JP6727904B2 - 水中油型睫毛用化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、水中油型睫毛用化粧料に関し、さらに詳しくは、中空繊維入り水中油型睫毛用化粧料に関する。
マスカラなどの睫毛用化粧料は、一般に、睫毛を長くみせるロングラッシュ効果、睫毛を太く見せるボリューム効果、上向きの睫毛を維持するカール効果、およびそれらの効果の持続性に優れていることが求められており、最近では、それらの基本的な性能に加えて仕上がりの自然さや複数の睫毛が束にならない性質(セパレート効果)に対する要望も高まっている。
従来、マスカラ等の睫毛用化粧料は、ウォータプルーフタイプと呼ばれる油性タイプまたは油中水型タイプのものと、フィルムタイプと呼ばれるポリマーエマルションを被膜形成成分とする水中油型タイプが主な剤型として販売され、使用されている。このうちウォータプルーフタイプは涙や水に対する耐水性に優れているが、化粧落としに際して化粧の除去がしにくいといった問題がある。他方、水中油型タイプでは化粧の除去が容易であるというメリットを持つ反面、耐水性が十分とはいえず、また、連続相が水であるために水が持つ高い表面張力により睫毛が束になりやすく、セパレート性に劣るという問題がある。
水中油型タイプの欠点である耐水性を改良する試みは従来から行われており、その具体例として特許文献1には、外相に水と繊維と水溶性高分子とを含有し、内相に揮発性油分と油溶性樹脂と疎水表面をもつ色材とを含有する水中油型エマルションタイプの睫毛用化粧料が提案されている。この文献では、水と繊維と水溶性高分子を含む水相と、揮発性油分と油溶性樹脂とカーボンブラックまたは黒酸化鉄を含む油相を予め調製し、両者を混合して乳化することにより水中油型睫毛用化粧料を調製している(実施例参照)。このようにして得られる水中油型睫毛用化粧料は、睫毛への繊維の付着性に優れており、化粧持ちの点でも優れていると記載されている。しかし、この化粧料は、油溶性樹脂等の配合により耐水性は向上しているものの、セパレート効果の点では十分なものとはいえなかった。
また、ボリューム効果を高めるための検討も種々行われており、特許文献2では、ボリューム効果とセパレート効果の両立を図るために、アクリル系エマルションなどの被膜形成性ポリマーにアクリルアミド系ポリマーなどの特定の水溶性ポリマーとポリエチレンワックス、カルナウバロウなどの固形の油性増粘剤を配合した睫毛用化粧料が提案されている(請求項2参照)。
この特許文献2には、具体例として、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリルアミド系ポリマーやメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体をアミド化した水溶性ポリマー、ミツロウやシリコーンワックスなどの油性増粘剤、および黒酸化鉄などを含む水中油乳化型睫毛用化粧料(実施例1〜4)や、アクリル酸エマルションポリマー、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体をアミド化した水溶性ポリマー、ポリエチレンワックス、シリコーンワックスなどの油性増粘剤、レーヨンファイバー、およびベンガラなどを含む水中油乳化型睫毛用化粧料(実施例10)が記載されており、いずれの化粧料もボリューム効果とセパレート効果において優れていると評価されている。しかし、この方法で得られる化粧料は、特定の水溶性ポリマーを用いることによって化粧料の粘度上昇は抑えられるものの、水溶性ポリマーの存在によって被膜表面に粘着性が生じるものであることから、セパレート効果についての昨今の高度な要求を満たすには必ずしも十分なものとはいえなかった。
また、睫毛用化粧料の調製に当たっては、ロングラッシュ効果を高めるために繊維を配合するのが一般的であり、睫毛用化粧料に適した繊維の改良も鋭意行われている。本出願人等も中空部の周囲壁の一部が長手方向に欠損した中空繊維を開発し、それを配合したマスカラ等の化粧料を提案している(特許文献3)。そして、その具体例としてアクリル系エマルション、サラシミツロウ、カルナウバロウを含み、顔料として黒酸化鉄を含む水中油型マスカラ組成物が記載されている(実施例1〜4)。この組成物に含まれる中空繊維は、その特有の形状の故に睫毛に強固に付着することができるため、ロングラッシュ効果、カール効果、化粧もちおよびセパレート効果を向上させることができる。しかし、最近のセパレート効果に対する要求は一段と高まっており、さらなるセパレート効果の改善が望まれていた。
特開平7−267827号公報 特開2012−214453号公報 特開2014−205633号公報
本発明は、このような背景技術の下に完成したものであり、その目的は、相反する機能であるボリューム効果とセパレート効果を両立させ、同時に除去のしやすさ、耐水性、カール効果、ロングラッシュ効果にも優れる水中油型睫毛用化粧料を提供すること、および該水中油型睫毛用化粧料を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上述の課題に鑑みて特許文献3に記載されている中空部の周囲壁の一部が長手方向に欠損した中空繊維を含む水中油型睫毛用化粧料のセパレート効果を改良すべく鋭意研究を重ねた結果、前記水中油型睫毛用化粧料において、油性成分として特定粘度を有する高分子量ジメチルポリシロキサンを使用し、油溶性樹脂、特定の顔料およびそれを分散させるための特定の分散剤を使用すると、ボリューム効果を損なうことなくセパレート効果を大きく改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、(A)皮膜形成性ポリマーエマルション、(B)25℃における動粘度が5,000〜1,000,000mm/sの動粘度を有する高分子量ジメチルポリシロキサン、(C)油溶性樹脂、(D)長さが0.5〜6mmであり、横断面の外接円の直径が20〜120μmであり、中空率が5〜50%であり、横断面における周囲壁の欠損率が0.5〜30%であり、且つ繊度が6〜30デシテックスである、中空部の周囲壁の一部が長手方向に欠損した中空繊維、(E)カーボンブラックおよび(F)ポリビニルピロリドンを含有する水中油型睫毛用化粧料が提供される。
また、本発明によれば、カーボンブラック、ポリビニルピロリドンおよび界面活性剤を含む水相(A相)と、25℃における動粘度が5,000〜1,000,000mm/sの高分子量ジメチルポリシロキサンと油溶性樹脂を含む油相(B相)を加熱下に混合して乳化物を調製した後、皮膜形成性ポリマー、および長さが0.5〜6mmであり、横断面の外接円の直径が20〜120μmであり、中空率が5〜50%であり、横断面における周囲壁の欠損率が0.5〜30%であり、且つ繊度が6〜30デシテックスである、中空部の周囲壁の一部が長手方向に欠損した中空繊維を、前記乳化物に混合する水中油型睫毛用化粧料の製造方法が提供される。
本発明によれば、前記の特定の中空繊維を配合した水中油型睫毛用化粧料が有するボリューム効果、化粧の除去のしやすさ、耐水性、カール効果およびロングラッシュ効果を損なうことなく、セパレート効果を大きく改善することができる。
図1は、実施例において使用した周囲壁に欠損部を有する中空繊維の横断面の形状を示す走査電子顕微鏡写真である(倍率500倍)。 図2は、周囲壁に欠損部を有する中空繊維の横断面の例示であり、(1)は略楕円形、(2)は略三角形、(3)は略四角形、(4)は略円形の横断面を示す模式図である。 図3は、中空繊維の中空率および欠損率の算出法を示す説明図である。
本発明の睫毛用化粧料は、その構成成分として(A)皮膜形成性ポリマーエマルション、(B)25℃における動粘度が5,000〜1,000,000mm/sの動粘度を有する高分子量ジメチルポリシロキサン、(C)油溶性樹脂、(D)長さが0.5〜6mmであり、横断面の外接円の直径が20〜120μmであり、中空率が5〜50%であり、横断面における周囲壁の欠損率が0.5〜30%であり、且つ繊度が6〜30デシテックスである、中空部の周囲壁の一部が長手方向に欠損した中空繊維、(E)カーボンブラックおよび(F)ポリビニルピロリドンを含有している。
以下、それぞれの成分について説明する。
(A)成分の皮膜形成性ポリマーエマルションは、水中油型睫毛用化粧料において、通常、耐水性等の化粧持続性の向上やカール効果の持続性の向上といった役割を果たしているが、本発明においては、さらに(D)成分として用いられる中空繊維を睫毛に固定する役割も担っている。
皮膜形成性ポリマーエマルションは水不溶性高分子の水分散物であり、具体例としては、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、メタクリル酸アルキル共重合体エマルション、スチレン・アクリル酸アルキル共重合体エマルション、スチレン・メタクリル酸アルキル共重合体エマルション、酢酸ビニル重合体エマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション、メタクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション、アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体エマルション、メタクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体エマルション、メタクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキルジメチコン共重合体エマルション等が挙げられる。
上記アクリル酸アルキル共重合体エマルションの具体例としては、INCI(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)においてACLYLATES COPOLYMER(アクリレーツコポリマー)と命名されているものを挙げることができ、その市販品例としては、ヨドゾールGH800F(アクゾノーベル社製)等が挙げられる。また、上記アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体エマルションの具体例としては、INCIにおける名称がACLYLATES/ETHYLHEXYL ACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー)のポリマーを挙げることができ、その市販品例としては、ダイトゾール5000SJ(大東化成工業社製)等が挙げられる。
これらのポリマーエマルションは、単独で使用してもよく、また、2種以上を併用することもできる。これらの中でも、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマーまたはアクリレーツコポリマーを配合することが、(A)成分の中空繊維を睫毛に密着させて所望の効果を得る上で、特に好ましい。
化粧料への皮膜形成性ポリマーエマルションの配合量は適宜調整されるが、固形分として好ましくは1〜40質量%であり、さらに好ましくは2〜35質量%である。配合量が過度に少ないと繊維の睫毛への固定が十分ではなくなり、ロングラッシュ効果、カール効果、ボリューム効果およびセパレート効果の持続性が低下する。一方、配合量が過度に多くなると化粧料の粘度が上昇し、塗布することが難しくなる。
本発明においては、(B)成分として高分子量ジメチルポリシロキサンが用いられる。高分子量ジメチルポリシロキサンの25℃における動粘度は5,000〜1,000,000mm/sであることが必要であり、好ましくは10,000〜500,000mm/s、より好ましくは20,000〜300,000mm/sである。高分子量ジメチルポリシロキサンの動粘度が過度に低くなるとセパレート効果が低下し、逆に過度に大きい場合には油相に均一に溶解することができず、セパレート効果が低下する。
高分子量ジメチルポリシロキサンの分子量(M)は、下記式(1)で示されるA.J.Barryの式に基づいて、動粘度の値(η)から求めることができる。
logη=1.00+0.0123M0.5 ・・・・・(1)
(式中、ηは25℃における動粘度(mm/s)を表す。)
ちなみに、25℃における動粘度5,000mm/sおよび1,000,000mm/sに対応する分子量M(g/mol)は、それぞれ48,000および165,000である。高分子量ジメチルポリシロキサンは、単独で使用してもよく、また、2種以上を併用することもできる。
(B)高分子量ジメチルポリシロキサンはセパレート効果の向上に重要な役割を果たしており、同じポリシロキサンであってもジメチコノールやアミノ変性シリコーンなどの極性基を側鎖または末端に有するポリシロキサンではセパレート効果の向上が十分ではなくなる。(B)高分子量ジメチルポリシロキサンがセパレート効果をもたらす作用機序は明らかではないが、高分子量ジメチルポリシロキサンは炭化水素系の液状油分やワックス、皮膜形成樹脂等と相溶性が低く、また、表面張力が小さいため、化粧料を塗布した後に水などの揮発性溶媒が揮発し睫毛上に化粧被膜を形成する際に表面に局在化することにより、被膜の表面エネルギーを低下させ、睫毛同士を付着しにくくさせると考えられる。被膜の表面エネルギーは、Zismannプロット等により、臨界表面張力として測定値から算出することができるが、簡易的には水との接触角を測定することによりその大小を比較することができる。
(B)成分の配合量は0.01〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。(B)成分の配合量が過度に少ないとセパレート効果の改良が十分でなくなり、逆に、過度に多くなると水中油型エマルションが不安定になり、水相と油相が分離するなど、均一な乳化状態が保てなくなる。
本発明の睫毛用化粧料は、(C)成分として油溶性樹脂を含有する。油溶性樹脂の配合により、中空繊維の睫毛への密着性が向上し、ロングラッシュ効果、カール効果、ボリューム効果およびセパレート効果の持続性が向上する。
(C)油溶性樹脂の例としては、トリメチルシロキシケイ酸、部分架橋オルガノポリシロキサン、トリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸、フッ素変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、シリコーンデンドリマー変性樹脂化合物等のシリコーン系樹脂、水添ロジン酸ペンタエリスリット、水添ロジン酸グリセリル、水添アビエチン酸グリセリル等のロジン酸系樹脂、キャンデリラ樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリイソブチレンなどが挙げられる。なお、キャンデリラ樹脂とは、キャンデリラワックスを有機溶剤にて分別抽出して得られる樹脂分であって、樹脂分含量が好ましくは65%以上、更に好ましくは85%以上のものであり、市販品例としてキャンデリラ樹脂E−1(日本ナチュラルプロダクツ社製) を挙げることができる。
また、シリコーンデンドリマー変性樹脂化合物の例としては、アクリル樹脂鎖にトリメチルシリコンデンドリマーを共重合させた(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーが挙げられ、市販品例としては、FA4002 ID Silicone Acrylate(40質量%イソドデカン溶液)(東レ・ダウコーニング社製)などを挙げることができる。水添ロジン酸グリセリルの市販品例としては、PINECRYSTAL KE−311(荒川化学社製)などを挙げることができる。これらの中でもキャンデリラ樹脂、水添ロジン酸グリセリルまたはこの両者を組合せて使用することが好ましい。
(C)油溶性樹脂の配合量は、好ましくは0.5〜20質量%であり、さらに好ましくは1〜15質量%である。配合量が過度に少ないと繊維の睫毛への固定が十分ではなくなり、ロングラッシュ効果、カール効果、ボリューム効果およびセパレート効果の持続性が低下する。一方、配合量が過度に多くなると塗布することが難しくなる。
本発明の睫毛用化粧料は、(D)成分として、長さが0.5〜6mmであり、横断面の外接円の直径が20〜120μmであり、中空率が5〜50%であり、横断面における周囲壁の欠損率が0.5〜30%であり、且つ繊度が6〜30デシテックスである、中空部の周囲壁の一部が長手方向に欠損した中空繊維を含んでいる。該中空繊維については前記特許文献3(特開2014−205633号公報)に詳細に説明されているが、概略、以下のようなものである。
中空繊維の横断面形状は、内部が空白であり、且つ、周囲壁の一部に欠損部を有していれば特に限定されず、その具体的な例として、例えば、三角形(図2の(2)参照)、四角形(図2の(3)参照)、五角形、六角形、八角形等の多角形、円形(図2の(4)参照)、惰円形(または馬蹄形)(図2の(1)参照)などを例示できる。これらの形状は、適宜変形されていてもよく、例えば、三角形の各辺が窪んだ三葉形、三角形の一辺だけが窪んでおり他の二辺は直線状もしくはやや膨らみを持つ形状、六角形の各辺が窪んだ六葉形などであってもよい。これらのなかでも、略三角形の一辺に欠損部のある形状、たとえば、図1および図2の(2)で示されるような略ハート形で窪みのある辺の中央に欠損部のある形状が、睫毛への密着性、カール効果の点から好ましい。とくに、図3に示すように、略三角形の欠損部のある辺の長さをWとした場合、他の二辺で形成する頂点までの高さHとの比(H:W)を0.3:1〜1:1にすることが好ましく、このような数値範囲とすることによって、睫毛への中空繊維の付着性が良好になる。また、略三角形の中でも底辺以外の2辺は外側にやや膨らみを持つ形状、すなわち、凸の曲線であることが好ましい。中空部は、通常、一つの孔で形成される。中空繊維がその周囲壁に欠損部を持つことにより、繊維と睫毛の密着性が向上し、その結果としてロングラッシュ効果が大きくなり、自然な外観が得られ、且つカール効果およびセパレート効果が大きくなる。
中空繊維の材質は、紡糸が可能な合成繊維であれば特に制限されず、具体例として、ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、レーヨン、キュプラ、アセテート、トリアセテート、アクリル、ポリウレタン、ビニロン、プロミックス、ポリノジック等の合成繊維が挙げられる。なかでも、ポリアミド、ポリエステルおよびポリオレフィンが好ましく、ポリアミドがとくに好ましい。該中空繊維は、所望の横断面形状を有する中空繊維となるように設計した紡糸口金を用いること以外は、常法にしたがって合成繊維を紡糸することにより製造される。
中空繊維の長さは、0.5〜6mm、好ましくは1〜5mmであり、より好ましくは1.5〜4mmである。0.5mm未満では、睫毛を長く見せる効果は発揮できず、6mmを超えると、自然な睫毛を演出することが難しく、美しく仕上げることも難しい。また、中空繊維の太さは、横断面の外接円の直径が20〜120μm、好ましくは40〜100μmであり、より好ましくは50〜90μmである。20μm未満では、睫毛に沿うことができず、不自然な仕上がりとなり、120μmを超えると、睫毛への付着性が乏しく、脱落し易くなる。なお、横断面の形状によっては、すべての頂点部に接する外接円を描けない場合もあるが、その場合にはもっとも多くの頂点部が接する外接円を描くものとする。さらに、繊度は、通常、6〜30デシテックス、好ましくは8〜25デシテックス、さらに好ましくは10〜20デシテックスであり、繊度が過度に小さくなると、睫毛に沿うことができず、不自然な仕上がりとなり、逆に過度に大きくなると睫毛への付着性が乏しく、脱落し易くなる。
また、中空繊維の中空率は5〜50%であり、且つ、横断面における周囲壁の欠損率は0.5〜30%である。なお、中空率および欠損率は、以下のようにして算出される数値である。
中空率(%)=A/B×100
A:中空部および欠損部の断面積
B:繊維外周内の総断面積
欠損率(%)=C/D×100
C:繊維横断面における欠損部の直線距離
D:繊維横断面外側の周囲長
なお、上記AおよびBの値は、図3に示すように、欠損部の両端部aおよびbを直線で結んだ形状で算出するものであり、中空繊維の横断面を電子顕微鏡で拡大して測定する。また、上記Cは、横断面にある欠損部の両端を結ぶ最短距離であり、図3に示すように、長さLとして算出する。さらに、上記Dは、前記欠損部の両端を最短距離で結んだ形状での周囲壁外周の長さである。
中空繊維の中空率が5%未満では付着性が乏しく、50%を越えると睫毛に沿って付着しにくくなるため不自然な仕上がりになる。中空率の好ましい範囲は10〜40%であり、より好ましくは15〜35%である。また、欠損率が0.5〜30%の範囲を外れると睫毛への付着性が低下する。欠損率の好ましい範囲は0.7〜20%であり、より好ましくは1〜10%である。
(D)成分の中空繊維の配合量は、睫毛用化粧料全量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8質量%である。繊維の配合量が過度に少ないと睫毛を長く見せる効果は発揮し難くなり、逆に過度に多くなると自然な睫毛を演出することが難しく、美しく仕上げることも難しくなる。
(D)成分の中空繊維は直線状のものでもよいが、長さ方向に若干湾曲した形状にすることもできる。湾曲の曲率半径は、好ましくは0.2〜15mmであり、より好ましくは0.5〜10mmである。曲率半径が過度に大きい場合、すなわち、直線状に近い場合には、湾曲させたことによるカール効果の改善度合いが十分に上がらず、逆に過度に小さくなると、睫毛に付着し難くきれいな仕上がりを得にくくなる。
(D)成分の中空繊維は、無色でも、カーボンブラックによる着色を阻害しない範囲で適宜着色したものであってもよい。着色する方法は、常法に従えばよく、たとえば、染色による方法、染料や顔料を繊維形成用材料に練りこむ方法を採用することができる。また、フッ素化合物、シリコーン化合物、無水ケイ酸、界面活性剤等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いてもよい。
(D)成分の中空繊維は、市販品を用いることができる。好ましい市販品例としては、コスメテリアルズ社製「ハートファイバー 15T−2MM」を挙げることができ、その材質、形状は以下の通りである。
材質;ナイロン−6
繊度;15デシテックス
繊維長;2mm
断面形状;中空略三角形の一辺の中央部に欠損部を有する
外接円直径;70μm
中空率;25%
欠損率;4%
本発明の睫毛用化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、(D)成分の中空繊維以外に従前用いられている種々断面形状の繊維を合わせて使用することができる。
本発明の睫毛用化粧料は、(E)成分としてカーボンブラックを含み、さらに(F)成分としてポリビニルピロリドンを含有する。睫毛用化粧料には、通常、黒酸化鉄、カーボンブラック、ベンガラなどの顔料が配合されており、それによって睫毛の色合いを強調し、ボリューム効果を高めている。これらの顔料のうち、カーボンブラックは同じ黒色系顔料である黒酸化鉄に比べて着色力は優れているが、その反面、親油性が強いために水中油型化粧料に使用する場合は連続相において凝集することなく分散させることが難しく、結果的に睫毛を濃く、黒く着色することに困難を伴うことが多いという問題があった。
本発明では、(E)カーボンブラックが有するこのような問題点を(F)ポリビニルピロリドンを配合することによって克服している。該(F)ポリビニルピロリドンは(E)成分の分散剤として使用するものであり、この(F)成分を用いることにより水相中であっても凝集物を生ずることなく(E)カーボンブラックを均一に分散することができるようになる。
(E)成分のカーボンブラックは、化粧品に一般に用いられるものであれば特に限定されず、各種のカーボンブラックを使用することができる。たとえば、ファーネス法で製造されたカーボンブラックで、FDA (アメリカ食品医薬品局)のbatch certificationの認可を取得したものや、医薬部外品原料規格2006追補収載に合致するものであると好ましく使用できる。これらは不純物であるベンゾピレンが5ppb以下である。市販品の例としては、ジオテック社製MIDNIGHT BLACKを挙げることができる。カーボンブラックの好ましい配合量は、睫毛用化粧料に対し0.1〜20質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
(F)成分のポリビニルピロリドンは、種々の分子量のものを使用することができる。なかでも重量平均分子量が4,000〜1,000,000g/mol、とくに8,000〜500,000であることが好ましい。重量平均分子量が4,000未満では、耐水性が乏しく、化粧効果の持続性が低下する傾向にある。市販品の例としては、PVP K−15(分子量8,000),K−30(分子量40,000),K−60(分子量160,000),K−90(分子量360,000)(いずれもISP社製)を挙げることができる。ポリビニルピロリドンの好ましい配合量は、睫毛用化粧料全量に対して0.01〜10質量%であり、さらに好ましくは0.1〜5質量%ある。とくに、カーボンブラック1質量部当たり、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.2〜2質量部の割合で使用するとカーボンブラックの分散性が良好になる。ポリビニルピロリドンは、単独で使用してもよく、また、2種以上を併用することもできる。
本発明の水中油型睫用化粧料には、上記の構成成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、(B)成分、(C)成分以外のその他の油性成分、(E)成分以外の粉体成分、増粘剤、界面活性剤、水および水溶性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、褪色防止剤、香料などの、通常化粧料に用いられる各種成分を含有することができる。
本発明の水中油型睫用化粧料には、通常、その他の油性成分としてワックスが配合される。ワックスとは、常温にて固形の油分を意味する。具体的には、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、コメヌカロウ、ラノリン、モクロウ、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、水添ホホバ油、硬質ラノリン、セラックロウ、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、硬化油、硬化ヒマシ油、ワセリン、アルキルシリコーン、ホホバエステル、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。これらのワックスは、単独または2種以上を適宜混合して用いられる。これらの中でも、ミツロウおよびカルナウバロウを配合すると、ボリューム効果、カール効果およびそれらの持続性をさらに高めることができる。
本発明の化粧料へのワックスの配合量は適宜調整されるが、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは、5〜30質量%である。配合量が過度に少ないと、本発明の効果の点で必ずしも十分でない場合がある。逆に、配合量が過度に多くなると、べたつきが出て粘性が高くなり、塗布しにくく、美しく仕上げることが難しくなる。
本発明の水中油型睫用化粧料に用いられるその他の油性成分のうち、半固形〜液状の油分としては、具体的には、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の揮発性炭化水素油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、低重合度ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン等の揮発性シリコーン油、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン、水素添加ポリイソブテンなどの炭化水素油、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、ホホバ油等のエステル類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、(B)成分以外の動粘度が5,000未満の不揮発性のジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、部分架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリシロキサン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類等が挙げられる。
本発明の水中油型睫毛用化粧料は高分子量ジメチルポリシロキサンを必須成分としているため系の粘度が高くなる傾向にあるが、油性成分として低粘度の成分(例えば、25℃における動粘度が500mm/s以下の成分)を適宜配合することにより、化粧料の調製に適した粘度に調整することができる。しかし、低粘度の油性成分の配合量が多くなるとカール効果およびセパレート効果が低下しやすいので、その量は化粧料全体の0.1〜10質量%、とくに0.5〜7質量%とするのが適切である。この目的に適した低粘度油性成分としては、低粘度ジメチルポリシロキサン、スクワラン、トリオクタン酸グリセリルなどが例示される。
本発明の水中油型睫毛用化粧料に配合可能な(E)成分以外の粉体成分は、化粧料の分野で一般に使用されているものであれば、形状、粒子径、粒子構造によりとくに限定されない。形状の具体例としては、たとえば、球状、板状、針状等が挙げられ、粒子径の具体例としては、たとえば、煙霧状、微粒子、顔料級等が挙げられ、また、粒子構造としては、多孔質であっても無孔質であってもよい。粉体成分の具体例としては、たとえば、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。
より具体的には、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、シリカ、亜鉛華、二酸化チタン、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、低次酸化チタン、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、オキシ塩化ビスマス、チタン− マイカ系パール顔料等の無機顔料; ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン− アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体; 赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、黄色205号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色404号、緑色3号等のジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ等の有機顔料; クロロフィル、β−カロチン等の天然色素; 染料等が挙げられる。これらの粉体成分は、単独で使用してもよく、また2種以上を併用することもできる。
(E)成分以外の粉体成分の配合量は、適宜選択することができる。好ましくは0.1〜20質量%であり、さらに好ましくは0.5〜15質量%である。粉体成分の配合量が過度に多くなると、付着性が低下し易く、逆に、過度に少ないとボリューム効果が不十分となる場合がある。
本発明の水中油型睫毛用化粧料は、適度な粘性に調整するために増粘剤を配合することができる。増粘剤としては、デキストリン脂肪酸エステル、ベントナイト、キサンタンガム、セルロースガム、ポリアクリル酸ナトリウム等がある。これらの増粘剤は、1種又は2種以上が選択されて用いられる。中でも、キサンタンガムは塗布のし易さを損ねることなく粘度調整が容易であり好ましく用いられる。増粘剤の配合量は好ましくは0.1〜20質量%であり、さらに好ましくは0.2〜10質量% である。配合量が過度に少ないと十分な粘性に調整することが難しい場合がある。一方、配合量が過度に多くなると粘性が高くなりすぎ、なめらかさを欠く場合がある。
本発明の水中油型睫用化粧料は界面活性剤を含んでいる。界面活性剤を添加する方法は常法に従えばよく、たとえば、水相を形成する成分中に界面活性剤を配合する方法、界面活性剤の原料である高級脂肪酸と塩基成分を個別に添加して系中で反応させることによって界面活性剤を合成する方法などが挙げられる。また、油性成分として用いられるワックス中に有効量の高級脂肪酸を含んでいる場合には、その高級脂肪酸と別途添加される塩基成分を系中で反応させることによりその場で界面活性剤を合成することもできる。
使用可能な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α − オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α − スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N − メチル− N − アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N − アシルアミノ酸塩、N − アシル− N − アルキルアミノ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。中でも、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩等のアニオン界面活性剤が乳化系の安定性の点で好ましい。
また、本発明の(E)成分のカーボンブラックを(F)成分とともに水相に分散させる際に非イオン界面活性剤を存在させると、より微細に(E)成分を分散させることができるのでボリューム効果がより大きくなる。(E)成分の分散のために用いる非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく用いられ、中でも、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)およびポリオキシエチレンベヘニルエーテル(30E.O.)がとくに好ましく用いられる。(E)成分の分散のために非イオン界面活性剤を用いる場合、その配合量は、化粧料全体に対し、0.01〜5質量%であることが好ましい。とくに、カーボンブラック1質量部当たり、0.01〜1質量部、好ましくは0.02〜0.7質量部、さらに好ましくは0.05〜0.5質量部の割合で使用するとカーボンブラックの分散性が良好になる。過度に少ない場合は分散効果が十分ではなく、過度に多い場合は、耐水性が低下する。
本発明においては、上記の各成分を用いること以外は、常法により水中油型睫毛用化粧料を製造することができる。例えば、(E)成分、(F)成分および界面活性剤を含む水相(以下、A相と称することがある)および(B)成分および(C)成分を含む油相(以下、B相と称することがある)をそれぞれ調製し、両者を加温した後に混合して水中油型乳化物し、冷却後、(A)成分および(D)成分を添加して混合する方法により製造することができる。この際、任意成分として水溶性化合物を配合する場合にはA相に添加され、ワックスなどの油性成分を配合する場合には、B相に添加される。また、(A)成分および(D)成分は個別に添加することもできるが、通常は両者を含む水相(以下、C相と称することがある)をあらかじめ調製して添加される。さらに、界面活性剤の原料である塩基成分をA相、高級脂肪酸をB相に添加し、撹拌下にA相をB相に徐々に添加して系中で両者を反応させることにより界面活性剤を合成し、それを用いて水中油型乳化物を調製することもできる。
本発明の水中油型睫毛用化粧料をマスカラとして使用すると、ロングラッシュ効果、ボリューム効果、カール効果、セパレート効果に優れた仕上がりを得ることができる。
次に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されない。処方中の配合量は特に断りのない限り、全量に対する質量%である。
以下の実施例1〜6および比較例1〜7における水中油型睫毛用化粧料の評価方法は、以下のとおりである。
(1)水との接触角
被膜の表面エネルギーの大小を相対的に比較するため、被膜の水との接触角を測定した。評価用のマスカラをガラス板状にドクターブレードを用いて塗布膜厚40μmで塗布した後、室温で24時間乾燥させたものを試料とし、蒸留水を用い、液滴法により接触角θを測定した。接触角θが大きいほど、表面エネルギーが小さいと言える。
(2)官能評価
下記の評価項目については、各試料について専門パネル10名による使用テストを行い、パネル各人が下記の絶対評価基準にて5段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記の4段階判定基準により判定した。
〔評価項目〕
a.カール効果
b.ロングラッシュ効果
c.セパレート効果
d.ボリューム効果
e.温水での落とし易さ(温水の温度:約40℃)
〔絶対評価基準〕
(評点):(評価)
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
〔4段階判定基準〕
(判定):(評点の平均点)
◎ :4点を超える :非常に良好
○ :3点超〜4点以下 :良好
△ :2点超〜3点以下 :やや不良
× :2点以下 :不良
実施例1、2および比較例1
表1に示す組成の水中油型マスカラ組成物を下記の製造手順により調製し、上記の評価法に従ってその性能を評価した。評価結果を併せて表1に示す。
(製造手順)
(1)表1に示すA相用の成分を85℃に加熱し、混合してA相(水相)を調製した。
(2)表1に示すB相用の成分を95℃に加熱し、混合してB相(油相)を調製した。
(3)ディスパーミキサーを用いて、上記のA相にB相を混合して乳化させた。
(4)得られた乳化物を攪拌下で60℃まで冷却し、C相の成分を投入し、ディスパーミキサーで混合した。
(5)均一になった乳化物を32℃まで冷却し、水中油型マスカラを得た。
表1の結果から、本発明の水中油型マスカラ組成物は、水との接触角が大きく、カール効果、ロングラッシュ効果、セパレート効果、ボリューム効果および温水での落とし易さのいずれにおいても優れていることがわかった(実施例1および2)。これに対して、高分子量ジメチルポリシロキサンを配合しない場合(比較例1)は、本発明の水中油型マスカラ組成物に比べて水との接触角が小さく、セパレート効果の点で十分なものではなかった。
実施例3〜4及び比較例2〜5
表2に示す組成の水中油型マスカラ組成物を実施例1と同様の製造手順で調製し、上記評価法により評価した。評価結果を併せて表2に示す。
表2の結果から、(B)成分の配合量が0.3質量%(実施例3)または2.5質量%(実施例4)の場合にも優れた性能を示すことがわかる。これに対して、(B)成分を配合せず、且つ、中空繊維に代えて汎用されている丸型断面の中実繊維を配合した場合(比較例2)には、カール効果、ロングラッシュ効果、セパレート効果、ボリューム効果のいずれにおいても十分でなく、また、(F)成分のポリビニルピロリドンを含まない場合(比較例3)、およびポリビニルピロリドンに代えてポリビニルアルコールまたはポリアクリル酸ナトリウムを用いる場合(比較例4および5)は、黒さの薄い仕上がりとなり、ボリューム効果も十分とはいえないものであった。さらに(E)成分のカーボンブラック2質量%に代えて黒酸化鉄を5質量%配合する場合(比較例6)は、着色が薄くボリューム効果も十分とはいえないものであった。
実施例5〜6
表3に示す組成の水中油型マスカラ組成物を実施例1と同様の製造手順で調製し、上記の評価法に従ってその性能を評価した。評価結果を表3に示す。
表3の結果から、動粘度が100,000mm/sの高分子ジメチルポリシロキサンと低粘度の油状ジメチルポリロキサンを併用した場合(実施例5)、および動粘度が30,000mm/sの高分子ジメチルポリシロキサンを使用した場合(実施例6)には、カール効果、ロングラッシュ効果、セパレート効果、ボリューム効果および温水での落としやすさのいずれにおいても優れていた。これに対して、低粘度のジメチルポリシロキサンを使用した場合(比較例7)には、セパレート効果の点で本発明品に比較して不十分なものであった。
本発明によれば、ボリューム効果を低下させずにセパレート効果を大きく改善し、さらにロングラッシュ効果、カール効果、耐水性、除去のし易さに優れた水中油型睫毛用化粧料を効率よく得ることができる。

Claims (6)

  1. (A)皮膜形成性ポリマーエマルション、(B)25℃における動粘度が5,000〜1,000,000mm/sの動粘度を有する高分子量ジメチルポリシロキサン、(C)油溶性樹脂、(D)長さが0.5〜6mmであり、横断面の外接円の直径が20〜120μmであり、中空率が5〜50%であり、横断面における周囲壁の欠損率が0.5〜30%であり、且つ繊度が6〜30デシテックスである、中空部の周囲壁の一部が長手方向に欠損した中空繊維、(E)カーボンブラックおよび(F)ポリビニルピロリドンを含有し、
    前記(A)成分の割合が1〜40質量%であり、前記(B)成分の割合が0.01〜3.30質量%であり、前記(C)成分の割合が0.5〜20質量%であり、前記(D)成分の割合が0.1〜10質量%であり、前記(E)成分の割合が0.1〜30質量%であり、且つ、前記(F)成分の割合が0.01〜10質量%であることを特徴とする水中油型睫毛用化粧料。
  2. さらに、ワックスを1〜40質量%の割合で含む請求項1記載の水中油型睫毛用化粧料。
  3. 前記(D)成分の中空繊維の横断面形状が略三角形であり、その一辺に欠損部を有するものである請求項1または2に記載の水中油型睫毛用化粧料。
  4. 前記(F)ポリビニルピロリドンの含有量が、前記(E)カーボンブラック1質量部に対して0.01〜10質量部である請求項1〜のいずれかに記載の水中油型睫毛用化粧料。
  5. カーボンブラック、ポリビニルピロリドンおよび界面活性剤を含む水相(A相)と、25℃における動粘度が5,000〜1,000,000mm/sの高分子量ジメチルポリシロキサンと油溶性樹脂を含む油相(B相)を加熱下に混合して水中油型乳化物を調製した後、皮膜形成性ポリマーエマルション、および長さが0.5〜6mmであり、横断面の外接円の直径が20〜120μmであり、中空率が5〜50%であり、横断面における周囲壁の欠損率が0.5〜30%であり、且つ繊度が6〜30デシテックスである、中空部の周囲壁の一部が長手方向に欠損した中空繊維を、前記水中油型乳化物に混合する水中油型睫毛用化粧料の製造方法であって、
    前記水中油型睫毛用化粧料が、(A)皮膜形成性ポリマーエマルション1〜40質量%、(B)25℃における動粘度が5,000〜1,000,000mm /sの動粘度を有する高分子量ジメチルポリシロキサン0.01〜3.30質量%、(C)油溶性樹脂0.5〜20質量%、(D)前記中空繊維0.1〜10質量%、(E)カーボンブラック0.1〜30質量%および(F)ポリビニルピロリドン0.01〜10質量%を含有するものであることを特徴とする水中油型睫毛用化粧料の製造方法。
  6. 前記界面活性剤が、非イオン界面活性剤である請求項記載の水中油型睫毛用化粧料の製造方法。
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