JP6734489B1 - 生体液の検査方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、生体液に含まれる各種ミネラル及び必須アミノ酸の一つであるメチオニンの定量的な検査を、簡便かつ正確に、しかも安価に実施することができる生体液の検査方法を提供することを目的とし、蛍光X線分析装置を用い、被検者が採取可能な被検者由来の生体液に含まれるミネラルの、前記生体液に含まれるメチオニン由来の硫黄に対する含有比率を測定し、測定された前記含有比率と、前記硫黄及び前記ミネラルの標準溶液を用いて蛍光X線分析を行って作成しておいた検量線とを用いて、前記生体液に含まれる前記硫黄及び前記ミネラルの含有量を算出し、算出された前記硫黄の含有量に基づいて、前記生体液に含まれるメチオニンの含有量を算出する。

Description

本発明は生体液の検査方法に関し、より詳細には、蛍光X線分析装置を用いて、被検者の生体液に含まれる元素の定量的分析を行うことにより、被検者の健康状態などを把握するための生体液の検査方法に関する。
ミネラルは、人にとって必要不可欠な5大栄養素の1つであり、体の組織を作る原料であるとともに、体の働きを維持、調節する働きを有する微量栄養素である。ミネラルは、人の体内で作ることができないため、食品又はサプリメントなどから摂取する必要がある。
ミネラルは体内の約4%を占めている。そのうち、体内で不足すると健康に害を及ぼすなど、栄養素として欠かせないことが明らかになっているものを必須ミネラルという。食事摂取基準(2015年版)に示された必須ミネラルは、現在13種類あり、そのうち、体内に多く存在するミネラルを多量ミネラルといい、量が少ないミネラルを微量ミネラルという。多量ミネラルには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンが含まれ、微量ミネラルには、鉄、銅、亜鉛、ヨウ素、セレン、クロム、マンガン、モリブデン、コバルトが含まれる。
近年、有機ゲルマニウム化合物の毒性が、同族元素のスズや鉛と比較して低いことが知られてきている。また、ゲルマニウムの薬理作用として、1964年に初めて、ゲルマニウムのアルキル化合物がバクテリアや真菌の増殖を抑える作用をもっていることが見いだされた。その後、抗腫瘍作用や抗マラリア作用を有するゲルマニウム化合物が合成されるようになった。
1978年には、ゲルマニウムを含む環状化合物を有する高分子化合物プロパゲルマニウム(カルボキシエチルゲルマニウムセスキオキシド)が合成された。この化合物は、感染が生じたときに宿主の免疫機能を活性化させることによりウイルスを排除し、さらにインタフェロンの産出を促進することによって、ウイルスの増殖を抑える働きがあると推定されている。この化合物は、経口投与しても、生体内環境で安定的にその構造を維持し、作用を発揮してそのまま尿中に排出される(非特許文献1)。
上記以外に必要なミネラルとして、硫黄、コバルト、フッ素、塩素があるが、これらは上記食事摂取基準に定められていない。それは、これらのミネラルが、アミノ酸、タンパク質、又はビタミンなどの他の栄養素に含まれているため、これら他の栄養素の基準を示すことで、他の栄養素とともにこれらミネラルも同時に摂取できるからである。
ミネラルの摂取は、多すぎても少なすぎても健康の維持増進には好ましくないため、バランス良く摂取する必要がある。そのため、ミネラルの摂取過不足などの状態を把握できるようにすることは、有意義なことである。
近年、ミネラルの摂取過不足の状態や有害ミネラルの蓄積状態を、毛髪中のミネラル量の検査に基づいて推測する毛髪ミネラル検査が行われている。現在、最も多く市場で行われている毛髪ミネラル検査の方法は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MSともいう)である。誘導結合プラズマ質量分析法は、ppb(10億分の1)と感度が高いため、その感度を十分に発揮させるためには、クリーンルームなどの高度な設備を必要とする。また、測定用試料を調製するために、多くの毛髪、例えば、120本程度(0.1g以上)が必要であり、また、毛髪を酸などで溶かす処理などの煩雑な前処理が必要である。しかも、調製した試料を1度で使い切るため、検査後にその精度を確認できないという課題があった。
また、毛髪120本に付着している不純物を前処理段階の洗浄で除去することは非常に難しく、本来、毛髪に含まれ(排泄され)ていない、マグネシウムや鉄が検出され、測定された結果が報告され続けている。本発明者らの検討によれば、蛍光X線分析による、毛髪1本を用いたミネラル検査において、マグネシウム及び鉄は、ppmオーダーで検出されないことが確認された。
また、下記の特許文献1には、「蛍光X線分析により、被検者由来の毛髪に含有されるミネラルの、前記毛髪に含有される硫黄に対する信号比率PXRF(S)を測定し、該信号比率PXRF(S)から前記毛髪に含有される前記ミネラルの元素含有率MXRFを算出する為に、この算出に使用する変換係数Fを、前記信号比率PXRF(S)と乗算することを特徴とする生体内元素検査方法」が開示されている。
また、下記の特許文献2には、「蛍光X線分析により、被検者の血液、尿、涙、汗又は唾液からなる生体液に含まれるミネラル金属又は重金属の含有比率及び含有量を測定し、前記含有比率及び/又は前記含有量が正常値を超える場合に生体内のミネラル金属量又は重金属量が異常であると判断することを特徴とする生体内金属元素検査方法」が開示されている。
また、下記の特許文献3には、「被験動物から採取した尿中のホモシステイン酸濃度と、前記被験動物から採取した血液中のホモシステイン酸濃度と、同血液中のホモシステイン及び/又はメチオニン濃度とを測定することを特徴とする神経変性疾患の検査方法」が開示されている。
また、下記の非特許文献2には、蛍光X線分析により植物中の硫黄の形態を決定する方法と、化学分析により植物中の硫黄の形態を決定する方法とを比較した検討結果が開示されている。
[発明が解決しようとする課題]
従来の毛髪ミネラル検査で用いられていた、原子吸光法、吸光光度法、中性子放射化分析法、又はICP−MS法を用いた元素の定量は、試料の煩雑な前処理やサンプル調製に高度なテクニックを必要とする。そのため、これら高度なテクニックを備えた技術者でなければ、正確なデータを得ることが難しく、また、前処理に時間と経費を強いられるという課題があった。さらに、汚染を避けるために、高価な設備であるクリーンルームなどを設置する必要があるという課題もあった。
人間にとって重要な栄養素として、ミネラルの他に、アミノ酸が挙げられる。
特許文献1、2には、蛍光X線分析により、毛髪に含有されるミネラルの含有率、生体液に含有されるミネラル金属の含有比率及び/又は含有量を測定することが記載されている。しかしながら、特許文献1、2には、蛍光X線分析による元素分析の結果から、これら生体試料中のミネラルの含有量とともに、アミノ酸の含有量を検出するという技術的思想は、一切記載も示唆もなされていない。
なお、特許文献1記載の方法では、蛍光X線分析により、被検者由来の毛髪に含有されるミネラルの、前記毛髪に含有される硫黄に対する信号比率PXRF(S)が測定されている。前記毛髪に含有される硫黄は、前記毛髪を構成するタンパク質であるケラチンに由来する硫黄である。
ケラチンは、シスチンに由来する多くのジスルフィド結合(S−S結合)を含んでいるが、多数のアミノ酸が鎖状に結合したケラチンの構造は複雑であるため、毛髪に含有される硫黄は、特定の含硫アミノ酸の含有量を決める基準にはならない。また、血液などの生体液には、毛髪を構成するタンパク質である不溶性のケラチンは含まれていない。
また、特許文献2には、毛髪中のカルシウムの硫黄に対する蛍光X線強度の相対値に関する測定結果が記載されているが、絶対値としては測定されておらず、元素含有量による試験としての評価がなされていない。また、実施の形態には、毛髪以外の他の生体試料に関する測定方法や測定結果について一切記載がなされていない。
上記特許文献1、2には、蛍光X線分析により、生体液に含有される元素を定量分析するにあたり、生体液に含まれるいずれの元素を内部標準の基準元素にすべきかを示唆する記載は一切なされていない。
また、特許文献3には、血液中のメチオニン濃度を測定する方法として、イムノクロマト法を採用したキット、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法を採用したキットを用いる方法が開示されているが、これら方法は、キットに使用する抗原の調製、抗体の調製などに手間やコストを要するものである。そもそも、特許文献3記載の発明では、ミネラルの含有量とともに、アミノ酸の含有量を把握することはできない。
また、非特許文献2には、蛍光X線分析により、植物中の硫酸塩、及び含硫アミノ酸などに含まれる硫黄元素を検出し、これら硫黄元素の濃度を検出することが開示されているが、非特許文献2記載の方法は、植物に含有される様々な種類のミネラル含有量を定量分析するものではなく、また、検査試料は植物であって、生体試料ではない。さらに、非特許文献2には、特許文献1〜3と同様、蛍光X線分析により、生体液に含有される元素を定量分析するにあたり、生体液に含まれるいずれの元素を内部標準の基準元素にすべきかを示唆する記載は一切なされていない。
人の健康状態などを把握するために、蛍光X線分析装置を用いた生体試料の元素分析により、生体試料に含まれるミネラルの含有量とともに、アミノ酸の含有量を定量的に把握するという技術は従来知られていないという課題があった。
国際公開第2014/132383号 特開2012−098097号公報 国際公開第2015/060317号
「有機ゲルマニウム」星崎東明、株式会社健全社(2005年4月発行) A.Pinkerton et al., Determination of Forms of Sulphur in Plant Material by X-Ray Fluorescence Spectrometry, X-RAY SPECTRONETRY, 1990年,Vol.19,pp.63-65
課題を解決するための手段及びその効果
蛍光X線分析により、試料に含有されるミネラルを定量分析するためには、試料中のいずれの元素を内部標準の基準元素にするのかを決定することが非常に重要である。
特許文献1に記載のように、毛髪の場合は、毛髪を構成するケラチンに含まれる硫黄を内部標準の基準元素として採用することができたが、血液などの生体液には、不溶性のケラチンは含まれていないため、生体液の場合に、いずれの元素を基準にすべきなのかが明確ではなかった。
本発明者らの検討によれば、血液中においては、カルシウムパラドックスにより一定量のカルシウムが含まれていることが明らかであったため、当初、血液中の各元素の含有量をカルシウムに対する含有比率から算出することにより、各元素の定量分析が可能になると想定し、蛍光X線分析による血液の検査を試みた。
しかしながら、蛍光X線分析による血液の分析結果では、カルシウムのシグナルが、他の元素のシグナルと重なったため、カルシウムを基準に採用することはできなかった。
一方で、蛍光X線分析による血液の分析結果において、硫黄が検出され、その硫黄が、水溶性のアミノ酸であるメチオニン由来であることを見い出した。
本発明者らは、鋭意検討した結果、血液などの生体液に含まれるメチオニン由来の硫黄を、生体液に含まれるミネラルを定量分析するための基準元素とすることで、蛍光X線分析により、生体液に含まれるミネラルを定量分析することが可能となり、しかも、生体液の硫黄元素の測定値から、必須アミノ酸の一つであるメチオニンの含有量を精度良く求めることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、生体液に含まれる各種ミネラル及び必須アミノ酸の一つであるメチオニンの定量的な検査を、簡便かつ正確に、しかも安価に実施することができる生体液の検査方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明に係る生体液の検査方法(1)は、
蛍光X線分析装置を用い、被検者が採取可能な被検者由来の生体液に含まれるミネラルの、前記生体液に含まれる内部標準の基準元素としてのメチオニン由来の硫黄に対する含有比率を測定し、
測定された前記含有比率と、前記硫黄及び前記ミネラルの標準溶液を用いて蛍光X線分析を行って作成しておいた検量線とを用いて、前記生体液に含まれる前記硫黄及び前記ミネラルの含有量を算出し、
算出された前記硫黄の含有量に基づいて、前記生体液に含まれるメチオニンの含有量を算出し、
前記含有比率を測定する際に、
前記生体液を1滴又は複数滴だけ採取した試料を用いて、前処理を行うことなく、前記蛍光X線分析装置による分析を行うことを特徴としている。
上記生体液の検査方法(1)によれば、前記蛍光X線分析装置を用い、被検者自身により採取された前記生体液に含まれるミネラルの、前記メチオニン由来の硫黄に対する含有比率が測定される。次に、測定された前記含有比率と、前記検量線とを用いて、前記生体液に含まれる前記硫黄及び前記ミネラルの含有量が算出される。そして、算出された前記硫黄の含有量に基づいて、前記生体液に含まれる前記メチオニンの含有量が算出される。従って、前記生体液に含まれる各種ミネラル及び必須アミノ酸の一つである前記メチオニンの定量的な検査を、医師の関与及び検査のプロフェッショナルの関与を要することなく実施することができ、極めて安価なものとすることができる。また、蛍光X線分析によるため、簡便かつ正確に、しかも安価に実施することができる。また、前記生体液に含まれる各種ミネラル及び前記メチオニンの摂取過不足を明らかにすることができるため、被検者の健康状態を容易に把握することができることとなる。
本発明者らの試算によると、本検査方法によれば、例えば、12元素で約3,000円、すなわち、1ミネラル(元素)あたり、約250円で検査を行うことが可能となる。本検査方法を広く普及させることにより、多くの被検者に対して、的確な栄養指導や食事管理指導を行うことが可能となり、健康の維持・増進を目的とする予防医療を革新的に普及させることが可能となる。
また、上記生体液の検査方法(1)によれば、前記生体液を1滴又は複数滴だけ採取した試料を用いることにより、前記被検者から前記生体液を採取する際の負担を減らすことができる。また、前記試料の前処理を行うことなく、前記蛍光X線分析装置による分析を行うので、高度なテクニックがなくても簡便に分析を行うことができる。
本発明に係る検査方法では、蛍光X線分析により、前記生体液に含有される元素を定量分析するにあたり、内部標準の基準元素として、前記生体液に含まれる必須アミノ酸であるメチオニン由来の硫黄が用いられる。なお、前記生体液に含まれる水溶性のメチオニン由来の硫黄は、毛髪に含まれている硫黄、すなわち、ケラチンに含まれる不溶性のシスチン由来の硫黄とは全く別のものである。
また本発明に係る生体液の検査方法(2)は、上記生体液の検査方法(1)において、
同一の前記被検者から定期的に採取された前記生体液に含まれる前記ミネラルの、前記生体液に含まれる前記メチオニン由来の硫黄に対する含有比率を定期的に測定し、
定期的に算出された前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの含有量の経時変化を、前記被検者の健康状態を維持又は改善するための指標の一つとすることを特徴としている。
上記生体液の検査方法(2)によれば、前記生体液に含まれる前記ミネラルなどの含有量には個人差があるため、同一の被検者から定期的に採取された前記生体液に含まれるミネラルの、前記生体液に含まれるメチオニン由来の硫黄に対する含有比率を定期的に測定することが重要となる。定期的に算出された前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの含有量の経時変化を、前記被検者の健康状態を維持又は改善するための指標の一つとすることにより、個々の被検者に対して、より適切な評価を行うことができる。
また本発明に係る生体液の検査方法(3)は、上記生体液の検査方法(1)において、
算出された前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの含有量と、健常人の基準含有量とを比較して、過不足に関する評価を行うことを特徴としている。
上記生体液の検査方法(3)によれば、算出された前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの含有量と、前記健常人の基準含有量とを比較するので、前記過不足に関して、前記健常人と比較した相対的な評価を適切に行うことができる。
また本発明に係る生体液の検査方法()は、上記生体液の検査方法(1)〜()のいずれかにおいて、
前記生体液が、被検者自身が採取した血液、尿、唾液、汗、及び涙のうちの少なくとも一つを含むことを特徴としている。
上記生体液の検査方法()によれば、前記生体液が、前記被検者自身が採取した血液、尿、唾液、汗、及び涙のうちの少なくとも一つを含むので、前記被検者自身で前記生体液を採取すればよいので、前記生体液を採取するために前記被検者が通院などしなくてもよく、手軽に検査を受けることができる。
また本発明に係る生体液の検査方法()は、上記生体液の検査方法(1)〜()のいずれかにおいて、
前記生体液が、被検者自身が採取した血液、尿、唾液、汗、及び涙のうちの少なくとも2種以上を含むことを特徴としている。
上記生体液の検査方法()によれば、上記生体液の検査方法()と同様の効果が得られるとともに、前記2種以上を含むことにより、一方で検出されない、又は検出されにくい元素を他方で検出することも可能となり、検査結果を補完することができ、また多面的な評価を行うことが可能となる。
また本発明に係る生体液の検査方法()は、上記生体液の検査方法(1)〜()のいずれかにおいて、
前記ミネラルが、マグネシウム、リン、塩素、カリウム、鉄、銅、亜鉛、ゲルマニウム、及び臭素のうちの少なくとも2つ以上を含むことを特徴としている。
上記生体液の検査方法()によれば、前記ミネラルが、マグネシウム、リン、塩素、カリウム、鉄、銅、亜鉛、ゲルマニウム、及び臭素のうちの少なくとも2つ以上を含むので、必須ミネラルなどの摂取過不足に関する評価、毒性元素の体内への取り込みによる体内汚染に関する評価を幅広く行うことができる。
また本発明に係る生体液の検査方法(7)は、上記生体液の検査方法(1)〜(6)のいずれかにおいて、
被験者自身が自己採取用キットを用いて前記生体液を採取することを特徴としている。
また本発明に係る生体液の検査方法(8)は、上記生体液の検査方法(1)〜(6)のいずれかにおいて、
被検者自身がろ紙、薄膜、又はフィルムからなる点滴材料に前記生体液を採取することを特徴としている。
また本発明に係る生体液の検査方法(9)は、上記生体液の検査方法(1)〜(8)のいずれかにおいて、
前記生体液の検査結果に基づいて、被検者毎の報告書を作成し、
該報告書には、
前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの検査結果とともに、前記蛍光X線検査装置を用いて検査された、被検者由来の毛髪に含まれるミネラルの検査結果が含まれていることを特徴としている。
また本発明に係る生体液の検査方法(10)は、上記生体液の検査方法(1)〜(3)のいずれかにおいて、
前記生体液の検査結果に基づいて、被検者毎の報告書を作成し、
該報告書には、
前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの検査結果とともに、前記蛍光X線検査装置を用いて検査された、被検者由来の毛髪に含まれるミネラルの検査結果が含まれ、
前記生体液の検査結果には、少なくとも血液の検査結果が含まれ、
前記毛髪に含まれるミネラルの検査結果には、前記血液の恒常性機構により一定に維持されるミネラルの検査結果が含まれていることを特徴としている。
実施の形態に係る生体液の検査方法を説明するためのフローチャートである。 実施例1における被検者血液に含まれるミネラルの蛍光X線分析によるスペクトル図の一例である。 実施例1における被検者血液に含まれるミネラル(マグネシウム)の蛍光X線分析によるスペクトル図の一例である。 実施例1における被検者血液のマグネシウム(Mg)の硫黄(S)に対する含有比率から被検者血液のMg濃度を求めるための検量線である。 実施例1における被検者血液のリン(P)の硫黄(S)に対する含有比率から被検者血液のP濃度を求めるための検量線である。 実施例1における被検者血液の塩素(Cl)の硫黄(S)に対する含有比率から被検者血液のCl濃度を求めるための検量線である。 実施例1における被検者血液のカリウム(K)の硫黄(S)に対する含有比率から被検者血液のK濃度を求めるための検量線である。 実施例1における被検者血液の鉄(Fe)の硫黄(S)に対する含有比率から被検者血液のFe濃度を求めるための検量線である。 実施例1における被検者血液のゲルマニウム(Ge)の硫黄(S)に対する含有比率から被検者血液のFe濃度を求めるための検量線である。 実施例1における被検者血液の硫黄(S)の蛍光X線強度からメチオニンの濃度を求めるための検量線である。 実施例2における被検者唾液に含まれるミネラルの蛍光X線分析によるスペクトル図の一例である。 実施例3における被検者尿に含まれるミネラルの蛍光X線分析によるスペクトル図の一例である。 実施例4における被検者血液に含まれるミネラル、及び被検者毛髪に含まれるミネラルの蛍光X線分析による検査結果報告書の一例を示す図である。
以下、本発明に係る生体液の検査方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の範囲は、以下に述べる実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能であり、種々の検査例・検査形態も本発明の範囲内に包含されることは言うまでもない。
実施の形態に係る生体液の検査方法の一例を図1に基づいて説明する。
図1は、実施の形態に係る生体液の検査方法を説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS1では、蛍光X線分析装置を用い、被検者が採取可能な被検者由来の生体液に含まれるミネラルの、前記生体液に含まれるメチオニン由来の硫黄に対する含有比率を測定する。前記含有比率は、蛍光X線分析により検出されたピークの半値幅や高さ、面積などの値から求めた比率であり、換言すれば、信号比率ともいう。
本検査で用いる蛍光X線分析装置は、検査対象となる元素が検出できる形式のものであれば、装置の型式などは特に限定されない。例えば、エネルギー分散型蛍光X線分析装置、全反射蛍光X線分析装置、又は波長分散型蛍光X線分析装置などを用いることができる。また、前記装置は、卓上型でもよいし、ハンディ型でもよいし、据置型などでもよい。
検査対象の元素は、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、カリウム、鉄、ゲルマニウム、及び臭素のうちの少なくとも2つ以上の元素を含むことが好ましい。なお、検査対象の元素は、これらに限定されない。
蛍光X線分析を行う生体液は、被検者自身が採取した血液、尿、唾液、汗、及び涙のうちの少なくとも一つを含んでいればよい。
また、蛍光X線分析を行う生体液は、被検者自身が採取した血液、尿、唾液、汗、及び涙のうちの少なくとも2種以上を含んでもよい。これら生体液は、例えば、自己採取用キットなどを用いて、被検者自身で採取することが可能である。
また、前記生体液が1滴又は複数滴だけ採取された試料を用いて、前処理を行うことなく、蛍光X線分析装置による分析を行ってもよい。例えば、前記生体液は、ろ紙、薄膜、又はフィルムなどの点滴材料に採取されてもよい。なお、これら点滴材料には、不純物が少ない素材を用いることが好ましい。
次に、ステップS2では、測定された各ミネラルの含有比率と、硫黄及びミネラルの標準溶液を用いて蛍光X線分析を行って作成しておいた検量線(図4〜図10)とを用いて、前記生体液に含まれる硫黄及びミネラルの含有量を算出する。
作成しておいた前記検量線のデータは、蛍光X線分析装置、又は該蛍光X線分析装置に接続されたコンピュータ装置に登録しておき、これら装置を用いて、測定された含有比率を、検量線の式に当てはめることにより、前記生体液に含まれる硫黄及びミネラルの含有量を算出するようにしてもよい。
次に、ステップS3では、算出された前記硫黄の含有量に基づいて、前記生体液に含まれる前記メチオニンの含有量を算出する。前記生体液に含まれる硫黄は、その大部分がメチオニン由来の硫黄であるので、生体液のメチオニンの量は、硫黄と1対1の関係にある。
次に、ステップS4では、算出された前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの含有量の過不足を、健康状態を維持又は改善するための指標の一つとして提示する報告書を作成する。例えば、後述する、図13に示したような検査結果報告書が作成される。
[実施例1:被検者血液の蛍光X線分析装置による検査]
本実施例では、血液中の元素として、マグネシウム(Mg)、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)、カリウム(K)、鉄(Fe)、及びゲルマニウム(Ge)を蛍光X線分析装置で分析した。
まず、被験者の血液1滴又は複数滴がろ紙に採取された試料を準備する。なお、血液の採取は、例えば、市販の自己採血用キット(穿刺器具を指に押し当てて血液を1滴又は数滴だけ採取するキットなど)を用いて、被検者自身が行ってもよい。次に、血液が採取されたろ紙(試料)を蛍光X線分析装置にセットして、ろ紙に採取された血液に含まれる元素毎の蛍光X線強度を測定する。
図2、3は、実施例1における被検者血液に含まれるミネラルの蛍光X線分析によるスペクトル図の一例である。横軸はエネルギー、縦軸は蛍光X線強度を示す。
図2に示すスペクトル図では、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)、カリウム(K)、鉄(Fe)、及びゲルマニウム(Ge)のピークが検出されている。硫黄(S)は、メチオニン由来の硫黄である。
図3に示すスペクトル図では、マグネシウム(Mg)のピークが検出されている。軽金属(軽元素)であるマグネシウムを測定する場合は、発生する蛍光X線が微弱であるため、減衰しないように装置内部を真空にすることが好ましい。
次に、蛍光X線分析により検出された各元素のピーク面積を求め、各ミネラル(Mg、P、Cl、K、Fe、Ge)の、メチオニン由来の硫黄(S)に対する含有比率(各ミネラル/硫黄)を測定する。
次に、測定された各ミネラル(Mg、P、Cl、K、Fe、Ge)の含有比率を、図4〜9に示す各ミネラル(Mg、P、Cl、K、Fe、Ge)の検量線にそれぞれ当てはめて、血液に含まれる各ミネラルの含有量(ppm)を算出する。また、蛍光X線分析により検出された硫黄の蛍光X線強度を、図10に示す硫黄の検量線に当てはめて、血液に含まれる硫黄の含有量(ppm)を算出する。算出された硫黄の含有量(ppm)に基づいて、血液に含まれるメチオニンの含有量(ppm)を算出する。血液中のメチオニンの量は、硫黄と1対1の関係にある。上記した測定処理や算出処理は、例えば、蛍光X線分析装置、又は蛍光X線分析装置に接続されたコンピュータ装置が実行するように構成してもよい。
[蛍光X線分析による検量線]
検量線の作成には、マグネシウム(Mg)、リン(P)、塩素(Cl)、カリウム(K)、鉄(Fe)、及びゲルマニウム(Ge)などの各ミネラルの標準溶液と、硫黄(S)の標準溶液が用いられる。
例えば、各ミネラルの標準溶液を、血液中での各ミネラルの濃度範囲を考慮して、3〜5段階の濃度に調製し、これらに、血液中での硫黄の濃度範囲を考慮した一定濃度の硫黄を加える。これら調製した各ミネラル標準溶液を、例えば、ろ紙、又はスライドガラスなどに所定量だけ滴下し、乾燥させる。乾燥後の残留物を、蛍光X線分析装置により分析して、各ミネラルの硫黄に対する含有比率(ピーク面積値)を求める。これら含有比率を縦軸にとり、生体液中におけるミネラルの含有量(濃度)を横軸にプロットすることにより、検量線が作成される。
図4〜図9は、実施例1における被検者血液の各ミネラル(Mg、P、Cl、K、Fe、Ge)の硫黄(S)に対する含有比率(相対値)から被検者血液に含まれるミネラルの含有量(濃度)を求めるための検量線を示している。全てのミネラルの検量線について、良好な直線性が確認された。
図10は、実施例1における被検者血液のメチオニン由来の硫黄(S)の蛍光X線強度からメチオニンの濃度を求めるための検量線である。
例えば、硫黄の標準溶液を、血液中での硫黄の濃度範囲を考慮して、3〜5段階の濃度に調製し、これら調製した標準溶液を、例えば、ろ紙、又はスライドガラスなどに所定量だけ滴下し、乾燥させる。乾燥後の残留物を、蛍光X線分析装置により分析して、各濃度における蛍光X線強度を測定し、蛍光X線強度を縦軸にとり、硫黄の含有量(濃度)を横軸にプロットすることにより、検量線が作成される。図10に示す硫黄の検量線についても、良好な直線性が確認された。
表1は、図4〜10に示す各ミネラルの検量線を用いて算出された、実施例1における被検者1〜5の血液中の各ミネラル(Mg、P、Cl、K、Fe、Ge)の測定値を示している。
Figure 0006734489
図10に示す硫黄の検量線から算出された、被検者5のメチオニンの濃度は、1,02ppmであった。
[実施例2:被検者唾液の蛍光X線分析装置による検査]
図11は、実施例2における被検者唾液に含まれるミネラルの蛍光X線分析によるスペクトル図の一例である。横軸はエネルギー、縦軸は蛍光X線強度を示す。
図11に示すスペクトル図では、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)、カリウム(K)、及びゲルマニウム(Ge)のピークが検出されている。硫黄(S)は、メチオニン由来の硫黄である。被検者唾液では、被検者血液で検出された鉄が検出されていないが、他のミネラルは同様に検出された。
[実施例3:被検者尿の蛍光X線分析装置による検査]
図12は、実施例3における被検者尿に含まれるミネラルの蛍光X線分析によるスペクトル図の一例である。横軸はエネルギー、縦軸は蛍光X線強度を示す。
図12に示すスペクトル図では、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)、カリウム(K)、及びゲルマニウム(Ge)のピークが検出されている。硫黄(S)は、メチオニン由来の硫黄である。被検者尿では、被検者血液で検出された鉄が検出されていないが、他のミネラルは同様に検出された。
実施例1と同様に、蛍光X線分析により検出された各元素のピーク面積を求め、各ミネラル(Mg、P、Cl、K、Ge)の、メチオニン由来の硫黄(S)に対する含有比率(各ミネラル/硫黄)を測定する。
次に、測定された各ミネラル(Mg、P、Cl、K、Ge)の含有比率を、図4〜9に示す各ミネラル(Mg、P、Cl、K、Ge)の検量線にそれぞれ当てはめて、唾液、尿に含まれる各ミネラルの含有量(ppm)を算出する。また、蛍光X線分析により検出された硫黄の蛍光X線強度を、図10に示す硫黄の検量線に当てはめて、唾液、尿に含まれる硫黄の含有量(ppm)を算出する。算出された硫黄の含有量(ppm)に基づいて、唾液、尿に含まれるメチオニンの含有量(ppm)を算出する。唾液、尿中のメチオニンの量は、硫黄と1対1の関係にある。
表2は、実施例2、3における被検者1、3、5の唾液又は尿中の各ミネラル(Mg、P、Cl、K、Ge)の測定値を示している。
Figure 0006734489
図13は、実施例4における被検者の毛髪1本及び血液1滴によるミネラル検査結果報告書の一例を示す図である。
「血液による検査結果」欄には、ミネラルの検査結果一覧表と、ミネラルの過不足に関する評価コメントとが記載されている。ミネラルの検査結果一覧表には、分析されたミネラルの種類毎に、測定値(ppm)と基準値(ppm)とが示され、さらに、測定値が基準値と比較して低いか、基準内か、又は高いかを示す横棒グラフが示されている。
なお、図13には示していないが、「血液による検査結果」欄に、必須アミノ酸の検査結果として、メチオニンの測定値、基準値、及び横棒グラフが記載されてもよいし、さらにメチオニンの過不足に関する評価コメントが記載されてもよい。
このような報告書を作成すれば、血液などの生体液に含まれる各種ミネラル及びメチオニンの含有量と、健常人の基準含有量とが比較できるので、ミネラル等の摂取過不足に関して、健常人と比較した相対的な評価を適切に行うことができる。これにより、血液に含まれるミネラル及びメチオニンの含有量の過不足を、健康状態を維持又は改善するための指標の一つとして利用することが可能となる。
また、図13に示すミネラル検査結果報告書には、「毛髪による検査結果」欄が含まれている。「毛髪による検査結果」欄には、「血液による検査結果」と同様に、ミネラルの検査結果一覧表と、ミネラルの過不足に関する評価コメントとが記載されている。
ミネラルの検査結果一覧表には、上記同様に、分析されたミネラルの種類毎に、測定値(ppm)と基準値(ppm)とが示され、さらに、測定値が基準値と比較して低いか、基準内か、又は高いかを示す横棒グラフが示されている。また、鉛などの有害ミネラルについては、その測定値に基づいて、摂取なし、要注意、要排泄を示す横棒グラフが示されている。なお、毛髪の検査方法には、特許第6460559号公報に記載のプレパラート基板、毛髪プレパラート及び毛髪蛍光X線分析装置を用いて検査を行う方法を採用することができる。
毛髪の検査も行うことで、毛髪に含まれるミネラルの含有量の過不足を、健康状態を維持又は改善するための指標の一つとして利用することが可能となる。また、少なくとも血液と毛髪による検査結果を組み合わせることにより、血液の恒常性機構により、ほぼ一定値を維持する、カルシウムなどの一部のミネラルの摂取過不足の判定などを、毛髪の検査により補うことが可能となる。これにより、より多くのミネラルについて、詳細な評価を行うことが可能となる。換言すれば、生体液による検査と毛髪による検査とは、相補的な関係にあり、これらを組み合わせることにより、未病の改善や疾病予防などの予防医学的、かつ栄養学的な健康管理に役立てることができる。
これら検査は、1回だけで終わらせるのではなく、同一の被検者から定期的に採取された生体液に含まれるミネラルの、前記生体液に含まれるメチオニン由来の硫黄に対する含有比率を定期的に測定し、定期的に算出された前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの含有量の経時変化を、前記被検者の健康状態を維持又は改善するための指標の一つとして利用することが、より好ましい。
上記実施の形態に係る生体液の検査方法によれば、蛍光X線分析装置を用い、被検者自身により採取された血液、唾液、尿などの生体液に含まれる各種ミネラルの、メチオニン由来の硫黄に対する含有比率が測定される。次に、測定された含有比率と、図4〜図10に例示した検量線とを用いて、前記生体液に含まれる硫黄及び各ミネラルの含有量が算出される。そして、算出された硫黄の含有量に基づいて、前記生体液に含まれる前記メチオニンの含有量が算出される。この方法により、前記生体液に含まれる各種ミネラル及び必須アミノ酸の一つである前記メチオニンの定量的な検査を、医師の関与及び検査のプロフェッショナルの関与を要することなく実施することができ、極めて安価なものとすることができる。また、蛍光X線分析によるため、簡便かつ正確に、しかも安価に実施することができる。また、前記生体液に含まれる各種ミネラル及びメチオニンの摂取過不足を明らかにすることができるため、被検者の健康状態を容易に把握することができることとなる。
本発明者らの試算によると、本検査方法によれば、例えば、12元素で約3,000円、すなわち、1ミネラル(元素)あたり、約250円で検査を行うことが可能となる。本検査方法を広く普及させることにより、多くの被検者に対して、的確な栄養指導や食事管理指導を行うことが可能となり、健康の維持・増進を目的とする予防医療を革新的に普及させることが可能となる。
また、生体液に含まれる各種ミネラルなどの含有量には個人差があるため、同一の被検者から定期的に採取された前記生体液に含まれる各種ミネラルの、前記生体液に含まれるメチオニン由来の硫黄に対する含有比率を定期的に測定することが重要となる。定期的に算出された前記生体液に含まれる各種ミネラル及びメチオニンの含有量の経時変化を、被検者の健康状態を維持又は改善するための指標の一つとすることが可能となる。これにより、個々の被検者に対して、より適切な評価を行うことができる。
本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲における種々の実施の形態を包含することは言うまでもない。
本発明に係る蛍光X線分析装置を用いた生体液の検査方法により、生体液中の各種ミネラルと必須アミノ酸の一つであるメチオニンの含有量を、簡便且つ正確に、しかも安価に検査することが可能となり、これらミネラルとメチオニンの摂取過不足を被検者に把握させることにより、被検者の健康管理に役立てることができ、予防医療を革新的に普及させることができる。また、毒性元素の体内への取り込みによる体内汚染に関して、生体液を用いて、体内への影響を簡便に検査することも可能となる。

Claims (10)

  1. 蛍光X線分析装置を用い、被検者が採取可能な被検者由来の生体液に含まれるミネラルの、前記生体液に含まれる内部標準の基準元素としてのメチオニン由来の硫黄に対する含有比率を測定し、
    測定された前記含有比率と、前記硫黄及び前記ミネラルの標準溶液を用いて蛍光X線分析を行って作成しておいた検量線とを用いて、前記生体液に含まれる前記硫黄及び前記ミネラルの含有量を算出し、
    算出された前記硫黄の含有量に基づいて、前記生体液に含まれるメチオニンの含有量を算出し、
    前記含有比率を測定する際に、
    前記生体液を1滴又は複数滴だけ採取した試料を用いて、前処理を行うことなく、前記蛍光X線分析装置による分析を行うことを特徴とする生体液の検査方法。
  2. 同一の前記被検者から定期的に採取された前記生体液に含まれる前記ミネラルの、前記生体液に含まれる前記メチオニン由来の硫黄に対する含有比率を定期的に測定し、
    定期的に算出された前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの含有量の経時変化を、前記被検者の健康状態を維持又は改善するための指標の一つとすることを特徴とする請求項1記載の生体液の検査方法。
  3. 算出された前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの含有量と、健常人の基準含有量とを比較して、過不足に関する評価を行うことを特徴とする請求項1記載の生体液の検査方法。
  4. 前記生体液が、被検者自身が採取した血液、尿、唾液、汗、及び涙のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の生体液の検査方法。
  5. 前記生体液が、被検者自身が採取した血液、尿、唾液、汗、及び涙のうちの少なくとも2種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の生体液の検査方法。
  6. 前記ミネラルが、マグネシウム、リン、塩素、カリウム、鉄、銅、亜鉛、ゲルマニウム、及び臭素のうちの少なくとも2つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の生体液の検査方法。
  7. 被験者自身が自己採取用キットを用いて前記生体液を採取することを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の生体液の検査方法。
  8. 被検者自身がろ紙、薄膜、又はフィルムからなる点滴材料に前記生体液を採取することを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の生体液の検査方法。
  9. 前記生体液の検査結果に基づいて、被検者毎の報告書を作成し、
    該報告書には、
    前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの検査結果とともに、前記蛍光X線検査装置を用いて検査された、被検者由来の毛髪に含まれるミネラルの検査結果が含まれていることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の生体液の検査方法。
  10. 前記生体液の検査結果に基づいて、被検者毎の報告書を作成し、
    該報告書には、
    前記生体液に含まれる前記ミネラル及び前記メチオニンの検査結果とともに、前記蛍光X線検査装置を用いて検査された、被検者由来の毛髪に含まれるミネラルの検査結果が含まれ、
    前記生体液の検査結果には、少なくとも血液の検査結果が含まれ、
    前記毛髪に含まれるミネラルの検査結果には、前記血液の恒常性機構により一定に維持されるミネラルの検査結果が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の生体液の検査方法。
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