JP6742069B2 - 有機物含有水の生物処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機物含有水の生物処理方法及び生物活性化剤に関し、更に詳しくは、生物の活性低下がみられる有機物含有水の処理プロセスに対して、簡便な方法で安定的に生物を活性化させ、生物処理性能の向上、更には生物処理速度の促進を可能とする有機物含有水の生物処理方法及び生物活性化剤に関する。
従来より、下水や汚水や工場排水等の種々の有機物含有水の浄化処理では、活性汚泥を用いて、有機物を生物分解処理することが一般的に行われている。そして、より効率のよい処理を行うことや、処理後に生じる余剰汚泥の減容化を目的とした提案が種々になされている。また、大量の余剰汚泥を生じることから、派生技術として、余剰汚泥を脱水乾燥後の焼却灰を利用する技術についての提案もされている(特許文献1、2)。また、焼却灰を有効利用するといった観点から、排水に含まれる有機汚濁成分ならびに無機成分のバランスが、必ずしも生物処理に適した状態のものではない場合がある点に着目して、このような排水に対して、余剰汚泥や食品残渣等の有機性廃棄物の焼却灰を添加する技術が提案されている(特許文献3)。そして、焼却灰中のリンをはじめとし、各種の成分が生物処理の効率向上に無視できないものになっているとしており、焼却灰を添加することで、脱水ケーキの含水率も低くなり、脱水性が改善するとしている。
特開2004−67493号公報 特開平9−111238号公報 特開2010−253437号公報
上記した従来技術を踏まえて本発明者らは検討する過程で、従来技術にも記載されているように、処理施設・処理設備によっては、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷が生じる場合があることを確認した。そして、処理性能の低迷が特に問題となっている具体的なものとしては、有機物分解速度の低下や、処理水におけるCODの残存、汚泥の凝集性不良や沈降性不良、反応槽内で生じる粘性増大、沈殿槽での上澄水の白濁等が挙げられる。また、これらを引き起こす原因は様々であるが、本発明者らの検討によれば、従来技術に記載されているように、無機成分の不足や偏りである場合も少なくないと考えられる。
先に述べたように、そのような場合に、無機成分の調整剤として、余剰汚泥や食品残渣等の有機性廃棄物を焼却した焼却灰を添加することが提案されており、実際の処理においても処理性能の改善がみられる場合がある。
しかしながら、余剰汚泥や食品残渣等の有機性廃棄物の焼却灰は、有機性廃棄物の種類によっても異なり、また、極めて多くの種類の成分が含有されており、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷の改善効果に対して、実際に、その中のいかなる成分が有効に働いているかについての解明はなされていない。当然のことながら、このことに加えて、その未知の有効成分が、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷に対する改善効果を確実に得るための必要添加量も不明である。
本発明者らは、上記した、余剰汚泥や食品残渣等の有機性廃棄物の焼却灰を添加した場合に、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷を改善する効果が認められるという事実に基づき、焼却灰を構成する多種の成分の中に、上記効果を顕著に発現できる有効な成分が存在するのではないかとの認識を持つに至った。すなわち、従来、知られていなかった、生物の生命活動を活性化させることができる有効成分を見出すことができれば、焼却灰を使用するとしても、より効果的な使用を可能にすることもでき、或いは、下記に述べる使い勝手に劣る焼却灰を使用することなく、より確実に安定した状態で、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷を改善する効果を得ることも可能になるので、工業的に極めて有用である。
焼却灰を構成する成分は、有機性廃棄物によって異なり、また、成分によっては微量であることも多く、有効成分の含有量が極めて少なく、焼却灰を添加したとしても効果が得られない場合があることが考えられる。また、含有量が多くても有効成分の溶出が不安定である等の問題もあり、更に、焼却灰は低密度の粉末状であるため、添加の際等における取り扱い性に劣るという課題もある。このため、余剰汚泥や食品残渣等の有機性廃棄物の焼却灰を使用する場合、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷を改善する効果が確実に得られる定常的な添加を行うことは、容易ではない。更に、焼却灰には、一般的に多くの成分が含まれているため、場合によっては、生物の生命活動の活性化に対する阻害成分をも含有したものである可能性もあり、焼却灰を使用する場合は、添加濃度の設定が難しいといった課題もある。上記したように、余剰汚泥や食品残渣等の有機性廃棄物の焼却灰を使用することは、資源の有効利用という点からは推奨されるものの、産業用の薬品としての完成度に劣り、完成度を高める必要がある。
したがって、本発明の目的は、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷を改善できる有効成分を見出すことで、焼却灰を使用するとしても、より効果的な使用を可能にすることができ、或いは、使い勝手に劣る焼却灰を使用することなく、より確実に安定した状態で、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷を改善する効果が確実に得られる、有機物含有水の生物処理方法を提供することにある。また、本発明の目的は、処理性能の低迷時における焼却灰等の添加に代わり得る、汎用性・即効性に優れ、また取り扱いの容易な、生物活性化剤(処理性向上薬剤)、該薬剤を用いることで、より容易な生物活性化方法(処理性能向上方法)を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、有機物含有水を生物処理する際に、処理系に、生物を活性化させて有機物の生物分解処理を促進させるために、硫黄(S)分を添加することを特徴とする有機物含有水の生物処理方法を提供する。
上記した本発明の有機物含有水の生物処理方法の好ましい形態としては、下記のことが挙げられる。すなわち、前記硫黄(S)分を、BOD100mg/Lに対して、少なくともSとして0.15mg/L以上となるように添加すること;更に、前記処理系に、生物の活性を向上させるために、マグネシウム(Mg)分を添加すること;である。
また、本発明は、別の実施形態として、硫黄分がBOD100mg/Lに対して少なくとも0.15mg/L以上存在する有機物含有水を生物処理する際に、処理系に、生物の活性を向上させるために、マグネシウム(Mg)分を添加することを特徴とする有機物含有水の生物処理方法を提供する。
上記に挙げたいずれかの有機物含有水の生物処理方法の好ましい形態としては、下記のことが挙げられる。すなわち、前記有機物含有水が、灰分が400mg/L以下のミネラル成分が少ない水であること;前記有機物含有水が、灰分が、前記BODの1/5以下であるミネラル成分が相対的に少ない水であること;前記有機物含有水が、下水、汚水、工場排水、事業所排水、厨房排水、汚れた河川水、汚れた湖沼水、廃棄物処分場等からの流出水、有機物によって汚染された海水又は養殖等の生体飼育排水の少なくともいずれかであること;である。
また、本発明は、別の実施形態として、上記いずれかの有機物含有水の生物処理方法に用いるための生物活性化剤であって、有機又は無機の硫黄含有化合物及び/又は水中でマグネシウムイオンを生じ得る化合物を含有してなることを特徴とする生物活性化剤を提供する。
本発明の生物活性化剤の好ましい形態としては、前記硫黄含有化合物が、硫酸或いはその塩、チオ硫酸或いはその塩、亜硫酸塩、スルファミン酸或いはその塩、システイン、メチオニン、アルキルチオール、チオエステル類、チオエーテル類及びチオグリコール類からなる群から選ばれる少なくともいずれかを含有してなること;前記水中でマグネシウムイオンを生じ得る化合物が、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マグネシウム有機塩として酢酸マグネシウム等からなる群から選ばれる少なくともいずれかを含有してなることが挙げられる。例えば、MgSO4であれば、硫黄含有化合物と、水中でマグネシウムイオンを生じ得る化合物のいずれの役割も果たすので、本発明における生物活性化剤の有用な材料となる。
本発明によれば、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷を改善できる有効成分として、処理系に硫黄(S)分を、BODに対して特定量存在させるという簡易な手段で、より確実に安定した状態で、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷を改善する効果が確実に得られる、有機物含有水の生物処理方法が提供される。更に、本発明では、処理系に、硫黄(S)分に加えて、マグネシウム(Mg)分を存在させることが、硫黄分による生物の活性化を補助する効果が得られことを見出し、より良好な有機物含有水の生物処理の達成を可能にしている。また、本発明によれば、良好な有機物含有水の生物処理の達成を可能にできる、処理性能の低迷時における焼却灰等の添加に代わり得る、汎用性・即効性に優れ、また取り扱いの容易な、生物活性化剤(処理性向上薬剤)が提供される。
処理系における硫黄の存在によって達成された生物の活性不良に対する改善効果を示すグラフである。 処理系における硫黄の存在、更には硫黄とマグネシウムの存在によって達成された生物の活性不良に対する改善効果を示すグラフである。 本発明の処理方法によって達成された生物の活性不良の改善を示すグラフである。
以下、好ましい実施形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明者らは、先述した従来技術の課題に対して、まず、種々の焼却灰の中でも、添加することで、生物の活性不良に起因する処理性能の低迷を改善できた焼却灰を選択し、更に、選択した焼却灰について詳細な分析を行った。そして、含まれていた多くの成分のそれぞれについて、生物の活性不良に対する改善との関連性を調べた。その結果、驚くべきことに、活性の低下した生物の活性化の効果に対しては、有機物含有水の生物処理においてこれまで注目されることのなかった硫黄(S)分が、従来より生物処理において必須の成分であるとされている、窒素(N)分やリン(P)分と同様、必要不可欠な成分であることを見出して本発明に至った。
本発明者らは、更なる検討をした結果、生物の処理系に、硫黄(S)分を、BOD100mg/Lに対して、Sとして0.15mg/L以上、より好ましくは0.18mg/L以上、存在させて処理することで、活性不良を起こしていた生物を活性化させることができることがわかった。本発明者らの検討によれば、生物の活性不良の改善は、処理系の状態を、窒素(N)分とリン(P)分と、更に、これらに加えて、必須成分として硫黄(S)分を存在させることが重要であり、特に、特定量以上の硫黄(S)分を存在させた状態で処理することが好ましいことがわかった。より具体的には、活性不良を起こしていた生物が活性化する処理系の好適な条件としては、BODに対する硫黄(S)分の存在比率を、BOD:S=100:>0.15とすることにある。
本発明者らの検討によれば、有機物含有水の生物処理では、処理系に、窒素分やリン分と同様に、硫黄(S)分が必要不可欠であり、このように構成することで、生物を活性化させて有機物の生物分解処理を促進させることができることがわかった。本発明の処理方法において、上記効果をより確実なものとするためには、より好適には、処理系に、硫黄分を添加することで、BOD100mg/Lに対して、硫黄分をSとして0.15mg/L以上存在させるようにすればよい。添加する硫黄分は、無機系或いは有機系のいずれの形態のものであってもよく、場合によっては生物由来の硫黄分であってもよい。具体的には、硫酸或いはその塩、チオ硫酸或いはその塩、亜硫酸塩、スルファミン酸或いはその塩等の無機系の化合物、システイン、メチオニン、アルキルチオール、チオエステル類、チオエーテル類及びチオグリコール類等の有機系の化合物等が挙げられる。これらは薬剤として添加してもよいが、処理系に、本発明で規定するような量、存在させることができればいずれでもよく、例えば、有機性廃棄物の焼却灰や、これらの成分を含む廃液や廃棄物を利用してもよい。より具体的には、処理対象の有機物含有水に、硫黄(S)分を多く含む廃液や廃棄物を添加して、処理系内における硫黄(S)分の量が、例えば、BOD100mg/Lに対して、少なくともSとして0.15mg/L以上となるように構成すればよい。
更に、本発明者らは、上記したように、処理系における硫黄(S)分が、活性不良を起こしていた生物を活性化することに対して顕著な効果を発揮することを見出したことに加え、処理系に、更に、マグネシウム(Mg)分を併存させると、硫黄(S)分を存在させたことによる効果の発現を補助する機能が発揮されることも見出した。すなわち、処理系に、硫黄(S)分と共にマグネシウム(Mg)分とを存在させると、活性不良を起こしていた生物の活性化に対する効果がより高まることがわかった。従って、処理系に、硫黄分の添加と、マグネシウム(Mg)分の添加を行うことによって、本発明の効果が得られることは勿論であるが、処理系に必要不可欠な成分である硫黄分が十分に存在しているような有機物含有水、例えば、BOD100mg/Lに対して少なくとも0.15mg/L以上存在しているような有機物含有水に対して、マグネシウム(Mg)分を添加することによっても本発明の顕著な効果が得られる。
本発明で使用するマグネシウム(Mg)分としては、特に限定されないが、水中でマグネシウムイオンを生じ得る化合物が好ましい。具体的には、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マグネシウム有機塩として酢酸マグネシウム等が挙げられる。硫酸マグネシウムを使用した場合は、先に挙げた硫黄(S)分の添加と同時にマグネシウム(Mg)分の添加ができる。
本発明の有機物含有水の生物処理方法は、従来より、生物による有機物の処理が行われてきた、例えば、下水、汚水、各種工場排水、各種事業所排水、厨房排水、汚れた河川水、汚れた湖沼水、廃棄物処分場等からの流出水、有機物によって汚染された海水又は養殖等の生体飼育排水等から選ばれるいずれの有機物含有水にも適用できる。特に、灰分が400mg/L以下のミネラル成分が少ない水や、灰分が、BODの1/5以下である、BODに対してミネラル成分が相対的に少ない水に適用する技術として有用である。すなわち、本発明者らの検討によれば、このような水は、窒素(N)分やリン(P)分と同様に必須となる硫黄(S)分が不足している場合が多く、この状態を改善して本発明で規定する処理系とすることで、本発明の顕著な効果を得ることができ、処理効率をより高めることができる。また、上記に挙げた水は、硫黄(S)分による生物の活性化を補助するマグネシウム分が不足していることも多く、処理系におけるこれらの成分を調整することで、活性不良を起こした生物の活性化をより促進することができる。
しかし、本発明の有機物含有水の生物処理方法の対象は、これらの水の処理に限定されるものでなく、いずれの有機物含有水の生物処理においても適用できる。すなわち、本発明の最大の技術的特徴は、活性不良を起こしている生物を活性化させるためには、生物の処理系に、硫黄(S)成分をBODに対して十分に存在させることの重要性を見出した点にあり、処理系に硫黄(S)成分を添加することで、好ましくは、処理系中の硫黄(S)分を本発明で規定する状態とすることで、活性不良を起こした生物を活性化させることができ、有機物の生物分解処理を促進させることができるという顕著な効果が達成される。従って、本発明は、生物を用いたいずれの水処理系にも適用可能な技術である。また、本発明では、上記に加えて、処理系にマグネシウム(Mg)成分を存在させるという簡便な手段で、上記硫黄(S)成分が果たす機能を補助する機能を実現させ、有機物の生物分解処理を促進させる効果を得ている。従って、この点でも、本発明を実施することは、いずれの水処理系においても適用可能であり、適用性の高い技術である。
上記したように本発明の有機物含有水の生物処理方法では、処理系に硫黄(S)成分を添加して、或いは、硫黄(S)分がBOD100mg/Lに対して少なくとも0.15mg/L以上であるような十分に存在している処理系では硫黄を添加する必要はないが、いずれにしても硫黄(S)分が十分に存在している処理系に、好適にはマグネシウム(Mg)成分を処理系に存在させることを行う。硫黄(S)分とマグネシウム(Mg)の両方を処理系に添加する場合は、これらの成分をそれぞれに添加してもよいが、好適な状態に各成分を調整した生物活性化剤を使用することも好ましい形態である。例えば、先に挙げたような有機又は無機の硫黄含有化合物と、水中でマグネシウムイオンを生じ得る先に挙げたような化合物とを含有してなる生物活性化剤を用いることが有効である。勿論、混合物とせずに、異なる種類の薬剤をセットとして構成した生物活性化剤であってもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。ただし、これらの実施例は本発明の単なる例示であって、本発明の限定を意図するものではない。
〔検討1:硫黄(S)成分が存在することの有効性の検証試験−1〕
下記に性状を示した活性の低下した活性汚泥を用いて、処理系に、生物活性化剤を添加して、下記のようにして有機物の処理性能の促進効果を評価した。以下、処理系の状態を変化させる目的で添加したものを生物活性化剤と呼ぶ。
実在する化学工場からの廃水、並びに、同工場で使用している廃水処理設備から反応槽の活性汚泥を採取し、これらを用いて下記のようにして試験を行った。試験に用いた廃水は、化学工場から排出される廃水であり、その性状は、表1に示した通り、pH6.5、BOD=2000mg/L、SS=100mg/L、全窒素=150mg/L、全リン=30mg/L、蒸発残留物=220mg/L、全硫黄=1.5mg/L、全Mg=0.8mg/Lであった。なお、表1中に、BOD100mg/Lに対する各成分の量を換算して示した。
Figure 0006742069
試験に用いた処理系を構成する活性汚泥には、化学工場の廃水処理設備の反応槽から採取した活性の低下した活性汚泥を用いた。その性状はpH7.8、MLSS=4000mg/Lであった。
(試験方法)
前記した活性が低下した活性汚泥に対して30分間曝気を行い、好気状態にした後、先に示した性状の現場廃水を添加して模擬処理を行った。その際における処理系の状態を表2にまとめて示した。処理系の状態を変化させて処理することで、硫黄(S)成分が存在することによる生物が活性化する発現効果を、実施例及び比較例の各処理系における溶解性CODをそれぞれ測定することで確認した。表2に試験条件をまとめて示し、合わせて表2に測定結果をまとめて示した。また、図1に試験結果をグラフ化して示した。
(比較例1)
500mL容量のバッフル(邪魔板)付き三角フラスコに、活性が低下した活性汚泥を200mL入れ、廃水を50mL添加した後、30℃の恒温室で振盪培養した。そして、培養開始から12時間後に汚泥混合液を採取し、遠心分離及び5Cのろ紙によるろ過で固液分離し、処理水を得た。この処理水の溶解性CODの分析を行った。この際の溶解性CODの分析は、工場排水試験方法「JIS K−0102」に準拠して行った(以下も同様)。
(実施例7)
500mL容量のバッフル付き三角フラスコに、活性が低下した活性汚泥を200mL入れ、さらに廃水50mLに生物活性化剤としてNa2SO4を4.4mg/L添加したもの(全S=2.5mg/L)を入れ、30℃の恒温室で振盪培養した。そして、培養開始から12時間後の時点で汚泥混合液を採取し、採取試料について、溶解性CODの分析を行った。この例における処理系の状態では、廃水のBOD100mg/Lに対して全S量は0.125mg/Lとなっている。
(実施例1)
500mL容量のバッフル付き三角フラスコに、活性が低下した活性汚泥を200mL入れ、さらに廃水50mLに生物活性化剤としてNa2SO4を8.9mg/L添加したもの(全S=3.5mg/L)を入れ、30℃の恒温室で振盪培養した。そして、培養開始から12時間後の時点で汚泥混合液を採取し、溶解性CODの分析を行った。この例における処理系の状態では、廃水BOD100mg/Lに対して全S量は0.175mg/Lとなっている。
(実施例2)
500mL容量のバッフル付き三角フラスコに、活性が低下した活性汚泥を200mL入れ、さらに廃水50mLに生物活性化剤としてNa2SO4を16mg/L添加したもの(全S=5.1mg/L)を入れ、30℃の恒温室で振盪培養した。そして、培養開始から12時間後の時点で汚泥混合液を採取し、溶解性CODの分析を行った。この例における処理系の状態では、廃水BOD100mg/Lに対して全S量は0.255mg/Lとなっている。
Figure 0006742069
表2及び図1に示した通り、活性の低い汚泥に、廃水だけを入れた場合(比較例1)と、各生物活性化剤をそれぞれの量添加した場合(実施例7、実施例1及び2)とを、同じ培養時間で比較すると、生物活性化剤を入れた場合の方が、廃水中の有機物(溶解性COD)が減少することが確認できた。また、処理系において、全S量が、廃水のBOD100mgに対して、Sとして、少なくとも0.175mg以上である場合に、生物の活性化の効果が顕著に認められるようになることがわかった。
〔検討2:硫黄(S)成分と共にマグネシウム(Mg)成分が存在することの有効性の検証試験−2〕
先に性状を示した活性の低下した活性汚泥を用いて、処理系に、生物活性化剤を添加して、下記のようにして有機物分解速度の向上効果を評価した。表3に試験条件をまとめて示し、また、表4及び図2に試験結果をまとめて示した。
(実施例3)
500mL容量のバッフル付き三角フラスコに、活性が低下した活性汚泥を200mL入れ、さらに廃水50mLに生物活性化剤としてNa2SO4を8.9mg/L添加したもの(全S濃度=3.5mg/L)を入れ、30℃の恒温室で振盪培養した。そして、培養開始時、培養開始から3時間後、6時間後、9時間後、12時間後のそれぞれの時点で、汚泥混合液を採取し、溶解性CODの分析をそれぞれ行った。この例の場合の処理系中の状態では、全Sは、廃水中のBOD100mg/Lに対して0.175mg/Lとなっており、また、全Mgは、廃水由来のみであり、廃水中のBOD100mg/Lに対して0.04mg/Lとなっている。
(実施例4)
500mL容量のバッフル付き三角フラスコに、活性が低下した活性汚泥を200mL入れ、さらに廃水50mLに生物活性化剤として、Na2SO4を8.9mg/Lと、MgCl2を7.8mg/L添加したものを入れ、30℃の恒温室で振盪培養した。そして、培養開始時、培養開始から3時間後、6時間後、9時間後、12時間後のそれぞれの時点で、汚泥混合液を採取し、溶解性CODの分析をそれぞれ行った。この例の場合の処理系中の状態では、全Sは、廃水中のBOD100mg/Lに対して0.175mg/Lとなっており、また、全Mgは、廃水中のBOD100mg/Lに対して0.14mg/Lとなっている。
実施例3と4に関して、生物活性化剤の添加濃度及びその際の、全S濃度と全Mg濃度を表3中に示した。また、表4と図2に、試験開始から各培養時間における汚泥混合液中の溶解性COD分析結果を示した。
Figure 0006742069
Figure 0006742069
表4及び図2に示した通り、活性の低い汚泥に、各生物活性化剤を添加した実施例3と4を比較すると、硫黄成分が一定であるにもかかわらず、実施例4では、Mg成分を添加させたことで、溶解性COD値の減少の程度がより減少する結果が得られた。このことから、処理系に、硫黄に加えてMgを併存させることで、生物が活性化され、その有機物処理性能が向上する効果が確認できた。
〔検討3:硫黄(S)成分とMg成分が存在することの有効性の検証試験−3〕
先に用いたと同様の活性の低下した活性汚泥を用い、有機物含有水の生物処理において、生物活性化剤として、薬液を使用した場合と焼却灰で添加した場合の、処理性能改善効果を評価した。
(実施例5)
500mL容量のバッフル付き三角フラスコに、活性が低下した活性汚泥を200mL入れ、さらに廃水50mLに生物活性化剤として、Na2SO4を8.9mg/Lと、MgCl2を18mg/L添加したものを入れ、30℃の恒温室で振盪培養した。そして、培養開始時、培養開始から12時間後のそれぞれの時点で、汚泥混合液を採取し、溶解性CODの分析をそれぞれ行った。この場合の処理系中の状態では、全Sは廃水中のBOD100mg/Lに対して0.175mg/Lとなっており、また、全Mgは、廃水中のBOD100mg/Lに対して0.265mg/Lとなっている。
(実施例6)
処理系中に、硫黄成分とMg成分が、実施例5の場合と同程度含まれるように、硫黄成分とMg成分が含有された焼却灰を用いて処理を行った。具体的には、上記した500mL容量のバッフル付き三角フラスコに、活性が低下した活性汚泥を200mL(BOD2000mg/L)入れ、さらに廃水50mLに生物活性化剤として、焼却灰を133mg/L添加したものを入れ、30℃の恒温室で振盪培養した。そして、培養開始時、培養開始から12時間後のそれぞれの時点で、汚泥混合液を採取し、溶解性CODの分析をそれぞれ行った。なお、上記で使用した焼却灰の全硫黄濃度は、2.0mg/Lであり、全Mgの濃度は、4.5mg/Lであった。
Figure 0006742069
Figure 0006742069
以上の実施例及び比較例の結果より、硫黄(S)成分は、処理系において必要不可欠であり、活性不良を生じている生物を活性化させるためには、処理系において、硫黄成分を添加することが有効であることが確認された。また、より好ましくは、硫黄成分の添加の際に、処理系の性状が、BODに対して特定量以上となるように添加することが、生物の活性化のために、より効果的であることがわかった。更に、処理系に硫黄成分の添加をすると共に、Mg成分を添加することで、より高い生物の活性化の効果があることが確認された。この結果、本発明で規定する性状の処理系で処理した場合に、廃水処理における有機物の分解速度を向上させ、処理水の残存有機物濃度も低減させることが可能になる。また、上記したように、本発明によって達成される生物の活性化の効果は、処理系に硫黄(S)成分と、より好ましくは、硫黄成分に加えてMg成分を添加できれば、いずれのものも生物活性化剤として活用でき、本発明者らの検討によれば、例えば、焼却灰を使用することも可能である。しかし、上記したように、焼却灰を使用した場合は、本発明によって達成される生物の活性化の効果を確実に得るためには、その添加量を大量なものにする必要がある。本発明によって、生物の活性化の効果に対する有効成分が見出されたことで、有効成分である硫黄含有化合物、更には、これに加えて水中でマグネシウムイオンを生じ得る化合物を含む薬剤で生物活性化剤を構成して、或いは、焼却灰の成分調整を薬剤で行って、生物活性化剤として用いることで、少ない添加量で同等もしくは同等以上の生物の活性化効果が得られ、有機物含有水に対する生物処理の効率化が達成されるようになる。このため、本発明の有機物含有水の生物処理方法は、実用上、極めて有用である。

Claims (2)

  1. 活性汚泥を用いる有機物含有水の生物処理方法であって、
    ミネラル成分を含んでなる灰分が400mg/L以下である、ミネラル成分が少ない有機物含有水、又は、灰分がBODの1/5以下であるミネラル成分が相対的に少ない有機物含有水を生物処理する際に、処理系に、生物を活性化させて有機物の生物分解処理を促進させるために、前記ミネラル成分である硫黄(S)分(但し、化合物中に存在しているS、および、硫黄単体として存在しているSの両方)がBOD100mg/Lに対してSとして0.15mg/L以上存在しているようにし、さらに、生物の活性を向上させるために、前記ミネラル成分であるマグネシウム(Mg)分(但し、化合物中に存在しているMg、および、Mg単体として存在しているMgの両方)を併存させることを特徴とする有機物含有水の生物処理方法。
  2. 前記有機物含有水が、下水、汚水、工場排水、事業所排水、厨房排水、汚れた河川水、汚れた湖沼水、廃棄物処分場等からの流出水、有機物によって汚染された海水又は養殖等の生体飼育排水の少なくともいずれかである請求項1に記載の有機物含有水の生物処理方法。
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