以下では、本発明の一実施形態に係る日射遮蔽システム1について説明する。
日射遮蔽システム1は、建物Bの窓B1に入射する光を適宜遮蔽するためのシステムである。本実施形態において、窓B1に入射する光には、太陽光線による昼間の光、すなわち直射日光、天空光及び地物反射光等が含まれる。
まず、本実施形態に係る建物Bについて説明する。
図1に示す建物Bは、オフィスビルである。建物Bには、外壁及び内壁によって区画された空間に会社や事務所等が入居している。外壁には、複数の窓B1(採光や通風のための開口部)が設けられる。また、建物Bには、屋上B2が設けられる。
次に、図1を参照して日射遮蔽システム1の構成について説明する。なお、以下においては、図1に示す窓B1(一つの窓)に入射する光を遮蔽する場合を例に挙げて説明する。
日射遮蔽システム1は、建物Bに構築される。日射遮蔽システム1は、調光ガラス10、天空監視カメラ20、演算装置30及びコントローラ40を具備する。
調光ガラス10は、窓B1に入射する光を遮蔽するためのものである。調光ガラス10は、窓B1に設置される。調光ガラス10は、屋内側と屋外側とに間隔を空けて配置される二枚のガラス(不図示)と、当該二枚のガラスの間に設けられる液晶シート(不図示)とを具備する。調光ガラス10は、前記液晶シートに印加される電圧の大きさに応じて透明度(光を遮蔽する割合)を変更可能に構成される。
天空監視カメラ20は、建物Bの上空を撮影するためのものである。天空監視カメラ20は、屋上B2に設置される。天空監視カメラ20は、そのレンズが上空を向けて配置される。天空監視カメラ20は、上空を撮影して作成した画像データD(図4参照)を、外部に出力可能に構成される。天空監視カメラ20は、日の出の時間から日没の時間まで上空を撮影する。このような日の出の時間及び日没の時間は、日付(撮影日)及び建物Bの経緯度によって求めることができる。また、天空監視カメラ20は、一定の間隔(本実施形態では15分間隔)で繰り返し上空を撮影する。
演算装置30は、日射遮蔽システム1の処理に必要な演算処理等を行うものである。演算装置30は、バスで相互に接続された中央処理装置(CPU)、記憶装置(RAM及びROMのような主記憶装置やSSD及びHDDのようなストレージ)、入力装置(キーボードやマウス)及び出力装置(液晶ディスプレイ)等を具備する。演算装置30は、市販のPCに適宜プログラム等がインストールされることで構成される。演算装置30は、ストレージに記憶されるプログラムを中央処理装置が呼び出して実行することで、日射遮蔽システム1の処理に必要な演算処理を行うことができる。また、演算装置30は、内部に時計機能を有し、現在の日時を取得することができる。演算装置30は、天空監視カメラ20と接続され、画像データDが入力可能に構成される。演算装置30は、日射判定部31、画像解析部32、透明度決定部33及び日射情報DB(Database)34を具備する。
日射判定部31は、ある日時(例えば、1月1日の7時等)に快晴であると仮定した場合に直射日光が窓B1に入射するか否かを判定するためのものである。日射判定部31は、演算装置30で動作するプログラムを実行することで実現される。なお、日射判定部31の処理については、後で詳述する。
画像解析部32は、画像データD上における色を解析するためのものである。画像解析部32は、演算装置30で動作するプログラムを実行することで実現される。なお、画像解析部32の処理については、後で詳述する。
透明度決定部33は、調光ガラス10の透明度を決定するためのものである。透明度決定部33は、演算装置30で動作するプログラムを実行することで実現される。なお、透明度決定部33の処理については、後で詳述する。
日射情報DB34は、快晴であると仮定した場合に直射日光が窓B1に入射するか否かを、日時毎に記憶するためのものである。日射情報DB34は、例えば、演算装置30にインストールされたDBMS(Database Management System)に、月日、時間及び日射の有無を列名とするテーブルが作成されることで実現される(図3参照)。
なお、日射の有無は、ある日時に快晴であると仮定した場合に直射日光が窓B1に入射するか否かを示すものである。日射の有無は、直射日光が入射する場合にそのデータが「有」となり、直射日光が入射しない場合にそのデータが「無」となる。日射情報DB34(テーブル)には、このような日射の有無等が後述する日射遮蔽システム1の処理において登録される。
コントローラ40は、調光ガラス10を制御するためのものである。コントローラ40は、調光ガラス10と接続され、前記液晶シートに印加する電圧の大きさを制御可能に構成される。また、コントローラ40は、演算装置30と接続され、演算装置30から透明度に関する信号が入力可能に構成される。コントローラ40は、透明度に関する信号に基づいて、前記液晶シートに印加する電圧の大きさを制御する。これにより、コントローラ40は、演算装置30からの信号に応じた透明度となるように、調光ガラス10を制御することができる。
次に、図2から図5までを参照して、日射遮蔽システム1の処理について説明する。日射遮蔽システム1の処理は、天空監視カメラ20で撮影した画像データDに基づいて、調光ガラス10の透明度を調整する処理である。本実施形態に係る日射遮蔽システム1の処理は、天空監視カメラ20が撮影するタイミングと同じタイミングに実行される。これにより、日射遮蔽システム1は、同じタイミングに天空監視カメラ20で撮影された画像データD(すなわち、最新の画像データD)に基づいて、15分間隔で繰り返し透明度を調整する。
図2に示すように、ステップS101において、演算装置30は、現在の日時を日射判定部31に入力する。このとき、演算装置30は、例えば、前記時計機能等を利用して現在の日時を取得し、その取得結果を日射判定部31に入力する。演算装置30は、ステップS101の処理を実行した後、ステップS102の処理を実行する。
図2及び図3に示すように、ステップS102において、演算装置30は、日射情報DB34(テーブル)に日付、時間及び日射の有無のデータを入力(登録)する。演算装置30は、例えば、建物Bの経緯度、窓B1の向き及び周囲の環境(直射日光を遮るものがあるか否か等)に基づいてシミュレーションを行うことによって、日射の有無を日時毎に求める。そして、演算装置30は、求めた結果を日射情報DB34に登録する。これにより、日射情報DB34には、日射遮蔽システム1が動作する時間(日の出の時間から日没の時間まで)の日射の有無が15分間隔で登録される。また、日射情報DB34には、1月1日から12月31日までの間の日射の有無が登録される。
なお、ステップS102の処理は、日射遮蔽システム1を構築してから最初に行われる処理(一回目の処理)でのみ実行され、次回以降の処理(二回目以降の処理)においてはスキップされる。演算装置30は、ステップS102の処理を実行した後、ステップS103の処理を実行する。
ステップS103において、演算装置30は、日射判定部31を実行することで、日射があるか(快晴であると仮定した場合に直射日光が窓B1に入射するか)否かを判定(判断)する。日射判定部31は、次に日射遮蔽システム1の処理が行われるタイミング(15分後の日時)に日射があるか否かを判定する。日射判定部31は、このような判定を、ステップS101で入力された現在の日時及び日射情報DB34を用いて行う。より詳細には、日射判定部31は、現在の日時の15分後の日時をキーにして、日射情報DB34を検索する。例えば、ステップS101で「1/1」及び「6:45」と現在の日時が入力された場合、日射判定部31は、「1/1」及び「7:00」をキーにして日射情報DB34を検索し、その検索結果として日射の有無が「無」であることを取得する。日射判定部31は、日射の有無が「無」であった場合に、日射がないと判定する(ステップS103でNO)。この場合、演算装置30は、ステップS104の処理を実行する。
ステップS104において、演算装置30は、調光ガラス10の透明度を(当該調光ガラス10が調整し得る)最大の値(調光ガラス10がほぼ透明となるような値(100%に近い値))に決定する。このような最大の値は、光を遮蔽する割合が最小となる値である。そして、演算装置30は、透明度(最大の値)に関する信号をコントローラ40に入力する。コントローラ40は、演算装置30からの信号に基づいて透明度が最大の値となるように調光ガラス10を制御する。これにより、演算装置30及びコントローラ40は、調光ガラス10の透明度を最大の値に調整する。
ここで、ステップS103で日射がないと判定した場合(ステップS103でNO)、次に日射遮蔽システム1の処理が行われるまでは、快晴であっても直射日光が窓B1に入射せず、グレアが発生しないと考えられる。そこで、このような場合に調光ガラス10の透明度を最大の値に調整し(ステップS104)、窓B1から入射する光を極力遮蔽しないようにしている。これによれば、グレアが発生する可能性がない場合に、窓B1から極力光を取り込むことができるため、自然光を利用して照明の照度を下げることができる。このため、照明の消費電力を下げて、省エネ効果を得ることができる。
演算装置30は、ステップS104の処理を実行した後、日射遮蔽システム1の処理を終了する。
また、ステップS103において、日射があると日射判定部31が判定した(日射の有無が「有」であった)場合に(ステップS103でYES)、演算装置30は、ステップS105の処理を実行する。
ステップS105において、演算装置30は、画像データD上における雲Cの量を求めて透明度決定部33に入力する。雲Cの量とは、画像データD上における雲Cの領域を数値化したもの、具体的には、雲Cの画素数や画像データD上での雲Cの面積等である。図4に示すように、演算装置30は、画像解析部32に画像データDを入力して、画像解析部32を実行することで、雲Cの量を求める。なお、図4においては、晴れ間F(雲Cの切れ目のような空の青い部分)を斜線で示している。
ステップS105において、まず、画像解析部32は、画像データDの画素を色毎に集計する。このとき、画像解析部32は、色情報(本実施形態ではRGB値)が同一である画素が同じ色であると判断して集計を行う(同一のRGB値が設定された画素の数を数える)。そして、画像解析部32は、集計値が大きい上位十位の色(第一位の色C1から第十位の色C10まで)を抽出し、そのRGB値と画素数とを関連付けた情報(図4に示す棒グラフ参照)を取得する。なお、図4に示す棒グラフは、縦軸に沿って棒が並べられ、棒の横幅(長さ)が集計値(画素数)を示すものとなっている。
ステップS105において、画像解析部32は、第一位の色C1から第十位の色C10までの中で、雲Cの色(白色又は灰色)を抽出する。このとき、画像解析部32は、第一位の色C1から第十位の色C10までのRGB値(図4に示すRGB値参照)が、「Rの値=Gの値=Bの値」又は「Rの値>Bの値、かつ、Gの値>Bの値」の条件を満たすか否かを判断する。そして、画像解析部32は、前記条件を満たした色を雲Cの色として抽出する。これにより、画像解析部32は、第一位の色C1、第二位の色C2、第五位の色C5から第七位の色C7まで及び第十位の色C10を抽出する。このような雲Cの色を抽出する条件は、日射遮蔽システム1の処理を行う前に予め設定されている。
ステップS105において、画像解析部32は、抽出した色C1・C2.C5〜C7・C10の画素数(棒グラフの長さ)を合計することで、雲Cの量を推定する。これにより、画像解析部32は、雲Cの量を求めて透明度決定部33に入力する。
図2に示すように、演算装置30は、ステップS105の処理を実行した後、ステップS106の処理を実行する。
ステップS106において、演算装置30は、画像データD上における晴れ間Fの量を求めて透明度決定部33に入力する。晴れ間Fの量とは、画像データD上における晴れ間Fの領域を数値化したもの、具体的には、晴れ間Fの画素数や画像データD上での晴れ間Fの面積等である。演算装置30は、画像解析部32を実行することで、晴れ間Fの量を求める。
ステップS106において、画像解析部32は、図4に示す第一位の色C1から第十位の色C10までの中で、晴れ間Fの色(水色)を抽出する。このとき、画像解析部32は、ステップS105で雲Cの色として抽出されなかった色C3・C4・C8・C9の中から、晴れ間Fの色を抽出する。画像解析部32は、前記色C3・C4・C8・C9のRGB値が、「Rの値<Bの値、かつ、Gの値≦Bの値」を満たすか否かを判断する。そして、画像解析部32は、前記条件を満たした色を晴れ間Fの色として抽出する。これにより、画像解析部32は、第三位の色C3、第四位の色C4、第八位の色C8及び第九位の色C9を抽出する。このような晴れ間Fの色を抽出する条件は、日射遮蔽システム1の処理を行う前に予め設定されている。なお、画像解析部32は、色C3・C4・C8・C9のうち、前記条件を満たさない色があった場合、当該色を雲Cの色又は晴れ間Fの色ではないと判断して除外する。
ステップS106において、画像解析部32は、雲Cの量を推定した場合と同じ手順で晴れ間Fの量を推定する。これにより、画像解析部32は、晴れ間Fの量を求めて透明度決定部33に入力する。
図2に示すように、演算装置30は、ステップS106の処理を実行した後、ステップS107の処理を実行する。
ステップS107において、演算装置30は、透明度決定部33を実行することで、画像データD上における空全体の中で雲Cが占める割合を算出する。
より詳細には、ステップS107において、透明度決定部33は、ステップS105・S106で入力された雲Cの量と晴れ間Fの量とを合算することで、画像データD上における空全体の量(画像データD上における空全体の領域を数値化したもの、本実施形態では空全体の画素数)を算出する。そして、透明度決定部33は、雲Cの量(雲Cの色の画素数)から空全体の量を除算することで、雲Cが占める割合を算出する。このような雲Cが占める割合は、雲Cの量が多い(曇っている)場合にその値が1に近い値となり、雲Cの量が少ない(晴れている)場合にその値が0に近い値となる。
ステップS107において、透明度決定部33は、図5に示すような表を用いて、雲Cが占める割合からグレア発生の危険度(グレアが発生する可能性の度合い)を判断する。例えば、図2及び図5に示すように、透明度決定部33は、雲Cが占める割合が0.7以上である場合に、危険度が「低」であると判断し(ステップS107で「危険度:低」)、ステップS108の処理を実行する。
ステップS108において、透明度決定部33は、調光ガラス10の透明度を最大の値(ほぼ透明)に決定する。そして、演算装置30は、透明度決定部33で決定した透明度(最大の値)に関する信号をコントローラ40に入力し、調光ガラス10の透明度を最大の値にする。
ここで、雲Cが占める割合が0.7以上である場合(ステップS107で「危険度:低」)、雲Cの量が多く、現時点からしばらくの間(例えば、次に日射遮蔽システム1が動作するまで)は太陽Sが雲Cで覆われていることが想定される。この場合、現時点からしばらくの間は、直射日光が窓B1に入射し難く、グレアが発生し難い(グレア発生の危険度が低い)と考えられる。そこで、調光ガラス10の透明度を最大の値に調整し(ステップS108)、窓B1から入射する光を極力遮蔽しないようにしている。これによれば、グレアが発生する可能性が低い場合に、窓B1から極力光を取り込むことができる。
演算装置30は、ステップS108の処理を実行した後、日射遮蔽システム1の処理を終了する。
また、ステップS107において、透明度決定部33は、雲Cが占める割合が0.3以上、かつ0.7未満である場合に、グレア発生の危険度が「中」であると判断し(ステップS107で「危険度:中」)、ステップS109の処理を実行する。
ステップS109において、透明度決定部33は、透明度を20%に決定する。そして、演算装置30は、透明度決定部33で決定した透明度(20%)に関する信号をコントローラ40に入力し、調光ガラス10の透明度を20%にする。
ここで、雲Cが占める割合が0.3以上、かつ0.7未満である場合(ステップS107で「危険度:中」)、雲Cがまばらであり、現時点で太陽Sが雲Cに隠れていても、すぐに太陽Sが雲Cから出てくることが想定される。このように、雲Cがまばらである場合、現時点で太陽Sが雲Cに隠れていても、すぐに(例えば、次に日射遮蔽システム1の処理を行うまでに)直射日光が窓B1に入射するようになってグレアが発生する可能性がある。そこで、透明度を20%に調整し(ステップS109)、調光ガラス10で光を遮蔽するようにしている。これによれば、予め(太陽Sが雲Cから出てきて直射日光が窓B1に入射する前に)透明度を下げておくことができるため、グレアの発生を効果的に抑制することができる。また、透明度を20%(調光ガラス10が調整し得る最小の値よりもやや高い値)にすることで、雲Cがまばらにある場合でも、グレアの発生を抑制しつつ、室内に光を極力取り込むことができる。これにより、雲Cが占める割合に応じて適切な採光状態にすることができる。
演算装置30は、ステップS109の処理を実行した後、日射遮蔽システム1の処理を終了する。
また、ステップS107において、透明度決定部33は、雲Cが占める割合が0.3未満である場合に、グレア発生の危険度が「高」であると判断し(ステップS107で「危険度:高」)、ステップS110の処理を実行する。
ステップS110において、透明度決定部33は、透明度を10%に決定する。そして、演算装置30は、透明度決定部33で決定した透明度(10%)に関する信号をコントローラ40に入力し、調光ガラス10の透明度を10%にする。
ここで、雲Cが占める割合が0.3未満である場合(ステップS107で「危険度:高」)、雲Cの量が少なく、現時点からしばらくの間は太陽Sが雲Cから出ていることが想定される。この場合、現時点からしばらくの間は、直射日光が窓B1に入射し易く、グレアが発生する可能性が高いと考えられる。そこで、調光ガラス10の透明度を10%に調整し(ステップS110)、窓B1から入射する光を極力遮蔽するようにしている。これによれば、グレアが発生する可能性が高い場合に、窓B1に入射する直射日光を効果的に遮蔽することができる。これによって、グレアの発生を抑制することができる。
演算装置30は、ステップS110の処理を実行した後、日射遮蔽システム1の処理を終了する。
以上のように、透明度決定部33は、雲Cが占める割合に基づいて、15分以内にグレアが発生する可能性(グレア発生の危険度)を予測している(ステップS107)。また、透明度決定部33は、グレア発生の危険度を三段階(「低」、「中」及び「高」)に分けている。また、演算装置30及びコントローラ40は、このようなグレア発生の危険度に応じて透明度を三段階(最大の値、20%又は10%)に調整する(ステップS108〜S110)。これによって、演算装置30及びコントローラ40は、透明度を段階的に調整する。これによれば、コントローラ40での調光ガラス10の制御を簡素化することができる。
以上の如く、本実施形態に係る日射遮蔽システム1は、建物Bの窓B1(開口部)に設置され、前記窓B1に入射する光を遮蔽する割合である透明度を変更可能な調光ガラス10(遮蔽手段)と、前記建物Bの上空を撮像して画像データDを作成する天空監視カメラ20(撮像手段)と、前記画像データD上における雲Cの量を考慮して前記透明度を調整する演算装置30及びコントローラ40(調整手段)と、を具備するものである。
このように構成することにより、グレアの発生を抑制することができる。
また、前記演算装置30は、前記画像データD上における色を考慮して前記雲Cの量を推定するものである。
このように構成することにより、画像データDから簡単に雲Cを識別することができるため、雲Cの量を簡単に得ることができる。
また、前記演算装置30及びコントローラ40は、前記画像データD上における色を考慮して前記画像データD上における晴れ間Fの量を推定し、当該晴れ間Fの量と前記雲Cの量とを考慮して、前記画像データD上における空全体の中で前記雲Cが占める割合を算出し、当該雲Cが占める割合を考慮して前記透明度を調整するものである。
このように構成することにより、雲Cが占める割合(雲Cがまばらにあるか等)からグレアが発生する可能性を判断して透明度を調整可能となるため(ステップS107〜S110)、グレアの発生を効果的に抑制することができる。
また、前記演算装置30及びコントローラ40は、前記雲Cが占める割合に応じて段階的に前記透明度を調整するものである。
このように構成することにより、コントローラ40での調光ガラス10の制御を簡素化できるため、透明度を簡単に調整することができる。
また、前記演算装置30及びコントローラ40は、前記窓B1に直射日光が入射すると判断した場合にのみ、段階的に前記透明度を調整するものである。
このように構成することにより、グレアが発生する可能性がある場合にのみ(ステップS103でYES)、段階的に透明度を調整できる。これにより、必要なときだけ、画像データDを解析して雲Cの量を入力する処理等(ステップS105〜S110)を実行することができる。これによれば、無駄なくシステムを動作させることができる。
また、前記演算装置30は、日時を考慮して前記窓B1に直射日光が入射するか否かを判断するものである。
このように構成することにより、簡単に取得可能な値を用いて、窓B1に直射日光が入射するか否かを判断できる。これによれば、簡単に直射日光が入射するか否かを判断できる。
また、前記演算装置30及びコントローラ40は、前記窓B1に直射日光が入射しないと判断した場合に、前記透明度を最大の値(窓B1に入射する光を遮蔽する割合が最小となる値)となるように調整するものである。
このように構成することにより、グレアが発生する可能性がない場合に(ステップS107でYES)透明度を最大の値に調整できるため(ステップS108)、窓B1から多くの光を取り込むことができる。
また、前記遮蔽手段は、調光ガラス10によって構成されるものである。
このように構成することにより、窓B1から外部を見易くすることができるため、閉塞感を低減することができる。
なお、本実施形態に係る窓B1は、本発明に係る開口部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る調光ガラス10は、本発明に係る遮蔽手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る天空監視カメラ20は、本発明に係る撮像手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る演算装置30及びコントローラ40は、本発明に係る調整手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る透明度は、本発明に係る遮蔽度に相当する。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、日射遮蔽システム1が適用される建物Bの種類は、オフィスビルに限定されるものではなく、マンションや一軒家や病院等であってもよい。
また、調光ガラス10が設置される場所は、窓B1に限定されるものではない。調光ガラス10が設置される場所は、建物Bの開口部のうち、直射日光が入射するような場所であればよい。具体的には、ベランダに通じる出入口や天窓等であってもよい。
また、日射遮蔽システム1は、1つの窓B1に入射する光を遮蔽する(1つの調光ガラス10を具備する)場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、複数の窓B1に入射する光を遮蔽するものであってもよい。この場合、調光ガラス10は、例えば、複数の窓B1に対応するように設置される(1つの窓B1に対して1つの調光ガラス10が設置される)。また、日射情報DB34には、複数の調光ガラス10に対応するように複数のテーブルが作成される(1つの調光ガラス10に対して1つのテーブルが作成される)。また、日射判定部31は、各調光ガラス10に対応するテーブルを検索して、各窓B1における日射の有無を取得する。また、演算装置30及びコントローラ40は、ステップS104・S108〜S110で複数の調光ガラス10の透明度を調整する。
また、遮蔽手段は、調光ガラス10に限定されるものではなく、例えば、スラット角を変更可能なブラインド等であってもよい。この場合、演算装置30は、ステップS104・S108〜S110において、ブラインドで光を遮蔽する割合を決定する。コントローラ40は、演算装置30で決定した割合となるように、ブラインドのスラット角を制御する。このとき、コントローラ40は、日時によって判断される太陽の高度や位置等からスラット角を適宜制御する。このように、本発明に係る遮蔽度は、窓B1に入射する光を遮蔽する割合である。具体的には、遮蔽度は、調光ガラス10の透明度や日時に応じたブラインドのスラット角等である。
また、天空監視カメラ20が設置される場所は、上空を撮影可能な場所であれば屋上B2に限定されるものではない。具体的には、天空監視カメラ20が設置される場所は、建物Bの敷地内や建物Bとは異なる建物の屋上等であってもよい。
また、天空監視カメラ20がで上空を撮影する時間及び日射遮蔽システム1の処理を実行する時間は、日の出の時間から日没の時間までとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、オフィスビルに入居している会社や事務所の始業時間から終業時間まで等であってもよい。
また、天空監視カメラ20で上空を撮影する間隔及び日射遮蔽システム1の処理を実行する間隔は、15分に限定されるものではなく、10分や20分であってもよい。また、季節等によって、天空監視カメラ20で上空を撮影する間隔及び日射遮蔽システム1の処理を実行する間隔を適宜変更してもよい。
また、ステップS103において、日射判定部31は、現在の日時の15分後(15分後の日時)に日射があるか否かを判定したが、日射があるか否かを判定する時間は、15分後の日時に限定されるものではない。例えば、日射判定部31は、現在の日時に日射があるか否かを判定してもよい。また、日射判定部31は、現在の日時及び15分後の日時に日射があるか否かをそれぞれ判定してもよい。この場合、日射判定部31は、例えば、現在の日時又は15分後の日時の少なくともいずれか一方で日射があると判定した場合に、ステップS105以降の処理を実行する。
また、日射判定部31は、ある日時に快晴であると仮定した場合に直射日光が窓B1に入射するか否かを判定するものとしたが、これに限定されるものではなく、実際に直射日光が窓B1に入射する直前であるか否かを判定するものであってもよい。この場合、例えば、日射判定部31は、窓B1周辺の照度を測定する照度計の測定結果に基づいて、直射日光が入射する直前であるか否かを判定する。より詳細には、日射判定部31は、照度計の測定結果が所定の閾値を越えた場合に直射日光が入射する直前であると判定し、照度計の測定結果が前記所定の閾値以下となった場合に直射日光が入射する直前でないと判定する。これによれば、日射情報DB34を用いることなく直射日光が窓B1に入射するか否かを判定することができる。以上のように、本発明に係る「開口部に直射日光が入射する」とは、「快晴であると仮定した場合に直射日光が開口部に入射する」ことと、「実際に直射日光が開口部に入射する直前である」こととを含むものである。
また、演算装置30は、必ずしも日射があるかを判定する(ステップS103の処理を実行する)必要はない。
また、画像解析部32は、画像データDに所定の建物(建物Bや建物Bとは異なる建物)が写っている場合に、所定の建物を考慮して雲Cの量及び晴れ間Fの量を求めてもよい。このような所定の建物は、画像データDに常に同じように撮影される。そこで、画像解析部32は、例えば、天空監視カメラ20で予め撮影した画像データから所定の条件を満たす色を所定の建物の色として抽出し、その画素数を集計する。そして、ステップS105において、画像解析部32は、画像データD上における色のうち、所定の建物の色と一致する色の集計値(画素数)から、予め集計した所定の建物の色の画素数を減算する。これにより、画像データDから所定の建物の色を除去して雲Cの量及び晴れ間Fの量を求めることができる。このため、雲Cの量及び晴れ間Fの量を精度良く求めることができ、その結果雲Cが占める割合を精度良く求めることができる。
ここで、画像データDは、上空を撮影したものであるため、その多くの領域が雲Cや晴れ間Fで占められている。このため、ステップS105で集計した値が大きい(画素数が多い)色は、雲Cや晴れ間Fの領域を示す色であると考えられる。一方、集計した値が非常に小さい(画素数が少ない)色は、予め撮影されることが想定できないもの、例えば飛行物等であると考えられる。そこで、ステップS105において、画像解析部32は、画像データD上における色のうち、集計値が大きい色を所定の数(本実施形態では十種類)だけ抽出している。これによれば、飛行物等の色、すなわち雲Cや晴れ間F以外の領域の色を除外することができるため、雲Cの量及び晴れ間Fの量を精度良く求めることができる。なお、ステップS105で抽出する色の数は、十色(上位十位まで)に限定されるものではなく、例えば、九色以下や十一色以上であってもよい。
また、画像解析部32は、同一のRGB値毎に画素の数を集計するものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、目では見分けの付かない色を同じ色として(RGB値が近似する色をまとめて)集計してもよい。
また、ステップS105・S106において用いられる雲Cの色及び晴れ間Fの色を抽出する条件は、本実施形態のような条件に限定されるものではない。
また、雲Cが占める割合を算出する手法は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、透明度決定部33は、ステップS105で入力された雲Cの量を、画像データD全体の画素数で除算して雲Cが占める割合を算出してもよい。このように構成することで、晴れ間Fの色が水色とは異なる色となる時間帯(例えば、夕方の時間帯等)において、雲Cが占める割合を精度良く算出することができる。また、このような画像データD全体の画素数を用いる手法と、本実施形態に係るステップS107のような晴れ間Fの量を用いる手法とを、時間帯によって使い分けてもよい(例えば、夕方の時間帯だけ画像データD全体の画素数を用いて雲Cが占める割合を算出してもよい)。これによれば、時間帯に関わらず、雲Cが占める割合を精度良く算出することができる。
また、画像解析部32は、画像データDに対して画像処理(例えば、輪郭を検出するためのエッジ処理等)を施して、雲C及び晴れ間Fの領域の面積を求め、当該面積を雲C及び晴れ間Fの量とするものであってもよい。
また、ステップS107〜S110においては、雲Cが占める割合に基づいて調光ガラス10の透明度を調整したが、これに限定されるものではなく、例えば、雲Cの量に基づいて調光ガラス10の透明度を調整してもよい。
また、ステップS107〜S110においては、雲Cが占める割合に応じて最大の値、20%又は10%となるように(三段階に)透明度を調整するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、日射遮蔽システム1は、雲Cが占める割合に応じて四段階以上に透明度を調整するものであってもよい。これにより、透明度をより細かく調整することができる。また、雲Cが占める割合に応じて最大の値又は10%となるように透明度を調整してもよい。
また、ステップS104・S108〜S110で調整される透明度の値は、本実施形態の値(最大の値、20%又は10%)に限定されるものではなく、任意の値を設定することができる。
また、透明度決定部33は、前回の日射遮蔽システム1の処理で算出した雲Cが占める割合(15分前に算出した雲Cが占める割合、以下「前回の雲Cが占める割合」と称する)を利用して、ステップS108〜S110で決定した透明度を補正してもよい。
このような構成において、例えば、透明度決定部33は、ステップS108〜S110で決定した透明度を仮の透明度の値(最大の値、20%又は10%)として決定する。そして、透明度決定部33は、前回の雲Cが占める割合とステップS107で算出した雲Cが占める割合との差分を算出し、当該差分が小さい(雲Cが占める割合の変動が小さい)場合に、天候が安定していると判断する。この場合、透明度決定部33は、仮の透明度の値よりも高い値(仮の透明度に所定の値を加算した値)を最終的な透明度の値として決定する。その後、日射遮蔽システム1は、最終的な透明度の値となるように調光ガラス10の透明度を調整する。これによれば、天候が安定している場合に、仮の透明度(ステップS108〜S110で決定した透明度)が高くなるように補正できるため、窓B1から極力光を取り込むことができる。また、差分が小さい(天候が安定している)場合、頻繁に透明度を調整する必要がないため、演算装置30は、次に日射遮蔽システム1の処理を行うタイミングを遅くする。具体的には、15分間隔で処理を行うところを20分間隔等にする。これにより、透明度の調整頻度を減らすことができる。なお、仮の透明度の値が最大の値である場合(ステップS108)、透明度決定部33は、最終的な透明度の値を最大の値のままとする(仮の透明度の値を補正しない)。
また、透明度決定部33は、差分が大きい場合に、天候が不安定であると判断し、仮の透明度の値よりも低い値(仮の透明度を所定の値で減算した値)を最終的な透明度の値として決定する。そして、日射遮蔽システム1は、最終的な透明度の値となるように調光ガラス10の透明度を調整する。これによれば、天候が不安定であることが想定される場合に、仮の透明度が低くなるように補正できるため、窓B1に入射する直射日光を遮断し易くなるため、グレアの発生を効果的に抑制することができる。また、演算装置30は、差分が大きい場合に、次に日射遮蔽システム1の処理を行うタイミングを早くする。具体的には、15分間隔で処理を行うところを10分間隔等にする。これにより、急な天候の変化に合わせて透明度を迅速に調整することができる。
ここで、差分を算出する場合、前回の日射遮蔽システム1の処理において、日射がない(ステップS103で「NO」)と判断されて前回の雲Cが占める割合が算出されていない可能性がある。この場合、差分を求める前に、前回撮影された画像データDから雲Cが占める割合を算出すればよい。
以上のような差分を利用して透明度を補正する処理は、ステップS107で「危険度:中」となった場合に行うことが望ましい。これにより、雲がまばらにあってグレアが発生する可能性を明確に判断し難い場合に、雲Cが占める割合だけではなく、天候が安定しているか否か(雲Cが占める割合とは異なる情報)を用いて透明度を最終的に決定することができる。これによれば、透明度をより最適な値にすることができる。また、前記処理においては、前回の雲Cが占める割合だけではなく、前回よりも前に算出された雲Cが占める割合も利用して差分を算出してもよい。
以上の如く、前記天空監視カメラ20は、前記画像データDを繰り返し作成し、前記演算装置30及びコントローラ40は、最新の前記画像データD上における雲Cの量を考慮して仮の透明度の値を決定し、繰り返し作成された前記画像データD上における雲Cの量の時間的な変化を考慮して前記仮の透明度の値を補正することで、最終的な透明度の値を決定し、前記透明度を前記最終的な透明度の値となるように調整するものである。
このように構成することにより、雲Cの時間的な変化を考慮して透明度を調整できる。
また、日射情報DB34は、演算装置30内に構築されるものとしたが、これに限定されるものではなく、演算装置30とは異なるPCに構築されていてもよい。例えば、日射情報DB34は、インターネット回線等によって演算装置30と接続可能なDBサーバに構築されていてもよい。これにより、日射遮蔽システム1の処理にかかる負荷を複数のPC(演算装置30及びDBサーバ)に分散させることができる。