JP6732701B2 - 補修部材及び補修構造並びに損傷検出方法 - Google Patents
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Description
補修部材と補修対象部材が接触している面等の外部から視認できない損傷を検出するために、損傷を検出するセンサ等を用いることが考えられる。このようなセンサを有する補修部材としては、特許文献1のようなものがある。
本発明の一態様に係る補修部材は、補修対象部材に固定され、前記補修対象部材に形成された開口を覆う板状の補修部材であって、前記補修対象部材と接触する前記補修部材の一面側に配置される超音波探触子を備え、前記超音波探触子は、前記一面と接触する補修部材接触部及び、前記補修対象部材と接触可能な補修対象部材接触部を有、前記開口に沿って配置されている。
また、超音波探触子と補修対象部材とが接触している場合には、補修対象部材接触部から送信された超音波は、補修対象部材の内部を伝搬する。これにより、補修対象部材の内部の腐食、クラック等の損傷を検出することができる。
したがって、補修部材の一面側に配置される超音波探触子のみで、補修部材と補修対象部材との双方の損傷を検出することができる。また、超音波によって損傷等を検出しているので、微小な損傷も検出することができる。
また、補修部材及び補修対象部材の各々に対して、他の部材を介さずに超音波を伝搬させている。これにより、各部材を伝搬する超音波が、補修部材と補修対象部材との接触面(界面)を通過しない。よって、伝搬する超音波の減衰を抑えることができる。したがって、より精度よく各部材の損傷を検出することができる。
なお、超音波探触子は、油等を介して補修対象物または補修部材と接触していてもよい。
また、補修対象部材接触部から送信された超音波は、補修対象部材の内部を伝搬する。これにより、補修対象部材の内部の腐食、クラック等の損傷を検出することができる。
したがって、補修対象部材と前記補修部材との接触面に配置される超音波探触子のみで、補修部材と補修対象部材との双方の損傷を検出することができる。また、超音波によって損傷等を検出しているので、微小な損傷も検出することができる。
また、補修部材及び補修対象部材の各々に対して、他の部材を介さずに超音波を伝搬させている。これにより、各部材を伝搬する超音波が、補修部材と補修対象部材との接触面(界面)を通過しない。よって、伝搬する超音波の減衰を抑えることができる。したがって、より精度よく各部材の損傷を検出することができる。
なお、超音波探触子は、油等を介して補修対象物または補修部材と接触していてもよい。
また、補修部材側に超音波探触子を設けているので、例えば、予め工場等で補修部材に超音波探触子を設けておけば、補修を行う現場では超音波探触子を設置する作業を省略することができる。したがって、現場での作業工程を低減することができる。
補修構造1は、例えば、金属製の板材などに損傷が発生した場合に、当該損傷部分を補修する際に適用される。本実施形態では、航空機の外板2に損傷(例えば、腐食やクラック)が発生した場合について説明する。本実施形態では、当該損傷部分を切り取ることで補修を行うため、外板に開口3を形成する。
固定部分における接触面4cには、露出面4b側に向かって凹む凹部11が複数形成されている。本実施形態では、図1に示すように、開口3の四隅の近傍であって、かつ、ファスナ孔4aから所定距離だけ離れた位置に凹部11が形成されている。すなわち、開口3を囲うように4つの凹部11が形成されている。各凹部11は、各々、接触面4cから垂直に露出面4b方向に延びる円柱状の側面11aと、側面11aの露出面4b側の端部から接触面4cと並行方向に延びる底面11bとを有する。
まず、外板2に発生した損傷部分及び損傷部分に隣接する領域を加工装置(図示省略)によって切り取ることで、外板2に開口3を形成する。このとき、損傷の残存の恐れがないように、損傷部分に対して比較的大きめに開口3を形成する。次に、開口3を外側から覆うように補修部材4を外板2に対して配置する。このとき、補修部材4には、予め工場等において、凹部11を形成するとともに、凹部11の内部に超音波探触子7を設置しているので、補修現場では、超音波探触子7を設置する作業は行わない。次に、外板2及び補修部材4に形成されたファスナ貫通孔10にファスナ5を挿通し、ファスナ5の突出部5cとカラー6とを係合させ、外板2と補修部材4とを固定する。なお、補修部材4を外板2に配置する際に、補修部材4と外板2とが接触する面にシーラントを塗布してもよい。
図2に示すように、補修部材4の凹部11に配置された送信用超音波探触子7tは、送信用超音波探触子7tの一面7aから、該一面7aに対して傾斜する方向に超音波を送信する。すなわち、送信用超音波探触子7tの一面7aから送信された超音波は、補修部材4の内部を伝搬する。また、同時に、送信用超音波探触子7tは、送信用超音波探触子7tの他面7bから、該他面7bに対して傾斜する方向に超音波を送信する。すなわち、送信用超音波探触子7tの他面7bから送信された超音波は、外板2の内部を伝搬する。
補修部材4及び外板2の内部を伝搬する超音波は、受信用超音波探触子7rによって受信される。受信用超音波探触子7rは、超音波を受信すると受信状態を制御部に送信する。
一方、図2(A)及び図3(B)に示すように、補修部材4において、送信用超音波探触子7tと受信用超音波探触子7rとの間にクラック等の損傷Dが存在している場合には、補修部材4の内部を伝搬する超音波の一部は、損傷Dによって遮られる。遮られた超音波は、受信用超音波探触子7rまで至らない。また、図2(B)及び図3(B)に示すように、外板2において、送信用超音波探触子7tと受信用超音波探触子7rとの間に損傷Dが存在している場合には、外板2の内部を伝搬する超音波は、損傷Dによって遮られる。遮られた超音波は、受信用超音波探触子7rまで至らない。
したがって、制御部に送信されてきた送受信状態の情報が、送信用超音波探触子7tと受信用超音波探触子7rとの間に損傷がない場合と比較して、異なっている場合には、補修部材4または外板2のどちらかにおいて、送信用超音波探触子7tと受信用超音波探触子7rとの間に損傷が存在していると判断することができる。よって、損傷を検出することができる。
なお、損傷が存在しない場合の送受信状態としては、例えば、補修部材4及び外板2の製造時や修理完了時等の健全性が担保できる状態で取得された送受信状態を用いることができる。
補修部材4の接触面4c側に配置される超音波探触子7のみで、補修部材4と外板2との双方の損傷を検出することができる。また、超音波によって損傷等を検出しているので、微小な損傷も検出することができる。
また、外板2の損傷を超音波探触子によって検出する方法としては、図6に符号20bで示すように、外板2の内部空間8側の面に超音波探触子20bを設置する方法も考えられる。しかしながら、外板2の内部空間8側の面は、航空機の内部空間8を規定する面となるので、外板2の内部空間8側の面には、様々な部材、装置等が設置されている。具体的には、外板2が航空機の胴体部分を構成する場合には、内部空間8側の面には内装が設けられていて、外板2が航空機の翼部分を構成する場合には、内部空間8側の面には燃料シール等が施されている。したがって、外板2の内部空間8側の面には、好適に超音波探触子を設置することができない可能性がある。また、航空機の翼部分の先端等の狭隘部等では、外板2の内部空間8側の面にアクセスできないので、超音波探触子を設置することができない。
また、補修部材4の接触面4c側に配置される超音波探触子7のみで、補修部材4と外板2との双方の損傷を検出することができるので、外板2の内部空間8側の面に超音波探触子を設けることなく、補修部材4及び外板2の損傷を検出することができる。
また、予め工場等で補修部材4に超音波探触子7を設けているので、補修を行う現場では超音波探触子7を設置する作業を省略することができる。したがって、現場での作業工程を低減することができる。
この例では、図4(A)に示すように、損傷がない場合には、送受信用超音波探触子7trから送信された超音波は、そのまま進み続けるので、送受信用超音波探触子7trは超音波を受信しない。一方、図4(B)に示すように、送受信用超音波探触子7trの周辺に損傷が存在する場合には、損傷により送信した超音波が反射し、反射した超音波を送受信用超音波探触子7trが受信する。したがって、送受信用超音波探触子7trが超音波を受信した場合には、損傷が存在していると判断することができる。
このように、送信用超音波探触子7tと受信用超音波探触子7rとを配置することで、開口3周辺の領域のなかでも、応力集中等によって特に損傷が発生し易い開口3の四隅の近傍を検出対象領域とすることができる。したがって、開口3の四隅の近傍の領域で発生した損傷をより好適に検出することができる。
2 外板(補修対象部材)
2a ファスナ孔
3 開口
4 補修部材
4a ファスナ孔
4b 露出面
4c 接触面
5 ファスナ
6 カラー
7 超音波探触子
7a 一面(補修部材接触部)
7b 他面(補修対象部材接触部)
7t 送信用超音波探触子
7r 受信用超音波探触子
8 内部空間
10 ファスナ貫通孔
11 凹部
11a 側面
11b 底面
D 損傷
Claims (8)
- 補修対象部材に固定され、前記補修対象部材に形成された開口を覆う板状の補修部材であって、
前記補修対象部材と接触する前記補修部材の一面側に配置される超音波探触子を備え、
前記超音波探触子は、前記補修部材と接触する補修部材接触部及び、前記補修対象部材と接触可能な補修対象部材接触部を有し、前記開口に沿って配置されている補修部材。 - 前記超音波探触子は、複数設けられ、
前記複数の超音波探触子は、前記開口を囲うように配置される請求項1に記載の補修部材。 - 前記超音波探触子は、前記補修部材接触部及び前記補修対象部材接触部から、前記補修部材の前記一面に対して傾斜する方向に超音波を送信可能な送信用超音波探触子を含んでいる請求項1または請求項2に記載の補修部材。
- 前記補修対象部材と接触する一面側にて凹状に形成された凹部を有し、
前記超音波探触子は、前記凹部の内部に配置されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の補修部材。 - 開口が形成された補修対象部材と、
前記補修対象部材に固定され、前記開口を覆う板状の補修部材と、
前記補修部材と接触する補修部材接触部及び、前記補修対象部材と接触する補修対象部材接触部を有し、前記補修対象部材と前記補修部材との接触面に配置される超音波探触子と、を備え、
前記超音波探触子は、前記開口に沿って配置されている補修構造。 - 前記補修部材は、前記補修対象部材と接触する一面側にて凹状に形成された凹部を有し、
前記超音波探触子は、前記凹部の内部に配置されている請求項5に記載の補修構造。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載された補修部材を用いた損傷検出方法であって、
前記超音波探触子から超音波を送信するステップと、
前記超音波の送受信状態に基づいて前記補修部材及び前記補修対象部材の少なくとも一方の損傷を検出するステップと、を有する損傷検出方法。 - 請求項5または請求項6に記載された補修構造において、
前記超音波探触子から超音波を送信するステップと、
前記超音波の送受信状態に基づいて前記補修部材及び前記補修対象部材の少なくとも一方の損傷を検出するステップと、を有する損傷検出方法。
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