以下、添付図面を参照して実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、「上」「下」「左」「右」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して、鋳造装置50の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る鋳造装置の正面図である。図2は、図1の鋳造装置の側面図である。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。以下ではX方向を左右方向、Z方向を上下方向ともいう。
鋳造装置50は、重力を利用して溶融金属が注湯され、開閉可能かつ傾動可能な上金型1及び下金型2を用いて鋳物を鋳造する、いわゆる重力式傾動金型鋳造装置である。注湯される溶融金属の材質は問わない。溶融金属として、例えばアルミニウム合金及びマグネシウム合金等が用いられる。鋳造装置50は、コントローラを有し、構成要素の動作を制御可能に構成されている。
図1及び図2に示されるように、鋳造装置50は、例えば、ベースフレーム17、上部フレーム5、下部フレーム6、開閉機構21、左右一対の主リンク部材7(第1主リンク部材7a、第2主リンク部材7b)、左右一対の副リンク部材8(第1副リンク部材8a、第2副リンク部材8b)、回転アクチュエータ16(駆動部)、及びラドル25を備えている。
ベースフレーム17は、基台18、駆動側支持フレーム19及び従動側支持フレーム20を有している。基台18は、複数の部材の組み合わせにより構成された略平板状をなす部材であり、鋳造装置50の設置面上に水平に設けられている。駆動側支持フレーム19と従動側支持フレーム20とは、基台18上において左右方向(水平方向)に対向するように立設され、基台18に固定されている。駆動側支持フレーム19の上端部及び従動側支持フレーム20の上端部には、一対の傾動回転軸受9が設けられている。
上部フレーム5は、ベースフレーム17の上方に配置されている。上部フレーム5には、上金型1が装着されている。具体的には、上部フレーム5の下面には、上型ダイベース3を介して上金型1が取り付けられている。上部フレーム5には、上金型1を昇降する開閉機構21が設けられている。具体的には、上部フレーム5は、開閉機構21を内蔵し、開閉機構21により上金型1を昇降可能に保持している。
開閉機構21は、第1油圧アクチュエータ22、左右一対のガイドロッド23、及び、左右一対の案内筒24を有している。第1油圧アクチュエータ22は、上金型1及び下金型2のいずれか一方を昇降させることによって、上金型1及び下金型2の型閉め又は型開きを行う。本実施形態においては、第1油圧アクチュエータ22は上金型1を昇降させる。第1油圧アクチュエータ22の下端部は、上型ダイベース3の上面に取り付けられている。上型ダイベース3は、上金型1とともに昇降する。第1油圧アクチュエータ22は、上下方向(垂直方向ここではZ方向)に伸長することにより、上型ダイベース3を介して上金型1を降下させるとともに、上下方向に短縮することにより、上型ダイベース3を介して上金型1を上昇させる。第1油圧アクチュエータ22は、一例として油圧シリンダである。ガイドロッド23は、上部フレーム5に取り付けられた案内筒24を通して、上型ダイベース3の上面に取り付けられている。
下部フレーム6は、ベースフレーム17の上方であって、上部フレーム5の下方に配置されている。下部フレーム6には、下金型2が装着されている。具体的には、下部フレーム6の上面には、下型ダイベース4を介して下金型2が取り付けられている。図1及び図2に示される状態では、上部フレーム5と下部フレーム6とは、上下方向で互いに対向している。同様に、上金型1と下金型2とは、上下方向で互いに対向している。開閉機構21は、上金型1を昇降させることによって、上金型1及び下金型2の型閉め又は型開きを行う。
第1主リンク部材7aは、長尺状部材である。第1主リンク部材7aは、例えば、断面矩形状の棒状部材である。第1主リンク部材7aは、その上端部が上部フレーム5に回動可能に連結され、その下端部が下部フレーム6に回動可能に連結され、その中央部に傾動回転軸10を備える。第1主リンク部材7aは、その上端部に主リンク上部回転軸11、及び、その下端部に主リンク下部回転軸12を有している。本実施形態では、2つの主リンク部材を備える。第2主リンク部材7bは、第1主リンク部材7aと同一構成である。一対の主リンク部材7は、左右方向(水平方向ここではX方向)に対向配置され、それぞれ、上部フレーム5と下部フレーム6とを連結している。ここでは、一対の主リンク部材7は、上金型1及び下金型2を挟んで平行に対向配置される。
一対の主リンク部材7の中央部は、一対の傾動回転軸10を介して、一対の傾動回転軸受9に回転可能に連結されている。一対の主リンク部材7の上端部は、上部フレーム5の一対の側面5aに一対の主リンク上部回転軸11を介して、回転可能に連結されている。一対の主リンク部材7の下端部は、下部フレーム6の一対の側面6aに一対の主リンク下部回転軸12を介して、回転可能に連結されている。上金型1及び下金型2を型閉めしたときに、左右方向及び上下方向に直交する奥行き方向(Y方向)において、一対の主リンク部材7が上金型1及び下金型2それぞれの中心に位置するように、一対の主リンク部材7の上部フレーム5及び下部フレーム6への取り付け位置が設定されている。
第1副リンク部材8aは、長尺状部材である。第1副リンク部材8aは、例えば、断面矩形状の棒状部材である。第1副リンク部材8aは、第1主リンク部材7aと平行に配置され、その上端部が上部フレーム5に回動可能に連結され、その下端部が下部フレーム6に回動可能に連結され、その中央部に副リンク中央部回転軸15を備える。第1副リンク部材8aは、その上端部に副リンク上部回転軸13、及び、その下端部に副リンク下部回転軸14を有している。本実施形態では、2つの副リンク部材を備える。第2副リンク部材8b(不図示)は、第1副リンク部材8aと同一構成である。一対の副リンク部材8は、左右方向に対向配置され、上部フレーム5と、下部フレーム6とを連結している。一対の副リンク部材8は、一対の側面5a及び一対の側面6aに、一対の主リンク部材7と平行を成すように配設されている。副リンク部材8の長さは、主リンク部材7の長さと同じである。
一対の副リンク部材8の上端部は、上部フレーム5の一対の側面5aに一対の副リンク上部回転軸13を介して、回転可能に連結されている。副リンク部材8の下端部は、下部フレーム6の一対の側面6aに一対の副リンク下部回転軸14を介して、回転可能に連結されている。副リンク部材8の取り付け位置は、主リンク部材7に対して、ラドル25が配置されている側となっている。副リンク中央部回転軸15は、ベースフレーム17上に位置している。図1及び図2の状態では、副リンク中央部回転軸15は、駆動側支持フレーム19の上面に位置した状態になっている。
このように、上部フレーム5、下部フレーム6、第1主リンク部材7a及び第1副リンク部材8aで平行リンク機構(第1平行リンク機構)が構成されている。同様に、上部フレーム5、下部フレーム6、第2主リンク部材7b及び第2副リンク部材8bで平行リンク機構(第2平行リンク機構)が構成されている。2つの平行リンク機構は、上金型1及び下金型2を挟んで互いに対向して平行に配置されている。
第1主リンク部材7aの傾動回転軸10は、第1平行リンク機構の外側に設けられた傾動回転軸受9でベースフレーム17に保持されている。第1主リンク部材7aの傾動回転軸10の回転中心と、型閉め又は型開きされた上金型1及び下金型2、上部フレーム5及び下部フレーム6を含む回転体の重心とが一致している。同様に、第2主リンク部材7bの傾動回転軸10は、第2平行リンク機構の外側に設けられた傾動回転軸受9でベースフレーム17に保持されている。第2主リンク部材7bの傾動回転軸10の回転中心と、型閉め又は型開きされた上金型1及び下金型2、上部フレーム5及び下部フレーム6を含む回転体の重心とが一致している。ここで、「一致」とは、両者が完全に一致している場合に限られず、上金型1の重量と下金型2の重量との相違により誤差を有する場合も含まれる意味である。
回転アクチュエータ16は、駆動側支持フレーム19上に配置されている。回転アクチュエータ16は、一対の主リンク部材7のうちの一方の傾動回転軸10に連結して設けられる。回転アクチュエータ16は、電動、油圧、空圧のいずれで動作するものであってもよい。一例として、回転アクチュエータ16は、サーボモータである。サーボモータは、電源に接続され、電力が供給されることにより動作する。回転アクチュエータ16は、上金型1と下金型2とを傾動又は水平方向に離間させる駆動部として機能する。
上金型1と下金型2との傾動は、開閉機構21によって上金型1と下金型2とを型閉めした状態で、回転アクチュエータ16によって、第1主リンク部材7aの傾動回転軸10を45°〜130°回転させることでなされる。上金型1と下金型2との水平方向への離間は、開閉機構21によって上金型1と下金型2とを型開きした状態で、回転アクチュエータ16によって、第1主リンク部材7aの傾動回転軸10を所定角度回転させることでなされる。上金型1と下金型2との水平方向への離間は、回転アクチュエータ16により第1平行リンク機構が作用することで実現する。このとき、第1平行リンク機構の動きに合わせて第2平行リンク機構も作用する。なお、第2平行リンク機構は必須ではなく、例えば、第1平行リンク機構と第2主リンク部材7bのみで上部フレーム5及び下部フレーム6を連結してもよいし、第1平行リンク機構と第2副リンク部材8bのみで上部フレーム5及び下部フレーム6を連結してもよい。
ラドル25は、下金型2の側面の上端部に取り付けられている。ラドル25の内部には、溶湯を貯留する貯留部が画成されている。ラドル25の注湯口25a(図8参照)は、下金型2の受湯口2a(図8参照)に接続されている。
図3は、図1において上金型及び下金型の断面を示す図である。ここでは、下金型2の上面に複数の中子34を納めた状態を示す。図3に示されるように、鋳造装置50は、押出し板28(上押出し板)と、一対の押出しピン26(上押出しピン)と、一対のリターンピン27と、複数の押し棒29(規制部材)と、を有する押出し機構37を備えている。押出し機構37は、上部フレーム5に設けられている。
押出し板28は、上金型1の上端側の内部に形成された内部空間に配置される。押出し板28は、昇降自在な状態で内部空間に収容されている。各押出しピン26は、押出し板28の下面に設けられている。各押出しピン26は、上金型1の内部空間から鋳物を形成するキャビティ(上キャビティ)へ貫通する孔を昇降する。各押出しピン26は、その先端でキャビティ内の鋳物を押し出す。各リターンピン27は、押出し板28の下面の押出しピン26とは異なる位置に設けられている。各リターンピン27は、上金型1の内部空間から上金型1の下面へ貫通する孔を昇降する。各リターンピン27は、上金型1と下金型2とが型閉めされる過程で、その先端が下金型2の上面に突き当てられることで押出し板28を上昇させる。
各押し棒29は、上部フレーム5の下面に設けられている。各押し棒29は、上部フレーム5の下面に、上型ダイベース3を貫通して配設されている。各押し棒29は上金型1の上面から内部空間へ貫通する孔に挿入された状態で、その先端が該内部空間内の押出し板28の上方に配置される。各押し棒29の長さは、第1油圧アクチュエータ22が短縮して上金型1が上昇端になったとき、押出し板28を押し下げる長さに設定されている。なお、上昇端とは、第1油圧アクチュエータ22が短縮することにより、上金型1の取り得る最も上方の位置である。即ち、各押し棒29は、上金型1の上面から、上金型1の上部位置に形成された内部空間へ貫通する孔を通って該内部空間内に所定長さ進入され、押出し板28の上昇を阻止する。
下部フレーム6には、第2油圧アクチュエータ30が内蔵されている。第2油圧アクチュエータ30は、一例として油圧シリンダである。第2油圧アクチュエータ30は上端部が押出し部材31の下面に取り付けられている。左右一対のガイドロッド32は、下部フレーム6に取り付けられた案内筒33を通して、押出し部材31の下面に取り付けられている。
下金型2は、上金型1と同様に、一対の押出しピン26(下押出しピン)と一対のリターンピン27とが連結された押出し板28(下押出し板)を内蔵している。下金型2では、第2油圧アクチュエータ30の伸長動作により、押出し部材31が上昇して、押出し板28を押し上げることで、一対の押出しピン26とリターンピン27とが上昇する位置関係になっている。各押出しピン26は、その先端でキャビティ(下キャビティ)内の鋳物を押し出す。なお、上金型1及び下金型2のリターンピン27は、型閉め時に、リターンピン27の先端が対向する金型の合せ面、あるいは対向するリターンピン27の先端により押し戻される。これに伴い、押出し板28に連結された押出しピン26も押し戻される。また、型閉め時は、第2油圧アクチュエータ30の短縮動作で押出し部材31は、下降端の位置になる。なお、下降端とは、第2油圧アクチュエータ30が短縮することにより、下金型2の取り得る最も下方の位置である。
上金型1の下部周囲(側面下端部)には、一対の位置決めキー35が取り付けられている。下金型2の上部周囲(側面上端部)には、一対のキー溝36が一対の位置決めキー35と嵌合可能に設けられている。位置決めキー35とキー溝36とは、上金型1と下金型2とを水平方向に位置決めする位置決め部を構成している。この位置決め部によれば、上金型1と下金型2とが水平方向に位置決めされるので、上金型1と下金型2とがずれて型閉めされることを抑制することができる。
鋳造装置50は、上金型1の上方に配置された上部部品として、上述の開閉機構21を備えている。上部部品は、鋳造装置50の動作に必要な部品である。例えばセンサ、配管、アクチュエータ等が上部部品として挙げられる。開閉機構21の第1油圧アクチュエータ22が油圧シリンダである場合、具体的には、油圧シリンダの端部の位置を検出する近接センサ(不図示)、及び油圧シリンダの配管(不図示)等が上部部品として挙げられる。油圧シリンダの近接センサ及び配管は、例えば上部フレーム5上に配置されている。
図4は、第1遮熱カバー及び第2遮熱カバーを拡大して示す断面図である。図5(a)は、第1遮熱カバーの下面図であり、図5(b)は、第2遮熱カバーの下面図である。図6は、第3遮熱カバーを拡大して示す側面図である。図1〜図6に示されるように、鋳造装置50は、鋳造装置用の第1遮熱カバー41、第2遮熱カバー42、及び第3遮熱カバー43を備えている。鋳造装置50では、装置起動前に上金型1及び下金型2の予熱処理が行われる。予熱処理は、型開きされた状態の上金型1及び下金型2の間の空間Sに配置されたバーナ等の熱源44を用いて行われる。鋳造装置50が連続運転される場合、予熱処理は省略される。図2及び図3では、熱源44の図示が省略されている。図3では、第3遮熱カバー43が破線で示されている。
予熱処理により加熱された空気は、上昇気流を生じる。これにより、上部部品が昇温され、特に油圧シリンダの近接センサ及び配管等が故障又は損傷するおそれがある。そこで、第1遮熱カバー41、第2遮熱カバー42、及び第3遮熱カバー43は、いずれも上金型1の下端1aよりも上方(すなわち空間Sよりも上方)に配置され、予熱処理における上部部品に対する熱を遮熱する。図4及び図6では、加熱された空気の流れHが矢印で示されている。
図2、図4及び図5(a)に示されるように、第1遮熱カバー41は、上金型1とともに昇降する上型ダイベース3の側面に取り付けられている。第1遮熱カバー41は、ラドル25の上方に位置し、上下方向においてラドル25と対向している。第1遮熱カバー41は、一対の板部材41a,41b(一対の第1板部材)と、流路41c(第1流路)と、取付部41d(第1取付部)と、入口整流板41e(第1整流板)と、出口整流板41f(第2整流板)と、を備えている。一対の板部材41a,41bは、例えばボルト等の連結部材41sにより互いに接続され、上下方向で互いに対向している。ここでは、板部材41aが上方、板部材41bが下方に配置されている。一対の板部材41a,41bは、平面視で矩形状を呈している。
流路41cは、一対の板部材41a,41bの間に形成された隙間である。流路41cは、上下方向から見て矩形状を呈している。流路41cは、空間S(図1参照)において加熱された空気が流入する入口41g(第1入口)と、入口41gに流入した空気が上下方向と交差する方向(具体的には水平方向)へ流出する出口41h(第1出口)と、を有している。上下方向から見て矩形状を呈する流路41cの三辺が入口41gに対応し、残りの一辺が出口41hに対応している。入口41gは、上部部品よりも下方に配置されている。出口41hは、入口41gよりも空間SからY方向において離間している。
入口整流板41eは、入口41gに設けられ、加熱された空気を下方の空間S(図1参照)から入口41gに導く。入口整流板41eは、板部材41aと一体的に形成されている。入口整流板41eは、入口41gに対応する板部材41aの縁部から、入口41gの周りを覆うように下方に延在する3つの板部材により構成されている。入口整流板41eは、入口41gに対応する板部材41bの縁部から離間している。つまり、板部材41aは、平面視で、少なくとも入口整流板41eと板部材41bの当該縁部との間の隙間の分だけ板部材41bよりも大きい。入口整流板41eを構成する3つの板部材のうち、最も空間S側に位置する板部材は、取付部41dとしても機能している。取付部41dは、第1遮熱カバー41を鋳造装置50に固定するための部材である。具体的には、取付部41dは、一対の板部材41a,41bを上金型1の下端1aよりも上方、かつ、上部部品よりも下方に取り付けるため部材である。取付部41dは、例えばボルト等の連結部材41tにより上型ダイベース3の側面に取り付けられている。
出口整流板41fは、出口41hに設けられ、出口41hから流出する空気の流れを整流する。出口整流板41fは、板部材41aと一体的に形成され、出口41hに対応する板部材41aの縁部から上方、かつ、鋳造装置50の外側に向かう方向に延在する板部材により構成されている。
図2、図4及び図5(b)に示されるように、第2遮熱カバー42は、上部フレーム5の下面に取り付けられている。第2遮熱カバー42は、第1遮熱カバー41よりも上方、かつ、上部部品よりも下方に配置されている。第2遮熱カバー42は、上下方向から見て、第1遮熱カバー41とY方向において並んで配置されている。第2遮熱カバー42は、上下方向から見て、第1遮熱カバー41よりも空間S(図1参照)からY方向において離間して配置されている。第2遮熱カバー42は、第1遮熱カバー41と組み合わせて用いられ、第1遮熱カバーにより制御される空気の流れを更に制御する。第2遮熱カバー42は、一対の板部材42a,42b(一対の第2板部材)と、流路42c(第2流路)と、取付部42d(第2取付部)と、入口整流板42e(第1整流板)と、を備えている。一対の板部材42a,42bは、例えばボルト等の連結部材42sにより互いに接続され、上下方向で互いに対向している。ここでは、板部材42aが上方、板部材42bが下方に配置されている。一対の板部材42a,42bは、平面視で矩形状を呈している。
流路42cは、一対の板部材42a,42bの間に形成された隙間である。流路42cは、上下方向から見て矩形状を呈している。流路42cは、出口41hから流出した空気が流入する入口42g(第2入口)と、入口42gに流入した空気が上下方向と交差する方向(具体的には水平方向)へ流出する出口42h(第2出口)と、を有している。上下方向から見て矩形状を呈する流路42cの三辺が入口42gに対応し、残りの一辺が出口42hに対応している。入口42gは、上部部品よりも下方に配置されている。出口42hは、入口42gよりも空間S(図1参照)からY方向において離間している。出口42hは、上部フレーム5及び上部部品よりも空間SからY方向において離間している。つまり、出口42hは、上下方向から見て、上部フレーム5及び上部部品と重なっていない。このため、出口42hから流出する空気は、上部部品に影響を与え難い。
入口整流板42eは、入口42gに設けられ、加熱された空気を下方に配置された第1遮熱カバー41の出口41hから入口42gに導く。入口整流板42eは、板部材42aと一体的に形成されている。入口整流板42eは、入口42gに対応する板部材42aの縁部から、入口42gの周りを覆うように下方に延在する3つの板部材により構成されている。入口整流板42eは、入口42gに対応する板部材42bの縁部から離間している。つまり、板部材42aは、平面視で、少なくとも入口整流板42eと板部材42bの当該縁部との間の隙間の分だけ板部材42bよりも大きい。入口整流板42eを構成する3つの板部材のうち、最も空間S(図1参照)側に位置する板部材は、出口整流板41fに接続されるように、他の板部材よりも下方まで延びている。
取付部42dは、板部材42aの一部であり、上部フレーム5の下面と対向している。取付部42dは、第2遮熱カバー42を鋳造装置50に固定するための部材である。具体的には、取付部42dは、一対の板部材42a,42bを一対の板部材41a,41bよりも上方、かつ、上部部品よりも下方に取り付けるため部材である。取付部42dは、例えば鉄もしくはセラミックスの耐熱性の断熱部材46を介して、ボルト等の連結部材42tにより、上部フレーム5の下面に取り付けられている。
図2及び図6に示されるように、第3遮熱カバー43は、上型ダイベース3において第1遮熱カバー41の反対側に取り付けられている。第3遮熱カバー43は、上型ダイベース3の上面の縁部に取り付けられている。第3遮熱カバー43は、一対の板部材43a,43bと、流路43cと、取付部43dと、出口整流板43f(第2整流板)と、を備えている。一対の板部材43a,43bは、例えばボルト等の連結部材43sにより互いに接続され、互いに対向している。ここでは、板部材43aが上方、板部材43bが下方に配置されている。一対の板部材43a,43bは、平面視で矩形状を呈している。一対の板部材43a,43bは、上下方向及び水平方向に対して傾斜している。
流路43cは、一対の板部材43a,43bの間に形成された隙間である。流路43cは、一対の板部材43a,43bの対向方向から見て矩形状を呈している。流路43cは、空間S(図1参照)において加熱された空気が流入する入口43gと、入口43gに流入した空気が上下方向と交差する方向(具体的には上方、かつ、鋳造装置50の外側に向かう方向)へ流出する出口43hと、を有している。一対の板部材43a,43bの対向方向から見て矩形状を呈する流路43cの三辺が入口43gに対応し、残りの一辺が出口43hに対応している。入口43gの少なくとも一部は、上部部品よりも下方に配置されている。出口43hは、入口43gよりも空間SからY方向及びZ方向において離間している。出口43hは、上部フレーム5及び上部部品よりも鋳造装置50の外側に配置され、上部フレーム5及び上部部品よりも空間SからY方向において離間している。つまり、出口43hは、上下方向から見て、上部フレーム5及び上部部品と重なっていない。このため、出口43hから流出する空気は、上部部品に影響を与え難い。
取付部43dは、入口43gに対応する板部材43aの縁部のうち、最も空間S(図1参照)側に位置する縁部から水平方向に延在する板部材により構成されている。取付部43dは、第3遮熱カバー43を鋳造装置50に固定するための部材である。具体的には、取付部43dは、一対の板部材43a,43bを上金型1の下端1aよりも上方に取り付けるための部材である。取付部43dは、例えばボルト等の連結部材43tにより上型ダイベース3の上面の縁部に取り付けられている。
出口整流板43fは、出口43hに設けられ、出口43hから流出する空気の流れを整流する。出口整流板43fは、板部材43aと一体的に形成され、出口43hに対応する板部材43aの縁部から出口43hの周りを覆うように、一対の板部材43a,43bの対向方向に延在する板部材により構成されている。出口整流板43fは、出口43hに対応する板部材43bの縁部から離間している。つまり、板部材43aは、平面視で、少なくとも出口整流板43fと板部材43bの当該縁部との間の隙間の分だけ板部材43bよりも大きい。一対の板部材43a,43bの対向方向における出口整流板43fの長さは、一対の板部材43a,43bの離間距離と同等である。
続いて、図7〜図14を参照して、鋳造装置50による鋳造方法の例について説明する。図7は、図1の鋳造装置による鋳造方法を示すフローチャートである。図8は、図1におけるA−A矢視図で、装置起動状態を説明するための図である。図9は、平行リンク機構の動作によって上下金型がスライドした第2離間状態を示し、製造工程の初期状態を説明するための図である。図10は、上金型と下金型とが型閉めされた型閉状態を説明するための図である。図11は、型閉めされた上金型及び下金型を90°回動した図である。図12は、上金型を途中位置まで引き上げた図である。図13は、上金型及び下金型がスライドして第1離間状態となった図である。図14は、図13の状態から上金型を上昇端まで引き上げた図である。なお、図8〜図14では、第1遮熱カバー41、第2遮熱カバー42、及び第3遮熱カバー43(図2参照)の図示が省略されている。
図7及び図8に示されるように、鋳造装置50は、電源起動時においては、上金型1は上昇端にあり、一対の主リンク部材7と一対の副リンク部材8とが、鋳造装置50の設置面に対して垂直をなしている(装置起動状態:ステップS11)。上述の予熱処理はこの状態で行われる。なお、鋳造装置50は、作業スペース(不図示)と給湯装置(不図示)との間に配置されている。鋳造装置50は、ラドル25がY方向で作業スペース(不図示)と対向するように配置されている。作業スペースは、中子納め等の作業を作業員が行うためのスペースである。給湯装置は、ラドル25に溶湯を給湯する装置である。また、鋳造装置50と作業スペースとの間には、例えばコンベア(不図示)が配置されている。コンベアは、鋳造装置50により鋳造された鋳物(鋳物製品)を搬送する装置である。コンベアは、例えば後工程の装置(例えば、製品冷却装置、砂落装置、製品仕上装置等)まで延びている。
続いて、図7及び図9に示されるように、鋳造装置50は、一連の鋳造工程の初期状態とされる(ステップS12)。鋳造装置50は、図8に示される状態から図9に示される初期状態へと変更される。ステップS12では、回転アクチュエータ16が駆動し、第1主リンク部材7aの傾動回転軸10が時計回転方向に回転する。本実施形態では、時計回転方向の回転を右回転とし、反対回転を左回転とする。これに伴い、平行リンク機構の作用により、上金型1と下金型2とが相反する方向に弧を描いてスライドする。具体的には、互いに対向した上金型1と下金型2とが傾動回転軸10を中心軸として右回転の円運動をすることにより、上金型1と下金型2とが水平方向に離間するように移動する。このとき、上金型1が給湯装置側に移動した状態(第2離間状態)となる。この第2離間状態が一連の鋳造工程の初期状態である。本実施形態では、下金型2が給湯装置側に移動した状態を第1離間状態とし、上金型1が給湯装置側に移動した状態を第2離間状態とする。つまり、第1離間状態(図13参照)は、回転アクチュエータ16によって上金型1が給湯装置から遠ざかる方向へ移動するとともに下金型2が給湯装置に近づく方向へ移動して、上金型1及び下金型2が水平方向に離間した状態である。第2離間状態(図9参照)は、回転アクチュエータ16によって上金型1が給湯装置に近づく方向へ移動するとともに下金型2が給湯装置から遠ざかる方向へ移動して、上金型1及び下金型2が水平方向に離間した状態である。
次に、中子34(図3参照)が下金型2の所定の位置に収められる(ステップS13)。中子34を収める中子納めは、例えば、作業員により行われる。中子34は、例えば、中子造型機(不図示)により造型される。第2離間状態では、下金型2は、上方が開放された状態であって、下金型2に取り付けられたラドル25が上金型1に接触しない状態となっている。このように、下金型2の上方が開放されているので、下金型2に中子34を安全に納めることができる。
続いて、鋳造装置50は、回転アクチュエータ16を駆動させて第1主リンク部材7aの傾動回転軸10を左回転して、図8の装置起動状態に一旦戻る(ステップS14)。続いて、図7及び図10に示されるように、鋳造装置50は、第1油圧アクチュエータ22を伸長して、上金型1と下金型2とを型閉めする(ステップS15)。このとき、上金型1の位置決めキー35と、下金型2のキー溝36とが嵌合し、上金型1と下金型2とが水平方向に固定される。また、型閉めにより、一対の主リンク部材7及び一対の副リンク部材8と、主リンク上部回転軸11、主リンク下部回転軸12、副リンク上部回転軸13、及び副リンク下部回転軸14とが回転しないようになり、上金型1、下金型2、上部フレーム5、下部フレーム6、一対の主リンク部材7及び一対の副リンク部材8が一体化する。
次に、上金型1と下金型2とが型閉めされた型閉状態となったときに、給湯装置がラドル25に溶湯を供給する(ステップS16)。続いて、図7及び図11に示されるように、鋳造装置50は、回転アクチュエータ16を駆動させて第1主リンク部材7aの傾動回転軸10を概ね90°左回転させて、上金型1と下金型2とを傾動状態とする(ステップS17)。これにより、副リンク中央部回転軸15が、ベースフレーム17の上面から移動する。これに伴い、型閉めされて一体化された上金型1、下金型2、上部フレーム5、下部フレーム6、一対の主リンク部材7及び一対の副リンク部材8が回転して、ラドル25内の溶湯が上金型1と下金型2との間に形成されるキャビティに傾動注湯される(ステップS18)。
上記ステップS18の工程が終了した後、図11の状態を所定時間保持して、注湯された溶湯の凝固(冷却)を待つ(ステップS19)。なお、上記のとおり、ここでは回転アクチュエータ16を駆動させて第1主リンク部材7aの傾動回転軸10を概ね90°左回転しているが、45°〜130°の範囲内の所要の角度で回転させてもよいし、45°〜90°の範囲内の所要の角度で回転させてもよい。
続いて、鋳造装置50は、回転アクチュエータ16を駆動させて第1主リンク部材7aの傾動回転軸10を右回転させて、図10の状態に一旦戻る(ステップS20)。続いて、下金型2からの抜型及び型開きを並行して行う(ステップS21)。図7及び図12に示されるように型開きが行われ、同時に下金型2からの抜型も行われる。型開きは、鋳造装置50が第1油圧アクチュエータ22を動作することで開始する。そして、第1油圧アクチュエータ22の短縮動作と同時に、第2油圧アクチュエータ30の伸長動作が開始される。第2油圧アクチュエータ30が伸長することにより、下金型2に内蔵された押出しピン26(図3参照)が押し出される。これにより、上金型1及び下金型2内で溶湯が凝固して成る鋳物(不図示)が下金型2から抜型され、上金型1に保持された状態となる。そして、鋳造装置50は、所定の位置まで上金型1を上昇させて、型開きを完了する。所定の位置は、押し棒29の先端と上金型1の押出し板28の上面とが接触しない位置である。言い換えれば、所定の位置は、押し棒29の先端と上金型1の押出し板28の上面との間に隙間がある位置である。
次に、図7及び図13に示されるように、鋳造装置50は、回転アクチュエータ16を駆動させて第1主リンク部材7aの傾動回転軸10を左回転させる(ステップS22)。平行リンク機構の作用により、鋳造装置50は、上金型1と下金型2とを弧を描いてスライドさせ、水平方向に離間させる。このとき、上金型1がコンベア側に移動した状態、すなわち、下金型2が給湯装置に近づく方向に移動した第1離間状態となる。このときの回転アクチュエータ16の左回転の角度は、上金型1の下方が開放された状態となる30°〜45°程度とする。
次に、図7及び図14に示されるように、鋳造装置50は、第1油圧アクチュエータ22を短縮することにより、上金型1を上昇端まで上昇させる。これにより、押し棒29の先端が上金型1に内蔵されている押出し板28を介して、押出しピン26(図3参照)を上金型1に対して相対的に押出す。この結果、上金型1に保持されていた鋳物が上金型1から抜型される(ステップS23)。上金型1から抜型された鋳物は落下し、上金型1の下方に設けられたコンベア上に受け取られる。即ち、コンベアは鋳物を受け取る受け取り部としても機能する。その後、鋳物は、コンベアにより、例えば、製品冷却装置、砂落装置、及びバリ取りを行う製品仕上装置等へと搬送される。
続いて、図7に示されるように、鋳造装置50は、回転アクチュエータ16を駆動させて第1主リンク部材7aの傾動回転軸10を右回転させる(ステップS24)。これにより、鋳造装置50は、初期状態に戻る(図9参照)。以上のようにして、一連の鋳造工程が完了し、鋳造装置50により鋳物が鋳造される。また、連続して鋳造工程を行う場合には、ステップS13の中子セット工程から処理を繰り返すことにより、鋳物を連続して鋳造することができる。
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係る鋳造装置の正面図である。図16は、図15の鋳造装置の側面図である。図15及び図16に示されるように、第2実施形態に係る鋳造装置50Aは、主に、下金型2を昇降する開閉機構21が下部フレーム6に設けられる点と、第2油圧アクチュエータ30が上部フレーム5に設けられる点と、第1遮熱カバー41及び第2遮熱カバー42(図2参照)の代わりに、第1遮熱カバー41Aが設けられる点とで、第1実施形態に係る鋳造装置50と相違している。開閉機構21が下部フレーム6に設けられることにより、鋳造装置50Aでは、下金型2が昇降可能とされている。下型ダイベース4は、下金型2とともに昇降する。以下では、第2実施形態に係る鋳造装置50Aと第1実施形態に係る鋳造装置50との相違点を中心に説明し、共通する説明は省略する。
図17は、図15において上金型及び下金型の断面を示す図である。図17に示されるように、鋳造装置50Aでは、第2油圧アクチュエータ30が上部フレーム5に設けられ、押出し機構37が下部フレーム6に設けられている。鋳造装置50Aは、上部部品として、開閉機構21の代わりに、第2油圧アクチュエータ30を備えている。第2油圧アクチュエータ30が油圧シリンダである場合、具体的には、油圧シリンダの端部の位置を検出する近接センサ(不図示)、及び油圧シリンダの配管(不図示)等が上部部品として挙げられる。油圧シリンダの近接センサ及び配管は、例えば上部フレーム5上に配置されている。
鋳造装置50Aでは、押出し板28は、下金型2の下端側の内部に形成された内部空間に配置される。各押出しピン26は、押出し板28の上面に設けられている。各押出しピン26は、下金型2の内部空間から鋳物を形成するキャビティへ貫通する孔を昇降する。各押出しピン26は、その先端でキャビティ内の鋳物を押し出す。各リターンピン27は、押出し板28の上面の押出しピン26とは異なる位置に設けられている。各リターンピン27は、下金型2の内部空間から下金型2の上面へ貫通する孔を昇降する。各リターンピン27は、上金型1と下金型2とが型閉めされる過程で、その先端が上金型1の下面に突き当てられることで押出し板28を下降させる。
各押し棒29は、下部フレーム6の上面に設けられている。各押し棒29は、下部フレーム6の上面に、下型ダイベース4を貫通して配設されている。各押し棒29は下金型2の下面から内部空間へ貫通する孔に挿入された状態で、その先端が該内部空間内の押出し板28の下方に配置される。各押し棒29の長さは、第1油圧アクチュエータ22が短縮して下金型2が下降端になったとき、押出し板28を押し上げる長さに設定されている。即ち、各押し棒29は、下金型2の下面から、下金型2の下部位置に形成された内部空間へ貫通する孔を通って該内部空間内に所定長さ進入され、押出し板28の下降を阻止する。
第1遮熱カバー41Aは、Y方向における長さの点で、第1遮熱カバー41(図2参照)と相違している。第1遮熱カバー41AのY方向における長さは、第1遮熱カバー41のY方向における長さと、第2遮熱カバー42(図2参照)のY方向における長さとの和と同等である。出口41hは、上部フレーム5及び上部部品よりも鋳造装置50の外側に配置され、上部フレーム5及び上部部品よりも空間SからY方向において離間している。つまり、出口41hは、上下方向から見て、上部フレーム5及び上部部品と重なっていない。このため、出口41hから流出する空気は、上部部品に影響を与え難い。第1遮熱カバー41Aから上部フレーム5に熱が伝わることを抑制するため、第1遮熱カバー41Aと上部フレーム5の下面との間には、例えば、耐熱性の断熱部材(不図示)が配置されている。
鋳造装置50Aによる鋳造方法では、上記ステップS21において、上金型1からの抜型及び型開きを並行して行う。具体的には、鋳造装置50Aは、下部フレーム6に設けられた開閉機構21により、下金型2を下降させて、上金型1と下金型2との型開きを開始する。これと同時に、上部フレーム5に設けられた第2油圧アクチュエータ30の伸長動作を開始する。第2油圧アクチュエータ30の伸長により、上金型1に内蔵された押出しピン26を押し出す。これにより、上金型1及び下金型2内で溶湯が凝固して成る鋳物(不図示)が上金型1から抜型され、下金型2に保持された状態となる。また、上記工程S23において、下金型2からの抜型を行う。具体的には、開閉機構21により、下金型2を下降端まで下降させる。これにより、押し棒29の先端が下金型2に内蔵されている押出し板28を介して、押出しピン26を下金型2に対して相対的に押出す。この結果、下金型2に保持されていた鋳物が下金型2から抜型される。
以上説明したように、鋳造装置50の第1遮熱カバー41、及び鋳造装置50Aの第1遮熱カバー41Aにおいては、一対の板部材41a,41bは取付部41dによって上金型1の下端1aよりも上方に取り付けられている。同様に鋳造装置50,50Aの第3遮熱カバー43においては、一対の板部材43a,43bは取付部43dによって上金型1の下端1aよりも上方に取り付けられている。このため、型開きされた状態の上金型1と下金型2との間の空間Sにおいて予熱処理により加熱された空気が上昇気流を生じ、一対の板部材41a,41b、及び一対の板部材43a,43bに達する。
一対の板部材41a,41bの間には、隙間からなる流路41cが形成されているので、加熱された空気は、流路41cの入口41gに流入し、流路41c内で加速されて(隙間風効果)、流路41cの出口41hから水平方向(鋳造装置50の外側)へ流出する。同様に、一対の板部材43a,43bの間には、隙間から成る流路43cが形成されているので、加熱された空気は、流路43cの入口43gに流入し、流路43c内で加速されて(隙間風効果)、流路43cの出口43hから上方、かつ、鋳造装置50の外側に向かう方向へ流出する。このように、第1遮熱カバー41,41A及び第3遮熱カバー43は、加熱された空気の流れHを流路41c及び流路43cにより制御し、当該空気を上下方向と交差する方向へ流出させることができるので、当該空気が上方に向うことを抑制することができる。これにより、鋳造装置50,50Aは、上金型1及び下金型2の予熱処理に伴う上部部品の昇温を抑制することができる。このように鋳造装置50,50Aでは、送風機を用いずに、加熱された空気の流れHが制御できるので、静音性を高めることができる。
鋳造装置50は、第2遮熱カバー42を更に備えている。第2遮熱カバー42は、一対の板部材42a,42bを備え、一対の板部材42a,42bの間には流路42cが形成されている。第1遮熱カバー41の流路41cの出口41hから流出した空気は、流路42cの入口42gに流入し、流路42c内で加速されて、流路42cの出口42hから垂直方向と交差する方向へ流出する。このように、鋳造装置50は、第1遮熱カバー41と第2遮熱カバー42との組み合わせにより、加熱された空気の流れHを流路41cにより制御した後、流路42cにより更に制御することができる。
鋳造装置50では、第1遮熱カバー41は第2遮熱カバー42と組み合わせて用いられるため、鋳造装置50Aで用いられる第1遮熱カバー41Aに比べて、Y方向における長さを短くすることができる。したがって、鋳造装置50では、ラドル25に溶湯を供給する給湯装置の動きが第1遮熱カバー41により阻害され難い。
鋳造装置50では、開閉機構21は、上金型1を昇降することによって上金型1及び下金型2の型閉め及び型開きを行い、第1遮熱カバー41は、上金型1とともに昇降する上型ダイベース3に取り付けられている。第2遮熱カバー42は、上部フレーム5に取り付けられている。したがって、鋳造装置50は、第1遮熱カバー41と第2遮熱カバー42とを別々に動作させることができる。
鋳造装置50の第1遮熱カバー41、及び鋳造装置50Aの第1遮熱カバー41Aは入口整流板41eを備えている。更に、鋳造装置50では、第2遮熱カバー42が入口整流板42eを備えている。したがって、鋳造装置50,50Aは、加熱された空気の流れHを更に制御することができる。
鋳造装置50,50Aでは、第1遮熱カバー41は、出口整流板41fを備えている。同様に、第3遮熱カバー43は、出口整流板43fを備えている。したがって、鋳造装置50,50Aは、加熱された空気の流れHを更に制御することができる。
鋳造装置50は、平行リンク機構により動作する。このような鋳造装置50においても、第1遮熱カバー41、第2遮熱カバー42、及び第3遮熱カバー43により、上金型1及び下金型2の予熱処理に伴う上部部品の昇温が抑制される。同様に、鋳造装置50Aは、平行リンク機構により動作する。このような鋳造装置50Aにおいても、第1遮熱カバー41A及び第3遮熱カバー43により、上金型1及び下金型2の予熱処理に伴う上部部品の昇温が抑制される。
以上、各実施形態について説明したが、本開示は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、入口整流板41e及び出口整流板41fは、板部材41aに限らず、板部材41bと一体的に形成されていてもよい。入口整流板42eは、板部材42aに限らず、板部材42bと一体的に形成されていてもよい。出口整流板43fは、板部材43aに限らず、板部材43bと一体的に形成されていてもよい。第2遮熱カバー42は、出口整流板を更に備えていてもよい。第3遮熱カバー43は、入口整流板を更に備えていてもよい。
第2油圧アクチュエータ30により、上金型1又は下金型2からの鋳物の抜型を行う代わりに、スプリングで押出し板28を押し出してもよい。その場合、上金型1及び下金型2の型閉め時に上金型1により下金型2のリターンピン27を押し下げて押出しピン26を下げることになり、型閉め力がリターンピン27の押し下げ力分相殺されることになるが、アクチュエータ数を減らすことができる。
また、鋳造装置50,50Aを複数配置してもよい。このとき、給湯装置により給湯可能であれば、鋳造装置50,50Aの配置に制限はない。また、中子納めは作業員によらず、例えば、多関節構造のアームを備えた中子納め用ロボットによって行われてもよい。また、開閉機構21は、上金型1及び下金型2の両方を昇降させてもよい。