JP6758889B2 - 標的タンパク質の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は標的タンパク質の精製方法に関する。
標的タンパク質をコードした組換え遺伝子を大腸菌、酵母、細胞などの宿主に導入し、組換えタンパク質を発現させることができる。発現させた組換えタンパク質について、機能や構造を解析したり、製剤等として利用するために高い精製度が必要となる。タンパク質の精製には、各種のクロマトグラフィーなどが一般に用いられる。非特許文献1には、組換えタンパク質の精製方法の一つとして、イオン交換クロマトグラフィーが記載されている。
Mayank Saraswat,et.al. Review Article:Preparative Purification of Recombinant Proteins. Vol2013:18,2013
本発明は、簡便に高純度の組換えタンパク質を得ることができる精製方法を提供することを課題とする。
本発明は、ペプチドタグのアミノ酸配列、タンパク質分解酵素の切断サイトのアミノ酸配列および標的タンパク質のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と、タンパク質分解酵素とを溶液中で接触させ、融合タンパク質からペプチドタグを切断する工程、およびペプチドタグと標的タンパク質とタンパク質分解酵素とを含む溶液をイオン交換樹脂と接触させ、標的タンパク質とペプチドタグとを分離することにより、標的タンパク質を含む溶液を取得する工程を含み、融合タンパク質において、タンパク質分解酵素の切断サイトのアミノ酸配列は、ペプチドタグのアミノ酸配列と標的タンパク質のアミノ酸配列との間にあり、ペプチドタグが、ポリアニオン性またはポリカチオン性である標的タンパク質の精製方法である。
簡便な方法により精製度の高い組換えタンパク質を得ることができる。
本実施形態の精製方法の原理を模式的に示した図である。(a)は夾雑タンパク質除去工程、(b)はペプチドタグ切断工程、(c)は標的タンパク質取得工程を示す。 実施例1におけるSDS(Sodium dodecyl sulfate)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果を示す図である。 実施例2におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例3におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例4におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例5におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例6におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例7におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例8におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例9におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例10におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例11におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例12におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例13におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 比較例1におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例14におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例15におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例16におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例17におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例18におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例19におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例20におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例21におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例22におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例23におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例24におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例25におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例26におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例27におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。 実施例28におけるSDS-PAGEの結果を示す図である。
本発明の精製方法は、融合タンパク質からペプチドタグを切断する工程(ペプチドタグ切断工程)と標的タンパク質とペプチドタグを分離して標的タンパク質を取得する工程(標的タンパク質取得工程)を含む。
(ペプチドタグ切断工程)
ペプチドタグ切断工程では、ペプチドタグと標的タンパク質を含む融合タンパク質に、タンパク質分解酵素を溶液中で接触させて、融合タンパク質からペプチドタグを切断する。融合タンパク質はペプチドタグと標的タンパク質のアミノ酸配列を含む。ペプチドタグは、酸性アミノ酸残基を2残基以上含むポリアニオン性ペプチドタグまたは塩基性アミノ酸残基を2以上含むポリカチオン性ペプチドタグである。ペプチドタグとしてポリアニオン性ペプチドタグを用いる場合、酸性アミノ酸残基の数は、ペプチドタグと標的タンパク質との間の等電点の差異に基づき、イオン交換樹脂による分離がより良好となることから、12残基以上が好ましく、18残基以上がより好ましく、さらに24残基以上が好ましく、特に30残基以上が好ましく、36残基以上が最も好ましい。一方、酸性アミノ酸残基数の上限は特に限定されないが、融合タンパク質の立体構造への影響等の観点から100残基以下が好ましく、70残基以下がより好ましい。ポリアニオン性ペプチドタグに含まれる酸性アミノ酸残基は、アスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基のいずれか一方でもよく、両方でもよい。ポリアニオン性ペプチドタグは、酸性アミノ酸残基の他に、中性アミノ酸残基および/または塩基性アミノ酸残基を含んでいてもよいが、ペプチドタグ全体のアミノ酸残基数に対する酸性アミノ酸残基数の割合は、切断したペプチドタグ等との分離がより良好になることから、20%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。またペプチドタグ全体の配列において、酸性アミノ酸残基を含むアミノ酸配列は、酸性アミノ酸残基が全て連続した配列であっても、酸性アミノ酸残基間に1個または複数個の中性アミノ酸残基および/または塩基性アミノ酸残基が介在していてもよい。ポリアニオン性ペプチドタグの等電点は、標的タンパク質との分離がより良好になることから、5以下であることが好ましく、4以下がより好ましい。等電点は、水溶液中の正と負のイオン濃度が等しくなったときのpHの値であり、例えば、等電点電気泳動などにより測定することができる。ポリアニオン性ペプチドタグの好ましい具体例として、下記ペプチドタグ1〜8が挙げられる(D;アスパラギン酸残基、E;グルタミン酸残基)。
<ポリアニオン性ペプチドタグ>
ペプチドタグ1 EEEEEEDDDDDD(DE12;配列番号1)
ペプチドタグ2 EEEEEEEEEDDDDDDDDD(DE18;配列番号2)
ペプチドタグ3 EEEEEEEEEEEEDDDDDDDDDDDD(DE24;配列番号3)
ペプチドタグ4 EEEEEEEEEEEEEEEDDDDDDDDDDDDDDD(DE30;配列番号4)
ペプチドタグ5 EEEEEEEEEEEEEEEEEEDDDDDDDDDDDDDDDDDD(DE36;配列番号5)
ペプチドタグ6 NVEGKTGNATDEEEEEEEEEEEEDDDDDDDDDDDDEDSGAEIQDDDEEGFDDEEEFDDDDDDEH
DDDDLENEENELEELEERVEARKK(DED;配列番号6)
ペプチドタグ7 DLSNVEGKTGNATDEEEEEEEEEEEEDDDDDDDDDDDDEDSGAE(DES;配列番号7)
ペプチドタグ8 EEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE(EO24;配列番号8)
ペプチドタグとしてポリカチオン性タグを用いる場合、塩基性アミノ酸残基の数は、ペプチドタグと標的タンパク質との間の等電点の差異に基づき、イオン交換樹脂による分離がより良好となることから、12残基以上が好ましく、18残基以上がより好ましく、24残基以上がさらに好ましい。一方、塩基性アミノ酸残基数の上限は特に限定されないが、融合タンパク質の立体構造への影響等の観点から100残基以下が好ましく、70残基以下がより好ましい。ポリカチオン性ペプチドタグに含まれる塩基性アミノ酸残基は、アルギニン酸残基、ヒスチジン残基およびリシン残基よりなる群から選ばれる1種または2種以上である。ポリカチオン性ペプチドタグは、塩基性アミノ酸残基の他に、中性アミノ酸残基および/または酸性アミノ酸残基を含んでいてもよいが、ペプチドタグ全体のアミノ酸残基数に対する塩基性アミノ酸残基数の割合は、切断したペプチドタグ等との分離がより良好になることから、20%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。またペプチドタグ全体の配列において、塩基性アミノ酸残基を含むアミノ酸配列は、塩基性アミノ酸残基が全て連続した配列であっても、塩基性アミノ酸残基間に1個または複数個の中性アミノ酸残基および/または酸性アミノ酸残基が介在していてもよい。ポリカチオン性ペプチドタグの等電点は、標的タンパク質との分離がより良好になることから、10以上であることが好ましく、11以上がより好ましい。
標的タンパク質は、特に限定されるものではなく、例えば、酵素、受容体、インターフェロン類、インターロイキン類、抗体、蛍光タンパク質等のタンパク質が挙げられる。標的タンパク質の等電点は特に限定されないが、ペプチドタグがポリアニオン性の場合、ペプチドタグ等との分離がより良好になることから、5以上であることが好ましく、6以上がより好ましい。一方、ペプチドタグがポリカチオン性の場合、等電点は8以下であることが好ましく、7以下がより好ましい。
融合タンパク質において、ペプチドタグは、標的タンパク質のN末端側またはC末端側のいずれに結合させてもよい。標的タンパク質とペプチドタグのアミノ酸配列の間に、タンパク質分解酵素が認識する切断サイトのアミノ酸配列が挿入される。タンパク質分解酵素が認識する切断サイトは、特に限定されないが、例えば、HRV3C、プレシジョンプロテアーゼ、ファクターXa、トロンビン、TEVプロテアーゼ等のタンパク質分解酵素の認識配列等が挙げられる。タンパク質分解酵素を、溶液中で融合タンパク質と接触させることにより、融合タンパク質からペプチドタグを切断できる。反応温度及び反応時間は、タンパク質分解酵素の種類等に応じて適宜設定できる。融合タンパク質の等電点は特に限定されないが、ペプチドタグがポリアニオン性の場合、切断したペプチドタグ等と標的タンパク質との分離がより良好になることから、6未満が好ましく、5未満がより好ましい。一方、ペプチドタグがポリカチオン性の場合は、9以上が好ましく、10以上がより好ましい。
(標的タンパク質取得工程)
標的タンパク質取得工程では、タンパク質分解酵素で処理した試料溶液をイオン交換樹脂に接触させ、標的タンパク質とペプチドタグを分離して標的タンパク質を含む溶液を取得する。タンパク質分解酵素反応後の溶液中には、切断されたペプチドタグ、標的タンパク質およびタンパク質分解酵素が含まれる。融合タンパク質からペプチドタグを切断すると標的タンパク質とペプチドタグには等電点の差異が生じるため、タンパク質分解酵素反応後の溶液をイオン交換樹脂と接触させることにより、等電点の差異に基づき標的タンパク質とペプチドタグとを分離する。ペプチドタグがポリアニオン性の場合は、イオン交換樹脂として陰イオン交換樹脂を用いることが好ましい。タンパク質分解酵素による反応後のポリアニオン性ペプチドタグ、標的タンパク質およびタンパク質分解酵素を含む溶液を陰イオン交換樹脂に通過させると、ポリアニオン性ペプチドタグは陰イオン交換樹脂に結合するが、標的タンパク質はイオン交換樹脂に結合することなく通過する。この通過画分を採取することにより標的タンパク質を含む溶液を取得できる。陰イオン交換樹脂のイオン交換基としては特に限定されるものではなく、四級アンモニウム(QA)、四級アミノエチル(QAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)等を使用することができ、具体的にはHitrap HP Q(GE Healthcare社)、TOYOPEARL GigaCap Q-650M、TOYOPEARL Q-600C AR、TOYOPEARL QAE-550、TOYOPEARL DEAE-650M、TOYOPEARL SuperQ-650M(以上、東ソー社)、Q101、DE101(以上、三菱化学社)などが挙げられる。イオン交換基の担体としては、セルロース、デキストラン、アガロース、親水性ビニルポリマー等を用いることができる。ポリアニオン性ペプチドタグ、標的タンパク質およびタンパク質分解酵素を含む溶液の塩濃度は、ポリアニオン性ペプチドタグとの分離がより良好となることから、500mM以下であることが好ましく、250mM以下がより好ましい。また溶液のpHは5以上、9以下であることが好ましく、6以上、8以下がより好ましい。溶液の塩濃度およびpHの調整に用いる緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液、MOPS緩衝液、HEPES緩衝液等を用いることができる。これらの緩衝液には、緩衝作用を得るために使用する弱酸または弱塩基との塩が含まれるが、それ以外に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの塩を使用することができる。本明細書において、緩衝液または試料溶液等の塩濃度とは、このような緩衝作用を目的とする塩以外の塩の濃度を意味する。
ペプチドタグがポリカチオン性の場合は、陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。ポリアニオン性ペプチドタグと同様に、タンパク質分解酵素による反応後のポリカチオン性ペプチドタグ、標的タンパク質およびタンパク質分解酵素を含む溶液を陽イオン交換樹脂に通過させると、ポリカチオン性ペプチドタグは陽イオン交換樹脂に結合するが、標的タンパク質は陽イオン交換樹脂に結合することなく通過するため、この通過画分を採取することにより標的タンパク質を含む溶液を取得できる。陽イオン交換樹脂のイオン交換基としては特に限定されるものではなく、スルフォプロピル(SP)、カルボキシメチル(CM)等を使用することができ、具体的にはSP Sepharose,CM Sepharose(以上GE Healthcare社)、SP-5PW,SP-NPR,CM-5PW,CM-STAT(以上、東ソー社)などが挙げられる。イオン交換基の担体としては、セルロース、デキストラン、アガロース、親水性ビニルポリマー等を用いることができる。ポリカチオン性ペプチドタグ、標的タンパク質およびタンパク質分解酵素を含む溶液の塩濃度は、ポリカチオン性ペプチドタグとの分離がより良好となることから、500mM以下であることが好ましく、250mM以下がより好ましい。また溶液のpHは5以上、9以下であることが好ましく、6以上、8以下がより好ましい。
タンパク質分解酵素の等電点は標的タンパク質の等電点と異なることが好ましい。これにより、タンパク質分解酵素でペプチドタグを切断した後、標的タンパク質とタンパク質分解酵素とを容易に分離することができる。タンパク質分解酵素は、ペプチドタグを融合されていても良い。これにより、タンパク質分解酵素の等電点を所望の値に調整することができる。タンパク質分解酵素に融合されるペプチドタグとしては、上述した融合タンパク質に結合させるペプチドタグと同じものを用いることができる。タンパク質分解酵素に結合させるペプチドタグのアミノ酸配列と、融合タンパク質に結合させるペプチドタグのアミノ酸配列とは同じであっても、異なっていてもよい。切断されたペプチドタグとタンパク質分解酵素をイオン交換樹脂により同時に分離できることから、融合タンパク質に結合させるペプチドタグがポリアニオン性の場合は、タンパク質分解酵素のペプチドタグもポリアニオン性とすることが好ましく、融合タンパク質に結合させるペプチドタグがポリカチオン性の場合は、タンパク質分解酵素にもポリカチオン性ペプチドタグを結合させることが好ましい。より好適には、融合タンパク質に含まれるペプチドタグと同じアミノ酸配列である。これにより、タンパク質分解酵素は標的タンパク質と異なる等電点となり、且つ標的タンパク質と異なる等電点となる。ペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素は、自身により分解されるのを回避するため、このタンパク質分解酵素が認識する切断サイトを有しないことが好ましい。ペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素を用いると、タンパク質分解酵素反応後の溶液には、切断されたペプチドタグ、標的タンパク質およびペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素が含まれる。この溶液をイオン交換樹脂に通過させると、切断されたペプチドタグとともに、ペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素がイオン交換樹脂に結合する。一方、標的タンパク質はイオン交換樹脂に結合することなく通過する。このため、別途タンパク質分解酵素を分離する工程を経ることなく、通過画分中に高純度の標的タンパク質を取得できる。
本実施形態では、ペプチドタグ切断工程の前に、融合タンパク質を発現させる工程および夾雑タンパク質を除去する工程を含んでいてもよい。
(発現工程)
融合タンパク質は、公知の組換えタンパク質発現方法に従って、ペプチドタグをコードする塩基配列と標的タンパク質をコードする塩基配列とを含むポリヌクレオチドをベクターに導入した後、ベクターを宿主細胞に導入し、宿主細胞に融合タンパク質を発現させることによって取得できる。ペプチドタグをコードするポリヌクレオチドおよび標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、化学合成等公知の方法によって取得でき、これを鋳型として公知の遺伝子増幅方法に従って増幅できる。増幅したポリヌクレオチドと発現ベクターとを制限酵素により処理し、適当なDNAリガーゼを用いて結合させることにより、ペプチドタグと標的タンパク質をそれぞれコードするポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクターを構築できる。発現ベクターの構築にあたって、ペプチドタグをコードするポリヌクレオチドは、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドの5’側または3’側のいずれに配置してもよい。ペプチドタグをコードする塩基配列と標的タンパク質をコードする塩基配列の間には、タンパク質分解酵素が認識する切断サイトをコードする塩基配列が挿入される。宿主としては特に限定されず、大腸菌、酵母、昆虫細胞、虫体、動物細胞、植物細胞等を用いることができる。発現ベクターとしては、特に制限はなく、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター等が挙げられ、使用する宿主に応じて適宜選択できる。発現ベクターには、複製起点、プロモーター配列、エンハンサー配列等の調節配列、選択マーカー等の配列が含まれていてもよい。宿主への発現ベクターの導入は、宿主に応じて公知の方法に従って行うことができ、例えば、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法等が挙げられる。このようにして、発現ベクターが宿主細胞に導入された形質転換体を得ることができる。得られた形質転換体を、好適な条件下でインキュベートし、融合タンパク質を産生させることができる。
融合タンパク質を発現させた後、宿主の細胞、組織、虫体等に必要に応じ、抽出、破砕、遠心分離、可溶化、体液採取等の処理を行って、細胞培養液、抽出液、ホモジネート、溶解液、体液等として試料溶液を取得する。試料溶液の調製には、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液、MOPS緩衝液、HEPES緩衝液等の緩衝液を用いることができる。これらの緩衝液には、緩衝作用を得るために使用する弱酸または弱塩基との塩が含まれるが、それ以外に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの塩を使用することができる。本明細書において、緩衝液の塩濃度とは、このような緩衝作用を目的とする塩以外の塩の濃度を意味する。緩衝液の塩濃度は、融合タンパク質の安定性および分離工程での調整の容易性等の観点から50mM以上500mM以下であることが好ましく、50mM以上250mM以下がより好ましい。また緩衝液のpHは、融合タンパク質の安定性および分離工程における調整の容易性等の観点から、5以上9以下が好ましく、6以上8以下がより好ましい。
大腸菌発現系を用いて試料を取得する場合、発現ベクターとしてプラスミドベクターを用いることができる。プラスミドベクターとして、具体的には、pET、pGEX、pCold、pMAL、pCAL等が挙げられる。発現ベクターには、複製起点、lac、T7、tac等のプロモーター配列、エンハンサー配列、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子等の選択マーカーの配列が含まれていてもよい。大腸菌への発現ベクターの導入は、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法等により行うことができる。発現ベクター導入後、選択マーカーを含む培地で培養することにより、発現ベクターが大腸菌に導入された形質転換体を選択することができる。このようにして得られた形質転換体を好適な条件下で増殖させた後、選択したプロモーターに応じて発現誘導し、融合タンパク質を産生させる。融合タンパク質を発現させた後、大腸菌を破砕等して融合タンパク質および大腸菌由来の夾雑タンパク質を含む試料溶液を取得できる。
発現系としてカイコなどの虫体または昆虫細胞を用いる場合、トランスファーベクターを使用できる。トランスファーベクターをバキュロウイルスDNAとともに昆虫細胞に形質導入した後、相同組換えにより目的遺伝子をバキュロウイルスDNAに挿入できる。トランスファーベクターとして、具体的には、PM01、pM02、pHS01、pHS02などが挙げられる。トランスファーベクターは、ポリヒドリンプロモーター、p10プロモーターなどのプロモーターを含むことが好ましい。昆虫細胞としては、例えばSf9、Sf21、High5、TN-368、Bm5などが挙げられる。バキュロウイルスとして、例えば核多角体病ウイルス(NPV)が挙げられ、具体的には、AcMNPV、BmNPVなどを例示できる。トランスファーベクターと、直線化したバキュロウイルスDNAとを昆虫細胞に導入することにより、相同組換えが生じ、目的遺伝子が挿入された組換えバキュロウイルスが得られる。組換えバキュロウイルスを含むウイルス溶液を虫体または昆虫細胞に接種等することにより、組換えバキュロウイルスを感染させることができる。カイコなどの虫体は、成虫、蛹および幼虫のいずれの形態であってよい。虫体または昆虫細胞に組換えバキュロウイルスを感染させて、1〜7日間飼育または培養することにより、融合タンパク質を発現させることができる。融合タンパク質を発現させた後、虫体または昆虫細胞を破砕等して、融合タンパク質と、虫体または昆虫細胞由来の夾雑タンパク質とを含む試料溶液を取得できる。
タンパク質分解酵素も同様に公知の発現系により発現させることができる。上述した融合タンパク質の発現において、タンパク質分解酵素を標的タンパク質とすることにより、ペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素を得ることができる。融合タンパク質とタンパク質分解酵素は、両方のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチドを挿入したベクターを宿主に導入して発現させることができる。また融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを導入したベクターと、タンパク質分解酵素をコードするポリヌクレオチドを挿入したベクターとを宿主に導入して発現させてもよい。また融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを挿入したベクターを宿主に導入し、タンパク質分解酵素をコードするポリヌクレオチドを挿入したベクターを宿主に導入して、それぞれ単独発現させた後、混合してもよい。この場合、宿主は同種でも異種でもよいが、発現後の取扱いの容易性などから同種であることが好ましい。
融合タンパク質として、例えば、標的タンパク質であるNAD(P)H dehydrogenase, quinone 1 human(NQO1;pI=8.91;配列番号9)またはLuciferase(pI=6.71;配列番号10)と、上記ペプチドタグ1〜8とを融合し、その間にタンパク質分解酵素HRV3Cが認識する切断サイトを挿入した下記コンストラクト1〜12が挙げられる。またペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素として、タンパク質分解酵素であるHRV3C(pI=8.46;配列番号11)と上記ペプチドタグ7とを融合した下記コンストラクト13が挙げられる。
コンストラクト1 DE12-HRV3Csite-NQO1(配列番号12)
コンストラクト2 DE18-HRV3Csite-NQO1(配列番号13)
コンストラクト3 DE24-HRV3Csite-NQO1(配列番号14)
コンストラクト4 DE30-HRV3Csite-NQO1(配列番号15)
コンストラクト5 DE36-HRV3Csite-NQO1(配列番号16)
コンストラクト6 DED-HRV3Csite-NQO1(配列番号17)
コンストラクト7 DES-HRV3Csite-NQO1(配列番号18)
コンストラクト8 EO24-HRV3Csite-NQO1(配列番号19)
コンストラクト9 NQO1-HRV3Csite-DED(配列番号20)
コンストラクト10 NQO1-HRV3Csite-DES(配列番号21)
コンストラクト11 DED-HRV3Csite-Luciferase(配列番号22)
コンストラクト12 DES-HRV3Csite-Luciferase(配列番号23)
コンストラクト13 DED-HRV3C(配列番号24)
(夾雑タンパク質除去工程)
以上のようにして発現させた融合タンパク質を含む試料溶液には、宿主由来の内在性タンパク質などの夾雑タンパク質が含まれる。このため、標的タンパク質取得工程前に、融合タンパク質と夾雑タンパク質とを分離し、夾雑タンパク質を除去する工程を含んでいてもよい。「融合タンパク質と夾雑タンパク質とを分離」するとは、融合タンパク質を抽出・精製し、夾雑タンパク質と異なる容器に収容することを含む。夾雑タンパク質は実質的に完全に分離されてもよいが、夾雑タンパク質の一部が分離されてもよい。夾雑タンパク質の一部または全部を分離することにより、融合タンパク質の純度を向上させることができる。夾雑タンパク質とは、宿主由来の内在性タンパク質など融合タンパク質や標的タンパク質以外のタンパク質を意味する。融合タンパク質は、標的タンパク質にペプチドタグを融合させることにより、夾雑タンパク質と十分に分離できる程度に等電点の差が生じたものとなる。上記したとおり、融合タンパク質の等電点は、ペプチドタグがポリアニオン性の場合、6未満が好ましく、5未満がより好ましく、ペプチドタグがポリカチオン性の場合は、9以上が好ましく、10以上がより好ましい。多くのタンパク質は等電点が一般的に6〜7であるため、融合タンパク質の等電点がこのような範囲であると、融合タンパク質と夾雑タンパク質との分離がより容易になり融合タンパク質の純度を向上させることができる。
分離手段としては特に限定されず、公知の分離手段を用いることができるが、夾雑タンパク質との良好な分離が得られるためイオン交換樹脂による分離が好ましい。ペプチドタグがポリアニオン性の場合、陰イオン交換樹脂による分離がより好ましい。陰イオン交換樹脂のイオン交換基としては特に限定されるものではなく、四級アンモニウム(QA)、四級アミノエチル(QAE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)等を使用することができ、具体的にはHitrap HP Q(GE Healthcare社)、TOYOPEARL GigaCap Q-650M、TOYOPEARL Q-600C AR、TOYOPEARL QAE-550、TOYOPEARL DEAE-650M、TOYOPEARL SuperQ-650M(以上、東ソー社)、Q101、DE101(以上、三菱化学社)などが挙げられる。イオン交換基の担体としては、セルロース、デキストラン、アガロース、親水性ビニルポリマー等を用いることができる。融合タンパク質と夾雑タンパク質を含む試料溶液を陰イオン交換樹脂に通過させることにより、融合タンパク質を陰イオン交換樹脂に結合させる。その後、例えば溶出液の塩濃度を上昇させて、夾雑タンパク質を溶出させた後、高塩濃度の溶出液で融合タンパク質をイオン交換樹脂から溶出させることにより、融合タンパク質を精製できる。溶出液の塩濃度を上昇させる方法としては、段階的に塩濃度を変化させて目的タンパク質を溶出させるステップワイズ法、連続的に塩濃度を変化させて目的タンパク質を溶出させるグラジエント法が挙げられる。緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液、MOPS緩衝液、HEPES緩衝液等の緩衝液を用いることができる。緩衝液の塩濃度は、夾雑タンパク質との分離および融合タンパク質の安定性等の観点から、50mM以上、2000mM以下の範囲とすることが好ましく、50mM以上、1000mM以下の範囲がより好ましい。特に緩衝液の塩濃度を600mM以上、より好ましくは750mM以上にすると、夾雑タンパク質との分離がより良好となる。また緩衝液のpHの範囲は特に制限されないが、夾雑タンパク質との分離および融合タンパク質の安定性等の観点から、5以上9以下の範囲が好ましく、6以上8以下の範囲がより好ましい。
ペプチドタグがポリカチオン性の場合は、陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。陽イオン交換樹脂のイオン交換基としては特に限定されるものではなく、スルフォプロピル(SP)、カルボキシメチル(CM)等を使用することができ、具体的にはSP Sepharose,CM Sepharose(以上GE Healthcare社)、SP-5PW,SP-NPR,CM-5PW,CM-STAT(以上、東ソー社)などが挙げられる。イオン交換基の担体としては、セルロース、デキストラン、アガロース、親水性ビニルポリマー等を用いることができる。陰イオン交換樹脂を用いる場合と同様に、溶出液の塩濃度を上昇させることによって、融合タンパク質を精製できるが、緩衝液の塩濃度は、夾雑タンパク質との分離および融合タンパク質の安定性等の観点から、50mM以上、2000mM以下の範囲とすることが好ましく、50mM以上、1000mM以下の範囲がより好ましい。また緩衝液のpHの範囲は特に制限されないが、夾雑タンパク質との分離および融合タンパク質の安定性等の観点から、5以上9以下の範囲が好ましく、6以上8以下の範囲がより好ましい。
図1は本発明の一実施形態を示す模式図であり、(a)は夾雑タンパク質除去工程、(b)はペプチドタグ切断工程、(c)は標的タンパク質取得工程を示す。この図に基づき本実施形態の精製方法の原理を説明する。宿主細胞に融合タンパク質を発現させた場合、細胞破砕液などの試料溶液中には、融合タンパク質20のほか、宿主由来の内在性タンパク質などの夾雑タンパク質21A〜21Fが含まれる。夾雑タンパク質21はA〜Fの順に等電点が高い。この実施形態では、標的タンパク質20aにポリアニオン性ペプチドタグ20bを結合させており、これにより融合タンパク質20の等電点が低下する。等電点が低下した融合タンパク20は、陰イオン交換樹脂10に高塩濃度まで保持できる。一方、宿主由来の夾雑タンパク質のほとんどは同程度の塩濃度まで陰イオン交換樹脂10に保持できない。このような等電点の差異に基づき融合タンパク質と夾雑タンパク質とを分離する。具体的には、試料を陰イオン交換樹脂10に接触させると、等電点の高い夾雑タンパク質21Aは陰イオン交換樹脂に結合することなく通過する。それ以外の夾雑タンパク質と融合タンパク質20は陰イオン樹脂20に結合する。溶出液の塩濃度を上昇させていくと、等電点が高い夾雑タンパク質から順に溶出する(21B〜D)。融合タンパク質20は、さらに高塩濃度の溶出液によって溶出する。この溶出画分には融合タンパク質20と等電点が近い夾雑タンパク質21Eおよび21Fが含まれる。このように溶出液の塩濃度を調整することにより、多くの夾雑タンパク質を分離できるため、高純度の融合タンパク質を得ることができる。また融合タンパク質と夾雑タンパク質との間の等電点の差異が相対的に大きいことから、段階的に塩濃度を変化させてタンパク質を溶出させるステップワイズ法によっても良好な分離が得られる(図1(a))。
融合タンパク質20は、標的タンパク質20aとペプチドタグ20bの間に、タンパク質分解酵素22が認識する切断サイト20cを含む。ペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素22には、タンパク質分解酵素20aにペプチドタグ22bが結合している。溶液中で融合タンパク質20とタンパク質分解酵素22を反応させると、融合タンパク質20からペプチドタグ20bが切断される(図1(b))。反応後の溶液には、標的タンパク質20a、切断されたペプチドタグ20b、ペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素22および夾雑タンパク質除去工程で残存した夾雑タンパク質21E、21Fが含まれる。等電点の低いペプチドタグ20bが切断されるため、標的タンパク質20aは融合タンパク質20と比較して等電点が高くなる。また夾雑タンパク質21Eおよび21Fは、融合タンパク質20と比較的等電点が近いものであるため、標的タンパク質20aはこれらよりも等電点が高くなる。さらに標的タンパク質20aは、切断されたペプチドタグ20bおよびペプチドタグ22bを融合したタンパク質分解酵素22よりも等電点が高くなる。そのため、この溶液を希釈して塩濃度を低下させ、陰イオン交換樹脂10に通過させると、切断されたペプチドタグ20b、ペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素22および夾雑タンパク質21E、21Fは陰イオン交換樹脂10に結合するが、標的タンパク質20aは結合することなく通過する。この通過画分を採取することによって、高純度の標的タンパク質20aを取得できる(図1(c))。
以下、本発明についてさらに実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。
実施例1
[融合タンパク質DE12-HRV3Csite-NQ01(コンストラクト1;pI=5.84)の発現および精製]
標的タンパクであるNAD(P)H dehydrogenase, quinone 1 human(NQO1;pI=8.91)のN末端側にペプチドタグ1(DE12)が融合し、NQ01とDE12の間にタンパク質分解酵素HRV3Cが認識する切断サイトHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
(1)pM01_DE12ベクターの構築
ペプチドタグDE12をpM01ベクターに挿入したベクターpM01_DE12を構築した。
DE12をコードするポリヌクレオチド(配列番号25および26)をペアでアニーリングし、インサート部分を調製した。pM01ベクター(シスメックス社)のNheIサイトをNheI(タカラバイオ社)で処理し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clone tech社)を用いてインサート部分を挿入した。構築したベクターでStellar Competent Cellsを形質転換した後、LBAプレートに播種し、37℃下で16hr培養した。この形質転換体から定法に従いアンピシリン耐性形質転換体を選抜し、プラスミドの精製を行った。選抜したクローンの塩基配列を確認するため、シーケンス確認用プライマー1(配列番号27)およびプライマー2(配列番号28)を用いて、Big Dye Terminator v3.1(Thermo Scientific社)にてPCR反応させた後、DNAシーケンサー(Thermo Scientific社)で解析した。インサート部分が導入され、その他の部分に変異のないベクターをpM01_DE12とした。
(2)pM01_DE12_HRV3Csite_NQO1の構築
NQO1(配列番号9)をコードするポリヌクレオチド(配列番号29)をpM01_DE12に挿入した発現ベクターpM01_DE12_HRV3Csite_NQO1を構築した。
インサート部分は、NQO1をコードするポリヌクレオチドとインサート部分に対応したプライマー3F(配列番号30)および3R(配列番号31)を準備し、PCR酵素としてKOD -Plus-(東洋紡社)を用いて、下記PCR条件にて増幅した。増幅したPCR産物を1.0%(w/v)アガロース電気泳動にて泳動し、インサート部分の長さに一致する部分をゲルから切り出し精製してインサート部分を調製した。pM01_DE12ベクターのSmaIサイトをSmaI(タカラバイオ社)で処理し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clone tech社)を用いてインサート部分を挿入した。構築したベクターでStellar Competent Cells(Clone tech社)を形質転換した後、LBAプレートに播種した。37℃下で16hr培養し、この形質転換体から定法に従いアンピシリン耐性形質転換体を選抜し、プラスミドの精製を行った。選抜したクローンの塩基配列を確認するため、シーケンス確認用のプライマー1および2を用いて、Big Dye Terminator v3.1(Thermo Scientific社)にてPCR反応させた後、DNAシーケンサー(Thermo Scientific社)で解析した。インサート部分が導入され、その他の部分に変異のないベクターをpM01_DE12_HRV3Csite_NQO1とした。
<PCR条件>
反応1:94.0℃、2分
反応2:94.0℃、15秒
反応3:52.0℃、30秒
反応4:68.0℃、1kbpにつき1分
反応5:反応2〜反応4を30回繰り返す
(3)組換えバキュロウイルスの作製および融合タンパク質DE12-HRV3Csite-NQO1の発現
カイコ培養細胞(BmN細胞)に、pM01_DE12_HRV3Csite_NQO1とバキュロウイルスDNAを導入し、ウイルスの相同組換えを行った。この培養細胞を6日間培養し、組み換えウイルスを回収後、MilliQ水で50倍希釈したウイルス溶液をカイコの蛹に接種し、6日間インキュベートした。
(4)DE12-HRV3Csite-NQO1の精製
インキュベート後、カイコの蛹を回収し、1頭あたり50 mL の緩衝液(20 mM Tris-HCl (pH 8.0), 150 mM NaCl, 1tablet Complete EDTA free (Roche), phenyltiourea)を加えホモジネートし、溶液を遠心(8,000g 、10分)後、上清画分を0.8uMのろ剤でろ過し、ろ液を回収した。回収したろ液をイオン交換樹脂(Hitrap Q HP (1 mL))にロードし、20mM Tris-HCl (pH 8.0, 150mM NaCl;緩衝液A)と20mM Tris-HCl (pH 8.0, 1000mM NaCl;緩衝液B)を混合した溶液を用いて精製した。まず緩衝液Aのみ(NaCl濃度150mM)でイオン交換樹脂を流し(EL0)、緩衝液A:緩衝液Bの3:1混合溶液(NaCl濃度363mM)で溶出(EL1)、緩衝液A:緩衝液Bの1:1混合溶液(NaCl濃度575mM)で溶出(EL2)、緩衝液A:緩衝液 Bの1:3混合溶液(NaCl濃度788mM)で溶出(EL3)、最後に緩衝液 Bのみ(NaCl濃度1000mM)で溶出(EL4)した画分を各々回収した。
(5)DE12-HRV3Csite-NQO1の検出
SDS(Sodium dodecyl sulfate)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)は5-20%グラジエントゲルおよび泳動装置(アプロサイエンス社)を用いて実施した。サンプルとトリスSDS β-MEサンプル処理液(コスモ・バイオ社)と1:1容量比で混合し、100℃下、3分で処理した後、5uLをゲルにロードした。分子量マーカーとして、ブルースター(日本ジェネティクス社)を2.5uLゲルにロードした。サンプルをロードしたゲルを電圧400Vで14分泳動した後、トランスブロット Turbo ブロッティングシステム(BIO-RAD社)を用いてメンブレンに転写した。転写したメンブレンをi-Bindシステム(Thermo Fisher Scientific社)にセットし、抗原抗体反応を実施した。抗原抗体反応には、ANTI-FLAG(登録商標) M2-Peroxidase (HRP)抗体(メルク社)またはAnti-NQO1抗体(Cell signaling社とAnti-IgG (H+L chain) (Mouse) pAb-HRP(Beckman社)とを2000倍希釈して使用し、検出のHRP試薬はLuminata Forte(メルク社)、検出機はGel Doc XR+ システム(BIO-RAD社)を用いた。
ウェスタンブロットを実施した後、用いたメンブレンをGelCode Blue Stain Reagent(Thermo Fisher Scientific社)で染色し、余分な染色を脱色した後、Gel Doc XR+ システム(BIO-RAD社)を用いて画像を撮影した。結果を図2に示す。図2において、Mは分子量マーカー、レーン1はホモジネート溶液、レーン2は遠心後の上清画分、レーン3は遠心後の沈殿画分、レーン4からレーン7は、イオン交換樹脂の通過画分1〜4、レーン8は緩衝液A(NaCl濃度150mMによる溶出画分(EL0)、レーン9は緩衝液A:緩衝液Bの3:1混合溶液(NaCl濃度363mM)による溶出画分(EL1)、レーン10は、緩衝液A:緩衝液Bの1:1混合溶液(NaCl濃度575mM)による溶出画分(EL2)、レーン11は、緩衝液A:緩衝液Bの1:3混合溶液(NaCl濃度788mM)による溶液画分(EL3)、レーン12は緩衝液B(NaCl濃度1000mM)による溶出画分(EL4)の泳動結果である。破線で囲まれた部分が標的タンパク質を含むバンドを示す。各レーンの説明は図3〜15において共通である。
実施例2
[融合タンパク質DE18-HRV3Csite-NQO1(コンストラクト2;pI=5.03)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のN末端側にペプチドタグ2(DE18)が融合し、NQ01とDE18の間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
ペプチドタグDE12をコードするポリヌクレオチドに代えてDE18(配列番号2)をコードするポリヌクレオチド(配列番号32および33)用いてインサート部分を調製した以外は実施例1と同様にしてpM01_DE18ベクターを構築した。
さらに実施例1と同様にして、pM01_DE18_HRV3Csite_NQO1を構築し、組換えバキュロウイルスを作製した後、融合タンパク質DE18-HRV3Csite-NQO1の発現、精製および検出を行った。結果を図3に示す。
実施例3
[融合タンパク質DE24-HRV3Csite-NQO1(コンストラクト3;pI=4.78)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のN末端側にペプチドタグ3(DE24)が融合し、NQ01とDE24の間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
(1)pM01_DE24ベクターの構築
ペプチドタグDE24をコードするポリヌクレオチドをpM01ベクターに挿入したベクターpM01_DE24を以下のようにして構築した。
ペプチドタグ6(DED;配列番号6)をコードするポリヌクレオチド(配列番号34)とインサート部分に対応したプライマー4F(配列番号35)および4R(配列番号36)を準備し、PCR酵素としてKOD -Plus-(東洋紡社)を用いて、実施例1と同一のPCR条件にて増幅した。増幅したPCR産物を1.0%(w/v)アガロース電気泳動にて泳動し、インサート部分の長さに一致する部分をゲルから切り出し、精製してインサート部分を調製した。pM01ベクター(シスメックス社)のSmaIサイトをSmaI(タカラバイオ社)で処理し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clone tech社)を用いてインサート部分を挿入した。構築したベクターでStellar Competent Cells(Clone tech社)を形質転換した後、LBAプレートに播種した。37℃下で16hr培養し、この形質転換体から定法に従いアンピシリン耐性形質転換体を選抜し、プラスミドの精製を行った。選抜したクローンの塩基配列を確認するため、シーケンス確認用のプライマー1および2を用いて、Big Dye Terminator v3.1(Thermo Scientific社)にてPCR反応させた後、DNAシーケンサー(Thermo Scientific社)で解析した。インサート部分が導入され、その他の部分に変異のないベクターをpM01_DE24とした。
(2)実施例1と同様にして、pM01_DE24_HRV3Csite_NQO1を構築し、組換えバキュロウイルスを作製した後、融合タンパク質DE24-HRV3Csite-NQO1の発現、精製および検出を行った。結果を図4に示す。
実施例4
[融合タンパク質DE30-HRV3Csite-NQO1(コンストラクト4;pI=4.61)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のN末端側にペプチドタグ4(DE30)が融合し、NQ01とDE30の間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
ペプチドタグDE12をコードするポリヌクレオチドに代えてDE30(配列番号4)をコードするポリヌクレオチド(配列番号37および38)を用いてインサート部分を調製した以外は実施例1と同様にしてpM01_DE30ベクターを構築した。
さらに実施例1と同様にして、pM01_DE30_HRV3Csite_NQO1を構築し、組換えバキュロウイルスを作製した後、融合タンパク質DE30-HRV3Csite-NQO1の発現、精製および検出を行った。結果を図5に示す。
実施例5
[融合タンパク質DE36-HRV3Csite-NQO1(コンストラクト5;pI=4.49)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のN末端側にペプチドタグ5(DE36)が融合し、NQ01とDE36の間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
ペプチドタグDE12をコードするポリヌクレオチドに代えてDE36(配列番号5)をコードするポリヌクレオチド(配列番号39および40)を用いてインサート部分を調製した以外は実施例1と同様にしてpM01_DE36ベクターを構築した。
さらに実施例1と同様にして、pM01_DE36_HRV3Csite_NQO1を構築し、組換えバキュロウイルスを作製した後、融合タンパク質DE36-HRV3Csite-NQO1の発現、精製および検出を行った。結果を図6に示す。
実施例6
[融合タンパク質DED-HRV3Csite-NQO1(コンストラクト6;pI=4.26)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のN末端側にペプチドタグ6(DED)が融合し、NQ01とDEDの間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
(1)pHS01_DEDベクターの構築
ペプチドタグDED(配列番号6)をpHS01ベクターに挿入したベクターpHS01_DEDを以下のようにして構築した。
ペプチドタグDEDをコードするポリヌクレオチド(配列番号34)とインサート部分に対応したプライマー5F(配列番号41)および5R(配列番号42)を準備し、PCR酵素としてKOD -Plus-(東洋紡社)を用いて、実施例1と同一のPCR条件にて増幅した。増幅したPCR産物を1.0%(w/v)アガロース電気泳動にて泳動し、インサート部分の長さに一致する部分をゲルから切り出し、精製してインサート部分を調製した。pHS01ベクター(シスメックス社)のNheIサイトをNheI(タカラバイオ社)で処理し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clone tech社)を用いてインサート部分を挿入した。構築したベクターでStellar Competent Cellsを形質転換した後、LBAプレートに播種した。37℃下で16hr培養し、この形質転換体から定法に従いアンピシリン耐性形質転換体を選抜し、プラスミドの精製を行った。選抜したクローンの塩基配列を確認するため、シーケンス確認用のプライマー1および2を用いて、Big Dye Terminator v3.1(Thermo Scientific社)にてPCR反応させた後、DNAシーケンサー(Thermo Scientific社)で解析した。インサート部分が導入され、その他の部分に変異のないベクターをpHS01_DEDとした。
(2)実施例1と同様にしてHS01_DED_HRV3Csite_NQO1を構築し、組換えバキュロウイルスを作製した後、融合タンパク質DED-HRV3Csite-NQO1の発現、精製および検出を行った。結果を図7に示す。
実施例7
[融合タンパク質DES-HRV3Csite-NQO1(コンストラクト7;pI=4.55)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のN末端側にペプチドタグ7(DES)が融合し、NQ01とDESの間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
インサート部分に対応したプライマーとして、プライマー6F(配列番号43)および6R(配列番号44)を用いた以外は実施例6と同様にして、pHS01_DESを構築した。
実施例1と同様にしてpHS01_DES_HRV3Csite_NQO1を構築し、組換えバキュロウイルスを作製した後、融合タンパク質DES-HRV3Csite-NQO1の発現、精製および検出を行った。結果を図8に示す。
実施例8
[融合タンパク質EO24-HRV3Csite-NQO1(コンストラクト8;pI=4.73)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のN末端側にペプチドタグ8(EO24)が融合し、NQ01とEO24の間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
(1)pHS01_EO24の構築
ペプチドタグEO24をコードするポリヌクレオチド(配列番号45および46)をペアでアニーリングし、インサート部分を調製した。pHS01ベクター(シスメックス社)のNheIサイトをNheI(タカラバイオ社)で処理し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clone tech社)を用いてインサート部分を挿入した。構築したベクターでStellar Competent Cells(Clone tech社)を形質転換した後、LBAプレートに播種した。37℃下で16hr培養し、この形質転換体から定法に従いアンピシリン耐性形質転換体を選抜し、プラスミドの精製を行った。選抜したクローンの塩基配列を確認するため、シーケンス確認用のプライマー1および2を用いて、Big Dye Terminator v3.1(Thermo Scientific社)にてPCR反応させた後、DNAシーケンサー(Thermo Scientific社)で解析した。インサート部分が導入され、その他の部分に変異のないベクターをpHS01_EO24とした。
(2)実施例1と同様にしてpHS01_EO24_HRV3Csite_NQO1を構築し、組換えバキュロウイルスを作製した後、融合タンパク質EO24-HRV3Csite-NQO1の発現、精製および検出を行った。結果を図9に示す。
実施例9
[融合タンパク質NQO1-HRV3Csite-DED(コンストラクト9;pI=4.26)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のC末端側にペプチドタグDEDが融合し、NQ01とDEDの間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
(1)pHS02_DEDベクターの構築
ペプチドタグDEDをコードするポリペプチドをpHS02ベクターに挿入したベクターpHS02_DE12を以下のようにして構築した。
ペプチドタグDEDをコードするポリヌクレオチド(配列番号34)とインサート部分に対応したプライマー7F(配列番号47)および7R(配列番号48)を準備し、PCR酵素としてKOD -Plus-(東洋紡社)を用いて、実施例1と同一のPCR条件にて増幅した。増幅したPCR産物を1.0%(w/v)アガロース電気泳動にて泳動し、インサート部分の長さに一致する部分をゲルから切り出し、精製してインサート部分を調製した。pHS02ベクター(シスメックス社)のNheIサイトをNheI(タカラバイオ社)で処理し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clone tech社)を用いてインサート部分を挿入した。構築したベクターでStellar Competent Cells(Clone tech社)を形質転換した後、LBAプレートに播種した。37℃下で16hr培養し、この形質転換体から定法に従いアンピシリン耐性形質転換体を選抜し、プラスミドの精製を行った。選抜したクローンの塩基配列を確認するため、シーケンス確認用のプライマー1および2を用いて、Big Dye Terminator v3.1(Thermo Scientific社)にてPCR反応させた後、DNAシーケンサー(Thermo Scientific社)で解析した。インサート部分が導入され、その他の部分に変異のないベクターをpHS02_DEDとした。
(2)インサート部分に対応したプライマーとして、プライマー8F(配列番号49)および8R(配列番号50)を用いた以外は実施例1と同様にしてpHS02_NQ01_HRV3Csite_DEDを構築した。
(3)さらに実施例1と同様にして組換えバキュロウイルスを作製し、融合タンパク質NQO1-HRV3Csite-DEDの発現、精製および検出を行った。結果を図10に示す。
実施例10
[融合タンパク質NQO1-HRV3Csite-DES(コンストラクト10;pI=4.55)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のC末端側にペプチドタグDESが融合し、NQ01とDESの間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
(1)プライマーとして、9F(配列番号51)および9R(配列番号52)を用いた以外は実施例9と同様にして、pHS02_DESを構築した。
(2)実施例9と同様にしてpHS01_NQO1_HRV3Csite_DESを構築した。
(3)実施例1と同様にして組換えバキュロウイルスを作製し、融合タンパク質NQO1-HRV3Csite-DESの発現、精製および検出を行った。結果を図11に示す。
実施例11
[融合タンパク質DED-HRV3Csite-Luciferase(コンストラクト11;pI=4.47)の発現および精製]
(1)pHS01_DEDベクターの構築
実施例6と同様にしてpHS01_DEDを構築した。
(2)pHS01_DED_HRV3Csite_Luciferaseの構築
Luciferaseをコードするポリヌクレオチド(配列番号53)とインサート部分に対応したプライマー10F(配列番号54)および10R(配列番号55)を準備し、PCR酵素としてKOD -Plus-(東洋紡社)を用いて、実施例1と同一のPCR条件にて増幅した。増幅したPCR産物を1.0%(w/v)アガロース電気泳動にて泳動し、インサート部分の長さに一致する部分をゲルから切り出し、精製してインサート部分を調製した。pHS01_DEDベクターのSmaIサイトをSmaI(タカラバイオ社)で処理し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clone tech社)を用いてインサート部分を挿入した。構築したベクターでStellar Competent Cells(Clone tech社)を形質転換した後、LBAプレートに播種した。37℃下で16hr培養し、この形質転換体から定法に従いアンピシリン耐性形質転換体を選抜し、プラスミドの精製を行った。選抜したクローンの塩基配列を確認するため、シーケンス確認用のプライマー1および2を用いて、Big Dye Terminator v3.1(Thermo Scientific社)にてPCR反応させた後、DNAシーケンサー(Thermo Scientific社)で解析した。インサート部分が導入され、その他の部分に変異のないベクターをpHS01_DED_HRV3Csite_Luciferaseとした。
(3)実施例1と同様にして組換えバキュロウイルスを作製し、融合タンパク質DED-HRV3Csite-Luciferaseの発現、精製および検出を行った。結果を図12に示す。
実施例12
[融合タンパク質DES-HRV3Csite-Luciferase(コンストラクト12;pI=4.75)の発現および精製]
pHS01_DEDベクターに代えて実施例7で構築したpHS01_DESベクターを用いた以外は実施例11と同様にしてpHS02_DES_HRV3Csite_Luciferaseを構築した。
実施例1と同様にして、組換えバキュロウイルスを作製し、融合タンパク質DES-HRV3Csite-Luciferaseの発現、精製および検出を行った。結果を図13に示す。
実施例13
[融合タンパク質DED-HRV3C(コンストラクト13;pI=4.75)の発現および精製]
(1)pET17b_DED_HRV3Cの構築
ペプチドタグDEDをコードするポリヌクレオチド(配列番号34)とHRV3Cをコードするポリヌクレオチド(配列番号56)とインサート部分に対応したプライマー11Fおよび11R(配列番号57および58;DED)並びにプライマー12Fおよび12R(配列番号59および60;HRV3C)を準備し、PCR酵素としてKOD -Plus-(東洋紡社)を用いて、実施例1と同一のPCR条件にて増幅した。増幅したPCR産物を1.0%(w/v)アガロース電気泳動にて泳動し、インサート部分の長さに一致する部分をゲルから切り出し、精製してインサート部分を調製した。pHS01ベクター(シスメックス社)のSmaIサイトとNheIサイトをSmaI(タカラバイオ社)とNheI(タカラバイオ社)で処理し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clone tech社)を用いて2つのインサート部分を挿入した。構築したベクターでStellar Competent Cells(Clone tech社)を形質転換した後、LBAプレートに播種した。37℃下で16hr培養し、この形質転換体から定法に従いアンピシリン耐性形質転換体を選抜し、プラスミドの精製を行った。選抜したクローンの塩基配列を確認するため、シーケンス確認用のプライマー1および2を用いて、Big Dye Terminator v3.1(Thermo Scientific社)にてPCR反応させた後、DNAシーケンサー(Thermo Scientific社)で解析した。インサート部分が導入され、その他の部分に変異のないベクターをpHS01_DED_HRV3Cとした。
次にpET17b用のインサートを調製した。pHS01_DED_HRV3Cを鋳型として、プライマー13F(配列番号61)および13R(配列番号62)を準備し、PCR酵素としてKOD -Plus-(東洋紡社)を用いて、実施例1と同一のPCR条件にて増幅した。増幅したPCR産物を1.0%(w/v)アガロース電気泳動にて泳動し、インサート部分の長さに一致する部分をゲルから切り出し、精製してインサート部分を調製した。pET17bベクター(Novagene社)のNdeIサイトをNdeI(タカラバイオ社)で処理し、In-Fusion HD Cloning Kit(Clone tech社)を用いてインサート部分を挿入した。構築したベクターでStellar Competent Cells(Clone tech社)を形質転換した後、LBAプレートに播種した。37℃下で16hr培養し、この形質転換体から定法に従いアンピシリン耐性形質転換体を選抜し、プラスミドの精製を行った。選抜したクローンの塩基配列を確認するため、シーケンス確認用のプライマー14(配列番号63)および15(配列番号64)を用いて、Big Dye Terminator v3.1(Thermo Scientific社)にてPCR反応させた後、DNAシーケンサー(Thermo Scientific社)で解析した。インサート部分が導入され、その他の部分に変異のないベクターをpET17b_DED_HRV3Cとした。
(2)DED-HRV3Cの発現および精製
pET17b_DED_HRV3Cを用いて大腸菌を形質転換し、アンピシリンを含む1.5LのLB培地を37℃で培養し、濁度OD=0.6付近で15℃に冷却後、IPTGを添加してタンパク質の発現を誘導した。16時間後、遠心(8,000g 15分)で集菌し、-80℃下で凍結した。凍結した大腸菌に緩衝液(20 mM Tris-HCl (pH 8.0), 150 mM NaCl, 1tablet Complete EDTA free (Roche)を120 mL添加し、超音波にて破砕した。破砕した溶液を遠心(15,000g×30分)後、上清画分を0.8uMのろ剤でろ過し、ろ液を回収した。ろ液をイオン交換樹脂(Hitrap Q HP (1 mL))にロードし、20mM Tris-HCl (pH 8.0, 150mM NaCl;緩衝液A)と20mM Tris-HCl (pH 8.0, 1000mM NaCl;緩衝液B)を混合した溶液を用いて精製した。まず緩衝液Aのみ(NaCl濃度150mM)でイオン交換樹脂を流し(EL0)、緩衝液A:緩衝液Bの3:1混合溶液(NaCl濃度363mM)で溶出(EL1)、緩衝液A:緩衝液Bの1:1混合溶液(NaCl濃度575mM)で溶出(EL2)、緩衝液A:緩衝液Bの1:3混合溶液(NaCl濃度788mM)で溶出(EL3)、最後に緩衝液Bのみ(NaCl濃度1000mM)で溶出(EL4)した画分を各々回収した。
(3)実施例1と同様にして融合タンパク質を検出した。結果を図14に示す。図14において、Mは分子量マーカー、レーン1はホモジネート溶液、レーン2は遠心後の上清画分、レーン3は遠心後の沈殿画分、レーン4からレーン7は、イオン交換樹脂の通過画分1〜4であり、レーン8は緩衝液A(NaCl濃度150mM)による溶出画分(EL0)、レーン9は緩衝液A:緩衝液Bの3:1混合溶液(NaCl濃度363mM)による溶出画分(EL1)、レーン10は、緩衝液A:緩衝液Bの1:1混合溶液(NaCl濃度575mM)による溶出画分(EL2)、レーン11は、緩衝液A:緩衝液Bの1:3混合溶液(NaCl濃度788mM)による溶液画分(EL3)、レーン12は緩衝液B(NaCl濃度1000mM)による溶出画分(EL4)の泳動結果である。
比較例1
[融合タンパク質DE6-HRV3Csite-NQO1(pI=6.4)の発現および精製]
標的タンパクであるNQO1のN末端側にペプチドタグDE6が融合し、NQ01とDE6の間にHRV3Csiteを含む融合タンパク質の発現および精製を行った。
ペプチドタグDE12をコードするポリヌクレオチドに代えてDE6(EEEDDD;配列番号65)をコードするポリヌクレオチド(配列番号66および67)を用いてインサート部分を調製した以外は実施例1と同様にしてpM01_DE6ベクターを構築した。
さらに実施例1と同様にしてpM01_DE6_HRV3Csite_NQO1を構築し、組換えバキュロウイルスを作製した後、融合タンパク質DE6-HRV3Csite-NQO1の発現、精製および検出を行った。結果を図15に示す。
(実施例1〜13および比較例1の結果について)
比較例1(DE6-HRV3Csite-NQO1、pI=6.4)では、あらゆる画分に融合タンパク質が含まれており分離が不十分であった。これに対し、実施例1〜13ではいずれも良好な分離を示した。特に酸性アミノ酸残基が18残基以上のペプチドタグを結合した融合タンパク質は、500mM以上の高塩濃度までイオン交換樹脂に保持され、夾雑タンパク質との分離がより良好となった(実施例2〜13)。また3種の標的タンパク質のいずれにおいても、良好な分離が得られた(実施例6〜7、11〜13)。またペプチドタグは、酸性アミノ酸残基としてアスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基を両方含むものでも、いずれか一方のみを含むものでも同等に良好な分離を示した(実施例3、8)。ペプチドタグの結合位置が標的タンパク質のN末端側またはC末端側のいずれであっても、分離は良好であった(実施例6〜7、9〜10)。
実施例14
[融合タンパク質DE12-HRV3Csite-NQ01から標的タンパク質NQ01の分離および検出]
DE12-HRV3Csite-NQ01にタンパク質分解酵素DED-HRV3Cを反応させて、DE12-HRV3Csite-NQ01からDE12を切断した。
実施例1で回収した画分EL2に、その10分の1容量の実施例13で回収した画分EL3を混合し、4℃下で静置した。16時間後この反応溶液に20 mM Tris-HCl (pH 8.0)を添加してNaCl濃度 約250 mMに希釈し、20 mM Tris-HCl (pH 8.0), 150 mM NaClで平衡化したイオン交換樹脂(Hitrap Q HP (1mL))にロードした。通過画分を回収(Fr. 1-6(NaCl濃度 約250 mM))し、最後に緩衝液Bのみ(NaCl濃度1000mM)で溶出(Fr. 7-10)した画分を各々回収した。
SDS-PAGEは5-20%グラジエントゲルおよび泳動装置(アプロサイエンス社)を用いて実施した。回収した各画分をトリスSDS β-MEサンプル処理液(コスモ・バイオ社)と1:1容量で混合し、100℃下、3分で処理した後、5uLをゲルにロードした。分子量マーカーとして、ブルースター(日本ジェネティクス社)を2.5uLゲルにロードした。サンプルをロードしたゲルを電圧400Vで14分泳動した後、GelCode Blue Stain Reagent(Thermo Fisher Scientific社)で染色し、余分な染色を脱色した後、Gel Doc XR+ システム(BIO-RAD社)を用いて画像を撮影した。結果を図16に示す。図16において、Mは分子量マーカー、レーン1はEL2(実施例1,8)またはEL3(実施例2〜7、11〜12)、レーン2は実施例13のEL3、レーン3は実施例1〜12のEL2またはEL3と、実施例13のEL3との混合反応液、レーン4からレーン8は、イオン交換樹脂の通過画分1〜5であり、レーン9〜13は緩衝液Bによる溶出画分1〜5の泳動結果である。各レーンの説明は図17〜25において共通である。
実施例15
実施例1のEL2に代えて実施例2のEL2を用いた以外は、実施例14と同様にして標的タンパク質NQO1を検出した。結果を図17に示す。
実施例16
実施例1のEL2に代えて実施例3のEL3を用いた以外は、実施例14と同様にして標的タンパク質NQO1を検出した。結果を図18に示す。
実施例17
実施例1のEL2に代えて実施例4のEL3を用いた以外は、実施例14と同様にして標的タンパク質NQO1を検出した。結果を図19に示す。
実施例18
実施例1のEL2に代えて実施例5のEL3を用いた以外は、実施例14と同様にして標的タンパク質NQ01を検出した。結果を図20に示す。
実施例19
実施例1のEL2に代えて実施例6のEL3を用いた以外は、実施例14と同様にして標的タンパク質NQ01を検出した。結果を図21に示す。
実施例20
実施例1のEL2に代えて実施例7のEL3を用いた以外は、実施例14と同様にして標的タンパク質NQ01を検出した。結果を図22に示す。
実施例21
実施例1のEL2に代えて実施例8のEL2を用いた以外は、実施例14と同様にして標的タンパク質NQ01を検出した。結果を図23に示す。
実施例22
実施例1のEL2に代えて実施例11のEL3を用いた以外は、実施例14と同様にして標的タンパク質Luciferaseを検出した。結果を図24に示す。
実施例23
実施例1のEL2に代えて実施例12のEL3を用いた以外は、実施例14と同様にして標的タンパク質Luciferaseを検出した。結果を図25に示す。
(実施例14〜23の結果について)
実施例14〜23の結果から、融合タンパク質にタンパク質分解酵素を作用させることにより、陰イオン樹脂の通過画分中に標的タンパク質NQ01またはLuciferaseを取得できることが示された。
実施例24
[緩衝液のpHによる分離に対する影響の評価]
実施例6と同様にして、pHS01_DED_HRV3Csite_NQO1を構築した。
カイコ培養細胞(BmN細胞)に、pHS01_DED_HRV3Csite_NQO1とバキュロウイルスDNAを導入し、ウイルスの相同組換えを行った。この培養細胞を6日間培養し、組み換えウイルスを回収後、MilliQ水で50倍希釈したウイルス溶液をカイコの蛹に接種し、6日間インキュベートした。カイコの蛹を回収し、1頭あたり50 mL の緩衝液(20 mM PIPES (pH6.1), 150 mM NaCl, 1tablet Complete EDTA free (Roche), phenyltiourea)を加えホモジネートし、その溶液を遠心(8,000g 、10分)後、上清画分を0.8uMのろ剤でろ過し、ろ液を回収した。ろ液をイオン交換樹脂(Hitrap Q HP (1 mL))にロードし、20 mM PIPES (pH6.1, 150mM NaCl ;緩衝液C)と20 mM PIPES (pH6.1, 1000mM NaCl;緩衝液D)を混合した溶液を用いて精製した。まず緩衝液Cのみ(NaCl濃度150mM)でイオン交換樹脂を流し(EL0)し、緩衝液C:緩衝液Dの混合比3:1(NaCl濃度363mM)の溶液で溶出(EL1)、緩衝液C:緩衝液Dの混合比1:1(NaCl濃度575mM)の溶液で溶出(EL2)、緩衝液C:緩衝液Dの混合比1:3(NaCl濃度788mM)の溶液で溶出(EL3)、最後に緩衝液Dのみ(NaCl濃度1000mM)で溶出(EL4)した画分を各々回収した。
実施例1と同様にしてDED-HRV3Csite-NQO1を検出した。結果を図26に示す。図26においてMは分子量マーカー、レーン1はホモジネート溶液、レーン2は遠心後の上清画分、レーン3は遠心後の沈殿画分、レーン4からレーン7は、イオン交換樹脂の通過画分1〜4、レーン8は緩衝液C(NaCl濃度150mM)による溶出画分(EL0)、レーン9は緩衝液C:緩衝液Dの3:1混合溶液(NaCl濃度363mM)による溶出画分(EL1)、レーン10は、緩衝液C:緩衝液Dの1:1混合溶液(NaCl濃度575mM)による溶出画分(EL2)、レーン11は、緩衝液C:緩衝液Dの1:3混合溶液(NaCl濃度788mM)による溶液画分(EL3)、レーン12は緩衝液D(NaCl濃度1000mM)による溶出画分(EL4)の泳動結果である。各レーンの説明は図27〜28において共通である。
実施例25
実施例7と同様にしてpHS01_DES_HRV3Csite_NQO1を構築した。
さらに実施例24と同様にしてDES-HRV3Csite-NQO1を発現、精製および検出した。結果を図27に示す。
実施例26
実施例11と同様にしてpHS01_DED_HRV3Csite_Luciferaseを構築した。
さらに実施例24と同様にしてDED-HRV3Csite-Luciferaseを発現、精製および検出した。結果を図28に示す。
実施例27
実施例7と同様にしてpHS01_DES_HRV3Csite_NQO1を構築した。
pHS01_DES_HRV3Csite_NQO1を用いて大腸菌を形質転換し、アンピシリンを含む1.5LのLB培地を37℃で培養し、濁度OD=0.6付近で15℃に冷却後、IPTGを添加してタンパク質の発現を誘導した。16時間後、遠心(8,000g 15分)で集菌し、-80℃下で凍結した。凍結した大腸菌に緩衝液(20 mM PIPES ( pH6.1), 150 mM NaCl, 1tablet Complete EDTA free (Roche))を120 mL添加し、超音波にて破砕した。破砕した溶液を遠心(15,000g×30分)後、上清画分を0.8uMのろ剤でろ過し、ろ液を回収した。ろ液をイオン交換樹脂(Hitrap Q HP (1 mL))にロードし、20 mM PIPES (pH6.1, 150mM NaCl;緩衝液C)と20 mM PIPES (pH6.1, 1000mM NaCl;緩衝液D)を混合した溶液を用いて精製した。まず緩衝液Cのみ(NaCl濃度150mM)でイオン交換樹脂を流し(EL0)、緩衝液C:緩衝液Dの3:1混合溶液(NaCl濃度363mM)で溶出(EL1)、緩衝液C:緩衝液Dの1:1混合溶液(NaCl濃度575mM)で溶出(EL2)、緩衝液C:緩衝液Dの1:3混合溶液(NaCl濃度788mM)で溶出(EL3)、最後に緩衝液Dのみ(NaCl濃度1000mM)で溶出(EL4)した画分を各々回収した。
実施例1と同様にしてDED-HRV3Csite-NQO1を検出した。結果を図29に示す。図29において、Mは分子量マーカー、レーン1はホモジネート溶液、レーン2は遠心後の上清画分、レーン3は遠心後の沈殿画分、レーン4からレーン7は、イオン交換樹脂の通過画分1〜4であり、レーン8は緩衝液C(NaCl濃度150mM)による溶出画分(EL0)、レーン9は緩衝液C:緩衝液Dの3:1混合溶液(NaCl濃度363mM)による溶出画分(EL1)、レーン10は、緩衝液C:緩衝液Dの1:1混合溶液(NaCl濃度575mM)による溶出画分(EL2)、レーン11は、緩衝液C:緩衝液Dの1:3混合溶液(NaCl濃度788mM)による溶液画分(EL3)、レーン12は緩衝液D(NaCl濃度1000mM;EL4)による溶出画分の泳動結果である。
実施例28
実施例24のEL3に、10分の1容量の実施例27のEL3を混合し、4℃下で静置した。16時間後、反応溶液に20 mM PIPES (pH6.1)を添加しNaCl濃度約250 mMに希釈し、20 mM PIPES (pH6.1, 150 mM NaCl)で平衡化したイオン交換樹脂(Hitrap Q HP (1mL))にロードした。通過画分を回収(Fr. 1-6(NaCl濃度 約250 mM))し、最後に緩衝液Dのみ(NaCl濃度1000mM)で溶出(Fr. 7-10)した画分を各々回収した。
実施例1と同様にして標的タンパク質EQ01を検出した。結果を図30に示す。図30において、Mは分子量マーカー、レーン1は実施例24のEL3、レーン2は実施例27のEL3、レーン3は実施例24のEL3と実施例27のEL3混合反応液、レーン4からレーン8は、イオン交換樹脂の通過画分1〜5であり、レーン9〜13は緩衝液Dによる溶出画分1〜5の泳動結果である。
(実施例24〜28の結果について)
実施例24〜28の結果から、融合タンパク質の発現・精製および標的タンパク質の精製において、緩衝液のpHを低くしても良好な分離が得られることが示された。
10 イオン交換樹脂
20 融合タンパク質
20a 標的タンパク質
20b ペプチドタグ
20c タンパク質分解酵素の切断サイト
21 夾雑タンパク質
22 ペプチドタグを融合したタンパク質分解酵素
22a タンパク質分解酵素
22b ペプチドタグ

Claims (11)

  1. ペプチドタグのアミノ酸配列、タンパク質分解酵素の切断サイトのアミノ酸配列および標的タンパク質のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と、タンパク質分解酵素とを溶液中で接触させ、前記融合タンパク質から前記ペプチドタグを切断する工程、ここで、前記溶液の塩濃度が600mM以上であり、および
    前記ペプチドタグと前記標的タンパク質と前記タンパク質分解酵素とを含む溶液を、前記溶液の塩濃度が100mM以上500mM以下となるよう希釈し、希釈された溶液を陰イオン交換樹脂と接触させ、前記標的タンパク質と前記ペプチドタグとを分離することにより、前記標的タンパク質を含む溶液を取得する工程を含み、
    前記融合タンパク質において、前記タンパク質分解酵素の切断サイトのアミノ酸配列は、前記ペプチドタグのアミノ酸配列と前記標的タンパク質のアミノ酸配列との間にあり、
    前記ペプチドタグが、ポリアニオン性であ
    前記ペプチドタグのアミノ酸配列、タンパク質分解酵素の切断サイトのアミノ酸配列および標的タンパク質のアミノ酸配列を含む融合タンパク質の等電点が5未満であり、
    前記標的タンパク質の等電点が5より高く、
    前記タンパク質分解酵素が、前記ペプチドタグを融合されており、前記ペプチドタグと融合したタンパク質分解酵素の等電点が前記陰イオン交換樹脂と結合する等電点であり、前記タンパク質分解酵素の切断サイトのアミノ酸配列を有さない、
    標的タンパク質の精製方法。
  2. 前記ポリアニオン性ペプチドタグが、2以上の酸性アミノ酸残基を含む請求項1記載の標的タンパク質の精製方法。
  3. 前記ポリアニオン性ペプチドタグが、配列番号1〜8のいずれかのアミノ酸配列を含む請求項1または2記載の標的タンパク質の精製方法。
  4. 前記融合タンパク質から前記ポリアニオン性ペプチドタグを分離することにより、前記融合タンパク質の等電点と前記標的タンパク質の等電点との間に差違が生じ、
    前記等電点の差違に基づいて、前記イオン交換樹脂により前記標的タンパク質を含む溶液を分離する請求項1〜3のいずれかの項記載の標的タンパク質の精製方法。
  5. 前記標的タンパク質を含む溶液の取得工程において、
    前記ポリアニオン性ペプチドタグと前記標的タンパク質と前記タンパク質分解酵素とを含む溶液を前記陰イオン交換樹脂に通過させ、
    前記陰イオン交換樹脂に前記ポリアニオン性ペプチドタグと前記タンパク質分解酵素を結合させ、
    前記陰イオン交換樹脂に結合しなかった前記標的タンパク質を含む通過画分を取得する、請求項1〜4のいずれかの項記載の標的タンパク質の精製方法。
  6. 夾雑タンパク質を除去する工程を前記融合タンパク質から前記ポリアニオン性ペプチドタグを分離する工程
    の前に含む、請求項1〜5のいずれかの項記載の標的タンパク質の精製方法。
  7. 前記融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞に導入し、宿主細胞に前記融合タンパク質を発現させて、前記融合タンパク質と前記夾雑タンパク質とを含む試料溶液を調製する工程を、前記夾雑タンパク質を除去する工程の前に含む、請求項6記載の標的タンパク質の精製方法。
  8. 前記夾雑タンパク質を除去する工程において、前記融合タンパク質および前記夾雑タンパク質を含む試料溶液を前記陰イオン交換樹脂に接触させ、前記融合タンパク質と前記夾雑タンパク質とを分離することにより、前記夾雑タンパク質を除去する、請求項6または7記載の標的タンパク質の精製方法。
  9. 前記試料溶液の塩濃度が50mM以上500mM以下である請求項7または8記載の標的タンパク質の精製方法。
  10. 前記夾雑タンパク質を除去する工程において、
    前記試料溶液を陰イオン交換樹脂に通過させて、前記融合タンパク質が結合した前記陰イオン交換樹脂と、前記夾雑タンパク質を含む通過画分を取得し、塩濃度600mM以上の緩衝液を用いて前記陰イオン交換樹脂から前記融合タンパク質を溶出することにより、前記夾雑タンパク質を除去する、請求項79のいずれかの項記載の標的タンパク質の精製方法。
  11. 前記ポリアニオン性ペプチドタグが、酸性アミノ酸残基を12残基以上含む請求項610のいずれかの項記載の標的タンパク質の精製方法。
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