処理を模式的に示す図である。 ビーズと電極触媒インクとの遠心分離を模式的に示す図である。 シート材への電極触媒インクの塗工を模式的に示す図である。 分子鎖同士が絡まって纏まった状態のアイオノマを模式的に示す図である。 超音波によって分子鎖同士の絡まりが解きほぐされたアイオノマを模式的に示す図である。 纏まった状態のアイオノマの触媒粒子への吸着を模式的に示す図である。 解きほぐされたアイオノマの触媒粒子への吸着を模式的に示す図である。 アイオノマが吸着した触媒粒子を模式的に示す図である。 図11の12−12線に沿う断面図である。 アイオノマが除去された触媒粒子を模式的に示す図である。 図13の14−14線に沿う断面図である。 第2実施形態の超音波照射装置を示す図である。 第2実施形態で複数方向から照射される超音波の各々の出力変化を示す図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる。
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態の燃料電池用電極触媒層シートの製造方法では、アイオノマ溶液の準備(S1)、触媒および溶媒の準備(S2)、ならびに、アイオノマ溶液への超音波照射(S3)が行われる。また、それらの後、アイオノマ溶液と触媒との混合(S4)、ビーズミルによる分散処理(S5)、ビーズとインクとの分離(S6)、シート材130へのインクの塗工(S7)、溶媒乾燥(S8)、および巻取り(S9)が行われる。
本実施形態で用いられる燃料電池用電極触媒層シートの製造装置は、圧力容器102(アイオノマ溶液の貯留手段)と、超音波ホモジナイザー104(超音波照射手段)と、ビーズミル110(混合手段)と、触媒の貯留手段113と、溶媒の貯留手段114とを含む。また、本実施形態で用いられる燃料電池用電極触媒層シートの製造装置は、ダイコーター131(塗工手段)と、溶媒乾燥機132と、シート材の巻取り装置(不図示)とを含んでいる。
アイオノマ溶液の準備(S1)では、アイオノマおよび溶媒を混合してアイオノマ溶液が作製される。
アイオノマとしては、例えば、フッ素系高分子電解質材料、および炭化水素系高分子電解質材料を挙げることができるが、これらに限定されない。フッ素系高分子電解質材料としては、例えば、ナフィオン(登録商標)、アシプレックス(登録商標)、フレミオン(登録商標)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマー、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー等が挙げられる。炭化水素系高分子電解質材料としては、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、ホスホン化ポリベンズイミダゾールアルキル、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、スルホン化ポリフェニレン(S−PP)等が挙げられる。
溶媒は、例えば、水道水、純水、イオン交換水、蒸留水等の水、シクロヘキサノール、メタノール、エタノール、n−プロパノール(n−プロピルアルコール)、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、およびtert−ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール、プロピレングリコール、ベンゼン、トルエン、キシレン等であるが、これらに限定されない。これらの他にも、酢酸ブチルアルコール、ジメチルエーテル、エチレングリコール等が溶媒として用いられてもよい。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上の混合液の状態で使用してもよい。
触媒および溶媒の準備(S2)では、燃料電池用電極触媒、および上述と同様の溶媒が準備される。
燃料電池用電極触媒は、炭素を主成分とする触媒担体、および触媒担体に担持される触媒金属からなる。
触媒担体としては、例えば、カーボンブラック(ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等)、活性炭等からなるカーボン粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
触媒金属は、例えば白金含有触媒金属であるが、これに限定されない。白金含有触媒金属としては、例えば、白金(Pt)の単体粒子、または、白金粒子とルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、タングステン(W)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)からなる群より選ばれる少なくとも1種の他の金属粒子との混合物、白金と他の金属との合金等を挙げることができる。
アイオノマ溶液への超音波照射(S3)では、図2に示すように、先の工程(S1)で準備されたアイオノマ溶液100に対し、超音波101が照射される。
アイオノマ溶液100は、圧力容器102(アイオノマ溶液の貯留手段)内に入れられており、これを水温調整可能な水槽103内に浸けることによって、温度調整されるが、アイオノマ溶液100の温度調整はこれに限定されない。例えば、圧力容器102のまわりに温度調整可能なジャケットヒータを巻くことによって、アイオノマ溶液100の温度を調整してもよい。アイオノマ溶液100の温度は特に限定されないが、例えば、40〜60℃である。アイオノマ溶液100の温度を上げることによって、溶液中のアイオノマ107が分散し易くなる。
超音波101は、超音波ホモジナイザー104(超音波照射手段)によって照射される。超音波101は、本実施形態では、アイオノマ溶液100の水面に略垂直な方向(一の方向)から照射されるが、どの方向から超音波101を照射するかはこれに限定されず、それ以外の他の一方向から超音波101を照射してもよい。超音波101の照射によってアイオノマ107の分子鎖同士の絡み合いが解きほぐされる。
アイオノマ107の分子鎖同士の絡み合いが解きほぐされているかどうかは、例えば、アイオノマ溶液100の粘度から判断でき、それらの絡み合いが解きほぐされると、アイオノマ溶液100の粘度が低下する。一旦解きほぐされた分子鎖には、溶媒分子が吸着し、再凝集が抑制されるため、例えば数日間は粘度が低下した状態が維持される。
超音波101の周波数は、特に限定されないが、キャビテーションの発生が抑制され、アイオノマ107の分子鎖自体の切断が防止されるのが好ましい。超音波101の周波数は、例えば100kHz以上である。
図3に示すように、超音波101は、連続的な照射と連続的な照射との間で一瞬停止され、間をおきつつ間欠的に照射される。超音波101が連続的に照射される時間Tは、例えば10秒であり、照射が一瞬停止される時間Tは、例えば1秒であるが、これらに限定されない。
超音波照射後、アイオノマ溶液100に、先の工程S2で準備しておいた燃料電池用電極触媒の粉末および溶媒が投入され、それらが混合される(S4)。それらの混合は、撹拌子105がマグネティックスターラ106によって回転されることによって行われる。
燃料電池用電極触媒と混合されたアイオノマ溶液100は、図4に示すように、ビーズミル110(混合手段)に充填され、分散処理が行われる(S5)。ビーズミル110では、回転軸111の回転にともなうビーズ112の運動によって、アイオノマ溶液100に含まれる触媒の分散が促される。その結果、アイオノマ溶液100はインク化する。
本実施形態で用いられる触媒および溶媒はそれぞれ、例えば容器等の貯留手段113、114に貯留されている。触媒もしくは溶媒またはそれらの両方が必要とされる工程で貯留手段113、114からそれらをどのようにして供給するかは、特に限定されず、作業者が貯留手段113、114からそれらを直接取り出してもよいし、貯留手段113、114に連通する例えば配管等の連通路を通じてそれらを供給してもよい。
図5に示すように、作製された電極触媒インク120とビーズ112とは、遠心分離され、電極触媒インク120がその後の塗工工程(S7)で使用される。
塗工工程(S7)では、図6に示すように、シート材130の面に、電極触媒インク120が塗工される。シート材130の形成材料は、例えばテフロン(登録商標)であるが、これに限定されない。シート材130は、長尺な形状を有し、例えばロールトゥロール方式で搬送される。
電極触媒インク120は、ダイコーター131(塗工手段)によって、シート材130の長手方向に沿って連続的に塗工されるが、これに限定されず、隙間を空けて間欠的に塗工されてもよい。
塗工後、電極触媒インク120はシート材130とともに搬送され、溶媒乾燥機132内を通過することによって、溶媒が乾燥される(S8)。溶媒乾燥機132は、例えば温風乾燥炉であるが、溶媒の乾燥が可能であれば特に限定されず、例えば輻射熱によって溶媒を乾燥してもよく、あるいは温風と輻射熱との両方によって溶媒を乾燥させてもよい。溶媒の乾燥によって、シート材130の面に燃料電池用電極触媒層が形成される。
このような構成を有する燃料電池用電極触媒層シートは、例えばモータ等の駆動装置によって回転されるローラーを備えた巻取り装置によって巻き取られてロール状にされる(S9)。作製された燃料電池用電極触媒層シートは、燃料電池用電極触媒層を電解質膜に転写するのに用いられる。
次に本実施形態の作用効果を述べる。
図7に示すように、本実施形態では、アイオノマ107を含むアイオノマ溶液100に対して超音波101の照射が行われ(S3)、これによって、アイオノマ107は、図8に示すように分子鎖同士の絡み合いが解きほぐされた状態になる。
これに対し、本実施形態と異なり超音波101が照射されなければ、アイオノマ107の分子鎖同士が図7のように絡み合った状態のままである。
従って、超音波101が照射されることなく触媒との混合(S4)が行われると、図9に示すように、アイオノマ107は、触媒粒子108の表面に対し、ミセル径の大きな纏まりのまま吸着する。その結果、アイオノマ107による触媒粒子108の被覆範囲が局所的で狭くなり、また、その局所的な被覆箇所で被覆厚さが厚くなる。
また、複数の触媒粒子108は、互いに凝集して触媒粒子凝集体108Aを構成しており、燃料電池用電極触媒層内では、触媒粒子凝集体108A同士の間に、微細孔である空孔109が形成されているが、アイオノマ107のミセル径が大きければ、アイオノマ107によって空孔109が閉塞される虞がある。
一方、本実施形態では、超音波101の照射によってアイオノマ107の分子鎖同士の絡み合いが解きほぐされ、その結果、アイオノマ107のミセル径は小さくなる。そして、アイオノマ107は、触媒粒子108の表面に薄い広がりをもって吸着可能になる。
このため、図10に示すように、本実施形態ではアイオノマ107が薄い被覆厚さで触媒粒子108に吸着し、空孔109がアイオノマ107によって閉塞されることが抑制される。また、アイオノマ107が触媒粒子108の表面に広範囲に吸着する。
従って本実施形態によれば、触媒層内で空孔109を確保しつつアイオノマ107による触媒粒子108の被覆を増加させることができる。
触媒へのアイオノマ被覆率は、特に限定されないが、好ましくは80%以上であり、電極触媒層の空孔率は、特に限定されないが、好ましくは70%以上である。
アイオノマ被覆率は、例えば、アイオノマ被覆率(%)={(熱処理後の燃料電池用電極触媒層のBET比表面積S−熱処理前の燃料電池用電極触媒層のBET比表面積S)/熱処理後の燃料電池用電極触媒層のBET比表面積S}×100として定義できる。
ここで、熱処理前の比表面積Sは、図11に示すように、アイオノマ107が吸着している触媒粒子108の表面のうち、図12に示すように、アイオノマ107によって被覆されていない表面108Sの面積である。
一方、熱処理後の比表面積Sは、図13に示すように、熱処理によってアイオノマ107が除去された触媒粒子108の表面のうち、図14で示されるような全表面108Sの面積である。熱処理は、例えばN雰囲気下で行われる。
また、電極触媒層の空孔率は、例えば、水銀圧入法による細孔分布測定などにより層の内部に存在する空孔109の体積を測定し、層の体積に対する割合として求めることができる。
本実施形態と異なり、超音波101は、一瞬停止させる時間Tを設けることなく、連続的に照射し続けることも可能である。
しかしながら、本実施形態のように、超音波101が一の方向から間をおきつつ間欠的に照射されることによって、互いに絡み合っていたアイオノマ107の分子鎖同士がさらに細かく解きほぐされれば、アイオノマ107は、より薄く且つ広範囲に触媒粒子108に吸着することが可能になる。このため、触媒層内の空孔109をより広く確保しつつ、アイオノマ107による触媒粒子108の被覆をさらに増加させることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態では、超音波照射工程(S3)が、第1実施形態と異なっている。他の工程については、本実施形態は第1実施形態と同様である。
図15に示すように、本実施形態では、第1実施形態の構成に加え、超音波ホモジナイザー200、201が備えられ、第1実施形態の超音波ホモジナイザー104とともに、複数方向から超音波101、202、203が照射される。第1実施形態と共通する構成については、図中で第1実施形態と同様の符号を付している。
超音波101、202、203は、それぞれが互いに略直交する3方向から照射されるが、これに限定されず、それ以外の方向から照射されてもよい。
また、図16に示すように、超音波202、203は、第1実施形態の超音波101と同様の出力変化の波形で間欠的に照射されるが、超音波101、202、203のそれぞれで、連続的な照射と連続的な照射との間の照射が一時停止されるタイミングがずれている。それら停止のタイミングをどの程度ずらすかは、特に限定されないが、例えば停止時間Tと同様の間隔をあけて、それらのタイミングがずらされる。
本実施形態のように、アイオノマ溶液100に対して複数方向から超音波101、202、203が照射されることによって、互いに絡み合っていたアイオノマ107の分子鎖同士がさらに細かく解きほぐされれば、アイオノマ107は、より薄く且つ広範囲に触媒粒子108に吸着することが可能になる。このため、触媒層内の空孔109をより広く確保しつつ、アイオノマ107による触媒粒子108の被覆をさらに増加させることができる。
さらに、本実施形態のように、それら複数方向のそれぞれで、間欠的な照射における停止のタイミングをずらすことによって、アイオノマ107の分子鎖同士がさらに細かく解きほぐされれば、アイオノマ107は、より薄く且つ広範囲に触媒粒子108に吸着することが可能になる。このため、触媒層内の空孔109をより広く確保しつつ、アイオノマ107による触媒粒子108の被覆をさらに増加させることができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変できる。
例えば、上記2つの実施形態ではいずれも、超音波が間欠的に照射されているが、本発明はこれらの形態に限定されない。本発明は、超音波を停止させる時間Tを設けることなく、連続的に超音波を照射し続ける形態も含んでいる。
また、超音波は、互いに異なる2方向から照射されてもよいし、互いに異なる4方向以上から照射されてもよい。
100 アイオノマ溶液、
101 超音波、
102 圧力容器(アイオノマ溶液の貯留手段)、
103 恒温水槽、
104 超音波ホモジナイザー(超音波照射手段)、
105 撹拌子、
106 マグネティックスターラ、
107 アイオノマ、
108 触媒粒子(燃料電池用電極触媒)、
109 空孔、
110 ビーズミル(混合手段)、
113 触媒の貯留手段、
114 溶媒の貯留手段、
120 電極触媒インク、
131 ダイコーター(塗工手段)、
130 シート材、
132 溶媒乾燥機、
200、201 超音波ホモジナイザー(超音波照射手段)、
202、203 超音波。

Claims (2)

  1. 炭素を主成分とする触媒担体および前記触媒担体に担持される触媒金属からなる燃料電池用電極触媒と、アイオノマと、を含む燃料電池用電極触媒層シートの製造方法であって、
    アイオノマおよび溶媒を混合してアイオノマ溶液を準備し、
    前記アイオノマ溶液に超音波を複数方向から照射し、
    前記複数方向のそれぞれで、前記超音波を間をおきつつ間欠的に照射するとともに、
    互いに異なる一の方向と他の方向とで、前記超音波を一時停止させるタイミングをずらし、
    前記アイオノマ溶液および燃料電池用電極触媒を混合し、分散処理を行うことで電極触媒インクを得、
    前記電極触媒インクをシート材に塗工する、燃料電池用電極触媒層シートの製造方法。
  2. アイオノマ溶液の貯留手段と、
    触媒および溶媒の貯留手段と、
    アイオノマ溶液と触媒とを分散処理しインク化する混合手段と、
    シート材へのインクの塗工手段と、
    塗工されたシート材を乾燥する溶媒乾燥機と、
    シート材の巻取り装置と、
    を備えるとともに、
    前記アイオノマ溶液へ超音波を照射する超音波照射手段を設け、
    前記超音波照射手段は、前記アイオノマ溶液に超音波を複数方向から照射し、
    前記複数方向のそれぞれで、前記超音波を間をおきつつ間欠的に照射するとともに、
    互いに異なる一の方向と他の方向とで、前記超音波を一時停止させるタイミングをずらし、
    アイオノマによる触媒粒子の被覆を増加させることを特徴とする燃料電池用電極触媒層シートの製造装置
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