JP6718608B2 - 眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置および眼表面・眼瞼摩擦係数評価方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献3には、人の皮膚などの摩擦係数を測定できる装置が開示されており、特許文献4には、すべり速度や傾斜角度が変化する摩擦系において摩擦係数を測定する装置が開示されている。
第1発明の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置は、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を推定する装置であって、眼表面または眼瞼に接触させる接触子を有する接触部と、該接触部を接触子の先端に向かって付勢する付勢機構と、を備えた測定部と、該測定部を、前記付勢機構が前記接触子を付勢する方向と交差する方向に沿って移動させる移動機構と、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を推定する摩擦係数推定部と、を備えており、前記移動機構が、前記測定部の移動速度を測定する速度検出部を備えており、前記摩擦係数推定部は、前記付勢機構が発生する付勢力と、前記速度検出部が検出した前記測定部の移動速度と、に基づいて、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を推定する機能を有していることを特徴とする。
第2発明の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置は、第1発明において、前記接触部が、眼表面および/または眼瞼と前記接触子との間の摩擦力を測定する機能を有している
ことを特徴とする。
第3発明の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置は、第1または第2発明において、前記付勢機構が、付勢力を発生させる付勢力源として、バネを備えていることを特徴とする。
第4発明の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置は、第1、第2または第3発明において、前記摩擦係数推定部は、涙の粘度をη、前記付勢力をN、前記測定部の移動速度をVとすると、以下の式1に基づく眼表面および/または眼瞼の摩擦係数μを、進化型アルゴリズムによって推定する機能を有していることを特徴とする。
式1:μ=ΣpjXn−j (j=4〜n)
式2:X=(ηp1-Vp2)/Np3
なお、p1、p2、p3は任意の実数、pjは最適なパラメータ
第5発明の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置は、第4発明において、前記進化型アルゴリズムとして、遺伝的アルゴリズムと最小二乗法を組み合わせたアルゴリズムを使用することを特徴とする。
(眼表面・眼瞼摩擦係数評価方法)
第6発明の眼表面・眼瞼摩擦係数評価方法は、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を評価する方法であって、接触子を眼表面および/または眼瞼に接触しかつ接触子を眼表面および/または眼瞼に向かって付勢した状態で、眼表面および/または眼瞼に接触子を付勢する付勢力Nと、付勢方向と交差する方向に沿って接触子を移動させることによって得られた接触子の移動速度Vと、涙の粘度ηと、を使用して、以下の式1に基づく眼表面および/または眼瞼の摩擦係数μを、進化型アルゴリズムによって推定し、推定された眼表面および/または眼瞼の摩擦係数μを、式2のXと比較して評価することを特徴とする。
式1:μ=ΣpjXn−j (j=4〜n)
式2:X=(ηp1-Vp2)/Np3
なお、p1、p2、p3は任意の実数、pjは最適なパラメータ
第7発明の眼表面・眼瞼摩擦係数評価方法は、第6発明において、前記進化型アルゴリズムとして、遺伝的アルゴリズムと最小二乗法を組み合わせたアルゴリズムを使用することを特徴とする。
第1発明によれば、眼表面および/または眼瞼に接触子を接触させた状態で、接触子の付勢方向と交差する方向に接触子を移動させることができるので、接触子を付勢する付勢力と接触子の移動速度を同時に測定できる。したがって、同時測定された付勢力と移動速度を使用すれば、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を推定することができる。
第2発明によれば、眼表面および/または眼瞼と接触子との間の摩擦力を測定できるので、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を簡易的に測定することができる。
第3発明によれば、バネの弾性係数を適切に調整しておけば、眼球および/または眼瞼の弾性に合わせて付勢力をほぼ一定とすることができるので、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を精度よく推定することができる。
第4発明によれば、涙の粘度ηを考慮して眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を推定するので、実際の眼表面および/または眼瞼の摩擦係数により近い摩擦係数を推定することができる。
第5発明によれば、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数をより精度よく推定することができる。
(眼表面・眼瞼摩擦係数評価方法)
第6発明によれば、同時測定された付勢力と移動速度を使用し、かつ、涙の粘度ηを考慮して眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を推定するので、実際の眼表面および/または眼瞼の摩擦係数により近い摩擦係数を推定することができる。そして、摩擦係数と式2のXとを比較すれば、眼表面および/または眼瞼の状態を把握することが可能となる。
第7発明によれば、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数をより精度よく推定することができる。
図1に示すように、テーブルTには、本実施形態の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置1の移動機構10が設けられている。具体的には、プレートPの位置に対してホルダーCと逆側、つまり、被験者の顔が配置される側と反対側に、移動機構10が設けられている(図2参照)。
図1に示すように、移動台12には、スライドレール12sを介して測定部20が取り付けられている。スライドレール12sは、3軸方向に沿って測定部20の位置を移動させることができる公知のスライドレールである。つまり、スライドレール12sによって、測定部20の眼球に対する位置を調整できるようになっている。なお、図1の例では、スライドレール12sは、x軸方向が移動機構10のレール11と平行、y軸方向が移動機構10のテーブルTの表面と直交、z軸方向がテーブルTの表面と平行、となるように設けられている。
摩擦係数推定部30は、眼表面(および/または眼瞼)の摩擦係数を推定する機能を有している。具体的には、摩擦係数推定部30は、付勢機構25のバネ26が発生する付勢力、つまり、接触部22が検出した垂直力と、エンコーダ16が検出した測定部20の移動速度(つまり接触子23の移動速度)と、に基づいて、眼表面(および/または眼瞼)の摩擦係数μを推定する機能を有している。
式1:μ=ΣpjXn−j (j=4〜n)
式2:X=(ηp1-Vp2)/Np3
なお、p1、p2、p3は任意の実数、pjは最適なパラメータ
上述した本実施形態の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置1では、以下のようにして、眼表面(および/または眼瞼)の摩擦係数μが測定される。
本実施形態の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置1では、進化型アルゴリズムを使用して、式1、式2を満たす摩擦係数μを推定するが、摩擦係数μの推定に使用する進化型アルゴリズムはとくに限定されない。例えば、遺伝的アルゴリズムや点郡最適化法などのような、一般的な進化型アルゴリズムを採用することができる。
まず、遺伝的アルゴリズムでは遺伝子を利用して演算を実施するが、この演算を実施する遺伝子と、上述した式1、2のパラメータpn(p1,p2,・・・,pn)の関係について説明する。
図3(B)に示すように、交叉工程では、ランダムに染色体の中の遺伝子にマスクを作成し、作成されたマスクをもとに交叉点(Crossover point)を作成する。次に、交叉を行うために染色体を2個選択し,交叉点によって挟まれた遺伝子を交換することで新たな染色体を生みだす。
図4(A)に示すように、突然変異を生じさせる工程において、突然変異を起こす確率は、突然変異率によって決定する。突然変異率は、プログラムの使用者が任意に決めることが可能であるが、一般的には0.5〜5%の間で設定される。突然変異を起こすかどうかの判断は、染色体の中の遺伝子1個ずつに対して行われる。突然変異を起こす場合は、遺伝子の値が0ならば1に、1ならば0に変異する.
図4(B)に示すように、染色体の選択工程では、各染色体は、点数化された適応度(評価値、100満点)fi(i=1〜m)によって評価される。以下の式3が、本実施形態において、適応度を求めるために使用した式である。
上述したような方法で推定された摩擦係数μによって眼表面および/または眼瞼の状態を把握する場合、単純に摩擦係数μの値の大小等によって評価することも可能である。しかし、算出された摩擦係数μと式2の計測数量Xとを比較すれば、眼表面および/または眼瞼の状態や、眼表面と眼瞼との接触状態等をより適切に把握することが可能となる。
上記例では、涙の粘度η、垂直力N、測定部20の移動速度をV、によって、摩擦係数μを推定した。上述した例のように、上記3つのパラメータから摩擦係数μを推定した場合には、眼球の状態に近い摩擦係数μを把握できると考える。つまり、涙で潤滑されている状態における眼表面(および/または眼瞼)の摩擦係数μを把握できると考える。
式5:μ=F/N
接触子23は、眼表面あるいは眼瞼と接触する接触子先端部が曲面になっている軸状の部材を使用する場合を説明したが、軸状の接触子を使用する場合には、その軸径は、1〜8mm程度が好ましい。
また、接触子23は接触子先端部が曲面になっている軸状でなくてもよいが、接触子先端部が曲面になっている軸状とすれば、接触面を小さくできるので、測定の際の抵抗を小さくでき、測定誤差の発生を抑制することができる。
上記例では、測定部20を手動で移動させる場合を説明したが、測定部20は、モータ等の駆動源によって移動させるようにしてもよい。駆動源で移動させるようにした場合には、測定部20の移動速度を一定にできるので、より正確な摩擦係数を測定できるという点で好ましい。
付勢機構25は、接触部22が検出する接触子23の軸方向に加わる力に応じて、付勢力を調整するような機能を有していてもよい。すると、眼球や眼瞼に加える力を能動的に一定に維持することが可能となる。
実験に使用した接触子を有する測定器は、摩擦係数測定器(トリニティーラボ社製 TL701 Handy Rub Tester)である。接触子には、前記摩擦係数測定器(TL701)が備えている点接触子(直径8mm)を使用した。
まず、正常被験者の顔を顔固定用のプレートにあてて固定し、接触子の先端が測定対象である眼表面の位置にくるように高さと左右の位置を調節する。次に、摩擦係数測定器およびエンコーダをリセットして、接触子の先端を眼表面に近づけていき、接触子を眼表面にあて垂直力を負荷する。このとき、負荷する垂直力が約0.15〜0.30Nとなるようにした。その後、垂直力を負荷したまま、接触子を3〜5mm程度、左右方向に沿って往復移動させ、摩擦係数測定器およびエンコーダで、垂直力と移動速度を測定した。
なお、式6のパラメータである0.85と0.25は,遺伝的アルゴリズムにおいて,10,000世代後に生き残った10,000種類のパラメータの組み合わせの中から適応度が92.55点以上のものを選出し、選出されたパラメータ(p1,p2)について分布密度が最も高い領域におけるパラメータの値の平均値である。
この分布の相違は、正常被験者(成人男性)の耳側球結膜の測定は角膜の測定終了後に行われたため、耳側球結膜の測定のときには、どの被験者でも、眼表面は乾燥状態にあったためと推定される。
10 移動機構
16 エンコーダ
20 測定部
21 フレーム
22 接触部
23 接触子
25 付勢機構
26 バネ
30 摩擦係数推定部
Claims (7)
- 眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を推定する装置であって、
眼表面または眼瞼に接触させる接触子を有する接触部と、該接触部を接触子の先端に向かって付勢する付勢機構と、を備えた測定部と、
該測定部を、前記付勢機構が前記接触子を付勢する方向と交差する方向に沿って移動させる移動機構と、
眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を推定する摩擦係数推定部と、を備えており、
前記移動機構が、
前記測定部の移動速度を測定する速度検出部を備えており、
前記摩擦係数推定部は、
前記付勢機構が発生する付勢力と、前記速度検出部が検出した前記測定部の移動速度と、に基づいて、眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を推定する機能を有している
ことを特徴とする眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置。 - 前記接触部が、
眼表面および/または眼瞼と前記接触子との間の摩擦力を測定する機能を有している
ことを特徴とする請求項1記載の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置。 - 前記付勢機構が、
付勢力を発生させる付勢力源として、バネを備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置。 - 前記摩擦係数推定部は、
涙の粘度をη、前記付勢力をN、前記測定部の移動速度をVとすると、以下の式1に基づく眼表面および/または眼瞼の摩擦係数μを、進化型アルゴリズムによって推定する機能を有している
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置。
式1:μ=ΣpjXn−j (j=4〜n)
式2:X=(ηp1-Vp2)/Np3
なお、p1、p2、p3は任意の実数、pjは最適なパラメータ
- 前記進化型アルゴリズムとして、
遺伝的アルゴリズムと最小二乗法を組み合わせたアルゴリズムを使用する
ことを特徴とする請求項4記載の眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置。 - 眼表面および/または眼瞼の摩擦係数を評価する方法であって、
接触子を眼表面または眼瞼に接触しかつ接触子を眼表面または眼瞼に向かって付勢した状態で、眼表面または眼瞼に接触子を付勢する付勢力Nと、付勢方向と交差する方向に沿って接触子を移動させることによって得られた接触子の移動速度Vと、涙の粘度ηと、を使用して、以下の式1に基づく眼表面および/または眼瞼の摩擦係数μを、進化型アルゴリズムによって推定し、
推定された眼表面の摩擦係数μを、式2のXと比較して評価する
ことを特徴とする眼表面・眼瞼摩擦係数評価方法。
式1:μ=ΣpjXn−j (j=4〜n)
式2:X=(ηp1-Vp2)/Np3
なお、p1、p2、p3は任意の実数、pjは最適なパラメータ
- 前記進化型アルゴリズムとして、
遺伝的アルゴリズムと最小二乗法を組み合わせたアルゴリズムを使用する
ことを特徴とする請求項6記載の眼表面・眼瞼摩擦係数評価方法。
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JP2016104541A JP6718608B2 (ja) | 2016-05-25 | 2016-05-25 | 眼表面・眼瞼摩擦係数測定装置および眼表面・眼瞼摩擦係数評価方法 |
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