JP6755778B2 - PPARα活性化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、PPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤に関する。
ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイドなどの低分子脂溶性リガンドはリガンド特異的な核内受容体を介して、個体発生における形態形成、細胞の増殖、分化、生体の恒常性の維持など多様な生理機能の調節に関与している。
ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(Peroxisome Proliferator Activated Receptor、本明細書において「PPAR」という)は核内受容体の1種である。PPARは、脂肪分解に関与する細胞内小器官であるペルオキシソームを増加させる作用を仲介するタンパク質として同定されている。そして、ペルオキシソーム増殖剤により活性化を受けるレセプターという意味で、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α(以下、「PPARα」という)と名付けられた。その後、PPARαと構造上類似したアイソフォーム遺伝子として、δ型PPAR(PPARδ)及びγ型PPAR(PPARγ)が同定された。現在PPARは、合計3つのサブタイプを有することが知られている。
PPARの各サブタイプは、リガンド依存的に活性化される。PPARは、9-cisレチノイン酸をリガンドとするレチノイドX受容体(Retinoid X Receptor)とヘテロ2量体を形成することで、プロモーター領域にPPAR応答配列(PPAR responsive element、以下「PPRE」ともいう)を有する種々の遺伝子の発現を制御している(非特許文献1及び2参照)。
例えば、PPARの各サブタイプは、脂肪酸のβ酸化の鍵酵素として知られるアシル-CoAオキシダーゼ(Acyl-CoA oxidase)のPPREを用いたレポーターアッセイがなされている。PPARリガンドとして知られるリノール酸は、PPARα、PPARδ、PPARγのそれぞれを介して、アシル-CoAオキシダーゼの転写活性を亢進することが報告されている(非特許文献3参照)。
これまでに、PPARは非常に多くの生理現象、病理現象に関わっていることが明らかになっている。具体例として、PPARαのアゴニストと、アトピー性皮膚炎との関係性が知られている。
アトピー性皮膚炎のモデルマウスに対し、PPARαのアゴニストを塗布したところ、角質層水分量が増加し、バリア機能の改善が認められたとの報告がある(非特許文献4及び5参照)。また、ヒトにおいても、PPARαのアゴニストとして知られるクロフィブラートや、PPARαの活性化作用を示すサンフラワーオイルをアトピー性皮膚炎患者の皮膚に塗布すると、アトピー性皮膚炎の症状が改善したとの報告がある(非特許文献6及び7参照)。
したがって、PPARαを活性化させることは、アトピー性皮膚炎を予防又は改善する上で、非常に重要である。
これまでに、AMP活性化プロテインキナーゼ(「AMPK」ともいう)活性化作用を有する化合物が特許文献1に記載されている。また、筋ジストロフィーの治療に有用な化合物が特許文献2に記載されている。しかし、本発明で用いる後述の化合物がPPARαを活性化させることについて、何ら記載されていない。
国際公開第2010/073011号 国際公開第2014/040077号
細胞, 1999, vol. 31(6), p. 218-234 K. Schoonjans, et al., J. Lipid Res., 1996, vol. 37, p. 907-925 Hebe M. Guardiola-Diaz, et al., J. Biol. Chem., 1999, vol. 274, p. 23368-23377 Yutaka Hatano, et al., J. Allergy. Clin. Immunol., 2010, vol. 125(1), p. 160-169 Yutaka Hatano, et al., J. Invest. Dermatol., 2011, vol. 131(9), p. 1845-1852 Mototsugu Fukaya, et al., J. Drugs Dermatol., 2014, vol. 13(3), p. 259-263 Eichenfield LF, et al., Pediatr Dermatol., 2009, vol. 26(6), p. 669-675
本発明は、PPARαを活性化させる、PPARα活性化剤の提供を課題とする。
また本発明は、前記PPARα活性化剤の効能を生かした、その投与の手段としてのアトピー性皮膚炎の予防又は改善剤の提供を課題とする。
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、下記式(1)又は(2)で表される化合物が、PPARαのアゴニストとしての作用を示すこと、すなわちPPARαを活性化させることを見出した。さらにこれらの化合物が、アトピー性皮膚炎の予防又は改善に有用であることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
本発明は、下記式(1)で表される化合物、並びに下記式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分とする、PPARα活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤に関する。
Figure 0006755778
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本発明のPPARα活性化剤は、PPARαを活性化させることができる。
また本発明のアトピー性皮膚炎の予防又は改善剤は、前記PPARα活性化剤の効能を生かし、アトピー性皮膚炎を予防又は改善することができる。
本明細書において「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止若しくは遅延、又は個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
また、本明細書において「改善」とは、疾患、症状若しくは状態の好転、疾患、症状若しくは状態の悪化の防止若しくは遅延、又は疾患、症状若しくは状態の進行の逆転、防止若しくは遅延をいう。
さらに本明細書において「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
本発明のPPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤は、式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分とする。また、式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を適用することで、アトピー性皮膚炎を予防又は改善することができる。
本発明で用いる前記化合物は、市販品であってもよいし、常法に基づき製造することもできる。また本発明において、前記化合物のうち1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、前記化合物の慣用名やIUPAC名等を下記に示す。
式(1)で表される化合物
N-{5-[2-(4-メトキシフェニル)エチル]-1,3,4-チアジアゾール-2-イル}-1-フェニルメタンスルホンアミド(N-{5-[2-(4-methoxyphenyl)ethyl]-1,3,4-thiaziazol-2-yl}-1-phenylmethanesulfonamide)

式(2)で表される化合物
6-[[2-(3,4-ジメチル-2-オキソクロメン-7-イル)オキシアセチル]アミノ]ヘキサン酸(6-[[2-(3,4-dimethyl-2-oxochromen-7-yl)oxyacetyl]amino]hexanoic acid)
本発明において、式(2)で表される化合物は、塩の形態で用いてもよい。式(2)で表される化合物の塩としては、薬学的に許容できる塩であれば特に制限されないが、例えば、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム及びトリエチルアミン等のアミン類との塩などが挙げられる。本発明において、式(2)で表される化合物の塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩が好ましく、ナトリウム塩及びカルシウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
後述の実施例で実証するように、式(1)及び(2)それぞれで表される化合物は、PPARαへの結合率が高く、PPARαのアゴニストとしての活性を有する。
また、前述のように、PPARαのアゴニストを皮膚に塗布することで、アトピー性皮膚炎の症状が改善することが知られている。したがって、PPARαのアゴニストとして作用する式(1)及び(2)で表される化合物はそれぞれ、アトピー性皮膚炎の予防又は改善するために使用することができる。
上記化合物の使用は、治療的使用(即ち医療行為)であっても非治療的使用(非医療的な行為)であってもよい。また、上記使用の対象は、ヒト、非ヒト動物、又はそれらに由来する検体であり得る。なお、前記「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処理行為を含まない概念である。
本発明のPPARα活性化剤、及びその投与の手段としてのアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤の形態は適宜選択することができる。例えば、前記有効成分単体を本発明のPPARα活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤として用いてもよい。あるいは、前記有効成分と、薬学的に許容される担体とを含む本発明のPPARα活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤を医薬組成物として使用してもよい。あるいは、本発明のPPARα活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤を化粧料組成物として使用するか、又はこれらに含有させてもよい。
また、前述の有効成分をPPARα活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤の製造のために使用することができる。
医薬組成物を調製する場合は、通常、前記有効成分と好ましくは薬学的に許容される担体を含む製剤として調製する。薬学的に許容される担体とは、一般的に、前記有効成分とは反応しない、不活性の、無毒の、固体又は液体の、増量剤、希釈剤又はカプセル化材料等をいい、例えば、水、エタノール、ポリオール類、適切なそれらの混合物、植物性油などの溶媒又は分散媒体などが挙げられる。
医薬組成物は、経口により、非経口により、例えば、口腔内に、皮膚に、皮下に、粘膜に、静脈内に、動脈内に、筋肉内に、腹腔内に、膣内に、肺に、脳内に、眼に、又は鼻腔内に投与される。経口投与製剤としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル剤、ペレット剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤及び吸入剤などが挙げられる。非経口投与製剤としては、坐剤、保持型浣腸剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤、ペッサリー剤、注射剤、口腔洗浄剤、並びに軟膏、クリーム剤、ローション、ゲル剤、制御放出パッチ剤及び貼付剤などの皮膚外用剤などが挙げられる。医薬組成物は、徐放性皮下インプラントの形態で、又は標的送達系(例えば、モノクローナル抗体、ベクター送達、イオン注入、ポリマーマトリックス、リポソーム及びミクロスフェア)の形態で、非経口で投与してもよい。
医薬組成物はさらに医薬分野において慣用の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤などがあり、必要に応じて使用できる。長時間作用できるように徐放化するためには、既知の遅延剤等でコーティングすることもできる。必要に応じてその他の添加剤や薬剤、例えば制酸剤、胃粘膜保護剤を加えてもよい。
化粧料組成物を調製する場合、その形態は適宜選択することができ、溶液、乳液、粉末、水−油二層系、水−油−粉末三層系、ゲル、タブレット等の固形、エアゾール、ミスト、カプセル及びシート等任意の形態とすることができる。また、化粧料組成物の製品形態も任意であり、例えば、洗顔料、メーク落とし、化粧水、美容液、パック、乳液、クリーム及びサンスクリーン等のスキンケア化粧料、ファンデーション、化粧下地、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、アイブロー、頬紅及びネイルエナメル等のメイクアップ化粧料、ヘアシャンプー、ヘアリンス、整髪料、染毛料及び育毛剤等の毛髪化粧料、石鹸、ボディソープ、デオドラント化粧料及び浴用剤等のボディ洗浄料、歯磨剤及び洗口剤等の口腔化粧料、香水等の芳香化粧料等が挙げられる。また、この化粧料は、日本の薬事法上、化粧品及び医薬部外品のどちらに属しても良い。
化粧料組成物は、化粧品、医薬部外品及び医薬品等に慣用される他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて配合し、常法により製造することができる。
その他の化粧料組成物に配合可能な成分としては、例えば、防腐剤、消炎剤、美白剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤及び殺菌剤等が挙げられる。
前記医薬組成物及び化粧料組成物は、口腔用組成物、外用組成物、内服組成物などの形態で適用することができ、皮膚外用組成物の形態で適用することが好ましい。
皮膚外用組成物の形態で使用する場合、前記有効成分の他に、通常の皮膚外用組成物に用いられる成分、例えば界面活性剤、油性物質、高分子化合物、防腐剤、各種の薬効成分、紛体、紫外線吸収剤、色素、香料、乳化安定剤、pH調整剤等を適宜配合できる。
本発明のPPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤は、食品若しくは食品組成物、飲料若しくは飲料組成物、飼料、ペットフードに添加したり配合して使用することができる。あるいは、PPARαを活性化することにより治療、予防又は改善しうる疾患又は状態の治療、予防又は改善等をコンセプトとしてその旨を表示した飲食品、すなわち、健康食品、機能性表示食品、病者用食品及び特定保健用食品などに添加又は配合して使用することができる。前記の、健康食品、機能性表示食品、病者用食品、特定保健用食品は、具体的には、細粒剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、流動食等の各種製剤形態として使用することができる。製剤形態の食品は、医薬製剤と同様に製造することができ、前記有効成分と、食品として許容できる担体、例えば適当な賦形剤等とを混合した後、慣用の手段を用いて製造することができる。さらに、スープ類、ジュース類、乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、ゼリー状飲料、スポーツ飲料、ダイエット飲料などの液状食品組成物、プリン、ヨーグルトなどの半固形食品組成物、パン類、うどんなどの麺類、クッキー、チョコレート、キャンディ、ガム、せんべいなどの菓子類、ふりかけ、バター、ジャムなどのスプレッド類等に、本発明のPPARα活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤を添加したり配合して、食品組成物を製造することができる。
本発明のPPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤における前記有効成分の含有量は適宜決定できる。
例えば、本発明のPPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤の総量中、前記有効成分の含有量は0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましい。またその上限値は、50質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。あるいは、有効成分の含有量は、0.0001〜50質量%が好ましく、0.001〜10質量%がより好ましく、0.01〜1質量%がさらに好ましい。
本発明のPPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤の投与又は摂取対象は、好ましくは温血脊椎動物であり、より好ましくは哺乳動物である。本明細書において哺乳動物は、例えば、ヒト、並びにサル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどの非ヒト哺乳動物が挙げられる。本発明のPPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤は、ヒトへの投与に好適である。
本発明に用いる前記化合物、本発明のPPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤は、PPARαを活性化させること、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善を所望する対象者に好ましく適用することができる。また、本発明に用いる前記化合物、及び本発明のPPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤は、アトピー性皮膚炎の発症が惹起された条件下で好ましく適用することができる。さらに、本発明に用いる前記化合物、本発明のPPARα活性化剤、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤は、皮膚に適用するのが好ましく、アトピー性皮膚炎が発症している皮膚、又はアトピー性皮膚炎が発症しやすい皮膚に適用するのがより好ましい。
本発明のPPARαの活性化方法、並びにアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善方法において、投与又は摂取することで適用する前記有効成分の有効量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、投与又は摂取経路、投与又は摂取スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。例えば、前記有効成分の有効量は、1日あたり、体重1kgあたり、好ましくは0.00001mg以上、より好ましくは0.0001mg以上である。またその上限値は、好ましくは10mg以下、より好ましくは1mg以下である。あるいは、好ましくは0.00001〜10mg、より好ましくは0.0001〜1mgである。
なお前記有効成分は、1日1回〜数回に分け、又は任意の期間及び間隔で摂取・投与され得る。また、前記有効成分の投与又は摂取は、全身への投与又は摂取でもよいし、局所への投与又は摂取でもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに下記のPPARα活性化剤、アトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤、使用、並びに方法を開示する。
<1>式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、好ましくは式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、を有効成分とする、PPARαの活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤。
<2>PPARαを活性化することでアトピー性皮膚炎を予防又は改善する、前記<1>項に記載のアトピー性皮膚炎の予防又は改善剤。
<3>前記PPARαの活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤の総量中、前記有効成分の含有量が、0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、であり、50質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下、である、前記<1>又は<2>項に記載のPPARαの活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤。
<4>PPARαの活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤としての、式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、好ましくは式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、の使用。
<5>PPARαの活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤の製造のための、式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、好ましくは式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、の使用。
<6>式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、好ましくは式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、を、PPARαの活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤として使用する方法。
<7>式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、好ましくは式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、を適用する、PPARαの活性化方法、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善方法。
<8>PPARαを活性化することでアトピー性皮膚炎を予防又は改善する、前記<4>〜<7>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<9>前記化合物を、PPARαを活性化させること、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善を所望するヒトに適用する、前記<4>〜<8>のいずれか1項に記載の方法。
<10>アトピー性皮膚炎の発症が惹起された条件下で適用する、前記<4>〜<9>のいずれか1項に記載の方法。
<11>前記化合物をアトピー性皮膚炎が発症している皮膚、又はアトピー性皮膚炎が発症しやすい皮膚に適用する、前記<4>〜<10>のいずれか1項に記載の方法。
<12>前記PPARαの活性化剤、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤の総量中、前記化合物の含有量が、0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、であり、50質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下、である、前記<4>〜<11>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<13>前記化合物の投与又は摂取量が、1日あたり、体重1kgあたり、0.00001mg以上、好ましくは0.0001mg以上、であり、10mg以下、好ましくは1mg以下、である、前記<4>〜<12>のいずれか1項に記載の使用又は方法。
<14>PPARαの活性化方法、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善方法のために用いる、式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、好ましくは式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物。
<15>PPARαの活性化薬、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善薬の製造のための、式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、好ましくは式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、の使用。
<16>PPARαの活性化、又はアトピー性皮膚炎の予防又は改善の非治療的な処置方法のために用いる、式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、好ましくは式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、の使用。
<17>PPARαを活性化することでアトピー性皮膚炎を予防又は改善する、前記<14>〜<16>のいずれか1項に記載の化合物又は使用。
<18>前記化合物を、PPARαを活性化させること、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善を所望するヒトに適用する、前記<14>〜<17>のいずれか1項に記載の化合物又は使用。
<19>前記化合物をアトピー性皮膚炎の発症が惹起された条件下で適用する、前記<14>〜<18>のいずれか1項に記載の化合物又は使用。
<20>前記化合物をアトピー性皮膚炎が発症している皮膚、又はアトピー性皮膚炎が発症しやすい皮膚に適用する、前記<14>〜<19>のいずれか1項に記載の化合物又は使用。
<21>前記化合物を医薬組成物又は化粧料組成物の形態で適用する、前記<14>〜<20>のいずれか1項に記載の化合物又は使用。
<22>前記化合物を皮膚外用組成物の形態で適用する、前記<21>項に記載の化合物又は使用。
<23>前記化合物を食品、飲料、又は飼料の形態で適用する、前記<14>〜<20>のいずれか1項に記載の化合物又は使用。
<24>前記化合物の含有量が、0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、であり、50質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下、である、前記<14>〜<23>のいずれか1項に記載の使用。
<25>前記化合物の投与又は摂取量が、1日あたり、体重1kgあたり、0.00001mg以上、好ましくは0.0001mg以上、であり、10mg以下、好ましくは1mg以下、である、前記<14>〜<24>のいずれか1項に記載の使用。
<26>式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、好ましくは式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、を有効量適用する、非治療的な、PPARαの活性化方法、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善方法。
<27>PPARαを活性化することでアトピー性皮膚炎を予防又は改善する、前記<26>項に記載の方法。
<28>前記化合物を、PPARαを活性化させること、又はアトピー性皮膚炎の予防若しくは改善を所望するヒトに適用する、前記<26>又は<27>項に記載の方法。
<29>アトピー性皮膚炎の発症が惹起された条件下で適用する、前記<26>〜<28>のいずれか1項に記載の方法。
<30>前記化合物をアトピー性皮膚炎が発症している皮膚、又はアトピー性皮膚炎が発症しやすい皮膚に適用する、前記<26>〜<29>のいずれか1項に記載の方法。
<31>前記化合物の有効量が、1日あたり、体重1kgあたり、0.00001mg以上、好ましくは0.0001mg以上、であり、10mg以下、好ましくは1mg以下、である、前記<26>〜<30>のいずれか1項に記載の方法。
<32>式(1)で表される化合物、並びに式(2)で表される化合物若しくはその塩が、PPARαのアゴニストとしての作用を示す、前記<1>〜<31>のいずれか1項に記載のPPARαの活性化剤、アトピー性皮膚炎の予防若しくは改善剤、使用、化合物、又は方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
試験例 PPARα受容体に対する選択性評価試験
測定キットとして、EnBio RCAS for PPARα(商品名、藤倉化成社より入手)を使用した。
(試薬の調製)
下記に示すように、各種試薬の調製を行った。
・Wash buffer
前記キットに含まれる10×Wash bufferを水で10倍希釈することにより調製した。
・CBP(+)溶液
前記キットに含まれるAssay bufferに、Assay bufferの1/100量のCBPを添加し調製した。
・CBP(−)溶液
前記キットに含まれるAssay bufferに、Assay bufferの1/100量のDMSOを添加し調製した。
・レセプター溶液の調製
前記キットに含まれるレセプターに、Assay bufferを添加し、キット中に記載の倍率に希釈し調製した。
・抗体溶液の調製
Wash bufferに1/100量の100×Detection Antibodyを添加し調製した。
・TMB基質の調製
前記キットに含まれるTMB substrateをそのまま使用した。
・反応停止液の調製
前記キットに含まれるStop solutionをそのまま使用した。
・最大反応測定溶液の調製
前記キットに含まれる陽性物質溶液をそのまま使用した。
(測定手順)
下記に示す手順により、PPARα受容体に対する選択性評価試験を行った。
(1)各ウェルをWash buffer 300μLで3回洗浄した。
(2)CBP固相化ウェルにはCBP(+)溶液を、CBP非固相化ウェルにはCBP(−)溶液をそれぞれ100μL添加した。
(3)振とうしながらインキュベートした(25℃、1時間)。
(4)各ウェルをWash buffer300μLで3回洗浄した。
(5)レセプター溶液95μLを添加した。
(6)バックグラウンドウェルにはバックグラウンド溶液5μLを、100%結合ウェルには最大反応測定溶液5μLを、その他のウェルには被検物質溶液又は陽性物質溶液5μLを添加した。
(7)振とうしながらインキュベートした(25℃、1時間)。
(8)各ウェルをWash buffer 300μLで3回洗浄した。
(9)抗体溶液100μLを添加した。
(10)振とうしながらインキュベートした(25℃、30分間)。
(11)各ウェルをWash buffer 300μLで3回洗浄した。
(12)TMB基質100μLを添加した。
(13)静置したままインキュベートした(25℃、20分間)。
(14)反応停止液100μLを添加した。
(15)プレートリーダーで測定した(測定波長450nm)。
各被験物質のPPARαへの結合率を以下の式より算出した。

結合率=[(ΔODS-ΔODBG)/(ΔOD100-ΔODBG)]×100(%)
ΔODS:結合率測定ウェルの吸光度差
ΔOD100:100%結合ウェルの吸光度差
ΔODBG:バックグラウンドウェルの吸光度差

前記各ΔOD値は、CBP固相化ウェル(サンプルウェル)の吸光度からCBP非固相化ウェル(ブランクウェル)の吸光度を引いた値を使用した。
その結果を表1に示す。
Figure 0006755778
Figure 0006755778
前記表1に参考例として記載したクロフィブリン酸の化学式を下記に示す。
クロフィブリン酸は、高脂血症薬として使用されている、公知のPPARαのアゴニストであるクロフィブラート(Clofibrate)が生体内での代謝により変換される化合物である。クロフィブラートの化学式も下記に示す。
Figure 0006755778
Figure 0006755778
表1に示すように、式(C1)で表される化合物は、PPARαへの結合率が非常に低い。これに対して、式(1)及び(2)で表される化合物は、PPARαの公知のアゴニスト(クロフィブラート)の代謝産物と同等又はそれ以上の結合率を有する。
生体内の反応においてPPARαは、そのアゴニストと結合すると、さらにコアクチベーターと結合可能になり転写を促す。前記キットの各ウェル内には、コアクチベーター(CBP)が固定化されている。そのため、被検物質がPPARαのアゴニストである場合、レセプターとリガンドの複合体がコアクチベーターに結合する。そこで、ウェル中に固定化されたPPARαを検出することで結合率を算出し、算出した結合率からPPARαのアゴニストとしての活性を評価することができる。
前述のように、式(1)及び(2)で表される化合物は、PPARαの公知アゴニスト(クロフィブラート)の代謝産物と同等又はそれ以上の結合率を有する。そのため、式(1)及び(2)で表される化合物は、公知のアゴニストと同等又はそれ以上の、PPARαのアゴニストとしての活性も有すると考えられる。
以上のように、式(1)又は(2)で表される化合物は、PPARαに対する結合性を有し、PPARαを活性化させる。よって、PPARαのアゴニストとして作用し、PPARαを活性化する式(1)及び(2)で表される化合物はそれぞれ、アトピー性皮膚炎の予防又は改善するために使用することができる。

Claims (2)

  1. 下記式(2)で表される化合物若しくはその塩、並びに下記式(1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分とする、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α活性化剤。
    Figure 0006755778
    Figure 0006755778
  2. 下記式(2)で表される化合物若しくはその塩、並びに下記式(1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分とする、アトピー性皮膚炎の予防又は改善剤。
    Figure 0006755778
    Figure 0006755778
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