以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による固体酸化物型燃料電池システム100の主要構成を示す概略構成図である。
図1に示すように、燃料電池システム100は、アノードガスとしての燃料ガス及びカソードガスとして空気の供給を受けて発電する固体酸化物型の燃料電池スタック10を備える固体酸化物型燃料電池システムであり、車両等に搭載される。
燃料電池スタック10は、複数の固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)を積層した積層電池である。一の固体酸化物型燃料電池(燃料電池セル)は、セラミック等の固体酸化物で形成された電解質層を、燃料ガスが供給されるアノード電極と、空気が供給されるカソード電極により挟み込むことにより構成されている。例えば、燃料ガスは水素及び炭化水素等を含むガスである。
燃料電池システム100は、燃料電池スタック10に燃料ガスを供給する燃料供給機構20と、システム起動時に利用されるシステム起動機構30と、燃料電池スタック10に空気を供給する空気供給機構40と、燃料電池スタック10から排出されたアノードオフガス及びカソードオフガスを排気する排気機構50と、燃料電池スタック10との間で電力の入出力を行う電力機構60から構成される。さらに、燃料電池システム100は、システム全体の動作を統括的に制御する制御部80を備えている。
燃料供給機構20は、燃料供給通路21と、燃料タンク22と、フィルタ23と、ポンプ24と、インジェクタ25と、蒸発器26と、熱交換器27と、改質器28等を備えており、アノードガス供給部を構成する。
燃料供給通路21は、燃料タンク22と、燃料電池スタック10内に形成されたアノード流路とを接続する通路である。
燃料タンク22は、例えばエタノールと水を混合させた改質用の液体燃料を蓄える容器である。ポンプ24は、燃料タンク22よりも下流側の燃料供給通路21に設けられる。ポンプ24は、燃料タンク22内に蓄えられた改質用燃料を吸引し、当該燃料を一定の圧力でインジェクタ25等に供給する。
フィルタ23は、燃料タンク22とポンプ24との間の燃料供給通路21に配置される。フィルタ23は、ポンプ24に吸引される前の改質用燃料に含まれる異物等を除去する。
インジェクタ25は、ポンプ24と蒸発器26との間の燃料供給通路21に配置される。インジェクタ25は、ポンプ24から供給された燃料を蒸発器26内に噴射供給する。
蒸発器26は、インジェクタ25よりも下流側の燃料供給通路21に設けられる。蒸発器26は、インジェクタ25から供給された燃料を気化させ、熱交換器27に供給する。蒸発器26は、後述する排気燃焼器53から排出される排気の熱を利用して燃料を気化させる。
熱交換器27は、蒸発器26よりも下流側の燃料供給通路21に設けられ、排気燃焼器53に隣接するように配置される。熱交換器27は、排気燃焼器53から伝達してくる熱を利用し、蒸発器26において気化した燃料をさらに加熱する。蒸発器26と熱交換器27との間の燃料供給通路21には、熱交換器27に供給される気化燃料の圧力を調整する調圧弁29が設けられる。調圧弁29の開度は制御部80によって制御される。
改質器28は、熱交換器27と燃料電池スタック10との間の燃料供給通路21に設けられる。改質器28は、当該改質器28内に設けられた触媒を用いて燃料を改質する。改質用燃料は、改質器28での触媒反応により、水素や炭化水素、一酸化炭素等を含む燃料ガスに改質される。このように改質された燃料ガスは、高温状態のまま燃料電池スタック10の燃料流路に供給される。
なお、燃料供給通路21は、当該燃料供給通路21から分岐する分岐路71,72を備える。分岐路71は、ポンプ24とインジェクタ25との間の燃料供給通路21から分岐し、拡散燃焼器31に燃料を供給するインジェクタ71Aに接続する。分岐路71には、当該分岐路71を開閉する開閉弁71Bが設けられている。分岐路72は、ポンプ24とインジェクタ25との燃料供給通路21から分岐し、触媒燃焼器32に燃料を供給するインジェクタ72Aに接続する。分岐路72には、当該分岐路72を開閉する開閉弁72Bが設けられている。インジェクタ71Aのそれぞれには、液体燃料を気化させるための加熱装置として電気ヒータ71Cが設置されている。
上述した開閉弁71B,72Bの開度は制御部80によって制御される。開閉弁71B,72Bは、例えば、燃料電池システム100の起動時に開弁され起動終了後に閉弁される。
次に、空気供給機構40及びシステム起動機構30について説明する。
空気供給機構40は、空気供給通路41と、フィルタ42と、空気ブロア43と、熱交換器44等を備えている。システム起動機構30は、拡散燃焼器31及び触媒燃焼器32等を備えている。
空気供給通路41は、空気ブロア43と、燃料電池スタック10内に形成されたカソード流路とを接続する通路である。
空気ブロア43は、フィルタ42を通じて外気(空気)を取り入れ、取り入れた空気をカソードガスとして燃料電池スタック10等に供給する空気供給装置である。フィルタ42は、空気ブロア43に取り込まれる前の空気に含まれる異物を除去する。
熱交換器44は、空気ブロア43よりも下流側の空気供給通路41に設けられる。熱交換器44は、排気燃焼器53から排出された排気の熱を利用して、空気を加熱する装置である。熱交換器44で加熱された空気は、システム起動機構30の一部を構成する拡散燃焼器31に供給される。
空気ブロア43と熱交換器44との間の空気供給通路41にはスロットル45が設けられており、スロットル45の開度に応じて空気流量が調整される。スロットル45の開度は制御部80によって制御される。
なお、空気供給通路41は、当該空気供給通路41から分岐する分岐路46を備える。分岐路46は、空気ブロア43とスロットル45との間の空気供給通路41から分岐し、後述する触媒燃焼器32に接続する。分岐路46にはスロットル46Aが取り付けられ、スロットル46Aの開度に応じて空気流量が調整される。スロットル46Aの開度は制御部80によって制御される。スロットル46Aは、燃料電池システム100の起動時に一定量の空気を触媒燃焼器32に供給させるように開弁され、起動終了後は閉弁される。
システム起動機構30を構成する拡散燃焼器31及び触媒燃焼器32は、基本的にシステム起動中に使用される装置である。
拡散燃焼器31は、熱交換器44よりも下流側の空気供給通路41に配置される。システム起動時には、空気ブロア43からの空気と、インジェクタ71Aから噴射された燃料が拡散燃焼器31内に供給される。インジェクタ71Aから噴射される燃料は電気ヒータ71Cで加熱され、気化した状態で拡散燃焼器31に供給される。そして、拡散燃焼器31に付属する着火装置により混合気が着火され、触媒燃焼器32を加熱するための予熱バーナが形成される。
起動終了後には、燃料の供給及び着火装置の作動が停止され、空気ブロア43から供給された空気は拡散燃焼器31を通過して触媒燃焼器32に供給される。
触媒燃焼器32は、拡散燃焼器31と燃料電池スタック10との間の空気供給通路41に設けられる。触媒燃焼器32は内部に触媒を備えており、当該触媒を用いて高温の燃焼ガスを生成する装置である。システム起動時には、分岐路46からの空気と、インジェクタ72Aから噴射された燃料が触媒燃焼器32内に供給される。触媒燃焼器32の触媒は予熱バーナにより加熱されており、加熱された触媒上で空気と燃料が燃焼して燃焼ガスが生成される。燃焼ガスは、酸素をほとんど含まない高温の不活性ガスであって、燃料電池スタック10に供給され、当該燃料電池スタック10等を加熱する。
起動終了後は分岐路72,72から燃料の供給が停止され、空気ブロア43からの空気は拡散燃焼器31及び触媒燃焼器32を通過して燃料電池スタック10に供給される。
次に、排気機構50について説明する。排気機構50は、アノードオフガス排出通路51と、カソードオフガス排出通路52と、排気燃焼器53と、合流排気通路54等を備えている。
アノードオフガス排出通路51は、燃料電池スタック10内のアノードガス流路と排気燃焼器53のアノード側入口部とを接続する。アノードオフガス排出通路51は、燃料電池スタック10の燃料流路から排出される燃料ガスを含む排出ガス(アノードオフガス)を流す通路である。また、アノードオフガス排出通路51には、燃料電池スタック10のアノードガス流路付近に遮断弁55が設けられている。遮断弁55は、非制御状態において閉塞しており制御部80からの制御信号に基づいて開放されるいわゆるノーマルクローズタイプの弁である。
カソードオフガス排出通路52は、燃料電池スタック10内のカソード流路と排気燃焼器53のカソード側入口部とを接続する。カソードオフガス排出通路52は、燃料電池スタック10内のカソード流路から排出される空気を含む排出ガス(カソードオフガス)を流す通路である。
排気燃焼器53は、各排出通路51,52から供給されて合流したアノードオフガスとカソードオフガスを触媒燃焼させ、二酸化炭素や水を主成分とする排気を生成する。なお、システム起動時には、排気燃焼器53に燃料及び空気を供給して排気燃焼器53内での触媒燃焼を促進させることで、触媒温度の昇温効率を高めてもよい。
排気燃焼器53は熱交換器27と隣接するように配置されているため、排気燃焼器53の触媒燃焼による熱は熱交換器27に伝達される。このように熱交換器27に伝達された熱は、燃料を加熱するために使用される。
排気燃焼器53のガス出口部(下流端)には、合流排気通路54が接続されている。排気燃焼器53から排出された排気は、合流排気通路54を通じて、燃料電池システム100の外部に排出される。合流排気通路54は蒸発器26及び熱交換器44を通過するように構成されており、蒸発器26及び熱交換器44は合流排気通路54を通過する排気により加熱される。
次に、電力機構60について説明する。電力機構60は、DC−DCコンバータ61と、バッテリ62と、駆動モータ63と、インバータと、を備えている。
DC−DCコンバータ61は、燃料電池スタック10に電気的に接続され、燃料電池スタック10の出力電圧を昇圧してバッテリ62又は駆動モータ63に電力を供給する。バッテリ62は、DC−DCコンバータ61から供給された電力を充電したり、駆動モータ63に電力を供給したりするよう構成されている。したがって、DC−DCコンバータ61により燃料電池スタック10の出力電圧が適宜昇降されることで出力電流(取り出し電流)が調整される。すなわち、DC−DCコンバータ61は電流取り出し部として機能する。
さらに、バッテリ62には、SOCセンサ64が設けられている。SOCセンサ64は、図示しない電圧センサ及び電流センサにより検出されるバッテリ電圧及び電流に基づいて、バッテリ62のSOCを推定する。
駆動モータ63は、三相交流モータであって、車両の動力源として機能する。駆動モータ63は、図示しないインバータを介してバッテリ62及びDC−DCコンバータ61に接続されている。制動時には駆動モータ63は回生電力を発生させ、この回生電力は例えばバッテリ62の充電に利用される。
制御部80は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。制御部80は、特定のプログラムを実行することにより燃料電池システム100を制御するための処理を実行する。
制御部80には、SOCセンサ64、電流センサ81、電圧センサ82、スタック温度センサ83、燃料ガス圧力センサ90、及び空気圧力センサ92等の各種センサからの信号の他、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルストロークセンサ86等の車両状態を検出するセンサからの信号が入力される。また、制御部80はこれら信号に基づいてスロットル45や遮断弁55等の各種弁の開閉制御やポンプ24等のアクチュエータの出力制御を行う。
電流センサ81は、燃料電池スタック10から取り出される取り出し電流としての出力電流(以下では「スタック電流」とも記載する)を検出する。電圧センサ82は、燃料電池スタック10の出力電圧(以下では「スタック電圧」とも記載する)、つまりアノード電極側端子とカソード電極側端子の間の端子間電圧を検出する。
スタック温度センサ83は、燃料電池スタック10に設けられ、当該燃料電池スタック10の温度(以下では「スタック温度」とも記載する)を検出する。
燃料ガス圧力センサ90は、改質器28と燃料電池スタック10の間に設けられ、燃料電池スタック10に供給される燃料ガスの圧力を検出する。
空気圧力センサ92は、触媒燃焼器32と燃料電池スタック10の間に設けられ、燃料電池スタック10に供給される空気の圧力を検出する。
さらに、本実施形態において、制御部80は、バッテリ62や駆動モータ63等の負荷装置からの要求電力に基づいて、燃料電池スタック10の電流目標値を演算する。そして、制御部80は、スタック電流がこの電流目標値に近づくように、DC−DCコンバータ61を制御する。
さらに、制御部80は、燃料ガス圧力センサ90の燃料ガスの圧力検出値から、予め作成される圧力−流量マップに基づいて、燃料電池スタック10へ供給される燃料ガス供給流量を算出する。そして、制御部80は、算出された燃料ガス供給流量が所定の燃料ガス流量目標値に近づくようにポンプ24の出力を調節する。すなわち、インジェクタ25による燃料噴射量が調節される。
また、制御部80は、空気圧力センサ92のカソードガスの圧力検出値から、予め作成される圧力−流量マップに基づいて、燃料電池スタック10へ供給される空気流量を算出する。そして、制御部80は、算出された空気流量が上記燃料ガス流量目標値に応じた所定の空気流量目標値に近づくように、スロットル45の開度を調節する。
なお、本実施形態では、燃料電池スタック10の温度を所定の目標温度まで低下させるスタック冷却処理(発電停止後)においては、制御部80は、スタック温度センサ83によるスタック温度の検出値に基づいて、燃料電池スタック10へ供給する空気流量を調節する。
以上説明した構成を有する固体酸化物型燃料電池システム100では、車両の運転者のキーオフ操作やバッテリ62の満充電時におけるアイドルストップ指令等によるシステム停止要求に応じてモータ63への電力供給が絶たれ、システム停止処理が実行される。
そして、燃料電池システム100のシステム停止処理の前半段階では、停止時の安全性の観点などの理由でスタック電圧を所定の制限電圧に急速に低下させるために、VLC(Voltage Limit Control)処理が行われる。このVLC処理中は、スタック電圧を低下させるために、燃料電池スタック10から取り出す電流の目標値を所定の電流目標値(以下では「VLC用電流目標値I1」とも記載する)が定められる。なお、VLC処理中は、モータ63等の補機への電力供給が絶たれるので、VLC用電流目標値I1は、VLC処理前の電流目標値と比較して小さい値に設定される。
図2は、本実施形態によるシステム停止要求に応じて実行されるシステム停止処理の流れを示すフローチャートである。また、図3は、本実施形態によるシステム停止処理の進行の概要を示すタイムチャートである。
ステップS110において、制御部80は、VLC処理を開始する。このVLC処理では、システム停止要求が発せられた時刻t1において、スタック電流の目標値がVLC用電流目標値I1に設定される。そして、本実施形態では、燃料電池スタック10への燃料ガス供給流量(すなわち、インジェクタ25による燃料噴射量)及び空気供給流量が、それぞれA1及びC1に設定される(図3(c)及び図3(d))。
具体的に、本実施形態では、燃料噴射量A1は、VLC用電流目標値I1に所定の補正係数α(0<α<1)を乗じて得られた補正後VLC用電流目標値I1´(I1´<I1)に基づいて決定される。
図4は、停止要求時のスタック温度と補正係数αの関係を示すマップである。図示のように、補正係数αは、停止要求時のスタック温度が高くなるほど小さくなる。すなわち、補正後VLC用電流目標値I1´は、スタック温度が高くなるほど小さく設定される。
図5は、補正後VLC用電流目標値I1´と燃料噴射量の関係を示すマップである。図示のように、燃料噴射量A1は、VLC用電流目標値I1が高く設定されるほど大きく設定される。
したがって、停止要求時のスタック温度が高いほど燃料噴射量A1は小さく設定されることとなる。これは、スタック温度が高い場合には燃料電池スタック10の発電効率が高いので、燃料噴射量A1を少なくしても所望の電圧降下速度を実現できるためである。
一方、空気供給流量C1は、上述の燃料噴射量A1に対してストイキ比1以上に設定される。特に、燃料電池セルの面内におけるカソードガスの酸素濃度分布の偏りを考慮して、セル面内において酸素濃度が発電に適さない程度に低くなる部分が発生しないように、空気供給流量C1の燃料噴射量A1に対するストイキ比が1を超えることが好ましい。そして、この燃料噴射量A1及び空気供給流量C1は、補正後VLC用電流目標値I1´に応じてスタック電圧を維持するために必要な燃料噴射量及び空気供給流量よりも少ない。
したがって、時刻t1〜時刻t2のVLC処理中においては、燃料噴射量A1及び空気供給流量C1は、補正後VLC用電流目標値I1´に対してスタック電圧を維持するために必要な流量より少ないので、スタック電圧が低下する(図3(b)参照)。
図2に戻り、ステップS120において、制御部80は、スタック電圧が、VLC処理の制限目標電圧である制限目標電圧V1以下であるかどうかが判定される。スタック電圧が制限目標電圧V1以下ではないと判定されると、ステップS110に戻り、引き続き燃料供給及び空気供給を継続し発電を続ける。
一方で、スタック電圧が制限目標電圧V1以下であると判定されると、ステップS130において制御部80はVLC処理を終了する(図3の時刻t2)。具体的には、電流目標値をゼロに設定し(図3(e)参照)、発電を停止する。
発電が停止した時刻t2後において、燃料噴射は停止される(図3(c)参照)。一方、スタック冷却処理を行うため、空気供給は継続される(図3(d)参照)。また、発電停止後における空気供給のための空気供給機構40への電力供給は、バッテリ62の余剰電力等で空気ブロア43を稼動させることが好ましい。なお、本実施形態では、スタック冷却処理の空気流量もVLC処理中と同じC1に設定されている。しかしながら、スタック冷却処理中は、VLC処理中と異なる流量で燃料電池スタック10に空気を供給するようにしても良い。
図2に戻り、ステップS140において、制御部80は、スタック温度が、システム停止処理を終了すべき降温目標値T1以下であるかどうかが判定される。スタック温度が降温目標値T1以下ではないと判定されると、スタック温度が降温目標値T1以下となるまで空気供給が継続される。これにより、燃料電池スタック10が空気により冷却される。
一方で、スタック温度が降温目標値T1以下であると判定されると、ステップS150において制御部80は空気供給を停止する(図3(d)の時刻t3)。これにより、システム停止処理が終了する。
上述の燃料電池システム100の制御方法によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態に係る制御方法は、アノードガスとしての燃料ガス及びカソードガスとしての空気の供給を受けて発電する固体酸化物型の燃料電池である燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10から電流を取り出す電流取り出し部としてのDC−DCコンバータ61と、燃料電池スタック10に燃料を供給するアノードガス供給部としての燃料供給機構20と、を備えた燃料電池システム100で実行される。そして、この制御方法では、制御部80が、燃料電池システム100の停止要求(キースイッチの操作等)後にDC−DCコンバータ61により燃料電池スタック10から所定値I1の電流を取り出させ、電流の取り出しによって燃料電池スタック10の電圧が所定の制限目標電圧V1に低下するまでの間に、燃料供給機構20に燃料ガスの供給を実行させる。
すなわち、本実施形態によれば、燃料ガス及び空気の供給を受けて発電する固体酸化物型の燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10から電流を取り出すDC−DCコンバータ61と、燃料電池スタック10に燃料を供給する燃料供給機構20と、燃料電池スタック10の電圧(スタック電圧)を取得する電圧情報取得部としての電圧センサ82と、スタック電圧に基づいて電流取り出し部による電流の取り出し(VLC用電流目標値)及び燃料ガス供給流量を制御する制御部80と、を備えた燃料電池システムが提供される。そして、この燃料電池システムでは、制御部80は、燃料電池システムの停止要求の後において電流取り出し部に所定値の電流としてのVLC用電流目標値I1を取り出させ、電流の取り出しによってスタック電圧が制限目標電圧V1に低下するまでの間に、燃料供給機構20に燃料ガスの供給を実行させる。
これにより、燃料電池システム100の停止要求後に、燃料電池スタック10から所定値I1の電流を取り出して電圧を制限目標電圧V1まで低下させつつ、この電圧の低下過程において、燃料電池スタック10に燃料が供給されることとなる。すなわち、停止要求後の電圧を低下させる処理(VLC処理)の間においても燃料電池スタック10への燃料供給が行われてアノード極の還元雰囲気が保たれるので、VLC処理中における燃料電池スタック10内の燃料ガスの不足によるアノード極の酸化劣化を抑制することができる。
特に、本実施形態において制御部80は、燃料供給機構20による燃料噴射量を、補正後VLC用電流目標値I1´に基づいて調節する。これにより、VLC処理中に取り出す電流の大きさに応じて燃料供給機構20による燃料噴射量が好適に定められる。特に、燃料噴射量を、補正後VLC用電流目標値I1´に応じてスタック電圧を維持するために必要な燃料噴射量よりも少なくすることで、VLC処理におけるスタック電圧の低下を好適に実行することができる。
また、本実施形態に係る制御方法では、制御部80は、燃料電池スタック10の温度であるスタック温度に基づいて、燃料供給機構20による燃料ガスの供給流量を補正する(図4、5)。
これにより、VLC処理中において、燃料電池スタック10の発電効率に応じて好適に、燃料電池スタック10への燃料ガス供給流量を調節することができる。
なお、本実施形態において、ステップS140のスタック冷却処理が終了した後に、アノードオフガス排出通路51内に残留する燃料をパージする処理を行うようにしても良い。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、VLC処理の終了時に遮断弁55(図1参照)を閉塞する。
図6は、本実施形態によるシステム停止要求に応じて実行されるシステム停止処理の流れを示すフローチャートである。また、図7は、本実施形態によるシステム停止処理の進行の概要を示すタイムチャートである。なお、目標電流値の変化は、第1実施形態と同様であるので、図7のタイムチャートにおいては省略している。
図6に示すように、第1実施形態と同様に、ステップS110の処理が実行される。
そして、ステップS120において、制御部80によりスタック電圧が、VLC処理の制限目標電圧V1以下であると判定されると、ステップS210において遮断弁55が閉塞される(図7(f)の時刻t2参照)。これにより、VLC処理終了後におけるアノードオフガス排出通路51から燃料電池スタック10へのアノードオフガスの逆流が防止され、燃料電池スタック10のアノード極内の還元雰囲気が保たれる。
特に、本実施形態による燃料電池システム100では、システム停止要求後のVLC処理及びスタック冷却処理において空気供給が継続されているので、図1の空気供給通路41、燃料電池スタック10内のカソード通路、及びカソード流路からなるカソード系の圧力が一定以上に保たれる。
一方で、燃料の供給はVLC処理の終了時以降に停止されるので(図7(c)の時刻t2)、スタック冷却処理の過程においては、図1の燃料供給通路21及び燃料電池スタック10の圧力がアノードオフガス排出通路51内の圧力と比べて低くなるので、アノードオフガス排出通路51から燃料電池スタック10のアノード通路内へのアノードオフガスの逆流が生じやすくなる。
したがって、逆流したアノードオフガスに含まれる空気が、燃料電池スタック10のアノード極における触媒層等の構成部材と反応する酸化反応が生じる恐れがある。
このような事態に対して、本実施形態では、上記ステップS210のように、VLC処理終了後に遮断弁55を閉塞することで、アノードオフガスの逆流が防止され、VLC処理後のスタック冷却処理の過程でもアノード極の還元雰囲気を維持し、その酸化劣化をより効果的に抑制することができる。
図6に戻り、以降は、第1実施形態と同様にステップS130、ステップS140、及びステップS150の処理が行われる。
上述の燃料電池システム100の制御方法によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態に係る制御方法では、燃料電池の電圧としてのスタック電圧が制限目標電圧V1に低下した以降に、燃料電池スタック10のアノードオフガス排出通路51に設けられた遮断弁55を閉塞する。
これにより、VLC処理終了以降におけるアノードオフガス排出通路51から燃料電池スタック10へのオフガスの逆流が防止され、燃料電池スタック10のアノード極内の還元雰囲気を保つことができる。したがって、VLC処理以降においてもアノード極の還元雰囲気を維持し、アノード極の酸化劣化をより好適に防止することができる。
なお、遮断弁55は、上記アノードオフガス排出通路51から燃料電池スタック10内にアノードオフガスが逆流することを抑制することができるならば、停止要求時(VLC処理開始時)〜VLC処理終了時から所定時間経過後までの任意の時点で閉塞しても良い。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。なお、第2実施形態で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、第2実施形態においてVLC処理の終了時に閉塞された遮断弁55を、スタック冷却処理が終了した後に開放して、アノードオフガス排出通路51のパージを行う。
図8は、本実施形態によるシステム停止要求に応じて実行されるシステム停止処理の流れを示すフローチャートである。また、図9は、本実施形態によるシステム停止処理の進行の概要を示すタイムチャートである。
図8に示すように、第2実施形態と同様に、ステップS110〜ステップS120、ステップS210、及びステップS130が実行される。
そして、ステップS140でスタック温度が降温目標値T1以下となったと判定されると、ステップS310において、制御部80は、遮断弁55を開放する(図9(a)及び図9(f)の時刻t3)。
次に、ステップS320において、パージ処理を行う。具体的には、遮断弁55が開放された状態のまま、空気ブロア43による燃料電池スタック10への空気供給を継続する(図9(d)の時刻t3〜時刻t4)。これにより、スタック内のアノード通路から燃料供給通路21及びアノードオフガス排出通路51にカソードガスが送られ、これら通路内の残留ガスがパージされる。
そして、ステップS320のパージ処理が終了すると、ステップS330において、制御部80は遮断弁55を再び閉塞する(図9(f)の時刻t4)。これにより、システムの完全停止後に、合流排気通路54及びアノードオフガス排出通路51を介して燃料電池スタック10内へ逆流などによるアノード極への不純物の侵入を防止し、システムの次回起動を円滑化することができる。
そして、ステップS150において、制御部80は、ステップS320の遮断弁55の閉塞時に空気供給を停止する(図9(d)の時刻t4)。
上述の燃料電池システム100の制御方法によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態に係る制御方法では、燃料電池の温度であるスタック温度が降温目標値T1以下となると、遮断弁55を開放してパージ処理としての燃料電池スタック10への空気供給の継続を実行する。特に、本実施形態では、スタック温度が、スタック冷却処理における冷却目標温度であるT1以下となったときに、遮断弁55を開放して空気供給を継続している。これにより、システム停止処理の過程でアノード供給系等の残留ガスをパージして、燃料電池システム100の次回起動時に残留ガスが排出されることを抑制することができる。
なお、本実施形態では、パージ処理が終了すると、遮断弁55を閉塞してシステム停止処理を終了するようにしているが、パージ処理の終了後、遮断弁55を開放したままシステム停止処理を終了するようにしても良い。
また、本実施形態では、パージ処理として、スタック冷却処理から引き続き、同じ空気供給流量で燃料電池スタック10に空気を供給しているが、例えば、スタック冷却処理時と比べて空気供給流量を増減させるようにしても良い。特に、スタック冷却処理時と比べて空気供給流量を増加させることで、アノード系内の洗浄効果をより向上させることができる。また、燃料電池スタック10への空気の供給に代えて、任意の不活性ガスを用いてパージ処理を行うようにしても良い。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、基本的に第1実施形態と同様の処理が行われるが、VLC処理中におけるスタック電流を時間に応じて減少させる点で第1実施形態と異なる。本実施形態では、燃料電池セルの面内の各場所における発電電力の分布(配流性)の相違により生じ得る局所的なガス不足(面内スタベーション)を防止する観点から、上述のVLC処理中の電流の調整が行われる。
以下では、面内スタベーションの詳細について説明する。
図10は、本実施形態に係る一つの燃料電池セルのアノード極の面を模式的に示した図である。なお、破線の円はカソードガスとしての空気が通過する孔部を現している。
図10に示す燃料電池セルのアノード極の面(以下、アノード面11とも記載する)には、発電に使用される前の燃料ガスを通過させる燃料導入口120と、発電に使用された燃料を通過させる燃料排出口122と、が設けられている。燃料導入口120は、燃料供給通路21から送られて来る燃料ガスを、セルの積層方向の一方向(図の紙面奥側)に流す。そして、燃料導入口120を流れる燃料ガスの一部は、アノード面11上に供給されてアノード面11の発電エリア124で発電に使用される。
また、燃料排出口122は、発電エリア124で発電に使用された後の燃焼ガスの残りを、セルの積層方向の他方側(図の紙面手前側)に流す通路である。なお、図においてはアノード面11内における燃料ガスの流れを矢印Fとして模式的に示している。
ここで、図に示すアノード面11においては、上述のように、燃料導入口120からの燃料ガスが燃料排出口122に至るまでに発電エリア124で空気と反応して発電を行う。
ここで、図の矢印Fで示すように、燃料ガスは燃料導入口120から燃料排出口122に流れ、この過程の発電エリア124で発電される。したがって、主として、発電エリア124における燃料導入口120の寄り位置においては比較的濃度の高い燃料ガスが分布しているため発電電力量が高くなる。一方で、燃料排出口122に近づくほど燃料ガス濃度が低下するため発電電力量が高くなる。すなわち、アノード面11内における燃料ガスの分布にばらつきが生じ、発電電力の分布に偏りが生じることとなる。
このような燃料ガスの分布のばらつきによって、特に燃料ガスが不足する燃料排出口122の近傍においては還元雰囲気が保たれず、酸化反応が進行することが考えられ、既に説明したアノード極の触媒層Niの酸化が生じ劣化が進行する恐れがある。特に、VLC処理のように急激に電圧を低下させる場合には、上記燃料ガス分布のばらつきが大きくなり、酸化反応の進行が進みやすくなる。
したがって、本実施形態では、このような面内スタベーションにともなうアノードの酸化劣化を抑制するように、VLC処理中に電流の調整を行う。
図11は、本実施形態によるVLC処理中の電流目標値の変化の概要を示すグラフである。当グラフでは、本実施形態に係るVLC処理中の電流目標値を実線で示すとともに、対比のため、第1実施形態におけるVLC処理中の電流目標値を一点鎖線で示している。
図示のように、本実施形態では、VLC処理中に目標電流値を経過時間に応じて変化させている。具体的には、時刻t1のVLC処理の開始時から本実施形態におけるVLC処理の終了時である時刻t2´に近づくにつれて、目標電流値が徐々に減少するように設定されている。
これにより、VLC処理中におけるスタック電圧の低下速度が緩やかとなるので、急激なスタック電圧の低下に起因して発生する面内スタベーションにともなうアノードの酸化劣化が抑制される。
なお、目標電流値は、図11で示した曲線的な減少に限られず、直線的に減少させるようにしても良い。しかしながら、目標電流値を大きく減少させるとVLC処理の時間が長くなり、ひいてはシステム停止処理時間の延長の要因となるので、過度なシステム停止処理時間を招かない程度に目標電流値の減少量や減少速度を調節することが好ましい。
上述の燃料電池システム100の制御方法によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態に係る制御方法では、電流取り出し部としてのDC−DCコンバータ61による燃料電池の取り出し電流であるスタック電流を、燃料電池の電圧であるスタック電圧の低下が開始(時刻t1)されてからの経過時間に応じて減少させる。より具体的には、VLC処理が開始されてから、目標電流値を経過時間に応じて減少するように変化させる。
これにより、VLC処理中におけるスタック電圧の低下速度を緩やかにすることができ、急激なスタック電圧の低下による面内スタベーションが抑制される。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、基本的に第1実施形態と同様の処理が行われるが、停止要求時の燃料電池スタック10の状態である停止要求時のスタック電圧に応じて、燃料噴射量を制御する点で第1実施形態と異なる。
図12は、本実施形態によるVLC処理の進行の概要を示すタイムチャートである。なお、図12のタイムチャートでは、図面の簡略化のため、VLC処理以外のスタック冷却処理などについては省略している。
図12(c)に示すように、本実施形態では、システムの停止要求時、すなわちVLC処理が開始される時刻t1において、燃料電池スタック10への燃料噴射及び空気供給を停止する。そして、時刻t1から所定時間経過後の時刻t1´において、微量の燃料噴射を行う。また、図12(d)に示すように、この燃料噴射量に対して1以上のストイキ比で燃料電池スタック10への空気供給を行う。ここで、時刻t1´は、スタック電圧が時刻t1から低下して所定値V2に至る時刻である。
このように、本実施形態においては、スタック電圧が停止VLC処理の開始から所定値V2に低下した段階(時刻t1´)で微量の燃料噴射及び空気供給を行うことで、燃料電池スタック10内の燃料及び空気をセルのアノード面やカソード面内で混合して好適に分布させることができるので、VLC処理における急激なスタック電圧の低下に起因する面内スタベーションの発生を緩和することができる。
上述の燃料電池システム100の制御方法によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態に係る制御方法では、制御部80は、停止要求の時の燃料電池スタック10の状態であるスタック電圧に応じて、燃料供給機構20による燃料の供給を制御する。特に、本実施形態では、スタック電圧がVLC処理の開始から所定値V2に低下した段階で微量の燃料噴射及び空気供給を行う(図12(c)及び図12(d)の時刻t1´参照)。
これにより、VLC処理中において、燃料電池スタック10内の燃料及び空気をセルのアノード面やカソード面内で混合して好適に分布させることができるので、VLC処理における急激なスタック電圧の低下に起因する面内スタベーションの発生を緩和することができる。結果として、VLC処理によるアノード酸化劣化をより効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態では、スタック電圧が所定値V2まで低下したときに燃料噴射を行うようにしたが、例えば、燃料電池スタック10の内部インピーダンス等のスタック電圧以外の燃料電池スタック10の状態に基づいて、燃料噴射量や燃料噴射タイミングを制御しても良い。さらに、燃料噴射量を、スタック電圧の低下速度等の燃料電池スタック10の種々の状態に応じて適宜調節しても良い。
(第6実施形態)
以下、第6実施形態について説明する。なお、第5実施形態で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、第5実施形態の構成を基本として、制御部80が、VLC処理開始時のスタック電圧を監視し、スタック電圧の低下速度が所定速度よりも大きい場合に、燃料噴射量を増加する。
図13は、本実施形態によるVLC処理の進行の概要を示すタイムチャートである。なお、図13のタイムチャートでは、図面の簡略化のため、VLC処理以外のスタック冷却処理などについては省略している。また、参考のため、第5実施形態におけるVLC処理中のスタック電圧、燃料供給量、及び空気供給量を点線で示している。
図13(b)及び図13(e)における時刻t1〜時刻t1´の区間に示すように、本実施形態では、スタック電圧が、第5実施形態と同じ電流目標値I1が設定されているにもかかわらず、スタック電圧の低下速度が第5実施形態における低下速度と比べて大きい。
したがって、本実施形態では、このスタック電圧の低下速度の増加に応じて時刻t1´で第5実施形態と比較してより多くの燃料噴射量を行う(図13(c)参照)。これに併せて、空気供給流量も第5実施形態と比較して増加させる(図13(d)の時刻t1´)。
これにより、図13(b)の時刻t1´〜時刻t2の区間で示したようにスタック電圧の低下速度の増加が緩和されるので、スタック電圧の急激な低下に起因する面内スタベーションの発生をより緩和して、VLC処理によるアノード酸化劣化をより効果的に抑制することができる。
上述の燃料電池システム100の制御方法によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態に係る制御方法では、制御部80は、スタック電圧が所定値に低下するまでの間における該スタック電圧を監視し、スタック電圧の低下速度が所定低下速度である電流目標値に応じた低下速度よりも大きい場合に、燃料供給機構20による燃料ガスの供給量を増加させる。
これにより、スタック電圧の低下速度の増加を緩和し、スタック電圧の急激な低下に起因する燃料電池セル面内における発電分布の偏りを緩和して、VLC処理中のアノードスタベーションを抑制することができる。
なお、本実施形態では、燃料ガス供給量を増加させる基準となるスタック電圧の所定低下速度として、目標電流値I1に応じたスタック電圧の低下速度を設定しているが、目標電流値I1に応じたスタック電圧の低下速度よりも大きい低下速度又は若干小さい低下速度を設定しても良い。
(第7実施形態)
以下、第7実施形態について説明する。なお、第1実施形態で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、VLC処理が終了した後のスタック冷却処理において、スタック温度の低下速度に応じて空気供給流量を調節する。すなわち、空気供給流量の増減を調節して、スタック温度の冷却速度を調節する。
図14は、本実施形態によるシステム停止要求に応じて実行されるシステム停止処理の流れを示すフローチャートである。また、図15は、本実施形態によるシステム停止処理の進行の概要を示すタイムチャートである。なお、図15のタイムチャートでは、図面の簡略化のため、スタック温度、燃料噴射量、及び空気流量の変化のみを示している。また、参考のため、図15(a)の点線により第1実施形態におけるスタック温度変化を示している。
すなわち、本実施形態では、スタック冷却処理中にスタック温度の低下が低い場合を想定している。
図示のように、本実施形態では、第1実施形態と同様にステップS110〜ステップS130の処理が行われる。そして、ステップS140においてスタック温度が、スタック冷却処理の降温目標値以下ではないと判定されるとステップS710に進む。
そして、ステップS710では、制御部80は、スタック温度低下速度が所定値以下であるか否かを判定する。具体的に、制御部80は、スタック温度センサ83によるスタック温度検出値を所定時間毎に取得し、当該所定時間におけるスタック温度検出値の変化を、スタック温度低下速度として取得する。
ステップS710において、制御部80は、スタック温度低下速度が所定値以下であるか否かを判定する。スタック温度低下速度が所定値以下であると判定されると、ステップS720において、制御部80は空気供給流量を増加させる(図15(a)及び図15(d)の時刻t2´参照)。その後、制御部80は、再びステップS140の判断を行う。一方、ステップS710においてスタック温度低下速度が所定値以下ではないと判定されると、制御部80はカソードガス供給量を増加させることなく、再びステップS140の判断を行う。
上述の燃料電池システム100の制御方法によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態に係る制御方法では、制御部80は、スタック電圧が所定値に低下した以降に、燃料電池スタック10に空気を供給して燃料電池スタック10を所定温度まで低下させる燃料電池冷却処理としてのスタック冷却処理を行い、スタック冷却処理では、燃料電池スタック10の温度低下速度に基づいて空気供給流量を調節する処理を行う。
これにより、スタック冷却処理中における燃料電池スタック10の温度低下速度(冷却速度)に応じて好適に、空気供給流量を調節することができる。特に、本実施形態のように、スタック冷却処理中においてスタック温度の低下が遅い場合においては、空気供給量を増加させることで、スタック温度の低下速度を向上させ、スタック冷却処理の延長が防止され、ひいてはシステム停止処理の長期化が防止される。
一方で、スタック温度低下速度が比較的速い場合に、燃料電池スタック10への空気供給量を減量して冷却速度を緩やかにしてもよい。これにより、燃料電池スタック10の急激な温度変化によって、スタック構成部品の線膨張係数の違いに起因して熱変形が生じることによるスタックの損傷を防ぐことができる。特に、本実施形態のように、固体酸化物型燃料電池である燃料電池スタック10の場合は、冷却によってその温度が動作温度(例えば約800℃)から降温目標温度(例えば約300℃)まで大きく低下するため、上述のように冷却速度を緩やかにすることによるスタック構成部品の保護効果はより顕著になる。
(第8実施形態)
以下、第8実施形態について説明する。なお、第1実施形態で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、特に、燃料電池スタック10からの取り出し電流を、燃料電池システム100の電力収支に応じて調節する。
図16は、本実施形態によるシステム停止要求に応じて実行されるシステム停止処理の流れを示すフローチャートである。
図示のように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、制御部80がステップS110及びステップS120を実行して、当該ステップS120においてスタック電圧が制限目標電圧V1以下ではないと判定すると、ステップS810に進む。
ステップS810においては、制御部80は、バッテリ62のSOCが最大(例えば、80%)であるか否かを判定する。制御部80は、バッテリ62のSOCが最大ではないと判定すると、ステップS120に戻り、再びスタック電圧と制限目標値との大小を判定する。すなわち、この場合、発電(VLC処理)が継続される。したがって、この場合、制御部80は、空気ブロア43等の負荷とバッテリ62の要求電力を考慮して目標電流値I1を決定する。
一方で、制御部80は、バッテリ62のSOCが最大であると判定すると、ステップS820に進み、バッテリ62以外の負荷へ電力(電流)を供給する。すなわち、バッテリ62以外の負荷の要求電力を考慮して目標電流値I1を決定する。
上述の燃料電池システム100の制御方法によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態に係る制御方法では、電流取り出し部としての制御部80が、燃料電池スタック10からの取り出し電流を、燃料電池システム100の電力収支に応じて調節する。具体的に、バッテリ62のSOCが最大ならば、負荷の要求電力に合せてスタック電流を調節し、バッテリ62のSOCが最大ではないならば負荷及びバッテリ62の要求電力に合せてスタック電流を調節する。
これにより、燃料電池システム100において、VLC処理におけるアノード極の酸化劣化を防止しつつも、電力収支バランスを好適に調節することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
また、上記各実施形態は、任意に組み合わせが可能である。