JP6748762B2 - 医用画像処理装置、医用画像処理方法 - Google Patents
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Description
第1の条件に設定した前記複数の医用画像間の前記対象部位の周囲側の位置合わせ処理を行い、且つ前記第1の条件とは異なる第2の条件に設定した前記複数の医用画像間の前記対象部位側の位置合わせ処理を行う位置合わせ手段と、
前記対象部位の周囲側の位置合わせ処理の結果と前記対象部位側の位置合わせ処理の結果とに基づいて、前記対象部位の輪郭線を構成する複数の点における滑り度を算出する算出手段と
を備えることを特徴とする。
本実施形態に係る医用画像処理装置は、医用画像内のある領域が周辺領域に対してどの程度滑るかを表す「滑り度」を、対象部位(臓器)における各対象部位内位置(対象部位の表面の位置若しくは対象部位内の位置)について算出する。そして、対象部位内位置と、該対象部位内位置について算出した「滑り度」と、を対応づけて表示する。ここで、「滑り度」とは、対象周囲に対する相対的な移動量のことである。例えば、肺は呼吸運動によって肺の表面(臓側胸膜とも呼ばれる)がその周囲(壁側胸膜とも呼ばれる)に対して滑るように動く。この場合、本実施形態に係る医用画像処理装置は、肺の表面位置と該表面位置における「滑り度」とを対応づけて表示する。このような表示では、肺の表面とその周囲との間(胸膜腔とも呼ばれる)に癒着があった場合は、癒着が存在する表面位置では「滑り度」は周囲に比べて小さく表示される。
データ読出部41は、通信IF31及びLAN21を介してデータベース22にアクセスし、上記の通り、該データベース22から「X線CT装置によって同一患者の胸部領域を吸気量の異なる2時点で撮像して得られた2つの医用画像データ」を読み出す。
対象部位抽出部42は、ステップS201においてデータ読出部41が読み出した2つの医用画像データのうち一方(参照画像)から以下の手法により肺野内の領域を抽出し、該抽出した領域の輪郭線情報(肺野の輪郭線情報)を取得する。
基準点設定部43は、対象部位抽出部42によって得られた輪郭線情報を用いて、以下に説明する処理を実行することで、参照画像上における対象部位の輪郭線を挟んで対象部位側と対象部位の周辺側とにそれぞれ基準点を設定する。すなわち、基準点設定部43は、対象部位側に第1基準点を設定し、輪郭線を挟んで該対象部位側と対向する周囲側に第2基準点を設定し、更に、第1基準点及び第2基準点のペアを複数設定する。そして以下の処理では、第1基準点に対する第2基準点の移動情報を算出する。基準点設定部43による基準点設定方法について、図3を用いて説明する。なお、図3では、説明を簡単にするために、参照画像上のある部分領域のみを示しており、以下ではこのような図3を用いて、該部分領域内に基準点を設定する方法を説明する。しかし、実際には同様の処理を参照画像の全体領域について行う。
位置合わせ部44は、ステップS201においてデータ読出部41が読み出した2つの医用画像データのうち一方(参照画像)に向けて、他方(浮動画像)の変形位置合わせを行う。変形位置合わせには、FFD(Free−Form Deformation)手法やLDDMM(Large Deformation Diffeomorphic Metric Mapping)手法のような既知の変形位置合わせ処理が適用可能である。このような変形位置合わせは何れも、医用画像データ内の対象部位の正常な構造を保つ。
移動情報算出部45は、時相が異なる医用画像間(医用画像データ間)の位置合わせが行われたると、基準点を設定した医用画像と、該医用画像に対して位置合わせされた医用画像と、の間における、対象部位側に設定した基準点に対する周囲側に設定した基準点の移動情報を算出する。すなわち、ステップS203において設定された基準点と、ステップS204で得られた対応画素位置情報と、を用いて、各輪郭線構成点における「滑り度」を算出する。「滑り度」とは、輪郭線構成点が周囲に対して移動した度合いである。ステップS205における処理について、図4を用いて具体的に説明する。
例えば、aiの座標(2,5,1)、Aiの座標(1,7,1)、aoの座標(6,1,1)、Aoの座標(5,2,1)を用いて上記の式を計算すると、「滑り度」Sは√(((2-1)-(6-5))2+((5-7)-(1-2))2+((1-1)-(1-1))2)となり、計算するとS=1となる。また別の例として、ciの座標(4,7,1)、Ciの座標(4,7,1)、coの座標(8,3,1)、Coの座標(8,3,1)を用いて上記の式を計算すると、「滑り度」Sは0となる。
表示処理部46は、滑り度を可視化して表示部36に表示する。すなわち、表示処理部46は、上記のように、移動情報算出部45で算出された各輪郭線構成点における「滑り度」を表示部36に表示する。ここで、医用画像データにおける輪郭線構成点の輝度値を、該輪郭線構成点について求めた滑り度に応じたグレースケール値若しくはカラースケール値に変換する場合、カラースケールやグレースケールは予め定められたものであっても良いし、動的に変更されてもよい。例えば、ステップS205で算出されたそれぞれの滑り度のうち最小値と最大値からグレースケールの幅や中央値を決めてもよい。なお、ここで説明した「滑り度」の可視化方法はあくまで例であり、対象部位の対象部位内位置とその位置における「滑り度」を対応づけて表示できれば、可視化方法はこれに限定されない。また、医用画像データに含まれている全てのスライス画像ではなく、その一部のスライス画像における輪郭線構成点の輝度値を、該輪郭線構成点について求めた滑り度に応じたグレースケール値若しくはカラースケール値に変換してから表示するようにしても構わない。この「一部のスライス画像」は、ユーザが操作部35を操作することで選択したスライス画像であっても良いし、制御部37が何らかの基準でもって選択したスライス画像であっても良い。
第1の実施形態では、ステップS201で、吸気量の異なる2時点で撮像して得られた2つの医用画像データを読み出していた。しかし、ステップS201で読み出す医用画像データの数は3以上であってもよい。例えば、X線4DCT装置を用いて、患者の呼吸を止めない状態で、ある特定の間隔で撮像された多数の時点の医用画像データをデータベース22から読み出しても構わない。多数の時点の医用画像データについて、図7,8を用いて説明する。
第1の実施形態では、ステップS204において異なる2つの医用画像データを用いて変形位置合わせを行った。しかし、複数時点の医用画像データを用いて、徐々に参照画像と浮動画像の位置合わせを行い、「滑り度」を算出してもよい。本変形例について図7を用いて説明する。
第1の実施形態では、ステップS204及びS205において、対応画素位置情報は、同一の画像条件の参照画像及び浮動画像に対する変形位置合わせ処理の結果から取得していた。しかし、基準点の位置に応じて参照画像及び浮動画像の画像条件を変更して変形位置合わせ処理を行って、対応画素位置情報を取得してもよい。すなわち、基準点を設定した位置に応じた画像条件に従って位置合わせの対象となる医用画像(医用画像データ)を補正してから、該位置合わせの対象となる医用画像間の位置合わせを行っても良い。この画像条件は、対象部位側の基準点の位置と、該対象部位の周囲側の基準点の位置と、で異なる。以下では一例として、対象部位が肺の場合について説明する。ステップS204において、対象部位側の基準点に対応する浮動画像上の点の位置は、参照画像及び浮動画像の濃度値を、肺野の観察に適した条件(例えば、WLを−600、WWを1500)に設定して変形位置合わせ処理を行い、その結果を用いて取得する。また、ステップS204において、周囲側の基準点に対応する浮動画像上の点の位置は、参照画像及び浮動画像の濃度値を、縦隔の観察に適した条件(例えば、WLを60、WWを400)に設定して変形位置合わせ処理を行い、その結果を用いて取得する。そして、ステップS205においては、各基準点において適切な画像条件下で取得した対応画素位置情報を用いて「滑り度」を算出する。
第1の実施形態では、ステップS203において、ある輪郭線構成点における基準点は、該輪郭線構成点に隣接する2つの輪郭線構成点を結ぶ線分の中央から法線方向へ一定の距離離れた位置に設定していた。しかし、基準点の設定方法はこれに限らない。例えば、医用画像データ内の解剖学的構造を利用して、意図的に基準点を設定しない領域(以下、除外領域と称す)を設定してもよい。例えば、骨領域や血管領域などを除外領域としてもよい。以下では、医用画像(医用画像データ)において基準点を設定しない領域である除外領域を取得し、医用画像において除外領域外に基準点を設定する。ここで、骨領域を除外領域として取得し、該除外領域外で基準点を設定する場合を例として説明する。
第1の実施形態では、ステップS205で、ステップS203において設定された基準点と、ステップS204で得られた対応画素位置情報と、を用いて、各輪郭線構成点における「滑り度」を算出していた。しかし、「滑り度」の算出には、他の情報を利用しても構わない。例えば、肺は正常な状態において、尾側(横隔膜付近)の方が頭側(肺尖付近)に比べて移動量が多い、つまり「滑り度」が大きい。従って、「滑り度」の大きさを単純に可視化すると、異常な「滑り度」を有する領域の認識が困難になる可能性がある。そこで、多数の正常な肺の経時的な医用画像データから、正常な肺の動きを反映したモデルを作成し、そのモデルを用いて尾側領域と頭側領域の「滑り度」の補正係数を求めて、各輪郭線構成点の「滑り度」に適用してもよい。すなわち、対象部位の表面の位置若しくは対象部位内の位置ごとに求めた滑り度を、対象部位の表面の位置若しくは対象部位内の位置ごとに設定されている補正係数を用いて補正しても良い。例えば、正常な状態で「滑り度」の大きい領域(例えば尾側領域)には「滑り度」を小さくする補正係数を算出し、正常な状態で「滑り度」の小さい領域(例えば頭側領域)には「滑り度」を大きくする補正係数を算出する。そして、移動情報算出部45は、算出した補正係数を用いて各輪郭線構成点における「滑り度」を正規化(補正)する(例えば、「滑り度」に補正係数を乗じる)。これにより、よりユーザの意図に合った「滑り度」を算出する事が出来る。なお、本変形例における、対象部位の正常な動きに基づいて各輪郭線構成点の「滑り度」を正規化する方法はあくまで一例であり、他の方法を用いて同様の目的を達成しても構わない。例えば、同一患者において、経時的に過去に撮像された医用画像データを用いて正規化してもよい。その際は、過去と「滑り度」の差が大きい領域を可視化する事が出来る。また、肺の様に左右に対となる対象部位が存在する場合は、対象部位の対側の対象部位における「滑り度」を用いて正規化してもよい。
第1の実施形態では、X線4DCT画像を始めとしたX線CT装置によって撮像された医用画像データに対して適用した例について説明した。しかし、経時的に異なる医用画像データ(肺野においては、吸気量の異なる医用画像データ)を得ることができれば、そのモダリティはX線CT装置に限るものではない。
第1の実施形態では、対象部位の各輪郭線構成点について、輪郭線を挟んで対象部位側と周囲側に基準点を設定し、それぞれの基準点における対応画素位置情報を基に「滑り度」を算出した。第2の実施形態では、対象部位の輪郭線の外側(周囲側)を固定し、内側(対象部位側)における各基準点の対応画素位置情報から「滑り度」を算出する。
位置合わせ部44は、参照画像及び浮動画像のそれぞれの濃度値を、周囲側(筋肉などの軟部領域)の表示に適した条件(例えば、WLを60、WWを400)に設定してから変形位置合わせ処理を行う。ここで、周囲側の表示に適した条件で、浮動画像に対して参照画像に向かって変形位置合わせ処理を行うことによって生成される画像を暫定画像と称する。
位置合わせ部44は、参照画像及び暫定画像のそれぞれの濃度値を、対象部位(臓器側:肺野領域)の表示に適した条件(例えば、WLを−600、WWを1500)に設定してから変形位置合わせ処理を行う。そして位置合わせ部44は、参照画像上の各画素に対応する暫定画像上の画素位置を算出する(対応画素位置情報を取得する)。ここで、参照画像上の周囲側の基準点の位置と、暫定画像上の該基準点に対応する対応点の位置と、はステップS1001の処理によりほぼ合っているはずである。つまり、ステップS1002の処理では各輪郭線構成点における周囲側の基準点を固定した状態での、対象部位側の基準点の対応画素位置情報を取得する事ができる。ここで、癒着がある位置に対応する各輪郭線構成点における対象部位側の基準点も、周囲側の基準点と同様にステップS1001の処理によりほぼ合っていると考えられる。なぜなら、対象部位側の領域であっても癒着などのように周囲側と強固に結びついている領域は、周囲側の移動に追従すると考えられるからである。従って、癒着がある位置に対応する各輪郭線構成点における対象部位側の基準点の「滑り度」は、癒着がない位置のそれに比べて小さくなる。
ステップS206における処理は、第1の実施形態と同様である。このように、本実施形態によれば、対象部位の表面位置における「滑り度」の違いを可視化できる。従って、ユーザは対象部位の周囲と異なる「滑り度」を有する領域を認識でき、対象部位の異常の有無や異常個所の位置を認識することができる。なお、以上説明した実施形態や変形例は、その一部若しくは全部を適宜組み合わせて実施しても構わない。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
Claims (8)
- 対象部位を互いに異なる時刻に撮像した複数の医用画像を取得する取得手段と、
第1の条件に設定した前記複数の医用画像間の前記対象部位の周囲側の位置合わせ処理を行い、且つ前記第1の条件とは異なる第2の条件に設定した前記複数の医用画像間の前記対象部位側の位置合わせ処理を行う位置合わせ手段と、
前記対象部位の周囲側の位置合わせ処理の結果と前記対象部位側の位置合わせ処理の結果とに基づいて、前記対象部位の輪郭線を構成する複数の点における滑り度を算出する算出手段と
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。 - 前記第1の条件は、前記対象部位の周囲側の画像特徴が強調される条件であり、前記第2の条件は、前記対象部位側の画像特徴が強調される条件であることを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
- 前記算出手段は、前記対象部位の周囲側の位置合わせ処理の結果と前記対象部位側の位置合わせ処理の結果との差分を前記滑り度として算出することを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像処理装置。
- 時相が異なる複数の医用画像を取得する取得手段と、
前記複数の医用画像のうち少なくとも1つの医用画像から対象部位の輪郭線を抽出する抽出手段と、
前記対象部位の周囲側の動き量を計測するための第1の基準点と、前記対象部位側の動き量を計測するための第2の基準点と、を設定する設定手段と、
前記第1の基準点の位置に基づいて計測する前記対象部位の周囲側の動き量と、前記第2の基準点の位置に基づいて計測する前記対象部位側の動き量と、を用いて前記輪郭線を構成する複数の点における滑り度を算出する算出手段と
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。 - 前記滑り度を可視化して表示手段に表示させる表示処理手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
- 前記対象部位は肺野であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
- 対象部位を互いに異なる時刻に撮像した複数の医用画像を取得する取得工程と、
第1の条件に設定した前記複数の医用画像間の前記対象部位の周囲側の位置合わせ処理を行い、且つ前記第1の条件とは異なる第2の条件に設定した前記複数の医用画像間の前記対象部位側の位置合わせ処理を行う位置合わせ工程と、
前記対象部位の周囲側の位置合わせ処理の結果と前記対象部位側の位置合わせ処理の結果とに基づいて、前記対象部位の輪郭線を構成する複数の点における滑り度を算出する算出工程と
を備えることを特徴とする医用画像処理方法。 - 時相が異なる複数の医用画像を取得する取得工程と、
前記複数の医用画像のうち少なくとも1つの医用画像から対象部位の輪郭線を抽出する抽出工程と、
前記対象部位の周囲側の動き量を計測するための第1の基準点と、前記対象部位側の動き量を計測するための第2の基準点と、を設定する設定工程と、
前記第1の基準点の位置に基づいて計測する前記対象部位の周囲側の動き量と、前記第2の基準点の位置に基づいて計測する前記対象部位側の動き量と、を用いて前記輪郭線を構成する複数の点における滑り度を算出する算出工程と
を備えることを特徴とする医用画像処理方法。
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