以下、本発明の好ましい実施形態としてデジタルカメラ(以下、「カメラ」と称す)に適用した例について説明する。このカメラは、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。ユーザはライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタタイミングを決定する。レリーズ操作時には、静止画の画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
また、本実施形態においては、撮像素子7とは別にAFセンサ5(本実施形態の変形例においては撮像素子7の画素の一部に測距画素)を設けている。そして、ユーザがレリーズ釦を全押しすると、静止画の画像データ取得のための露光中に、所定時間間隔で所謂位相差AFによってフォーカスレンズのデフォーカス量を演算する。フォーカスレンズは、この演算結果に基づいて合焦状態を維持するように焦点調節が行われる。
図1は、本実施形態における主として電気的構成を示すブロック図である。このカメラは、カメラ本体1、光学系2、光学系駆動部3、ハーフミラー3、AFセンサ5、シャッタ6、撮像素子7、システム制御CPU10を備える。
光学系2は、フォーカスレンズを含み、被写体像を撮像素子6上に形成する。フォーカスレンズは光軸方向に移動可能であり、光学系駆動部3によって合焦位置に移動する。光学系2は、結像する被写体のフォーカス状態を可変するフォーカスレンズを含む光学レンズとして機能する。
ハーフミラー4は、ペリクルミラー等の半透明なミラーであり、光学系2の光軸上であって、光軸に対して45度傾けて固定されている。ハーフミラー4は、光学系2を透過した被写体光束の内の一部を透過させ、残りの光束をAFセンサ5に反射する。なお、本実施形態においては、ハーフミラー4は固定されているが、レリーズ釦が全押しされた際に、光学系2の光軸上に移動するように可動式としてもよい。ハーフミラー4は、光学系により入射された被写体像の一部を撮像素子の撮像面に入射させ、被写体像の異なる一部を撮像面の入射方向とは異なる方向に分割して、測距部に被写体像の一部を導く分光部として機能する。この測距部は、撮像素子とは異なる測距センサによって、被写体距離を検出する。
AFセンサ5は、ハーフミラー4から分光された被写体光束を受光し、測距データを生成するための電気信号を出力する検出素子である。一例として、偏光素子と2つの検出部を有する位相差検出方式を採用してもよい。位相差検出方式は、ハーフミラー4から分光された光を、さらに偏光素子により、偏光方向の異なる2つの光線に分離し、それぞれの光線が結像する位置関係から、デフォーカス量(合焦点ずれ量)を検出する焦点検出方式である。
シャッタ6は、光学系2と撮像素子7の間であって、光学系2の光軸上に配置されている。シャッタ6は、シャッタ制御部13の指示に基づいて開閉動作を行い、開放状態となると、撮像素子7上に被写体像が形成され、露出状態となる。また、シャッタ6が閉鎖すると、撮像素子7上に被写体像が形成されず、遮光状態となる。シャッタ6によって、静止画撮影時の撮像素子7の露光時間が制御される。
撮像素子7は、撮像面に複数の画素が配置されており、各々の画素は、撮像面に結像された被写体像を電気信号(画素信号)に変換する。これら各々の画素から撮像画素制御部14により、画素信号を読み出される。さらに、これら画素信号から映像データが形成される。撮像素子7は、光学レンズによって形成された被写体像を露光し、映像信号に変換する撮像素子として機能する。
システム制御CPU10は、CPU(Central Processing Unit)、その周辺回路、および揮発性および不揮発性のメモリを有し、不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、カメラ本体1内の各部を制御することにより、カメラ全体の制御を行う。システム制御CPU10内には、測距データ検出部11、ピント補正量算出部12、シャッタ制御部13、撮像画素制御部14、フォーカスレンズ駆動量算出部15が設けられており、これらはシステム制御CPU10内の周辺回路およびプログラムの実行によって実現される。システム制御CPU10は種々の機能を備えているが、本明細書においては、静止画露光中の焦点調節制御を中心に説明し、他の機能について説明を割愛する。
また、システム制御CPU10は、測距部が検出した被写体距離と、フォーカスレンズのピント位置とに基づいて、フォーカス駆動部による上記フォーカスレンズの移動量を制御するフォーカス制御部として機能する(例えば、図4のS11〜S17、図10のS35〜S43、図15AのS51〜S59、図15BのS61〜S71参照)。このフォーカス制御部は、撮像素子が映像信号を記録用に被写体像を露光する間、測距部により検出された被写体距離と、フォーカスレンズのピント位置とのずれ量に基づき、被写体距離とピント位置とを一致させる方向に、フォーカス駆動部によってフォーカスフォーカスを移動させる制御を行う。
シャッタ制御部13は、撮像素子14からの画素信号に基づいて、被写体輝度を算出し、この被写体輝度に基づいて適正露光となるシャッタ速度値を算出する。そして、ユーザがレリーズ釦を全押しすると、算出されたシャッタ速度値(またはユーザが手動設定したシャッタ速度値)に基づいて、シャッタ6の開閉を行い、露光時間を制御する。
撮像画素制御部14は、撮像制御回路を有し、撮像素子7に設けられた各撮像画素から画素信号を読み出す。撮像画素制御部14は、レリーズ釦が全押しされるまではライブビュー表示用に画素信号を読み出し、レリーズ釦が全押しされ、シャッタ6の開閉動作が終了すると、記録用の静止画画像データを読み出す。
測距データ検出部11は、AFセンサ5より取得した電気信号に基づいて、測距データを検出する。ピント補正量算出部12は、測距データ検出部11で検出された測距データに基づいて、フォーカスレンズの合焦位置からのずれ量(デフォーカス量)、すなわち光軸方向のピント補正量を算出する。測距データ検出部11は、撮像装置と被写体との間の被写体距離を検出する測距部として機能する。また、この測距部は、撮像素子が被写体像を露光する間に、この露光動作とは独立に並行して、被写体距離を検出する動作をする(例えば、図5、図9、図14参照)。)なお、測距部は、本実施形態においては、光学系2のデフォーカス量を被写体距離として検出している。しかし、これに限らず、例えば、光学系2以外の光学系を通過した被写体光束を用いて、カメラ本体1から被写体までの距離を直接検出し、被写体距離としてもよい。
フォーカスレンズ駆動量算出部15は、ピント補正量算出部12で算出されたピント補正量からフォーカスレンズ駆動用へ単位換算を行い、駆動位置または駆動量を算出する。
光学系駆動部3は、駆動用アクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)と駆動回路を有し、光学系2のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる。光学系駆動部3は、フォーカスレンズ駆動量算出部15より得られた駆動位置または駆動量に基づいて、光学系2のフォーカスレンズのフォーカス制御を行う。光学系駆動部3は、フォーカスレンズを光軸方向に移動させるフォーカス駆動部として機能する。
図2は、第1実施形態の変形例を示すブロック図である。図2の大半のブロックは図1と同じであるため、相違点を中心に説明する。
図1においてAFセンサ5が担っていた機能は、撮像素子7が担う。撮像素子7は、図1に示した撮像素子7と同様に、撮像面に複数の画素を有している。図1においては、撮像素子7は撮像画素のみであったが、図2において、撮像素子7は撮像画素に加えて像面位相差AF用画素(測距画素)を含んでいる。
図1における撮像素子7は被写体像を電気信号に変換する役割だけであったが、図2における撮像素子7は、被写体までの距離に対応した測距データを得るための電気信号に変換する役割もある。すなわち、撮像素子7は、結像面に測距画素と、被写体像から画像信号を出力する撮像画素(非測距画素)を含んでいる。撮像素子7で得られた電気信号のうち、撮像画素からの画素信号は撮像画素制御部14に出力され、一方、測距画素からの電気信号は測距画素制御部16に出力される。したがって、被写体像の情報は撮像画素制御部14で処理され、被写体までの距離情報は測距画素制御部16で処理される。
撮像画素と測距画素は、それぞれの画素に対する露光の開始と終了を独立に操作し、それぞれの画素に対する画素信号を独立に読み出す画素出力回路が形成されている。撮像画素制御部14と、測距画素制御部16とは、露光中にそれぞれ並行して動作をして、撮像画素の出力と測距画素の出力を読み出すことができる。つまり、露光中に、測距画素の出力を得ることが可能な構成である。
測距画素制御部16は、撮像素子7の測距画素から得られた電気信号を基に、被写体までの測距データを作り出す。また、測距情報は撮像素子7から取得できるため、AFセンサ5が不要となり、ハーフミラー4も不要となる。このため、光学系2を通過した光束は、分光せずに直接撮像素子7へ結像される。測距部は、非測距画素が露光動作をしている間に、測距画素から出力される画素信号を独立して読み出し、被写体距離を検出し結果を取得できる。測距部は、本実施形態においては、撮像素子7の測距画素と、測距画素制御部16にて構成される。
図1と図2の違いは被写体までの測距データの取得方法であり、システム制御CPU10の測距データ検出部11と測距画素制御部16からの出力は同種の測距データとなる。図2に示す変形例では、撮像素子7に測距画素を設けることにより、ハーフミラー4とAFセンサ5を省略することができる。
図3は、ピント補正量算出部12の機能の詳細を示すブロック図であり、測距データ121とデフォーカス量算出部122とで構成される。
測距データ121は、図1に示す第1実施形態ではAFセンサ5から出力される電気信号を処理する測距データ検出部11から出力され、また図2に示す変形例では撮像素子7の測距画素からの電気信号を処理する測距画素制御部16から出力されるデータに対応する。
デフォーカス量算出部122は、静止画露光中に測距データ121に基づいて、デフォーカス量を算出する。
フォーカスレンズ駆動量算出部15は、算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ駆動用に単位換算を行い、フォーカスレンズの駆動位置または駆動量を算出する。レンズ側の光学系駆動部3は、算出された駆動位置/駆動量を使用し、光学系2のフォーカスレンズを駆動させ、静止画露光中の光軸方向のピント補正をすることができる。
次に、図4に示すフローチャートを用いて、本実施形態における静止画露光中ピントボケ補正の処理について説明する。この制御フローは、システム制御CPU10が不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、カメラ本体1内の各部を制御することにより実現する。
図4に示すフローが開始すると、まず、1R押下げか否かの判定を行う(S1)。ここでは、ユーザがレリーズ釦を半押したか否かを判定する。1R押下げが検出されない場合は、待機状態となる。
ステップS1における判定の結果、1R押下げがあった場合には、オートフォーカス動作(AF動作)を開始し、まず測距データを取得する(S3)。ここでは、測距データ検出部11または測距画素制御部16が、測距データを取得する。1Rボタン押下中は、測距データを一定周期毎に取得し続ける。なお、1Rボタン押し下げ中は、測距データを一定周期毎に取得し続ける動作は、一例であり、この動作手順に限らずに、ライブビュー撮影中は、1Rボタン押し下げの有無に関わらずに、測距データを一定周期毎に取得し続ける動作であってもよい。
測距データを取得すると、次にデフォーカス量を算出する(S5)。ここでは、ステップS3において取得した測距データを用いて、ピント補正量算出部12がデフォーカス量を算出する。
デフォーカス量を算出すると、次にフォーカス用レンズ駆動を行う(S7)。ここでは、フォーカスレンズ駆動量算出部15が、フォーカスレンズの駆動位置または駆動量を算出し、光学系駆動部3がフォーカスレンズを合焦位置に移動させる。
フォーカス用レンズ駆動を行うと、次に2R押下げか否かを判定する(S9)。ユーザは、静止画を撮影しようとする場合には、レリーズ釦の全押しを行う。このステップでは、レリーズ釦が全押しされたか否かを判定する。判定の結果、2R押下げがない場合には、ステップS3に戻り、前述の動作を繰り返し、フォーカスレンズを合焦位置に維持する。
ステップS9における判定の結果、2R押下げがあった場合には、静止画撮影動作に移る。すなわち、2R押下げ前の被写体輝度に基づいて適正露光となる絞り値およびシャッタ速度値で露出制御を行い、露光時間の経過後に撮像素子7から撮像画素の画素信号を読み出し、静止画記録用の画像処理を行った後、記録媒体に画像データの記録を行う。また、この静止画撮影動作と並行して、撮像素子7の露光動作中に、ステップS11〜S17においてフォーカスレンズの焦点調節動作(ピントボケ補正動作)を行う。
まず、測距データの取得を行う(S11)。ここでは、ステップS3と同様に、一定周期毎に取得し続ける。測距データを取得すると、デフォーカス量算出を行う(S13)。ここでは、ステップS5と同様に、ピント補正量算出部12がデフォーカス量の算出を定期的に算出する。続いて、フォーカス用レンズ駆動を行う(S15)。ここでは、ステップS7と同様に、フォーカスレンズ駆動量算出部15、光学系駆動部3によってフォーカスレンズを合焦位置に定期的に移動させる。
フォーカス用レンズの駆動を行うと、次に、静止画露光が終了したか否かを判定する(S17)。露光時間が経過し、シャッタ6が閉じられると、静止画露光が終了となる。この判定の結果、静止画露光が終了していない場合には、ステップS11に戻り、所定時間間隔で、ステップS11〜S15を繰り返し行い、フォーカスレンズを合焦位置に維持する。静止画露光が終了すると、このフローを終了する。
図4に示すフローにおいては、ステップS3〜S7とS11〜S15は同じ処理である。ただし、本実施形態においては、図1と図2で示したように、静止画露光中でもAFセンサ5また撮像素子7の測距画素を用い測距データを取得できるので、静止画露光中でもピントボケ補正を実施することが可能である。
次に、図5に示すタイミングチャートを用いて、図4に示した静止画露光中ピントボケ補正の動作について説明する。図5において、横軸は時間の経過を示し、縦軸に、カメラの動作内容、撮像素子7またはAFセンサ5の出力、システム制御CPU10の処理内容、フォーカスレンズの動作内容をそれぞれ示す。
図5において「1R」は、レリーズ釦が半押しされたタイミングを示し、図4のステップS1において1R押下げと判定されたタイミングに相当する。1R押下げとなると、AFセンサ5または撮像センサ7からの測距データを用いて、デフォーカス量を定期的に演算し、フォーカスレンズを定期的に駆動させる。図5中の下向きの矢印は、定期的に測距データを用いてデフォーカス量を演算するタイミングを示す。
図5において「2R」は、レリーズ釦が全押しされたタイミングを示し、図4のステップS9において2R押下げと判定されたタイミングに相当する。2R押下げとなると、静止画撮影用に露光動作を行うと共に、これと並行して、測距データを定期的に取得し続け、算出されたデフォーカス量を用いて、フォーカスレンズを駆動させる。図5中の下向きの矢印は、静止画の撮影開始後も、定期的に測距データを用いてデフォーカス量を演算するタイミングを示す。撮像素子が被写体像を露光する間に、この露光動作とは独立に並行して、測距データを検出している。
このように、本実施形態およびその変形例においては、露光中にデフォーカス量を検出可能なデフォーカス検出部(例えば、AFセンサ5、測距データ検出部11、撮像素子7と測距画素制御部16、ピント補正量算出部12参照)と、露光中にデフォーカス検知と、この検知結果に基づいてフォーカスレンズ位置の補正駆動を所定時間間隔で行うフォーカス制御部(例えば、フォーカスレンズ駆動量算出部15、光学系駆動部3参照)を有している。
上述のデフォーカス検出部は、具体的には、像分離部(ハーフミラー4)と、フォーカスセンサ(撮像素子7の測距画素(位相差センサ))を有している。また、デフォーカス検出部の別の例としては、撮像面に撮影用画素と測距用画素(瞳偏心、瞳分割等)を有する撮像素子によって構成されている。また、撮像素子から画素信号を読み出すための画素読出し回路を有し、この画素読出回路は、撮像画素の読出回路と、測距用画素の読出回路があり、それぞれ独立の読出回路が設けられている。それぞれの読み出し制御は、独立して画素出力を得る。これによって、静止画の撮影露光中に、デフォーカス状態の変化を検出するが可能となる。
このように、本実施形態およびその変形例においては、露光前の被写体とカメラの位置関係が保持されることにより、露光中のぶれによるピントずれが補正され、ピント精度が向上する。さらに、光軸方向の手ぶれ変動だけでなく、被写体の変動にも追従することが可能となり、静止画撮影でのピントボケがより低減する。
次に、図6ないし図10を用いて、本発明の第2実施形態およびその変形例について説明する。本実施形態及び変形例は、フォーカスレンズの焦点調節にあたって、測距センサ(AFセンサ5または撮像素子7の測距画素)による検出結果に加えて、加速度センサによる検出結果も用いて行う。
図6は、第2実施形態の主として電気的構成を示すブロック図である。図1に示した第1実施形態におけるブロック図と比較すると、第2実施形態において、加速度センサ8と加速度データ検出部17が追加され、ピント補正量算出部12をピント補正量算出部18に置き換えている点で相違する。
加速度センサ8は、カメラに加わる並進運動を加速度として検出し、システム制御CPU10に出力する。加速度情報としては、カメラの左右方向のX軸情報・上下方向のY軸情報・光軸方向のZ軸情報が存在する。本実施形態では、Z軸(光軸)のみの説明となるため、X軸・Y軸については説明を省略する。
加速度データ検出部17は、加速度センサ8から得られた電気信号を基に、光軸方向の加速度情報を出力する。加速度情報を1回積分すると速度情報となり、さらに速度情報を1回積分すると距離情報となる。すなわち、加速度情報を2回積分することにより、カメラと被写体の間の距離の変化を検出することができる。なお、本実施形態においては、加速度データ検出部17の機能は、主としてプログラムに基づいてシステム制御CPU10が実現する。
加速度データ検出部17は、フォーカスレンズの光軸方向の移動量を検出する移動量検出部として機能する。フォーカス制御部として機能するシステム制御CPU10は、測距部が検出した被写体距離と、移動量検出部が検出したフォーカスレンズの光軸方向の移動量と、フォーカスレンズのピント位置に基づいて、フォーカス駆動部に対する移動量を出力する(例えば、図10のS35〜S43参照)。上述の移動量検出部は、光軸方向の移動加速度を検出する加速度センサ8と、加速度センサの加速度出力を、測距部が検出した被写体距離に基づいて補正値を算出し、補正値を加速度出力に加算または減算して演算する加速度補正部を有している(例えば、図10のS27、S37参照)。
ピント補正量算出部18は、加速度データ検出部17で検出された光軸方向の加速度情報に基づいて、光軸方向のピント補正量を算出する。ピント補正量は、前述したように加速度情報を2回積分することにより算出する。なお、ピント補正量を算出するにあたって、測距データを用いて、露光開始時の絶対速度と、絶対加速度(基準点補正)を算出して使用している。このピント補正量の算出については、図8および図9を用いて後述する。
図7は、第2実施形態の変形例を示すブロック図である。図7の大半のブロックは図2と同じであり、また相違点は、加速度センサ8と加速度データ検出部17が追加され、ピント補正量算出部18に置き換えている点のみである。この相違点は、図6に示した構成と同様であることから詳しい説明を省略する。
次に、図8を用いて、ピント補正量算出部18の機能の詳細について説明する。図8は、ピント補正量算出部18の機能の詳細を示すブロック図であり、加速度データ181、測距データ182、速度変換部183、加速度変換部184、加速度データ(基準点補正後)185、デフォーカス量算出部186とで構成される。
加速度データ181は、光学系2の光軸方向の加速度情報であり、図6と図7に示す加速度センサ8から得られる。
測距データ181は、図6に示す第2実施形態ではAFセンサ5から出力される電気信号を処理する測距データ検出部11から出力され、また図7に示す変形例では撮像素子7の測距画素からの電気信号を処理する測距画素制御部16から出力されるデータに対応する。
速度変換部183は、測距データ182を入力し、これをある一定時間で微分することにより速度データに変換することができる。例えば、ある時刻と所定時間後の時刻における測距データの差分を所定時間で除算すれば速度データに変換できる。
加速度変換部184は、変換した速度データ183を一定期間で微分することにより、加速度データ184へ変換することができる。例えば、ある時刻における速度データと、その後の時刻における速度データの差分を所定時間で除算すれば、基準点補正前の加速度データに変換できる。
加速度データ算出部185は、加速度センサ8から生成された加速度データ181と、AFセンサ5または撮像素子7の測距画素から生成され、加速度変換部184で変換された基準点補正前の加速度データを用いて、基準点補正後の加速度データを算出する。
デフォーカス量算出部186は、加速度データ算出部185によって算出された基準点補正後の加速度データと、速度変換部183によって変換された露光直前の絶対速度を用いて、デフォーカス量を算出する。
次に、図9に示すタイミングチャートを用いて、図8に示した加速度データ算出部185で算出される基準点補正後の加速度データの算出方法と、デフォーカス量算出部186におけるデフォーカス量の算出方法について説明する。
まず、静止画露光前に、加速度データ181と測距データ182を用いて行う加速度センサの基準点誤差と絶対速度の算出について説明する。ある測距間隔Tで取得された測距データをX1、X2、X3とする(図9中のA参照)。これらの値から、(式1)と(式2)によって速度データV1とV2を算出する。
V1 = (X2−X1) / T ・・・・(式1)
V2 = (X3−X2) / T ・・・・(式2)
(式2)によって、静止画露光直前の速度データはV2が算出される。また、速度データV1とV2を用いて、(式3)から加速度データA_aveが算出される。
A_ave = (V2−V1) / T ・・・・(式3)
次に、加速度データ181を用いて、静止画露光前の加速度平均値a_aveを求める(図9中のB参照)。加速度平均値a_aveは、測距データで使用したX1〜X3のデータ取得期間中の加速度データa1〜a13の平均値となる(式4)。図9に示す例では、加速度データは、 a13 までの13個を使っているが、実際には測距データと加速度データのサンプリングによって異なる。
a_ave = Σ(an)/ n ・・・(式4)
式3および式4において算出されたA_aveとa_aveを用いて、基準点誤差は(式5)から算出できる。この基準点誤差は、測距データから算出した加速度と、加速度データから算出した加速度の差分である。本来、両者は一致すべきであるが、加速度センサ8の出力にはオフセットが重畳しているために、両者にズレが生じている。加速度データに基づいて、デフォーカス量を算出するにあたって、基準点誤差を用いて、このオフセット分のズレを補正する。
基準点誤差 = a_ave − A_ave ・・・・(式5)
静止画露光開始後の加速度データ(an’)は、下記(式6)より算出できる。すなわち、加速度データ181(図9においてan)から(式5)で算出した基準点誤差を減算した値を、基準点補正後の加速度データとする。
an’ = an − 基準点誤差 ・・・・(式6)
基準点補正後の加速度データを求めると、デフォーカス量算出部186において、基準点補正後の加速度データと、(式2)で求めた露光直前の絶対速度V2を用いて、(式7)によって高精度なデフォーカス量を算出することができる。
デフォーカス量 = ∫(V2 + ∫an’) ・・・・(式7)
式7においてデフォーカス量が算出されると、フォーカスレンズ駆動量算出部15がこの算出されたデフォーカス量を、フォーカスレンズ駆動用に単位換算を行い、駆動位置または駆動量を算出する。
次に、図10に示すフローチャートを用いて、本実施形態における静止画露光中ピントボケ補正の処理について説明する。この制御フローは、第1実施形態の場合と同様に、システム制御CPU10が不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、カメラ本体1内の各部を制御することにより実現する。
図10に示すフローが開始すると、まず、ステップS1と同様に、1R押下げか否かの判定を行う(S21)。ここでは、ユーザがレリーズ釦を半押したか否かを判定する。1R押下げが検出されない場合は、待機状態となる。
ステップS1における判定の結果、1R押下げがあった場合には、オートフォーカス動作(AF動作)を開始し、まず加速度データ(an)を取得する(S23)。ここでは、加速度データ検出部17が、加速度センサ8から一定周期毎に加速度データ(an)を取得する。
続いて、測距データ(Xn)を取得する(S25)。ここでは、測距データ検出部11または測距画素制御部16が、測距データを取得する。1Rボタン押下中は、測距データを一定周期毎に取得し続ける。なお、図9のA、Bより分かるように、測距データと加速度データを取得するタイミングは、異なっている。両者は、適宜、予め設定されている周期に従ってデータを取得する。
加速度データ(an)と測距データ(Xn)を取得すると、基準点誤差を算出する(S27)。ここでは、図9を用いて説明したように式5を用いて、基準点誤差を算出する。基準点誤差は、直近で取得したデータを用いて、逐次、更新する。
続いて、デフォーカス量を算出する(S29)。ここでは、ステップS25において取得した測距データ(Xn)を用いて、ピント補正量算出部21がデフォーカス量を算出する。
デフォーカス量を算出すると、次にフォーカス用レンズ駆動を行う(S31)。ここでは、フォーカスレンズ駆動量算出部15が、フォーカスレンズの駆動位置または駆動量を算出し、光学系駆動部3がフォーカスレンズを合焦位置に移動させる。
フォーカス用レンズ駆動を行うと、次に、ステップS9と同様に、2R押下げか否かを判定する(S33)。ユーザは、静止画を撮影しようとする場合には、レリーズ釦の全押しを行う。このステップでは、レリーズ釦が全押しされたか否かを判定する。判定の結果、2R押下げがない場合には、ステップS23に戻り、前述の動作を繰り返し、フォーカスレンズを合焦位置に維持する。なお、第1実施形態と同様に、1Rボタン押下中は、加速度データと、測距データを一定周期毎に取得し続ける動作は、一例であり、この動作手順に限らずに、ライブビュー撮影中は、1Rボタン押下の有無に関わらずに、加速度データと測距データを一定周期毎に取得し続ける動作であってもよい。
ステップS33における判定の結果、2R押下げがあった場合には、第1実施形態の場合と同様、静止画撮影動作に移る。また、この静止画撮影動作と並行して、撮像素子7の露光動作中に、ステップS35〜S41において、フォーカスレンズの焦点調節動作(ピントボケ補正動作)を行う。2Rボタン押下直後に、1Rボタン押下中にS27で算出した最新(静止画露光直前)の基準点誤差と絶対速度V2(式2で算出)を保持しておく。静止画露光中のデフォーカス量を算出する際に使用するためである。
加速度データ(an)を取得する(S35)。2Rボタンが押下された後の静止画露光期間中は、加速度データ(an)を一定周期毎に取得し続ける。また、加速度データ(an’)を算出する(S37)。ここでは、基準点誤差を用いて、式6を用いて、基準点補正後の加速度データ(an’)を算出しておく。
次に、デフォーカス量を算出する(S39)。ここでは、ピント補正量算出部18は、式7に従って、ステップS35で取得した加速度データ(an’)と、ステップS37で算出した絶対速度V2を用いて、デフォーカス量を定期的に算出する。
デフォーカス量を算出すると、次に、フォーカス用レンズを駆動する(S41)。ここでは、フォーカスレンズ駆動量算出部15および光学系駆動部3によって、ステップS39において求めたデフォーカス量を用いて、光学系2のフォーカスレンズを定期的に駆動させる。
フォーカス用レンズの駆動を行うと、次に、静止画露光が終了したか否かを判定する(S43)。露光時間が経過し、シャッタ6が閉じられると、静止画露光が終了となる。この判定の結果、静止画露光が終了していない場合には、ステップS35に戻り、所定時間間隔で、ステップS35〜S41を繰り返し行い、静止画露光中においても、フォーカスレンズを合焦位置に維持する。静止画露光が終了すると、このフローを終了する。
このように、第2実施形態およびその変形例においては、光軸方向のピント補正に測距データを用いて、加速度データの基準点補正を行うことにより、加速度センサの基準点精度を向上させ、精度の高いピント補正を実現している。従来技術における加速度センサの位置精度が低いという課題を解決させることができる。
本実施形態やその変形例においては、デフォーカス検出部として、測距機能(センサ)の他に加速度センサ8を用いており、相補的に検出値を補正(校正させる)する補正部を設けている。露光中のデフォーカス量検出は、加速度センサ出力から算出することが主であるが、加速度センサ出力は、時間変化によるオフセットずれが発生するので、同じ検出期間で得られる、測距センサからの情報を用いて、加速度センサ出力のオフセットずれ分を校正している。
第2実施形態では、加速度センサ出力によるデフォーカス量の検出を主とし、測距センサによるデフォーカス量が副としている。このような使い分けは、次の観点(i)(ii)からである。
(i) 測距センサを使用する場合には、露出量が低い(露出時間が短い(Tv値が短い)、被写体輝度Bが低い(Bv値が小))等の撮影条件の状態では、測距センサのセンサ信号出力が低くなるため、デフォーカス量の検出が難しくなる。このため、サンプリング時間(蓄積時間)を増やなければならなくなる。
(ii) 加速度センサを用いる場合には、撮影条件に関わりなく姿勢変化(デフォーカス量)を検出できる。しかし、加速度センサは、検出時間が長くなると、加速度センサのオフセットずれによる検出精度のずれが生じてしまう。
このため、第2実施形態においては、加速度センサ出力によるデフォーカス量の検出を主とし、長時間の使用の際に生ずるオフセットずれを測距センサの出力を用いて校正している。
次に、図11ないし図15Bを用いて、本発明の第3実施形態およびその変形例について説明する。本実施形態及び変形例は、被写体輝度と露出時間に応じて、デフォーカス量の検出部として、測距センサまたは加速度センサのいずれかの出力を選択して検出するようにしている。
図11は、第3実施形態の主として電気的構成を示すブロック図である。図6に示した第2実施形態におけるブロック図と比較すると、第3実施形態において、測光センサ9と露出制御部19が追加され、ピント補正量算出部18をピント補正量算出部20に置き換えている点で相違する。
測光センサ9は、被写体の輝度を取得するセンサであり、取得した輝度照度情報を露出制御部19に出力する。なお、測光センサ9の出力としては、撮像素子7中の撮像画素からの画素信号を用いるようにしてもよく、この場合には、画素信号に基づいて被写体の輝度照度情報を取得することができ、また測光センサ9を省略することができる。測光センサ9は、被写体輝度を検出する測光部として機能する。
露出制御部19は、測光センサ9から入力した被写体の輝度照度情報を基に、静止画撮影時のシャッタ速度値・絞り値・ISO感度値を算出し、これらの値に基づいてシャッタ6等を制御する。本実施形態での露出制御部19の役割としては、静止画撮影時のシャッタ速度値に基づいて、加速度センサ8から求めたピント補正量を使用するのか、AFセンサ5(後述する第3実施形態の変形例においては撮像素子7中の測距素子)から求めたピント補正量を使用するのかのピント補正部を判定する際の判定条件となる。この判定処理はピント補正量算出部20で実施され、詳細は、図13〜図15を用いて後述する。なお、本実施形態においては、露出制御部19の機能は、主としてプログラムに基づいてシステム制御CPU10が実現する。
フォーカス制御部として機能するシステム制御CPU10は、被写体輝度に応じて、被写体距離の検出を、測距部と、移動量検出部とによる検出値のどちらか一方、あるいは双方を選択するかを選択する選択部をさらに有する(例えば、図15AのS51参照)。また、フォーカス制御部として機能するシステム制御CPU10は、選択部により選択された後に検出された被写体距離に基づいて、被写体距離とピント位置とを一致させる方向に、フォーカスフォーカス駆動部を移動させる制御を行う(例えば、図15AのS53〜S59、図15BのS63〜S71参照)。
図12は、第3実施形態の変形例を示すブロック図である。図12の大半のブロックは図7と同じであり、相違点は、測光センサ9と露出制御部19が追加され、ピント補正量算出部20に置き換えている点のみである。この相違点は、図11に示した構成と同様であることから詳しい説明を省略する。
次に、図13を用いて、ピント補正量算出部20の機能の詳細について説明する。図13は、ピント補正量算出部20の機能の詳細を示すブロック図であり、ピント補正量算出部20は、測距データ201、速度変換部202、加速度変換部203、加速度データ204、加速度データ算出部(基準点補正後)205、デフォーカス量算出部(測距)206、デフォーカス量算出部(加速度)207、およびピント補正部切替部208を有する。
図13に示すブロック図は、第1実施形態の図3と第2実施形態の図8を合成し、これにピント補正部切替部208を追加している。すなわち、図3における測距データ121、デフォーカス量算出部122は、図13において測距データ201、デフォーカス量算出部206に相当する。また、図8における加速度データ181、測距データ182、速度変換部183、加速度変換部184、加速度データ算出部185、デフォーカス量算出部186は、図13において、加速度データ204、測距データ201、速度変換部202、加速度変換部203、加速度データ算出部205、デフォーカス量算出部207に相当する。そこで、図13において、追加されたピント補正部切替部208のみについて説明する。
ピント補正部切替部208は、静止画撮影時に露出制御部19から取得したシャッタ速度情報に基づいて、測距データから求めたデフォーカス量を出力するのか、加速度データから求めたデフォーカス量を出力するのかの切り替えを行う。また、両者のどちらでもなく、ピント補正を行わない場合もある。この判定の詳細については、図15を用いて後述する。
ピント補正部切替部208によって選択され、出力されたデフォーカス量は、フォーカスレンズ駆動量算出部15でフォーカスレンズ駆動用に単位換算を行い、駆動位置または駆動量を算出する。レンズ側の光学系駆動部3は、算出された駆動位置・駆動量を使用し、光学系2のフォーカスを駆動させることにより、静止画露光中の光軸方向のピントを補正する。
次に、図14に示すタイミングチャートを用いて、図13に示した加速度データ算出部(測距)206と、デフォーカス量算出部(加速度)207によって算出されたデフォーカス量の選択について説明する。第3実施形態におけるデフォーカス量の算出方法は、第1実施形態と第2実施形態におけるデフォーカス量の算出方法を合成している。このため、図14に示すブロック図は第2実施形態の図9に示すブロック図とほぼ同じであるが、静止画露光中でも測距データを取得するという部分が異なる。そのため、静止画露光中のデフォーカス量算出部分から説明する。
図14において、2Rボタン押下直後(静止画露光開始直後)、ピント補正部切替部208は、測距データ201から求めたデフォーカス量(Xn)を出力するのか、加速度データ204から求めたデフォーカス量(xn)を出力するのかの切り替えを行う(図14中、網掛けの部分参照)。この判定処理の詳細については、図15を用いて後述する。
フォーカスレンズ駆動量算出部15は、測距データ201もしくは加速度データ204から算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ駆動用に単位換算を行い、駆動位置または駆動量を算出する。
次に、図15A及び図15Bに示すフローチャートを用いて、本実施形態における静止画露光中ピントボケ補正の処理について説明する。この制御フローは、第1および第2実施形態の場合と同様に、システム制御CPU10が不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、カメラ本体1内の各部を制御することにより実現する。
図15Aに示すフローが開始すると、まず、1R押下げか否かの判定した後、2R押下げか否かの判定を行うまでは、図10に示すフローのステップS21〜S33と同様であるので、同一の処理を行うステップには同一のステップ番号を付し、詳しい説明を省略する。
ステップS33において、2R押下げが有ったと判定された直後に、1R押下げ中にステップS27で算出した最新(静止画露光直前)の基準点誤差と絶対速度V2(式2参照)を保持しておく。
続いて、被写体が所定輝度より高輝度か否かの判定を行う(S51)。ここでは、測光センサ9の検出結果に基づいて露出制御部19が算出した被写体輝度に基づいて判定する。所定輝度としては、測距データをAFセンサ5または撮像素子7によって比較的短時間で取得できる程度の輝度であればよい。つまり、低輝度であるほどノイズ成分の影響を受け易いことから、所定輝度は、比較的短時間で得られた測距データがノイズ成分に対して十分に区別可能となる被写体輝度の値である。なお、本実施形態においては、輝度で判定しているが、これに限らず、露光量Evで判定してもよく、また他の露出制御値等で判定してもよい。
ステップS51における判定の結果、被写体が高輝度であれば、測距データ(Xn)を取得する(S53)。ここでは、AFセンサ5(本実施形態の変形例においては撮像素子7の測距画素)から測距データを採用する。静止画露光中、測距データを一定周期毎に取得し続ける。
測距データ(Xn)を取得すると、次に、ステップS13(図4参照)と同様に、デフォーカス量を算出する(S55)。ここでは、ピント補正量算出部20は、ステップS53において取得した測距データ(Xn)を用いてデフォーカス量を定期的に算出する。
デフォーカス量を算出すると、次に、ステップS15(図4参照)と同様に、フォーカス用レンズを駆動する(S57)。ここでは、フォーカスレンズ駆動量算出部15、光学系駆動部3によってフォーカスレンズを合焦位置に定期的に移動させる。
フォーカス用レンズの駆動を行うと、次に、ステップS17(図4参照)、静止画露光が終了したか否かを判定する(S51)。露光時間が経過し、シャッタ6が閉じられると、静止画露光が終了となる。この判定の結果、静止画露光が終了していない場合には、ステップS53に戻り、所定時間間隔で、ステップS53〜S59を繰り返し行い、フォーカスレンズを合焦位置に維持する。静止画露光が終了すると、このフローを終了する。
ステップS51に戻り、このステップにおける判定の結果、被写体が高輝度でない場合には、露出時間が所定時間よりも短いか否かを判定する(S61)。ここでは、測光センサ9の検出結果に基づいて露出制御部19が算出したシャッタ速度値に基づいて判定する。所定時間としては、基準点補正によって加速度データの信頼性を保てる程度の時間であればよい。この判定の結果、露出時間が所定時間よりも短くない場合には、デフォーカス量算出およびフォーカス用レンズを駆動することなく、静止画露光中ピントボケのフローを終了する。
ステップS61における判定の結果、露出時間が所定時間よりも短い場合には、ステップS35(図10参照)と同様に、加速度データ(an)を取得する(S63)。ここでは、加速度センサ8、加速度データ検出部17より、静止画露光中、加速度データ(an)を一定周期毎に取得し続ける。
加速度データ(an)を取得すると、次に、ステップS37(図10参照)と同様に、基準点補正後の加速度データ(an’)を算出する(S65)。ここでは、2R押下げ直前に記憶した、基準点誤差を用いて、式6に従って基準点補正後の加速度データ(an’)を算出する。
続いて、ステップS39(図10参照)と同様に、デフォーカス量を算出する(S67)。ここでは、ピント補正量算出部20が、加速度データ(an’)と絶対速度V2を用いて、式7に従ってデフォーカス量を定期的に算出する。
デフォーカス量を算出すると、次に、ステップS41(図10参照)と同様に、フォーカス用レンズを駆動する(S69)。ここでは、フォーカスレンズ駆動量算出部15、光学系駆動部3が、ステップS65で算出したデフォーカス量を用いて、光学系2のフォーカスレンズを定期的に駆動させる。
フォーカス用レンズの駆動を行うと、次に、静止画露光が終了したか否かを判定する(S71)。露光時間が経過し、シャッタ6が閉じられると、静止画露光が終了となる。この判定の結果、静止画露光が終了していない場合には、ステップS63に戻り、所定時間間隔で、ステップS63〜S71を繰り返し行い、静止画露光中においても、フォーカスレンズを合焦位置に維持する。静止画露光が終了すると、このフローを終了する。
このように、図15Aおよび図15Bに示すフローにおいては、被写体が高輝度の場合には(S51Yes)、測距データを用いてフォーカスレンズの焦点調節制御を行う(S53〜S59参照)。一方、被写体が高輝度でなく、且つ、静止画撮影の露光時間が短い場合には(S51No→S61Yes)、加速度データを用いてフォーカスレンズの焦点調節制御を行う(S63〜S71参照)。どちらでも無い場合、測距データと加速度データのどちらも使用されず、この後の処理は実施されない。
被写体の輝度で測距データの採用可否を判断する理由は、被写体が低輝度の場合、必要な測距データの精度を得るために、測距のサンプリング時間を長くする必要がある。このため、測距のサンプリング時間が手ブレによる被写体距離変化を検出するのに必要なサンプリング時間が得られずに測距データの精度が格段に低下するためである。また、露光時間により加速度データの採用可否を判断する理由は、露光時間が長い場合、加速度センサの基準点の経時変化が大きく影響してしまい、加速度データの信頼性が低くなり、ピント補正の精度が低下してしまうためである。
このように、第3実施形態およびその変形例においては、被写体が低輝度照度で測距のサンプリング時間が長くなってしまう場合には、加速度センサのデータに置き換えることで、暗い条件下でも露光中のピント補正が可能となる。
また、第3実施形態およびその変形例においては、被写体輝度を検出する検出部(例えば、測光センサ9参照)、露出条件の算出(露出時間算出)部(例えば、露出制御部19参照)、および露出時間に応じて、加速度センサの出力に基づいてデフォーカス量を算出することを変更する変更部(例えば、ピント補正量算出部20、図15BのS61参照)を有している。このように構成することによって、検出部で検出した被写体輝度に基づいて、例えばプログラム露出モードで任意の露出時間を設定する場合であっても、加速度センサの出力または測距データのどちらかを、最適なデフォーカス量が得られる方を選択してデフォーカス量を算出することにより、露出条件に依存することなく露光中のピント補正が可能となる。
測距センサ(AFセンサ5、撮像素子7の測距画素)は、低露出量(露出時間が短い、被写体輝度が低い状態)では、デフォーカス量の検出が難しく、このため、検出時間(積分時間)を伸ばす必要あり。一方、加速度センサ8は、露出量に関係なく、姿勢変化(デフォーカス量)を検出できる。ただし、露出時間が長くなると、加速度センサのオフセットずれによる検出精度のずれが生じる。本実施形態は、2つのデフォーカス検出部の長所、短所を、被写体輝度と露出時間の条件に応じて切り替えを対応することができる。
なお、ステップS61(図15B参照)において、露出時間が所定時間より長い場合と判断された場合には、ステップS63以下において、加速度データによるデフォーカス量の補正が行われることがない。しかし、これに限らず、露光が開始されてから所定時間が経過するまではステップS63以下におけるデフォーカス量の補正を行い、所定時間が経過したら、ステップS63以下のデフォーカス量の補正を行わないようにしても構わない。
以上説明したように、本発明の各実施形態や変形例においては、フォーカスレンズを駆動するフォーカス駆動部(例えば、光学系駆動部3)を有する撮像装置において、露出期間中にデフォーカス量を露出期間に複数の時点で検出するデフォーカス検出部(例えば、AFセンサ5、撮像素子7の測距画素)と、露出期間中に得られたデフォーカス量を用いて、フォーカス制御を行うフォーカス制御部(例えば、フォーカスレンズ駆動量算出部15)を有している。このため、露光中に逐次ピント状態の変化を正確に検出して、ピントずれを逐次、正確に補正することができる。加速度センサ8を用いなくても、露光中にピントズレを補正することができ、撮影中でも合焦状態を保持することができる。特に、近接撮影の際に、絞り値が小さく被写界深度が浅く、手ブレの影響を受けやすいような状況であっても、ピントの合った撮影を行うことができる。
また、本発明の各実施形態や変形例においては、フォーカスレンズを含む光学レンズが結像する被写体像を撮像素子によって映像信号の検出し、記録用に映像信号を検出する際に(例えば、図4のS9Yes参照)、撮像装置と被写体との間の被写体距離を検出し(例えば、図4のS11参照)、被写体距離を検出することによって取得した被写体距離と、上記フォーカスレンズのピント位置とのずれ量とに基づいて、被写体距離とピント位置とを一致させる方向に、上記フォーカスレンズに対する移動量を算出し(例えば、図4のS13)、算出された移動量に基づいて、フォーカスレンズを移動させている(例えば、図4のS15)。
また、本発明の第2及び第3実施形態や変形例においては、フォーカスレンズの光軸方向の移動量を検出する移動量検出部(例えば、加速度データ検出部17)を設け、この移動量検出部の出力を補正している(例えば、図8の加速度データ算出部185、図10のS37)。このため、フォーカスレンズの光軸方向の移動量に基づいて、フォーカスレンズの位置を補正するにあたって、移動量検出部の出力にオフセットが生ずるような場合であっても、精度よく焦点調節を行うことができる。
なお、本発明の各実施形態においては、光学系2を透過した被写体光束を、ハーフミラー4を用いてAFセンサ5に導いていた。しかし、これに限らず、例えば、光学系2とは別の光学系を設けてAFセンサ5に被写体光束を導くようにしても構わない。すなわち、光学レンズとは異なる光学系を有する測距光学系を設け、光学レンズとは異なる経路からの被写体光に基づいて測距するようにしてもよい。
また、本発明の第2及び第3実施形態や変形例において、加速度センサ8を設けて、フォーカスレンズの光軸方向の移動量を検出していた。しかし、これに限らず、角速度センサ、ジャイロ等、カメラ本体1の移動量を検出できるセンサであれば勿論かまわない。
また、本発明の各実施形態や変形例においては、システム制御CPU10内の各部を周辺回路とCPU(Central Processing Unit)とプログラムコードによって実現していた。しかし、これに限らず、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラムコードで実行される回路で実現するようにしてもよく、ヴェリログ(Verilog)によって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またハードウエア回路によって実行するようにしても勿論かまわない。また、システム制御CPU10の機能の一部をDSP等のプログラムコードで実行される回路で実現するようにしてもよく、ヴェリログによって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またハードウエア回路によって実現するようにしてもよい。
また、本発明の各実施形態や変形例においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもミラーレスカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型コンピュータ、ゲーム機器等に内蔵されるカメラ、医療用カメラ、顕微鏡等の科学機器用のカメラ、自動車搭載用カメラ、監視用カメラでも構わない。いずれにしても、撮影が可能な機器であれば、本発明を適用することができる。
また、本明細書において説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを介してダウンロードしたものでもよい。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。